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JP2008091786A - 電気二重層キャパシタ用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電気二重層キャパシタ Download PDF

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JP2008091786A JP2006273238A JP2006273238A JP2008091786A JP 2008091786 A JP2008091786 A JP 2008091786A JP 2006273238 A JP2006273238 A JP 2006273238A JP 2006273238 A JP2006273238 A JP 2006273238A JP 2008091786 A JP2008091786 A JP 2008091786A
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裕士 菅野
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Abstract

【課題】難燃性が高くサイクル特性に優れた電気二重層キャパシタ用非水電解液の提供。
【解決手段】次式(I):(NPR1 2)n ・・・ (I)[R1はハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基;nは3〜4]の環状ホスファゼン化合物及び次式(II):
Figure 2008091786

[R2はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ置換アルキル基又はアリール基]のジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と、次式(III):
Figure 2008091786

[R3は炭素数1〜2のアルキル基又はフェニル基、R4はアリル基又はビニル基、R3及びR4は互いに結合して環を形成してもよい]の化合物及び次式(IV):
Figure 2008091786

[R5は炭素数1〜2のアルキル基、R6は炭素数2〜4のアルケニル基又はプロパルギル基、R5及びR6は互いに結合して環を形成してもよい]の化合物の少なくとも一種と、支持塩とを含む電気二重層キャパシタ用非水電解液。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気二重層キャパシタ用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電気二重層キャパシタに関し、特に高い難燃性を有する電気二重層キャパシタ用非水電解液及び十分なキャパシタ性能を有する非水電解液電気二重層キャパシタに関するものである。
電気二重層キャパシタは、電極と電解質との間に形成される電気二重層を利用したコンデンサであり、電極表面において電解質から電気的にイオンを吸着するサイクルが充放電サイクルである点で、物質移動を伴う酸化還元反応のサイクルが充放電サイクルである電池とは異なる。このため、電気二重層キャパシタは、電池と比較して瞬間充放電特性に優れ、化学反応を伴わないため、充放電を繰り返しても瞬間充放電特性が殆ど劣化しない。また、電気二重層キャパシタにおいては、充放電時に充放電過電圧がないため、簡単で且つ安価な電気回路で足りる。更に、残存容量が分かり易く、-30〜90℃の広範囲の温度条件下に渡って耐久温度特性を有し、無公害性である等、電池に比較して優れた点が多いため、近年地球環境に優しい新エネルギー貯蔵製品として脚光を浴びている。更に、電気二重層キャパシタは、上述のような特徴を有するため、電気自動車、燃料電池車及びハイブリッド電気自動車のエネルギー回生やエンジン始動時の電源としても脚光を浴びるようになってきた。
上記電気二重層キャパシタは、正・負の電極と電解質とを有するエネルギー貯蔵デバイスであり、電極と電解質との接触界面においては、極めて短い距離を隔てて正・負の電荷が対向して配列し、電気二重層を形成している。従って、電解質は、電気二重層を形成するためのイオン源としての役割を担うため、電極と同様に、電気二重層キャパシタの基本特性を左右する重要な物質である。該電解質としては、従来、水系電解液、非水電解液及び固体電解質等が知られているが、電気二重層キャパシタのエネルギー密度を向上させる点から、高い作動電圧を設定可能な非水電解液が特に脚光を浴び、実用化が進んでいる。該非水電解液としては、例えば、炭酸エステル(炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、γ-ブチロラクトン等の高誘電率の非プロトン性有機溶媒に、(C25)4P・BF4や、(C25)4N・BF4等の溶質(支持塩)を溶解させた混合溶液が実用化されている。しかしながら、該非プロトン性有機溶媒は、引火点が低いため、例えば、電気二重層キャパシタが発熱等により発火した際に、引火する危険性が高い。また、該非プロトン性有機溶媒は、電気二重層キャパシタの発熱につれ、気化・分解してガスを発生したり、発生したガス及び熱により電気二重層キャパシタの破裂・発火を引き起こしたりする危険性も高い。
これに対して、電気二重層キャパシタ用の非水電解液にホスファゼン化合物を添加して、非水電解液に不燃性、難燃性又は自己消火性を付与して、非常時に電気二重層キャパシタが発火・引火する危険性を大幅に低減した非水電解液電気二重層キャパシタが開発されている(下記特許文献1参照)。上記ホスファゼン化合物は、その種類によっては高い不燃性を示し、非水電解液への添加量を増量するに従い、非水電解液の難燃性が向上する傾向がある。しかしながら、高い不燃性を示すホスファゼン化合物は、概して支持塩の溶解性や誘電率が低いため、添加量を多くすると、支持塩の析出や導電性の低下を招き、キャパシタの放電容量が低下したり、充放電特性に支障をきたすことがある。そのため、高い不燃性を示すホスファゼン化合物を添加する場合、添加量が制限されるという問題がある。
