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JP2007100726A - 油圧緩衝器 - Google Patents

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Abstract

【課題】減衰力を制御する背圧室を有する油圧緩衝器において、背圧室を形成するバルブ部材、メインバルブ及び他の環状部材を容易にサブアセンブリ化できるようにする。
【解決手段】 シリンダ2内にピストンロッド4が連結されたピストン3を嵌装し、伸び側及び縮み側油路6、7の油液の流れをメインディスクバルブ14、28によって制御して減衰力を発生し、背圧室19、33によってメインディスクバルブ14、28の開弁圧力を制御する。バルブ部材24の支持部25にガイド部38を突出させる。ガイド部38にシムディスク31及びメインディスクバルブ28を嵌合し、弾性シール部材32をバルブ部材24に嵌合することにより、これらをバルブ部材24に保持する。ピストンロッド4が挿通されなくても、ガイド部38によってメインディスクバルブ28及びシムディスク31を確実に位置決めできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両のサスペンション装置に装着される油圧緩衝器に関し、特に、減衰力を発生させるメインバルブの開弁圧力を制御する背圧室を有する油圧緩衝器に関するものである。
一般的に、自動車等の車両の懸架装置に装着される筒型の油圧緩衝器は、油液が封入されたシリンダ内にピストンロッドが連結されたピストンを摺動可能に嵌装され、ピストン部に油液油路、オリフィス及びディスクバルブ等からなる減衰力発生機構が設けられた構造となっている。これにより、ピストンロッドのストロークに伴うシリンダ内のピストンの摺動によって油液油路に生じる油液の流れをオリフィス及びディスクバルブによって制御して減衰力を発生させる。そして、ピストン速度の低速域においては、オリフィスによってオリフィス特性の減衰力を発生させ、ピストン速度の高速域においては、ディスクバルブが撓んで開弁することにより、バルブ特性の減衰力を発生させるようにしている。
ところが、上記従来の油圧緩衝器では、ピストン速度の低速域の減衰力は、オリフィスの流路面積に依存し、高速域の減衰力は、予め設定されたディスクバルブの開弁圧力に依存することになるため、減衰力特性の設定の自由度が低く、ピストン速度の低速域において小さい減衰力を得ようとすると、高速域の減衰力が不足し、高速域において、大きい減衰力を得ようとすると、低速域の減衰力が過大となってしまうという問題がある。
そこで、例えば特許文献1に示されるように、ディスクバルブの背面側に背圧室を設け、油液の一部を背圧室に導入し、背圧室の圧力をディスクバルブに対して閉弁方向に作用させて、ディスクバルブの開弁圧力を制御することにより、減衰力特性の設定の自由度を高めるようにした油圧緩衝器が提案されている。
特開2003−278819号公報
特許文献1に記載の油圧緩衝器は、ディスクバルブ、背圧室を形成するためのバルブ部材、スペーサ、ディスクバルブにセット荷重(初期撓み)を設定するためシム等を含む環状の部材にピストンロッドを挿通、嵌合して、これらを一体に組付ける構造となっている。このため、これらの環状の部材は、ピストンロッドが挿通された状態では、互いの中心位置を整合することができないため、予めサブアセンブリすることが困難である。特に、背圧室を形成するためのバルブ部材と、ディスクバルブと、これらの間に介装されるシム、スペーサ等の環状部材をサブアセンブリ化する場合、その環状部材の位置決めが困難であり、問題となっている。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、背圧室を形成するためのバルブ部材、ディスクバルブ及びこれらの間に介装される環状部材を容易にサブアセンブリ化することができる油圧緩衝器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記ピストンの摺動によって生じる油液の流れを制御して減衰力を発生させるメインバルブと、該メインバルブの閉弁方向に圧力を作用させる背圧室とを備え、前記油液の流れの一部を前記背圧室に導入して該背圧室の圧力によって前記メインバルブの開弁を制御する油圧緩衝器において、
