1.実施形態
以下、本発明の一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプについて説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
[燃料供給システム]
次に、本実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ(燃料ポンプ)を用いた燃料供給システムについて、図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る高圧燃料供給ポンプを用いた燃料供給システムの全体構成図である。
図1に示すように、燃料供給システムは、高圧燃料供給ポンプ(燃料ポンプ)100と、ECU(Engine Control Unit)101と、燃料タンク103と、コモンレール106と、複数のインジェクタ107とを備えている。高圧燃料供給ポンプ100の部品は、ポンプボディ1に一体に組み込まれている。
燃料タンク103の燃料は、ECU101からの信号に基づいて駆動するフィードポンプ102によって汲み上げられる。汲み上げられた燃料は、不図示のプレッシャレギュレータにより適切な圧力に加圧され、低圧配管104を通して高圧燃料供給ポンプ100の低圧燃料吸入口51に送られる。
高圧燃料供給ポンプ100は、燃料タンク103から供給された燃料を加圧して、コモンレール106に圧送する。コモンレール106には、複数のインジェクタ107と、燃料圧力センサ105が装着されている。複数のインジェクタ107は、気筒(燃焼室)数にあわせて装着されており、ECU101から出力される駆動電流に従って燃料を噴射する。本実施形態の燃料供給システムは、インジェクタ107がエンジンのシリンダ筒内に直接、燃料を噴射する、いわゆる直噴エンジンシステムである。
燃料圧力センサ105は、検出した圧力データをECU101に出力する。ECU101は、各種センサから得られるエンジン状態量(例えばクランク回転角、スロットル開度、エンジン回転数、燃料圧力等)に基づいて適切な噴射燃料量(目標噴射燃料長)や適切な燃料圧力(目標燃料圧力)等を演算する。
また、ECU101は、燃料圧力(目標燃料圧力)等の演算結果に基づいて、高圧燃料供給ポンプ100や複数のインジェクタ107の駆動を制御する。すなわち、ECU101は、高圧燃料供給ポンプ100を制御するポンプ制御部と、インジェクタ107を制御するインジェクタ制御部を有する。
高圧燃料供給ポンプ100は、圧力脈動低減機構9と、容量可変機構である電磁吸入弁機構3と、リリーフ弁機構4(図2参照)と、吐出弁機構8とを有している。低圧燃料吸入口51から流入した燃料は、圧力脈動低減機構9、吸入通路10bを介して電磁吸入弁機構3の吸入ポート31bに到達する。
電磁吸入弁機構3に流入した燃料は、弁部32を通過し、ポンプボディ1に形成された吸入通路1dを流れた後に加圧室11に流入する。加圧室11には、プランジャ2が往復動可能に挿入されている。プランジャ2は、エンジンのカム91(図2参照)により動力が伝えられて往復動する。
加圧室11では、プランジャ2の下降行程において電磁吸入弁機構3から燃料が吸入され、上昇行程において燃料が加圧される。加圧室11の燃料圧力が所定値を超えると、吐出弁機構8が開弁し、高圧燃料が吐出通路12aを経てコモンレール106へ圧送される。高圧燃料供給ポンプ100による燃料の吐出は、電磁吸入弁機構3の開閉によって操作される。そして、電磁吸入弁機構3の開閉は、ECU101によって制御される。
[高圧燃料供給ポンプ]
次に、高圧燃料供給ポンプ100の構成について、図2~図6を用いて説明する。
図2は、高圧燃料供給ポンプ100の水平方向に直交する断面で見た縦断面図(その1)である。図3は、高圧燃料供給ポンプ100の水平方向に直交する断面で見た縦断面図(その2)である。図4は、高圧燃料供給ポンプ100の垂直方向に直交する断面で見た水平方向断面図である。また、図5は、高圧燃料供給ポンプ100の水平方向に直交する断面で見た縦断面図(その3)である。図6は、リリーフ弁機構4を拡大して示す説明図である。
図2~図5に示すように、高圧燃料供給ポンプ100のポンプボディ1は、略円柱状に形成されている。図2及び図3に示すように、ポンプボディ1は、内部に第1室1aと、第2室1bと、第3室1cと、吸入通路1dが設けられている。また、ポンプボディ1は、燃料ポンプ取付け部90に密着し、図示しない複数のボルト(ねじ)で固定されている。
第1室1aは、ポンプボディ1に設けた円柱状の空間部であり、第1室1aの中心線1Aは、ポンプボディ1の中心線に一致している。この第1室1aには、プランジャ2の一端部が挿入されており、プランジャ2は、第1室1a内を往復動する。第1室1aとプランジャ2の一端は、加圧室11を形成している。
第2室1bは、ポンプボディ1に設けた円柱状の空間部であり、第2室1bの中心線は、ポンプボディ1(第1室1a)の中心線に直交している。この第2室1bには、リリーフ弁機構4が配置されるリリーフ弁室を形成している。なお、第2室1b(リリーフ弁室)の径は、第1室1aの径よりも小さい。
