JP2007092972A - 流体封入式防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】特別な部品点数の増加や組立作業工程の増加等を伴うことなく、係止突起の欠損に起因する問題の発生を未然に且つ有効に防止することの出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
【解決手段】仕切部材30を構成する第一及び第二の部材32,34の一方に係止突起110を形成すると共に他方に係止孔112を形成して第一及び第二の部材32,34を重ね合わせ状態に保持せしめる係止機構110,112を構成すると共に、重ね合わせ状態に保持された第一及び第二の部材32,34の各外周面を、第二の取付部材14の筒壁部24を縮径してその内周面に被着したシールゴム層28を介して第二の取付部材14に嵌着固定する一方、係止孔112が形成された第一又は第二の部材32,34に係止孔112の開口を係止突起110の突出側から覆うカバー部122を形成した。
【選択図】図1
【解決手段】仕切部材30を構成する第一及び第二の部材32,34の一方に係止突起110を形成すると共に他方に係止孔112を形成して第一及び第二の部材32,34を重ね合わせ状態に保持せしめる係止機構110,112を構成すると共に、重ね合わせ状態に保持された第一及び第二の部材32,34の各外周面を、第二の取付部材14の筒壁部24を縮径してその内周面に被着したシールゴム層28を介して第二の取付部材14に嵌着固定する一方、係止孔112が形成された第一又は第二の部材32,34に係止孔112の開口を係止突起110の突出側から覆うカバー部122を形成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、内部に封入された流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、特に、内部に仕切部材を配設して複数の流体室を形成し、それら複数の流体室をオリフィス通路を通じて相互に連通せしめた流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振支持体や防振連結体等の防振装置の一種として、内部に封入された非圧縮性流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置が知られている。この流体封入式防振装置においては、例えば特許文献1(特開2003−139189号公報)にも示されているように、第一の取付金具を筒状の第二の取付金具の一方の開口部側に配して、第一の取付金具と第二の取付金具を本体ゴム弾性体で弾性連結して第二の取付金具の一方の開口部を流体密に閉塞する一方、第二の取付金具の他方の開口部を可撓性膜で流体密に閉塞して、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の間に非圧縮性流体が封入された流体室を形成している。また、第二の取付金具によって支持された仕切部材を本体ゴム弾性体と可撓性膜の間に配設して、流体室を仕切ることにより、仕切部材を挟んだ両側において、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を形成し、それら両室をオリフィス通路で相互に連通させている。
また、流体封入式防振装置における仕切部材は、その構造上、複数の部材を重ね合わせて構成されることがある。例えば、長いオリフィス通路や複数のオリフィス通路等の種々のオリフィス通路を形成したり、内部にゴム膜や副液室、空気室等を設けたりするために、複雑な形状や構造が求められるからである。このような仕切部材を第二の取付金具に固定するには、複数の部材を軸方向に重ね合わせると共に第二の取付金具の筒壁部に内挿し、筒壁部に絞り加工等の縮径加工を施して、複数の部材からなる仕切部材を筒壁部に嵌着固定するようになっている。なお、主として、仕切部材に形成されたオリフィス通路のシール性を向上させる等の目的で、複数の部材の各外周面が、筒壁部の内周面に被着されたゴム層を介して該内周面に密着状に当接している。
ところで、上述の仕切部材においては、取り扱いや管理、第二の取付金具への組み付け作業を容易とするために、予め複数の部材を重ね合わせた状態で固定しておいてから、第二の取付金具に固定することが望ましい。そのために、例えば複数の部材同士を予め溶着や接着、圧入固定等することが考えられる。しかしながら、それらの固定に際して、特別な作業や材料、設備を必要とすることは避けたい。何よりも、複数の部材が、最終的に第二の取付金具で嵌着固定されるのであれば、それらを重ね合わせた状態で仮固定されていれば良く、そのような固定方法は必ずしも適当でない。
そこで、複数の部材を第二の取付金具に嵌着固定する前に仮固定する手段として、機械的な係止機構が考えられる。具体的には、例えば特許文献2(特開2004−144237号公報)等に記載されているものが、それである。かかる文献2には、互いに重ね合わせて固定しようとする両部材の少なくとも一方を樹脂成形品として、その一方に係止突起を形成すると共に、他方に係止孔を形成し、係止孔に係止突起を挿通して係止させる、係止機構が開示されている。
しかしながら、本発明者が検討したところ、第二の取付金具と仕切部材のASSY方法(組付け方法)の違いにより、例えば第二の取付金具の筒壁部の絞りによる仕切部材の固定方法において、筒壁部の絞り率や絞り径、絞り部分の接触面積等の違いにより、係止機構の一部を構成している係止突起が欠損する可能性があることが判明した。
すなわち、第二の取付金具の筒壁部に縮径加工を施して仕切部材を嵌着固定する際に、筒壁部の縮径変位に基づき、筒壁部の内周面に被着されたゴム層が筒壁部と仕切部材の間で軸直角方向に圧縮されると、ゴム層が軸方向に逃げるように弾性変形する。ゴム層の逃げに伴い、係止機構により互いに軸方向で係止された複数の部材に対して、軸方向でそれぞれ離隔する方向の外力が作用せしめられる。そして、この外力の作用により、予め仮固定として樹脂材で形成された係止突起が前述のASSY方法の違いによっては欠損する可能性があることが判った。
なお、係止突起の欠損は、複数の部材が第二の取付金具に固定された状態での複数の部材同士の固定に関して問題ない。蓋し、複数の部材同士を固定する固定力が、第二の取付金具の縮径加工に基づく嵌着固定により得られるからである。しかし、この欠損した係止突起が、流体室内に落ち込むと、それがオリフィス通路に入り込んで詰まったり、可撓性膜に接触して損傷等を与えるおそれがあった。
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、特別な部品点数の増加や組立作業工程の増加等を伴うことなく、係止突起の欠損に起因する問題の発生を未然に且つ有効に防止することの出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、前述の課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(本発明の態様1)
本発明の態様1の特徴とするところは、第一の取付部材を筒状の第二の取付部材の一方の開口部側に配すると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結して該第二の取付部材の該一方の開口部を流体密に閉塞する一方、該第二の取付部材の他方の開口部を可撓性膜で閉塞して、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の対向面に非圧縮性流体が封入された流体室を形成し、更に、該第二の取付部材によって仕切部材を支持せしめて該仕切部材で該流体室を仕切ることにより、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と、壁部の一部が該可撓性膜で構成された平衡室を形成すると共に、それら受圧室と平衡室を連通するオリフィス通路を形成した流体封入式防振装置において、前記第二の取付部材の軸方向で互いに重ね合わせられた第一の部材と第二の部材を含んで前記仕切部材を構成し、それら第一の部材と第二の部材の一方に係止突起を形成すると共に他方に係止孔を形成して該係止孔に該係止突起を挿通して係止することで該第一の部材と該第二の部材を重ね合わせ状態に保持せしめる係止機構を構成すると共に、該係止機構で重ね合わせ状態に保持された該第一の部材および該第二の部材の各外周面を、該第二の取付部材の筒壁部を縮径して該筒壁部の内周面に被着したシールゴム層を介して該第二の取付部材に嵌着固定する一方、該係止孔が形成された該第一の部材又は該第二の部材には、該係止孔の開口を該係止突起が突出せしめられる側から覆うカバー部を形成した流体封入式防振装置にある。
