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JP2007215552A - 有機ハロゲン化合物の処理方法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有害且つ微生物難分解性な物が多い有機ハロゲン化合物を容易にかつ低コストで、安全に環境に優しく無害化することにより、環境汚染を防止することも可能となる新しい技術を提供する。
【解決手段】有害且つ微生物難分解性な物が多い有機ハロゲン化合物を処理する方法において、過酸化水素分解能力の高い活性炭と鉄塩などの金属塩を添加し、pH5以下の条件下で、過酸化水素などの酸化剤により処理することを特徴とする有機ハロゲン化合物の処理方法。

Description

本発明は、有機ハロゲン化合物の処理方法に関する。
近年、種々の有機塩素化合物(パークロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン類、クロロナフタレン類、ヘキサクロロシクロキサン、ポリクロロビフェニール(PCB)等)や、種々の農薬・防腐剤(ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、ベンゼンヘキサクロライド(BHC)、クロルフタリウム、プロピザミドなどや、塩素以外の種々の類似の有機ハロゲン化合物(フッ素、臭素、ヨウ素化物など)の、有害且つ微生物難分解性な有機汚染物質による、海や河川、湖沼などの水や、土壌、地下水、さらには、埋め立て地からの浸出水などの汚染や、汚染物質を含む焼却炉の焼却灰による汚染、さらには、汚染土壌からの揮発性汚染物質の発散、焼却炉廃ガスによる大気の汚染等が顕在化し、大きな社会問題となってきている。
これらの物質を分解無害化するために、種々の方法が提案・実行されてきており、大別すると(1)焼却炉で熱分解する方法、(2)超臨界水により分解する方法、(3)紫外線や太陽光を利用して光分解する方法、(4)オゾンや過酸化水素、塩素などにより化学分解する方法、(5)紫外線によりオゾンや過酸化水素を活性化させて化学分解する方法、(6)活性炭などで吸着除去する方法、(7)電子線やマイクロ波を照射して分解する方法、等に分けられる。
(1)の焼却炉で熱分解する方法としては(特許文献1〜4参照)等が、(2)の超臨界水により分解する方法としては(特許文献5〜8参照)等が、(3)の紫外線や太陽光を利用して光分解する方法としては(特許文献9〜16参照)等が、(4)のオゾンや過酸化水素、塩素などにより化学分解する方法としては(特許文献17〜22参照)等が、(5)の紫外線などによりオゾンや過酸化水素を活性化させて化学分解する方法としては(特許文献23〜28参照)等が、(6)活性炭などで吸着除去する方法としては(特許文献29〜30参照)等が、(7)電子線やマイクロ波を照射して分解する方法としては(特許文献31〜35参照)等が挙げられる。
しかし、これらの方法はいずれの方法も完全な方法とは言い難く、より良い技術の開発が望まれている。例えば、(1)の焼却炉で熱分解する方法は、大がかりな設備が必要となる。また、一般的に助燃剤が必要であり、助燃剤を含めた炭酸ガス発生から地球温暖化を促進すると共に、焼却灰の安全な処理および最終埋立処分地が必要となる等の問題がある。(2)の超臨界水により分解する方法は、大がかりな設備が必要となる。また、一般的に連続処理に適さない等の問題がある。(3)の紫外線や太陽光を利用して光分解する方法は、濁りのある廃液では光線の透過率が低いため、著しく効率が低下する。また、土壌や燃焼灰などの粉体や固体の処理が原理的に難しい。さらに、紫外線を使用する方法では大量の電力を必要とする。また、太陽光を使用する方法では処理が天候に左右される等の問題がある。
(4)のオゾンや過酸化水素、塩素などにより化学分解する方法は、一般的に分解の効率が悪い化合物があること、さらに、オゾンによる場合はオゾン発生に多大な電力を必要とすること、オゾンの溶解度が少ない問題がある。塩素を使用する場合は、条件によってはさらに有害な有機塩素化合物を新規に発生させてしまう恐れ等の問題がある。(5)の紫外線などによりオゾンや過酸化水素を活性化させて化学分解する方法では、オゾンや過酸化水素単独よりは分解の効率が向上するものの、やはり分解しにくい物質があることと、紫外線などの活性化用に多量の電力などを消費することや、濁りなど紫外線などを透過しにくい廃液や土壌や燃焼灰などの粉体や固体の場合、処理が原理的に難しい等の問題がある。(6)の活性炭などで吸着除去する方法では、低濃度の有害な有機塩素化合物などを除去できる強みはあるが、基本的に活性炭へ吸着させているだけで、有害な物質はそのまま残っているため、本質的な解決ではない。(7)の電子線やマイクロ波を照射して分解する方法は、設備が非常に大がかりになると共に、電子線やマイクロ波からの防御が必要となる等の問題がある。
特開平5−231624号公報 特開2001−349519号公報 特開2002−143806号公報 特開平11−101420号公報 特開平10−76282号公報 特開2001−121166号公報 特表2001−246201号公報 特開2002−136860号公報 特開平5−285342号公報 特開平7−88489号公報 特開平7−116467号公報 特開平7−155543号公報 特開平8−173765号公報 特開平9−253447号公報 特開平10−216716号公報 特開平10−328533号公報 特開2002−28666号公報 特開昭50−136947号公報 特開昭63−158188号公報 特開平6−23378号公報 特開2004−66128号公報 特開平5−292号公報 特開平11−33593号公報 特開2003−326285号公報 特開2004−267934号公報 特開2004−105870号公報 特開2001−96284号公報 特開2005−125230号公報 特開平8−332479号公報 特開平7−328386号公報 特開平11−319793号公報 特開平5−49927号公報 特開平8−99018号公報 特開平11−123317号公報 特開2005−120252号公報
