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JP2008186632A - 光電変換素子及びその製造方法 - Google Patents

光電変換素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】変換効率の耐久性に優れた光電変換素子を提供する。
【解決手段】増感色素が担持された半導体3を付着した第1の電極1と、半導体3に対向配置された第2の電極2と、第1の電極1と第2の電極2により挟持された電荷輸送層4とを有する光電変換素子に関する。そして増感色素は、金属錯体色素が複数化学結合した複合体色素であり、金属錯体色素の配位子が、半導体と結合性を有する官能基を備えたものであることを特徴とする。増感色素は半導体に強固に固定されるものであり、増感色素の半導体からの脱離による変換効率の低下を防ぐことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規な増感色素を担持した半導体を備える光電変換素子及びその製造方法に関するものである。
太陽電池などの光電変換素子はクリーンなエネルギー源として非常に期待されており、すでにpn接合型太陽電池などが実用化されている。しかしながら、シリコン系太陽電池は、高純度材料を原料とし、あるいは1000℃程度の高温プロセスや真空プロセスを必要とするため、製造コストの低減が大きな課題であった。そのような状況にあって、近年、高純度材料・高エネルギープロセスを比較的必要としない、固液界面に生じる電位勾配により電荷分離を行う湿式太陽電池が注目を集めている。
特に、半導体電極の表面に光を吸収する色素を吸着させ、半導体電極のバンドギャップより長波長の可視光を色素で吸収させることによって効率の向上をねらった、いわゆる色素増感光電変換素子に関する研究が盛んに行われている。
例えば、従来の色素増感光電変換素子では、半導体表面に単層で担持された増感色素しか半導体へ電子を注入することができないのに対して、グレッツェルらは、特許文献1に記載されているように、酸化チタン電極を多孔質化して増感色素を担持させ、内部面積を著しく増大させる方法を提案した。ここでは、ゾル・ゲル法によりこの酸化チタン多孔質膜を作製し、膜のポロシティーは約50%ほどであり、非常に高い内部表面積を有するナノ多孔性構造が形成されている。例えば、8μmの膜厚ではラフネスファクター(基板面積に対する多孔質内部の実面積の割合)は約720にも達する。この表面を幾何学的に計算すると、増感色素の担持量は1.2×10−7mol/cmに達し、実に、最大吸収波長で入射光の約98%が吸収されることになる。
このグレッツェル・セルとも呼ばれる新しい色素増感光電変換素子は、上述の酸化チタンの多孔質化による増感色素の飛躍的な担持量の増大と、太陽光を効率よく吸収し、且つ半導体への電子注入速度が著しく速い増感色素を開発した点が大きな特徴である。
グレッツェルらは、色素増感光電変換素子のための増感色素としてビス(ビピリジル)Ru(II)錯体を開発した。そのRu錯体は、一般式シス−Xビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)Ru(II)の構造を持つ。XはCl−,CN−,SCN−である。これらについて蛍光、可視光吸収、電気化学的及び光酸化還元的挙動について系統的な研究が行なわれ、これらのうち、シス−(ジイソシアネート)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)Ru(II)は、太陽光吸収剤及び色素増感剤として格段に優れた性能を持つことが示された。
この色素増感剤の可視光吸収は、金属から配位子への電荷移動遷移である。また、配位子のカルボキシル基は表面のTiイオンに直接配位して、色素増感剤と酸化チタンの間に密接な電子的接触を形成している。この電子的な接触により、色素増感剤から酸化チタンの伝導帯への電子注入が1ピコ秒以下の極めて速い速度で起こり、その逆方向の酸化された色素増感剤による酸化チタンの伝導帯へ注入された電子の再捕獲はマイクロ秒のオーダーで起こるとされている。この速度差が光励起電子の方向性を生み出し、電荷分離が極めて高い効率で行なわれる理由である。そして、これがpn接合面の電位勾配により電荷分離を行なうpn接合型太陽電池との違いであり、グレッツェル・セルの本質的な特徴である。
このような開発により、照射した光エネルギーのうちどれだけ電気エネルギーに変換したかを示す変換効率は飛躍的に向上したものの、従来のシリコン系太陽電池と比べると依然として効率は低く、更なる向上が望まれている。
また、色素増感光電変換素子の耐久性については、構成部材に有機物を多く含むためにシリコン系光電変換素子に比べて不利な点が多い。素子の耐久性を下げる因子としては、熱や湿度、紫外線などが挙げられるものであり、素子の劣化が起こっている構成材料は、増感色素、電荷輸送層が考えられる。中でも素子内部に残存、混入した水により、酸化チタン表面に吸着した色素が脱離する現象が最も深刻な課題の一つであると考えられている。この水による色素の脱離に対しては、非特許文献1に記載されているように、増感色素の構造にアルキル基などの疎水基を導入し、色素の加水分解を抑制する方法がある。この非特許文献1に示されている色素の構造は、(1)光吸収部(ルテニウム金属−ビピリジン配位子)、(2)結合部(カルボキシル基)、(3)耐水バリア部(アルキル基)の3つの機能を併せ持つように設計されており、高機能性分子といえる。しかし、このような改良により耐久性は改善されたものの、十分ではない。
