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JP2007119974A - 縫製エアバッグ目止め材用シリコーンゴム組成物 - Google Patents

縫製エアバッグ目止め材用シリコーンゴム組成物 Download PDF

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JP2007119974A JP2005316252A JP2005316252A JP2007119974A JP 2007119974 A JP2007119974 A JP 2007119974A JP 2005316252 A JP2005316252 A JP 2005316252A JP 2005316252 A JP2005316252 A JP 2005316252A JP 2007119974 A JP2007119974 A JP 2007119974A
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充弘 岩田
Yoshifumi Harada
良文 原田
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】硬化シリコーンゴムに対して優れた接着性を発現する縫製エアバッグ目止め材用シリコーンゴム組成物を提供する。
【解決手段】シリコーンゴム処理基布の処理面同士を重ね合わせて縫製し袋状に形成したエアバッグの基布同士を重ね合わせて縫製する箇所に使用される縫製エアバッグ目止め材用シリコーンゴム組成物であって、
(A)ケイ素原子結合アルケニル基を一分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、
(B)SiH基を分子鎖両末端にのみ有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)SiH基を一分子中に少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)微粉末シリカ、及び
(E)白金族金属系触媒
を含み、(B)(C)成分中の全SiH基が組成物中のケイ素原子結合アルケニル基1個当り0.01〜20個であり、(C)成分中のSiH基の数が(B)(C)成分中の全SiH基の5〜98モル%である組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、縫製エアバッグ目止め材用シリコーンゴム組成物に関する。
従来、付加反応硬化性シリコーンゴム組成物に接着性を付与する場合には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやフェニルトリメトキシシラン、または下記構造を持つ接着助剤を添加することが一般的である(特許文献1)。
Figure 2007119974
しかし、これらの方法では、金属やプラスチックに対して接着性を発現できるが、一度硬化したシリコーンゴムに未硬化のシリコーンゴムを接着させることは非常に困難である。
シリコーンゴムは撥水性、耐候性、耐熱性等が優れることから、各種基材のコーティング剤や皮膜形成剤として使用されている。しかし、シリコーンゴムは接着されにくいので、その点を改良するために、ケイ素原子結合アルケニル基とケイ素原子結合アルコキシ基またはシラノール基とを有するオルガノポリシロキサン、縮合反応触媒および有機過酸化物からなるシリコーンゴム用接着剤が提案されている(特許文献2)。また、シリコーン被覆布同士を積み重ね、該積み重ね部分に常温で可塑性の白金系触媒含有付加反応硬化型もしくは有機過酸化物含有ラジカル反応硬化型のシリコーンゴム接着剤を介在させ、圧着後、加熱硬化させるか、圧着しつつ加熱硬化させる方法が提案されている(特許文献3)。しかし、いずれの文献に記載の接着剤または方法を適用しても、十分な接着性を示さないという問題がある。
さらに、シリコーンゴム用接着剤用途として、炭酸カルシウム粉末を含有する付加反応硬化性シリコーン組成物が提案されているが(特許文献4)、特に非処理の重質炭酸カルシウム粉末や、脂肪酸、樹脂酸等の処理剤のみで表面処理された軽質(または沈降)炭酸カルシウム粉末を含有した場合には、白金族金属系触媒に対して触媒毒となり、経時で硬化遅延が起こったり、硬化しなくなったりすることがある。
特公昭53−26376号公報 特開昭61−278580号公報 特開昭62−90369号公報 特開2002−285130号公報
本発明の目的は、シリコーンゴムで処理された基布の処理面同士を重ね合わせて縫製し袋状に形成したエアバッグの該基布同士を重ね合わせて縫製する箇所に目止め材として使用され、かつ処理されたシリコーンゴムに対して優れた接着性を発現する縫製エアバッグ目止め材用シリコーンゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、
シリコーンゴムで処理された基布の処理面同士を重ね合わせて縫製し袋状に形成したエアバッグの該基布同士を重ね合わせて縫製する箇所に使用される縫製エアバッグ目止め材用シリコーンゴム組成物であって、
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個有し、23℃における粘度が0.05〜1,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみ、式:R3 2HSiO1/2で表されるシロキサン単位(式中、R3は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の一価炭化水素基を表す。)として含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・sである直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも3個有し、式:R3HSiOで表されるシロキサン単位若しくは式:R3 2XSiO1/2で表されるシロキサン単位(式中、R3は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Xは水素原子又はR3を表す。)又はそれらの両方を含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)BET法による比表面積が50m2/g以上の微粉末シリカ: 1〜100質量部、及び