本発明は、近年、種々の有機塩素化合物(パークロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン類、クロロナフタレン類、ヘキサクロロシクロキサン、ポリクロロビフェニール(PCB)等)や、種々の農薬・防腐剤(ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、ベンゼンヘキサクロライド(BHC)、クロルフタリウム、プロピザミドなどや、塩素以外の種々の類似の有機ハロゲン化合物(フッ素、臭素、ヨウ素化物など)の、有害且つ微生物難分解性な有機汚染物質により汚染された、海や河川、湖沼などの水や、土壌、地下水、さらには、埋め立て地からの浸出水などの汚染や、汚染物質を含む焼却炉の焼却灰による汚染、さらには、汚染土壌からの揮発性汚染物質の発散、焼却炉廃ガスによる大気の汚染等を容易にかつ低コストで、安全に環境に優しく無害化する新しい技術を提供するものである。
本発明者等これまでに、過酸化水素分解能力の高い活性炭と鉄塩などの金属塩を、過酸化水素などの酸化剤と併用することで、難分解性の汚染物質を低コストで容易に、かつ安全で環境に優しく無害化できることを見出している(特開2003-245678)。さらに、発明者らは、同様の方法を有機ハロゲン化合物へ適用することで、意外にも、有機ハロゲン化合物も分解できることを見出し、本発明にいたった。つまり、本発明は、有機ハロゲン化合物の処理方法において、鉄塩などの金属塩あるいは金属および過酸化水素分解能力の高い活性炭を加え、可能ならばpHを5以下に調整し、さらに、過酸化水素などの酸化剤を加え、該対象物を処理することを特長とする、有機ハロゲン化合物の処理方法に関するものである。
本発明によれば、有機ハロゲン化合物を、二次公害などを発生させることなく、温和な条件で、短時間でかつ非常に効率良く、安価に浄化処理できるので産業上極めて有用な方法である。
本発明の特徴は、過酸化水素などの酸化剤を使用するにもかかわらず、過酸化水素分解能力の高い活性炭を使用することにある。本発明に使用する活性炭の過酸化水素分解能力は、温度27℃、過酸化水素濃度0.5重量%の水溶液において、活性炭を0.5%添加し、60分間放置後、残存過酸化水素濃度を測定し、下式で算出される過酸化水素分解率で表される。
過酸化水素分解率=(0.5−残存過酸化水素濃度(%))/0.5×100
本発明においては上記過酸化水素分解率が5%以上、好ましくは20%以上の活性炭を用いる。過酸化水素分解活性が高いほど、対象物中の汚染物質の分解が効率的に進み、活性炭使用量を少なく、処理時間を短くでき有利である。過酸化水素分解率5%以下では大量の活性炭が必要とされる或いは非常に長い処理時間が必要となり、本発明の目的を達することができない。
本発明で使用する活性炭は、過酸化水素分解能力を有するものであればよく、その由来は特に限定されない。活性炭の製造工程は、おもに原料を炭化物とする炭化工程と、得られた炭化物を水蒸気等で細孔を成長させる賦活工程からなるが、炭化方法や賦活方法は特に限定しない。活性炭の原料は、通常、木材、セルロース、のこくず、木炭、ヤシガラ炭、パーム核炭、素灰などの植物質を原料としたもの、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭などの石炭系鉱物質を原料としたもの、石油残渣、硫酸スラッジ、オイルカーボンなどの石油系鉱物質を原料としたもの、蛋白質を原料としたもの、蛋白質を含有する汚泥もしくは廃棄物を出発原料としたもの、発酵生産の廃菌体を原料としたもの、ポリアクリロニトリル(PAN)を原料としたもの、などが挙げられるが、その中でも、特に瀝青炭、醸造後の廃菌体、菌体を主成分とする廃水処理の汚泥、おから、PANなどの賦活前の炭化物の窒素濃度が1%以上になる有機物を原料とする活性炭が好適に使用される。また、これらの活性炭に処理を加えることにより、過酸化水素分解能力を付与する、或いは向上させて使用することもできる。
また、使用する活性炭はその粒子が細かいほどその効果が大きく、特に1000μm以下、望ましくは300μm以下の微粉末を使用することで、その効果を高めることができる。これは微粉末とすることにより接触面積が大きくなり、もって過酸化水素分解率が上がることに由来すると考えられる。粒径が1000μm以上、例えば10mmであっても、過酸化水素分解能力があれば本発明の目的は達することができるが、使用量が多くなり、或いは処理時間を長くする必要があり、工業的操作性も勘案すると1000μm以下が好ましい。また、活性炭は、工業的には、粉塵発生抑制、操作性の点で懸濁液としての供給の方が有利であり、懸濁液の流動性、操作性の点から、1000μm以下、好ましくは300μm以下の粉末の懸濁液として供給することが好ましく、さらに、活性炭は、通常水分吸着などによりその吸着能力を減ずるが、本発明においては、活性炭を水などの分散媒中に懸濁して使用することができる。
