JP2007211847A - 食い込み式管接続構造、管継手、弁、閉鎖弁、冷凍サイクル装置、給湯装置、食い込み式管接続方法、および現地配管接続方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接続すべき接続管を仮止めしてから締結工具を用いて締結可能とすることにより、締結部品の締結作業性を向上させるようにした食い込み式管接続構造、これを用いた管継手、弁、閉鎖弁、冷凍サイクル装置、給湯装置、食い込み式管接続方法および現地配管接続方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る食い込み式管接続においては、接続すべき接続管5を挿入する配管接続口16を有する継手本体1と、継手本体1に締結される締結部品(例えば、締結ナット2)と、円環状の食い込み式スリーブ3とを備えている。そして、継手本体1または締結部品に、配管接続口16へ挿入される接続管5の外周面に摩擦力を作用させて仮止めする係合部を形成している。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る食い込み式管接続においては、接続すべき接続管5を挿入する配管接続口16を有する継手本体1と、継手本体1に締結される締結部品(例えば、締結ナット2)と、円環状の食い込み式スリーブ3とを備えている。そして、継手本体1または締結部品に、配管接続口16へ挿入される接続管5の外周面に摩擦力を作用させて仮止めする係合部を形成している。
【選択図】図1
Description
本発明は、食い込み式管接続構造およびこれを用いた管継手、弁、閉鎖弁、冷凍サイクル装置、給湯装置食い込み式管接続方法および現地配管接続方法に関する。特に、本発明は、食い込み式管接続構造を採用する場合における作業性の向上に関する。
内部に流体を流す流体管に対し用いられる管継手は、管の劣化や流体供給管の劣化などが生じたときに交換、修理を容易に行うことができるように、取り外し可能なものが多く使われてきている。このような管継手としては、用途に応じ各種構造のものが存在する。
例えば、流体管の中に冷媒が流れる空気調和機等の冷凍サイクル装置においては、従来、管継手としてフレア式管継手が使用されてきた。しかし、冷凍サイクル装置においては、地球環境保護のため、冷媒の変更が進められている。すなわち、冷媒は、従来のフロン冷媒から可燃性のプロパン、エタン、エチレン、nペンタン、nブタン、イソブタン等のHC冷媒や、使用圧力が高圧となる二酸化炭素などの自然冷媒に置換されつつある。このため、新しい冷媒を使用する冷凍サイクル装置においては、管継手として、従来高圧流体を流通させる鋼管の接続に用いられていた、より冷媒漏れの少ない食い込み式管継手が用いられる傾向にある。また、その開発が活発に行われるようになってきている。このような食い込み式管継手は、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されている。なお、ここで冷凍サイクル装置とは、冷凍サイクルで運転される全ての装置をいい、空気調和機、除湿機、ヒートポンプ式の給湯装置、冷蔵庫、冷凍用の冷凍装置、製造プロセス用冷却装置などを包含する。
図24は、特許文献1の図5に記載されている食い込み式管継手を、従来の食い込み式管継手の一例として示すものである。この食い込み式管継手は、図24に示すように、継手本体201と、締結部品としての締結ナット202と、円環状の食い込み式スリーブ203とを備えている。継手本体201は、中心部に接続すべき接続管204の端部を挿入する配管接続口211が形成されている。また、継手本体201の外周には、締結ナット202を螺合するための雄ねじ212が形成されている。さらに、配管接続口211の端部には、食い込み式スリーブ203が配管接続口211の端部側に押圧されたときに、食い込み式スリーブ203の継手本体側端部(すなわち、先端部)を接続管204の中心方向にガイドするガイド用テーパ面213が形成されている。
締結ナット202は、側壁221に接続管204を挿通させる貫通孔222を有するとともに、この貫通孔222の周辺に、食い込み式スリーブ203の締結ナット側端部を押圧する押圧テーパ面223が形成されている。また、締結ナット202は、その内部空間224に雄ねじ212に螺合する雌ねじ225を有している。また、食い込み式スリーブ203は、継手本体201と締結ナット202との間に介在される円環状物であって、中央部に接続管204を嵌挿させる貫通孔231が形成されている。また、食い込み式スリーブ203の円環状を成す素材の軸方向の断面形状は、図24に示すように、軸方向に長い略四角形に形成されている。また、この食い込み式スリーブ203の締結ナット側端部(すなわち、後端部)には、締結ナット202からの軸方向の押圧力を受けることができるように、押圧テーパ面223に当接する受圧テーパ面232が形成されている。また、食い込み式スリーブ203の継手本体側端部(先端部)は、ガイド用テーパ面213に当接される厚さに形成されている。
このように形成された食い込み式管継手の組立は、まず、接続管204の端部を締結ナット202の貫通孔222および食い込み式スリーブ203の貫通孔231に挿通させることにより、締結ナット202および食い込み式スリーブ203を接続管204に外装する。次いで、接続管204の端部を配管接続口211に挿入するとともに、食い込み式スリーブ203の継手本体側端部を継手本体201のガイド用テーパ面213に対向するように装着する。次に、締結ナット202の雌ねじ225を継手本体201の雄ねじ212に手回しで螺合させ、最終的には締結工具を使用して所定のトルクで締結する。このようにして、締結ナット202が継手本体201に螺合されることにより、締結ナット202からの軸方向の押圧力が食い込み式スリーブ203の先端部203aをガイド用テーパ面213に押し付ける。これにより、食い込み式スリーブ203の先端部203aが、ガイド用テーパ面213により接続管204の中心側に押し曲げられて接続管204に食い込む。そして、接続管204の抜け止めが行われる。また、先端部203aが接続管204に食い込むことにより、食い込み式スリーブ203と接続管204との間がシールされる。また、食い込み式スリーブ203の継手本体側端面がガイド用テーパ面213に押し付けられることにより食い込み式スリーブ203と継手本体201との間がシールされる。食い込み式管継手は、このようにして高いシール性能が得られるようにしたものである。図24は、上記において、締結ナット202が締結されて接続が完了した後の状態図である。
特開2003−74768号公報
特開2005−36947号公報
従来の食い込み式管継手は、以上のように構成され、接続作業が行われるが、締結工具を使用した締結ナット202の締結作業においては、食い込み式スリーブ203が接続管204に食い込むまでは接続管204が接続位置に保持されない。このため、締結工具を使用する締結作業は、接続管204を手等で把持して、接続管204を所定位置に維持しながら行う必要がある。したがって、一人で締結作業をするのが困難であった。このような問題が存在することは、空気調和機等の冷凍サイクル装置以外の分野に使用される管継手についても勿論同様である。
本発明は、従来技術に存在するこのような問題点に着目してなされたものである。すなわち、本発明は、接続すべき接続管を仮止めしてから締結工具を用いて締結可能とすることにより、締結部品の締結作業性を向上させるようにした食い込み式管接続構造を提供することを目的とする。また、この食い込み式管接続構造を用いた管継手、弁、閉鎖弁、冷凍サイクル装置、食い込み式管接続方法および現地配管接続方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題に鑑み成されたものである。本発明に係る食い込み式管接続構造は、接続すべき接続管を挿入する配管接続口を有する継手本体と、継手本体に締結される締結部品と、円環状の食い込み式スリーブとを備えている。そして、継手本体または締結部品に、配管接続口へ挿入される接続管の外周面に摩擦力を作用させて仮止めする係合部が形成されているものである。
上述の如く構成された食い込み式管接続構造によれば、締結工具を用いて継手本体に対し締結部品を締結する前に、継手本体または締結部品に形成された係合部により接続管を仮止めすることができる。したがって、締結工具による締結部品の締結作業は、接続管を所定位置に保持する作業が不要となり、作業性を向上させることができる。
この場合において、前記係合部を、配管接続口の内周面に形成された突状部により構成してもよい。このようにすれば、接続管を単に押し込むだけで仮止めすることができる。なお、このように接続管の端部を押し込むと、端部に擦り傷が付くが、この擦り傷は配管接続口内に押し込まれた接続管の先端部分のみに形成されるので、食い込み式スリーブによるシール機能には影響がない。
また、配管接続口の内周面に形成される突状部を配管接続口の内周面に環状に形成されたものとしてもよい。このような突状部は、配管接続口の内周面に容易に加工することができる。
また、配管接続口の内周面に形成される突状部を、その内周面における所定位置の円周上に等間隔に配置された少なくとも3個以上の錐体状の突状部としてもよい。この場合、接続管の外周面に付けられる擦り傷は、突状部に対応する角度位置で軸方向の線状に形成される。このため、突状部による仮止め効果は、接続管の回転方向の動きに対しては、上記の場合に比し大きくなる。したがって、締結部材である締結ナットを継手本体に締結するときに、接続管の供回りが防止され、食い込み式スリーブの食い込みによるシール効果が向上する。
また、前記係合部を、前記配管接続口の内周面に形成されたOリング溝と、このOリング溝に装着されたOリングとから構成するようにしてもよい。このようにすれば、従来から周知のOリングにより、接続管を仮止めすることができる。また、接続管を挿入する押圧力も適切な範囲とすることが容易である。
また、前記締結部品は接続管を貫通させる貫通孔を有するものであって、前記係合部を、この貫通孔において接続管の外周面に弾性的摩擦力を付与するように形成された貫通孔の構成としてもよい。このように構成したものでは、締結部品を接続管に外装した場合に締結部品の移動を防止することができるので、作業上都合のよい位置に締結部品を外装して一定位置に保持することができる。また、接続管の外周面に作用する摩擦力を弾性的摩擦力としているので、接続管の外周面の擦り傷を少なくすることができる。したがって、食い込み式スリーブの食い込み面の擦り傷を小さくすることができる。この結果、この擦り傷によるシール効果の低下を小さくすることができる。
また、この場合において、貫通孔は、入口部が薄肉の壁部で形成されるとともに、この壁部の内周面には先端が接続管の外周面より中心線側になる突状部が形成され、さらに、この壁部は複数の軸方向のスリットにより複数に分割されている構成としてもよい。このようにすれば、接続管を貫通孔に挿入するときに、貫通孔の入口部を容易に弾性的に拡径することができる。この突状部は、環状に形成されたものであっても、独立形状の複数の突状部からなるものであってもよい。
また、前記締結部品を接続管を貫通させる貫通孔を有するものとするとともに、前記係合部を、この貫通孔の内周面に形成されたOリング溝と、このOリング溝に装着されたOリングとから構成するようにしてもよい。このようにすれば、上記のように貫通孔の入口を弾性的に拡径可能な構成とするとともに貫通孔の内周面に突起を設けたものに比し、締結部品の構成を簡単にしながらこの締結部品で接続管を仮止めすることができる。また、従来周知のOリングを使用することにより、接続管を挿入する押圧力を適切な範囲に設定することができる。
