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JP2007253307A - フライスカッター及びインサート - Google Patents

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JP2007253307A JP2006084429A JP2006084429A JP2007253307A JP 2007253307 A JP2007253307 A JP 2007253307A JP 2006084429 A JP2006084429 A JP 2006084429A JP 2006084429 A JP2006084429 A JP 2006084429A JP 2007253307 A JP2007253307 A JP 2007253307A
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Masaharu Takiguchi
正治 滝口
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Abstract

【課題】正面切刃の切り込み角度を一定に保持したままでインサートの位置調整が容易、かつ、確実に行うことができ、高い切刃振れ精度を得ることができるフライスカッターを提供する。
【解決手段】軸線回りに回転される円盤状の工具本体11の先端部外周に形成された凹部13に取付座14が備えられ、取付座14に、切刃を有するインサート40が着脱自在に装着されるフライスカッター10であって、工具本体11には、インサート40の軸線方向位置を調整するための調整部材19が備えられており、取付座14には、押圧部材30を介してインサート40の被押圧面を押圧して、インサート40を取付座14に固定する固定クサビ20が具備され、押圧部材30には、被押圧面を押圧する押圧面が形成されるとともに、インサート40を工具本体11側へと付勢する付勢部材35が配置されていることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、工具本体の先端部外周に複数のインサートが着脱可能に装着されたフライスカッター及びこのフライスカッターに装着されるインサートに関するものである。
従来、被切削材に平面加工を施す切削工具として、複数のインサートが装着されたフライスカッターが使用されている。この種のフライスカッターにおいては、円盤状の工具本体の先端部外周に形成された多数の凹部及び取付座に、超硬合金等の硬質材料よりなるインサートが着脱可能に装着されており、工具本体をその軸線回りに高速回転するとともに軸線と交差する方向に送りを与えることにより、インサートの工具本体径方向外側に向けられた外周切刃と工具本体先端側に向けられた正面切刃とによって被切削材を切削するものである。
ところで、多数のインサートを備えたフライスカッターでは、各インサートの切刃が工具本体の軸線回りに描く回転軌跡が一致するように、各インサートが取り付けられていなければならない。すなわち、このフライスカッターには、切刃の振れ出し量が同一となるように、高い切刃振れ精度が備わっていなければならない。前記フライスカッターにおいて切刃の振れ出し量が異なっている場合には、振れ出し量の大きい切刃が優先的に摩耗してしまうため、インサートの交換頻度が多くなるとともに、被切削材の仕上げ面が波打ち、面粗度が劣化するといった問題があった。
そこで、従来のフライスカッターにおいては、仕上げ面の面粗度を向上させるために、フライスカッターに装着された多数のインサートのうちの一部をワイパー刃(さらい刃)とする手段が提供されているが、ワイパー刃を備えたフライスカッターでは、ワイパー刃のみが切削する部分が多くなり、このワイパー刃が優先的に摩耗するため、インサートの交換頻度が多くなるといった問題があった。
そこで、このようなフライスカッターにおいては、インサートの工具本体軸線方向の位置を移動させ、各切刃の振れ出し量を調整するための調整機構を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に開示されたフライスカッターは、工具本体の先端部外周に複数の凹部が形成され、凹部の工具回転方向後方側にインサートの取付座が形成されており、この取付座の工具回転方向前方側を向く壁面に、四角形平板状をなすインサートが着座される。取付座の工具回転方向前方側にはクサビ部材が挿入されており、このクサビ部材の工具回転方向後方側を向く面と取付座の工具回転方向前方側を向く壁面とによってインサートが挟持されて固定されている。
