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JP2007217605A - 蛍光体及びその製造方法、発光装置 - Google Patents

蛍光体及びその製造方法、発光装置 Download PDF

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Keiichi Yamazaki
圭一 山崎
Naoko Doi
尚子 土井
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Abstract

【課題】主発光ピークが350nm〜470nmの範囲にある一次放射光により効率よく励起され、580nm〜640nmの範囲に発光スペクトルのピークを有する光を効率よく発し、しかも二次吸収の少ない蛍光体を提供する
【解決手段】一般式が、(Ca1−a−bEuSiO(Cl1−c …(1)
〔但し、一般式(1)中、MはMg、Zn、Mn、Sr、Baの中から選ばれた少なくとも一種以上の金属元素であり、XはF、Brから選ばれた少なくとも一種以上のハロゲン元素であり、0≦a≦0.495、0.005≦b≦0.5、0.005≦a+b≦0.5、0≦c<0.5である〕で表され、450nmの波長の光で励起した時に、580nm〜640nmの範囲に発光スペクトルのピークを有する蛍光体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、2価ユーロピウムで賦活されたハロシリケート系の蛍光体と、その製造方法、さらにこの蛍光体と発光素子とを組み合わせた発光装置に関するものである。
発光ダイオード(LED)を用いたLEDランプは、信号灯、携帯電話、各種電飾、車載用表示器、あるいは各種の表示装置など、多くの分野に利用されている。またLEDと蛍光体とを組み合わせて形成した白色LED発光装置は、液晶表示器のバックライト、小型ストロボ等への応用が盛んになってきている。この白色LED発光装置は最近では照明装置への利用も試みられており、長寿命・水銀フリーといった長所を活かすことにより、環境負荷の小さい蛍光灯代替光源として期待されている。
白色LED発光装置の構成としては、青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせたものが挙げられる(例えば特許文献1参照)。これはLEDからの青色光と、このLEDから発せられた青色光の一部を黄色蛍光体で変換させた黄色光とを混色することにより、白色を得ることができるようにしたものである。そのため蛍光体としては、LEDから発光される420nm〜470nmの波長の青色光により効率よく励起され、黄色に発光する蛍光体が求められている。
しかしながら、このような青色と黄色の補色関係を利用した擬似白色光は、緑色及び赤色を完全に含んでいないため、色純度や演色性が悪いという欠点があった。そこで、黄色蛍光体に少量の赤色蛍光体や緑色蛍光体を更に混合したり、黄色蛍光体を用いずに緑色蛍光体と赤色蛍光体を混合したりして、RGB3波長型の白色LED発光装置にすることにより、演色性を改善する試みもなされている(例えば特許文献2,3参照)。この場合には、420nm〜470nm波長の青色光により励起可能な緑色及び赤色に発光する高効率な蛍光体が求められる。
もう一つの白色LED発光装置の構成として、350nm〜420nmの波長域の紫外LEDと青色蛍光体、緑色蛍光体、及び赤色蛍光体を組み合わせたものが挙げられる。このような構成においても光の三原色RGBを含むために高い演色性の白色光を得ることができる。この方式においては350nm〜420nmの波長域の近紫外光により励起可能な青色、緑色及び赤色に発光する高効率な蛍光体が求められる。
なかでも、近紫外域以上の波長で励起でき、しかも効率の高い赤色発光蛍光体は、極めて少ないために、上記のような白色LEDの分野では高効率で実用に耐えうる赤色発光蛍光体の開発が特に望まれている。
そして近年、2価Euや3価Ceを賦活した窒化物あるいは酸窒化物系の蛍光体が開発されている。この蛍光体のなかには580nm以上の長波長域に発光スペクトルのピークを示すものがあり、近紫外域から青色域の光で効率よく励起できるために、白色LED用の黄色〜赤色の蛍光体として期待されている。
特開2003−321675号公報 国際公開第2005/052087号パンフレット 特許第3668770号公報
