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JP2007152638A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 Download PDF

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JP2007152638A JP2005348249A JP2005348249A JP2007152638A JP 2007152638 A JP2007152638 A JP 2007152638A JP 2005348249 A JP2005348249 A JP 2005348249A JP 2005348249 A JP2005348249 A JP 2005348249A JP 2007152638 A JP2007152638 A JP 2007152638A
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Abstract

【課題】互いに混合されることによって凝固する異なる種類のインクをそれぞれ異なるインク吐出部から吐出した場合にも、各ンク吐出部の吐出性能の低下を軽減することが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置は、記録手段9とその吐出性能を維持するための回復手段を有する。記録手段9は、異なる種類のインクを吐出させる複数のインク吐出部を構成する吐出口列15〜18を有する。これらのインク吐出口列のうち、第1のインク吐出部を構成する吐出口列15からは第1のインクが吐出され、第2のインク吐出部を構成する吐出口列16からは第1のインクに混合されることによって凝固する第2のインクが吐出される。回復手段は、第1のインクの吐出数に応じた回復動作を第2のインク吐出部に対して行うと共に、第2のインクの吐出数に応じた回復動作を第1のインク吐出部に対して行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、互いに混合されることによって凝固する性質を有する少なくとも2種類のインクを吐出するようにしたインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置は、記録ヘッドから複数色のインクを吐出させることによって、高品質なカラー画像形成を比較的小型で低コストな構造によって実現することができることから、近年急速に普及している。このようなインクジェット記録装置に使用される記録ヘッドのひとつとして、インク吐出用の複数のノズルを高密度に配列したノズル列を、使用するインクの種類数に応じて複数配置されているものがある。記録ヘッドのそれぞれのノズルは、記録ヘッドの吐出口形成面に形成されたインク吐出口と、このインク吐出口に連通する液路と、この液路内に供給されたインクを吐出させるためのエネルギーを発生させる吐出エネルギー発生素子とからなる。各ノズルの各液路には、記録ヘッド内に形成された共通液室を介してインクタンクなどのインク供給源からインクが定常的に供給される。また、吐出エネルギー発生素子は、記録データや制御データに基いて供給される電気エネルギーを、熱エネルギーまたは機械的エネルギーなどの吐出エネルギーに変換し、その吐出エネルギーによって液路内に供給されたインクを吐出口から液滴として吐出する。
ところで、上記のようなインクジェット記録装置において、記録ヘッドから異なる2色のインクが隣接して記録媒体に付与された場合、両インクがそれらの境界部で互いに混合し、カラー画像の品位を低下させる現象(以下、ブリーディングと称す)が発生する。特に、ブラックインクとカラーインクの境界部での混色は画像品位低下への影響が大きいため、様々な解決方法の開発が行なわれている。
その代表的な解決方法として特許文献1に開示された方法がある。すなわち、この特許文献1には、2種のインクが隣接して記録媒体に付与された時、少なくとも一方のインクの増粘、あるいは少なくとも一方のインクにおける色材の凝集または沈殿を生起させるような反応性インクを用いた例が開示されている。これによれば、両インクの境界部分に発生するブリーディングを低減することができる。
特開2001−152059号公報
従来の記録装置には、それぞれのノズルから吐出されたインク滴がヨレて着弾位置がずれたり、ノズルからインク滴が吐出されない不吐出のような不具合が発生しないように、記録ヘッドの回復動作が行われている。この回復動作には、それぞれのノズルから画像データに基づくインク滴の吐出以外の吐出動作(予備吐出とも称する)や、記録ヘッドに当接したキャップ内に負圧をかけて記録ヘッド内のインクを吸引する吸引回復動作がある。さらに、記録ヘッドの吐出口が形成された面に付着したインクやホコリなどを弾性部材で拭き取るワイピング動作がある。
しかしながら、反応系インクを用いた記録装置の場合、記録装置や記録ヘッドの構成、記録装置の使用環境、形成される画像の記録率等によっては、従来の記録装置の記録ヘッドの回復動作を行っただけでは不吐出やヨレなどの不具合が解消されないことがある。これは、反応系インクが、記録装置内に発生したインクミストの影響等により、記録ヘッドの吐出口形成面上あるいはノズル等で他のインクと混合することにより反応し、固着してしまうためである。
本発明は上記課題に着目してなされたものであり、互いに混合されることによって凝固するインクを用いた記録装置において、記録ヘッドから吐出されるインク滴の不吐出やヨレなどの不具合を低減することが可能なインクジェット記録装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成を有する。
すなわち、本発明の第1の形態は、記録手段に設けられた複数のインク吐出部から異なる種類のインクを吐出させることにより記録媒体上に記録を行うと共に、前記インク吐出部の吐出性能を回復させる回復手段を備えたインクジェット記録装置であって、前記複数のインク吐出部は、第1のインクを吐出する第1のインク吐出部と、前記第1のインクに混合されることによって凝固する第2のインクを吐出する第2のインク吐出部と、を含み、前記回復手段は、第1のインク吐出部に対し、前記第2のインク吐出部のインク吐出数に応じた回復動作を行うと共に、前記第2のインク吐出部に対し、前記第1のインク吐出数に応じた回復動作を行うことを特徴とする。
