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JP2008273250A - 歩行者用エアバッグ装置 - Google Patents

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JP2008273250A
JP2008273250A JP2007115800A JP2007115800A JP2008273250A JP 2008273250 A JP2008273250 A JP 2008273250A JP 2007115800 A JP2007115800 A JP 2007115800A JP 2007115800 A JP2007115800 A JP 2007115800A JP 2008273250 A JP2008273250 A JP 2008273250A
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Yoshihiro Kobayashi
慶大 小林
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Takata Corp
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Abstract

【課題】エアバッグのうち、膨張時にケースの周囲に広がり出すようにして車体外面に沿って展開する部分が、テザーによって該ケースに連結されている歩行者用エアバッグ装置において、該テザーの張力によりエアバッグに反り等の変形が生じることが抑制された歩行者用エアバッグ装置を提供する。
【解決手段】エアバッグ5のカウル覆装部5aの両端側がテザー30によりケース8内のテザーアンカ77に連結されている。各テザー30の一端は、カウル覆装部5aのケース8との対面領域Rとカウル覆装部5aの左右両端側の最先端部との途中に連結され、他端は、ケース8内のテザーアンカ77に連結されている。テザーアンカ77は、ホルダプレート70に設けられている。
【選択図】図10

Description

本発明は、車体外面に沿って膨張展開するエアバッグを有した歩行者用エアバッグ装置に係り、特に、該エアバッグと、該エアバッグを収容するケースとを備え、該エアバッグのうち膨張時にケースの周囲に広がり出す部分がテザーによって該ケース側に引きつけられるよう構成されている歩行者用エアバッグ装置に関する。
車体のカウル部付近に沿ってエアバッグを膨張させて歩行者等(歩行者や自転車乗員など)を受け止めるようにした歩行者用エアバッグ装置が公知である。この歩行者用エアバッグ装置の一形態として、ケース内にエアバッグが収容されており、エアバッグ膨張時には、このエアバッグが該ケースの周囲に広がり出すようにして車体外面に沿って展開するものが公知である。
特開2004−299442号には、エアバッグのうち、膨張展開時にケースの周囲に広がり出す部分をテザーによって該ケースに連結しておき、この部分が膨張展開時にバタつくことを抑制するようにした歩行者用エアバッグ装置が記載されている。
同号の歩行者用エアバッグ装置においては、エアバッグは、車体のカウルルーバに沿って車体幅方向に膨張展開するカウルルーバ保護部と、該カウルルーバ保護部の両端に連なっており、車体の左右のAピラーに沿ってそれぞれ膨張展開するピラー保護部とを有した略U字形のものである。
このカウルルーバ保護部の延在方向中央付近がケースに固定されている。ケースは、車体幅方向における幅員がカウルルーバ保護部よりも小さなものとなっており、エアバッグ膨張時には、該カウルルーバ保護部の延在方向両端側及びこれらに連なる各ピラー保護部がそれぞれケースの側方に広がり出すようにして展開する。
同号では、このカウルルーバ保護部の延在方向両端側がそれぞれテザーによってケースに連結されており、エアバッグ膨張展開時にこれらがバタつくことが抑制される。
特開2004−299442号
上記特開2004−299442号においては、同号の図10にも示されるように、カウルルーバ保護部の延在方向両端側の最先端部に、それぞれテザーの一端が結合されている。そのため、エアバッグ膨張展開時には、同号の図13の如く、各テザーの張力によってこのカウルルーバ保護部の延在方向両端側の最先端部(即ち、膨張した状態におけるカウルルーバ保護部の延在方向の両側端面)がエアバッグ下面側に引張られることとなり、該カウルルーバ保護部の延在方向両端側に、該両端側をエアバッグ下面側に巻き込もうとするモーメントが生じ易い。これにより、該カウルルーバ保護部に反りや中折れ等の変形が生じるおそれがある。
本発明は、エアバッグのうち、膨張時にケースの周囲に広がり出すようにして車体外面に沿って展開する部分が、テザーによって該ケース側に引きつけられるよう構成されている歩行者用エアバッグ装置において、該テザーの張力によりエアバッグに反り等の変形が生じることが抑制された歩行者用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の歩行者用エアバッグ装置は、車体外面に沿って膨張展開するエアバッグと、該エアバッグを収容したケースと、該エアバッグを膨張させるためのインフレータとを有した歩行者用エアバッグ装置であって、該エアバッグは、膨張時には、該ケースから該ケースの周囲に広がり出すようにして車体外面に沿って展開し、該エアバッグのうち、膨張状態において該ケースの周囲に広がり出した部分をケース側に引きつけるためのテザーが設けられている歩行者用エアバッグ装置において、該テザーの一端は、該エアバッグのうち、該エアバッグが膨張した状態において、該ケースとの対面領域よりも該ケースからの所定の広がり出し方向の先端側であって、且つ該所定の広がり出し方向の最先端部よりも該所定の広がり出し方向の基端側となる位置に連結されており、該テザーの他端は、該ケース内に配置された、該ケースとは別体のテザーアンカに連結されていることを特徴とするものである。
請求項2の歩行者用エアバッグ装置は、請求項1において、前記インフレータがインフレータホルダに保持され、該インフレータホルダが前記ケースに固定されており、該インフレータ及びインフレータホルダは該ケース内に配置されており、前記テザーアンカは該インフレータホルダに設けられていることを特徴とするものである。