また、第1室1aと第2室1bは、円形の連通孔1eによって連通している。連通孔1eの径は、第1室1aの径と同一であり、連通孔1eは、第1室1aの一端を延長している。そして、連通孔1eの直径は、プランジャ2の外径よりも大きい。これにより、加圧室11を往復動するプランジャ2が、連通孔1eの周囲に衝突することがなく、プランジャ2の耐久性を向上させることができる。
また、連通孔1eの中心線は、第2室1bの中心線に直交している。これにより、リリーフ弁機構4を通過した燃料を、効率よく連通孔1eに通すことができ、リリーフ性能の向上を妨げないようにすることができる。また、ポンプボディ1の形状が複雑にならないようにすることができ、ポンプボディ1、及び高圧燃料供給ポンプ100の生産性の向上を図ることができる。
図3及び図5に示すように、連通孔1eの径は、第2室1bの径よりも大きい。そして、連通孔1eは、第2室1bの中心線に直交する断面において、第2室1bに向かうにつれて径を小さくするテーパー面1fを有している。これにより、第2室1bに配置されるリリーフ弁機構4を通過した燃料が、テーパー面1fを伝って円滑に加圧室11に戻ることができる。
第3室1cは、ポンプボディ1に設けた円柱状の空間部であり、第1室1aの他端に連続している。第3室1cの中心線は、第1室1aの中心線1A及びポンプボディ1の中心線に一致しており、第3室1cの径は、第1室1aの径よりも大きい。この第3室1cには、プランジャ2の往復動をガイドするシリンダ6が配置されている。これにより、シリンダ6の端面を、第1室1aと第3室1cとの間の段部に当接させることができ、シリンダ6が第1室1a側にずれてしまうことを防止することができる。
シリンダ6は、筒状に形成されており、その外周側においてポンプボディ1の第3室1cに圧入されている。そして、シリンダ6の一端は、第3室1cの天面(第1室1aと第3室1cとの間の段部)に当接している。プランジャ2は、シリンダ6の内周面に摺動可能に接触している。
燃料ポンプ取付け部90とポンプボディ1との間には、シート部材の一具体例を示すOリング93が介在されている。このOリング93は、エンジンオイルが燃料ポンプ取付け部90とポンプボディ1との間を通ってエンジン(内燃機関)の外部に漏れることを防止している。
プランジャ2の下端には、タペット92が設けられている。タペット92は、エンジンのカムシャフトに取り付けられたカム91の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ2に伝達する。プランジャ2は、リテーナ15を介してばね16によりカム91側に付勢されており、タペット92に圧着されている。タペット92は、カム91の回転に伴って往復動する。プランジャ2は、タペット92と一緒に往復動し、加圧室11の容積を変化させる。
また、シリンダ6とリテーナ15との間には、シールホルダ17が配置されている。シールホルダ17は、プランジャ2が挿入される筒状に形成されており、シリンダ6側である上端部に副室17aを有している。また、シールホルダ17は、リテーナ15側である下端部にプランジャシール18を保持している。
プランジャシール18は、プランジャ2の外周に摺動可能に接触しており、プランジャ2が往復動したとき、副室17aの燃料をシールし、副室17aの燃料がエンジン内部へ流入しないようにしている。また、プランジャシール18は、エンジン内の摺動部を潤滑する潤滑油(エンジンオイルも含む)がポンプボディ1の内部に流入することを防止している。
図2において、プランジャ2は、上下方向に往復動する。プランジャ2が下降すると、加圧室11の容積が拡大し、プランジャ2が上昇すると、加圧室11の容積が減少する。すなわち、プランジャ2は、加圧室11の容積を拡大及び縮小させる方向に往復動するように配置されている。
プランジャ2は、大径部2aと小径部2bを有している。プランジャ2が往復動すると、大径部2a及び小径部2bは、副室17aに位置する。したがって、副室17aの体積は、プランジャ2の往復動によって増減する。
副室17aは、燃料通路10c(図5参照)により低圧燃料室10と連通している。プランジャ2の下降時は、副室17aから低圧燃料室10へ燃料の流れが発生し、プランジャ2の上昇時は、低圧燃料室10から副室17aへ燃料の流れが発生する。これにより、高圧燃料供給ポンプ100の吸入行程もしくは、戻し行程におけるポンプ内外への燃料流量を低減することができ、高圧燃料供給ポンプ100内部で発生する圧力脈動を低減することができる。
図3に示すように、高圧燃料供給ポンプ100のポンプボディ1の上部には、低圧燃料室10が設けられており、ポンプボディ1の側面部には、吸入ジョイント5が取り付けられている。吸入ジョイント5は、燃料タンク103(図1参照)から供給された燃料を通す低圧配管104に接続されている。燃料タンク103の燃料は、吸入ジョイント5からポンプボディ1の内部に供給される。
