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JP2008266221A - アミノ末端1箇所で配向制御固定化された固定化タンパク質 - Google Patents

アミノ末端1箇所で配向制御固定化された固定化タンパク質 Download PDF

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JP2008266221A JP2007112218A JP2007112218A JP2008266221A JP 2008266221 A JP2008266221 A JP 2008266221A JP 2007112218 A JP2007112218 A JP 2007112218A JP 2007112218 A JP2007112218 A JP 2007112218A JP 2008266221 A JP2008266221 A JP 2008266221A
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Masahiro Iwakura
正寛 巖倉
Kiyonori Hirota
潔憲 広田
Hiroyuki Soda
裕行 曽田
Go Sarara
剛 皿良
Takashi Takahashi
尚 高橋
Yukiko Ariga
由樹子 有賀
Tomoori Yamako
知織 山子
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

【課題】本発明は、アミノ末端1箇所で配向制御固定化された固定化タンパク質を提供することを課題とする。
【解決手段】一般式 S1-R1-R2で表されるリジン及びシステイン残基を全く含まないアミノ酸配列[式中、配列は、アミノ末端側からカルボキシ末端側に向かう配列を示し、
S1部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列であり;
R1部分の配列は、固定化対象タンパク質の配列であり、リジン残基及びシステイン残基を含まないことを特徴とする配列であり;
R2部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列であることを特徴とする]を有するタンパク質に唯一存在するα―アミノ基を介してタンパク質のアミノ末端1箇所が固定化担体と結合していることを特徴とする固定化タンパク質。
【選択図】なし

Description

本発明は、タンパク質を構成するアミノ酸として、リジン及びシステイン残基を全く含まないタンパク質固定化に関する。前記のような特徴を有するタンパク質は、固定化タンパク質、更に限定すれば、配向制御した固定化タンパク質の作製や部位特異的なタンパク質の化学修飾体の作製、及びそれらの利用に寄与する。
天然タンパク質は、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンの20種類のアミノ酸残基で構成されている。それぞれのアミノ酸残基の特性は、その側鎖の持つ官能基の特性によって左右される。一般に、タンパク質を不溶性担体などに側鎖の反応性を利用し、固定化などを試みる場合、その反応性を利用することで、化学的に結合することができる。そのような側鎖の官能基として、システインのスルフヒドリル基、リジンのε−アミノ基(NH2)、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸のカルボキシル基などがあげられる。また、そのような官能基の反応性を利用して、蛍光ラベルなどの導入が行われている。
システイン残基側鎖の官能基であるスルフヒドリルは反応性が高く、S-S結合や、アルキル化、アシル化などの反応の対象として各種利用されているアミノ酸残基である。リジン残基側鎖のε−アミノ基(NH2)は一級アミンとしての性質を持ち、アセチル化、アルキル化、スクシニル化、マレイル化などの反応の対象として各種利用されているアミノ酸である。なお、タンパク質のアミノ末端には、α−アミノ基が存在するが、これも一級アミンとしての性質を持つことが知られている。アスパラギン酸残基側鎖もしくはグルタミン酸残基側鎖の官能基は、カルボキシル基であり、タンパク質のカルボキシ末端のカルボキシル基と同様、その反応性の利用が行われているが、上記、スルフヒドリル基もしくはε−アミノ基(NH2)やα−アミノ基と比べるとその利用は少ない。このような、背景の下、タンパク質中の反応性の高い官能基であるスルフヒドリル基もしくはアミノ基の反応性を有効に利用することは、タンパク質の機能を幅広く利用することにつながるものと考えられる。
ところが、天然由来のタンパク質は、一般にアミノ酸残基数が百をはるかに超えるものが多く、特定のアミノ酸残基に着目すると、タンパク質分子あたり複数個存在することになる。このことが、特定のアミノ酸の官能基を利用して、固定化や化学修飾を行う際に、反応を制御することの困難さの大きな原因となっている。特に、タンパク質配列中の特定の部位に注目して、その側鎖の官能基の化学的反応性を利用するための一般的方法を開発することができれば、タンパク質の広範囲な利用の道を開くものと考えられる。
既に、本発明者らは、システイン残基を唯一タンパク質C末端側領域に導入したタンパク質を作製し、唯一存在するシステイン残基の側鎖チオール基をチオシアノ化(シアノシステイン化)することにより、配向制御型主鎖固定化法を開発し(特許2990271公報,特許3047020号公報,特開2003−344396号)、反応の均一化制御の確実性などに優れたタンパク質固定化及び修飾方法を開発し、この方法が広くタンパク質一般に適用可能であることを示してきている。しかしながら、これまで、システイン残基以外の官能基において、官能基の反応性の制御の確実性を保障する方法は知られておらず、このことが、より広範囲なタンパク質の利用の妨げとなっている。
本発明は、システイン残基以外の官能基の反応性制御の確実性を保障するための一般的な方法を提供することを目的とする。この目的実現に向けて鋭意研究を重ね、システイン残基及びリジン残基を全く含まないタンパク質を作製することができれば、官能基としてのタンパク質中に唯一存在するα−アミノ基の反応性の制御を確実なものにすることができることを見出し、このことをいくつかのタンパク質で実証し、アミノ末端1箇所で配向制御固定化された固定化タンパク質に関する本発明を完成させた。なお、リジン残基だけを全く含まないタンパク質を作製した場合も同様な効果が期待されると考えられるが、アミノ基との反応性を有する官能基の多くはシステイン残基のSH基とも反応することが知られており、システイン残基及びリジン残基の両方を全く含まないようにしなければ、α−アミノ基の反応性の制御を確実にすることはできない。
既に、本発明者らは、
一般式 R1-R2-R3-R4-R5で表されるアミノ酸配列
[式中、配列は、アミノ末端側からカルボキシ末端側に向かう配列を示し、
R1部分の配列は、固定化対象タンパク質の配列であり、リジン残基及びシステイン残基を含まないことを特徴とする配列であり;
R2部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列であり;
R3部分の配列はシステイン−X(Xは、リジンもしくはシステイン以外のアミノ酸残基)で表される2残基のアミノ酸で構成される配列であり;
R4部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン残基及びシステイン残基を含まない配列であり、一般式 R1-R2-R3-R4-R5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質全体の等電点を酸性側にし得る酸性アミノ酸残基を含むことを特徴とする配列であり;そしてR5部分の配列はタンパク質を精製するためのアフィニティータグ配列である]
からなるタンパク質であって、R1-R2で表される部分を固定化担体に固定化するために用いるタンパク質を発明し、当該発明により作られるタンパク質が、システイン残基の官能基の反応性の制御を確実なものにできること、更にそのことにより均一性の高い反応生成物、即ち、上記一般式のうちリジン及びシステイン残基を全く含まない部分であるR1-R2が反応によりR3-R4-R5より切り離されて固定化反応に利用されることを明らかにしている(特願2006-276468、特願2007-057791、特願2007-059175、特願2007-059204)。
本発明者らは、さらに、リジン及びシステイン残基を全く含まない部分であるR1-R2について検討を行った。当該配列中には、アミノ基としては、アミノ末端であるα−アミノ基が唯一存在するだけであり、これを官能基として利用することにより、官能基の反応性の制御が確実なものにできる。また、そのような配列の有用性として、タンパク質のアミノ末端を介した配向を制御した固定化タンパク質の製造に利用できることが挙げられる。また、リジン及びシステイン残基を全く含まない部分であるR1-R2の作製においては、上記R1-R2-R3-R4-R5であらわされるタンパク質を原材料として、その中に唯一存在するシステイン残基をシアノ化した後、シアノシステインの反応性を利用したペプチド鎖の切断反応により、R1-R2部分とR3-R4-R5部分に分割することにより生成することができることを見出した。
その結果、本発明者等は新たにS1-R1-R2で表わされるアミノ酸配列
[式中、配列は、アミノ末端側からカルボキシ末端側に向かう配列を示し、
S1部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列であり;
R1部分の配列は、固定化対象タンパク質の配列であり、リジン残基及びシステイン残基を含まないことを特徴とする配列であり;
R2部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列であることを特徴とするタンパク質を配向制御した固定化用タンパク質として開発し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の態様は以下のとおりである。
(1) 一般式 S1-R1-R2で表されるリジン及びシステイン残基を全く含まないアミノ酸配列
[式中、配列は、アミノ末端側からカルボキシ末端側に向かう配列を示し、
S1部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列であり;
R1部分の配列は、固定化対象タンパク質の配列であり、リジン残基及びシステイン残基を含まないことを特徴とする配列であり;
R2部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列である]
からなるタンパク質に唯一存在するα―アミノ基を介してタンパク質のアミノ末端1箇所が固定化担体と結合していることを特徴とする固定化タンパク質。
(2) 一般式 S1-R1-R2のアミノ酸配列において、R1部分の配列が、天然由来のタンパク質のアミノ酸配列がリジン残基及びシステイン残基を全く含まない場合はそのままの配列であり、リジン残基及びシステイン残基を含む場合はそのアミノ酸配列中のすべてのリジン残基及びシステイン残基を、リジン残基及びシステイン残基以外のアミノ酸残基に置換することにより得られる、リジン残基及びシステイン残基を含まないアミノ酸配列に改変されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、前記天然由来のタンパク質と同等の機能を有するタンパク質のアミノ酸配列であることを特徴とする、上記の固定化タンパク質。
