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JP2007255472A - 自動変速機の制御方法 - Google Patents

自動変速機の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】出力軸の回転速度が検出できない場合であっても、入力軸と出力軸との同期判定を時間遅れなく正確に行うことができ、変速操作時間を短縮できるとともに、嵌入操作による機械的なショックの小さい、自動変速機の制御方法を提供する。
【解決手段】歯車変速機構と、シフトアンドセレクト部及び摩擦部及び噛合部からなる操作機構と、入力軸回転速度検出手段と、出力軸回転速度検出手段と、進行状況検出手段と、制御装置とを備え、変速操作時に入力軸と出力軸とが同期する以前は摩擦係合を駆動し、同期した以後は噛合係合を駆動する自動変速機の制御方法であって、前記制御装置は入力軸回転速度NIから加速度Aを求める加速度演算手段をもち、出力軸回転速度NOが検出できない場合に、求めた該加速度Aが所定の判定開始値TA以上となった後に所定の同期判定値EA以下となった時点で同期と判定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動変速機の変速操作時の制御方法に関し、より詳細には同期噛合式自動変速機において出力軸の回転速度が検出できない場合の同期判定方法に関する。
車両用の変速機には、運転者が変速操作を行うマニュアルトランスミッションと、自動的に変速操作が行われるようにしたオートマチックトランスミッションとがある。一般的なマニュアルトランスミッションは、エンジンなどの入力回転を伝達する入力軸と、車輪に向けて出力回転を伝達する出力軸と、入力軸上に固設された複数の駆動歯車と、この駆動歯車と常時噛み合うとともに出力軸上に遊転可能に配設された複数の遊転歯車と、出力軸と一体に回転して遊転歯車と摩擦係合するシンクロナイザリング及び嵌合するスリーブと、を備える場合が多い。これに、電子制御装置とアクチュエータ、各部の回転速度を検出するセンサなどが組み合わされて、オートマチックトランスミッションの一種である同期噛合式自動変速機が構成されている。
この同期噛合式自動変速機の制御装置の例が特許文献1に開示されている。この制御装置は、入力軸回転速度センサと、出力軸回転速度センサと、複数の変速ギヤと、シフト・セレクトアクチュエータと、シフト・セレクトポジションセンサと、制御手段とを備え、変速操作時に入力軸と出力軸との同期が得られない同期異常故障を検出するようにしている。一般的な変速操作では、新しい歯車対が指定されるとまずシンクロナイザリングが駆動され、入力軸と出力軸との間が摩擦係合して徐々に同期し、次いでスリーブが駆動されてスプライン嵌合などにより両軸の間が強固に結合されて操作が完了する。この変速操作において、シンクロナイザリングを駆動するときのアクチュエータの出力荷重は大として短時間で同期を達成し、スリーブを駆動するときの出力荷重は小として嵌入時のショックを低減するようにしている。
特開2004−19914号公報
ところで、回転速度センサには非接触検出の可能な電磁式センサが一般的に用いられており、回転速度が低下すると検出精度が低下する。車両用の変速機は、車両が走行状態から停止する場合など、低車速で用いられる場合も多く、減速されている出力軸で回転速度を検出できない場合が起こりがちである。このときには、入力軸と出力軸との回転速度を比較して同期を判定することができない。したがって、従来の代替方法では、シンクロナイザリングやスリーブの軸方向の移動量を検出して、操作進行状況から同期を判定している。しかしながら、操作進行状況による方法は実際の同期完了から判定までに時間がかかるため、変速操作時間が長引くという課題を生じていた。また、同期判定が遅れることにより、シンクロナイザリングを駆動した大きな出力荷重がそのままスリーブに加えられて、嵌入時に大きなショックを生じるおそれもあった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、出力軸の回転速度が検出できない場合であっても、入力軸と出力軸との同期判定を時間遅れなく正確に行うことができ、変速操作時間を短縮できるとともに、嵌入操作による機械的なショックの小さい、自動変速機の制御方法を提供する。