吸入ジョイント5は、低圧配管104に接続された低圧燃料吸入口51と、低圧燃料吸入口51に連通する吸入流路52とを有している。吸入流路52を通過した燃料は、ポンプボディ1の内部に設けられた吸入フィルタ53を通過して低圧燃料室10に供給される。吸入フィルタ53は、燃料に存在する異物を除去し、高圧燃料供給ポンプ100内に異物が進入することを防ぐ。
低圧燃料室10には、低圧燃料流路10aと、吸入通路10b(図2参照)が設けられている。低圧燃料流路10aには、圧力脈動低減機構9が設けられている。加圧室11に流入した燃料が再び開弁状態の電磁吸入弁機構3を通って吸入通路10bへと戻されると、低圧燃料室10に圧力脈動が発生する。圧力脈動低減機構9は、高圧燃料供給ポンプ100内で発生した圧力脈動が低圧配管104へ波及することを低減する。
圧力脈動低減機構9は、波板状の円盤型金属板2枚をその外周で張り合わせ、内部にアルゴンのような不活性ガスを注入した金属ダイアフラムダンパで形成されている。圧力脈動低減機構9の金属ダイアフラムダンパは、膨張・収縮することで圧力脈動を吸収或いは低減する。
吸入通路10bは、電磁吸入弁機構3の吸入ポート31b(図2参照)に連通しており、低圧燃料流路10aを通った燃料は、吸入通路10bを介して電磁吸入弁機構3の吸入ポート31bに到達する。
図2及び図4に示すように、電磁吸入弁機構3は、ポンプボディ1に形成された吸入弁室30に挿入されている。吸入弁室30は、加圧室11の上流側(吸入通路10b側)に設けられており、水平方向に延びる横穴に形成されている。電磁吸入弁機構3は、吸入弁室30に圧入された吸入弁シート31と、弁部32と、ロッド33と、ロッド付勢ばね34と、電磁コイル35と、アンカー36とを有している。
吸入弁シート31は、筒状に形成されており、内周部に着座部31aが設けられている。また、吸入弁シート31には、外周部から内周部に到達する吸入ポート31bが形成されている。この吸入ポート31bは、上述した低圧燃料室10における吸入通路10bに連通している。
吸入弁室30には、吸入弁シート31の着座部31aに対向するストッパ37が配置されており、ストッパ37と着座部31aとの間に弁部32が配置されている。また、ストッパ37と弁部32との間には、弁付勢ばね38が介在されている。弁付勢ばね38は、弁部32を着座部31a側に付勢する。
弁部32は、着座部31aに当接することにより、吸入ポート31bと加圧室11との連通部を閉鎖する。弁部32が吸入ポート31bと加圧室11との連通部を閉鎖すると、電磁吸入弁機構3は、閉弁状態になる。一方、弁部32は、ストッパ37に当接することにより、吸入ポート31bと加圧室11との連通部を開放する。弁部32が吸入ポート31bと加圧室11との連通部を開放すると、電磁吸入弁機構3は、開弁状態になる。
ロッド33は、吸入弁シート31の筒孔を貫通しており、一端が弁部32に当接している。ロッド付勢ばね34は、ロッド33を介して弁部32をストッパ37側である開弁方向に付勢する。ロッド付勢ばね34の一端は、ロッド33の他端に係合しており、ロッド付勢ばね34の他端は、ロッド付勢ばね34を囲うように配置された磁性コア39に係合している。
アンカー36は、磁性コア39の端面に対向している。また、アンカー36は、ロッド33の中間部に設けられたフランジに係合している。電磁コイル35は、磁性コア39の周りを一周するように配置されている。この電磁コイル35には、端子部材40が電気的に接続されており、端子部材40を介して電流が流れる。
電磁コイル35に電流が流れていない無通電状態において、ロッド33がロッド付勢ばね34による付勢力によって開弁方向に付勢され、弁部32を開弁方向に押圧している。その結果、弁部32が着座部31aから離れてストッパ37に当接し、電磁吸入弁機構3が開弁状態になっている。すなわち、電磁吸入弁機構3は、無通電状態において開弁するノーマルオープン式となっている。
電磁吸入弁機構3の開弁状態において、吸入ポート31bの燃料は、弁部32と着座部31aとの間を通り、ストッパ37の複数の燃料通過孔(不図示)及び吸入通路1dを通って加圧室11に流入する。電磁吸入弁機構3の開弁状態では、弁部32は、ストッパ37と接触するため、弁部32の開弁方向の位置が規制される。そして、電磁吸入弁機構3の開弁状態における弁部32と着座部31aの間に存在する隙間は、弁部32の可動範囲であり、これが開弁ストロークとなる。
電磁コイル35に電流が流れると、アンカー36が磁性コア39の磁気吸引力により閉弁方向に引き寄せられる。その結果、アンカー36は、ロッド付勢ばね34の付勢力に抗して移動し、磁性コア39に接触する。アンカー36が磁性コア39側である閉弁方向へ移動すると、アンカー36が係合するロッド33がアンカー36と共に移動する。その結果、弁部32は、開弁方向への付勢力から解放され、弁付勢ばね38による付勢力により閉弁方向に移動する。そして、弁部32が、吸入弁シート31の着座部31aに接触すると、電磁吸入弁機構3が閉弁状態になる。
図4及び図5に示すように、吐出弁機構8は、加圧室11の出口側(下流側)に設けられた吐出弁室80に配置されている。吐出弁機構8は、加圧室11に連通する吐出弁シート81と、吐出弁シート81と接離する弁部82と、弁部82を吐出弁シート81側へ付勢する吐出弁ばね83と、弁部82のストローク(移動距離)を決める吐出弁ストッパ84を有している。
