JP2008115975A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速制御中に変速歯車機構の入力軸回転速度の低下が発生する条件下でも、摩擦係合要素が十分な係合力を発生した状態でイナーシャ相制御を開始できるようにする。
【解決手段】変速制御中にエンジン制御パラメータ(エンジントルク又はスロットル開度等)に基づいてエンジンの駆動状態/非駆動状態を判定し、エンジン駆動状態の判定が非駆動状態に切り換わった時点t2 で、イナーシャ相判定許可フラグがOFFにセットされてイナーシャ相判定が禁止される。そして、変速制御開始後の経過時間をカウントするタイマのカウント値が所定時間に達した時点t3 で、イナーシャ相判定許可フラグがONにセットされてイナーシャ相判定が許可される。この後は、入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低いか否かで、イナーシャ相であるか否かを判定する。
【選択図】図8
【解決手段】変速制御中にエンジン制御パラメータ(エンジントルク又はスロットル開度等)に基づいてエンジンの駆動状態/非駆動状態を判定し、エンジン駆動状態の判定が非駆動状態に切り換わった時点t2 で、イナーシャ相判定許可フラグがOFFにセットされてイナーシャ相判定が禁止される。そして、変速制御開始後の経過時間をカウントするタイマのカウント値が所定時間に達した時点t3 で、イナーシャ相判定許可フラグがONにセットされてイナーシャ相判定が許可される。この後は、入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低いか否かで、イナーシャ相であるか否かを判定する。
【選択図】図8
Description
本発明は、自動変速機の変速歯車機構の摩擦係合要素の係合動作に伴って該変速歯車機構の入力軸回転速度が変化するイナーシャ相を判定する機能を備えた自動変速機の制御装置に関する発明である。
自動車用の自動変速機は、エンジンの駆動力をトルクコンバータを介して変速歯車機構の入力軸に伝達し、この変速歯車機構で変速して出力軸に伝達し、駆動輪を回転駆動するようにしている。一般に、変速歯車機構は、入力軸と出力軸との間に複数の歯車を配列して、入力軸と出力軸との間に変速比の異なる複数の動力伝達経路を構成し、各動力伝達経路中にクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素を設けて、変速段切り換え要求に応じて各摩擦係合要素に作用させる油圧を個別に制御することで、各摩擦係合要素の係合と解放を選択的に切り換えて、入出力軸間の動力伝達経路を切り換えて変速比を切り換えるようにしている。
このような自動変速機の変速制御では、変速制御の初期に係合側の摩擦係合要素が係合力を発生する直前の状態になるまで係合側の摩擦係合要素に急速に作動油を充填する急速充填相の制御を行った後、この急速充填相の制御によって上昇した油圧(待機油圧)を維持する充填相の制御を行い、その後、各摩擦係合要素のトルク分担が変化する段階であるトルク相の制御を経て、変速歯車機構の入出力軸間の回転速度の比(つまり変速比)が変化する段階であるイナーシャ相の制御に移行する(図4参照)。この際、トルク相の制御では、油圧をフィードフォワード的に上昇させるスイープ制御を実行し、その後のイナーシャ相の制御では、変速歯車機構の入力軸回転速度に基づいて油圧をフィードバック制御する。
このイナーシャ相では、変速歯車機構内の回転系の慣性力の変化によるトルク(イナーシャトルク)が発生し、このイナーシャトルクによる出力軸トルク変化によって変速ショックが発生することがある。このイナーシャ相で発生する変速ショックは入力軸回転速度の変化率に依存することが分かっているため、イナーシャ相では、入力軸回転速度の変化率が目標値に追従するように(又は入力軸回転速度が目標入力軸回転速度に追従するように)、油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を行うことで、イナーシャ相における変速ショックを低減するようにしている。
従来のイナーシャ相の開始点の判定方法は、特許文献1(特開平11−118032号公報)に記載されているように、車両の加速分を考慮するために、変速歯車機構の入力軸回転速度Nt、出力軸回転速度No、変速前のギア比grを用いて、下記の(1)式により変速進行度合評価値Fを算出し、F≧0の場合に、イナーシャ相の開始と判定するようにしている。
No×gr−Nt=F ……(1)
実際には、入力軸回転速度Ntや出力軸回転速度Noを検出する回転センサ信号のふらつきやノイズの影響を考慮するために、F≧Δn(△nは0よりも大きい判定しきい値)の場合、即ち、下記の(2)式が成立した場合に、イナーシャ相の開始と判定するようにしている。
No・gr−Nt≧△n ……(2)
しかし、イナーシャ相が開始する前であっても、上記(2)式が成立することがある。この原因は、入力軸回転速度Ntが低下する現象が発生するためである。
実際には、入力軸回転速度Ntや出力軸回転速度Noを検出する回転センサ信号のふらつきやノイズの影響を考慮するために、F≧Δn(△nは0よりも大きい判定しきい値)の場合、即ち、下記の(2)式が成立した場合に、イナーシャ相の開始と判定するようにしている。
No・gr−Nt≧△n ……(2)
しかし、イナーシャ相が開始する前であっても、上記(2)式が成立することがある。この原因は、入力軸回転速度Ntが低下する現象が発生するためである。
この現象は、ワンウェイクラッチを持つ変速段からの変速で、踏み込んでいたアクセルを戻して変速線を過ぎた時の変速(特にパワーオフアップシフト)或はアクセル全閉状態でのマニュアルアップ操作で発生する。このとき、エンジンブレーキ効果により、入力軸回転速度Ntが低下する。
このように入力軸回転速度Ntの低下が発生する条件下で、前記(2)式によってイナーシャ相の開始点を判定すると、充填相が終了する前であっても、イナーシャ相の開始であると誤判定してしまう結果となる。このイナーシャ相の開始点の誤判定により、変速クラッチの状態がまだ充填相中であるにも拘らず、イナーシャ相制御(フィードバック制御)を開始してしまうことになり、油圧が不足して入力軸回転速度Ntの動きを適切に調整できず、変速が遅れたり、或は、反対に摩擦係合要素が係合力を発生する瞬間の油圧指令値が高くなって実油圧のオーバーシュートが発生し、変速ショック等の不具合が発生する可能性がある。
この対策として、イナーシャ相の開始点を検出するための前記式(2)の判定しきい値Δnを十分に大きい値とすることが考えられるが、この方法では、イナーシャ相開始の検出が遅れてしまい、変速ショックを十分に低減できないという問題がある。