本発明の自動変速機の制御方法は、入力軸と出力軸とにそれぞれ設けられた歯車を噛合させて形成する複数の歯車対のうちいずれかを用いて所定の変速比で動力を伝達する歯車変速機構と、該入力軸と該出力軸との間で該歯車対を選択するシフトアンドセレクト部及び摩擦係合させる摩擦部及び噛合係合させる噛合部からなる操作機構と、該入力軸の回転速度を検出する入力軸回転速度検出手段と、該出力軸の回転速度を検出する出力軸回転速度検出手段と、該操作機構の操作進行状況を検出する進行状況検出手段と、該入力軸及び該出力軸の該回転速度と該操作進行状況とを参照しつつ該操作機構を制御する制御装置とを備え、動力を伝達する該歯車対を変更する変速操作時に、該入力軸と該出力軸とが同期する以前は該摩擦係合を駆動し、同期した以後は該噛合係合を駆動する自動変速機の制御方法であって、前記制御装置は前記入力軸の前記回転速度から加速度を求める加速度演算手段をもち、前記出力軸の前記回転速度が検出できない場合に、求めた該加速度が所定の判定開始値以上となった後に所定の同期判定値以下となった時点で同期と判定することを特徴とする。
まず、本発明の制御方法の制御対象となる自動変速機の構成について説明する。歯車変速機構は変速機の本体部位であり、例えば前進用の3〜6組程度に加えて逆転用の歯車が付加された後進用1組程度の歯車対を設けることができる。歯車変速機構には、入力軸と出力軸の2軸が出入りするが、内部に第3のカウンター軸を追加して適宜歯車対を配置するようにしてもよい。また、入力軸と出力軸とを直結する組み合わせの変速比があってもよい。操作機構は、後述の制御装置からの制御指令に基づいて動力を伝達する歯車対を変更する部位である。操作機構は、まず入力軸と出力軸との間で変速すべき新しい歯車対を選択し、次いで両者を摩擦係合させて同期させ、最後に噛合係合により強固に連結させる、という手順を踏むものであればよい。したがって、操作源の方式や操作力の伝達構造などには制約されない。
入力軸回転速度検出手段及び出力軸回転速度検出手段は、各軸の回転速度を検出する部位である。これらは、非接触検出が可能で制御装置への検出信号の受け渡しも容易であることが好ましく、経済性も考慮して従来から用いられている電磁式の回転速度センサを適用することができる。なお、出力軸回転速度については、新たに回転速度センサを設けずに、標準的に付属されている車輪速センサの検出信号をデファレンシャル装置の減速比で除して求めることもできる。進行状況検出手段は、操作機構の操作進行状況を検出する部位であり、操作機構の操作力伝達構造に合わせて適宜変位量を検出するセンサを用いることができる。例えば、直動部分であればストローク検出センサ、回動部分であれば回転角センサを用いることができる。
制御装置は、入力軸及び出力軸の回転速度と操作機構の操作進行状況の信号を取り込み、操作機構に適宜制御指令を送信する部位である。制御装置には、例えば、マイクロコンピュータを内蔵してソフトウェアで動作する電子制御装置を用いることができる。また、加速度演算手段もソフトウェアで実現することができる。すなわち、一定時間間隔で取り込んだ入力軸回転速度の信号を内部情報としてメモリに蓄積するとともに、単位時間毎に差分演算することにより加速度を求めることができる。