また、本発明の第2の形態は、記録手段に設けられた複数のインク吐出部から異なる種類のインクを吐出させることにより記録媒体上に記録を行う記録工程と、前記インク吐出部の吐出性能を回復させる回復工程とを有するインクジェット記録方法であって、前記記録工程は、記録手段に設けられた第1のインク吐出部から第1のインクを吐出させると共に、前記記録手段に設けられた第2のインク吐出部から前記第1のインクとの混合によって凝固する第2のインクを吐出させて記録媒体上に記録を行い、前記回復工程は、前記第1のインク吐出部と前記第2のインク吐出部の吐出数を計数する工程と、前記第1のインク吐出部に対し前記第2のインク吐出部のインク吐出数に応じた回復動作を行う工程と、前記第2のインク吐出部に対し前記第1のインク吐出部のインク吐出数に応じた回復動作を行う工程と、を行うことを特徴とする。
本発明によれば、第1のインク吐出部の吐出数は、第2のインク吐出部の回復動作に、第2のインク吐出部の吐出数は第2のインク吐出部の回復動作にそれぞれ反映される。このため、第1、第2のインク吐出部のうち、一方のインク吐出部から吐出されたインク吐出数が増大したとしても、それに応じて他方の回復動作が行われるため、各インク吐出部の吐出性能の低下は軽減される。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の実施形態を説明する。
まず、本発明の実施形態に適用されるインクジェット記録装置の全体構成を説明する。 図1は、本発明の実施形態に適用可能なインクジェット記録装置1の内部構成を説明するための概観斜視図である。本実施形態で適用するインクジェット記録装置1は、カラー画像を形成するシリアルスキャン型のインクジェット記録装置である。シリアルスキャン型のインクジェット記録装置では、記録手段としての記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動させながら記録ヘッドよりインクを吐出する主走査と、主走査方向と交差する方向に記録媒体を搬送する副走査とを交互に繰り返す。これにより、記録媒体に順次画像が形成される。
具体的には、記録開始が指示されると、まず給紙モータ5が駆動され、不図示のギヤを介して給紙ローラ6が回転する。この給紙ローラ6の回転により給紙トレイ8に積載されている記録媒体の中から1枚の記録媒体が記録装置本体内へと給送される。複数色分のノズル列を配列した記録ヘッドを搭載したキャリッジ2は、キャリッジモータ3の駆動によって、図1に示されるx方向(主走査方向)へと往復移動する。このとき、記録ヘッドは画像信号に応じたタイミングでインクの吐出を行い、記録媒体上に1バンド分の画像を形成する。この1バンド分の画像とは、記録ヘッドの1回の主走査で記録媒体上に形成し得る帯状の画像を指し、その幅は、例えば記録ヘッドに形成されるノズル列の副走査方向における長さL(図3参照)である。ここで、1バンド分の画像が形成されると、不図示の搬送モータによって記録媒体がy方向に所定量搬送され、さらに記録ヘッドによる記録走査が実行される。なお、記録媒体の端部に余白を残さないよう全面記録を行う場合においては、端部領域を記録するときに、1回の記録走査時に記録ヘッドに配列されるノズル列の一部を用いて記録を行うことがある。このようなときには、1回の主走査で記録媒体上に形成される帯状の画像幅は図3の長さLよりも短くなる。
この第1の実施形態では、キャリッジモータ3からキャリッジユニット2へ駆動力を伝達する手段として、キャリッジベルト4を用いている。但し、キャリッジベルトの代わりにリードスクリュー等他の駆動方法を用いることも可能である。記録装置本体内へ給送された記録媒体は給紙ローラ6と圧力ローラ7の間を通って、記録ヘッド9による記録が可能な位置に導かれる。
また、図1においてキャリッジ2が位置している箇所は、キャリッジ2のホームポジションである。記録が行われていないとき、ホームポジションの下部に配設されている不図示のキャップ手段が記録ヘッド9の吐出口形成面に当接している(キャッピングしている)。記録が開始されると、キャップ手段は吐出口形成面から離間して記録ヘッド9を開放し、これによりキャリッジユニット2はx方向への移動が可能となる。
図2は本実施形態に適用可能なインクジェット記録装置の制御系の構成を説明するためのブロック図である。図2において、101はプログラマブル・ベリフェラルインターフェイス(以下PPIとする)である。PPI101は、不図示のホストコンピュータから入力される指令信号(コマンド)や記録情報信号を受信し、これをMPU102に転送する。また、コンソール106の制御や、キャリッジユニット2がホームポジションにあるか否かを検出するホームポジションセンサ107からの信号の受信も行っている。
MPU(マイクロプロセッシングユニット)102は、制御用ROM105に記憶された制御プログラムに従って、種々の判別機能、インク吐出数などの計数機能、およびインクジェット記録装置内の各部の制御機能などを有する。103は各種データを一時的に記憶するRAMである。このRAM103は受信したデータを格納するデータ格納エリアや、MPU102のワークエリアとして使用される。104はフォント発生用ROMである。フォント発生用ROM104には、コード情報に対応した文字や記録等のパターン情報が記憶されており、入力されたコード情報に対応して各種パターン情報を出力する。121はプリントバッファであり、フォント用発生ROM104等により展開されたデータを記憶するための所定行分の容量を有している。
以上示した各ブロックは、アドレスバス117およびデータバス118を介することによって、MPU102により制御されている。
110は紙等の記録媒体を副走査方向に搬送するための搬送モータである。113は、キャップ手段を駆動し、記録ヘッド9のインク吐出口形成面に当接または離間させてキャッピングを行うキャッピングモータである。キャッピングモータ113を駆動してインク吐出口形成面にキャップを当接させてキャッピングすることにより、各記録ヘッド9のインク吐出口は外気より遮断され、ノズルの乾燥を極力抑制することができる。さらにキャッピングモータ113の駆動により、キャップ手段の近傍に配設された後述のワイパーを駆動する周知のワイピング機構120も駆動され、記録ヘッド9の吐出口面に付着したインクや塵埃などを払拭する動作も実行される。なお、114、115、116および119は、キャッピングモータ113、キャリッジモータ3、給紙モータ5および搬送モータ110を駆動するためのモータドライバをそれぞれ示している。