(E)白金族金属系触媒: 有効量
を含有してなり、(B)成分と(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計量が、組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1個当たり0.01〜20個であり、かつ(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の数が、(B)成分と(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計に対して5〜98モル%である上記組成物、
を提供する。
本発明の縫製エアバッグ目止め材用シリコーンゴム組成物は、シリコーンゴムで処理された基布の処理面同士を重ね合わせて縫製し袋状に形成したエアバッグの該基布同士を重ね合わせて縫製する箇所に目止め材として使用することができ、かつ処理されたシリコーンゴムに対して優れた接着性を発現するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の縫製エアバッグ目止め材用シリコーンゴム組成物は、下記の(A)〜(E)成分を含有してなるものである。この組成物は、シリコーンゴムで処理された基布の処理面同士を重ね合わせて縫製し袋状に形成したエアバッグの該基布同士を重ね合わせて縫製する箇所に目止め材として使用される。前記シリコーンで処理された基布とは、基布にシリコーンゴムを含浸するか、もしくは基布をシリコーンゴムでコーティング等することにより被覆するか、またはこれらの両方を行うことによって処理されたものである。この処理は、基布の表面(乃至表層)のみに行っても、基布の内部にまで行ってもよく、さらに基布の片面のみに行っても、両面とも行ってもよい。
〔(A)オルガノポリシロキサン〕
本発明組成物の(A)成分は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個有し、23℃における粘度が0.05〜1,000Pa・sであるオルガノポリシロキサンであり、本発明組成物の主剤(ベースポリマー)である。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの23℃における粘度は、好ましくは0.1〜500Pa・sである。この粘度が0.05Pa・s未満である場合には、硬化物の物理特性と接着性が満足するものとならないことがある。この粘度が1,000Pa・sを超える場合には、組成物が著しく流動性に欠けたものとなり、作業性が劣ることがある。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、通常、実質的に直鎖状であり、基本的には主鎖部分がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基により封鎖された直鎖状の構造のもの(即ち、ジオルガノポリシロキサン)であることが好ましいが、一部分岐構造を有していてもよい。また、アルケニル基の結合位置は特に制限されず、分子鎖末端のケイ素原子、分子鎖非末端(即ち、分子鎖途中)のケイ素原子またはこれら両方のケイ素原子の何れに結合していてもよい。
(A)成分のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(1):
1 m2 nSiO(4-m-n)/2 (1)
(式中、R1は独立に、脂肪族不飽和結合を有しない、非置換または置換の一価炭化水素基であり、R2は独立に、アルケニル基であり、mは0.7〜2.2の数であり、nは0.0001〜0.2の数であり、但し、m+nは0.8〜2.3の数である。)
で表され、かつケイ素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。
上記平均組成式(1)中、R1で表される非置換または置換の一価炭化水素基は、好ましくは炭素原子数が1〜10のものであり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基中の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、シアノ基等によって置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等である。これらの中でも、合成が容易であり、化学的安定性が良好であることから、メチル基、フェニル基またはこれらの組み合わせが好ましい。また、特に耐溶剤性が良好なオルガノポリシロキサンが必要な場合には、メチル基、フェニル基およびトリフルオロプロピル基の組み合わせが好ましい。
上記平均組成式(1)中、R2で表されるアルケニル基は、好ましくは炭素原子数が2〜8のものであり、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。これらの中でも、(合成が容易であり、化学的安定性が良好であることから、ビニル基が好ましい。
上記平均組成式(1)中、mは、好ましくは1.8〜2.1、より好ましくは1.95〜2.0の数であり、nは、好ましくは0.0005〜0.1、より好ましくは0.01〜0.05の数である。m+nは、好ましくは1.9〜2.2、より好ましくは1.98〜2.05の数である。
(A)成分の具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
〔(B)直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン〕
本発明組成物の(B)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみ、式:R3 2HSiO1/2で表されるシロキサン単位(式中、R3は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の一価炭化水素基を表す。)として含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・s、好ましくは0.001〜10Pa・sである直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、硬化剤として作用する成分である。(B)成分は、硬化に際して、(A)成分の分子鎖長を増加させる働きをし、かつ硬化シリコーンゴムに対する本発明組成物の接着性に大きく影響する成分である。