さらに、色素増感光電変換素子の増感色素として複合体色素を用いることが特許文献2で提案されている。しかし特許文献2のものは、広い光吸収波長領域を持ち高い光電変換効率を達成することを目的とし、異なる最大吸収波長を持つ2種以上の色素が高いに化学吸着結合した複合体色素を用い、最大感度波長領域が短い色素から長い色素の順に半導体層に吸着されている構造であり、このように複合体色素は化学吸着結合したものであるため、結合が弱く、依然として耐久性には問題がある。
特許第2664194号公報 Nat.Mater.,2003年、2号、402頁 特開平2002−343455号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、変換効率の耐久性に優れた光電変換素子及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る光電変換素子は、増感色素が担持された半導体を付着した第1の電極と、半導体に対向配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極により挟持された電荷輸送層とを有する光電変換素子において、前記増感色素は、金属錯体色素が複数化学結合した複合体色素であり、金属錯体色素の配位子が、前記半導体と結合性を有する官能基を備えたものであることを特徴とするものである。
この発明によれば、増感色素として、配位子が半導体と結合性を有する官能基を備える複数の金属錯体色素が化学結合した複合体色素を用いるため、増感色素は半導体に強固に固定されるものであり、増感色素の半導体からの脱離による変換効率の低下を防ぐことができるものである。
また請求項2の発明は、請求項1において、前記複合体色素が、前記半導体と結合性を有する官能基を3つ以上有するものであることを特徴とするものである。
この発明によれば、半導体に対する増感色素の結合がより高くなり、加水分解や脱離側への化学平衡の移動が作用しても、増感色素が半導体から脱離することを有効に防ぐことができるものである。
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、複合体色素が、発色部を2ヶ所以上有するものであることを特徴とするものである。
この発明によれば、2ヶ所以上の発色部で効率的に光電変換しつつ、高い耐久性を付与することができるものである。
本発明の請求項4に係る光電変換素子の製造方法は、増感色素が担持された半導体を付着した第1の電極と、半導体に対向配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極により挟持された電荷輸送層とを有する光電変換素子の製造方法であって、前記半導体と結合性を有する官能基及び、この官能基とは異なる官能基Aを有する第1の金属錯体色素と、前記半導体と化学結合性を有する官能基及び、この官能基とは異なり官能基Aと化学結合性を有する官能基Bを有する第2の金属錯体色素とを、半導体の表面に付着させる工程と、前記第1の金属錯体色素の官能基Aと、前記第2の金属錯体色素の官能基Bを化学結合させて、複数の金属錯体色素を結合した複合体色素からなる増感色素を半導体の表面で形成する工程とを備えることを特徴とするものである。
この発明によれば、半導体の表面に第1の金属錯体色素と第2の金属錯体色素を付着させてから、半導体の表面で第1の金属錯体色素と第2の金属錯体色素を複合化することによって、複合体色素からなる増感色素を効率よく半導体に付着させることができるものであり、また均一にかつ緻密な複合体色素の層を形成することができるものである。
本発明の請求項5に係る光電変換素子の製造方法は、増感色素が担持された半導体を付着した第1の電極と、半導体に対向配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極により挟持された電荷輸送層とを有する光電変換素子の製造方法であって、前記半導体と結合性を有する官能基及び、この官能基とは異なる官能基Aを有する金属錯体色素を、半導体の表面に付着させる工程と、前記金属錯体色素の官能基Aと化学結合性を有する官能基を複数有する化合物を半導体の表面に供給して、この化合物の複数の官能基と複数の金属錯体色素の官能基Aを化学結合させ、複数の金属錯体色素を化合物を介して結合した複合体色素からなる増感色素を半導体の表面で形成する工程とを備えることを特徴とするものである。
この発明によれば、化合物を経由して複数の金属錯体色素同士を複合化することができ、立体障害などの理由で金属錯体色素間で直接結合することができない場合でも、効率よく複合体色素からなる増感色素を形成することができるものである。