請求項3の歩行者用エアバッグ装置は、請求項2において、前記インフレータホルダは、インフレータを保持し該インフレータと共にエアバッグ内に配置されたホルダ本体と、エアバッグ外に配置され、該ホルダ本体に沿うホルダプレートとを備えていることを特徴とするものである。
請求項4の歩行者用エアバッグ装置は、請求項3において、前記ホルダプレートには前記インフレータに向けて突出した凸部が設けられ、前記ホルダ本体には該凸部が通過した通過部が設けられており、該凸部の先端がインフレータに押し付けられ、これによってインフレータがホルダ本体に固定されていることを特徴とするものである。
請求項5の歩行者用エアバッグ装置は、請求項3又は4において、前記インフレータは前記エアバッグ内に配置されており、該インフレータホルダとホルダプレートとでエアバッグの基布が挟持されており、前記インフレータアンカは該ホルダプレートに設けられていることを特徴とするものである。
請求項6の歩行者用エアバッグ装置は、請求項2ないし5のいずれか1項において、前記テザーアンカは、エアバッグが膨張した状態におけるテザーの前記一端と該インフレータとの間に位置していることを特徴とするものである。
請求項7の歩行者用エアバッグ装置は、請求項1ないし6のいずれか1項において、該エアバッグのうち、少なくとも、該エアバッグが膨張した状態において、該ケースとの対面領域よりも該ケースからの前記所定の広がり出し方向の先端側であって、且つ該所定の広がり出し方向の最先端部よりも該所定の広がり出し方向の基端側となる位置において、該エアバッグの車体外面側及びこれと反対側が縫製部によって結合されており、前記テザーの前記一端は、これと共通の該縫製部によって該エアバッグの車体外面側に結合されていることを特徴とするものである。
請求項8の歩行者用エアバッグ装置は、請求項7において、該テザーの該一端は、円環状の該縫製部により該エアバッグの車体外面側に結合されていることを特徴とするものである。
請求項9の歩行者用エアバッグ装置は、請求項1ないし8のいずれか1項において、前記エアバッグは、車体のボンネットフードの後縁に沿って車体幅方向に展開するカウル覆装部と、下端が該カウル覆装部に連なっており、車体のAピラーに沿って略上下方向に展開するピラー覆装部とを有しており、該カウル覆装部と該ピラー覆装部との交叉隅部に、これらを繋ぐ繋ぎ部材が設けられていることを特徴とするものである。
請求項10の歩行者用エアバッグ装置は、請求項1ないし9のいずれか1項において、前記エアバッグは、車体のボンネットフードの後縁に沿って車体幅方向に展開するカウル覆装部と、下端が該カウル覆装部に連なっており、車体のAピラーに沿って略上下方向に展開するピラー覆装部とを有しており、前記テザーとして、第1テザーと第2テザーとが設けられており、該第1テザーの一端は、該カウル覆装部のうち、該カウル覆装部が膨張した状態において、前記ケースとの対面領域よりも該ケースからの所定の広がり出し方向の先端側であって、且つ該所定の広がり出し方向の最先端部よりも該所定の広がり出し方向の基端側となる位置に連結されており、該第2テザーの一端は、該ピラー覆装部の上下方向の途中部に連結されていることを特徴とするものである。
請求項11の歩行者用エアバッグ装置は、請求項9において、該カウル覆装部と該ピラー覆装部との交叉隅部に、これらを繋ぐ繋ぎ部材が設けられていることを特徴とするものである。
本発明(請求項1)の歩行者用エアバッグ装置においては、エアバッグのうち、膨張時にケースの周囲に広がり出すようにして車体外面に沿って展開する部分が、テザーによりケース側に引きつけられるので、エアバッグ膨張展開時にこの部分がバタつくことが抑制される。
本発明では、テザーの前記他端がケースではなく、ケースとは別体のテザーアンカに連結されているので、このテザー他端の連結位置を所望位置に設定するように設計することが容易である。
本発明では、テザーの前記一端側は、エアバッグのうち、該エアバッグが膨張した状態において、該ケースとの対面領域よりも該ケースからの所定の広がり出し方向の先端側であって、且つ該所定の広がり出し方向の最先端部よりも該所定の広がり出し方向の基端側となる位置、即ち、エアバッグの該所定の広がり出し方向の最先端部とケース対面領域との途中位置に連結されている。
従って、エアバッグが膨張展開したときに、各テザーの張力によりこのエアバッグの該所定の広がり出し方向の最先端部(即ち、膨張した状態におけるエアバッグの該所定の広がり出し方向の側端面)がエアバッグ下面側に引張られにくく、エアバッグの該所定の広がり出し方向の先端側に、該先端側をエアバッグの下面側に巻き込もうとするモーメントが生じにくい。これにより、該エアバッグに反りや中折れ等の変形が生じることが防止ないし抑制される。
なお、例えば、前述の特開2004−299442号のように、エアバッグが車体幅方向に延在するものであり、エアバッグの該車体幅方向両端側がそれぞれケースの側方に広がり出すようにして膨張展開する場合には、上記の「エアバッグのうち、該エアバッグが膨張した状態において、該ケースとの対面領域よりも該ケースからの所定の広がり出し方向の先端側であって、且つ該所定の広がり出し方向の最先端部よりも該所定の広がり出し方向の基端側となる位置」とは、このエアバッグの車体幅方向一端側の最先端部とケースの該車体幅方向一端側の端部との途中位置、及びエアバッグの車体幅方向他端側の最先端部とケースの該車体幅方向他端側の端部との途中位置をいう。
エアバッグ内部を複数の室に区画したり、該エアバッグの厚みが過度に大きくなることを防止ないし抑制したりするために、エアバッグのうち、少なくとも、このエアバッグの該所定の広がり出し方向の最先端部とケース対面領域との途中位置において、エアバッグの車体外面側及びこれと反対側が縫製部によって縫合されている場合には、請求項7のように、これと共通の縫製部によってテザーの一端をエアバッグに縫い付けるようにしてもよい。
このようにすることにより、エアバッグの縫製とテザーの取り付けとを一度に行うことができるため、エアバッグの縫製作業を容易なものとすることができる。