この問題を解決するために、特許文献1の技術では、最初にイナーシャ相の開始を検出した時点で、直ちにイナーシャ相制御を開始し、このイナーシャ相制御の開始から所定時間経過後に、イナーシャ相が進行しているか否かを判定し、イナーシャ相が進行していなければ、イナーシャ相制御を中止するようにしている。
特開平11−118032号公報
しかし、上記特許文献1の技術では、最初にイナーシャ相の開始を検出した時点で、直ちにイナーシャ相制御を開始するため、入力軸回転速度Ntの低下現象によってトルク相中に誤ってイナーシャ相制御が開始されてしまう可能性がある。上述したように、トルク相の油圧制御(スイープ制御)では、油圧をフィードフォワード的に上昇させる制御が行われるため、このトルク相中に誤ってイナーシャ相制御(フィードバック制御)が開始されてしまうと、必要な油圧に上昇しないうちにイナーシャ相制御(フィードバック制御)が開始されてしまい、油圧が不足して入力軸回転速度Ntの動きを適切に調整できず、変速が遅れる等の不具合が発生する。
この対策として、本発明者は、イナーシャ相開始の誤判定を防止する技術を研究している(特願2006−038103の明細書参照)。本発明者の研究結果によれば、入力軸回転速度Ntの低下現象によるイナーシャ相の誤判定は、パワーオフアップシフト時(エンジンが非駆動状態のアップシフト時)に発生しやすいため、パワーオフアップシフト時に、エンジン回転速度が変速歯車機構の入力トルクに応じてマップにより設定したエンジン駆動状態判定用エンジン回転速度以下となった場合に、イナーシャ相と判定するようにしている。
しかし、エンジン駆動状態判定用エンジン回転速度を精度良く設定するマップを作成するには、その適合作業に数多くの手間と時間がかかり、コストアップの要因になるばかりでなく、マップの精度を上げるのが難しいため、イナーシャ相開始の誤判定を十分に防止しきれない。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、変速制御中に変速歯車機構の入力軸回転速度の低下が発生する条件下でも、充填相の油圧制御により、摩擦係合要素が十分な係合力を発生した状態でイナーシャ相制御を開始することができる自動変速機の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、エンジンの駆動力を変速歯車機構で変速して車輪側に伝達する自動変速機の制御装置において、変速歯車機構の摩擦係合要素の係合動作に伴って該変速歯車機構の入力軸回転速度が変化するイナーシャ相を判定するイナーシャ相判定手段と、このイナーシャ相判定手段の判定結果に基づいて前記イナーシャ相にて前記摩擦係合要素に作用させる油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を行うイナーシャ相制御手段と、前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定するエンジン駆動状態判定手段と、このエンジン駆動状態判定手段により前記エンジンが非駆動状態と判定されたときに前記イナーシャ相判定手段によるイナーシャ相の判定を所定の判定禁止期間が経過するまで禁止する誤判定防止手段とを備えた構成としたものである。
要するに、入力軸回転速度の低下によるイナーシャ相の誤判定は、パワーオフアップシフト時(エンジンが非駆動状態のアップシフト時)に発生しやすいため、本発明では、エンジンが非駆動状態の場合に、イナーシャ相の判定を所定の判定禁止期間が経過するまで禁止するようにしたものである。この判定禁止期間を、摩擦係合要素が十分な係合力を発生するのに必要な時間に設定することで、イナーシャ相の誤判定を未然に防止することができ、変速制御中に変速歯車機構の入力軸回転速度の低下が発生する条件下でも、充填相の油圧制御により、摩擦係合要素が十分な係合力を発生した状態でイナーシャ相制御を開始することができる。
この場合、請求項2のように、エンジンの駆動力又はそれに相関する情報(以下これらを「駆動力情報」と総称する)を検出する駆動力情報検出手段を備え、この駆動力情報検出手段で検出した駆動力情報を判定しきい値と比較してエンジンの駆動状態/非駆動状態を判定するようにしても良い。この判定しきい値を、エンジン駆動状態が確実に非駆動状態となるエンジン駆動力に設定すれば、非駆動状態を誤判定することを防止できる。
また、請求項3のように、前記判定禁止期間をエンジン回転速度に応じて可変設定するようにしても良い。摩擦係合要素が十分な係合力を発生するのに必要な時間はエンジン回転速度によって変化するため、エンジン回転速度に応じて判定禁止期間を可変設定すれば、判定禁止期間を予め決められた一定時間に設定する場合よりも、エンジン回転速度によっては判定禁止期間を短く設定することができ、その分、イナーシャ相判定を早期に開始することができる。
また、請求項4のように、判定禁止期間を、変速制御開始後に係合側の摩擦係合要素に急速に作動油を充填する急速充填相制御の終了時からの経過時間又は急速充填相制御によって上昇した油圧を維持する充填相制御の終了時からの経過時間で設定するようにしても良い。このようにすれば、急速充填時間の影響を受けずに判定禁止期間を設定することが可能となる。また、充填相が設定時間実行されれば、摩擦係合要素は係合力を発生していると考えられるため、その時点から所定時間(0秒でも良い)を判定禁止期間に設定すれば、摩擦係合要素が十分な係合力を発生しないうちに誤ってイナーシャ相に移行することを確実に防止できる。
また、請求項5のように、エンジンの駆動状態/非駆動状態の判定に用いる判定しきい値をエンジン回転速度又は変速歯車機構の入力軸回転速度に応じて可変設定するようにしても良い。同じエンジン駆動力であっても、入力軸回転速度の低下が発生するかどうかはエンジン回転速度等によって異なるため、エンジン回転速度に応じて判定しきい値を可変設定すれば、エンジンの駆動状態/非駆動状態の判定の精度を高めることができる。また、エンジン回転速度の代わりに、変速歯車機構の入力軸回転速度(又は出力軸回転速度×ギヤ比)を用いても、同様の効果が得られる。
また、同じエンジン駆動力であっても、変速歯車機構の入力軸回転速度の低下が発生するかどうかは変速歯車機構の出力軸回転速度、変速前の変速段、変速種によっても異なるため、請求項6のように、判定しきい値を変速歯車機構の出力軸回転速度及び変速前の変速段に応じて可変設定したり、或は、請求項7のように、判定しきい値を変速歯車機構の出力軸回転速度及び変速種に応じて可変設定するようにしても良い。いずれの場合も、エンジンの駆動状態/非駆動状態の判定の精度を更に高めることができる。
また、請求項8のように、駆動力情報としてスロットル開度又はアクセル開度を検出するようにしても良い。これにより、エンジン駆動力信号が無い場合でも、イナーシャ相判定を誤らずに実施できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した7つの実施例1〜7を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図8に基づいて説明する。