一方、電気二重層キャパシタを、上述の電気自動車、燃料電池車及びハイブリッド電気自動車のエネルギー回生やエンジン始動時の電源として使用するためには、充放電の繰り返しによる放電容量の低下が十分に低い必要があり、即ち、電気二重層キャパシタには、優れたサイクル特性が求められる。また、上記電気自動車等の使用環境を考慮すると、電気二重層キャパシタには、広い温度範囲で十分なキャパシタ性能を有することが求められる。
特開2001−217152号公報
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、高い難燃性を有し、サイクル特性等に優れた電気二重層キャパシタ用非水電解液と、該電気二重層キャパシタ用非水電解液を備え、安全性に加えて、サイクル特性等のキャパシタ性能にも優れた非水電解液電気二重層キャパシタを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の環状ホスファゼン化合物と特定のジフルオロリン酸エステル化合物からなる非水溶媒に、さらに特定の不飽和エステル化合物を組み合わせて非水電解液を構成することにより、電解液に高い難燃性を付与することができ、また、該電解液を用いた非水電解液電気二重層キャパシタがサイクル特性等のキャパシタ性能に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液は、下記一般式(I):
(NPR1 2)n ・・・ (I)
[式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記一般式(II):
Figure 2008091786
[式中、R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ置換アルキル基又はアリール基である]で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と、下記一般式(III):
Figure 2008091786
[式中、R3は炭素数1〜2のアルキル基又はフェニル基であり、R4はアリル基又はビニル基であり、R3及びR4は互いに結合して環を形成してもよい]で表される化合物及び下記一般式(IV):
Figure 2008091786
[式中、R5は炭素数1〜2のアルキル基であり;R6は炭素数2〜4のアルケニル基又はプロパルギル基であり、但し、R5及びR6は互いに結合して環を形成してもよい]で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一種の不飽和エステル化合物と、支持塩とを含むことを特徴とする。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液において、前記環状ホスファゼン化合物としては、前記一般式(I)において、R1のうち少なくとも3つがフッ素である化合物が好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液の好適例においては、前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との体積比が10/90〜80/20の範囲である。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液の他の好適例においては、前記不飽和エステル化合物の含有量が電気二重層キャパシタ用非水電解液全体の0.1〜5質量%である。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液の他の好適例においては、前記非水溶媒が、更に非プロトン性有機溶媒を含む。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液は、前記非水溶媒における前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量が30体積%以上であることが好ましい。
また、本発明の非水電解液電気二重層キャパシタは、上記電気二重層キャパシタ用非水電解液と、正極と、負極とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、特定の環状ホスファゼン化合物及び特定のジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒を用いることにより高い難燃性を有し、さらに特定の不飽和エステル化合物を組み合わせて用いることにより、電気二重層キャパシタに優れたキャパシタ性能を付与することが可能な非水電解液を提供することができる。また、該非水電解液を備え、高い安全性とキャパシタ性能を有する非水電解液電気二重層キャパシタを提供することができる。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液においては、環状ホスファゼン化合物とジフルオロリン酸エステル化合物の反応、熱分解により生じる高不燃性ガス成分が、高い難燃性を発現するものと考えられる。また、理由は必ずしも明らかではないが、上記環状ホスファゼン化合物と上記ジフルオロリン酸エステル化合物と不飽和エステル化合物の3つの化合物の相乗効果により生じる電極表面の皮膜が、電解液の分解を効果的に抑制するため、優れたサイクル特性が実現できるものと考えられる。
<電気二重層キャパシタ用非水電解液>
以下に、本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液を詳細に説明する。本発明に係る電気二重層キャパシタ用非水電解液は、上記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物及び上記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と、上記一般式(III)で表される化合物及び上記一般式(IV)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一種の不飽和エステル化合物と、支持塩とを含むことを特徴とし、更に、非水溶媒として、非プロトン性有機溶媒を含有してもよい。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液に含まれる環状ホスファゼン化合物は、上記一般式(I)で表される。式(I)中のR1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、nは3〜4を表す。