この場合、請求項8のように、テザーを円環状の縫製部によりエアバッグに縫着することにより、このテザーのエアバッグへの結合強度を高くすることができる。また、エアバッグの膨張時の膨張用ガスによって円環状縫製部にかかる応力を分散させることができる。
請求項9の態様にあっては、エアバッグは、車体のボンネットフードの後縁に沿って車体幅方向に展開するカウル覆装部と、このカウル覆装部からAピラーに沿って上方へ展開するピラー覆装部とを有しているが、該カウル覆装部とピラー覆装部との交叉隅部に、これらを繋ぐ繋ぎ部材が設けられているので、この繋ぎ部材により、エアバッグ膨張時の該ピラー覆装部のバタつきが抑制される。
請求項10の態様にあっても、エアバッグは、車体のボンネットフードの後縁に沿って車体幅方向に展開するカウル覆装部と、このカウル覆装部からAピラーに沿って上方へ展開するピラー覆装部とを有しているが、該カウル覆装部とケースとを連結する第1テザーに加え、該ピラー覆装部とケースとを連結する第2テザーが設けられているので、エアバッグ膨張時には、該カウル覆装部のバタつきが第1テザーによって抑制されると共に、該ピラー覆装部のバタつきも第2テザーによって抑制される。
なお、この請求項10の態様にあっては、該第2テザーの上端は、ピラー覆装部の上端側の最先端部ではなく、上下方向の途中部に連結されているので、エアバッグが膨張したときに、該第2テザーの張力によりピラー覆装部の上端側最先端部がエアバッグ下面側に引張られにくく、該ピラー覆装部の上端側に、該上端側をエアバッグ下面側に巻き込もうとするモーメントが生じにくい。これにより、該ピラー覆装部に反りや中折れ、捩れ等の変形が生じることも抑制される。
また、この場合、請求項11のように、該第2テザーに加え、カウル覆装部とピラー覆装部との交叉隅部に、これらを繋ぐ繋ぎ部材を設けてもよい。このように構成することにより、エアバッグ膨張時の該ピラー覆装部のバタつきを一層抑制することができる。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る歩行者用エアバッグ装置を備えた自動車の斜視図、第2図はエアバッグ膨張時の第1図の自動車の斜視図、第3図は第1図のIII−III線断面図、第4図は膨張したエアバッグの平面図、第5図〜第10図は第4図のV−V線ないしX−X線断面図、第11図は第10図の構成を示す斜視図、第12図及び第13図はインフレータアッセンブリの分解斜視図、第14図は第13図のXIV−XIV線断面図である。なお、以下の説明において、左右方向とは車体幅方向をいう。
第1図の通り、自動車1は、4ドアセダンであるが、本発明は特定の車両形態に限定されない。ボンネットフード3の後部に歩行者用エアバッグ装置4が設置されている。第2図の通り、歩行者用エアバッグ装置4のエアバッグ5が膨張すると、カウルルーバ2、ウィンドシールド6及び左右のAピラー7の少なくとも一部がエアバッグ5によって覆われる。
第3図の通り、歩行者用エアバッグ装置4は、折り畳まれたエアバッグ5を収納するためのケース8と、エアバッグ5を膨張させるためのインフレータ9(9L,9R)と、フード3のエアバッグ通過用開口3aを閉鎖しているリッド10と、該エアバッグ5のうち、膨張時に該ケース8の周囲に広がり出すようにして車体外面に沿って展開する部分(後述のカウル覆装部5aの左右両端側)を該ケース8に連結するテザー30等を備えている。
ケース8は車体幅方向に延在した長函状のものである。このケース8は、底部8aと、前壁部8bと、後壁部8cと、左右のエンド壁8dとを備え、上方が開放している。
この実施の形態ではケース8の右端側から左端側にかけてエアバッグ5の折り畳み体が延在している。また、各インフレータ9は、インフレータホルダ50のホルダ本体60に保持され、このエアバッグ5の内部に配置されている。
このインフレータ9は、インフレータホルダ50を介してケース8に取り付けられている。また、このインフレータホルダ50を介してエアバッグ5がケース8に取り付けられている。このインフレータホルダ50の構成について次に第10〜第14図を参照して詳細に説明する。
このインフレータホルダ50は、第12図に明示のホルダ本体60と、該ホルダ本体60の外面に沿って配置されるホルダプレート70とからなる。
ホルダ本体60は、略六角形筒状の部材であって、長手方向の途中には複数の窓孔61が設けられている。
ホルダ本体60の両端側と、窓孔61同士の間にはブリッジ部62が設けられている。このブリッジ部62部分において、ホルダ本体60は、その長手方向と垂直な断面が六角形となっている。このブリッジ部62には突起65が設けられている。
ホルダ本体60の底面からは複数本(この実施の形態では3本)のアンカーボルト63が突設されている。また、ホルダ本体60の底面には通過部として開口64が設けられている。この開口64は、中央側の2個のブリッジ部62にそれぞれ対峙して合計2個設けられている。ホルダ本体60内には一端側からインフレータ9が挿入されるが、この挿入方向末端側においては、ホルダ本体60のブリッジ部62と底面からそれぞれ突起66が突設され、これらの突起66,66間にインフレータ9が押し込まれるよう構成されている。
ホルダプレート70は、ホルダ本体60の底面に沿う細長い平板状のプレートベース部71と、該プレートベース部71の両側辺から折り立てられたサイドウォール部72とを有した長板状部材である。このサイドウォール部72はホルダプレート70の剛性を高める。これにより、エアバッグ展開時にテザー30と共にテザーアンカ77が持ち上げられるように変形することが防止される。
このプレートベース部71には、ホルダ本体60のアンカボルト63の挿通孔73が設けられている。また、プレートベース部71には、前記開口64を通過する凸部74が設けられている。
第14図の通り、この凸部74と前記突起65とによってインフレータ9が押えつけられている。インフレータ9をブリッジ部62の六角形状の平面で押えるよりも、突起65,65及び凸部74の計3点で押えることで、インフレータ9の回転を十分に抑止することができる。