(B)成分の直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(2):
3 2HSiO(R3 2SiO)nSiR3 2H (2)
(式中、R3は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、nはこのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの23℃における粘度が0.001〜100Pa・s、好ましくは0.001〜10Pa・sとなる整数であり、通常は2〜1000、好ましくは2〜500程度の整数である。)
で表されるものが挙げられる。
上記式中、R3で表される非置換又は置換の一価炭化水素基は、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8のものであり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等である。
(B)成分の具体例としては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジフェニルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。
(B)成分の直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
〔(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン〕
本発明組成物の(C)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも3個有し、式:R3HSiOで表されるシロキサン単位若しくは式:R3 2XSiO1/2で表されるシロキサン単位(式中、R3は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Xは水素原子又はR3を表す。)又はそれらの両方を含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・s、好ましくは0.001〜10Pa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、硬化剤として作用する成分である。また、一分子中のケイ素原子数(又は重合度)は、通常、2〜1000個程度、好ましくは2〜500個程度、より好ましくは2〜300個程度、特に好ましくは2〜100個程度のものを使用することができ、また、一分子中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)の数は、通常、3〜1000個、好ましくは3〜500個、より好ましくは3〜300個、特に好ましくは3〜100個程度のものを使用することができる。(C)成分は、硬化物が三次元架橋ゴムを形成するための必須成分であり、かつ硬化シリコーンゴムに対する本発明組成物の接着性に大きく影響する成分である。また、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状等のいずれであってもよく、特に限定されないが、通常、直鎖状、環状、分岐鎖状である。
上記式中、R3で表される非置換又は置換の一価炭化水素基は、上記(B)成分の項で説明したものと同種のものであり、具体例としては上記(B)成分の項で具体例として説明したものと同種のものである。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)は、分子鎖末端および分子鎖非末端(即ち、分子鎖側鎖)の両方に存在していても、分子鎖末端または分子鎖非末端のみに存在していてもよい。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式:
3 2HSiO(R3HSiO)pSiR3 2
3 2HSiO(R3HSiO)p(R3 2SiO)qSiR3 2
3 3SiO(R3HSiO)pSiR3 3
3 3SiO(R3HSiO)(R3 2SiO)qSiR3 3
(R3 2HSiO)3SiR3
(R3 2HSiO)4Si
Figure 2007119974

(式中、R3は上記と同じであり、p、q、r、sは独立に1以上の整数であり、tは4〜20の整数であり、r+sは4〜20の整数であり、但し、p、p+qはこのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの23℃における粘度が0.001〜100Pa・s、好ましくは0.001〜10Pa・sの範囲を満足する数であり、通常、2〜1000、好ましくは2〜500、より好ましくは2〜300、特に好ましくは2〜100の整数である。)
で表されるものが挙げられる。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして具体的には、例えば、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン、メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位と(CH3)3SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)3SiO1/2単位とからなる共重合体や、これらの各例示化合物においてメチル基の一部をエチル基、プロピル基等の他のアルキル基やフェニル基等のアリール基で置換したもの等が挙げられる。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
ここで、(B)成分と(C)成分中に存在するケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)の合計量は、組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基(即ち、通常、(A)成分のオルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合したアルケニル基のみであるが、後述の(H)成分等の分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を有する成分を含む場合には、当該成分を含む組成物中の全ケイ素原子に結合したアルケニル基の合計を意味する。)1個当たり0.01〜20個であることが必要であり、好ましくは0.1〜10個である。このSiH基の合計量が0.01個未満の場合には、組成物が十分に硬化しなくなる傾向があり、20個を超える場合には、硬化物の機械的特性及び耐熱特性が低下する傾向がある。
