本発明は、光を用いた断層撮影装置および波長分散の補正方法に関するものである。即ち、この発明は、生体や塗装面等各種構造物の断層像を光の干渉現象を利用して測定する装置および波長分散の補正方法に関するものである。
オプテイカル・コヒーレンス・トモグラフィー法(Optical-Coherence-Tomography:OCT法)は、網膜等の断層像の撮影に有効な光学的な断層撮影法であり、生体への無侵襲性と高い空間分解能(〜10μm程度)が注目され、目以外の患部への応用も試みられている(非特徴文献1を参照)。実用化されている従来のOCTでは、操作の容易性・信頼性・小型軽量性を考慮して、光源としては半導体発光素子、具体的には近赤外域スーパー・ルミネセントダイオード(SLD)が用いられている。しかし、OCTの空間分解能は光源のスペクトル幅に反比例するため、実用化されているOCTの空間分解能はSLDのスペクトル幅で制限され10μm程度でしかなかった。また、従来のOCTには、参照反射鏡などの機械的駆動部分が存在するため高速測定には不向きであるという欠点もあった。
本発明の発明者等は、これらの欠点を解消するため、駆動部分が存在せず高速測定が容易な新しいOCTを開発した(非特徴文献2を参照)。
本発明者等が発明した新しいOCTは、波長可変光源を用いその出力光の波長を階段状に変化させて得られた干渉信号から断層像を構築するものである。本発明者等は、この技術をOFDR−OCT法(Optical-frequency-domain-reflectometory −OCT)と呼んでいる。従来のOCTでは参照光路に配置した参照反射鏡を機械的に走査することによって断層像を構築していたが、OFDR−OCT法ではこの様な機械的走査が不要なので極めて高速の測定が可能になる。
以下、従来のOFDR−OCT装置の詳細を述べる前に、本明細書で用いる用語の定義を次のように示す。
光通信用ファイバ:光通信等で用いる様々なシングルモード光ファイバの総称のこと。具体的には、光通信用シングルモードファイバと光通信用分散制御ファイバ(分散シフトファイバ、分散補償ファイバ、分散フラットファイバ、ノンゼロ分散シフトファイバなど)を指す。
光通信用シングルモードファイバ(Single Mode Fiber):上記光通信用ファイバの一種で、波長1.3μm付近で波長分散σが零(0ps/nm/km)であるシングルモード光ファイバ。以下、光通信用SMFと略す。
光通信用分散制御ファイバ:上記光通信用ファイバの一種で、導波路構造と屈折率差の制御により、意図的に波長分散特性を変化させたシングルモード光ファイバのこと。具体的には、分散シフトファイバ、分散補償ファイバ、分散フラットファイバ、ノンゼロ分散シフトファイバなどを含む。
試料光路と測定光及び信号光:波長可変光源の出力を測定光と参照光に分割する手段を有する光学部品の一方の光出力ポートから出射した測定光が任意の光路を経た後、測定対象により反射または後方散乱された信号光が任意の光路を経て、前記信号光と前記参照光とを干渉させて干渉信号を発生する手段を有する光学部品の光入力ポートに入射するまでに至る光の伝搬路のことを試料光路とする。なお、前記分割手段を有する光学部品の一方の光出力ポートから任意の光路を経て測定対象に至るまでの光路を伝搬する光を測定光とする。同様にして測定対象から任意の光路を経て前記干渉信号を発生する手段を有する光学部品の一方の光入力ポートに至る光路を伝搬する光を信号光とする。
参照光路と参照光:前記分割手段を有する光学部品の他方の光出力ポートから任意の光路を経て、前記干渉信号を発生する手段を有する光学部品の他方の光入力ポートに至る光の伝搬路のことを参照光路とする。なお、同光路を伝搬する光を参照光とする。
波長分散d[単位:ps/nm]:光通信用ファイバの波長分散dは、上記単位長さ当りの波長分散σsmfに、光通信用ファイバの物理長lsmfを乗じた値である。
累積波長分散D[単位:ps/nm]:累積波長分散は、光が光通信用ファイバ中や空間光路などの異なる媒質を任意の距離伝搬したときに、最終的に生じる波長分散の和である。つまり、光路が異なるN個(N=1,2,3,…,N−1,N)の媒質で構成されている時の累積分散Dは、各々の媒質の単位長さ当たりの波長分散σiと各々の媒質の物理長liを用いて、次式で表される。
分散シフトファイバ(Dispersion Shifted Fiber):零分散波長λzが1.55μmであり、光通信用ファイバの導波路構造と屈折率差(コア材料の屈折率とクラッド材料の屈折率の差)を制御することにより、零分散波長λzを1.3μmから1.55μmへと長波長側にシフトさせているため分散シフトファイバと呼ばれる。以下、DSFと略す。
分散補償ファイバ(Dispersion Compensated Fiber):単位長さ当たりの波長分散σdcfと分散スロープdσdcf/dλが、光通信用SMFのそれらと符号が逆であることにあるため、逆分散ファイバあるいは分散マネージメントファイバと呼ばれることもある。このような逆分散特性は、光通信用ファイバの導波路構造と屈折率差を制御することにより実現される。以下、DCFと略す。
分散フラットファイバ(Dispersion Flattened Fiber):分散スロープdσdff/dλが波長1.55μm付近を中心にしてほぼ零、すなわち、波長分散σdffの波長依存性が極めて小さいため、図3中二点鎖線で示した通り、波長分散σdffの波長依存性曲線が、波長1.55μm付近で平坦な特性を示している。このような分散特性は、光通信用ファイバの導波路構造と屈折率差を制御することにより実現される。以下、DFFと略す。
以下、従来技術のOFDR−OCT法の詳細について図面を用いて説明する。
(a)装置構成
図19は、本発明者等が開発したOFDR−OCT法を利用した断層像撮影装置の概略図である。前眼部用の断層像撮影装置50では、図19に示すように、超周期構造回折格子分布反射半導体レーザ光発生装置(非特許文献3を参照)のような、波長を変化させながら光を出射できる波長可変光発生手段である波長可変光源1の出力を、方向性結合器等からなる9:1カプラ(第1のカプラ)2の光入力ポート2aに光通信用SMF3により光学的に接続している。この第1のカプラ2によって90:10の割合で2分割される。この第1のカプラ2の一方側(分割割合90%側)の光出力ポートhは、試料光路側サーキュレータ4の光入力ポートaに、光通信用SMF5および光通信用SMF6により光学的に接続している。光通信用SMF5は、第1のカプラ2の製造時に光出力ポートhに接続される。また、光通信用SMF6は、試料光路側サーキュレータ4の製造時に光入力ポートaに接続される。光通信用SMF5と光通信用SMF6との接続箇所である接続点をAとする。
試料光路側サーキュレータ4の光出力ポートcは、試料光路側偏波コントローラ(以降、試料光路側PCと略す)7の光入力ポートpに、光通信用SMF8および光通信用SMF9により光学的に接続している。なお、光通信用SMF8と光通信用SMF9の接続箇所である接続点をCとする。また、光通信用SMF8は試料光路側サーキュレータ4の製造時に光出力ポートcに接続され、光通信用SMF9は試料光路側PC7の製造時に光入力ポートpに接続される。試料光路側PC7の光出力ポートqは、1:1カプラ(第2のカプラ)10の光入力ポートiに光通信用SMF11および光通信用SMF12により光学的に接続している。光通信用SMF11と光通信用SMF12との接続点をDとする。また、光通信用SMF11は試料光路側PC7の製造時に光出力ポートqに接続され、光通信用SMF12は第2のカプラ10の製造時に光入力ポートiに接続される。第2のカプラ10の両方の光出力ポート10a,10bは、光検出機能を有する差動増幅器13の光入力ポート13a,13bに光通信用SMF14により光学的にそれぞれ接続している。
また、試料光路側サーキュレータ4の光入力/出力ポートbは、光通信用SMF15及び光通信用SMF16により測定光送出/信号光入力口B1、試料光路側コリメータレンズ17、ガルバノミラー18、試料光路側対物レンズ19から成る測定光照射系/信号光受光系20に接続される。このとき、試料光路側サーキュレータ4の光入力/出力ポートbと接続されている光通信用SMF15と、測定光送出/信号光入力口B1を有する光通信用SMF16との接続箇所である接続点をBとする。光通信用SMF15は、試料光路側サーキュレータ4の製造時に光出力/入力ポートbに接続される。測定光照射系/信号光受光系20は、測定対象21によって測定光が反射又は後方散乱された信号光を捕捉する手段としても機能する。従って、以後、測定光照射/信号光受光手段と呼ぶ。
他方、第1のカプラ2の他方側(分割割合10%側)の光出力ポートjは、参照光路側サーキュレータ22の光入力ポートeに、光通信用SMF23および光通信用SMF24により光学的に接続している。このとき光通信用SMF23と、光通信用SMF24との接続箇所である接続点をEとする。光通信用SMF23は、第1のカプラ2の製造時に光出力ポートjに接続される。また、光通信用SMF24は、参照光路側サーキュレータ22の製造時に光入力ポートeに接続される。参照光路側サーキュレータ22の光出力ポートgは、参照光路側偏波コントローラ(以降、参照光路側PCと略す)25の光入力ポートrに、光通信用SMF26および光通信用SMF27により光学的に接続している。光通信用SMF26と光通信用SMF27の接続箇所である接続点をGとする。また、光通信用SMF26は参照光路側サーキュレータ22の製造時に光出力ポートgに接続され、光通信用SMF27は参照光路側PC25の製造時に光入力ポートrに接続される。参照光路側PC25の光出力ポートsは、第2のカプラ10の光入力ポートkに光通信用SMF28および光通信用SMF29により光学的に接続している。光通信用SMF28と光通信用SMF29の接続箇所である接続点をHとする。また、光通信用SMF28は参照光路側PC25の製造時に光出力ポートsに接続され、光通信用SMF29は第2のカプラ10の製造時に光入力ポートkに接続される。
また、参照光路側サーキュレータ22の光入力/出力ポートfは、光通信用SMF30及び光通信用SMF31により参照光入力/送出口F1、参照光路側コリメータレンズ32、参照光路側対物レンズ33、位置を固定した状態で用いる参照反射鏡34から成る参照光照射/受光装置35に接続される。このとき、参照光路側サーキュレータ22の光入力/出力ポートfと接続されている光通信用SMF30と、参照光入力/送出口F1を有する光通信用SMF31との接続箇所である接続点をFとする。光通信用SMF30は、参照光路側サーキュレータ25の製造時に光出力/入力ポートfに接続される。
差動増幅器13の出力部13cは、試料の反射又は後方散乱強度分布を計算する演算制御装置36の入力部36aにA/D変換器37を介して電気的に接続している。演算制御装置36の出力部36bは、演算結果を表示するモニタやプリンタ等の表示装置37の入力部37aに電気的に接続している。この演算制御装置36は、入力された情報に基づいて波長可変光源1及びガルバノミラー18を制御することができるようになっている。
上記(a)装置構成で述べた、図19の構成による従来のOFDR−OCT装置50は、試料光路71を伝搬する測定/信号光と、参照光路72を伝搬する参照光との干渉現象を利用して断層画像を構築する。そのため、試料光路71と参照光路72の光路長がほぼ一致している必要がある(Lsample≒Lref)のはもちろんのこと、試料光路71と参照光路72の累積波長分散がほぼ一致していること(Dsample≒Dref)も測定分解能を低下させないために必要である(非特許文献4を参照)。そのため、参照光路72の光路長Lrefと累積波長分散Drefは、それぞれ試料光路71の光路長Lsampleと累積波長分散Dsampleに合わせて設計する必要がある。そのため、この装置50では、試料光路71を構成する各光路と、それらに対応する参照光路72の各光路とにおいて、それぞれ媒質と物理長が同じ光学部品を用いている。よって、試料光路71中の各光路の光路長と累積波長分散は、それらに対応する参照光路72中の各光路の光路長と累積波長分散とにそれぞれ容易に等しくすることができる。
このように、従来技術では、参照光路72に空間部分を用いることにより累積分散補償を行っていた。これは、測定の高速化及び装置50の小型化、低コスト化の上で重大な問題となっていた。
特開2005−156540号公報
S.H.Yun, G.J.Tearney, J.F.de Boer,and B.E.Bouma, OPTICS EXPRESS, Vol. 12, No.23, pp.5614-5624(2004).
D.Choi, T.Amano, H.Hiro-Oka, H.Furukawa, T.Miyazawa, R.Yoshimura, M.Nakanishi, K.Shimizu, and K.Ohbayashi, Proceedings of SPIE, Vol.5690,pp.101-113,2005.
吉國 裕三,応用物理 第71巻 第11号(2002), p1362 〜1366.
Takuji Amano, Hideaki Hiro-Oka, DongHak Choi, Hiroyuki Furukawa, Fumiyoshi Kano, Mituo Takeda, Motoi Nakanishi, Kimiya Shimizu, and Kohji Ohbayashi, APPLIED OPTICS, Vol.44, pp.808-816(2005).