本発明の態様1の特徴とするところは、第一の取付部材を筒状の第二の取付部材の一方の開口部側に配すると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結して該第二の取付部材の該一方の開口部を流体密に閉塞する一方、該第二の取付部材の他方の開口部を可撓性膜で閉塞して、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の対向面に非圧縮性流体が封入された流体室を形成し、更に、該第二の取付部材によって仕切部材を支持せしめて該仕切部材で該流体室を仕切ることにより、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と、壁部の一部が該可撓性膜で構成された平衡室を形成すると共に、それら受圧室と平衡室を連通するオリフィス通路を形成した流体封入式防振装置において、前記第二の取付部材の軸方向で互いに重ね合わせられた第一の部材と第二の部材を含んで前記仕切部材を構成し、それら第一の部材と第二の部材の一方に係止突起を形成すると共に他方に係止孔を形成して該係止孔に該係止突起を挿通して係止することで該第一の部材と該第二の部材を重ね合わせ状態に保持せしめる係止機構を構成すると共に、該係止機構で重ね合わせ状態に保持された該第一の部材および該第二の部材の各外周面を、該第二の取付部材の筒壁部を縮径して該筒壁部の内周面に被着したシールゴム層を介して該第二の取付部材に嵌着固定する一方、該係止孔が形成された該第一の部材又は該第二の部材には、該係止孔の開口を該係止突起が突出せしめられる側から覆うカバー部を形成した流体封入式防振装置にある。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、第一の部材と第二の部材が係止機構で機械的に組み付けられることから、特別な作業や材料、設備等が必要なくなり、両部材の組み付け作業が容易となる。また、仕切部材が第二の取付部材に嵌着固定される前に、該仕切部材を構成する第一の部材と第二の部材が重ね合わせ状態に保持されていることにより、それらの取り扱いや管理に優れている。
また、第二の取付部材の筒壁部の縮径に基づき、重ね合わせ状態に保持された第一の部材と第二の部材の各外周面が、筒壁部の内周面に被着されたシールゴム層を介して第二の取付部材に嵌着固定されることで、仕切部材が第二の取付部材に固定されるようになっている。従って、第一の部材と第二の部材を第二の取付部材に各別に固定する手間が省け、仕切部材の第二の取付部材への組み付け作業が容易となる。
ところで、本発明者が検討したところ、第二の取付部材の筒壁部の縮径に伴い、第一及び第二の部材と筒壁部の間に配されたシールゴム層が軸直角方向に圧縮されると、シールゴム層が軸方向に逃げるように弾性変形することが確認された。而して、シールゴム層の軸方向の逃げに伴い第一の部材と第二の部材が軸方向で互いに離隔する方向に変位することとなって、かかる変位に起因して係止孔と係止された係止突起に応力集中や大きな歪みが生じ、係止突起が欠損するおそれのあることが、新たに知見されるに至った。
かくの如き新規な知見に基づき、本態様では、係止孔が形成された第一の部材または第二の部材において、カバー部が、係止孔の開口を係止突起が突出せしめられる側から覆うように形成されている。これにより、係止突起が欠損してもカバー部で支持せしめられることとなり、係止突起が流体室内に落とし込まれることが防止される。従って、係止突起の流体室内への落ち込みに起因する、係止突起のオリフィス通路への詰まりや係止突起の接触による可撓性膜の損傷等の種々の問題が解消され得る。
また、第一の部材と第二の部材を重ね合わせ状態に保持する固定力は、第一及び第二の部材が第二の取付部材に嵌着固定される前に、係止機構によって得られるのであれば、第一及び第二の部材が第二の取付部材に嵌着固定された状態で、係止突起の欠損により係止機構が解除されたとしても、該固定力が第二の取付部材の嵌着固定により得られる。要するに、第一及び第二の部材が第二の取付部材に固定された状態では、係止突起の欠損が、それら第一及び第二の部材からなる仕切部材の構成に甚大な影響を及ぼすことがない。従って、係止機構の強度向上等のために、第一及び第二の部材や係止突起の材料や構造等に格別に配慮する必要がなくなり、製作容易性や製造コストの低減化が有利に図られ得る。
それ故、本態様に係る流体封入式防振装置にあっては、組み立て作業の容易化や製造コストの低減化が有利に図られつつ、目的とする品質や防振性能の信頼性が好適に保持され得るのである。
(本発明の態様2)
本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の態様1に係る流体封入式防振装置において、前記第一の部材と前記第二の部材によって協働して前記オリフィス通路が形成されていることにある。
本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の態様1に係る流体封入式防振装置において、前記第一の部材と前記第二の部材によって協働して前記オリフィス通路が形成されていることにある。
本態様においては、オリフィス通路の形状や大きさ、構造、配置、数等に係る種々の設計変更の自由度が大きくなり、延いてはオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体共振のチューニング自由度が大きくなることから、防振効果が一層有利に発揮され得る。
(本発明の態様3)
本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の態様1又は2に係る流体封入式防振装置において、前記係止突起および前記係止孔が、それぞれ、前記第一の部材および前記第二の部材の外周部分において周上で複数箇所に形成されていることにある。
本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の態様1又は2に係る流体封入式防振装置において、前記係止突起および前記係止孔が、それぞれ、前記第一の部材および前記第二の部材の外周部分において周上で複数箇所に形成されていることにある。
本態様においては、複数の係止機構が設けられることとなり、第一の部材と第二の部材が一層安定して固定される。また、例えば、各係止突起が各係止孔に挿通されると共に、第一の部材と第二の部材が相対的に回動されて、各係止突起が各係止孔に係止されるようにした、回動式の係止構造を採用しても良い。このような回動式係止構造を採用すると、第一の部材と第二の部材を容易に且つ強固に組み付けることが出来る。
(本発明の態様4)
本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の態様1乃至3の何れか一つに係る流体封入式防振装置において、前記第一の部材又は前記第二の部材に形成された前記カバー部は、前記係止孔の開口縁部から前記係止突起の突出側に立ち上がる立上壁部と、該立上壁部の先端から屈曲して該係止孔を離隔して覆う蓋壁部とから形成されていると共に、該立上壁部が該係止孔の周上で部分的に形成されて該カバー部が側方に開口せしめられていると共に、該蓋壁部が該係止孔の開口部以下の大きさで形成されていることにある。
本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の態様1乃至3の何れか一つに係る流体封入式防振装置において、前記第一の部材又は前記第二の部材に形成された前記カバー部は、前記係止孔の開口縁部から前記係止突起の突出側に立ち上がる立上壁部と、該立上壁部の先端から屈曲して該係止孔を離隔して覆う蓋壁部とから形成されていると共に、該立上壁部が該係止孔の周上で部分的に形成されて該カバー部が側方に開口せしめられていると共に、該蓋壁部が該係止孔の開口部以下の大きさで形成されていることにある。
本態様においては、係止孔の開口部やカバー部の側方の開口部を利用して、立上壁部および蓋壁部からなるカバー部を、型成形により、第一の部材又は第二の部材と一体形成することが可能となる。それ故、製作容易性が一層有利に向上され得る。
(本発明の態様5)
本発明の態様5の特徴とするところは、本発明の態様1乃至4の何れか一つに係る流体封入式防振装置において、前記係止孔が形成された前記第一の部材又は前記第二の部材において、外周縁部には前記係止突起の突出方向に向かって突出する外周壁部が形成されていると共に、前記カバー部が該外周壁部に向かって外周側に開口する袋状構造とされている一方、該係止突起が該係止孔に挿通される脚部と該脚部の突出先端部からカギ状に屈曲した頭部から構成されており、該頭部が該挿通孔から該外周壁部に向かって延び出した状態で係止されるようになっていることにある。