また、本実施形態におけるコンソール106には、キーボードスイッチおよび表示ランプなどが設けられている。また、ホームポジションセンサ107は、キャリッジ2のホームポジション近傍に設けられており、記録ヘッド9を搭載したキャリッジ2がホームポジションに到達したことを検知してMPUに検知情報を伝える。109は記録ヘッド9の主走査が行われる経路と対向する部分(記録部)に設置されたシートセンサであり、記録媒体の有無を検出する。従って、このシートセンサ109からの検出信号によって、給紙トレイ8から給送された記録媒体が記録部まで正常に送られたか否かを判断することができる。111は画像信号に応じて記録ヘッド9に設けられた電気熱変換素子(吐出用ヒータ)を駆動するためのヘッドドライバである。120は上述した各部へ電源を供給するための電源部であり、駆動電源装置としてACアダプタと電池とを有している。
なお、図1および図2には示されていないが、キャリッジ2には、記録ヘッド9と共に各色のインクを収容した複数のインクタンクを搭載することが可能となっている。インクタンクの外装部分は、例えば、PP、PE等の樹脂をインジェクション・ブロー等によって成型し、その後、超音波溶着、熱溶着、接着および嵌合などの技術を用いて組み立てたものなどを適用することができる。インクタンクの内部構造としては、外装部分自体がインクチャンバーとして機能する方式、インクを充填したインク袋を持つ方式、あるいは外装部内に多孔質体を挿入し、その毛管力でインクの保持およびタンク内の負圧の発生を行う方式などが採用可能である。また、上記のインク袋を使用する方式では、インク袋の内部または外部に設けられたばね機構等によってインク袋を拡大方向に付勢するようにすれば、インク袋内に負圧を発生させることも可能である。
本実施形態におけるそれぞれの色のインクは次のような特徴を有している。ブラックインクは水性媒体に分散している顔料を含んでいる。また、カラーインクの少なくとも一色は、ブラックインクと混合された時にブラックインク中の顔料の分散安定性を不安定化させる染料および添加剤の少なくとも一方を含んでいる。具体的には、本実施形態に係るインクジェットプリンタにおけるブラックインク(第1のインク)は、カチオン基を有する物質を含む水溶液である。一方、カラーインクのうち、シアンインク(第2のインク)は、多価金属陽イオンからなる多価金属塩としてMg2+多価金属陽イオンからなるアニオン基を有する物質を含む水溶液からなる。このシアンインクとブラックインクとが記録媒体上で接触して両インクが反応して凝固することにより、前記特許文献1と同様にブリーディングを防止したり、色材を記録媒体の表層に留めることによって鮮やかな発色で画像を表現できるように構成されている。なお、前記多価金属塩は、Mg2+に限定されるものではなく、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Co2+、Ni2+、Fe2+、La3+、Nd3+、Y3+およびAl3+から選ばれる少なくとも1つの多価金属陽イオンを含むものとすることも可能である。
また、本実施形態においてキャリッジ2に搭載される記録ヘッド(記録手段)9には、図3に示すように、オリフィスプレート11、12、13、14が並設されている。各オリフィスプレートには、図3のように複数のインク吐出口(ノズル)を一定方向(y方向)に配列した吐出口列が複数列形成されている。図中、15は第1のインクとしてのブラックインクを吐出する吐出口列、16は第2のインクとしてのシアンインクを吐出する吐出口列、17はマゼンタインクを吐出する吐出口列、18はイエローインクを吐出する吐出口列である。
図3は、記録ヘッド9の構成を示す図である。本実施形態に適用する記録ヘッド9は、記録データに基づいて供給される電気エネルギーを電気熱変換素子で熱エネルギーに変換し、その熱エネルギーによってインクに気泡を発生させ、その気泡の発生圧力によってインク滴を吐出する構成となっている。
図3に示される前述の各吐出口列15〜18の各インク吐出口は、1cmあたり約490個の配列密度で、1280個ずつ各色のオリフィスプレート11〜14に形成されている。なお、図示の各吐出口列は、それぞれインク吐出口を千鳥状に配列した2列一組の吐出口列となっており、これにより高配列密度を実現している。
また、9aは各オリフィスプレートに対応して設けられた複数(ここでは、4個)のインク供給口である。各インク供給口9aには、異なる種類のインク(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を収容した複数のインクタンクに連結され、吐出や吸引などによって各吐出口から吐出されて消費されたインクを、間断なくインク吐出口へと供給することができる。
図4は、記録ヘッド9の内部構造を説明するための図であり、図3で示すA−A’線およびB−B’線に沿って切断された断面を示す断面図である。
図示のように、インク供給口9aより供給されたインクは、第1のインク液室24内をH方向へと進む。第1のインク液室24がある程度充填されると、インクはJ方向へと進み、フィルター25を通過した後に、第2のインク液室26およびオリフィスプレートに形成された複数の吐出口15に供給される。インク流路にフィルター25を設けることにより、混入したゴミ等を、微細なノズルに混入させない様にすることができる。なお、吐出口15を配列する面の位置は、オリフィスプレート11の中でも、TAB面30に対し、一段凹んだ位置に形成されている。これは、各インク吐出口と記録媒体との接触を極力回避するためである。なお、図4ではブラックインクにおけるインク液室の構造を示しているが、各カラーインクにおけるインク液室も同様の構成を有している。
図5は、各オリフィスプレートに形成された吐出口15の1つを示す拡大図である。各吐出口はオリフィスプレート31上に形成された円形状の穴となっている。
図6は、図5で示した1つの吐出口に対応する1つのノズルの内部構造を説明するための拡大図である。ヒータ33は、吐出口15の数と配列に応じた状態で、ヒータボード32上に形成されている。液室形成部材34およびオリフィスプレート31が、各ヒータと各吐出口とが連通するようにヒータボード32上に重ねられることにより、ヒータ33から吐出口15までのインク流路が複数形成される。
