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JP2008006603A - 基板の加工方法、液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出装置 - Google Patents

基板の加工方法、液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出装置 Download PDF

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JP2008006603A JP2006176670A JP2006176670A JP2008006603A JP 2008006603 A JP2008006603 A JP 2008006603A JP 2006176670 A JP2006176670 A JP 2006176670A JP 2006176670 A JP2006176670 A JP 2006176670A JP 2008006603 A JP2008006603 A JP 2008006603A
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Hironori Suzuki
博則 鈴木
Takehide Matsuo
剛秀 松尾
Osamu Fujimori
修 藤森
Koichiro Komizo
公一郎 小溝
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Abstract

【課題】樹脂材料中に気泡が存在しない状態で基板を加工することができる基板の加工方法、当該基板の加工方法により加工された液滴吐出ヘッドの製造方法を提供。
【解決手段】基板の加工方法は、基板10’の一方の面側に、液状または半固形状の樹脂材料38を付与する第1の工程と、前記樹脂材料に、複数の貫通孔392が形成された支持基板39を接合する第2の工程と、前記支持基板39に、気体は透過し前記樹脂材料は透過しない多孔質膜44を、前記貫通孔を覆うように接合する第3の工程と、前記貫通孔および前記多孔質膜の多孔を介して前記樹脂材料中に含まれる気泡を除去する第4の工程と、前記樹脂材料38を固化する第5の工程と、前記基板10’の他方の面側に所定のパターンを形成する第6の工程と、前記基板10’から、前記樹脂材料38と、前記支持基板39と、前記多孔質膜44とを除去する第7の工程とを有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、基板の加工方法、液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出装置に関するものである。
板状の母材に対して所定の処理を施すことにより所定の形状を有する基板を製造する方法として、近年、電子デバイスの小型化、低消費電力化および高性能化等に伴って、ドライエッチング法が注目されている。
このドライエッチング法では、母材上に、所定パターンのレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとして用いて、母材を所定形状のものにエッチング(加工)することが行われている。
このようなエッチングにより母材に所定の形状を形成する場合において、パターンを形成する面の反対側の面に構造物等が設けられている母材を用いた場合、それら構造物の保護または母材を支持するために、当該反対側の面に接着剤を充填し、保護基板を接合し(例えば、特許文献1参照。)、パターン加工を行う場合がある。
しかし、保護基板の貼り合せ時に接着樹脂中に気泡が入り、母材を真空下で加工した場合、気泡の破裂により母材が破損する問題がある。また、母材を冷却した際に、熱が伝わらず、母材の全体または一部が冷却不足となる問題がある。これを解決するために、保護基板の貼り合わせを真空中で行うことにより、気泡の混入を防ぐ方法もあるが、完全に防止できるわけではない。
特開2005−191550号公報
本発明の目的は、樹脂材料中に気泡が存在しない状態で基板を加工することができる基板の加工方法、当該基板の加工方法により加工された液滴吐出ヘッドの製造方法および当該液滴吐出ヘッドの製造方法により製造された液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の基板の加工方法は、基板の一方の面側に、液状または半固形状の樹脂材料を付与する第1の工程と、
前記樹脂材料に、複数の貫通孔が形成された支持基板を接合する第2の工程と、
前記支持基板に、気体は透過し前記樹脂材料は透過しない多孔質膜を、前記貫通孔を覆うように接合する第3の工程と、
前記貫通孔および前記多孔質膜の孔を介して前記樹脂材料中に含まれる気泡を除去する第4の工程と、
前記樹脂材料を固化する第5の工程と、
前記基板の他方の面側に所定のパターンを形成する第6の工程と、
前記基板から、前記樹脂材料と、前記支持基板と、前記多孔質膜とを除去する第7の工程とを有することを特徴とする。
これにより、貫通孔が形成された支持基板および多孔質膜を有しているので、樹脂材料中に含まれる気泡を簡便に除去することができる。また、多孔質膜が接合されているため、支持基板の母材と反対側の面への樹脂の貼り付きを防止することができる。よって、基板の加工方法において、気泡破裂による基板の破損や気泡混入による基板の冷却不足を防ぐことができる。
本発明の基板の加工方法では、前記第2の工程および前記第3の工程において、前記支持基板および前記多孔質膜は、それぞれ台に設けられていることが好ましい。
これにより、支持基板および/または多孔質膜を水平に接合することができる。また、基板と、支持基板および/または多孔質膜とを平行に保つこともできる。
本発明の基板の加工方法では、前記台は、孔または凹部が形成されていることが好ましい。
これにより、台と多孔質膜の境面に空間ができるため、それを通して支持基板および多孔質膜を通過してきた樹脂材料中に含まれる気泡を、簡便かつ確実に除去することができる。
本発明の基板の加工方法では、前記支持基板の貫通孔の直径は、0.1〜1mmであることが好ましい。
これにより、貫通孔の大きさが適度な大きさになるため、迅速かつ効率的に樹脂材料中に含まれる気泡を除去することができる。
本発明の基板の加工方法では、前記多孔質膜は、気体透過性を有する有機膜または無機膜であることが好ましい。
これにより、有機膜や無機膜が気体のみを透過させ、樹脂材料を透過させないため、効率的に樹脂材料中に含まれる気泡を除去することができる。また、台上や支持基板の台と向かい合う面側への樹脂の貼り付きを防止することができる。
本発明の基板の加工方法では、前記気体透過性の有機膜は、ポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
これにより、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と略す。)が特に良好に気体のみを透過させ、樹脂材料を透過させないため、確実に樹脂材料中に含まれる気泡を除去することができる。また、樹脂材料がPTFEを通過しないため、台上や支持基板の台と向かい合う面側への樹脂の貼り付きを防止することができる。
本発明の基板の加工方法では、前記多孔質膜孔の直径は、0.1〜100μmであることが好ましい。
これにより、気体のみを通すことができるので、より効率的かつ確実に樹脂材料中に含まれる気泡を除去することができる。また、樹脂材料が通過しないので、台上や支持基板の台と向かい合う面側への樹脂の貼り付きを防止することができる。
本発明の基板の加工方法では、前記第4の工程において、前記第3の工程で得られた接合体を減圧雰囲気下に置くことにより、前記樹脂材料中に含まれる気泡を除去することが好ましい。
これにより、接合体全体の雰囲気が減圧状態となるため、効率的に樹脂材料中に含まれる気泡のみを除去することができる。
本発明の基板の加工方法では、前記第4の工程において、前記第3の工程で得られた接合体が設けられている前記台の前記孔または前記凹部から吸引を行うことにより、前記樹脂材料中に含まれる気泡を除去することが好ましい。
これにより、台の孔または凹部を吸引するだけで樹脂材料中に含まれる気泡を除去できるので、簡便かつ迅速に基板を加工することができる。
本発明の基板の加工方法では、前記第5の工程は、前記樹脂材料中から溶媒または分散媒を除去することにより行われることが好ましい。
これにより、溶媒または分散媒を除去するだけで固化することができるため、簡便に樹脂材料を固化することができる。
本発明の基板の加工方法では、前記第5の工程は、前記第4の工程に連続して、または第4の工程と一部重複して行われることが好ましい。
