JP2007270818A - 流体機械及び冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の回転機構の回転軸同士が一直線状に連結されてなる流体機械において、潤滑油を安定して供給する。
【解決手段】圧縮機構21の回転軸56の内部には、給油路68が形成されている。膨張機構22の回転軸36の内部には、給油路38が形成されている。回転軸56の下端には、ボス部81が設けられている。回転軸36の上端には、ボス部81に嵌め込まれる軸部82が設けられている。ボス部81及び軸部82からなる連結部80の周囲を、膨張機構22の上軸受42によって覆う。上軸受42は、回転軸36及び回転軸56の両方を支持している。
【選択図】図2
【解決手段】圧縮機構21の回転軸56の内部には、給油路68が形成されている。膨張機構22の回転軸36の内部には、給油路38が形成されている。回転軸56の下端には、ボス部81が設けられている。回転軸36の上端には、ボス部81に嵌め込まれる軸部82が設けられている。ボス部81及び軸部82からなる連結部80の周囲を、膨張機構22の上軸受42によって覆う。上軸受42は、回転軸36及び回転軸56の両方を支持している。
【選択図】図2
Description
本発明は、流体を圧縮する圧縮機構又は流体を膨張させる膨張機構からなる回転機構を複数備えた流体機械に関するものである。本発明は、さらに、その流体機械を用いた冷凍サイクル装置に関する。
例えば、2003年3月に(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構より発行された成果報告書“エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発 CO2空調機用二相流膨張機・圧縮機の開発”p.43−45に開示されているように、密閉容器内に複数の回転機構が収容され、これら回転機構の回転軸同士が一直線状に連結された流体機械が知られている。
図27は、上記文献に開示された流体機械を概念的に表した図である。図27に示すように、この流体機械は、縦長の密閉容器101と、密閉容器101内に収容された圧縮機構102、電動機103及び膨張機構104とを備えている。圧縮機構102の回転軸105の上端には、断面が正六角形状の凹部105aが形成されている。一方、膨張機構104の回転軸106の下端には、断面が正六角形状の凸部106aが形成されている。そして、上記凸部106aと上記凹部105aとが嵌合することにより、回転軸105と回転軸106とが連結されている。この凹部105aと凸部106aとにより、両回転軸105,106を連結する連結部107が形成されている。
ところで、圧縮機構102及び膨張機構104に対しては、潤滑油を供給することが必要である。そこで、密閉容器101の底部には、潤滑油を貯留した油溜まり部112が設けられている。回転軸105の下部には油ポンプ115が取り付けられ、回転軸105,106の内部には給油路113が形成されている。このような構成により、油ポンプ115によって汲み上げられた潤滑油は、給油路113を経て圧縮機構102及び膨張機構104の摺動部に供給される。
なお、符号108は圧縮前の流体を吸入する吸入管、符号109は圧縮後の流体を吐出する吐出管、符号110は膨張前の流体を吸入する吸入管、符号111は膨張後の流体を吐出する吐出管である。
同様の流体機械は、特開平9−126171号公報にも開示されている。
しかしながら、上記流体機械では、圧縮機構102の回転軸105と膨張機構104の回転軸106とは、連結部107において連結されているだけなので、給油路113内の潤滑油が連結部107(詳しくは、凹部105aと凸部106aとの間の隙間)から漏れ出すおそれがあった。そのため、上側の回転機構、すなわち膨張機構104に対して潤滑油を安定して供給できないという課題があった。また、連結部107から漏れた潤滑油が、密閉容器101内の流体とともに吐出管109から流出しやすかった。そのため、密閉容器101内の潤滑油の量が不足するおそれがあった。
通常、圧縮機構102及び膨張機構104は、密閉容器101に対して溶接されている。しかし、溶接にあたっては、圧縮機構102及び膨張機構104の取付位置の若干のずれが避けられない。ところが、回転軸105,106は長尺物であるため、両回転軸105,106の連結部107においては、そのずれが増幅される。そこで、図27に示す流体機械では、圧縮機構102及び膨張機構104の取付位置のずれを考慮して、連結部107に遊びを持たせている。すなわち、回転軸105の凹部105aと回転軸106の凸部106aとの間に、予めある程度の隙間を設けている。そのため、連結部107からの潤滑油の漏れが多くなりがちであった。
一方、特開平9−126171号公報に開示されている流体機械においては、2本の回転軸を継ぎ手を介して連結している。回転軸をスムーズに回転させるためには、継ぎ手と回転軸との間に適度な隙間を設け、その隙間に各機構の取付位置のずれや熱変形を吸収させる必要がある。したがって、回転軸を連結するためのこの継ぎ手は、潤滑油の漏れに対しては何ら貢献せず、むしろ、潤滑油の漏れを助長する。潤滑油の漏れを防止するために継ぎ手と回転軸との間の隙間を十分小さくするという案もあるが、そのようにすると組立性が低下するとともに、各機構の取付位置のずれや熱変形を吸収する効果が不十分となる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の回転機構の回転軸同士が一直線状に連結されてなる流体機械において、各回転機構に対して潤滑油を安定して供給することである。また、本発明の他の目的は、密閉容器の外部に潤滑油が流出することを抑制することである。
すなわち、本発明は、
軸方向に延びる第1給油路が内部に形成された第1回転軸を有し、流体を圧縮する圧縮機構又は流体を膨張させる膨張機構からなる第1回転機構と、
軸方向に延びる第2給油路が内部に形成されるとともに、第1給油路と第2給油路との間を潤滑油が流通可能となるように第1回転軸に一直線状に連結された第2回転軸を有し、流体を圧縮する圧縮機構又は流体を膨張させる膨張機構からなる第2回転機構と、
第1及び第2回転機構を収容する密閉容器と、
密閉容器の内部において、第1回転軸と第2回転軸との連結部分の周囲を覆い、第1及び第2回転軸の少なくとも一方を支持する軸受と、
を備えた、流体機械を提供する。
軸方向に延びる第1給油路が内部に形成された第1回転軸を有し、流体を圧縮する圧縮機構又は流体を膨張させる膨張機構からなる第1回転機構と、
軸方向に延びる第2給油路が内部に形成されるとともに、第1給油路と第2給油路との間を潤滑油が流通可能となるように第1回転軸に一直線状に連結された第2回転軸を有し、流体を圧縮する圧縮機構又は流体を膨張させる膨張機構からなる第2回転機構と、
第1及び第2回転機構を収容する密閉容器と、
密閉容器の内部において、第1回転軸と第2回転軸との連結部分の周囲を覆い、第1及び第2回転軸の少なくとも一方を支持する軸受と、
を備えた、流体機械を提供する。
上記流体機械では、第1回転軸と第2回転軸との連結部分の周囲は、軸受によって覆われる。そのため、上記連結部分からの潤滑油の漏れは抑制される。したがって、各回転機構に対して潤滑油を安定して供給することができる。また、上記連結部分からの潤滑油の漏れが抑制されるので、密閉容器の外部に潤滑油が流出することを抑制することができる。また、上記流体機械によれば、上記連結部分から潤滑油が漏れたとしても、当該潤滑油は、軸受の潤滑やシールに有効利用される。さらに、上記流体機械によれば、軸受によって連結部分が支持されるので、両回転軸を安定して支持することができる。
他の側面において、本発明は、
軸方向に延びる第1給油路が内部に形成された第1回転軸を有し、流体を圧縮する圧縮機構又は流体を膨張させる膨張機構からなる第1回転機構と、
軸方向に延びる第2給油路が内部に形成された第2回転軸を有し、流体を圧縮する圧縮機構又は流体を膨張させる膨張機構からなる第2回転機構と、
第1及び第2回転軸の少なくとも一方を回転可能に支持する軸受と、
第1回転機構、第2回転機構及び軸受を収容する密閉容器と、