式(I)のR1におけるハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。また、R1におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、二重結合を含むアリルオキシ基等、またはメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられる。更に、R1におけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、キシレノキシ基(即ち、キシリルオキシ基)、メトキシフェノキシ基等が挙げられる。上記アルコキシ基及びアリールオキシ基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。また、式(I)中のR1は他のR1と連結していてもよく、この場合、2つのR1は、互いに結合して、アルキレンジオキシ基、アリーレンジオキシ基又はオキシアルキレンアリーレンオキシ基を形成し、かかる二価の基としては、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、フェニレンジオキシ基等が挙げられる。
上記一般式(I)中のR1は、同一でも異なってもよい。また、式(I)のR1は、安全性が向上する点で、ハロゲン元素であることが好ましく、更に、低粘度である点で、フッ素であることがより好ましい。また、安全性及び低粘性の両立の点で、R1のうち3つ以上がフッ素であることが好ましい。
また、式(I)のnは、3〜4であり、上記環状ホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液に含まれるジフルオロリン酸エステル化合物は、上記一般式(II)で表される。式(II)において、R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ置換アルキル基又はアリール基である。式(II)のR2におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルケニル基としては、アリル基、メタリル基等が挙げられ、アルコキシ置換アルキル基としては、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基等が挙げられる。上記置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。これらの中でも、難燃性に優れ且つ低粘度である点で、メチル基、エチル基、プロピル基、トルフルオロエチル基、フェニル基、3-フルオロフェニル基が好ましい。
式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物の具体例としては、ジフルオロリン酸メチル、ジフルオロリン酸エチル、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル、ジフルオロリン酸プロピル、ジフルオロリン酸トリフルオロプロピル、ジフルオロリン酸アリル、ジフルオロリン酸ブチル、ジフルオロリン酸ペンチル、ジフルオロリン酸ヘキシル、ジフルオロリン酸シクロヘキシル、ジフルオロリン酸メトキシエチル、ジフルオロリン酸メトキシエトキシエチル、ジフルオロリン酸フェニル、ジフルオロリン酸フルオロフェニル等が挙げられる。これらジフルオロリン酸エステル化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の非水電解液において、上記環状ホスファゼン化合物と上記ジフルオロリン酸エステル化合物との体積比は、5/95〜95/5の範囲が好ましく、キャパシタ性能のバランスの観点から、10/90〜80/20の範囲が更に好ましい。また、非水電解液の安全性を著しく高める観点から、非水溶媒中の上記環状ホスファゼン化合物と上記ジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量は、30体積%以上であることが好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液は、更に上記一般式(III)で表されるで表される炭酸エステル化合物及び上記一般式(IV)で表されるカルボン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の不飽和エステル化合物を含むことを特徴とする。これら不飽和エステル化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
式(III)において、R3は炭素数1〜2のアルキル基又はフェニル基であり、R4はアリル基又はビニル基であり、R3及びR4は互いに結合して環を形成してもよい。ここで、R3におけるアルキル基としては、メチル基及びエチル基が挙げられ、R3及びR4が結合して形成する基としては、ビニレン基、ビニルエチレン基等の二価の不飽和炭化水素基が挙げられる。
式(III)の化合物の具体例としては、メチルビニルカーボネート、エチルビニルカーボネート、フェニルビニルカーボネート、アリルメチルカーボネート、アリルエチルカーボネート、アリルフェニルカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、アリルメチルカーボネート、アリルエチルカーボネート、アリルフェニルカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが好ましい。
また、式(IV)において、R5は炭素数1〜2のアルキル基であり、R6は炭素数2〜4のアルケニル基又はプロパルギル基であり、但し、R5及びR6は互いに結合して環を形成してもよい。ここで、R5におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基が挙げられ、R6におけるアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等が挙げられ、R5及びR6が結合して形成する基としては、メチリデンエチレン基[−C(=CH2)CH2−]等の二価の基が挙げられる。