これにより、気泡を除去する工程と連続して固化工程を行うことができるため、気泡を除去する工程の後、圧力を変えるだけで固化工程を行うことができ、基板加工の操作を簡略化することができる。
また、気泡を除去する工程と一部重複して固化工程を行うことができるため、気泡を除去する工程の終了前から固化工程を始めることができ、気泡の除去工程と固化工程に要する時間が短縮され、基板を容易かつ迅速に加工することができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法は、液滴を吐出するための駆動素子を含む複数の構造体が一方の面側に設けられた板状の母材の他方の面側に対して、ドライエッチングを施すことにより液滴吐出ヘッドを製造する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記複数の構造体の間の空間に、液状または半固形状の樹脂材料を付与する第1の工程と、
前記樹脂材料に、複数の貫通孔が形成された支持基板を接合する第2の工程と、
前記支持基板に気体は透過し前記樹脂材料は透過しない多孔質膜を、前記貫通孔を覆うように接合する第3の工程と、
前記貫通孔および前記多孔質膜の孔を介して前記樹脂材料中に含まれる気泡を除去する第4の工程と、
前記樹脂材料を固化する第5の工程と、
前記板状の母材の他方の面に、ドライエッチングを施すことより複数のインク室と、該インク室に連通する凹部とを形成する第6の工程と、
前記母材から、前記樹脂材料、前記支持基板および前記多孔質膜を除去する第7の工程とを有することを特徴とする。
これにより、貫通孔が形成された支持基板および多孔質膜を有するため、樹脂材料中に含まれる気泡が簡便に除去され、ドライエッチング法によりインク室と凹部とを形成する際に、樹脂材料中に含まれる気泡の破裂による基板の損傷などを効果的に防止することができる。したがって、信頼性の高い液滴吐出ヘッドを製造することができる。また、多孔質膜を有するため、支持基板の母材と反対側の面への樹脂の貼り付きを防止することができ、当該樹脂を除去する工程を省くことができる。したがって、自動搬送により、簡便に液滴吐出ヘッドを形成することができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法では、前記第2の工程および前記第3の工程において、前記支持基板および前記多孔質膜は、それぞれ孔または凹部が形成されている台に設けられていることが好ましい。
これにより、支持基板および多孔質膜を水平に接合することができる。また、基板と、支持基板および/または多孔質膜とを平行に保つこともできる。さらに、台と多孔質膜の境面に空間ができるため、支持基板および多孔質膜を通過してきた樹脂材料中の気泡を、該空間を通して簡便かつ確実に除去することができる。
本発明の液滴吐出装置は、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法で製造された液滴吐出ヘッドを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い液滴吐出装置が得られる。
<第1の実施形態>
以下、本発明の基板の加工造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<インクジェットプリンタ>
まず、本発明の液滴吐出装置をインクジェットプリンタに適用した場合の実施形態について説明する。
図1は、本発明の液滴吐出ヘッドをインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態を示す分解斜視図であり、図2は、図1に示すインクジェット式記録ヘッドの平面図および断面図である。図3は、図1に示すインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。
図1に示すインクジェット式記録ヘッド1(以下、単に「ヘッド1」という。)は、図3に示すようなインクジェットプリンタ(本発明の液滴吐出装置)2に搭載されている。
図3に示すインクジェットプリンタ2は、装置本体22を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ221と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口222と、上部面に操作パネル27とが設けられている。
操作パネル27は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。
また、装置本体22の内部には、主に、往復動するヘッドユニット23を備える印刷装置(印刷手段)24と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置24に送り込む給紙装置(給紙手段)25と、印刷装置24および給紙装置25を制御する制御部(制御手段)26とを有している。
制御部26の制御により、給紙装置25は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録用紙Pは、ヘッドユニット23の下部近傍を通過する。このとき、ヘッドユニット23が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。すなわち、ヘッドユニット23の往復動と記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となって、インクジェット方式の印刷が行なわれる。
印刷装置24は、ヘッドユニット23と、ヘッドユニット23の駆動源となるキャリッジモータ241と、キャリッジモータ241の回転を受けて、ヘッドユニット23を往復動させる往復動機構242とを備えている。
ヘッドユニット23は、その下部に、多数のノズル孔321を備えるヘッド1と、ヘッド1にインクを供給するインクカートリッジ231と、ヘッド1およびインクカートリッジ231を搭載したキャリッジ232とを有している。
なお、インクカートリッジ231として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。
往復動機構242は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸243と、キャリッジガイド軸243と平行に延在するタイミングベルト244とを有している。
キャリッジ232は、キャリッジガイド軸243に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト244の一部に固定されている。
キャリッジモータ241の作動により、プーリを介してタイミングベルト244を正逆走行させると、キャリッジガイド軸243に案内されて、ヘッドユニット23が往復動する。そして、この往復動の際に、ヘッド1から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
給紙装置25は、その駆動源となる給紙モータ251と、給紙モータ251の作動により回転する給紙ローラ252とを有している。
給紙ローラ252は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ252aと駆動ローラ252bとで構成され、駆動ローラ252bは給紙モータ251に連結されている。これにより、給紙ローラ252は、トレイ221に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置24に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。なお、トレイ221に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
制御部26は、例えばパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等のホストコンピュータから入力された印刷データに基づいて、印刷装置24や給紙装置25等を制御することにより印刷を行うものである。
制御部26は、いずれも図示しないが、主に、各部を制御する制御プログラム等を記憶するメモリ、印刷装置24(キャリッジモータ241)を駆動する駆動回路、給紙装置25(給紙モータ251)を駆動する駆動回路、および、ホストコンピュータからの印刷データを入手する通信回路と、これらに電気的に接続され、各部での各種制御を行うCPUとを備えている。
また、CPUには、例えば、インクカートリッジ231のインク残量、ヘッドユニット23の位置等を検出可能な各種センサー等が、それぞれ電気的に接続されている。
