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JP2008049944A - マウントブラケットの取付構造 - Google Patents

マウントブラケットの取付構造 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性を考慮してスポット溶接を利用しても、マウントからの入力によるマウントブラケットのスポット溶接部分の剥離を防止することができ、耐久性が向上するマウントブラケットの取付構造を提供する。
【解決手段】本発明は、車体の閉断面に構成されたクロスメンバ2に溶接固定され、駆動装置または懸架装置に固定されたマウント4を支持するマウントブラケット1の取付構造であって、クロスメンバ2の側面2eに、上面10aと縦壁10bとによって構成され側方および下方に開口している凹部10を設け、凹部10にはマウントブラケット1が配置されており、マウントブラケット1が、凹部10の上面10aおよび縦壁10bにスポット溶接されているとともに凹部10の縦壁10bと反対側となる上面の端部から上方に延びるクロスメンバ2の上側側面2aにスポット溶接されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車等の車両において、エンジン、変速機等を含むパワーユニットを車体に支持するマウント装置に係り、マウントブラケットを車体側部材に取付けるためのマウントブラケットの取付構造に関するものである。
一般的に、自動車等の車両において、エンジン、変速機等を含むパワーユニットは、ゴム等の緩衝材を含む複数のマウントによって、車体に支持されており、エンジン等から車体へ伝達される振動を低減している。従来の取付構造では、車両の床下にはクロスメンバが設けられており、クロスメンバにはエンジンおよび変速機からなるパワーユニットを車体に支持するマウントのマウントブラケットが取付けられている。ここで、マウントブラケットは、ボルトによってクロスメンバの下面に締結固定されている。マウントは、パワーユニットに取付けられるブラケットに一体的に設けられている円筒状のマウント本体と、マウント本体内に嵌合されたゴム等からなる緩衝材と、緩衝材に貫通配置されているボルト等の軸を挿通させるためのブッシュとを有している。そして、車体側に取付けられるマウントブラケットの支持軸用孔と、マウントのブッシュとにボルト等の支持軸を挿入し、パワーユニットを車体に軸支している。
特許文献1には、駆動装置(エンジン、変速機、デファレンシャル)のリヤマウントを車体へ支持するための取付構造の一例が開示されている。特許文献1に開示されている技術は、左右のサイドレールを連結するクロスメンバの下面に吊り板を固着し、吊り板により両端が支持された軸によって、駆動装置のリヤマウントを支持するものである。
特開2001−239843号公報
従来の取付構造では、マウントブラケットがボルトによってクロスメンバに締結固定されているので、マウントブラケットをボルトによってクロスメンバに締結固定をする場合には、マウントブラケット単体でのメッキや塗装等の表面処理が必要になるとともに、製造ラインでの車体への組付工数がかかり、生産性の悪化が懸念される。また、板厚をあげるなどのマウントブラケット単品の剛性の確保が必要となってくる。さらに、板厚をあげると材料の単価以外にも曲げ等の加工が難しくなることにより部品単価が割高となる。
これらの対策として、マウントブラケットをスポット溶接によってメンバに固定する方法が考えられる。マウントブラケットをスポット溶接によってメンバに固定する場合には、メンバの表面処理と同時にマウントブラケットに対するメッキや塗装などの表面処理を行うことが可能になり、生産性が向上する。さらに、溶接固定した部品と協働して剛性が確保できれば良いので、マウントブラケット単品での剛性の確保が不要になり、マウントブラケットの作成が容易となる。
しかし、スポット溶接によって固定する場合、ボルトによって締結固定する場合に比べて、耐久性などの信頼性が低下するおそれがあり、その設計には注意を要する。特にスポット溶接部分は、せん断方向の力(接合面に平行な方向の力)には強いが、剥離方向の力(接合面に垂直な方向の力)に弱いため、剥離方向の強い力がメンバとの溶接部分に作用するとマウントブラケットの剥離を起こす可能性がある。