また、(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の数は、(B)成分と(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計に対して5〜98モル%であることが必要であり、好ましくは10〜95モル%である。この水素原子の数が5モル%未満の場合には、組成物が十分に硬化しなくなる傾向があり、98モル%を超える場合には、硬化物の伸び特性の低下に伴い、耐熱特性が低下する傾向がある。
したがって、(B)成分および(C)成分の配合量は、(B)成分と(C)成分中のSiH基の量がこれらの範囲を満たすように決める必要がある。
〔(D)微粉末シリカ〕
本発明組成物の(D)成分は、BET法による比表面積が50m2/g以上の微粉末シリカであり、硬化物の強度を向上させるために配合される成分である。BET比表面積は、窒素ガス吸着法(BET法)によって測定されたものであって、通常、50〜400m2/gであり、好ましくは100〜350m2/gである。(D)成分の微粉末シリカは、親水性のものであっても、疎水性のものであってもよく、具体的には、沈降シリカ等の湿式シリカ、シリカキセロゲル、ヒュームドシリカ等の乾式シリカ等の表面未処理の親水性シリカや、これらの親水性シリカの表面をハロゲン化シラン、アルコキシシラン、オルガノシラザン、オルガノシロキサン等の有機ケイ素化合物で処理して疎水化した疎水性シリカ等が挙げられる。
上記親水性の微粉末シリカを用いる場合には、必要に応じて、その表面を疎水化処理剤で疎水化処理してから用いることが好ましい。疎水化処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等のオルガノシラザン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のハロゲン化シランや、これらのハロゲン原子がメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基で置換されたオルガノアルコキシシラン等が挙げられ、好ましくはヘキサメチルジシラザンである。疎水化処理の方法としては、例えば、親水性の微粉末シリカを疎水化処理剤と共に150〜200℃、特に150〜180℃で2〜4時間程度加熱して処理する方法が挙げられる。この疎水化処理を行う場合には、微粉末シリカを予め疎水化処理した後に本発明組成物に配合してもよいが、本発明組成物を調製する段階で(D)成分として親水性の微粉末シリカと共に疎水化処理剤を配合してもよい。
疎水性シリカの市販品としては、商品名で、アエロジルR−812、R−812S、R−972、R−974(デグッサ社製)、レオロジルMT−10(トクヤマ社製)、ニプシルSSシリーズ(日本シリカ社製)等が挙げられる。親水性シリカの市販品としては、商品名で、アエロジル50、130、200、300(日本アエロジル社製)、キャボシルMS−5、MS−7(キャボット社製)、レオロジルQS−102、103(トクヤマ社製)、ニプシルLP(日本シリカ社製)等が挙げられる。
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して1〜100質量部の範囲とすることが必要であり、好ましくは1.1〜50質量部である。この配合量が1質量部未満である場合には、強度付与効果が不十分となることがあり、100質量部を超える場合には、組成物が著しく流動性に欠けたものとなり、作業性が劣ることがある。(D)成分の微粉末シリカは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
〔(E)白金族金属系触媒〕
本発明組成物の(E)成分は白金族金属系触媒である。この白金族金属系触媒としては、ヒドロシリル化反応触媒として公知のものが全て使用できる。例えば、白金黒、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O(式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸および塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。これらの中では、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金黒、白金トリフェニルフォスフィン錯体等の白金系触媒が望ましい。
(E)成分の配合量は、所望の硬化速度に見合った触媒としての有効量でよく、特に制限されないが、例えば、白金族金属として質量基準で、通常、組成物の0.1〜1,000ppm、好ましくは0.1〜500ppm、特には0.5〜200ppm程度でよい。(E)成分の白金族金属系触媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
〔その他の成分〕
本発明組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記(A)〜(E)成分に加えて、下記(F)成分、(G)成分、(H)成分およびその他の成分を選択的に配合することができる。
−(F)チタンキレート・アルコキシチタン−
本発明組成物には、(F)成分として、チタンキレート及び/又はアルコキシチタンを配合することができる。この(F)成分の併用によって、組成物の接着性を更に向上させることができる。チタンキレートの具体例としては、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタン、ジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン、ジブトキシビス(アセト酢酸メチル)チタン等が挙げられる。アルコキシチタンの具体例としては、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等が挙げられる。アルコキシチタンのアルコキシ部位は直鎖であっても分岐していてもよい。