この取付座の工具本体後端側に、インサートの位置を調整するための調整クサビが備えられている。また、工具本体の底面からこの調整クサビの位置を固定するための固定ネジが螺着されている。
この構成のフライスカッターにおいては、固定クサビを抜き出してインサートを移動可能な状態とし、調整クサビを挿入することによりインサートの工具本体後端側を向く面を押圧して、インサートの位置を移動させて切刃の振れ出し量を調整するものである。
実用新案登録第1854538号公報
ところで、前記構成のフライスカッターにおいては、切刃の振れ調整を行うために固定クサビを抜き出した際に、インサートの位置が大きくずれてしまうおそれがあった。
また、固定クサビを抜き出した状態ではインサートは全く固定されていないため、調整クサビによってインサートの工具本体後端側を向く面を押圧した際に、インサートが調整方向以外の方向へずれてしまうおそれがあり、複数の切刃の振れ調整を精度良く、かつ、効率的に行うことができなかった。
また、インサートが取付座の工具回転方向前方側を向く壁面の上で回転してしまった場合には、正面切刃の切り込み角度が、各インサートによってばらついてしまうので、インサートを取り付け直す必要があった。
このように、従来のフライスカッターにおいては、切刃の振れ出し量を調整するのに多大な時間と労力を必要としていた。
本願発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、正面切刃の切り込み角度を一定に保持したままでインサートの位置調整を容易、かつ、確実に行うことができ、高い切刃振れ精度を得ることができるフライスカッター及びこのフライスカッターに装着されるインサートを提供することを目的とする。
この課題を解決するために、本発明に係るフライスカッターは、軸線回りに回転される円盤状の工具本体の先端部外周に形成された凹部に取付座が備えられ、該取付座に、切刃を有するインサートが着脱自在に装着されるフライスカッターであって、前記工具本体には、前記インサートの前記軸線方向の位置を調整するための調整部材が備えられており、 前記取付座には、押圧部材を介して前記インサートの被押圧面を押圧して、前記インサートを前記取付座に固定する固定クサビが具備され、前記押圧部材には、前記インサートの前記被押圧面を押圧する押圧面が形成されるとともに、前記インサートを前記工具本体側へと付勢する付勢部材が配置されていることを特徴としている。
この構成のフライスカッターにおいては、インサートの位置調整を行うために固定クサビを僅かに抜き出した際に、押圧部材に配置された付勢部材がインサートを工具本体側に向けて押圧することになり、インサートの位置ずれを防止することができる。このように付勢部材によってインサートが押圧された状態で、工具本体に設けられた調整部材によってインサートを移動させることにより、インサートの軸線方向の位置調整を行うことができ、切刃の振れ調整を簡単にかつ確実に行うことができる。
また、固定クサビを挿入した場合には、いわゆるクサビ効果によって、前記押圧部材が工具本体側へと強く押圧され、押圧部材の押圧面によってインサートの被押圧面を強く押圧してインサートを強固に固定することができる。
ここで、前記調整部材を、前記インサートの前記工具本体後端側を向く面を押圧する調整ネジとし、前記調整ネジを、前記インサートの移動方向に対して傾斜する方向に配置することにより、インサートの位置調整を調整ネジのネジピッチよりも小さなピッチで調整することができ、切刃の振れ調整を精度良く行うことができる。例えば、インサートの移動方向に対して調整ネジが角度θで配置している場合には、ネジピッチPとするとインサート移動方向のピッチはP×cosθとなり、ネジピッチPよりも小さなピッチでインサートの位置調整を行うことができる。
また、前記インサートとして、長尺棒状をなし、その先端に立方晶窒化硼素焼結体で構成された前記切刃を備えた切刃部が形成され、該切刃部の後端側に前記被押圧面が形成されているものを使用することにより、前記被押圧面と押圧部材の押圧面とが摺接した状態でインサートの位置調整を行うことになり、切刃の振れ調整を簡単に行うことができる。また、切刃が、硬質で耐摩耗性に優れた立方晶窒化硼素焼結体(CBN:Cubic Boron Nitride)で構成されているので、この切刃の耐摩耗性が向上し、インサートの寿命延長を図ることができる。
また、前記切刃部に正面切刃と外周切刃とを形成し、これら正面切刃と外周切刃との交差部分にコーナ部を設けることにより、このインサートの刃先強度を向上させることができ、切削時の切削抵抗によって正面切刃及び外周切刃が欠損することを防止できる。さらに、コーナ部を形成することにより、正面切刃及び外周切刃の再研磨が容易となり、このインサートのさらなる寿命延長を図ることができる。