一方、特許文献1における従来の取付構造では、クロスメンバの下面に吊り板を固着し、吊り板により両端が支持された軸によって、駆動装置のリヤマウントを支持しているため、クロスメンバから下方へリヤマウントが突出しており、その配置には車両の上下方向の高さが必要になり、車両の床下の空間が限定されるため、駆動装置または懸架装置の配置の自由度が少ない。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、生産性を考慮してスポット溶接を利用しても、マウントからの入力によるマウントブラケットのスポット溶接部分の剥離等を防止することができ、耐久性が向上するマウントブラケットの取付構造を提供することである。
上記目的を達成するために本発明は、車体の閉断面に構成されたメンバに溶接固定され、駆動装置または懸架装置に固定されたマウントを支持するマウントブラケットの取付構造であって、前記メンバの側面に、上面と縦壁とによって構成され側方および下方に開口している凹部を設け、該凹部には前記マウントブラケットが配置されており、前記マウントブラケットが、前記凹部の上面および縦壁にスポット溶接されているとともに前記凹部の縦壁と反対側となる上面の端部から上方に延びる前記メンバの上側側面にスポット溶接されている。
また、本発明において、前記マウントブラケットは、前記マウントの両側に配置され、それぞれ前記マウントを支持する支持軸が挿通される支持軸用孔が形成された上下方向に延びる第1および第2の支持壁と、前記第1および第2の支持壁の上端を連結している連結部と、該連結部の端部から上方に屈曲している上部フランジと、前記支持壁の端部から前記凹部の縦壁に沿って屈曲している縦フランジとを有しており、前記凹部の上面に前記連結部を重ね合わせ、前記凹部の縦壁に前記縦フランジを重ね合わせ、前記上側側面に前記上部フランジを重ね合わせて、それぞれがスポット溶接されている。
また、本発明において、前記凹部の縦壁の下端から前記凹部と反対方向に延びる前記メンバの底面には、前記第1および第2の支持壁の下端から前記メンバの底面に沿って屈曲している下部フランジがスポット溶接されている。
また、本発明は、前記支持軸が前記連結部の下方に配置されているとともに、水平方向で、前記支持軸用孔が前記縦フランジと前記上部フランジとの間の中央よりも前記上部フランジ側にずれた位置に形成されている。
本発明に係る請求項1のマウントブラケットの取付構造は、メンバの側面に凹部を設けることで、マウントブラケットの溶接面が増え、メンバとの組付け強度が上がることによって、溶接結合の信頼性(耐久性)が向上する。また、メンバの凹部にマウントブラケットを配置して溶接するため、従来の吊り板を用いた組付構造と比べて、メンバからのマウントブラケットの下方への突出量を少なくすることが可能となる。したがって、従来の吊り板を用いた組付構造における駆動装置または懸架装置の配置に比べて、配置の自由度が向上する。また、マウントブラケットを凹部の上面および縦壁にスポット溶接するとともにメンバの上側側面にスポット溶接しているため、メンバの側方への取付けでありながらマウントブラケットが側方に突出配置される片持ち状態とならずにマウントブラケットを強固に固定することが可能となる。
さらに、メンバと協働して剛性を確保すればよいので、マウントブラケット単体での強度を比較的低く設定することが可能となり、マウントブラケットの板厚を低く設定することで、マウントブラケットの製造が容易となりコストダウンが可能となる。
さらに、マウントを吊り下げるような主に下方への力を受けるマウントブラケットにおいて、メンバの凹部の上面との接合部分(略水平な接合面)には、スポット溶接された接合面を剥離する方向となる上下方向の力が作用するため、剥離を起こす可能性がある。しかし、本発明に係る請求項1のマウントブラケットの取付構造は、マウントブラケットが凹部の上面だけでなく、凹部の縦壁およびメンバの上側側面にもスポット溶接されている。これにより、凹部の上面とメンバとのスポット溶接部分の端部(縁)に応力が集中することを防止できるとともに、下方向の力に対してせん断方向となりスポット溶接の溶接強度が高い略上下方向に延びる面(凹部の縦壁およびメンバの上側側面)の接合部分にて下方への力を受けることができ、溶接の強度および耐久性が向上する。