微粉末にする方法としては、古くからある石臼の様に粉砕する石臼式、胴体の回転等によるロッドの落下衝撃力で粉砕するロッド式、胴体の回転等によるボールの落下衝撃力で粉砕するボール式、遠心力が作用するローラーとタイヤの間で粉砕する遠心ローラー式、粉体の流動層内へジェット気流を吹き込み粉体同士の衝突で粉砕するジェット式、遠心場内で小さなボールを運動させ粉砕する攪拌式などが挙げられる。さらに、各機器メーカーにより、これらを組み合わせた形の粉砕器も多数開発されている。また、乾燥状態で粉砕する乾式法と、水などで湿潤化させた状態で粉砕する湿式法が各々適用できる場合もある。活性炭を微粉末にする方法に特に限定はないが、より微粉末とすることができ、粉砕時の発塵などを防止できる点で、ボール式や攪拌式などが好適に使用できる。
本発明では過酸化水素分解能力のある活性炭とともに、酸化剤、金属塩を用いる。これらは、通常の酸化処理法による廃棄物処理に用いられているものであれば良く、特に制限はなく、酸化剤としては、例えば過酸化水素、過酢酸、過酢酸塩、過炭酸、過炭酸塩、過硫酸、過硫酸塩、過ホウ酸、過ホウ酸塩、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、オゾン、酸素、塩素、空気などが挙げられ、操作性、価格などの点から過酸化水素が好ましい。金属塩としては、銅、マンガン、鉄などの塩が好適に用いられるが、安全性、経済性などの点から、鉄塩が好ましい。鉄塩としては例えば硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、シュウ酸鉄(II)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、硝酸鉄臭化鉄(III)、フマル酸鉄(III)、フッ化鉄(III)、グルコン酸鉄(II)、水酸化鉄(III)、次亜リン酸鉄(III)、乳酸鉄(II)などが挙げられるが、価格、操作性の点から硫酸第一鉄や塩化第一鉄が好ましい。また、若干効率は低下するが、金属鉄も使用可能である。
酸化剤、金属塩の使用量には特に制限はなく、必要とされる対象物の処理レベルにより適宜選択されるが、一般的には、酸化剤は、過酸化水素に換算して、対象物に対して0.1〜50重量%、金属塩は、鉄塩を使用する場合、硫酸第一鉄に換算して、対象物に対して0.01〜5重量%、過酸化水素分解能力のある活性炭は、対象物に対して0.01〜5重量%である。本発明による処理では、pHを5以下とするのが好ましい。pHが高い場合は効果が損なわれる。pHの調整法としては、特に制限はないが、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などを添加することが挙げられるが、価格、操作性などから、硫酸が好適に使用される。
処理対象とする有機ハロゲン化合物を含む対象物と、鉄塩などの金属塩および過酸化水素分解能力のある活性炭の混合方法に特に制限は無いが、対象物が廃水などの液体の場合、土壌や焼却灰などの固体の場合、ガスなどの気体やミストなどの場合、水と混じりにくい例えば油状物質の場合に分けて、以下説明する。
対象物が廃水などの液体の場合は、これらの薬剤の内、まず、金属塩、過酸化水素分解能力のある活性炭、好ましくはpH調整剤を添加し、出来る限り均等に混合する。ついで、過酸化水素などの酸化剤を添加するが、添加方法としては、一括で添加する方法、逐次添加する方法、連続で添加する方法などがあり、使用条件に応じて適宜選択すればよい。基本的には、連続で少量ずつ添加する方法が好ましい。
さらに、過酸化水素分解能力のある活性炭を充填塔などへ充填しておき、廃水へ金属塩、好ましくはpH調整剤を添加し、過酸化水素などの酸化剤を添加した後、過酸化水素分解能力のある活性炭を充填した充填塔を流通あるいは循環流通させる方法や、スチールウールなどの金属と過酸化水素分解能力のある活性炭を充填塔などへ充填しておき、好ましくはpH調整剤を添加した廃水へ、過酸化水素などの酸化剤を添加した後、スチールウールなどの金属と過酸化水素分解能力のある活性炭を充填した充填塔を流通あるいは循環流通させる方法や、スチールウールなどの金属を充填塔などへ充填しておき、廃水へ金属塩、酸化水素分解能力のある活性炭、好ましくはpH調整剤を添加し、過酸化水素などの酸化剤を添加した後、スチールウールなどの金属を充填した充填塔を流通あるいは循環流通させる方法も好適である。各々の例において、過酸化水素などの酸化剤は、充填塔の流通入り口や途中で添加することや、流通時に随時追加することも可能である。
対象物が土壌や焼却灰などの固体の場合は、鉄塩などの金属塩および過酸化水素分解能力のある活性炭の混合方法に特に制限は無いが、通常は、まず、これらの薬剤の内、金属塩、過酸化水素分解能力のある活性炭、好ましくはpH調整剤を混入する。これらを対象物中に混入する方法としては、例えば固体の薬剤は、粒状又は粉末上にして散布し、さらにすき込む方法や、これらの薬剤を水溶液又はスラリー状にして散布する方法、これらの薬剤を水溶液又はスラリー状にして対象物に圧入する方法、対象物を掘上げ、ミキサー等を用いて土壌中に混ぜ込む方法等が挙げられるが、その他何れの方法でもよく、出来る限り均等に混ざることが好ましいが、多少不均一であっても目的は十分に達成される。
一般的には、その後、過酸化水素を混入するが、その方法としては、例えば、過酸化水素水を散布する方法、過酸化水素水を、対象物中に圧入する方法等が挙げられる又、一度に所定量を散布あるいは圧入する方法、所定量を何回かに分割して散布あるいは圧入する方法、一定時間をかけて所定量を連続して散布あるいは圧入する方法などがあり、一般的には、連続法、分割法、一括法の順で、より効率的な浄化処理が行える。また、対象物からの浸出水へ過酸化水素を追加したものを循環させる方法も有効である。さらに、本法によれば、過酸化水素分解能力のある活性炭を使用するため、たとえ過酸化水素が残存したとしても、過酸化水素分解能力のある活性炭により過酸化水素が分解され、環境中に残留するおそれもない。さらに、過酸化水素添加処理後に適当なアルカリ剤、たとえば、水酸化ナトリウム、消石灰などを固体のまま、あるいは、水溶液として散布、混合し、対象物を中性にもどすことも可能である。
