JP2007332842A - 燃料供給システム及びその燃料供給システムに備えられた燃料フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料フィルタを構成する線材の外径寸法を大きくすることなく、燃料フィルタの疲労破壊や損傷を防止することができる燃料供給システム及びその燃料供給システムに備えられた燃料フィルタを提供する。
【解決手段】二重管構造で成り、外側流路Aから内側流路Cに向けて燃料を供給すると共に、この外側流路Aと内側流路Cとの境界部分にダイアフラム74を臨ませることで内側流路Cでの燃圧脈動を低減するパルセーションダンパ7に対し、外側流路Aに燃料フィルタ8を配設する。これにより、燃圧脈動の影響が燃料フィルタ8に及ぶことを抑制し、燃料フィルタ8の損傷を防止する。
【選択図】図6
【解決手段】二重管構造で成り、外側流路Aから内側流路Cに向けて燃料を供給すると共に、この外側流路Aと内側流路Cとの境界部分にダイアフラム74を臨ませることで内側流路Cでの燃圧脈動を低減するパルセーションダンパ7に対し、外側流路Aに燃料フィルタ8を配設する。これにより、燃圧脈動の影響が燃料フィルタ8に及ぶことを抑制し、燃料フィルタ8の損傷を防止する。
【選択図】図6
Description
本発明は、例えば筒内直噴型エンジン等の内燃機関に適用され、燃料噴射弁(インジェクタ)に向けて高圧燃料を供給するための燃料供給システム及びその燃料供給システムに備えられ燃料中の異物を除去するための燃料フィルタに係る。特に、本発明は、燃料フィルタの配置形態の改良に関する。
従来より、例えば筒内直噴型エンジンのようにインジェクタへ供給する燃料に高い圧力が要求されるエンジンにあっては、燃料タンクから送られてきた燃料を高圧燃料ポンプで加圧してインジェクタに向けて供給するようになっている。
具体的に、この種のエンジンにおける燃料供給システムの構成としては、下記の特許文献1及び特許文献2にも開示されているように、燃料タンクから燃料を送り出すフィードポンプ、このフィードポンプによって送り出された燃料を加圧する高圧燃料ポンプを備えている。そして、この高圧燃料ポンプによって加圧された燃料を、複数のインジェクタが接続されたデリバリパイプに貯留するようになっている。これにより、インジェクタの開弁動作に伴って、デリバリパイプに貯留されている高圧燃料が、その開弁されたインジェクタから燃焼室に向けて噴射されることになる。
また、上記高圧燃料ポンプは、シリンダ内にプランジャが挿入されており、このプランジャがリフタを介して駆動カムからの押圧力を受けてシリンダ内で往復移動し、加圧室に吸入した燃料を加圧するようになっている。また、この種の高圧燃料ポンプにおける燃料吐出量の調整機構としてはスピル弁が備えられており、このスピル弁が、フィードポンプからの燃料供給路となる低圧燃料配管と高圧燃料ポンプの加圧室との間での連通状態と非連通状態とを切り換えることで燃料吐出量を調整するようになっている。以下、図9を用いて具体的に説明する。
図9は、スピル弁aの配設位置及びその周辺の構造を示す模式図である。この図に示すように、スピル弁aは、電磁ソレノイドbによって開閉駆動して上記連通状態と非連通状態とを切り換え可能としている。そして、スピル弁aの開弁状態で、加圧室cの容積が拡大する方向へプランジャdが移動(図中において下方へ移動)する際には、フィードポンプから送り出された燃料が低圧燃料配管eを経て加圧室c内に吸入される(吸入行程)。一方、加圧室cの容積が収縮する方向へプランジャdが移動(図中において上方へ移動)する際において、スピル弁aが閉弁状態になると、低圧燃料配管eと加圧室cとの間が遮断され、加圧室c内の燃料が加圧されて高圧燃料がデリバリパイプに向けて吐出される(加圧行程)。そして、この加圧室cの容積が収縮する方向へプランジャdが移動する際において、スピル弁aの閉弁期間を制御することによって燃料吐出量が調整されるようになっている。つまり、スピル弁aの閉弁開始時期を早めて閉弁期間を長くすると燃料吐出量が増加し、スピル弁aの閉弁開始時期を遅らせて閉弁期間を短くすると燃料吐出量が減少することになる。
このため、加圧室cの容積が収縮する方向へプランジャdが移動する際にスピル弁aが開弁状態である場合には、加圧室cに一旦吸入された燃料の一部は低圧燃料配管e側に向けて戻される状況となる。
また、この種の高圧燃料ポンプの吸入口近傍位置には、この燃料ポンプ内に供給される燃料に混在する異物を除去するための燃料フィルタfが備えられている。この燃料フィルタfは、燃料流れ方向の上流側(フィードポンプ側)が開放されると共に下流側(加圧室c側)が閉塞された略円筒形状の金属メッシュにより形成されており、低圧燃料配管eから加圧室cに供給される燃料中に混在する異物を捕捉することで、燃料ポンプやインジェクタ等の作動に支障を招かないようにしている。
特開2000−297710号公報
特開2003−328847号公報
ところで、上述した如く高圧燃料ポンプの吸入口近傍位置に燃料フィルタfが配設されている構成にあっては、上記吸入行程では、図中に実線の矢印で示すように、燃料は燃料フィルタfによって濾過された後に加圧室c内に導入されるものの、上述した如く、加圧室cの容積が収縮する方向へプランジャdが移動する際にスピル弁aが開弁状態である場合であって加圧室cに一旦吸入された燃料の一部が低圧燃料配管e側に戻される状況では、図中に破線の矢印で示すように、燃料は加圧室cから燃料フィルタfに向けて流れる(逆流する)ことになる。このように、燃料フィルタfには、低圧燃料配管eから加圧室cに向かう燃料の流れに伴う圧力と、加圧室cから低圧燃料配管eに向かう燃料の流れに伴う圧力とが交互に作用する所謂繰り返し応力が加わることになる。このため、図10に示すように、高圧燃料ポンプの長期間の使用に伴って燃料フィルタfが疲労破壊してしまう虞がある。
また、燃料が加圧室cから燃料フィルタfに向けて流れる際の燃料流速が高い場合には燃料フィルタfに大きな荷重(燃料の流体圧)が作用し、これに伴って燃料フィルタfに損傷を招いてしまう虞もある。