軸受の内部に配置され、第1及び第2回転軸と嵌合することによって、第1給油路と第2給油路とを連通させつつ第1回転軸と第2回転軸とを連結する連結部材と、
を備えた、流体機械を提供する。
軸方向に延びる第1給油路が内部に形成された第1回転軸を有し、流体を圧縮する圧縮機構又は流体を膨張させる膨張機構からなる第1回転機構と、
軸方向に延びる第2給油路が内部に形成された第2回転軸を有し、流体を圧縮する圧縮機構又は流体を膨張させる膨張機構からなる第2回転機構と、
第1及び第2回転軸の少なくとも一方を回転可能に支持する軸受と、
第1回転機構、第2回転機構及び軸受を収容する密閉容器と、
軸受の内部に配置され、第1及び第2回転軸と嵌合することによって、第1給油路と第2給油路とを連通させつつ第1回転軸と第2回転軸とを連結する連結部材と、
を備えた、流体機械を提供する。
上記流体機械によれば、第1回転機構の回転軸(第1回転軸)と第2回転機構の回転軸(第2回転軸)とは別体であるので、それら回転機構の組立性が向上する。また、連結部材は軸受の内部に配置されており、軸受によって覆われている。そのため、各回転軸と連結部材との間の隙間から潤滑油が漏れにくくなる。したがって、両回転機構に対して潤滑油を安定して供給することができる。また、潤滑油の漏れが抑制されるので、密閉容器の外部に潤滑油が流出することを抑制することができる。さらに、上記流体機械によれば、上記隙間から漏れた潤滑油は、本来的に潤滑油が必要とされる部分、すなわち、軸受と回転軸との間に供給されるので、軸受の潤滑やシールに有効利用される。
また、上記した各流体機械は、空気調和装置や給湯器の心臓部をなす冷凍サイクル装置に適用することができる。
すなわち、本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機構、圧縮機構に動力を与える電動機、冷媒を膨張させる膨張機構、および圧縮機構と膨張機構とを連結するシャフトを有する膨張機一体型圧縮機と、冷媒を冷却する放熱器と、冷媒を蒸発させる蒸発器とを備え、第1回転機構が圧縮機構、第2回転機構が膨張機構である上記流体機械によって、膨張機一体型圧縮機が構成されている冷凍サイクル装置を提供する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態に係る流体機械5Aは、膨張機一体型圧縮機として冷凍サイクル装置1の冷媒回路に組み込まれている。流体機械5Aは、冷媒を圧縮する圧縮機構21(第1回転機構)と、冷媒を膨張させる膨張機構22(第2回転機構)とを備えている。圧縮機構21は、吸入管6を介して蒸発器3に接続されるとともに、吐出管7を介して放熱器2に接続されている。膨張機構22は、吸入管8を介して放熱器2に接続されるとともに、吐出管9を介して蒸発器3に接続されている。
図1に示すように、本実施形態に係る流体機械5Aは、膨張機一体型圧縮機として冷凍サイクル装置1の冷媒回路に組み込まれている。流体機械5Aは、冷媒を圧縮する圧縮機構21(第1回転機構)と、冷媒を膨張させる膨張機構22(第2回転機構)とを備えている。圧縮機構21は、吸入管6を介して蒸発器3に接続されるとともに、吐出管7を介して放熱器2に接続されている。膨張機構22は、吸入管8を介して放熱器2に接続されるとともに、吐出管9を介して蒸発器3に接続されている。
この冷媒回路には、高圧部分(圧縮機構21から放熱器2を経て膨張機構22に至る部分)において超臨界状態となる冷媒が充填されている。本実施形態では、そのような冷媒として二酸化炭素(CO2)が充填されている。ただし、冷媒の種類は特に限定されるものではなく、運転時に超臨界状態とならない冷媒(例えばフロン系の冷媒等)であってもよい。
また、流体機械5Aが組み込まれる冷媒回路は、冷媒を一方向にのみ流通させる冷媒回路に限られない。流体機械5Aは、冷媒の流通方向の変更が可能な冷媒回路に設けられていてもよい。例えば、流体機械5Aは、四方弁等を有することによって暖房運転及び冷房運転の可能な冷媒回路に設けられていてもよい。
図2に示すように、流体機械5Aの圧縮機構21及び膨張機構22は、密閉容器10の内部に収容されている。膨張機構22は圧縮機構21よりも下方に配置されており、圧縮機構21と膨張機構22との間には電動機23が設けられている。
密閉容器10は、上下両端が開放された円筒状の筒部11と、筒部11の上端を閉鎖する上蓋部12と、筒部11の下端を閉鎖する底蓋部13とを備えている。上蓋部12と筒部11、底蓋部13と筒部11は、それぞれ溶接等により接合されている。上蓋部12には、電気ケーブル等が接続される端子14が固定されている。密閉容器10内の底部には、潤滑油を貯留する油溜まり部15が形成されている。圧縮機構21及び膨張機構22は、この密閉容器10の長手方向、つまり、上下方向に沿って並んでいる。
まず、膨張機構22の構成を説明する。膨張機構22は、ロータリ式であり、第1膨張部30aと第2膨張部30bとを備えている。第1膨張部30aは、第2膨張部30bよりも下方に配置されている。
第1膨張部30aは、略円筒状のシリンダ31aと、シリンダ31a内に挿入された円筒状のピストン32aとを備えている。シリンダ31aの内周面とピストン32aの外周面との間には、第1膨張室33aが区画されている。シリンダ31aには、径方向に延びるベーン溝が形成され、このベーン溝にはベーン34aと、ベーン34aをピストン32aに向かって付勢するばね35aとが設けられている。ベーン34aは、第1膨張室33aを高圧側の膨張室と低圧側の膨張室とに仕切っている。
第2膨張部30bは、第1膨張部30aとほぼ同様の構成を有している。すなわち、第2膨張部30bは、略円筒状のシリンダ31bと、シリンダ31b内に挿入された円筒状のピストン32bと、シリンダ31bのベーン溝内に設けられたベーン34bと、ベーン34bをピストン32bに向かって付勢するばね35bとを備えている。シリンダ31bの内周面とピストン32bの外周面との間には、第2膨張室33bが区画されている。
膨張機構22は、第1偏心部36a及び第2偏心部36bを有する回転軸36(第2回転軸)を備えている。第1偏心部36aはピストン32aの内部に摺動可能に挿入されており、第2偏心部36bはピストン32bの内部に摺動可能に挿入されている。これにより、ピストン32aは、第1偏心部36aによって、偏心した状態でシリンダ31a内を旋回するように規制されている。また、ピストン32bは、第2偏心部36bにより、偏心した状態でシリンダ31b内を旋回するように規制されている。
回転軸36の下端部は、油溜まり部15の潤滑油に浸漬されている。この回転軸36の下端部には、潤滑油を汲み上げる油ポンプ37が設けられている。回転軸36の内部には、軸方向に延びる給油路38が形成されている。なお、「軸方向に延びる」とは、全体として軸方向(上下方向)に沿って延びていることを意味する。したがって、軸方向に直線状に延びている場合に限らず、螺旋状に延びている場合等も含まれる。図示は省略するが、回転軸36には、給油路38内の潤滑油を膨張機構22の摺動部に供給する給油孔(例えば、給油路38と摺動部とを連通し、回転軸36の径方向に延びる孔)が設けられている。
第1膨張部30aと第2膨張部30bとは、仕切板39によって仕切られている。仕切板39は、第1膨張部30aのシリンダ31a及びピストン32aの上方を覆っており、第1膨張室33aの上側を区画している。また、仕切板39は、第2膨張部30bのシリンダ31b及びピストン32bの下方を覆っており、第2膨張室33bの下側を区画している。仕切板39には、第1膨張室33aと第2膨張室33bとを連通させる連通孔40が形成されている。なお、第1膨張室33aと第2膨張室33bとはそれぞれ別個に冷媒を膨張させる膨張室であってもよいが、本実施形態では、これら膨張室33a,33bは連通孔40を通じて一つの膨張室を形成している。すなわち、本実施形態では、冷媒は、第1膨張室33a及び第2膨張室33bにおいて連続的に膨張する。
第1膨張部30aの下部には、下軸受41が設けられている。下軸受41は、回転軸36の下端部を支持している。また、下軸受41は、第1膨張部30aのシリンダ31a及びピストン32aの下方を閉塞しており、第1膨張室33aの下側を区画している。