本発明組成物に(F)成分を配合する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部の範囲であり、より好ましくは0.01〜5質量部の範囲である。この配合量がかかる範囲を満たすと、優れた接着性が得られ、かつ表面硬化性が適切なものとなる。(F)成分のチタンキレート・アルコキシチタンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
−(G)(D)成分以外の無機充填剤−
本発明組成物には、(G)成分として、上記(D)成分以外の無機充填剤を配合することができる。この無機充填剤としては、例えば、コバルトブルー等の無機顔料、有機染料等の着色剤;ケイ藻土、酸化カリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、ベンガラ、カーボンブラック、粉砕石英粉末、水酸化アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル等の耐熱性・難燃性向上剤等が挙げられる。また、これらの無機充填剤の表面をオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物で処理したものを含有してもよい。
本発明組成物へ上記(G)成分を配合する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常、100質量部以下(即ち、0質量部を超え100質量部以下)であり、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは1〜50質量部の範囲である。この配合量がかかる範囲を満たすと、シリコーンゴム硬化物の強度、伸び等の機械的物性や耐熱性がより良好なものとなる。(G)成分の無機充填剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
−(H)三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン−
本発明組成物には、(H)成分として、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジンを配合することができる。この(H)成分としては、硬化物の強度が高くなるので、分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジンが好ましい。
(H)成分中にケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する場合には、その含有量は、(H)成分中のケイ素原子に結合した全有機基の1〜5質量%、特に2〜3質量%であることが好ましい。この含有量がかかる範囲を満たすと、硬化物の強度、伸び、耐熱性がより良好なものとなる。
(H)成分としては、例えば、式:(CH3)3SiO1/2等のR4 3SiO1/2で示される単官能性シロキサン単位(式中、R4は脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の一価炭化水素基を表す。)と式:SiO4/2で表されるシロキサン単位とからなるオルガノポリシロキサンレジン;ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するシロキサン単位と、式:SiO4/2で表されるシロキサン単位若しくは式:R4SiO3/2(式中、R4は上記のとおりである。)で表されるシロキサン単位又はこれらの両方とを、一分子中に有するオルガノポリシロキサンレジン等が挙げられ、後者が特に好ましい。この後者のオルガノポリシロキサンレジンは、場合によっては、さらに式:R4 3SiO1/2で示される単官能性シロキサン単位を一分子中に有するものであってもよい。
前記ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するシロキサン単位としては、例えば、式:RASiO3/2で表されるシロキサン単位、式:RABSiO2/2で表されるシロキサン単位、式:RAB 2SiO1/2で表されるシロキサン単位(式中、RAは独立にアルケニル基であり、RBは独立に非置換または置換の一価炭化水素基である。)等が挙げられる。
上記R4は、好ましくは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基であり、上記平均組成式(1)中のR1として説明したものと同種のものである。その具体例としては、上記平均組成式(1)中のR1の具体例として説明したものと同種のものが挙げられ、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
上記RAは、好ましくは炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、上記平均組成式(1)中のR2として説明したものと同種のものである。その具体例としては、上記平均組成式(1)中のR2の具体例として説明したものと同種のものが挙げられ、特にビニル基が好ましい。
上記RBは、好ましくは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基であり、上記平均組成式(1)中のR1として説明したものと同種のもの、アルケニル基等である。その具体例としては、上記平均組成式(1)中のR1の具体例として説明したものと同種のもの、アリル基、ビニル基等のアルケニル基等が挙げられ、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