なお、本明細書においてノズルとは、吐出口と、これに連通するインク流路と、そのインク流路内に設けられたヒータとにより構成される部分を指すものとする。そして、一つのオリフィスプレートに配列されている複数の吐出口列に対応するノズルの集合(ノズル列)をインク吐出部と称す。従って、本実施形態における記録ヘッド9には、4個のオリフィスプレートに対応して4個のインク吐出部が形成されていることとなる。以下、ブラックインクを吐出するノズル列をブラック用インク吐出部(第1のインク吐出部)、シアンインクを吐出するノズル列をシアン用インク吐出部(第2のインク吐出部)と称す。さらに、マゼンタインクを吐出するノズル列をマゼンタ用インク吐出部、イエローインクを吐出するノズル列をイエロー用インク吐出部と称す。
上記の記録ヘッド9において、画像の記録データに応じてヒータ33に所定の駆動パルスが印加されると、ヒータ33は急激に発熱し、これに接するインク内に発泡が起こる。発生した気泡の膨張により、ノズル内のインクはオリフィスプレートから所定量押し出される。さらに、押し出されたインクは、空気との界面張力によって球状の液滴となって飛翔し、記録媒体に着弾されることによって記録が行われる。
次に、上記構成を有するインクジェット記録装置の動作を説明する。
コンソール106から記録指令が入力されると、MPU102は、給紙モータ5を駆動して前述のように給紙トレイから記録媒体の給送を開始すると共に、キャップモータ113を駆動してキャップ手段を記録ヘッド9から開放させる。これによりキャリッジユニット2はx方向への移動走査が可能となる。ここで、1回の記録走査分の画像データがプリントバッファ121に蓄積されると、キャッリッジモータ3はキャリッジ2の移動走査を開始し、記録媒体への記録動作(主走査)が行われる。以後、記録媒体の搬送動作(副走査)と、を繰り返し記録媒体上に画像が形成される。
ここで、この第1の実施形態において実行される記録ヘッド9の回復動作について説明する。
本実施形態においては、記録ヘッド9の吐出性能を維持するために、1.予備吐出、2.吸引回復、3.ワイピング回復が行われる。以下、順次各回復動作について説明する。
1.予備吐出
本実施形態の記録装置においては、記録ヘッド9の各インク吐出部がキャップ手段から開放されてから実際にインクの吐出が開始されるまでの間に、記録ヘッド9の吐出性能を維持するための回復動作として、予備吐出が実行される。通常、この記録動作開始前の予備吐出は一律の吐出数(発数)に従って行われるか、あるいは非記録時間によって決められた発数に従って行われる。また、インクの粘度に応じてインクの色別に発数が設定されている場合もある。この予備吐出は、前記MPU102がインク吐出数に応じてヘッドドライバ111を制御し、記録ヘッド9からインクを吐出させることによって行われる。従って、予備吐出手段は、MPU102、ヘッドドライバ111および記録ヘッドによって構成される。
また、記録動作が開始されると、必要に応じて記録中にも予備吐出が実行される。本実施形態のシリアル型のインクジェット記録装置では、各記録走査の間のタイミングで予備吐出が行われるのが一般的である。このときの予備吐出は、全てのノズルについて行っても良いが、前回までの記録走査で使用されなかったノズルや、使用頻度が少なかったノズルに対してのみ行うようにしても良い。また、使用した頻度に基づいて予備吐出の回数を調整するような制御を行うようにしても良い。
記録前や記録中の予備吐出については、キャップ手段内や、ホームポジション側またはホームポジションとは記録領域を挟んだ反対側にある所定の予備吐出のインク受口までキャリッジを移動させて行うのが一般的である。インク受口が全記録ヘッド9に対応できる幅を有している場合には、キャリッジがインク受口の位置に停止した状態で、全記録ヘッド9による予備吐出を一括して完了させることができる。但しこの場合には、幅広なインク受口を用意しなければならず、記録装置自体が大型化することが懸念される。よって、1色分のノズル列から予備吐出されるインクを受けるインク受口を備え、インク受口と記録ヘッド9の各色のノズル列の位置とが対向する位置において予備吐出を順次実行可能な構成としてもよい。
また、インクが混合することで凝固反応を生じるインクを用いた記録装置においては、凝固反応を示すインクは別のインク受口を設ける構成としてもよい。凝固反応を生じるインクを同じインク受口でインク滴を回収した場合、インク受口内で凝固反応が生じることでインク受口よりも上部にまで固着インクが析出してしまい、記録ヘッドや記録媒体を汚してしまうおそれがある。そのため、例えば、ブラックインクとシアンインクとが混合すると凝固反応する場合、ブラックインクのみを回収するインク受口と、カラーインクのみを回収するインク受口とを設けることで、インク受口内でのインク固着を防ぐことが可能となる。
2.ワイピング回復
図7および図8は、記録ヘッド9の吐出口形成面に付着したインクや塵埃を払拭するためのワイピング回復を行うワイピング機構を示す図である。
図7において、20はブラックインクを吐出するオリフィスプレート11の外面(吐出口形成面)を払拭するためのワイパー(以下、ブラック側ワイパーとも言う)である。21はシアン、マゼンタおよびイエローを吐出するオリフィスプレート12、13、14を払拭するためのワイパー(以下、カラー側ワイパーとも言う)を示している。ブラック用のワイパー20は、図3で示したブラックのオリフィスプレート11の幅Kよりも若干狭く形成されている。これは、TAB面より凹んだ位置にあるオリィフィスプレートの外面(吐出口形成面)に対し、ワイパーが入り込んで確実に払拭できるようにするためである。同様の理由から、カラー側ワイパー21も、カラーの3つのオリフィスプレートの幅よりも若干狭く形成されている。また、ワイパー22は、各オリフィスプレートが取り付けられるTAB面を含む記録ヘッド9の底面部全体に付着したインクを払拭するための全面ワイパーとなっている。ワイパー20、21および22は、ワイパー固定金具によって本体内に設置されたワイパーホルダ23(図8参照)に取り付けられている。このワイパーホルダは、キャッピングモータ113の駆動力によって、副走査方向(y方向)に沿って配置された2本のガイドシャフト23aに沿って往復移動可能となっている。なお、このワイピング機構と、その動作を制御するMPU102とによってワイピング回復手段が構成されている。