しかしながら、従来のOFDR−OCT装置50の構成法では、参照光路72にもサーキュレータ22と、コリメータレンズ32、対物レンズ33、参照反射鏡34からなる参照光照射/受光装置35を構築する必要があるため、部材が多くなり、装置が大型かつコストが高くなってしまうという問題があった。また、試料光路71側だけでなく参照光路72側においても、微調整による対物レンズ33と参照反射鏡34との焦点距離合わせの作業を行う必要があるため、作業効率が低いという問題があった。作業効率が低い問題について詳細を説明する。OFDR−OCT装置を任意の場所から、別の場所へ運搬して測定を行う場合、運搬中の振動などにより対物レンズ33と参照反射鏡34との間の距離が僅かにずれる。よって、そのままの状態で測定を行うと、参照光路72と試料光路71のそれぞれの光路長と累積波長分散の値が僅かに異なるため、干渉波形の強度が低いか、全く干渉波形が得られず測定に著しい障害が生じてしまう。そのため、別の場所で再度測定を開始する前に、あらかじめ対物レンズ33と参照反射鏡34との間の焦点距離合わせが、場所を移動する度に必要になり、測定を開始できる状態になるまでに時間がかかってしまうという重大な課題があった。
また、用いる波長光源の帯域は、従来技術で用いたSMFの波長分散のため制限がかかるため、空間分解能が低いという重大な課題もあった。
そこで、本発明は、前述した問題に鑑み提案されたもので、小型化し、且つ作業効率を向上させた光を用いた断層撮影装置および波長分散の補正方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決する第1の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、波長走査が可能である波長可変光発生装置と、前記波長可変光発生装置の出力を測定光と参照光に分割し、前記測定光を試料に照射し、前記試料によって反射又は後方散乱された信号光を前記参照光と干渉させて干渉信号を発生する手段と、前記波長可変光発生装置の波数を走査させながら測定した前記干渉信号の集合に基づいて、前記測定光が前記試料によって反射又は後方散乱された位置と反射又は後方散乱強度とを前記試料の奥行き方向に対して特定する手段とを有する光を用いた断層撮影装置において、前記参照光の参照光路が、光通信用分散制御ファイバを具備することを特徴とする。
上述した課題を解決する第2の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、第1の発明に記載の光を用いた断層撮影装置において、前記光通信用分散制御ファイバが、少なくとも分散シフトファイバ、分散フラットファイバ、または分散補償ファイバを有することを特徴とする。
上述した課題を解決する第3の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、第1の発明に記載の光を用いた断層撮影装置において、前記測定光および信号光の光路における空間光路を除く全て光路と、前記参照光路の全てが、分散シフトファイバ、または分散フラットファイバであることを特徴とする。
上述した課題を解決する第4の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、波長走査が可能である複数の波長可変光発生装置と、前記複数の波長可変光発生装置の出力を測定光と参照光に分割し、前記測定光を試料に照射し、前記試料によって反射又は後方散乱された信号光を前記参照光と干渉させて干渉信号を発生する手段と、前記複数の波長可変光発生装置の波数を走査させながら測定した前記干渉信号の集合に基づいて、前記測定光が前記試料によって後方散乱された位置と反射又は後方散乱強度とを前記試料の奥行き方向に対して特定する手段とを有する光を用いた断層撮影装置において、前記測定光および信号光の光路の累積波長分散と前記参照光の光路の累積波長分散との差分を、光通信用分散制御ファイバを用いて補償することを特徴とする。
上述した課題を解決する第5の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、第4の発明に記載の光を用いた断層撮影装置において、前記光通信用分散制御ファイバが、分散補償ファイバであることを特徴とする。
上述した課題を解決する第6の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、波長走査が可能である波長可変光発生装置と、前記波長可変光発生装置の出力を測定光と参照光に分割する手段と、前記測定光を試料に照射する手段と、前記試料によって反射又は後方散乱された信号光を前記参照光と干渉させて干渉信号を発生する手段と、前記波長可変光発生装置の波数を走査させながら測定した前記干渉信号の集合に基づいて、前記測定光が前記試料によって反射又は後方散乱された位置と反射又は後方散乱強度とを前記試料の奥行き方向に対して特定する手段とを有する光を用いた断層撮影装置において、前記測定光の光路は、前記照射する地点から前記試料に至る空間からなる第二の光路とからなり、前記信号光の光路は、前記試料から前記照射する地点に至る空間からなる第三の光路と、前記照射する地点から前記干渉信号を発生する地点に至る、光ファイバからなる第四の光路とからなり、前記参照光の光路は、前記分割する地点から前記干渉信号を発生する地点に至る、光ファイバからなる第五の光路からなり、前記第五の光路を構成する光ファイバは、一部が他の部分より単位長さ当たりの波長分散の絶対値が小さい光ファイバで構成されていることを特徴とする。
上述した課題を解決する第7の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、第6の発明に記載の光を用いた断層撮影装置において、前記波長分散の絶対値が小さい光ファイバが、分散シフトファイバまたは分散フラットファイバの何れか一方であることを特徴とする。
上述した課題を解決する第8の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、波長走査が可能である波長可変光発生装置と、前記波長可変光発生装置の出力を測定光と参照光に分割する手段と、前記測定光を試料に照射する手段と、試料によって反射又は後方散乱された信号光を前記参照光と干渉させて干渉信号を発生する手段と、前記波長可変光発生装置の波数を走査させながら測定した前記干渉信号の集合に基づいて、前記測定光が前記試料によって反射又は後方散乱された位置と反射又は後方散乱強度とを前記試料の奥行き方向に対して特定する手段とを有する光を用いた断層撮影装置において、前記測定光の光路は、前記分割する地点から前記照射する地点に至る、分散シフトファイバからなる第一の光路と、前記照射する地点から前記試料に至る空間からなる第二の光路とからなり、前記信号光の光路は、前記試料から前記照射する地点に至る空間からなる第三の光路と、前記照射する地点から前記干渉信号を発生する地点に至る、分散シフトファイバからなる第四の光路とからなり、前記参照光の光路は、前記分割する地点から前記干渉信号を発生する地点に至る、分散シフトファイバからなる第五の光路からなることを特徴とする。
上述した課題を解決する第9の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、第8の発明に記載の光を用いた断層撮影装置において、前記分散シフトファイバに代えて、分散フラットファイバを用いることを特徴とする。
上述した課題を解決する第10の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、第6の発明に記載の光を用いた断層撮影装において、前記第一、第二、第三、および第四の光路と、前記第五の光路における単位長さ当たりの波長分散の絶対値が小さい光ファイバ以外の部分とを第一の光ファイバとする一方、前記単位長さ当りの波長分散の絶対値が小さい光ファイバを第二の光ファイバとし、前記第二の光ファイバの代わりに前記第一の光ファイバにおける単位長さ当りの波長分散とは逆符号の単位長さ当りの波長分散を有する第三の光ファイバを用い、前記第三の光ファイバの物理長が、前記第五の光路の全ての部分を前記第一の光ファイバで構成した場合と比べ、前記測定光および信号光の光路と、前記参照光の光路の累積波長分散の差分の絶対値が小さくなる範囲内にあることを特徴とする。
上述した課題を解決する第11の発明に係る光を用いた断層撮影装置は、第10の発明に記載の光を用いた断層撮影装置において、前記第二の光ファイバが、分散補償ファイバであることを特徴とする。
上述した課題を解決する第12の発明に係る波長分散を補正する波長分散の補正方法であって、第1乃至第11の何れかの発明に記載の光を用いた断層撮影装置において、前記ファイバの長さおよびその分散値を調整して、前記信号光の光路の累積波長分散と前記参照光の参照光路の累積波長分散の差を0にすることを特徴とする。
本発明に係る光を用いた断層撮影装置によれば、小型化、低コスト化、作業効率の向上のために参照光路を光通信用ファイバのみで構成しても空間分解能が低下しない。作業効率向上の具体的な効果は、以下の通りである。参照光路に参照光出力/入力口、コリメータレンズ、対物レンズ、参照反射鏡から成る参照光照射/受光装置を用いる必要がないため、微調整が必要な対物レンズと参照反射鏡との間の焦点距離合わせの作業を行う必要がなくなること。また、装置を別の場所へ運搬して測定を行う場合も、参照光路は光通信用ファイバのみで構成されているため、従来必要となっていた対物レンズと参照反射鏡との間の焦点距離調整を再度行う必要がなく、速やかに測定を開始することが可能となることである。
また、分散補償ファイバを用いた場合は、広帯域の光源を用いることができ、測定分解能を約2倍に向上させることができた。
本発明は、小型かつ低コストであり、作業効率の高い測定を可能とするOFDR−OCT装置に係るものである。
本発明の最良の形態に係る光を用いた断層撮影装置および波長分散の補正方法では、参照光路に分散シフトファイバ、分散フラットファイバ、または分散補償ファイバを用いることにより、従来の装置にて用いた、参照光路における参照光出力/入力口、コリメータレンズ、対物レンズ、参照反射鏡から成る参照光照射/受光装置がなくなり、微調整が必要な対物レンズと参照反射鏡との間の焦点距離合わせの作業を行う必要がなくなる。また、装置を別の場所へ運搬して測定を行う場合も、参照光路は光通信用ファイバのみで構成されているため、従来必要となっていた対物レンズと参照反射鏡との間の焦点距離調整を再度行う必要がなく、速やかに測定を開始することが可能となる。
以下に、本発明の第1の実施例に係る光を用いた断層撮影装置および波長分散の補正方法について、図面を用いて具体的に説明する。すなわち、この実施例では、分散シフトファイバを用いた波長分散制御法について、説明する。
図1は、本発明の第1の実施例に係る光を用いた断層撮影装置の概略図である。図2は、それが有する波長可変光源から出射する光の波長変化を時間に対して表したグラフである。この図2において、縦軸は波長可変光源が出射する光の波長であり、横軸は最初の波長が出射されてからの経過時間である。
(1)装置構成
本発明の第1の実施例に係る光を用いた断層撮影装置(オプティカル・コヒーレンス・トモグラフィー装置)では、波長可変光源は、図2に示すように、階段状に波長走査し、波長間隔は波数に変換した場合に等間隔になるように走査する。図2の場合、波数間隔が2.6×10-4μm-1、一波数当たりの保持時間は1μsである。また、波長可変光源の波長走査範囲は1.530〜1.570μmである。また、波長可変光源の出力強度は、波数に拠らず一定値10mWである。波長可変光源は、例えば超周期構造回折格子分布反射半導体レーザ(非特許文献1を参照)を用いる。
この装置は、小型、低コストであり、作業効率の高いOFDR−OCT装置を実現するために、参照光路の一部に分散シフトファイバを用いたことを特徴とする。
装置構成について詳細を説明する。この装置100は、図1に示すように、波長可変光源101の出力を方向性結合器等からなる9:1カプラ(第1のカプラ)102の光入力ポート102aに光通信用SMF103により光学的に接続する。第1のカプラ102の一方側(分割割合90%側)の光出力ポートhは、試料光路側サーキュレータ104の光入力ポートaに、光通信用SMF(光路h−A)105および光通信用SMF(光路A−a)106により光学的に接続している。光通信用SMF105は、第1のカプラ102の製造時に光出力ポートhに接続される。また、光通信用SMF106は、試料光路側サーキュレータ104の製造時に光入力ポートaに接続される。光通信用SMF105と光通信用SMF106との接続箇所である接続点をAとする。同接続点Aは融着または光コネクタにより形成される。本実施例に記述される接続点は全て同様にして形成され、光コネクタを用いる場合は、斜め(角度7°〜12°)研磨端面を有するコネクタにし、できるだけコネクタ端面における光反射が生じないようにすることが望ましい。また、試料光路側サーキュレータ104の光入力ポートaは、同サーキュレータ104の製造時に光通信用SMF(光路a−b)141により、同サーキュレータ104の光入力/出力ポートbに接続される。なお、試料光路側サーキュレータ104の内部である光路a−bと後述する光路b−cは、実際には光通信用SMFの他に光学レンズやファアラデー回転子、偏光子などから構成されている。本実施例において、両光路の物理長は、両光路が光通信用SMFのみで構成されたと仮定して換算した値を用い、この物理長を光通信用SMFのnsmfとσsmfに乗じると同サーキュレータ内部の正確な光路長と波長分散にほぼ等しい値を得ることができる。
試料光路側サーキュレータ104の光出力ポートcは、試料光路側偏波コントローラ(以下、試料光路側PCと略す)107の光入力ポートpに、光通信用SMF(光路c−C)108および光通信用SMF(光路C−p)109により光学的に接続している。なお、試料光路側PC107と後述する参照光路側PC125は、光通信用ファイバを回転機構を有するボビンに巻き付けて同ファイバ中を伝搬する光の偏波状態を制御する光ファイバ型PCを用いた。光通信用SMF108と光通信用SMF109の接続箇所である接続点をCとする。また、光通信用SMF108は試料光路側サーキュレータ104の製造時に光出力ポートcに接続され、光通信用SMF109は試料光路側PC107の製造時に光入力ポートpに接続される。同試料光路側PC107の光入力ポートpは、同PC107の製造時に光通信用SMF(光路p−q)143により、同PC107の光出力ポートqに接続される。試料光路側PC107の光出力ポートqは、1:1カプラ(第2のカプラ)110の光入力ポートiに光通信用SMF(光路q−D)111および光通信用SMF(光路D−i)112により光学的に接続している。光通信用SMF111と光通信用SMF112の接続点をDとする。また、光通信用SMF111は試料光路側PC107の製造時に光出力ポートqに接続され、光通信用SMF112は第2のカプラ110の製造時に光入力ポートiに接続される。第2のカプラ110の両方の光出力ポート110a,110bは、光検出機能を有する差動増幅器113の光入力ポート113a,113bに光通信用SMF114により光学的に接続している。
また、試料光路側サーキュレータ104の光入力/出力ポートbは、光通信用SMF(光路b−Bまたは光路B−b)115及び光通信用SMF(光路B−B1または光路B1−B)116により測定光送出/信号光入力口B1、試料光路側コリメータレンズ117,ガルバノミラー118,試料光路側対物レンズ119から成る測定光照射系/信号光受光系120に接続される。このとき、試料光路側サーキュレータ104の光入力/出力ポートbと接続されている光通信用SMF115と、測定光送出/信号光入力口B1を有する光通信用SMF116との接続箇所である接続点をBとする。光通信用SMF115は、試料光路側サーキュレータ104の製造時に光出力/入力ポートbに接続される。測定光照射系/信号光受光系120は、測定対象121によって測定光が反射又は後方散乱された信号光を捕捉する手段としても機能する。従って、以後、測定光照射/信号光受光手段と呼ぶ。なお、測定光照射系/信号光受光系120において、測定光が測定光送出/信号光入力口B1からガルバノミラー118に至るまでと、ガルバノミラー118から測定対象121に至るまでの光路を、それぞれ空間光路B1−mと空間光路m−nとする。同様にして、信号光が、測定対象121からガルバノミラー118に至るまでと、ガルバノミラー118から測定光送出/信号光入力口B1に至るまでの光路を、それぞれ空間光路n−mと空間光路m−B1とする。空間光路B1−m,m−n,n−m,m−B1については、後で詳しく説明する。
一方、試料光路側サーキュレータ104の光入力/出力ポートbは、同サーキュレータ104の光出力ポートcに接続される。
他方、第1のカプラ102の他方側(分割割合10%側)の光出力ポートjは、光通信用SMF(光路j−E)123および光路長調整用シングルモードファイバ(以降、SMFと略す)150、および分散シフトファイバ151および光通信用SMF(光路G−r)124により、参照光路側PC125の光入力ポートrに光学的に接続されている。このとき、光通信用SMF123と光路長調整用SMF(光路E−F)150との接続箇所である接続点をEとする。また、光路長調整用SMFl50と分散シフトファイバ(光路F−G)151との接続箇所である接続点をFとする。さらに、分散シフトファイバ151と光通信用SMF124との接続箇所である接続点をGとする。光通信用SMF123は、第1のカプラ102の製造時に光出力ポートjに接続される。また、光通信用SMF124は、参照光路側PC125の製造時に光入力ポートrに接続される。参照光路側PC125の光入力ポートrは、同PC125の製造時に光通信用SMF(光路r−s)144により、同PC125の光出力ポートsに接続される。参照光路側PC125の光出力ポートsは、第2のカプラ110の光入力ポートkに光通信用SMF(光路s−H)128および光通信用SMF(光路H−k)129により光学的に接続している。光通信用SMF128と光通信用SMF129の接続箇所である接続点をHとする。また、光通信用SMF128は参照光路側PC125の製造時に光出力ポートsに接続され、光通信用SMF129は第2のカプラ110の製造時に光入力ポートkに接続される。
以上説明した試料光路171と参照光路172における各光路の物理長と媒質を、下記表1にまとめて表示した。なお、表1にて、※1における試料光路側サーキュレータ内部である光路a-bと光路b-cは、実際には光通信用SMFの他に、光学レンズやファラデー回転子、偏光子などから構成される。本実施例では、両光路の物理長は、両光路が光通信用SMFのみで構成されたと仮定して換算した値を記載している。この物理長を光通信用SMFのnsmfとσsmfに乗じるとサーキュレータ内部の正確な光路長と波長分散にほぼ等しい値を得ることができる。
また、差動増幅器113の出力部113cは、試料の反射又は後方散乱強度分布を計算する演算制御装置136の入力部136aにA/D変換器137を介して電気的に接続している。演算制御装置136の出力部136bは、演算結果を表示するモニタやプリンタ等の表示装置138の入力部138aに電気的に接続している。この演算制御装置136は、入力された情報に基づいて波長可変光源101及びガルバノミラー118を制御することができるようになっている。
(2)光通信用ファイバ各種の単位長さ当たりの波長分散σの波長依存性について
図3は、光通信用SMF,DSF,DCF,DFFについて、それぞれ単位長さ当たりの波長分散σの波長依存性を示す図である。図3中、実線は光通信用SMFの単位長さ当たりの波長分散σsmfを示しており、その値は波長1.55μmにおいてσsmf=17ps/nm/kmである。また、同光通信用SMFの分散スロープをdσsmf/dλと示すことにすると、dσsmf/dλ=0.06ps/nm2/kmであり、光通信用SMFの零分散波長λzsmfは、図3中実線で示した通り1.3μmである。
一方、図3中点線はDSFの単位長さ当たりの波長分散σdsfを示しており、その値は波長1.55μmにおいてσdsf=0ps/nm/kmである。また、波長1.55μmにおける分散スロープdσdsf/dλ=0.06ps/nm2/kmであり、DSFの零分散波長λzdsfは、図3中点線で示した通り1.55μmである。
図3中、一点鎖線はDCFの単位長さ当たりの波長分散σdcfを示しており、その値は波長1.55μmにおいてσdcf=−17ps/nm/kmである。また、波長1.55μmにおける分散スロープdσdcf/dλ=−0.06ps/nm2/kmであり、DCFの零分散波長λzdcfは、図3中一点鎖線で示した通り1.3μmである。
図3中、二点鎖線はDFFの単位長さ当たりの波長分散σdffを示しており、その値は波長1.55μmにおいてσdff=0.5ps/nm/kmである。また、波長1.55μmにおける分散スロープdσdff/dλ=0ps/nm2/kmであり、DFFの零分散波長λzdffは、図3中二点鎖線で示した通り1.5μmと1.6μmである。
また、4種類の光通信用ファイバと大気について、それぞれの略称、屈折率、波長1.55μmにおける単位長さ当たりの波長分散σ、波長1.55μmにおける分散スロープdσ/dλ、および零分散波長λzの値を、表2にまとめて表示した。