制御部26は、通信回路を介して、印刷データを入手してメモリに格納する。CPUは、この印刷データを処理して、この処理データおよび各種センサーからの入力データに基づいて、各駆動回路に駆動信号を出力する。この駆動信号により印刷装置24および給紙装置25は、それぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷が行われる。
<インクジェット式記録ヘッド>
次に、本発明の液滴吐出ヘッドをインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態について説明する。以下、ヘッド1について、図1および図2を参照しつつ詳述する。
図1および図2に示すように、ヘッド1は、ノズルプレート320と、流路形成基板10と、弾性膜50と、弾性膜50上に設けられた圧電素子300と、リザーバ形成基板30と、リザーバ形成基板30上に設けられた駆動IC120とを備えている。なお、このヘッド1は、ピエゾジェット式ヘッドを構成する。
本実施形態では、流路形成基板10は、面方位(110)のシリコン単結晶基板で構成されているが、面方位(100)のシリコン単結晶基板で構成されていても良い。
また、その一方の面には、予め熱酸化により形成された二酸化シリコンで構成される厚さ1〜2μm程度の弾性膜50が設けられている。
流路形成基板10には、個別(複数)のインク室(圧力発生室)12がその幅方向に側壁11を介して並設されている。
また、インク室12の長手方向外側の領域には、連通部13が形成され、連通部13と各インク室12とが、各インク室12に設けられたインク供給路14を介して連通されている。
本実施形態では、連通部13および各インク供給路14により、後述する液滴吐出ヘッドの製造方法で説明するインク室に連通する凹部が構成されている。
なお、連通部13は、後述するリザーバ形成基板30に設けられたリザーバ部31と連通して個別のインク室12にインクを供給する共通のインク室として機能するリザーバ100の一部を構成する。
また、インク供給路14は、インク室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13からインク室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、絶縁膜51を介して、インク室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍で、各インク室12に対応して連通するノズル孔321がそれぞれ穿設されたノズルプレート320が、接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着(接合)されている。
なお、ノズルプレート320は、厚さが例えば、0.01〜1mm程度で、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]程度であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板または不錆鋼等で構成されている。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側の面には、上述したように、厚さが例えば1.0μm程度の弾性膜50が設けられている。
また、この弾性膜50上には、厚さが例えば、0.4μm程度の絶縁体膜55が形成されている。
さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、0.2μm程度の下電極膜60と、厚さが例えば、1.0μm程度の圧電体層70と、厚さが例えば、0.05μm程度の上電極膜80とが、この順で積層されて、液滴の吐出を制御する圧電素子(駆動素子)300を構成している。
すなわち、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70および上電極膜80を含む部分をいう。
本実施形態では、下電極膜60が圧電素子300の共通電極として形成され、上電極膜80が圧電素子300の個別電極として、圧電体層70とともに、各インク室12に対応する位置にパターニング(形成)されている。
なお、上電極膜80および圧電体層70により構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。また、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータという。
一般的には、下電極膜60および上電極膜80のうちいずれか一方の電極が共通電極として構成され、他方の電極および圧電体層70が各インク室12にパターニングして構成されていればよく、駆動回路や配線の都合で下電極膜60と上電極膜80との構成が逆になっていてもよい。いずれの場合においても、各インク室12に対応して圧電体能動部が形成されることになる。
また、本実施形態では、弾性膜50および絶縁体膜55が振動板として作用するが、この絶縁体膜55上に形成された下電極膜60も振動板としての役割を果たす。
下電極膜60は、インク室12の長手方向に対して、インク室12に対向する領域の内側でパターニングされ、かつ、複数のインク室12に対応する領域において、連続的に設けられている。
また、下電極膜60は、インク室12の列の外側の領域で流路形成基板10の端部近傍まで延設されている。そして、その先端部が後述する駆動IC120から延設された接続配線130を接続する接続部60aを構成している。
圧電体層70および上電極膜80は、基本的にはインク室12に対向する領域内に設けられているが、インク室12の長手方向では、インク室12に対向する領域よりも外側まで延設されており、下電極膜60のノズル孔321側の端面が圧電体層70により覆われている。
また、上電極膜80のノズル孔321側の端部近傍には、リード電極90が接続されている。このリード電極90は、流路形成基板10の端部近傍まで延設されており、その先端部が、下電極膜60の接続部60aと同様に、接続配線130を接続する接続部90aを構成している。
また、流路形成基板10の圧電素子300が設けられている面側と、リザーバ100の一部を構成するリザーバ部31を備えるリザーバ形成基板30とは、例えば、エポキシ系の接着剤のような接合部剤35aで構成される接着剤層35を介して接着(固着)されている。
本実施形態では、このリザーバ部31は、リザーバ形成基板30の厚さ方向に貫通するとともに、インク室12の幅方向に亘って形成されており、前述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各インク室12のリザーバ100を構成している。
なお、本実施形態では、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを接着剤層35により接着する場合について説明したが、このような場合に限定されず、密着性を有する金属等によりこれらの基板同士を接合(金属接合)するようにしてもよい。
また、連通部13とリザーバ部31とを連通する貫通部110のリザーバ部31側の開口周縁部と、リザーバ形成基板30のリザーバ部31の開口周縁部とが接着剤層35によって接着されるとともに、貫通部110の内側の縁部(内面)がこの接着剤層35により完全に覆われている。
なお、この貫通部110は、それぞれ、連通部13に対向する領域の弾性膜50、絶縁体膜55および下電極膜60を厚さ方向に貫通することで設けられている。
すなわち、貫通部110は、弾性膜50を貫通することで設けられた第1の貫通孔111と、絶縁体膜55を貫通することで設けられた第2の貫通孔112と、下電極膜60を貫通することで設けられた第3の貫通孔113とで構成されている。
そして、リザーバ部31内のインクは、貫通部110を介して連通部13に供給されるようになっている。
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の振動を阻害しない程度の空間が確保可能な圧電素子保持部32が設けられている。
圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に設けられているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。
なお、このようなリザーバ形成基板30の構成材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられ、これらの中でも、流路形成基板10の熱膨張率とほぼ同一の材料で構成されているのが好ましく、流路形成基板10と同一材料すなわち本実施形態ではシリコン単結晶で構成されているのがより好ましい。
また、下電極膜60の接続部60aおよびリード電極90の接続部90aは、圧電素子保持部32の外側に設けられている。そして、これら接続部60aおよび接続部90aに、リザーバ形成基板30上に実装された駆動IC120から延設される接続配線130の一端が接続されている。