このように燃料フィルタfが疲労破壊したり損傷した場合、フィルタ機能に支障を来し、燃料中に混在する異物を十分に捕捉することができなくなってしまう。
このような燃料フィルタfの疲労破壊や損傷を回避するための手段として、燃料フィルタfの剛性を高く確保しておくことが考えられる。例えば燃料フィルタfを構成している線材(ワイヤ)として径寸法の大きなものを採用することが挙げられる。
しかし、これでは、燃料フィルタfでの流通抵抗が大きくなってしまう可能性があり、この流通抵抗を低く維持するためにはメッシュサイズを大きくせねばならず、その結果、微小な異物を捕捉することが困難になるといった不具合を招いてしまうことに繋がる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃料フィルタの剛性を高くすることなしにその疲労破壊や損傷を防止できる燃料供給システム及びその燃料供給システムに備えられた燃料フィルタを提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、燃料ポンプの作動時にその上流側で生じる燃圧脈動をパルセーションダンパによって抑制する際のその脈動低減対象とする供給路内領域よりも上流側、例えばパルセーションダンパの燃料入口部分(燃料ポンプの加圧室に向かって燃料が流れる際における入口部分)に燃料フィルタを配設することにより、この燃料フィルタに、燃料の逆流に伴う繰り返し応力等が作用しないようにしている。
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、燃料ポンプの作動時にその上流側で生じる燃圧脈動をパルセーションダンパによって抑制する際のその脈動低減対象とする供給路内領域よりも上流側、例えばパルセーションダンパの燃料入口部分(燃料ポンプの加圧室に向かって燃料が流れる際における入口部分)に燃料フィルタを配設することにより、この燃料フィルタに、燃料の逆流に伴う繰り返し応力等が作用しないようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、低圧燃料供給路から供給された燃料を容積形の燃料ポンプによって加圧して燃料噴射弁に向けて供給する燃料供給システムを前提とする。この燃料供給システムに対し、上記低圧燃料供給路における燃料ポンプの燃料吸入口近傍位置に、燃料ポンプからの燃料戻りに起因して発生する燃圧脈動を低減するための燃圧脈動低減手段と、燃料ポンプ内に供給される燃料を濾過するための燃料フィルタとを配設させる。そして、上記燃料フィルタの配設位置を、燃料ポンプの燃料吸入口近傍位置において、上記燃圧脈動低減手段が脈動低減対象とする供給路内領域よりも燃料流通方向の上流側の領域に設定している。
具体的に、本発明は、低圧燃料供給路から供給された燃料を容積形の燃料ポンプによって加圧して燃料噴射弁に向けて供給する燃料供給システムを前提とする。この燃料供給システムに対し、上記低圧燃料供給路における燃料ポンプの燃料吸入口近傍位置に、燃料ポンプからの燃料戻りに起因して発生する燃圧脈動を低減するための燃圧脈動低減手段と、燃料ポンプ内に供給される燃料を濾過するための燃料フィルタとを配設させる。そして、上記燃料フィルタの配設位置を、燃料ポンプの燃料吸入口近傍位置において、上記燃圧脈動低減手段が脈動低減対象とする供給路内領域よりも燃料流通方向の上流側の領域に設定している。
この特定事項により、燃料ポンプの駆動に伴い、低圧燃料供給路から供給された燃料は加圧されて燃料噴射弁に向けて供給されることになる。この燃料供給動作時に、燃料ポンプからの燃料戻りが生じる状況になると(例えば、ポンプの燃料吐出量調整のための燃料戻りが生じる状況になると)、低圧燃料供給路中に燃圧脈動が発生することになるが、この燃圧脈動は燃圧脈動低減手段によって低減(減衰)される。この燃圧脈動低減手段が脈動低減対象とする供給路内領域は、この燃圧脈動低減手段よりも燃料ポンプの加圧室側である。そして、本解決手段では、燃料フィルタを、燃料ポンプの燃料吸入口近傍位置において、上記燃圧脈動低減手段が脈動低減対象とする供給路内領域よりも燃料流通方向の上流側の領域に配設している。つまり、上記燃料戻りに起因する燃圧脈動を低減するための領域よりも燃料流通方向の上流側としている。この領域は、上記燃圧脈動低減手段の存在により燃圧脈動の影響が殆ど及ばない領域となっている。このため、燃料の流れの変化に伴う繰り返し応力が燃料フィルタに作用して燃料フィルタが疲労破壊したり、加圧室からの戻り燃料によって燃料フィルタに大きな荷重が作用して燃料フィルタが損傷したりするといった状況を回避することができる。
また、上記燃料ポンプの具体構成として以下のものが挙げられる。つまり、燃料ポンプがスピル弁式のプランジャポンプであり、加圧室の容積が収縮する方向へプランジャが移動する際にスピル弁が開弁状態である場合に、加圧室内の燃料の一部が低圧燃料配管側に戻されることにより燃料戻りが生じて燃圧脈動が生じる構成となっているものである。特にこのような機構によって燃料ポンプからの燃料吐出量を調整しているものにあっては、燃料の流れ方向が短時間で交互に変化するため、この燃料の流れ方向の変化に伴う繰り返し応力が燃料フィルタに継続的に作用し、燃料フィルタの疲労破壊が懸念されるものであったが、本発明によれば、この繰り返し応力の作用を軽減または無くすことができ、燃料フィルタにおけるフィルタ機能の信頼性の向上、燃料フィルタの長寿命化、燃料フィルタの細メッシュ化を図ることができる。
燃料フィルタの配置形態として具体的には以下の各構成が挙げられる。先ず、燃圧脈動低減手段の内部に燃料流路が形成されており、この燃料流路のうちの一部が脈動低減対象領域とされて、燃料フィルタが、この脈動低減対象領域よりも燃料流通方向の上流側の位置において燃圧脈動低減手段に一体的に取り付けられた構成である。
