以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1には、第1の実施の形態に係る露光装置5の概略構成斜視図が示されている。なお、図1では、露光ヘッド1は分解された分解斜視図として示されている。
同図に示されるように、露光装置5は、露光ヘッド1と、露光ヘッド1から出射された光ビームの照射を受ける位置に保持されたカラー感光材料3を副走査方向(矢印Y方向)に定速で搬送する2個のニップローラ等からなる副走査手段4と、を備えている。
本実施の形態に係る露光装置5は、フルカラーポジ型銀塩写真感光材料であるカラー感光材料3に対して、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の光ビームを照射してカラー画像を記録するものとされている。
露光ヘッド1は、有機ELパネル6と、当該有機ELパネル6から出射された光ビームの光軸上に配置され、有機ELパネル6から出射された光ビームをカラー感光材料3上に等倍で結像させる屈折率分布型レンズアレイ7と、レンズアレイ7および有機ELパネル6を保持する保持手段8と、有機ELパネル6を封止して大気中の水分から保護するための封止部材60と、を含んで構成されている。
有機ELパネル6は、赤色の光ビームを出射するライン状発光素子アレイ6R、緑色の光ビームを出射するライン状発光素子アレイ6G、及び青色の光ビームを出射するライン状発光素子アレイ6Bが副走査方向Yに並べて配設されている。ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bには、それぞれ対応するR、G、Bの光ビームを出射する多数の有機EL発光素子20(図2参照)が主走査方向(矢印X方向)に沿って所定間隔毎に設けられている。
レンズアレイ7は、微小な屈折率分布型レンズ7aが副走査方向Yに対して直交する主走査方向Xに多数配列されて構成されたレンズ列が、副走査方向Yに合計2列配設されて構成されており、一方のレンズ列を構成する複数の屈折率分布型レンズ7aが、他方のレンズ列を構成する複数の屈折率分布型レンズ7aの間に位置するように構成されている。
図2及び図3には、第1の実施の形態に係る露光ヘッド1の詳細な構成が示されている。なお、図2は、露光ヘッド1の主走査方向Xの断面図であり、図3は、露光ヘッド1の副走査方向Yの断面図である。
第1の実施の形態に係る有機ELパネル6は、ガラス等からなる透明基板10上に、副走査方向Yに沿って複数の透明陽極21が形成され、当該透明陽極21を含む透明基板10上に発光層を含む有機化合物層22が形成され、当該有機化合物層22上に主走査方向Xに沿って3本の金属陰極23が順次積層されて形成されている。なお、第1の実施の形態に係る有機ELパネル6では、並んだ3本の金属陰極23の中央に位置される金属陰極23が他の2本より長く形成されている(図1参照)。また、カラー感光材料3に対する露光エリア内に480本の透明陽極21が形成され、露光エリア外に中央に位置する金属陰極23とのみ交差する1本の透明陽極21が形成されている。なお、以下、露光エリア外の透明陽極21のみを他の透明陽極と区別する場合、透明陽極21Aと記す。
有機ELパネル6は、金属陰極23と透明陽極21とに電圧が印加されると、電圧が印加された両電極の交差部分の有機化合物層22に電流が流れ、そこに含まれる発光層が発光し、光ビームが透明陽極21及び透明基板10を介して出射される。本実施の形態に係る有機ELパネル6では、この発光する交差部分が1個の有機EL発光素子20に対応している。有機EL発光素子20は、発光層を含む有機化合物層22の材料を適宜選択することで所望の色の光ビームを得ることができる。
露光ヘッド1は、カラー感光材料3に対して垂直方向でかつレンズアレイ7の焦点距離となる位置に配設されている。また、露光ヘッド1は、図示しないモータの駆動力により垂直方向へ移動可能に構成されている。よって、本実施の形態では、露光ヘッド1の移動によって有機ELパネル6及びレンズアレイ7が共にカラー感光材料3に対して垂直方向へ移動する。
本実施の形態に係る有機ELパネル6は、図4に示されるように、露光エリア内に各ライン状発光素子アレイ6R、6G、6B毎に露光用の480個の有機EL発光素子20が設けられており、また、露光エリア外に発光面積測定用の1個の有機EL発光素子20Aが設けられている。なお、本実施の形態に係る有機ELパネル6は、各有機EL発光素子20及び有機EL発光素子20Aの主走査方向Xのサイズが70μm、副走査方向Yのサイズが100μmのものとされている。
また、図2に示されるように、本実施の形態に係る露光ヘッド1は、有機ELパネル6の有機EL発光素子20が形成されている側の面に乾燥剤61を内包させようにしてステンレス製缶等の封止部材60により覆われている。この封止部材60の縁部と透明基板10とは接着されて、乾燥窒素ガスで置換された封止部材60内に有機EL発光素子20が封止されている。
ところで、露光ヘッド1では、各有機EL発光素子20の発光特性ばらつきや、レンズアレイ7の取り付け位置の誤差等により光量偏差が発生している。
このため、本実施の形態に係る露光装置5は、露光ヘッド1の各有機EL発光素子20の光量を測光するための測光検査装置50をさらに備えている。