また、吐出弁機構8は、燃料の外部への漏洩を遮断するプラグ85を有している。吐出弁ストッパ84は、プラグ85に圧入されている。プラグ85は、溶接部86で溶接によりポンプボディ1に接合されている。吐出弁室80は、弁部82によって開閉される。この吐出弁室80は、吐出弁室通路87に連通している。吐出弁室通路87は、ポンプボディ1に形成されている。
ポンプボディ1には、図2に示す第2室1b(リリーフ弁室)に連通する横穴が設けられており、その横穴には、吐出ジョイント12が挿入されている。吐出ジョイント12は、ポンプボディ1の横穴及び吐出弁室通路87に連通する上述の吐出通路12aと、吐出通路12aの一端である燃料吐出口12bを有している。吐出ジョイント12の燃料吐出口12bは、コモンレール106に連通している。なお、吐出ジョイント12は、溶接部12cにより溶接でポンプボディ1に固定されている。
加圧室11と吐出弁室80(吐出弁室通路87)の間に燃料圧力の差(燃料差圧)が無い状態では、弁部82が、吐出弁ばね83の付勢力により吐出弁シート81に圧着され、吐出弁機構8が閉弁状態となっている。加圧室11の燃料圧力が吐出弁室80(吐出弁室通路87)の燃料圧力よりも大きくなった場合に、弁部82は、吐出弁ばね83の付勢力に抗して移動し、吐出弁機構8が開弁状態になる。
吐出弁機構8が開弁状態になると、加圧室11内の(高圧の)燃料は、吐出弁機構8を通過し、吐出弁室80(吐出弁室通路87)に到達する。そして、吐出弁室通路87に到達した燃料は、吐出ジョイント12の燃料吐出口12bを経てコモンレール106(図1参照)へ吐出される。以上のような構成により、吐出弁機構8は、燃料の流通方向を制限する逆止弁として機能する。
図2及び図6に示すリリーフ弁機構4は、コモンレール106やその先の部材に何らかの問題が生じ、コモンレール106が予め定めた所定の圧力を超えて高圧になった場合に作動し、吐出通路12a内の燃料を加圧室11に戻すよう構成された弁である。吐出通路12aは、吐出弁室通路87を介して吐出弁室80に連通している。したがって、吐出通路12aの圧力は、吐出弁室80の圧力は等しい。
リリーフ弁機構4は、吐出弁室80(吐出弁室通路87)の圧力と、第2室1b(リリーフ弁室)の圧力との差が設定値を超えた場合に開弁状態になる。このリリーフ弁機構4は、プランジャ2が往復動する方向(上下方向)において、吐出弁機構8(図5参照)よりも高い位置に配置されている。
リリーフ弁機構4は、リリーフばね41と、リリーフ弁ホルダ42と、リリーフ弁43及びシート部材44を有している。このリリーフ弁機構4は、吐出ジョイント12から挿入され、第2室1b(リリーフ弁室)に配置される。リリーフばね41は、コイル状のばねであり、一端部がポンプボディ1(第2室1bの一端)に当接している。また、リリーフばね41の他端部は、リリーフ弁ホルダ42に当接している。リリーフ弁ホルダ42は、リリーフ弁43に係合しており、リリーフ弁43には、リリーフばね41の付勢力がリリーフ弁ホルダ42を介して作用する。
リリーフ弁ホルダ42は、当接部42aと、当接部42aに連続する挿通部42bを有している。当接部42aは、適当な厚みを有する円板状に形成されている。当接部42aの一方の平面には、リリーフ弁43が係合される係合溝が形成されている。また当接部42aの他方の平面には、挿通部42bが突出すると共に、リリーフばね41の他端部が当接する。
挿通部42bは、円柱状に形成されており、リリーフばね41の径方向内側に挿通される。挿通部42bにおける当接部42aと反対側である先端は、円形の平面に形成されており、リリーフばね41の一端部(リリーフばね41の座面)付近に配置されている。リリーフばね41の一端部は、リリーフばね41における挿通部42bが挿入される挿入側(他端部)と反対側の端部である。挿通部42bは、先端に向かうにつれて外径が小さくなるテーパー部42cを有している。テーパー部42cは、リリーフばね41における隣り合うリングに隙間が形成されている部分よりもリリーフ弁43側から始まる。
リリーフばね41は、圧縮された状態で第2室1bの一端(後述の吸入通路1dの周囲)とリリーフ弁ホルダ42の当接部42aとの間に介在されており、圧縮されることでリリーフ弁ホルダ42及びリリーフ弁43をシート部材44側へ付勢している。そのため、リリーフばね41の両端部では、隣り合うリングが接触することが考えられる。この隣り合うリングが接触した部分にテーパー部42cを配置しても、リリーフばね41とテーパー部42cとの間にある燃料がリリーフばね41の径方向外側へ進行することを抑制してしまう。
一方、本実施形態のように、リリーフばね41における隣り合うリングに隙間が形成されている部分にテーパー部42cを配置されている。これにより、リリーフばね41とテーパー部42cとの間にある燃料がリリーフばね41における隣り合うリング間から、リリーフばね41の径方向外側へ進行し易くなる。その結果、加圧室11へ効率よくの燃料を吸入させることができる。