次に、上述のように構成された自動変速機の変速操作時の制御方法について説明する。変速操作が始まると、まず今まで動力を伝達していた歯車対が解離され、入力軸から出力軸に動力が伝達されないニュートラル状態になる。次いで新しい歯車対が指定されるが、この時点では同期していないので、直ちに動力を伝達することはできない。次に新しい変速比で同期するように、入力軸と出力軸の回転速度を調整するが、出力軸は車輪に連結され車両走行の慣性により駆動されるため、入力軸側で主に調整することになる。すなわち、エンジン回転数を調整するとともに、入力軸側の部位を出力軸側の部位と摩擦係合させ、両者を同期に近付けてゆく。このとき、両軸の回転速度をともに検出することができれば、両者を比較して容易に同期を判定することができる。
ところが、車両速度が小さく出力軸や車輪に設けられた回転速度センサが検出下限以下場合には、出力軸回転数を正確に検出することができない。このとき、本発明では、入力軸の加速度の増減により同期を判定する。詳細には、出力軸よりも速く回転して検出可能な入力軸回転速度の信号を制御装置に取り込み、これを単位時間毎に差分演算、すなわち数学的には微分演算することにより加速度を求めるようにしている。そして、単位時間毎に求めた加速度をまず所定の判定開始値と比較し、これ以上となったときに摩擦係合状態と判断するようにしている。なぜなら、摩擦係合の途中では、入力軸の回転速度が刻々変化して出力軸の回転速度に近付いてゆき、ある程度以上の大きな加速度が生じるからである。所定の判定開始値は、各変速機の構造に合わせて適宜設定することができる。さらに、回転速度センサにおける一過性電気ノイズなどの影響を排除するために、複数回の継続を判断条件に加えてもよい。なお、加速度は正負双方あり、低速変速比への変速操作では正の加速度、高速変速比への変速操作では負の加速度を求めて比較することになる。
加速度が判定開始値以上となった後は、単位時間毎の加速度を別の同期判定値と比較し、これ以下となったときに同期と判定するようにしている。なぜなら、加速度の小さいことは、入力軸と出力軸がほぼ同期し、摩擦係合による回転速度変化が少なくなくなったと判断できるからである。同期判定値は、次の噛合結合に支障を生じない程度の誤差を許容するとともに、入力軸回転速度センサの精度や、加速度演算誤差も考慮して、適宜設定することができる。
同期を判定した後、制御装置は速やかに噛合係合を駆動することにより、短時間で変速操作を完了することができる。
次に、シンクロメッシュ機構をもつ自動変速機における本発明の制御方法について説明する。
前記出力軸に設けられる前記歯車は該出力軸と相対回転自在な遊転歯車であり、前記操作機構の前記摩擦部は該出力軸と一体に回転しかつ軸方向に押圧されて該遊転歯車に摩擦係合するシンクロナイザリングであり、前記噛合部は該出力軸と一体に回転しかつ軸方向に移動して該遊転歯車に嵌合するスリーブであって、該シンクロナイザリング及び該スリーブは共通のアクチュエータにより駆動され、前記制御装置は該アクチュエータを制御して前記同期以前は大きな出力荷重とし該同期以後は小さな出力荷重とする、ようにしてもよい。
シンクロメッシュ機構では、出力軸に相対回転自在に複数の遊転歯車が設けられ、これらの遊転歯車は常時入力軸側の駆動歯車と噛み合って遊転している。そして、いずれかの遊転歯車にシンクロナイザリングが摩擦係合した後にスリーブが嵌合し、最終的に入力軸と出力軸とが結合して動力を伝達するように構成されている。遊転歯車は、例えば、2個組み合わせて用いられ、中間には個別のシンクロナイザリングと共通のスリーブとが配置されている。シンクロナイザリング及びスリーブは、例えば、モータなどのアクチュエータにより操作シャフトを経由して、キーシンクロ方式など公知の各種駆動方式により駆動されるようになっている。なお、アクチュエータはモータに限定されず、油圧機構など他の駆動源を用いてもよい。