図5及び図6には、第1の実施の形態に係る測光検査装置50の詳細な構成が示されている。なお、図5は、測光検査装置50の副走査方向からの正面図であり、図6は、測光検査装置50の上方からの平面図である。
測光検査装置50は、受光した光の光量に応じたアナログ信号を出力する受光部51と、受光部51を保持してガイド52に装荷された移動手段53と、受光部51の受光面の一部のみが覗く状態に当該受光面を覆う遮光部材54と、を備えている。
本実施の形態に係る露光装置5は、ガイド52が露光ヘッド1より出射される光ビームが照射される範囲を含んで主走査方向に沿って設けられている。
測光検査装置50は、光量測定を行う場合、ガイド52に沿って光ビームが照射される範囲内を露光ヘッド1と対向するように間欠移動され、光量測定を行わない場合、搬送されるカラー感光材料3と干渉しないガイド52の一端側の退避位置まで退避される。なお、本実施の形態では、各ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bに設けられた有機EL発光素子20の主走査方向Xの並びピッチ(以下、「素子ピッチ」という。)は100μmであり、これに対して移動手段53の間欠移動のピッチ(以下、「測光ピッチ」という)は5μmである。また、遮光部材54は、移動手段53の移動方向と直角な方向(副走査方向Y)に延びる細長いスリット54aを有し、このスリット54aの部分のみにおいて受光部51の受光面が露出している。このスリット54aの幅、すなわち、測光開口長は、上記測光ピッチと同じ5μmである。
図7には、第1の実施の形態に係る露光装置5の動作を制御する電気系の構成が示されている。
露光装置5は、露光ヘッド1の各有機EL発光素子20を発光させる駆動電力を供給する駆動回路30と、駆動回路30に発光タイミングなどの各種信号を出力する発光制御部40と、装置全体の制御を司るシステム制御部45と、を備えている。
システム制御部45は、CPU45A、ROM45B、RAM45C、図示しない書き換え可能な不揮発性メモリ等を含んで構成されている。システム制御部45は、各種補正データ等を発光制御部40へ出力すると共に、駆動回路30へ各種の指示信号を出力する。また、システム制御部45は、図示しない外部装置から画像データを受信すると、受信した画像データに対して解像度変換等の所定の画像処理を行い、画像処理後の画像データにより示される画像の主走査方向の各ラインに対応する画像データを、副走査方向の先頭側から順に発光制御部40へ出力して1主走査ライン毎の発光動作を実施させる。この1主走査ラインの画像データには、画素毎にR、G、Bの各色の濃度データが含まれている。
発光制御部40は、発光タイミング制御回路41と、階調変換部42と、光量補正回路43と、光量補正係数メモリ44と、階調特性情報記憶部46と、を備えている。
階調特性情報記憶部46には、感光材料の種類に応じてR、G、Bの各色別に濃度レベルに応じた目標露光量を定めた複数のプリント階調変換テーブルが予め記憶されている。
階調特性情報記憶部46は、システム制御部45より入力されるテーブル指定データにより指定されたプリント階調変換テーブルを階調変換部42へ出力する。このテーブル指定データは、プリントに先立ちシステム制御部45から記録対象とする感光材料の種類に応じて出力される。
階調変換部42は、階調特性情報記憶部46より入力されるプリント階調変換テーブルを階調変換用のLUT(ルックアップテーブル)として記憶し、当該LUTに基づいてシステム制御部45より入力される画像データにより示される各画素のR、G、Bの濃度から、当該画素を露光するためのR、G、Bの各色の目標露光量を求めて、画像データを各画素のR、G、Bの各色毎の目標露光量を示す露光量データに変換する。変換された露光量データは光量補正回路43へ出力される。
光量補正回路43は、光量補正回路43より入力される露光量データに対して光量偏差補正演算を行ってR、G、Bの色別に各画素の発光時間を示す8ビットの発光時間データを求める。求められたR、G、Bの色別の発光時間データは、各々シリアルデータDATAに変換され、色別に駆動回路30へ順次出力される。なお、本実施の形態では、R、G、Bの順に発光時間データを駆動回路30へ出力するものとする。
光量補正係数メモリ44には、ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bにそれぞれ設けられた各色の有機EL発光素子20毎の光量補正係数が記憶されている。上述した光量偏差補正演算は、露光量データにより示される各画素のR、G、Bの目標露光量に対して当該画素の露光で用いられる各々対応する色の光ビームを出射する有機EL発光素子20の光量補正係数を乗算することにより、各画素のR、G、Bの各色毎の発光時間を求める。この光量補正係数は、プリントに先立ち光量補正係数メモリ44にシステム制御部45から予め設定される。
発光タイミング制御回路41は、駆動回路30に対して動作を制御するシリアルロードクロック信号SR_CLK及びシリアルロード信号SR_LOADを出力し、また、駆動回路30及び後述する測光タイミング制御回路56に対して発光タイミングを示す発光タイミング信号PWM_CLKを出力するものとされている。
駆動回路30は、R、G、Bの各色に対応して3本のうちの何れか1つ金属陰極23を走査電極とし、各透明陽極21をそれぞれ入力された発光時間データにより示される発光時間だけオン状態とする所謂パッシブマトリクス(passive matrix)線順次選択駆動方式により露光ヘッド1を駆動させる。