また、上記食い込み式管接続構造において、食い込み式スリーブを、締結ナットに一体に形成されたものとし、接続管に食い込む前に締結部品からの軸方向の押圧力により締結部品から分離されるように構成したものとしてもよい。このようにすれば、食い込み式スリーブが締結ナットと一体に形成されているので、部品点数が削減され、管理費用が低減される。また、食い込み式スリーブを単独で接続管に外装したり、配管接続口に装着したりする工程が省略化されるので、作業性がより一層向上する。
また、この場合において、締結部品を継手本体に螺合される締結ナットとするとともに、食い込み式スリーブを半径方向に架け渡された薄肉連結部を介して締結ナットの内壁に連結された、締結ナットとの一体物から加工された構造としてもよい。このようにすれば、締結ナットを締結することにより食い込み式スリーブを締結ナットから切り離すことができる。また、食い込み式スリーブの回転を回避しながら、締結ナットを接続管に食い込ませることができる。これにより、シール性能を向上させることができる。
また、上記構成に代えて、食い込み式スリーブを、継手本体に一体に形成されたものとし、締結部品からの軸方向の押圧力により継手本体から分離されるように構成したものとしてもよい。このようにすれば、食い込み式スリーブが継手本体と一体に形成されているので、部品点数が削減され、管理費用が低減される。また、食い込み式スリーブを単独で接続管に外装したり、配管接続口に装着したりする工程が省略化されるので、作業性がより一層向上する。
また、締結部品を継手本体に螺合される締結ナットとするとともに、この食い込み式スリーブを独立物体として加工する。そして、独立物体として加工された食い込み式スリーブが軸心に平行な接合面で継手本体の配管接続口の端部に接合されて継手本体と一体化されたものとすることもできる。この場合、接着や係合などの方法で接合することが可能である。なお、この場合、食い込み式スリーブは、継手本体の外側に露出した状態で一体化された構造となるので、上記の場合に比し取り扱いに注意を要することになる。
また、本発明に係る管継手は、少なくとも二方向に管接続部を有し、少なくとも一つの管接続部に上記食い込み式管接続構造のいずれかを適用したものである。この管継手によれば、管接続部からの流体の漏れを低減することができるとともに、管接続作業の作業性を向上させることができる。
また、この管継手を二方向管継手とし、一方を上記食い込み式管接続構造とし、他方をロー付けによる管接続構造とすることもできる。このような二方向管継手は、一方の管接続部に取り外し可能に配管を接続する場合に好適である。
また、管継手を二方向管継手とし、双方の管接続部を上記食い込み式管接続構造とすることもできる。このようにすれば、双方の管接続部に取り外し可能に配管を接続する場合に好適である。
また、上記二方向管継手を異径とした異径管継手とすることもできる。この管継手は、異径の配管を接続する場合に好適である。
また、本発明に係る弁は、少なくとも一つの管接続部を有し、この少なくとも一つの管接続部には上記食い込み式管接続構造が用いられたものである。この弁によれば、管接続部からの漏れを低減することができるとともに、管接続作業の作業性を向上させることができる。
また、本発明に係る弁は、少なくとも一つの管接続部を有し、この少なくとも一つの管接続部には上記食い込み式管接続構造が用いられたものである。この弁によれば、管接続部からの漏れを低減することができるとともに、管接続作業の作業性を向上させることができる。
また、本発明に係る閉鎖弁は、少なくとも一つの管接続部を有し、この少なくとも一つの管接続部には上記食い込み式管接続構造が用いられたものである。この閉鎖弁によれば、管接続部からの漏れを低減することができるとともに、管接続作業の作業性を向上させることができる。
また、本発明に係る冷凍サイクル装置は、冷媒配管中に冷媒配管を取り外し可能に接続する少なくとも一つの管接続部が設けられており、この少なくとも一つの管接続部には上記食い込み式管接続構造が用いられているものである。この冷凍サイクル装置によれば、冷媒配管を取り外し可能に接続する接続部における冷媒の漏れが低減されるとともに、管接続作業の作業性を向上させることができる。
また、この冷凍サイクル装置において、前記冷媒回路に封入される冷媒を二酸化炭素等の高圧ガス冷媒としてもよい。このような冷凍サイクル装置では、冷媒配管内のガス圧力が高圧となるため、冷媒漏れのより少ない管接続構造が必要である。これに応えて信頼性を向上させることができる。
また、この冷凍サイクル装置において、前記冷媒回路に封入される冷媒をプロパン等のHC冷媒としてもよい。HC冷媒は可燃性であるので、配管接続部からの冷媒漏れを生じないようにする必要がある。したがって、HC冷媒を使用する冷凍サイクル装置においては冷媒漏れのより少ない管接続構造が必要である。これに応えて信頼性を向上させることができる。
また、この冷凍サイクル装置は、超臨界冷凍サイクルで運転されるものとすることもできる。超臨界サイクルで運転される冷凍サイクル装置においては、冷媒配管内の冷媒ガス圧力が高圧になるので、冷媒漏れのより少ない管接続構造が必要である。これに応えて信頼性を向上させることができる。
また、この冷凍サイクル装置は、ヒートポンプ式給湯装置であってもよい。ヒートポンプ式給湯装置においては、高温の給湯用水を供給可能とするために冷媒配管内の冷媒ガス圧力が高圧になるので、冷媒漏れのより少ない管接続構造が必要である。これに応えて信頼性を向上させることができる。
また、本発明に係る給湯装置は、給湯用水の水回路における管接続部に上記食い込み式管接続構造を用いたものである。給湯用水の水回路は現地配管で施工される場合が多いが、上記食い込み式管接続構造を採用することにより、漏れを低減するとともに、作業性を向上させることができる。
また、本発明に係る食い込み式管接続方法は、配管接続口に前記係合部としての突状部を形成した継手本体と、締結部品と、円環状の食い込み式スリーブとを準備する。そして、接続すべき接続管に締結部品および食い込み式スリーブを外装するとともに継手本体の配管接続口に挿入して、配管接続口の内周面に形成された係合部により接続管を仮止めする。次いで、締結工具を用いて前記締結部品を締結して食い込み式スリーブの本体部を接続管に食い込ませ、接続管を継手本体に接続固定することを特徴とする。
この食い込み式管接続方法によれば、接続管の端部を配管接続口に挿入することにより仮止めされるので、締結工具を用いて締結部品を締結するときには、接続管を所定位置に保持する作業が不要となり、作業性が大幅に向上する。
また、本発明に係る食い込み式管接続方法は、上記方法に代えて、接続管を貫通させる貫通孔を備えるとともに、この貫通孔の入口で接続管を弾性的に摩擦保持する係合部を形成した締結部品と、継手本体と、円環状の食い込み式スリーブとを準備する。そして、締結部品および食い込み式スリーブを接続管に外装し、接続管の端部を継手本体の配管接続口に挿入するとともに締結部品を継手本体に対する締結開始位置に固定して、締結部品に形成された係合部により接続管を仮止めする。そして、締結工具を用いて継手本体を締結することにより食い込み式スリーブを接続管に食い込ませ、接続管を継手本体に接続固定するようにしてもよい。
この食い込み式管接続方法によれば、締結部品を接続管に外装したときに係合部により外装位置を適宜の位置で保持することができる。したがって、その後の作業に都合のよい位置に締結部品を外装することができる。また、締結開始位置に締結部品を固定したときに、締結部品に形成された係合部で接続管を仮止めする。したがって、締結工具を用いて締結部品を締結するときには、接続管を所定位置に保持する作業が不要となり、作業性が大幅に向上する。
また、本発明に係る現地配管接続方法は、このような食い込み式管接続方法を適用して現地配管工事を行うことを特徴とするものである。このようにすれば、現地配管工事の管接続部からの漏れが低減され、工事の信頼性を向上させることができるとともに、作業性を向上させることができる。
本発明によれば、締結工具を用いて継手本体に対し締結部品を締結する前に、継手本体または締結部品に形成された係合部により接続管を仮止めすることができる。したがって、締結工具による締結部品の締結作業は、接続管を所定位置に保持する作業が不要となり、作業性を向上させることができる。
(実施の形態1)
以下、この発明の実施の形態1に係る食い込み式管接続構造を用いた食い込み式管継手について、図1〜図5に基づき説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る食い込み式管継手の接続状態の部分断面図である。図2は同管継手における継手本体の部分断面図であり、図3は同管継手における締結部品としての締結ナットの部分断面図であり、図4は図3におけるA部拡大図である。図5は、同管継手による配管の接続工程図であって、(a)は接続管を配管接続口に挿入して仮止めするとともに、締結ナットを締結始めた状態図であり、(b)は締結ナットの締結により食い込み式スリーブがガイド用テーパ面に当接した状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。
以下、この発明の実施の形態1に係る食い込み式管接続構造を用いた食い込み式管継手について、図1〜図5に基づき説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る食い込み式管継手の接続状態の部分断面図である。図2は同管継手における継手本体の部分断面図であり、図3は同管継手における締結部品としての締結ナットの部分断面図であり、図4は図3におけるA部拡大図である。図5は、同管継手による配管の接続工程図であって、(a)は接続管を配管接続口に挿入して仮止めするとともに、締結ナットを締結始めた状態図であり、(b)は締結ナットの締結により食い込み式スリーブがガイド用テーパ面に当接した状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。
本実施の形態に係る食い込み式管継手は、冷凍サイクル装置用の銅管製の冷媒配管を接続する管継手であって、取り外し可能に配管を接続する管接続部に、本発明に係る食い込み式管接続構造を用いたものである。また、この食い込み式管継手は、銅管より硬度の大きい銅合金から成る。この食い込み式管継手は、継手本体1と、締結部品としての締結ナット2と、円環状の食い込み式スリーブ3とを備えている。そして、この食い込み式管継手は、継手本体1の基端側(すなわち、この実施の形態では反締結ナット側)に銅管製の固定配管4が接続され、接続端側(この実施の形態では締結ナット側)に取り外し自在に接続すべき銅管製の接続管5が接続されるものである。ここで、固定配管4は取り外しを予定しない配管であり、接続管5は取り外し可能に接続する配管である。
継手本体1は、図1〜図3に示すように、ソケット部11と、ナット部12と、管接続部13とから構成されている。ソケット部11は、固定配管4が挿入されてロー付けされる部分である。ナット部12は、締結ナット2を締結するときに継手本体1を保持可能とするために外周がナット状に形成されている部分である。管接続部13は、締結ナット2を取り外し可能とすることにより、接続管5を取り外し可能に接続する部分である。
この構成において、ソケット部11からナット部12にかけての中心部には、固定配管4の端部を挿入するための配管接続口14が基端側に開口して形成されている。この配管接続口14は、固定配管4を所定位置に配置して接続するためのものである。そして、固定配管4の端部が配管接続口14の奥の壁に突き当たるまで挿入された状態で、固定配管4がロー付け接続されている。