対象物がガスなどの気体やミストなどの場合は、スクラバーなどで代表される廃ガス等処理装置の循環液として、鉄塩などの金属塩および過酸化水素分解能力のある活性炭と、好ましくはpH調整剤を添加した液へ、過酸化水素などの酸化剤を添加した液を循環することで、目的を達成することが出来る。過酸化水素などの酸化剤、pH調整剤、鉄塩などの金属塩は、必要に応じて適宜追加することも可能である。
対象物が水と混じりにくい例えば油状物質などの場合は、処理をより効率的に行うために、汚染物を含まない、あるいは汚染物濃度の低い砂や、珪藻土などの坦体を、追加することで、汚染物質の分散を良くし、対象物が土壌や焼却灰などの固体の場合と同様に処理することもできる。
また、本発明は、処理対象物を移送し、別の処理場で処理することが可能な他、処理対象物を移送せずとも、原位置にても浄化が可能である。原位置で浄化することにより、大量の処理対象物を移送する必要がなくなり、移送費用等が安価になり、さらに、処理対象物の移動・運搬にかかわる問題なども回避することが出来る利点を有する。
さらには、本方法の前処理として、一般的な生物処理を実施することにより、易生分解性物質を分解し、過酸化水素などの酸化剤の使用量を削減することや、本方法を過酸化水素などの酸化剤の使用量を削減した条件で適用することにより、対象物を炭酸ガスにまで分解するに至らずとも、生分解性を向上させ、その後微生物処理を実施し、完全に分解する方法も採用することができる。
以下実施例にて本発明を詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
参考例1:活性炭の種類
500ppmに希釈したエタノールをモデル廃液として、その1Lに対して、硫酸によりpHを2.7に調整した後、表1に示した硫酸第一鉄7水塩、平均粒径50μmの各種活性炭を加え、表1に示した過酸化水素を8時間かけて滴下した。表中各成分の濃度はモデル廃液に対する値である。処理温度は20℃とした。過酸化水素の滴下終了後、水酸化カルシウムでpHを中性とした後、一部を濾別してろ過液についてTOC(全有機炭素)測定を行った。同時に過酸化水素を添加せずに同様の実験を行い、TOC測定を行った。過酸化水素無添加実験のTOC測定値に対する過酸化水素添加実験のTOC測定値の比率からTOC分解率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2007215552
参考例2:活性炭の粒径
500ppmに希釈したジメチルスルホキシド(DMSO)をモデル廃液として、活性炭として種々の平均粒径の廃菌体系活性炭の20重量%水スラリー液の3000ppmを用いた以外は、参考例1と同様に実験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2007215552
参考例3:pH
500ppmに希釈したエタノールアミン(EA)をモデル廃液として、平均粒径50μmの石炭系活性炭材料を600ppm加え、表3に示したpHを硫酸および水酸化ナトリウムで維持しながら、過酸化水素を8時間かけて滴下した以外は、参考例1と同様に実験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2007215552
実施例1:各種有機塩素化合物の分解(水系)
各種の有機塩素化合物の1000ppm水懸濁液の500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.2%と、瀝青炭系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を0.4%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、表4に示した過酸化水素を17時間で滴下しながら混合した。処理温度は20℃とした。過酸化水素の滴下終了後、水酸化ナトリウムでpHを中性とした後、水層を濾過し、イオンクロマトグラフィーにより、有機塩素化合物の炭素-塩素結合が切断されて、水層に溶解してきた塩素イオン濃度を測定し、添加した有機塩素化合物中の塩素量と比較して分解率を算出した。結果を表4に示した。トリクロロエチレンでは90%近い分解率、非常に分解しにくいジクロロペンタフルオロプロパンでも10%近い分解率が認められた。
Figure 2007215552
比較例1
実施例1で使用したと同じ各種の有機塩素化合物の1000ppm水懸濁液の500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.2%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、実施例1と同様に過酸化水素を17時間で滴下しながら混合し、同様に分析を行った。結果を表5に示した。実施例1と比較して、低い分解率であった。
Figure 2007215552
実施例2:各種有機塩素化合物の分解(砂系)
