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JP2007131627A - 歯科充填材での収縮力の低減 - Google Patents

歯科充填材での収縮力の低減 Download PDF

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JP2007131627A
JP2007131627A JP2006304170A JP2006304170A JP2007131627A JP 2007131627 A JP2007131627 A JP 2007131627A JP 2006304170 A JP2006304170 A JP 2006304170A JP 2006304170 A JP2006304170 A JP 2006304170A JP 2007131627 A JP2007131627 A JP 2007131627A
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グルントラー アンドレアス
Markus Hoffmann
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Abstract

【課題】充填用コンポジットの硬化によって引き起こされる収縮力を少なくとも部分的に補償する。
【解決手段】自己硬化性又はデュアル硬化性(自己硬化性と同時に光硬化性)の易流動性のコンポジットをライナーとしての使用に供し、該ライナーは窩洞壁の範囲内に薄層で使用することを予定し、かつ遅滞した重合特性を有することとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、自己硬化性又はデュアル硬化性の易流動性のコンポジットを歯科用ライナーの製造のために用いる使用に関する。本発明は、歯科充填材での収縮力の低減に関連するものである。
アクリレート/メタクリレートを基礎とする光硬化性材料は、ラジカル重合において、その重合に際して分子間隔が短くなり、それに付随して密度が増加することに基づき容積収縮に及ぶ。その容積収縮は、無機フィラー、例えば歯科用ガラス又は熱分解法ケイ酸を添加することによって明らかに低減できる。それというのも、単位容積あたりのモノマー割合は低下することとなり、そしてフィラーは重合の間に収縮しないからである。
歯科用途では、容積収縮は、材料の収縮によって引張力が窩洞壁に伝わるため、臨床的に非常に重要である。最大力を超過した場合に、この収縮力は、極端な場合には窩洞壁からの剥離に導くことがある。それにより生じた辺縁ギャップ中に、細菌及び/又はその酸性代謝産物が侵入し、結果的に二次う蝕が生ずる。
収縮力の時間的経過を考えた場合に、以下の典型的な知見が明らかになる:
重合直後に、容積収縮によって収縮力についての初期値がもたらされ、次いでその収縮力は後重合によって約24時間以内に最大値にまで高まる。引き続き、吸水(研究所での水中貯蔵の場合にあるいは口内では唾液から)によって、数日ないし数週間後に、コンポジットの軽微な容積膨張がひきおこされ;それにより張力は再び緩和でき、そしてより低い水準にまで戻る。
このことから、決定的な影響量は、約24時間後の最大の収縮歪み値であるということが結論づけられる。それというのも、この値は、複合系、つまりコンポジット/接着剤/歯の最大の機械的負荷を表すからである。
収縮の少ない歯科材料を提供する試みは行われていないわけではなかった:DE19905093号A1は、硬化性の二環式モノマーの開環メタセシス重合(ROMP)を介した装着を推奨している。DE19851038号A1によれば、収縮は、アクリロイルモルホリン、クマロン樹脂、ビニルステアレート、ポリビニルアセテート又はアルコール界面活性剤を重合前に添加することによって克服される。US5,750,590号によれば、カチオン重合可能な"オキセタン"(トリメチレンオキシド)は、ごく僅かな規模で収縮するにすぎず、従ってこれは同様に収縮の少ない歯科材料に適している。US6,855,197号B2は、エポキシ樹脂を基礎とし、フィラーとしてナノスケールの無機酸化物を含有する収縮の少ない充填材を記載している。US6,709,271号B1によれば、粒度200〜500nmの球状フィラーと粒度20〜80nmのサブミクロンフィラーとのフィラー混合物を使用すると、重合後に1.8%までの収縮がもたらされる。
本願の対象は、第一には、収縮とその低減に関連する:前記に例として論じた材料的特性の他に、加工パラメータも収縮力に影響する:
光負荷
DE19913890号A1では、収縮力の問題を払拭するために、パルス駆動による光硬化装置が提案された。
重合動力学
同一のコンポジット材料の場合に、最初に比較的低い光負荷で比較的緩慢な重合を行い、後に光負荷を最大値にまで高めることによって、より低い収縮力を達成できる(ソフトスタート重合)。開始時の比較的低い光負荷によって、コンポジット材料は比較的長く流動性を保ち、それとともに応力はより良く補償でき引き下げることができる(J.Esthet.Restor.Dent.(2003)15,93−104)。US20050065227号A1では、多官能性の光開始剤を使用した場合に、材料が依然として弾性的である間は、収縮の初期段階が起きると推測されている。その材料は、最終的に、より低い収縮歪みに導かれることが望ましい。
処置の形態
収縮力は、処置の構築に際してインクリメンタル技術を使用することによって最小限にすることができる(US6,783,810号B2)。しかしながら、個々に硬化させねばならない層が多くなるほど、治療する歯科医は多くの時間を要する。
DE19905093号A1 DE19851038号A1 US5,750,590号 US6,855,197号B2 US6,709,271号B1 DE19913890号A1 US20050065227号A1 US6,783,810号B2 J.Esthet.Restor.Dent.(2003)15,93−104)
本発明の課題は、充填用コンポジットの硬化によって引き起こされる収縮力を少なくとも部分的に補償することである。
前記課題は、自己硬化性又はデュアル硬化性(自己硬化性と同時に光硬化性)の易流動性のコンポジットをライナー(以下、新種のライナーと呼称する)としての使用に供し、該ライナーは窩洞壁の範囲内に薄層で使用することを予定し、かつ遅滞した重合特性を有することで解決される。
この新種のライナーは、光活性化可能な開始剤を非常に少量備え、かつ/又はレッドクス開始剤系を少量備えている。自己硬化性の新種のライナーの第一の強度に至る硬化時間は、数分、例えば2〜10分である。引き続いての完全な重合は、複数時間、例えば1〜3時間にわたって進行する。デュアル硬化性の新種のライナーは、光活性化に際して理想的には、1mm未満の低い硬化深度を有するにすぎず、該ライナーは、まず最初に、光の作用によって表面的にのみゲル化しうるだけである(硬化深度は、光を通さない成分、例えばフィラー又は顔料の添加によって調整することができる)。引き続いての完全な重合は、自己硬化性の様式で同様に複数時間にわたって進行する。
従って、デュアル硬化性の易流動性の新種のライナーの場合には、まずゲル化をもたらす光硬化と同時にあるいはその後に完全な自己硬化が行われる。
実際には、処理されるべき歯を、まずは、トータルエッチング技術によりエッチングしてボンディングするか、あるいはセルフエッチング接着剤で処理し、引き続き新種のライナーを薄層で窩洞壁上に施与する。
引き続き、デュアル硬化性の新種のライナーの場合には、まず最初に、光によって表面構造を固定し、次いで新種のライナー中に残る窩洞を古典的な充填用コンポジットで充填し、これを次に同様にして光により硬化させる。
遅滞した緩慢に進行する新種のライナーの重合によって、その硬化は遅滞し、それによって比較的長時間流動することができ、従って最後に使用される充填用コンポジットの収縮あるいは収縮力を、少なくとも部分的に解消することができる。