第2膨張部30bの上部には、上軸受42が設けられている。詳細は後述するが、上軸受42は、膨張機構22の回転軸36(第2回転軸)と圧縮機構21の回転軸56(第1回転軸)とを支持している。また、上軸受42は、第2膨張部30bのシリンダ31b及びピストン32bの上方を閉塞しており、第2膨張室33bの上側を区画している。
上軸受42、シリンダ31b、仕切板39、及びシリンダ31aには、吸入管8の冷媒を第1膨張室33aに導く吸入路43が形成されている。吸入管8は、密閉容器10の筒部11を貫通し、上軸受42に接続されている。また、上軸受42には、第2膨張室33bの膨張後の冷媒を吐出管9に導く吐出路44が形成されている。吐出管9は、密閉容器10の筒部11を貫通し、上軸受42に接続されている。
密閉容器10の筒部11の内壁には、取付部材45が溶接等により接合されている。上軸受42は、取付部材45にボルト46により締結されている。なお、膨張機構22の下軸受41、第1膨張部30a、仕切板39、第2膨張部30b、及び上軸受42は、予め一体的に組み立てられている。そのため、上軸受42を取付部材45にボルト締めすることによって、膨張機構22の全体が取付部材45に固定されている。
次に、圧縮機構21の構成を説明する。圧縮機構21は、スクロール式であり、固定スクロール51と、固定スクロール51と軸方向に対向する可動スクロール52と、可動スクロール52を支持する回転軸56と、回転軸56を支持する軸受53とを備えている。
固定スクロール51には、渦巻形状(例えばインボリュート形状等)のラップ54と、吐出孔55とが形成されている。可動スクロール52には、固定スクロール51のラップ54と噛み合うラップ57が形成されている。これらラップ54及びラップ57の間に、渦巻状の圧縮室58が区画されている。回転軸56の上端には偏心部59が形成され、可動スクロール52は偏心部59に支持されている。そのため、可動スクロール52は、回転軸56の軸心から偏心した状態で公転する。可動スクロール52の下側には、可動スクロール52の回転を防止するオルダムリング60が配置されている。可動スクロール52には、給油孔64が形成されている。
固定スクロール51の上側には、カバー62が設けられている。固定スクロール51及び軸受53の内部には、冷媒を流通させる上下に延びる吐出路61が形成されている。また、固定スクロール51及び軸受53の外側には、冷媒を流通させる上下に延びる流通路63が形成されている。このような構成により、吐出孔55から吐出された冷媒は、カバー62内の空間にいったん吐出された後、吐出路61を通じて圧縮機構21の下方に吐出される。そして、圧縮機構21の下方の冷媒は、流通路63を通じて圧縮機構21の上方に導かれる。
吸入管6は、密閉容器10の筒部11を貫通し、固定スクロール51に接続されている。吐出管7は、密閉容器10の上蓋部12に接続されている。吐出管7の一端は、密閉容器10内の圧縮機構21の上方の空間に開口している。
圧縮機構21は、密閉容器10の筒部11の内壁に溶接等により接合されている。
圧縮機構21の回転軸56は、下方に向かって延びている。膨張機構22の回転軸36と同様に、回転軸56の内部にも軸方向に延びる給油路68が形成されている。
電動機23は、回転軸56の中途部に固定された回転子71と、回転子71の外周側に配置された固定子72とから構成されている。固定子72は、密閉容器10の筒部11の内壁に固定されている。固定子72は、モータ配線73を介して端子14に接続されている。この電動機23によって、回転軸56が駆動される。
圧縮機構21の回転軸56と膨張機構22の回転軸36とは、連結部80において一直線状に連結されている。本実施形態では、連結部80は嵌合構造を有している。具体的には、回転軸56の下端には、上方に向かって凹んだ第1嵌合部としてのボス部81が形成されている。一方、回転軸36の上端には、上方に向かって突出した第2嵌合部としての軸部82が形成されている。そして、第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合すること、つまり、軸部82がボス部81に嵌合することにより、両回転軸36,56が連結されている。これにより、給油路68と給油路38との間を潤滑油が流通可能となっている。
本実施形態では、図3に示すように、軸部82は、外周側に複数の溝(歯)が設けられたいわゆるスプライン形状を有している。また、ボス部81の内周側には、軸部82の溝に対応する複数の溝が形成されている。
ただし、軸部82及びボス部81の具体的形状は何ら限定されるものではない。例えば、図4に示すように、軸部82は、外周側により細かい歯が設けられたいわゆるセレーション形状を有し、ボス部81の内周側には、軸部82のセレーション形状に対応したより細かな溝が形成されていてもよい。
また、図5に示すように、軸方向と直交する横断面において、軸部82の外周側の輪郭が六角形状に形成され、ボス部81の内周側の輪郭が、上記軸部82に対応した六角形状に形成されていてもよい。また、図示は省略するが、軸部82の外周側の輪郭が六角形状以外の多角形状に形成され、ボス部81の内周側の輪郭が、上記軸部82に対応した多角形状に形成されていてもよい。
本実施形態では、圧縮機構21の回転軸56にボス部81が設けられ、膨張機構22の回転軸36に軸部82が設けられているが、逆に、圧縮機構21の回転軸56に軸部82が設けられ、膨張機構22の回転軸36にボス部81が設けられていてもよい。
図2に示すように、回転軸36の給油路38と回転軸56の給油路68とは、上下方向に延び、連結部80においてつながっている。上軸受42は、回転軸36の上側と回転軸56の下側とを支持している。そのため、回転軸36の上側と回転軸56の下側とは、上軸受42によって一体的に覆われている。したがって、連結部80の周囲は、上軸受42によって覆われている。
上軸受42と両回転軸36,56との間の摺動部には、螺旋状の給油溝が形成されている。本実施形態では、図6Aに示すように、上軸受42内における回転軸56の外周面に、螺旋状の給油溝85が形成されている。また、図示は省略するが、上軸受42内における回転軸36の外周面にも、同様の螺旋状の給油溝が形成されている。ただし、図6Bに示すように、給油溝85は上軸受42の内周面に形成されていてもよい。また、上軸受42の内周面及び両回転軸36,56の外周面の両方に給油溝85を設けてもよい。
次に、流体機械5Aの動作を説明する。本流体機械5Aでは、電動機23が駆動されると、回転軸56及び回転軸36が一体となって回転する。
圧縮機構21にあっては、回転軸56の回転に伴って可動スクロール52が旋回する。これにより、吸入管6から冷媒が吸入される。吸入された低圧の冷媒は、圧縮室58で圧縮された後、高圧の冷媒となって吐出孔55から吐出される。そして、吐出孔55から吐出された冷媒は、吐出路61及び流通路63を通じて圧縮機構21の上方に導かれ、吐出管7を通じて密閉容器10の外部に吐出される。
膨張機構22にあっては、回転軸36の回転に伴って、ピストン32a,32bが旋回する。これにより、吸入管8から吸入された高圧の冷媒は、吸入路43を通じて第1膨張室33aに流入する。第1膨張室33aに流入した高圧の冷媒は、第1膨張室33a内及び第2膨張室33b内で膨張し、低圧の冷媒となる。この低圧の冷媒は、吐出路44を通じて吐出管9に流れ込み、吐出管9を通じて密閉容器10の外部に吐出される。
回転軸36の回転に伴って、油溜まり部15の潤滑油は、油ポンプ37によって汲み上げられ、回転軸36の給油路38内を上昇する。給油路38内の潤滑油は、図示しない給油孔を通じて膨張機構22の摺動部に供給され、さらに、回転軸36と上軸受42との間の摺動部にも供給される。そして、上記潤滑油は、それら摺動部の潤滑及びシールを行う。
また、給油路38を上昇してきた潤滑油は、連結部80を通過し、回転軸56の給油路68に流れ込む。給油路68に流入した潤滑油の一部は、図示しない給油孔を通じて回転軸56と上軸受42との間の摺動部に供給され、摺動部の潤滑及びシールを行う。給油路68内の他の潤滑油は、給油路68内を上昇し、圧縮機構21に導かれる。そして、上記潤滑油は、圧縮機構21の摺動部の潤滑及びシールを行う。