図8には、第1の実施の形態に係る駆動回路30の詳細な構成の一例を示すブロック図が示されている。
駆動回路30は、シフトレジスタ33と、8bitPWM回路34と、陽極ドライバ32と、陰極ドライバ31と、ラインカウンタ・デコーダ部37と、タイミング発生回路36と、電流電圧設定部35と、を備えている。なお、駆動回路30は、3本の金属陰極23に各々対応して陰極ドライバ31を3ch備え、露光エリア内の480本と露光エリア外の1本の合計481本の透明陽極21に各々対応して陽極ドライバ32を481ch備えているが、図8ではそれぞれ1つのみを図示している。
シフトレジスタ33には、シリアルロードクロック信号SR_CLKに同期して各有機EL発光素子20の発光時間を示すシリアルデータDATAが順次入力される。入力された発光時間データは一旦シフトレジスタ33に蓄積される。なお、本実施の形態では、シフトレジスタ33に各ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bの露光エリア内の発光素子数480に対応して480素子分の発光時間データが蓄積される。蓄積された480素子分の発光時間データは、シフトレジスタ33にシリアルロード信号SR_LOADが入力されると各発光素子毎の発光時間信号PWM_DATAとして8bitPWM回路34へ出力される。
8bitPWM回路34は、8bitPWM回路34より入力される発光時間信号PWM_DATAにより示される480素子分の発光時間データを各々256ステップの発光パルス電圧信号PWMoutに変換する。変換された480素子分の発光パルス電圧信号PWMoutは、発光タイミング信号PWM_CLKの入力に同期して陽極ドライバ32へ出力される。
陽極ドライバ32は、各透明陽極21の各々を定電流源と個別に接続させるスイッチング部32Aを備えている。各スイッチング部32Aは、陽極ドライバ32に発光パルス電圧信号PWMoutが入力されると発光パルス電圧信号に応じた時間だけオンされる。
一方、タイミング発生回路36は、電流電圧設定部35及びラインカウンタ・デコーダ部37と接続されると共に上述した発光タイミング信号PWM_CLKが入力されている。タイミング発生回路36は、発光タイミング信号PWM_CLKが入力する毎に電流電圧設定部35及びラインカウンタ・デコーダ部37へタイミング信号を出力する。
ラインカウンタ・デコーダ部37は、陰極ドライバ31と接続されており、タイミング発生回路36からタイミング信号が入力すると、陰極ドライバ31の切替を指示する指示信号を出力する。
陰極ドライバ31は、3本の金属陰極23の各々を接地させてグランドレベルとするスイッチング部31Aを有している。各スイッチング部31Aは、ラインカウンタ・デコーダ部37から入力される指示信号に基づいて各々が個別にオンされる。
電流電圧設定部35は、陽極ドライバ32及び陰極ドライバ31と接続されており、陽極ドライバ32への駆動電流並びに駆動電圧を制御している。電流電圧設定部35は、各陽極ドライバ32へ各々一定量の電流を供給して各有機EL発光素子20を定電流駆動させるように駆動電圧を個別に制御する。
本実施の形態に係る駆動回路30では、R、G、Bの各色に対応してスイッチング部31Aが各々オンとされて金属陰極23と接続されている各期間内に、陽極ドライバ32がスイッチング部32Aを各々オンされることにより、当該透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に一定量の電流が流れ、有機化合物層22から光が出射される。
また、陽極ドライバ32及び陰極ドライバ31はシステム制御部45と接続されている。システム制御部45は、指示信号により陽極ドライバ32及び陰極ドライバ31を制御してスイッチング部32A及びスイッチング部31Aのオン・オフを個別に制御でき、特定の発光素子を発光させることができる。
さらに、陽極ドライバ32と透明陽極21Aとを繋ぐ配線は、分岐して電圧測定部38と接続されている。電圧測定部38は、他端側が接地された配線と接続されており、透明陽極21Aの電位を測定することにより、有機EL発光素子20Aに印加されている駆動電圧を測定する。測定された有機EL発光素子20Aの駆動電圧は、駆動電圧データとしてシステム制御部45へ出力される。
一方、露光装置5は、図7に示されるように、上述した測光検査装置50の動作を制御する検査装置制御部55をさらに備えている。
検査装置制御部55は、測光検査装置50による測光タイミングを制御する測光タイミング制御回路56と、測光検査装置50から出力されるアナログ信号を増幅する増幅器57と、アナログ信号をデジタルデータに変換するADコンバータ58と、を備えている。
検査装置制御部55では、増幅器57により測光検査装置50の受光部51より出力される光量を示すアナログ信号が増幅され、ADコンバータ58によりデジタルの測光データに変換されてシステム制御部45へ出力される。
システム制御部45は、検査装置制御部55より入力される測光データに基づいて、ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bに各々設けられた各色の有機EL発光素子20毎の光量補正係数を算出する。算出された光量補正係数は各有機EL発光素子20と対応させて光量補正係数メモリ44に記憶される。
