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JP2008016615A - バイポーラトランジスタ - Google Patents

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JP2008016615A
JP2008016615A JP2006185794A JP2006185794A JP2008016615A JP 2008016615 A JP2008016615 A JP 2008016615A JP 2006185794 A JP2006185794 A JP 2006185794A JP 2006185794 A JP2006185794 A JP 2006185794A JP 2008016615 A JP2008016615 A JP 2008016615A
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Manabu Yanagihara
学 柳原
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】2次元正孔ガス層をp型ベースとし且つ窒化物系半導体からなり高速に動作するバイポーラトランジスタを実現できるようにする。
【解決手段】バイポーラトランジスタは、窒化物半導体からなる第1の半導体層14を含むエミッタ層と、第1の半導体層14と比べてバンドギャップが小さい窒化物半導体からなり且つ第1の半導体層14と接して形成された第2の半導体層15を含むベース層と、第2の半導体層15における第1の半導体層14とは反対側の面と接して形成された窒化物半導体からなる第3の半導体層16を含むコレクタ層とを備えている。第2の半導体層15における第1の半導体層15と第2の半導体層14との界面領域には、2次元正孔ガス層が発生し、ベース層の一部と接するように選択的に形成されたベース電極19は、2次元正孔ガス層とオーミック接続している。
【選択図】図1

Description

本発明はバイポーラトランジスタに関し、特に高速動作が可能なバイポーラトランジスタに関する。
電子が半導体基板に対して垂直方向に走行する縦型デバイスの一種に、化合物半導体のヘテロ接合を利用したヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)がある。HBTはベース層とエミッタとの間にバンドオフセットがあるため、正孔(ホール)がベース層中に閉じ込められるので、ベース層中のホール濃度を高くしても、エミッタからコレクタへの電子の注入効率が低下しない。その結果、低いベース層抵抗が得られ、高い最大発振周波数(fmax)を実現できる。
しかし、トランジスタを高速動作させる際のもう一つの指標である電流遮断周波数(ft)を高くするためには、ベース層の不純物濃度を低くし且つ厚さを薄くして、エミッタから注入された電子がベース層中において散乱されない構造とすることが望ましい。この点に鑑みて、アンドープのヒ化アルミニウム(AlAs)をエミッタとして、n型のヒ化ガリウム(n−GaAs)からなるコレクタとの界面に形成されるp型反転層を用いる反転ベース層バイポーラトランジスタ(Inversion base Transistor:IBT)が1980年代半ばに提案されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
このIBTはベース層の厚さが極めて薄くなることと、従来のHBTで発生していた電子とp型不純物との散乱がなくなるため、極めて高いftが期待できる。
しかし、HBTは携帯電話端末用の高出力トランジスタとして実用化に成功しているのに対し、IBTは研究の域を出ずに今日に至っている。この理由のひとつは、GaAsとAlAsのヘテロ接合界面において結晶性の問題により電子トラップが発生して、良好な反転層が得られない結果、十分な電流利得が得られなかったためと推測される。
一方、近年ワイドバンドギャップ材料とし窒化ガリウム(GaN)に代表される窒化物系半導体の結晶成長技術が大きく進歩してきた。GaNはバンドギャップが3.4eVで、GaAsの1.4eVに比べて大きく、絶縁破壊電界が1桁高いことにより高耐圧デバイスに適している。さらに、電子の飽和速度もGaAsよりも高いため、高速性も大いに期待される。このGaNを用いて、電子を半導体基板に対して平行に電子を走行させるFETの開発が活発に行われている。具体的な構造としては、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)とGaNをヘテロ接合させるHFET(Hetero-structure field effect transistor)が一般的である。この場合、自発分極と格子歪に起因するピエゾ分極を有することにより、ヘテロ接合界面には不純物をドープしなくても、1×1013cm−2程度の2次元電子ガスが発生して、大きい電流を流すことが可能である。その結果、携帯電話用基地局の送信用デバイスなどに、GaN系HFETは実用化されつつある。