いずれの駆動方式の場合でも、シンクロナイザリングによる摩擦係合状態では、制御装置はアクチュエータの出力荷重を大きくして強く摩擦させ、短時間で同期を達成するようにしている。さらに、同期が検出されるとスリーブが駆動され、このときアクチュエータの出力荷重は小さく制御される。なぜなら、スリーブは例えばスプライン嵌合により出力軸と遊転歯車とを最終的に噛合させるため、小さな荷重で穏やかに嵌入させることが機械的なショックの抑制に有効だからである。
シンクロメッシュ機構をもつ自動変速機の制御においても、出力軸の回転速度が検出できない場合に、制御装置は入力軸の加速度を演算により求める。そして求めた加速度が判定開始値以上となり同期判定値以下となるまでアクチュエータを大きな出力荷重に制御し、同期判定値以下となった後はアクチュエータを小さな出力荷重に制御するようにしている。
次に、本発明の応用態様について説明する。前記入力軸の前記加速度による判定と並行して、前記スリーブの軸方向の移動量が所定長以上となった時点で同期とする判定を行うことが好ましい。
スリーブの軸方向の移動量による判定では、例えば、スリーブが遊転歯車にわずかに嵌入した位置で同期を判定する。したがって、これに相当する軸方向の移動量を所定長とすることができる。この判定方法は、出力軸回転速度が検出できない場合の従来方法に相当し、スリーブの嵌入開始により入力軸と出力軸が物理的に一体化して回転していることを検出するものである。
従来方法を併用することにより、入力軸の加速度による同期判定に失敗しても、従来と同等の性能を維持することができる。このケースとしては、特殊な走行状態で入力軸にあまり加速度が発生しない場合や、入力軸回転速度センサの故障、信号伝送上の不具合などが考えられるが、希有な条件である。
本発明の自動変速機の制御方法では、制御装置は入力軸の回転速度から加速度を求める加速度演算手段をもち、求めた加速度が所定の判定開始値以上となった後に所定の同期判定値以下となった時点で同期と判定するようにしたので、出力軸の回転速度が検出できない場合であっても、入力軸と出力軸との回転速度の同期判定を時間遅れなく正確に行うことができる。したがって、変速操作時間を短縮できるとともに、嵌入操作による機械的なショックは小さく抑制される。
本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図3を参考にして説明する。図1は、本発明の制御方法の制御対象となる自動変速機1の一例を概念的に示す図である。自動変速機1は、動力を伝達するための入力軸2及び出力軸3と、歯車変速機構4を備えている。入力軸2は、エンジンなどの駆動源にクラッチを介してあるいは直接に連結され、動力が入力される部位である。出力軸3は、デファレンシャル機構などを介して車輪に連結され、動力が出力される部位である。歯車変速機構4内には、入力軸2に固設される駆動歯車と出力軸に遊転可能に設けられる遊転歯車とが噛み合い、歯数比によって定まる変速比をもつ複数の歯車対が形成されている。
操作機構5は歯車変速機構4に接して設けられ、機構4内の歯車対を選択するシフトアンドセレクト部と、選択された歯車対のうち遊転歯車と出力軸とを摩擦係合させるシンクロナイザリングと、遊転歯車と出力軸とを嵌合させるスリーブと、これらを駆動するアクチュエータと、アクチュエータの出力荷重を伝達する操作シャフトと、で形成されている。入力軸2の近傍には入力軸回転数センサ6が設けられて入力軸回転速度NIの信号を出力し、出力軸3の近傍には出力軸回転数センサ7が設けられて出力軸回転速度NOAの信号を出力している。また、操作機構5の操作シャフトの近傍にはシフトストロークセンサ8が設けられ、操作シャフト及び一緒に動作するスリーブの軸方向移動量SSの信号を出力している。なお、3種類の信号は図1中に破線の矢印で示されている。
制御装置9には、マイクロコンピュータを内蔵する電子制御装置が用いられ、前述の3種類の信号を取り込むように電気接続されている。また、操作機構5のアクチュエータの出力荷重WTを制御するための制御信号(図1中の実線の矢印)を出力している。制御装置9は、以降に説明する制御方法を実行するように、プログラミングされたソフトウェアにより動作するようになっている。