本発明に係る請求項2のマウントブラケットの取付構造は、第1および第2の支持壁の上端を連結して連結部を設けているため、第1および第2の支持壁の剛性が向上するとともに支持壁間の位置の精度が容易に確保できる。また、マウントブラケットの連結部の端部から上方に屈曲している上部フランジが設けられているので、その屈曲形状により連結部の剛性を向上させることができる。また、請求項2に係るマウントブラケットは、一枚の板金部材から屈曲成形可能な構造となっており、容易に形成することが可能となっている。
本発明に係る請求項3のマウントブラケットの取付構造は、第1および第2の支持壁の下端からメンバの底面に沿って屈曲しているフランジをメンバの底面にスポット溶接しているため、凹部の縦壁の溶接接合面における剥離方向の動きを防止でき、溶接結合の信頼性(耐久性、強度)が向上する。そして、凹部の縦壁およびメンバの底面において、複数の溶接部分を互いに設けているため、溶接接合面おける剥離方向の力だけでなくマウントブラケットを変形させるような力に対してもマウントブラケットの剛性が向上し、マウントブラケットの変形を防止することができる。
本発明に係る請求項4のマウントブラケットの取付構造は、支持軸(ボルト)がマウントブラケットの連結部の下方に位置している(つまり、水平方向で縦フランジと上部フランジとの間に位置している)ので、マウントから入力される力によってマウントブラケットの連結部の端部に剥離方向の力がかかった場合でも、上部フランジによりメンバからの剥離を効率よく防止することができる。また、支持軸が水平方向で縦フランジと上部フランジとの間の中央よりも上部フランジ側にずれた位置に配置されるので、上部フランジの上方端部に生じる剥離方向の力が比較的小さくすることができ、上部フランジがメンバから剥離することを防止することができる。また、マウントの支持軸はメンバの凹部内に位置し、かつマウントを支持するマウントブラケットが凹部の上面および縦壁にスポット溶接されて片持ち状態となっていないため、マウントブラケットには無理な力が掛からず、マウントブラケットの溶接部分の耐久性が向上する。
本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、車両略中央の床下に取付けられたマウントブラケット1を、前方下部から見た斜視図であり、図面における上下左右方向が車両の上下車幅方向である。図2は、図1のX方向からの矢視図であり、図3は、図1のA−A断面図である。また図4は、マウント4を取付けた場合における図1のB−B断面図である。
本発明に係るマウントブラケットの取付構造の実施形態においては、車両の床下にはクロスメンバ2が設けられており、クロスメンバ2にはエンジンおよび変速機からなるパワーユニット(図示せず)のマウント4を車体に支持するマウントブラケット1が取付けられている。マウント4は、パワーユニットに取付けられるブラケットに一体的に設けられている円筒状のマウント本体4aを有し、マウント本体4a内に嵌合されたゴム等からなる緩衝材4bと、緩衝材4bに貫通配置されているボルト等の支持軸4cを挿通させるためのブッシュ4dとを有している。
なお、図1において二点鎖線で示しているように、マウント4は、マウントブラケット1に対して吊り下げ状態で配置されている。つまり、本発明が適用されているマウントブラケット1は、マウント4を下方から支えるものではない。
クロスメンバ2は、車両の床下に車両の左右方向(車幅方向)に延在して配置されている。詳細には、クロスメンバ2は、断面ハット形に形成された板金部材であり、底面2bと、底面の前後端からそれぞれ上方に屈曲して形成されている側面2e,2fと、その側面の上端から互いに反対方向に屈曲して形成されているフランジ2c,2dとを有している。また、クロスメンバ2は、フロアパネル3の下面に前後のフランジ2c,2dを溶接して閉断面を構成している。このクロスメンバ2の前側の側面2eには、その上方部分の一部を前方に膨出させて、凹部10を形成している。図2にその断面を示しているように、凹部10は、階段状に形成されており、下方から順に、底面2bと、底面2bの前端から上方へ立ち上がる縦壁10bと、縦壁10bの上端から前方に延びる上面10aと、上面10aの前端から上方へ立ち上がる上側側面2aとが設けられている。