ワイピング動作を行わない時、ワイパー20、21および22は、ホームポジションに位置する記録ヘッド9の各オリフィスプレートとの対向位置から退避した初期位置(図8に示す位置)に保持されている。また、ワイピング動作時には、キャッピングモータ113の駆動により、ワイパー20、21および22はワイパーホルダ23と共に図8のy1方向へと移動する。これにより、オリフィスプレートおよび吐出口形成面全体がワイパー20、21および22によって払拭される。このワイパーによる払拭動作(ワイピング動作)が終了すると、キャリッジ2の移動によって記録ヘッド9はワイピング動作領域の外に退避する。この後、ワイパーホルダ23の移動によってワイパー20、21および22は、ワイピング動作時と逆方向(y2方向)へと移動し、初期位置に復帰する。
この第1の実施形態においては、各ページの記録終了時に、ワイピング動作を実行すべきか否かの判断を行い、実行すべきであると判断された場合のみ上述したようなワイピング動作を行う。ワイピング動作を実行すべきか否かの判断は、記録装置本体内に設けられたドットカウンタによって1ページ分の記録における吐出回数をカウントし、そのカウント値に基づいてMPU102が行う。すなわち、カウント値が所定の閾値以上である場合、MPU102はワイピングを実行すべきであるとの判断を下し、ワイピングを実行する。但し、このような構成および方法は本発明を限定するものではない。例えば、本実施形態で適用可能な記録媒体としてはA4サイズ程度としているが、記録領域がさらに大きいプロッターや大判プリンタに本発明を適用する場合には、各記録走査後にワイピングを実行すべきか否かの判断を行うようにしても良い。
3.吸引回復
本実施形態におけるインクジェット記録装置は、ノズル内のインクや吐出口形成面に付着したインクを吸引するための吸引回復動作を行う吸引回復機構がキャリッジ2のホームポジションに設けられている。図8は、この吸引回復機構を模式的に示す斜視図である。図示のように、この吸引回復機構は、キャップホルダ202に保持された一対のキャップ201a、201bと、キャップホルダ202と共に両キャップを昇降させる昇降機構と、各キャップ201a、201bに接続されたポンプ202a、202bとを有する。キャップ201a、201bには、吸引口201c、201dが形成されており、吸引口201cはポンプ202aに、吸引口201dはポンプ202bにそれぞれ連結されている。ポンプ202a、202bは、キャッピングモータ113の駆動力を用いてそれぞれ独立に駆動可能である。なお、この吸引回復機構とその駆動を制御するMPU102とによって吸引回復手段が構成されている。
吸引回復動作が行われない待機状態において、キャップ201a、201bはワイパーホルダ23の移動経路より下方の開放位置に保持されている。また、吸引回復動作を行う場合には、キャリッジ2がホームポジションへ移動した後、キャップ201a、201bが昇降機構によってキャップホルダ202と共に上昇する。これにより、ワイパーキャップ201aは、オリフィスプレート11に、キャップ201bはオリフィスプレート12、13、14にそれぞれ密接し、各ノズルのインク吐出口は外気と遮断された状態になる。ここで、ポンプ202a、202bが駆動されると、キャップ201a、201b内には負圧が発生する。この負圧によって吐出口形成面や各ノズル内で増粘、固着したインクはポンプ側と吸引され、除去される。
上記の吸引回復動作は、所定時間毎あるいは所定の吐出数毎に自動的に行われ、これによって記録ヘッド9の吐出性能の低下を軽減することができる。しかし、本実施形態のように、互いに混ざり合うことで凝固する少なくとも1組の反応系インク対を有する場合には、反応系インク対を使用しない場合に比べ、ノズル内あるいは吐出口形成面上での固着、増粘に対し、より強力な回復処理が必要になる。これは、記録ヘッドの吐出口形成面に付着した複数色のインクミストが混合して反応するからである。このインクミストによる反応系インク対の混合は、高記録率で画像が形成される場合や、記録装置本体の構成上、ミスト対策のエアフロー等が十分に確保できない場合などに特に顕著に発生する。すなわち、ブラックインクの吐出ドット数が増大すると、これに比例して記録装置本体内に発生するブラックインクのミストが増加する。そして、ブラックインクの吐出ドット数が所定数を超えると、シアンインクのノズル内や吐出口形成面上に到達するブラックインクのミストとシアンインクとの反応による固着の影響が無視できない状態となる。同様に、シアンの吐出ドット数が所定数を超えると、ブラックインクのノズル内や吐出口形成面上に到達するシアンインクのミストが増大し、これとブラックインクとの反応による固着の影響が無視できない状態となる。
こうしたインクミストと他のインクとの反応に起因する記録ヘッド9の吐出不良は、従来の回復動作では回避できない。すなわち、ブラックインクの吐出数に応じてブラックインクの回復動作を行う、あるいはシアンインクの吐出数に応じてシアンインクの回復動作を行う、という従来の回復制御では、上記のようなインクミストに起因する吐出不良の発生は回避できない。
そこで本実施形態では互いに混ざり合うことで凝固するインクの一方のインク吐出数が所定値を越えた場合、他方のインクを吐出するノズルに対して回復動作を実行する。具体的には、前回の回復動作が終了してからのブラックインクの吐出数(ドット数)をカウントし、カウントした吐出数が所定の閾値Xを超えたときに、各カラーインクを吐出するノズルに対して回復動作を行う。同様に、前回の回復動作からのシアンの吐出数が閾値Yを超えたらブラックインクを吐出するノズルに対して回復動作を行う。これにより、記録ヘッド9の吐出口形成面上およびノズル内等で互いに反応し、凝固したインク(ブラックインクとシアンインク)を適宜排除することが可能となり、記録ヘッド9の吐出性能の低下を軽減することができる。その結果、高精細な画像を安定的に出力することが可能となる。
なお、このとき行われる回復動作として、吸引回復、予備吐出、ワイピングのいずれか一つを行うようにしても、複数の回復動作を行うようにしてもよい。また、上述の実施形態では、カラーインクの回復動作を行わせるためのブラックインクの吐出数の閾値と、ブラックインクの回復動作を行わせるためのシアンインクの吐出数の閾値とを異なる閾値としたが、同じ閾値としても良い。
さらに、記録ヘッドからの吐出不良の原因として、複数種類のインクが混合して生じる固着インク以外に、連続してインクを吐出するとノズル内のインクが昇温したり、気泡が発生するため、インクが吐出されなくなることがある。そのため、前回の回復動作が終了してからのブラックインクの吐出数が所定の閾値を超えたときにブラックインクを吐出する記録ヘッドの回復動作を行う従来の回復動作と、上述の本実施形態の回復動作とを併せて行うようにしても良い。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