(3) 一般式 S1-R1-R2で表されるアミノ酸配列において、R1部分の配列が抗体分子と特異的に相互作用する機能を有することを特徴とする、上記1又は2の固定化タンパク質。
(4) 一般式S1-R1-R2で表されるアミノ酸配列において、
S1 = Ser-Gly-Gly-Gly-Glyもしくは無し
R1 =(Ala-Asp-Asn-Asn-Phe-Asn-Arg-Glu-Gln-Gln-
Asn-Ala-Phe-Tyr-Glu-Ile-Leu-Asn-Met-Pro-
Asn-Leu-Asn-Glu-Glu-Gln-Arg-Asn-Gly-Phe-
Ile-Gln-Ser-Leu-Arg-Asp-Asp-Pro-Ser-Gln-
Ser-Ala-Asn-Leu-Leu-Ser-Glu-Ala-Arg-Arg-
Leu-Asn-Glu-Ser-Gln-Ala-Pro-Gly)n (nは、1から5までの任意の整数)
R2 = Gly-Gly-Gly-Glyもしくは無し
であることを特徴とする、上記の固定化タンパク質。
(5) 一般式S1-R1-R2で表されるアミノ酸配列において
S1 = 無し
R1 =(Ala-Tyr-Arg-Leu-Ile-Leu-Asn-Gly-Arg-Thr-
Leu-Arg-Gly-Glu-Thr-Thr-Thr-Glu-Ala-Val-
Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Glu-Arg-Val-Phe-Arg-
Gln-Tyr-Ala-Asn-Asp-Asn-Gly-Val-Asp-Gly-
Glu-Trp-Thr-Tyr-Asp-Asp-Ala-Thr-Arg-Thr-
Phe-Thr-Val-Thr-Glu-Arg-Pro-Glu-Val-Ile-
Asp-Ala-Ser-Glu-Leu-Thr-Pro-Ala-Val-Thr-Pro-Gly)n
(nは、1から5までの任意の整数)
R2 = Gly-Gly-Gly-Glyもしくは無し
であることを特徴とする、上記の固定化タンパク質。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかの固定化タンパク質が固定化された担体。
本発明のタンパク質を利用することにより、唯一存在するアミノ基であるα−アミノ基を利用して該タンパク質の固定化、蛍光基の導入など該官能基の反応性の制御を確実にすることができる。特に、タンパク質の固定化においては、タンパク質のα−アミノ基を介した一箇所だけで主鎖と固定化することができ、タンパク質の配向を制御した固定化を可能にする。また、本発明は、R1としてリジン残基及びシステイン残基を全く含まない配列を入手できることを前提としているが以下に記述するように現在の知見及び技術を利用するだけでその入手の可能性が担保されており、技術的になんらの制限を受けないことは当業者において自明であり、本発明は汎用的に適用可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のタンパク質とは、一般式S1-R1-R2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質で表現されるタンパク質のことである。該式中、配列は、アミノ末端側からカルボキシ末端側に向かうアミノ酸配列を示し、S1部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列であり、R1部分の配列は、結合機能や触媒機能などの所望の機能を発揮するためのタンパク質の配列であり、リジン残基及びシステイン残基を含まないことを特徴とする配列であり、R2部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列であることを特徴とするタンパク質である。
本発明の場合、R1部分が目的とする機能を担っている。また、本発明のタンパク質をアミノ末端のα−アミノ基を介して固定化を試みる場合において、R1部分の機能を最大限発揮させるためには必要に応じて、S1部分のスペーサー配列が必要となる。また、本発明のタンパク質の発現・精製において、タグ精製を試みる場合、精製に使用されるタグ配列を効率よく切り離す際の配列として、必要に応じてR2部分のスペーサー配列の存在が有効になる。この場合は、R2配列が付加された配列として本発明のタンパク質が利用に供されることになる。さらに、R1部分においては、所望の機能を発現する配列単位が繰り返されることにより、その機能が増強される場合が想定される。R1部分の配列は、天然由来のタンパク質配列を元に設計することができる。天然由来のタンパク質は、通常リジン残基及びシステイン残基を含む20種のアミノ酸残基から構成されている。その場合は、元の天然タンパク質の有する機能を保有したまま、リジン残基及びシステイン残基をリジン及びシステイン以外の18種のアミノ酸のいずれかに、置換する必要がある。
既に、本発明者らは、システイン及びメチオニンを全く含まないタンパク質を作製する方法を確立している(特許再公表01/000797号公報、M.Iwakura et al. J.Biol.Chem. 281, 13234-13246(2006)、特開2005-058059号公報)。これらの方法と同様の方法により、天然由来のタンパク質のアミノ酸配列を基に、アミノ酸配列を転換し、システイン及びリジン残基を含まない18種のアミノ酸より構成されるアミノ酸配列からなるタンパク質であって、天然タンパク質と同等の機能を発揮するタンパク質を作製することができる。この方法の概要は以下のとおりである。
1.天然配列中におけるすべてのシステイン残基部分及びリジン残基部分について、それぞれ、網羅的に1アミノ酸置換を行い、その機能を調べる。
2.各々の残基部分における1アミノ酸置換変異体の機能をよいものから並べ上位3個の変異、ただし、システイン又はリジンに置換した変異は除く、を用い、その組み合わせ変異を行い、その中から上位3個の組み合わせ変異体を選び、他の部位の1アミノ酸置換変異における上位3個の変異、ただし、システイン又はリジンに置換した変異は除く、との組み合わせ変異を行う。
3.この操作を、すべてのシステイン残基部分及びリジン残基部分が他のアミノ酸に置換されるまで繰り返す。
さらに具体的には以下のようにして行なう。
全長m個のアミノ酸よりなる天然のタンパク質においてリジン及びシステイン残基がn個あるとする。その各々のアミノ酸配列上の位置を、Ai(i=1〜n)とする。
得られる変異を、A1/MA1と表す。
その他の部位のAi(i=2〜n)のリジン及びシステイン残基に関して、リジン及びシステイン残基をコードするコドンを前記「リジン及びシステイン以外の他のアミノ酸」(最大18種類)をコードするコドンで置換した変異遺伝子を作成し、これを発現して得られた2重変異体酵素タンパク質の酵素活性を調べる。
2重変異体の活性を調べると、天然のタンパク質と同等又はそれ以上の活性を示す変異体が見いだされる。2重変異のうち活性の高いものから最大3個の2重変異体を選ぶ。
次に、得られた2重変異体のそれぞれのA3のリジン及びシステイン残基をリジン及びシステイン残基以外の他のアミノ酸(最大18種)に置換した3重変異体をそれぞれ作製し(最大、3×18=54種)、その酵素活性を調べる。
3重変異体の活性を調べると、天然のタンパク質と同等又はそれ以上の活性を示す変異体が見出される。
以下同様に、4重、・・、n重変異体を作製する。最後のn重変異体が、目的のリジン及びシステイン残基を含まないタンパク質である。
この操作により、少なくとも元の天然のタンパク質が有する機能と同等の機能を有するタンパク質が得られる。「元の天然のタンパク質が有する機能と同等の機能」とは、配列を改変したタンパク質の活性が元の天然のタンパク質と質的に変わらず、さらに量的にも大きく低下していないことをいう。例えば、元の天然のタンパク質が特定の反応を触媒する酵素ならば、配列を改変したタンパク質も同じ反応を触媒する酵素活性を有しており、あるいは元の天然のタンパク質が特定の抗原に結合する抗体ならば、配列を改変したタンパク質も同じ抗原に結合し得る抗体としての活性を有していることをいう。アミノ酸配列を改変したタンパク質の活性は、元の天然タンパク質の活性の10%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは75%以上、特に好ましくは100%以上であることが好ましい。活性は、例えば酵素の場合は、比活性で表され、また抗体等の他の物質への結合能を有するタンパク質の場合は、結合能で表される。これらの、活性の測定方法は、タンパク質に応じて適宜選択することができる。
既に本発明者らは、抗体分子に対して結合機能を有する別々の天然タンパク質の部分配列を基に、システイン及びリジン残基を全く含まない配列に転換したところ、該転換部分配列は、天然タンパク質由来の前記部分配列が有する機能と同等の機能を有することを明らかにしている(特願2006-276468、特願2007-057791、特願2007-059175、特願2007-059204)。例えば、スタフィロコッカス由来のプロテインAのAドメイン(配列番号1及び2)、ストレプトコッカス由来のプロテインGのG1ドメイン(配列番号3及び4)、Peptostreptococcus由来のプロテインLのBドメイン(配列番号5及び6)について明らかにしている。このことは、特定の機能を有する天然タンパク質のアミノ酸配列を基にシステイン及びリジン残基を含まない18種のアミノ酸より構成されるように改変したアミノ酸配列からなるタンパク質であって、天然に存在するタンパク質が示す機能と同等の機能を有するタンパク質が存在することを示すものであり、本発明があらゆるタンパク質に応用できるという本発明の一般性を示している。また、タンパク質をアミノ酸配列から人工的にデザインし、合成していく手法であるデノボデザイン等により、目的機能を有するタンパク質を作製できることが予測される。デノボデザイン手法をシステイン及びリジン残基を含まない18種のアミノ酸だけを利用するように限定することなどにより、機能性タンパク質を作製し得ることを示している。さらに、天然由来のタンパク質のアミノ酸配列の改変だけでなく、本発明のR2部分として利用し得る特定の機能を有する機能性タンパク質を新たに設計・作製できる可能性をも示唆している。
R1部分のタンパク質の一例として、酵素活性を有するタンパク質や抗体分子に結合能を有するタンパク質が挙げられる。抗体分子に結合能を有するタンパク質としては、Staphylococcus aureus由来のプロテインA(A. Forsgren and J. Sjoquist, J. Immunol. (1966) 97, 822-827.に記載)、Streptococus sp. Group C/G由来のプロテインG (欧州特許出願公開第0131142A2号明細書(1983)に記載)、Peptostreptococcus magnus由来のプロテインL(米国特許第5965390号明細書(1992)に記載)、group A Streptococcus由来のプロテインH(米国特許第5180810号明細書(1993)に記載)、Haemophilus influenzae由来のプロテインD(米国特許第6025484号明細書(1990)に記載)、Streptococcus AP4由来のプロテインArp (Protein Arp 4)(米国特許第5210183号明細書(1987)に記載)、group C Streptococcus 由来のStreptococcal FcRc(米国特許第4900660号明細書(1985)に記載)、group A streptococcus, Type II strain 由来のタンパク質(米国特許第5556944号明細書(1991)に記載)、Human Colonic Mucosal Epithelial Cell由来のタンパク質(米国特許第6271362号明細書(1994)に記載)、Staphylococcus aureu , strain 8325-4由来のタンパク質(米国特許第6548639号明細書(1997)に記載)、Pseudomonas maltophilia由来のタンパク質(米国特許第5245016号明細書(1991)に記載)等が知られている。