リリーフ弁43は、リリーフばね41の付勢力により押圧され、シート部材44の燃料通路を塞いでいる。リリーフ弁43(リリーフ弁ホルダ42)の移動方向は、プランジャ2が往復動する方向に直交しており、電磁吸入弁機構3における弁部(吸入弁)32の移動方向と同じである。そして、リリーフ弁機構4の中心線(リリーフ弁ホルダ42の中心線)は、プランジャ2の中心線に直交している。
シート部材44は、リリーフ弁43に対向する燃料通路を有しており、燃料通路におけるリリーフ弁43と反対側は、吐出通路12aに連通している。加圧室11(上流側)とシート部材44(下流側)との間における燃料の移動は、リリーフ弁43がシート部材44に接触(密着)して燃料通路を塞ぐことにより遮断される。
吐出弁室80(吐出弁室通路87)及びコモンレール106やその先の部材内の圧力が高くなると、第2室1b(リリーフ弁室)の圧力との差が設定値を超える。その結果、シート部材44側の燃料がリリーフ弁43を押圧して、リリーフばね41の付勢力に抗してリリーフ弁43を移動させる。その結果、リリーフ弁43が開弁し、吐出通路12a内の燃料が、シート部材44の燃料通路を通って加圧室11に戻る。したがって、リリーフ弁43を開弁させる圧力は、リリーフばね41の付勢力によって決定される。
リリーフ弁機構4におけるリリーフ弁43(リリーフ弁ホルダ42)の移動方向は、上述の吐出弁機構8における弁部82の移動方向と異なる。すなわち、吐出弁機構8における弁部82の移動方向は、ポンプボディ1の第1径方向であり、リリーフ弁機構4におけるリリーフ弁43の移動方向は、ポンプボディ1の第1径方向と異なる第2径方向である。これにより、吐出弁機構8とリリーフ弁機構4を上下方向において互いに重ならない位置に配置することができ、ポンプボディ1の内部のスペースを有効に活用して、ポンプボディ1の小型化を図ることができる。
図2に示すように、ポンプボディ1における吸入弁室30と第2室1b(リリーフ弁室)との間には、連通孔の一具体例を示す吸入通路1dが設けられている。吸入通路1dは、円形に形成されており、吸入通路1dの中心軸方向は、電磁吸入弁機構3における弁部(吸入弁)32の移動方向と同じである。また、吸入通路1dの中心軸方向において、吸入通路1dの中心軸は、リリーフ弁ホルダ42における挿通部42bの中心軸と重なっている。
吸入弁室30内の燃料の一部は、吸入通路1d及び第2室1b(リリーフ弁室)を通って加圧室11に流入する。吸入通路1dには、リリーフ弁ホルダ42における挿通部42bの先端が対向している。そして、挿通部42bの先端は、プランジャ2の側面よりも吸入通路1d側に位置しており、リリーフばね41における挿通部42bの挿入側と反対側の端部付近に配置されている。
このように、挿通部42bの先端がリリーフばね41における一端部付近に達することにより、加圧室11に連通する第2室1b(リリーフ弁室)のデッドスペースを挿通部42bで埋めることができる。これにより、挿通部42bを設けない場合よりも、第2室1bを含む加圧室11の圧縮効率を改善することができる。
また、吸入通路1dの開口面積は、挿通部42bの先端の面積よりも大きい。すなわち、吸入通路1dの径(直径D)は、挿通部42bの先端の径(直径d)よりも大きい。これにより、挿通部42bの周りに、吸入通路1dを通過した燃料が通る通路(燃料通路)を確保することができる。その結果、吸入通路1dを通過した燃料は、リリーフばね41と挿通部42bとの間を通り抜け易くなる。
本実施形態では、挿通部42bを設けることにより、吸入通路1dを通過した燃料が通る通路(燃料通路)を確保すると共に、第2室1bを含む加圧室11の圧縮効率を改善することができる。その結果、挿通部42bを設けない場合よりも、容積効率を向上させることができる。容積効率とは、加圧室11の容積が最も拡大するプランジャ2の下始点から、加圧室11の容積が最も縮小するプランジャ2の上始点までの移動距離に対する、吐出弁機構8から吐出される燃料の吐出量の割合である。
なお、挿通部42bの先端がリリーフばね41における一端部付近に配置されることとは、挿通部42bの先端が吸入通路1d内に配置されることも含む。挿通部42bの先端が吸入通路1d内に配置される場合においても、吸入通路1dと挿通部42bとの間に、燃料が通るスペースを確保することができる。また、加圧室11に連通する第2室1b(リリーフ弁室)のデッドスペースを挿通部42bで埋めることができる。
また、ポンプボディ1における吸入弁室30と加圧室11との間には、供給用連通孔1gが設けられている。供給用連通孔1gは、円形に形成されており、供給用連通孔1gの中心軸方向は、電磁吸入弁機構3における弁部(吸入弁)32及びリリーフ弁43の移動方向と同じである。そして、供給用連通孔1gは、第1室1aに連通している。
供給用連通孔1gの少なくとも一部は、リリーフ弁43の移動方向において、プランジャ2の動作範囲に重なっている。加圧室11の容積が最も縮小するプランジャ2の上始点において、プランジャ2の側周面は、供給用連通孔1gに対向する。そして、プランジャ2が、加圧室11の容積が最も拡大する下始点に向かうにつれて、供給用連通孔1gの加圧室に連通する面積が大きくなる。