管接続部13は、図1および図2に示すように、外周に締結ナット2を螺合するための雄ねじ15が形成されている。さらに、管接続部13の中心部には、接続管5の端部を挿入するための配管接続口16が接続端側に開口して形成されている。この配管接続口16は、接続管5を所定位置に配置して取り外し自在に接続するためのものである。そして、配管接続口16の端部には、中心線に対し傾斜角度α(図2参照)のガイド用テーパ面17が形成されている。ガイド用テーパ面17は、食い込み式スリーブ3の先端部3a(後記参照)を、接続管5に食い込ませるようにガイドするためのものである。このガイド用テーパ面17は、締結ナット側端面、すなわち接続端側の端面13aから配管接続口16の内部に向かって、かつ、配管接続口16の中心に向かって縮径するように形成されている。傾斜角度αは、後述する食い込み式スリーブ3の先端部3aを小さな力で曲げ易いものとするために大きな角度とすることができない。また、この傾斜角度αを小さくし過ぎると、先端部3aが接続管5に食い込まずに接続管5と配管接続口16との間に押し込まれるという現象が生じる。したがって、傾斜角度αは、小さすぎるのも好ましくなく、中心線に対し15°〜30°が好ましと考えられる。また、傾斜角度αは、より好ましくは20°〜25°である。
さらに、配管接続口16の内周面の軸方向略中央部には、小さな突状部19が形成されている。この突状部19は、内周面全体に形成されて環状を成している。この突状部19は、接続管5を配管接続口16に挿入したときに、接続管5の外周面に摩擦力を作用させて接続管5を仮止めする係合部を構成する。このため、突状部19の内径は接続管5の外径より小さく形成されている。また、この突状部19の中心線に対する傾斜角度は、挿入された接続管5が抜けにくいようにするため、入口側面191の傾斜角度を小さくし、内部側面192の傾斜角度を大きく(略直角に)している。なお、この継手本体1において、両配管接続口14、16は、継手本体1の中央部の中心部に形成されている連通孔18により連通されている。
締結ナット2は、図1および図3に示すように、内部に空間21を有するナット形状のものであって、空間21の突き当たりの側壁22には接続管5を貫通させる貫通孔23が形成されている。また、貫通孔23周囲の側壁22内周面には、後述する食い込み式スリーブ3を押圧する押圧面24が形成されている。また、空間21の内周面には、継手本体1の雄ねじ15に螺合される雌ねじ25が形成されている。さらに、締結ナット2の空間21内には、この締結ナット2と一体的に加工された食い込み式スリーブ3が配置されている。
食い込み式スリーブ3は、図4に拡大して示すように、中央部に接続管5を嵌挿させる貫通孔31を設けた円環状物である。また、この円環状物の後端には、締結ナット2の押圧面24に当接する受圧面32が形成されている。また、食い込み式スリーブ3の先端側の外周面には、中心線に対し傾斜角度βのテーパ面33が形成されている。また、食い込み式スリーブ3の受圧面32側の略半分の外周面には、緩やかなテーパ面34が形成されている。傾斜角度βは、前述のガイド用テーパ面17の傾斜角度αと同様に、先端部3aができるだけ小さな力で曲げられるように、かつ、先端部3aが接続管5に食い込まずに接続管5と配管接続口16との間に押し込まれることがないような角度に設定される。具体的には、傾斜角度βは、β/αを0.5〜1.0とするのが好ましく、この実施の形態では15°に設定されている。また、食い込み式スリーブ3の先端部3aにおける厚みは、接続管5の外径が9.52mmの場合で0.1〜0.5mm程度とされている。
また、このように形成される食い込み式スリーブ3は、図5に示すように、受圧面32の近傍部分が半径方向に架け渡された薄肉連結部26を介して締結ナット2の内壁に連結された状態で、締結ナット2と食い込み式スリーブ3とが一体物として形成されている。また、この薄肉連結部26は、テーパ面34に接続する部分が最も薄い部分26aとなるように形成されている。また、最も薄い部分26aの厚さは、締結工具で締結ナット2を継手本体1に対し締結するときに発生する食い込み式スリーブ3を軸方向に押圧する押圧力(第2押圧力)により剪断される程度とされている。なお、締結ナット2における食い込み式スリーブ3の後側は、切り離された食い込み式スリーブ3が締結ナット2の側壁22の押圧面24に対し何ら阻害されずに近づくことができるように、押圧面24との間が、薄肉連結部26の最大外周半径のままの空洞に形成されている。
この実施の形態1において、本発明における食い込み式管接続構造は、管接続部13に対し接続管5を取り外し可能に接続する上述の構造をいう。より具体的には、接続すべき接続管5を挿入する配管接続口16を有する継手本体1と、継手本体1に締結される締結部品といての締結ナット2と、円環状の食い込み式スリーブ3とを備えているものであって、継手本体1の配管接続口16の内周面に、接続管5の外周面に摩擦力を作用させて仮止めする係合部が形成されていることを特徴とするものである。また、ここでいう係合部は、配管接続口16の内周面に形成された環状の突状部19に構成されている。
上記のように構成される本実施の形態に係る食い込み式管接続構造を用いた食い込み式管継手では、次のようにして接続すべき接続管5が接続される。なお、以下の説明においては、継手本体1に予め固定配管4がロー付けにより接続されているものとして説明する。
まず、締結ナット2の貫通孔23および食い込み式スリーブ3の貫通孔31に対し、接続管5の先端部を貫通させて、接続管5に締結ナット2および食い込み式スリーブ3を外装する。次いで、継手本体1の管接続部13の配管接続口16に接続管5の先端部を挿入する。このとき、突状部19に対し接続管5を手で強く押しながら挿入する。このように挿入すると、接続管の先端部は外周面に擦り傷5aが付けられるが、これにより接続管の外周に対し摩擦力が作用し、接続管5が配管接続口16から抜け出さないように保持される。図5(a)はこの状態を示す。なお、図5aにおいて締結ナット2は、継手本体1の雄ねじ15に少し螺合された状態で示している。
この状態からは、接続管5を手で保持することなく締結ナット2を継手本体1の雄ねじ15に引き続き螺合させることができる。また、引き続き締結ナット2が継手本体1に螺合されることにより、締結ナット2に一体化された食い込み式スリーブ3の先端部3aがガイド用テーパ面17に押圧されるようになる。図5(b)はこの状態を示している。また、これ以降は締結ナット2を手回しすることが困難になる。そこで、締結工具を使用して締結ナット2を締結する。このように締結作業が継続されると、締結ナット2からの軸方向の押圧力が食い込み式スリーブ3の薄肉連結部26の最も薄い部分26aに作用し、この部分26aが軸方向に切断されて、食い込み式スリーブ3が締結ナット2から分離される。その後、食い込み式スリーブ3の受圧面32が締結ナット2の押圧面24に当接され、この押圧面24からの軸方向の押圧力により、食い込み式スリーブ3の先端部3aが接続管5に食い込むように変形される。この結果、流体が外部に漏れないように接続管5が継手本体1に確実に接続される。また、このように締結された状態時には、締結ナット2の締結に必要な締付トルクが所定値に達するので、締結ナット2の締結作業を終了する。図5(c)はこの接続完了の状態を示す。なお、この図5(c)は図1と同一の状態図である。
本実施の形態に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は、以上のような構成を備えているので、次のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施の形態に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は、締結工具を用いて継手本体1に対し締結部品としての締結ナット2を締結する前に、継手本体1に形成された係合部により接続管5を仮止めすることができる。したがって、締結工具による締結ナット2の締結作業は、接続管5を所定位置に保持する作業が不要となり、作業性を向上させることができる。
(1)本実施の形態に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は、締結工具を用いて継手本体1に対し締結部品としての締結ナット2を締結する前に、継手本体1に形成された係合部により接続管5を仮止めすることができる。したがって、締結工具による締結ナット2の締結作業は、接続管5を所定位置に保持する作業が不要となり、作業性を向上させることができる。
(2)また、本実施の形態における係合部は、配管接続口16の内周面に形成された環状の突状部19により構成されているので、接続管5を単に押し込むだけで仮止めすることができる。なお、このように接続管5の端部を押し込むと、端部に擦り傷5aが付くが、この擦り傷5aは配管接続口16内に押し込まれた接続管5の先端部分のみに形成されるので、食い込み式スリーブ3によるシール機能には影響がない。
(3)また、突状部19は、配管接続口16の内周面に環状に形成された構成であるので、配管接続口16の内周面における突状部19の加工は比較的容易である。
(4)また、食い込み式スリーブ3が、締結ナット2に一体に形成されるとともに、接続管5に食い込む前に締結部品としての締結ナット2からの軸方向の押圧力により、締結ナット2から分離されるように構成されている。このように食い込み式スリーブ3が締結ナット2と一体に形成されているので、部品点数が削減され、管理費用が低減される。また、食い込み式スリーブ3を単独で接続管5に外装したり、配管接続口16に装着したりする工程が省略化されるので、作業性がより一層向上する。
(4)また、食い込み式スリーブ3が、締結ナット2に一体に形成されるとともに、接続管5に食い込む前に締結部品としての締結ナット2からの軸方向の押圧力により、締結ナット2から分離されるように構成されている。このように食い込み式スリーブ3が締結ナット2と一体に形成されているので、部品点数が削減され、管理費用が低減される。また、食い込み式スリーブ3を単独で接続管5に外装したり、配管接続口16に装着したりする工程が省略化されるので、作業性がより一層向上する。
(5)また、食い込み式スリーブ3を半径方向に架け渡された薄肉連結部26を介して締結ナット2の内壁に連結する一体物構造とされているので、締結ナット2を締結することにより食い込み式スリーブ3を締結ナット2から容易に切り離すことができる。また、食い込み式スリーブ3を締結ナット2から切り離した後に最終的に食い込ませるようにしているので、締結ナット2とともに食い込み式スリーブ3が回転することを回避しつつ、締結ナット2を接続管5に食い込ませることができる。したがって、接続管5の表面に食い込み式スリーブ3の先端部3aによる回転方向の擦り傷が形成されないので、シール性能を向上させることができる。
(6)また、この実施の形態1に係る食い込み式管継手は、二方向管継手であって、一方を上記のような食い込み式管接続構造とし、他方をロー付けによる管接続構造とするものである。したがって、このような食い込み式管継手は、一方の管接続部のみが現地配管となる場合に好適である。
(7)以上の如く、本実施の形態の食い込み式管接続構造を用いた管接続方法は、接続管5の端部を配管接続口16に挿入することにより仮止めされるので、締結工具を用いて締結部品を締結するときには、接続管5を所定位置に保持する作業が不要となり、作業性が大幅に向上する。
(8)また、この実施の形態1に係る食い込み式管継手は、二方向管継手であって、一方を上記のような食い込み式管接続構造とし、他方をロー付けによる管接続構造とするものである。したがって、このような食い込み式管継手は、一方の管接続部のみが現地配管となる場合に好適である。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図6及び図7に基づき説明する。なお、図6は、本発明の実施の形態2に係る食い込み式管接続構造における継手本体の図面であって、(a)は部分断面図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図である。また、この図面において、実施の形態1と同一又は相当する要素には同一の符号を付してその説明を簡略化する。なお、図6および図7において実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