本発明によれば、半導体と結合性を有する官能基を備える複数の金属錯体色素が複数化学結合した複合体色素からなる増感色素は、半導体に強固に固定されるものであり、増感色素の半導体からの脱離による変換効率の低下を防ぐことができ、変換効率の耐久性に優れた光電変換素子を得ることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の光電変換素子の一例を示すものである。一対の基板5,6が対向して配置してあり、一方の基板5の内側の表面に第1の電極1が、他方の基板6の内側の表面に対向電極として第2の電極2が相対向させて設けてある。第1の電極1の基板5と反対側の表面には増感色素が担持された半導体層3が形成してあり、また基板5,6の間に電荷輸送材料を充填して、半導体層3と第2の電極2との間に電荷輸送層4が設けてある。
そしてこのような構成の色素増感型の光電変換素子において、本発明者は、半導体層3に担持させる増感色素として、金属錯体色素が複数化学結合した複合体色素であり、金属錯体色素の配位子が半導体と結合性を有する官能基を備えたものを用いることによって、光電変換効率の耐久性が向上することを見出して、本発明を完成したものである。
すなわち、金属錯体色素が複数化学結合した複合体色素は半導体と結合性を有する官能基を複数有するものであり、このような複合体色素からなる増感色素を半導体に担持させるにあたって、増感色素は複数の官能基で半導体に化学結合し、増感色素が半導体から脱落することによる劣化を防ぐことができるものであり、変換効率の低下を防ぐことができるものである。
例えば、半導体と結合性を有する官能基がカルボキシル基など半導体の表面に脱水反応を伴って結合する基の場合、水が近づけば逆の反応である加水分解により、元のカルボキシル基に戻ってしまう。また、増感色素の吸着は化学平衡が成り立っていると考えられるため、温度が上がると脱離側に平衡が移動する可能性もある。これに対して、本発明において増感色素を構成する複合体色素は半導体と結合性を有する複数の官能基を有しており、複数の結合部で半導体に結合しているので、加水分解や脱離側への化学平衡の移動が作用しても、増感色素が半導体から脱離することを防ぐことができるものである。
特に、従来の増感色素は結合部が1色素分子あたり多くとも2個であると考えられるが、本発明で用いる複合体色素は、複数の金属錯体色素を化学結合させたものであるため、半導体と結合性を有する官能基を3つ以上有するものとすることがでるものであり、3個以上の結合部(アンカーリング部)で半導体と結合させることができる。従ってより多くの結合部で増感色素を半導体に結合させることができ、総ての結合部で脱離が生じる可能性は低くなるため、加水分解や脱離側への平衡の移動に対してより高い効果を得ることができるものである。
また、増感色素を構成する複合体色素が、発光部を2ヶ所以上有するものであれば、多くの部位で光を吸収することができ、効果的に光電変換することができるものであり、変換効率を高めることができるものである。ここでいう発色部とは、光を吸収する部位のことであり前記のルテニウム錯体であればRu中心金属とビピリジン骨格部にあたる。
上記の複合体色素を形成する前躯体である金属錯体色素としては、従来の色素増感光電変換素子で使用される公知の色素を用いることができる。例えば、RuL(HO)タイプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体又はルテニウム−トリス(RuL)、ルテニウム−ビス(RuL)、オスニウム−トリス(OsL)、オスニウム−ビス(OsL)タイプの遷移金属錯体、若しくは亜鉛−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシアニド錯体、フタロシアニンなどが挙げられる(Lは4,4´−ジカルボキシル−2,2´−ビピリジン)。この中でもルテニウム−ビス誘導体は、可視光域で広い吸収スペクトルを有するため、特に好ましい。
また、本発明の複合体色素の発色部間には、メチレン、エチレン、プロパン−1,3−ジエニル、エチリデン、プロパン−2,2−ジイル、アルカンジイル、ベンジリデン、プロピレンなどの飽和炭化水素類、ビニリデン、プロペン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,4−ジイルなどの不飽和炭化水素類、シクロヘキサンジイル、シクロヘキセンジイル、シクロヘキサジエンジイル、フェニレン、ナフタレン、ビフェニレンなど環状炭化水素類、オキサリル、マロニル、サクシニル、グルタニル、アジポイル、アルカンジオイル、セバコイル、フマロイル、マレオイル、フタロイル、イソフタロイル、テレフタロイルなどケト、二価アシル基、オキシ、オキシメチレノキシ、オキシカルボニルなどエーテル、エステル類、サルファンジイル、サルファニル、サルホニルなど硫黄を含む基、イミノ、ニトリロ、ヒドラゾ、アゾ、アジノ、ジアゾアミノ、ウリレン、アミドなど窒素を含む基、シランジイル、ジシラン−1,2−ジイルなど珪素を含む基、またはこれらの末端を置換した基または複合した基を含むことが望ましい。上記の部位は置換していても直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルキル基、例えばメチル、エチル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2−メトキシエチル、ベンジル、トリフルオロメチル、シアノメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシエチル、3−(1−オクチルピリジニウム−4−イル)プロピル、3−(1−ブチル−3−メチルピリジニウム−4−イル)プロピルなど、置換していても直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルケニル基、例えばビニル、アリルなどを介して発色部と結合していることが望ましい。