前記メインバルブは、前記背圧室を形成するバルブ部材と前記ピストンとの間でクランプされ、前記メインバルブと前記バルブ部材との間に環状部材が介装され、前記メインバルブ、前記ピストン、前記バルブ部材及び前記環状部材は、これらに前記ピストンロッドが挿通されて一体に組付けられており、前記バルブ部材に、前記環状部材に当接してこれをクランプする支持部が形成され、該支持部に、前記環状部材及び前記メインバルブの内周に嵌合する円筒状のガイド部が突出されていることを特徴とする。
請求項2の発明に係る油圧緩衝器は、上記請求項1の構成において、前記メインバルブの背面側の外周部には、環状の弾性シール部材が固着されており、該弾性シール部材が前記バルブ部材に嵌合して前記背圧室を形成することを特徴とする。
請求項1の発明に係る油圧緩衝器によれば、環状部材及びメインバルブをバルブ部材のガイド部に嵌合させることにより、これらを確実に位置決めすることができ、容易にサブアセンブリ化することができる。
請求項2の発明に係る油圧緩衝器によれば、バルブ部材のガイド部に環状部材及びメインバルブを嵌合し、弾性シール部材をバルブ部材に嵌合させることにより、弾性部材の弾性力によって、環状部材及びメインバルブをバルブ部材に保持することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る油圧緩衝器1は、自動車等の車両の懸架装置に装着される筒型油圧緩衝器であって、油液が封入されたシリンダ2(側壁の一部のみ図示する)内に、ピストン3が摺動可能に嵌装され、このピストン3によってシリンダ2内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に画成されている。ピストン3には、ピストンロッド4の一端がナット5によって連結されており、ピストンロッド4の他端側は、シリンダ2および外筒の上端部に装着されたロッドガイド(図示せず)およびオイルシール(図示せず)に挿通されて外部へ延出されている。シリンダ下室2Bは、適度な流通抵抗を有するベースバルブ(図示せず)を介して、リザーバ(図示せず)に接続されており、リザーバ内には、油液及びガスが封入されている。
ピストン3には、シリンダ上下室2A,2B間を連通させるための伸び側油路6及び縮み側油路7が設けられている。ピストン3のシリンダ下室2B側の端部には、伸び側油路6の油液の流動を制御して減衰力を発生させる伸び側減衰力発生機構8が設けられ、シリンダ上室2A側の端部には、縮み側油路7の油液流動を制御して減衰力を発生させる縮み側減衰力発生機構9が設けられている。
伸び側減衰力発生機構8について説明する。
ピストン3のシリンダ下室2B側の端部には、略有底円筒状のバルブ部材10が取付けられている。バルブ部材10の底部の内側中央部には開口端付近まで延びる支持部11が形成されている。バルブ部材10は、支持部11にピストンロッド4が挿通されて、ナット5によってピストン3等と共に固定されている。ピストン3のシリンダ下室2B側の端面には、内周側及び外周側に、それぞれ環状のクランプ部12及びシート部13が突出されており、クランプ部12とシート部13との間に伸び側油路6が開口されている。シート部13は、クランプ部12よりも突出高さが大きくなっている。そして、クランプ部12とバルブ部材10の支持部11との間に、環状のメインディスクバルブ14(メインバルブ)、切欠ディスク15、プレーンディスク16及びシムディスク17(環状部材)がクランプされている。
このシムディスク17は、メインディスクバルブ14の開弁する際の支点として作用するもので、その外径を任意に設定することで、メインディスクバルブ14の特性を変更することができるものである。また、このシムディスク17を入れない場合、メインバルブ14の支点が焼結金属であるバルブ部材10となるので、焼結では精度が低く、やわらかいため、減衰力のばらつきの原因になるが、シムディスク17を入れることで、このような問題は解決できる。
メインディスクバルブ14は、可撓性を有する円板状の部材であり外周部がシート部13に着座している。メインディスクバルブ14のシート部13に着座する面の背面側の外周部には、環状の弾性シール部材18が固着されており、弾性シール部材18は、バルブ部材10の円筒部内に摺動可能かつ液密的に嵌合されている。これにより、バルブ部材10の内部に背圧室19が形成され、背圧室19の内圧がメインディスクバルブ14に対して閉弁方向に作用する。メインディスクバルブ14に形成された開口及び切欠ディスク15に形成された切欠によって、背圧室19を伸び側油路6に連通させるオリフィス20が形成されている。