次に、実施の形態2に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図6及び図7に基づき説明する。なお、図6は、本発明の実施の形態2に係る食い込み式管接続構造における継手本体の図面であって、(a)は部分断面図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図である。また、この図面において、実施の形態1と同一又は相当する要素には同一の符号を付してその説明を簡略化する。なお、図6および図7において実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
実施の形態2は、実施の形態1における係合部を構成する突状部19の構成を変更したものである。実施の形態1においては、係合部を構成する突状部19は、配管接続口16の内周面全体に連続する環状を成していたが、本実施の形態では、この突状部19を、図6(a)および(b)に示すように、その内周面における所定位置の円周上に等間隔に配置された3個の錐体状の突状部19aとしたものである。この3個の突状部19aの先端を通る円周の直径d(図6(a)参照)を接続管5の外径より小さくしている。実施の形態2はこの点において相違するのみで他は実施の形態1と同一である。
以上のように構成された実施の形態2に係る食い込み式管接続構造を用いた食い込み式管継手は、前述の実施の形態1に係る接続工程と同様にして、接続管5の接続が行われる。したがって、ここではその説明を省略する。
実施の形態2は以上のように構成されているので、実施の形態1の場合と同様に、接続管5を配管接続口16に挿入することにより接続管5が仮止めされる。また、この場合、接続管5の外周面に付けられる軸方向の擦り傷5aは、突状部19aに対応する角度位置でのみ軸方向の線状に形成される。このため、突状部19aによる仮止め効果は、接続管5の回転方向の動きに対しては、上記の場合に比し大きくなる。したがって、締結部材である締結ナット2を継手本体1に締結するときに、接続管5の供回りがより一層防止され、食い込み式スリーブ3の食い込みによるシール効果が向上する。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図7に基づき説明する。なお、図7は、実施の形態1における図5に対応する配管接続工程図であり、本発明の実施の形態3に係る食い込み式管継手による配管の接続工程図であって、(a)は接続管を配管接続口に挿入して仮止めしするとともに、締結ナットを締結始めた状態図であり、(b)は締結ナットの締結により食い込み式スリーブがガイド用テーパ面に当接した状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。この図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
次に、実施の形態3に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図7に基づき説明する。なお、図7は、実施の形態1における図5に対応する配管接続工程図であり、本発明の実施の形態3に係る食い込み式管継手による配管の接続工程図であって、(a)は接続管を配管接続口に挿入して仮止めしするとともに、締結ナットを締結始めた状態図であり、(b)は締結ナットの締結により食い込み式スリーブがガイド用テーパ面に当接した状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。この図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
実施の形態3に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は、実施の形態1の係合部をOリング利用の構成に変更したものである。すなわち、実施の形態1では配管接続口16の内周面に環状の突状部19が形成されていたが、実施の形態3はこれに代わり、図7に示すように、配管接続口16の内周面にOリング溝151を形成し、このOリング溝151にOリング152を装着したものである。なお、その他の構成は、実施の形態1と同一である。
このように構成された実施の形態3においては、図7に示すように、実施の形態1の場合と同様の工程により配管接続される。まず、図7(a)に示すように、締結ナット2および食い込み式スリーブ3を外装した接続管5の先端部を継手本体1の配管接続口16に挿入する。このとき、配管接続口16の内周面にはOリング152が装着されているので、接続管5を手又は適宜の手段で押し込むことができる。また、接続管5は、押し込まれた後はOリング152の弾性締付力で作業中抜けることがない程度に保持され、仮止めされた状態となる。このとき、接続管5には実施の形態1の場合のような擦り傷を付けずに済む。
この状態からは、接続管5を手で保持することなく締結ナット2を継手本体1の雄ねじ15に引き続き螺合させると、図7(b)に示すように、締結ナット2に一体化された食い込み式スリーブ3の先端部3aがガイド用テーパ面17に押圧されるようになる。この段階までは、締結ナット2の締付負荷がない状態であるので、締結ナット2を手回しで締結することができるが、これ以降は負荷が作用するので手回しが困難になる。そこで、締結工具を使用して締結ナット2を締結する。これにより、食い込み式スリーブ3が、締結ナット2と連結されている肉厚の最も薄い部分26aで軸方向に切断されて分離される。そして、さらに締結ナット2が締め付けられることにより、締結ナット2の押圧面24が食い込み式スリーブ3の受圧面32に当接し、最終的には、図7(c)に示すように、食い込み式スリーブ3の先端部3aが接続管5に食い込むように変形される。この結果、流体が外部に漏れないように接続管5が継手本体1に確実に接続される。
本実施の形態に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は、以上のように従来周知のOリング152を用いて接続管5を仮止めすることができるので、接続管5を挿入する押圧力も適切な範囲に抑えることができる。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図8に基づき説明する。図8は、本発明の実施の形態3に係る食い込み式管継手による配管の接続工程図であって、(a)は接続管を配管接続口に挿入して仮止めしているが、食い込み式スリーブが締結ナットにより押圧されていない状態図であり、(b)は締結ナットの締結により食い込み式スリーブがガイド用テーパ面に当接した状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。この図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
次に、実施の形態4に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図8に基づき説明する。図8は、本発明の実施の形態3に係る食い込み式管継手による配管の接続工程図であって、(a)は接続管を配管接続口に挿入して仮止めしているが、食い込み式スリーブが締結ナットにより押圧されていない状態図であり、(b)は締結ナットの締結により食い込み式スリーブがガイド用テーパ面に当接した状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。この図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
実施の形態4に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は、実施の形態1における食い込み式スリーブを分離独立させたものである。すなわち、実施の形態1では、食い込み式スリーブ3を締結ナット2と一体の物として製作していたが、実施の形態4では、食い込み式スリーブ3を締結ナット2とは別体の2分割の独立物品として形成した点において相違する。
すなわち、食い込み式スリーブ3は、実施の形態1の場合と同様に中央部に接続管5を貫通させる貫通孔31を設けた円環状物を成す別体の独立物品として形成されているが、継手本体側部分311と締結ナット側部分312とに分割されている。両者の分割線は、図8に示すように、外周側が管継手の中心線に対し垂直に形成され、内周側がガイド用テーパ面17と同方向に傾斜するとともに、その傾斜角度がガイド用テーパ面17の傾斜角度より大きく形成されている。また、継手本体側部分311の外周側には、実施の形態1の場合と同様に傾斜角度βのテーパ面33が形成されている。なお、食い込み式スリーブ3の先端部(すなわち、継手本体側部分311の先端部)3aは、実施の形態1の場合と同様に形成されている。また、食い込み式スリーブ3の後端面(締結ナット側部分312の後端面)は、締結ナット2で押圧される受圧面35として中心軸に対し傾斜する壁面に形成されている。
一方、締結ナット2は、その空間21内部に食い込み式スリーブ3を形成する必要がないため、空間21は略円筒状に形成されている。そして、この空間21の突き当りの側壁22の内面は、食い込み式スリーブ3の受圧面35を押圧する傾斜した押圧面28として形成されている。なお、実施の形態4に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手における上記以外の構成は、実施の形態1と同一である。
このように構成された実施の形態4においては、図8に示すように、実施の形態1の場合と同様の工程により配管接続される。まず、図8(a)に示すように、締結ナット2および食い込み式スリーブ3を外装した接続管5の先端部を継手本体1の配管接続口16に挿入する。このとき、配管接続口16の内周面には係合部としての突状部19が形成されているので、この突状部19に対し接続管を圧入される。このため、接続管5の先端部には擦り傷が形成され、摩擦力により接続管が作業中抜けることがない程度に保持され、仮止めされる。また、このように接続管5を配管接続口16に挿入した後、食い込み式スリーブ3を概略ガイド用テーパ面17に当接する状態にしておく。
この状態からは、接続管5を手で保持することなく締結ナット2を継手本体1の雄ねじ15に引き続き螺合させると、図8(b)に示すように、締結ナット2の押圧面28が食い込み式スリーブ3の受圧面35に当接し、食い込み式スリーブ3の先端部3aをガイド用テーパ面17に押圧するようになる。この段階までは、締結ナット2の締付負荷がない状態であるので、締結ナット2を手回しで締結することができるが、これ以降は負荷が掛かるので手回しが困難になる。そこで、締結工具を使用して締結ナット2を締結する。これにより、図8(c)に示すように、食い込み式スリーブ3の先端部3aが接続管5に食い込むように変形される。この結果、流体が外部に漏れないように接続管5が継手本体1に確実に接続される。