(3)本発明のOFDR−OCT装置における試料光路の光路長Lsampleと累積波長分散Dsample
試料光路171の光路長Lsampleと累積波長分散Dsampleについてそれぞれ詳細を説明する。図1に示した本発明の第1の実施例に係る光を用いた断層撮影装置100において、第1のカプラ102の光出力ポートhから出射した波長可変光源101からの測定光は、光通信用SMF105と光通信用SMF106を経て試料光路側サーキュレータ104の光入力ポートaに入射する。次に、試料光路側サーキュレータ104の光入力ポートaから光出力/入力ポートbに伝搬した測定光は、光通信用SMF115と光通信用SMF116を経て測定光送出/信号光入力口B1に到達する。ここまでの光路(第一の光路)h−A−a−b−B−B1の光路長をLh-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長Lh-B1は、表1及び表2に示した光路h−A,A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、18.1975mとなる。
また、光路h−A−a−b−B−B1の累積波長分散をDh-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dh-B1は、表1及び表2に示した光路h−A,A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表3に示すように、213.35×10-3ps/nmとなる。
続いて、測定光送出/信号光入力口B1に到達した測定光は、測定光照射系/信号光受光系120に入射する。図1に示すように、光通信用SMF116を通ってきた測定光は、測定光送出/信号光入力口B1から大気中にB1−m方向へ放射し平行光ビームに整形する試料光路側コリメータレンズ117を通過する。この平行光ビームはさらに大気中をB1−m方向へ伝搬し、ガルバノミラー118により反射され光路をm−nに変えて測定対象121に集光する試料光路側対物レンズ119を経て、測定対象121に入射する。このときの光路を、それぞれ空間光路B1−m,空間光路m−nとし、この光路B1−m−nを第二の光路とする。続いて測定対象121によって測定光が反射又は後方散乱された信号光は、大気中を光路n−mに沿って再ぴ試料光路側対物レンズ119を通過し、再び平行ビーム光に変換される。続いて、再びガルバノミラー118によって反射され光路をm−B1へ変えられた後、試料光路側コリメータレンズ117に再び入射し、同レンズ117により集光され測定光送出/信号光入力口B1から光通信用SMF116に入射する。このときの光路を、それぞれ空間光路n−m,空間光路m−B1とし、この光路n−m−B1を第三の光路とする。なお、ガルバノミラー118は、測定光の進行方向を走査するために用いる。
ここまでの光路B1−m−n−m−B1の光路長をLB1-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LB1-B1は、表1及び表2に示した光路B1−m,m−n,n−m,m−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、1.0mとなる。
また、光路B1−m−n−m−B1の累積波長分散をDB1-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dh-B1は、表1及び表2に示した光路B1−m,m−n,n−m,m−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表3に示すように、0ps/nmとなる。
次に、測定光送出/信号光入力口B1に入射してきた試料光は、光通信用SMF116と光通信用SMF115を経て試料光路側サーキュレータ104の光出力/入力ポートbから光出力ポートcへと伝搬し、光通信用SMF108および光通信用SMF109を経て試料光路側PC107の光入力ポートpから光出力ポートqへ伝搬し、光通信用SMF111と光通信用SMF112を経て第2のカプラ110の入力ポートiに入射する。
ここまでの光路(第四の光路)B1−B−b−c−C−p−q−D−iの光路長をLB1-iと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LB1-iは、表1及び表2に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−C,C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、19.6475mとなる。
また、光路B1−B−b−c−C−P−q−D−iの累積波長分散をDB1-iと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DB1-iは、表1及び表2に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−C,C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表3に示すように、230.35×10-3ps/nmとなる。
以上より、光路h−A−a−b−B−B1−n−n−m−B1−B−b−c−C−p−q−D−i、すなわち試料光路171の光路長Lsampleは、上述したLh-B1,LB1-B1,LB1-iを用いて演算することで、表3に示すように、38.845mとなる。
また、同様にして試料光路171の累積波長分散Dsampleは、上述したDh-B1,DB1-B1,DB1-iを用いて演算することで、表3に示すように、443.7×10-3ps/nmとなる。
以上、試料光路の光路長Lsampleと累積波長分散Dsampleについて述べた。両者の関係をチャート化し、図4(a)に示す。図4(a)において、光通信用SMFで構成される光路h−A−a−b−B−B1(光路長Lh-B1=18.1975m)の累積波長分散Dh-B1は213.35×10-3ps/nmであり、空間光路で構成される光路B1−m−n−m−B1(光路長LB1-B1=1.0m)の累積波長分散DB1-B1は0ps/nmであるため、光路h−A−a−b−B−B1−m−n−m−B1(光路長Lh-B1+LB1-B1=19.1975m)の累積波長分散Dh-B1の値は、213.35×10-3ps/nmのまま変わらない。一方、光通信用SMFで構成される光路B1−B−b−c−C−p−q−D−i(光路長LB1-i=19.6475m)の累積波長分散DB1-iは230.35×10-3ps/nmであるため、最終的に光路h−A−a−b−B−B1−m−n−m−B1−B−b−c−C−D−i、すなわち試料光路(光路長Lsample=Lh-B1+LB1-B1+LB1-i=38.845m)の累積波長分散Dsampleは、443.7×10-3ps/nmとなる。なお、図4(a)の横軸について、視覚的な理解のため光路長LB1-B1の部分を拡大して表示している。以上、図4(a)について説明を述べた。
(4)本発明のOFDR−OCT装置100における参照光路172の光路長Lrefと累積波長分散Dref
なお、図1に示した本発明のOFDR−OCT装置100は、試料光路171を伝搬する測定/信号光と、参照光路172を伝搬する参照光との干渉現象を利用して断層画像を構築する。そのため、試料光路171と参照光路172の光路長がほぼ一致している必要がある(Lsample≒Lref)のはもちろんのこと、試料光路171と参照光路172の累積波長分散がほぼ一致していること(Dsample≒Dref)も必要である。よって、本実施例においては試料光路171の各光路と、それらに対応する参照光路172の各光路の光路長と累積波長分散の値を等しくなるように設定した。具体的には、光路h−Aの光路長と累積波長分散と、光路j−Eの光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路A−a−b−B−B1の光路長と光路B1−B−b−c−Cの光路長との和および光路A−a−b−B−B1の累積波長分散と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散との和が、光路E−Fの光路長と累積波長分散にそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路B1−m−n−m−B1の光路長と累積波長分散が、光路F−Gの光路長と累積波長分散にそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路C−p−q−D−iの光路長と累積波長分散が、光路G−r−s−H−kの光路長と累積波長分散にそれぞれほぼ等しくなるように設定した。詳細については、後述する。
続いて、上記(3)項と同様にして、参照光路172の光路長Lrefと累積波長分散Drefについてそれぞれ詳細を説明する。図1の構成による本発明のOFDR−OCT装置100において、第1のカプラ102の光出力ポートjから出射した波長可変光源101からの参照光は、光通信用SMF123を介して光路長調整用SMF150に入射する。ここまでの光路j−Eの光路長をLj-Eと表することにすると、波長1.55μmにおける光路長Lj-Eは、表1及び表2に示した光路j−Eの物理長と前記光路の屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、0.725mとなる。
ここで、光路j−Eと対応する試料光路中の光路h−Aの光路長Lh-Aは、表1及び表2に示した光路h−Aの物理長と屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、0.725mとなる。
よって、光路j−Eの光路長Lj-Eと、光路j−Eに対応する光路h−Aの光路長Lh-Aは等しく設定されている。また、光路j−Eの累積波長分散をDj-Eと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dj-Eは、表1及び表2に示した光路j−Eの物理長と前記光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表3に示すように、8.5×10-3ps/nmとなる。
このとき、光路j−Eと対応する試料光路中の光路h−AのDh-Aは、表1及び表2に示した光路h−Aの物理長と単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表3に示すように、8.5×10-3ps/nmとなる。
よって、光路j−Eの累積波長分散Dj-Eと、光路j−Eに対応する光路h−Aの累積波長分散Dh-Aは等しく設定されている。続いて、光路長調整用SMF150に到達した参照光は、接続点FにおいてDSF151に入射する。このときの光路長調整用SMF150の光路長をLE-Fと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LE-Fは、表1及び表2に示した光路E−Fの物理長と前記光路の屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、34.925mとなる。
ここで、図1に示した本発明のOFDR−OCT装置100において、試料光路側サーキュレータ(光通信用SMF141,光通信用SMF142)104と同サーキュレータ104の各ポート(光入力ポートa,光出力/入力ポートb,光出力ポートc)に接続された光通信用SMF(光通信用SMF106,光通信用SMF115,光通信用SMF108)を測定/信号光が伝搬する光路を、参照光路172では単一の光通信用SMFである光路長調整用SMF150のみで置き換えることにより、参照光路172にサーキュレータを用いることなくOEDR−OCT装置100の小型・低コスト化を実現している。よって、光路長調整用SMF150の光路長LE-Fと、光路A−a−b−B−B1の光路長LA-B1と光路B1−B−b−c−Cの光路長LB1-Cとの和が等しくなるように設定した。すなわち、LE-F=LA-B1+LB1-Cである。光路長LA-B1は、表1及び表2に示した光路A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、17.4725mとなる。
また、光路長LB1-Cは、表1及び表2に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−Cのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、17.4725となる。
よって、LA-B1+LB1-C=34.945mとなり、LE-F=LA-B1+LB1-Cを満たしている。すなわち、光路E−Fの光路長LE-Fと、光路E−Fに対応する光路A−a−b−B−B1の光路長LA-B1と光路B1−B−b−c−Cの光路長LB1-Cとの和は等しく設定されている。
また、光路E−Fの累積波長分散をDE-Fと表することにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DE-Fは、表1及び表2に示した光路E−Fの物理長と前記光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表3に示すように、409.7×10-3ps/nmとなる。
ここで、光路E−Fと対応関係にある、光路A−a−b−B−B1と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散の値を求める。光路A−a−b−B−B1の物理長lA-B1(=lA-a+la-b+lb-B+lB-B1)と光路B1−B−b−c−Cの物理長lB1-C(=lB1-B+lB-b+lb-c+lc-C)は、表1よりそれぞれ12.05m,12.05mである。よって、累積波長分散DA-B1と累積波長分散DB1-Cの和は、表3に示すように、409.7×10-3ps/nmとなる。
よって、DE-F=DA-B1+DB1-Cであることを確認した。すなわち、光路E−Fの累積波長分散DE-Fと、光路E−Fに対応するA−a−b−B−B1の累積波長分散DA-B1と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散DB1-Cとの和は等しく設定されている。なお、光路j−E−Fまでの累積波長分散をDj-Fとすると、このDj-Fは、表3に示すように、418.2×10-3ps/nmとなる。
続いて、参照光は光路長調整用SMF150から接続点Fを経てDSF151に入射する。このときのDSF151の光路長をLF-Gと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LF-Gは、表1及び表2に示した光路F−Gの物理長と前記光路の屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、1.0mとなる。
ここで、図1に示した本発明のOFDR−OCT装置100において、光路B1−m−n−m−B1を測定/信号光が伝搬する空間光路を、参照光路172では単一のDSF151のみで置き換えることにより、参照光路172に従来の装置の参照光照射/受光装置を用いることなくOFDR−OCT装置の小型・低コスト化・作業効率の向上を実現している。よって、屈折率ndef=1.45であるDSF151の物理長lF-Gの値は、DSF151の光路長LF-Gと空間光路B1−m−n−m−B1の光路長LB1-B1とが等しくなるように設定した。すなわち、光路F−Gの光路長LF-Gと、光路F−Gに対応する空間光路B1−m−n−m−B1の光路長LB1-B1は、ともに1.0mであり、等しく設定されている。
一方、DSF151の累積波長分散をDF-Gとすると、表1及び表2に示した光路F−Gの物理長と前記光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表3に示すように、0ps/nmとなる。
すなわち、光路F−Gの累積波長分散DF-Gと、光路F−Gに対応する空間光路B1−m−n−m−B1の累積波長分散DB1-B1は、ともに0ps/nm/kmであり、等しく設定されている。
このように、波長1.55μm付近において単位長さ当たりの波長分散σが0ps/nm/kmであるDSFを用いると、試料光路の空間光路を参照光路では単一の光通信用ファイバで置き換えても、それぞれの光路長と累積波長分散の値を1.55μm付近において等しくすることが可能となる。ところで、図3の点線で示したように、DSFの単位長さ当たりの波長分散σdefは、厳密には波長1.55μm以外においては0ps/nm/kmではなく、有限の値を有する。しかしながら、本実施例における測定光/信号光の波長範囲は1.53〜1.57μmであるため、同波長範囲におけるσdefの値は、−1.2ps/nm/kmから1.2ps/nm/kmの間の値となるため、実用上0ps/nm/kmであると考えて良い。
続いて参照光は、接続点Gから参照光路側PC125の入力ポートrに入射する。次に参照光は、参照光路側PC125の光入力ポートrから光出力ポートsへと伝搬し、光通信用SMF128および光通信用SMF129を経て第2のカプラ110の入力ポートkに入射する。ここまでの光路G−r−s−H−kの光路長をLG-kと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LG-kは、表1及び表2に示した光路G−r,r−s,s−H,H−kのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、2.175mとなる。
ここで、光路G−r−s−H−kと対応する試料光路中の光路C−p−q−D−iの光路長LC-iは、表1及び表2に示した光路C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と各光路の屈折率を用いて演算することで、表3に示すように、2.175mとなる。
よって、光路G−kの光路長LG-kと、光路G−r−s−H−kに対応する光路C−p−q−D−iの光路長LC-iは、ともに2.175mであり、等しく設定されている。
また、光路G−r−s−H−kの累積波長分散をDG-kと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DG-kは、表1及び表2に示した光路G−r,r−s,s−H,H−kのそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表3に示すように、25.5×10-3ps/nmとなる。
ここで、光路G−r−s−H−kと対応する試料光路中の光路C−p−q−D−iの累積波長分散DC-iは、表1及び表2に示した光路C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と各光路の単位長さ当たり波長分散を用いて演算することで、表3に示すように、25.5×10-3ps/nmとなる。
すなわち、光路G−kの累積波長分散DG-kと、光路G−kに対応するC−p−q−D−iの累積波長分散DC-iは、ともに25.5ps/nm/kmであり、等しく設定されている。
以上より、参照光路(光路(第五の光路)j−E−F−G−r−s−H−k)の光路長Lrefは、上述したLj-E,LE-F,LF-G,LG-Kを用いて演算することで、表3に示すように、38.845mとなる。
よって、参照光路Lrefと試料光路Lsampleの光路長は、ともに38.845mとなり、等しく設定されている(Lref=Lsample)。
また、同様にして参照光路172の累積波長分散Drefは、上述したDj-E,DE-F,DF-G,DG-K式を用いて演算することで、表3に示すように、443.7×10-3ps/nmとなる。
よって、参照光路172と試料光路171の累積波長分散はともに443.7×10-3ps/nmとなり、等しく設定されている(Dref=Dsample)。
これまで述べてきた参照光路172の光路長Lrefと累積波長分散Drefについて両者の関係をチャート化し、図4(b)に示す。図4(b)において、横軸は光路長L、縦軸は累積波長分散Dである。図4(b)より、光通信用SMFで構成される光路j−E−F(光路長Lj-F=35.67m)の累積波長分散は、418.2×10-3ps/nmであり、波長1.55μmにおけるσdsf=0であるDSFで構成される光路F−G(光路長LF-G=1.0m)の累積波長分散DF-Gは、0ps/nmであるため、光路j−E−F−G(光路長Lj-G=36.67m)の累積波長分散Dj-Gは、418.2×10-3ps/nmのまま変わらない。一方、光通信用SMFで構成される光路G−r−s−H−k(光路長LG-k=2.175m)の累積波長分散DG-kは25.5×10-3ps/nmであるため、最終的に光路j−E−F−F−G−r−s−H−k,すなわち参照光路(光路長Lref=Lj-E+LE-F+LF-G+LG-K=38.845m)139の累積波長分散Drefは、443.7×10-3ps/nmとなる。
よって、図4(a)と図4(b)を比較すると、これまで説明してきたように、参照光路172と試料光路171では光路長が一致し、かつ累積波長分散の値も一致することが視覚的に理解できる。