このような機能を有する天然由来のタンパク質もしくはその機能を発揮するドメインの配列を元に、該機能を保ったまま全くシステインとリジンを含まない創出することができる。
例えば、以下に示すスタフィロコッカス由来のプロテインAのAドメイン由来の配列 (配列番号6)
Ala-Asp-Asn-Asn-Phe-Asn-Lys-Glu-Gln-Gln-
Asn-Ala-Phe-Tyr-Glu-Ile-Leu-Asn-Met-Pro-
Asn-Leu-Asn-Glu-Glu-Gln-Arg-Asn-Gly-Phe-
Ile-Gln-Ser-Leu-Lys-Asp-Asp-Pro-Ser-Gln-
Ser-Ala-Asn-Leu-Leu-Ser-Glu-Ala-lys-lys-
Leu-Asn-Glu-Ser-Gln-Ala-Pro-Lys
を改変することにより、システイン残基及びリジン残基を含まず、且つ、天然由来の上記の配列からなるタンパク質示す機能である、イムノグロブリンG(IgG)結合活性と同等のIgG結合活性を有するタンパク質配列として、以下の
Ala-Asp-Asn-Asn-Phe-Asn-Arg-Glu-Gln-Gln-
Asn-Ala-Phe-Tyr-Glu-Ile-Leu-Asn-Met-Pro-
Asn-Leu-Asn-Glu-Glu-Gln-Arg-Asn-Gly-Phe-
Ile-Gln-Ser-Leu-Arg-Asp-Asp-Pro-Ser-Gln-
Ser-Ala-Asn-Leu-Leu-Ser-Glu-Ala-Arg-Arg-
Leu-Asn-Glu-Ser-Gln-Ala-Pro-Gly
なる配列(配列番号7)が得られる。また、この配列において、各々のアミノ酸を、システインもしくはリジン以外のほかのアミノ酸に置換した一アミノ酸置換体の多くがIgG結合活性を示す。また、この配列を繰り返し有する配列も同様にIgG結合活性を示す。
次に、以下に示すストレプトコッカス由来のプロテインGのG1ドメイン由来の配列 (配列番号8)、
Thr-Tyr-Lys-Leu-Ile-Leu-Asn-Gly-Lys-Thr-
Leu-Lys-Gly-Glu-Thr-Thr-Thr-Glu-Ala-Val-
Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Glu-Lys-Val-Phe-Lys-
Gln-Tyr-Ala-Asn-Asp-Asn-Gly-Val-Asp-Gly-
Glu-Trp-Thr-Tyr-Asp-Asp-Ala-Thr-Lys-Thr-
Phe-Thr-Val-Thr-Glu-Arg-Pro-Glu-Val-Ile-
Asp-Ala-Ser-Glu-Leu-Thr-Pro-Ala-Val-Thr
を改変することにより、システイン残基及びリジン残基を含まず、且つ、天然由来の上記の配列からなるタンパク質示す機能である、イムノグロブリンG(IgG)結合活性と同等のIgG結合活性を有するタンパク質配列として、以下の
Ala-Tyr-Arg-Leu-Ile-Leu-Asn-Gly-Arg-Thr-
Leu-Arg-Gly-Glu-Thr-Thr-Thr-Glu-Ala-Val-
Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Glu-Arg-Val-Phe-Arg-
Gln-Tyr-Ala-Asn-Asp-Asn-Gly-Val-Asp-Gly-
Glu-Trp-Thr-Tyr-Asp-Asp-Ala-Thr-Arg-Thr-
Phe-Thr-Val-Thr-Glu-Arg-Pro-Glu-Val-Ile-
Asp-Ala-Ser-Glu-Leu-Thr-Pro-Ala-Val-Thr-Pro-Gly
なる配列(配列番号9)が得られる。また、この配列において、各々のアミノ酸を、システインもしくはリジン以外のほかのアミノ酸に置換した一アミノ酸置換体の多くがIgG結合活性を示す。また、この配列を繰り返し有する配列も同様にIgG結合活性を示す。
さらに、以下に示す、Peptostreptococcus由来のプロテインLのB1ドメイン由来の配列 (配列番号10)、
Val-Thr-Ile-Lys-Ala-Asn-Leu-Ile-Tyr-Ala-
Asp-Gly-Lys-Thr-Gln-Thr-Ala-Glu-Phe-Lys-
Gly-Thr-Phe-Glu-Glu-Ala-Thr-Ala-Glu-Ala-
Tyr-Arg-Tyr-Ala-Asp-Leu-Leu-Ala-Lys-Glu-
Asn-Gly-Lys-Tyr-Thr-Val-Asp-Val-Ala-Asp-
Lys-Gly-Tyr-Thr-Leu-Asn-Ile-Lys-Phe-Ala
を改変することにより、システイン残基及びリジン残基を含まず、且つ、天然由来の上記の配列からなるタンパク質示す機能である、イムノグロブリンG(IgG)結合活性と同等のIgG結合活性を有するタンパク質配列として、以下の
Ala-Thr-Ile-Arg-Ala-Asn-Leu-Ile-Tyr-Ala
Asp-Gly-Arg-Thr-Gln-Thr-Ala-Glu-Phe-Arg
Gly-Thr-Phe-Glu-Glu-Ala-Thr-Ala-Glu-Ala
Tyr-Arg-Tyr-Ala-Asp-Leu-Leu-Ala-Arg-Glu
Asn-Gly-Arg-Tyr-Thr-Val-Asp-Val-Ala-Asp
Arg-Gly-Tyr-Thr-Leu-Asn-Ile-Arg-Phe-Ala
Pro-Gly
なる配列(配列番号11)が得られる。また、この配列において、各々のアミノ酸を、システインもしくはリジン以外のほかのアミノ酸に置換した1アミノ酸置換体の多くがIgG結合活性を示す。また、この配列を繰り返し有する配列も同様にIgG結合活性を示す。
上記のR1に示される配列が繰り返される場合、繰り返しの数は限定されないが、例えば2〜10、好ましくは2〜5である。
上記の配列のアミノ末端側もしくはカルボキシ末端側に、適切なスペーサー配列を導入することで、システイン及びリジン残基を全く含まないタンパク質の機能を保ったまま、その利用においての利便性を高めることができる。
例えば、アミノ末端側に、一般式S1で示される適切なスペーサー配列を導入することにより、該タンパク質を固定化に供する場合、固定化基板との間に適切な距離を保ち固定化することで、固定化基板からの影響を最小にすることができると考えられる。S1の配列としては、システイン又はリジン以外のアミノ酸で構成される配列であればどのような配列であっても可能であるが、リンカーとしての役割を考えると、S1が単独で結合活性や触媒活性などの機能を示す場合は、対象外であることは自明である。スペーサーとして最も単純な配列は、グリシンの連鎖である。具体的には、0〜10個、又は2〜5個のグリシンからなるポリグリシン等が挙げられ、例えばGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)がある。なお、そのような効果が顕著に得られない場合は、そのようなスペーサー配列を導入する必要が無いことは自明である。
また、カルボキシ側に、一般式R2で示される適切なスペーサー配列を導入することで、融合タンパク質としてタンパク質の発現生産を試みる際に、導入される精製タグの除去反応を効率よく行わせることに寄与できると考えられる。R2の配列としては、システインもしくはリジン以外のアミノ酸で構成される配列であればどのような配列であっても可能であるが、リンカーとしての役割を考えると、R2が単独で結合活性や触媒活性などの機能を示す場合は、対象外であることは自明である。スペーサーとして最も単純な配列は、グリシンの連鎖である。具体的には、0〜10個、又は2〜5個のグリシンからなるポリグリシン等が挙げられ、例えばGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)がある。なお、そのような効果が顕著に得られない場合は、そのようなスペーサー配列を導入する必要が無いことは自明のである。
本発明の一般式S1-R1-R2の製造は、いわゆる組換えDNA手法を利用して作製できる。また、配列にしたがって化学合成法により合成することも可能である。例えば、組換えDNA手法を用いて作製する場合は、当該配列にしたがって適切にコドンを選択し開始コドン及び終止コドンを付加し、開始コドンの上流に翻訳開始に必要なSD配列及び転写開始に必要なプロモータ配列を機能し得るように連結して導入し、発現単位としての遺伝子を合成し、これを適切なプラスミド等に導入し、宿主細胞に遺伝子導入し発現細胞を作製し、これを培養することにより、宿主細胞において該タンパク質を発現蓄積させた培養を元に、適切な分離精製を行うことにより、均一な標品を得ることができる。このような操作は、当業者であれば特に問題なく行うことができる。
なお、いわゆる組換えDNA手法を利用して作製を行う場合、該タンパク質の分離精製をより効率よく行うためには、タグ配列の利用が推奨される。
タグ配列として、特定の化合物と結合し得る配列、すなわちアフィニティータグ配列が挙げられる。該タグに特異的な抗体を用いて該タグを含むタンパク質の精製を行なう場合、エピトープタグという場合もある。アフィニティータグ配列として例えば、2〜12個、好ましくは4個以上、さらに好ましくは4〜7個、さらに好ましくは5個若しくは6個のヒスチジンからなるポリヒスチジン配列が挙げられる。この場合、ニッケルをリガンドとしたニッケルキレートカラムクロマトグラフィーを利用することにより上記ポリペプチドを精製することができる。また、ポリヒスチジンに対する抗体をリガンドとして固定化したカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーによっても精製することができる。その他、ヒスチジンを含む配列からなるHATタグ、HNタグ等も用いることができる。以下タグとアフィニティークロマトグラフィーに用いるリガンドの例を示すが、これらには限定されず、公知のアフィニティータグ(エピトープタグ)ならばいずれも利用することができる。他のアフィニティータグとして、V5タグ、Xpressタグ、AU1タグ、T7タグ、VSV-Gタグ、DDDDKタグ、Sタグ、CruzTag09、CruzTag22、CruzTag41、Glu-Gluタグ、Ha.11タグ、KT3タグ等がある。
タグ リガンド
グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST) グルタチオン
マルトース結合タンパク質(MBP) アミロース
HQタグ(HQHQHQ;配列番号12) ニッケル
Mycタグ(EQKLISEEDL;配列番号13) 抗Myc抗体
HAタグ(YPYDVPDYA;配列番号14) 抗HA抗体
FLAGタグ(DYKDDDDK;配列番号15) 抗FLAG抗体
精製用のタグ配列を利用する場合は、タグ配列(これをT1と称する)と本発明の一般式S1-R1-R2で示される配列との融合タンパク質としての発現し、分離精製後、タグ配列部分を適切に除去することが行う必要がある。そのためには、タグ配列と本発明の本発明の一般式S1-R1-R2で示される配列との間に特異的切断を可能にする切断用配列(これをC1と称する)を導入することが必要となる。そのためには、融合タンパク質の配列としては、次の2つのタイプに分けられる。
1.一般式 T1-C1-S1-R1-R2 (タイプ1融合タンパク質)