本実施の形態に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手では、独立物品として構成される一般的な食い込み式スリーブ3を用いて接続管5を仮止めすることができる。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図9〜図14に基づき説明する。ここで、図9は、本実施の形態に係る食い込み式管継手の接続状態の部分断面図である。図10は同管継手における継手本体の部分断面図であり、図11は同管継手における締結部品としての締結ナットの部分断面図であり、図12は図11におけるC部拡大図である。図13は同締結ナットの側面図である。また、図14は、同食い込み式管接続構造における配管の接続工程図であって、(a)は螺合開始直後の締結ナットに接続管が仮止めされている状態図であり、(b)は食い込み式スリーブがガイド用テーパ面に押圧され始めの状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。なお、これら図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
次に、実施の形態5に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図9〜図14に基づき説明する。ここで、図9は、本実施の形態に係る食い込み式管継手の接続状態の部分断面図である。図10は同管継手における継手本体の部分断面図であり、図11は同管継手における締結部品としての締結ナットの部分断面図であり、図12は図11におけるC部拡大図である。図13は同締結ナットの側面図である。また、図14は、同食い込み式管接続構造における配管の接続工程図であって、(a)は螺合開始直後の締結ナットに接続管が仮止めされている状態図であり、(b)は食い込み式スリーブがガイド用テーパ面に押圧され始めの状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。なお、これら図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
実施の形態1〜4では、接続管5を仮止めする係合部を継手本体1の配管接続口16の内周面に形成していたが、この実施の形態5では、締結部品としての締結ナット2の貫通孔23の入口部に、接続管5を弾性的に把持する機構を形成し、これを本実施の形態における接続管5を仮止めする係合部としている。
実施の形態5に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手においては、継手本体1は、図9および図10に示すように、配管接続口16の内周面に係合部を有さない点で実施の形態1のものと相違し、その他の構成は実施の形態1のものと同一である。すなわち、実施の形態5における継手本体1は、配管接続口16に突状部が形成されていないものである。
また、締結部材としての締結ナット2は、図10、図11などに示すように、貫通孔23の入口部に接続管5を仮止めする機構を形成している点を除いては実施の形態1と同一である。この係合部は、貫通孔23を通過させる接続管5の外周面を、この貫通孔23で弾性的に把持して保持するものである。係合部は、具体的には、図11の部分断面図に示すように、貫通孔23の内周面入口に内向きの環状の突状部40が形成されている。この突状部40は、接続管5の挿入抵抗を少なくし、接続管5の抜け抵抗を大きくするために、図12の入口部の拡大図に示すように、入口側面41の中心線に対する傾斜角度を直角より小さく、内部側面42の中心線に対する傾斜角度を略直角に形成されている。また、この貫通孔23の入口部の肉厚を薄くするために、入口部における貫通孔23の周囲には側面に開放する環状の凹溝43が形成されている。また、この肉厚を薄くした壁部44には、図13の側面図に示すように、等間隔で6箇所にスリット45が形成されている。このスリット45は、入口部の壁部44に弾性力を持たせるために形成されたものであって、凹溝43と同一の深さに形成されている。なお、スリット45の数は、この実施の形態では6箇所であるが、これに限ったものではなく、接続管5を挿入するときに入口部が適宜の弾性力で変形するように、配管径、入口部の肉厚などを考慮して適宜の数に設定される。なお、図12における2点鎖線は壁部44が弾性的に変形する様を現している。
以上のように構成された実施の形態5では、実施の形態1の場合と同様の手順で接続される。これを図14に示す。まず、食い込み式スリーブ3が一体化された締結ナット2を接続管5に外装する。この外装により、締結ナット2と接続管5とは、上述の係合部によりに弾性的に相互に固定された状態となる。次いで、接続管5を配管接続口16に挿入する。そして、締結ナット2を接続管5に外装された状態のままで締結開始位置に配置する。この状態において接続管5は締結ナット2に仮止めされる(図14(a)参照)。次いで、締結ナット2を締結することにより、実施の形態1の場合と同様に、食い込み式スリーブ3がガイド用テーパ面17に押圧される状態となる(図14(b)参照)。そして、さらに、締結ナット2が締結される。この後の螺合は力を要するので、通常は締結工具を使用して締結される。この締結が進められることにより、食い込み式スリーブ3が締結ナット2から分離され、最終的には、食い込み式スリーブ3の先端部3aが接続管5に食い込んで、接続管5の接続作業が終了する(図14(c)参照)。
以上のように構成された実施の形態5に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は、実施の形態1の場合と同様に、締結工具を用いて締結部品である締結ナット2を継手本体に対し締結するに先立ち、接続管5を仮止めすることができる。したがって、配管接続作業が効率化される。また、この実施の形態のものでは、締結ナット2を接続管5に外装した場合に締結ナット2の移動を防止することができ、作業上都合のよい位置に締結ナット2を外装して一定位置に保持することができる。また、接続管5の外周面に作用する摩擦力を弾性的摩擦力としているので、接続管5の外周面の擦り傷を少なくすることができる。この結果、食い込み式スリーブ3の食い込み面の擦り傷を小さくすることができ、この擦り傷によるシール効果の低下を小さくすることができる。
また、貫通孔23は、入口部が薄肉の壁部44で形成されるとともに、壁部44の内周面には先端が接続管5の外周面より中心線側になる突状部40が形成されている。さらに、壁部44は複数の軸方向のスリット45により複数に分割されている。このため、接続管5を貫通孔23に挿入するときに、貫通孔23の入口部を容易に弾性的に拡径することができる。したがって、接続管5の貫通孔23への挿入は容易である。特に、突状部40の入口側面41の中心線に対する傾斜角度が直角より小さい角度に形成されているので、容易に弾性変化するように工夫されている。なお、これに対し、突状部40の内部側面42の中心線に対する角度が直角に形成されているので、接続管5を抜く方向への移動は力がより必要となるように工夫されている。また、この実施の形態における突状部40は、環状に形成されているので、加工が容易である。
(実施の形態6)
次に、実施の形態6に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図15に基づき説明する。ここで、図15は、本実施の形態に係る食い込み式管継手における締結部品としての締結ナットの図面であって、(a)は部分断面図であり、(b)は同側面図である。なお、これら図において、実施の形態5と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
次に、実施の形態6に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図15に基づき説明する。ここで、図15は、本実施の形態に係る食い込み式管継手における締結部品としての締結ナットの図面であって、(a)は部分断面図であり、(b)は同側面図である。なお、これら図において、実施の形態5と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
実施の形態6は、実施の形態5における突状部40の構成を変更したものである。すなわち、実施の形態5において突状部40は、環状に形成されていたが、この実施の形態6では、実施の形態1の突状部40を独立形状の複数の突状部40aからなるものに変更している。独立形状の突状部40aとしては、角錐状や円錐状のものが考えられる。また、この実施の形態では、突状部40aは貫通孔23の内面に3個形成されている。そして、壁部44に設けられるスリット45が実施の形態5の場合と同様に形成されている。したがって、この突状部40aが形成された部分は、実施の形態5の場合と同様に弾性変形が容易に行われる。
実施の形態6に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は以上のように構成されているので、実施の形態5の場合と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態7)
次に、実施の形態7に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図16に基づき説明する。ここで、図16は、実施の形態7に係る食い込み式管接続構造における配管の接続工程図であって、(a)は接続管挿入前の状態図であり、(b)は接続管挿入後の状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。なお、これら図において、実施の形態1または実施の形態5と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
(実施の形態7)
次に、実施の形態7に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図16に基づき説明する。ここで、図16は、実施の形態7に係る食い込み式管接続構造における配管の接続工程図であって、(a)は接続管挿入前の状態図であり、(b)は接続管挿入後の状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。なお、これら図において、実施の形態1または実施の形態5と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
前述の実施の形態5では、締結部品としての締結ナット2の貫通孔23の入口部に、接続管5を弾性的に把持する機構を形成し、これを接続管5を仮止めする係合部としていた。これに対し、本実施の形態7は、実施の形態5と比較し、締結ナット2の貫通孔23に接続管5を仮止めする係合部を形成する点において同一であるが、その構成を異にする。すなわち、実施の形態7では、締結ナット2の貫通孔23の入口部は実施の形態1と同様とする。そして、この貫通孔23の中央部にOリング溝155を設け、このOリング溝155にOリング156を装着した構成としている。そしてこのOリング156により貫通孔23に挿通される接続管5を把持して仮止めするものである。なお、その他の点は実施の形態1または実施の形態5と同様である。
以上のように構成された実施の形態7では、まず、食い込み式スリーブ3が一体化された締結ナット2を継手本体1に螺合し、食い込み式スリーブ3の先端部3aがガイド用テーパ面17に当接する状態とする(図16(a)参照)。次いで、接続管5の端部を締結ナット2の貫通孔23および食い込み式スリーブ3の貫通孔31を挿通させて、配管接続口16に挿入する。この挿入により、食い込み式スリーブ3および締結ナット2が接続管5に外装されるとともに、接続管5が締結ナット2に仮止めされた状態となる(図16(b)参照)。そして、締結工具を使用してさらに締結ナット2が締結される。このとき接続管5は締結ナットに仮止めされているので保持する必要はない。この締結が進められることにより、食い込み式スリーブ3が締結ナット2から分離され、最終的には、食い込み式スリーブ3の先端部3aが接続管5に食い込んで、接続管5の接続作業が終了する(図16(c)参照)。