ここで、圧縮機構21の回転軸56と膨張機構22の回転軸36とは別部材であるので、回転軸56と回転軸36との連結部80には、若干の隙間が生じている。しかしながら、連結部80の周囲は上軸受42によって覆われているので、連結部80からの潤滑油の漏れは抑制される。また、連結部80は、上軸受42の内部に位置しているので、潤滑油が必要となる摺動部でもある。そのため、連結部80から潤滑油が漏れたとしても、その潤滑油は上軸受42内の潤滑及びシールに有効活用されることになる。なお、上軸受42内の潤滑油は、上軸受42内を上昇した後、上軸受42の上端から流出し、その後は上軸受42の外側等に沿って流下し、油溜まり部15に回収される。
次に、流体機械5Aの組立方法について説明する。
流体機械5Aの組立に際しては、初めに、密閉容器10の筒部11を用意し、筒部11の内壁に、電動機23の固定子72及び取付部材45を接合する。次に、回転軸56に回転子71が固定された圧縮機構21を、筒部11の一端(図2の上側の端部)から挿入し、圧縮機構21を筒部11の内壁に接合する。次に、膨張機構22を筒部11の他端(図2の下側の端部)から挿入し、回転軸36の軸部82を回転軸56のボス部81に嵌合させることによって、回転軸36と回転軸56とを連結させる。その後、ボルト46により、膨張機構22を取付部材45に締結する。
次に、吸入管6を筒部11の外側から挿入し、吸入管6を圧縮機構21及び筒部11に接合する。また、吸入管8及び吐出管9を筒部11の外側から挿入し、これら吸入管8及び吐出管9を膨張機構22及び筒部11に接合する。その後、筒部11の一端に上蓋部12を接合し、筒部11の他端に底蓋部13を接合する。そして、上蓋部12の外側から吐出管7を挿入し、当該吐出管7を上蓋部12に接合する。
以上のように、本実施形態によれば、連結部80の周囲は上軸受42によって覆われている。そのため、連結部80からの潤滑油の漏れを抑制することができる。したがって、上側に位置する回転機構である圧縮機構21に対しても、潤滑油を安定して供給することができる。すなわち、圧縮機構21及び膨張機構22の両方に対して、安定した給油を実現することができる。
また、連結部80からの潤滑油の漏れを抑制することができるので、潤滑油が冷媒とともに吐出管7から密閉容器10の外部に流れ出すことを抑制することができる。したがって、密閉容器10内の潤滑油不足を防止することができる。
また、本実施形態によれば、連結部80から潤滑油が漏れたとしても、当該潤滑油は上軸受42内における潤滑及びシールに有効活用される。そのため、潤滑油の無駄な漏洩は生じない。
また、本実施形態によれば、上軸受42によって連結部80を支持しているので、両回転軸35,56の遊びを小さくすることができる。したがって、両回転軸36,56の回転時の振れを防止することができ、両回転軸36,56を安定して支持することができる。
本実施形態によれば、連結部80は、回転軸36及び回転軸56を一本の回転軸と見なした場合に、当該回転軸の上下方向中間位置よりも下側に設けられている。すなわち、連結部80は、両回転軸36,56の全体の上下方向中間位置よりも下側に設けられている。特に本実施形態では、連結部80は、両回転軸36,56の全体の下から略1/3の位置に設けられている。そのため、連結部80は油溜まり部15の近くに配設されることになる。したがって、連結部80から漏れた潤滑油は、油溜まり部15に回収されやすくなり、再び油溜まり部15から摺動部に向かって供給されやすくなる。そのため、本実施形態によれば、摺動部に対して潤滑油を安定して供給することができる。また、潤滑油の密閉容器10外への流出をより一層抑制することができる。
また、本実施形態によれば、密閉容器10の内部空間の冷媒を吐出する吐出管7は、密閉容器10の上下方向中間位置(長手方向中間位置)よりも上側に設けられている。一方、連結部80は、密閉容器10の上下方向中間位置よりも下側に設けられている。そのため、連結部80は、吐出管7から離れた位置に配設されている。したがって、連結部80から漏れた潤滑油は、吐出管7から流出しにくくなる。そのため、潤滑油の密閉容器10外への流出を、さらに抑制することができる。
本実施形態によれば、上軸受42は単一の軸受部材からなり、この単一の軸受部材によって回転軸36及び回転軸56の両方を支持している。そのため、連結部80の周囲を覆う軸受を2つの軸受部材、例えば回転軸36側の軸受部材と回転軸56側の軸受部材とに分離する場合に比べて、部品点数を削減することができる。ただし、連結部80を覆う軸受を複数の軸受部材で形成することも勿論可能である(第2実施形態参照)。
なお、本実施形態では、膨張機構22の構成要素の一つである上軸受42によって、連結部80の周囲を覆うこととした。そのため、回転軸36,56を支持するとともに連結部80の周囲を覆う軸受として、圧縮機構21及び膨張機構22と別個独立の軸受を設ける必要がない。したがって、部品点数の削減を図ることができる。
ただし、連結部80の周囲を覆う軸受は、圧縮機構21及び膨張機構22から独立したものであってもよい。例えば、図7に示す流体機械5Bのように、圧縮機構21及び膨張機構22から分離された軸受75を設け、この軸受75によって回転軸36及び回転軸56を支持するとともに、連結部80の周囲を覆うようにしてもよい。このような形態によれば、圧縮機構21及び膨張機構22の構成に変更を加えることなく、連結部80における潤滑油の漏れを抑制すること等が可能となる。
また、本実施形態によれば、一方の回転機構である圧縮機構21を密閉容器10の内壁に接合する一方、密閉容器10の筒部11の内壁に取付部材45を接合し、他方の回転機構である膨張機構22を取付部材45に対してボルト46で締結することとした。そのため、圧縮機構21又は膨張機構22に位置ずれや組立誤差等があったとしても、膨張機構22の締結の際に、そのずれや誤差等を吸収することができる。したがって、上記ずれ等を吸収するために、連結部80に意図的に遊びを持たせる必要はない。連結部80の遊びを小さくすれば、連結部80における潤滑油の漏れをより少なくすることができる。また、両回転軸36,56をよりしっかりと連結することが可能となる。さらに、連結部80における両回転軸36,56の摩耗を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、密閉容器10に対する圧縮機構21及び膨張機構22の組立が容易になる。
本実施形態によれば、回転軸36に軸部82を設け、回転軸56にボス部81を設け、連結部80をこれら軸部82及びボス部81からなる嵌合構造とした。また、軸部82をスプライン形状、セレーション形状、断面多角形状等とした。したがって、回転軸36と回転軸56とを、よりしっかりと連結することができる。また、連結部80における潤滑油の漏れを少なくすることができる。
なお、本実施形態では、冷媒として二酸化炭素を用いていた。ここで、二酸化炭素は、潤滑油が比較的溶け込みやすい冷媒である。そのため、冷媒として二酸化炭素を用いる流体機械では、本質的に潤滑油不足が生じやすい。しかし、本実施形態に係る流体機械5Aによれば、上述したように潤滑油不足を効果的に防止することができる。したがって、冷媒として二酸化炭素を用いる場合には、本流体機械5Aの効果をより顕著に発揮させることができる。
(第2実施形態)
図1の流体機械5Aでは、上軸受42は単一の軸受部材によって構成されていた。これに対し、図8に示すように、第2実施形態に係る流体機械5Cは、2つの軸受部材420a,420bで構成された上軸受420を採用する。以下、第1実施形態と同一要素には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
図1の流体機械5Aでは、上軸受42は単一の軸受部材によって構成されていた。これに対し、図8に示すように、第2実施形態に係る流体機械5Cは、2つの軸受部材420a,420bで構成された上軸受420を採用する。以下、第1実施形態と同一要素には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