縦型デバイスの代表であるHBTに関しても、窒化物系半導体を用い、分極によって発生するベース層中の電界を利用して電子を高速でベース層を走行させるHBTが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかし、GaN系デバイスにおいては、横型のHFETに比べて縦型のHBTの開発はあまり進んでいない。その大きな理由は、窒化物系半導体ではp型ドーパントの活性化率が低く、高濃度のp型層を得ることが難しいことにある。例えば、GaNにp型不純物としてMgを1×1019cm−3〜1×1020cm−3ドーピングしても得られるキャリア濃度は5×1017cm−3〜1×1018cm−3程度にすぎない。このため、1×1019cm−3以上のキャリア濃度が容易に得られるGaAs系やInP系のHBTに比べて、ベース層抵抗の低減が困難である。従って、p型不純物ではなく反転層を用いるIBTは、窒化物半導体に好都合な縦型デバイスと考えられる。
特開2005−79417号公報 K. Matsumoto、他,"GaAs Inversion-Base Bipolar Transistor (GaAs IBT)", IEEE Electron Device Letters,1986年,Vol.EDL−7,No.11,p.627−628
しかしながら、i−GaNからなるコレクタ層と、i−GaNからなるベース層と、i−AlGaNからなるエミッタ層とが基板の上に順次積層された構造のIBTは、正常に動作しない。
基板の上に有機金属化学気相堆積(MOCVD)法により、窒化物半導体層をエピタキシャル成長させると、通常Ga面を上にして成長するため、ベース層はエミッタ層の窒素(N)面と接する。従って、図9のバンド図に示すようにi−AlGaNからなるエミッタ層とi−GaNからなるベース層との界面には、自発分極とピエゾ分極とにより正の固定電荷が発生し、それを補償する2次元電子ガスが発生する。この状態でエミッタ層とベース層との間に負の電圧VEBを印加しても、2次元電子ガスの濃度が低くなるだけで正孔は発生しない。つまり、バイポーラトランジスタとして動作しない。
また、エミッタ層とベース層との界面にp型不純物を導入したとしても、正の固定電荷のために高いp型濃度を実現することは困難である。従って、窒化物系半導体を用いた場合には、通常考えられているコレクタ層とベース層とエミッタ層とを順次積層した構造のトランジスタを形成しても、アンドープ層又はn型層を反転した反転層をp型ベースとしたIBTとして動作させることができないという問題がある。
本発明では前記従来の問題を解決し、アンドープ層又は低濃度のn型層に形成される2次元正孔ガス層をp型ベースとし且つ窒化物系半導体からなり高速に動作するバイポーラトランジスタを実現できるようにすることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明はバイポーラトランジスタを、2次元正孔ガス層と、その2次元正孔ガス層とオーミック接続されたベース電極とを備えた構成とする。
具体的に、本発明に係るバイポーラトランジスタは第1の窒化物半導体層を含むエミッタ層と、第1の窒化物半導体層と比べてバンドギャップが小さく且つ第1の窒化物半導体層と接して形成された第2の窒化物半導体層を含むベース層と、第2の窒化物半導体層における第1の窒化物半導体層とは反対側の面と接して形成された第3の窒化物半導体層を含むコレクタ層と、第2の窒化物半導体層における第1の窒化物半導体層と第2の窒化物半導体層との界面領域に発生する2次元正孔ガス層と、ベース層の一部と接するように選択的に形成され、2次元正孔ガス層とオーミック接続したベース電極とを備えていることを特徴とする。
本発明のバイポーラトランジスタによれば、2次元正孔ガス層と、2次元正孔ガス層とオーミック接続されたベース電極とを備えているため、ベース層における2次元正孔ガス層が発生している領域であるベース領域に注入される電子の量を、ベースエミッタ間に印加する電圧の値に応じて制御することが可能となる。また、コレクタ層の側に発生する内部電界により、ベース領域に注入された電子は、コレクタ層に到達するので、バイポーラトランジスタとして動作させることができる。