実施例1と同じ、各種の有機塩素化合物の0.5gを500gのコンクリート用水洗済川砂へ混合させた物を用いて、ロータリーエバポレターを応用して攪拌しながら、実施例1と同様の処理を中和まで実施した。中和後、川砂を当重量の純水で3回洗浄した後、3回の洗浄水を合わせて、濾過し、イオンクロマトグラフィーにより、有機塩素化合物の炭素-塩素結合が切断されて、水層に溶解してきた塩素イオン濃度を測定し、添加した有機塩素化合物中の塩素量と比較して分解率を算出した。結果を表6に示した。実施例1より良好な分解率が得られた。これは、実施例1と異なり、川砂表面に有機塩素化合物がまぶされる形となり、より効率的に処理が行われたためと考えられた。
Figure 2007215552
比較例2
実施例2で使用したと同じ各種の有機塩素化合物の1000ppm川砂混合物の500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.2%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、瀝青炭系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を添加しない以外は実施例2と同様に過酸化水素を17時間で滴下しながら混合し、同様に分析を行った。結果を表7に示した。実施例2と比較して、低い分解率であった。
Figure 2007215552
実施例3:各種ダイオキシン骨格化合物の分解(水系)
各種のダイオキシン類の骨格化合物である、ジフェニレンオキシドとジフェニレンジオキシドの400ppm水溶液の各々250gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.5%と、廃菌体系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を0.5%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、表8に示した過酸化水素を10時間で滴下しながら混合した。処理温度は20℃とした。過酸化水素の滴下終了後、水酸化ナトリウムでpHを中性とした後、エタノールで未分解のジフェニレンオキシドとジフェニレンジオキシドを抽出し、乾燥後、水に懸濁し、全有機炭素測定計により、全有機炭素(TOC)の定量を行った。処理前後の全有機炭素(TOC)量から分解率を算出した。結果を表8に示した。共に90%以上の分解が認められ、これらを骨格構造として持つダイオキシン類でも同様の分解が期待された。
Figure 2007215552
実施例4:各種ダイオキシン骨格化合物の分解(砂系)
実施例3と同じ、ジフェニレンオキシドとジフェニレンジオキシドの200mgを500gのコンクリート用水洗済川砂へ混合させた物を用いて、ロータリーエバポレターを応用して攪拌しながら、実施例3と同様の処理を中和まで実施した。中和後、川砂からエタノールで未分解のジフェニレンオキシドとジフェニレンジオキシドを抽出し、乾燥後、水に懸濁し、全有機炭素測定計により、全有機炭素(TOC)の定量を行った。処理前後の全有機炭素(TOC)量から分解率を算出した。結果を表9に示した。共に90%以上の分解が認められ、これらを骨格構造として持つダイオキシン類でも同様の分解が期待された。
Figure 2007215552
比較例3
実施例3と同じ、ジフェニレンオキシドとジフェニレンジオキシドの200mgを500gのコンクリート用水洗済川砂へ混合させた物を用いて、ロータリーエバポレターを応用して、実施例3と同様の処理を、廃菌体系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を添加しない以外は、中和まで実施した。中和後、川砂からエタノールで未分解のジフェニレンオキシドとジフェニレンジオキシドを抽出し、乾燥後、水に懸濁し、全有機炭素測定計により、全有機炭素(TOC)の定量を行った。処理前後の全有機炭素(TOC)量から分解率を算出した。結果を表10に示した。
Figure 2007215552
実施例5:ダイオキシン類を含む焼却灰中のダイオキシン類の分解
ダイオキシン類を含む焼却灰および土壌を用いて、ロータリーエバポレターを応用して、硫酸第一鉄7水塩を0.5%と、廃菌体系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を0.8%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、35%過酸化水素を50g/kgの添加量で、16時間で滴下しながら混合した。処理温度は20℃とした。過酸化水素の滴下終了後、水酸化ナトリウムでpHを中性とした後、トルエンで抽出し、濃縮を行い、その後GC−MSにより濃度測定を行い、処理前後の量から分解率を算出した。結果を表11に示した。共にTEQ(毒性等量)換算で90%以上の分解が認められた。
Figure 2007215552
比較例4
実施例5と同じ、ダイオキシン類を含む焼却灰および土壌を用いて、ロータリーエバポレターを応用して、実施例5と同様の処理を、過酸化水素を添加しない以外は同様に実施し、濃度測定を行い、処理前後の量から分解率を算出した。結果を表12に示した。共にTEQ(毒性等量)換算で分解は認められなかった。
Figure 2007215552
実施例6:過酸化水素添加方法(水系)