金属錯体色素を半導体表面に付着させたのちに化学結合させて複合化する場合は、隣り合う複合化前の色素同士が結合するために、直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルキル基、例えばメチル、エチル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2−メトキシエチル、ベンジル、トリフルオロメチル、シアノメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシエチル、3−(1−オクチルピリジニウム−4−イル)プロピル、3−(1−ブチル−3−メチルピリジニウム−4−イル)プロピルなど動きに自由度をもつ構造の、末端ないし主鎖中ないし側鎖に、複合化のための官能基を有することが好ましい。複合化反応のし易さの観点から、上記の構造は炭素数4個以上の構造であることがより好ましい。さらに複合化後の疎水性付与の観点からは、上記の構造は炭素数8個以上の構造であることがさらに好ましい。
また金属錯体色素は、半導体と化学結合性を有する官能基を有する。この半導体と化学結合性を有する官能基としては、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸などを挙げることができる。
次に、上記の金属錯体色素を複数化学結合した複合体色素を増感色素として半導体に結合させて担持させる方法について説明する。
第1の方法は、半導体と結合性を有する官能基及び、この官能基とは異なる官能基Aを有する第1の金属錯体色素と、半導体と化学結合性を有する官能基及び、この官能基とは異なり官能基Aと化学結合性を有する官能基Bを有する第2の金属錯体色素とを用いるものであり、まず、第1の金属錯体色素と第2の金属錯体色素を半導体の表面に付着させる。次に第1の金属錯体色素の官能基Aと、第2の金属錯体色素の官能基Bを化学結合させることによって、第1の金属錯体色素と第2の金属錯体色素を複合化した複合体色素を半導体の表面で形成するものであり、この複合体色素からなる増感色素を半導体に担持させるようにしたものである。複合体色素を予め調製してから半導体の表面に付着させる方法に対して、このように半導体の表面に第1の金属錯体色素と第2の金属錯体色素を付着させてから、半導体の表面で第1の金属錯体色素と第2の金属錯体色素を複合化することによって、複合体色素を効率よく半導体に付着させることができるものであり、また均一にかつ緻密な複合体色素の層を形成することができるものである。
化学結合性を有する官能基A−官能基Bの組み合わせとしては、オキシラン環(エポキシ)−水酸基、オキシラン環−メルカプタン、オキシラン環−酸無水物、オキシラン環−アミン、シラン基−ビニル基、イソシアネート−水酸基などが挙げられる。また官能基の一つにカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸など酸化物半導体の表面に吸着しうる官能基を用いた場合の組み合わせも可能であるが、その場合、複合化前の金属錯体色素を半導体の表面に付着させる際に、複合化のための官能基が半導体の表面に吸着しないよう工夫する必要がある。また、官能基Aと官能基Bは同じ官能基であってもよく、このような単一種の官能基同士を結合させて複合化するための官能基としては、反応性二重結合基、反応性三重結合基などビニルラジカル重合系の官能基、アクリル基、メタクリル基などアクリル重合系の官能基などが好ましい。複合化のための官能基Aと官能基Bの反応は、光反応、加熱反応、触媒反応などを用いることができる。
尚、この第1の方法において、金属錯体色素の種類は2種類のみに限定されるものではなく、相互に化学結合性を有する官能基を持った3種類以上の金属錯体色素を用いて複合体色素を形成するようにすることもできるものである。
また第2の方法は、まず半導体と結合性を有する官能基及び、この官能基とは異なる官能基Aを有する金属錯体色素を半導体の表面に付着させる。次に、この金属錯体色素の官能基Aと化学結合性を有する官能基を複数有する化合物を半導体の表面に供給し、この化合物の複数の官能基に金属錯体色素の官能基Aを化学結合性させ、化合物を介して複数の金属錯体色素を複合化した複合体色素を半導体の表面で形成するものであり、この複合体色素からなる増感色素を半導体に担持させるようにしたものである。この方法は、金属錯体色素を複合化する際、金属錯体色素同士が直接結合するのではなく、化合物を経由して複数の金属錯体色素同士を複合化するようにしたものである。この方法により、立体障害などの理由で金属錯体色素間で直接結合することができない場合でも、効果的に複合化することができるものである。
