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JP2008110392A - はんだ付け用フラックスおよびはんだペースト組成物 - Google Patents

はんだ付け用フラックスおよびはんだペースト組成物 Download PDF

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JP2008110392A JP2006296557A JP2006296557A JP2008110392A JP 2008110392 A JP2008110392 A JP 2008110392A JP 2006296557 A JP2006296557 A JP 2006296557A JP 2006296557 A JP2006296557 A JP 2006296557A JP 2008110392 A JP2008110392 A JP 2008110392A
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昌大 渡部
Kensuke Nakanishi
研介 中西
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Abstract

【課題】高い耐腐食性と良好なぬれ性を発揮しうる、はんだ付け用フラックスおよびはんだペースト組成物を提供する。
【解決手段】本発明のはんだ付け用フラックスは、ベース樹脂、活性剤および防錆剤を含み、前記防錆剤が、イミダゾリンまたはそのアルキル基もしくはアルケニル基置換体(但し、アルキル基もしくはアルケニル基は置換基を有していてもよい。)の1種または2種以上の混合物である。イミダゾリンのアルキル基もしくはアルケニル基置換体としては、例えば、飽和もしくは不飽和脂肪酸または該脂肪酸の二量体由来のアルキル基もしくはアルケニル基が付加した化合物が挙げられる。前記防錆剤の含有量はフラックス総量に対して0.1〜25重量%である。本発明のはんだペースト組成物は、上記のフラックスとはんだ合金粉末とを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、回路基板に対して電子部品を実装する際に使用されるはんだ付け用フラックスおよびはんだペースト組成物に関する。特に、はんだ付け後のフラックス残渣の洗浄を必要としない、無洗浄のはんだ付けに好適に用いられるはんだ付け用フラックスおよびはんだペースト組成物に関する。
従来から、プリント基板への電子部品の実装には、はんだ付けが汎用されてきた。はんだ付け方法としては、被接合金属表面の酸化皮膜をフラックスにより除去した後に、はんだ付けする方法や、はんだ合金粉末とフラックスとを混合したはんだペースト組成物を用いて酸化皮膜の除去とはんだ付けとを同時に行なう方法等が一般的であった。前者の方法で用いられるフラックスは、通常、ベース樹脂、活性剤、および必要に応じて溶剤等を含んでなり、金属表面に容易に塗布しうるよう比較的低粘度になるよう設計されることが多く、液状フラックスと称される。他方、後者の方法においてはんだペースト組成物に用いられるフラックスは、通常、ロジン等のベース樹脂、活性剤、チキソ剤、および必要に応じて溶剤や各種添加剤を含んでなるペースト状物であり、はんだ合金粉末と混練される。
ところで、近年、環境問題への関心が高まるなか、電子部品の実装工程においても無洗浄化、鉛フリー化が進んでいる。ところが、一般に鉛フリーはんだを用いた場合、はんだのぬれ性を確保するために、活性力の高いフラックスもしくははんだペースト組成物を用いてはんだ付けを行なう必要がある。しかし、活性の高いフラックスは腐食性も高いため、はんだ付けを行った後のフラックス残渣が無洗浄で残留した場合、経時的な接合部の腐食が懸念されてきた。
そこで、鉛フリーはんだを用いた無洗浄はんだ付け工程においても優れた耐腐食性を示すフラックスが求められており、これまでに、イミダゾール、ピラゾール、ベンゾトリアゾール等の窒素原子を含む複素環式化合物を含有させたフラックス(特許文献1参照)が提案されている。
特開平5−392号公報
しかしながら、特許文献1で実施例として記載されているベンゾトリアゾール系、イミダゾール系の化合物を添加したフラックスでは、耐腐食性、はんだ付け性の向上が認められるが、ベンゾトリアゾール系化合物の添加は、はんだ付け性を著しく低下させ、イミダゾール系化合物の添加は、耐腐食性の向上効果は認められない。一方、特許文献1に記載されているピラゾール系化合物の添加は、若干のぬれ性向上効果が得られるものの、銅鏡腐食性を劣化させてしまう。また、これらの化合物を組み合わせて使用する場合、耐腐食性を考慮するとベンゾトリアゾール系化合物の添加が必須となるが、その悪影響であるはんだ付け性の低下が著しいため、充分な性能が得られるフラックスは得られない。