本発明の態様5の特徴とするところは、本発明の態様1乃至4の何れか一つに係る流体封入式防振装置において、前記係止孔が形成された前記第一の部材又は前記第二の部材において、外周縁部には前記係止突起の突出方向に向かって突出する外周壁部が形成されていると共に、前記カバー部が該外周壁部に向かって外周側に開口する袋状構造とされている一方、該係止突起が該係止孔に挿通される脚部と該脚部の突出先端部からカギ状に屈曲した頭部から構成されており、該頭部が該挿通孔から該外周壁部に向かって延び出した状態で係止されるようになっていることにある。
本態様においては、係止突起が脚部と頭部からなるカギ状とされていると共に、カバー部が外周壁部に向かって開口する袋状とされていることによって、係止突起がカバー部の開口部から落ち込み難い構造とされている。それ故、欠損した係止突起の流体室内への落とし込み防止機能がより有利に発揮され得る。しかも、係止突起のカギ状およびカバー部の袋状の各形状に基づいて、係止突起やカバー部を、何れも型成形により、第一及び第二の部材と一体構造とすることが出来、その結果、製作容易性が向上され得る。
(本発明の態様6)
本発明の態様6の特徴とするところは、本発明の態様1乃至5の何れか一つに係る流体封入式防振装置において、前記第一の部材と前記第二の部材は、それらの中央部分において弾性材を挟み込んで重ね合わせられていると共に、それらの外周部分において、複数箇所に前記係止機構が設けられていることにある。
本発明の態様6の特徴とするところは、本発明の態様1乃至5の何れか一つに係る流体封入式防振装置において、前記第一の部材と前記第二の部材は、それらの中央部分において弾性材を挟み込んで重ね合わせられていると共に、それらの外周部分において、複数箇所に前記係止機構が設けられていることにある。
本態様においては、第一の部材と第二の部材が、それらの間に弾性材を挟み込んだ状態で係止機構により軸方向に重ね合わせ状態に保持せしめられると、弾性材の弾性力に基づいて、第一の部材と第二の部材を軸方向で互いに離隔する方向に作用する反力が得られる。この反力によって、係止突起と係止孔の係止作用が一層大きくされて、第一の部材と第二の部材の固定状態が一層安定するのである。
(本発明の態様7)
本発明の態様7の特徴とするところは、本発明の態様1乃至6の何れか一つに係る流体封入式防振装置において、前記第一の部材は、その中央部分において可動部材が組み付けられている一方、前記第二の部材は、その中央部分に形成された凹所がカバーゴムで覆蓋されて作用空気室が形成されていることにある。
本発明の態様7の特徴とするところは、本発明の態様1乃至6の何れか一つに係る流体封入式防振装置において、前記第一の部材は、その中央部分において可動部材が組み付けられている一方、前記第二の部材は、その中央部分に形成された凹所がカバーゴムで覆蓋されて作用空気室が形成されていることにある。
本態様においては、可動部材の変位乃至は変形や作用空気室の圧力の調節や制御に基づいて流体室の圧力変動を調節することが可能となり、それによって、所期の防振効果がより安定して得られる。しかも、可動部材や作用空気室が第一の部材の中央部分や第二の部材の中央部分を利用して効率的に配されることから、防振装置のコンパクト化が有利に達成され得る。
(本発明の態様8)
本発明の態様8の特徴とするところは、本発明の態様1乃至7の何れか一つに係る流体封入式防振装置において、前記係止突起は、その基端部が最も強度的に弱い構造とされていることにある。
本発明の態様8の特徴とするところは、本発明の態様1乃至7の何れか一つに係る流体封入式防振装置において、前記係止突起は、その基端部が最も強度的に弱い構造とされていることにある。
本態様においては、係止突起が基端部から欠損し易くなることから、欠損する係止突起の形状や大きさが十分に確保される。それ故、係止突起がカバー部に確実に支持されて、係止突起の流体室内への落とし込みが一層有利に阻止され得る。
上述の説明からも明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、第一及び第二の部材を係止機構で重ね合わせ状態に保持して仕切部材を構成し、仕切部材が第二の取付部材に嵌着固定された状態で、係止突起が欠損しても、係止突起がカバー部により支持される。これにより、係止突起の流体室内への落とし込みに起因するオリフィス通路の目詰まりや可撓性膜の損傷等の種々の問題が解消される。それ故、組み立て作業の容易や製造コストの低減が有利に図られつつ、所期の防振性能や品質が安定して得られるのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1〜2には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で連結された構造とされている。第一の取付金具12がパワーユニット側に取り付けられると共に、第二の取付金具14が車両ボデー側に取り付けられることにより、パワーユニットがボデーに対して防振支持されるようになっている。なお、図1では、エンジンマウント10の自動車への非装着状態が示されているが、本実施形態では、装着状態において、パワーユニットの分担支持荷重がマウント軸方向(図1中、上下)に入力されて、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づき第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向で互いに接近する方向に変位すると共に、振動の主たる入力方向が略マウント軸方向とされている。以下の説明中において、特に断りのない限り、上下方向は図1中の上下方向をいう。
より詳細には、第一の取付金具12は、下方に開口するカップ形状を呈している。第一の取付金具12の中央部分には、上方に開口する螺子穴を備えたナット部18が一体形成されている。
一方、第二の取付金具14は、大径の略段付き円筒形状を有しており、軸方向中間部分に形成された段差部20を挟んで、上方が大径筒部22とされていると共に、下方が大径筒部22よりも径寸法が小さな小径筒部24とされている。また、第一の取付金具12が第二の取付金具14の一方(図1中、上)の開口部側に離隔配置されて、両金具12,14の中心軸が略同一線上に位置せしめられていると共に、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、本体ゴム弾性体16が配されている。
本体ゴム弾性体16は、大径の略円錐台形状を有しており、その小径側端面が、第一の取付金具12のナット部18を除く略全体を埋設した状態で、第一の取付金具12の外周面に加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面が、第二の取付金具14の大径筒部22および段差部20の内周面に加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体16が、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されている。これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16によって相互に弾性的に連結されていると共に、第二の取付金具14の大径筒部22側における一方(図1中、上)の開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端面には、下方に開口する略すり鉢形状の大径凹所26を備えている。また、第二の取付金具14の小径筒部24の内周面には、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のシールゴム層28が、略一定の厚さ寸法で、全体に亘って被着形成されている。
さらに、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、第二の取付金具14の他方(図1中、下)の開口部側から仕切部材30が組み付けられている。
仕切部材30は、全体として略円柱形状を呈していて、その外径寸法が第二の取付金具14の小径筒部24の内径寸法よりも小さくされている。また、仕切部材30は、複数の部材を組み合わせてなる分割構造体とされており、第一の部材としての第一仕切部材32や第二の部材としての第二仕切部材34を含んで構成されている。