バルブ部材10の底部には、背圧室19をシリンダ下室2Bに連通させる油路21が設けられている。油路21には、所定圧力に達した背圧室19内の油液をシリンダ下室2Bへリリーフする常閉のディスクバルブ22(リリーフバルブ)が設けられている。また、ディスクバブル22の外周部には、背圧室19をシリンダ下室2Bに常時連通させる下流側オリフィス23(切欠)が設けられている。
次に、縮み側減衰力発生機構9について説明する。
ピストン3のシリンダ上室2A側の端部には、略有底円筒状のバルブ部材24が取付けられている。バルブ部材24の底部の内側中央部には開口端付近まで延びる支持部25が形成されている。バルブ部材24は、支持部25にピストンロッド4が挿通されて、ナット5によってピストン3等と共に固定されている。ピストン3のシリンダ上室2A側の端面には、内周側及び外周側に、それぞれ環状のクランプ部26及びシート部27が突出されており、クランプ部26とシート部27との間に縮み側油路7が開口されている。シート部27は、クランプ部26よりも突出高さが大きくなっている。そして、クランプ部26とバルブ部材24の支持部25との間に、環状のメインディスクバルブ28(メインバルブ)、切欠ディスク29、プレーンディスク30及びシムディスク31(環状部材)がクランプされている。
メインディスクバルブ28は、可撓性を有する円板状部材であり外周部がシート部27に着座している。メインディスクバルブ28のシート部27に着座する面の背面側の外周部には、環状の弾性シール部材32が固着されており、弾性シール部材32は、バルブ部材24の円筒部内に摺動可能かつ液密的に嵌合されている。これにより、バルブ部材24の内部に背圧室33が形成され、背圧室33の内圧がメインディスクバルブ28に対して閉弁方向に作用する。メインディスクバルブ28に形成された開口及び切欠ディスク29に形成された切欠によって、背圧室33を縮み側油路7に連通させるオリフィス34が形成されている。
バルブ部材24の底部には、背圧室33をシリンダ上室2Aに連通させる油路35が設けられている。油路35には、所定圧力に達した背圧室33内の油液をシリンダ上室2Aへリリーフする常閉のディスクバルブ36(リリーフバルブ)が設けられている。また、ディスクバブル36の外周部には、背圧室33をシリンダ上室2Aに常時連通させる下流側オリフィス37(切欠)が設けられている。
次に、本発明の要部であるバルブ部材10、24の支持部11、25に対してメインディスクバルブ14,28及びシムディスク17、31を位置決めするための構造について、図2を参照して説明する。なお、上記のように伸び側減衰力発生機構8と縮み側減衰力発生機構9とは、ほぼ同様の構造であるから、縮み側減衰力発生機構9についてのみ説明する。
図2に示すように、バルブ部材24の支持部25の先端部には、ピストンロッド4が挿通される円筒状のガイド部38が突出されている。ガイド部38の突出高さhは、シムディスク31の板厚t1よりも大きく、板厚t1とメインディスクバルブ28の板厚t2との和よりも小さくなっており(t1<h<t1+t2)、支持部25の先端部とピストン3のクランプ部26との間でシムディスク31、メインディスクバルブ28、切欠ディスク29及びプレーンディスク30を挟持できるようになっている。また、ガイド部38の外径Dは、シムディスク31の内径d1及びメインディスクバルブ28の内径d2よりも小さくなっており(D<d1、D<d2)、ガイド部38の外周にシムディスク31及びメインディスクバルブ28を嵌合できるようになっている。
以上のように構成した本実施形態の作用について、次に説明する。
ピストンロッド4の伸び行程時には、シリンダ2内のピストン3の摺動にともない、シリンダ上室2A側の油液がピストン3の伸び側油路6を通ってシリンダ下室2B側へ流れ、伸び側減衰力発生機構8によって減衰力が発生する。このとき、ピストンロッド4がシリンダ2から退出した分の油液がリザーバからベースバルブを介してシリンダ下室2Bへ流れ、リザーバ4内のガスが膨張することによって、シリンダ2内の容積変化を補償する。
伸び側減衰力発生機構8では、油液がオリフィス20、背圧室19及びオリフィス23を流通することによって減衰力が発生し、また、メインディスクバルブ14が開弁すると、その開度に応じて減衰力が発生する。このとき、オリフィス20を介して背圧室19に油液が導入されることによって背圧室19の内圧が上昇してメインディスクバルブ14の開弁圧力を調整する。そして、背圧室19の圧力が所定圧力に達すると、ディスクバルブ20が開弁して背圧室19の圧力をシリンダ下室2B側へリリーフすることにより、メインディスクバルブ14の開弁圧力の過度の上昇を防止する。