また、燃圧脈動低減手段の内部に燃料流路が形成されており、この燃料流路の燃料流通方向上流側の端部に上流側配管が接続されている一方、燃料フィルタにガスケットが一体的に形成されており、このガスケットが、上記燃圧脈動低減手段における燃料流路の燃料流通方向上流側の端部と、上流側配管との間に挟持された状態で燃料フィルタが燃圧脈動低減手段に組み付けられた構成である。
特に後者の構成によれば、燃料フィルタにガスケットとしての機能を兼用させることができ、個別部品としてのガスケットが不要になって、部品点数の削減を図ることができる。また、このガスケットとしては、燃料フィルタのフィルタ材を支持するフレーム材(燃料フィルタの枠体)としての機能を兼用させる構成とすることも可能である。
また、燃圧脈動低減手段の具体構成としては、内部にダイヤフラムを備え、このダイヤフラムの移動動作によって低圧燃料供給路中で発生する燃圧脈動を低減する構成となっている。
また、上記各解決手段のうち何れか一つの燃料供給システムに備えられた燃料フィルタも本発明の技術的思想の範疇である。つまり、燃料ポンプの燃料吸入口近傍位置において、上記燃圧脈動低減手段が脈動低減対象とする供給路内領域よりも燃料流通方向の上流側の領域に配設された燃料フィルタである。
また、この燃料フィルタの配設形態として具体的には、燃料が通過するフィルタ材を、燃料の流線方向に対して傾斜させたものとしている。これによれば、燃料流路の断面積(燃料の流線に直交する方向での断面積)に対してフィルタ材の表面積(フィルタ面積)を大きく確保することができ、これによりフィルタ性能の向上を図ることができる。
本発明では、燃料ポンプの作動時にその上流側で生じる燃圧脈動を燃圧脈動低減手段によって抑制する際のその脈動低減対象とする供給路内領域よりも上流側に燃料フィルタを配設している。このため、燃料フィルタに、燃料の逆流に伴う繰り返し応力等の作用を軽減または無くすことができ、燃料フィルタの疲労破壊や損傷を防止できて、フィルタ機能の信頼性の向上、燃料フィルタの長寿命化、燃料フィルタの細メッシュ化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、自動車に搭載された筒内直噴型多気筒(例えば4気筒)ガソリンエンジンにおける燃料供給システムに本発明を適用した場合について説明する。
−燃料供給システム−
図1は本実施形態における燃料供給システム100の構造を模式的に示す図である。この図1に示すように、燃料供給システム100は、燃料タンク101から燃料を送り出すフィードポンプ102と、そのフィードポンプ102によって送り出された燃料を加圧して各気筒(4気筒)のインジェクタ(燃料噴射弁)4,4,…に向けて吐出する高圧燃料ポンプ1とを備えている。
図1は本実施形態における燃料供給システム100の構造を模式的に示す図である。この図1に示すように、燃料供給システム100は、燃料タンク101から燃料を送り出すフィードポンプ102と、そのフィードポンプ102によって送り出された燃料を加圧して各気筒(4気筒)のインジェクタ(燃料噴射弁)4,4,…に向けて吐出する高圧燃料ポンプ1とを備えている。
上記高圧燃料ポンプ1の概略構成としては(具体構成については、後で図3を用いて説明する)、シリンダ21、プランジャ23、加圧室22及び電磁スピル弁30を備えている。プランジャ23は、エンジンの排気カムシャフト110に取り付けられた駆動カム111の回転によって駆動され、シリンダ21内を往復移動する。このプランジャ23の往復移動により加圧室22の容積が拡大または縮小する。本実施形態では、排気カムシャフト110の回転軸回りに180°の角度間隔をもって2つのカム山(カムノーズ)112,112が駆動カム111に形成されている。そして、このカムノーズ112,112によってプランジャ23が押し上げられて、このプランジャ23がシリンダ21内で移動するようになっている。尚、本実施形態に係るエンジンは4気筒型であるため、エンジンの1サイクル中、つまりクランクシャフトが2回転する間に、気筒毎に設けられたインジェクタ4から各1回ずつ、合計4回の燃料噴射が行われることになる。また、このエンジンでは、クランクシャフトが2回転する度に排気カムシャフト110は1回転する。よって、インジェクタ4からの燃料噴射は4回ずつ、高圧燃料ポンプ1からの吐出動作は2回ずつ、エンジンの1サイクル毎に行われるようになっている。
上記加圧室22はプランジャ23及びシリンダ21によって区画されている。この加圧室22は、低圧燃料配管104を介してフィードポンプ102に連通しており、また、高圧燃料配管105を介してデリバリパイプ(蓄圧容器)106内に連通している。
このデリバリパイプ106には、上記インジェクタ4,4,…が接続されていると共に、デリバリパイプ106内の燃料圧力(実燃圧)を検出する燃圧センサ161が配設されている。また、このデリバリパイプ106には、リリーフバルブ171を介してリターン配管172が接続されている。このリリーフバルブ171は、デリバリパイプ106内の燃料圧力が所定圧(例えば13MPa)を越えたときに開弁する。この開弁により、デリバリパイプ106に蓄えられた燃料の一部をリターン配管172を介して燃料タンク101に戻すようになっている。これにより、デリバリパイプ106内の燃料圧力の過上昇が防止される。また、上記リターン配管172と高圧燃料ポンプ1とは、燃料排出配管108(図1では破線で示している)によって接続されており、プランジャ23とシリンダ21との間隙から漏出した燃料がシールユニット5の上部の燃料収容室6に蓄積され、その後、この燃料収容室6に接続された上記燃料排出配管108に戻されるようになっている。
尚、低圧燃料配管104には、フィルタ141及びプレッシャレギュレータ142が設けられている。このプレッシャレギュレータ142は、低圧燃料配管104内の燃料圧力が所定圧(例えば0.4MPa)を越えたときに低圧燃料配管104内の燃料を燃料タンク101に戻すことによって、この低圧燃料配管104内の燃料圧力を所定圧以下に維持している。また、低圧燃料配管104には、パルセーションダンパ(燃圧脈動低減手段)7が備えられており、このパルセーションダンパ7によって高圧燃料ポンプ1の作動時における低圧燃料配管104内の燃圧脈動が抑制されるようになっている(このパルセーションダンパ7の具体的な構成については後述する)。また、高圧燃料配管105には、高圧燃料ポンプ1から吐出された燃料が逆流することを阻止するための逆止弁151が設けられている。