式(IV)の化合物の具体例としては、酢酸ビニル、酢酸アリル、酢酸メタリル、酢酸イソプロペニル、酢酸プロパルギル、プロピオン酸ビニル、プロピオン酸アリル、プロピオン酸メタリル、プロピオン酸イソプロペニル、プロピオン酸プロパルギル、ジケテン等が挙げられる。これらの中でも、酢酸アリル、プロピオン酸ビニル、酢酸プロパルギル、ジケテンが好ましい。
上記不飽和エステル化合物の含有量は、電気二重層キャパシタ用非水電解液全体の0.1〜5質量%の範囲が好ましく、キャパシタ性能のバランスの観点から、1〜3質量%の範囲が更に好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液に用いられる支持塩としては、従来公知のものから選択できるが、電解液における電気伝導性等が良好な点で、四級アンモニウム塩が好ましい。該四級アンモニウム塩は、非水電解液において、電気二重層を形成するためのイオン源としての役割を担う溶質であり、電解液の電気伝導性等の電気特性を効果的に向上させることが可能な点で、多価イオンを形成し得る四級アンモニウム塩が好ましい。
上記四級アンモニウム塩としては、例えば、(CH3)4N・BF4、(CH3)325N・BF4、(CH3)2(C25)2N・BF4、CH3(C25)3N・BF4、(C25)4N・BF4、(C37)4N・BF4、CH3(C49)3N・BF4、(C49)4N・BF4、(C613)4N・BF4、(C25)4N・ClO4、(C25)4N・AsF6、(C25)4N・SbF6、(C25)4N・CF3SO3、(C25)4N・C49SO3、(C25)4N・(CF3SO2)2N、(C25)4N・BCH3(C25)3、(C25)4N・B(C25)4、(C25)4N・B(C49)4、(C25)4N・B(C65)4等が好適に挙げられる。また、これらの四級アンモニウム塩の陰イオン部(例えば、・BF4、・ClO4、・AsF6等)を、・PF6で置き換えたヘキサフルオロリン酸塩も好ましい。これらの中でも、分極率を大きくすることで溶解度を向上させることができる点で、異なるアルキル基がN原子に結合した四級アンモニウム塩が好ましい。更に、上記四級アンモニウム塩としては、例えば、下記式(a)〜(j):
Figure 2008091786
[式(a)〜(j)において、Meはメチル基を、Etはエチル基を表わす]で表わされる化合物等も好ましい。これらの四級アンモニウム塩の中でも、特に、高い電気伝導性を確保する点からは、陽イオンとして(CH3)4+や、(C25)4+等を発生し得る塩が好ましい。また、式量が小さい陰イオンを発生し得る塩が好ましい。これらの四級アンモニウム塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液の支持塩としては、イオン液体を使用することもできる。該イオン液体は、少なくとも融点が50℃以下であり、融点が常温(25℃)以下であることが好ましい。該イオン液体としては、公知のイオン液体を使用することができ、例えば、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピペリジニウム塩等が挙げられ、より具体的には、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等を例示することができる。これらのイオン液体は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の電気二重層キャパシタ用非水電解液中の支持塩の濃度は、0.2〜2.5mol/L(M)の範囲が好ましく、0.8〜1.5mol/L(M)の範囲が更に好ましい。支持塩の濃度が0.2mol/L未満では、電解液の電気伝導性等の電気特性を充分に確保できないことがあり、2.5mol/Lを超えると、電解液の粘度が上昇し、電気伝導性等の電気特性が低下することがある。
また、上記非水溶媒には、本発明の目的を損なわない範囲で従来より電気二重層キャパシタ用非水電解液に使用されている種々の非プロトン性有機溶媒を添加することができる。該非プロトン性有機溶媒の添加量としては、電気二重層キャパシタの高い安全性を確保するために非水溶媒中70体積%以下とすることが好ましい。該非プロトン性有機溶媒としては、アセトニトリル(AN)、プロピオノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物;1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル化合物;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジフェニルカーボネート、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン等のエステル化合物が好適に挙げられる。これらの中でも、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン及びアセトニトリルが好ましい。なお、環状のエステル化合物は、比誘電率が高く、後述する支持電解質の溶解能に優れる点で好適であり、また、鎖状のエステル化合物及びエーテル化合物は、低粘度であるため電解液の低粘度化の点で好適である。これら非プロトン性有機溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、非水電解液電気二重層キャパシタの形成に際して、本発明の非水電解液は、そのまま用いることも可能であるが、例えば、適当なポリマーや多孔性支持体、或いはゲル状物質に含浸させる等して保持させる方法等で用いることもできる。
<非水電解液電気二重層キャパシタ>
次に、本発明の非水電解液電気二重層キャパシタを詳細に説明する。本発明の非水電解液電気二重層キャパシタは、上述の電気二重層キャパシタ用非水電解液と、正極と、負極とを備え、必要に応じて、セパレーター等の非水電解液電気二重層キャパシタの技術分野で通常使用されている他の部材を備える。
本発明の非水電解液電気二重層キャパシタの正極及び負極としては、特に制限はないが、通常、多孔性炭素系の分極性電極が好ましい。該電極としては、通常、比表面積及びかさ比重が大きく、電気化学的に不活性で、抵抗が小さい等の特性を有するものが好ましい。上記多孔性炭素としては、活性炭等が好適に挙げられる。なお、本発明の非水電解液電気二重層キャパシタの正極及び負極としては、上記多孔性炭素の他に、黒鉛を用いることもできる。