さらに、リザーバ形成基板30上には、封止膜41および固定板42で構成されるコンプライアンス基板40が接合されている。
封止膜41は、厚さが例えば、6μm程度のポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムのような剛性が低く可撓性を有する材料で構成され、この封止膜41によってリザーバ部31の連通部13と連通するのと反対側の面が封止されている。
また、固定板42は、厚さが例えば、30μm程度のステンレス鋼(SUS)のような金属等の硬質の材料で構成されている。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100が可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このようなヘッド1では、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル孔321に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC120からの記録信号により、各インク室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加する。これにより、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60および圧電体層70にたわみが生じ、すなわち、振動板にたわみが生じることにより、各インク室12内の圧力が瞬間的に高まり、その結果、ノズル孔321からインク滴が吐出する。
1回のインクの吐出が終了すると、駆動IC120は、下電極膜60と上電極膜80との間への電圧の印加を停止する。これにより、圧電素子300は、ほぼ元の形状に戻り、インク室12の容積が増大する。なお、このとき、インクには、インクカートリッジ231からノズル孔321へ向かう圧力(正方向への圧力)が作用している。このため、空気がノズル孔321からインク室12へ入り込むことが防止され、インクの吐出量に見合った量のインクがインクカートリッジ231(リザーバ100)からインク室12へ供給される。
このようにして、ヘッド1において、印刷させたい位置の圧電素子300に、駆動ICを介して電圧を印加すること、すなわち、吐出信号を順次入力することにより、任意の(所望の)文字や図形等を印刷することができる。
なお、ヘッド1は、前述したような構成のものに限らず、例えば、駆動素子として圧電素子300に代えてヒータを備え、このヒータでインクを加熱して沸騰させ、それによって生じた圧力によりインクを液滴としてノズル孔321から吐出するように構成されたもの等であってもよい。
<インクジェット式記録ヘッドの製造方法>
以上のようなヘッド1は、例えば、次のようにして製造することができる。以下、ヘッド1の製造方法(本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法および基板の加工方法)の一例について説明する。
図4〜図10は、それぞれ、図1および図2に示すインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図4〜図10中の上側を「上」、下側を「下」という。
なお、本実施形態では、板状の流路形成母材10’として、ドライエッチング可能な、面方位(110)のシリコン単結晶基板を用いることとするが、面方位(100)のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよい。
[1] まず、図4(a)に示すように、流路形成母材10’を拡散炉で熱酸化することにより、流路形成母材10’の表面に弾性膜50および酸化膜51を構成する二酸化シリコン膜52を形成する。
流路形成母材10’の表面を熱酸化する際の雰囲気の温度は、800〜1500℃程度であるのが好ましく、1000〜1200℃程度であるのがより好ましい。
[2] 次に、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、例えば、ジルコニウム(Zr)層を形成した後、拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO)で構成される絶縁体膜55を形成する。
ジルコニウム層を熱酸化する際の雰囲気の温度は、500〜1200℃程度であるのが好ましく、600〜900℃程度であるのがより好ましい。
[3] 次に、図4(c)に示すように、絶縁体膜55上に、例えば、白金およびイリジウムのような金属材料をこの順で積層して積層体を形成する。
その後、この積層体を所定の形状にパターニングすることにより下電極膜60を形成する。
これらの金属材料の積層には、それぞれ、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法等を用いることができる。
また、前記積層体のパターニングには、例えば、ドライエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウエットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、この下電極膜60の形成の際に、流路形成基板10の連通部13が形成される領域と対向(接触)する部分の積層体を除去して第3の貫通孔113を形成しておく。
[4] 次に、図4(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等で構成される第1の金属層70’と、例えば、イリジウム等で構成される第2の金属層80’とを流路形成母材10’の一方の面側の全面に順次積層する。
そして、図4(e)に示すように、積層された第1の金属層70’および第2の金属層80’を、後工程[8]で形成される各インク室12の位置に対応するようにパターニングして圧電体層70および上電極膜80を形成して、圧電素子300を得る。
なお、第1の金属層70’および第2の金属層80’の形成、および、第1の金属層70’および第2の金属層80’のパターニングには、前記工程[3]の積層体のパターニングで説明したのと同様の方法を用いることができる。
[5] 次に、リード電極90を形成する。
具体的には、図5(a)に示すように、流路形成母材10’の一方の面側の全面に亘って、例えば、チタンタングステン(TiW)やニッケルクロム(NiCr)のような密着性を有する金属で構成される密着層91を形成し、この密着層91上の全面に、例えば、金(Au)等で構成される金属層92を形成する。
そして、図5(b)に示すように、密着層91および金属層92を各圧電素子300に対応するようにパターニングしてリード電極90を形成する。
なお、密着層91および金属層92の形成、および、リード電極90のパターニングには、前記工程[3]の金属材料の積層、および、積層体のパターニングで説明したのと同様の方法を用いることができる。
[6] 次に、貫通部110を形成する。
具体的には、図5(c)に示すように、まず、連通部13が形成される領域に対向する部分、すなわち、第3の貫通孔113内に露出した絶縁体膜55を除去して第2の貫通孔112を形成する。
次に、この第2の貫通孔112内に露出した弾性膜50を除去して第1の貫通孔111を形成する。
これにより、第1〜第3の貫通孔111,112,113で構成され、階段状の縁部を有する貫通部110が形成される。
なお、絶縁体膜55および弾性膜50の除去には、前記工程[3]の積層体のパターニングで説明したのと同様の方法を用いることができる。
[7] 次に、図6に示すように、流路形成母材10’の圧電素子300が設けられている側の面とリザーバ形成基板30とを接合部剤35aにより接着する。
これにより、貫通部110の内側の縁部に接合部剤35aで構成される接着剤層35が形成される。その結果、流路形成母材10’とリザーバ形成基板30とが接着剤層35を介して接着される。
[8] 次に、ドライエッチング法を用いて、流路形成母材10’に、インク室12と、インク供給路14および連通部13により構成される凹部とを形成して、流路形成基板10を得る。この流路形成母材10’の加工(エッチング)に、本発明の基板の加工方法および液滴吐出ヘッドの製造方法が適用される(以下、インク室12と、インク供給路14と、連通部13とを総称して、「インク流路」ということもある。)。
すなわち、流路形成母材10’にインク流路を形成するヘッド1の製造方法は、複数の構造体36同士の間の空間に、液状または半固形状の樹脂材料38を付与する第1の工程と、複数の貫通孔392が形成された支持基板39を樹脂材料38に接合する第2の工程と、気体は透過するが前記樹脂材料は透過しない多孔質膜44を、貫通孔392を覆うように支持基板39に接合する第3の工程と、貫通孔392および多孔質膜44の孔442を介して樹脂材料38中に含まれる気泡を除去する第4の工程と、樹脂材料38を固化する第5の工程と、流路形成母材10’の上面に対してドライエッチングを施すことより複数のインク室と、該インク室に連通する凹部とを形成する第6の工程と、母材10’から樹脂材料38と、支持基板39と、多孔質膜44とを除去する第7の工程とを有する。