本発明のバイポーラトランジスタにおいて、第1の窒化物半導体層はIII族元素としてガリウムを含み、第2の窒化物半導体層は、第1の窒化物半導体層のガリウム面と接していることが好ましい。このような構成とすることにより、第1の窒化物半導体層と第2の窒化物半導体層との界面領域に2次元正孔ガス層を確実に生成させることができる。
本発明のバイポーラトランジスタにおいて、ベース層は、第2の窒化物半導体層とベース電極との間に形成され、第2の窒化物半導体層と比べてバンドギャップが大きい第4の窒化物半導体層を含むことが好ましい。このような構成とすることにより、ベース電極とベース層との間にポテンシャル障壁を形成できる。従って、エミッタから直接ベース電極に注入されるベース電流を低減することができるので、電流増幅率が高く且つ高速に動作するバイポーラトランジスタを実現できる。
この場合において、第4の窒化物半導体層は、p型の不純物がドープされた半導体材料からなることが好ましい。このような構成とすることにより、ベース電極の接触抵抗を確実に小さくすることができる。
本発明のバイポーラトランジスタにおいて、エミッタ層は、第1の窒化物半導体層と、該第1の窒化物半導体層における第2の窒化物半導体層と反対側に面に形成され、第1の窒化物半導体層と比べてバンドギャップが小さい第5の窒化物半導体層と、該第5の窒化物半導体層における第1の窒化物半導体層と反対側の面に形成され、第5の窒化物半導体層と比べてバンドギャップが大きい第6の窒化物半導体層とが積層された共鳴トンネルダイオード構造を有していることが好ましい。このような構成とすることにより、エミッタ層からベース領域へ共鳴トンネル効果により電子が注入される。従って、エミッタのダイナミック抵抗が小さくなるので、エミッタ充電時間が短くすることができる。その結果、遮断周波数ftが高いバイポーラトランジスタを実現できる。
本発明のバイポーラトランジスタにおいて、基板をさらに備え、エミッタ層、ベース層及びコレクタ層は、基板の上にエミッタ層から順次形成されていることが好ましい。このような構成とすることにより、エミッタ層からベース領域に注入された電子が、不純物散乱されることなく、コレクタ層に到達する。従って、通常のバイポーラトランジスタよりも高速性が高いホットエレクトロントランジスタを実現できる。
この場合において基板は、サファイア又は炭化硅素からなることが好ましい。
本発明に係るバイポーラトランジスタによれば、2次元正孔ガス層をp型ベースとし且つ窒化物系半導体からなり高速に動作するバイポーラトランジスタを実現できる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は第1の実施形態に係るバイポーラトランジスタの断面構成を示している。
図1に示すように本実施形態のトランジスタは、面方位の(0001)面を主面とするサファイア基板11の上に形成された、反転ベース層バイポーラトランジスタ(IBT)である。
サファイア基板11の主面上には、窒化アルミニウム(AlN)からなるバッファ層12が形成され、バッファ層12の上には、高濃度ドープ層13と、エミッタ層である第1の半導体層14と、ベース層である第2の半導体層15と、コレクタ層である第3の半導体層16と、高濃度ドープ層17とが順次エピタキシャル成長により形成されている。
高濃度ドープ層13は、例えば、1×1019cm−3〜1×1020cm−3のn型不純物を含み、厚さが500nmのn−GaNからなる。第1の半導体層14は、膜厚が10nmのアンドープのi−AlGaNからなる。第2の半導体層15は、アンドープで膜厚が30nmのi−GaNからなる。第3の半導体層16は、1×1017cm−3〜5×1017cm−3のn型不純物を含み、厚さが300nmのn−GaNからなる。高濃度ドープ層17は、1×1019cm−3〜1×1020cm−3のn型不純物を含み、厚さが20nmのn−GaNからなる。
高濃度ドープ層17の上にはコレクタ電極18が形成され、第2の半導体層15の上には、ベース電極19が形成され、高濃度ドープ層13の上にはエミッタ電極20が形成されている。
図2は、本実施形態のバイポーラトランジスタにおいて第1の半導体層14と第2の半導体層15との間に電圧VEBを印加した際のバンド構造を示している。一般に有機金属気相堆積(MOCVD)法により、GaNを結晶成長させた場合、ガリウム(Ga)面が成長する。従って、本実施形態のバイポーラトランジスタは、エミッタである第1の半導体層14の上面はGa面であり、ベースである第2の半導体層15は、第1の半導体層14のGa面と接している。このため、第1の半導体層14と第1の半導体層14と比べてバンドギャップが小さい第2の半導体層15との界面には2次元正孔ガス層が発生する。本実施形態の場合には、2次元正孔ガスの濃度は、1×1013cm−2程度となる。