クロスメンバ2の上側側面2aの上端には、フロアパネル3に沿って屈曲しているフランジ2cが形成されており、フロアパネル3の下面にスポット溶接されている。さらに、クロスメンバ2の底面2bにおいては、底面2bの後端から後側の側面2fが立ち上がり形成されている。側面2fの上端には、フロアパネル3に沿って後方に屈曲しているフランジ2dが形成されており、フロアパネル3の下面にスポット溶接されている。
ここで、クロスメンバ2の底面2bおよび凹部10の上面10aは、高さの異なる略水平な面で構成され、凹部10の縦壁10bおよびクロスメンバ2の上側側面2aは、水平方向に位置の異なる略垂直な面で構成されている。
マウントブラケット1は、一枚の板金部材から屈曲成形されており、マウント本体4aの左右に配置され、ブッシュ4dに挿通される支持軸4cが貫通される支持軸用孔1eが形成された車両上下方向に延びる支持壁1f,1gを有している。さらに、マウントブラケット1は、左右の支持壁1f,1gの上端を連結する連結部1cと、左右の支持壁1f,1gのそれぞれの後方端から車両左右方向に広がり凹部の縦壁10bに沿って屈曲している縦フランジ1bと、左右の支持壁1f,1gのそれぞれの下端から車両左右方向に屈曲して広がるとともにクロスメンバ2の底面2bに沿って延びている下部フランジ1dと、連結部1cの前端から上方に屈曲形成されている上部フランジ1aとを有している。さらに、上部フランジ1aから下部フランジ1dにいたる支持壁1f,1gの前端には、屈曲成形された補強用フランジ1hが形成されており、支持壁1f,1gの前端および下端が下部フランジ1dと補強用フランジ1hとによって補強されている。支持軸用孔1eは、水平方向において、縦フランジ1bと上部フランジ1aとの間の中央よりも上部フランジ1a側にずれた位置に形成されている。
また、上部フランジ1aは、連結部1cの面に対して略直角方向となる面に形成されており、縦フランジ1bも連結部1cの面に対して略直角方向となる面に形成されている。また、下部フランジ1dも縦フランジ1bの面に対して略直角方向となる面に形成されている。
次に、本発明の実施形態に係るマウントブラケットの取付構造の取付手順を説明する。
まず、マウントブラケット1をクロスメンバ2の凹部10に配置し、凹部10の上面10aにマウントブラケット1の連結部1cを重ね合わせ、凹部10の縦壁10bにマウントブラケット1の縦フランジ1bを重ね合わせ、クロスメンバ2の上側側面2aに上部フランジ1aを重ね合わせ、クロスメンバ2の底面2bに下部フランジ1dを重ね合わせる。次いで、重ね合わせた各部分をスポット溶接する。ここで、本実施形態では、上部フランジ1bでは2点、連結部1cでは3点、縦フランジ1bでは左右各2点、下部フランジ1dでは左右各1点でスポット溶接を行っている。その後、クロスメンバ2のフランジ2c,2dをフロアパネル3の下面に重ね合わせてスポット溶接する。
マウント4のマウントブラケット1への取付は、マウントブラケット1の支持壁1f,1gの間にブッシュ4dを配置し、車体側に取付けられているマウントブラケット1の支持軸用孔1eとマウント4のブッシュ4dとにボルト等の支持軸4cを挿入することで行われる。そして、マウントブラケット1より突出した支持軸4cの螺子部をナットで締結固定し、パワーユニットがマウントブラケット1を介して車体に軸支される。
以上により、クロスメンバ2へのマウントブラケット1の取付作業とマウントブラケット1へのマウント4の取付作業が完了することになる。
本発明の実施形態に係るマウントブラケットの取付構造では、マウントブラケット1の上方となる上部フランジ1aおよび連結部1cの溶接部分に対して下方となる縦フランジ1bおよび下部フランジ1dの溶接部分が、支持壁1f,1gに対して車両幅方向に広がるように形成されており、全体で車両幅方向に広い溶接間隔が確保されている。そして、マウントブラケット1のスポット溶接位置は、車両前方向から見て、下方向に行くに従ってマウント4を中心に溶接位置の左右方向の間隔が大きくなるように配置されている。このため、本実施形態のようにマウント4が下方に吊り下げられた状態で取付けられ、パワーユニットの重量による下方への力のみならず車両の走行に伴ういろいろな方向の振動をも受けることになるマウントブラケット1は、マウント4からの力(主に下方に加わる力)を効果的に受け止めることができ、マウント4を支えることができる。