金属錯体色素の官能基Aと、官能基Aと化学結合性を有する官能基との組み合わせは、上記した官能基Aと官能基Bと同様の組み合わせを挙げることができる。
この方法に用いる上記の化合物は、金属錯体色素の官能基Aと結合する官能基を有していればよく、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコールなどのアルコール類、グリセリン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール類、ポリヘキサメチレンアジポアミド、ポリカプロラクタムなどや、各種高分子化合物などが好ましい。高分子化合物の場合、より多くの金属錯体色素を結合する点でより好ましく、その平均分子量は1000以上が好ましい。なおこれらの化合物は、炭素骨格以外にケイ素骨格のものを用いてもよい。
この複合化のための反応は、上記と同様に、光反応、加熱反応、触媒反応などを用いることができる。
次に、本発明の光電変換素子の各構成部材について説明する。
一対の基板5,6のうち、半導体層3を設けた第1の電極1が被着される基板5は、ガラスやフィルムで形成することができる。基板6を光入射用基板として機能させるのであれば、基板5のフィルムとしてニッケル、亜鉛、チタンなどの金属箔を使用することができる。
この基板5と対向する基板6は、基板5と同じ材料で形成することができる。基板6のの透光性は透明、不透明のいずれでもよいが、両側の基板5,6から光を入射させることを可能にすることができる点で、透明であることが好ましい。上記のように基板5のフィルムとして金属箔を使用した場合は、基板6は透光性のある材料で形成することが好ましい。
基板5に成膜される第1の電極1は、光電変換素子の負極として機能するものであり、金属そのもので形成するようにしてもよく、又はフィルム上に導電材層を積層して形成するようにしてもよい。好ましい導電材としては金属、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等、又は炭素、若しくは導電性の金属酸化物、例えばインジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等、あるいは上記化合物の複合物、または上記化合物上に酸化シリコン、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどをコートした材料を挙げることができる。
この電極1は、表面抵抗が低い程よいものであり、好ましい表面抵抗の範囲としては、200Ω/□以下であり、より好ましくは50Ω/□以下である。表面抵抗の下限は特に制限されないが、通常0.1Ω/□である。
またこの電極1は、光透過率が高い程よいものであり、好ましい光透過率の範囲としては、50%以上であり、より好ましくは80%以上である。さらに電極1の膜厚は、0.1〜10μmの範囲内にあることが好ましい。膜厚がこの範囲内であれば、均一な膜厚の電極膜を形成することができ、また光透過性が低下せず、十分な光を半導体層3に入射させることができるからである。透明な電極1を使用する場合、光は増感色素が担持された半導体層3が被着される側のこの電極1から入射させることが好ましい。
対電極となる第2の電極2は光電変換素子の正極として機能するものであり、上記の第1の電極1と同様に形成することができる。この第2の電極2は、光電変換素子の正極として効率よく作用するために、電解質の還元体に電子を与える触媒作用を有する素材を使用することが好ましい。このような素材としては、例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、又はグラファイト、カーボンナノチューブ、白金を担持したカーボン等の炭素材料、若しくはインジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫等の導電性の金属酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを挙げることができる。これらのうち、白金やグラファイト、ポリエチレンジオキシチオフェンなどが特に好ましい。この対電極となる第2の電極2が設けられる側の基板6は、第2の電極2の被着面側に透明導電膜(図示されていない)を有することもできる。この透明導電膜は、例えば第1の電極1の材料としてあげたものから成膜することができる。この場合、第2の電極2も透明であることが好ましく、第2の電極2も透明であれば、第2の電極2の側から、あるいは第1及び第2の電極1,2の両側に光を照射させるようにしてもよい。これは、例えば反射光などの影響により光電変換素子の表裏面両側からの光照射が期待される場合に有効だからである。