第一仕切部材32は、図3〜4にも示されているように、厚肉の略円板形状を有していると共に、硬質の合成樹脂材を用いて形成されている。第一仕切部材32には、凹所としての下面中央に開口する大径の中央凹所36が形成されている。中央凹所36の深さ寸法が大きくされていることで、中央凹所36の上底部を構成する第一仕切部材32の中央上部が、薄肉の略円板形状とされている。また、中央凹所36の軸方向中間部分には、軸直角方向外方に広がる円環形状の段差部38が形成されている。それによって、中央凹所36の段差部38を挟んだ上底部側(図1中、上)の周壁部の径寸法が、段差部38を挟んだ開口部側(図1中、下)の周壁部の径寸法よりも小さくされている。
また、第一仕切部材32の外周部分には、軸直角方向外方に開口する略一定の凹状断面で周方向に所定の長さ(例えば、本実施形態では一周弱)で延びる、周溝40が形成されている。周溝40の一方の端部が、第一仕切部材32の上端部に形成された切欠き状の連通窓42を通じて上方に開口していると共に、周溝40の他方の端部が、第一仕切部材32の下端部に貫設された連通孔44を通じて下方に開口している。更に、周溝40は、連通孔44から上方に離隔した第一仕切部材32の軸方向中間部分において、第一仕切部材32の軸方向及び軸直角方向にトンネル状に延びる連通路46と接続されている。連通路46の内側端部が中央凹所36の周壁部に開口していることにより、周溝40が連通路46を介して中央凹所36に開口している。
さらに、第一仕切部材32の上端部分の中央には、円環形状を呈する環状突部48が突設されている。環状突部48には、蓋部材50が取り付けられている。蓋部材50は、硬質の合成樹脂材を用いて形成されていると共に、中央部分が上方に向かって円形状に膨らむような円形皿状とされている。蓋部材50の外周部分が第一仕切部材32の環状突部48に重ね合わせられて溶着等で固着されていることにより、蓋部材50が第一仕切部材32に取り付けられている。これら第一仕切部材32と蓋部材50の間には、略円形状の拘束配設領域52が形成されている。拘束配設領域52の上下壁部を構成する第一仕切部材32や蓋部材50の円形状の各中央部分には、多数の小孔からなる透孔54が形成されている。
拘束配設領域52には、可動部材としての可動板56が収容配置されている。可動板56は、薄肉の略円板形状を有しており、ゴム弾性材を用いて形成されている。特に本実施形態では、可動板56の上下端部に突起乃至は溝部の複数が設けられていることにより、複数の起伏を有している。可動板56の厚さ寸法が、拘束配設領域52の上下の内法寸法よりも小さくされていると共に、可動板56の外径寸法が、拘束配設領域52の左右の内法寸法よりも小さくされている。更に、可動板56の中央部分には、軸方向両側に突出する一対の中央軸部58,58が一体形成されている。各中央軸部58が、第一仕切部材32と蓋部材50の各中心軸上に貫設された挿通孔60に対して、それぞれ変位可能に内挿されている。それによって、可動板56が、拘束配設領域52の略センターに位置せしめられて、該領域52の上壁部を構成する蓋部材50の中央部分と可動板56の上端部の離隔距離または該領域52の下壁部を構成する第一仕切部材32の中央部分と可動板56の下端部の離隔距離の分だけ、軸方向に変位可能に配されている。可動板56が蓋部材50や第一仕切部材32に当接することにより、可動板56の軸方向の変位量が、それ自体の弾性変形作用と合わせて、緩衝的に制限されるようになっている。
一方、第二仕切部材34は、図5〜6にも示されているように、厚肉の略円板形状を有していると共に、硬質の合成樹脂材を用いて形成されている。第二仕切部材34には、下面中央に開口する下側凹所62が形成されている。また、第二仕切部材34の上端部分の中央には、浅底皿状の中央突部64が一体形成されている。中央突部64の基端部側の外周壁部に、周方向に所定の長さで延びる嵌着溝66が刻設されている。また、第二仕切部材34の外周部分には、軸方向に延びて、第二仕切部材34における中央突部64周りの上端面と下側凹所62の底部側の下端面に開口する連通孔68が設けられている。更に、第二仕切部材34の上方の外周部分と下方の外周部分には、それぞれ周方向に所定の長さで延びる上側嵌着溝70と下側嵌着溝72が設けられている。
第二仕切部材34の中央突部64には、カバーゴムとしての略円板形状を有する調圧用ゴム板74が配設されている。調圧用ゴム板74の外周縁部(面)には、環状の嵌着リング76が加硫接着されている。嵌着リング76は、中央突部64の周壁部に外挿されて、嵌着リング76の軸方向中間部分から下方の部分に対して縮径加工が施されていると共に、径方向内方に屈曲せしめられた嵌着リング76の下端部が、中央突部64の嵌着溝66に係止固定されている。これにより、中央突部64の開口部分が調圧用ゴム板74で覆われて、中央突部64の底部と調圧用ゴム板74の間において、外部と閉ざされた作用空気室78が形成されている。なお、中央突部64の周壁部に外挿された嵌着リング76の内周面には、調圧用ゴム板74と一体形成された薄肉のシールゴム層が被着形成されており、このシールゴム層が嵌着リング76と中央突部64の周壁部の間で弾性変形して嵌着リング76の内周面および中央突部64の周壁部の外周面に密着状に当接していることによって、作用空気室78の流体密性が高くされている。また、嵌着リング76の上端部がフランジ状に屈曲しており、その上端部に調圧用ゴム板74と一体形成されたシールリップ80が一体形成されている。かかるシールリップ80は、略一定の山形断面で調圧用ゴム板74の周方向に連続して延びている。
また、空気通路82が第二仕切部材34の内部に形成されており、空気通路82の一方の端部が、作用空気室78に接続されていると共に、空気通路82の他方の端部が、第二仕切部材34の外周面に形成されて露呈されたポート部84に接続されている。
特に本実施形態では、第二仕切部材34の嵌着リング76の最大外径寸法となる嵌着リング76の上端部の外径寸法が、第一仕切部材32の中央凹所36の最大内径寸法となる段差部38を挟んだ中央凹所36の開口部側の内径寸法よりも僅かに小さくされている。また、嵌着リング76の上端部に被着されたシールリップ80の径寸法が、第一仕切部材32の段差部38の径寸法と略同じとされている。
そして、第二仕切部材34の嵌着リング76が第一仕切部材32の中央凹所36に内挿されて、嵌着リング76の上端部がシールリップ80を介して中央凹所36の段差部38に重ね合わせられていると共に、第一仕切部材32の中央凹所36周りの下端面と第二仕切部材34の嵌着リング76周りの上端面が、両部材34,36の軸方向に互いに重ね合わせられている。なお、第一仕切部材32および第二仕切部材34の軸方向と第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品の軸方向が、平行とされている。
また、軸方向で重ね合わせられた第一及び第二仕切部材32,34が第二の取付金具14の小径筒部24側(図1中、下)の開口部から軸方向に差し入れられている。更に、第二の取付金具14の他方の端部に形成された内フランジ状の嵌着突部86の下端面が、第二仕切部材34の外周部分の上端面に重ね合わせられていることによって、第一及び第二仕切部材32,34が、それらの各外周面と第二の取付金具14の小径筒部24の内周面が軸直角方向で対向するように、第二の取付金具14に対して軸方向に位置決めされている。更にまた、小径筒部24を含む第二の取付金具14に縮径加工が施されていることによって、第一及び第二仕切部材32,34の各外周面が小径筒部24の内周面に被着されたシールゴム層28を介して小径筒部24の内周面に流体密に重ね合わせられていると共に、嵌着突部86が第二仕切部材34の上側嵌着溝70に係止固定されている。これにより、第一仕切部材32と第二仕切部材34を含んでなる仕切部材30が、軸直角方向に拡がるようにして第二の取付金具14に嵌着固定されている。このことからも明らかなように、本実施形態では、第二の取付金具14の筒壁部が小径筒部24を含んで構成されている。また、仕切部材30の下端部には、可撓性膜としてのダイヤフラム88が組み付けられている。
ダイヤフラム88は、中央部分に十分な弛みをもたせて変形容易とした薄肉の略円板形状のゴム弾性膜によって構成されている。ダイヤフラム88の外周縁部(面)には、大径の略円筒形状の固定金具90が加硫接着されている。固定金具90の上端部には、内フランジ状に延びる嵌着突部92が一体形成されている。固定金具90の内周面には、ダイヤフラム88と一体形成された薄肉のシールゴム層が被着形成されている。このような固定金具90が嵌着突部92を備えた一方(図1中、上)の開口部から第二仕切部材34に外挿されて、固定金具90に縮径加工が施されている。これにより、第二仕切部材34の下方の外周面が、固定金具90の内周面に被着されたシールゴム層を介して固定金具90の内周面に流体密に重ね合わせられていると共に、嵌着突部92が第二仕切部材34の下側嵌着溝72に係止固定されて、ダイヤフラム88が仕切部材30に取り付けられている。