ホルダプレート70の末端側からは、ホルダ本体60の末端側へ起立するストッパ部75が立設されている。ホルダプレート70の長手方向の途中からは、ホルダ本体60の先端側へ起立するストッパ部76が切り起しにより形成されている。これらストッパ部75,76は、ホルダ本体60内に挿入されたインフレータ9の端面を押えてインフレータ9の長手方向への移動を阻止するためのものである。
ホルダプレート70は、ホルダ本体60のインフレータ9の挿入方向の先端側よりも前方へ長く延出しており、この延出方向の先端にテザーアンカ77が立設されている。このテザーアンカ77は、前記ストッパ部75,76と同方向に折り立てられている。このテザーアンカ77は、ボルト又はリベット等の留具の挿通孔77aを有している。
インフレータ9が挿入されたホルダ本体60をエアバッグ5内に配置し、エアバッグ5に設けられたボルト挿通孔(図示略)からスタッドボルト63をエアバッグ5外に突出させる。このスタッドボルト63をボルト挿通孔73に通すようにしてホルダプレート70をホルダ本体60に沿わせるこのとき、ホルダ本体60とホルダプレート70との間でエアバッグ5の下面(後述の下側パネル12)が挟持される。次いで、各スタッドボルト63が、ケース8の底面8aに設けられたボルト挿通孔8bに挿通され、該底面8aの裏側からナット69が締め込まれることにより、各インフレータ9、インフレータホルダ50及びエアバッグ5の下面が該底面8aに固定される。
テザーアンカ77は、ケース8内に配置されている。テザーアンカ77の位置は、インフレータ9とケース8の左右のエンド壁8dとの間であって、ケース底面8a付近である。
ホルダプレート70のうちテザーアンカ77近傍部分が、ボルト97及びナット99によってケース8に固定される。これにより、エアバッグ展開時にテザー30によってテザーアンカ77が上方に引っ張られても、ホルダプレート70が上方へ持ち上げられるように変形することが防止される。
リッド10は、その車体後縁側がフード3の開口3aの後縁側においてヒンジ(図示略)によって車体に留め付けられており、エアバッグ5が膨張するときには第3図の矢印θの通り後方側へ回動しながら開き出すよう構成されている。リッド10の前縁側は、例えばクリップのような係止手段(図示略)により、開口3aの前縁側において車体に留め付けられている。この係止手段は、エアバッグ5に押されてリッド10が開放するときには、係止を解除するよう構成されている。
エアバッグ5の構成について第4図〜第10図を参照して次に説明する。
このエアバッグ5は、上側パネル11と下側パネル12とを重ね合わせ、これらの周縁部を結合して袋状としたものである。この実施の形態では、該上側パネル11及び下側パネル12の周縁部のエアバッグ内側面に弾性接着材Sを塗布し、該上側パネル11及び下側パネル12の周縁部同士をこの弾性接着材Sにより接着すると共に、さらに周縁縫合部(縫い糸)13によりこれらを縫い合わせている。この弾性接着剤Sによってパネル11,12同士の間がシールされ、エアバッグ5の膨張時における該パネル11,12同士の間からのガスリークが防止される。
この弾性接着剤Sとしては、伸び率が200%程度のものが好ましい。また、この弾性接着剤Sとしては、シリコン系やウレタン系など種々のものを用いることができるが、例えば、パネル11,12のエアバッグ内側面にシリコン系のコーティングが施されている場合には、弾性接着剤Sとしてシリコン系のものを用い、ウレタン系のコーティングが施されている場合には、弾性接着剤Sとしてウレタン系のものを用いるのが好ましい。
この弾性接着剤Sは、パネル11,12の周縁部に沿って5〜15mmの幅にわたって、0.01〜0.05g/cm程度の塗布量で塗布されるのが好ましい。
このエアバッグ5は、カウル2とウィンドシールド6の下部とを覆うカウル覆装部5aと、該カウル覆装部5aの左右両端側に連なり、左右のAピラー7に沿って展開して各Aピラー7の少なくとも下端側を覆うピラー覆装部5b,5bとを有した略U字形のものであるが、エアバッグの展開形状はこれに限定されるものではない。例えば、エアバッグ5は、カウルからウィンドシールド及びAピラーの略全体を覆う略方形であってもよく、さらに、カウル覆装部5aの左右両端側から左右のフェンダー部を覆うように前方に延出する1対のフェンダー覆装部を有した略H字形などであってもよい。
このエアバッグ5の上側パネル11と下側パネル12とは、カウル覆装部5aにあっては、パネル11,12の中央部付近が円環形縫製部14と、線状縫製部15,16,15とによって結合されている。線状縫製部15,16,15は、カウル覆装部5aの中央を車体幅方向に延在している。この縫製部15,16,15は、互いに略一直線状に配置されている。なお、該縫製部16はカウル覆装部5aの延在方向中間付近に延設され、縫製部15,15はこの縫製部16の左側及び右側にそれぞれ延設されている。これらの縫製部15,16,15同士は相互に離隔している。
これにより、エアバッグ5のカウル覆装部5a内は、線状縫製部15,16,15よりも車体前方側の室17と後方側の室18とに区画されている。
線状縫製部15,16,15の各端部に円環形縫製部14が配置されている。左右の線状縫製部15と中央の線状縫製部16の間は、それぞれ、パネル11,12同士が縫合されておらず、室17,18を連通する連通部19となっている。
この実施の形態では、エアバッグ5の膨張時の厚みを規制するために、線状縫製部15から離隔した円環形縫製部20,21によってパネル11,12同士が結合されている。第4図の通り、該円環形縫製部20は、各線状縫製部15よりもさらにカウル覆装部5aの左右両端に近い位置に配置されており、円環形縫製部21は、それよりも各ピラー覆装部5b側に配置されている。
なお、図示はしないが、パネル11,12の周縁部同士の結合部と同様に、上記の各線状縫製部15,16及び各円環形縫製部14,20,21によるパネル11,12同士の結合部においても、該パネル11,12のエアバッグ内側面に弾性接着材Sを塗布しておき、該パネル11,12同士をこの弾性接着材Sにより接着すると共に、各縫製部14,15,16,20,21によって縫い合わせるようにしてもよい。