次に、上述のように構成された自動変速機1を制御する本発明の制御方法について、図2を参考にして説明する。図2は、減速操作時を例とした場合に制御装置9内部に記憶される検出信号及び制御信号の時間的変化の様子を示すタイミングチャートである。図2中の横軸は共通の時間軸Tであり、NOは取り込まれた出力軸回転速度NOAを歯車対の減速比で除して入力軸2側と直接比較できるようにした判定用出力軸回転速度、NIは取り込まれた入力軸回転速度、A(=|dNI/dT|)は入力軸回転速度NIを差分演算して求めた加速度の絶対値、SSは取り込まれた操作シャフト及びスリーブの軸方向移動量、WTは出力制御されるアクチュエータの出力荷重、をそれぞれ示している。
変速操作が開始され新しい歯車対が指定されると、時刻T0からアクチュエータは大きな出力荷重F1で操作シャフトを駆動する。操作シャフトはシンクロナイザリングを押圧して位置SS0から位置SS1まで駆動し、時刻T1からシンクロナイザリングと遊転歯車との摩擦係合が始まる。摩擦係合中操作シャフトは位置SS1から殆ど移動せず、入力軸回転速度NIが判定用出力軸出力軸回転速度NOに近付いてゆき、加速度Aが発生する。このとき、判定用出力軸回転数NOが得られている場合には、制御装置9は判定用出力軸回転数NOと入力軸回転数NIとを比較し、その差が所定の残差dN以下となった時刻T3で同期と判定する。時刻T3以降は、図中(ア)に示されるように速やかに出力荷重WTを大きな荷重F1から小さな荷重F2に低減して、操作シャフトを位置SS1からSS2まで駆動し、スリーブを穏やかに嵌入する。
判定用出力軸回転数NOが得られていない場合、制御装置9は、演算により求めている加速度Aに着目し、これを所定の判定開始値TAと比較する。そして加速度Aが判定開始値TA以上となった時刻T2の時点で摩擦係合中であると判断し、以降は加速度Aを同期判定値EAと比較する。そして加速度Aが同期判定値EA以下となった時刻T4で同期と判定し、図中(イ)に示されるようにアクチュエータの出力荷重WTを低減する。この入力軸2の加速度Aによる方法によれば、入出力軸の回転速度NI、NOの比較による方法と殆ど変わらないタイミングで同期を判定することができる。
また、制御装置9は、加速度Aによる同期判定と並行して、操作シャフトの軸方向移動量SSによる同期判定も行っている。すなわち、軸方向移動量SSが所定長ES以上となった時刻T5で同期と判定し、図中(ウ)に示されるようにアクチュエータの出力荷重WTを低減する。軸方向移動量SSによる同期判定は、入出力軸の回転速度NI、NOの比較による方法と加速度Aによる方法の両方が機能しない場合にのみに働く、いわゆるバックアップ機能である。
次に、本発明の制御方法における制御フローについて、図3を参考にして説明する。図3は、変速操作時において出力軸回転速度NOAが検出できない場合に、制御装置9で行う同期判定の手順を示すフローチャートである。図中のP1〜P10は各手順に付した通し番号であり、FTは加速度Aが判定開始値TA以上となったことを保持するフラグ、FEは加速度Aが同期判定値TE以下となったことを保持するフラグである。
まず、手順P1で2つのフラグFT、FEをクリヤしておく。次に手順P2で入力軸回転速度NI及び操作シャフトの軸方向移動量SSの信号を取り込み、内部に保持する。次に手順P3で入力軸2の加速度Aを算出する。これは今取り込んだ入力軸回転速度NIから単位時間前に取り込んだ入力軸回転速度NIを減じることによって求められる。次に手順P4で加速度Aが判定開始値TA以上か否か判断し、条件を満足すれば手順P5でフラグFTを立てる。フラグFTが立った状態は、図2のT2以降で摩擦係合状態であることを示している。次に手順P6及びP7では、フラグFTが立った状態のときにのみ、加速度Aが同期判定値EA以下か否かを判断し、条件を満足すれば手順P8でフラグFEを立てる。フラグFEが立った状態は、図2のT4以降で同期していることを示している。