本実施形態では、上軸受420は、圧縮機構21の回転軸560を支持する第1軸受部材420aと、膨張機構22の回転軸360を支持する第2軸受部材420bとによって構成されている。第1軸受部材420aは第2軸受部材420bの上方に位置しており、これら第1軸受部材420aと第2軸受部材420bとは、回転軸360,560の軸方向(上下方向)に沿って隣接している。第2軸受部材420bには、吸入路43及び吐出路44が形成されている。
回転軸560の外周面と第1軸受部材420aの内周面とは対向しており、これら外周面及び内周面の少なくとも一方には、螺旋状の給油溝(図示せず)が形成されている。また、回転軸360の外周面と第2軸受部材420bの内周面とは対向しており、これら外周面及び内周面の少なくとも一方にも、螺旋状の給油溝(図示せず)が形成されている。
本実施形態では、回転軸560と回転軸360とは、外径が異なっている。すなわち、回転軸560の方が回転軸360よりも外径が大きくなっている。本実施形態においても、回転軸560と回転軸360とは、連結部800において一直線状に連結されている。一方の回転軸560のボス部820に他方の回転軸360の軸部810が嵌合することによって連結部800が形成されている点は共通であるが、異径の回転軸560,360を用いているので、他方の回転軸360の軸部810をわざわざ縮径加工する必要がない。
本実施形態によれば、両回転軸360,560の連結部800の周囲は、第1軸受部材420a及び第2軸受部材420bによって覆われている。そのため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態においても、連結部800からの潤滑油の漏れを抑制することができる。また、密閉容器10の外部への潤滑油の流出を抑制することができる。また、連結部800から漏れた潤滑油によって、第1軸受部材420a及び第2軸受部材420bの内側の潤滑及びシールを行うことができる。
また、本実施形態によれば、両回転軸360,560の外径を揃えなくても済むので、回転軸560の外径を圧縮機構21に適した値に設定することができ、回転軸360の外径を膨張機構22に適した値に設定することができる。したがって、圧縮機構21及び膨張機構22の最適化を図ることができる。また、回転軸360,560の外径に関する制約が少なくなるので、圧縮機構21及び膨張機構22の設計自由度を大きくすることができる。
本実施形態によれば、上軸受420を第1軸受部材420a及び第2軸受部材420bに分けることとしたので、両回転軸360,560の外径が異なっているにも拘わらず、両回転軸360,560を安定して支持することができる。すなわち、第1軸受部材420a及び第2軸受部材420bとして、それぞれ回転軸560及び回転軸360に適した軸受部材を選定することができ、両回転軸360,560をより安定して支持することが可能となる。
また、上軸受420は、取付部材450を介して密閉容器10に固定されている。具体的には、第2軸受部材420bがボルト等の締結具46によって取付部材450に下方から取り付けられている。第1軸受部材420aは、第2軸受部材420bと取付部材450との間に形成された空間に収容される形で第2軸受部材420bの上に配置され、図示しないボルト等の締結具を用いて取付部材450及び/又は第2軸受部材420bに固定される。圧縮機構21の回転軸560は、第2軸受部材420bの上面420pに着座している。第2軸受部材420bは、その上面420pによって回転軸560のスラスト力を受け止める。
なお、本実施形態では、圧縮機構21の回転軸560の方が膨張機構22の回転軸360よりも外径が大きかったが、膨張機構22の回転軸の方が圧縮機構21の回転軸よりも外径が大きくてもよい。また、両回転軸の外径が等しくてもよいことは勿論である。
(その他の実施形態)
本発明に係る流体機械は、前記第1及び第2各実施形態に限らず、種々の形態で実施することが可能である。
本発明に係る流体機械は、前記第1及び第2各実施形態に限らず、種々の形態で実施することが可能である。
例えば、図9に示す流体機械5Dのように、内部に吸入路43が形成された取付部材451を採用することも可能である。すなわち、吸入管8から第1膨張室33aに冷媒を導く吸入路43を、取付部材451、上軸受421の第2軸受部材421b、第2膨張部30bのシリンダ31b、仕切板39、及び第1膨張部30aのシリンダ31aにわたって形成するようにしてもよい。同様に、取付部材451に吐出路44を形成してもよい。すなわち、第2膨張室33bの膨張後の冷媒を吐出管9に導く吐出路44を、上軸受421の第2軸受部材421b及び取付部材451にわたって形成するようにしてもよい。
また、同様に、第1実施形態において、取付部材45に吸入路43又は吐出路44を形成するようにしてもよい。
さらに、図10に示すように、上軸受42(420,421)の内周側の連結部80(800)に対向する部分に溝を形成すること等により、連結部80(800)の周囲に潤滑油を溜める油溜まり空間86を形成してもよい。また、図示は省略するが、回転軸36(360)及び回転軸56(560)の一方又は両方の外周面に溝を設け、この溝により油溜まり空間を形成することも可能である。このように、連結部80(800)の周囲を潤滑油で満たすことにより、連結部80(800)の摩耗等を抑制することができ、シール性を向上させることができる。そのため、流体機械5A等の信頼性の向上等を図ることができる。
前述したように、両回転軸36,56(360,560)の連結部80(800)から漏れた潤滑油は、上軸受42(420,421)と両回転軸36,56(360,560)との間の潤滑及びシールに利用される。そこで、連結部80(800)を潤滑油の給油孔として積極的に利用してもよい。連結部80(800)は回転軸36,56(360,560)の全周にわたって形成されるので、連結部80(800)を給油孔として利用することによって、潤滑油を回転軸36,56(360,560)の全周に満遍なく供給することが可能となる。
圧縮機構21はスクロール式に限らず、ロータリ式等の他の形式の圧縮機構であってもよい。また、膨張機構22の形式もロータリ式に限定される訳ではない。前記各実施形態では、膨張機構22は2つのシリンダ(シリンダ31a及び31b)を備えていたが、膨張機構22のシリンダの個数は1つでもよく、また、3つ以上であってもよい。圧縮機構21は、冷媒を多段階(例えば2段階)に圧縮するものであってもよい。
前記実施形態では、圧縮機構21が上側に配置され、膨張機構22が下側に配置されていた。しかし、圧縮機構21が下側に配置され、膨張機構22が上側に配置されていてもよい。すなわち、圧縮機構21を膨張機構22の下方に配置することも可能である。
また、前記実施形態では、密閉容器10は縦長に形成され、圧縮機構21と膨張機構22とは上下方向に配置されていた。しかし、密閉容器10を横長に形成し、圧縮機構21と膨張機構22とを水平方向に配置することも可能である。この場合、両回転軸36,56(360,560)は水平方向に連結されることになる。
前記実施形態では、圧縮機構21が第1回転機構を構成し、膨張機構22が第2回転機構を構成していた。しかし、第1及び第2回転機構の双方が圧縮機構であってもよく、また、双方が膨張機構であってもよい。すなわち、前記実施形態に係る流体機械は、圧縮機構21と膨張機構22とを備えたいわゆる膨張機一体型圧縮機であったが、本発明に係る流体機械は、複数の圧縮機構のみを備えた流体機械(圧縮機)であってもよく、複数の膨張機構のみを備えた流体機械(膨張機)であってもよい。
また、前記実施形態では、密閉容器10内に設けられた回転機構は2つ(圧縮機構21及び膨張機構22)であったが、密閉容器10内に3つ以上の回転機構を設けることも可能である。
前記実施形態では、膨張機構22のうち、上軸受42のみが取付部材45にボルト締めされていた。しかし、図11に示す流体機械5Eのように、膨張機構22のうちの複数の構成部材(例えば、上軸受42、シリンダ31b、仕切板39、シリンダ31a、及び下軸受41のすべて)を、取付部材45に対してボルト46で締結してもよい。