そこで、本発明は、鉛フリーはんだ用のフラックスを、無洗浄で使用した場合でも、良好なはんだ付け性を維持しながら、耐腐食性を向上させる、はんだ付け用フラックスおよびはんだペースト組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、窒素原子を含む複素環式化合物であっても、イミダゾリンあるいはその誘導体を防錆剤として含有させると、これまで困難であった耐腐食性とぬれ性の確保が可能となる、という新たな知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)ベース樹脂、活性剤および防錆剤を含んでなるフラックスであって、前記防錆剤が、イミダゾリンまたはそのアルキル基もしくはアルケニル基置換体(但し、アルキル基もしくはアルケニル基は置換基を有していてもよい。)の1種またはそれ以上の混合物である、ことを特徴とするはんだ付け用フラックス。
(2)前記イミダゾリンのアルキル基もしくはアルケニル基置換体が、飽和もしくは不飽和脂肪酸または該脂肪酸の二量体由来のアルキル基もしくはアルケニル基が付加した化合物である、(1)に記載のはんだ付け用フラックス。
(3)前記イミダゾリンのアルキル基もしくはアルケニル基置換体が、飽和もしくは不飽和脂肪酸または該脂肪酸の二量体をエチレンジアミンまたはその誘導体と反応させて得られる化合物である、(1)または(2)に記載のはんだ付け用フラックス。
(4)前記イミダゾリン系防錆剤の含有量が、フラックス総量に対して0.1〜25重量%である、(1)〜(3)のいずれかに記載のはんだ付け用フラックス。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のはんだ付け用フラックスとはんだ合金粉末とを含有することを特徴とするはんだペースト組成物。
本発明のはんだ付け用フラックスは、これを活性力の高い鉛フリーはんだに用いた場合でも、ぬれ性の阻害を伴わずに耐腐食性の向上が実現できるという効果がある。これにより、一般にぬれ性が低下する傾向にある鉛フリーはんだを用いた接合においても、従来の鉛含有はんだと同等のぬれ性を確保しながら、接合後の腐食性が抑えられるため、機械的、電気的に良好な接合信頼性を得ることができる。また、これにより、はんだ付けの品質向上が期待できるとともに、ぬれ不良、腐食等によって生じる不具合部の発生件数が減少するので、はんだ付けコストの低減も可能となる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本発明のはんだ付け用フラックス(以下、単に「フラックス」と称することもある)は、ベース樹脂および活性剤と防錆剤を含んでなる。活性剤は、はんだ付け時に金属表面の酸化膜を除去し、良好なはんだぬれ性を実現させる作用をするものであり、ベース樹脂はこの活性剤を金属に均一に塗布するためのバインダーとして作用する。また防錆剤は、上記活性剤が原因で発生する腐食を防止するために添加される。
本発明のはんだ付け用フラックスにおけるベース樹脂としては、特に制限されるものではなく、従来から一般的にフラックスに用いられているロジンやその誘導体、合成樹脂等を用いることができる。ロジンとしては、例えば、通常のガムロジン、トールロジン、ウッドロジン等が挙げられ、それらの誘導体としては、重合ロジン、アクリル化ロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、ホルミル化ロジン、ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂等が挙げられる。合成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、テルペン樹脂等が挙げられる。
ベース樹脂の含有量は、特に制限されないが、例えば、フラックス総量に対して0.5〜80重量%であるのが好ましく、より好ましくは2〜60重量%であるのがよい。