本発明によれば、正面切刃の切り込み角度を一定に保持したままでインサートの位置調整が容易、かつ、確実に行うことができ、高い切刃振れ精度を得ることができるフライスカッター及びこのフライスカッターに装着されるインサートを提供することができる。
本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。
図1から図5に本発明の実施形態であるフライスカッターを示す。図6から図8に前記フライスカッターに装着されるインサートを示す。
フライスカッター10は、鋼材等で構成されて外形が概略円盤状をなす工具本体11を有しており、工具本体11がなす円盤の中央部には、工具本体11をアダプタを介して工作機械の主軸端等に取り付けるための取付孔12が、工具本体11の軸線Oに沿うように形成されている。
この工具本体11の先端側外周部には、工具本体11の外周面及び先端面に開口するように複数の凹部13が形成されており、さらにこれらの凹部13の工具回転方向T後方側には、それぞれ取付座14が設けられている。本実施形態では、図2に示すように、8つの凹部13及び取付座14が、周方向に間隔をあけるようにして設けられている。
取付座14の工具回転方向T前方側を向く壁面が第1取付面14Aとされており、この第1取付面14Aは、図3に示すように、工具本体11後端側に向かうにしたがい工具回転方向T後方側に後退するように傾斜させられている。また、取付座14の工具本体11径方向外側を向く壁面が第2取付面14Bとされ、この第2取付面14Bは、図4に示すように、工具本体11径方向内側に向けて凹むように形成されている。
また、取付座14の工具回転方向T前方側には、インサート40を固定するための固定クサビ20を収容するための切欠部15が形成され、この切欠部15の工具本体11径方向外側を向く壁面にはクランプネジ孔16が穿設されている。切欠部15の工具回転方向T前方側に位置する壁面は、図3及び図4に示すように断面半円状をなしてクランプネジ孔16の中心線Lに平行に延びるようにに形成されている。
また、取付座14の第1取付面14Aよりも工具回転方向T後方側には、図4に示すように、工具本体11径方向外側に向かうにしたがい前記中心線Lに対して漸次工具回転方向T前方側へと向かうように傾斜させられた傾斜面部17が形成されている。
つまり、工具回転方向T前方側から順に、クランプネジ孔16、取付座14、傾斜面部17が並ぶように配置されているのである。
また、各取付座14の工具本体11後端側には、工具本体11後端側から取付座14へと貫通するように調整ネジ孔18が穿設されており、この調整ネジ孔18に調整ネジ19が螺着されている。調整ネジ孔18は、前記第1取付面14A及び第2取付面14Bに対して傾斜するように配置されており、本実施形態では、図3に示すように、工具本体11先端側に向かうにしたがい工具回転方向T後方側へと向かうように配置されている。本実施形態では、この調整ネジ孔18の延びる方向と第1取付面14Aが延びる方向とが角度θで交差するように構成されている。
また、調整ネジ19の先端は、先端側に向かうにしたがい外径が小さくなるようなテーパ面19Aが形成されている。
切欠部15に収容される固定クサビ20は、図3及び図4に示すように、一端が平面状に形成されて他端が半円状に形成されたブロック状をなしており、一端側の側面がクサビ面21とされ、このクサビ面21は、切欠部15に収容した状態において、工具本体11径方向外側に向かうにしたがい前記中心線Lに対して工具回転方向T後方側へと突出するように傾斜させられている。
また、固定クサビ20の他端側は、前記切欠部15の工具回転方向T前方側に位置する壁面に密着するように配置される。
固定クサビ20の中央部分には、貫通ネジ孔22が厚さ方向に貫通するように形成され、この貫通ネジ孔22には、固定クサビ20を工具本体11径方向に移動させるクランプネジ23が螺着されている。このクランプネジ23は、図4に示すように、両端に雄ネジ部24が形成された、いわゆるダブリュスクリュー型のネジである。
この固定クサビ20とインサート40との間に配置される押圧部材30は、図3及び図4に示すように、概略四角柱状をなしており、前記取付座14に装着された状態において、工具回転方向T前方側を向く側面31が工具本体11径方向外側に向かうにしたがい前記中心線Lに対して工具回転方向T後方側に向かうように傾斜させられ、工具回転方向T後方側を向く側面32が工具本体11径方向外側に向かうにしたがい前記中心線Lに対して工具回転方向T前方側に向かうように傾斜させられている。ここで、工具回転方向T前方側を向く側面31が、前記クサビ面21と摺接されるクサビ受け面とされている。