しかしながら、窒化物あるいは酸窒化物系の蛍光体は、その製造に特殊な装置が必要であったり、また工程が煩雑になるために高価であるという問題があり、比較的製造が容易である酸化物系の赤色発光蛍光体で、発光効率が優れたものが望まれている。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、主発光ピークが350nm〜470nmの範囲にある一次放射光により効率よく励起され、580nm〜640nmの範囲に発光スペクトルのピークを有する光を効率よく発光する蛍光体及びその製造方法を提供することを目的とするものであり、またこの蛍光体を用いた発光装置を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る蛍光体は、一般式が、
(Ca1−a−bEuSiO(Cl1−c …(1)
〔但し、一般式(1)中、MはMg、Zn、Mn、Sr、Baの中から選ばれた少なくとも一種以上の金属元素であり、XはF、Brから選ばれた少なくとも一種以上のハロゲン元素であり、0≦a≦0.495、0.005≦b≦0.5、0.005≦a+b≦0.5、0≦c<0.5である〕
で表され、450nmの波長の光で励起した時に、580nm〜640nmの範囲に発光スペクトルのピークを有することを特徴とするものである。
また請求項2の発明は、請求項1において、上記一般式(1)におけるMの原子比aが、0〜0.3の範囲であることを特徴とするものである。
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、上記一般式(1)におけるEuの原子比bが、0.005〜0.2の範囲であることを特徴とするものである。
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、上記一般式(1)におけるXの原子比cが、0〜0.4の範囲であることを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係る蛍光体の製造方法は、焼成物の一般式が、
(Ca1−a−bEuSiO(Cl1−c …(1)
〔但し、一般式(1)中、MはMg、Zn、Mn、Sr、Baの中から選ばれた少なくとも一種以上の金属元素であり、XはF、Brから選ばれた少なくとも一種以上のハロゲン元素であり、0≦a≦0.495、0.005≦b≦0.5、0.005≦a+b≦0.5、0≦c<0.5である〕
で表される組成となるように、原料粉末を配合して混合する原料混合粉末調製工程と、得られた原料混合粉末を非酸化性ガス雰囲気中にて900℃〜1150℃で焼成する焼成工程と、得られた焼成物を粉砕した後に、溶媒で洗浄して不要成分を除去する粉砕・洗浄工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の請求項6に係る発光装置は、主発光ピークが350nm〜470nmの範囲にある近紫外線又は青色光を発する発光素子と、発光素子の一次放射光を吸収して発光する請求項1乃至4のいずれかに記載の蛍光体とを具備して成ることを特徴とするものである。
本発明に係る蛍光体は、主発光ピークが350nm〜470nmの範囲にある一次放射光により効率よく励起され、580nm〜640nmの範囲に発光スペクトルのピークを有する光を効率よく発するものである。
従って、本発明の蛍光体を近紫外や青色光を発する発光素子と組み合わせて用いることによって、高発光効率の発光装置を形成することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明に係る蛍光体は、一般式が、
(Ca1−a−bEuSiO(Cl1−c …(1)
で表わされる、2価ユーロピウムで賦活されたハロシリケート系の蛍光体である。この組成の結晶において、発光中心イオンは2価ユーロピウムイオンEu2+であり、CaあるいはMの一部のサイトに置換固溶していると考えられる。
そしてこのような組成を有する結晶を蛍光体として用いることにより、350nm〜470nmの範囲にある近紫外線又は青色光を効率よく吸収して励起され、580nm〜640nmの範囲に発光スペクトルのピークを有する光を効率よく発し、しかも二次吸収の少ない蛍光体を得ることができるものである。
ここで、上記の一般式(1)において、MはMg、Zn、Mn、Sr、Baの中から選ばれた少なくとも一種以上の金属元素であり、Mg、Zn、Mn、Sr、Baのうち一種を単独で用いてもよいし、適当な比率で二種以上を組み合わせても良い。このMは任意成分であるが、Mの原子比aは0≦a≦0.495の範囲であり、好ましくは0≦a≦0.3の範囲である。a>0.495では、もはや一般式(1)で表される組成の化合物として存在し得なくなる。