ピストンロッド4の縮み行程時には、シリンダ2内のピストン3の摺動にともない、シリンダ下室2Bの油液がピストン3の縮み側油路7を通ってシリンダ上室2Aへ流れ、縮み側減衰力発生機構9によって減衰力が発生し、このとき、ピストンロッド4がシリンダ2内に侵入した分の油液がベースバルブを介してリザーバへ流れ、リザーバ内のガスを圧縮することによって、シリンダ2内の容積変化を補償する。
縮み側減衰力発生機構9では、油液がオリフィス34、背圧室33及びオリフィス37を流通することによって減衰力が発生し、また、メインディスクバルブ28が開弁すると、その開度に応じて減衰力が発生する。このとき、オリフィス34を介して背圧室33に油液が導入されることによって背圧室33の内圧が上昇してメインディスクバルブ28の開弁圧力を調整する。そして、背圧室33の圧力が所定圧力に達すると、ディスクバルブ36が開弁して背圧室33の圧力をシリンダ上室2A側へリリーフすることにより、メインディスクバルブ28の開弁圧力の過度の上昇を防止する。
縮み側減衰力発生機構9をピストンロッド4に組付ける際、バルブ部材24の支持部25から突出されたガイド部38に、シムディスク31及びメインディスクバルブ28を嵌合させ、メインディスクバルブ28の弾性シール部材32をバルブ部材24の円筒部に嵌合させることにより、弾性シール部材32の弾性力によってメインディスクバルブ28及びシムディスク31をバルブ部材24に保持することができ、これらを容易にサブアセンブリ化することができる。このとき、ピストンロッド4を挿通させない状態でも、ガイド部38によってシムディスク31及びメインディスクバルブ28を確実に位置決めすることができる。
なお、上記実施形態では、シムディスク31が1枚の場合について説明しているが、本発明は、これに限らず、シムディスク31が複数枚の場合でも、ガイド部38の突出高さを適宜設定することにより、同様に適用することができる。また、ガイド部38は、シムディスク31及びメインディスクバルブ28の組付性を考慮して、先端部に面取りを施したり、先端部が小径となるテーパ状に形成してもよい。
さらに、シムディスク31の外径を大きくし、オリフィス34を閉塞することにより、このシムディスク31を背圧を導入するチェック弁として作用させこともできる。
また、本発明は、前述の特許文献1に示されるような、減数力調整式の油圧緩衝器にも適用可能である。
さらに、本発明の減衰力発生機構は、ピストン部に限らず、ボトム等でも適用可能である。
本発明の一実施形態に係る油圧緩衝機の要部を示す縦断面図である。 図1に示す油圧緩衝機の縮み側減衰力発生機構の要部を拡大して示す図である。
符号の説明
1 油圧緩衝器、2 シリンダ、3 ピストン、4 ピストンロッド、24 バルブ部材、25 支持部、28 メインディスクバルブ(メインバルブ)、31 シムディスク(環状部材)、32 弾性シール部材、33 背圧室、38 ガイド部

Claims (2)

  1. 油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記ピストンの摺動によって生じる油液の流れを制御して減衰力を発生させるメインバルブと、該メインバルブの閉弁方向に圧力を作用させる背圧室とを備え、前記油液の流れの一部を前記背圧室に導入して該背圧室の圧力によって前記メインバルブの開弁を制御する油圧緩衝器において、
    前記メインバルブは、前記背圧室を形成するバルブ部材と前記ピストンとの間でクランプされ、前記メインバルブと前記バルブ部材との間に環状部材が介装され、前記メインバルブ、前記ピストン、前記バルブ部材及び前記環状部材は、これらに前記ピストンロッドが挿通されて一体に組付けられており、前記バルブ部材に、前記環状部材に当接してこれをクランプする支持部が形成され、該支持部に、前記環状部材及び前記メインバルブの内周に嵌合する円筒状のガイド部が突出されていることを特徴とする油圧緩衝器。
  2. 前記メインバルブの背面側の外周部には、環状の弾性シール部材が固着されており、該弾性シール部材が前記バルブ部材に嵌合して前記背圧室を形成することを特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器。
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