上記の分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジンとしては、ビニル基等のアルケニル基を有するものが好ましく、特には、一分子中にアルケニル基を有するシロキサン単位(即ち、RCSiO3/2単位、RCDSiO2/2単位又はRCD 2SiO1/2単位(式中、RCは独立に炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、RDは独立に炭素原子数1〜10の非置換または置換の一価炭化水素数である。))と、SiO4/2単位及び/又はRESiO3/2単位(REは独立に脂肪族不飽和結合を有しない非置換または置換の炭素原子数1〜10の一価炭化水素基である)とを含有するオルガノポリシロキサンレジンが好ましい。ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有しないものの具体例としては、(CH3)3SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなるレジンが挙げられ、ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するものの具体例としては、(CH3)3SiO1/2単位と(CH2=CH)SiO3/2単位とSiO4/2単位とからなるレジン、(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなるレジン、(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位と(CH2=CH)SiO3/2単位とSiO4/2単位とからなるレジン、(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位と(CH3)3SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなるレジン等が挙げられる。
上記RCは、上記平均組成式(1)中のR2として説明したものと同種のものである。その具体例としては、上記平均組成式(1)中のR2の具体例として説明したものと同種のものが挙げられ、特にビニル基が好ましい。
上記RDは、上記平均組成式(1)中のR1として説明したものと同種のもの、アルケニル基等であり、特にアルキル基、アリール基、アルケニル基が好ましい。その具体例としては、上記平均組成式(1)中のR1の具体例として説明したものと同種のもの、アリル基、ビニル基等のアルケニル基等が挙げられ、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
上記REは、上記平均組成式(1)中のR1として説明したものと同種のものであり、特にアルキル基、アリール基が好ましい。その具体例としては、上記平均組成式(1)中のR1の具体例として説明したものと同種のものが挙げられ、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
本発明組成物へ上記(H)成分を配合する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常、100質量部以下(即ち、0質量部を超え100質量部以下)であり、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは1〜50質量部の範囲である。(H)成分の三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジンは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
−その他−
本発明組成物には、さらに硬化抑制剤、接着性付与剤等を配合してもよい。
組成物の貯蔵安定性を向上させたり、硬化時間又は可使時間を調整することにより取り扱い作業性を向上させたりするための硬化抑制剤としては、例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等の1分子中にビニル基を5質量%以上有するオルガノシロキサン化合物;ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類、ヒドラジン類等を1種単独でまたは2種以上組み合わせて配合してもよい。
この硬化制御剤を配合する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.001〜5質量部であり、好ましくは0.01〜5質量部の範囲内である。
接着性を向上させるための接着性付与剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のシランカップリング剤;チタンエチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート等のチタン化合物;エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウム化合物;ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート等のジルコニウム化合物等を1種単独でまたは2種以上組み合わせて配合してもよい。
この接着性付与剤を配合する場合、その配合量は特に限定されないが、好ましくは、(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲内である。
〔調製方法〕
本発明組成物を調製する方法は、特に限定されず、(A)〜(E)成分、および必要に応じてその他の成分を混合すればよい。また、予め(A)成分および(D)成分を加熱混合して調製したベースコンパウンドに、(B)成分、(C)成分および(E)成分を添加してもよい。さらに、このベースコンパウンドを調製する際、(D)成分の表面を前述した有機ケイ素化合物を添加することによりin-situ処理(即ち、表面疎水化処理)してもよい。なお、その他の成分を添加する必要がある場合には、ベースコンパウンドを調製する際に添加してもよい。また、その他の成分が加熱混合により変質する恐れがある場合には、(B)成分、(C)成分および(E)成分を添加する際に添加することが好ましい。本発明組成物の調製には、例えば、2本ロール、3本ロール、ニーダーミキサー、プラネタリーミキサー等の周知の混練装置を用いることができる。
本発明組成物は、通常の硬化性シリコーンゴム組成物と同様に2液に分け、使用時にこの2液を混合して硬化させる所謂2液型の組成物として調製してもよい。
本発明組成物の硬化条件としては、公知の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物と同様でよく、例えば、常温でも十分硬化し硬化物に接着発現するが、必要に応じて40〜180℃程度に加熱して硬化させてもよい。
本発明を実施例により具体的に説明する。なお、下記実施例において、Meはメチル基を示し、粘度は23℃における値である。
[実施例1]