なお、本実施形態では、流路形成母材10’の弾性膜50側の面に設けられている弾性膜50、絶縁体膜55、リード電極90、接着剤層35、リザーバ形成基板30および圧電素子300により構造体36が構成されている。
以下、本発明であるヘッド1の製造方法を、図7から図10を用いて詳述する。
[8−1]第1の工程
まず、図7(a)に示すように、母材10’の一方の面側(図7(a)の下側)に、液状または半固形状の樹脂材料38を付与する。これにより、母材10’の一方の面側に設けられた複数の構造体36同士の間の空間37に、樹脂材料38が充填される。
ここで、樹脂材料38は、後工程[8−6]におけるドライエッチング(所定の処理)を施す際に、流路形成母材10’に温度ムラが生じるのを防止もしくは低減する機能、または構造体36を保護する機能を有する。
なお、樹脂材料38は、前記機能を発揮し得るように充填されていればよく、本実施形態のように、空間37および流路形成母材10’を覆うように充填されていてもよいし、空間37の一部に充填されていてもよい。
このような樹脂材料38は、例えば、ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、もしくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテンのようなポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂、ポリパラキシリレン、ベンゾシクロブテン、ポリビニルフェノールのような芳香族系樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる他、ネガ型およびポジ型のレジスト材料が挙げられる。
また、樹脂材料38には、金属粒子が含まれていてもよい。これにより、樹脂材料38の熱伝導率を向上させることができることから、樹脂材料38への金属粒子の充填量およびその種類を適宜設定することにより、樹脂材料38の熱伝導性を比較的容易に制御することができる。すなわち、樹脂材料38の熱容量と構造体36の熱容量との差が小さくなるように比較的容易に制御することができる。
金属粒子としては、特に限定されないが、例えば、Al、Zn、Sn、Li、Be、Na、Mg、K、Ca、Sr、Cr、Mn、Co、Ni、Ga、Hf、Ta、In、Ti、Cu、Ag、Au、Fe、Pt等の元素(原子)のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
金属粒子の粒径は、その平均粒径が5〜200nm程度であるのが好ましく、10〜50nm程度であるのがより好ましい。これにより、金属粒子を樹脂材料38中に分散させて、樹脂材料38の熱伝導率の向上を確実に図ることができる。
また、このような樹脂材料38は、導電性を有するものを用いるのが好ましい。これにより、後工程[8−6]において、構造体36が設けられた流路形成母材10’をチャンバ内に設置する際に、静電チャック等により静電力を利用して流路形成母材10’と非接触な状態で、チャンバ内に固定することができるという利点が得られる。
このような導電性を有する樹脂材料としては、前述したような樹脂材料38に金属粒子を添加したものの他、例えば、金属アンミン錯体、金属シアノ錯体、金属ハロゲノ錯体のような金属錯体や、ポリチオフェン系化合物、カルバゾール系化合物、アリールアミン系化合物、トリアゾール系化合物のような導電性有機材料を樹脂材料38に添加したもの等が挙げられる。
このような樹脂材料38は、液体状または半固形状のものが用いられる。これにより、構造体36を損傷することなく母材10’に樹脂材料38を付与することができ、構造体36を確実に保護することができる。
樹脂材料38は液体状または半固形状のものであるため、母材10’の構造体36側の面にそのまま付与してもよいが、溶媒や分散媒と混合して付与してもよい。
この場合、用いられる溶媒または分散媒としては、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
樹脂材料38の付与は、例えば、樹脂材料38を含む溶液または分散液を空間37に塗布(供給)した後、溶媒または分散媒を除去することにより行うことができる。
樹脂材料38を含む溶液または分散液を塗布する方法としては、例えば、インクジェット法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法のような各種塗布法が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、樹脂材料38を付与する際の雰囲気は、大気圧下であってもよいが、減圧下であるのが好ましい。これにより、空間37中に樹脂材料38を確実に入り込ませて、気泡が残存するのを好適に防止または抑制することができる。
具体的には、雰囲気の圧力は、100Pa〜5KPa程度であるのが好ましく、100Pa〜1KPa程度であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果をより確実に発揮させることができる。
[8−2]第2の工程
図7(b)に示すように、複数の貫通孔392が設けられている支持基板39を樹脂材料38に接合する。
ここで、図9(a)に支持基板39を模式的に示す平面図、図9(b)に図9(a)のA−A線での断面図を示す。
図9(a)、(b)に示すとおり、支持基板39は、樹脂材料38との貼り合わせ面391の全面に、裏側の面まで貫通する貫通孔392が形成されている。そして、支持基板39は、母材10’に設けられている構造体36の保護または構造体36を含む母材10’を支持する機能を有する。
このような支持基板39の材料は、特に限定されないが、例えば、シリコン、ガラスまたはアルミニウムや亜鉛などの金属材料などが挙げられる。このうち、貫通孔392を簡便に形成できるシリコンまたはガラスが好ましい。
支持基板39の厚さは、0.5〜2mmであることが好ましく、0.7〜1mmであることがより好ましい。これにより、母材10’を確実に保護または支持することができる。
なお、支持基板39の形状は、母材10’を支持できれるものであれば特に問わないが、母材10’の全体を包含する平面形状であることが好ましい。これにより、確実に母材を支持し、構造体36を保護することができる。
貼り合わせ面391は、樹脂材料38と接合される面であるが、貫通孔392を有しているため、その裏側の面を樹脂材料38に接合してもよい。
貫通孔392は、支持基板39に複数形成されている。そして、貫通孔392は、樹脂材料38中に含まれる気泡を外部へ排出する機能を有する。
貫通孔392の形状は特に問わないが、貫通孔392の径は、0.1〜1mmが好ましく、0.2〜0.5mmがより好ましい。これにより、効率的に支持基板39と樹脂材料38の間や樹脂材料38中に混入している気泡を除去することができる。また、支持基板39が適切な強度を持つため、母材10’の支持をすることができる。
なお、貫通孔392は、支持基板39に均一に分散して形成されているのがよい。
支持基板39の樹脂材料38への接合は、支持基板39を樹脂材料38に接触して加圧することにより行うことができる。これにより、樹脂材料38が未固化の状態で接合することができる。支持基板39と多孔質膜44との接触は、減圧下で行うことが好ましい。これにより、樹脂中の気泡をより迅速に外部に除去することができる。具体的な圧力は、[8−1]の第1の工程で説明したのと同様である。
[8−3]第3の工程
次に、図7(c)に示すように、気体は透過するが前記樹脂材料38は透過しない多孔質膜44を貫通孔392を覆うように支持基板39に接合する。
ここで、図10は、多孔質膜44を模式的に示す平面図である。
図10に示すとおり、多孔質膜44は、樹脂材料38との貼り合わせ面441の全面に、複数の孔442が設けられている。そして、多孔質膜44は、支持基板39の保護、および支持基板39の母材10’と反対側の面への樹脂材料38の付着を防止する機能を有する。
このような多孔質膜44は、気体は透過するが前記樹脂材料は透過しない気体透過性の有機膜または無機膜などが挙げられる。具体的には、気体透過性の有機膜として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。無機膜として、セラミック(アルミナ)などが挙げられる。これらのうち、気体透過性の優れる気体透過性の有機膜が好ましく、PTFEがより好ましい。多孔質膜44を有機膜とすることにより、確実に孔442から樹脂材料38は通さず、樹脂材料38中の気泡のみを除去することができる。特にPTFEにすることにより、かかる効果を顕著に発揮することができる。