上記高圧燃料ポンプ1には、低圧燃料配管104と加圧室22との間を連通または遮断するための上記電磁スピル弁30が設けられている。この電磁スピル弁30は、電磁ソレノイド31を備えており、その電磁ソレノイド31への通電を制御することにより開閉動作する。電磁スピル弁30は、電磁ソレノイド31への通電が停止されているときにはコイルスプリング37の付勢力によって開弁する。以下、この電磁スピル弁30の開閉動作について図2を参照しながら説明する。
先ず、電磁ソレノイド31に対する通電が停止された状態のときには、電磁スピル弁30がコイルスプリング37の付勢力によって開弁し、低圧燃料配管104と加圧室22とが連通した状態になる。この状態において、加圧室22の容積が増大する方向にプランジャ23が移動するとき(吸入行程)には、フィードポンプ102から送り出された燃料が低圧燃料配管104を経て加圧室22内に吸入される。
一方、加圧室22の容積が収縮する方向にプランジャ23が移動するとき(加圧行程)において、電磁ソレノイド31への通電により電磁スピル弁30がコイルスプリング37の付勢力に抗して閉弁すると、低圧燃料配管104と加圧室22との間が遮断され、加圧室22内の燃料圧力が所定値に達した時点でチェック弁40が開放して、高圧の燃料が高圧燃料配管105を通じてデリバリパイプ106に向けて吐出される。
そして、高圧燃料ポンプ1における燃料吐出量の調整は、加圧行程での電磁スピル弁30の閉弁期間を制御することによって行われる。即ち、電磁スピル弁30の閉弁開始時期を早めて閉弁期間を長くすると燃料吐出量が増加し、電磁スピル弁30の閉弁開始時期を遅らせて閉弁期間を短くすると燃料吐出量が減少するようになる。このように、高圧燃料ポンプ1の燃料吐出量を調整することにより、デリバリパイプ106内の燃料圧力が制御される。
ここで、高圧燃料ポンプ1の燃料吐出量(電磁スピル弁30の閉弁開始時期)を制御するための制御量であるポンプデューティDTについて説明する。
このポンプデューティDTは、0〜100%という値の間で変化するものであって、電磁スピル弁30の閉弁期間に対応する排気カムシャフト110の駆動カム111のカム角度に関係した値である。
具体的には、駆動カム111のカム角度に関して、図2に示すように、電磁スピル弁30の最大閉弁期間に対応したカム角度(最大カム角度)をθ0とし、その最大閉弁期間の目標燃圧に対応するカム角度(目標カム角度)をθとすると、ポンプデューティDTは、最大カム角度θ0に対する目標カム角度θの割合(DT=θ/θ0)で表される。従って、ポンプデューティDTは、目標とする電磁スピル弁30の閉弁期間(閉弁開始時期)が最大閉弁期間に近づくほど100%に近い値となり、目標とする閉弁期間が「0」に近づくほど0%に近い値となる。
そして、ポンプデューティDTが100%に近づくほど、ポンプデューティDTに基づいて調整される電磁スピル弁30の閉弁開始時期は早められ、電磁スピル弁30の閉弁期間は長くなる。その結果、高圧燃料ポンプ1の燃料吐出量が増加して実燃圧が上昇するようになる。また、ポンプデューティDTが0%に近づくほど、ポンプデューティDTに基づいて調整される電磁スピル弁30の閉弁開始時期は遅らされ、電磁スピル弁30の閉弁期間は短くなる。その結果、高圧燃料ポンプ1の燃料吐出量が減少して実燃圧が低下するようになる。尚、上記ポンプデューティDTの算出手順の詳細についてはここでは説明を省略する。
−高圧燃料ポンプ1の具体構成−
次に、上記高圧燃料ポンプ1の具体構成について図3を用いて説明する。図3は高圧燃料ポンプ1の縦断面図である。この図3に示すように、本実施形態の高圧燃料ポンプ1は、ハウジング10内にポンプ部20、上記電磁スピル弁30及びチェック弁40を備えた構成となっている。
次に、上記高圧燃料ポンプ1の具体構成について図3を用いて説明する。図3は高圧燃料ポンプ1の縦断面図である。この図3に示すように、本実施形態の高圧燃料ポンプ1は、ハウジング10内にポンプ部20、上記電磁スピル弁30及びチェック弁40を備えた構成となっている。
上記ポンプ部20は、シリンダ21、加圧室22、プランジャ23、リフタ24及びリフタガイド25を備えている。シリンダ21はハウジング10の中央部に形成され、その先端側(図3における上端側)に加圧室22が形成される。プランジャ23は円柱状であって、シリンダ21内にその軸線方向の摺動が可能に挿入されている。リフタ24は有底円筒状に形成されており、その内部に、プランジャ23の基端部、後述するリテーナ26及びコイルスプリング27等が収容される。リフタガイド25はハウジング10の下側に取り付けられた円筒状の部材であって、その内部に上記リフタ24が軸線方向へ摺動可能に収納されている。
上記プランジャ23の基端部にはリテーナ26が係合されている。具体的には、プランジャ23の基端部に小径部23aが設けられており、リテーナ26にはこの小径部23aの外径寸法に略一致する幅を有する溝26aが形成されていて、この溝26aに小径部23aが嵌め込まれることによってプランジャ23の基端部がリテーナ26に往復移動一体に係合されている。そして、リフタガイド25の上部にはスプリングシート部材25aが嵌め込まれており、このスプリングシート部材25aの下面とリテーナ26との間にコイルスプリング27が圧縮状態で配置されている。つまり、このコイルスプリング27により、プランジャ23に対して下方への付勢力が付与されていると共に、リフタ24が駆動カム111に向けて付勢されている。尚、駆動カム111の外周面の中心位置(駆動カム111の回転軸方向の中心位置)とリフタ24の下面の中心点とは駆動カム111の回転軸方向に沿ってずらされ(偏心され)ており、これら両者は所謂オフセット配置されている。また、このオフセットの方向としては、駆動カム111の外周面とリフタ24の下面との間の摩擦力を利用してリフタ24が平面視において時計回り方向に回転するようにされている。