(5)本発明のOFDR−OCT装置による測定結果
図5に、図1に示した本発明のOFDR−OCT装置100を用いて得られた反射光信号強度のピークを示す(図5中実線)。図5の横軸は、測定対象のz軸(奥行き)方向の座標を、縦軸は反射光信号の強度を表している。図5中実線で示した本発明のOFDR−OCT装置100を用いて得られた反射光信号強度のピークの半値全幅は26μmであり、参照光路へのDSF導入により試料光路と参照光路の累積波長分散の値が等しく設定されているため、測定分解能が低下せず、図19に示した従来のOFDR−OCT装置の測定分解能(26μm)と同じ良好な値を示している。
(6)DSFの代わりに光通信用SMFを用いた場合
本実施例のOFDR−OCT装置100において、分散シフトファイバを用いることの重要性について説明する。図1に示した本発明のOFDR−OCT装置100において、参照光路中の光路長LF-Gを有するDSF(光路F−G)151の部分を、同じ光路長L1F-G(=LF-G=nsmf×lF-G)を有する光通信用SMFにより置き換えた場合を考える。このような場合でも、図19に示した従来のOFDR−OCT装置と比較して、装置の小型化・低コスト化・作業効率の向上を実現できる。しかしながら、光通信用SMFを光路F−Gに用いる場合、光路長L1F-GはLF-Gと等しいが、同光路の累積波長分散D1F-Gが異なる。具体的には、DSF151を用いた時の累積波長分散DF-Gは0pa/nm/kmであったが、光通信用SMFの場合は、累積波長分散D1F-Gは、表3に示すように、11.73ps/nmとなる。
この累積波長分散D1F-Gは、光路F−Gに対応する試料光路中の光路B1−m−n−m−B1の累積波長分散DB1-B1と一致しなくなる。よって、参照光路の累積波長分散Drefは、参照光路の累積波長分散よりも11.73ps/nmだけ大きくなるため、図4(b)に示した参照光路の累積波長分散の光路長依存性を示したチャートは、図6のようになる。よって、図4(a)と図6を比較すると、参照光路と試料光路では光路長は一致するものの、累積波長分散の値は一致しないことが視覚的な理解できる。このように、試料光路と参照光路の光路長が等しくても、両者の累積波長分散に差が生じた場合は、図5中点線で示したように反射光信号強度のピークの半値全幅が52μmと、DSFを用いた場合と比べ著しく大きくなってしまう。そのため、光路F−Gにおいて光通信用SMFを用いても、小型、低コスト、作業効率の高いOFDR−OCT装置を実現することはできるが、反射光信号強度のピークの半値全幅が大きくなり、測定分解能が著しく低下する。よって、図1に示した本発明のOFDR−OCT装置100の光路F−Gに同光通信用SMFを用いることは適切でない。
なお、DSFは国内外の光通信用SMFメーカが量産している市販品であるため、本OFDR−OCT装置のごく一部分にDSFを導入しても、装置全体のコスト上昇は無視できる範囲内であると考えられる。
また、本実施例において参照光路中の光路F−GにDSF151を用いたが、光路F−GをDSF151と同じ光路長を有するDFFで置き換えても同様の効果が得られることは明らかである。図3中二点鎖線で示したように、波長1.55μmにおける単位長さ当たりの波長分散σdff=0.5ps/nm/kmであり、また分散スロープdσdff/dλが波長1.55μm付近を中心にしてほぼ零、すなわち、波長分散σdffの波長依存性が極めて小さい。そのため、DSFとは異なり、波長1.55μm付近においては有限の単位長さ当たりの波長分散の値(σdff=0.5ps/nm/km)を有するが、その値は極めて小さい。また、本実施例における測定光/信号光の波長範囲は1.53〜1.57μmであるが、同波長範囲におけるDFFの分散スロープがほぼ零である。そのため、同波長範囲におけるσdffの値は0ps/nm/kmから0.5ps/nm/kmの間の値となり、実用上0ps/nm/kmであると考えて良い。そのため、参照光路にDFFを用いても、DSFを用いたときと同様の効果が得られるのは明らかである。
以下に、本発明の第2の実施例に係る光を用いた断層撮影装置および波長分散の補正方法について、図面を用いて具体的に説明する。すなわち、この実施例では、試料光路と参照光路に用いる光通信用ファイバの全てに、分散シフトファイバを用いる方法について、説明する。
図7は、本発明の第2の実施例に係る光を用いた断層撮影装置の概略図である。図8は、それが有する波長可変光源から出射する光の波長変化を時間に対して表したグラフである。この図8において、縦軸は波長可変光源が出射する光の波長であり、横軸は最初の波長が出射されてからの経過時間である。
(1)装置構成
本発明の第2の実施例に係る光を用いた断層撮影装置(オプティカル・コヒーレンス・トモグラフィー装置)では、波長可変光源は、図8に示すように、階段状に波長走査し、波長間隔は波数に変換した場合に等間隔になるように走査する。図8の場合、波数間隔が2.6×10-4μm-1、一波数当たりの保持時間は1μsである。また、波長可変光源の波長走査範囲は1.530〜1.570μm(C−band)である。また、波長可変光源の出力強度は、波数に拠らず一定値10mWである。波長可変光源は、例えば超周期構造回折格子分布反射半導体レーザ(非特許文献1を参照)を用いる。
この装置は、小型、低コスト、作業効率の高いOFDR−OCT装置を実現するために、試料光路と参照光路に用いる光通信用ファイバの全てにDSFを用いたことを特徴とする。
装置構成について詳細を説明する。この装置200は、図7に示すように、波長可変光源201の出力を方向性結合器等からなる9:1カプラ(第1のカプラ)202の光入力ポート202aに光通信用SMF203により光学的に接続する。第1のカプラ202の一方側(分割割合90%側)の光出力ポートhは、試料光路側サーキュレータ204の光入力ポートaに、DSF(光路h−A)205およびDSF(光路A−a)206により光学的に接続している。DSF205は、第1のカプラ202の製造時に光出力ポートhに接続される。また、DSF206は、試料光路側サーキュレータ204の製造時に光入力ポートaに接続される。DSF205とDSF206との接続箇所である接続点をAとする。同接続点は融着または光コネクタにより形成される。本実施例に記述される接続点は全て同様にして形成され、光コネクタを用いる場合は、斜め(角度7°〜12°)研磨端面を有するコネクタにし、できるだけコネクタ端面における光反射が生じないようにすることが望ましい。また、試料光路側サーキュレータ204の光入力ポートaは、同サーキュレータ204の製造時にDSF(光路a−b)241により、同サーキュレータ204の光入力/出力ポートbに接続される。なお、試料光路側サーキュレータ204の内部である光路a−bと後述する光路b−cは、実際には光通信用DSFの他に光学レンズやファラデー回転子、偏光子などから構成されている。本実施例において、両光路の物理長は、両光路が光通信用DSFのみで構成されたと仮定して換算した値を用い、この物理長を光通信用DSFのndsfとσdsfに乗じると同サーキュレータ内部の正確な光路長と波長分散にほぼ等しい値を得ることができる。
試料光路側サーキュレータ204の光出力ポートcは、試料光路側PC207の光入力ポートpに、DSF(光路c−C)208およびDSF(光路C−p)209により光学的に接続している。なお、試料光路側PC207と後述する参照光路側PC225は、光通信用ファイバを回転機構を有するボビンに巻き付けて同ファイバ中を伝搬する光の偏波状態を制御する光ファイバ型PCを用いた。DSF208とDSF209の接続箇所である接続点をCとする。また、DSF209は試料光路側サーキュレータ204の製造時に光出力ポートcに接続され、DSF209は試料光路側PC207の製造時に光入力ポートpに接続される。同試料光路側PC207の光入力ポートpは、同PC207の製造時にDSF(光路p−q)243により、同PC207の光出力ポートqに接続される。試料光路側PC207の光出力ポートqは、1:1カプラ(第2のカプラ)210の光入力ポートiにDSF(光路q−D)211およびDSF(光路D−i)212により光学的に接続している。DSF211とDSF212の接続点をDとする。また、DSF211は試料光路側PC207の製造時に光出力ポートqに接続され、DSF212は第2のカプラ210の製造時に光入力ポートiに接続される。第2のカプラ210の両方の光出力ポート210a,210bは、光検出機能を有する差動増幅器213の光入力ポート213a,213bに光通信用DSF214により光学的に接続している。
また、試料光路側サーキュレータ204の光入力/出力ポートbは、DSF(光路b−Bまたは光路B−b)215及びDSF(光路B−B1または光路B1−B)216により測定光送出/信号光入力口B1、試料光路側コリメータレンズ217,ガルバノミラー218,試料光路側対物レンズ219から成る測定光照射系/信号光受光系220に接続される。このとき、試料光路側サーキュレータ204の光入力/出力ポートbと接続されているDSF215と、測定光送出/信号光入力口B1を有するDSF216との接続箇所である接続点をBとする。DSF215は、試料光路側サーキュレータ204の製造時に光出力/入力ポートbに接続される。測定光照射系/信号光受光系220は、測定対象221によって測定光が反射又は後方散乱された信号光を捕捉する手段としても機能する。従って、以後、測定光照射/信号光受光手段と呼ぶ。なお、測定光照射系/信号光受光系220において、測定光が測定光送出/信号光入力口B1からガルバノミラー218に至るまでと、ガルバノミラー218から測定対象221に至るまでの光路を、それぞれ空間光路B1−mと空間光路m−nとする。同様にして、信号光が、測定対象221からガルバノミラー218に至るまでと、ガルバノミラー218から測定光送出/信号光入力口B1に至るまでの光路を、それぞれ空間光路n−mと空間光路m−B1とする。空間光路B1−m,m−n,n−m,m−B1については、後で詳しく説明する。
一方、試料光路側サーキュレータ204の光入力/出力ポートbは、同サーキュレータ204の光出力ポートcに接続される。
他方、第1のカプラ202の他方側(分割割合10%側)の光出力ポートjは、DSF(光路j−E)223および光路長調整用DSF(光路E−F)250、および光路長調整用DSF(光路F−G)251およびDSF(光路G−r)224により、参照光路側PC225の光入力ポートrに光学的に接続されている。このとき、DSF223と光路長調整用DSF250との接続箇所である接続点をEとする。また、光路長調整用DSF1と光路長調整用DSF2との接続箇所をFとする。さらに、光路長調整用DSF251とDSF224との接続箇所である接続点をGとする。DSF223は、第1のカプラ202の製造時に光出力ポートjに接続される。また、DSF224は、参照光路側PC225の製造時に光入力ポートrに接続される。参照光路側PC225の光出力ポートsは、同PC225の製造時にDSF(光路r−s)244により、同PC225の光出力ポートsに接続される。参照光路側PC225の光出力ポートsは、第2のカプラ210の光入力ポートkにDSF(光路s−H)228およびDSF(光路H−k)229により光学的に接続している。DSF228とDSF229の接続点をHとする。また、DSF228は参照光路側PC225の製造時に光出力ポートsに接続され、DSF229は第2のカプラ210の製造時に光入力ポートkに接続される。
以上説明した試料光路271と参照光路272における各光路の物理長と媒質を、表4にまとめて表示した。なお、表4にて、※1における試料光路側サーキュレータ内部である光路a-bと光路b-cは、実際にはDSFの他に、光学レンズやファラデー回転子、偏光子などから構成される。本実施例では、両光路の物理長は、両光路がDSFのみで構成されたと仮定して換算した値を記載している。この物理長を光通信用DSFのndsfとσdsfに乗じるとサーキュレータ内部の正確な光路長と波長分散にほぼ等しい値を得ることができる。
また、差動増幅器213の出力部213cは、試料の反射又は後方散乱強度分布を計算する演算制御装置236の入力部236aにA/D変換器237を介して電気的に接続している。演算制御装置236の出力部236bは、演算結果を表示するモニタやプリンタ等の表示装置238の入力部238aに電気的に接続している。この演算制御装置236は、入力された情報に基づいて波長可変光源201及びガルバノミラー218を制御することができるようになっている。
(2)本発明のOFDR−OCT装置における試料光路の光路長Lsampleと累積波長分散Dsample
試料光路271の光路長Lsampleと累積波長分散Dsampleについてそれぞれ詳細を説明する。図7に示した本発明の第2の実施例に係る光を用いた断層撮影装置200において、第1のカプラ202の光出力ポートhに入射して来た波長可変光源201からの測定光は、DSF205とDSF206を経て試料光路側サーキュレータ204の光入力ポートaに入射する。次に、試料光路側サーキュレータ204の光入力ポートaから光出力/入力ポートbに伝搬した測定光は、DSF215とDSF216を経て測定光送出/信号光入力口B1に到達する。ここまでの光路(第一の光路)h−A−a−b−B−B1の光路長をLh-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長Lh-B1は、表2及び表4に示した光路h−A,A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、18.1975mとなる。
また、光路h−A−a−b−B−B1の累積波長分散をDh-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける。累積波長分散Dh-B1は、表2及び表4に示した光路h−A,A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
続いて、測定光送出/信号光入力口B1に到達した測定光は、測定光照射系/信号光受光系220に入射する。図7に示すように、DSF216を通ってきた測定光は、測定光送出/信号光入力口B1から大気中にB1−m方向へ放射し平行光ビームに整形する試料光路側コリメータレンズ217を通過する。この平行光ビームはさらに大気中をB1−m方向へ伝搬し、ガルバノミラー218により反射され光路をm−nに変えて測定対象221に集光する試料光路側対物レンズ219を経て、測定対象221に入射する。このときの光路を、それぞれ空間光路B1−m,空間光路m−nとし、この光路B1−m−nを第二の光路とする。続いて測定対象221によって測定光が反射又は後方散乱された信号光は、大気中を光路n−mに沿って再ぴ試料光路側対物レンズ219を通過し、再び平行ビーム光に変換される。続いて、再びガルバノミラー218によって反射され光路をm−B1へ変えられた後、試料光路側コリメータレンズ217に再び入射し、同レンズ217により集光され測定光送出/信号光入力口B1からDSF216に入射する。このときの光路を、それぞれ空間光路n−m,空間光路m−B1とし、この光路n−m−B1を第三の光路とする。なお、ガルバノミラー218は、測定光の進行方向を走査するために用いる。
ここまでの光路B1−m−n−m−B1の光路長をLB1-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LB1-B1は、表2及び表4に示した光路B1−m,m−n,n−m,m−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、1.0mとなる。
また、光路B1−m−n−m−B1の累積波長分散をDB1-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dh-B1は、表2及び表4に示した光路B1−m,m−n,n−m,m−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
次に、測定光送出/信号光入力口B1に入射してきた試料光は、DSF216とDSF215を経て試料光路側サーキュレータ204の光出力/入力ポートbから光出力ポートcへと伝搬し、DSF208およびDSF209を経て試料光路側PC207の光入力ポートpから光出力ポートqへ伝搬し、DSF211とDSF212を経て第2のカプラ210の入力ポートiに入射する。
ここまでの光路(第四の光路)B1−B−b−c−C−p−q−D−iの光路長をLB1-iと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LB1-iは、表2及び表4に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−C,C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、19.6475mとなる。
また、光路B1−B−b−c−C−p−q−D−iの累積波長分散をDB1-iと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DB1-iは、表2及び表4に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−C,C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
以上より、光路h−A−a−b−B−B1−m−n−m−B1−B−b−c−C−p−q−D−i,すなわち試料光路の光路長Lsampleは、上述したLh-B1,LB1-B1,LB1-iを用いて演算することで、表5に示すように、38.845mとなる。
また、同様にして試料光路の累積波長分散Dsampleは、上述したDh-B1,DB1-B1,DB1-iを用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
以上、試料光路271の光路長Lsampleと累積波長分散Dsampleについて述べた。両者の関係をチャート化し、図9(a)に示す。図9(a)において、光路h−A−a−b−B−B1−m−n−m−B1−B−b−c−C−D−i,すなわち試料光路(光路長Lsample=Lh-B1+LB1-B1+LB1-i=38.845m)の累積波長分散Dsampleは、試料光路が全て波長1.55μmにおける波長分散σが0ps/nm/kmである媒質(DSFと空間光路)で構成されるため、試料光路のどの場所においても累積波長分散Dは0ps/nmであるため、Dsampleも当然0ps/nmである。なお、図9(a)の横軸について、視覚的な理解のため光路長LB1-Bの部分を拡大して表示している。以上、図9(a)について説明を述べた。
(3)本発明のOFDR−OCT装置200における参照光路272の光路長Lrefと累積波長分散Dref
なお、図7に示した本発明のOFDR−OCT装置200は、試料光路271を伝搬する測定/信号光と、参照光路272を伝搬する参照光との干渉現象を利用して断層画像を構築する。そのため、試料光路271と参照光路272の光路長がほぼ一致している必要がある(Lsample≒Lref)のはもちろんのこと、試料光路271と参照光路272の累積波長分散がほぼ一致していること(Dsample≒Dref)も必要である。よって、本実施例においては試料光路271の各光路と、それらに対応する参照光路272の各光路の光路長と累積波長分散の値を等しくなるように設定した。具体的には、光路h−Aの光路長と累積波長分散と、光路j−Eの光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路A−a−b−B−B1の光路長と光路B1−B−b−c−Cの光路長との和および光路A−a−b−B−B1の累積波長分散と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散との和が、光路E−Fの光路長と累積波長分散とそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路B1−m−n−m−B1の光路長と累積波長分散と、光路F−Gの光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路C−p−q−D−iの光路長と累積波長分散と、光路G−r−s−H−kの光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ等しくなるように設定した。詳細については、後述する。
続いて、上記(2)項と同様にして、参照光路272の光路長Lrefと累積波長分散Drefについてそれぞれ詳細を説明する。図7の構成による本発明のOFDR−OCT装置200において、第1のカプラ202の光出力ポートjに入射して来た波長可変光源201からの参照光は、DSF223を介して光路長調整用DSF250に入射する。ここまでの光路j−Eの光路長をLj-Eと表することにすると、波長1.55μmにおける光路長Lj-Eは、表2及び表4に示した光路j−Eの物理長と前記光路の屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、0.725mとなる。