従って、第2の半導体層15の上に形成されたベース電極19と、第2の半導体層15における2次元正孔ガスが存在する領域であるベース領域とが等電位となる。つまり、2次元正孔ガスとベース電極19とが電気的にオーミック接続された状態となり、ベース層における2次元正孔ガス層が発生している領域であるベース領域に注入される電子の量が、VEBの値に応じて制御される。さらに、第3の半導体層16の側に発生する内部電界により、ベース領域に注入された電子が第3の半導体層16に到達するバイポーラトランジスタ動作が実現する。
本発明において、ベース領域は2次元正孔ガスが発生している領域であるため、ベース領域の厚さは実質的に2次元正孔ガス層の厚さにより決定される。2次元正孔ガス層の厚さは10nm以下と極めて薄いため、バイポーラトランジスタの動作速度を高くすることができる。2次元正孔ガス層の厚さは、薄すぎるとベース層抵抗が高くなってしまうため、3nm〜10nmとすることが好ましい。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図3は第2の実施形態に係るバイポーラトランジスタの断面構成を示している。図3において図1と同一の構成要素には同一の符号を附すことにより説明を省略する。
図3に示すように本実施形態のバイポーラトランジスタは、ベースがi−GaNからなる第2の半導体層15と、p型にドープされたp−AlGaNからなる第4の半導体層21とにより形成されており、ベース電極19は、第4の半導体層21の上に形成されている。
本実施形態においては、エミッタ層である第1の半導体層14から第2の半導体層15におけるベース電極19の下側の領域である外部ベース領域に注入された電子が、ベース電極19に到達する確率を、i−GaNからなる第2の半導体層15とp−AlGaNからなる第4の半導体層21とのバンドオフセットの効果により小さくすることができる。
図4は本実施形態の外部ベース領域と第1の半導体層14とにおけるバンド構造を示している。図4に示すように、p−AlGaNからなる第4の半導体層21によりポテンシャル障壁が形成されている。このポテンシャル障壁は、第1の半導体層14から外部ベース領域に注入された電子が、ベース電極19に到達する確率を小さくする。これにより、ベース電流が低減されるため、電流増幅率が高く且つ高速に動作するバイポーラトランジスタを実現できる。
以下に、本実施形態に係るバイポーラトランジスタの製造方法について図面を参照して説明する。図5及び図6は本実施形態のバイポーラトランジスタの製造方法を工程順に示している。
まず、図5(a)に示すように、面方位の(0001)面を主面とするサファイア基板11の上にAlNからなるバッファ層12を形成する。続いて、バッファ層12の上に、厚さが500nmのn−GaNからなる高濃度ドープ層13、アンドープで厚さが10nmのi−AlGaNからなる第1の半導体層14、アンドープで厚さが30nmのi−GaNからなる第2の半導体層15、p型にドープされた厚さが30nmのp−AlGaNからなる第4の半導体層21をMOCVD法により順次エピタキシャル成長する。
次に、図5(b)に示すように第4の半導体層21の上に、厚さが100nmのシリコン酸化(SiO)膜30を堆積した後、通常のフォトリソグラフィとウエットエッチング工程により、第4の半導体層21を露出する開口部30aを形成する。
次に、図5(c)に示すようにSiO膜30をマスクとして、塩素ガスを用いたドライエッチングを行い、第4の半導体層21をエッチングして、第2の半導体層15を露出する。
次に、図5(d)に示すようにMOCVDにより、第2の半導体層15の開口部から露出した部分の上に、n型にドープされた厚さ300nmのn−GaNからなる第3の半導体層16と、n型にドープされた厚さが20nmのn−GaNからなる高濃度ドープ層17とを順にエピタキシャル再成長する。なお、窒化物半導体はSiO膜30の上には成長されないため、第2の半導体層15における開口部から露出した部分のみに第3の半導体層16と高濃度ドープ層17とが成長される選択再成長となる。
次に、図6(a)に示すようにSiO膜30をフッ酸によりウエットエッチングして除去する。さらに、図6(b)に示すように通常のフォトリソグラフィと塩素ガスを用いたドライエッチングにより、第4の半導体層21、第2の半導体層15及び第1の半導体層14の一部を選択的にエッチングして高濃度ドープ層13を露出する。