それによって、第二の取付金具14の他方の開口部(図1中、下)が、仕切部材30を介してダイヤフラム88で流体密に閉塞されていると共に、仕切部材30が、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム88の軸方向(図1中、上下)の対向面間に配設されている。
外部空間に対して密閉された本体ゴム弾性体16とダイヤフラム88の対向面間には、非圧縮性流体が封入された流体室94が形成されている。封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール, ポリアルキレングリコール, シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。また、流体室94への非圧縮性流体の封入は、例えば第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対する仕切部材30やダイヤフラム88の組み付けを非圧縮性流体中で行うこと等によって、有利に実現される。
また、流体室94は、その内部に仕切部材30が軸直角方向に拡がるように配設されていることによって上下に二分されている。この仕切部材30を挟んだ軸方向一方(図1中、上)の側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変動が生ぜしめられる受圧室96が形成されている。一方、仕切部材30を挟んだ軸方向他方(図1中、下)の側には、壁部の一部がダイヤフラム88で構成されて、該ダイヤフラム88の弾性変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室98が形成されている。
さらに、第一仕切部材32における中央凹所36の段差部38と第二仕切部材34における嵌着リング76の上端部が、それらの間で軸方向に圧縮変形されたシールリップ80を挟んで流体密に重ね合わせられていることによって、中央凹所36の段差部38を挟んだ上方の小径領域が調圧用ゴム板74によって流体密に覆蓋されている。この調圧用ゴム板74で閉塞された中央凹所36には、受圧室96や平衡室98と同じく、非圧縮性流体が封入された中間室100が形成されている。
更にまた、可動板56の一方の面が、蓋部材50に形成された透孔54を通じて受圧室96に臨んでいると共に、可動板56の他方の面が、第一仕切部材32の中央部分、換言すれば中央凹所36の上底部に形成された透孔54を通じて中間室100に臨んでいる。その結果、拘束配設領域52で可動板56が板厚方向(図1中、上下)に変位せしめられることにより、各透孔54を通じての流体の流動作用に基づいて、受圧室96と中間室100の間で圧力が伝達されるようになっている。かかる圧力伝達量は、可動板56が第一仕切部材32や蓋部材50に当接されて可動板56の変位量が制限されることに基づき制限されることとなる。
また、第一仕切部材32の周溝40が、第二の取付金具14の小径筒部24の内周面に被着されたシールゴム層28を挟んで小径筒部24に流体密に覆蓋されていることによって、オリフィス通路としての第一のオリフィス通路102が形成されている。第一のオリフィス通路102の一方の端部が、第一仕切部材32の連通窓42を通じて、受圧室96に接続されている。また、第一のオリフィス通路102の他方の端部が、互いに軸方向で位置合わせされた第一仕切部材32の連通孔44と第二仕切部材34の連通孔68を通じて平衡室98に接続されている。これにより、受圧室96と平衡室98が第一のオリフィス通路102で相互に接続されており、それら両室96,98間で、第一のオリフィス通路102を通じての流体流動が許容されるようになっている。
さらに、第一仕切部材32の周溝40の他方の端部付近に接続された連通路46が、周溝40と共に第二の取付金具14の小径筒部24によって流体密に覆蓋されている。これら周溝40と連通路46が協働して第二のオリフィス通路104が形成されている。第二のオリフィス通路104の一方の端部が連通路46を介して中間室100に接続されていると共に、第二のオリフィス通路104の他方の端部が第一仕切部材32の連通孔44および第二仕切部材34の連通孔68を通じて平衡室98に接続されている。これにより、中間室100と平衡室98が第二のオリフィス通路104で相互に連通されており、それら両室98,100間で、第二のオリフィス通路104を通じての流体流動が許容されるようになっている。上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、第一のオリフィス通路102や第二のオリフィス通路104が、第一仕切部材32と第二仕切部材34によって協働して形成されている。なお、連通路46が周溝40の一部と接続されていることによって、第二のオリフィス通路104が第一のオリフィス通路102の一部と協働して形成されているが、周溝40の軸方向断面積と連通路46の軸方向断面積が互いに異ならされていると共に、連通路46の軸方向断面積と第一及び第二仕切部材32,34の各連通孔44,68の大きさが略同じとされていることによって、第一のオリフィス通路102と第二のオリフィス通路104が、周溝40や連通路46、連通孔44,68の断面積や長さ等に基づき、各別にチューニングされている。
特に本実施形態では、第一のオリフィス通路102を流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてエンジンシェイク等に相当する10Hz前後の低周波数域の振動に対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるようにチューニングされている。また、第二のオリフィス通路104を流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてアイドリング振動等に相当する20〜40Hz程度の中周波数域にチューニングされている。これにより、第二のオリフィス通路104が、第一のオリフィス通路102よりも高周波数域にチューニングされていると共に、中周波数域の振動入力時に、第二のオリフィス通路104を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて有効な防振効果(低動ばねによる振動絶縁効果)が発揮されるようになっている。なお、第一及び第二のオリフィス通路102,104のチューニングは、例えば、受圧室96や平衡室98,中間室100の各壁ばね剛性、即ちそれら流体室94を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体16やダイヤフラム88、可動板56、調圧用ゴム板74の各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、それぞれのオリフィス通路102,104の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路102,104を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路102,104のチューニング周波数として把握することが出来る。
また、第一の取付金具12のナット部18が図示しない固定ボルトを用いてパワーユニット側の取付部材に螺着固定されると共に、第二の取付金具14の大径筒部22等が図示しないアウタブラケットに固着されて、アウタブラケットが車両ボデー側の取付部材にボルト等で固定されるようになっている。これにより、エンジンマウント10が、パワーユニットと車両ボデーの間に装着されて、パワーユニットを車両ボデーに防振支持せしめるようになっている。
かかる装着状態下において、仕切部材30に形成された空気通路82のポート部84に空気管路106が接続され、空気管路106を通じて、作用空気室78が切換バルブ108に接続されている。切換バルブ108は、例えば電磁バルブ等によって構成されており、作用空気室78を、大気中と所定の負圧源とに択一的に連通せしめるようになっている。また、切換バルブ108は、図示しない制御装置と接続されている。制御装置では、自動車に備え付けられた各種センサ等から、自動車の速度やエンジン回転数、減速機選択位置、スロットル開度など、自動車の状態を表す各種情報のうち、必要なものが入力されるようになっており、かかる情報に基づいて、予め設定されたプログラムに従って、マイクロコンピュータのソフトウエア等により、切換バルブ108を切換作動させるようになっている。そして、切換バルブ108を、自動車の走行状態等の各種条件下で入力される振動に応じて適当に切換制御することにより、目的とする防振効果を得るための作用空気室78の圧力制御が行われる。