本発明においては、活性剤として、従来から使用されている活性剤を使用することができる。例えば、アミン類(ジフェニルグアニジン、ナフチルアミン、ジフェニルアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなど)、アミン塩類(エチレンジアミン等のポリアミンや、シクロヘキシルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン等のアミンの有機酸塩や無機酸(塩酸、硫酸等の鉱酸)塩など)、有機酸類(コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバシン酸、マレイン酸等のジカルボン酸;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸;乳酸、ジメチロールプロピオン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸;安息香酸、フタル酸、トリメリット酸など)、アミノ酸類(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリンなど)等が挙げられる。
活性剤の含有量は、特に限定されないが、フラックス総量に対して0.1〜20重量%であるのがよい。活性剤が0.1重量%未満であると、活性力が不足し、はんだ付け性が低下するおそれがある。一方、活性剤が20重量%を超えると、フラックスの皮膜性が低下し、親水性が高くなるので、腐食性および絶縁性が低下するおそれがある。
本発明のはんだ付け用フラックスは、防錆剤として、イミダゾリンあるいはそのアルキル基もしくはアルケニル基置換体(以下、「イミダゾリン含有化合物」と称することもある)を含有する。これにより、活性力の高い鉛フリー用フラックスを使用しても、良好なぬれ性を阻害することなく、優れた耐腐食性を発揮することができる。本発明で使用されるイミダゾリンは、2‐イミダゾリン、3−イミダゾリン、4−イミダゾリンのいずれであってもよい。なお、後述する実施例において使用のイミダゾリンとその誘導体は、2‐イミダゾリンとその誘導体である。
イミダゾリンのアルキル基もしくはアルケニル基置換体におけるアルキル基もしくはアルケニル基は、炭素数1〜50の直鎖または分岐したアルキル基もしくはアルケニル基であるのがよい。アルキル基もしくはアルケニル基の炭素数は、好ましくは12〜44であるのがよい。
また、上記アルキル基もしくはアルケニル基は置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシ基、ハロゲン基などが挙げられる。置換基は1つに限定されず、同一または相異なる2以上の置換基が置換していてもよい。
具体的には、イミダゾリン含有化合物として、例えば、2−プロピルイミダゾリン、2−ブチルイミダゾリン、2−ヘキシルイミダゾリン、2−オクチルイミダゾリン、2−ドデシルイミダゾリン、2−トリデシルイミダゾリン、2−テトラデシルイミダゾリン、2−ヘキサデシルイミダゾリン、2−プロピル−4−メチルイミダゾリン、2−ペンチル−4−メチルイミダゾリン、2−オクチル−4−メチルイミダゾリン、2−ドデシル−4−エチルイミダゾリン、1−アミノエチル−2−エチルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−イミダゾリン、1−メチルイミダゾリン、1−エチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−エチル−2,4−ジメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、2−ビニルイミダゾリン、2−アリルイミダゾリン、2−ブテニルイミダゾリン等が挙げられる。
またこの他にも、脂肪酸に由来するイミダゾリン含有化合物も好適に使用可能である。脂肪酸としては、例えばヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸(palm kernel oil fatty acid)、トール油脂肪酸、カプロン酸、ラウリン酸、リノール酸、リノレン酸、マルガリン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、パルチミン酸、パルチミトレイン酸、ステアリン酸及びその混合物、さらに各脂肪酸の二量体が挙げられる。これらの中でも特に、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、トール油脂肪酸または各脂肪酸の二量体を使用するのが好適であり、これらの脂肪酸またはその二量体由来のアルキル基もしくはアルケニル基が付加したイミダゾリン含有化合物は、防錆性が高い点で好ましい。なお、イミダゾリン含有化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