多孔質膜44の厚さは、0.05〜0.5mmであることが好ましく、0.05〜0.1mmであることがより好ましい。これにより、支持基板39の貫通孔392を通ってきた気泡を迅速に除去することができる。
貼り合わせ面441は、支持基板39と接合される面であるが、孔442を有しているため、その裏側の面を支持基板39に接合してもよい。
孔442は、多孔質膜44に複数形成され、連続孔を形成している。そして、孔442は、多孔質膜44と支持基板39との間、支持基板39と樹脂材料38との間および樹脂材料38中に含まれる気泡を外部へ排出する機能を有する。
孔442の空孔率は、50〜80%であることが好ましく、70〜80%であることがより好ましい。この範囲であれば、樹脂材料38中に含まれる気泡を確実に除去することができる。
孔442の形状は特に問わないが、孔442の径(平均)は、0.1〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。樹脂材料38に含まれる気泡は、支持基板39の貫通孔392を通過して、多孔質膜44に到達し、樹脂材料38に押されて多孔質膜44で破泡する。そして、その破泡した気泡は、孔442から排出される。このとき、孔442の径が上記範囲内であれば、気泡のみを確実に排出することができる。また、樹脂材料38が、支持基板39の貫通孔392を通って、支持基板39の母材10’との反対側の面に貼りつくことを防止することができる。
なお、孔442は、多孔質膜44に均一に分散して形成されているのがよい。
多孔質膜44の支持基板39への接合は、貫通孔392を覆うように接合する。
例えば、図7(c)に示す、枠部材46のような取り付け手段によって行うことができる。具体的には、枠部材46に多孔質膜44を設置して、その上から母材10’に接合された支持基板39を接合する。このとき、枠部材46の網状部材461を押圧することで、多孔質膜44と支持基板39を接合することができる。
また、支持基板39の多孔質膜44への接着面に、あらかじめ接着剤を塗布しておくことにより、その接着剤を介した状態で多孔質膜44と支持基板39とを接合することもできる。なお、支持基板39と多孔質膜44を接合する接着剤は、接合部材35aと同様の材料が用いられる。
[8−4]第4の工程
次に、貫通孔392および多孔質膜44の孔442を介して樹脂材料38中の気泡を除去する。
樹脂材料38中に含まれる気泡の除去は、[8−3]の第3の工程で得られた、構造体36を有する母材10’と樹脂材料38と支持基板39と多孔質膜44との接合体(以下、単に「接合体」という。)を減圧雰囲気下に置くことにより行われる。すなわち、例えば、所定のチャンバ内に接合体を設置し、チャンバ内を減圧することにより、樹脂材料38中に含まれる気泡が貫通孔392および多孔質膜44の孔442を通過して、外部に排出される。これにより、迅速かつ確実に樹脂材料38中に含まれる気泡を外部に排出することができる。よって、基板の加工方法における、樹脂材料38中に含まれる気泡の破裂による基板の損傷などを防止することができる。
このとき、チャンバ内の圧力は、10Pa〜5KPaであることが好ましく、10Pa〜100Paであることが好ましい。これにより、確実かつ迅速に樹脂材料38中の気泡を除去することができる。
また、気泡を除去する時間は、1〜10分であることが好ましく、3〜10分であることがより好ましい。これにより、確実に樹脂材料38中の気泡を除去することができる。
[8−5]第5の工程
次に、樹脂材料38を固化する。その方法は、樹脂材料38の種類によって異なる。
樹脂材料38が熱硬化性樹脂の場合には、加熱や光照射等によって固化させることができる。
加熱の場合は、例えば、接合体をホットプレートやオーブンなどで加熱することにより、樹脂材料38を固化させることができる。加熱温度は、樹脂の種類によっても異なるが、50〜200℃あることが好ましく、100〜200℃であることがより好ましい。これにより、確実に樹脂材料38を固化させることができる。
また、加熱時間は、樹脂の種類によっても異なるが、1〜30分であることが好ましく、15〜30分であることがより好ましい。これにより、確実に樹脂材料38を固化させることができる。
光照射の場合は、例えば、接合体の樹脂材料38に紫外線などを照射することにより、樹脂材料38を固化させることができる。紫外線の照射時間は、樹脂の種類によっても異なるが、1〜5分であることが好ましく、3〜5分であることがより好ましい。これにより、確実に樹脂材料38を固化させることができる。
樹脂材料38が熱可塑性樹脂の場合には、例えば、樹脂材料38中の溶媒または分散媒を除去することにより行われる。具体的には、接合体を減圧雰囲気下に置くことにより行われる。すなわち、例えば、所定のチャンバ内に接合体を設置し、チャンバ内を減圧することにより、樹脂材料38中に溶媒または分散媒が貫通孔392および多孔質膜44の孔442を通過して、外部に排出される。
このとき、溶媒または分散媒を除去する条件は、チャンバ内の圧力は、100Pa〜5KPaであることが好ましく、100Pa〜1KPaであることが好ましい。これにより、確実かつ迅速に樹脂材料38中の溶媒または分散媒を除去することができ、樹脂材料38を固化することができる。固化時間は、1〜30分であることが好ましく、15〜30分であることがより好ましい。これにより、確実に樹脂材料38中の溶媒または分散媒を除去することができ、樹脂材料38を固化することができる。
このような減圧下での溶媒または分散媒の除去による固化は、[8−4]の第4の工程の気泡の除去に連続して(例えば、同一のチャンバ内で)行うことができる。これにより、例えば、第4の工程の後、チャンバ内から接合体を取り出して、第5の工程に供するなどの操作を不要とし、第4の工程の後、圧力を変えるだけで第5の工程を行うことができる。したがって、基板加工の操作を簡略化することができる。
また、気泡の除去と固化とを連続して行う場合、それらは一部重複して進行してもよい。すなわち、気泡の除去が終了する前に固化が始まってもよい。これにより、第4の工程の終了前から第5の工程が始まるため、第4の工程と第5の工程に要する時間が短縮され、基板を容易かつ迅速に加工することができる。
樹脂材料38が、ネガ型またはポジ型のレジスト材料の場合には、例えば、熱可塑性樹脂の場合と同様に、減圧下で乾燥させることにより、固化させることができる。
[8−6]第6の工程
次に、図8(a)、(b)に示すように、母材10’の構造体36が設けられた面と反対の面側に、パターンを加工する。すなわち、流路形成母材10’の上面に対してドライエッチングを施すことより複数のインク室と、該インク室に連通する凹部とを形成する。
まず、酸化膜51上に、インク室12、連通部13およびインク供給路14を形成する領域に対応した開口部を有するレジスト層(マスク)56を形成する。
レジスト層56は、例えば、フォトリソグラフィー法等により得ることができる。
具体的には、酸化膜51上に、レジスト材料を塗布(供給)した後、インク室12、連通部13およびインク供給路14の形状に対応したフォトマスクを介してこのレジスト材料を、i線、紫外線および電子線等により露光・現像することにより得ることができる。
レジスト材料およびレジスト材料を塗布する方法としては、前記工程[8−1]で説明したレジスト材料、および、樹脂材料を含む溶液または分散液を塗布する方法と同様のものを用いることができる。
なお、レジスト層56は、レジスト材料を主材料として構成される場合に限定されず、例えば、レジスト層56は、レジスト層56の下層として金属層を備える積層体であってもよい。
これにより、当該レジスト層56をマスクとして用いて、ドライエッチング法によりインク流路を形成する際に、流路形成母材10’をエッチング(加工)するのにしたがって、このレジスト層56もエッチングされるのをより好適に防止または抑制して、より寸法精度の優れたインク流路を形成することができる。
このような金属層としては、例えば、Al、Cu、Fe、NiおよびCrのうちの少なくとも1種を主材料とするものが挙げられる。
なお、金属層は、酸化膜51上のほぼ全面に金属膜を形成し、さらにこの金属膜上に前述したような方法でレジスト層56を形成した後、レジスト層56をマスクとして用いて、ウエットエッチング法により、この金属膜をレジスト層56と同様の形状にエッチングすることにより得ることができる。