つまり、マウント4から受ける下方へのマウントブラケット1を脱落させる力に対しては、スポット溶接のせん断方向となる上部フランジ1aとクロスメンバ2の上側側面2aとのスポット溶接部分と、縦フランジ1bと凹部10の縦壁10bとのスポット溶接部分がマウント4の両側(前後方向、左右方向)の位置に配置され、効果的にマウント4からの力を受ける様になっている。さらに、スポット溶接の剥離方向となる連結部1cと凹部10の上面10aとのスポット溶接部分の両側に前記スポット溶接のせん断方向となる接合面が配置されているので、連結部1cと凹部10の上面10aとのスポット溶接部分に剥がれ方向の応力が集中しないようになっている。これにより、クロスメンバ2とマウントブラケット1とのスポット溶接部分の剥離を防止することができ、さらにマウントブラケット1の取付け強度が上がるため、耐久性が向上する。
前方へのマウントブラケット1を脱落させる(引き剥がす)力に対しては、スポット溶接のせん断方向となる連結部1cと凹部10の上面10aとのスポット溶接部分と、下部フランジ1dとクロスメンバ2の底面2bとのスポット溶接部分がマウント4の上下方向両側の位置に配置されている。さらに、スポット溶接の剥離方向となる縦フランジ1bと凹部10の縦壁10bとのスポット溶接部分の上下方向両側に前記スポット溶接のせん断方向となる接合面が配置されているので、縦フランジ1bと凹部10の縦壁10bとのスポット溶接部分に剥がれ方向の応力が集中しないようになっている。これにより、クロスメンバ2とマウントブラケット1とのスポット溶接部分の剥離を防止することができ、さらにマウントブラケット1の取付け強度が上がるため、耐久性が向上する。
図2に1e(支持軸用孔)として示しているように、マウント4を軸支する支持軸4cは、凹部10内に位置している。詳細には、支持軸4cの高さは、クロスメンバ2の底面2bと凹部10の上面10aとの間に位置し、支持軸4cの車両前後方向における位置は、上部フランジ1aと縦フランジ1bとの間の中央よりも上部フランジ1a側にずれた位置に配置されている。これにより、マウントブラケット1の上下端の溶接部分である上部フランジ1aと上側側面2aとのスポット溶接部分および下部フランジ1dと底面2bとのスポット溶接部分には、無理な力が集中せず、複数の溶接接合面にて力を受けることが可能となるため、マウントブラケット1の溶接部分の耐久性が向上する。
さらに図2に示しているように、クロスメンバ2の凹部10にマウントブラケット1を配置して溶接するため、フロアパネル3からマウント4までの距離hを短く設定できる。クロスメンバ2から下方へのマウント4の突出量が少なくすることができて、マウント4のための床下の必要空間を減らすことができるため、車両のフロアを低くして室内空間を広くすることができるとともに、従来の吊り板を用いた取付構造における駆動装置または懸架装置の配置と比べて配置(レイアウト)の自由度が向上する。
さらにマウントブラケット1において、各溶接接合面は隣接する溶接接合面に対して略直角方向に位置し、それぞれスポット溶接しているため、或る溶接接合面で剥離方向の力が作用したとしても他の溶接接合面によってスポット溶接の剥離を防止することができる。つまり、他の溶接接合面に両側から挟まれた溶接接合面(凹部の上面10aおよび凹部の縦壁10b)では、スポット溶接部分の端部(縁)に応力が集中することが防止できる。したがって、スポット溶接部分全体でマウント4から入力される力を受けることになり、マウントブラケット1のスポット溶接部分がクロスメンバ2から抜けるように剥離することが防止でき、溶接強度が確実となっている。
以上の構成により、マウントブラケット1の溶接接合面の耐久性が向上するため、生産効率上メリットの多いスポット溶接をマウントブラケット1のクロスメンバ2への取付に対して使用することが可能となっている。