このような脂肪酸または脂肪酸の二量体由来のアルキル基もしくはアルケニル基が付加したイミダゾリン含有化合物は、例えば、飽和もしくは不飽和脂肪酸をエチレンジアミンまたはその誘導体とをほぼ等モル量で、または該脂肪酸の二量体とエチレンジアミンまたはその誘導体とをほぼ1:2のモル量で反応容器に仕込んで反応させることによって得られる。エチレンジアミンの誘導体としては、例えば、2(2−アミノエチルアミノ)エタノール、N−エチル−エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,2−ジアミノブタン、N−ラウリル−エチレンジアミン、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、1−クロロ−1,2−ジアミノヘキサンなどが挙げられる。反応は、不活性雰囲気下200℃以上で加熱することによって行われる。
イミダゾリンまたはイミダゾリン含有化合物の含有量は、フラックス総量に対して0.1〜25重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15重量%であるのがよい。イミダゾリン含有化合物が0.1重量%未満であると、防錆効果が不充分となるおそれがあり、一方、イミダゾリン含有化合物が25重量%を超えると、フラックスの皮膜性が低下し、親水性が高くなるので、絶縁性が低下するなど、信頼性が悪化するおそれがある。なお、イミダゾリンおよびイミダゾリン含有化合物を2種以上併用する場合には、その合計量が前記範囲であればよい。
本発明のはんだ付け用フラックスは、前述したベース樹脂および活性剤のほかに、必要に応じてチキソ剤をも含有するものである。さらに、フラックスを液状にして使用する場合には、適当な有機溶剤を含有させることもできる。
チキソ剤としては、例えば、硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックス、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド等が挙げられる。チキソ剤の含有量は、フラックス総量に対して1.0〜25重量%であるのがよい。
有機溶剤としては、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、トルエン、テレピン油等の炭化水素系溶剤等が挙げられる。本発明のフラックスを液状フラックスとして用いる場合には、これらの中でも、揮発性や活性剤の溶解性の点でイソプロピルアルコールが好ましい。他方、本発明のフラックスをはんだペースト組成物に適用する場合には、高沸点のブチルカルビトール等のような多価アルコールのエーテルが一般的であり、好ましい。有機溶剤の含有量は、フラックス総量に対して20〜99重量%であるのがよい。有機溶剤が20重量%未満であると、フラックスの粘性が高くなり、フラックスの塗布性やはんだペースト組成物としたときの印刷性が悪化するおそれがある。一方、有機溶剤が99重量%を超えると、フラックスとしての有効成分(ベース樹脂等)が相対的に少なくなってしまうため、はんだ付け性が低下するおそれがある。
さらに、本発明のはんだ付け用フラックスは、前述した各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更に、酸化防止剤、キレート化剤等を添加してもよい。
本発明のはんだペースト組成物は、前述した本発明のはんだ付け用フラックスとはんだ合金粉末とを含有する。
はんだ合金粉末としては、特に制限はなく、一般に用いられている錫−鉛合金、さらに銀、ビスマスまたはインジウムなどを添加した錫−鉛合金等を用いることができるが、本発明が活性力の高い鉛フリー用フラックスを使用した場合の耐腐食性向上を目的にしていることを勘案すると、ここでも、錫−銀系、錫−銅系、錫−銀−銅系等の鉛フリー合金を用いるほうがよい。なお、はんだ合金粉末の粒径は、5〜50μm程度であるのがよい。
本発明のはんだペースト組成物におけるフラックスとはんだ合金粉末との重量比(フラックス:はんだ合金粉末)は、必要とされるはんだペーストの用途や機能に応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、5:95〜20:80程度であるのがよい。
本発明のはんだペースト組成物は、電子機器部品等をはんだ接続する際に、ディスペンサーやスクリーン印刷等により基板上に塗布される。そして、塗布後、例えば150〜200℃程度でプリヒートを行い、最高温度170〜250℃程度でリフローを行う。基板上への塗布およびリフローは、大気中で行ってもよく、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気中で行ってもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