まず、図1及び図2に基づいて自動変速機11の概略構成を説明する。
図2に示すように、エンジン(図示せず)の出力軸には、トルクコンバータ12の入力軸13が連結され、このトルクコンバータ12の出力軸14に、油圧駆動式の変速歯車機構15が連結されている。トルクコンバータ12の内部には、流体継手を構成するポンプインペラ31とタービンランナ32が対向して設けられ、ポンプインペラ31とタービンランナ32との間には、オイルの流れを整流するステータ33が設けられている。ポンプインペラ31は、トルクコンバータ12の入力軸13に連結され、タービンランナ32は、トルクコンバータ12の出力軸14に連結されている。
まず、図1及び図2に基づいて自動変速機11の概略構成を説明する。
図2に示すように、エンジン(図示せず)の出力軸には、トルクコンバータ12の入力軸13が連結され、このトルクコンバータ12の出力軸14に、油圧駆動式の変速歯車機構15が連結されている。トルクコンバータ12の内部には、流体継手を構成するポンプインペラ31とタービンランナ32が対向して設けられ、ポンプインペラ31とタービンランナ32との間には、オイルの流れを整流するステータ33が設けられている。ポンプインペラ31は、トルクコンバータ12の入力軸13に連結され、タービンランナ32は、トルクコンバータ12の出力軸14に連結されている。
また、トルクコンバータ12には、入力軸13側と出力軸14側との間を係合又は切り離しするためのロックアップクラッチ16が設けられている。エンジンの出力トルクは、トルクコンバータ12を介して変速歯車機構15に伝達され、変速歯車機構15の複数のギヤ(遊星歯車等)で変速されて、車両の駆動輪(前輪又は後輪)に伝達される。
変速歯車機構15には、複数の変速段を切り換えるための摩擦係合要素である複数のクラッチC0,C1,C2とブレーキB0,B1が設けられ、図3に示すように、これら各クラッチC0,C1,C2と各ブレーキB0,B1の係合/解放を油圧で切り換えて、動力を伝達するギヤの組み合わせを切り換えることによって変速比を切り換えるようになっている。
尚、図3は4速自動変速機のクラッチC0,C1,C2とブレーキB0,B1の係合の組合せを示すもので、○印はその変速段で係合状態(トルク伝達状態)に保持されるクラッチとブレーキを示し、無印は解放状態を示している。例えば、3速から2速にダウンシフトする場合は、3速で係合状態に保持されていた2つのクラッチC0,C2のうちの片方のクラッチC2を解放し、その代わりに、ブレーキB1を係合することで、2速にダウンシフトする。また、3速から4速にアップシフトする場合は、3速で係合状態に保持されていた2つのクラッチC0,C2のうちの片方のクラッチC0を解放し、その代わりに、ブレーキB1を係合することで、4速にアップシフトする。
図1に示すように、変速歯車機構15には、エンジン動力で駆動される油圧ポンプ18が設けられ、作動油(オイル)を貯溜するオイルパン(図示せず)内には、油圧制御回路17が設けられている。この油圧制御回路17は、ライン圧制御回路19、自動変速制御回路20、ロックアップ制御回路21、手動切換弁26等から構成され、オイルパンから油圧ポンプ18で汲み上げられた作動油がライン圧制御回路19を介して自動変速制御回路20とロックアップ制御回路21に供給される。ライン圧制御回路19には、油圧ポンプ18からの油圧を所定のライン圧に制御するライン圧制御用の油圧制御弁(図示せず)が設けられ、自動変速制御回路20には、変速歯車機構15の各クラッチC0,C1,C2と各ブレーキB0,B1に供給する油圧を制御する複数の変速用の油圧制御弁(図示せず)が設けられている。また、ロックアップ制御回路21には、ロックアップクラッチ16に供給する油圧を制御するロックアップ制御用の油圧制御弁(図示せず)が設けられている。
また、ライン圧制御回路19と自動変速制御回路20との間には、シフトレバー25の操作に連動して切り換えられる手動切換弁26が設けられている。シフトレバー25がニュートラルレンジ(Nレンジ)又はパーキングレンジ(Pレンジ)に操作されているときには、自動変速制御回路20の油圧制御弁への通電が停止(OFF)された状態になっていても、手動切換弁26によって変速歯車機構15に供給する油圧が変速歯車機構15をニュートラル状態とするように切り換えられる。
一方、エンジンには、エンジン回転速度を検出するエンジン回転速度センサ27が設けられ、変速歯車機構15には、変速歯車機構15の入力軸回転速度Nt(トルクコンバータ12の出力軸回転速度)を検出する入力軸回転速度センサ28と、変速歯車機構15の出力軸回転速度Noを検出する出力軸回転速度センサ29が設けられている。
これら各種センサの出力信号は、自動変速機電子制御回路(以下「AT−ECU」と表記する)30に入力される。このAT−ECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された変速制御用の各ルーチンを実行することで、予め設定した変速パターンに従って変速歯車機構15の変速が行われるように、シフトレバー25の操作位置や運転条件(スロットル開度、車速等)に応じて発生する変速要求(変速段切り換え要求)に応じて自動変速制御回路20の各油圧制御弁への通電を制御して、変速歯車機構15の各クラッチC0,C1,C2と各ブレーキB0,B1に作用させる油圧を制御することによって、図3に示すように、各クラッチC0,C1,C2と各ブレーキB0,B1の係合/解放を切り換えて、動力を伝達するギヤの組み合わせを切り換えることで、変速歯車機構15の変速比を切り換える。以下の説明では、クラッチC0,C1,C2とブレーキB0,B1を総称して「摩擦係合要素」と表記する。
AT−ECU30は、変速歯車機構15の変速段を切り換える変速制御において、解放状態から係合状態に切り換える摩擦係合要素に作動油を充填する充填制御を行い、係合状態から解放状態に切り換える摩擦係合要素から作動油を排出する排出制御を行う。
この変速制御では、図4に示すように、変速制御の初期に係合側の摩擦係合要素が係合力を発生する直前の状態になるまで係合側の摩擦係合要素に急速に作動油を充填する急速充填相の制御を行った後、この急速充填相の制御によって上昇した油圧(待機油圧)を維持する充填相の制御を行い、その後、各摩擦係合要素のトルク分担が変化する段階であるトルク相を経て、変速歯車機構15の入出力軸間の回転速度の比(つまり変速比)が変化する段階であるイナーシャ相に移行する。この際、トルク相の制御では、油圧をフィードフォワード的に上昇させるスイープ制御を実行し、その後のイナーシャ相の制御では、変速歯車機構15の入力軸回転速度Ntに基づいて油圧をフィードバック制御する。