上記電極は、一般的には、活性炭等の多孔性炭素を含有し、必要に応じて導電剤や結着剤等のその他の成分を含有する。上記電極に好適に用いることができる活性炭の原料としては、特に制限はなく、例えば、フェノール樹脂の他、各種の耐熱性樹脂、ピッチ等が好適に挙げられる。耐熱性樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ビスマレイミドトリアジン、アラミド、フッ素樹脂、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂が好適に挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記活性炭の形体としては、より比表面積を高くして、電気二重層キャパシタの静電容量を大きくする点から、粉末状、繊維布状等の形体が好ましい。また、これらの活性炭は、電気二重層キャパシタの静電容量をより高くする目的で、熱処理、延伸成形、真空高温処理、圧延等の処理がなされていてもよい。
上記電極に用いる導電剤としては、特に制限はないが、黒鉛、アセチレンブラック等が挙げられる。また、上記電極に用いる結着剤としては、特に制限はないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。
本発明の非水電解液電気二重層キャパシタに使用できる他の部材としては、非水電解液電気二重層キャパシタにおいて、正負極間に、両極の接触による短絡を防止する役割で介在させるセパレーターが挙げられる。該セパレーターとしては、特に制限はなく、通常、非水電解液電気二重層キャパシタのセパレーターとして用いられる公知のセパレーターが好適に用いられる。セパレーターの材質としては、例えば、微多孔性フィルム、不織布、紙等が好適に挙げられる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらの中でも、厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フィルムが特に好適である。本発明では、上述のセパレーターの他にも、通常電気二重層キャパシタに使用されている公知の各部材が好適に使用できる。
以上に説明した本発明の非水電解液電気二重層キャパシタの形態としては、特に制限はなく、シリンダ型(円筒型、角型)、フラット型(コイン型)等の公知の形態が好適に挙げられる。これらの非水電解液電気二重層キャパシタは、例えば、電気自動車や燃料電池自動車の主電源若しくは補助電源、種々の電子機器、産業用機器、航空用機器等のメモリーバックアップ用電源、玩具、コードレス用機器、ガス機器、瞬間湯沸し機器等の電磁ホールド用電源、腕時計、柱時計、ソーラ時計、AGS腕時計等の時計用電源等として用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ジフルオロリン酸トリフルオロエチル 50体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがメトキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%からなる混合溶媒に、TEABF4[テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート, (C25)4N・BF4]を1mol/Lになるように溶解させて、これにアリルメチルカーボネート 0.1質量%を添加して非水電解液を調製した。次に、得られた非水電解液の難燃性を下記の方法で評価し、表1に示す結果を得た。
(1)難燃性の評価
UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法で、大気環境下において着火した炎の燃焼長及び燃焼時間を測定・評価した。具体的には、UL試験基準に基づき、127mm×12.7mmのSiO2シートに上記電解液1.0mLを染み込ませて試験片を作製して評価を行った。以下に不燃性・難燃性・自己消火性・燃焼性の評価基準を示す。
<不燃性の評価>試験炎を点火しても全く着火しなかった場合(燃焼長:0mm)を不燃性ありと評価した。
<難燃性の評価>着火した炎が、装置の25mmラインまで到達せず且つ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を難燃性ありと評価した。
<自己消火性の評価>着火した炎が25〜100mmラインで消火し且つ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を自己消火性ありと評価した。
<燃焼性の評価>着火した炎が、100mmラインを超えた場合を燃焼性と評価した。
(2)電気二重層キャパシタの作製
活性炭[AC, 商品名:Kuractive-1500、クラレケミカル社製]、アセチレンブラック(導電剤)及びポリフッ化ビニリデン(結着剤)を、それぞれ、質量比(活性炭:導電剤:結着剤)で8:1:1となるように混合して、混合物を得た。得られた混合物の100mgを採取し、これを20mmφの耐圧カーボン製容器に入れて、圧力150kgf/cm2、常温の条件下で圧粉成形し、正極及び負極(電極)を作製した。得られた電極(正極及び負極)と、アルミニウム金属板(集電体, 厚み=0.5mm)と、ポリプロピレン/ポリエチレン板(セパレーター, 厚み=25μm)とを用いてセルを組み立て、真空乾燥によって十分に乾燥させた。該セルを上記非水電解液で含浸し、非水電解液電気二重層キャパシタを作製した。次に、得られた電気二重層キャパシタの低温特性及びサイクル特性を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
(3)電気二重層キャパシタの低温特性
得られた電気二重層キャパシタについて、20℃及び-10℃のそれぞれの環境下でキャパシタ放電容量を測定し、その容量の比、即ち:
(-10℃での容量)/(20℃での容量)×100(%)
の値で評価した。この値が大きい程、低温特性が良好といえる。
(4)電気二重層キャパシタのサイクル特性