第4図に示すように、このエアバッグ5にあっては、膨張した状態におけるカウル覆装部5aの車体幅方向(左右方向)の幅員がケース8の該車体幅方向の幅員よりも大きくなっている。このカウル覆装部5aの延在方向中央側の下面(下側パネル12)が前述のように各インフレータ9によってケース8の底面8aに固定されており、エアバッグ5の膨張時には、カウル覆装部5aの左右両端側(及び各ピラー覆装部5b)がそれぞれ該ケース8の側方へ広がり出すようにして展開する。
前記テザー30は、カウル覆装部5aの左右両端側の、膨張時にケース8の側方へ広がり出す部分をそれぞれテザーアンカ77に連結している。この実施の形態では、第8,10図に示すように、各テザー30の一端側は、前記円環形縫製部20により下側パネル12の下面に縫着されている。
図示の通り、各円環形縫製部20、即ち各テザー30の一端側と下側パネル12との結合部は、カウル覆装部5aが膨張した状態において、該カウル覆装部5aのケース8との対面領域R(第4図においてケース8を示す点線により囲まれた領域)よりも該カウル覆装部5aの左右両端側であって、且つカウル覆装部5aの該左右両端側の最先端部(周縁縫製部13)よりも該カウル覆装部5aの延在方向中間側となる位置、即ち、該対面領域Rの左端(ケース8の左側エンド壁8d)とカウル覆装部5aの左端側の周縁縫製部13との途中位置、及び該対面領域Rの右端(ケース8の右側エンド壁8d)とカウル覆装部5aの右端側の周縁縫製部13との途中位置にそれぞれ配置されている。
なお、本発明において、この「途中位置」とは、エアバッグ5が膨張した状態において、該左側エンド壁8dからカウル覆装部5aの左端側の周縁縫製部13までの距離、及び右側エンド壁8dからカウル覆装部5aの右端側の周縁縫製部13までの距離をそれぞれ100%としたときに、該左側エンド壁8dから左側テザー30と下側パネル12との結合部(左側の円環形縫製部20)までの距離、及び該右側エンド壁8dから右側テザー30と下側パネル12との結合部(右側の円環形縫製部20)までの距離がそれぞれ10〜80%、特に20〜60%となる位置をいう。
なお、この実施の形態では、各テザー30の一端側をエアバッグ5に連結するに当り、円環形縫製部20の形成予定位置において上側パネル11、下側パネル12及び該テザー30の一端側を重ね合わせ、これらを一体に縫い合わせる。このテザー30の取り付けに際しても、該テザー30の一端側の下側パネル12との対向面に弾性接着剤Sを塗布し、この弾性接着剤Sで該テザー30の一端側を下側パネル12に接着すると共に、円環形縫製部20で縫い合わせるようにしてもよい。
各テザー30の他端側は、第10図の通り、テザーアンカ77にそれぞれボルト、リベット等の留具31により固着されている。
なお、第4〜6図に示すように、この実施の形態では、各インフレータ9(9L,9R)は、前記室17内に配置されている。第4図の通り、一方のインフレータ9Lは、カウル覆装部5aの中央の線状縫製部16よりも左側の線状縫製部15に隣接するように配置され、他方のインフレータ9Rは、右側の線状縫製部15に隣接するように配置されている。
この実施の形態では、インフレータ9は円柱状であり、その一端側のガス噴出部9aから放射方向へガスを噴出するよう構成されている。
各インフレータ9(9L,9R)のガス噴出部9aは、それぞれ隣接する線状縫製部15の長手方向の途中部分に対峙している。即ち、各ガス噴出部9aは、各線状縫製部15の長手方向の略中間部の車体前方側に位置している。
各インフレータ9のイニシエータ(図示略)への通電用のハーネス9bは、それぞれインフレータ制御回路(図示略)に接続される。このインフレータ制御回路からの起動信号に基づいて各インフレータ9のイニシエータが起動し、各インフレータ9がガスを噴出する。
図示はしないが、この歩行者用エアバッグ装置4が搭載された自動車1には、該自動車1が歩行者等と衝突したことを検知するか、又はこの自動車と歩行者等との衝突を予知するための各種センサが設けられている(なお、検知センサと予知センサの双方が設けられていてもよい。)。前記インフレータ制御回路は、これらのセンサからの検知又は予知信号に基づいて、各インフレータ9のイニシエータを起動させる。
かかる構成の歩行者用エアバッグ装置4の作動は次の通りである。
前記センサによって自動車1が歩行者等と衝突したことが検知された場合、又はこの自動車1と歩行者等との衝突が予知された場合、この検知又は予知信号に基づいてインフレータ制御回路から各インフレータ9のイニシエータに起動信号が入力されて該イニシエータが起動し、各インフレータ9からガスが噴出する。そして、各インフレータ9からのガスによりエアバッグ5が膨張し、リッド10を押し開けて第2図の如く車体外面に沿って展開する。
この歩行者用エアバッグ装置4にあっては、エアバッグ5のうち、膨張時にケース8の側方に広がり出すようにして車体外面に沿って展開するカウル覆装部5aの左右両端側が、それぞれ、テザー30によりケース8内のテザーアンカ77に連結されているので、エアバッグ5の膨張展開時に該カウル覆装部5aの左右両端側(及び各ピラー覆装部5b)がバタつくことが抑制される。
前述の通り、各テザー30と該カウル覆装部5aとの結合部は、該カウル覆装部5aのケース8との対面領域Rよりも該カウル覆装部5aの左右両端側であって、且つ該カウル覆装部5aの左右両端側の最先端部よりも該カウル覆装部5aの延在方向中間側となる位置に配置されているので、エアバッグ5が膨張展開したときに、各テザー30の張力によりこのカウル覆装部5aの左右両端側の最先端部(即ち、膨張した状態におけるカウル覆装部5aの左右両側端面)がエアバッグ下面側に引張られにくく、該カウル覆装部5aの左右両端側に、該両端側をエアバッグ下面側に巻き込もうとするモーメントが生じにくい。これにより、該カウル覆装部5aに反りや中折れ等の変形が生じることが防止ないし抑制される。
この実施の形態では、テザー30の基端をテザーアンカ77に連結している。このテザーアンカ77はホルダプレート70に設けられている。ホルダプレート70として長さの異なるものを採用することにより、テザーアンカ77の位置を変更することができる。従って、テザーアンカ77の設置位置の自由度が高い。また、テザーアンカ77の高さの変更も容易である。