吸入弁室30内の燃料の一部は、供給用連通孔1gを通って第2室1b(リリーフ弁室)を介さずに加圧室11に流入する。これにより、加圧室11へ供給する燃料が通る通路(燃料通路)を確保することができ、吸入弁室30内の燃料を加圧室11へ供給し易くすることができる。なお、供給用連通孔1gの開口面積は、吸入通路1dの開口面積以上に設定されている。
本実施形態では、吸入通路1d(連通孔)、及び供給用連通孔1gを円形に形成した。しかし、本発明に係る連通孔及び供給用連通孔は、円形に限定されず、多角形や楕円等の種々の形状に適宜設定することができる。また、本実施形態では、挿通部42bを円柱状に形成した。しかし、本発明に係る挿通部としては、リリーフばね41の径方向内側に配置されていれば、角柱状やその他の棒状等の種々の形状に適宜設定することができる。
[高圧燃料ポンプの動作]
次に、本実施形態に係る高圧燃料ポンプの動作について、図2、図4を用いて説明する。
図2において、プランジャ2が下降した場合に、電磁吸入弁機構3が開弁していると、吸入通路1dから加圧室11に燃料が流入する。以下、プランジャ2が下降する行程を吸入行程と称する。一方、プランジャ2が上昇した場合に、電磁吸入弁機構3が閉弁していると、加圧室11内の燃料は昇圧され、吐出弁機構8(図4参照)を通過してコモンレール106(図1参照)へ圧送される。以下、プランジャ2が上昇する工程を上昇行程と称する。
上述したように、上昇工程中に電磁吸入弁機構3が閉弁していれば、吸入行程中に加圧室11に吸入された燃料が加圧され、コモンレール106側へ吐出される。一方、上昇工程中に電磁吸入弁機構3が開弁していれば、加圧室11内の燃料は吸入通路1d側へ押し戻され、コモンレール106側へ吐出されない。このように、高圧燃料供給ポンプ100による燃料の吐出は、電磁吸入弁機構3の開閉によって操作される。そして、電磁吸入弁機構3の開閉は、ECU101によって制御される。
吸入行程では、加圧室11の容積が増加し、加圧室11内の燃料圧力が低下する。これにより、吸入ポート31bと加圧室11との間の流体差圧(以下、「弁部32の前後の流体差圧」とする)が小さくなる。そして、弁部32の前後の流体差圧よりもロッド付勢ばね34の付勢力が大きくなると、ロッド33が開弁方向に移動して、弁部32が吸入弁シート31の着座部31aから離れ、電磁吸入弁機構3が開弁状態になる。
電磁吸入弁機構3が開弁状態になると、吸入ポート31bの燃料は、弁部32と着座部31aとの間を通り、ストッパ37の複数の燃料通過孔(不図示)を通って、吸入通路1d又は供給用連通孔1gから加圧室11に流入する。電磁吸入弁機構3の開弁状態では、弁部32は、ストッパ37と接触するため、弁部32の開弁方向の位置が規制される。そして、電磁吸入弁機構3の開弁状態における弁部32と着座部31aの間に存在する隙間は、弁部32の可動範囲であり、これが開弁ストロークとなる。
吸入行程を終了した後は、上昇行程に移る。このとき、電磁コイル35は、無通電状態を維持したままであり、アンカー36と磁性コア39との間に磁気吸引力は作用していない。そして、弁部32には、ロッド付勢ばね34と弁付勢ばね38の付勢力の差に応じた開弁方向への付勢力と、燃料が加圧室11から低圧燃料流路10aへ逆流する時に発生する流体力による閉弁方向へ押圧する力が働く。
この状態において、電磁吸入弁機構3が開弁状態を維持するために、ロッド付勢ばね34と弁付勢ばね38の付勢力の差は、流体力よりも大きく設定されている。加圧室11の容積は、プランジャ2の上昇に伴い減少する。そのため、加圧室11に吸入されていた燃料は、再び弁部32と着座部31aとの間を通り、吸入ポート31bへと戻されることになり、加圧室11内部の圧力が上昇することは無い。この行程を戻し行程と称する。
戻し工程において、ECU101(図1参照)からの制御信号が電磁吸入弁機構3に印加されると、電磁コイル35には、端子部材40を介して電流が流れる。電磁コイル35に電流が流れると、磁性コア39とアンカー36との間に磁気吸引力が作用し、アンカー36(ロッド33)が磁性コア39に引き寄せられる。その結果、アンカー36(ロッド33)は、ロッド付勢ばね34による付勢力に抗して閉弁方向(弁部32から離れる方向)へ移動する。
アンカー36(ロッド33)が閉弁方向へ移動すると、弁部32は、開弁方向への付勢力から解放され、弁付勢ばね38による付勢力と、燃料が吸入通路10bに流れ込むことによる流体力により閉弁方向に移動する。そして、弁部32が、吸入弁シート31の着座部31aに接触する(弁部32が着座部31aに着座する)と、電磁吸入弁機構3が閉弁状態になる。
電磁吸入弁機構3が閉弁状態になった後、加圧室11の燃料は、プランジャ2の上昇と共に昇圧され、所定の圧力以上になると、吐出弁機構8を通過してコモンレール106(図1参照)へ吐出される。この行程を吐出行程と称する。すなわち、プランジャ2の下始点から上始点までの間の上昇行程は、戻し行程と吐出行程からなる。そして、電磁吸入弁機構3の電磁コイル35への通電タイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。