システム制御部45は、後述する階調特性補正処理を行って駆動電圧データに基づいて各有機EL発光素子20の発光面積を導出し、プリント諧調特性の補正を行う。
さらに、露光装置5は、有機EL発光素子20の発光面積の変化によるカラー感光材料3上における光ビームのスポット径の変化を補正するために、露光ヘッド1を垂直方向へ移動させる調整量と発光面積との関係を示す調整量情報を記憶した調整量情報記憶部65と、露光ヘッド1の垂直方向への移動を制御する光学位置調整部66と、をさらに備えている。
システム制御部45は、導出した有機EL発光素子20の発光面積を示す発光面積情報を調整量情報記憶部65へ出力する。
調整量情報記憶部65は、発光面積情報が入力すると、当該発光面積情報により示される発光面積に応じた調整量を光学位置調整部66へ出力する。
光学位置調整部66は、調整量が入力すると、図示しないモータを駆動させて露光ヘッド1を垂直方向へ調整量となる位置まで移動させる。
次に、第1の実施の形態に係る露光装置5により露光を行う際の全体的な動作について簡単に説明する。
システム制御部45は、外部装置から画像データを受信すると、当該画像データにより示される画像の主走査方向の各ラインに対応する画像データを順次に発光制御部40へ出力する。また、システム制御部45は、画像データの出力に同期させて副走査手段4の駆動を制御してカラー感光材料3の副走査方向Yへの搬送を開始させる。
発光制御部40では、システム制御部45より画像データが入力すると、階調変換部42において当該画像データにより示される各画素のR、G、Bの濃度をLUTで変換して各画素のR、G、Bの各色毎の目標露光量を示す露光量データを求め、光量補正回路43において当該露光量データに対して光量偏差補正演算を行ってR、G、Bの色別の発光時間データを求めてR、G、Bの順に発光時間データを駆動回路30へ出力する。
駆動回路30は、最初に入力されるRの480素子分の発光時間データをシフトレジスタ33に蓄積し、8bitPWM回路34においてRの発光時間データを各々256ステップの発光パルス電圧信号PWMoutに変換する。
そして、駆動回路30は、発光タイミング信号PWM_CLKが入力されると、ライン状発光素子アレイ6Rを構成する金属陰極23に接続されたスイッチング部31Aをオン状態とし、当該スイッチング部31Aがオン状態とされている期間内に、陽極ドライバ32が主走査ラインの1,2,3・・・480番目の発光時間データにより示される時間だけ各スイッチング部32Aをオン状態として第1,2,3・・・480の各透明陽極21を定電流源に接続させる。
これにより、ライン状発光素子アレイ6Rを構成する各有機EL発光素子20の透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に画像データにより示される画素の濃度に対応したパルス幅の電流が流れ、有機化合物層22から赤色の光ビームが出射される。
一方、駆動回路30では、ライン状発光素子アレイ6Rを発光させている間に、Gの480素子分発光時間データをシフトレジスタ33に蓄積させ、8bitPWM回路34においてGの発光時間データを各々256ステップの発光パルス電圧信号PWMoutに変換する。
そして、駆動回路30は、発光タイミング信号PWM_CLKが入力されると、ライン状発光素子アレイ6Gを構成する金属陰極23に接続されたスイッチング部31Aをオン状態とし、上述したRの場合と同様に、当該スイッチング部31Aがオン状態とされている期間内に、陽極ドライバ32が主走査ラインの1,2,3・・・480番目の発光時間データにより示される時間だけ各スイッチング部32Aをオン状態として第1,2,3・・・480の各透明陽極21を定電流源に接続させる。
これにより、ライン状発光素子アレイ6Gを構成する発光エリア内の各有機EL発光素子20の透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に、記録する画素の濃度に対応したパルス幅の電流が流れ、有機化合物層22から緑色の光ビームが出射される。
一方、駆動回路30では、ライン状発光素子アレイ6Gを発光させている間に、Bの480素子分発光時間データをシフトレジスタ33に蓄積させ、8bitPWM回路34においてBの発光時間データを各々256ステップの発光パルス電圧信号PWMoutに変換する。
そして、駆動回路30は、発光タイミング信号PWM_CLKが入力されると、ライン状発光素子アレイ6Bを構成する金属陰極23に接続されたスイッチング部31Aをオン状態とし、上述したR、Gの場合と同様に、当該スイッチング部31Aがオン状態とされている期間内に、陽極ドライバ32が主走査ラインの1,2,3・・・480番目の発光時間データにより示される時間だけ各スイッチング部32Aをオン状態として第1,2,3・・・480の各透明陽極21を定電流源に接続させる。
これにより、ライン状発光素子アレイ6Bを構成する各有機EL発光素子20の透明陽極21と金属陰極23との間の有機化合物層22に記録する画素の濃度に対応したパルス幅の電流が流れ、有機化合物層22から青色の光ビームが出射される。