得られた電気二重層キャパシタについて、初回及び5000サイクル目の放電容量を測定し、下記の式:
サイクル放電容量維持率=(5000サイクル目の放電容量/初回放電容量)×100(%)
から、サイクル放電容量維持率を算出し、サイクル特性の指標とした。
(実施例2)
ジフルオロリン酸エチル 30体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがメトキシエトキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 30体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがエトキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 40体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1.2mol/Lになるように溶解させて、これにアリルフェニルカーボネート 0.1質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
ジフルオロリン酸トリフルオロプロピル 35体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち3つがプロポキシ基で、3つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 15体積%と、プロピレンカーボネート 15体積%と、エチルメチルカーボネート 35体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これにアリルエチルカーボネート 1質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
ジフルオロリン酸フェニル 15体積%と、上記一般式(I)においてnが4であって、全R1がフッ素である環状ホスファゼン化合物 35体積%と、プロピレンカーボネート 20体積%と、1,2-ジメトキシエタン 30体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を0.7mol/Lになるように溶解させて、これにビニルエチレンカーボネート 3質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
ジフルオロリン酸アリル 6体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがブトキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 24体積%と、アセトニトリル 70体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これにアリルメチルカーボネート 2.5質量%と、ビニレンカーボネート 2.5質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
リン酸トリエチル 50体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがメトキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これにアリルメチルカーボネート 3質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
リン酸トリメチル 27体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがシクロヘキシルオキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 3体積%と、エチレンカーボネート 23体積%と、ジエチルカーボネート 47体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これにビニルエチレンカーボネート 3質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
ジフルオロリン酸トリフルオロエチル 50体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがメトキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例4)
ジフルオロリン酸フェニル 15体積%と、上記一般式(I)においてnが4であって、全R1がフッ素である環状ホスファゼン化合物 35体積%と、エチレンカーボネート 20体積%と、1,2-ジメトキシエタン 30体積%からなる混合溶媒に、N-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(市販イオン液体)を0.5mol/L並びにTEABF4を0.7mol/Lの濃度になるように溶解させて非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例5)
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち3つがプロポキシ基で、3つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 15体積%と、プロピレンカーボネート 25体積%と、エチルメチルカーボネート 60体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これにアリルエチルカーボネート 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例6)
ジフルオロリン酸トリフルオロプロピル 50体積%と、プロピレンカーボネート 15体積%と、エチルメチルカーボネート 35体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これにアリルエチルカーボネート 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