このイナーシャ相では、変速歯車機構15内の回転系の慣性力の変化によるトルク(イナーシャトルク)が発生し、このイナーシャトルクによる変速歯車機構15の出力軸トルク変化によって変速ショックが発生するおそれがある。このイナーシャ相で発生する変速ショックは入力軸回転速度Ntの変化率に依存することが分かっているため、イナーシャ相では、入力軸回転速度Ntの変化率が目標値に追従するように(又は入力軸回転速度Ntが目標入力軸回転速度に追従するように)、油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を行うことで、イナーシャ相における変速ショックを低減するようにしている。このAT−ECU30のイナーシャ相制御を行う機能が特許請求の範囲でいうイナーシャ相制御手段に相当する。
前述したように、変速制御中に、入力軸回転速度Ntの低下が発生する条件下で、イナーシャ相の開始点を判定すると、実際にイナーシャ相が開始する前であっても、イナーシャ相の開始であると誤判定する可能性がある。このイナーシャ相の開始点の誤判定により、変速クラッチの状態がまだ充填相中であるにも拘らず、イナーシャ相制御(フィードバック制御)を開始してしまうことになり、油圧が不足して入力軸回転速度Ntの動きを適切に調整できず、変速が遅れたり、或は、反対に摩擦係合要素が係合力を発生する瞬間の油圧指令値が高くなって実油圧のオーバーシュートが発生し、変速ショック等の不具合が発生する可能性がある。
この対策として、AT−ECU30は、後述する図5の変速制御ルーチンを実行することで、変速制御中にエンジンの駆動状態(パワーオン)/非駆動状態(パワーオフ)を判定し、非駆動状態と判定したときに、イナーシャ相の判定を変速制御開始から所定時間(判定禁止期間)が経過するまで禁止する。要するに、入力軸回転速度Ntの低下によるイナーシャ相の誤判定は、パワーオフアップシフト時(エンジンが非駆動状態のアップシフト時)に発生しやすいため、本実施例1では、エンジンが非駆動状態のときに、イナーシャ相の判定を所定の判定禁止期間(所定時間)が経過するまで禁止するようにしたものである。この判定禁止期間を、摩擦係合要素が十分な係合力を発生するのに必要な時間に設定することで、イナーシャ相の誤判定を未然に防止することができる。
以下、AT−ECU30が実行する図5及び図6の各ルーチンの処理内容を説明する。 図5の変速制御ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、変速制御中(要求変速段が切り換えられてから変速が完了するまでの期間)であるか否かを判定し、変速制御中でなければ、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ101で、変速制御中であると判定されれば、ステップ102に進み、変速制御開始後の1回目の演算周期(本ルーチン起動時)であるか否かを判定し、変速制御開始後の1回目の演算周期であれば、ステップ103に進み、タイマを0にリセットし、変速制御開始後の1回目の演算周期でなければ、ステップ104に進み、タイマをカウントアップする。これにより、変速制御開始後の経過時間をタイマによりカウントする。
この後、ステップ105に進み、エンジン駆動力に関係するエンジン制御パラメータに基づいてエンジンが非駆動状態であるか否かを判定する。ここで、「非駆動状態」とは、エンジンが負のトルクを発生している状態(エンジンブレーキが働いている減速状態)を意味する。このステップ105の処理が特許請求の範囲でいうエンジン駆動状態判定手段としての役割を果たす。このステップ105で、エンジンが非駆動状態でないと判定されれば、ステップ107に進み、イナーシャ相判定許可フラグをONにセットしてイナーシャ相判定を許可する。
これに対して、上記ステップ105で、エンジンが非駆動状態であると判定されれば、ステップ106に進み、タイマのカウント値(変速制御開始後の経過時間)が所定時間以上であるか否かを判定し、タイマのカウント値が所定時間未満であれば、ステップ108に進み、イナーシャ相判定許可フラグをOFFにセットしてイナーシャ相判定を禁止する。これにより、変速制御開始から所定時間(判定禁止期間)が経過するまでイナーシャ相判定が禁止される。これらステップ106、108の処理が特許請求の範囲でいう誤判定防止手段としての役割を果たす。
この場合、所定時間(判定禁止期間)は、予め決められた一定時間に設定しても良いが、運転条件に応じて所定時間(判定禁止期間)を可変設定するようにしても良い。図7は、エンジン回転速度に応じて所定時間(判定禁止期間)を可変設定する例を示している。図7の例では、エンジン回転速度が高くなるほど、所定時間(判定禁止期間)が短くなるように設定されている。摩擦係合要素が十分な係合力を発生するのに必要な時間はエンジン回転速度によって変化するため、エンジン回転速度に応じて所定時間(判定禁止期間)を可変設定すれば、所定時間(判定禁止期間)を予め決められた一定時間に設定する場合よりも、エンジン回転速度によっては所定時間(判定禁止期間)を短く設定することができ、その分、イナーシャ相判定を早期に開始することができる。
上記ステップ106で、タイマのカウント値(変速制御開始後の経過時間)が所定時間に達したと判定された時点で、ステップ107に進み、イナーシャ相判定許可フラグをONにセットしてイナーシャ相判定を許可する。
この後、ステップ109に進み、図6のイナーシャ相判定ルーチンを実行する。この図6のイナーシャ相判定ルーチンは、特許請求の範囲でいうイナーシャ相判定手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ201で、イナーシャ相判定許可フラグがON(許可)であるか否かを判定し、イナーシャ相判定許可フラグがOFF(禁止)であれば、以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ201で、イナーシャ相判定許可フラグがON(許可)と判定されれば、ステップ202に進み、現在の入力軸回転速度Nt(又はギア比)を読み込み、次のステップ203で、現在の入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低いか否かを判定し、現在の入力軸回転速度Nt(又はギア比)ギア比がイナーシャ相判定しきい値以上であれば、まだイナーシャ相開始前(トルク相又は充填相)と判断して、そのまま本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ203で、現在の入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低いと判定されれば、ステップ204に進み、イナーシャ相と判定する。