このように有機ELパネル6から出射されたR、G、Bの各色の光ビームは、レンズアレイ7によってカラー感光材料3上に集光され、カラー感光材料3上に主走査ラインを構成する第1,2,3・・・480番目の画素が露光されてフルカラーの主走査ラインが記録される。
以下、主走査ライン毎に同様の処理が繰り返されて、カラー感光材料3上に多数の主走査ラインにより構成された2次元カラー画像が記録される。
ところで、有機EL発光素子20は、上述したように、累積発光時間による輝度低下が発生し、長期間に渡り露光ヘッド1を駆動させていると各有機EL発光素子20から出射される光ビームの強度にばらつきが発生して記録される画像に筋ムラが発生したり、露光量が低下してプリント濃度が変化してしまう。
そこで、第1の実施の形態に係る露光装置5では、定期的に測光検査装置50により各有機EL発光素子20から出射される光ビームの光量を測光して光量の偏差を補正する光量補正係数を導出している。
次に、第1の実施の形態に係る露光装置5により光量補正係数を導出する際の全体的な動作について簡単に説明する。
システム制御部45は、移動手段53の動作を制御して測光検査装置50をガイド52の一端側の退避位置に位置させる。
そして、システム制御部45は、各ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bに設けられた全ての有機EL発光素子20をライン状発光素子アレイ毎に同一発光パルス幅で発光させるために各画素の濃度を同一値とした画像データを発光制御部40へ出力する。このとき、システム制御部45は、光量補正係数メモリ44に記憶される光量補正係数を全て1に設定する。なお、以下では、ライン状発光素子アレイ6Rの各有機EL発光素子20を発光させて測光検査装置50により測光を行う場合を例として説明する。
ライン状発光素子アレイ6Rは、全ての有機EL発光素子20が、同一の発光時間データに基づいて一定の電流が供給されることにより、孤立点灯、もしくは一律点灯(1ライン上の全ての発光素子を同時に点灯)される。
システム制御部45は、発光する有機EL発光素子20と同期して測光検査装置50を主走査方向へ測光ピッチ間隔で間欠移動させ、停止する毎に受光部51により、レンズアレイ7から出射される光ビームの光量を測定させる。受光部51は、光ビームの光量に応じたアナログ信号を出力する。当該アナログ信号は、増幅器57により増幅され、ADコンバータ58によりデジタルの測光データに変換されてシステム制御部45へ出力される。なお、測光は各ライン状発光素子アレイ毎に行われ、ライン状発光素子アレイ6G、6Bについても同様の手順で各有機EL発光素子20の光量が測定される。
図9には、測光データにより示される光ビームのビームプロファイルの一例が示されている。
システム制御部45は、入力された測光データに基づいて、各有機EL発光素子20毎に、有機EL発光素子20の素子ピッチと等しい区間(100μm)幅について積分する。具体的に、本実施の形態では、1つの有機EL発光素子20について、その発光素子の中心から主走査方向一方方向に10点、他方方向に10点の合計20点の測光点に関する測定光量を合計し、それに1/20を乗じた平均値(移動平均)を求める。
なお、この場合、有機EL発光素子20の中心位置を正解に求める必要は無く、あくまでも上記20個の測定点が当該有機EL発光素子20の中心から左右に10点ずつ分布したものあることが確認できればよい。よって、例えば、光量の極大値が測定された測定点Aと、その測定点の2つの隣接測定点のうち測定光量がより大である方の測定点Bとの間に素子中心が存在するとみなし、測定点Aから素子中心と反対側に10点(測定点Aを含む)および、測定点Bから素子中心と反対側に10点(測定点Bを含む)の合計20点に関する測定光量を移動平均値の算出に供すればよい。
なお、1回目の発光パルスの積分値よりも、複数回の発光パルスを積分した方が検出精度を高くすることができる。
この積分光量は光ビームの光量に相当する値であるため、システム制御部45は、各有機EL発光素子20の積分光量の同一の値とする光量補正係数を導出し、導出した各有機EL発光素子20毎の補正係数を光量補正係数メモリ44へ出力する。なお、光量補正係数の導出は、ライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bについてそれぞれ行われる。
本実施の形態に係る露光装置5では、上述したように、光量補正回路43により光量補正回路43より入力される露光量データに対して光量偏差補正演算を行っているため、画像露光時のライン状発光素子アレイ6R、6G、6Bの各有機EL発光素子20の出射される光ビームの光量偏差特性が解消されるように補正され、露光画像に筋ムラが発生することが防止される。
ところで、有機EL発光素子20では、上述したように、駆動していない状態であっても水分の浸透によって発光面積が減少するエッジグロースが発生しており、この発光面積の減少によってカラー感光材料3上における光ビームのスポット径が小さくなるため、プリント階調特性の軟調化が発生する。このエッジグロースは、発光領域の周辺部が絶縁化または高抵抗化して電流が流れなくなり、当該周辺部が非発光領域化する現象である。有機EL発光素子20は、エッジグロースが進行して発光領域の面積が減少するほど、残存発光領域を流れる電流の電流密度が上昇し、定電流駆動させるために必要な駆動電圧が上昇する。