ジフルオロリン酸トリフルオロプロピル 50体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1がフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これに酢酸アリル 3質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例7)
ジフルオロリン酸エチル 40体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがプロピレンジオキシ基で連結され、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 10体積%と、上記一般式(I)においてnが4であって、全R1がフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1.2mol/Lになるように溶解させて、これにプロピオン酸ビニル 3質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例8)
ジフルオロリン酸シクロヘキシル 35体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがプロポキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 15体積%と、プロピレンカーボネート 10体積%と、エチルメチルカーボネート 40体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これに酢酸プロパルギル 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例9)
ジフルオロリン酸メチル 15体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがフェノキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 35体積%と、プロピレンカーボネート 5体積%と、エチルメチルカーボネート 45体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を0.7mol/Lになるように溶解させて、これにジケテン 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例10)
ジフルオロリン酸フェニル 27体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち3つがエトキシ基で、3つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 3体積%と、プロピレンカーボネート 70体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これにジケテン 0.1質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例11)
ジフルオロリン酸メトキシエチル 6体積%と、上記一般式(I)においてnが4であって、全R1のうち1つがn-ブトキシ基で、7つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 24体積%と、γ-ブチロラクトン 23体積%と、ジエチルカーボネート 47体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これに酢酸プロパルギル 0.5質量%と、プロピオン酸ビニル 0.5質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例7)
リン酸トリエチル 50体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1がフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1.2mol/Lになるように溶解させて、これに酢酸アリル 3質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例8)
ジフルオロリン酸トリフルオロプロピル 50体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1がフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例9)
ジフルオロリン酸メチル 15体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがフェノキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 35体積%と、プロピレンカーボネート 5体積%と、エチルメチルカーボネート 45体積%からなる混合溶媒に、N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを0.5mol/L並びにTEABF4を0.7mol/Lの濃度になるように溶解させて非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例10)
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがプロポキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 15体積%と、プロピレンカーボネート 17体積%と、エチルメチルカーボネート 68体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これに酢酸プロパルギル 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例11)
ジフルオロリン酸シクロヘキシル 50体積%と、プロピレンカーボネート 5体積%と、エチルメチルカーボネート 45体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これに酢酸プロパルギル 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例12)