上記電磁スピル弁30は加圧室22に対向して配設され、上記電磁ソレノイド31、ボビン32、コア33、アーマチャ34、ポペット弁35及びシート体36を備えている。電磁ソレノイド31はボビン32にリング状に巻装されたコイルで成り、コア33はボビン32の中心貫通孔に嵌合固定されている。アーマチャ34はポペット弁35の一端に固定された状態で、その一部がコア33と同軸上でボビン32の中心貫通孔に進入可能に配置されている。コア33及びアーマチャ34の各対向面には凹部がそれぞれ形成されており、それら凹部間にはコイルスプリング37が圧縮状態で収容されている。そして、このコイルスプリング37により、アーマチャ34が加圧室22側に向かって付勢されている。
上記ポペット弁35はシート体36内の貫通孔に摺動可能に挿入され、その下端部には円板状の弁体35aが形成されている。そして、電磁ソレノイド31の非通電時には、コイルスプリング37の付勢力により、弁体35aがシート体36のシート部36aから離間されて、電磁スピル弁30は開弁状態となる。一方、図示しない電子制御装置から端子38を介して電磁ソレノイド31に通電されると、コア33、アーマチャ34及び電磁スピル弁30全体を支持する支持部材39により磁気回路が形成され、コイルスプリング37の付勢力に抗して、アーマチャ34がコア33側に移動する。これにより、ポペット弁35が加圧室22と反対側に移動し、その弁体35aがシート体36のシート部36aに当接して、電磁スピル弁30は閉弁状態となる(図3に示す状態)。
一方、電磁スピル弁30が開弁状態にあるときには、シート体36に形成された複数の供給通路36bと加圧室22との間で燃料が流通可能となっている。
上記ハウジング10には、内部空間が上記供給通路36bに連通する吸入管部材11が取り付けられている。そして、電磁スピル弁30の開弁状態で、プランジャ23が下降するとき、フィードポンプ102の作動により燃料タンク101から汲み上げられた低圧燃料が、フィルタ141、プレッシャレギュレータ142、パルセーションダンパ7、吸入管部材11及び供給通路36bを経て加圧室22に吸入されるようになっている。
上記シリンダ21の先端側に形成された加圧室22は、シリンダ21の内周面よりも大径に形成されている。そして、プランジャ23は電磁スピル弁30の閉タイミング前に加圧室22に進入し、電磁スピル弁30が閉弁した後にプランジャ23が上死点に到達するようになっている。また、プランジャ23の先端部が加圧室22内に進入した状態で、加圧室22の内周面とプランジャ23の外周面との間に隙間が形成されるようになっている。ハウジング10には燃料吐出通路12が形成されており、加圧室22がこの燃料吐出通路12を介してチェック弁40に連通するようになっている。
上記チェック弁40は、燃料吐出通路12に接続されたケーシング41と、そのケーシング41内に配置されたシート体42及びスプリングベース体45と、シート体42に接離可能に対向するバルブ体(弁体)43と、このバルブ体43をシート体42に対する当接位置に向かって付勢するコイルスプリング44とを備えている。また、このチェック弁40は上記高圧燃料配管105に接続されている。そして、加圧室22内から燃料吐出通路12を介して圧送される燃料の圧力が所定値を超えたとき、バルブ体43がコイルスプリング44の付勢力に抗してシート体42から離間する位置に移動される。これにより、チェック弁40が開弁状態になって、燃料吐出通路12から圧送される高圧燃料が高圧燃料配管105を経てデリバリパイプ106に供給されるようになっている。
次に、本発明の特徴部分についての複数の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態について説明する。
先ず、第1実施形態について説明する。
−パルセーションダンパユニットの構成−
図4は、上記パルセーションダンパ7と、本実施形態の特徴とする部材である燃料フィルタ8とが一体的に組み付けられて成るパルセーションダンパユニット9を示す断面図である。また、図5(a)は燃料フィルタ8の側面図であり、図5(b)は燃料フィルタ8の平面図である。更に、図6は、上記パルセーションダンパユニット9が高圧燃料ポンプ1の吸入管部材11に取り付けられた状態を示す断面図である。
図4は、上記パルセーションダンパ7と、本実施形態の特徴とする部材である燃料フィルタ8とが一体的に組み付けられて成るパルセーションダンパユニット9を示す断面図である。また、図5(a)は燃料フィルタ8の側面図であり、図5(b)は燃料フィルタ8の平面図である。更に、図6は、上記パルセーションダンパユニット9が高圧燃料ポンプ1の吸入管部材11に取り付けられた状態を示す断面図である。
これらの図に示すように、パルセーションダンパユニット9は、後述するユニオンパイプ(上流側配管)13を吸入管部材11との間で挟持しながら高圧燃料ポンプ1に組み付けられていると共に、上記低圧燃料配管104の流路の一部を構成し、且つその内部において燃圧脈動を抑制する機能を備えている。
具体的には、このパルセーションダンパ7は、ダイアフラム機構を有するダンパ部71と、燃料流路を形成する配管部72とを備えている。
上記ダンパ部71は、屈曲形成された2枚の板材が組み合わされて成るケーシング73内に、薄肉の金属円板で成り弾性変形自在なダイアフラム74が収容された構成となっている。このダイアフラム74は、その外周縁が上記ケーシング73を構成する2枚の板材の間に挟持された状態で支持されている。そして、このダイアフラム74とケーシング73の内壁面との間で背圧空間74aが形成されており、この背圧空間74aにはコイルスプリング75が圧縮状態で収容されている。これにより、ダイアフラム74はコイルスプリング75の付勢力により配管部72内の燃料流路A,B,Cに向かう方向の付勢力が付与されている。つまり、ダイアフラム74は、燃料流路B,C内の燃料圧力が高まった場合に、上記コイルスプリング75の付勢力に抗して変形(燃料流路B,Cから後退する方向へ変形)して燃料圧力を吸収し、これによって燃圧脈動を抑制する機能を発揮するようになっている。尚、上記コイルスプリング75が収容されているダイアフラム74の背圧空間74aは大気に連通している。