図8は、本実施例1の変速制御の一例を示している。この図8の例では、要求変速段が1速から2速に切り換えられて変速制御が開始された時点t1 で、タイマのカウント動作を開始して、変速制御開始後の経過時間をカウントする。この変速制御中に、エンジン駆動状態の判定が非駆動状態に切り換わった時点t2 で、イナーシャ相判定許可フラグがOFFにセットされてイナーシャ相判定が禁止される。
その後、タイマのカウント値(変速制御開始後の経過時間)が所定時間(判定禁止期間)を越えた時点t3 で、イナーシャ相判定許可フラグがONにセットされてイナーシャ相判定が許可される。この後は、入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低いか否かで、イナーシャ相であるか否かを判定する。本例では、タイマのカウント値(変速制御開始後の経過時間)が所定時間に達した時点t3 で、既に入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低くなっているため、直ちにイナーシャ相と判定される(イナーシャ相フラグがONにセットされる)。
以上説明した本実施例1によれば、パワーオフアップシフト時(エンジンが非駆動状態のアップシフト時)にイナーシャ相の誤判定が発生しやすいという事情を考慮して、変速制御中にエンジンが非駆動状態であるか否かを判定し、非駆動状態のときに、イナーシャ相の判定を変速制御開始から所定時間(判定禁止期間)が経過するまで禁止するようにしたので、イナーシャ相の誤判定を未然に防止することができ、変速制御中に変速歯車機構15の入力軸回転速度Ntの低下が発生する条件下でも、充填相の油圧制御により、摩擦係合要素が十分な係合力を発生した状態でイナーシャ相制御を開始することができ、変速ショックの発生や変速の遅れを防止できる。
次に、図9乃至図14を用いて本発明の実施例2を説明する。本実施例2では、エンジンの駆動力であるエンジントルクを所定の判定しきい値と比較してエンジンの駆動状態/非駆動状態を判定するようにしている。
本実施例2で実行する図9の変速制御ルーチンは、前記実施例1で説明した図5の変速制御ルーチンのステップ105の処理をステップ105aの処理に変更しただけであり、それ以外の各ステップの処理は同じである。
図9の変速制御ルーチンでは、ステップ101〜104の処理により、変速制御開始後の経過時間をタイマによりカウントした後、ステップ105aに進み、現在のエンジントルクが所定の判定しきい値以下であるか否かで、エンジンが非駆動状態であるか否かを判定する。この際、エンジントルクは、現在のエンジン運転条件(エンジン回転速度と負荷率等)に基づいて算出すれば良い。或は、エンジントルク制御に用いられる要求エンジントルクを用いても良い。
また、判定しきい値は、0又はそれよりも少し大きい値であり、予め決められた一定の判定しきい値としても良いが、同じエンジントルクであっても、変速歯車機構15の入力軸回転速度Ntの低下が発生するかどうかはエンジン回転速度等によって異なるため、例えば、図10のマップを用いてエンジン回転速度に応じてエンジントルクの判定しきい値を可変設定するようにしても良く、これにより、エンジンの駆動状態/非駆動状態の判定の精度を高めることができる。図10のマップの特性は、エンジン回転速度が高くなるほど、エンジントルクの判定しきい値が大きくなるように設定されている。
また、エンジン回転速度の代わりに、図11のマップを用いて変速歯車機構15の入力軸回転速度Nt(又は出力軸回転速度No×ギヤ比)に応じてエンジントルクの判定しきい値を可変設定するようにしても良い。図11のマップの特性は、変速歯車機構15の入力軸回転速度Ntが高くなるほど、エンジントルクの判定しきい値が大きくなるように設定されている。
また、同じエンジントルクであっても、変速歯車機構15の入力軸回転速度Ntの低下が発生するかどうかは変速歯車機構15の出力軸回転速度No、変速前の変速段、変速種によっても異なるため、図12のマップを用いて変速歯車機構15の出力軸回転速度No及び変速前の変速段に応じてエンジントルクの判定しきい値を可変設定するようにしたり、或は、図13のマップを用いて変速歯車機構15の出力軸回転速度及び変速種に応じてエンジントルクの判定しきい値を可変設定するようにしても良く、いずれの場合も、エンジンの駆動状態/非駆動状態の判定の精度を更に高めることができる。
図12のマップの特性は、変速歯車機構15の出力軸回転速度が高くなるに従って、エンジントルクの判定しきい値が段階的に大きくなり、且つ、変速前の変速段が高くなるほど、エンジントルクの判定しきい値が小さくなるように設定されている。
図13のマップの特性は、変速歯車機構15の出力軸回転速度が高くなるに従って、エンジントルクの判定しきい値が段階的に大きくなり、且つ、変速種がより高い段側への変速であるほど、エンジントルクの判定しきい値が小さくなるように設定されている。
上記ステップ105aで、現在のエンジントルクが判定しきい値よりも大きいと判定されれば、エンジンが駆動状態であると判断して、ステップ107に進み、イナーシャ相判定許可フラグをONにセットしてイナーシャ相判定を許可する。
これに対して、上記ステップ105aで、現在のエンジントルクが判定しきい値以下であると判定されれば、エンジンが非駆動状態であると判断して、ステップ106に進み、タイマのカウント値(変速制御開始後の経過時間)が所定時間以上であるか否かを判定し、タイマのカウント値が所定時間未満であれば、ステップ108に進み、イナーシャ相判定許可フラグをOFFにセットしてイナーシャ相判定を禁止する。
その後、タイマのカウント値(変速制御開始後の経過時間)が所定時間に達したと判定された時点で、ステップ107に進み、イナーシャ相判定許可フラグをONにセットしてイナーシャ相判定を許可する。その他の処理は、前記実施例1で説明した図5の変速制御ルーチンと同じである。
図14は、本実施例2の変速制御の一例を示している。この図14の例では、要求変速段が1速から2速に切り換えられて変速制御が開始された時点t1 で、タイマのカウント動作を開始して、変速制御開始後の経過時間をカウントする。本例では、変速開始の時点t1 で、既にエンジントルクが判定しきい値以下となっているため、エンジンが非駆動状態であると判定され、イナーシャ相判定許可フラグがOFFにセットされてイナーシャ相判定が禁止される。
その後、タイマのカウント値(変速制御開始後の経過時間)が所定時間(判定禁止期間)を越えた時点t2 で、イナーシャ相判定許可フラグがONにセットされてイナーシャ相判定が許可される。この後は、入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低いか否かで、イナーシャ相であるか否かを判定する。本例では、タイマのカウント値(変速制御開始後の経過時間)が所定時間に達した時点t2 で、既に入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低くなっているため、直ちにイナーシャ相と判定される。