ジフルオロリン酸フェニル 18体積%と、上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち3つがエトキシ基で、3つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 2体積%と、エチレンカーボネート 27体積%と、ジメチルカーボネート53体積%からなる混合溶媒に、TEABF4を1mol/Lになるように溶解させて、これにジケテン 1質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液電気二重層キャパシタを作製し、低温特性及びサイクル特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008091786
表1の実施例1〜11に示すように、式(I)の化合物及び式(II)の化合物と、式(III)又は式(IV)の化合物を含む非水電解液が不燃性を示すと共に、該非水電解液を用いた電気二重層キャパシタが優れたサイクル特性及び低温特性を示すことが分る。このように、本発明の非水電解液により、不燃性を発現しつつ、キャパシタ性能に優れた非水電解液電気二重層キャパシタが得られることが確認された。
一方、比較例1、2及び7に示すように、非水電解液に通常のリン酸トリエステルを含有する非水電解液は、式(I)の化合物や式(III)又は式(IV)の化合物を添加しても、サイクルを繰り返すことによる容量低下を抑制できないことがわかる。また、比較例3、4、8及び9に示すように、式(III)又は式(IV)の化合物を添加しない場合においては、サイクル特性が低下してしまうことがわかる。
なお、比較例5及び10のように式(II)のジフルオロリン酸エステルを用いない場合には、式(I)のホスファゼン化合物を多量に使用すると2層分離が起こってしまうため、式(I)のホスファゼン化合物を16体積%以上添加することができず、結果的に電解液の安全性が実施例に比べて劣っていた。
更に、比較例6及び11のように式(III)又は式(IV)の不飽和エステル化合物を用いても、式(I)のホスファゼン化合物を加えなかった場合には、キャパシタの低温特性が低下した。
なお、実施例12に示すように、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物の総含有量が20体積%程度では、不燃性は発現されるものの、サイクル特性が不十分であった。従って、式(I)の環状ホスファゼン化合物と式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量は、30体積%以上が好ましいことが分る。
以上の結果から、式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と、式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物と、式(III)又は式(IV)で表される不飽和エステル化合物を含有することを特徴とする非水電解液を用いることにより、安全性とキャパシタ性能を両立させた非水電解液電気二重層キャパシタを提供できることが分る。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I):
    (NPR1 2)n ・・・ (I)
    [式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記一般式(II):
    Figure 2008091786
    [式中、R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ置換アルキル基又はアリール基である]で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と、下記一般式(III):
    Figure 2008091786
    [式中、R3は炭素数1〜2のアルキル基又はフェニル基であり、R4はアリル基又はビニル基であり、R3及びR4は互いに結合して環を形成してもよい]で表される化合物及び下記一般式(IV):
    Figure 2008091786
    [式中、R5は炭素数1〜2のアルキル基であり;R6は炭素数2〜4のアルケニル基又はプロパルギル基であり、但し、R5及びR6は互いに結合して環を形成してもよい]で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一種の不飽和エステル化合物と、支持塩とを含むことを特徴とする電気二重層キャパシタ用非水電解液。
  2. 前記一般式(I)において、R1のうち少なくとも3つがフッ素であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用非水電解液。
  3. 前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との体積比が10/90〜80/20の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用非水電解液。
  4. 前記不飽和エステル化合物の含有量が前記電気二重層キャパシタ用非水電解液全体の0.1〜5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用非水電解液。
  5. 前記非水溶媒が、更に非プロトン性有機溶媒を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ用非水電解液。
  6. 前記非水溶媒における、前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量が30体積%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ用非水電解液。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ用非水電解液と、正極と、負極とを備えた非水電解液電気二重層キャパシタ。
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