以上のように構成された実施の形態7に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は、実施の形態1や実施の形態5の場合と同様に、締結工具を用いて締結部品である締結ナット2を継手本体に対し締結するに先立ち、接続管5を仮止めすることができる。また、実施の形態5の場合に比し、締結部品としての締結ナット2の構成を簡単にしながら締結ナット2で接続管5を仮止めすることができる。また、従来周知のOリング156を使用することにより、接続管5を挿入する押圧力を適切な範囲に設定することができる。
(実施の形態8)
次に、実施の形態8に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図17に基づき説明する。ここで、図17は、実施の形態8に係る食い込み式管継手における配管の接続工程図であって、(a)は接続管が仮止めされるとともに、締結ナットが螺合開始直後の状態図であり、(b)は食い込み式スリーブがガイド用テーパ面に当接した状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。なお、これら図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
次に、実施の形態8に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手について、図17に基づき説明する。ここで、図17は、実施の形態8に係る食い込み式管継手における配管の接続工程図であって、(a)は接続管が仮止めされるとともに、締結ナットが螺合開始直後の状態図であり、(b)は食い込み式スリーブがガイド用テーパ面に当接した状態図であり、(c)は締結ナットの締結完了状態図である。なお、これら図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
実施の形態8は、実施の形態1において締結ナット2に一体化されていた食い込み式スリーブ3を、継手本体1に一体化するようにしたものである。そのために食い込み式スリーブ3を独立物体として別体に構成し、これを継手本体1に接着して一体化している。また、継手本体1および締結ナット2の構成を実施の形態1の場合と比較し、部分的に変更している。
図17に示すように、継手本体1は、実施の形態1の場合と同様に、ソケット部11(図17では図示省略、符号は実施の形態1のもの)、ナット部12、管接続部13を有している。ソケット部11及びナット部12は、実施の形態1と同様である。管接続部13は、実施の形態1の場合と同様に雄ねじ15、係合部としての突状部19を内周面に備えた配管接続口16、ガイド用テーパ面17、連通孔18を有している。しかし、締結ナット2側の端部は、実施の形態1の場合より締結ナット2側に延長した延長部分51を有している。この延長部分51は、先端部において内向壁が形成され、内向壁の中心部に食い込み式スリーブ3の外周面を接着するための接着用孔部52が形成されている。この接着用孔部52の内周面が食い込み式スリーブ3の外周面を接着する接着面を構成する。そして、食い込み式スリーブ3は、後述するように、その外周面がこの接着用孔部52に接着されて継手本体1と一体化されている。
締結ナット2は、実施の形態1と同様に、内部に空間21を有するナット形状のものであって、空間21の突き当たりの側壁22には接続管5を貫通させる貫通孔23が形成されている。そして、空間21の内周面には、継手本体1の雄ねじ15に螺合される雌ねじ25が形成されている。一方、締結ナット2は、次の点で実施の形態1と異なる。すなわち、この実施の形態8に係る締結ナット2の場合は、貫通孔23の周壁が空間21内に突出している。すなわち継手本体1側に突出して突出部53を形成している。この突出部53の継手本体1側の端面が食い込み式スリーブを押圧する押圧面54に形成されている。突出部53の外周には、空間21の一部として円筒状の空間21aが形成されている。この空間21aは、締結ナット2を継手本体1に螺合して締結するときに、継手本体1の管接続部13の内向壁を形成する延長部分51が入り込むスペースとなっている。
食い込み式スリーブ3は、実施の形態1と同様に、中央部に接続管5を嵌挿させる貫通孔31を設けた円環状物である。また、実施の形態1と同様に、先端部3a側の外周面をテーパ面33としているが、その後側部分の外周面は、中心軸に略平行な平行面36に形成されている。また、食い込み式スリーブ3の後端面は、締結ナット2の押圧面54に当接する受圧面37として形成されている。この食い込み式スリーブは、締結ナット2や継手本体1と同一の材料である銅合金製で独立物体として別体に形成された後、前記平行面36において、前述の接着用孔部52の内周面(接合面)に予め接着されて、継手本体と一体化されている。この接着力は、手回しで締結される締結ナット2からの軸方向の力により分離される程度に形成するのが好ましい。
上記に説明されているように、この実施の形態8に係る食い込み式管接続構造は、管接続部13に対し接続管5を取り外し可能に接続する上述の構造をいう。より具体的には、接続管5を挿入する配管接続口16を有する継手本体1と、継手本体1に締結される締結部品としての締結ナット2と、円環状の食い込み式スリーブ3とを備えている。そして、継手本体1に、配管接続口16へ挿入される接続管5の外周面に摩擦力を作用させて仮止めする係合部としての突状部19が形成されている。さらに、食い込み式スリーブ3を継手本体1に一体に形成されたものとするとともに、締結ナット2からの軸方向の押圧力により継手本体1から分離されるように構成したものである。
以上のように構成された実施の形態8に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は、次のようにして接続すべき接続管5が接続される。まず、締結ナットおよび食い込み式スリーブを外装した接続管5の先端部を配管接続口16に挿入する。この挿入の際、突状部19により接続管5が仮止めされる。また、この状態にしてから手回し等で締結ナット2の押圧面が食い込み式スリーブの受圧面37に当接するところまで締結する(図17(a)参照)。次に、手回し又は締結工具等で締結ナット2をさらに締め付ける。これにより、締結ナット2の押圧面54からの力が食い込み式スリーブ3の受圧面37に作用して、食い込み式スリーブ3が継手本体1から分離され、先端部3aがガイド用テーパ面17に押圧される状態となる(図17(b)参照)。この状態から締結ナット2がさらに強く締め付けられる。これにより、食い込み式スリーブ3の先端部3aが接続管5に食い込み、締結ナット2の締結に必要な締付トルクが所定値に達する。そこで締結ナット2の締結作業を終了する(図17(c)参照)。
本実施の形態に係る食い込み式管接続構造およびこれを用いた食い込み式管継手は、以上のような構成を備えているので、実施の形態1における前述の(1)〜(3)および(6)〜(8)の効果に加えて、次のような効果を奏することができる。
(1)食い込み式スリーブ3が継手本体1と一体に形成されているので、部品点数が削減されて、管理費用が低減される。また、食い込み式スリーブ3のみを接続管5に外装したり、配管接続口16に装着したりする工程が省略化されるので、作業性がより一層向上する。
(2)また、本実施の形態においては、食い込み式スリーブ3の外周面が継手本体1の接着用孔部52の内周面に接着されることにより継手本体1と一体化されている。また、締結ナット2を締結するときに発生する締結ナット2からの軸方向の押圧力により、食い込み式スリーブ3が継手本体1から分離する程度の接着力で一体化されている。したがって、食い込み式スリーブ3は、締結ナット2を締結することにより容易、かつ自動的に切り離すことができる。
(実施の形態9)
次に、実施の形態9について図18に基づき説明する。図18は、実施の形態9に係る閉鎖弁の接続状態の断面図である。なお、これら図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
次に、実施の形態9について図18に基づき説明する。図18は、実施の形態9に係る閉鎖弁の接続状態の断面図である。なお、これら図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
実施の形態9は、実施の形態1に係る食い込み式管接続構造を管接続部に備えた三方向に接続部を有する閉鎖弁60の例である。この閉鎖弁60は、図7に示すように、第1円筒部61〜第4円筒部64の一端部が互いに連通するように略十字状に接続されるハウジングを備えている。このハウジングの第1円筒部61は、第1ポートを形成し、固定配管(図示せず)がロー付け接続される。第2円筒部62は、第2ポートを形成し、実施の形態1に係る食い込み式管接続構造が用いられて、取り外し可能に接続管68が接続される。第3円筒部63は、冷媒回路の真空引きや冷媒回路への冷媒充填などの作業を行うための逆止弁付のサービスポートを形成する。第4円筒部64は、この閉鎖弁60の操作部を構成している。
ここで、第2円筒部62について、より具体的に説明する。第2円筒部62は、実施の形態1の管接続部13と同様の管接続部65を有している。また、この管接続部65には、締結ナット66が螺合され、締結ナット66と管接続部65の端部との間に食い込み式スリーブ67が介在されている。この締結ナット66および食い込み式スリーブ67は実施の形態1における締結ナット2および食い込み式スリーブ3と全く同一の構成に形成されている。このため、締結前においては、締結ナット66と食い込み式スリーブ67とは一体物として形成されていたものである。このように、閉鎖弁60の管接続部65への接続管68の接続は、実施の形態1の場合と同様の食い込み式管接続構造が適用されている。したがって、この実施の形態9に係る閉鎖弁60では、取り外し可能に接続される接続管68の接続部における流体の漏れを低減することができるとともに、管接続作業の作業性を向上させることができる。
(実施の形態10)
次に、実施の形態10について図19に基づき説明する。図19は、実施の形態10に係る食い込み式異径管継手の接続状態の部分断面図である。なお、これら図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
次に、実施の形態10について図19に基づき説明する。図19は、実施の形態10に係る食い込み式異径管継手の接続状態の部分断面図である。なお、これら図において、実施の形態1と同一の要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
実施の形態10は、管接続部に実施の形態1に係る食い込み式管接続構造を備えた二方向に接続部を有する異径管継手70の例である。この異径管継手70は、図8に示すように、継手本体71の両側に実施の形態1における管接続部13と同様の構造を有する二つの管接続部72、76を備えている。また、この両管接続部72、76には締結ナット73、77が螺合締結され、この締結ナット73、77と管接続部72、76との間に食い込み式スリーブ74、78が介在するように構成されている。この締結ナット73、77および食い込み式スリーブ74、78は、実施の形態1における締結ナット2および食い込み式スリーブ3とそれぞれ同一の構成である。なお、両管接続部72、76は、接続するべき接続管75と接続管79との管径を異ならせるように構成されている。この場合には接続管75が接続管79より大径に形成されている。
実施の形態10の異径管継手70は、以上のように二方向の管接続部72、76における管接続構造として実施の形態1に係る食い込み式管接続構造が適用されている。したがって、この異径管継手70によれば、管接続部72、76からの流体の漏れを低減することができるとともに、管接続作業の作業性を向上させることができる。