一方、配管部72は、二重管構造で成り、外側の流路Aからダイアフラム74が臨む空間Bを経て内側の流路Cに向けて燃料が流れる構成となっている。具体的には、上記ダンパ部71のケーシング73には燃料流路の一部を構成するための開口73aが形成されており、この開口73aの縁部には、比較的大径であって且つ軸心方向の長さ寸法が比較的短い外側管76が取り付けられている。この外側管76を上記開口73aの縁部に取り付ける手法としては溶接等が挙げられる。一方、この外側管76の内側には、外側管76よりも小径であって且つ軸心方向の長さ寸法が外側管76よりも長い内側管77が配設されている。この内側管77の支持構造としては、上記外側管76の内面から延びる支持ピン等が利用される。また、内側管77の長手方向の両端部のうち、ダンパ部71側の端部は、ダイアフラム74との間に所定間隔を存しており、これによって上記二重管構造の外側流路Aと内側流路Cとを連通する連通路Bを形成している。また、内側管77における吸入管部材11側の端部には雄ネジ77aか形成されており、この雄ネジ77aを利用してパルセーションダンパユニット9が高圧燃料ポンプ1に組み付けられるようになっている。
そして、本実施形態において特徴とする部材である燃料フィルタ8は、上記外側管76の先端部から内側管77の外周面に亘って配設されている。具体的に、この燃料フィルタ8は、図5に示すように、上記外側管76の先端面形状に略一致するリング形状とされた金属製平板で成る下流側リング81と、内側管77の外周面に密着するように内径寸法が内側管77の外径寸法に略一致するリング形状とされた同じく金属製平板で成る上流側リング82とを備えている。そして、これら両リング81,82同士の間に略擂り鉢形状に成形されたメッシュ(金網)で成るフィルタ材83が掛け渡され、これらが一体的に接続された構成となっている。そして、このように構成された燃料フィルタ8に対し、上記パルセーションダンパ7の内側管77が上流側リング82の内部空間に挿通された状態で、上記下流側リング81の端面が外側管76の先端面に当接され、この両者が溶接等の手段によって接合されることにより燃料フィルタ8がパルセーションダンパ7に一体的に取り付けられている。この際、上記上流側リング82の内周面は内側管77の外周面の全周囲に亘って当接されることになる。従って、上記外側管76と内側管77との間の空間である上記外側流路Aの開放側は燃料フィルタ8によって覆われた状態、つまり、この外側管76と内側管77との間の外側流路Aに燃料が流入する場合に、この燃料が燃料フィルタ8を通過する構成となっている。このようにして、パルセーションダンパユニット9が構成されている。
−ユニオンパイプ13の構成−
次に、上記パルセーションダンパユニット9と吸入管部材11との間で挟持されるユニオンパイプ13について説明する。図6に示すように、このユニオンパイプ13は、上記フィードポンプ102の作動により燃料タンク101から汲み上げられた低圧燃料をパルセーションダンパユニット9に流入させるための配管部材である。
次に、上記パルセーションダンパユニット9と吸入管部材11との間で挟持されるユニオンパイプ13について説明する。図6に示すように、このユニオンパイプ13は、上記フィードポンプ102の作動により燃料タンク101から汲み上げられた低圧燃料をパルセーションダンパユニット9に流入させるための配管部材である。
詳しくは、このユニオンパイプ13は、その外径寸法が上記パルセーションダンパ7の外側管76の外径寸法に略一致する管体で成り、その外周面の一部に、燃料タンク101から延びる低圧燃料配管104が接続される接続管13aが一体形成されている。つまり、このユニオンパイプ13は、パルセーションダンパユニット9と吸入管部材11との間で挟持された状態において、上記内側管77の外周面との間で燃料流路Dを形成している。この燃料流路Dは加圧室22に向かう燃料流れ方向において燃料フィルタ8の上流側の空間(上記外側流路Aの上流側に連続する燃料流路)となっている。
また、このユニオンパイプ13における吸入管部材11に当接する側の端縁には内周側に向かって延びるフランジ13bが形成されている。このフランジ13bの内径寸法は上記内側管77の外径寸法に一致しており、このユニオンパイプ13がパルセーションダンパユニット9と吸入管部材11との間で挟持された状態では、このフランジ13bの内周面が内側管77の外周面に当接することで、パルセーションダンパユニット9とユニオンパイプ13との相互の位置決めが成されるようになっている。
また、上記ユニオンパイプ13及びパルセーションダンパユニット9が高圧燃料ポンプ1に組み付けられた状態では、吸入管部材11とユニオンパイプ13との合わせ面部分、ユニオンパイプ13とパルセーションダンパユニット9との合わせ面部分(詳しくはユニオンパイプ13と燃料フィルタ8の下流側リング81との合わせ面部分)にはそれぞれリング形状のガスケット14,15が介在されており、各合わせ面部分からの燃料漏れが防止されている。
−パルセーションダンパユニット9の動作−
次に、上述の如く構成されたパルセーションダンパユニット9の動作について説明する。エンジンの駆動に伴って上記フィードポンプ102及び高圧燃料ポンプ1が駆動すると、燃料タンク101から汲み上げられた低圧燃料が、フィルタ141、プレッシャレギュレータ142及び低圧燃料配管104を経てユニオンパイプ13の内部空間Dに導入される(図6における矢印I参照)。つまり、このユニオンパイプ13とパルセーションダンパ7の内側管77との間で形成されている空間Dに燃料が流れ込む。その後、この燃料は燃料フィルタ8を通過する。ここで、燃料中に混在する異物が燃料フィルタ8によって捕捉され、燃料が浄化される。