半導体層3を形成する半導体材料としては、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属元素の酸化物、SrTiO、CaTiOなどのペロブスカイト、CdS、ZnS、In、PbS、MoS、WS、Sb、Bi、ZnCdS、CuSなどの硫化物、CdSe、InSe、WSe、HgS、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド、その他GaAs、Si、Se、Cd、Zn、InP、AgBr、PbI、HgI、BiIなどを用いることができる。また、これらの半導体材料から選ばれる少なくとも一種以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO、CdS/AgI、AgS/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、CdS/HgS、CdS/CdSe1−x、CdS/Te1−x、CdSe/Te1−x、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO/Cd、CdS/CdSeCdZn1−yS、CdS/HgS/CdSなどを用いることができる。これらの中でもTiOが、電荷輸送層4を形成する電解液中への光溶解の回避と高い光電変換特性を得ることができる点で好ましい。
半導体層3の膜厚は、0.1〜100μmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、十分な光電変換効果が得られ、また、可視光及び近赤外光に対する透過性が悪化することもないからである。半導体層7の膜厚の一層好ましい範囲は1〜50μmであり、特に好ましい範囲は5〜30μmであり、最も好ましい範囲は10〜20μmである。
そして半導体層3は、半導体粒子とバインダーの混合溶液を、公知慣用の方法、例えば、ドクターブレードやバーコータなどを使う塗布方法、スプレー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法などにより、上記の第1の電極1の表面に塗布し、その後、基板5がガラス基板であれば500℃前後で加熱焼成し、基板5がフィルム基板であればプレス機で圧力を加えることによって、形成することができる。
電荷輸送層4には電解質を用いることができる。電解質としては、酸化体と還元体からなる一対の酸化還元系構成物質であれば特に限定されないが、酸化体と還元体が同一電荷を持つ酸化還元系構成物質が好ましい。酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応において可逆的に酸化体および還元体の形で存在する一対の物質を意味するものであり、このような酸化還元系構成物質としては、例えば、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイオン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウムイオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、ニッケルイオン(II)−ニッケルイオン(III)、バナジウムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イオン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロシアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−コハク酸などが挙げられるが、これらに限定はされない。これらの中でも、ヨウ素化合物−ヨウ素が好ましく、ヨウ素化合物としてはヨウ化リチウム、ヨウ化カリウムなどの金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージドなどのヨウ化4級アンモニウム塩化合物、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムなどのヨウ化イミダゾリウム化合物が特に好ましい。
電荷輸送層4に電解質を用いる場合、電解質を溶解するために使用される溶媒は、酸化還元系構成物質を溶解してイオン伝導性に優れた化合物が好ましい。溶媒としては水性溶媒及び有機溶媒のいずれも使用できるが、酸化還元系構成物質をより安定化するため、有機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して併用することもできる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−ト化合物、γ―ブチロラクトン、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、吉草酸ニトリル等のニトリル化合物が好ましい。
またイオン性液体を用いることも、不揮発性,難燃性などの観点から有効といえる。その場合、公知公例のイオン性液体全般を用いることができるが、例えばイミダゾリウム系、ピリジン系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、アゾニウムアミン系イオン性液体や、欧州特許第718288号明細書、国際公開第95/18456号パンフレット、電気化学第65巻11号923頁(1997年)、J. Electrochem. Soc.143巻,10号,3099頁(1996年)、Inorg. Chem. 35巻,1168頁(1996年)に記載された構造のものが挙げられる。