押圧部材30の工具本体11径方向内側を向く面が押圧面33とされ、この押圧面33の中央部分には、押圧面33に直交する方向に延びる収容孔34が穿設されている。この収容孔34には、付勢部材としてボールプランジャ35が配備されている。なお、ボールプランジャ35とは、有底筒状をなすケースの内部にコイルバネ36が配備され、ケースの開口部部分にボール材37が配置されたものである。
次に、取付座14に装着されるインサート40について説明する。インサート40は、例えば超硬合金等の硬質材料からなるインサート本体41を有している。このインサート本体41の先端側(図6及び図7において下側)には、一側面側に大きく突出された切刃部42が形成されており、インサート本体41は、正面視して図6に示すように概略L字状をなしている。
インサート本体41の後端側部分は概略四角柱状をなしており、この四角柱の前記切刃部42が突出された側面が、前記押圧部材30の押圧面33に押圧される被押圧面43とされている。この被押圧面43は、インサート本体41の長手方向に沿って延びるように、かつ、切刃部42の後端側からインサート本体41の後端面にまで達するように配置されている。
また、インサート40の後端面には、前記調整ネジ19の先端に形成されたテーパ面19Aが当接されるネジ受け部44が形成されている。
また、インサート本体41先端側の切刃部42には、CBNで構成された切刃チップ45が配置されている。本実施形態では、切刃チップ45は平板状をなしており、このインサート40のすくい面46に積層されるようにして、インサート本体41に貼設されている。
切刃部42の先端側辺稜部に正面切刃47が形成され、切刃部42の一側面側辺稜部に外周切刃48が形成されている。なお、本実施形態では、切刃部42が大きく突出した側面の辺稜部に外周切刃48が形成されており、前記被押圧面43と外周切刃48とが略平行に配置されている。
さらに、これら正面切刃47及び外周切刃48の交差部分にコーナ部49が形成されている。なお、本実施形態では、このコーナ部49と正面切刃47とがなす角度、いわゆるコーナ角βは45°とされている。
また、正面切刃47に連なる切刃部42の先端面は、正面切刃47から離れるにしたがい漸次インサート本体41後方側に後退するように傾斜させられた正面逃げ面50とされている。また、外周切刃48に連なる切刃部42の側面も、外周切刃48から離れるにしたがい漸次インサート本体41の内側に後退するように傾斜させられた外周逃げ面51とされている。
このようなインサート40が、以下のようにして、工具本体11の取付座14に装着されて、フライスカッター10が構成されることになる。
インサート40を、すくい面46が工具回転方向T前方側を向くように、かつ、外周切刃48が工具本体11径方向外側を向くようにして、前記取付座14に載置する。つまり、前記インサート40のすくい面46とは反対側の面を取付座14の第1取付面14Aに当接するように、かつ、被押圧面43とは反対側の面を取付座14の第2取付面14Bに当接するようにして、インサート40を取付座14に載置する。
そして、工具本体11径方向外側に向けられたインサート40の被押圧面43に前記押圧面33が密着するように、かつ、ボールプランジャ35のボール材37がインサート40の押圧面33に当接されるようにして押圧部材30が配置される。このとき、押圧部材30の工具回転方向T後方側を向く側面32が取付座14の傾斜面部17に密着させられ、押圧部材30の工具回転方向T前方側を向く側面31(クサビ受け面)が固定クサビ20のクサビ面21に対向するように配置されることになる。
このとき、前記インサート40の被押圧面43及び押圧部材30の押圧面33は、取付座14の第1取付面14Aと第2取付面14Bとの交線が延びる方向、つまり、インサート40の移動方向に対して平行に配置されている。
この状態で、固定クサビ20に螺着されているクランプネジ23を回動することにより、固定クサビ20が前記中心線Lに沿って工具本体11径方向内側に向けて移動し、クサビ面21が押圧部材30の工具回転方向T前方側を向く側面31(クサビ受け面)を押圧することになり、押圧部材30が傾斜面部17との間で工具本体11径方向内側に向けて押圧される。
すると、押圧部材30の押圧面33がインサート40の被押圧面43を工具本体11径方向内側に向けて押圧することになり、インサート40が押圧部材30と取付座14との間に挟持されて固定される。このとき、ボールプランジャ35のコイルバネ36が強く圧縮されて弾性変形させられ、ボール材37が前記収容孔34に収容される。