ここでエンジンマウント10における具体的な作動態様の一つを示す。防振すべき振動として、(1)低周波大振幅振動であるエンジンシェイクや(2)高周波小振幅振動である走行こもり音、(3)中周波中振幅振動であるアイドリング振動の3種類の振動を考慮することとし、各振動に対する防振効果を以下に説明する。
(1)エンジンシェイクに対する防振効果
エンジンシェイク等の低周波大振幅振動の入力時には、受圧室96に対して非常に大きな振幅の圧力変動が惹起されることとなる。この圧力変動に際して可動板56が変位するが、可動板56の許容された可動距離範囲の変位では受圧室96の圧力変動が吸収され難いように、可動板56の可動距離が設定されている。これにより、可動板56の圧力吸収作用は実質的に機能し得ず、受圧室96には有効な圧力変動が生ぜしめられることとなる。
エンジンシェイク等の低周波大振幅振動の入力時には、受圧室96に対して非常に大きな振幅の圧力変動が惹起されることとなる。この圧力変動に際して可動板56が変位するが、可動板56の許容された可動距離範囲の変位では受圧室96の圧力変動が吸収され難いように、可動板56の可動距離が設定されている。これにより、可動板56の圧力吸収作用は実質的に機能し得ず、受圧室96には有効な圧力変動が生ぜしめられることとなる。
すなわち、低周波大振幅振動の入力に際しては、可動板56や中間室100が殆ど機能し得ない。そして、かかる振動入力時に受圧室96と平衡室98の間に生ぜしめられる相対的な圧力変動により第一のオリフィス通路102を通じての流体流動量が効果的に確保されて、第一のオリフィス通路102を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、エンジンシェイクに対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるのである。
なお、作用空気室78は、大気中と負圧源の何れに接続されていても良い。尤も、調圧用ゴム板74を作用空気室78の底面(第二仕切部材34の上端面)に吸引吸着させることで調圧用ゴム板74は機能しなくなり、中間室100は容積不変となる。その結果、中間室100による液圧吸収がなくなり、第一のオリフィス通路102を通じての流体流動量が一層有利に確保される。
(2)走行こもり音等に対する防振効果
第二のオリフィス通路104のチューニング周波数よりも高い走行こもり音等の高周波小振幅振動の入力時には、受圧室96に対して小さな振幅の圧力変動が惹起されることとなる。この圧力変動に際して可動板56は有効に変位して、可動板56の可動距離範囲の変位によって、受圧室96の圧力変動が中間室100に対して効率的に伝達され、中間室100において調圧用ゴム板74の弾性変形に基づく液圧吸収作用が発揮されるようになっている。要するに、高周波小振幅振動の入力時には、可動板56と中間室100と調圧用ゴム板74の協働作用による液圧吸収機能がはたらいて、受圧室96の圧力変動が中間室100で吸収されることにより、マウント10の著しい高動ばね化が回避されることとなる。
第二のオリフィス通路104のチューニング周波数よりも高い走行こもり音等の高周波小振幅振動の入力時には、受圧室96に対して小さな振幅の圧力変動が惹起されることとなる。この圧力変動に際して可動板56は有効に変位して、可動板56の可動距離範囲の変位によって、受圧室96の圧力変動が中間室100に対して効率的に伝達され、中間室100において調圧用ゴム板74の弾性変形に基づく液圧吸収作用が発揮されるようになっている。要するに、高周波小振幅振動の入力時には、可動板56と中間室100と調圧用ゴム板74の協働作用による液圧吸収機能がはたらいて、受圧室96の圧力変動が中間室100で吸収されることにより、マウント10の著しい高動ばね化が回避されることとなる。
なお、高周波小振幅振動の入力に際して、それよりも低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路102や第二のオリフィス通路104は、何れも、反共振的な作用によって流体流通抵抗が著しく大きくなって、実質的に閉塞状態とされる。
すなわち、かかる状態下では、受圧室96とその圧力が逃がされた中間室100は、何れも、平衡室98から独立した遮断状態となるが、中間室100の壁部の一部を構成する調圧用ゴム板74は、その背後に形成された作用空気室78が大気中に解放されていることにより、弾性変形が比較的容易に許容された状態とされる。特に、調圧用ゴム板74には、走行こもり音等の高周波小振幅振動の入力時に惹起される中間室100の圧力変動の程度はその弾性変形に基づいて十分に吸収せしめ得る程度に柔らかいばね特性が設定されている。それ故、第一及び第二のオリフィス通路102,104の実質的な閉塞化に起因する著しい高動ばね化が回避されて、高周波小振幅振動に対する良好な防振効果(低動ばね特性に基づく振動絶縁効果)が発揮されるのである。
(3)アイドリング振動に対する防振効果
第一のオリフィス通路102のチューニング周波数よりも高いアイドリング振動等の中周波中振幅振動の入力時には、受圧室96に対して或る程度の振幅の圧力変動が惹起されることとなる。この圧力変動に際して可動板56が変位して、可動板56の可動距離範囲の変位によって、受圧室96の圧力変動が中間室100に伝達されるようになっている。なお、中周波中振幅振動の入力に際して、それよりも低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路102は、反共振的な作用によって流体流通抵抗が著しく大きくなって、実質的に閉塞状態とされる。
第一のオリフィス通路102のチューニング周波数よりも高いアイドリング振動等の中周波中振幅振動の入力時には、受圧室96に対して或る程度の振幅の圧力変動が惹起されることとなる。この圧力変動に際して可動板56が変位して、可動板56の可動距離範囲の変位によって、受圧室96の圧力変動が中間室100に伝達されるようになっている。なお、中周波中振幅振動の入力に際して、それよりも低周波数域にチューニングされた第一のオリフィス通路102は、反共振的な作用によって流体流通抵抗が著しく大きくなって、実質的に閉塞状態とされる。
かかる状態下では、受圧室96と同様に有効な圧力変動が惹起される中間室100と容積可変の平衡室98が、中周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路104を通じて接続された構成となる。それ故、振動入力時に受圧室96および中間室100と平衡室98の間に生ぜしめられる相対的な圧力変動により第二のオリフィス通路104を通じての流体流動量が効果的に確保され得て、第二のオリフィス通路104を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、アイドリング振動に対して有効な防振効果(低動ばね特性に基づく振動絶縁効果)が発揮され得るのである。
なお、本実施形態では、第二のオリフィス通路104のチューニング周波数域の振動入力時において、作用空気室78は、大気中に接続されていても良いし、負圧源に接続されていても良い。要求される防振特性に応じて設定できるし、それらを適宜に切り替えるようにしても良い。
すなわち、本実施形態では、作用空気室78が大気中に接続されている場合と負圧源に接続されている場合とで、中間室100の壁部を構成する調圧用ゴム板74のばね特性が変化する。先ず、作用空気室78を大気中に接続した状態では、調圧用ゴム板74が非拘束状態とされて、柔らかいばね特性が発揮される。一方、作用空気室78を負圧源に接続した状態では、調圧用ゴム板74が作用空気室78側に負圧吸引変形されたり、更に強く吸引されて調圧用ゴム板74が作用空気室78の底面に重ね合わせられることによって変形拘束されて硬いばね剛性が発揮される。それ故、作用空気室78が大気中に接続されている場合と負圧源に接続されている場合では、中間室100の壁ばね剛性が異なり、その結果、第二のオリフィス通路104のチューニング周波数が変化して、有効な防振効果が発揮される周波数が変化する。なお、このことから明らかなように、調圧用ゴム板74のばね特性は、ダイヤフラム88程には柔らかくなく、その弾性変形に基づいてアイドリング振動等の中周波中振幅の振動の入力時に惹起される中間室100の圧力変動は吸収し得ずに中間室100に対して、第二のオリフィス通路104を通じての流体流動を生ぜしめ得るに十分な圧力変動が惹起され得る程度のばね剛性を有している。