ジクロロメタンおよびジクロロペンタフルオロプロパンの1000ppm水懸濁液の500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.2%と、瀝青炭系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を0.4%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、表13に示した様に、ジクロロメタンの場合は8.6gの35%過酸化水素を、ジクロロペンタフルオロプロパンの場合は7.8gの35%過酸化水素を、混合しながら、17時間で連続して滴下、あるいは8等分した量の過酸化水素を2時間毎に8回添加、あるいは3等分した量の過酸化水素を5時間毎に3回添加、あるいは最初に一括添加し、合計で17時間の処理を行った。処理温度は20℃とした。過酸化水素の滴下終了後、水酸化ナトリウムでpHを中性とした後、水層を濾過し、イオンクロマトグラフィーにより、有機塩素化合物の炭素-塩素結合が切断されて、水層に溶解してきた塩素イオン濃度を測定し、添加した有機塩素化合物中の塩素量と比較して分解率を算出した。結果を表13に示した。一括添加と比較して、より連続添加に近い方が高い分解率を示した。
Figure 2007215552
比較例5
実施例6で使用したと同じ有機塩素化合物の1000ppm水懸濁液の500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.2%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、瀝青炭系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を添加しない以外は実施例6と同様に過酸化水素添加混合し、同様に分析を行った。結果を表14に示した。実施例6と比較して、低い分解率であった。
Figure 2007215552
実施例7:過酸化水素添加方法(砂系)
ジクロロメタンおよびジクロロペンタフルオロプロパンの0.5gを500gのコンクリート用水洗済川砂へ混合させた物を用いて、ロータリーエバポレターを応用して攪拌しながら、実施例6と同様の処理を中和まで実施した。中和後、川砂を当重量の純水で3回洗浄した後、3回の洗浄水を合わせて、濾過し、イオンクロマトグラフィーにより、有機塩素化合物の炭素-塩素結合が切断されて、水層に溶解してきた塩素イオン濃度を測定し、添加した有機塩素化合物中の塩素量と比較して分解率を算出した。結果を表15に示した。砂系でも、一括添加と比較して、より連続添加に近い方が高い分解率を示した。
Figure 2007215552
比較例6
実施例7で使用したと同じ有機塩素化合物の1000ppm川砂混合物の500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.2%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、瀝青炭系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を添加しない以外は実施例7と同様に過酸化水素添加混合し、同様に分析を行った。結果を表16に示した。実施例7と比較して、低い分解率であった。
Figure 2007215552
実施例8:過酸化水素添加方法(水系)
各種のダイオキシン類の骨格化合物である、ジフェニレンジオキシドの400ppm水溶液の各々250gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.5%と、廃菌体系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を0.5%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、表17に示した様に、10gの35%過酸化水素を、混合しながら、10時間で連続して滴下、あるいは3等分した量の過酸化水素を3時間毎に3回添加、あるいは最初に一括添加し、合計で10時間の処理を行った。処理温度は20℃とした。過酸化水素の滴下終了後、水酸化ナトリウムでpHを中性とした後、エタノールで未分解のジフェニレンオキシドとジフェニレンジオキシドを抽出し、乾燥後、水に懸濁し、全有機炭素測定計により、全有機炭素(TOC)の定量を行った。処理前後の全有機炭素(TOC)量から分解率を算出した。結果を表17に示した。一括添加と比較して、より連続添加に近い方が高い分解率を示した。
Figure 2007215552
比較例7
実施例8で使用したと同じ各種のダイオキシン類の骨格化合物である、ジフェニレンジオキシドの400ppm水溶液の各々250gに対して、硫酸第一鉄7水塩の0.5%を添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、廃菌体系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を添加しない以外は実施例8と同様に過酸化水素添加混合し、同様に分析を行った。結果を表18に示した。実施例8と比較して、低い分解率であった。
Figure 2007215552
実施例9:活性炭充填塔の利用(水系)
1,1,1−トリクロロエタン、ジクロロメタンの1000ppm水懸濁液、およびジフェニレンジオキシドの1000ppm水溶液500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.5%添加し、硫酸でpHを2.7に調整した液を、12〜40メッシュの瀝青炭系活性炭を直径25mmのガラスカラムへ、ベット容積100mlとなる様に充填した充填塔へ、50ml/分で循環させながら、表19に示した過酸化水素を15時間かけて添加した。処理温度は室温(約25℃)とした。過酸化水素の添加終了後、液を取り出し、水酸化ナトリウムでpHを中性とした後、水層を濾過し、1,1,1−トリクロロエタン、ジクロロメタンについては、イオンクロマトグラフィーにより、有機塩素化合物の炭素-塩素結合が切断されて、水層に溶解してきた塩素イオン濃度を測定し、添加した有機塩素化合物中の塩素量と比較して分解率を算出した。ジフェニレンジオキシドについては、実施例1と同様にして、全有機炭素測定計により、全有機炭素(TOC)の定量を行った。処理前後の全有機炭素(TOC)量から分解率を算出した。結果を表19に示した。活性炭充填塔を使用しても分解が認められた。