一方、有機EL発光素子20は、上述したように、累積発光時間が長くなるほど輝度の低下が発生しており、さらに、累積発光時間が長くなるほど定電流駆動させるために必要な駆動電圧の上昇も発生している。
そこで、第1の実施の形態に係る露光装置5では、発光面積を導出してプリント階調特性を補正する場合にのみ、露光エリア外に設けた有機EL発光素子20Aを定電流駆動で発光させて、当該有機EL発光素子20Aに印加されている駆動電圧の変動量から発光面積を導出する。この有機EL発光素子20Aは、カラー感光材料3への露光時には発光しないため累積発光時間が短く、駆動電圧に含まれる累積発光時間による上昇分が無視できるレベルとなっている。
次に、第1の実施の形態に係る露光ヘッド1の有機EL発光素子20Aの発光領域の発光面積を導出してプリント階調特性を補正する際の動作について説明する。
システム制御部45は、ライン状発光素子アレイ6Gを構成する金属陰極23に接続されたスイッチング部31Aをオン状態させる指示信号を陰極ドライバ31へ出力し、また、透明陽極21Aと接続されたスイッチング部32Aをオン状態させる指示信号を陽極ドライバ32へ出力する。
陰極ドライバ31は、ライン状発光素子アレイ6Gを構成する金属陰極23に接続されたスイッチング部31Aをオン状態とし、陽極ドライバ32は、透明陽極21Aと接続されたスイッチング部32Aをオン状態として透明陽極21Aを定電流源に接続させる。
これにより、有機EL発光素子20Aから緑色の光ビームが出射される。
電圧測定部38は、このときの透明陽極21Aの電位を測定することにより有機EL発光素子20Aに印加されている駆動電圧を測定し、駆動電圧データをシステム制御部45へ出力する。
システム制御部45は、駆動電圧データが入力すると、以下の階調特性補正処理を実行する。
図10には、第1の実施の形態に係る階調特性補正処理の流れが示されている。なお、図10は、システム制御部45のCPU45Bにより実行される階調特性補正処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM45Aの所定領域に予め記憶されている。
同図のステップ102では、駆動電圧データにより示される駆動電圧から発光領域の電流密度を導出する。
図11には、有機EL発光素子を定電流駆動させる際の駆動電圧と電流密度との関係の一例が示されている。
同図に示されるように、エッジグロースの発生によって発光面積が減少して電流密度が上昇すると、駆動電圧も高くなるため、有機EL発光素子20Aに印加されている駆動電圧から電流密度が予測可能と言える。
そこで、図11に示すような駆動電圧と電流密度の関係を示す情報を駆動電圧−電流密度変換テーブルとして予めシステム制御部45のROM45Bに予め記憶させておく。
そして、本ステップ102では、ROM45Bに記憶されている駆動電圧−電流密度変換テーブルに基づいて透明陽極21Aの電位から発光領域の電流密度を導出する。
次のステップ104では、上記ステップ102で導出した電流密度から発光面積を導出する。
図12には、残存発光領域の電流密度と発光面積との関係の一例が示されている。なお、図12では、発光面積を初期の発光面積を100%とした場合の経時変化後の発光面積の割合を示す発光面積率として示している。
同図に示されるように、電流密度と発光面積率との間には一定の関係があり、電流密度が上昇するほど発光面積率が低下し、発光面積が減少している。よって、電流密度から発光面積を求めることができる。
そこで、本実施の形態では、電流密度と発光面積の関係を示す情報を電流密度−発光面積変換テーブルとして予めシステム制御部45のROM45Bに予め記憶しておく。
そして、本ステップ104では、ROM45Bに記憶している電流密度−発光面積変換テーブルに基づいて電流密度から発光面積を導出する。
次のステップ106では、導出した発光面積を示す発光面積情報を調整量情報記憶部65へ出力し、本階調特性補正処理を終了する。
図13には、発光面積と露光ヘッド1の垂直方向への調整量の関係の一例が示されている。なお、図13は、レンズアレイ7として日本板硝子製SLA12Eを用いた際の発光面積と調整量の関係である。また、図13は、発光面積を、初期の発光面積を1(=100%)とした発光面積率として示している。
調整量情報記憶部65は、発光面積と調整量の関係を示す調整量情報を発光面積−調整量変換テーブルとして予め記憶しており、発光面積情報が入力すると、当該発光面積情報により示される発光面積に応じた調整量を光学位置調整部66へ出力する。
光学位置調整部66は、光学位置調整部66より調整量が入力すると、図示しないモータを駆動させて露光ヘッド1を焦点距離の位置から垂直方向へ調整量となる位置まで移動させる。
これにより、有機ELパネル6から出射されてレンズアレイ7により集光された光ビームのカラー感光材料3上におけるスポット径は、露光ヘッド1が焦点距離に位置していた際よりも大きくなる。よって、カラー感光材料3の各光ビームにより露光されるべき領域において未露光部分の面積を減らすことができるためプリント階調特性の軟調化を防止することができる。
なお、第1の実施の形態に係る露光装置5は、図3に示されるように、露光ヘッド1を垂直方向へ移動させてレンズアレイ7とカラー感光材料3の間の距離を調整するものとしたが、副走査手段4を垂直方向へ移動させることによりカラー感光材料3を垂直方向へ移動させてレンズアレイ7とカラー感光材料3の間の距離を調整するものとしてもよい。