図12に示すように、前記実施形態では、膨張機構22の第1膨張部30aは、円筒状のピストン32aと、ピストン32aの外周面に当接するベーン34aとを備えたものであった。なお、第2膨張部30bも同様である。しかし、膨張機構の具体的構成は、前記実施形態の構成に限定されるものではない。膨張機構の膨張部30a,30bは、例えば図13に示すように、いわゆるスイング式の機構を有していてもよい。
この膨張部では、シリンダ31aの内部には、揺動式のピストン32aが設けられている。回転軸36の偏心部36aは、ピストン32aの内部に挿入されている。ピストン32aには、ブレード32cが一体に設けられている。ブレード32cは、ピストン32aの外周面から外方へ突出しており、膨張室33aを高圧側と低圧側とに仕切っている。
シリンダ31aには、半月状に形成された一対のブッシュ73aが設けられている。これらブッシュ73aは、ブレード32cを挟み込んだ状態で設置され、ブレード32cと摺動する。また、ブッシュ73aは、ブレード32cを挟み込んだ状態でシリンダ31aに対して回動可能に構成されている。したがって、ピストン32aと一体となったブレード32cは、ブッシュ73aを介してシリンダ31aに支持され、シリンダ31aに対して回動可能かつ進退可能となっている。
これまで説明してきた実施形態では、いずれも圧縮機構21の回転軸56(560)と膨張機構22の回転軸36(360)が直接連結されている。以下に説明する各実施形態では、2つの回転軸が連結器によって連結されている。以下、第1実施形態と同一要素には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
(第3実施形態)
図14に示すように、流体機械5Fの圧縮機構21及び膨張機構220は、密閉容器10の内部に収容されている。膨張機構220は圧縮機構21よりも下方に配置されており、圧縮機構21と膨張機構220との間には電動機23が設けられている。
図14に示すように、流体機械5Fの圧縮機構21及び膨張機構220は、密閉容器10の内部に収容されている。膨張機構220は圧縮機構21よりも下方に配置されており、圧縮機構21と膨張機構220との間には電動機23が設けられている。
流体機械5Fの圧縮機構21は、図1の流体機械5Aの圧縮機構21と同一である。一方、膨張機構220は、図1の流体機械5Aの膨張機構22から変更点がある。膨張機構220は、軸方向の下から順に下軸受48、第1膨張部30a、第2膨張部30b及び上軸受47を備えている。膨張部30a,30bの変更点は無いが、上下に配置された軸受47,48に変更がある。ただし、下軸受48の構成は従来から採用されているものである。以下、上軸受47を中心に、具体的な説明を行う。
第2膨張部30bの上部には、第2膨張部30bのシリンダ31b及びピストン32bの上方を閉塞し、第2膨張室33bの上側を区画する上軸受47が設けられている。上軸受47は、軸方向に沿って隣接する第1軸受部材47cと第2軸受部材47dとを備えている。第1軸受部材47cは、第2軸受部材47dの上方に位置している。詳細は後述するが、第1軸受部材47cは、圧縮機構21の回転軸561を支持している。一方、第2軸受部材47dは、膨張機構220の回転軸361を支持している。
第1膨張部30aの下部には、下軸受48が設けられている。下軸受48は、軸方向に隣接する上側部材48cと下側部材48dとを備え、上側部材48cによって回転軸36の下端部を支持している。上側部材48cは、第1膨張部30aのシリンダ31a及びピストン32aの下方を閉塞しており、第1膨張室33aの下側を区画している。また、上側部材48cは、下面に環状の凹部を有しており、下側部材48dとの間に吸入路49を形成している。上側部材48cには、第1膨張室33aと吸入路49とを連通させる連通孔49aが形成されている。一方、下側部材48dは、上側部材48cの下方を閉塞し、吸入路49の下側を区画している。
上軸受47の第2軸受部材47dには、冷媒を第2膨張室33bから吐出管9に導く吐出路44が形成されている。吐出管9は、密閉容器10の筒部11を貫通し、第2軸受部材47dに接続されている。前述したように、下軸受48には、冷媒を吸入管8から第1膨張室33aに導く吸入路49が形成されている。吸入管8は、密閉容器10の筒部11を貫通し、下軸受48に接続されている。
密閉容器10の筒部11の内壁には、取付部材452が溶接等により接合されている。第1軸受部材47cは、取付部材452にボルト(図示せず)により締結されている。なお、下側部材48d、上側部材48c、第1膨張部30a、仕切板39、第2膨張部30b、第2軸受部材47d、及び第1軸受部材47cは、予め一体的に組み立てられている。そのため、第1軸受部材47cを取付部材452にボルト締めすることによって、膨張機構220の全体が取付部材452に固定されている。
図15に拡大して示すように、圧縮機構21の回転軸(以下、第1回転軸という)561と膨張機構220の回転軸(以下、第2回転軸という)361とは、連結部87において一直線状に連結されている。具体的には、第1回転軸561と第2回転軸361とは、連結部材84によって連結されている。連結部材84は、第1軸受部材47cの第2軸受部材47dとの対向面に形成された凹部86に収容されている。
図16A,16Bに示すように、第1回転軸561の連結部87側の端部は、外周面に複数の溝91が設けられた、いわゆるスプライン形状を有する連結端部56tとなっている。同様に、第2回転軸361の連結部87側の端部も、外周面に複数の溝91が設けられた、いわゆるスプライン形状を有する連結端部36tとなっている。
図17A,17Bに示すように、連結部材84は、円環状に形成されている。連結部材84の内周面には、連結端部56t及び連結端部36t(図16A,16B参照)の外周面に形成されたスプライン形状に応じた複数の溝92が形成されている。連結部材84の材料は特に限定されないが、本実施形態では、連結部材84は、回転軸361,561よりも軟らかいベアリング鋼によって形成されている。また、連結部材84の製作方法も何ら限定されないが、本実施形態では、連結部材84は打ち抜き加工により製作されている。
図15に示すように、第2回転軸361の給油路38と第1回転軸561の給油路68とは、連結部87において連通されている。連結部材84は、スプライン嵌合することにより、第1回転軸561の連結端部56tと第2回転軸361の連結端部36tとを連結している。そのため、第1回転軸561の連結端部56tと第2回転軸361の連結端部36tとは、連結部材84によって一体的に覆われている。したがって、連結部87の周囲は、連結部材84によって覆われている。
前述したように、連結部材84は、第1軸受部材47cの凹部86に収容されている。したがって、連結部材84は、第1軸受部材47cによって覆われている。なお、本実施形態では、給油路38と給油路68との内径は等しく設計されている。
流体機械5Fの動作については、第1実施形態で説明した通りである。流体機械5Fの動作に伴い、油溜まり部15の潤滑油が膨張機構220及び圧縮機構21に供給され、各摺動部の潤滑及びシールを行う。
ここで、第1回転軸561と第2回転軸361とは別部材であるので、第1回転軸561と第2回転軸361との連結部87には、若干の隙間が生じている。しかしながら、連結部87の周囲は連結部材84によって覆われているので、連結部87からの潤滑油の漏れは抑制される。
次に、流体機械5Fの組立方法について説明する。
流体機械5Fの組立に際しては、初めに、密閉容器10の筒部11を用意し、筒部11の内壁に、電動機23の固定子72及び取付部材452を接合する。次に、第1回転軸561に回転子71が固定された圧縮機構21を、筒部11の一端(図2の上側の端部)から挿入し、圧縮機構21を筒部11の内壁に接合する。次に、第1軸受部材47cを取付部材452へ設置し、第1回転軸561との調芯作業を行った後、図示しないボルトにより、第1軸受部材47cを取付部材452へ締結する。次に、膨張機構220を筒部11の他端(図14の下側の端部)から挿入し、第1回転軸561の連結端部56tの外側に予め嵌め合わせておいた連結部材84に、第1回転軸561とは反対側から第2回転軸361を嵌合させ、第1回転軸561と第2回転軸361とを連結する。その後、図示しないボルトにより、膨張機構220を取付部材452に締結する。