この第2の実施形態においては、ブラック側ワイパー20とカラー側ワイパー21とが独立に動作可能なワイピング機構を有している。そして、この第2の実施形態においては、記録媒体を1枚記録する毎にブラック側ワイパー20、カラー側ワイパー21のいずれもワイピング動作を行うが、その際、以下のような制御を行う。
すなわち、ブラックインク(第1のインク)の吐出ドット数が前回のワイピング動作からドット数Xを超えていない場合、カラー側ワイパー21によってカラー側インク吐出部のオリフィスプレート12〜14に対して1回のワイピング動作を行う。また、ドット数Xを超えている場合には、前記オリフィスプレート12〜14に対してワイピング動作を2回行う。同様に、シアンインク(第2のインク)の吐出ドット数がドット数Yを超えていない場合には、ブラック側ワイパー20によってブラック側インク吐出部のオリフィスプレート11に対するワイピング動作を1回行う。また、ドット数Yを超えている場合には、オリフィスプレート11に対するワイピング動作を2回行う。
一般に、ワイピング回復動作においてワイピング回数を増加した場合、吐出口形成面などに付着したインクや塵埃などの払拭効果を高めることができるが、その反面、記録ヘッド9の吐出口形成面やワイパーの耐久性が低下する可能性がある。このため、この第2の実施形態では、反応系インクミストによるインクの固着に対する影響が大きい場合にのみワイピング動作回数を増加するようにしている。これによれば、反応系インクを使用した場合にも、ワイピングによる払拭効果向上と、ワイパーおよび吐出口形成面の耐久性維持とを両立させることが可能になる。
以上説明したように、この第2の実施形態においても、記録ヘッド9の吐出口形成面あるいはノズル内等で反応系インクが混合し、凝固することに起因するインク吐出性能の低下を軽減することが可能となり、高品質な画像を安定的に出力することが可能になる。なお、予備吐出動作および吸引回復動作を従来技術と同様に実行した場合にも、この第2の実施形態は有効であるが、さらに、上記実施形態と同様の吸引回復動作を実施するようにすれば、より良好なインク吐出性能を得ることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
この第3の実施形態は、ワイピング機構として、グリセリン等の液体(ウエット液)を塗布したワイパーでワイピング動作を行う湿式ワイピング機構を備えた構成となっている。この湿式ワイピング機構は、ワイピング動作による記録ヘッド9の吐出口形成面の磨耗を低減し、耐久性を向上させる効果がある。さらに、より固着し易いインクおよび記録ヘッド9を用いた場合にも、固着したインクの溶解作用が得られ、優れた払拭効果を持続できるという効果もある。この湿式ワイピング機構では、ワイパーブレードの移動経路内にウエット液を含んだ吸収体を設け、これに各ワイパーを接触させることによってウエット液を塗布するようになっている。
しかしながら、湿式ワイピング機構においては、ウエット液を保持するウエット液保持部が必要であり、その容積が大きくなると本体サイズに影響することとなる。従って、ウエット液保持部の容積を可能な限り抑えるためにも、ウエット液の使用量は必要最小源に抑えることが望ましい。
そのため、この第3の実施形態における湿式ワイピング機構には、ワイパーに対してウエット液を塗布する、塗布しないを選択可能なウエット液塗布機構が設けられている。図9にこのウエット液塗布機構の概念図を示す。このウエット液塗布機構には、ワイパー22の移動経路に対して進退可能に吸収体203が設けられ、この吸収体203に図外のウエット液タンクからウエット液が供給される。また、ワイピング機構は、上記第2の実施形態と同様に、ブラック側とカラー側とで独立に動作可能に構成されている。
各ワイパーへの液体の塗布を行う場合には、吸収体203をワイパーの移動経路内に進出させ、各ワイパーを独立に移動させて吸収体に接触させることにより行う。
このようなウエット塗布機構を用い、この第3の実施形態では、次のようなワイピング動作を行う。
ワイピング機構は、記録媒体を1枚記録する毎にブラック側ワイパー20およびカラー側ワイパー21がワイピング動作を行う。その際、ブラックインクの吐出数がドット数Xを越えたか否か、およびカラーインクの吐出数がドット数Xを越えたか否かに応じて、湿式ワイピングを行うか否かが決定される。
すなわち、ブラックインクの吐出ドット数がドットXを超え、カラーインクの吐出ドット数がドット数Yを越えていない場合には、吸収体203を図中の一点鎖線にて示す退避位置から実線にて示すワイパー移動経路中の進出位置へと移動させる。ここで、カラー側ワイパー21のみを移動させて図3に示すカラー側インク吐出部のオリフィスプレート12〜14(図3参照)に対してワイピング動作を行う。これにより、同ワイパー21は記録ヘッド9に達する前に吸収体203に接触し、ウエット液が塗布された状態でオリフィスプレート12〜14に対するワイピング動作を行う。この後、吸収体203を退避位置へと移動させ、ブラック側ワイパー20により、ブラック側インク吐出部のオリフィスプレート11(図3参照)に対するワイピング動作を行う。
また、シアンインクの吐出ドット数がドット数Yを超え、かつブラックインクの吐出ドット数がドット数Xを超えていない場合には、吸収体203を進出位置まで移動させた後、ブラック側ワイパー20のみを移動させてワイピング動作を行う。これにより、ワイパー20は吸収体203との接触によりウエット液が塗布された状態でブラック側のインク吐出部に対するワイピング動作を行う。カラー側ワイパー21によるワイピング動作は、吸収体203を上昇させた状態で行う。
さらに、ブラックインクの吐出ドット数がドット数Xを超え、かつカラーインクの吐出ドット数がドット数Yを超えていない場合には、吸収体203を進出位置まで移動させた後、ブラック側およびカラー側のワイパー20、21を同時にワイピングさせる。また、ブラックインクの吐出ドット数がドット数X以下であり、カラーインクの吐出ドット数がドット数Y以下である場合には、吸収体203を退避位置に保った状態で両ワイパーによるワイピングを行う。すなわち、ウエット液の塗布動作を行わずにワイピング動作を行う。
以上のように、この第3の実施形態においては、反応系インクミストに起因するインクの混合、固着への影響が大きい場合にのみ、ブレードに対するウエット液の塗布を行うようになっている。これにより、ワイピングによる払拭能力の強化を図りつつ、ウエット液の消費量を必要最小限に留めることが可能になり、ウエット液タンクの大型化を回避することが可能となり、延いては装置全体の大型化を回避することが可能となる。