以上説明した本実施例2でも、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
本発明の実施例3では、図15の変速制御ルーチンを実行する。この図15の変速制御ルーチンは、前記実施例2で説明した図9の変速制御ルーチンのステップ102の処理をステップ102aの処理に変更しただけであり、それ以外の各ステップの処理は同じである。
図15の変速制御ルーチンでは、ステップ101で、変速制御中であると判定されれば、ステップ102aに進み、急速充填相終了前であるか否かを判定し、急速充填相終了前であれば、ステップ103に進み、タイマを0にリセットし、急速充填相終了前でなければ、ステップ104に進み、タイマをカウントアップする。これにより、急速充填相終了後の経過時間をタイマによりカウントする。
その後、ステップ105aに進み、現在のエンジントルクが所定の判定しきい値以下であるか否かで、エンジンが非駆動状態であるか否かを判定し、非駆動状態であると判定されれば、ステップ106に進み、タイマのカウント値(急速充填相終了後の経過時間)が所定時間以上であるか否かを判定し、タイマのカウント値が所定時間未満であれば、ステップ108に進み、イナーシャ相判定許可フラグをOFFにセットしてイナーシャ相判定を禁止する。
その後、タイマのカウント値(急速充填相終了後の経過時間)が所定時間に達したと判定された時点で、ステップ107に進み、イナーシャ相判定許可フラグをONにセットしてイナーシャ相判定を許可する。
図16は、本実施例3の変速制御の一例を示している。この図16の例では、要求変速段が1速から2速に切り換えられて変速制御が開始された時点t1 で、急速充填相の制御が開始され、この急速充填相の制御が終了した時点t2 で、タイマのカウント動作を開始して急速充填相終了後の経過時間をカウントする。本例では、変速開始の時点t1 で、既にエンジントルクが判定しきい値以下となっているため、エンジンが非駆動状態であると判定され、イナーシャ相判定許可フラグがOFFにセットされてイナーシャ相判定が禁止される。
その後、タイマのカウント値(急速充填相終了後の経過時間)が所定時間(判定禁止期間)を越えた時点t3 で、イナーシャ相判定許可フラグがONにセットされてイナーシャ相判定が許可される。この後は、入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低いか否かで、イナーシャ相であるか否かを判定する。本例では、タイマのカウント値(急速充填相終了後の経過時間)が所定時間に達した時点t3 で、既に入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低くなっているため、直ちにイナーシャ相と判定される。
以上説明した本実施例3では、前記実施例1と同様の効果を得ることができ、しかも、イナーシャ相の判定禁止期間(所定時間)を急速充填相終了後の経過時間で設定するようにしたので、急速充填相の時間の影響を受けずに判定禁止期間を設定することができる。
本発明の実施例4では、図17の変速制御ルーチンを実行する。この図17の変速制御ルーチンは、前記実施例3で説明した図15の変速制御ルーチンのステップ102aの処理をステップ102bの処理に変更しただけであり、それ以外の各ステップの処理は同じである。
図17の変速制御ルーチンでは、ステップ101で、変速制御中であると判定されれば、ステップ102bに進み、急速充填相で上昇した油圧(待機油圧)を維持する充填相の終了前であるか否かを判定し、充填相終了前であれば、ステップ103に進み、タイマを0にリセットし、充填相終了前でなければ、ステップ104に進み、タイマをカウントアップする。これにより、充填相終了後の経過時間をタイマによりカウントする。
その後、ステップ105aに進み、現在のエンジントルクが所定の判定しきい値以下であるか否かで、エンジンが非駆動状態であるか否かを判定し、非駆動状態であると判定されれば、ステップ106に進み、タイマのカウント値(充填相終了後の経過時間)が所定時間(0秒でも良い)以上であるか否かを判定し、タイマのカウント値が所定時間未満であれば、ステップ108に進み、イナーシャ相判定許可フラグをOFFにセットしてイナーシャ相判定を禁止する。
その後、タイマのカウント値(充填相終了後の経過時間)が所定時間に達したと判定された時点で、ステップ107に進み、イナーシャ相判定許可フラグをONにセットしてイナーシャ相判定を許可する。
図18は、本実施例4の変速制御の一例を示している。この図18の例では、要求変速段が1速から2速に切り換えられて変速制御が開始された時点t1 で、急速充填相の制御が開始され、この急速充填相の制御が終了した時点t2 で、充填相の制御に移行する。その後、充填相の制御が終了した時点t3 で、タイマのカウント動作を開始して充填相終了後の経過時間をカウントする。本例では、変速開始の時点t1 で、既にエンジントルクが判定しきい値以下となっているため、エンジンが非駆動状態であると判定され、イナーシャ相判定許可フラグがOFFにセットされてイナーシャ相判定が禁止される。
その後、タイマのカウント値(充填相終了後の経過時間)が所定時間(判定禁止期間)を越えた時点t4 で、イナーシャ相判定許可フラグがONにセットされてイナーシャ相判定が許可される。この後は、入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低いか否かで、イナーシャ相であるか否かを判定する。本例では、タイマのカウント値(充填相終了後の経過時間)が所定時間に達した時点t4 で、既に入力軸回転速度Nt(又はギア比)がイナーシャ相判定しきい値よりも低くなっているため、直ちにイナーシャ相と判定される。
この場合、充填相が設定時間実行されれば、摩擦係合要素は係合力を発生していると考えられるため、本実施例4のように、充填相終了から所定時間(0秒でも良い)を判定禁止期間に設定すれば、摩擦係合要素が十分な係合力を発生しないうちに誤ってイナーシャ相に移行することを確実に防止できる。
次に、図19乃至図24を用いて本発明の実施例5を説明する。本実施例5では、エンジンの駆動力に相関する情報であるスロットル開度を所定の判定しきい値と比較してエンジンの駆動状態/非駆動状態を判定するようにしている。
本実施例5で実行する図19の変速制御ルーチンは、前記実施例2で説明した図9の変速制御ルーチンのステップ105aの処理をステップ105bの処理に変更しただけであり、それ以外の各ステップの処理は同じである。