その他の点は、第1実施形態と同様にする。
以上のように、本実施形態によれば、圧縮機構21の回転軸561と膨張機構220の回転軸361とが別体であり、連結部材84を介して両回転軸361,561を連結するようにしたので、密閉容器10に対する圧縮機構21及び膨張機構220の組立が容易になる。
また、本実施形態によれば、連結部材84は上軸受47の内部に配置されており、上軸受47によって覆われている。そのため、連結部87(回転軸361と回転軸561との間の隙間)から潤滑油が漏れにくくなる。したがって、上側に位置する回転機構である圧縮機構21に対しても、潤滑油を安定して供給することができる。
また、本実施形態によれば、連結部87からの潤滑油の漏れを抑制することができるので、潤滑油が冷媒とともに吐出管7から密閉容器10の外部に流れ出すことを抑制することができる。したがって、密閉容器10内の潤滑油不足を防止することができる。
なお、本流体機械5Fでは、製作時の位置決め誤差や熱変形等を吸収するために、第1回転軸561と第2回転軸361との間には、所定の広さの隙間が設けられている。そのため、この隙間から潤滑油が漏れることが想定される。しかし、漏れた潤滑油は、本質的に潤滑油が必要とされる部分、すなわち、第1軸受部材47cと第1回転軸561との間、又は、第2軸受部材47dと第2回転軸361との間に供給されるので、摺動部の潤滑に有効利用される。そのため、本実施形態によれば、潤滑油の漏れを防ぐためにOリング等のシール部材を設ける必要がない。したがって、本実施形態によれば、部品点数を削減することが可能となる。また、シール部材の劣化の問題を回避することができる。
なお、本実施形態では、連結部材84の外周面と第1軸受部材47cの内周面との間には所定の広さの隙間が設けられ(図15参照)、連結部材84自体は、第1軸受部材47cによって支持されていない。ただし、第1軸受部材47cによって連結部材84を支持するようにしてもよい。この場合、第1回転軸561及び第2回転軸361は、連結部材84に対していわゆるスプライン嵌合され、連結部材84は、第1軸受部材47cによって回転可能に支持されることになる。そのため、両回転軸361,561の連結端部36t,56tは、連結部材84を介して第1軸受部材47cに支持される。したがって、両回転軸361,561の回転時のガタツキを抑制することができ、両回転軸361,561を安定して支持することができる。
本実施形態では、第1回転軸561及び第2回転軸361は、連結部材84に対してそれぞれ非圧入状態で嵌合している。そのため、第1回転軸561及び第2回転軸361を連結部材84に対して容易に嵌合させることができ、組立性を向上させることができる。
ただし、第1回転軸561及び第2回転軸361のいずれか一方を連結部材84に圧入するようにしてもよい。例えば、第1回転軸561を連結部材84に圧入し、第2回転軸361を連結部材84に非圧入状態で嵌合させるようにしてもよい。この場合、潤滑油は第1回転軸561と連結部材84との間から漏れにくくなる。したがって、第2回転軸361の給油路38を流れてきた潤滑油の多くは、第1回転軸561の給油路68を流れ、圧縮機構21に供給されることになる。一方、第2回転軸361と連結部材84とは非圧入状態で嵌合しているので、第2回転軸361と連結部材84との組立は容易であり、組立性を損なうことはない。
なお、第1回転軸561及び第2回転軸361と連結部材84との嵌合形状は、本実施形態のようなスプライン形状に限定されない。例えば、図18に示すように、連結端部56t及び連結端部36tの横断面の外周側の輪郭が六角形状に形成され、連結部材84の横断面の内周側の輪郭が、上記連結端部56t及び連結端部36tに対応した六角形状に形成されていてもよい。また、連結端部56t及び連結端部36tの横断面の外周側の輪郭が六角形状以外の多角形状に形成され、連結部材84の横断面の内周側の輪郭が、上記連結端部56t及び連結端部36tに対応した多角形状に形成されていてもよい。
本実施形態の流体機械5Fによれば、両回転軸361,561同士を直接嵌合させる場合に比べて、両回転軸361,561ともに、連結端部36t,56tの外径を小さくしなくて済む。そのため、いわゆるトルク伝達半径を大きく確保することができるので、連結部87の信頼性を向上させることができる。
また、両回転軸361,561に嵌め合わせのための凸凹を形成しなくてもよいので、加工が容易になる。また、連結部材84は打ち抜き加工等によって容易に形成することができるので、生産性を高めることができる。
本実施形態の上軸受47は別々の軸受部材、すなわち、第1回転軸561を支持する第1軸受部材47cと、第2回転軸361を支持する第2軸受部材47dとを備えている。そのため、各回転軸の支持に適した軸受部材を組み合わせること等により、各回転軸を安定して支持することができ、また、潤滑油の漏れを少なくすることができる。
本実施形態の連結部材84は、第1軸受部材47cにおける第2軸受部材47dとの対向面に形成された凹部86に収容されている。このことにより、凹部86に連結部材84を挿入した後、第1軸受部材47cと第2軸受部材47dとを連結することによって、連結部材84を第1軸受部材47cと第2軸受部材47dとの間に配置することができる。そのため、簡単な構成で連結部材84を上軸受47の内部に配置することができる。なお、連結部材84を収容するための凹部86は、第2軸受部材47dにおける第1軸受部材47cとの対向面に形成されていてもよい。
また、本実施形態によれば、連結部材84は、第1回転軸561及び第2回転軸361を一本の回転軸とみなした場合に、当該回転軸の上下方向中間位置よりも下側に設けられている。すなわち、連結部材84は、両回転軸361,561の全体の上下方向中間位置よりも下側に設けられている。特に本実施形態では、連結部材84は、両回転軸361,561の全体の下から略1/3の位置に設けられている。そのため、連結部材84は油溜まり部15の近くに配設されることになる。したがって、連結部材84から漏れた潤滑油は、油溜まり部15に回収されやすくなり、再び油溜まり部15から摺動部に向かって供給されやすくなる。そのため、本実施形態によれば、摺動部に対して潤滑油を安定して供給することができる。また、潤滑油の密閉容器10外への流出をより一層抑制することができる。
また、本実施形態によれば、密閉容器10の内部空間の冷媒を吐出する吐出管7は、密閉容器10の上下方向中間位置(長手方向中間位置)よりも上側に設けられている。一方、連結部材84は、密閉容器10の上下方向中間位置よりも下側に設けられている。そのため、連結部材84は、吐出管7から離れた位置に配設されている。したがって、連結部材84から漏れた潤滑油は、吐出管7から流出しにくくなる。そのため、潤滑油の密閉容器10外への流出を、さらに抑制することができる。
なお、本実施形態では、連結部87の周囲を連結部材84で覆い、連結部材84の周囲を、膨張機構220の構成要素の一つである上軸受47によって覆うこととした。そのため、回転軸361,561を支持するとともに連結部材84の周囲を覆う軸受として、膨張機構220と別個独立の軸受を設ける必要がない。したがって、部品点数の削減を図ることができる。
ただし、連結部材84の周囲を覆う軸受は、圧縮機構21及び膨張機構220から独立したものであってもよい。例えば、図19の流体機械5Gに示すように、圧縮機構21及び膨張機構220から分離された軸受750を設け、この軸受750によって第2回転軸361及び第1回転軸561を支持するとともに、連結部材84の周囲を覆うようにしてもよい。膨張機構220の上軸受410は、連結部材84を覆う軸受750とは別に設けられている。このような形態によれば、圧縮機構21及び膨張機構220の構成に変更を加えることなく、両回転軸361,561の連結部87における潤滑油の漏れを抑制することが可能となる。
また、図14の前記実施形態では、上軸受47は、第1回転軸561を支持するとともに連結部材84の周囲を覆う第1軸受部材47cと、第2回転軸361を支持する第2軸受部材47dとを備えていた。しかし、連結部材84を収容する上軸受の構成は、これに限られない。例えば、図20に示す上軸受471は、一つの軸受部材からなり、第1回転軸561及び第2回転軸361の両方を支持する。このような形態によれば、上軸受471が単一の部材で構成されるので、部品点数を削減することができる。また、このような形態であっても、潤滑油の漏れを少なくすることができる。