従って、例えば通常のアイドリング状態と始動時やエアコン作動時等のファーストアイドリング状態とで切換バルブ108を切り換えて、作用空気室78を大気中と負圧源に選択的に接続することにより、中周波数域の領域でも数Hz〜数十Hzの範囲で周波数の異なるアイドリング振動に対して、より高度に第二のオリフィス通路104をチューニングさせて、一層優れた防振効果を得ることが可能となる。
尤も、このようにアイドリング振動の発生周波数域で、車両状態に応じて切換バルブ108を切換作動させて第二のオリフィス通路104のチューニングを変更設定することは、本発明において必須ではない。例えば、アイドリング振動の変化量が比較的小さい場合などにおいては、アイドリング状態下で、常時、作用空気室78が負圧源に接続されるようにして、かかる状態下で、第二のオリフィス通路104を通じての流体流動量が一層有利に確保され得て、アイドリング振動に対して一層効果的な防振効果を発揮し得るようにチューニングしておくことにより、より高度な防振効果を得ることが可能である。
また、本実施形態に係るエンジンマウント10では、第一及び第二仕切部材32,34からなる仕切部材30の第二の取付金具14への固定に関して、特徴的な構造を備えている。即ち、図7にも示されているように、仕切部材30が第二の取付金具14に嵌着固定される前の状態で、第一仕切部材32と第二仕切部材34が、係止機構を用いて、互いに重ね合わせ状態に保持されている。この係止機構は、係止突起110や係止孔112を含んで構成されている。
係止突起110は、第一仕切部材32の中央凹所36の開口部周りの外周部分の下端部において、下方に向かって突出するように一体形成されている。特に本実施形態では、3つの係止突起110,110,110が、第一仕切部材32の下端部の周上で略等間隔に離隔して配されている。また、係止突起110は、第一仕切部材32の下端部と一体形成された基端部114から下方に向かって略一定の屈曲状断面で延びる脚部116と、該脚部116の先端部分から第一仕切部材32の径方向外方に略平板形状に広がる頭部118を含んで構成されている。換言すれば、第一仕切部材32の周方向に長手状に延びる平板形状の頭部118が、第一仕切部材32の下端部と平行に延びて、該下端部と軸方向に所定距離を隔てて対向されている。また、脚部116が、頭部118の幅方向内側の端部と長手方向一方の端部から上方に立ち上がるようにして略一定のL字状断面で第一仕切部材32に向かって延びており、その先端部分が係止突起110の基端部114として第一仕切部材32と一体形成されている。その結果、係止突起110の軸方向断面が、全体としてカギ状を呈している。また、各係止突起110が、第一仕切部材32の外周部分の幅方向中間部分、即ち第一仕切部材32の外周縁部と中央凹所36の間の環状領域の幅方向中間部分に設けられており、各頭部118の径方向外方に向かう先端部分が、第一仕切部材32の外周縁部よりも径方向内側に位置せしめられている。
特に本実施形態では、係止突起110の厚さ寸法が全体に亘って略一定とされている。また、係止突起110の基端部114が、係止突起110の上端部分に設けられていると共に、第一仕切部材32の下端部と略直交して一体形成されている。これにより、係止突起110において、基端部114に応力集中が生ぜしめられ易くなり、基端部114が最も強度的に弱い構造とされている。
一方、係止孔112が、第二仕切部材34の中央突部64周りの外周部分の幅方向中間部分に形成されており、第二仕切部材34の中央突部64周りの上端部と下側凹所62の底部を軸方向に貫いている。係止孔112は、第二仕切部材34の周方向に沿って所定の長さで延びる長孔形状とされている。特に本実施形態では、3つの係止孔112,112,112が、第二仕切部材34の周上で略等間隔に形成されている。また、3つの係止孔112,112,112のうちの一つの周方向端部が第二仕切部材34の連通孔68の周方向端部に接続されているため、該係止孔112が、他の二つの係止孔112,112に比して、外観上大きくされている。
また、係止孔112は周方向に略一定の幅寸法で延びていると共に、係止孔112の幅寸法が、係止突起110の幅寸法よりも僅かに大きくされている。更に、係止孔112の周方向長さ:Lが係止突起110の周方向長さ:lよりも大きくされており、特に限定されるものでないが、係止孔112の周方向長さ:Lと係止突起110の周方向長さ:lの比:L/lが、好適には1.2≦L/l≦3と、より好適には1.5≦L/l≦2とされる。
さらに、係止孔112の外周縁部における周方向一方の端部には、外周壁部120が一体形成されている。外周壁部120は、周方向一方の端部から他方の端部に向かって係止孔112の外周縁部に沿って延びる長手ブロック状とされている。また、外周壁部120の上端面が、係止孔112の上方が開口する第二仕切部材34の上端面と略面一とされている一方、外周壁部120の下端部(面)が、係止孔112の下方が開口する第二仕切部材34の下側凹所62の底部(面)よりも上方に位置せしめられている。要するに、外周壁部120の軸方向寸法が係止孔112の軸方向寸法よりも小さくされている。
外周壁部120の幅寸法が、係止孔112の幅寸法よりも所定の大きさだけ小さくされており、例えば係止孔112の幅寸法の略半分とされている。また、外周壁部120の周方向長さが、係止孔112の周方向長さよりも小さくされており、例えば係止孔112の周方向長さの略半分とされている。特に本実施形態では、外周壁部120の幅寸法が、係止突起110における頭部118の幅方向外方の端縁部と頭部118の幅方向内方の端部に沿って延びる脚部116の間の軸直角方向(幅方向)離隔距離よりも僅かに小さくされている。また、外周壁部120の周方向長さが、係止突起110における頭部118の周方向一方の端縁部と頭部118の周方向他方の端部に沿って延びる脚部116の間の周方向離隔距離よりも僅かに小さくされている。
そこにおいて、第二仕切部材34における各係止孔112の周りには、カバー部122が一体形成されている。カバー部122は、係止孔112の開口周縁部から下方に向かって略一定の矩形枠状断面に延びる立上壁部124と、立上壁部124の先端部分から第二仕切部材34の径方向に屈曲して略平板形状に広がる蓋壁部126を含んで構成されている。蓋壁部126は、第二仕切部材34の下側凹所62の底部や係止孔112の縁部と一体形成された外周壁部120と平行に延びている。なお、第二仕切部材34の連通孔68と接続された係止孔112に配されるカバー部122では、連通孔68の大きさを十分に確保するために、そのカバー部122の大きさが、他の二つの係止孔112,112に配される各カバー部122の大きさに比して、小さくされている。
特に、係止孔112の開口周縁部において外周壁部120が一体形成された部分には、立上壁部124が形成されておらず、また、蓋壁部126の一部が、外周壁部120を避けるようにして、外周壁部120と軸方向および軸直角方向(径方向)に所定距離を隔てて対向せしめられた切欠き状とされている。即ち、外周壁部120の周りにはカバー部122が形成されていないのであり、カバー部122と外周壁部120の間には、所定の大きさの隙間128が設けられていると共に、かかる外周壁部120周りのカバー部122に切欠き状部130が設けられている。隙間128における外周壁部120の下端面から蓋壁部126の上端面と略同じ高さの位置に至る軸方向寸法、即ち外周壁部120と切欠き状部130の軸方向対向面間の距離が、係止突起110の頭部118の厚さ寸法よりも僅かに大きくされており、特に本実施形態では、頭部118の厚さ寸法の2倍より小さくされている。また、カバー部122の切欠き状部130の周方向一方の端部が外周壁部120の周方向一方の端部と略面一とされていると共に、切欠き状部130の周方向他方の端部が外周壁部120の周方向他方の端部よりも周方向外方に位置せしめられていることによって、切欠き状部130の周方向長さが、外周壁部120の周方向長さよりも大きくされている。また、切欠き状部130の幅寸法が、外周壁部120の幅寸法よりも小さくされている。
さらに、カバー部122の切欠き状部130の大きさが、係止突起110の頭部118の軸直角方向に広がる大きさ、延いては脚部116および頭部118を含んでなる係止突起110の全体の大きさに比して、十分に小さくされている。従って、本実施形態のカバー部122を備えた係止機構には、外周壁部120や隙間128、切欠き状部130が設けられていることにより、カバー部122の立上壁部124が係止孔112の周上で部分的に形成されている。また、カバー部122の蓋壁部126の大きさが、例えば係止孔112の下方への開口の大きさの1/2と、好ましくは2/3とされていることで、蓋壁部126が係止孔112の開口部以下の大きさで形成されている。その結果、カバー部122が、外周壁部120に向かって係止孔112の外周側に開口するような袋状構造とされている。