また、上記の一般式(1)において、Euの原子比bは0.005≦b≦0.5の範囲である。b<0.005であると、Euによる賦活濃度が低過ぎるために、十分な発光強度を得ることができなくなるおそれがあり、また450nmの波長の光で励起した時に、580nm〜640nmの範囲に発光スペクトルのピークが現れず、同組成の緑色発光蛍光体が一部混入してしまうおそれがある。逆にb>0.5であると、もはや一般式(1)で表される組成の化合物として存在し得なくなるものであり、またEuによる賦活濃度が高過ぎて濃度消光が顕著になって、発光強度が低下するおそれがある。濃度消光をより抑制するためには、b≦0.2であることが好ましいものであり、従ってEuの原子比bは、0.005≦b≦0.2の範囲がより好ましい。
さらにCaサイトの被置換率、すなわち上記の一般式(1)のa+bは、0.005≦a+b≦0.5の範囲である。a+b>0.005であると、十分な発光強度を得ることができなくなるおそれがあり、また450nmの波長の光で励起した時に、580nm〜640nmの範囲に発光スペクトルのピークが現れず、同組成の緑色発光蛍光体が一部混入してしまうおそれがある。逆に、a+b>0.5であると、もはや一般式(1)で表される組成の化合物として存在し得なくなる。
また、上記一般式(1)において、XはF、Brから選ばれた少なくとも一種以上のハロゲン元素であり、F、Brのうち一種を単独で用いてもよいし、適当な比率で二種を組み合わせても良い。このXは任意成分であるが、Xの原子比cは、0≦c<0.5の範囲である。c≧0.5では、もはや一般式(1)で表される組成の化合物として存在し得なくなる。
次に上記の一般式(1)の蛍光体の製造方法について説明する。
まず、焼成物が一般式(1)で表わされるようになる組成で、原料粉末を配合して混合する。例えば一般式(1)においてa=0、b=0.05、c=0である、Ca2.85Eu0.15SiOCl蛍光体を製造する場合、原料粉末として例えば、CaCO、Eu、SiO、CaClをその化学量論比となるように秤量し、良く混合する。ここで、CaClの融点が772℃と低いために焼成中にその一部が蒸発することを考慮して、予め化学量論組成比の1.05倍〜1.5倍の量となるように秤量しても構わない。
そしてこのように原料混合粉末調製工程で得られた原料混合粉末を、石英や白金等の容器に充填し、非酸化性ガス雰囲気中で焼成する。非酸化性ガス雰囲気としては、例えば水素/窒素混合ガスや一酸化炭素等の弱還元性ガス雰囲気が好ましい。この焼成工程において、焼成温度は900℃〜1150℃の範囲に設定することが重要である。
900℃未満の低い温度で焼成した場合、英国特許第1414381号明細書に開示されているように、CaSiOCl:Eu2+蛍光体は515nm近傍に発光スペクトルのピークを有する緑色発光蛍光体となってしまう。これは、CaSiOClは多形の結晶であり、約900℃以下の焼成では低温相、1000℃以上の焼成ではα相として存在するためである。一般的に、Eu2+やCe3+等の4f⇔4fn−15d遷移型の発光中心イオンをドープした蛍光体は、結晶場の影響を強く受け、その発光波長は結晶構造によって大きく変化することが知られている。従って、上記CaSiOClのようにホスト結晶が同一組成であっても、その結晶構造が異なれば、発光波長も異なることになる。ただし、その相転移温度は、Caの一部をEuやその他の元素で置換したり、Clの一部を他のハロゲン元素で置換したりすると上下に変動する。また、焼成時の雰囲気、用いる原料の純度や不純物によっても影響を受ける。更には、原料としてCaClを用いる場合は、フラックスとしても作用するために、その添加量にも強く左右される。従って、上記一般式(1)式で表される蛍光体の相転移温度を画一的に定義するのは困難であるが、本発明者らの鋭意研究による結果、少なくとも900℃以上で焼成すると高温相が生成し、赤色発光蛍光体となることを見出した。好ましくは、上記一般式(1)式で表される蛍光体を製造する際の焼成工程では、その組成が本来持つ相転移温度以上の温度で焼成することが重要である。尚、上記一般式(1)式で表される蛍光体は、高温相ではあるが、結晶構造についてZeitschrift fur Chemie, 22, p.52 (1982)でWinklerらによって報告された、従来知られている高温相とは異なる別の結晶構造を有する高温相であると考えられる。
また、1150℃を超える高い温度で焼成すると、上記一般(1)式で表される蛍光体は分解溶融してしまうので、好ましくない。このために、本発明において焼成温度は900℃〜1150℃の範囲に設定されるものである。また焼成の時間は特に限定されるものではないが、2〜10時間程度が好ましい。