(実施の形態11)
次に、実施の形態11に係る冷凍サイクル装置について図20に基づき説明する。この冷凍サイクル装置はプロパン等のHC冷媒を使用する分離型空気調和機であって、図20にその概略配管システムを示す。この図に示すように、この分離型空気調和機は、1台の室外ユニット81に対し1台の室内ユニット82を接続するものであって、室外ユニット81の出入口には閉鎖弁83が取り付けられ、室内ユニット82の出入口に管継手84が取り付けられている。そして、この閉鎖弁83と管継手84との間に連絡配管85が接続されている。また、この閉鎖弁83および管継手84の連絡配管の接続部には、実施の形態1に係る食い込み式管接続構造が採用されている。したがって、閉鎖弁83としては前述の実施の形態9に係るような閉鎖弁60が用いられ、管継手84としては実施の形態1のような食い込み式管継手が用いられている。
次に、実施の形態11に係る冷凍サイクル装置について図20に基づき説明する。この冷凍サイクル装置はプロパン等のHC冷媒を使用する分離型空気調和機であって、図20にその概略配管システムを示す。この図に示すように、この分離型空気調和機は、1台の室外ユニット81に対し1台の室内ユニット82を接続するものであって、室外ユニット81の出入口には閉鎖弁83が取り付けられ、室内ユニット82の出入口に管継手84が取り付けられている。そして、この閉鎖弁83と管継手84との間に連絡配管85が接続されている。また、この閉鎖弁83および管継手84の連絡配管の接続部には、実施の形態1に係る食い込み式管接続構造が採用されている。したがって、閉鎖弁83としては前述の実施の形態9に係るような閉鎖弁60が用いられ、管継手84としては実施の形態1のような食い込み式管継手が用いられている。
実施の形態11に係る冷凍サイクル装置は、以上のように、取り外し可能に接続される連絡配管85の管接続構造が実施の形態1に係る食い込み式管接続構造と同一に形成されている。したがって、取り外し可能に接続する連絡配管85における配管接続部における冷媒の漏れが低減されるとともに、連絡配管85の接続作業の作業性を向上させることができる。また、冷媒漏れの少ない閉鎖弁および管継手が用いられているので、本実施の形態のように冷媒としてHC冷媒を使用する冷凍サイクル装置の信頼性が向上する。
(実施の形態12)
次に、実施の形態12に係る冷凍サイクル装置について図21に基づき説明する。この冷凍サイクル装置はプロパン等のHC冷媒を使用する分離型空気調和機であって、図21にその概略配管システムを示す。この図に示すように、この分離型空気調和機は、1台の室外ユニット91に対し複数台(この場合4台)の室内ユニット92を接続するものであって、室外ユニット91の出入口には閉鎖弁93が取り付けられている。この閉鎖弁93に対し現地配管施工により主連絡配管94が接続されるとともに、この主連絡配管94に対し分岐管95が現地配管施工により分岐接続される。分岐管95は、異径管継手96を用いて主連絡配管94に接続されている。このようにして、各室内ユニット92は、この分岐管95および主連絡配管94を介して室外ユニット91に対し並列に接続されている。
次に、実施の形態12に係る冷凍サイクル装置について図21に基づき説明する。この冷凍サイクル装置はプロパン等のHC冷媒を使用する分離型空気調和機であって、図21にその概略配管システムを示す。この図に示すように、この分離型空気調和機は、1台の室外ユニット91に対し複数台(この場合4台)の室内ユニット92を接続するものであって、室外ユニット91の出入口には閉鎖弁93が取り付けられている。この閉鎖弁93に対し現地配管施工により主連絡配管94が接続されるとともに、この主連絡配管94に対し分岐管95が現地配管施工により分岐接続される。分岐管95は、異径管継手96を用いて主連絡配管94に接続されている。このようにして、各室内ユニット92は、この分岐管95および主連絡配管94を介して室外ユニット91に対し並列に接続されている。
上記構成において、室外ユニット91の出入口に取り付けられる閉鎖弁93は、前述の実施の形態9の場合と同様に、管接続部に実施の形態1に係る食い込み式管接続構造が適用されている。具体的には、実施の形態9のような閉鎖弁60が用いられている。また、この異径管継手96は、前述の実施の形態10の場合と同様に、管接続部に実施の形態1に係る食い込み式管接続構造が適用されている。具体的には、実施の形態10のような異径管継手70が用いられている。なお、この場合、分岐管95の径が主連絡配管94の径より小さいことはいうまでもない。
実施の形態12に係る冷凍サイクル装置は、以上のように、現地配管施工される主連絡配管94および分岐管95の管接続部には、実施の形態1に係る食い込み式管接続構造が用いられているので、主連絡配管94および分岐管95の配管接続部における冷媒漏れが低減されるとともに、主連絡配管94および分岐管95の現地配管施工の作業性が向上する。また、冷媒漏れの少ない閉鎖弁および異径管継手が用いられているので、冷媒としてHC冷媒を使用する冷凍サイクル装置の信頼性を向上させることができる。
(実施の形態13)
次に、実施の形態13に係る冷凍サイクル装置について図22に基づき説明する。この冷凍サイクル装置は二酸化炭素などの自然冷媒を使用するヒートポンプ式給湯装置であって、冷凍サイクルを構成する凝縮器の凝縮熱を給湯熱源とするものである。図22にその概略配管システムを示す。このヒートポンプ式給湯装置における冷媒回路は、図22において実線矢印のように冷媒を循環させるものであって、圧縮機101、冷媒の凝縮熱を給湯用水に放熱する水用熱交換器102、膨張弁103、外気を熱源とする熱源用熱交換器104とが順次接続されたものである。そして、この冷媒回路中には二酸化炭素からなる冷媒が充填され、超臨界冷凍サイクルで運転されることにより、外気から熱を汲み上げて水用熱交換器102で給湯用水を加熱している。
次に、実施の形態13に係る冷凍サイクル装置について図22に基づき説明する。この冷凍サイクル装置は二酸化炭素などの自然冷媒を使用するヒートポンプ式給湯装置であって、冷凍サイクルを構成する凝縮器の凝縮熱を給湯熱源とするものである。図22にその概略配管システムを示す。このヒートポンプ式給湯装置における冷媒回路は、図22において実線矢印のように冷媒を循環させるものであって、圧縮機101、冷媒の凝縮熱を給湯用水に放熱する水用熱交換器102、膨張弁103、外気を熱源とする熱源用熱交換器104とが順次接続されたものである。そして、この冷媒回路中には二酸化炭素からなる冷媒が充填され、超臨界冷凍サイクルで運転されることにより、外気から熱を汲み上げて水用熱交換器102で給湯用水を加熱している。
一方、水用熱交換器102により加熱される給湯回路は、破線矢印のように給湯用水を流通させるものであって、貯湯タンク105の底部、水循環ポンプ106、水用熱交換器102、貯湯タンク105上部の循環水回路を構成している。また、貯湯タンク105の上部には、給湯栓、浴槽などに温水を供給する出湯管107が接続され、貯湯タンク105の底部には給水管108が接続されている。
また、上記構成において、熱源用熱交換器104は送風機104aとともに屋外に設置される屋外ユニット109として構成されている。一方、圧縮機101、水用熱交換器102および膨張弁103の冷媒回路機器と、貯湯タンク105、水循環ポンプ106の給湯回路機器とが機械室設置用の屋内ユニット110として構成されている。そして、屋内ユニット110の出入口には閉鎖弁111が接続され、屋外ユニット109の出入口には管継手112が接続され、この間を現地配管施工の連絡配管113により接続している。また、この連絡配管113の接続部には実施の形態1に係る食い込み式管接続構造が適用されている。具体的には、閉鎖弁111として、実施の形態9のような閉鎖弁60が接続されている。また、管継手112として、実施の形態1のような管継手が接続されている。
一方、給湯管にも管継手が使用されている。すなわち、出湯管107は管継手115を介して貯湯タンク105の上部に接続され、給水管108は管継手115を介して貯湯タンク105の底部に接続されている。これら管継手115も、実施の形態1に係る食い込み式管接続構造が適用されている。具体的には実施の形態1に係る食い込み式管継手が使用されている。
以上のように構成される実施の形態14に係るヒートポンプ式給湯装置によれば、冷媒回路中に二酸化炭素からなる冷媒が充填されて、超臨界冷凍サイクルでヒートポンプ運転されているので、高温の給湯用水を得ることができる。また、このような冷媒回路では冷媒圧力が高くなるため現地配管施工になる管接続部の冷媒漏れ対策が重要である。しかし、本実施の形態のように、実施の形態1に係る食い込み式管接続構造を適用した閉鎖弁111および管継手112を使用して現地施工の配管が接続されているので、信頼性の高い装置を得ることができるとともに、現地配管接続作業の作業性を向上させることができる。また、給湯回路の管接続構造も実施の形態1に係る食い込み式管接続構造を適用した管継手115が使用されているので、信頼性の高いものを得ることができるとともに、現地配管接続作業の作業性を向上させることができる。また、本ヒートポンプ式給湯装置では、低圧となる熱源用熱交換器が独立の屋外ユニット109として形成されているので、熱ロスの心配なく熱源用熱交換器104を屋外の適切な場所に設置することができる。
(実施の形態14)
次に、実施の形態14に係る冷凍サイクル装置について図23に基づき説明する。この冷凍サイクル装置は、実施の形態13の場合と同様に、二酸化炭素などの自然冷媒を使用するヒートポンプ式給湯装置であって、冷凍サイクルを構成する凝縮器の凝縮熱を給湯熱源とするものである。しかし、実施の形態13と比較すると、ユニットの構成が異なり、さらに貯湯タンクを複数にした点において相違するものである。
次に、実施の形態14に係る冷凍サイクル装置について図23に基づき説明する。この冷凍サイクル装置は、実施の形態13の場合と同様に、二酸化炭素などの自然冷媒を使用するヒートポンプ式給湯装置であって、冷凍サイクルを構成する凝縮器の凝縮熱を給湯熱源とするものである。しかし、実施の形態13と比較すると、ユニットの構成が異なり、さらに貯湯タンクを複数にした点において相違するものである。
すなわち、本実施の形態に係るヒートポンプ式給湯装置は、図23に示すように、熱源ユニット121と貯湯ユニット131とに分離されている。熱源ユニット121は、冷凍サイクル部分を収納したユニットである。ここに収納されている冷凍サイクル部分は、図23における実線矢印のように冷媒を循環させるものであって、圧縮機122、冷媒の凝縮熱を放熱して給湯用水を加熱する水用熱交換器123、膨張弁124、外気を熱源とする熱源用熱交換器125とが順次接続された冷媒回路を形成している。なお、熱源用熱交換器125には送風機125aが付設されている。そして、この冷媒回路中には二酸化炭素からなる自然冷媒が充填され、超臨界冷凍サイクルで運転されている。
貯湯ユニット131は、給湯回路部分を収納したものである。給湯回路は、図23における破線矢印のように、前段側貯湯タンク132の底部、水循環ポンプ133、水用熱交換器123、後段側貯湯タンク134の上部、後段側貯湯タンク134の底部、前段側貯湯タンク132の上部、前段側貯湯タンク132の底部と循環する回路に構成されている。また、後段側貯湯タンク134の上部には、出湯管135が接続され、前段側貯湯タンク132の底部には給水管136が接続されている。このため、この実施の形態においては、冷凍サイクル部分の水用熱交換器123で加熱された給湯用水は、後段側貯湯タンク134の上部に送られ、前段側貯湯タンク132底部の水が水用熱交換器123に送られている。この結果、加熱された高温の温水は、後段側貯湯タンク134の上方部から下方部に、さらに前段側貯湯タンク132の上方部から下方部へと順次貯留されていく。したがって、高温層は運転開始時では後段側貯湯タンク134の上部のみとなるが、運転を継続するにつれ、後段側貯湯タンク134の底部、前段側貯湯タンク132の上部、前段側貯湯タンク132の底部へと拡大する。