次に、上述の如く構成されたパルセーションダンパユニット9の動作について説明する。エンジンの駆動に伴って上記フィードポンプ102及び高圧燃料ポンプ1が駆動すると、燃料タンク101から汲み上げられた低圧燃料が、フィルタ141、プレッシャレギュレータ142及び低圧燃料配管104を経てユニオンパイプ13の内部空間Dに導入される(図6における矢印I参照)。つまり、このユニオンパイプ13とパルセーションダンパ7の内側管77との間で形成されている空間Dに燃料が流れ込む。その後、この燃料は燃料フィルタ8を通過する。ここで、燃料中に混在する異物が燃料フィルタ8によって捕捉され、燃料が浄化される。
そして、上記加圧室22の容積が増大する方向にプランジャ23が移動するとき(吸入行程)には、燃料フィルタ8を通過した燃料が、パルセーションダンパ7の外側管76と内側管77と間の空間(外側流路)A、ダイアフラム74が臨む空間(連通路)B、内側管77の内部空間(内側流路)Cを経て吸入管部材11より、加圧室22に向けて流入することになる(図6における矢印II参照)。
一方、加圧室22の容積が収縮する方向にプランジャ23が移動するとき(加圧行程)において、電磁スピル弁30がコイルスプリング37の付勢力によって開弁状態とされているときには、加圧室22内の燃料は、供給通路36bを逆流し、吸入管部材11の内部を経て内側管77の内部空間Cに流入する(図6における矢印III参照)。この際、この内側管77の内部空間Cでは燃料に脈動が生じやすい状況となるが、上記パルセーションダンパ7のダイアフラム74がコイルスプリング75の付勢力に抗して変形(内側管77の内部空間Cから後退する方向へ変形)し、空間Bを拡大させることで燃料圧力を吸収し、これによって燃圧脈動が抑制される。つまり、この燃料の逆流に伴う脈動は、上記内側管77の内部空間C及びダイアフラム74が臨む空間Bにおいて抑制されることになり、パルセーションダンパ7の外側管76と内側管77と間の空間Aに脈動が及ぶことはない。言い換えると、このパルセーションダンパ7の外側管76と内側管77と間の空間Aでは、常に加圧室22側に向かう燃料の流れが生じており、上記脈動の影響は殆ど生じない。
その結果、燃料フィルタ8に、燃料の流れの変化に伴う繰り返し応力が作用してこの燃料フィルタ8が疲労破壊したり、加圧室22からの戻り燃料によって燃料フィルタ8に大きな荷重が作用して燃料フィルタ8が損傷したりするといった状況が回避されることになる。このため、燃料フィルタ8のフィルタ材83を構成する線材の径寸法を大きくする等して燃料フィルタ8の剛性を高めておくことなしに燃料フィルタ8の疲労破壊や損傷を防止することができ、燃料フィルタ8のフィルタ機能の信頼性の向上、燃料フィルタ8の長寿命化、燃料フィルタ8の細メッシュ化を図ることができる。
また、上述した如く本実施形態に係る燃料フィルタ8はフィルタ材83が略擂り鉢形状に成形されている。つまり、上記外側管76と内側管77との間に形成される空間の断面積(軸心に直交する方向での断面積)に対してフィルタ材83の表面積(フィルタ面積)を大きく確保することができ、これによりフィルタ性能の向上を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、燃料フィルタ8の構成及び配設形態が上述した第1実施形態のものと異なっており、その他の構成は第1実施形態のものと同様である。従って、ここでは、第1実施形態との相違点について主に説明する。
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、燃料フィルタ8の構成及び配設形態が上述した第1実施形態のものと異なっており、その他の構成は第1実施形態のものと同様である。従って、ここでは、第1実施形態との相違点について主に説明する。
図7は、本実施形態におけるパルセーションダンパユニット9の組み付け箇所を分解した断面図である。また、図8は、パルセーションダンパユニット9及びユニオンパイプ13が吸入管部材11に組み付けられた状態を示す断面図である。尚、本実施形態では、図7及び図8において上記第1実施形態のものと同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態における燃料フィルタ8は、パルセーションダンパ7の外側管76の先端面に溶接等の手段によって予め接合されているものではなく、パルセーションダンパ7とは別体として構成されている。そして、図7に示すように、吸入管部材11に対してガスケット14、ユニオンパイプ13、パルセーションダンパ7、燃料フィルタ8を組み付ける際に、パルセーションダンパ7の内側管77が上流側リング82の内部空間に挿通されることで、パルセーションダンパ7と燃料フィルタ8とが組み合わされ、これによってパルセーションダンパユニット9が構成されるようになっている。
そして、本実施形態の特徴として、上記燃料フィルタ8を構成している下流側リング81及び上流側リング82は共にゴム製であって、これらリング81,82がシール部としての機能を兼ね備えた構成となっている。尚、これらリング81,82はゴム製に限らず樹脂製であってもよい。
従って、本実施形態では、パルセーションダンパ7のダンパ部71における外側管76とユニオンパイプ13との合わせ面部分のシール機能を下流側リング81によって得ることが可能となり、この合わせ面部分には個別にガスケット(第1実施形態に係る図6において符号15のガスケット)が不要になる。これにより、部品点数の削減を図ることができる。尚、この下流側リング81に十分なシール機能を発揮させるために、この下流側リング81の厚さ寸法としては上述した第1実施形態における下流側リング81(金属製平板で成る)よりも大きな寸法に設定されている。
また、本実施形態では、パルセーションダンパ7の内側管77の外周面に対する上流側リング82の密着度も高く得ることができ、この両者の隙間から燃料がバイパスしてしまう(燃料フィルタ8を通過することなしに加圧室22に流れ込む)といったことを確実に回避することができる。
−その他の実施形態−