なお、ウエットエッチング法に用いるエッチング液としては、例えば、NaOH、KOHのようなアルカリ金属水酸化物の水溶液、Mg(OH)のようなアルカリ土類金属水酸化物の水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの水溶液、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系有機溶媒等が挙げられ、これらを単独または混合して用いることができる。
次に、図8(b)に示すように、流路形成母材10’の上側の面に対して、ドライエッチング法を用いて、インク室12と、連通部13およびインク供給部14で構成される凹部とを形成して、流路形成基板10を得る。
なお、本実施形態では、振動板の連通部13に対向する領域には、貫通部110が設けられているため、このドライエッチングにより連通部13が形成されると、貫通部110を介して連通部13とリザーバ部31とが連通されることにより、リザーバ100が形成される。
ドライエッチング法は、チャンバと、チャンバ内にプラズマ発生用ガスを導入するための第1の導入バルブと、流路形成母材10’を冷却する冷却媒体ガスを導入するための第2の導入バルブと、チャンバ内に対向するように設けられた一対の電極と、一方の電極側に設置された流路形成母材10’を冷却媒体ガスが通過可能な連通孔を通じて冷却する冷却板と、流路形成母材10’を固定するための設置台とを備えたドライエッチング装置を用いて行うものである。
すなわち、ドライエッチング法は、一方の電極と構造体36とが対向するように流路形成母材10’を、この電極側に設けられた設置台にセットし、チャンバ内を減圧する。そして、第2の導入バルブから導入した冷却媒体ガスを流路形成母材10’の下側に吹き付けて冷却板および冷却媒体ガスの温度を伝えて冷却し、かつ、第1の導入バルブから導入したプラズマ発生用ガスを一対の電極間に供給した状態で、この電極間に高周波電圧を印加するものである。これにより、電極間の間でプラズマが発生し、これにより生じたイオンや電子がレジスト層56を備える流路形成母材10’の上面に衝突することによりインク室12および凹部(インク流路)が形成されて、流路形成基板10が得られる。
プラズマ発生用ガスとしては、例えば、フッ素系ガス、塩素および臭素のうちの少なくとも1種を含有するハロゲン系ガス等が挙げられるが、本実施形態のように流路形成母材10’がシリコン単結晶で構成される場合には、SF、C、CBrF、CF/O、Cl、SF/N/Ar、BCl/Cl/Arガスを用いるのが好ましく、特に、SFおよびCガスのうちのいずれかを単独で、またはこれらの混合ガスを用いるのが好ましい。これにより、流路形成母材10’のエッチングを効率よく行うことができる。
[8−7]第7の工程
最後に、図8(c)に示すように、母材10’からレジスト層56、樹脂材料38、支持基板39および多孔質膜44を同時または個別に除去する。
なお、レジスト層56の構成材料、および、樹脂材料38の構成材料として、それぞれ、前述したようなもののうち、ほぼ同様の化学的性質を有するものや、同一のものを選択した場合には、レジスト層56および樹脂材料38を同時に除去することができる。
このようなレジスト層56および樹脂材料38の除去は、例えば、大気圧または減圧下において酸素プラズマやオゾン蒸気に晒すこと、または、これらのものを溶解し得るアセトン、アルキルベンゼンスルホン酸のような溶解液または剥離液に浸漬することにより、レジスト層56および樹脂材料38の全てまたはその一部を液状化することにより行うことができる。
[9] ノズルプレート接合工程
次に、酸化膜51を介して、インクを液滴として吐出するノズル孔321が複数設けられたノズルプレート320を流路形成基板10の他方の面側に接合する。
[10] 次に、リザーバ形成基板30上に駆動IC120を実装すると共に、コンプライアンス基板40を接合する。さらに、駆動IC120と下電極膜60およびリード電極90の接続部60a,90aとの間を、ワイヤボンディングすることにより接続配線130を形成する。
以上のような工程を経て、ヘッド1が製造される。
なお、このようなヘッド1は、上述したような製造方法により1つずつ形成されるものであってもよいし、ウェハ上に、同時に多数形成した後、分割することにより得られるものであってもよい。
<第2実施形態>
本発明の基板の加工方法および液滴吐出ヘッドの製造方法について、インクジェット式記録ヘッドの製造方法に適用した場合の第2の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第3の工程の多孔質膜44の接合方法を説明するための図(縦断面図)である。
以下、この図を参照して本発明の基板の加工方法およびインクジェット式記録ヘッドの製造方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
なお、以下の説明では、図11中の上側を「上」、下側を「下」という。
本実施形態は、本発明の第3の工程の多孔質膜44を接合するにおいて、台45を用いた点が相違する。
図11は、複数の台貫通孔451を有する台45上に、あらかじめ多孔質膜44を設置し、その上から、図7(b)で示される、支持基板39を有する母材10'を接合する方法を示している。
図11に示すような方法により、多孔質膜44を水平に接合することができる。また、支持基板39の貫通孔392からはみ出る樹脂材料38の台45への付着、および支持基板39の台45の面側への付着を防止することができる。したがって、台45上に付着した樹脂材料38や支持基板39からはみ出た樹脂材料38を除去することなく、ヘッド1の製造をすることができ、製造の簡易化を図ることができる。
さらに、台45に台貫通孔451が設けられているため、多孔質膜44と支持基板39を接合した際に、台45と多孔質膜44の界面に空間が生じる。したがって、樹脂材料38中に含まれる気泡が支持基板39の貫通孔392と多孔質膜44の孔442を通過して台45に到達した場合であっても、当該気泡を外部へ容易に除去することができる。
このような台45は、平板状で、台貫通孔451を有している。そして、台45は、多孔質膜44を支持基板39に水平に接合する機能、樹脂材料38中に含まれる気泡を排出する機能を有する。
なお、このような台45は、各種樹脂材料、金属材料、セラミックス材料など、いかなる材料であってもよい。
台貫通孔451は、台45に複数存在する。そして、樹脂材料38中に含まれる気泡を外部へ排出する機能を有する。
台貫通孔451の形状は特に問われなが、台貫通孔451の径は、0.1mm〜1mmが好ましい。これにより、樹脂材料38中の気泡を効率的に排出することができる。
また、上記のように接合体をチャンバ内に設置して、減圧雰囲気下で樹脂材料38中の気泡を除去することに限られず、台45の多孔質膜44と接する面と反対側の面の台貫通孔451を直接吸引して樹脂材料38中の気泡を除去することもできる。これにより、より簡便に樹脂材料38中に含まれる気泡を除去することができる。
<第3実施形態>
本発明の基板の加工方法および液滴吐出ヘッドの製造方法について、インクジェット式記録ヘッドの製造方法に適用した場合の第3の実施形態について説明する。
図12は、本発明の第2の工程の支持基板39および第3の工程の多孔質膜44の接合方法を説明するための図(縦断面図)でる。
以下、この図を参照して本発明の基板の加工方法およびインクジェット式記録ヘッドの製造方法の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
なお、以下の説明では、図12中の上側を「上」、下側を「下」という。
本実施形態は、支持基板39の貫通孔392内にも多孔質膜44を設けること以外は前記第1の実施形態と同様である。
図12は、支持基板39の貫通孔392内にも多孔質膜44が設けられていることを示している。このように、貫通孔392内にも多孔質膜44が設けられていることにより、多孔質膜44が貫通孔392内の樹脂材料38に押されてたわむことにより、樹脂材料38がはみ出して支持基板39の母材10’と反対側の面(多孔質膜44との貼り合わせ面)に付着することをより確実に防止することができる。また、多孔質膜44の一部が支持基板39の貫通孔392に設けられているため、支持基板39に対して、面方向のズレを防止することができる。
多孔質膜44の支持基板39への接合は、支持基板39の貫通孔392と同間隔で形成された複数の凸部を有する多孔質膜44を用意し、該凸部が貫通孔392に嵌合するように第1実施形態と同様の方法で接合することができる。
また、予め貫通孔392内にのみ多孔質膜44を設けた支持基板39を用意し、それを用いることで、樹脂材料38に支持基板39を接合することもできる。
この方法により、第2の工程および第3の工程を1度に行うことができるため、ヘッド1の製造工程を1工程削減することができ、簡便かつ迅速にヘッド1を製造することができる。
<その他の実施形態>