ここで、光路j−Eと対応する試料光路中の光路h−Aの光路長Lh-Aは、表2及び表4に示した光路h−Aの物理長と屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、0.725mとなる。
よって、光路j−Eの光路長Lj-Eと、光路j−Eに対応する光路h−Aの光路長Lh-Aは等しく設定されている。また、光路j−Eの累積波長分散をDj-Eと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dj-Eは、表1及び表2に示した光路j−Eの物理長と前記光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
このとき、光路j−Eと対応する試料光路中の光路h−AのDh-Aは、表2及び表4に示した光路h−Aの物理長と単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
よって、光路j−Eの累積波長分散Dj-Eと、光路j−Eに対応する光路h−Aの累積波長分散Dh-Aは等しく設定されている。続いて、光路長調整用DSF250に到達した参照光は、接続点Fにおいて光路長調整用DSF251に入射する。このときの光路長調整用DSF250の光路長をLE-Fと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LE-Fは、表2及び表4に示した光路E−Fの物理長と前記光路の屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、34.925mとなる。
ここで、図7に示した本発明のOFDR−OCT装置200において、試料光路側サーキュレータ(DSF241,DSF242)204と同サーキュレータの各ポート(光入力ポートa,光出力/入力ポートb,光出力ポートc)に接続されたDSF(DSF206,DSF215,DSF208)を測定/信号光が伝搬する光路を、参照光路272では単一のDSFである光路長調整用DSF250のみで置き換えることにより、参照光路272にサーキュレータを用いることなくOEDR−OCT装置200の小型・低コスト化を実現している。よって、光路長調整長DSF250の光路長LE-Fと、光路A−a−b−B−B1の光路長LA-B1と光路B1−B−b−c−Cの光路長LB1-Cとの和に等しくなるように設定した。すなわち、LE-F=LA-B1+LB1-Cである。光路長LA-B1は、表2及び表4に示した光路A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、17.4725mとなる。
また、光路長LB1-Cは、表2及び表4に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−Cのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、17.4725mとなる。
よって、LA-B1+LB1-C=34.945mとなり、LE-F=LA-B1+LB1-Cを満たしている。すなわち、光路E−Fの光路長LE-Fと、光路E−Fに対応する光路A−a−b−B−B1の光路長LA-B1と光路B1−B−b−c−Cの光路長LB1-Cとの和は等しく設定されている。
また、光路E−Fの累積波長分散をDE-Fと表することにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DE-Fは、表2及び表4に示した光路E−Fの物理長と前記光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
ここで、光路E−Fと対応関係にある、光路A−a−b−B−B1と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散の値を求める。光路A−a−b−B−B1の物理長lA-B1(=lA-a+la-b+lb-B+lB-B1)と光路B1−B−b−c−Cの物理長lB1-C(=lB1-B+lB-b+lb-c+lc-C)は、表4よりそれぞれ12.05m,12.05mである。よって、累積波長分散DA-B1と累積波長分散DB1-Cの和は、表5に示すように、0ps/nmとなる。
よって、DE-F=DA-B1+DB1-Cであることを確認した。すなわち、光路E−Fの累積波長分散DE-Fと、光路E−Fに対応するA−a−b−B−B1の累積波長分散DA-B1と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散DB1-Cとの和は等しく設定されている。なお、光路j−E−Fまでの累積波長分散をDj-Fとすると、Dj-Fは、表5に示すように、0ps/nmとなる。
続いて、参照光は光路長調整用DSF250から接続点Fを経て光路長調整用DSF251に入射する。このときの光路長調整用DSF251の光路長をLF-Gと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LF-Gは、表2及び表4に示した光路F−Gの物理長と前記光路の屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、1.0mとなる。
ここで、図7に示した本発明のOFDR−OCT装置200において、光路B1−m−n−m−B1を測定/信号光が伝搬する空間光路を、参照光路272側では単一のDSFのみで置き換えることにより、参照光路272に従来の装置の参照光照射/受光装置を用いることなくOFDR−OCT装置の小型・低コスト化・作業効率の向上を実現している。よって、屈折率ndsf=1.45である光路長調整用DSF251の物理長lF-Gの値は、光路長調整用DSF251の光路長LF-Gと空間光路B1−m−n−m−B1の光路長LB1-B1とが等しくなるように設定した。すなわち、光路F−Gの光路長LF-Gと、空間光路B1−m−n−m−B1の光路長LB1-B1は、ともに1.0mであり、等しく設定されている。
一方、光路長調整用DSF251の累積波長分散をDF-Gとすると、表2及び表4に示した光路F−Gの物理長と前記光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
すなわち、光路F−Gの累積波長分散DF-Gと、光路F−Gに対応する空間光路B1−m−n−m−B1の累積波長分散DB1-B1は、ともに0ps/nm/kmであり、等しく設定されている。
このように、波長1.55μm付近において単位長さ当たりの波長分散σが0ps/nm/kmであるDSFを用いると、試料光路の空間光路を参照光路では単一の光通信用ファイバで置き換えても、それぞれの光路長と累積波長分散の値を波長1.55μm付近において等しくすることが可能となる。ところで、図3の点線で示したように、DSFの単位長さ当たりの波長分散σdsfは、厳密には波長1.55μm以外においては0ps/nm/kmではなく、有限の値を有する。しかしながら、本実施例における測定光/信号光の波長範囲は1.53〜1.57μmであるため、同波長範囲におけるσdefの値は、−1.2ps/nm/kmから1.2ps/nm/kmの間の値となるため、実用上0ps/nm/kmであると考えて良い。
続いて参照光は、接続点Gから参照光路側PC225の入力ポートrに入射する。次に参照光は、参照光路側PC225の光入力ポートrから光出力ポートsへと伝搬し、DSF228およびDSF229を経て第2のカプラ210の入力ポートkに入射する。ここまでの光路G−r−s−H−kの光路長をLG-kと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LG-kは、表2及び表4に示した光路G−r,r−s,s−H,H−kのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、2.175mとなる。
ここで、光路G−r−s−H−kと対応する試料光路中の光路C−p−q−D−iの光路長LC-iは、表2及び表4に示した光路C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と各光路の屈折率を用いて演算することで、表5に示すように、2.175mとなる。
よって、光路G−kの光路長LG-kと、光路G−r−s−H−kに対応する光路C−p−q−D−iの光路長LC-iは、ともに2.175mであり、等しく設定されている。
また、光路G−r−s−H−kの累積波長分散をDG-kと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DG-kは、表2及び表4に示した光路G−r,r−s,s−H,H−kのそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
ここで、光路G−r−s−H−kと対応する試料光路中の光路C−p−q−D−iの累積波長分散DC-iは、表2及び表4に示した光路C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と各光路の単位長さ当たり波長分散を用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
すなわち、光路G−kの累積波長分散DG-kと、光路G−kに対応するC−p−q−D−iの累積波長分散DC-iは、等しく設定されている。
以上より、参照光路(光路(第五の光路)j−E−F−G−r−s−H−k)の光路長Lrefは、上述したLj-E,LE-F,LF-G,LG-Kを用いて演算することで、表5に示すように、38.845mとなる。
よって、参照光路Lrefと試料光路Lsampleの光路長は、ともに38.845mとなり、等しく設定されている(Lref=Lsample)。
また、同様にして参照光路の累積波長分散Drefは、上述したDj-E,DE-F,DF-G,DG-K式を用いて演算することで、表5に示すように、0ps/nmとなる。
よって、参照光路272と試料光路271の累積波長分散はともに0ps/nmとなり、等しく設定されている(Dref=Dsample)。
これまで述べてきた参照光路272の光路長Lrefと累積波長分散Drefについて両者の関係をチャート化し、図9(b)に示す。図9(b)において、横軸は光路長L、縦軸は累積波長分散Dである。図9(b)より、光路j−E−F−F−G−r−s−H−k、すなわち参照光路(光路長Lref=Lj-E+LE-F+LF-G+LG-K=38.845m)の累積波長分散Drefは、波長1.55μmにおける波長分散σである0ps/nm/kmであるDSFで構成されるため、参照光路のどの場所においても累積波長分散Dは0ps/nmであるため、Dsampleも当然0ps/nmである。
よって、図9(a)と図9(b)を比較すると、これまで説明してきたように、参照光路272と試料光路271では光路長が一致し、かつ累積波長分散の値も両者とも0ps/nmで一致することが視覚的に理解できる。
(4)本発明のOFDR−OCT装置による測定結果
図10に、図7に示した本発明のOFDR−OCT装置200を用いて得られた反射光信号強度のピークを示す。図10の横軸は、測定対象のz軸(奥行き)方向の座標を、縦軸は反射光信号の強度を表している。図10で示した本発明のOFDR−OCT装置200を用いて得られた反射光信号強度のピークの半値全幅は26μmであり、試料光路と参照光路において、光通信用ファイバにより構成される光路を全てDSFで置き換えることにより、試料光路と参照光路の累積波長分散の値が等しく設定されているため、測定分解能が低下せず、図19に示した従来のOFDR−OCT装置の測定分解能(26μm)と同じ良好な値を示している。
また、本実施例において試料光路271と参照光路272の内、光通信用ファイバで構成される光路全てにDSFを用いたが、同DSFを用いた部分を同DSFと同じ光路長を有するDFFで置き換えても同様の効果が得られることは明らかである。図3中二点鎖線で示したように、波長1.55μmにおける単位長さ当たりの波長分散σdff=0.5ps/nm/kmであり、また分散スロープdσdff/dλが波長1.55μm付近を中心にしてほぼ零、すなわち、波長分散σdffの波長依存性が極めて小さい。そのため、DSFとは異なり、波長1.55μm付近においては有限の単位長さ当たりの波長分散の値(σdff=0.5ps/nm/km)を有するが、その値は極めて小さい。また、本実施例における測定光/信号光の波長範囲は1.53〜1.57μmであるが、同波長範囲におけるDFFの分散スロープがほぼ零である。そのため、同波長範囲におけるσdffの値は0ps/nm/kmから0.5ps/nm/kmの間の値となり、実用上0ps/nm/kmであると考えて良い。そのためDFFを用いても、DSFを用いたときと同様の効果が得られるのは明らかである。
以下に、本発明の第3の実施例に係る光を用いた断層撮影装置および波長分散の補正方法について、図面を用いて具体的に説明する。すなわち、この実施例では、分散補償ファイバ(DCF)を用いた波長分散制御法について、説明する。
実施例1において、参照光路の波長分散制御方法としてDSFを用いたが、図3中一点鎖線で示したDCFを用いても、実施例1と同等かそれ以上の効果を実現できる。以下、詳細について説明を述べる。
図11は、本発明の第3の実施例に係る光を用いた断層撮影装置の概略図である。図12は、それが有する波長可変光源から出射する光の波長変化を時間に対して表したグラフである。この図12において、縦軸は波長可変光源が出射する光の波長であり、横軸は最初の波長が出射されてからの経過時間である。
(1)装置構成
本発明の第3の実施例に係る光を用いた断層撮影装置(オプティカル・コヒーレンス・トモグラフィー装置)では、波長可変光源は、図12に示すように、階段状に波長走査し、波長間隔は波数に変換した場合に等間隔になるように走査する。図12の場合、波数間隔が2.6×10-4μm-1、一波数当たりの保持時間は1μsである。また、波長可変光源の波長走査範囲は1.530〜1.570μm(光通信のC−band)であり、波長可変光源の出力強度は波数に拠らず一定値10mWである。波長可変光源は、例えば超周期構造回折格子分布反射半導体レーザ(非特許文献1を参照)を用いる。
この装置は、小型、低コスト、作業効率の高いOFDR−OCT装置を実現するために、分散補償ファイバ(DCF)を用いたことを特徴とする。
装置構成について詳細を説明する。この装置300は、図11に示すように、波長可変光源301の出力を方向性結合器等からなる9:1カプラ(第1のカプラ)302の光入力ポート302aに光通信用SMF303により光学的に接続する。第1のカプラ302の一方側(分割割合90%側)の光出力ポートhは、試料光路側サーキュレータ304の光入力ポートaに、光通信用SMF(光路h−A)305および光通信用SMF(光路A−a)306により光学的に接続している。光通信用SMF305は、第1のカプラ302の製造時に光出力ポートhに接続される。また、光通信用SMF306は、試料光路側サーキュレータ304の製造時に光入力ポートaに接続される。光通信用SMF305と光通信用SMF306との接続箇所である接続点をAとする。同接続点は融着または光コネクタにより形成される。本実施例に記述される接続点は全て同様にして形成され、光コネクタを用いる場合は、斜め(角度7°〜12°)研磨端面を有するコネクタにし、できるだけコネクタ端面における光反射が生じないようにすることが望ましい。また、試料光路側サーキュレータ304の光入力ポートaは、同サーキュレータ304の製造時に光通信用SMF(光路a−b)341により、同サーキュレータ304の光入力/出力ポートbに接続される。なお、試料光路側サーキュレータ304の内部である光路a−bと後述する光路b−cは、実際には光通信用SMFの他に光学レンズやファラデー回転子、偏光子などから構成されている。本実施例において、両光路の物理長は、両光路が光通信用SMFのみで構成されたと仮定して換算した値を用い、この物理長を光通信用SMFのnsmfとσsmfに乗じると同サーキュレータ内部の正確な光路長と波長分散にほぼ等しい値を得ることができる。
試料光路側サーキュレータ304の光出力ポートcは、試料光路側PC307の光入力ポートpに、光通信用SMF(光路c−C)308および光通信用SMF(光路C−p)309により光学的に接続している。なお、試料光路側PC307と後述する参照光路側PC325は、光通信用ファイバを回転機構を有するボビンに巻き付けて同ファイバ中を伝搬する光の偏波状態を制御する光ファイバ型PCを用いた。光通信用SMF308と光通信用SMF309の接続箇所である接続点をCとする。また、光通信用SMF308は試料光路側サーキュレータ304の製造時に光出力ポートcに接続され、光通信用SMF309は試料光路側PC307の製造時に光入力ポートpに接続される。同試料光路側PC307の光入力ポートpは、同PC307の製造時に光通信用SMF(光路p−q)343により、同PC307の光出力ポートqに接続される。試料光路側PC307の光出力ポートqは、1:1カプラ(第2のカプラ)310の光入力ポートiに光通信用SMF(光路q−D)311および光通信用SMF(光路D−i)312により光学的に接続している。光通信用SMF311と光通信用SMF312の接続点をDとする。また、光通信用SMF311は試料光路側PC307の製造時に光出力ポートqに接続され、光通信用SMF312は第2のカプラ310の製造時に光入力ポートiに接続される。第2のカプラ310の両方の光出力ポート310a,310bは、光検出機能を有する差動増幅器313の光入力ポート313a,313bに光通信用SMF314により光学的に接続している。
また、試料光路側サーキュレータ304の光入力/出力ポートbは、光通信用SMF(光路b−Bまたは光路B−b)315及び光通信用SMF(光路B−B1または光路B1−B)316により測定光送出/信号光入力口B1、試料光路側コリメータレンズ317、ガルバノミラー318、試料光路側対物レンズ319から成る測定光照射系/信号光受光系320に接続される。このとき、試料光路側サーキュレータ304の光入力/出力ポートbと接続されている光通信用SMF315と、測定光送出/信号光入力口B1を有する光通信用SMF316との接続箇所である接続点をBとする。光通信用SMF315は、試料光路側サーキュレータ304の製造時に光出力/入力ポートbに接続される。測定光照射系/信号光受光系320は、測定対象321によって測定光が反射又は後方散乱された信号光を捕捉する手段としても機能する。従って、以後、測定光照射/信号光受光手段と呼ぶ。なお上記測定光照射系/信号光受光系320において、測定光が測定光送出/信号光入力口B1からガルバノミラー318に至るまでと、ガルバノミラー318から測定対象321に至るまでの光路を、それぞれ空間光路B1−mと空間光路m−nとする。同様にして、信号光が、測定対象からガルバノミラー318に至るまでと、ガルバノミラー318から測定光送出/信号光入力口B1に至るまでの光路を、それぞれ空間光路n−mと空間光路m−B1とする。空間光路B1−m,m−n,n−m,m−B1については、後で詳しく説明する。
一方、試料光路側サーキュレータ304の光入力/出力ポートbは、同サーキュレータ304の光出力ポートcに接続される。
他方、第1のカプラ302の他方側(分割割合10%側)の光出力ポートjは、光通信用SMF323および光路長調整用シングルモードファイバ(以降、SMFと略す)350、分散制御用SMF351、DCF352及び光通信用SMF324により、参照光路側PC325の光入力ポートrに光学的に接続されている。このとき、光通信用SMF(光路j−E)323と光路長調整用SMF(光路E−F)350との接続箇所である接続点をEとする。また、光路長調整用SMF350と分散制御用SMF(光路F−Y)351の接続箇所である接続点をFとする。一方、分散制御用SMF351とDCF(光路Y−G)352との接続箇所をYとする。さらに、DCF352と光通信用SMF(光路G−r)324との接続箇所である接続点をGとする。光通信用SMF323は、第1のカプラ302の製造時に光出力ポートjに接続される。また、光通信用SMF324は、参照光路側PC325の製造時に光入力ポートrに接続される。参照光路側PC325の光出力ポートsは、第2のカプラ310の光入力ポートkに光通信用SMF(光路s−H)328および光通信用SMF(光路H−k)329により光学的に接続している。光通信用SMF328と光通信用SMF329の接続点をHとする。また、光通信用SMF328は参照光路側PC325の製造時に光出力ポートsに接続され、光通信用SMF329は第2のカプラ310の製造時に光入力ポートkに接続される。
以上説明した試料光路371と参照光路372における各光路の物理長と媒質を、表6にまとめて表示した。なお、表6にて、※1における試料光路側サーキュレータ内部である光路a-bと光路b-cは、実際は光通信用SMFの他に、光学レンズやファラデー回転子、偏光子などから構成される。本実施例では、両光路の物理長は、両光路が光通信用SMFのみで構成されたと仮定して換算した値を記載している。この物理長を光通信用SMFのnsmfとσsmfに乗じるとサーキュレータ内部の正確な光路長と波長分散にほぼ等しい値を得ることができる。