なお、上記第3の実施形態においては、ワイパー20、21を独立に駆動し得るよう構成した場合を例に採り説明したが、ワイパー20、21を同時に移動させるようにすることも可能である。この場合、吸収体203を各ワイパー20、21に対応して吸収体を2個設け、各吸収体を独立に昇降できるようにする。これによれば、各ワイパー20、21に対して個々にウエット液を塗布することが可能となり、上記第3の実施形態と同様にウエット液の消費量を必要最小源に抑えることが可能となる。
なお、予備吐出動作および吸引回復動作を従来技術と同様に実行した場合にも、この第3の実施形態は有効であるが、上記第1の実施形態と同様の吸引回復動作を実施することも可能である。さらに、上記第2の実施形態のように、吸引回復動作の回数をインクの吐出数によって変更するようにする場合にも、この第3の実施形態を適用可能である。これによれば、より良好なインク吐出性能を得ることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
この第4の実施形態は、各主走査毎に行う予備吐出におけるインクの吐出数(発数)を、反応系インク(ブラックインク(第1のインク)とシアンインク(第2のインク))の吐出数に応じて決定するものとなっている。この予備吐出における発数を決定するテーブルの一例を図10に示す。
図10(a)に示すように、前回の予備吐出から今回の予備吐出が行われるまでの間に記録動作によって吐出されたブラックインクのドット数Xに応じて、今回の予備吐出におけるシアンインクの発数を決定する。ここでは、ドット数XがX1以下である場合には、今回の予備吐出におけるシアンインクの発数を4とし、ドット数XがX1〜X2である場合には発数を12とし、ドット数XがX2以上であるときには、発数を24としている。
また、今回の予備吐出におけるブラックインクの発数は、図10(b)に示すように、前回の予備吐出から今回の予備吐出が行われるまでの間に記録動作によって吐出されたシアンインクのドット数Yに応じて決定する。ここでは、ドット数YがY1以下である場合には、今回の予備吐出におけるブラックインクの発数を4とし、ドット数YがY1〜Y2である場合には発数を12とし、ドット数YがY2以上であるときには、発数を24としている。なお、X1、X2は、Y1、Y2と同一であっても良いが、インクの組成などに応じて異なる値に設定しても良い。
以上のようにして記録動作中の各走査毎に行われる予備吐出における発数を決定することにより、互いに反応するインクのノズル内での反応、固着を効果的に軽減することができる。このため、この第4の実施形態においても、インク吐出部のインク吐出性能を適正に維持することが可能となり、高精細な画像を安定的に出力することが可能となる。
(第5の実施形態)
第1の実施形態においては、回復動作を行う際の閾値が一つであったが、複数の閾値を設けて、カウントした吐出数と複数の閾値とを比較した結果に応じて異なる回復動作を行うようにしても良い。
具体的には、所定間隔毎にカラーインクを吐出する記録ヘッドの回復動作を行うか否かをブラックインクの吐出数に基づいて判断する構成とし、前回の回復動作が終了してからのブラックインクの吐出数が閾値X未満であれば回復動作を行わない。また、ブラックインクの吐出数が閾値X以上Y未満であれば回復動作としてワイピングを行い、ブラックインクの吐出数が閾値Y以上Z未満であれば回復動作として予備吐出を行う。さらに、ブラックインクの吐出数が閾値Z以上であれば回復動作として吸引回復動作を行うようにする。
ブラックインクの吐出数が少ないうちは、ブラックインクのミストの発生も少ないため、記録ヘッドの吐出口形成面でブラックインクとシアンインクが反応に起因したインクの固着なども少ないため軽い回復動作を行うだけで良い。複数種類のインクが混合することによって凝固反応を生じる場合に、一方のインクの吐出数に応じて反応による固着状態が変化することが予想できる。そのため、本実施形態のように、インクの吐出数が多くなると強い回復動作を行うようにすることで、インク固着による不具合を低減させることができ、回復動作に要するインクの消費量を抑えることも可能となる。
(その他)
以上の説明においては、ブラックインクとシアンインクとが互いに混合することによって凝固反応などを生じる場合を例に採り説明したが、シアンインク以外のカラーインクをブラックインクと反応させるようにした場合にも、本発明は適用可能である。すなわち、カラーインクの吐出数に応じてブラックインクのインク吐出部に対する回復動作を実行し、ブラックインクのインク吐出数に応じてカラーインクのインク吐出部に対する回復動作を実行するようにすれば良い。さらに、互いに反応する第1のインクと第2の組み合わせは、ブラックインクとカラーインクとの組み合わせに限らず、その他の異なるインクの組み合わせにも適用可能である。また、第1のインクおよび第2のインクがそれぞれ複数種存在する場合にも本発明は適用可能である。
また、本発明は、シリアル型のインクジェット記録装置だけでなく、その他のインクジェット記録装置にも適用可能である。例えば、使用する記録媒体の最大幅以上の長さを有するノズル列からなるインク吐出部を備えた記録ヘッドを記録装置本体内の定位置に複数本配置し、記録媒体のみを移動させて記録を行う所謂フルライン型のインクジェット記録装置にも適用可能である。すなわち、フルライン型のインクジェット記録装置においても、互いに混合されることで凝固反応を示す第1、第2のインクが使用される場合には、一方のインク吐出部のインク吐出数に応じて他方のインク吐出部の回復動作を行うようにすれば良い。なお、フルライン型のインクジェット記録装置において実行される回復動作としては、シリアル型と同様に予備吐出動作、ワイピング回復動作および吸引回復動作などがある。また、記録ヘッド内に正圧を加えて強制的にインクを排出させる加圧回復動作が行われる場合もある。従って、上記のようにインク吐出数に応じて行う回復動作は、これら複数の回復動作を適宜選択して実行すれば良い。