この実施の形態では、エアバッグ5の上側パネル11と下側パネル12とを結合する縫製部20よって各テザー30の一端側も該下側パネル12に縫い付けるようにしており、エアバッグ5の縫製と各テザー30の取り付けとを一度に行うことができるため、エアバッグ5の縫製作業を容易に行うことができる。
また、この実施の形態では、各テザー30の一端側を円環状の縫製部20により下側パネル12に縫着しているので、各テザー30の下側パネル12への結合強度が高いものとなっている。
なお、この実施の形態では、エアバッグ5の上側パネル11と下側パネル12とを円環形縫製部14,20,21と線状縫製部15,16によって結合して膨張時の厚みを制御すると共に、線状縫製部15,16によって室17,18を形成している。このため、エアバッグ5の構成が簡易である。
また、この実施の形態では、各インフレータ9のガス噴出部9aが線状縫製部15の途中部分に対峙しているので、インフレータ9の噴出ガス圧によってパネル11,12同士を離反させるように各パネル11,12に作用する力は、線状縫製部15の途中部分において高くなり、線状縫製部15の両端側に圧力が集中することを抑止できる。このため、線状縫製部15の端部におけるパネル11,12同士の結合が保たれる。線状縫製部16の端部も同様である。
さらに、線状縫製部15,16の端部に円環形縫製部14を設けているので、パネル11,12同士の結合は極めて強固である。
上記実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明は上記実施の形態に限定されない。
例えば、上記実施の形態では1個のエアバッグ5によって車体のカウル2周辺及び左右のAピラー7,7を覆うよう構成されているが、複数のエアバッグによりこれらを覆うよう構成してもよい。例えば、第15図の実施の形態においては、2個のエアバッグ5L,5Rを設け、一方のエアバッグ5Lによりカウル2の左半側(及びその周辺部)と左側のAピラー7とを覆い、他方のエアバッグ5Rにより、カウル2の右半側(及びその周辺部)と右側のAピラー7とを覆うように構成している。
もちろん、3個以上のエアバッグが設けられてもよい。前述のように、カウル2周辺部や左右のAピラー7,7以外の部分を覆うエアバッグが設けられてもよい。
上記実施の形態では、エアバッグ5の上側パネル11と下側パネル12とを縫合する円環形縫製部20によって各テザー30の一端側も縫合されているが、この円環形縫製部20以外の箇所に各テザー30を取り付けてもよい。また、パネル11,12同士の縫製部とは非共通の縫製部によりテザー30を取り付けてもよい。
上記の実施の形態では、カウル覆装部5aの一端側及び他端側をそれぞれ1本のテザーによりテザーアンカ77に連結しているが、これらをそれぞれ2本以上のテザーによりテザーアンカ77に連結してもよい。
第16図は、別の実施の形態に係る歩行者用エアバッグ装置のエアバッグ膨張時の平面図である。
この実施の形態の歩行者用エアバッグ装置4Aにおいても、エアバッグ5Aは、車体のカウル2とウィンドシールド6の下部とを覆うように、ボンネットフード3の後縁に沿って車体幅方向(左右方向)に膨張展開するカウル覆装部5aと、下端が該カウル覆装部5aの左右の端部にそれぞれ連なり、車体の各Aピラー7に沿って上方へ膨張展開するピラー覆装部5b,5bとを有した略U字形のものである。(なお、第16図においては、車体(カウル2、ウィンドシールド6、ボンネットフード3及びAピラー7等)は図示略。第1,2図参照。)
この実施の形態では、各ピラー覆装部5bは、膨張すると、各Aピラー7の上端付近まで覆いうる上下方向長さとなっている。
図示の通り、このエアバッグ5Aにあっても、膨張した状態におけるカウル覆装部5aの車体幅方向(左右方向)の幅員がケース8の該車体幅方向の幅員よりも大きくなっている。このカウル覆装部5aの延在方向中央側の下面(下側パネル12)がインフレータホルダ50によってケース8の底面8aに固定されており、エアバッグ5Aの膨張時には、カウル覆装部5aの左右両端側と、これらに連なる各ピラー覆装部5bとがそれぞれ該ケース8の側方へ広がり出すようにして展開する。
この実施の形態では、テザーとして、該カウル覆装部5aの左右両端側をそれぞれテザーアンカ77に連結する第1テザー30Aと、各ピラー覆装部5bをそれぞれテザーアンカ77に連結する第2テザー30Bとが設けられている。
該第1テザー30Aは、前述の第1〜14図の実施の形態におけるテザー30と同様のものである。
即ち、各第1テザー30Aの一端側は、カウル覆装部5aが膨張した状態において、該カウル覆装部5aのケース8との対面領域R(第16図においてケース8を示す点線により囲まれた領域)よりも該カウル覆装部5aの左右両端側であって、且つカウル覆装部5aの該左右両端側の最先端部(周縁縫製部13)よりも該カウル覆装部5aの延在方向中間側となる位置、即ち、該対面領域Rの左端(ケース8の左側エンド壁8d)とカウル覆装部5aの左端側の周縁縫製部13との途中位置、及び該対面領域Rの右端(ケース8の右側エンド壁8d)とカウル覆装部5aの右端側の周縁縫製部13との途中位置に、それぞれ円環形縫製部20によって縫い付けられている。
また、各第1テザー30Aの他端側は、ケース8の左右のエンド壁8dに対し、それぞれボルト等の固着具(図示略)により固着されている。
各第2テザー30Bは、一端側が、膨張した各ピラー覆装部5bの上下方向の途中部の車体外面側(下側パネル12)に連結されている。この実施の形態では、各第2テザー30Bの該一端側は、各ピラー覆装部5bの外面を構成する上側パネル11と下側パネル12とを縫い合わせた縫製部(例えば周縁縫製部13や円環形縫製部21等)とは非共通の縫製部(図示略)により、該下側パネル12に縫い付けられている。
なお、各第2テザー30Bの該一端側の下側パネル12への縫着位置は、該下側パネル12のうち各ピラー覆装部5bを構成する部分における最外周よりも内側(各ピラー覆装部5bの延在方向及び幅方向の中間側)に位置している。
各第2テザー30Bの他端側は、前述の通り、ケース8内のテザーアンカ77に連結されている。