また、図14に示されるように、有機ELパネル6、又はレンズアレイ7及び副走査手段4を垂直方向へ移動させて有機ELパネル6とレンズアレイ7の間の距離を調整するものとしてもよい。なお、有機ELパネル6とレンズアレイ7の間の距離、及びレンズアレイ7とカラー感光材料3の間の距離を共に調整するようにしてもよいが、制御機構が複雑となるため、何れか一方のみとすることが好ましい。
なお、第1の実施の形態に係る階調特性補正処理では、透明陽極21Aの電位からROM45Bに記憶している駆動電圧−電流密度変換テーブルに基づいて一旦、電流密度を導出し(ステップ102)、導出した電流密度からROM45Bに記憶している電流密度−発光面積変換テーブルに基づいて発光面積率を導出(ステップ104)するものとしたが、これに限定されるものでなく、例えば、図11に示される駆動電圧と電流密度の関係、及び図12に示される電流密度と発光面積の関係から、駆動電圧と発光面積率とを変換する駆動電圧−発光面積変換テーブルをシステム制御部45のROM45Bに予め記憶しておき、当該駆動電圧−発光面積率換テーブルに基づいて駆動電圧から発光面積を導出するものとしてもよい。
また、有機EL発光素子20Aの初期状態での駆動電圧を測定して発光面積を導出し、導出した発光面積を初期発光面積としてシステム制御部45に備えられた不揮発性メモリ等に記憶させておき、駆動電圧を測定して導出される発光面積を初期発光面積で除算して発光面積率を算出し、調整量情報記憶部65において発光面積率に応じた調整量を求めて光学位置調整部66へ出力するものとしてもよい。これにより、露光ヘッド1として発光面積が異なる有機EL発光素子が用いられた場合であっても発光面積率から適切な調整量を求めることができるため、プリント階調特性を補正することができる。
このように、第1の実施の形態によれば、画像データに基づいて定電流駆動されることにより複数の有機EL発光素子(ここでは、有機EL発光素子20)を発光させ、有機EL発光素子より出射される光ビームの光軸上に配置された光学系(ここでは、レンズアレイ7)により、光ビームを感光材料(ここでは、カラー感光材料3)に結像させており、測定手段(ここでは、電圧測定部38)により、有機EL発光素子を定電流駆動させるために当該有機EL発光素子に印加される駆動電圧を測定し、記憶手段(ここでは、ROM45B)に駆動電圧と有機EL発光素子の発光領域の面積との関係を示す発光面積情報を予め記憶させておき、導出手段(ここでは、システム制御部45)により、記憶手段により記憶されている発光面積情報に基づき、測定手段により測定された駆動電圧から発光領域の面積を導出し、調整手段(ここでは、光学位置調整部66)により、導出手段により導出された発光領域の面積に基づいて経時的な当該面積の減少による感光材料上における光ビームのスポット径の縮小を補正するように光ビームの光軸方向に対する有機EL発光素子と光学系の間の距離及び光学系と感光材料の間の距離の少なくとも一方を調整しているので、プリント階調特性の軟調化を防止することができるため、安定したプリント品質を得ることができる。
また、第1の実施の形態によれば、複数の有機EL発光素子は、有機EL発光素子の発光領域の面積の導出時のみに発光する発光面積導出用の有機EL発光素子(ここでは、有機EL発光素子20A)を含み、測定手段による測定対象の有機EL発光素子を、発光面積導出用の有機EL発光素子としているので、累積発光時間による定電流駆動の上昇の影響を受けることなく、駆動電圧の変動量から発光面積を導出することができる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、発光面積測定用の有機EL発光素子20Aを設けることなく画像の露光で発光する有機EL発光素子20から発光面積を導出する場合について説明する。
図15には、第2の実施の形態に係る露光装置5の概略構成斜視図が示されている。なお、図15では、露光ヘッド1は分解された分解斜視図として示されている。なお、同図における図1と同一の構成要素には図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
第2の実施の形態に係る露光装置5では、露光ヘッド1に有機EL発光素子20Aが設けられておらず、その他は第1の実施の形態の露光装置5(図1)及び露光ヘッド1(図2、図3)の構成と同様である。
図16には、第2の実施の形態に係る露光装置5の動作を制御する電気系の構成が示されている。なお、同図における図7と同一の構成要素には図7と同一の符号を付して、その説明を省略する。
システム制御部45は、光量補正回路43と接続されており、光量補正回路43は発光時間データを駆動回路30と共にシステム制御部45へ出力する。
システム制御部45は、所定の有機EL発光素子20が発光した累積発光時間を計時する。すなわち、本実施の形態に係るシステム制御部45では、発光時間データにより示されるR、G、Bの各色毎の480素子分の発光時間から所定の有機EL発光素子20に対応する画素の発光時間を累積し、累積発光時間データとして不揮発性メモリに記憶させる。