2.一般式 S1-R1-R2-C1-T1 (タイプ2融合タンパク質)
本発明のS1-R1-R2の特性として、システイン及びリジン残基を全く含まないことが上げられるが、このことにより特異的切断に用いられる配列としてそれぞれ共通な配列を利用することができる。
タイプ1の場合は、C1配列としてリジン残基を用いることにより、タイプ1融合タンパク質に唯一存在するリジン残基カルボキシ末端側を、リジルエンドペプチダーゼで処理することにより、T1-C1部分とS1-R1-R2部分に分離することができる。なお、本発明で配列という場合、アミノ酸1つのみからなる配列も含まれる。
タイプ2融合タンパク質の場合は、C1配列をシステイン-X(Xはリジン及びシステイン以外のアミノ酸)で表される2個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を利用することができる。この配列を利用することにより、タイプ2融合タンパク質中に唯一存在することになるシステインをシアノ化しシアノシステインの反応性を利用した切断反応を利用することにより、S1-R1-R2の部分を効率よくさせることができる。
シアノシステインが関与する切断反応は、以下の反応式
NH2-R-CO-NH-CH(CH2-SCN)-CO-X + H2O → NH2-R-COOH + ITC-CO-X
[式中、Rは任意のアミノ酸配列、Xは、OHもしくは任意のアミノ酸もしくはアミノ酸配列、ITCは2-イミノタゾリデン-4-カルボキシル基を表す]
であらわされる反応である。この反応に利用されるシアノ化試薬としては、通常、2-ニトロ-5-チオシアノ安息香酸(2-nitro-t-thiocyanobennzoic acid (NTCB)) (Y.Degani, A.Ptchornik, Biochemistry, 13, 1-11 (1974)に記載)または、1−シアノ-4-ヂメチルアミノピリジニウムテトラフルオロほう酸(1-cyano-4dimethylaminopyridinium tetrafluoroborate(CDAP))などを用いる方法が簡便である。NTCBおよびCDAPは市販のものをそのまま用いることができる。NTCBを用いたシアノ化は、pH7〜9の間で効率よく行うことができ、且つ遊離するチオニトロ安息香酸の412nmの吸光度の増加(分子吸光係数=13,600 M-1cm-1)で反応効率を調べることができる。また、SH基のシアノ化は文献(J.Wood & Catsipoolas, J.Biol.Chem. 233, 2887(1963))の記載の方法に従っても行うことができる。
切断反応後、S1-R1-R2とC1-T1の分離精製は、T1で示されるタグ配列の精製に利用されるアフィニティ担体を利用することで、該アフィニティ担体に結合しないタンパク質として回収することを容易にできる。
本発明の一般式S1-R1-R2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質の利用形態として、固定化担体への配向制御固定化が挙げられる。固定化反応は、該タンパク質中唯一存在するα−アミノ基の1級アミンとしての性質を官能基として利用する。固定化反応を行わせるためには、担体側を活性化し、化学的な反応を行う必要がある。担体側の官能基とその活性化方法としては、以下のような組み合わせがある。
相手官能基:水酸基(OH)−活性化法:臭化シアン法
相手官能基:水酸基(OH)−活性化法:エポキシ法
相手官能基:水酸基(OH)−活性化法:オキシシラン法
相手官能基:カルボキシル基(COOH)−活性化法:カルボジイミド法
相手官能基:アミド基(CONH)−活性化法:グルタールアルデヒド法
相手官能基:アミド基(CONH)−活性化法:ヒドラジン(アシルアザイド)法
これらの組合せで実施できる担体基材としては、シリカやガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンに代表されるプラスチックスやハイドロゲルなど、幅広く利用可能である。本発明で「担体」とは、粒子状の担体、モノリスタイプの担体、板状やシート状の基板等タンパク質を固定化し得る不溶性のものならば、いずれも含まれる。「固定化担体」は、「固定化基板」を含む。また、「固定化担体」を「不溶化担体」ということもある。アミド基を有する市販の担体としては、アミノ−セルロファイン(生化学工業で販売)、AF-アミノトヨパール(TOSOHで販売)、EAH-セファロース4B及びリジン-セファロース4B(アマシャムバイオサイエンスで販売)、ポラス20NH(ベーリンガーマンハイムで販売)、CNBr活性化セファロースFF、NHS活性化セファロースFF、などがある。また、1級アミノ基を有するシラン化合物(例えば、3−アミノプロピルメトキシシランなど)を用いてガラスビーズもしくはガラス平板などにアミド基を導入し、利用することも可能である。
なお、これらの活性化法では強アルカリ性試薬や劇薬を使用するものもあるが、これは固体・半固体側単独で活性化を行う際に使用するもので、活性化が終了した後に穏和な条件でタンパク質が導入されて反応させられるために問題は生じない。このようなタンパク質側に負担がかからない反応を適用できることが、本発明の利点でもある。
本発明のタンパク質の担体への固定化は、タンパク質のアミノ末端1箇所で行うことができ、タンパク質を配向制御して固定化することができる。
本発明は、上記方法で得られた、システイン残基及びリジン残基を含まないアミノ酸配列よりなるタンパク質を必要ならば適当なリンカー配列を介して、固定化担体と結合した固定化タンパク質及び固定化タンパク質が固定化された担体を提供する。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
以下の実施例においては、下記の実験方法が共通的に用いられている。
[遺伝子合成]
遺伝子合成として発現させるタンパク質としては、すべて、上記タイプ2融合タンパク質(一般式 S1-R1-R2-C1-T1で表現される配列を有するタンパク質)で発現するように遺伝子の設計を行った。その際、C1のアミノ酸配列としては、Cys-Ala を、T1のアミノ酸配列としては、Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)を、それぞれ共通配列として用いた。T1としてのタグの性質としてとしては、ヒスタグとしての性質を利用し、ニッケルキレートカラムでアフィニティ精製できるように設計した。
実施例に記載されている遺伝子の合成は、特に記述している場合を除き、合成遺伝子受託製造業者にて合成を行った。示した塩基配列にもとづき、dsDNAを合成しpUC18vectorのBamHI-EcoRI siteへの挿入、取得されたクローンについて片鎖解析による配列を確認、塩基配列情報の照合、ミスマッチが確認された部位についてはSite directed mutagenesis等の手法により変異修正を実施、得られた取得したプラスミドDNA(約1マイクログラム)が納入された。納入されたプラスミド中の目的部分に関しては、再度シーケンシングにより配列確認を行った。
[1アミノ酸置換変異体作製]
アミノ酸置換は、置換部位のアミノ酸をコードするDNA配列を目的のコドン配列に転換して両方に24塩基ずつ元の配列を持つDNAプライマーとその相補DNAプライマーを用いて、クイックチャンジ法(Stratagene社のQuickChang Site-directed Mutagenesis kitに記載されている方法)に従って行った。
[タンパク質の濃度測定]
特に断らない限り、タンパク質濃度は、224nmと233.3nmにおける吸光度を測定することにより求めた(W. E. Groves, et al., Anal. Biochem., 22, 195-210 (1968))。
[融合タンパク質の精製]
組換えプラスミドを形質転換した大腸菌JM109株を、2リッターの培地(20gの塩化ナトリウム、20gの酵母エキス、32gのトリプトン、100mgのアンピシリンナトリウムを含んでいる)で、35℃で一晩培養した。その後、培養液を20分間低速遠心(毎分5,000回転)することにより、湿重量3〜5gの菌体を得た。これを、20mlの10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、フレンチプレス装置により菌体を破砕した後、20分間高速遠心(毎分20,000回転)することにより、上清を分離した。得られた上清にストレプトマイシン硫酸を最終濃度が2%になるように加え20分間撹拌後、20分間高速遠心(毎分20,000回転)することにより、上清を分離した。この後、硫酸アンモニウム処理を行い、得られた上清をニッケルキレートカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社より購入)にアプライし、洗浄用緩衝液(5mMイミダゾール、20mMリン酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、pH7.4)を200ml以上用いて、カラムを十分洗浄し、洗浄後、溶出用緩衝液(0.5Mイミダゾール、20mMリン酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、pH7.4)を20mlアプライすることにより、目的のタンパク質を溶出した。その後、このタンパク質溶液からイミダゾールを除去するため、5リッターの10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析を行った。透析膜にはMWCO3500(Spectrum Laboratories社より購入)を用いた。透析後、遠心真空乾燥機を用いて目的のタンパク質を乾燥させた。
[ヒト抗体IgG分子との結合特性解析]
目的タンパク質の結合特性解析には、表面プラズモン共鳴バイオセンサーであるBiacore(ビアコア社)を用い、ビアコア社の提供するプロトコールに従って解析を行った。ランニング緩衝液は、10mM HEPES(pH7.4)、150mM塩化ナトリウム、5μM EDTA、0.005%Surfactant P20(ビアコア社)の組成のものを用い、あらかじめ脱気したものを用いた。センサーチップとしては、SensorChip NTA(ビアコア社)を用いた。センサーチップをランニング緩衝液にて十分平衡化した後、5mM塩化ニッケル溶液を注入することにより、ニッケルイオンの配位を完成させた。その後、センサーチップを、組み換えタンパク質溶液(ランニング緩衝液中、濃度100μg/mL)を注入することにより、組み換えタンパク質の固定化を行った。
固定化組換えタンパク質とヒトIgGとの結合反応は、ランニング緩衝液を用いて0.25〜20μg/mLの範囲で7種類の濃度になるように希釈・調製したヒトIgG(シグマ−アルドリッチ社)溶液を逐次注入し、引き続きランニング緩衝液に切り替えて送液を保持することにより、抗体の結合・解離現象を定量的に観測した。なお、送液流量は20μL/min、結合観測時間(抗体溶液注入時間)は4分間、解離観測時間は4分間とした。各濃度の抗体溶液を注入し、結合・解離現象を観測した後には、引き続き6M塩酸グアニジン溶液を3分間注入し、固定化されている組換えタンパク質に結合しているヒトIgGをすべて解離させ、ランニング緩衝液で再生し、その後の測定に使用した。
観測された表面プラズモン共鳴によるセンサー表面の質量変化の経時変化は、Biacoreにより定義される単位RUにより測定し、結合速度定数(kass)、解離速度定数(kdis)及び解離定数(Kd=kass/kdis)を求めた。
[融合タンパク質からのタグ部分の除去]