上記のようにして焼成工程で得られた焼成物を粉砕し、さらにアルコール等の溶媒で洗浄して不要成分を除去する、粉砕・洗浄工程を経て、目的とする組成の赤色〜橙色で発光する赤色発光蛍光体粉末を得ることができるものである。
上記のようにして得られる本発明の蛍光体を、LEDなどの発光素子と組み合わせて、発光装置を形成することができる。本発明の蛍光体と組み合わせる発光素子としては、特に限定されるものではないが、本発明の蛍光体は300nm〜470nmの近紫外線又は青色光を効率よく吸収して発光するので、窒化物半導体LEDが好ましい。窒化物半導体は、InGaAlN(但し、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表わされる化合物半導体であり、例えばAlN、GaN、AlGaN、InGaN等を重要な化合物として挙げることができる。窒化物半導体LEDは、紫や紫外波長で発光する場合、発光波長は410nm以下で、特に365nm〜420nmの範囲で高効率である。また青色波長で発光する場合、発光波長は420nm〜480nmの範囲で高効率である。従って、本発明の蛍光体をこのような窒化物半導体LED発光素子と組み合わせて用いることによって、高発光効率の発光装置を形成することができるものである。
図1は発光装置の一例を示すものであり、金属板などで形成される配線基板20にLEDなどの発光素子10を搭載したサブ基板30が実装してある。図1において23は絶縁層22を介して配線基板20に設けた導体パターンであり、発光素子10やサブ基板30とボンディングワイヤ14で接続してある。発光素子10は枠体40で囲った空間内において透明な封止樹脂50で封止してあり、封止樹脂50の上にレンズ60が設けてある。そして発光素子10、封止樹脂50、レンズ60を覆うようにドーム状の蛍光体キャップ70が配線基板20に固定して取り付けてある。蛍光体キャップ70は、緑色発光蛍光体粉末と、本発明で得た赤色発光蛍光体粉末とを均一に分散したシリコーン樹脂などの透明樹脂の成形品で形成されるものである。
そして、発光素子10から発光した光のうち、一部は蛍光体キャップ70を透過して外部に出射されると共に、他の一部は蛍光体キャップ70中の蛍光体に一次放射光として吸収される。蛍光体はこの一次放射光を吸収して励起され、緑色及び赤色に発光して外部に出射される。このようにして、発光素子10の発光色と、蛍光体キャップ70中の各蛍光体の発光色とが混色された色で、発光装置を発光させることができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
一般式(1)においてa=0、b=0.05、c=0の、Ca2.85Eu0.15SiOCl蛍光体を合成した。
すなわちまず、CaCO、Eu、SiO、CaClの各粉末をモル比で1.85:0.075:1:1の比率で秤量し、混合した。次にこの混合粉末を石英るつぼに入れ、水素濃度2%の水素/窒素混合ガス雰囲気下において、1000℃で10時間焼成した。そして得られた焼成物を粉砕し、メタノールで洗浄することによって、蛍光体の粉末を得た。
このようにして得られた蛍光体の波長450nmで励起したときの発光スペクトルを図2(a)に示す。図2(a)の発光スペクトルにみられるように、発光ピーク波長620nmの赤色発光蛍光体であり、半値幅145nm、強度10%以上の発光波長範囲520nm〜780nmであった。また図2(b)はこの蛍光体の620nmをモニタしたときの励起スペクトルを示すものであり、近紫外域から青色域までの波長の光を良く吸収して励起されるものである。このため、近紫外に主発光ピークを有するLED発光素子あるいは青色域に主発光ピークを有するLED発光素子と組み合わせて、白色LED発光装置を形成する赤色蛍光体として用いることができるものである。
(実施例2〜4、比較例1〜2)
一般式(1)においてa=0、c=0の、(Ca1−bEuSiOClにおいて、Eu濃度(bの値)を変化させた組成の蛍光体を、実施例1に準じて合成した。
そして得られた蛍光体について、波長450nmで励起したときの発光ピーク波長と発光ピーク強度を測定し、表1に示した。尚、表1において発光ピーク強度は、実施例1の蛍光体の発光ピーク強度を100としたときの相対値で示した。
Figure 2007217605
表1にみられるように、比較例1のものはa+b<0.005であるので、発光波長が526nmの緑色発光となるものであった。また比較例2のものはa+b>0.5であるので、相対的な発光強度が著しく低下するものであった。
(実施例5〜6、比較例3〜4)
実施例1に準じ、焼成温度のみを変化させて、Ca2.85Eu0.15SiOCl蛍光体を合成した。