上記各実施形態では、構造体としては、圧電素子(駆動素子)を備える駆動素子構造体を含むものを一例に説明したが、このような場合に限定されず、例えば、構造体は、配線、端子、絶縁体または光学素子等であってもよい。
また、上記第2実施形態では、台45上に多孔質膜44を設置して支持基板39を接合する例を説明したが、第2工程において、台45上に支持基板39を設置して樹脂材料38を接合することもできる。そしてその後、支持基板39が接合した母材10’を取り出し、台45に多孔質膜44を設置し、第2実施形態と同様な方法で接合体を得ることができる。これにより、支持基板39を樹脂材料38に水平に接合することができる。
また、多孔質膜44と支持基板39を予め接合したものを台45上に設置し、その上から、図7(a)で示される、樹脂材料38が付与された母材10'を接合してもよい。
このような方法により、上記各実施形態で説明した効果が得られることに加え、支持基板39と多孔質膜44を一度に樹脂材料38に接合することができるので、ヘッド1の製造工程を1工程削減することができ、簡便かつ迅速にヘッド1を製造することができる。
また、上記第2実施形態では、台45に台貫通孔451を有していたが、台貫通孔451の代わりに凹部であってもよい。この場合、台を貫通していなければ大きさは特に限定されない。台45に凹部を形成することにより、第2実施形態と同様の効果を有する。
本発明の基板の加工方法は、上記各実施形態のインクジェット式記録ヘッド1が備える基板の製造に適用できる他、例えば、振動子、センサーおよびジャイロ等が備える基板の製造方法やMEMS分野に適用することができる。
以上、本発明の基板の加工方法、液滴吐出ヘッドの製造方法および液滴吐出装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、化学的気相成長法(CVD法)により板状の母材に成膜して基板を製造する際等に適用することができる。
また、本発明の基板の加工方法および液滴吐出ヘッドの製造方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよい。
インクジェット式記録ヘッドの実施形態を示す分解斜視図である。 インクジェット式記録ヘッドの実施形態を示す平面図および断面図である。 インクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。 インクジェット記録式ヘッドの製造方法を説明するための図である。 インクジェット記録式ヘッドの製造方法を説明するための図である。 インクジェット記録式ヘッドの製造方法を説明するための図である。 インクジェット記録式ヘッドの製造方法を説明するための図である。 インクジェット記録式ヘッドの製造方法を説明するための図である。 支持基板を示す平面図および断面図である。 多孔質膜を示す平面図である。 インクジェット記録式ヘッドの製造方法を説明するための図である。 インクジェット記録式ヘッドの製造方法を説明するための図である。
符号の説明
1……インクジェット式記録ヘッド 10’……流路形成母材 10……流路形成基板 11……側壁 12……インク室 13……連通部 14……インク供給路 320……ノズルプレート 321……ノズル孔 30……リザーバ形成基板 31……リザーバ部 32……圧電素子保持部 35……接着剤層 35a……接合部剤 36……構造体 37……空間 38……樹脂材料 39……支持基板 391……貼り合わせ面 392……貫通孔 40……コンプライアンス基板 41……封止膜 42……固定板 43……開口部 44……多孔質膜 441……貼り合わせ面 442……孔 45……台 451……台貫通孔 46……枠部材 461……網状部材 50……弾性膜 51……酸化膜 52……二酸化シリコン膜 55……絶縁体膜 56……レジスト層 60……下電極膜 60a、90a……接続部 70……圧電体層 70’……第1の金属層 80……上電極膜 80’……第2の金属層 90……リード電極 91……密着層 92……金属層 100……リザーバ 110……貫通部 111……第1の貫通孔 112……第2の貫通孔 113……第3の貫通孔 120……駆動IC 130……接続配線 300……圧電素子 2……インクジェットプリンタ 22……装置本体 221……トレイ 222……排紙口 23……ヘッドユニット 231……インクカートリッジ 232……キャリッジ 24……印刷装置 241……キャリッジモータ 242……往復動機構 243……キャリッジガイド軸 244……タイミングベルト 25……給紙装置 251……給紙モータ 252……給紙ローラ 252a……従動ローラ 252b……駆動ローラ 26……制御部 27……操作パネル P……記録用紙

Claims (14)

  1. 基板の一方の面側に、液状または半固形状の樹脂材料を付与する第1の工程と、
    前記樹脂材料に、複数の貫通孔が形成された支持基板を接合する第2の工程と、
    前記支持基板に、気体は透過し前記樹脂材料は透過しない多孔質膜を、前記貫通孔を覆うように接合する第3の工程と、
    前記貫通孔および前記多孔質膜の孔を介して前記樹脂材料中に含まれる気泡を除去する第4の工程と、
    前記樹脂材料を固化する第5の工程と、
    前記基板の他方の面側に所定のパターンを形成する第6の工程と、
    前記基板から、前記樹脂材料と、前記支持基板と、前記多孔質膜とを除去する第7の工程とを有することを特徴とする基板の加工方法。
  2. 前記第2の工程および前記第3の工程において、前記支持基板および前記多孔質膜は、それぞれ台に設けられている請求項1に記載の基板の加工方法。
  3. 前記台は、孔または凹部が形成されている請求項2に記載の基板の加工方法。
  4. 前記支持基板の貫通孔の直径は、0.1〜1mmである請求項1ないし3のいずれかに記載の基板の加工方法。
  5. 前記多孔質膜は、気体透過性を有する有機膜または無機膜である請求項1ないし4のいずれかに記載の基板の加工方法。
  6. 前記気体透過性の有機膜は、ポリテトラフルオロエチレンである請求項5に記載の基板の加工方法。
  7. 前記多孔質膜孔の直径は、0.1〜100μmである請求項1ないし6のいずれかに記載の基板の加工方法。
  8. 前記第4の工程において、前記第3の工程で得られた接合体を減圧雰囲気下に置くことにより、前記樹脂材料中に含まれる気泡を除去する請求項1ないし7のいずれかに記載の基板の加工方法。
  9. 前記第4の工程において、前記第3の工程で得られた接合体が設けられている前記台の前記孔または前記凹部から吸引を行うことにより、前記樹脂材料中に含まれる気泡を除去する請求項3に記載の基板の加工方法。
  10. 前記第5の工程は、前記樹脂材料中から溶媒または分散媒を除去することにより行われる請求項1ないし9のいずれかに記載の基板の加工方法。
  11. 前記第5の工程は、前記第4の工程に連続して、または第4の工程と一部重複して行われる請求項10に記載の基板の加工方法。
  12. 液滴を吐出するための駆動素子を含む複数の構造体が一方の面側に設けられた板状の母材の他方の面側に対して、ドライエッチングを施すことにより液滴吐出ヘッドを製造する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記複数の構造体の間の空間に、液状または半固形状の樹脂材料を付与する第1の工程と、
    前記樹脂材料に、複数の貫通孔が形成された支持基板を接合する第2の工程と、
    前記支持基板に気体は透過し前記樹脂材料は透過しない多孔質膜を、前記貫通孔を覆うように接合する第3の工程と、
    前記貫通孔および前記多孔質膜の孔を介して前記樹脂材料中に含まれる気泡を除去する第4の工程と、
    前記樹脂材料を固化する第5の工程と、
    前記板状の母材の他方の面に、ドライエッチングを施すことより複数のインク室と、該インク室に連通する凹部とを形成する第6の工程と、
    前記母材から、前記樹脂材料、前記支持基板および前記多孔質膜を除去する第7の工程とを有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  13. 前記第2の工程および前記第3の工程において、前記支持基板および前記多孔質膜は、それぞれ孔または凹部が形成されている台に設けられている請求項12に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  14. 請求項12または13に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法で製造された液滴吐出ヘッドを備えることを特徴とする液滴吐出装置。
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