次に、図6(c)に示すように通常のフォトリソグラフィによりレジストパターン(図示せず)を形成した後、厚さが20nmのTiと厚さが300nmのAlとを蒸着して、レジストパターン上に蒸着された金属膜をリフトオフすることにより、高濃度ドープ層13及び高濃度ドープ層17の上にエミッタ電極20及びコレクタ電極18をそれぞれ形成する。続いて、650℃で熱処理を行うことによりエミッタ電極20及びコレクタ電極18をオーミック接触させる。
次に、図6(d)に示すように通常のフォトリソグラフィとリフトオフとを用いて、厚さが100nmのPdと厚さが300nmのAuとが積層されたベース電極19を第4の半導体層21の上に形成する。続いて、450℃で熱処理を行うことによりベース電極19をオーミック接触させる。
なお、本実施形態では基板としてサファイア基板を用いたが、炭化硅素(SiC)基板を用いても構わない。SiC基板はコストが高いが、格子定数がGaNに近くエピタキシャル膜質が良好な半導体層が得られる。
また、高濃度ドープ層13及び高濃度ドープ層17には、シリコン等のn型不純物を1×1019cm−3〜1×1020cm−3となるように導入し、第3の半導体層16には、1×1017cm−3〜5×1017cm−3となるようにn型不純物を導入すればよい。また、第1の半導体層14の膜厚は10nm〜30nmとすることが好ましく、第2の半導体層15の膜厚は10nm〜50nmとすることが好ましく、第3の半導体層16の膜厚は200nm〜500nmの膜厚とすることが好ましい。
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。図7は第3の実施形態に係るバイポーラトランジスタの断面構成を示している。図7において図3と同一の構成要素には同一の符号を附すことにより説明を省略する。
図7に示すように本実施形態のバイポーラトランジスタは、エミッタ層が、共鳴トンネルダイオード構造24により形成されていることを特徴とする。具体的に、エミッタ層は、下から順次積層された第6の半導体層23と第5の半導体層22と第1の半導体層14とからなる。
第1の半導体層14及び第6の半導体層23は、アンドープで厚さが5nmのi−AlGaNからなり、第5の半導体層22は、アンドープで厚さが4nmのi−GaNからなる。図8は本実施形態のバイポーラトランジスタのバンド構造を示している。図8に示すように、第1の半導体層14及び第6の半導体層23が障壁層となり、第5の半導体層22が井戸層となった、共鳴トンネルダイオード構造24が形成されている。このような構成とすることにより、エミッタ層からベース領域へ共鳴トンネル効果により電子が注入される。このため、エミッタのダイナミック抵抗が小さくなるので、エミッタ充電時間が短くなる。その結果、遮断周波数ftが高いバイポーラトランジスタを実現できる。
各実施形態において、第1の半導体層14にi−AlGaNを用い、第2の半導体層にi−GaNを用いる例を示した。この他にも、一般式がInxAlyGa(1−x−y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)で表される窒化物半導体から選択した2種類の化合物の、バンドギャップが大きい方を第1の半導体層14とし、バンドギャップが小さい方を第2の半導体層15とすればよい。なお、第1の半導体層はアンドープが望ましいが、n型不純物濃度が1017cm−3台以下のn型であってもよく、p型不純物濃度が1016cm−3台以下であればp型でもよい。また、第3の半導体層16は、2次元正孔ガス層の厚さを薄くするため及びベースに注入された電子のベースコレクタ界面での散乱を防ぐために、第2の半導体層15と同一の組成比を有する窒化物半導体とすることが好ましいが、異なる組成比の窒化物半導体を用いてもよい。また、第3の半導体層16のn型不純物濃度は、1×1017cm−3〜5×1017cm−3の範囲が望ましいが、アンドープであってもよく、p型不純物濃度が1016cm−3台以下であればp型でもよい。
ベース領域における電子の散乱を低減してバイポーラトランジスタを高速に動作させるためには、ベースとなる第2の半導体層15がアンドープであることが好ましい。しかし、1016cm−3台以下であればn型又はp型の不純物が含まれていても問題ない。
各実施形態において、MOCVD法を用いて基板の上にGa面を成長させる場合について説明した。しかし、分子線エピタキシ(MBE)法等を用いてN面を成長させることも可能であり、この場合においては第2の半導体層が第1の半導体層14のGa面と接するように、半導体層の積層の順序を変更すればよい。
本発明に係るバイポーラトランジスタは、2次元正孔ガス層をp型ベースとし且つ窒化物系半導体からなり高速に動作するバイポーラトランジスタを実現でき、高速動作が可能なバイポーラトランジスタ等として有用である。