また、差動増幅器313の出力部313cは、試料の反射又は後方散乱強度分布を計算する演算制御装置336の入力部336aにA/D変換器337を介して電気的に接続している。演算制御装置336の出力部336bは、演算結果を表示するモニタやプリンタ等の表示装置338の入力部338aに電気的に接続している。この演算制御装置337は、入力された情報に基づいて波長可変光源301及びガルバノミラー318を制御することができるようになっている。
(2)本発明のOFDR−OCT装置における試料光路の光路長Lsampleと累積波長分散Dsample
試料光路371の光路長Lsampleと累積波長分散Dsampleについてそれぞれ詳細を説明する。図11に示した本発明によるOFDR−OCT装置300において、第1のカプラ302の光出力ポートhから出射した波長可変光源301からの測定光は、光通信用SMF305と光通信用SMF306を経て試料光路側サーキュレータ304の光入力ポートaに入射する。次に、試料光路側サーキュレータ304の光入力ポートaから光出力/入力ポートbに伝搬した測定光は、光通信用SMF315と光通信用SMF316を経て測定光送出/信号光入力口B1に到達する。ここまでの光路(第一の光路)h−A−a−b−B−B1の光路長をLh-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長Lh-B1は、表2及び表6に示した光路h−A,A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、18.1975mとなる。
また、光路h−A−a−b−B−B1の累積波長分散をDh-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dh-B1は、表2及び表6に示した光路h−A,A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表7に示すように、213.35×10-3ps/nmとなる。
続いて、測定光送出/信号光入力口B1に到達した測定光は、測定光照射系/信号光受光系320に入射する。図11に示すように、光通信用SMF316を通ってきた測定光は、測定光送出/信号光入力口B1から大気中にB1−m方向へ放射し平行光ビームに整形する試料光路側コリメータレンズ317を通過する。この平行光ビームはさらに大気中をB1−m方向へ伝搬し、ガルバノミラー318により反射され光路をm−nに変えて測定対象321に集光する試料光路側対物レンズ319を経て、測定対象321に入射する。このときの光路を、それぞれ空間光路B1−m,空間光路m−nとし、この光路B1−m−nを第二の光路とする。続いて測定対象321によって測定光が反射又は後方散乱された信号光は、大気中を光路n−mに沿って再び試料光路側対物レンズ319を通過し、再び平行ビーム光に変換される。続いて、再びガルバノミラー318によって反射され光路をm−B1へ変えられた後、試料光路側コリメータレンズ317に再び入射し、同レンズ317により集光され測定光送出/信号光入力口B1から光通信用SMF316に入射する。このときの光路を、それぞれ空間光路n−m,空間光路m−B1とし、この光路n−m−B1を第三の光路とする。なお、ガルバノミラー318は、測定光の進行方向を走査するために用いる。
ここまでの光路B1−m−n−m−B1の光路長をLB1-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LB1-B1は、表2及び表6に示した光路B1−m,m−n,n−m,m−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、2.0mとなる。
また、光路B1−m−n−m−B1の累積波長分散をDB1-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dh-B1は、表2及び表6に示した光路B1−m,m−n,n−m,m−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表7に示すように、0ps/nmとなる。
次に、測定光送出/信号光入力口B1に入射してきた試料光は、光通信用SMF316と光通信用SMF315を経て試料光路側サーキュレータ304の光出力/入力ポートbから光出力ポートcへと伝搬し、光通信用SMF308および光通信用SMF309を経て試料光路側PC307の光入力ポートpから光出力ポートqへ伝搬し、光通信用SMF311と光通信用SMF312を経て第2のカプラ310の入力ポートiに入射する。
ここまでの光路(第四の光路)B1−B−b−c−C−p−q−D−iの光路長をLB1-iと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LB1-iは、表2及び表6に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−C,C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、19.6475mとなる。
また、光路B1−B−b−c−C−p−q−D−iの累積波長分散をDB1-iと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DB1-iは、表2及び表6に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−C,C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表7に示すように、230.35×10-3ps/nmとなる。
以上より、光路h−A−a−b−B−B1−m−n−m−B1−B−b−c−C−p−q−D−i、すなわち試料光路の光路長Lsampleは、上述したLh-B1,LB1-B1,LB1-iを用いて演算することで、表7に示すように、39.845mとなる。
また、同様にして試料光路の累積波長分散Dsampleは、上述したDh-B1,DB1-B1,DB1-iを用いて演算することで、表7に示すように、443.7×10-3ps/nmとなる。
以上、試料光路371の光路長Lsampleと累積波長分散Dsampleについて述べた。両者の関係をチャート化し、図13(a)に示す。図13(a)において、光通信用SMFで構成される光路h−A−a−b−B−B1(光路長Lh-B1=18.1975m)の累積波長分散Dh-B1は213.35×10-3ps/nmであり、空間光路で構成される光路B1−m−n−m−B1(光路長LB1-B1=2.0m)の累積波長分散DB1-B1は0ps/nmであるため、光路h−A−a−b−B−B1−m−n−m−B1(光路長Lh-B1+LB1-B1=20.1975m)の累積波長分散Dh-B1の値は、213.35×10-3ps/nmのまま変わらない。一方、光通信用SMFで構成される光路B1−B−b−c−C−p−q−D−i(光路長LB1-i=19.6475m)の累積波長分散DB1-iは(79)式より230.35×10-3ps/nmであるため、最終的に光路h−A−a−b−B−B1−m−n−m−B1−B−b−c−C−D−i、すなわち試料光路(光路長Lsample=Lh-B1LB1-B1LB1-i=39.845m)の累積波長分散Dsampleは、443.7×10-3ps/nmとなる。なお、図13(a)の横軸について、視覚的な理解のため光路長LB1-B1の部分を拡大して表示している。以上、図13(a)について説明を述べた。
(3)本発明のOFDR−OCT装置300における参照光路372の光路長Lrefと累積波長分散Dref
なお、図11に示した本発明のOFDR−OCT装置300は、試料光路371を伝搬する測定/信号光と、参照光路372を伝搬する参照光との干渉現象を利用して断層画像を構築する。そのため、試料光路371と参照光路372の光路長がほぼ一致している必要がある(Lsample≒Lref)のはもちろんのこと、試料光路371と参照光路372の累積波長分散がほぼ一致していること(Dsample≒Dref)も必要である。よって、本実施例においては試料光路371の各光路と、それらに対応する参照光路372の各光路の光路長と累積波長分散の値を等しくなるように設定した。具体的には、光路h−Aの光路長と累積波長分散と、光路j−Eの光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路A−a−b−B−B1の光路長と光路B1−B−b−c−Cの光路長との和および光路A−a−b−B−B1の累積波長分散と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散との和が、光路E−Fの光路長と累積波長分散とそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路B1−m−n−m−B1の光路長と累積波長分散と、光路F−Y−Gの光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路C−p−q−D−iの光路長と累積波長分散と、光路G−r−s−H−kの光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ等しくなるように設定した。詳細については、後述する。
続いて、上記(2)項と同様にして、参照光路372の光路長Lrefと累積波長分散Drefについてそれぞれ詳細を説明する。図11の構成による本発明のOFDR−OCT装置300において、第1のカプラ302の光出力ポートjから出射した波長可変光源301からの参照光は、光通信用SMF323を介して光路長調整用SMF350に入射する。ここまでの光路j−Eの光路長をLj-Eと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長Lj-Eは、表2及び表6に示した光路j−Eの物理長と前記光路の屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、0.725mとなる。
ここで、光路j−Eと対応する試料光路中の光路h−Aの光路長Lh-Aは、表2及び表6に示した光路h−Aの物理長と屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、0.725mとなる。
よって、光路j−Eの光路長Lj-Eと、光路j−Eに対応する光路h−Aの光路長Lh-Aは等しく設定されている。また、光路j−Eの累積波長分散をDj-Eと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dj-Eは、表2及び表6に示した光路j−Eの物理長と前記光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表7に示すように、8.5×10-3ps/nmとなる。
このとき、光路j−Eと対応する試料光路中の光路h−AのDh-Aは、表2及び表6に示した光路h−Aの物理長と単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表7に示すように、8.5×10-3ps/nmとなる。
よって、光路j−Eの累積波長分散Dj-Eと、光路j−Eに対応する光路h−Aの累積波長分散Dh-Aは等しく設定されている。続いて、光路長調整用SMF350に到達した参照光は、接続点Fにおいて分散制御用SMF351に入射する。このときの光路長調整用SMF350の光路長をLE-Fと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LE-Fは、表2及び表6に示した光路E−Fの物理長と前記光路の屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、34.925mとなる。
ここで、図11に示した本発明のOFDR−OCT装置300において、試料光路側サーキュレータ304と同サーキュレータ304の各ポート(光入力ポートa,光出力/入力ポートb,光出力ポートc)に接続された光通信用SMF(光通信用SMF306,光通信用SMF315,光通信用SMF308)を測定/信号光が伝搬する光路を、参照光路372では単一の光通信用ファイバである光路長調整用SMF350のみで置き換えることにより、参照光路372にサーキュレータを用いることなくOFDR−OCT装置300の小型・低コスト化を実現している。よって、光路長調整用SMF350の光路長LE-Fと、光路A−a−b−B−B1の光路長LA-B1と光路B1−B−b−c−Cの光路長LB1-Cとの和が等しくなるように設定した。すなわち、LE-F=LA-B1+LB1-Cである。光路長LA-B1は、表2及び表6に示した光路A−a,a−b.b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、17.4725mとなる。
また、光路長LB1-Cは、表2及び表6に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−Cのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、17.4725mとなる。
よって、LA-B1+LB1-C=34.945mとなり、LE-F=LA-B1+LB1-Cを満たしている。すなわち、光路E−Fの光路長LE-Fと、光路E−Fに対応する光路A−a−b−B−B1の光路長LA-B1と光路B1−B−b−c−Cの光路長LB1-Cとの和は等しく設定されている。
また、光路E−Fの累積波長分散をDE-Fと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DE-Fは、表2及び表6に示した光路E−Fの物理長と前記光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表7に示すように、409.7×10-3ps/nmとなる。
ここで、光路E−Fと対応関係にある、光路A−a−b−B−B1と光路B1-B−b−c−Cの累積波長分散の値を求める。光路A−a−b−B−B1の物理長lA-B1(=lA-a+la-b+lb-B+lB-B1)と光路B1−B−b−c−Cの物理長LB1-C(=lB1-B+lB-b+lb-c+lc-C)は、表4よりそれぞれ12.05m,12.05mである。よって、累積波長分散DA-B1と累積波長分散DB1-Cの和は、表7に示すように、409.7×10-3ps/nmとなる。
よって、DE-F=DA-B1+DB1-Cであることを確認した。すなわち、光路E−Fの累積波長分散DE-Fと、光路E−Fに対応する光路A−a−b−B−B1の累積波長分散A-B1と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散DB1-Cとの和は等しく設定されている。なお、光路j−E−Fまでの累積波長分散をDj-Fとすると、このDj-Fは、表7に示すように、418.2×10-3ps/nmとなる。
続いて、参照光は光路長調整用SMF350から接続点Fを経て分散制御用SMF351に入射した後、接続点Yを経てDCF352に入射し、さらに参照側PC325の光入力ポートrに接続される光通信用SMF324と同DCF352の接続点Gに至る。このときの分散制御用SMF351とDCF352の光路長をLF-Gと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LF-Gは、表2及び表6に示した光路F−Y,Y−Gのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、2.0mとなる。
ここで、図11に示した本発明のOFDR−OCT装置200において、光路B1−m−n−m−B1を測定/信号光が伝搬する空間光路を、参照光路側では分散制御用SMF351とDCF352のみで置き換えることにより、参照光路372に従来の装置の参照光照射/受光装置を用いることなくOFDR−OCT装置の小型・低コスト化・作業効率の向上を実現している。よって、分散制御用SMF351とDCF352の物理長lF-Y ,lY-Gの値は、分散制御用SMF351とDCF352の光路長LF-Gと空間光路B1−m−n−m−B1の光路長LB1-B1とが等しくなるように設定した。すなわち、光路F−Y−Gの光路長LF-Gと、光路F−Y−Gに対応する空間光路B1−m−n−m−B1の光路長LB1-B1は、ともに2.0mであり、等しくなっている(LF-G=LB1-B1)。
一方、分散制御用SMF351とDCF352の累積波長分散をDF-Gとすると、表2及び表6に示した光路F−Y,Y−Gのそれぞれ物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表7に示すように、0ps/nmとなる。
よって、光路F−Gの累積波長分散DF-Gと、光路B1−m−n−m−B1の累積波長分散DB1-B1とは等しくなっている。
このように、任意の光路において累積波長分散を零にしたい場合は、σdcf=−17ps/nm/kmのDCFとσsmf=17ps/nm/kmである分散制御用SMF、すなわち光通信用SMFとを組み合わせて実現する。本実施例で用いたDCF352は、図3中一点鎖線で示したように、図3中実線で示した光通信用SMFと全く逆の波長分散特性(単位長さ当たりの波長分散σと分散スロープdσ/dλ)を有し、表2より両者の屈折率も等しいことから、先に説明したようにDCFの物理長lY-Gと分散制御用SMF(光通信用SMF)の物理長lF-Yは同一とした。すなわち、前記第一、第二、第三、および第四の光路と、前記第五の光路における単位長さ当たりの波長分散の絶対値が小さい光ファイバ以外の部分とを第一の光ファイバである光通信用SMFとする一方、前記単位長さ当りの波長分散の絶対値が小さい光ファイバを第二の光ファイバであるDSFとし、前記第二の光ファイバの代わりに前記第一の光ファイバにおける単位長さ当りの波長分散とは逆符号の単位長さ当りの波長分散を有する第三の光ファイバであるDCFを用い、前記第三の光ファイバの物理長が、前記第五の光路の全ての部分を前記第一の光ファイバで構成した場合と比べ、前記測定光および信号光の光路と、前記参照光の光路の累積波長分散の差分の絶対値が小さくなる範囲内となるようにした。DCFは、本実施例で用いた波長分散特性の他にも、様々な波長分散特性を有する種類が存在する。そのため、DCFの物理長と、同DCFと組み合わせて用いる光通信用SMFの物理長は、用いるDCFの波長分散特性と光通信用SMFの波長分散特性を考慮して決定される。
ここで、実施例1および実施例2で示した、DSFを用いたOFDR−OCT装置と比較したときの、本実施例の利点について述べる。図3の点線で示したように、DSFの単位長さ当たりの波長分散σdsfは、厳密には波長1.55μm以外においては0ps/nm/kmではなく、有限の値を有する。すなわち、本実施例における測定光/信号光の波長範囲1.53〜1.57μmのσdsfの値は、−1.2ps/nm/kmから1.2ps/nm/kmの間の値となる。そのため、DSFの物理長が1m以下のように短い場合は、実用上累積波長分散を0ps/nmと考えられるが、DSFの物理長を1m以上長くする必要がある場合には、僅かな累積波長分散が反射光信号強度のピークの半値全幅を僅かに大きくし、測定分解能が若干低下してしまう。そのため、DSFを用いる場合、DSFの物理長が1m以上、すなわち試料光路の空間光路長が1.45m以上になると注意が必要である。しかしながら、本実施例で用いたDCFでは、光通信用SMFとは全く逆の波長分散特性を有するために、光通信用SMFと組み合わせて用いることにより、DCFの物理長によらず、累積波長分散を0ps/nmにすることができ、測定分解能が低下することもない。そのため、本実施例のように試料光路の空間光路長が1.45m以上である場合か、参照光路中の任意の光路の累積波長分散を完全に0ps/nmにする必要がある場合は、DCFを用いる方が望ましい。
続いて参照光は、接続点Gから参照光路側PC325の入力ポートrに入射する。次に参照光は、参照光路側PC325の光入力ポートrから光出力ポートsへと伝搬し、光通信用SMF328および光通信用SMF329を経て第2のカプラ310の入力ポートkに入射する。ここまでの光路G−r−s−H−kの光路長をLG-kと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LG-kは、表2及び表6に示した光路G−r,r−s,s−H,H−kのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、2.175mとなる。
ここで、光路G−r−s−H−kと対応する試料光路中の光路C−p−q−D−iの光路長LC-iは、表2及び表6に示した光路C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と各光路の屈折率を用いて演算することで、表7に示すように、2.175mとなる。
よって、光路G−kの光路長LG-kと、光路G−r−s−H−kに対応する光路C−p−q−D−iの光路長LC-iは、ともに2.175mであり、等しく設定されている。