このようにインサート40を固定することによって、インサート40の正面切刃47及び外周切刃48は、図5に示すように配置される。すなわち、外周切刃48が軸線Oと略平行に配置されるとともに、正面切刃47が軸線Oに直交する水平面に対して切り込み角αとなるように配置される。なお、本実施形態では、正面切刃47の切り込み角(いわゆるディッシュ角)αは、α=5°に設定されている。
このようにして構成されたフライスカッター10は、工具本体11の取付孔12に取付ボルトが挿通されて、該取付ボルトの先端がアダプタにねじ込まれることによって、工具本体11がアダプタに接続され、工具本体11はアダプタを介して工作機械の主軸端に取り付けられ、軸線Oを中心として工具回転方向Tに高速回転されるとともに、軸線Oと交差する方向に送りを与えられることにより、インサート40の工具本体11径方向外側に向けられた外周切刃48と工具本体11先端側に向けられた正面切刃47によって被切削材を切削する。
この構成のフライスカッター10においては、切刃の振れ調整は、クランプネジ23を緩めて固定クサビ20を工具本体11径方向外側に僅かに後退させた状態で調整ネジ19をねじ込むことにより行う。
固定クサビ20を抜き出すと、圧縮されていたボールプランジャ35が弾性復帰してインサート40を工具本体11側に付勢するとともに押圧部材30を工具本体11径方向外側に向けて付勢することになる。ここで押圧部材30の工具回転方向T後方側を向く壁面32が取付座14の傾斜面部17と摺接するように、かつ、押圧部材30の工具回転方向T前方側を向く壁面31(クサビ受け面)が固定クサビ20のクサビ面21と摺接するように配置されているので、押圧部材30はこれら傾斜面部17とクサビ面21とで固定され、ボールプランジャ35によってインサート40が工具本体11側に押圧されることになる。
この状態で調整ネジ19をねじ込んでインサート40のネジ受け部44を押圧することにより、インサート40は第1取付面14A及び第2取付面14Bに沿って工具本体11先端側に向けて移動する。ここで、インサート40はボールプランジャ35の付勢力によってのみ保持されているので、この付勢力に対抗するだけの押圧力でインサート40を押圧することでインサート40の移動が可能となる。
このように、本実施形態であるフライスカッター10によれば、切刃の振れ調整を行うために固定クサビ20を抜き出した場合でも、ボールプランジャ35による付勢力によってインサート40の位置が保持され、インサート40の位置ずれが生じることを防止できる。この状態でインサート40を調整ネジ19で押圧することによって、切刃の振れ調整を確実にかつ簡単に行うことができる。
また、固定クサビ20を挿入した場合には、ボールプランジャ35が圧縮変形させられてボール材37が収容孔34に収容されるとともに、押圧部材30の押圧面33によってインサート40を工具本体11側へと強固に押圧することができ、インサート40を確実に固定することができる。
また、押圧部材30の押圧面33が、取付座14の第1取付面14Aと第2取付面14Bとの交線が延びる方向、つまり、インサート40の移動方向に対して平行に配置されているので、ボールプランジャ35によってインサート40が固定されている状態でもインサート40を移動させることができ、インサート40の位置調整を確実に行うことができる。また、この押圧面33に沿ってインサート40が移動することにより、インサート40が第1取付面14A上で回転することがなく、正面切刃47の切り込み角(ディッシュ角)αを一定に保持した状態でインサート40の位置調整を行うことができ、切刃の振れ調整を簡単に行うことができる。
また、調整ネジ孔18の延びる方向が、第1取付面14Aが延びる方向、つまりインサート40の移動方向と角度θで交差するように配置され、この調整ネジ孔18に調整ネジ19が螺着されているので、調整ネジ19のネジピッチをPとした場合にはインサート40移動方向のピッチはP×cosθとなり、インサート40の位置調整を調整ネジ19のネジピッチよりも小さなピッチで調整することができる。したがって、切刃の振れ調整を精度良く行うことができる。
また、インサート40の切刃部42にCBNで構成された切刃チップ45が貼設され、正面切刃47及び外周切刃48が形成されているので、これら正面切刃47及び外周切刃48の耐摩耗性が向上し、インサート40の寿命延長を図ることができる。また、平板状をなす切刃チップ45がすくい面46に積層するように配置されているので、すくい面46もCBNで構成され、すくい面46の摩耗も防止することができる。