なお、本発明は、本実施形態のようにマウントブラケット1がクロスメンバ2の上に配置(載置)されるものでない場合(マウントブラケット1の結合耐久性に不利となる場合)において、特に有効である。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
本実施形態では、前述したようにクロスメンバ2の側面2eの上方の一部を膨出させて凹部10を設けているが、クロスメンバの側面と底面の角部をクロスメンバの閉断面の内方に窪ませることで凹部を形成することも可能である。
本実施形態では、図1に示しているように、上部フランジ1bでは2点、連結部1cでは3点、縦フランジ1bでは左右各2点、下部フランジ1dでは左右各1点でスポット溶接しているが、スポット溶接数はこれに限定されるものではなく、マウントブラケットの形状に合わせ変更が可能である。
本実施形態では、本発明のマウントブラケットの取付構造を床下のパワーユニットを支持するマウントに適用しているが、ダッシュパネル下のエンジン等のマウントにも適用が可能である。
また、本発明のマウントブラケットの取付構造は、サスペンションアーム、ショックアブソーバなどの固定にも適用が可能である。
本発明の一実施形態に係るマウントブラケットの斜視図である。 図1のX方向からの矢視図である。 図1のA−A線断面図である。 エンジンマウントを取付けた場合における図1のB−B線断面図である。
符号の説明
1 マウントブラケット
1a 上部フランジ
1b 縦フランジ
1c 連結部
1d 下部フランジ
1e 支持軸用孔
1f,1g 支持壁
1h 補強用フランジ
2 クロスメンバ
2a クロスメンバの上側側面
2b クロスメンバの底面
2c クロスメンバの前端のフランジ
2d クロスメンバの後端のフランジ
2e クロスメンバの前方側面
2f クロスメンバの後方側面
3 フロアパネル
4 マウント
4a マウント本体
4b 緩衝材
4c 支持軸
4d ブッシュ
10 クロスメンバの凹部
10a クロスメンバの凹部の上面
10b クロスメンバの凹部の縦壁

Claims (4)

  1. 車体の閉断面に構成されたメンバに溶接固定され、駆動装置または懸架装置に固定されたマウントを支持するマウントブラケットの取付構造であって、
    前記メンバの側面に、上面と縦壁とによって構成され側方および下方に開口している凹部を設け、
    該凹部には前記マウントブラケットが配置されており、
    前記マウントブラケットが、前記凹部の上面および縦壁にスポット溶接されているとともに前記凹部の縦壁と反対側となる上面の端部から上方に延びる前記メンバの上側側面にスポット溶接されていることを特徴とするマウントブラケットの取付構造。
  2. 前記マウントブラケットは、
    前記マウントの両側に配置され、それぞれ前記マウントを支持する支持軸が挿通される支持軸用孔が形成された上下方向に延びる第1および第2の支持壁と、
    前記第1および第2の支持壁の上端を連結している連結部と、
    該連結部の端部から上方に屈曲している上部フランジと、
    前記支持壁の端部から前記凹部の縦壁に沿って屈曲している縦フランジとを有しており、
    前記凹部の上面に前記連結部を重ね合わせ、
    前記凹部の縦壁に前記縦フランジを重ね合わせ、
    前記上側側面に前記上部フランジを重ね合わせて、それぞれがスポット溶接されていることを特徴とする請求項1に記載のマウントブラケットの取付構造。
  3. 前記凹部の縦壁の下端から前記凹部と反対方向に延びる前記メンバの底面には、前記第1および第2の支持壁の下端から前記メンバの底面に沿って屈曲している下部フランジがスポット溶接されていることを特徴とする請求項2に記載のマウントブラケットの取付構造。
  4. 前記支持軸が前記連結部の下方に配置されているとともに、水平方向で、前記支持軸用孔が前記縦フランジと前記上部フランジとの間の中央よりも前記上部フランジ側にずれた位置に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のマウントブラケット取付構造。
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