電磁コイル35へ通電するタイミングを早くすれば、上昇行程中における戻し行程の割合が小さくなり、吐出行程の割合が大きくなる。その結果、吸入通路10bに戻される燃料が少なくなり、高圧吐出される燃料は多くなる。一方、電磁コイル35へ通電するタイミングを遅くすれば、上昇行程中における戻し行程の割合が大きくなり、吐出行程の割合が小さくなる。その結果、吸入通路10bに戻される燃料が多くなり、高圧吐出される燃料は少なくなる。このように、電磁コイル35への通電タイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量をエンジン(内燃機関)が必要とする量に制御することができる。
2.まとめ
以上説明したように、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、加圧室11(加圧室)を有するポンプボディ1(ボディ)と、加圧室11の上流側に設けられた吸入弁室30(吸入弁室)に配置された電磁吸入弁機構3(吸入弁機構)と、加圧室11の下流側に設けられた吐出弁室80(吐出弁室)に配置された吐出弁機構8と、加圧室11の下流側に設けられた第2室1b(リリーフ弁室)に配置されたリリーフ弁機構4(リリーフ弁機構)と備える。吐出弁機構8は、加圧室11へ燃料を吐出する。リリーフ弁機構4は、吐出弁室80の圧力と第2室1bの圧力との差が設定値を超えた場合に開弁し、加圧室11に燃料を戻す。
リリーフ弁機構4は、吐出弁室80から第2室1bへの流路を開閉するリリーフ弁43(リリーフ弁)と、リリーフ弁43に係合するリリーフ弁ホルダ42(リリーフ弁ホルダ)と、リリーフ弁ホルダ42を吐出弁室80側へ付勢するコイル状のリリーフばね41(リリーフばね)とを有する。吐出弁室80と第2室1bとの間には、吸入通路1d(連通孔)が形成されており、リリーフ弁ホルダ42は、リリーフばね41の径方向内側に挿通される挿通部42b(挿通部)を有する。挿通部42bの先端は、リリーフばね41における挿通部42bの挿入側と反対側の端部付近又は吸入通路1d内に配置され、吸入通路1dの開口面積は、挿通部42bの先端の面積よりも大きい。なお、挿通部42bの先端は、吸入通路1d内に配置され
挿通部42bの先端がリリーフばね41における挿通部42bの挿入側と反対側の端部(ばねの座面)付近まで達するため、加圧室11に連通する第2室1bのデッドスペースを挿通部42bで埋めることができる。これにより、挿通部42bを設けない場合よりも、第2室1bを含む加圧室11の圧縮効率を改善することができる。しかし、第2室1bのデッドスペースを挿通部42bで埋めることにより、吸入通路1dを通過する燃料の加圧室11への流入が、挿通部42bによって阻害されてしまう。
そこで、本実施形態では、吸入通路1dの開口面積を、挿通部42bの先端の面積よりも大きくしている。これにより、挿通部42bの周りに、吸入通路1dを通過した燃料が通る通路(燃料通路)を確保することができる。その結果、吸入通路1dを通過する燃料の加圧室11への流入を挿通部42bによって阻害しないようにすることができる。したがって、本実施形態では、リリーフ弁機構4のデッドボリュームを減らすと共に、吸入通路1dを通過した燃料の加圧室11への通路を確保することができる。
また、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、挿通部42b(挿通部)の先端及び吸入通路1d(連通孔)が、円形に形成されており、吸入通路1dの径は、挿通部42bの先端の径よりも大きい。リリーフばね41の径方向内側に生じるデッドボリュームを効率よく減らしながら、挿通部42bの周りに燃料通路を確保することができる。
また、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、リリーフ弁43(リリーフ弁)の動作方向において、挿通部42b(挿通部)の中心軸が、吸入通路1d(連通孔)の中心軸に重なる。これにより、挿通部42bの周りに形成される燃料通路を円環状にすることができ、燃料を円滑に流すことができる。
また、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、挿通部42b(挿通部)の先端が平面に形成されている。これにより、挿通部42b及びリリーフ弁ホルダ42(リリーフ弁ホルダ)の加工を容易にすることができる。
また、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、リリーフばね41(リリーフばね)の一端が、第2室1b(リリーフ弁室)における吸入通路1d(連通孔)の周囲に当接する。これにより、リリーフばね41が吸入通路1dを通過した燃料の進行を妨げないようにすることができる。