また、光路G−r−s−H−kの累積波長分散をDG-kと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DG-kは、表2及び表6に示した光路G−r,r−s,s−H,H−kのそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表7に示すように、25.5×10-3ps/nmとなる。
ここで、光路G−r−s−H−kと対応する試料光路中の光路C−p−q−D−iの累積波長分散DC-iは、表2及び表6に示した光路C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と各光路の単位長さ当たり波長分散を用いて演算することで、表7に示すように、25.5×10-3ps/nmとなる。
すなわち、光路G−kの累積波長分散DG-kと、光路G−kに対応するC−p−q−D−iの累積波長分散DC-iは、ともに25.5ps/nm/kmであり、等しく設定されている。
以上より、参照光路(光路(第五の光路)j−E−F−G−r−s−H−k)の光路長Lrefは、上述したLj-E,LE-F,LF-G,LG-Kを用いて演算することで、表7に示すように、39.845mとなる。
よって、参照光路Lrefと試料光路Lsampleの光路長は、ともに39.845mとなり、等しく設定されている(Lref=Lsample)。
また、同様にして参照光路の累積波長分散Drefは、上述したDj-E,DE-F,DF-G,DG-K式を用いて演算することで、表7に示すように、443.7×10-3ps/nmとなる。
よって、参照光路372と試料光路371の累積波長分散は等しく設定されている(Dref=Dsample)。
これまで述べてきた参照光路の光路長Lrefと累積波長分散Drefについて両者の関係をチャート化し、図13(b)に示す。図13(b)において、横軸は光路長L、縦軸は累積波長分散Dである。図13(b)より、光通信用SMFで構成される光路j−E−F(光路長Lj-F=35.67m)の累積波長分散は、418.2×10-3ps/nmであり、波長1.55μmにおけるσsmf=17ps/nm/kmである光通信用SMFと、σdcf=−17ps/nm/kmであるDCFとで構成される光路F−Y−G(光路長LF-G=2.0m)の累積波長分散DF-Gは、0ps/nmであるため、光路j−E−F−Y−G(光路長Dj-G=37.67m)の累積波長分散Dj-Gは、418.2×10-3ps/nmのまま変わらない。一方、光ファイバで構成される光路G−r−s−H−k(光路長LG-k=2.175m)の累積波長分散DG-kは25.5×10-3ps/nmであるため、最終的に光路j−E−F−F−Y−G−r−s−H−k、すなわち参照光路(光路長Lref=Lj-E+LE-F+LF-G+LG-K=39.845m)の累積波長分散Drefは、443.7×10-3ps/nmとなる。
よって、図13(a)と図13(b)を比較すると、これまで説明してきたように、参照光路372と試料光路371では光路長が一致し、かつ累積波長分散の値も一致することが視覚的に理解できる。
(4)本発明のOFDR−OCT装置による測定結果
図14に、図11に示した本発明のOFDR−OCT装置300を用いて得られた反射光信号強度のピークを示す(図14中実線)。図14の横軸は、測定対象のz軸(奥行き)方向の座標を、縦軸は反射光信号の強度を表している。図14中実線で示した本発明のOFDR−OCT装置を用いて得られた反射光信号強度のピークの半値全幅は26μmであり、参照光路へのDCF導入により試料光路と参照光路の累積波長分散の値が等しく設定されているため、測定分解能が低下せず、図19に示した従来のOFDR−OCT装置の測定分解能(26μm)と同じ良好な値を示している。
なお、DCFは国内外の光ファイバメーカが量産している市販品であるため、本OFDR−OCT装置のごく一部分にDCFを導入しても、装置全体のコスト上昇は無視できる範囲内であると考えられる。
以下に、本発明の第4の実施例に係る光を用いた断層撮影装置および波長分散の補正方法について、図面を用いて具体的に説明する。すなわち、この実施例では、分散補償ファイバを用いた広帯域波長分散制御法について、説明する。
実施例1〜3において、OFDR−OCT装置に用いる波長可変光源の波長帯域がC−band(波長1.53〜1.57μm)のものを用いたが、OFDR−OCT装置の分解能は、波長走査する波長帯域の大きさに反比例するため、同光源の波長帯域は大きいほど測定分解能は高くなる。しかしながら、実施例1〜3で用いた波長可変光源は、超周期構造回折格子分布反射半導体レーザ(非特許文献1を参照)であるため、同レーザ内部の半導体活性層の利得幅から決定される波長可変帯域は数十nm程度あり、それ以上は大きくすることは困難である。そのため、同半導体レーザを用いてOFDR−OCT装置の測定分解能を向上するため、本実施例ではC−band用に設計した超周期構造回折格子分布反射半導体レーザ(以下、第1の波長可変光源と称す)と、L−band(波長1.57〜1.61μm)用に設計した超周期構造回折格子分布反射半導体レーザ(以下、第2の波長可変光源と称す)の2つの波長可変光源を用いた。また、参照光路の累積波長分散制御には、DCFを用いた。このような構成を用いることにより、OFDR−OCT装置の分解能を向上することができる。よって、本発明によるOFDR−OCT装置は、高分解能、小型、低コスト、作業効率の高いOFDR−OCT装置を実現するために、異なる出力光の波長範囲を有する2つの波長可変光源とDCFを用いたことを特徴とする。本発明に係る装置を、高分解能OFDR−OCT装置と呼ぶこととする。以下、詳細について述べる。
図15は、本発明による高分解能OFDR−OCT装置の概略図である。図16は、それが有する第1および第2の波長可変光源から出射する光の波長変化を時間に対して表したグラフである。この図16において、縦軸は第1および第2の波長可変光源が出射する光の波長であり、横軸は最初の波長が出射されてからの経過時間である。
(1)装置構成
本発明の第4の実施例に係る光を用いた断層撮影装置(オプティカル・コヒーレンス・トモグラフィー装置)では、第1および第2の波長可変光源は、図16に示すように、まず同第1の波長可変光源を波長1.53μmから1.57μmまで階段状に波長走査した後、連続して同第2の波長可変光源を波長1.57μmから1.61μmまで同様に階段状に波長走査する。このとき波長間隔は波数に変換した場合に等間隔になるように走査する。図16の場合、波数間隔が2.6×10-4μm-1、一波数当たりの保持時間は1μsであり、波長可変光源の出力強度は波数に拠らず一定値10mWである。第1および第2の波長可変光源は、例えば超周期構造回折格子分布反射半導体レーザ(非特許文献1を参照)を用いる。
装置構成について詳細に説明する。この装置400は、図15に示すように、第1および第2の波長可変光源461,462の出力を、方向性結合器等からなる測定光合波用の1:1カプラ(測定光合波用カプラ)463の両方の光入力ポート463a,463bにそれぞれ接続する。続いて、測定光合波用カプラ463の光出力ポート463cと、9:1カプラ(第1のカプラ)402の光入力ポート402aに光ファイバ403により光学的に接続する。第1のカプラ402の一方側(分割割合90%側)の光出力ポートhは、試料光路側サーキュレータ404の光入力ポートaに、光通信用SMF(光路h−A)405および光通信用SMF(光路A−a)406により光学的に接続している。光通信用SMF405は、第1のカプラ402の製造時に光出力ポートhに接続される。また、光通信用SMF406は、試料光路側サーキュレータ404の製造時に光入力ポートaに接続される。光通信用SMF405と光通信用SMF406との接続箇所である接続点をAとする。同接続点は融着または光コネクタにより形成される。本実施例に記述される接続点は全て同様にして形成され、光コネクタを用いる場合は、斜め(角度7°〜12°)研磨端面を有するコネクタにし、できるだけコネクタ端面における光反射が生じないようにすることが望ましい。また、試料光路側サーキュレータ404の光入力ポートaは、同サーキュレータ404の製造時に光通信用SMF(光路a−b)441により、同サーキュレータ404の光入力/出力ポートbに接続される。なお、試料光路側サーキュレータ404の内部である光路a−bと後述する光路b−cは、実際には光通信用SMFの他に光学レンズやファラデー回転子、偏光子などから構成されている。本実施例において、両光路の物理長は、両光路が光通信用SMFのみで構成されたと仮定して換算した値を用い、この物理長を光通信用SMFのnsmfとσsmfに乗じると同サーキュレータ内部の正確な光路長と波長分散にほぼ等しい値を得ることができる。
試料光路側サーキュレータ404の光出力ポートcは、試料光路側PC407の光入力ポートpに、光通信用SMF(光路c−C)408および光通信用SMF(光路C−p)409により光学的に接続している。なお、試料光路側PC407と後述する参照光路側PC425は、光通信用ファイバを回転機構を有するボビンに巻き付けて同ファイバ中を伝搬する光の偏波状態を制御する光ファイバ型PCを用いた。光通信用SMF408と光通信用SMF409の接続箇所である接続点をCとする。また、光通信用SMF408は試料光路側サーキュレータ404の製造時に光出力ポートcに接続され、光通信用SMF409は試料光路側PC407の製造時に光入力ポートpに接続される。同試料光路側PC407の光入力ポートpは、同PC407の製造時に光通信用SMF(光路p−q)443により、同PC407の光出力ポートqに接続される。試料光路側PC407の光出力ポートqは、1:1カプラ(第2のカプラ)410の光入力ポートiに光通信用SMF(光路q−D)411および光通信用SMF(光路D−i)412により光学的に接続している。光通信用SMF411と光通信用SMF412の接続点をDとする。また、光通信用SMF411は試料光路側PC407の製造時に光出力ポートqに接続され、光通信用SMF412は第2のカプラ410の製造時に光入力ポートiに接続される。第2のカプラ410の両方の光出力ポート410a,410bは、光検出機能を有する差動増幅器413の光入力ポート413a,413bに光通信用SMF414により光学的に接続している。
また、試料光路側サーキュレータ404の光入力/出力ポートbは、光通信用SMF(光路b−Bまたは光路B−b)415及び光通信用SMF(光路B−B1または光路B1−B)416により測定光送出/信号光入力口B1、試料光路側コリメータレンズ417、ガルバノミラー418、試料光路側対物レンズ419から成る測定光照射系/信号光受光系420に接続される。このとき、試料光路側サーキュレータ404の光入力/出力ポートbと接続されている光通信用SMF415と、測定光送出/信号光入力口B1を有する光通信用SMF416との接続箇所である接続点をBとする。光通信用SMF415は、試料光路側サーキュレータ404の製造時に光出力/入力ポートbに接続される。測定光照射系/信号光受光系420は、測定対象421によって測定光が反射又は後方散乱された信号光を捕捉する手段としても機能する。従って、以後、測定光照射/信号光受光手段と呼ぶ。なお、測定光照射系/信号光受光系420において、測定光が測定光送出/信号光入力口B1からガルバノミラー418に至るまでと、ガルバノミラー418から測定対象421に至るまでの光路を、それぞれ空間光路B1−mと空間光路m−nとする。同様にして、信号光が、測定対象421からガルバノミラー418に至るまでと、ガルバノミラー418から測定光送出/信号光入力口B1に至るまでの光路を、それぞれ空間光路n−mと空間光路m−B1とする。空間光路B1−m,m−n,n−m,m−B1については、後で詳しく説明する。
一方、試料光路側サーキュレータ404の光入力/出力ポートbは、同サーキュレータ404の光出力ポートcに接続される。
他方、第1のカプラ402の他方側(分割割合10%側)の光出力ポートjは、光通信用SMF423および光路長調整用シングルモードファイバ(以降、SMFと略す)450、分散制御用SMF451、DCF452及び光通信用SMF424により、参照光路側PC425の光入力ポートrに光学的に接続されている。このとき、光通信用SMF(光路j−E)423と光路長調整用SMF(光路E−F)450との接続箇所である接続点をEとする。また、光路長調整用SMF450と分散制御用SMF(光路F−Y)451の接続箇所である接続点をFとする。一方、分散制御用SMF451とDCF(光路Y−G)452との接続箇所をYとする。さらに、DCF452と光通信用SMF(光路G−r)424との接続箇所を接続点Gとする。光通信用SMF423は、第1のカプラ402の製造時に光出力ポートjに接続される。また、光通信用SMF424は、参照光路側PC425の製造時に光入力ポートrに接続される。参照光路側PC425の光入力ポートrは、同PC425の製造時に光通信用SMF(光路r−s)444により、同PC425の光出力ポートsに接続される。参照光路側PC425の光出力ポートsは、第2のカプラ410の光入力ポートkに光通信用SMF(光路s−H)428および光通信用SMF(光路H−k)429により光学的に接続している。光通信用SMF428と光通信用SMF429の接続点をHとする。また、光通信用SMF428は参照光路側PC425の製造時に光出力ポートsに接続され、光通信用SMF429は第2のカプラ410の製造時に光入力ポートkに接続される。
以上説明した試料光路471と参照光路472における各光路の物理長と媒質を、表8にまとめて表示した。なお、表8にて、※1における試料光路側サーキュレータ内部である光路a-bと光路b-cは、実際は光通信用SMFの他に、光学レンズやファラデー回転子、偏光子などから構成される。本実施例では、両光路の物理長は、両光路が光通信用SMFのみで構成されたと仮定して換算した値を記載している。この物理長を光通信用SMFのnsmfとσsmfに乗じるとサーキュレータ内部の正確な光路長と波長分散にほぼ等しい値を得ることができる。
また、差動増幅器413の出力部413cは、試料の反射又は後方散乱強度分布を計算する演算制御装置436の入力部436aにA/D変換器437を介して電気的に接続している。演算制御装置436の出力部436bは、演算結果を表示するモニタやプリンタ等の表示装置438の入力部438aに電気的に接続している。この演算制御装置436は、入力された情報に基づいて第1,第2波長可変光源461,462及びガルバノミラー418を制御することができるようになっている。
(2)本発明の高分解能OFDR−OCT装置における試料光路の光路長Lsampleと累積波長分散Dsample
試料光路471の光路長Lsampleと累積波長分散Dsampleについてそれぞれ詳細を説明する。図15に示した本発明の第4の実施例に係る光を用いた断層撮影装置400において、第1および第2の波長可変光源461,463から出射された測定光は、測定合波用カプラ463の両方の光入力ポート463a,463bにそれぞれ入射し、測定合波用カプラ463の光出力ポート463cから第1のカプラ402の光入力ポート402aを経て第1のカプラ402に入射する。第1のカプラ402の光出力ポートhから出射した波長可変光源461,462からの測定光は、光通信用SMF405と光通信用SMF406を経て試料光路側サーキュレータ404の光入力ポートaに入射する。次に、試料光路側サーキュレータ404の光入力ポートaから光出力/入力ポートbに伝搬した測定光は、光通信用SMF415と光通信用SMF416を経て測定光送出/信号光入力口B1に到達する。ここまでの光路(第一の光路)h−A−a−b−B−B1の光路長をLh-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長Lh-B1は、表2及び表8に示した光路h−A,A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、18.1975mとなる。
また、光路h−A−a−b−B−B1の累積波長分散をDh-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dh-B1は、表2及び表8に示した光路h−A,A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表9に示すように、213.35×10-3ps/nmとなる。
続いて、測定光送出/信号光入力口B1に到達した測定光は、測定光照射系/信号光受光系420に入射する。図15に示すように、光通信用SMF416を通ってきた測定光は、測定光送出/信号光入力口B1から大気中にB1−m方向へ放射し平行光ビームに整形する試料光路側コリメータレンズ417を通過する。この平行光ビームはさらに大気中をB1−m方向へ伝搬し、ガルバノミラー418により反射され光路をm−nに変えて測定対象421に集光する試料光路側対物レンズ419を経て、測定対象421に入射する。このときの光路を、それぞれ空間光路B1−m,空間光路m−nとし、この光路B1−m−nを第二の光路とする。続いて測定対象421によって測定光が反射又は後方散乱された信号光は、大気中を光路n−mに沿って再び試料光路側対物レンズ419を通過し、再び平行ビーム光に変換される。続いて、再びガルバノミラー418によって反射され光路をm−B1へ変えられた後、試料光路側コリメータレンズ417に再び入射し、同レンズ417により集光され測定光送出/信号光入力口B1から光通信用SMF416に入射する。このときの光路を、それぞれ空間光路n−m,空間光路m−B1とし、この光路n−m−B1を第三の光路とする。なお、ガルバノミラー418は、測定光の進行方向を走査するために用いる。
ここまでの光路B1−m−n−m−B1の光路長をLB1-B1と表することにすると、波長1.55μmにおける光路長LB1-B1は、表2及び表8に示した光路B1−m,m−n,n−m,m−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、1.0mとなる。
また、光路B1−m−n−m−B1の累積波長分散をDB1-B1と表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dh-B1は、表2及び表8に示した光路B1−m,m−n,n−m,m−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表9に示すように、0ps/nmとなる。
次に、測定光送出/信号光入力口B1に入射してきた試料光は、光通信用SMF416と光通信用415を経て試料光路側サーキュレータ404の光出力/入力ポートbから光出力ポートcへと伝搬し、光通信用SMF408および光通信用SMF409を経て試料光路側PC407の光入力ポートpから光出力ポートqへ伝搬し、光通信用SMF411と光通信用SMF412を経て1:1カプラ(第2のカプラ)410の入力ポートiに入射する。
ここまでの光路(第四の光路)B1−B−b−c−C−p−q−D−iの光路長をLB1-iと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LB1-iは、表2及び表8に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−C,C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、19.6475mとなる。
また、光路B1−B−b−c−C−p−q−D−iの累積波長分散をDB1-iと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DB1-iは、表2及び表8に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−C,C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表9に示すように、230.35×10-3ps/nmとなる。
以上より、光路h−A−a−b−B−B1−m−n−m−B1−B−b−c−C−p−q−D−i、すなわち試料光路の光路長Lsampleは、上述したLh-B1,LB1-B1,LB1-iを用いて演算することで、表9に示すように、38.845mとなる。
また、同様にして試料光路の累積波長分散Dsampleは、上述したDh-B1,DB1-B1,DB1-iを用いて演算することで、表9に示すように、443.7×10-3ps/nmとなる。
以上、試料光路471の光路長Lsampleと累積波長分散Dsampleについて述べた。両者の関係をチャート化し、図17(a)に示す。図17(a)において、光通信用SMFで構成される光路h−A−a−b−B−B1(光路長Lh-B1=18.1975m)の累積波長分散Dh-B1は213.35×10-3ps/nmであり、空間光路で構成される光路B1m−n−m−B1(光路長LB1-B1=1.0m)の累積波長分散DB1-Bは0ps/nmであるため、光路h−A−a−b−B−B1 m−n−m−B1(光路長Lh-B1+LB1-B1=19.1975m)の累積波長分散Dh-B1の値は、213.35×10-3ps/nmのまま変わらない。一方、光通信用SMFで構成される光路B1−B−b−c−C−p−q−D−i(光路長LB1-i=19.6475m)の累積波長分散DB1-iは230.35×10-3ps/nmであるため、最終的に光路h−A−a−b−B−B1 m−n−m−B1−B−b−c−C−D−i、すなわち試料光路(光路長Lsample=Lh-B1+LB1-B1+LB1-i=38.845m)の累積波長分散Dsampleは、443.7×10-3ps/nmとなる。なお、図17(a)の横軸について、視覚的な理解のため光路長LB1-B1の部分を拡大して表示している。以上、図17(a)について説明を述べた。