該新種のライナーは、有利には以下の成分を有する:
モノマー成分: 10質量%〜40質量%
架橋剤成分: 10質量%〜40質量%
フィラー成分: 20質量%〜80質量%
光開始剤: 0.5質量%まで
開始剤系: 0.1質量%〜1.2質量%
モノマーとしては、歯科分野で慣用のモノマーが該当する:例は、ラジカル重合可能な一官能性モノマー、例えばモノ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート又はフェニル(メタ)アクリレート、多官能性モノマー、例えば多官能性のアクリレートもしくはメタクリレート、例えばビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビス−GMA(メタクリル酸とビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルとからの付加生成物)、UDMA("ウレタンジメタクリレート"、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレートと2,2,4−ヘキサメチレンジイソシアネートとからの付加生成物)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート又はテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキシルデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート並びにブタンジオールジ(メタ)アクリレートである。
有利には、ビス−GMA、TEDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、UDMA(ウレタンジメタクリレート)、TCD−ジ−HEMA(ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン)及びTCD−ジ−HEA(ビス(アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン)である。
架橋剤:架橋剤モノマーは、例えば2,2−ビス−4−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−フェニル−プロパン)(ビス−GMA)、すなわちグリシジルメタクリレートとビスフェノール−Aとの反応生成物(OH基含有)、及び7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキサ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジイル−ジメタクリレート(UDMA)、すなわち2モルの2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と1モルの2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとからのウレタンジメタクリレート(ウレタン基含有)である。更に、グリシジルメタクリレートと別のビスフェノール、例えばビスフェノール−B(2,2′−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン)、ビスフェノール−F(2,2′−メチレンジフェノール)又は4,4′−ジヒドロキシジフェニルとの反応生成物、並びに2モルのHEMA又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートと、特に1モルの公知のジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート又はトルイレンジイソシアネートとの反応生成物が架橋剤モノマーとして適している。
フィラーとしては、TiO2、ZrO2、Al23、SiO2といった酸化物の他に、他の金属酸化物、例えば酸化亜鉛、金属硫酸塩、周期系の副族の他の酸化物、フッ化物放出性物質、熱分解ケイ酸又は沈降ケイ酸、歯科用ガラス、例えばアルミノケイ酸塩ガラス又はフルオロアルミノケイ酸塩ガラス、ケイ酸ストロンチウム、ホウケイ酸ストロンチウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸リチウムアルミニウム、層状ケイ酸塩、ゼオライト、酸化物もしくは混合酸化物(SiO2、ZrO2及び/又はTiO2)を基礎とする非晶質の球状フィラー、一次粒度約40〜300nmを有する金属酸化物、10〜100μmの粒度を有するポリマー細片(R.Janda,Kunststoffverbundsysteme,VCH Verlagsgesellschaft,Weinheim,1990,第225頁以降を参照)又はそれらの混合物が該当する。更に、補強材、例えばガラス繊維、ポリアミド繊維又は炭素繊維を混加することができる。
フィラー含有量は、一般に、歯科用材料の全質量に対して、有利には5〜80質量%、特に20〜80質量%である。
更に、本発明による歯科用材料は、歯科用材料において慣用の他の物質、例えば顔料、安定剤、抗細菌性添加剤、UV吸収剤、チキソトロピー剤、触媒の群からの物質を含有することができる。
かかる添加剤は、どちらかといえば少量で、全体として歯科用材料の全質量に対して0.01〜3.0質量%、特に0.01〜1.0質量%の量で使用される。
該組成物の硬化は、使用される重合開始剤の種類に応じて、熱的重合、光化学的重合又はレドックス誘導性のラジカル重合によって行うことができる。
熱的開始剤のための有利な例は、公知のペルオキシド、例えばジベンゾイルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート又はt−ブチルペルベンゾエート並びにアゾビスイソブチロエチルエステル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、ベンゾピナコール又は2,2−ジメチルベンゾピナコールである。
有利な光開始剤は、ベンゾフェノン、ベンゾイン並びにそれらの誘導体又はα−ジケトン又はその誘導体、例えば9,10−フェナントレンキノン、ジアセチル又は4,4−ジクロロベンジルである。カンファーキノン及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン及び特に有利にはα−ジケトンを、還元剤としてのアミン、例えば4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エステル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチル−sym−キシリジン又はトリエタノールアミンと組み合わせて使用することが特に好ましい。更に、アシルホスフィン、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−又はビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシドも特に適している。
室温で実施される重合用の開始剤としては、有利にはレドックス開始剤組合せ、例えばベンゾイルペルオキシド又はラウリルペルオキシドとN,N−ジメチル−sym−キシリジン又はN,N−ジメチル−p−トルイジンとの組合せが使用される。
好適なフィラー及び顔料は、当業者に公知であり、これらは、例えばAl23、MgO、ZrO2、TiO2、Y23、YF3、Fe23、SiO2、金粒子又は銀粒子であってよく、その際、TiO2が好ましい。
より詳細に説明するために、以下の実施例において、本発明による2種のライナーの組成を記載する:
実施例1
2種のペーストの形の、光重合とレドックス重合によって硬化されるべきライナー:
Figure 2007131627
実施例2
2種のペーストの形の、レドックス重合によって硬化されるべきライナー:
Figure 2007131627