分離精製した融合たんぱく質50mgを5mlの10mMの燐酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、ジチオスレイトール(DTT)を最終濃度が1mMになるように加え、30分間室温で放置することにより、システイン残基の還元反応を行った。反応後、PD−10カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社より購入)を用いてゲル濾過することにより、タンパク質部分だけを回収した。その後、最終濃度が5mMになるように2−ニトロ−5−チオシアノ安息香酸(NTCB)を加え、2時間室温で放置することによりシステイン残基のシアノ化反応を行った。その後、5リッターの100mM硼酸緩衝液(pH9.5)に対して2回、計24時間透析を行うことにより、NTCBを除去するとともに、シアノシステイン残基部位におけるペプチド鎖の切断反応を行った。透析と同時に切断反応を行わせた反応液を、ニッケルキレートカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社より購入)にアプライし、非吸着部分を回収した。回収したタンパク質標品を、10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に対して透析を行った。透析後、遠心真空乾燥機を用いて目的のタンパク質を乾燥させた。質量分析装置(API 150EX)を用いた解析の結果、得られた改変抗体結合タンパク質はタグ配列部分が除去された目的どおりのものであることを確認した。
[組換えタンパク質の固定化]
タグ部分を除去したタンパク質を用いて、約4mg/mlの濃度になるように、0.5M NaClを含む、0.1Mの酢酸緩衝液pH4.5、に溶解しタンパク質溶液を調製した。
タンパク質溶液40μlと市販されているNHS(N-ヒドロキシサクシイミド)活性化セファロース担体(GEヘルスケアバイオサイエンス社より購入)20μlとを混合し、約16時間室温で穏やかに攪拌することにより固定化反応を行った。反応後、溶液部分のタンパク質濃度を測定し、固定化されたタンパク質量を推定した。なお、そのコントロールとして、あらかじめエタノールアミンで処理することにより活性基であるN-ヒドロキシサクシイミドを不活性化した担体を用い全く固定化されていないときの溶液部分のタンパク質濃度とした。固定化反応後、1mlの洗浄用緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、pH4.0)で担体を洗浄した。続いて、1mlの不活性化用緩衝液(0.5Mモノエタノールアミン、0.5M塩化ナトリウム、pH8.3)の中で担体を約1時間穏やかに攪拌することにより担体上の未反応官能基を不活性化した。この後2回、同様の不活性化の操作を行った後、1MKCLを含む10mM燐酸緩衝液(pH7.0)で2回洗浄し、その後10mM燐酸緩衝液(pH7.0)で担体を平衡化した。
[作製した固定化担体のIgG結合能の測定]
作製した固定化担体20μlと1.5mgのヒト由来イムノグロブリンGとを1mlの10mM燐酸緩衝液(pH7.0)の中で混合し、約16時間室温で穏やかに攪拌した。その後、1mlの1MKCLを含む10mM燐酸緩衝液(pH7.0)で5回以上洗浄した。この操作により、最後の洗浄液中にタンパク質成分は検出されなくなった。特異的に固定化担体に結合したIgGの溶出は、1mlの0.5M酢酸を加えることにより行った。0.5M酢酸に遊離されたタンパク質の量を、280nmの吸光度を測定し、その吸光度係数(E280 1%=14.0)から決定し、結合・遊離したIgGタンパク質の量であるとした。
実施例1 リジン及びシステイン残基を含まないタンパク質の融合タンパク質としての発現
以下のDNA配列で示される遺伝子が、それぞれpUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込まれた組換えプラスミドとしては、既に本発明者らが作製しているものを用いた(特願2006-276468、特願2007-057791、特願2007-059175、特願2007-059204)がその概要は以下の通りである。
[1] 組換えプラスミドpPAA-RRRRGは、一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1部分は無し、R1部分としては、スタフィロコッカス由来のプロテインAのAドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列(配列番号2)、R2部分としてはGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できる制限酵素配列を含むDNA配列として、以下の配列(配列番号17)をpUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものである。
GGATCCTTGACAATATCTTAACTATCTGTTATAATATATTGACCAGGTTAACTAACTAAGCAGCAAAAGGAGGAACGACTATGGCTGATAACAATTTCAACCGTGAACAACAAAATGCTTTCTATGAAATCTTGAATATGCCTAACTTAAACGAAGAACAACGCAATGGTTTCATCCAAAGCTTACGTGATGACCCAAGCCAAAGTGCTAACCTATTGTCAGAAGCTCGTCGTTTAAATGAATCTCAAGCACCGGGTGGTGGCGGTGGCTGCGCTGATGACGATGACGATGACCATCATCACCACCATCATTAAGAATTC
配列番号17を発現することにより作製される融合タンパク質(融合タンパク質PA1と称する)のアミノ酸配列は、以下の配列(配列番号18)となる。
Ala-Asp-Asn-Asn-Phe-Asn-Arg-Glu-Gln-Gln-
Asn-Ala-Phe-Tyr-Glu-Ile-Leu-Asn-Met-Pro-
Asn-Leu-Asn-Glu-Glu-Gln-Arg-Asn-Gly-Phe-
Ile-Gln-Ser-Leu-Arg-Asp-Asp-Pro-Ser-Gln-
Ser-Ala-Asn-Leu-Leu-Ser-Glu-Ala-Arg-Arg-
Leu-Asn-Glu-Ser-Gln-Ala-Pro-Gly-Gly-Gly-
Gly-Gly-Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-
His-His-His-His-His-His
[2] 組換えプラスミドpPGは、一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1部分は無し、R1部分としては、ストレプトコッカス由来のプロテインGのG1ドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列、R2部分としてはGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できるDNA配列として、以下の配列(配列番号19)を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものである。
GGATCCTTGACAATATCTTAACTATCTGTTATAATATATTGACCAGGTTAACTAACTAAGCAGCAAAAGGAGGAACGACTATGGCTTACCGTTTAATCCTTAATGGTCGTACATTGCGTGGCGAAACAACTACTGAAGCTGTTTTGCGTGGCGAAACAACTACTGAAGCTGTTCAATACGCTAACGACAACGGTGTTGACGGTGAATGGACTTACGACGATGCGACTCGTACCTTTACGGTAACTGAACGTCCTGAGGTTATTGATGCTTCGGAGCTGACTCCTGCTGTTACTGGTGGCGGTGGCTGCGCTGATGACGATGACGATGACCATCATCACCACCATCATTAAGAATTC
配列番号19を発現することにより作製される融合タンパク質(融合タンパク質PG1と称する)のアミノ酸配列は、以下の配列(配列番号20)となる。
Ala-Tyr-Arg-Leu-Ile-Leu-Asn-Gly-Arg-Thr-
Leu-Arg-Gly-Glu-Thr-Thr-Thr-Glu-Ala-Val-
Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Glu-Arg-Val-Phe-Arg-
Gln-Tyr-Ala-Asn-Asp-Asn-Gly-Val-Asp-Gly-
Glu-Trp-Thr-Tyr-Asp-Asp-Ala-Thr-Arg-Thr-
Phe-Thr-Val-Thr-Glu-Arg-Pro-Glu-Val-Ile-
Asp-Ala-Ser-Glu-Leu-Thr-Pro-Ala-Val-Thr-
Gly-Gly-Gly-Gly-Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-Asp-
Asp-Asp-His-His-His-His-His-His
[3] 組換えプラスミドpPLは、一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1部分は無し、R1部分としては、Peptostreptococcus由来のプロテインLのB1ドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列、R2部分としてはGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できるDNA配列として、以下の配列(配列番号21)を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものである。
GGATCCTTGACAATATCTTAACTATCTGTTATAATATATTGACCAGGTTAACTAACTAAGCAGCAAAAGGAGGAACGACTATGGCTACTATTCGTGCTAATCTGATTTATGCTGATGGTCGTACTCAGACTGCTGAGTTTCGTGGTACTTTTGAGGAGGCTACTGCTGAGGCTTATCGTTATGCTGATCTGCTGGCTCGTGAGAATGGTCGTTATACTGTTGATGTTGCTGATCGTGGTTATACTCTGAATATTCGTTTTGCTGGTGGTGGCGGTGGCTGCGCTGATGACGATGACGATGACCATCATCACCACCATCATTAAGAATTC
配列番号21を発現することにより作製される融合タンパク質(融合タンパク質PL1と称する)のアミノ酸配列は、以下の配列(配列番号22)となる。
Ala-Thr-Ile-Arg-Ala-Asn-Leu-Ile-Tyr-Ala
Asp-Gly-Arg-Thr-Gln-Thr-Ala-Glu-Phe-Arg
Gly-Thr-Phe-Glu-Glu-Ala-Thr-Ala-Glu-Ala
Tyr-Arg-Tyr-Ala-Asp-Leu-Leu-Ala-Arg-Glu
Asn-Gly-Arg-Tyr-Thr-Val-Asp-Val-Ala-Asp
Arg-Gly-Tyr-Thr-Leu-Asn-Ile-Arg-Phe-Ala
Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Cys-Ala-Asp-Asp-Asp
Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His