本発明の実施形態に適用可能なインクジェット記録装置の内部構成を説明するための概観斜視図である。 本発明の実施形態に適用可能なインクジェット記録装置の制御系の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施形態に適用する記録ヘッドの外観斜視図である。 本発明の実施形態に適用する記録ヘッドの内部構造を説明するための断面図である。 図3に示す記録ヘッドに設けられたオリフィスプレートの吐出口の1つを示す拡大図である。 図3に示す記録ヘッドに設けられた1つの吐出口に対応する1つの記録素子の内部構造を説明するための拡大斜視図である。 本発明の第1の実施形態におけるワイピング機構のワイパーを示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態におけるワイピング機構を模式的に示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に使用するウエット液塗布機構を模式的に示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態に用いられる予備吐出の発数決定テーブルの一例を示す図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
2 キャリッジ
9 記録ヘッド
11 ブラックオリフィスプレート
12 シアンオリフィスプレート
13 マゼンタオリフィスプレート
14 イエローオリフィスプレート
15 ブラックインクを吐出する吐出口列
16 シアンインクを吐出する吐出口列
17 マゼンタインクを吐出する吐出口列
18 イエローインクを吐出する吐出口列
20、21 ワイパー
102 MPU
110 搬送モータ
120 ワイピング機構
201a、201b キャップ
203 吸収体
203a、203b 吸引ポンプ

Claims (11)

  1. 記録手段に設けられた複数のインク吐出部から異なる種類のインクを吐出させることにより記録媒体上に記録を行うと共に、前記インク吐出部の吐出性能を回復させる回復手段を備えたインクジェット記録装置であって、
    前記複数のインク吐出部は、第1のインクを吐出する第1のインク吐出部と、前記第1のインクに混合されることによって凝固する第2のインクを吐出する第2のインク吐出部と、を含み、
    前記回復手段は、第1のインク吐出部に対し、前記第2のインク吐出部のインク吐出数に応じた回復動作を行うと共に、前記第2のインク吐出部に対し、前記第1のインク吐出数に応じた回復動作を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記回復手段は、前記第1のインク吐出部のインク吐出数に応じて第2のインク吐出部に対する回復動作を実行するか否かを判断すると共に、前記第2のインク吐出部のインク吐出状態に応じて前記第1のインク吐出部に対する回復動作を実行するか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記回復手段は、前記第2のインク吐出部のインク吐出数に応じて前記第1のインク吐出部に対する回復動作の強度を変更すると共に、第1のインク吐出部のインク吐出数に応じて前記第1のインク吐出部の回復動作の強度を変更することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記回復手段は、各インク吐出部からインクを吸引するインク吸引動作、各インク吐出部にて記録に寄与しないインク吐出を実行させる予備吐出動作、各インク吐出部に付着したインクを払拭するワイピング動作、少なくとも一つを実行することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記回復動作の強度は、連続して実行されるワイピングの回数によって変更することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記回復動作の強度は、1回の予備吐出動作におけるインク吐出量によって変更することを特徴とする請求項4または5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記回復手段は、各インク吐出部に付着したインクの溶解機能を有する液体を前記ワイパーに塗布可能な塗布機構を有し、
    前記回復動作の強度は、前記ワイパーに対し前記塗布機構によって液体を塗布するか否かによって変更することを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記複数種のインクはブラックインクおよび一色以上のカラーインクを含み、前記ブラックインクは、前記水性媒体に分散している顔料を含み、前記カラーインクの少なくとも一色は、前記ブラックインクと混合された時に前記ブラックインク中の顔料の分散安定性を不安定化させる染料および添加剤の少なくとも一方を含んでいることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記ブラックインクは、アニオン性基を含むブラックインクであり、前記カラーインクは多価金属塩を含むカラーインクであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 各インク吐出部は、インクを吐出する複数のノズルを有するノズル列からなり、前記ノズル列を備えた記録ヘッドを、所定の方向に移動走査しつつ前記ノズル列からインクを吐出する主走査と、該主走査とは交差する方向に前記記録媒体を所定量搬送する副走査とを交互に繰り返すことによって、前記記録媒体に画像を形成することを特徴とする請求項1ないし9に記載のインクジェット記録装置。
  11. 記録手段に設けられた複数のインク吐出部から異なる種類のインクを吐出させることにより記録媒体上に記録を行う記録工程と、前記インク吐出部の吐出性能を回復させる回復工程とを有するインクジェット記録方法であって、
    前記記録工程は、記録手段に設けられた第1のインク吐出部から第1のインクを吐出させると共に、前記記録手段に設けられた第2のインク吐出部から前記第1のインクとの混合によって凝固する第2のインクを吐出させて記録媒体上に記録を行い、
    前記回復工程は、
    前記第1のインク吐出部と前記第2のインク吐出部の吐出数を計数する工程と、
    前記第1のインク吐出部に対し前記第2のインク吐出部のインク吐出数に応じた回復動作を行う工程と、
    前記第2のインク吐出部に対し前記第1のインク吐出部のインク吐出数に応じた回復動作を行う工程と、を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
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