反応容器中に、トール油脂肪酸(ハリマ化成(株)製、FA−1P)1.0モルと、2(2−アミノエチルアミノ)エタノール1.0モルとを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら徐々に加熱して210℃まで昇温した。そして、210℃で5時間反応を行なうことで、イミダゾリン環を生成させ、1−ヒドロキシエチル−2−トール油脂肪酸イミダゾリン(合成イミダゾリン1)を得た。
(合成例2)
反応容器中に、トール油脂肪酸二量体(ハリマ化成(株)製、DA−250)1.0モルと、エチレンジアミン2.1モルとを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら徐々に加熱し、200℃まで昇温した。そして、この温度を維持しながらアミン環流下7時間反応を行なうことで、イミダゾリン環を生成させ、トール油脂肪酸二量体−ビスイミダゾリン(合成イミダゾリン2)を得た。
(実施例1〜6および比較例1〜3)
表1に示す各成分を表1に示す配合組成で混合し、均一になるように充分に熱を加えて溶解させ、フラックスをそれぞれ得た。
得られた各フラックスは下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
<はんだ付け性試験>
JIS−Z−3197に規定する方法で、フラックスの酸化銅板へのぬれ性を測定。試験数は5とし、5つの試験結果の平均値を広がり率(%)として評価した。
<腐食試験>
1)銅板腐食試験
フラックスを用いてJIS−Z−3197に規定する銅板腐食試験片を作製し、各試験片を40℃、90%の恒温恒湿槽内に放置して、96時間後に、目視観察により、腐食発生の有無を確認した。
2)銅鏡腐食試験
フラックス約0.05mlをJIS−Z−3197に規定する銅鏡腐食試験片上に滴下し、常温で24時間放置する。放置後の試験片からフラックスをイソプロピルアルコールを用いて洗い流し、目視観察により銅鏡のはく離の有無を確認した。
Figure 2008110392
(実施例7〜12および比較例4〜6)
表2に示す各成分を表2に示す配合組成で混合し、均一になるように充分に熱を加えて溶解させ、フラックスをそれぞれ得た。
次いで、得られた各フラックスと、Sn−Ag−Cu合金(Sn:Ag:Cu=96.5:3.0:0.5(重量比))からなるはんだ合金粉末(粒径38〜25μm)とを、フラックス:はんだ合金粉末=11:89(重量比)の比率で混合して、はんだペースト組成物をそれぞれ得た。
得られた各はんだペースト組成物は、実施例1〜6および比較例1〜3と同様にして評価した。結果を表2に示す。
Figure 2008110392
表1および表2から、イミダゾリン含有化合物であるトール油脂肪酸あるいはトール油脂肪酸二量体付加イミダゾリンまたは2−ヘキシルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチルイミダゾリンを含有させた各実施例のフラックスは、良好なぬれ性(広がり率)を発揮するものであり、接合後の信頼性に関しても、銅板腐食、銅鏡腐食共に発生しないことから極めて優れていると言える。

Claims (5)

  1. ベース樹脂、活性剤および防錆剤を含んでなるフラックスであって、前記防錆剤が、イミダゾリンまたはそのアルキル基もしくはアルケニル基置換体(但し、アルキル基もしくはアルケニル基は置換基を有していてもよい。)の1種または2種以上の混合物である、ことを特徴とするはんだ付け用フラックス。
  2. 前記イミダゾリンのアルキル基もしくはアルケニル基置換体が、飽和もしくは不飽和脂肪酸または該脂肪酸の二量体由来のアルキル基もしくはアルケニル基が付加した化合物である、請求項1に記載のはんだ付け用フラックス。
  3. 前記イミダゾリンのアルキル基もしくはアルケニル基置換体が、飽和もしくは不飽和脂肪酸または該脂肪酸の二量体をエチレンジアミンまたはその誘導体と反応させて得られる化合物である、請求項1または2に記載のはんだ付け用フラックス。
  4. 前記防錆剤の含有量が、フラックス総量に対して0.1〜25重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載のはんだ付け用フラックス。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のはんだ付け用フラックスとはんだ合金粉末とを含有することを特徴とするはんだペースト組成物。
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