以上説明した各実施形態では、本発明を自動車に搭載された筒内直噴型4気筒ガソリンエンジンに適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、例えば筒内直噴型6気筒ガソリンエンジンなど他の任意の気筒数のガソリンエンジンにも適用可能である。また、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジン等の他の内燃機関にも本発明は適用可能である。更には、本発明が適用可能なエンジンは、自動車用のエンジンに限るものでもない。
以上説明した各実施形態では、本発明を自動車に搭載された筒内直噴型4気筒ガソリンエンジンに適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、例えば筒内直噴型6気筒ガソリンエンジンなど他の任意の気筒数のガソリンエンジンにも適用可能である。また、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジン等の他の内燃機関にも本発明は適用可能である。更には、本発明が適用可能なエンジンは、自動車用のエンジンに限るものでもない。
また、上記各実施形態における高圧燃料ポンプ1では、排気カムシャフト110に取り付けられた駆動カム111の回転によってプランジャ23が駆動される構成としたが、吸気カムシャフトに取り付けられた駆動カムの回転によってプランジャ23が駆動される構成としてもよい。
更に、本発明は、2つのカムノーズ112,112を有する駆動カム111を備えたものに限らず、その他の個数のカムノーズを有する駆動カムを備えたものにも適用可能である。
また、上記各実施形態における高圧燃料ポンプ1はプランジャポンプであったが、その他の容積形ポンプ(例えば、ピストンポンプやベーンポンプ等)に対しても本発明は適用可能である。
加えて、上述した各実施形態では、二重管構造で成るパルセーションダンパ7に対して本発明を適用した場合について説明したが、パルセーションダンパの構成はこれに限るものではなく、種々の形態のパルセーションダンパに対して本発明は適用可能である。
1 高圧燃料ポンプ
13 ユニオンパイプ(上流側配管)
22 加圧室
23 プランジャ
30 電磁スピル弁
4 インジェクタ(燃料噴射弁)
7 パルセーションダンパ(燃圧脈動低減手段)
74 ダイアフラム
8 燃料フィルタ
81 下流側リング(ガスケット)
83 フィルタ材
9 パルセーションダンパユニット
104 低圧燃料配管(低圧燃料供給路)
A 外側流路(燃圧脈動低減手段内部の燃料流路)
B 連通路(脈動低減対象領域、燃圧脈動低減手段内部の燃料流路)
C 内側流路(脈動低減対象領域、燃圧脈動低減手段内部の燃料流路)
13 ユニオンパイプ(上流側配管)
22 加圧室
23 プランジャ
30 電磁スピル弁
4 インジェクタ(燃料噴射弁)
7 パルセーションダンパ(燃圧脈動低減手段)
74 ダイアフラム
8 燃料フィルタ
81 下流側リング(ガスケット)
83 フィルタ材
9 パルセーションダンパユニット
104 低圧燃料配管(低圧燃料供給路)
A 外側流路(燃圧脈動低減手段内部の燃料流路)
B 連通路(脈動低減対象領域、燃圧脈動低減手段内部の燃料流路)
C 内側流路(脈動低減対象領域、燃圧脈動低減手段内部の燃料流路)
Claims (7)
- 低圧燃料供給路から供給された燃料を容積形の燃料ポンプによって加圧して燃料噴射弁に向けて供給する燃料供給システムにおいて、
上記低圧燃料供給路における燃料ポンプの燃料吸入口近傍位置には、燃料ポンプからの燃料戻りに起因して発生する燃圧脈動を低減するための燃圧脈動低減手段と、燃料ポンプ内に供給される燃料を濾過するための燃料フィルタとが配設されており、
上記燃料フィルタの配設位置は、燃料ポンプの燃料吸入口近傍位置において、上記燃圧脈動低減手段が脈動低減対象とする供給路内領域よりも燃料流通方向の上流側の領域に設定されていることを特徴とする燃料供給システム。 - 上記請求項1記載の燃料供給システムにおいて、
燃料ポンプはスピル弁式のプランジャポンプであって、
加圧室の容積が収縮する方向へプランジャが移動する際にスピル弁が開弁状態である場合に、加圧室内の燃料の一部が低圧燃料配管側に戻されることにより燃料戻りが生じて燃圧脈動が生じる構成となっていることを特徴とする燃料供給システム。 - 上記請求項1または2記載の燃料供給システムにおいて、
燃圧脈動低減手段の内部には燃料流路が形成されており、この燃料流路のうちの一部が脈動低減対象領域とされており、燃料フィルタは、この脈動低減対象領域よりも燃料流通方向の上流側の位置において燃圧脈動低減手段に一体的に取り付けられていることを特徴とする燃料供給システム。 - 上記請求項1または2記載の燃料供給システムにおいて、
燃圧脈動低減手段の内部には燃料流路が形成されており、この燃料流路の燃料流通方向上流側の端部には上流側配管が接続されている一方、
燃料フィルタにはガスケットが一体的に形成されており、このガスケットが、上記燃圧脈動低減手段における燃料流路の燃料流通方向上流側の端部と、上流側配管との間に挟持された状態で燃料フィルタが燃圧脈動低減手段に組み付けられていることを特徴とする燃料供給システム。 - 上記請求項1〜4のうち何れか一つに記載の燃料供給システムにおいて、
燃圧脈動低減手段は、内部にダイヤフラムを備え、このダイヤフラムの移動動作によって低圧燃料供給路中で発生する燃圧脈動を低減するよう構成されていることを特徴とする燃料供給システム。 - 上記請求項1〜5のうち何れか一つに記載の燃料供給システムに備えられた燃料フィルタであって、
燃料ポンプの燃料吸入口近傍位置において、上記燃圧脈動低減手段が脈動低減対象とする供給路内領域よりも燃料流通方向の上流側の領域に配設されていることを特徴とする燃料フィルタ。 - 上記請求項6記載の燃料フィルタにおいて、
燃料が通過するフィルタ材は、燃料の流線方向に対して傾斜されていることを特徴とする燃料フィルタ。
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