図17には、第2の実施の形態に係る駆動回路30の詳細な構成の一例を示すブロック図が示されている。なお、同図における図8と同一の構成要素には図8と同一の符号を付して、その説明を省略する。
第2の実施の形態に係る駆動回路30は、3本の金属陰極23に各々対応して陰極ドライバ31を3ch備え、露光エリア内の480本の透明陽極21に各々対応して陽極ドライバ32を480ch備えている。
また、陽極ドライバ32と各透明陽極21とを繋ぐ配線は、それぞれ分岐してマルチプレクサ39の入力端に接続されており、マルチプレクサ39の出力端は、電圧測定部38と接続されている。
マルチプレクサ39は、システム制御部45からの制御により複数の入力端の何れか1つを選択的に電圧測定部38と接続させることができる。電圧測定部38は接続された透明陽極21の電位を測定して駆動電圧データをシステム制御部45へ出力する。
すなわち、第2の実施の形態に係る駆動回路30では、マルチプレクサ39によって電圧測定部38と接続する透明陽極21を切り替えて各透明陽極21の電位を測定することにより、各有機EL発光素子20の駆動電圧を測定することができる。
次に、第2の実施の形態に係る露光ヘッド1の何れかの有機EL発光素子20の発光領域の発光面積を導出してプリント階調特性を補正する際の動作について説明する。
システム制御部45は、指示信号を出力して陰極ドライバ31及び陽極ドライバ32を制御し、所定の有機EL発光素子20を発光させる。また、マルチプレクサ39を所定の有機EL発光素子20を構成する透明陽極21と接続させる指示信号を出力する。
マルチプレクサ39は、システム制御部45からの制御により所定の有機EL発光素子20を構成する透明陽極21と接続された入力端を選択的に電圧測定部38と接続し、電圧測定部38は、所定の有機EL発光素子20の透明陽極21の電位を測定して駆動電圧データをシステム制御部45へ出力する。
システム制御部45は、駆動電圧データが入力すると、以下の階調特性補正処理を実行する。
図18には、第2の実施の形態に係る階調特性補正処理の流れが示されている。なお、同図の図10と同一の処理については図10と同一符号箇所を付して、その説明を省略する。
同図のステップ100では、駆動電圧データにより示される駆動電圧から累積発光時間による駆動電圧の上昇分の除く補正を行う。
図19には、有機EL発光素子を発光させた累積発光時間と駆動電圧の上昇との関係の一例が示されている。
同図に示されるように、累積発光時間が長くなるほど駆動電圧の上昇量も大きくなるため、累積発光時間から当該累積発光時間による駆動電圧の上昇量が予測可能と言える。
そこで、図19に示すような累積発光時間と駆動電圧の上昇量の関係を示す電圧上昇量情報を累積発光時間−駆動電圧上昇量変換テーブルとして予めシステム制御部45のROM45Bに予め記憶させておく。
そして、本ステップ100では、ROM45Bに記憶されている累積発光時間−駆動電圧上昇量変換テーブルに基づいて累積発光時間に応じた駆動電圧の上昇量を求め、当該上昇量を駆動電圧から除く補正を行う。
そして、次のステップ102では、上記ステップ100により補正された駆動電圧から発光領域の電流密度を導出する。
これにより、補正された駆動電圧からエッジグロースの進行状況を検出することができる。
なお、本実施の形態では、1個の有機EL発光素子20の駆動電圧から発光面積を求めて全ての発光素子の発光面積をとしているが、全ての有機EL発光素子20で累積発光時間を計時し、全ての有機EL発光素子20の各々の駆動電圧を測定して導出した発光面積を平均化して、発光素子アレイ全体の平均的な発光面積を求めることが、より精度を向上させるために望ましい。但し、測定対象とする素子数が増加すると測定回数や演算回数の増加により処理時間が長くなるため、測定対象する素子数を露光装置の用途に応じて決定することが望ましい。
このように、第2の実施の形態によれば、記憶手段を、有機EL発光素子が発光した累積発光時間と駆動電圧の上昇量との関係を示す電圧上昇量情報をさらに予め記憶するものとし、有機EL発光素子の累積発光時間を計時する計時手段(ここでは、システム制御部45)と、計時手段により計時された累積発光時間に応じて電圧上昇量情報より求まる駆動電圧の上昇量を測定手段により測定された駆動電圧から除く補正を行う補正手段(ここでは、階調特性補正処理のステップ100)と、をさらに備え、導出手段は、補正手段による補正後の駆動電圧から有機EL発光素子の発光面積を導出しているので、露光ヘッドに発光面積測定用の有機EL発光素子を別途設ける必要がない。
なお、第1及び第2の実施の形態の階調特性補正処理では、発光面積を導出するものとしたが、発光面積は、その絶対値ではなく、例えば、初期発光面積を100%とし、当該初期発光面積に対する経時変化後の発光面積の割合で表す発光面積率を用いてもよい。
その他、第1及び第2の実施の形態で説明した露光装置5の構成(図1〜図8、図14〜図17参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、第1及び第2の実施の形態で説明した階調特性補正処理(図10、図18)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
さらに、図9に示すビームプロファイルも一例であり、図11〜図13、図19、図20に示す関係図も一例であり、実際の露光ヘッド1の構成に応じて適宜設定される。