[4] 組換えプラスミドpAADは、一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1部分としてSer-Gly-Gly-Gly-Gly(配列番号1)、R1部分としてスタフィロコッカス由来のプロテインAのAドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列が2回繰り返している配列、R2部分としてGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できる以下のDNA配列(配列番号23)を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものである。該DNA配列は、プロテインAのAドメイン由来の配列を基にしたシステイン及びリジン残基を含まない配列部分をコードする遺伝子を重複させ、新たに制限酵素切断配列としてCfr9I切断配列(CCCGG)を一箇所含み、全体をBamHIとExoRi切断によりベクターに挿入できるように設計したものである。
GGATCCTTGACAATATCTTAACTATCTGTTATAATATATTGACCAGGTTAACTAACTAAGCAGCAAAAGGAGGAACGACTATGTCGGGCGGTGGTGGTGCTGATAACAATTTCAACCGTGAACAACAAAATGCTTTCTATGAAATCTTGAATATGCCTAACTTAAACGAAGAACAACGCAATGGTTTCATCCAAAGCTTACGTGATGACCCAAGCCAAAGTGCTAACCTATTGTCAGAAGCTCGTCGTTTAAATGAATCTCAAGCCCCGGGTGCTGATAACAATTTCAACCGTGAACAACAAAATGCTTTCTATGAAATCTTGAATATGCCTAACTTAAACGAAGAACAACGCAATGGTTTCATCCAAAGCTTACGTGATGACCCAAGCCAAAGTGCTAACCTATTGTCAGAAGCTCGTCGTTTAAATGAATCTCAAGCACCGGGTGGTGGCGGTGGCTGCGCTGATGACGATGACGATGACCATCATCACCACCATCATTAAGAATTC
配列番号23を発現することにより作製される融合タンパク質(融合タンパク質PA2と称する)のアミノ酸配列は、以下の配列(配列番号24)となる。
Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ala-Asp-Asn-Asn-Phe-
Asn-Arg-Glu-Gln-Gln-Asn-Ala-Phe-Tyr-Glu-
Ile-Leu-Asn-Met-Pro-Asn-Leu-Asn-Glu-Glu-
Gln-Arg-Asn-Gly-Phe-Ile-Gln-Ser-Leu-Arg-
Asp-Asp-Pro-Ser-Gln-Ser-Ala-Asn-Leu-Leu-
Ser-Glu-Ala-Arg-Arg-Leu-Asn-Glu-Ser-Leu-
Asn-Met-Pro-Asn-Leu-Asn-Glu-Glu-Gln-Arg-
Asn-Gly-Phe-Ile-Gln-Ser-Leu-Arg-Asp-Asp-
Pro-Ser-Gln-Ser-Ala-Asn-Leu-Leu-Ser-Glu-
Ala-Arg-Arg-Leu-Asn-Glu-Ser-Gln-Ala-Pro-
Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-
Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His
[5] 組換えプラスミドpAA3Tは、一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1部分としてSer-Gly-Gly-Gly-Gly(配列番号1)、R1部分としてスタフィロコッカス由来のプロテインAのAドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列が3回繰り返している配列、R2部分としてGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できる以下のDNA配列(配列番号25)を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものである。
GGATCCTTGACAATATCTTAACTATCTGTTATAATATATTGACCAGGTTAACTAACTAAGCAGCAAAAGGAGGAACGACTATGTCGGGCGGTGGTGGTGCTGATAACAATTTCAACCGTGAACAACAAAATGCTTTCTATGAAATCTTGAATATGCCTAACTTAAACGAAGAACAACGCAATGGTTTCATCCAAAGCTTACGTGATGACCCAAGCCAAAGTGCTAACCTATTGTCAGAAGCTCGTCGTTTAAATGAATCTCAAGCCCCGGGTGCTGATAACAATTTCAACCGTGAACAACAAAATGCTTTCTATGAAATCTTGAATATGCCTAACTTAAACGAAGAACAACGCAATGGTTTCATCCAAAGCTTACGTGATGACCCAAGCCAAAGTGCTAACCTATTGTCAGAAGCTCGTCGTTTAAATGAATCTCAAGCCCCGGGTGCTGATAACAATTTCAACCGTGAACAACAAAATGCTTTCTATGAAATCTTGAATATGCCTAACTTAAACGAAGAACAACGCAATGGTTTCATCCAAAGCTTACGTGATGACCCAAGCCAAAGTGCTAACCTATTGTCAGAAGCTCGTCGTTTAAATGAATCTCAAGCACCGGGTGGTGGCGGTGGCTGCGCTGATGACGATGACGATGACCATCATCACCACCATCATTAAGAATTC
配列番号25を発現することにより作製される融合タンパク質(融合タンパク質PA3と称する)のアミノ酸配列は、以下の配列(配列番号26)となる。
Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ala-Asp-Asn-Asn-Phe-
Asn-Arg-Glu-Gln-Gln-Asn-Ala-Phe-Tyr-Glu-
Ile-Leu-Asn-Met-Pro-Asn-Leu-Asn-Glu-Glu-
Gln-Arg-Asn-Gly-Phe-Ile-Gln-Ser-Leu-Arg-
Asp-Asp-Pro-Ser-Gln-Ser-Ala-Asn-Leu-Leu-
Ser-Glu-Ala-Arg-Arg-Leu-Asn-Glu-Ser-Gln-
Ala-Pro-Gly-Ala-Asp-Asn-Asn-Phe-Asn-Arg-
Glu-Gln-Gln-Asn-Ala-Phe-Tyr-Glu-Ile-Leu-
Asn-Met-Pro-Asn-Leu-Asn-Glu-Glu-Gln-Arg-
Asn-Gly-Phe-Ile-Gln-Ser-Leu-Arg-Asp-Asp-
Pro-Ser-Gln-Ser-Ala-Asn-Leu-Leu-Ser-Glu-
Ala-Arg-Arg-Leu-Asn-Glu-Ser-Gln-Ala-Pro-
Gly-Ala-Asp-Asn-Asn-Phe-Asn-Arg-Glu-Gln-
Gln-Asn-Ala-Phe-Tyr-Glu-Ile-Leu-Asn-Met-
Pro-Asn-Leu-Asn-Glu-Glu-Gln-Arg-Asn-Gly-
Phe-Ile-Gln-Ser-Leu-Arg-Asp-Asp-Pro-Ser-
Gln-Ser-Ala-Asn-Leu-Leu-Ser-Glu-Ala-Arg-
Arg-Leu-Asn-Glu-Ser-Gln-Ala-Pro-Gly-Gly-
Gly-Gly-Gly-Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-
Asp-His-His-His-His-His-His
[6] 一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1部分としてSer-Gly-Gly-Gly-Gly(配列番号1)、R1部分としてスタフィロコッカス由来のプロテインAのAドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列が4回及び5回以上繰り返している配列、R2としてGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できるDNA配列を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものに関しては、pAA4Q、pAA5Pとして分離した。
[7] 組換えプラスミドpGGDは、一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1=無し、R1部分としてストレプトコッカス由来のプロテインGのG1ドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列が2回繰り返している配列、R2部分としてGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できる以下のDNA配列(配列番号27)を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものである。
GGATCCTTGACAATATCTTAACTATCTGTTATAATATATTGACCAGGTTAACTAACTAAGCAGCAAAAGGAGGAACGACTATGGCTTACCGTTTAATCCTTAATGGTCGTACATTGCGTGGCGAAACAACTACTGAAGCTGTTGATGCTGCTACTGCAGAACGTGTCTTCCGTCAATACGCTAACGACAACGGTGTTGACGGTGAATGGACTTACGACGATGCGACTCGTACCTTTACGGTAACTGAACGTCCTGAGGTTATTGATGCTTCGGAGCTGACTCCTGCTGTTACTCCCGGGGCTTACCGTTTAATCCTTAATGGTCGTACATTGCGTGGCGAAACAACTACTGAAGCTGTTGATGCTGCTACTGCAGAACGTGTCTTCCGTCAATACGCTAACGACAACGGTGTTGACGGTGAATGGACTTACGACGATGCGACTCGTACCTTTACGGTAACTGAACGTCCTGAGGTTATTGATGCTTCGGAGCTGACTCCTGCTGTTACTGGTGGCGGTGGCTGCGCTGATGACGATGACGATGACCATCATCACCACCATCATTAAGAATTC
配列番号27を発現することにより作製される融合タンパク質(融合タンパク質PG2と称する)のアミノ酸配列は、以下の配列(配列番号28)となる。