粘度30Pa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン100質量部、BET比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ15質量部、シリカの表面処理剤としてヘキサメチルジシラザン1.5質量部および水1質量部を均一に混合した後、減圧下、160℃で4時間加熱しながら混合してベースコンパウンドを調製した。次に、このベースコンパウンド115質量部に、(B)成分である粘度0.01Pa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(上記ベースコンパウンドに含まれている分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.1となる量)、(C)成分である一分子中に3個のケイ素原子結合水素原子を有する粘度0.0012Pa・sの(Me2HSiO)3SiMe(上記ベースコンパウンドに含まれている分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本成分中のケイ素原子水素原子のモル比が1.4となる量)、硬化抑制剤として粘度40mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(本成分中のビニル基の含有量=8質量%)0.2質量部、テトラブチルチタネート0.3質量部、および白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(上記ベースコンパウンド中のポリジメチルシロキサン100万質量部に対して本触媒中の白金金属が25質量部となる量)を混合して組成物を調製した。なお、組成物中のケイ素原子に結合したビニル基に対する(B)成分および(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の合計のモル比は1.5であった。
この組成物を用いて、以下の試験を行った。その結果は、表1に示す。
・硬さ
組成物を23℃で1日間放置することにより硬化させた。この硬化物の硬さをJIS K6253に規定のタイプAデュロメータにより測定した。
・引張り強さ/伸び
組成物を23℃で1日間放置することにより硬化させて、JIS K6251に規定のダンベル状3号形試験片を作成した。次に、このダンベル状3号形試験片の引張り強さおよび伸びをJIS K6251に規定の方法により測定した。
・硬化シリコーンゴムに対する接着力
組成物の硬化シリコーンゴムに対する接着力をJIS K6854に規定の方法に準じて、次のようにして測定した。即ち、幅25mmのシリコーンゴム被覆ナイロン基布に、組成物を厚さが0.6mmとなるように塗布し、該組成物塗布部分同士を貼り合わせ、23℃で1日間放置することにより組成物を硬化させた。次に、この貼り合わせた基布を用いて、200mm/分の引張速度においてT形剥離試験を行った。その結果を表1に示す。
・破壊モード(剥離後の破壊状態)
T形剥離試験後に硬化物とシリコーンゴム被覆ナイロン基布との界面の状態を目視にて観察することにより破壊モードを確認した。本発明の硬化物が凝集破壊していると認められた場合には「凝集破壊」と表1に示し、シリコーンゴム被覆ナイロン基布のシリコーンゴムに破壊が生じている場合には、「シリコーンゴム破壊」と表1に示す。
・保存安定性
保存安定性の試験を行うために、実施例1において、硬化剤成分(即ち、(B)成分および(C)成分)を除いた成分からなる混合物を調製した。この混合物を70℃で1週間放置した後、この混合物に前記硬化剤成分を混合して組成物を調製した。この組成物を硬化させて硬化物を得た。上記と同様の方法で、この硬化物の物性(即ち、硬さ、伸び、引張り強さ、接着力であり、以下同じである。)を測定し、破壊モードを観察した。
また、放置前の組成物と比較して硬化遅延が起こるかどうか、放置前後で上記硬化物の物性が低下するかどうか、放置前後で破壊モードが変化するかどうかを確認した。具体的には、放置後の組成物の硬化時間が放置前の組成物の硬化時間の2倍以上であった場合に、放置後の組成物に硬化遅延が起こったと評価した。各物性については、放置後の組成物の硬化物の(物性の)測定値が放置前の組成物の70%以下であった場合に、放置前後で物性が低下したと評価した。硬化遅延が起こらず、上記物性が低下せず、かつ破壊モードが変化しなかった場合を保存安定性が良好であると評価し表1に「A」と示し、それ以外の場合を保存安定性が不良であると評価した。
[実施例2]
実施例1において、粘度0.01Pa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサンの量を、上記ベースコンパウンドに含まれている分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.7となる量に代え、一分子中に3個のケイ素原子結合水素原子を有する粘度0.0012Pa・sの(MeHSiO)SiMeの量を、上記ベースコンパウンドに含まれている分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本成分中のケイ素原子水素原子のモル比が0.8となる量に代えた以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、その硬化物の物性、保存安定性を測定し、破壊モードを観察した。それらの結果を表1に示す。なお、組成物中のケイ素原子に結合したビニル基に対する(B)成分および(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の合計のモル比は1.5であった。
[実施例3]
実施例1において、粘度0.01Pa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサンの量を、上記ベースコンパウンドに含まれている分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が1.2となる量に代え、一分子中に3個のケイ素原子結合水素原子を有する粘度0.0012Pa・sの(MeHSiO)SiMeの量を、上記ベースコンパウンドに含まれている分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本成分中のケイ素原子水素原子のモル比が0.3となる量に代えた以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、その硬化物の物性、保存安定性を測定し、破壊モードを確認した。それらの結果を表1に示す。なお、組成物中のケイ素原子に結合したビニル基に対する(B)成分および(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の合計のモル比は1.5であった。