(3)本発明の高分解能OFDR−OCT装置400における参照光路472の光路長Lrefと累積波長分散Dref
なお、図15に示した本発明の高分解能OFDR−OCT装置400は、試料光路471を伝搬する測定/信号光と、参照光路472を伝搬する参照光との干渉現象を利用して断層画像を構築する。そのため、試料光路471と参照光路472の光路長がほぼ一致している必要がある(Lsample≒Lref)のはもちろんのこと、試料光路471と参照光路472の累積波長分散がほぼ一致していること(Dsample≒Dref)も必要である。よって、本実施例においては試料光路471の各光路と、それらに対応する参照光路472の各光路の光路長と累積波長分散の値を等しくなるように設定した。具体的には、光路h−Aの光路長と累積波長分散と、光路j−Eの光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路A−a−b−B−B1の光路長と光路B1−B−b−c−Cの光路長との和および光路A−a−b−B−B1の累積波長分散と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散との和が、光路E−Fの光路長と累積波長分散とそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路B1m−n−m−B1の光路長と累積波長分散と、光路F−Y−Gの光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ等しくなるように設定した。同じく光路C−p−q−D−iの光路長と累積波長分散と、光路G−r−s−H−kの光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ等しくなるように設定した。詳細については、後述する。
続いて、上記(2)項と同様にして、参照光路472の光路長Lrefと累積波長分散Drefについてそれぞれ詳細を説明する。図15の構成による本発明のOFDR−OCT装置400において、第1のカプラ402の光出力ポートjから出射した波長可変光源461,462からの参照光は、光通信用SMF423を介して光路長調整用SMF450に入射する。ここまでの光路j−Eの光路長をLj-Eと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長Lj-Eは、表2及び表8に示した光路j−Eの物理長と前記光路の屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、0.725mとなる。
ここで、光路j−Eと対応する試料光路中の光路h−Aの光路長Lh-Aは、表2及び表8に示した光路h−Aの物理長と屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、0.725mとなる。
よって、光路j−Eの光路長Lj-Eと、光路j−Eに対応する光路h−Aの光路長Lh-Aは等しく設定されている。また、光路j−Eの累積波長分散をDj-Eと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散Dj-Eは、表2及び表8に示した光路j−Eの物理長と前記光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表9に示すように、8.5×10-3ps/nmとなる。
このとき、光路j−Eと対応する試料光路中の光路h−AのDh-Aは、表2及び表8に示した光路h−Aの物理長と単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表9に示すように、8.5×10-3ps/nmとなる。
よって、光路j−Eの累積波長分散Dj-Eと、光路j−Eに対応する光路h−Aの累積波長分散Dh-Aは等しく設定されている。続いて、光路長調整用SMF450に到達した参照光は、接続点Fにおいて分散制御用SMF451に入射する。このときの光路長調整用SMF450の光路長をLE-Fと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LE-Fは、表2及び表8に示した光路E−Fの物理長と前記光路の屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、34.925mとなる。
ここで、図15に示した本発明のOFDR−OCT装置400において、試料光路側サーキュレータ(光通信用SMF441,光通信用SMF442)404と同サーキュレータ404の各ポート(光入力ポートa,光出力/入力ポートb,光出力ポートc)に接続された光通信用SMF(光通信用SMF406,光通信用SMF415,光通信用SMF408)を測定/信号光が伝搬する光路を、参照光路472では単一の光通信用ファイバである光路長調整用SMF450のみで置き換えることにより、参照光路472にサーキュレータを用いることなく高分解能OFDR−OCT装置400の小型・低コスト化を実現している。よって、光路長調整用SMF450の光路長LE-Fと、光路A−a−b−B−B1の光路長LA-B1と光路B1−B−b−c−Cの光路長LB1-Cとの和が等しくなるように設定した。すなわち、LE-F=LA-B1+LB1-Cである。光路長LA-B1は、表2及び表8に示した光路A−a,a−b,b−B,B−B1のそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、17.4725mとなる。
また、光路長LB1-Cは、表2及び表8に示した光路B1−B,B−b,b−c,c−Cのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、17.4725mとなる。
よって、LA-B1+LB1-C=34.945mとなり、LE-F=LA-B1+LB1-Cを満たしている。すなわち、光路E−Fの光路長LE-Fと、光路E−Fに対応する光路A−a−b−B−B1の光路長LA-B1と光路B1−B−b−c−Cの光路長LB1-Cとの和は等しく設定されている。
また、光路E−Fの累積波長分散をDE-Fと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DE-Fは、表2及び表8に示した光路E−Fの物理長と前記光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表9に示すように、409.7×10-3ps/nmとなる。
ここで、光路E−Fと対応関係にある、光路A−a−b−B−B1と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散の値を求める。光路A−a−b−B−B1の物理長lA-B1(=lA-a+la-b+lb-B+lB-B1)と光路B1−B−b−c−Cの物理長lB1-C(=lB1-B+lB-b+lb-c+lc-C)は、表8よりそれぞれ12.05m,12.05mである。よって、累積波長分散DA-B1と累積波長分散DB1-Cの和は、表9に示すように、409.7×10-3ps/nmとなる。
よって、DE-F=DA-B1+DB1-Cであることを確認した。すなわち、光路E−Fの累積波長分散DE-Fと、光路E−Fに対応する光路A−a−b−B−B1の累積波長分散DA-B1と光路B1−B−b−c−Cの累積波長分散DB1-Cとの和は等しく設定されている。なお、光路j−E−Fまでの累積波長分散をDj-Fとすると、表9に示すように、418.2×10-3ps/nmとなる。
続いて、参照光は光路長調整用SMF450から接続点Fを経て分散制御用SMF451に入射した後、接続点Yを経てDCF452に入射し、さらに参照側PC425の光入力ポートrに接続される光ファイバ424と同DCF452の接続点Gに至る。このときの分散制御用SMF451とDCF452の光路長をLF-Gと表すことにすると、波長1.55μmにおける光路長LF-Gは、表2及び表8に示した光路F−Y,Y−Gのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、1.0mとなる。
ここで、図15に示した本発明の高分解能OFDR−OCT装置400において、光路B1−m−n−m−B1を測定/信号光が伝搬する空間光路を、参照光路側では分散制御用SMF451とDCF452のみで置き換えることにより、参照光路472に従来の装置の参照光照射/受光装置を用いることなく高分解能OFDR−OCT装置の小型・低コスト化・作業効率の向上を実現している。よって、分散制御用SMF451とDCF452の物理長lF-Y,lY-Gの値は、分散制御用SMF451とDCF452の光路長LF-Gと空間光路B1−m−n−m−B1の光路長LB1-B1とが等しくなるように設定した。すなわち、光路F−Y−Gの光路長LF-Gと、光路F−Y−Gに対応する空間光路B1−m−n−m−B1の光路長LB1-B1は、ともに1.0mであり、等しくなっている(LF-G=LB1-B1)。
一方、分散制御用SMF451とDCF452の累積波長分散をDF-Gとすると、表2及び表8に示した光路F−Y,Y−Gのそれぞれ物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表9に示すように、0ps/nmとなる。
よって、光路F−Gの累積波長分散DF-Gと、光路B1−m−n−m−B1の累積波長分散DB1-B1とは等しくなっている。
このように、任意の光路において累積波長分散を零にしたい場合は、σrcf=−17ps/nm/kmのDCFとσsmf=17ps/nm/kmである分散制御用SMF2、すなわち光通信用SMFとを組み合わせて実現する。本実施例で用いたDCFは、図3中一点鎖線で示したように、図3中実線で示した光通信用SMFと全く逆の波長分散特性(単位長さ当たりの波長分散σと分散スロープdσ/dλ)を有し、表2より両者の屈折率も等しいことから、先に説明したようにDCFの物理長lY-Gと分散制御用SMF2(光通信用SMF)lF-Yの物理長は同一とした。DCFは、本実施例で用いた波長分散特性の他にも、様々な波長分散特性を有する種類が存在する。そのため、DCFの物理長と、同DCFと組み合わせて用いる光通信用SMFの物理長は、用いるDCFの波長分散特性と光通信用SMFの波長分散特性を考慮して決定される。このようにして、試料光路の空間光路を参照側では光通信用SMFとDCFで置き換えても、それぞれの光路長と累積波長分散の値を波長1.55μm付近において等しくすることが可能となる。
ここで、実施例1および実施例2で示した、DSFを用いたOFDR−OCT装置と比較したときの、本実施例の利点について述べる。図3の点線で示したように、DSFの単位長さ当たりの波長分散σdsfは、厳密には波長1.55μm以外においては0ps/nm/kmではなく、有限の値を有する。さらに本実施例では測定分解能向上のため、測定光の波長範囲1.53〜1.61μmを、実施例1〜3と比較して2倍に拡大している。そのため、本実施例における測定光/信号光の波長範囲1.53〜1.61μmにおけるσdsfの値は、−3ps/nm/kmから6ps/nm/kmの間の値となり、累積波長分散を0ps/nmと考えることはできず、僅かな累積波長分散が反射光信号強度のピークの半値全幅を僅かに大きくし、測定分解能が低下してしまう。よって、波長範囲が1.53〜1.61μmのとき、DSFを用いることは望ましくない。しかしながら、本実施例で用いたDCFでは、波長1.2〜1.7μmと広範囲に渡り光通信用SMFとは全く逆の波長分散特性を有するために、光通信用SMFと組み合わせて用いることにより、測定光の波長範囲によらず、累積波長分散を0ps/nmにすることができ、測定分解能が低下することもない。そのため、本実施例のように40nmを超える波長範囲に渡り、参照光路中の任意の光路の累積波長分散を完全に0ps/nmにする必要がある場合は、DCFを用いる方が望ましい。
続いて参照光は、接続点Gから参照光路側PC425の入力ポートrに入射する。次に参照光は、参照光路側PC425の光入力ポートrから光出力ポートsへと伝搬し、光通信用SMF428および光通信用SMF429を経て第2のカプラ410の入力ポートkに入射する。ここまでの光路G−r−s−H−kの光路長をLG-kと表すことにすると、波長1.55μmにおける光波長LG-kは、表2及び表8に示した光路G−r,r−s,s−H,H−kのそれぞれの物理長と前記各光路の屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、2.175mとなる。
ここで、光路G−r−s−H−kと対応する試料光路中の光路C−p−q−D−iの光路長LC-iは、表2及び表8に示した光路C−p,p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と各光路の屈折率を用いて演算することで、表9に示すように、2.175mとなる。
よって、光路G−kの光路長LG-kと、光路G−r−s−H−kに対応する光路C−p−q−D−iの光路長LC-iは、ともに2.175mとなり、等しく設定されている。
また、光路G−r−s−H−kの累積波長分散をDG-kと表すことにすると、波長1.55μmにおける累積波長分散DG-kは、表2及び表8に示した光路G−r,r−s,s−H,H−kのそれぞれの物理長と前記各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表9に示すように、25.5×10-3ps/nmとなる。
ここで、光路G−r−s−H−kと対応する試料光路中の光路C−p−q−D−iの累積波長分散DC-iは、表2及び表8に示した光路C−p.p−q,q−D,D−iのそれぞれの物理長と各光路の単位長さ当たりの波長分散を用いて演算することで、表9に示すように、25.5×10-3ps/nmとなる。
すなわち、光路G−kの累積波長分散DG-kと、光路G−kに対応するC−p−q−D−iの累積波長分散DC-iは、ともに25.5ps/nmであり、等しく設定されている。
以上より、参照光路(光路(第五の光路)j−E−F−G−r−s−H−k)の光路長Lrefは、上述したLj-E,LE-F,LF-G,LG-Kを用いて演算することで、表9に示すように、38.845mとなる。
よって、参照光路Lrefと試料光路Lsampleの光路長は、ともに38.845mとなり、等しく設定されている(Lref=Lsample)。
また、同様にして参照光路の累積波長分散Drefは、上述したDj-E,DE-F,DF-G,DG-K式を用いて演算することで、表9に示すように、443.7×10-3ps/nmとなる。
よって、参照光路472と試料光路471の累積波長分散は等しく設定されている(Dref=Dsample)。
これまで述べてきた参照光路の光路長Lrefと累積波長分散Drefについて両者の関係をチャート化し、図17(b)に示す。図17(b)において、横軸は光路長L、縦軸は累積波長分散Dである。図17(b)より、光通信用SMFで構成される光路j−E−F(光路長Lj-F=35.67m)の累積波長分散は、418.2×10-3ps/nmであり、波長1.55μmにおけるσsmf=17ps/nm/kmである分散制御用SMF2(光通信用SMF)と、σdcf=−17ps/nm/kmであるDCFとで構成される光路F−Y−G(光路長LF-G=1.0m)の累積波長分散DF-Gは、0ps/nmであるため、光路j−E−F−Y−G(光路長Lj-G=36.67m)の累積波長分散Dj-Gは,418.2×10-3ps/nmのまま変わらない。一方、光ファイバで構成される光路G−r−s−H−k(光路長LG-k=2.175m)の累積波長分散DG-kは25.5×10-3ps/nmであるため、最終的に光路j−E−F−F−Y−G−r−s−H−k,すなわち参照光路(光路長Lref=Lj-E+LE-F+LF-G+LG-K=38.845m)の累積波長分散Drefは、443.7×10-3ps/nmとなる。
よって、図17(a)と図17(b)を比較すると、これまで説明してきたように、参照光路472と試料光路471では光路長が一致し、かつ累積波長分散の値も一致することが視覚的に理解できる。
(4)本発明のOFDR−OCT装置による測定結果
図18に、図15に示した本発明の高分解能OFDR−OCT装置400を用いて得られた反射光信号強度のピークを示す(図18中実線)。図18の横軸は、測定対象のz軸(奥行き)方向の座標を、縦軸は反射光信号の強度を表している。図18中実線で示した本発明の高分解能OFDR−OCT装置400を用いて得られた反射光信号強度のピークの半値全幅は13μmであり、図19で示した従来のOFDR−OCT装置で得られた反射光信号強度のピークの半値全幅の値(26μm)の1/2となっている。よって、本発明による高分解能OFDR−OCT装置は、測定光の波長範囲拡大により、また試料光路と参照光路の光路長と累積波長分散がそれぞれほぼ一致しているため測定分解能が2倍向上していることが分かる。一方、図15に示した本発明の高分解能OFDR−OCT装置において、分散制御用SMF451とDCF452の部分を、同じ光路長を有する1本のDSFで置き換えた場合は、先に説明したように、同DSFの単位長さ当たりの波長分散σdefは厳密には波長1.55μm以外においては0ps/nm/kmではなく、有限の値を有する。そのため、本実施例における測定光/信号光の波長範囲1.53〜1.61μmのσdsfの値は、−1.2ps/nm/kmから3.6ps/nm/kmの間の値となり、累積波長分散を0ps/nmと考えることはできない。よって、反射光信号強度のピークの半値全幅13μmよりも若干大きくなり、測定分解能が低下する。そのため、図15に示した本発明による高分解能OFDR−OCT装置においてDSFを用いると、試料光路と測定光路における累積波長分散の値が僅かに異なるため、測定光の波長範囲を拡大した効果が十分に得られない。
なお、DCFは国内外の光ファイバメーカが量産している市販品であるため、本OFDR−OCT装置のごく一部分にDCFを導入しても、装置全体のコスト上昇は無視できる範囲内であると考えられる。
本発明は、光を用いた断層撮影装置および波長分散の補正方法に利用することが可能であり、特に、生体や塗装面等各種構造物の断層像を光の干渉現象を利用して測定する装置および波長分散の補正方法に利用することが可能である。
本発明の第1の実施例に係る光を用いた断層撮影装置の概略図である。
本発明の第1の実施例に係る光を用いた断層撮影装置が有する波長可変光源から出射する光の波長変化を時間に対して表したグラフである。
光通信用SMF,DSF,DCF,DFFについて、それぞれ単位長さ当たりの波長分散σの波長依存性を示す図である。
本発明の第1の実施例に係る光を用いた断層撮影装置における試料光路および参照光路の累積波長分散を示すグラフである。
本発明の第1の実施例に係る光を用いた断層撮影装置を用いて得られた反射光信号強度のピークを示す図である。
本発明の第1の実施例に係る光を用いた断層撮影装置における参照光路に光通信用SMFを用いた場合の累積波長分散の光路長依存性を示す図である。
本発明の第2の実施例に係る光を用いた断層撮影装置の概略図である。
本発明の第2の実施例に係る光を用いた断層撮影装置が有する波長可変光源から出射する光の波長変化を時間に対して表したグラフである。
本発明の第2の実施例に係る光を用いた断層撮影装置における試料光路および参照光路の累積波長分散を示すグラフである。
本発明の第2の実施例に係る光を用いた断層撮影装置を用いて得られた反射光信号強度のピークを示す図である。
本発明の第3の実施例に係る光を用いた断層撮影装置の概略図である。
本発明の第3の実施例に係る光を用いた断層撮影装置が有する波長可変光源から出射する光の波長変化を時間に対して表したグラフである。
本発明の第3の実施例に係る光を用いた断層撮影装置における試料光路および参照光路の累積波長分散を示すグラフである。
本発明の第3の実施例に係る光を用いた断層撮影装置を用いて得られた反射光信号強度のピークを示す図である。
本発明の第4の実施例に係る光を用いた断層撮影装置の概略図である。
本発明の第4の実施例に係る光を用いた断層撮影装置が有する波長可変光源から出射する光の波長変化を時間に対して表したグラフである。
本発明の第4の実施例に係る光を用いた断層撮影装置における試料光路および参照光路の累積波長分散を示すグラフである。
本発明の第4の実施例に係る光を用いた断層撮影装置を用いて得られた反射光信号強度のピークを示す図である。
従来の光を用いた断層撮影装置の概略図である。
符号の説明
100 光を用いた断層撮影装置
101 波長可変光源
102 9:1カプラ(第1のカプラ)
104 試料光路側サーキュレータ
107 試料光路側偏波コントローラ(試料光路側PC)
110 1:1カプラ(第2のカプラ)
118 ガルバノミラー
125 参照光路側偏波コントローラ(参照光路側PC)
150 光路長調整用SMF
151 分散シフトファイバ