本発明の第1の実施形態に係るバイポーラトランジスタを示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るバイポーラトランジスタのバンド構造を示すバンド図である。 本発明の第2の実施形態に係るバイポーラトランジスタを示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るバイポーラトランジスタの外部ベース領域におけるバンド構造を示すバンド図である。 本発明の第2の実施形態に係るバイポーラトランジスタの製造方法を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るバイポーラトランジスタの製造方法を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るバイポーラトランジスタを示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るバイポーラトランジスタのバンド構造を示すバンド図である。 従来のトランジスタにおける課題を説明するためのバンド構造を示すバンド図である。
符号の説明
11 基板
12 バッファ層
13 高濃度ドープ層
14 第1の半導体層
15 第2の半導体層
16 第3の半導体層
17 高濃度ドープ層
18 コレクタ電極
19 ベース電極
20 エミッタ電極
21 第4の半導体層
22 第5の半導体層
23 第6の半導体層
24 共鳴トンネルダイオード構造
30 シリコン酸化膜

Claims (9)

  1. 第1の窒化物半導体層を含むエミッタ層と、
    前記第1の窒化物半導体層と比べてバンドギャップが小さく且つ前記第1の窒化物半導体層と接して形成された第2の窒化物半導体層を含むベース層と、
    前記第2の窒化物半導体層における前記第1の窒化物半導体層とは反対側の面と接して形成された第3の窒化物半導体層を含むコレクタ層と、
    前記第2の窒化物半導体層における前記第1の窒化物半導体層と前記第2の窒化物半導体層との界面領域に発生する2次元正孔ガス層と、
    前記ベース層の一部と接するように選択的に形成され、前記2次元正孔ガス層とオーミック接続したベース電極とを備えていることを特徴とするバイポーラトランジスタ。
  2. 前記第1の窒化物半導体層はIII族元素としてガリウムを含み、
    前記第2の窒化物半導体層は、前記第1の窒化物半導体層のガリウム面と接していることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラトランジスタ。
  3. 前記ベース層は、前記第2の窒化物半導体層と前記ベース電極との間に形成され、前記第2の窒化物半導体層と比べてバンドギャップが大きい第4の窒化物半導体層を含むことを特徴とする請求項1に記載のバイポーラトランジスタ。
  4. 前記第4の窒化物半導体層は、p型の不純物がドープされた半導体材料からなることを特徴とする請求項3に記載のバイポーラトランジスタ。
  5. 前記エミッタ層は、前記第1の窒化物半導体層と、該第1の窒化物半導体層における前記第2の窒化物半導体層と反対側の面に形成され、前記第1の窒化物半導体層と比べてバンドギャップが小さい第5の窒化物半導体層と、該第5の窒化物半導体層における前記第1の窒化物半導体層と反対側の面に形成され、前記第5の窒化物半導体層と比べてバンドギャップが大きい第6の窒化物半導体層とが積層された共鳴トンネルダイオード構造を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のバイポーラトランジスタ。
  6. 前記第2の窒化物半導体層は、不純物がドープされていない半導体材料からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のバイポーラトランジスタ。
  7. 前記第2の窒化物半導体層と、前記第3の窒化物半導体層とは同一の半導体材料からなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のバイポーラトランジスタ。
  8. 基板をさらに備え、
    前記エミッタ層、ベース層及びコレクタ層は、前記基板の上に前記エミッタ層から順次形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のバイポーラトランジスタ。
  9. 前記基板は、サファイア又は炭化硅素からなることを特徴とする請求項8に記載のバイポーラトランジスタ。
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