この実施の形態では、さらに、各ピラー覆装部5bとカウル覆装部5aとの交叉隅部に、これらを繋ぐ繋ぎ部材40がそれぞれ設けられている。
図示の通り、この実施の形態では、各繋ぎ部材40は三角形シート状のものであり、該三角形の隣り合う2辺がピラー覆装部5bとカウル覆装部5aとにそれぞれ連なっている。なお、この繋ぎ部材40は、エアバッグ5Aの外面を構成する上側パネル11及び/又は下側パネル12と一連一体に設けられてもよく、あるいは該上側パネル11及び下側パネル12とは別体に設けられて、これらに縫い付けられてもよい。この場合、各繋ぎ部材40は、該パネル11,12同士を縫合する周縁縫製部13等により縫い付けられてもよく、これらとは非共通の縫製部によって縫い付けられてもよい。
各繋ぎ部材40の形状はこれに限定されるものではなく、各ピラー覆装部5bとカウル覆装部5aとの間に張り渡された吊紐状のものであってもよく、両端が各ピラー覆装部5bとカウル覆装部5aとにそれぞれ連通したチューブ状ないし小バッグ状などであってもよい。
この歩行者用エアバッグ装置4Aのその他の構成は、前述の第1〜14図の歩行者用エアバッグ装置4と同様であり、第16図において第1〜14図と同一符号は同一部分を示している。また、この歩行者用エアバッグ装置4Aの作動も、第1〜14図の歩行者用エアバッグ装置4と同様である。
この歩行者用エアバッグ装置4Aにあっては、エアバッグ5Aのうち、膨張時にケース8から左右に広がり出すようにして展開するカウル覆装部5aの左右両端側が、それぞれ第1テザー30Aにより該ケース8内のテザーアンカ77に連結されていると共に、該カウル覆装部5aの左右両端側に連なる各ピラー覆装部5bも、それぞれ第2テザー30Bによりテザーアンカ77に連結されている。このため、エアバッグ5Aの膨張時には、該カウル覆装部5aの左右両端側のバタつきだけでなく、各ピラー覆装部5bのバタつきも抑制される。
なお、この実施の形態では、各第2テザー30Bは、各ピラー覆装部5bの外面のうち、該ピラー覆装部5bの最外周よりも内側(該ピラー覆装部5bの延在方向及び幅方向の中間側)となる位置に連結されている。そのため、エアバッグ5Aが膨張展開したときに、各第2テザー30Bの張力により該ピラー覆装部5bの最外周(即ち、膨張した状態における各ピラー覆装部5bの側周面)がエアバッグ下面側に引張られにくく、該ピラー覆装部5bの最外周に、該最外周をエアバッグ下面側に巻き込もうとするモーメントが生じにくい。これにより、各ピラー覆装部5bに反りや中折れ、捩れ等の変形が生じることも抑制される。
しかも、この実施の形態では、各ピラー覆装部5bとカウル覆装部5aとの交叉隅部に、これらを繋ぐ繋ぎ部材40がそれぞれ設けられているので、エアバッグ5Aの膨張時の各ピラー覆装部5bのバタつきが一層抑制される。
なお、上記実施の形態では、各ピラー覆装部5bがそれぞれ1本の第2テザー30Bによってテザーアンカ77に連結されているが、それぞれ2本以上のテザーによってテザーアンカ77に連結されてもよい。
上記実施の形態では、カウル覆装部5aの両端側に加え、各ピラー覆装部5bがテザーによりテザーアンカ77に連結されているが、これ以外の箇所もテザーによりテザーアンカ77に連結されてもよい。
上記実施の形態では、各ピラー覆装部5bをテザーアンカ77に連結する第2テザー30Bが設けられると共に、各ピラー覆装部5bとカウル覆装部5aとの交叉隅部に、これらを繋ぐ繋ぎ部材40が設けられた構成となっているが、本発明においては、これらのうちいずれか一方のみがピラー覆装部に設けられた構成であってもよい。第17図は、ピラー覆装部に該繋ぎ部材のみが設けられた構成の一例を示す、歩行者用エアバッグ装置のエアバッグ膨張時の平面図であり、第18図は、ピラー覆装部に該第2テザーのみが設けられた構成の一例を示す、歩行者用エアバッグ装置のエアバッグ膨張時の平面図である。
詳しくは、第17図の歩行者用エアバッグ装置4Bのエアバッグ5Bは、前述の第12図のエアバッグ5Aから、各ピラー覆装部5bをテザーアンカ77に連結する第2テザー30Bを省略した構成(即ち、各ピラー覆装部5bには、各ピラー覆装部5bとカウル覆装部5aとを繋ぐ繋ぎ部材40のみが設けられた構成)となっている。この実施の形態では、テザーとしては、該カウル覆装部5aの左右両端側をそれぞれテザーアンカ77に連結するテザー30(第12図の実施の形態では第1テザー30Aに相当)のみが設けられている。
これとは逆に、第18図の歩行者用エアバッグ装置4Cのエアバッグ5Cは、前述の第16図のエアバッグ5Aから、各ピラー覆装部5bとカウル覆装部5aとを繋ぐ繋ぎ部材40を省略した構成(即ち、各ピラー覆装部5bには、各ピラー覆装部5bをテザーアンカ77に連結する第2テザー30Bのみが設けられた構成)となっている。
これら第17,18図の実施の形態のその他の構成は、それぞれ第16図の実施の形態と同様であり、第17,18図において第16図と同一符号は同一部分を示している。
これら第17,18図の実施の形態のように、各ピラー覆装部5bに繋ぎ部材40のみ又は第2テザー30Bのみを設けた場合でも、エアバッグ5B,5Cの膨張時における各ピラー覆装部5bのバタつきを抑制することができる。
実施の形態に係る歩行者用エアバッグ装置を備えた自動車の斜視図である。 エアバッグ膨張時の図1の自動車の斜視図である。 第1図のIII−III線断面図である。 膨張したエアバッグの平面図である。 図4のV−V線断面図である。 図4のVI−VI線断面図である。 図4のVII−VII線断面図である。 図4のVIII−VIII線断面図である。 図4のIX−IX線断面図である。 図4のX−X線断面図である。 テザーアンカ付近の構成を示す斜視図である。 インフレータホルダの分解斜視図である。 ホルダアッセングリのケースへの取付状況を示す斜視図である。 図13のXIV−XIV線に沿う断面図である。 別の実施の形態に係る歩行者用エアバッグ装置を備えた自動車のエアバッグ膨張時の斜視図である。 別の実施の形態に係る歩行者用エアバッグ装置のエアバッグ膨張時の平面図である。 別の実施の形態に係る歩行者用エアバッグ装置のエアバッグ膨張時の平面図である。 別の実施の形態に係る歩行者用エアバッグ装置のエアバッグ膨張時の平面図である。