Figure 2007215552
実施例10:活性炭充填塔の利用(水系)
1,1,1−トリクロロエタン、ジクロロメタンの1000ppm水懸濁液、およびジフェニレンジオキシドの1000ppm水溶液500gに対して、硫酸でpHを2.7に調整した液を、直径25mmのガラスカラムへ、10gのスチールウールと12〜40メッシュの瀝青炭系活性炭をベット容積100mlとなる様に共に充填した充填塔へ、50ml/分で循環させながら、表20に示した過酸化水素を15時間かけて添加した。処理温度は室温(約25℃)とした。過酸化水素の添加終了後、液を取り出し、水酸化ナトリウムでpHを中性とした後、水層を濾過し、1,1,1−トリクロロエタン、ジクロロメタンについては、イオンクロマトグラフィーにより、有機塩素化合物の炭素-塩素結合が切断されて、水層に溶解してきた塩素イオン濃度を測定し、添加した有機塩素化合物中の塩素量と比較して分解率を算出した。ジフェニレンジオキシドについては、実施例1と同様にして、全有機炭素測定計により、全有機炭素(TOC)の定量を行った。処理前後の全有機炭素(TOC)量から分解率を算出した。結果を表20に示した。金属鉄と活性炭を充填した塔を使用しても分解が認められた。
Figure 2007215552
実施例11:金属鉄充填塔の利用(水系)
1,1,1−トリクロロエタン、ジクロロメタンの1000ppm水懸濁液、およびジフェニレンジオキシドの1000ppm水溶液500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.5%と、瀝青炭系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を0.5%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した液を、直径25mmのガラスカラムへ、30gのスチールウールを充填した充填塔へ、50ml/分で循環させながら、表21に示した過酸化水素を15時間かけて添加した。処理温度は室温(約25℃)とした。過酸化水素の添加終了後、液を取り出し、水酸化ナトリウムでpHを中性とした後、水層を濾過し、1,1,1−トリクロロエタン、ジクロロメタンについては、イオンクロマトグラフィーにより、有機塩素化合物の炭素-塩素結合が切断されて、水層に溶解してきた塩素イオン濃度を測定し、添加した有機塩素化合物中の塩素量と比較して分解率を算出した。ジフェニレンジオキシドについては、実施例1と同様にして、全有機炭素測定計により、全有機炭素(TOC)の定量を行った。処理前後の全有機炭素(TOC)量から分解率を算出した。結果を表20に示した。金属鉄を充填した塔を使用しても分解が認められた。
Figure 2007215552
比較例8
実施例11で使用したと同じ1,1,1−トリクロロエタン、ジクロロメタンの1000ppm水懸濁液、およびジフェニレンジオキシドの1000ppm水溶液500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.5%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した液を、直径25mmのガラスカラムへ、30gのスチールウールを充填した充填塔へ、50ml/分で循環させながら、表22に示した過酸化水素を15時間かけて添加した。過酸化水素添加後、実施例12と同様に分析を行った。結果を表22に示した。実施例12と比較して、低い分解率であった。
Figure 2007215552
実施例12:ガスの処理
充填物として直径1mmのガラスビーズをベット容量として100mlを充填した、内径15mmのガラスカラムへ、硫酸第一鉄7水塩を0.5%と、瀝青炭系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を0.5%と、過酸化水素を100%濃度換算で1%添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した液を、50ml/分で上部より循環させながら、100ppmの表23に示した有機塩素化合物を100ppm含む空気を、ガラスカラム下部より、1ml/分で流し、上部から出てくるガスをガスクロマトグラフィーで分析し、分解率を算出した。なお、循環液中の過酸化水素濃度は、15分毎に測定し、必要に応じて35%過酸化水素を追加して、100%濃度換算で1%維持した。結果を表23に示した。有機塩素化合物の分解が認められた。
Figure 2007215552
比較例9
実施例12で使用したと同じ実験装置で、ガラスカラムの循環液を、硫酸第一鉄7水塩を0.5%と、過酸化水素を100%濃度換算で1%添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した液に変更した他は、実施例12と同様に試験を行った。結果を表24に示した。実施例12と比較して、低い分解率であった。
Figure 2007215552
実施例13:残存過酸化水素の分解