そして得られた蛍光体について、波長450nmで励起したときの発光ピーク波長と発光ピーク強度を測定し、表2に示した。尚、表2において発光ピーク強度は、実施例5の蛍光体の発光ピーク強度を100としたときの相対値で示した。
Figure 2007217605
表2にみられるように、比較例3のものでは、焼成温度が900℃未満であるので、発光波長が511nmの緑色発光となるものであった。また比較例4のものでは、焼成温度が1150℃以上なので、溶融して蛍光体の結晶を得ることができなかった。
(実施例7)
CaCO、Eu、ZnO、SiO,NHClの各粉末をモル比で7.96:0.02:1:4:2.4の比率で秤量して混合し、この混合粉末を石英るつぼに入れ、水素濃度2%の水素/窒素混合ガス雰囲気下において、1050℃で2時間焼成し、得られた焼成物を粉砕して純水で洗浄することによって、(Ca0.995Eu0.005Zn(SiOCl蛍光体の粉末を得た。
この蛍光体は、図3(a)の発光スペクトルに示すように、ピーク波長が507nmのブロードな発光ピークを示す緑色発光蛍光体であり、また図3(b)の励起スペクトルに示すように、近紫外域から青色域までの波長の光を良く吸収して励起されるものである。
そして、透明シリコーン樹脂にこの緑色発光蛍光体と実施例1で得た赤色発光蛍光体とを、発光色が白色になるように配合量を調整して混合し、この蛍光体混合樹脂を成形して蛍光体キャップ70を作製し、この蛍光体キャップ70と、主発光ピークが450nmの青色光を発するLEDからなる発光素子10とを組み込んだ、図1のような発光装置を作製した。
このようにして作製した発光装置の発光スペクトルを図4に示す。図4の発光スペクトルにみられるように、赤色成分として本発明の赤色発光蛍光体を用いることにより、幅広い波長域に発光強度を有する白色光が得られるものであり、平均演色評価数Raが95を示す非常に演色性の高い白色光が得られた。
発光装置の一例を示す断面図である。 実施例1で得た蛍光体の発光特性を示すものであり、(a)は発光スペクトル、(b)は励起スペクトルである。 実施例7で用いた緑色発光蛍光体の発光特性を示すものであり、(a)は発光スペクトル、(b)は励起スペクトルである。 実施例7で得た発光装置の発光スペクトルである。

Claims (6)

  1. 一般式が、(Ca1−a−bEuSiO(Cl1−c …(1)
    〔但し、一般式(1)中、MはMg、Zn、Mn、Sr、Baの中から選ばれた少なくとも一種以上の金属元素であり、XはF、Brから選ばれた少なくとも一種以上のハロゲン元素であり、0≦a≦0.495、0.005≦b≦0.5、0.005≦a+b≦0.5、0≦c<0.5である〕
    で表され、450nmの波長の光で励起した時に、580nm〜640nmの範囲に発光スペクトルのピークを有することを特徴とする蛍光体。
  2. 上記一般式(1)におけるMの原子比aが、0〜0.3の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  3. 上記一般式(1)におけるEuの原子比bが、0.005〜0.2の範囲であることを特徴とする請求項1乃至2に記載の蛍光体。
  4. 上記一般式(1)におけるXの原子比cが、0〜0.4の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の蛍光体。
  5. 焼成物の一般式が、(Ca1−a−bEuSiO(Cl1−c …(1)
    〔但し、一般式(1)中、MはMg、Zn、Mn、Sr、Baの中から選ばれた少なくとも一種以上の金属元素であり、XはF、Brから選ばれた少なくとも一種以上のハロゲン元素であり、0≦a≦0.495、0.005≦b≦0.5、0.005≦a+b≦0.5、0≦c<0.5である〕
    で表される組成となるように、原料粉末を配合して混合する原料混合粉末調製工程と、得られた原料混合粉末を非酸化性ガス雰囲気中にて900℃〜1150℃で焼成する焼成工程と、得られた焼成物を粉砕した後に、溶媒で洗浄して不要成分を除去する粉砕・洗浄工程とを有することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  6. 主発光ピークが350nm〜470nmの範囲にある近紫外線又は青色光を発する発光素子と、発光素子の一次放射光を吸収して発光する請求項1乃至4のいずれかに記載の蛍光体とを具備して成ることを特徴とする発光装置。
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