図20の例では、外径が相違する第1回転軸561と第2回転軸362とが連結部材84で連結されている。このようにすれば、両回転軸561,362の外径を揃えなくても済むので、回転軸561の外径を圧縮機構21に適した値に設定することができ、回転軸362の外径を膨張機構220に適した値に設定することができる。また、回転軸362,561の外径に関する制約が少なくなるので、圧縮機構21及び膨張機構220の設計自由度を大きくすることができる。
外径の異なる回転軸362,561の場合、連結部材84を用いてどのように連結するのかが問題となるが、この問題は、図20に示す例によって解決できる。
図20に示すように、単一の軸受部材からなる上軸受471には、内径が小さい第1挿通孔471jと、その第1挿通孔471jと軸方向に並んで連通し、かつ第1挿通孔471jよりも内径が大きい第2挿通孔471kとが形成されている。連結部材84は、第2挿通孔471k内に配置されている。第1回転軸561の一端、すなわち、溝切り加工された連結端部56tは、上軸受471に形成された第1挿通孔471jを貫通して連結部材84に嵌合している。第2回転軸362には、縮径加工及び溝切り加工により、連結部材84に嵌合するべき連結端部36tが形成されている。すなわち、第2回転軸362の一端には、上軸受471の第2挿通孔471kに挿入されてラジアル方向に支持される被支持部としての径大部362kと、その被支持部362kよりも外径が小さくかつ連結部材84に嵌合される先端部としての連結端部36tとが形成されている。
上記のようにすれば、上軸受471の第2挿通孔471kに連結部材84を嵌め込んだ後、第1回転軸561を第1挿通孔471jに挿入して連結部材84に嵌合し、第2回転軸362を第2挿通孔471kに挿入して連結部材84に嵌合するという簡単な作業により、両回転軸561,362を容易に連結することができる。なお、回転軸の外径の大小関係は、上記と逆であってもよい。そうする場合には、上軸受471の挿通孔の内径の大小関係も図20の例と逆になる。
図14の前記実施形態では、第2回転軸361内に給油路38を設け、第1回転軸561内に給油路68を設けていた。そして、油溜まり部15の潤滑油は、油ポンプ37によって給油路38,68に汲み上げられ、給油路38,68に連通する給油孔(給油孔64,88等)を通り、膨張機構220又は圧縮機構21の各摺動部に供給されていた。しかし、潤滑油の各摺動部への供給経路はこれに限られない。例えば図21に示すように、回転軸361,561の内部の給油路38,68の他、両回転軸361,561の外周面に螺旋状の給油溝76,77を形成し、この給油溝76,77によって潤滑油を汲み上げるようにしてもよい。
また、図22に示すように、外周面に螺旋状の給油溝78が形成された連結部材841を好適に用いることができる。
なお、図14の前記実施形態では、給油路38と給油路68との内径は等しく設計されていた。しかし、給油路38及び給油路68の内径は等しくなくてもよい。例えば、図23に示すように、第1回転軸561の給油路68の内径d1は、第2回転軸361の給油路38の内径d2よりも小さくてもよい。この場合、潤滑油の流路は、第1回転軸561の給油路68の手前で急に狭くなるため、連結部材84の内部で油圧が上昇する。そのため、連結部材84内にガスが混入することを抑制することができ、潤滑油を安定して供給することができる。なお、潤滑油にガスが混入することを更に抑制するために、第1回転軸561を連結部材84に圧入するようにしてもよい。これにより、連結部材84と第1回転軸561との間からの潤滑油の漏れも少なくなる。
なお、図24に示すように、軸方向と交差する方向(図24では直交する方向)に延びる貫通孔79が設けられた連結部材842を好適に用いることができる。この場合、連結部材842の内側の潤滑油は遠心力を受け、貫通孔79を通じて外周側に散布される。そのため、連結部材842と上軸受47との間に、潤滑油が十分に充填される。したがって、潤滑油にガスが混入することをより一層抑制することができる。
また、図25に示すように、連結部材84の外周側に潤滑油を供給する給油路69が設けられた第1軸受部材471cを有する上軸受471を好適に用いることができる。給油路69に潤滑油を供給する外部給油路69aを別途設けるようにしてもよい。このことにより、連結部材84と上軸受471との間に十分な量の潤滑油を供給することができる。なお、外部給油路69aの内部にフィルタ69bを設けることが好ましい。これにより、連結部材84と上軸受471との間に、より清浄な潤滑油を供給することができる。
図25に示す構成では、まず、第1軸受部材471cの給油路69を通じて潤滑油が凹部86に供給される。凹部86に導かれた潤滑油は、さらに、連結部材84の貫通孔79を通じて、シャフトの給油路38及び/又は給油路68に導かれる。このようにすれば、連結部材84と上軸受471との間だけでなく、各回転機構にも十分な量の潤滑油を供給できる。凹部86内に導かれた潤滑油は、淀むことなく常に循環しているので、より正常な潤滑油を各回転機構に供給することができる。
図14の前記実施形態では、上軸受47は、第1回転軸561を支持するとともに連結部材84の周囲を覆う第1軸受部材47cと、第2回転軸361を支持する第2軸受部材47dとを備えていた。しかし、上軸受47の構成はこれに限られない。例えば、図26に示す上軸受472は、第1回転軸561を支持する第1軸受部材96と、連結部材84の周囲を覆う密閉部材97と、第2回転軸361を支持する第2軸受部材98とを備えている。これら第1軸受部材96と密閉部材97と第2軸受部材98とは、回転軸361,561の軸方向に沿って順に組み立てられている。そのため、連結部材84を密閉部材97の内部に挿入した後、密閉部材97の上方に第1軸受部材96を組み立て、密閉部材97の下方に第2軸受部材98を組み立てることによって、上軸受472の内部に連結部材84を容易に配置することができる。したがって、このような形態によれば、容易な組立作業により、連結部87における潤滑油の漏れを抑制すること等が可能となる。
また、2つの回転軸を直接連結する場合におけるその他の実施形態として説明したいくつかの構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、連結部材を用いて回転軸を連結する場合にも採用できる。例えば、複数の回転機構の組み合わせ、圧縮機構と膨張機構の位置関係等については、先に述べた通りとすることができる。
以上説明したように、本発明は、流体を圧縮する圧縮機構又は流体を膨張させる膨張機構からなる回転機構を複数備えた流体機械について有用であり、例えば、冷凍装置、空気調和装置、給湯器等の冷媒回路に設けられた圧縮機、膨張機、膨張機一体型圧縮機等に有用である。
Claims (2)
- 密閉容器と、
前記密閉容器の上部に配置され、軸方向に延びる第1給油路が内部に形成された第1回転軸を有し、流体を圧縮するスクロール型の圧縮機構と、
前記密閉容器の下部に配置され、軸方向に延びる第2給油路が内部に形成されるとともに、前記第1給油路と前記第2給油路との間を潤滑油が流通可能となるように前記第1回転軸に一直線状に連結された第2回転軸を有し、流体を膨張させるロータリ型の膨張機構と、
前記膨張機構で膨張した流体を吐出させる吐出管とを備え、
前記吐出管は、前記第1回転軸と前記第2回転軸との連結部分と前記膨張機構との間に設置されている、流体機械。 - 請求項1に記載の流体機械を含む冷凍サイクル装置。
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-
2006
- 2006-09-12 JP JP2006247042A patent/JP2007270818A/ja not_active Withdrawn
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