ジクロロメタンの1000ppm水懸濁液の500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.2%と、瀝青炭系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を0.4%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、35%過酸化水素の8.6gを17時間で滴下しながら混合した。処理温度は20℃とした。過酸化水素の滴下終了後、経時的に残存過酸化水素濃度を、ヨウ化カリウム−チオ硫酸ナトリウム滴定法で分析した。結果を表25に示した。過酸化水素添加終了後3時間で残存過酸化水素はすべて分解された。
Figure 2007215552
比較例10
実施例13と同様に、ジクロロメタンの1000ppm水懸濁液の500gに対して、硫酸第一鉄7水塩を0.2%添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、35%過酸化水素の8.6gを17時間で滴下しながら混合した。処理温度は20℃とした。過酸化水素の滴下終了後、経時的に残存過酸化水素濃度を、ヨウ化カリウム−チオ硫酸ナトリウム滴定法で分析した。結果を表26に示した。過酸化水素添加終了後12時間経過しても残存過酸化水素は完全には分解されなかった。
Figure 2007215552
実施例14:ダイオキシン類を含む廃油中のダイオキシン類の分解
ダイオキシン類を含む廃油10gへ水100gあるいは分散剤としてコンクリート用水洗済川砂を100g添加して、さらに硫酸第一鉄7水塩を0.5%と、廃菌体系活性炭(平均粒子径50μm)の20重量%水スラリー液を0.8%の濃度で添加混合し、硫酸でpHを2.7に調整した後、水を添加した物は攪拌機、川砂を添加した物はロータリーエバポレターを応用して、35%過酸化水素の10gを16時間で滴下しながら混合した。処理温度は20℃とした。過酸化水素の滴下終了後、水酸化ナトリウムでpHを中性とした後、トルエンで抽出し、濃縮を行い、その後GC−MSにより濃度測定を行い、処理前後の量から分解率を算出した。結果を表27に示した。TEQ(毒性等量)換算で水を使用した場合で50%弱、川砂を使用した場合で90%以上の分解が認められた。
Figure 2007215552
比較例11
実施例14と同じ、ダイオキシン類を含む廃油を用いて、実施例14と同様の処理を、過酸化水素を添加しない以外は同様に実施し、濃度測定を行い、処理前後の量から分解率を算出した。結果を表28に示した。TEQ(毒性等量)換算で共に分解は認められなかった。
Figure 2007215552
実施例15:活性炭の種類による分解能の比較
各種の原料を450℃窒素気流下で2時間炭化処理を行い、元素分析法により窒素濃度を測定した後、さらに900℃窒素気流下で水蒸気賦活を行い、賦活活性炭を得た。この活性炭を湿式粉砕し、平均粒子径50μmの20重量%水スラリー液を作成した。ついで、500ppmに希釈したジメチルスルホキシド(DMSO)をモデル廃液として、その1Lに対して、硫酸によりpHを2.7に調整した後、表29に示した硫酸第一鉄7水塩、上記で調整した各種活性炭の20重量%水スラリー液の3000ppmを加え、表29に示した過酸化水素を8時間かけて滴下した。表中各成分の濃度はモデル廃液に対する値である。処理温度は20℃とした。過酸化水素の滴下終了後、水酸化カルシウムでpHを中性とした後、一部を濾別してろ過液についてTOC(全有機炭素)測定を行った。同時に過酸化水素を添加せずに同様の実験を行い、TOC測定を行った。過酸化水素無添加実験のTOC測定値に対する過酸化水素添加実験のTOC測定値の比率からTOC分解率を算出した。結果を表29に示した。炭化物の窒素濃度が高いものは、過酸化水素分解能力も高く、TOC分解率も高い結果となった。
Figure 2007215552
比較例12
実施例15と同様に、各種原料を用いて、同様の試験を実施した。結果を表30に示した。炭化物の窒素濃度が1%以下の炭化物を賦活して得られた活性炭は、一様に過酸化水素分解力が劣り、あわせて、TOC分解率も低い結果となった。
Figure 2007215552

Claims (10)

  1. 有機ハロゲン化合物を、金属塩、過酸化水素分解能力を有する活性炭および酸化剤を添加することで分解することを特徴とする有機ハロゲン化合物の処理方法。
  2. 金属塩が鉄、銅またはマンガンの塩である請求項1記載の有機ハロゲン化合物の処理方法。
  3. 酸化剤が過酸化水素である請求項1記載の有機ハロゲン化合物の処理方法。
  4. 有機ハロゲン化合物が有機塩素化合物である請求項1記載の有機ハロゲン化合物の処理方法。
  5. 処理開始時のpHを5以下に調整することを特徴とする請求項1記載の有機ハロゲン化合物の処理方法。
  6. 活性炭が、温度27℃、過酸化水素濃度0.5重量%の水溶液において、活性炭を0.5重量%添加した時の60分後の過酸化水素分解率が5%以上の過酸化水素分解能を有するものであることを特徴とする請求項1記載の有機ハロゲン化合物の処理方法。
  7. 活性炭が、賦活前の炭化物の窒素濃度が1%以上になる有機物を原料とするものである請求項1記載の有機ハロゲン化合物の処理方法。
  8. 活性炭が、瀝青炭、ポリアクリロニトリル、廃菌体、汚泥、または、おからを原料とする請求項1記載の有機ハロゲン化合物の処理方法。
  9. 活性炭が、1000μm以下の粉末であることを特徴とする請求項1記載の有機ハロゲン化合物の処理方法。
  10. 活性炭が、1000μm以下の微粉末の懸濁液であることを特徴とする請求項1記載の有機ハロゲン化合物の処理方法。
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