Ala-Tyr-Arg-Leu-Ile-Leu-Asn-Gly-Arg-Thr-Leu-Arg-Gly-Glu-Thr-Thr-Thr-Glu-Ala-Val-Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Glu-Arg-Val-Phe-Arg-Gln-Tyr-Ala-Asn-Asp-Asn-Gly-Val-Asp-Gly-Glu-Trp-Thr-Tyr-Asp-Asp-Ala-Thr-Arg-Thr-Phe-Thr-Val-Thr-Glu-Arg-Pro-Glu-Val-Ile-Asp-Ala-Ser-Glu-Leu-Thr-Pro-Ala-Val-Thr-Pro-Gly-Ala-Tyr-Arg-Leu-Ile-Leu-Asn-Gly-Arg-Thr-Leu-Arg-Gly-Glu-Thr-Thr-Thr-Glu-Ala-Val-Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Glu-Arg-Val-Phe-Arg-Gln-Tyr-Ala-Asn-Asp-Asn-Gly-Val-Asp-Gly-Glu-Trp-Thr-Tyr-Asp-Asp-Ala-Thr-Arg-Thr-Phe-Thr-Val-Thr-Glu-Arg-Pro-Glu-Val-Ile-Asp-Ala-Ser-Glu-Leu-Thr-Pro-Ala-Val-Thr-Gly-Gly-Gly-Gly-Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His
[8] 組換えプラスミドpGG3Tは、一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1=無し、R1部分としてストレプトコッカス由来のプロテインGのG1ドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列が3回繰り返している配列、R2部分としてGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できる以下のDNA配列(配列番号29)を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものである。
GGATCCTTGACAATATCTTAACTATCTGTTATAATATATTGACCAGGTTAACTAACTAAGCAGCAAAAGGAGGAACGACTATGGCTTACCGTTTAATCCTTAATGGTCGTACATTGCGTGGCGAAACAACTACTGAAGCTGTTGATGCTGCTACTGCAGAACGTGTCTTCCGTCAATACGCTAACGACAACGGTGTTGACGGTGAATGGACTTACGACGATGCGACTCGTACCTTTACGGTAACTGAACGTCCTGAGGTTATTGATGCTTCGGAGCTGACTCCTGCTGTTACTCCCGGGGCTTACCGTTTAATCCTTAATGGTCGTACATTGCGTGGCGAAACAACTACTGAAGCTGTTGATGCTGCTACTGCAGAACGTGTCTTCCGTCAATACGCTAACGACAACGGTGTTGACGGTGAATGGACTTACGACGATGCGACTCGTACCTTTACGGTAACTGAACGTCCTGAGGTTATTGATGCTTCGGAGCTGACTCCTGCTGTTACTCCCGGGGCTTACCGTTTAATCCTTAATGGTCGTACATTGCGTGGCGAAACAACTACTGAAGCTGTTGATGCTGCTACTGCAGAACGTGTCTTCCGTCAATACGCTAACGACAACGGTGTTGACGGTGAATGGACTTACGACGATGCGACTCGTACCTTTACGGTAACTGAACGTCCTGAGGTTATTGATGCTTCGGAGCTGACTCCTGCTGTTACTGGTGGCGGTGGCTGCGCTGATGACGATGACGATGACCATCATCACCACCATCATTAAGAATTC
配列番号29を発現することにより作製される融合タンパク質(融合タンパク質PG3と称する)のアミノ酸配列は、以下の配列(配列番号30)となる。
Ala-Tyr-Arg-Leu-Ile-Leu-Asn-Gly-Arg-Thr-Leu-Arg-Gly-Glu-Thr-Thr-Thr-Glu-Ala-
Val-Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Glu-Arg-Val-Phe-Arg-Gln-Tyr-Ala-Asn-Asp-Asn-Gly-Val-Asp-Gly-Glu-Trp-Thr-Tyr-Asp-Asp-Ala-Thr-Arg-Thr-Phe-Thr-Val-Thr-Glu-Arg-Pro-Glu-Val-Ile-Asp-Ala-Ser-Glu-Leu-Thr-Pro-Ala-Val-Thr-Pro-Gly-Ala-Tyr-Arg-Leu-Ile-Leu-Asn-Gly-Arg-Thr-Leu-Arg-Gly-Glu-Thr-Thr-Thr-Glu-Ala-Val-Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Glu-Arg-Val-Phe-Arg-Gln-Tyr-Ala-Asn-Asp-Asn-Gly-Val-Asp-Gly-Glu-Trp-Thr-Tyr-Asp-Asp-Ala-Thr-Arg-Thr-Phe-Thr-Val-Thr-Glu-Arg-Pro-Glu-Val-Ile-Asp-Ala-Ser-Glu-Leu-Thr-Pro-Ala-Val-Thr-Pro-Gly-Ala-Tyr-Arg-Leu-Ile-Leu-Asn-Gly-Arg-Thr-Leu-Arg-Gly-Glu-Thr-Thr-Thr-Glu-Ala-Val-Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Glu-Arg-Val-Phe-Arg-Gln-Tyr-Ala-Asn-Asp-Asn-Gly-Val-Asp-Gly-Glu-Trp-Thr-Tyr-Asp-Asp-Ala-Thr-Arg-Thr-Phe-Thr-Val-Thr-Glu-Arg-Pro-Glu-Val-Ile-Asp-Ala-Ser-Glu-Leu-Thr-Pro-Ala-Val-Thr-Gly-Gly-Gly-Gly-Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His
[9] 一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1=無し、R1部分としてストレプトコッカス由来のプロテインGのG1ドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列4回及び5回以上繰り返している配列、R2部分としてGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できるDNA配列を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものに関しては、pGG4Q及びpGG5Pとして分離した。
[10] 組換えプラスミドpLLDは、一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1=無し、R1=Peptostreptococcus由来のプロテインLのB1ドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列が2回繰り返している配列、R2部分としてGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できる以下のDNA配列(配列番号31)を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものである。
GGATCCTTGACAATATCTTAACTATCTGTTATAATATATTGACCAGGTTAACTAACTAAGCAGCAAAAGGAGGAACGACTATGGCTACTATTCGTGCTAATCTGATTTATGCTGATGGTCGTACTCAGACTGCTGAGTTTCGTGGTACTTTTGAGGAGGCTACTGCTGAGGCTTATCGTTATGCTGATCTGCTGCCTCGTGAGAATGGTCGTTATACTGTTGATGTTGCTGATCGTGGTTATACTCTGAATATTCGTTTTGCTCCCGGGGCTACTATTCGTGCTAATCTGATTTATGCTGATGGTCGTACTCAGACTGCTGAGTTTCGTGGTACTTTTGAGGAGGCTACTGCTGAGGCTTATCGTTATGCTGATCTGCTGCCTCGTGAGAATGGTCGTTATACTGTTGATGTTGCTGATCGTGGTTATACTCTGAATATTCGTTTTGCTGGTGGTGGCGGTGGCTGCGCTGATGACGATGACGATGACCATCATCACCACCATCATTAAGAATTC
配列番号31を発現することにより作製される融合タンパク質(融合タンパク質PL2と称する)のアミノ酸配列は、以下の配列(配列番号32)となる。
Ala-Thr-Ile-Arg-Ala-Asn-Leu-Ile-Tyr-Ala-Asp-Gly-Arg-Thr-Gln-Thr-Ala-Glu-Phe-
Arg-Gly-Thr-Phe-Glu-Glu-Ala-Thr-Ala-Glu-Ala-Tyr-Arg-Tyr-Ala-Asp-Leu-Leu-Pro-Arg-Glu-Asn-Gly-Arg-Tyr-Thr-Val-Asp-Val-Ala-Asp-Arg-Gly-Tyr-Thr-Leu-Asn-Ile-Arg-Phe-Ala-Pro-Gly-Ala-Thr-Ile-Arg-Ala-Asn-Leu-Ile-Tyr-Ala-Asp-Gly-Arg-Thr-Gln-Thr-Ala-Glu-Phe-Arg-Gly-Thr-Phe-Glu-Glu-Ala-Thr-Ala-Glu-Ala-Tyr-Arg-Tyr-Ala-Asp-Leu-Leu-Pro-Arg-Glu-Asn-Gly-Arg-Tyr-Thr-Val-Asp-Val-Ala-Asp-Arg-Gly-Tyr-Thr-Leu-Asn-Ile-Arg-Phe-Ala-Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His
[11] 組換えプラスミドpLL3Tは、一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1=無し、R1部分としてPeptostreptococcus由来のプロテインLのB1ドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列が3回繰り返している配列、R2部分としてGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できる以下のDNA配列(配列番号33)を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものである。
GGATCCTTGACAATATCTTAACTATCTGTTATAATATATTGACCAGGTTAACTAACTAAGCAGCAAAAGGAGGAACGACTATGGCTACTATTCGTGCTAATCTGATTTATGCTGATGGTCGTACTCAGACTGCTGAGTTTCGTGGTACTTTTGAGGAGGCTACTGCTGAGGCTTATCGTTATGCTGATCTGCTGCCTCGTGAGAATGGTCGTTATACTGTTGATGTTGCTGATCGTGGTTATACTCTGAATATTCGTTTTGCTCCCGGGGCTACTATTCGTGCTAATCTGATTTATGCTGATGGTCGTACTCAGACTGCTGAGTTTCGTGGTACTTTTGAGGAGGCTACTGCTGAGGCTTATCGTTATGCTGATCTGCTGCCTCGTGAGAATGGTCGTTATACTGTTGATGTTGCTGATCGTGGTTATACTCTGAATATTCGTTTTGCTCCCGGGGCTACTATTCGTGCTAATCTGATTTATGCTGATGGTCGTACTCAGACTGCTGAGTTTCGTGGTACTTTTGAGGAGGCTACTGCTGAGGCTTATCGTTATGCTGATCTGCTGCCTCGTGAGAATGGTCGTTATACTGTTGATGTTGCTGATCGTGGTTATACTCTGAATATTCGTTTTGCTGGTGGTGGCGGTGGCTGCGCTGATGACGATGACGATGACCATCATCACCACCATCATTAAGAATTC