また電荷輸送層4として、ゲル化電解質、あるいは高分子電解質を使用することもできる。ゲル化剤としては、ポリマー、またはポリマー架橋反応等の手法によるゲル化剤、または重合することができる多官能モノマーによるゲル化剤、オイルゲル化剤などが挙げられる。ゲル化電解質、高分子電解質には一般に用いられるものを適用することができるが、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ化ビニリデン系重合体、ポリアクリル酸などのアクリル酸系重合体、ポリアクリロニトリルなどのアクリロニトリル系重合体およびポリエチレンオキシドなどのポリエーテル系重合体、あるいは構造中にアミド構造を有する化合物が好ましい。
半導体層3に増感色素を担持させる方法は、例えば、金属錯体色素を溶かした溶液に、半導体層3を被着させた電極1を備えた基板5を浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドなど金属錯体色素を溶解可能なものであれば全て使用できる。また、浸漬方法として、金属錯体色素溶液に半導体層3を被着させた電極1を備えた基板5を一定時間浸漬させている時に、加熱還流をしたり、超音波を印加したりすることもできる。半導体層3への色素担持後、担持せずに半導体層3に残ってしまった増感色素を取り除くために、アルコールで洗浄あるいは加熱還流することが望ましい。
半導体層3への増感色素の担持量としては、1×10−8〜1×10−6mol/cmの範囲内であればよく、特に0.1×10−7〜9.0×10−7mol/cmの範囲が好ましい。この範囲内であれば、経済的且つ十分に光電変換効率向上の効果を得ることができるからである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
平均1次粒子径が20nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作製した(これを第一のペーストとする)。次に、平均1次粒子径が20nmと平均1次粒子径が400nmの高純度酸化チタン粉末をエチルセルロース中に分散させ、スクリーン印刷用のペーストを作製した(これを第二のペーストとする)。
そして、電極1付きの基板5として厚さ1mmの導電性ガラス基板(日本板硝子製、F−SnO、表面抵抗:10Ω/□)を用い、基板5の電極1の上に第一のスクリーン印刷用のペーストを塗布して乾燥し、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成して、基板5の上に厚さ10μmの多孔質酸化チタン膜を形成した。次に、このように形成した多孔質酸化チタン膜の上に第二のペーストを塗布して乾燥し、得られた乾燥物を500℃で30分間、空気中で焼成して、厚さ8μmの多孔質酸化チタン膜上にさらに厚さ4μmの酸化チタン膜を形成し、半導体層3を設けた。
また、金属錯体色素として式(1)及び式(2)のものを用いた。これらの金属錯体色素は、文献(Coord. Chem. Rev. 1998年,77号,347ページ)及びその参考文献記載の合成方法により合成することができるものであり、式(1)及び式(2)の金属錯体色素は半導体と結合性を有する官能基としてカルボキシル基を備え、相互に化学結合性を有する官能基として、式(1)の金属錯体色素はエポキシ基を、式(2)の金属錯体色素は水酸基を備えるものである。
Figure 2008186632
そしてこの式(1)及び式(2)の金属錯体色素をそれぞれ0.2mMと、アミン触媒とを含有する有機溶液に、上記の半導体層3を形成した基板5を浸漬した。次に80℃で30分間加熱し、式(1)と式(2)の金属錯体色素が複合化された複合体色素からなる増感色素を半導体層3に付着させた。複合体色素が形成されていることは、赤外吸収スペクトルにより、複合化前の特徴的なピークの減少から確認した。
一方、基板6として導電性ガラス基板(日本板硝子製、フッ素ドープSnO、表面抵抗:10Ω/□)を用い、この基板6の導電面の表面に白金を塩化白金酸の熱還元により設けて、対極電極2を形成した。
そして上記の半導体層3を囲むように枠状に切った封止材(デュポン社製熱溶融製樹脂「バイネル」)を基板6の電極2の上に配置し、さらにこの封止材の上にダイヤモンドドリルで孔を開けた上記の基板5を電極1の側で載せ、加熱しながら加圧して封止材で基板5,6を張り合わせた。次に基板5の孔から、0.5mol/dmのメチルトリプロピルアンモニウムヨージドと0.01mol/dmのヨウ化リチウムと0.005mol/dmのヨウ素、0.5mol/dmのN−メチル−ベンズイミダゾールを含むガンマブチロラクトンを用いた電解液を注入し、基板5の穴を塞ぐことによって、基板5,6間に充填した電解液で電荷輸送層4を形成し、図1に示すような構成の色素増感太陽電池を作製した。
(実施例2)
実施例1と同様にして基板5の電極1に半導体層3を形成した。そして式(1)及び式(2)の金属錯体色素をそれぞれ0.2mM含有する有機溶液に基板5を浸漬し、次いで室温で24時間暗所下に静置した。このようにして複合化前の式(1)及び式(2)の金属錯体色素を半導体層3に付着させた基板5を溶媒で洗浄した後、実施例1と同じアミン触媒存在下で、120℃で10分間加熱し、式(1)と式(2)の金属錯体色素が複合化された複合体色素からなる増感色素を半導体層3に付着させた。