図19の変速制御ルーチンでは、ステップ101〜104の処理により、変速制御開始後の経過時間をタイマによりカウントした後、ステップ105bに進み、現在のスロットル開度が所定の判定しきい値以下であるか否かで、エンジンが非駆動状態であるか否かを判定する。この際、スロットル開度は、スロットル開度センサで検出した値を用いれば良い。或は、電子スロットル制御に用いられる要求スロットル開度(目標スロットル開度)を用いても良い。
また、判定しきい値は、0(スロットル全閉)又はそれよりも少し大きい値であり、予め決められた一定の判定しきい値としても良いが、同じスロットル開度であっても、変速歯車機構15の入力軸回転速度Ntの低下が発生するかどうかはエンジン回転速度等によって異なるため、例えば、図20のマップを用いてエンジン回転速度に応じてスロットル開度の判定しきい値を可変設定するようにしても良く、これにより、エンジンの駆動状態/非駆動状態の判定の精度を高めることができる。図20のマップの特性は、エンジン回転速度が高くなるほど、スロットル開度の判定しきい値が大きくなるように設定されている。
また、エンジン回転速度の代わりに、図21のマップを用いて変速歯車機構15の入力軸回転速度Nt(又は出力軸回転速度No×ギヤ比)が高くなるほど、スロットル開度の判定しきい値を大きくするようにしても良い。或は、図22のマップを用いて変速歯車機構15の出力軸回転速度Noが高くなるほど、スロットル開度の判定しきい値を大きくするようにしても良い。
また、同じエンジントルクであっても、変速歯車機構15の入力軸回転速度Ntの低下が発生するかどうかは変速前の変速段や変速種によっても異なるため、図23のマップを用いて変速歯車機構15の出力軸回転速度No及び変速前の変速段に応じてスロットル開度の判定しきい値を可変設定するようにしたり、或は、図24のマップを用いて変速歯車機構15の出力軸回転速度No及び変速種に応じてスロットル開度の判定しきい値を可変設定するようにしても良く、いずれの場合も、エンジンの駆動状態/非駆動状態の判定の精度を更に高めることができる。
図23のマップの特性は、変速歯車機構15の出力軸回転速度Noが高くなるに従ってスロットル開度の判定しきい値が段階的に大きくなり、且つ、変速前の変速段が高くなるほど、スロットル開度の判定しきい値が小さくなるように設定されている。
図24のマップの特性は、変速歯車機構15の出力軸回転速度Noが高くなるに従ってスロットル開度の判定しきい値が段階的に大きくなり、且つ、変速種がより高い段側への変速であるほど、スロットル開度の判定しきい値が小さくなるように設定されている。
上記ステップ105bで、現在のスロットル開度が判定しきい値よりも大きいと判定されれば、エンジンが駆動状態であると判断して、ステップ107に進み、イナーシャ相判定許可フラグをONにセットしてイナーシャ相判定を許可する。
これに対して、上記ステップ105bで、現在のスロットル開度が判定しきい値以下であると判定されれば、エンジンが非駆動状態であると判断して、ステップ106に進み、タイマのカウント値(変速制御開始後の経過時間)が所定時間以上であるか否かを判定し、タイマのカウント値が所定時間未満であれば、ステップ108に進み、イナーシャ相判定許可フラグをOFFにセットしてイナーシャ相判定を禁止する。その他の処理は、前記実施例2で説明した図9の変速制御ルーチンと同じである。
以上説明した本実施例5でも、前記実施例2と同様の効果を得ることができる。
本発明の実施例6では、図25の変速制御ルーチンを実行する。この図25の変速制御ルーチンは、前記実施例5で説明した図19の変速制御ルーチンのステップ102の処理をステップ102aの処理に変更しただけであり、それ以外の各ステップの処理は同じである。
図25の変速制御ルーチンでは、ステップ101で、変速制御中であると判定されれば、ステップ102aに進み、急速充填相終了前であるか否かを判定し、急速充填相終了前であれば、ステップ103に進み、タイマを0にリセットし、急速充填相終了前でなければ、ステップ104に進み、タイマをカウントアップする。これにより、急速充填相終了後の経過時間をタイマによりカウントする。
その後、ステップ105bに進み、現在のスロットル開度が所定の判定しきい値以下であるか否かで、エンジンが非駆動状態であるか否かを判定し(図16参照)、非駆動状態であると判定されれば、ステップ106に進み、タイマのカウント値(急速充填相終了後の経過時間)が所定時間以上であるか否かを判定し、タイマのカウント値が所定時間未満であれば、ステップ108に進み、イナーシャ相判定許可フラグをOFFにセットしてイナーシャ相判定を禁止する。
その後、タイマのカウント値(急速充填相終了後の経過時間)が所定時間に達したと判定された時点で、ステップ107に進み、イナーシャ相判定許可フラグをONにセットしてイナーシャ相判定を許可する。
以上説明した本実施例6でも、前記実施例3と同様の効果を得ることができる。
本発明の実施例7では、図26の変速制御ルーチンを実行する。この図26の変速制御ルーチンは、前記実施例6で説明した図26の変速制御ルーチンのステップ102aの処理をステップ102bの処理に変更しただけであり、それ以外の各ステップの処理は同じである。
図26の変速制御ルーチンでは、ステップ101で、変速制御中であると判定されれば、ステップ102bに進み、充填相終了前であるか否かを判定し、充填相終了前であれば、ステップ103に進み、タイマを0にリセットし、充填相終了前でなければ、ステップ104に進み、タイマをカウントアップする。これにより、充填相終了後の経過時間をタイマによりカウントする。
その後、ステップ105bに進み、現在のスロットル開度が所定の判定しきい値以下であるか否かで、エンジンが非駆動状態であるか否かを判定し(図18参照)、非駆動状態であると判定されれば、ステップ106に進み、タイマのカウント値(充填相終了後の経過時間)が所定時間(0秒でも良い)以上であるか否かを判定し、タイマのカウント値が所定時間未満であれば、ステップ108に進み、イナーシャ相判定許可フラグをOFFにセットしてイナーシャ相判定を禁止する。
その後、タイマのカウント値(充填相終了後の経過時間)が所定時間に達したと判定された時点で、ステップ107に進み、イナーシャ相判定許可フラグをONにセットしてイナーシャ相判定を許可する。
以上説明した本実施例7でも、前記実施例4と同様の効果を得ることができる。
尚、本発明は、4速自動変速機に限定されず、3速以下又は5速以上の自動変速機にも適用できることは言うまでもない。
尚、本発明は、4速自動変速機に限定されず、3速以下又は5速以上の自動変速機にも適用できることは言うまでもない。