また、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、リリーフ弁機構4(リリーフ弁機構)のリリーフ弁43(リリーフ弁)の動作方向及び吸入通路1d(連通孔)の中心軸方向が、電磁吸入弁機構3(吸入弁機構)における弁部32(吸入弁)の動作方向と同じである。これにより、弁部32の動作により開弁されて吸入された燃料は、その進行方向を変えずに吸入通路1dを通過することができ、燃料を効率よく加圧室11へ流入させる(吸入する)ことができる。
また、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、リリーフ弁ホルダ42(リリーフ弁ホルダ)の挿通部42b(挿通部)が、先端に向かうにつれて外径が小さくなるテーパー部42c(テーパー部)を有する。これにより、挿通部42bの周りに、吸入通路1dを通過した燃料が通る通路(燃料通路)を確保することができる。
また、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、テーパー部42c(テーパー部)が、リリーフばね41(リリーフばね)における隣り合うリングに隙間が形成されている部分よりもリリーフ弁43(リリーフ弁)側から始まる。これにより、リリーフばね41とテーパー部42cとの間にある燃料がリリーフばね41における隣り合うリング間から、リリーフばね41の径方向外側へ進行し易くなる。その結果、加圧室11へ効率よくの燃料を吸入することができる。
また、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、ポンプボディ1(ボディ)に往復動可能に設けられ、加圧室11(加圧室)の容積を増減させるプランジャ2(プランジャ)を備える。そして、リリーフ弁43(リリーフ弁)の動作方向は、プランジャ2の動作方向に直交し、リリーフ弁ホルダ42(リリーフ弁ホルダ)における挿通部42b(挿通部)の先端は、プランジャ2の側面よりも吸入通路1d(連通孔)側に配置されている。これにより、リリーフ弁機構4のデッドボリュームを減らすことができる。
また、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、ポンプボディ1(ボディ)が、吸入弁室30(吸入弁室)から第2室1b(リリーフ弁室)を介さずに加圧室11(加圧室)に燃料を供給するための供給用連通孔1g(供給用連通孔)を有する。これにより、吸入弁室30から加圧室11へ効率よくの燃料を吸入することができる。
また、上述した一実施形態に係る高圧燃料供給ポンプ100(燃料ポンプ)は、ポンプボディ1(ボディ)に往復動可能に設けられ、加圧室11(加圧室)の容積を増減させるプランジャ2(プランジャ)を備える。そして、供給用連通孔1g(供給用連通孔)の少なくとも一部が、リリーフ弁43(リリーフ弁)の動作方向から見た場合に、プランジャ2の動作範囲に重なる。これにより、供給用連通孔1gがプランジャ2の動作範囲に重ならないようにする場合よりも加圧室11の小型化を図ることができる。その結果、加圧室11の容積を小さくすることができ、加圧室11の圧縮効率を向上させることができる。
以上、本発明の燃料ポンプの実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の燃料ポンプは、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。また、上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、吸入通路1d(連通孔)を1つ設ける例について説明した。しかし、本発明に係る連通孔としては、2つ以上設けてもよい。この場合、複数の連通孔のいずれか1つと、挿通部42bの先端が対向する、或いは、複数の連通孔のいずれか1つに挿通部42bの先端が挿入される構成にしてもよい。
また、上述した実施形態では、挿通部42bの先端がリリーフばね41における挿通部42bの挿入側と反対側の端部付近(リリーフばね41の座面)又は、吸入通路1d(連通孔)内に配置される例について説明した。しかし、本発明に係る挿通部としては、吸入通路1d(連通孔)を貫通してもよい。なお、この場合は、挿通部が電磁吸入弁機構3と干渉しないようにする。また、挿通部によって吸入通路1d(連通孔)を封止しないようにする。
また、上述した実施形態では、吸入通路1d(連通孔)の中心軸が、リリーフ弁ホルダ42における挿通部42bの中心軸と一致している。しかし、本発明に係る燃料ポンプとしては、連通孔とリリーフ弁室が連通していればよく、連通孔の中心軸と挿通部の中心軸が一致していなくてもよい。また、本発明に係る燃料ポンプとしては、連通孔の中心軸とリリーフ弁室の中心軸が一致していなくてもよい。
また、上述した実施形態では、リリーフ弁ホルダ42における挿通部42bの先端を平面に形成した。しかし、本発明に係る燃料ポンプに係る挿通部としては、先端が曲面や球面に形成されていてもよい。また、本発明に係る燃料ポンプに係る挿通部としては、先端が円錐状や角錐状に形成されていてもよい。これらの場合は、吸入通路1d(連通孔)の開口面積が、挿通部における中心軸方向から見た先端の形状の面積よりも大きければよい。