その他は、実施例1と同様にして、図1に示すような構成の色素増感太陽電池を作製した。
(実施例3)
実施例1と同様にして基板5の電極1に半導体層3を形成した。また式(2)の金属錯体色素を0.2mM含有する有機溶液に基板5を浸漬し、次いで室温で24時間暗所下に静置した。このようにして複合化前の式(2)の金属錯体色素を半導体層3に付着させた基板5を溶媒で洗浄した後、ポリビニルアルコール3質量%と、実施例1と同じアミン触媒の存在下で、120℃で10分間加熱し、式(2)の金属錯体色素が複合化された複合体色素からなる増感色素を半導体層3に付着させた。
その他は、実施例1と同様にして、図1に示すような構成の色素増感太陽電池を作製した。
(比較例1)
色素として式(3)に示すものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、図1に示すような構成の色素増感太陽電池を作製した。
Figure 2008186632
上記のようにして作製した実施例1〜3及び比較例1の、受光面積を1cmとした素子に照度計で200Lxに調光した安定光源を照射し、電流−電位特性を測定して、光電変換出力を測定した。実施例1の初期の光電変換出力を1.00として、相対的数値で実施例2,3及び比較例1の光電変換出力を表1に示す。また実施例1〜3及び比較例1の素子を85℃で1000時間保存した後の光電変換出力を測定し、初期の光電変換出力を100%としたときの光電変換出力の維持率を表1に示す。
Figure 2008186632
表1にみられるように、増感色素が金属錯体色素が複数化学結合した複合体色素であり、金属錯体色素の配位子が半導体と結合性を有する官能基を備えたものである、実施例1〜3のものは維持率が高く、優れた耐熱性があることが確認される。また実施例2,3の方が実施例1に比べて初期特性が高いのは、複合化前の色素を電極表面に付着したのちに複合化処理を行ったことにより、より細部にまで複合体色素が付着できたためであると考えられる。
本発明の光電変換素子の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 電極
2 電極
3 半導体層
4 電荷輸送層

Claims (5)

  1. 増感色素が担持された半導体を付着した第1の電極と、半導体に対向配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極により挟持された電荷輸送層とを有する光電変換素子において、前記増感色素は、金属錯体色素が複数化学結合した複合体色素であり、金属錯体色素の配位子が、前記半導体と結合性を有する官能基を備えたものであることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記複合体色素が、前記半導体と結合性を有する官能基を3つ以上有するものであることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
  3. 複合体色素が、発色部を2ヶ所以上有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の光電変換素子。
  4. 増感色素が担持された半導体を付着した第1の電極と、半導体に対向配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極により挟持された電荷輸送層とを有する光電変換素子の製造方法であって、前記半導体と結合性を有する官能基及び、この官能基とは異なる官能基Aを有する第1の金属錯体色素と、前記半導体と化学結合性を有する官能基及び、この官能基とは異なり官能基Aと化学結合性を有する官能基Bを有する第2の金属錯体色素とを、半導体の表面に付着させる工程と、前記第1の金属錯体色素の官能基Aと、前記第2の金属錯体色素の官能基Bを化学結合させて、複数の金属錯体色素を結合した複合体色素からなる増感色素を半導体の表面で形成する工程とを備えることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  5. 増感色素が担持された半導体を付着した第1の電極と、半導体に対向配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極により挟持された電荷輸送層とを有する光電変換素子の製造方法であって、前記半導体と結合性を有する官能基及び、この官能基とは異なる官能基Aを有する金属錯体色素を、半導体の表面に付着させる工程と、前記金属錯体色素の官能基Aと化学結合性を有する官能基を複数有する化合物を半導体の表面に供給して、この化合物の複数の官能基と複数の金属錯体色素の官能基Aを化学結合させ、複数の金属錯体色素を化合物を介して結合した複合体色素からなる増感色素を半導体の表面で形成する工程とを備えることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
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