また、本実施の形態においては、この貯湯ユニット131を熱源ユニット121に接続する水配管138は、管継手139を介して接続されている。さらに、出湯管135および給水管136も管継手140を介して接続されている。そして、これら管継手139、140における管接続部には、実施の形態1に係る食い込み式管接続構造が適用されている。具体的には、実施の形態1に係る食い込み式管継手が用いられている。
以上のように構成された実施の形態14に係る給湯装置によれば、実施の形態13に係るヒートポンプ式給湯装置と同様に、冷媒回路中に二酸化炭素からなる冷媒が充填されて、超臨界冷凍サイクルでヒートポンプ運転されているので、高温の給湯用水を得ることができる。また、給湯回路には、実施の形態1に係る食い込み式管接続構造のものを適用した管継手139、140が使用されているので、流体の漏れの少ない信頼性の高いものを得ることができるとともに、現地配管接続作業の作業性を向上させることができる。また、実施の形態13の場合と異なり、貯湯タンクが複数個で構成されているので、貯湯タンク内における給湯用水の高温層と低温層との境界部の面積を小さくすることができる。このため、熱効率を高くすることができる。また、貯湯タンクを複数個に分割しているため、貯湯タンクの胴径を細くすることができる。したがって、貯湯タンクの収納スペースをコンパクトにすることができる。
(変型例)
上記各実施の形態は、次のように変形することもできる。
(1)実施の形態1〜8に係る各管接続構造は、実施の形態10の異径管継手70および実施の形態9のような閉鎖弁60を含め各種の管継手および弁に適用することができる。これらの場合においても、管接続部の漏れを低減するとともに、管接続作業の作業性を向上させることができる。
上記各実施の形態は、次のように変形することもできる。
(1)実施の形態1〜8に係る各管接続構造は、実施の形態10の異径管継手70および実施の形態9のような閉鎖弁60を含め各種の管継手および弁に適用することができる。これらの場合においても、管接続部の漏れを低減するとともに、管接続作業の作業性を向上させることができる。
(2)実施の形態11〜14の各実施の形態において、実施の形態2〜8の管接続構造を管接続部に用いた管継手あるいは閉鎖弁等の弁を用いることができる。これらの場合においても、管接続部の漏れを低減するとともに、管接続作業の作業性を向上させることができる。
(3)実施の形態2、3、5〜7、9〜14において、実施の形態4に順じ、独立部品として形成された食い込み式スリーブ3を採用することもできる。
(4)実施の形態1〜7において、食い込み式スリーブ3の緩やかなテーパ面34を、実施の形態8のように接続管5の中心線に平行な面に形成してもよい。
(4)実施の形態1〜7において、食い込み式スリーブ3の緩やかなテーパ面34を、実施の形態8のように接続管5の中心線に平行な面に形成してもよい。
(5)実施の形態11および12に示す冷凍サイクル装置では、冷媒はHC冷媒を使用しているが、他の冷媒に変更してもよい。同様に、実施の形態13および14において、二酸化炭素を冷媒として使用しているが他の冷媒を使用してもよい。
(6)実施の形態11〜14の冷凍サイクル装置では、現地配管施工される配管の接続にのみ、実施の形態1に係る管接続構造を適用する例を示しているが、これに限定されるものではなく機内の配管に適用してもよい。例えば、実施の形態13および14において、貯湯タンク105、132、134を交換可能とするように、貯湯タンク105、132、134に接続される配管全てに、この食い込み式管接続構造を応用した食い込み式管継手を使用してもよい。
(7)また、給湯装置もヒートポンプ式に限られるものはなく、ガス焚き式給湯装置、電気温水器など他の形式の給湯装置であってもよく、これら給湯装置におけるにおける水配管にも本発明に係る食い込み式管接続構造を適用することができる。
1、71…継手本体、2、66、73、77…締結ナット、3、67、74、78…食い込み式スリーブ、5、68、75、79…接続管、13、65、72、76…管接続部、16…配管接続口、19、19a、40、40a…突状部、23…(食い込み式スリーブの)貫通孔、26…薄肉連結部、31…(締結ナットの)貫通孔、44…壁部、45…スリット、152、156…Oリング。
Claims (27)
- 接続すべき接続管を挿入する配管接続口を有する継手本体と、継手本体に締結される締結部品と、円環状の食い込み式スリーブとを備えるとともに、継手本体または締結部品に、配管接続口へ挿入される接続管の外周面に摩擦力を作用させて仮止めする係合部が形成されていることを特徴とする食い込み式管接続構造。
- 前記係合部は、配管接続口の内周面に形成された突状部により構成されていることを特徴とする請求項1記載の食い込み式管接続構造。
- 前記配管接続口の内周面に形成された突状部は、配管接続口の内周面に環状に形成された突状部であることを特徴とする請求項2記載の食い込み式管接続構造。
- 締結部品は継手本体に螺合される締結ナットであり、前記配管接続口の内周面に形成された突状部は、配管接続口の内周面における所定位置の円周上に等間隔に配置された少なくとも3個以上の錐体状の突状部であることを特徴とする請求項1または2記載の食い込み式管接続構造。
- 前記係合部は、前記配管接続口の内周面に形成されたOリング溝と、このOリング溝に装着されたOリングとから構成されることを特徴とする請求項1記載の食い込み式管接続構造。
- 前記締結部品は、接続管を貫通させる貫通孔を有し、前記係合部は、この貫通孔において接続管の外周面に弾性的摩擦力を付与するように形成された貫通孔の構成であることを特徴とする請求項1記載の食い込み式管接続構造。
- 前記貫通孔は、入口部が薄肉の壁部で形成されるとともに、この壁部の内周面には先端が接続管の外周面より中心線側になる突状部が形成され、さらに、この壁部は複数の軸方向のスリットにより複数に分割されていることを特徴とする請求項6記載の食い込み式管接続構造。
- 前記締結部品は、接続管を貫通させる貫通孔を有し、前記係合部は、この貫通孔の内周面に形成されたOリング溝と、このOリング溝に装着されたOリングとから構成されることを特徴とする請求項1記載の食い込み式管接続構造。
- 食い込み式スリーブは、締結部品に一体に形成されるとともに、接続管に食い込む前に締結部品からの軸方向の押圧力により締結部品から分離されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造。
- 締結部品は継手本体に螺合される締結ナットであり、食い込み式スリーブは、径方向に架け渡された薄肉連結部を介して締結ナットの内壁に連結された、締結ナットとの一体物から加工された構造であることを特徴とする請求項9記載の食い込み式管接続構造。
- 食い込み式スリーブは、継手本体に一体に形成されるとともに、前記締結部品からの軸方向の押圧力により継手本体から分離されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造。
- 締結部品は、継手本体に螺合される締結ナットであり、食い込み式スリーブは、独立物体として加工されたものであって、軸心に略平行な接合面で継手本体の配管接続口の端部に接合されて継手本体と一体化されたものであることを特徴とする請求項10記載の食い込み式管接続構造。
- 少なくとも二方向に管接続部を有し、少なくとも一つの管接続部には請求項1〜12のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造が用いられていることを特徴とする管継手。
- 二方向に管接続部を有し、一方の管接続部には請求項1〜12のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造が用いられ、他方の管接続部はロー付けにより配管が接続されるように構成されていることを特徴とする管継手。
- 二方向に管接続部を有し、双方の管接続部には請求項1〜12のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造が用いられていることを特徴とする管継手。
- 前記二方向に設けられた管接続部は、異径の接続管を接続するように構成されていることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の管継手。
- 少なくとも一つの管接続部を有し、この少なくとも一つの管接続部には請求項1〜12のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造が用いられていることを特徴とする弁。
- 少なくとも一つの管接続部を有し、この少なくとも一つの管接続部には請求項1〜12のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造が用いられていることを特徴とする閉鎖弁。
- 冷媒回路は冷媒配管を取り外し可能に接続する少なくとも一つの管接続部を有し、この少なくとも一つの管接続部には請求項1〜12のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造が用いられていることを特徴とする冷凍サイクル装置。
- 前記冷媒回路に封入される冷媒が二酸化炭素等の高圧ガス冷媒であることを特徴とする請求項19記載の冷凍サイクル装置。
- 前記冷媒回路に封入される冷媒がプロパン等のHC冷媒であることを特徴とする請求項19記載の冷凍サイクル装置。
- 超臨界冷凍サイクルで運転されることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
- ヒートポンプ式給湯装置に構成されていることを特徴とする請求項19〜22のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
- 給湯用水の水回路における管接続部には、請求項1〜12のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造が用いられていることを特徴とする給湯装置。
- 請求項2〜5のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造を構成する継手本体、締結部品および円環状の食い込み式スリーブを準備し、接続すべき接続管に締結部品および食い込み式スリーブを外装するとともに接続管の端部を継手本体の配管接続口に挿入して、配管接続口の内周面に形成された係合部により接続管を仮止めし、次いで、締結工具を用いて前記締結部品を締結して食い込み式スリーブを接続管に食い込ませ、接続管を継手本体に接続固定することを特徴とする食い込み式管接続方法。
- 請求項6〜8のいずれか1項に記載の食い込み式管接続構造を構成する継手本体、締結部品および円環状の食い込み式スリーブを準備し、締結部品および食い込み式スリーブを接続管に外装し、接続管の端部を継手本体の配管接続口に挿入するとともに締結部品を継手本体に対する締結開始位置に固定して、締結部品に形成された係合部により接続管を仮止めし、次に、締結工具を用いて継手本体を締結することにより食い込み式スリーブを接続管に食い込ませ、接続管を継手本体に接続固定することを特徴とする食い込み式管接続方法。
- 請求項25または26記載の食い込み式管接続方法を適用して現地配管工事を行うことを特徴とする現地配管接続方法。
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