Claims (6)

  1. フィラー及び顔料の群からの光を通さない成分を含有する自己硬化性又はデュアル硬化性の易流動性のコンポジットを歯科用ライナーの製造のために用いる使用であって、該ライナーは2種類の硬化時間で2段階で重合させて製造され、かつ遅滞した重合特性を有しており、窩洞壁の範囲内で薄層で使用することを予定する使用。
  2. 請求項1記載の使用であって、該ライナーが、第1段階において、第一の強度に至る硬化時間2〜10分を有する使用。
  3. 請求項2記載の使用であって、該ライナーが、第2段階において、最終硬化までの硬化時間1〜3時間を有する使用。
  4. 請求項1記載の使用であって、該ライナーが、第1段階において、ゲル化をもたらす光重合を示し、それと同時にあるいはその後の第2段階において、完全な自己硬化を示す使用。
  5. 請求項1記載の使用であって、第1段階で予定される硬化深度が1mm未満である使用。
  6. 請求項1記載の使用であって、該コンポジットが、
    ・ モノマー成分: 10質量%〜40質量%
    ・ 架橋剤成分: 10質量%〜40質量%
    ・ フィラー成分: 20質量%〜80質量%
    ・ 光開始剤: 0.5質量%まで
    ・ 開始剤系: 0.1質量%〜1.2質量%
    の組成を有する使用。
JP2006304170A 2005-11-09 2006-11-09 歯科充填材での収縮力の低減 Withdrawn JP2007131627A (ja)

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