また、正面切刃47と外周切刃48との交差部分にコーナ部49が形成され、このコーナ部49と正面切刃47とがなすコーナ角が45°とされているので、このインサート40の刃先強度が向上して切削時の切削抵抗による正面切刃47及び外周切刃48の欠損を防止できる。さらに、コーナ部49が形成されているので、外周逃げ面51に沿って研磨することにより外周切刃48の再研磨ができ、正面逃げ面50に沿って研磨することにより正面切刃47の再研磨を行うことができる。したがって、これら外周切刃48及び正面切刃47の再研磨が容易となり、このインサート40のさらなる寿命延長を図ることができる。
以上、本発明の実施形態であるフライスカッターについて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態においては、固定クサビを移動させるためのクランプネジとして、両端に雄ネジ部が形成されたダブルスクリュー型のものを使用したものとして説明したが、これに限定されることはなく、クランプネジ孔にねじ込まれる雄ネジ部と固定クサビに当接して固定クサビを径方向内側に押込む頭部を有するクランプネジ等によって固定クサビを移動させるものであってもよい。
また、クランプネジ孔を工具本体径方向外側を向く壁面に穿設したものとして説明したが、例えばクランプネジ孔を工具回転方向T前方側を向く壁面に穿設して固定クサビを挿入するものとしてもよい。
また、押圧部材に配置される付勢部材としてボールプランジャを用いて説明したが、これに限定されることはなく、例えば、単なるコイルバネや皿バネなどの他の付勢部材を使用してもよい。
さらに、凹部及び取付座の数や配置には制限はなく、被切削材の材質、形状等を考慮して適宜設定することが好ましい。
また、コーナ角、ディッシュ角は本実施形態に限定されることはなく、適宜設定することができる。
本発明の実施形態であるフライスカッターの側面断面図である。 図1に示すフライスカッターの底面図である。 図1に示すフライスカッターの取付座の側面拡大図である。 図3におけるX−X断面図である。 図3に示す取付座に装着したインサートを工具回転方向から見た図である。 本実施形態であるフライスカッターに装着されるインサートの正面図である。 図6におけるY方向矢視図である。 図6におけるZ方向矢視図である。
符号の説明
10 フライスカッター
11 工具本体
13 凹部
14 取付座
19 調整ネジ(調整部材)
20 固定クサビ
21 クサビ面
30 押圧部材
33 押圧面
35 ボールプランジャ(付勢部材)
40 インサート
42 切刃部
44 被押圧面
47 正面切刃
48 外周切刃
49 コーナ部

Claims (4)

  1. 軸線回りに回転される円盤状の工具本体の先端部外周に形成された凹部に取付座が備えられ、該取付座に、切刃を有するインサートが着脱自在に装着されるフライスカッターであって、
    前記工具本体には、前記インサートの前記軸線方向の位置を調整するための調整部材が備えられており、
    前記取付座には、押圧部材を介して前記インサートの被押圧面を押圧して、前記インサートを前記取付座に固定する固定クサビが具備され、
    前記押圧部材には、前記インサートの前記被押圧面を押圧する押圧面が形成されるとともに、前記インサートを前記工具本体側へと付勢する付勢部材が配置されていることを特徴とするフライスカッター。
  2. 前記調整部材は、前記インサートの前記工具本体後端側を向く面を押圧する調整ネジとされ、前記調整ネジは、前記インサートの移動方向に対して傾斜する方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフライスカッター。
  3. 請求項1または請求項2に記載のフライスカッターに装着されるインサートであって、
    外形が長尺棒状をなし、その先端に立方晶窒化硼素焼結体で構成された前記切刃を備えた切刃部が形成され、該切刃部の後端側に前記被押圧面が形成されていることを特徴とするインサート。
  4. 前記切刃部には、正面切刃と外周切刃とが形成され、これら正面切刃と外周切刃との交差部分にコーナ部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のインサート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113905843A (zh) * 2019-06-07 2022-01-07 株式会社牧野铣床制作所 铣床铣刀

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CN113905843A (zh) * 2019-06-07 2022-01-07 株式会社牧野铣床制作所 铣床铣刀

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