符号の説明
2 カウルルーバ
3 ボンネットフード
4,4A,4B,4C 歩行者用エアバッグ装置
5,5A,5B,5C,5L,5R エアバッグ
8 ケース
9(9L,9R) インフレータ
10 リッド
14,20,21 円環形縫製部
15,16 線状縫製部
17,18 室
19 連通部
30 テザー
30A 第1テザー
30B 第2テザー
40 繋ぎ部材
50 インフレータホルダ
60 ホルダ本体
62 ブリッジ部
63 スタッドボルト
64 開口(通過部)
65,66 突起
70 ホルダプレート
71 プレートベース部
72 プレートサイド部
73 ボルト挿通孔
74 凸部
75,76 ストッパ部
77 テザーアンカ

Claims (11)

  1. 車体外面に沿って膨張展開するエアバッグと、該エアバッグを収容したケースと、該エアバッグを膨張させるためのインフレータとを有した歩行者用エアバッグ装置であって、
    該エアバッグは、膨張時には、該ケースから該ケースの周囲に広がり出すようにして車体外面に沿って展開し、
    該エアバッグのうち、膨張状態において該ケースの周囲に広がり出した部分をケース側に引きつけるためのテザーが設けられている歩行者用エアバッグ装置において、
    該テザーの一端は、該エアバッグのうち、該エアバッグが膨張した状態において、該ケースとの対面領域よりも該ケースからの所定の広がり出し方向の先端側であって、且つ該所定の広がり出し方向の最先端部よりも該所定の広がり出し方向の基端側となる位置に連結されており、
    該テザーの他端は、該ケース内に配置された、該ケースとは別体のテザーアンカに連結されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  2. 請求項1において、前記インフレータがインフレータホルダに保持され、該インフレータホルダが前記ケースに固定されており、
    該インフレータ及びインフレータホルダは該ケース内に配置されており、
    前記テザーアンカは該インフレータホルダに設けられていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  3. 請求項2において、前記インフレータホルダは、インフレータを保持し該インフレータと共にエアバッグ内に配置されたホルダ本体と、エアバッグ外に配置され、該ホルダ本体に沿うホルダプレートとを備えていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  4. 請求項3において、前記ホルダプレートには前記インフレータに向けて突出した凸部が設けられ、前記ホルダ本体には該凸部が通過した通過部が設けられており、
    該凸部の先端がインフレータに押し付けられ、これによってインフレータがホルダ本体に固定されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  5. 請求項3又は4において、前記インフレータは前記エアバッグ内に配置されており、
    該インフレータホルダとホルダプレートとでエアバッグの基布が挟持されており、
    前記インフレータアンカは該ホルダプレートに設けられていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  6. 請求項2ないし5のいずれか1項において、前記テザーアンカは、エアバッグが膨張した状態におけるテザーの前記一端と該インフレータとの間に位置していることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、該エアバッグのうち、少なくとも、該エアバッグが膨張した状態において、該ケースとの対面領域よりも該ケースからの前記所定の広がり出し方向の先端側であって、且つ該所定の広がり出し方向の最先端部よりも該所定の広がり出し方向の基端側となる位置において、該エアバッグの車体外面側及びこれと反対側が縫製部によって結合されており、
    前記テザーの前記一端は、これと共通の該縫製部によって該エアバッグの車体外面側に結合されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  8. 請求項7において、該テザーの該一端は、円環状の該縫製部により該エアバッグの車体外面側に結合されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項において、前記エアバッグは、車体のボンネットフードの後縁に沿って車体幅方向に展開するカウル覆装部と、
    下端が該カウル覆装部に連なっており、車体のAピラーに沿って略上下方向に展開するピラー覆装部と
    を有しており、
    該カウル覆装部と該ピラー覆装部との交叉隅部に、これらを繋ぐ繋ぎ部材が設けられていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項において、前記エアバッグは、車体のボンネットフードの後縁に沿って車体幅方向に展開するカウル覆装部と、
    下端が該カウル覆装部に連なっており、車体のAピラーに沿って略上下方向に展開するピラー覆装部と
    を有しており、
    前記テザーとして、第1テザーと第2テザーとが設けられており、
    該第1テザーの一端は、該カウル覆装部のうち、該カウル覆装部が膨張した状態において、前記ケースとの対面領域よりも該ケースからの所定の広がり出し方向の先端側であって、且つ該所定の広がり出し方向の最先端部よりも該所定の広がり出し方向の基端側となる位置に連結されており、
    該第2テザーの一端は、該ピラー覆装部の上下方向の途中部に連結されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
  11. 請求項10において、該カウル覆装部と該ピラー覆装部との交叉隅部に、これらを繋ぐ繋ぎ部材が設けられていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。
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