配列番号33を発現することにより作製される融合タンパク質(融合タンパク質PL3と称する)のアミノ酸配列は、以下の配列(配列番号34)となる。
Ala-Thr-Ile-Arg-Ala-Asn-Leu-Ile-Tyr-Ala-Asp-Gly-Arg-Thr-Gln-Thr-Ala-Glu-Phe-
Arg-Gly-Thr-Phe-Glu-Glu-Ala-Thr-Ala-Glu-Ala-Tyr-Arg-Tyr-Ala-Asp-Leu-Leu-Pro-Arg-Glu-Asn-Gly-Arg-Tyr-Thr-Val-Asp-Val-Ala-Asp-Arg-Gly-Tyr-Thr-Leu-Asn-Ile-Arg-Phe-Ala-Pro-Gly-Ala-Thr-Ile-Arg-Ala-Asn-Leu-Ile-Tyr-Ala-Asp-Gly-Arg-Thr-Gln-Thr-Ala-Glu-Phe-Arg-Gly-Thr-Phe-Glu-Glu-Ala-Thr-Ala-Glu-Ala-Tyr-Arg-Tyr-Ala-Asp-Leu-Leu-Pro-Arg-Glu-Asn-Gly-Arg-Tyr-Thr-Val-Asp-Val-Ala-Asp-Arg-Gly-Tyr-Thr-Leu-Asn-Ile-Arg-Phe-Ala-Pro-Gly-Ala-Thr-Ile-Arg-Ala-Asn-Leu-Ile-Tyr-Ala-Asp-Gly-Arg-Thr-Gln-Thr-Ala-Glu-Phe-Arg-Gly-Thr-Phe-Glu-Glu-Ala-Thr-Ala-Glu-Ala-Tyr-Arg-Tyr-Ala-Asp-Leu-Leu-Pro-Arg-Glu-Asn-Gly-Arg-Tyr-Thr-Val-Asp-Val-Ala-Asp-Arg-Gly-Tyr-Thr-Leu-Asn-Ile-Arg-Phe-Ala-Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His
[12] 一般式S1-R1-R2で示されるタンパク質配列において、S1=無し、R1部分としてPeptostreptococcus由来のプロテインLのB1ドメイン由来の配列をシステイン及びリジンを含まないようにした配列4回及び5回以上繰り返している配列、R2部分としてGly-Gly-Gly-Gly(配列番号3)、これに、C1部分としてCys-Ala、及びT1部分としてAsp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-His-His-His-His-His-His(配列番号16)なる切断用及びタグ精製用配列をカルボキシ末端側に融合したアミノ酸配列を発現できるDNA配列を、pUC18ベクターのBamHI-EcoRI部位に組み込んだものを作製した。
実施例2 融合タンパク質の大腸菌での発現、分離精製
実施例1に示した組換えプラスミドとして、それぞれ、pPAA-RRRRG、pAAD、pAA3T、pPG、pGGD、pGG3T、pPL、pLLD及びpLL3Tを組み込んだ大腸菌JM109株を培養し、培養菌体を破砕した無細胞抽出液からニッケルキレートカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社より購入)を用いて、分離精製を行った。その操作は、既に上記に記載している方法で行った。各々精製分離して得られたタンパク質は、それぞれ、PA1、PA2、PA3、PG1、PG2、PG3、PL1、PL2及びPL3と称するが、各々の収量(mg/2Lの培養)は表1に示す結果であった。
Figure 2008266221
また精製して得られた各々の融合タンパク質のヒト・ポロクローナルIgGに対する結合特性をビアコアを用いて測定した結果を、表2に示す。
Figure 2008266221
表2の結果に示されるように、機能を発揮する部分としてのR1の部分をシステイン及びリジン残基を全く含まないようにしても、元の機能であるヒト・ポロクローナルIgGに対する結合特性を維持されることが明らかであった。
実施例3 融合タンパク質からのタグ配列部分の除去
分離精製したPA1、PA2、PA3、PG1、PG2及びPL1のそれぞれの融合タンパク質50mgを用いて、シアノシステインの反応を利用したタグ部分の配列を切断除去する反応を行わせ、ニッケルキレートカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社より購入)に結合しないタンパク質を分離した。シアノシステインの反応により切断された生成物以外は、すべてヒスタグを有することから、回収されたタンパク質は、すべて一般式S1-R1-R2であらわされるタンパク質であった。元の融合タンパク質に対応する回収されたタンパク質をそれぞれPAD1、PAD2、PAD3、PGD1、PGD2及びPLD1と名づけた。その回収量を表3に示す。おおむね60%以上の回収率で完全にシステイン及びリジン残基を含まないタンパク質が作製された。
Figure 2008266221
実施例4 アミノ末端のアミノ基を利用したタンパク質の固定化
実施例3で作製した6種類のタンパク質を用いて、各々約4mg/mlの濃度になるように、0.5M NaClを含む、0.1Mの酢酸緩衝液pH4.5、に溶解しタンパク質溶液を調製した。このようにして調製したタンパク質溶液40μlをNHS(N-ヒドロキシサクシイミド)活性化セファロース担体(GEヘルスケアバイオサイエンス社より購入)20μlと混合し、約16時間室温で穏やかに攪拌した後に、溶液部分のタンパク質濃度を測定したところ、溶液中のタンパク質濃度は、どの場合も0.1mg/ml以下であり、この条件では、ほぼ定量的に固定化されていることが示された。このことは、この条件では、約8mg/ml担体でタンパク質が固定化された担体が作られたことを示している。
このうち、PAD1を用いて、加えるタンパク質の濃度を、10mg/ml、20mg/ml、30mg/ml及び40mg/mlと濃度を高めて固定化を行ったところ、表4に示すように、20mg/mlの濃度の以上で飽和する傾向が認められ、用いたNHS(N-ヒドロキシサクシイミド)活性化セファロース担体(GEヘルスケアバイオサイエンス社より購入)の場合、最大40mg/ml程度のPAD1を固定化できることが示された。
Figure 2008266221
実施例5 アミノ末端1箇所で配向制御固定化した固定化担体のヒト・ポロクローナルIgGの結合容量
実施例4に従い、PAD1、PAD2及びPAD3をほぼ最大量固定化した固定化担体を作製した。作製した担体を、それぞれ20μl用いて、ヒト・ポロクローナルIgGの結合容量を測定した。ヒト・ポロクローナルIgGを10mM燐酸緩衝液(pH7.0)の中で混合し、約16時間室温で穏やかに攪拌し、担体に抗体分子を結合させたのち、非特異的に吸着しているタンパク質を1MKCLを含む10mM燐酸緩衝液(pH7.0)で取り除いた後、0.5M酢酸溶液で遊離れてくる抗体タンパク質量を結合量として測定した。
PAD1、PAD2及びPAD3をそれぞれ固定化したときのヒト・ポロクローナルIgGの結合容量は、表5に示すように、高いIgG結合能力を示した。
Figure 2008266221

Claims (6)

  1. 一般式 S1-R1-R2で表されるリジン及びシステイン残基を全く含まないアミノ酸配列[式中、配列は、アミノ末端側からカルボキシ末端側に向かう配列を示し、
    S1部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列であり;
    R1部分の配列は、固定化対象タンパク質の配列であり、リジン残基及びシステイン残基を含まないことを特徴とする配列であり;
    R2部分の配列は存在しなくてもよく、存在する場合はリジン及びシステイン残基以外のアミノ酸残基により構成されるスペーサー配列である]
    からなるタンパク質に唯一存在するα―アミノ基を介してタンパク質のアミノ末端1箇所が固定化担体と結合していることを特徴とする固定化タンパク質。
  2. 一般式 S1-R1-R2のアミノ酸配列において、R1部分の配列が、天然由来のタンパク質のアミノ酸配列がリジン残基及びシステイン残基を全く含まない場合はそのままの配列であり、リジン残基及びシステイン残基を含む場合はそのアミノ酸配列中のすべてのリジン残基及びシステイン残基を、リジン残基及びシステイン残基以外のアミノ酸残基に置換することにより得られる、リジン残基及びシステイン残基を含まないアミノ酸配列に改変されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、前記天然由来のタンパク質と同等の機能を有するタンパク質のアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載の固定化タンパク質。
  3. 一般式 S1-R1-R2で表されるアミノ酸配列において、R1部分の配列が抗体分子と特異的に相互作用する機能を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の固定化タンパク質。
  4. 一般式S1-R1-R2で表されるアミノ酸配列において、
    S1 = Ser-Gly-Gly-Gly-Glyもしくは無し
    R1 =(Ala-Asp-Asn-Asn-Phe-Asn-Arg-Glu-Gln-Gln-
    Asn-Ala-Phe-Tyr-Glu-Ile-Leu-Asn-Met-Pro-
    Asn-Leu-Asn-Glu-Glu-Gln-Arg-Asn-Gly-Phe-
    Ile-Gln-Ser-Leu-Arg-Asp-Asp-Pro-Ser-Gln-
    Ser-Ala-Asn-Leu-Leu-Ser-Glu-Ala-Arg-Arg-
    Leu-Asn-Glu-Ser-Gln-Ala-Pro-Gly)n (nは、1から5までの任意の整数)
    R2 = Gly-Gly-Gly-Gly もしくは無し
    であることを特徴とする、請求項3に記載の固定化タンパク質。
  5. 一般式S1-R1-R2で表されるアミノ酸配列において
    S1 = 無し
    R1 =(Ala-Tyr-Arg-Leu-Ile-Leu-Asn-Gly-Arg-Thr-
    Leu-Arg-Gly-Glu-Thr-Thr-Thr-Glu-Ala-Val-
    Asp-Ala-Ala-Thr-Ala-Glu-Arg-Val-Phe-Arg-
    Gln-Tyr-Ala-Asn-Asp-Asn-Gly-Val-Asp-Gly-
    Glu-Trp-Thr-Tyr-Asp-Asp-Ala-Thr-Arg-Thr-
    Phe-Thr-Val-Thr-Glu-Arg-Pro-Glu-Val-Ile-
    Asp-Ala-Ser-Glu-Leu-Thr-Pro-Ala-Val-Thr-Pro-Gly)n
    (nは、1から5までの任意の整数)
    R2 = Gly-Gly-Gly-Glyもしくは無し
    であることを特徴とする、請求項3に記載の固定化タンパク質。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の固定化タンパク質が固定化された担体。
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