手順P9では、2つのフラグFT及びFEの状態を調べて、両方が立っている場合に手順P10で同期と判定する。これは、摩擦係合により入力軸2に加速度Aが生じその後同期に近付くことによって加速度Aが減少するという正規の操作と応動が行われたと判断できるからである。またフラグFT、FEの状態とは無関係に操作シャフト移動量SSが所定長ES以上か否か比較し、条件を満足すればやはり手順P10で同期と判定する。これは、何らかの原因で加速度Aによる同期判定が行えなかったが、操作シャフトの移動量SSからみて既にスリーブが嵌入を開始し同期していると確実に判断できるからである。手順P9で同期と判定しなかったときには、単位時間後に手順P2に戻り、再度同じ手順を繰り返すことになる。
本発明の制御方法の制御対象となる自動変速機の一例を概念的に示す図である。 図1の自動変速機を制御する本発明の制御方法を説明する図であり、減速操作時を例とした場合に制御装置内部に記憶される検出信号及び制御信号の時間的変化の様子を示すタイミングチャートである。 図1の自動変速機の変速操作時において出力軸回転速度が検出できない場合に、制御装置で行う同期判定の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1:自動変速機 2:入力軸 3:出力軸
4:歯車変速機構 5:操作機構 6:入力軸回転速度センサ
7:出力軸回転速度センサ 8:シフトストロークセンサ(進行状況検出手段)
9:制御装置
NI:入力軸回転速度 A:入力軸の加速度
NOA:出力軸回転速度 NO:判定用出力軸回転速度
SS:軸方向移動量 WT:アクチュエータの出力荷重
TA:判定開始値 EA:同期判定値 ES:

Claims (3)

  1. 入力軸と出力軸とにそれぞれ設けられた歯車を噛合させて形成する複数の歯車対のうちいずれかを用いて所定の変速比で動力を伝達する歯車変速機構と、該入力軸と該出力軸との間で該歯車対を選択するシフトアンドセレクト部及び摩擦係合させる摩擦部及び噛合係合させる噛合部からなる操作機構と、該入力軸の回転速度を検出する入力軸回転速度検出手段と、該出力軸の回転速度を検出する出力軸回転速度検出手段と、該操作機構の操作進行状況を検出する進行状況検出手段と、該入力軸及び該出力軸の該回転速度と該操作進行状況とを参照しつつ該操作機構を制御する制御装置とを備え、動力を伝達する該歯車対を変更する変速操作時に、該入力軸と該出力軸とが同期する以前は該摩擦係合を駆動し、同期した以後は該噛合係合を駆動する自動変速機の制御方法であって、
    前記制御装置は前記入力軸の前記回転速度から加速度を求める加速度演算手段をもち、前記出力軸の前記回転速度が検出できない場合に、求めた該加速度が所定の判定開始値以上となった後に所定の同期判定値以下となった時点で同期と判定することを特徴とする自動変速機の制御方法。
  2. 前記出力軸に設けられる前記歯車は該出力軸と相対回転自在な遊転歯車であり、前記操作機構の前記摩擦部は該出力軸と一体に回転しかつ軸方向に押圧されて該遊転歯車に摩擦係合するシンクロナイザリングであり、前記噛合部は該出力軸と一体に回転しかつ軸方向に移動して該遊転歯車に嵌合するスリーブであって、該シンクロナイザリング及び該スリーブは共通のアクチュエータにより駆動され、前記制御装置は該アクチュエータを制御して前記同期以前は大きな出力荷重とし該同期以後は小さな出力荷重とする、請求項1に記載の自動変速機の制御方法。
  3. 前記入力軸の前記加速度による同期判定と並行して、前記スリーブの軸方向の移動量が所定長以上となった時点で同期とする判定を行う請求項1または2に記載の自動変速機の制御方法。
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