11…自動変速機、12…トルクコンバータ、15…変速歯車機構、17…油圧制御回路、18…油圧ポンプ、19…ライン圧制御回路、20…自動変速制御回路、21…ロックアップ制御回路、30…AT−ECU(イナーシャ相判定手段,イナーシャ相制御手段,エンジン駆動状態判定手段,誤判定防止手段,駆動力情報検出手段)、C0〜C2…クラッチ(摩擦係合要素)、B0,B1…ブレーキ(摩擦係合要素)
Claims (8)
- エンジンの駆動力を変速歯車機構で変速して車輪側に伝達する自動変速機の制御装置において、
前記変速歯車機構の摩擦係合要素の係合動作に伴って該変速歯車機構の入力軸回転速度が変化するイナーシャ相を判定するイナーシャ相判定手段と、
前記イナーシャ相判定手段の判定結果に基づいて前記イナーシャ相にて前記摩擦係合要素に作用させる油圧をフィードバック制御するイナーシャ相制御を行うイナーシャ相制御手段と、
前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定するエンジン駆動状態判定手段と、
前記エンジン駆動状態判定手段により前記エンジンが非駆動状態と判定されたときに前記イナーシャ相判定手段によるイナーシャ相の判定を所定の判定禁止期間が経過するまで禁止する誤判定防止手段と
を備えていることを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 前記エンジンの駆動力又はそれに相関する情報(以下これらを「駆動力情報」と総称する)を検出する駆動力情報検出手段を備え、
前記エンジン駆動状態判定手段は、前記駆動力情報検出手段で検出した駆動力情報を判定しきい値と比較して前記エンジンの駆動状態/非駆動状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。 - 前記誤判定防止手段は、前記判定禁止期間をエンジン回転速度に応じて可変設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動変速機の制御装置。
- 前記誤判定防止手段は、前記判定禁止期間を、変速制御開始後に係合側の摩擦係合要素に急速に作動油を充填する急速充填相制御の終了時からの経過時間又は前記急速充填相制御によって上昇した油圧を維持する充填相制御の終了時からの経過時間で設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
- 前記エンジン駆動状態判定手段は、前記エンジンの駆動状態/非駆動状態の判定に用いる前記判定しきい値をエンジン回転速度又は前記変速歯車機構の入力軸回転速度に応じて可変設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
- 前記エンジン駆動状態判定手段は、前記エンジンの駆動状態/非駆動状態の判定に用いる前記判定しきい値を前記変速歯車機構の出力軸回転速度及び変速前の変速段に応じて可変設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
- 前記エンジン駆動状態判定手段は、前記エンジンの駆動状態/非駆動状態の判定に用いる前記判定しきい値を前記変速歯車機構の出力軸回転速度及び変速種に応じて可変設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
- 前記駆動力情報検出手段は、前記駆動力情報としてスロットル開度又はアクセル開度を検出することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006301043A JP2008115975A (ja) | 2006-11-07 | 2006-11-07 | 自動変速機の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006301043A JP2008115975A (ja) | 2006-11-07 | 2006-11-07 | 自動変速機の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006301043A Pending JP2008115975A (ja) | 2006-11-07 | 2006-11-07 | 自動変速機の制御装置 |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8996261B2 (en) | 2012-10-25 | 2015-03-31 | Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. | Automobile paddle shifters locking device and system |
US8996260B2 (en) | 2012-10-25 | 2015-03-31 | Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. | Automobile paddle shifters with first and second positions |
US9002597B2 (en) | 2012-10-26 | 2015-04-07 | Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. | Automobile paddle shifters with secondary paddles |
-
2006
- 2006-11-07 JP JP2006301043A patent/JP2008115975A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8996261B2 (en) | 2012-10-25 | 2015-03-31 | Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. | Automobile paddle shifters locking device and system |
US8996260B2 (en) | 2012-10-25 | 2015-03-31 | Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. | Automobile paddle shifters with first and second positions |
US9002597B2 (en) | 2012-10-26 | 2015-04-07 | Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. | Automobile paddle shifters with secondary paddles |
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