[比較例1]
実施例1において、粘度0.01Pa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサンを配合せず、一分子中に3個のケイ素原子結合水素原子を有する粘度0.0012Pa・sの(MeHSiO)SiMeの量を、上記ベースコンパウンドに含まれている分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本成分中のケイ素原子水素原子のモル比が1.5となる量に代えた以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、その硬化物の物性、保存安定性を測定し、破壊モードを確認した。それらの結果を表1に示す。なお、組成物中のケイ素原子に結合したビニル基に対する(C)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比は1.5であった。
[比較例2]
実施例1において、粘度0.01Pa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサンの量を、上記ベースコンパウンドに含まれている分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン中のケイ素原子に結合したビニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が1.5となる量に代え、一分子中に3個のケイ素原子結合水素原子を有する粘度0.0012Pa・sの(MeHSiO)SiMeを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、その硬化物の物性、保存安定性を測定し、破壊モードをを確認した。それらの結果を表1に示す。なお、組成物中のケイ素原子に結合したビニル基に対する(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比は1.5であった。
Figure 2007119974
*比較例2で調製した組成物は硬化しなかったので、物性、破壊モード、保存安定性の測定を行うことができなかった。

Claims (5)

  1. シリコーンゴムで処理された基布の処理面同士を重ね合わせて縫製し袋状に形成したエアバッグの該基布同士を重ね合わせて縫製する箇所に使用される縫製エアバッグ目止め材用シリコーンゴム組成物であって、
    (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を一分子中に少なくとも2個有し、23℃における粘度が0.05〜1,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン: 100質量部、
    (B)ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみ、式:R3 2HSiO1/2で表されるシロキサン単位(式中、R3は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の一価炭化水素基を表す。)として含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・sである直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (C)ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に少なくとも3個有し、式:R3HSiOで表されるシロキサン単位若しくは式:R3 2XSiO1/2で表されるシロキサン単位(式中、R3は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Xは水素原子又はR3を表す。)又はそれらの両方を含有し、かつ23℃における粘度が0.001〜100Pa・sであるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (D)BET法による比表面積が50m2/g以上の微粉末シリカ: 1〜100質量部、及び
    (E)白金族金属系触媒: 有効量
    を含有してなり、(B)成分と(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計量が、組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1個当たり0.01〜20個であり、かつ(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の数が、(B)成分と(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計に対して5〜98モル%である上記組成物。
  2. さらに、(F)成分として、チタンキレート及び/又はアルコキシチタンを前記(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部含有する請求項1に係る組成物。
  3. さらに、(G)成分として、前記(D)成分以外の無機充填剤を前記(A)成分100質量部に対して0質量部を超え100質量部以下含有する請求項1又は2に係る組成物。
  4. さらに、(H)成分として、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジンを前記(A)成分100質量部に対して0質量部を超え100質量部以下含有する請求項1〜3のいずれか一項に係る組成物。
  5. 前記(H)成分が、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するシロキサン単位と、式:SiO4/2で表されるシロキサン単位若しくは式:R4SiO3/2(式中、R4は脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の一価炭化水素基を表す。)で表されるシロキサン単位又はこれらの両方とを、一分子中に有するオルガノポリシロキサンレジンである請求項4に係る組成物。
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