これら3つの係止突起110を備えた第一仕切部材32と各3つの係止孔112や外周壁部120、カバー部122を備えた第二仕切部材34においては、図8〜9にも示されているように、各係止孔112の周方向一方の外周壁部120と反対側の周方向他方の端部の上方に各係止突起110が位置せしめられて、第一仕切部材32と第二仕切部材34が軸方向に重ね合わせられると共に、各係止突起110が各係止孔112に挿通される。
さらに、軸方向で互いに重ね合わせられた第一仕切部材32と第二仕切部材34が、重ね合わせ方向に延びる両部材32,34の中心軸回りで相対的に回動されて、各係止突起110が各係止孔112内を外周壁部120側の周方向端部に向かって変位する。而して、図10にも示されているように、外周壁部120が係止突起110の脚部116および頭部118に略全体に亘って包み込まれるようにして、外周壁部120と係止突起110が相互に重ね合わせられていることにより、係止突起110が外周壁部120を備えた係止孔112に係止されている。これにより、第一仕切部材32と第二仕切部材34の相対的な回動によって、各係止突起110が各係止孔112の外周壁部120に一度に係止される、回動式の係止機構が構成されている。かかる係止機構により、第一仕切部材32と第二仕切部材34が軸方向に重ね合わせ状態に保持されているのである。なお、係止突起110の外周壁部120側の先端部分は、係止孔112の周方向端部に当接していても当接していなくても良い。また、本実施形態では、第一仕切部材32と第二仕切部材34が相対的に回動されて、係止機構により両部材32,34の重ね合わせ状態が保持された際に、第一仕切部材32の連通孔44や第二仕切部材34の連通孔68が軸方向で位置合わせされるようになっていることから、係止機構が、第一仕切部材32と第二仕切部材34の位置決め手段としても機能する。また、上述の説明からも明らかなように、係止突起110及び係止孔112からなる係止機構が、第一仕切部材32と第二仕切部材34の外周部分において、周上の三箇所に設けられている。
特に本実施形態では、第一仕切部材32と第二仕切部材34が第二の取付金具14の軸方向に重ね合わせられた際に、第一仕切部材32の段差部38と第二仕切部材34の嵌着リング76の上端部の間に介装されて軸方向に圧縮変形することに基づき作用空気室78や中間室100を流体密にシールする、シールリップ80が、第一仕切部材32の中央部分と第二仕切部材34の中央部分の間で挟み込まれる弾性材として機能し得る。シールリップ80の弾性復元力に基づき、第一仕切部材32と第二仕切部材34に軸方向で相互に離隔する方向の作用力(反力)を与えて、係止突起110と係止孔112(外周壁部120)の係止作用が一層大きくされている。
そして、このように重ね合わせ状態に保持された第一及び第二仕切部材32,34が、前述の如く、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して、第二の取付金具14の他方の開口部から差し込まれると共に、第二の取付金具14に縮径加工が施されて、第一及び第二仕切部材32,34の各外周面が、第二の取付金具14の小径筒部24の内周面に被着されたシールゴム層28を介して第二の取付金具14に嵌着固定されている。
ここにおいて、第一仕切部材32に形成された係止突起110が係止孔112の開口部に挿通されて平衡室98側に突出していると共に、第二仕切部材34に形成されたカバー部122も係止孔112の開口縁部から平衡室98側に、即ち係止突起110の突出側に突出しており、係止突起110が、カバー部122によって平衡室98側への露出を妨げるように、略全体に亘って覆われている。なお、カバー部122の切欠き状部130を通じて、係止突起110を備えたカバー部122の内側には、平衡室98の非圧縮性流体が満たされている。また、係止突起110の頭部118が、カバー部122の蓋壁部126や切欠き状部130よりも上方に位置せしめられている。本実施形態では、係止突起110の頭部118とカバー部122の蓋壁部126や、係止突起110の脚部116とカバー部122の立上壁部124が、それぞれ、僅かな距離を隔てて対向せしめられているが、互いに当接していても良い。
従って、上述の如き構造とされた自動車用エンジンマウント10においては、作用空気室78や中間室100、第一及び第二のオリフィス通路102,104等を有利に配設するために、仕切部材30が第一仕切部材32と第二仕切部材34を軸方向で重ね合わせた構造とされているが、かかる軸方向の重ね合わせ状態が、第二の取付金具14への嵌着固定前に、係止機構で保持されていることによって、仕切部材30の取り扱いや管理に優れていると共に、第二の取付金具14への組み付け作業が容易となる。
特に本実施形態では、第一仕切部材32の中央部分と第二仕切部材34の中央部分の間に挟み込まれたシールリップ80の弾性変形に基づく反力を利用して、各係止突起110の外周壁部120に対する係止力が一層大きくされていることから、特別な加工や部品点数の増加を伴うことなく、第一仕切部材32と第二仕切部材34の重ね合わせ状態が一層安定する。
ところで、第二の取付金具14(小径筒部24)の縮径に伴い、仕切部材30と小径筒部24の間に配されたシールゴム層28が、径方向(厚さ方向)で圧縮変形せしめられる分だけ軸方向に逃げるように弾性変形する。それに伴い、シールゴム層28に密着した第一仕切部材32と第二仕切部材34が、軸方向で互いに離隔する方向に変位する。結果として、第一仕切部材32と第二仕切部材34を軸方向で連結する係止機構における係止突起110や外周壁部120に応力集中や大きな歪みが生じて、係止突起110等が欠損するおそれがある。
そこにおいて、第二仕切部材34のカバー部122が、平衡室98側に突出する係止突起110を略全体に亘って覆っていることにより、前述の如き第一仕切部材32と第二仕切部材34の軸方向変位に起因して係止突起110が欠損しても、係止突起110がカバー部122で支持せしめられることとなり、係止突起110の平衡室98内への落とし込みが防止される。
特に本実施形態では、係止孔112の平衡室98側への開口の半分以上、好ましくは2/3以上が、カバー部122で小さくされている。また、係止突起110の頭部118が収容される係止孔112の平衡室98側への開口とカバー部122の蓋壁部126の間の距離が、頭部118の厚さ寸法の2倍よりも小さくされている。更に、カバー部122に形成された切欠き状部130の大きさが、頭部118の大きさに比して小さくされている。それ故、欠損した係止突起110の平衡室98への落とし込みが、カバー部122によって確実に防止される。
また、本実施形態では、係止突起110の基端部114が、第一仕切部材32の下端部と略直交するように一体形成されて、係止突起110において強度的に最も弱い構造とされていることから、係止突起110の欠損が基端部114から生じ易くなる。即ち、強度が弱い部分を意図的に設けることにより、係止突起110の欠損に方向性を持たせることが出来る。しかも、その弱い部分が基端部114とされていることで、基端部114が壊れて係止突起110が第一仕切部材32から分離した場合に、カバー部122の切欠き状部130よりも大きな形状の係止突起110が確保され易くなり、該係止突起110がカバー部122により安定して支持される。
さらに、本実施形態では、係止機構が第一及び第二仕切部材32,34の外周部分で複数設けられていると共に、係止機構における係止突起110がカギ状とされていると共に、カバー部122が袋状構造とされていることによって、第一仕切部材32と第二仕切部材34の固定状態乃至は軸方向の重ね合わせ状態の安定が図られつつ、係止突起110が平衡室98内により落とし込まれ難い構造とされている。
それ故、係止突起110の平衡室98等の流体室94内への落ち込みに起因する、係止突起110の第一又は第二のオリフィス通路102,104への詰まりや係止突起110のダイヤフラム88への接触によるダイヤフラム88の損傷等の問題が解消されて、目的とする品質や防振性能の信頼性が好適に保持され得るのである。
また、第一仕切部材32と第二仕切部材34を軸方向に重ね合わせ状態に保持する固定力に関して、係止機構における係止突起110等の欠損は、第一仕切部材32と第二仕切部材34が第二の取付金具14に嵌着固定された状態では問題ない。かかる固定力が第二の取付金具14の嵌着固定により得られるからである。従って、係止突起110の強度確保等のために第一仕切部材32を鉄等の高強度な材料を用いて形成せずとも良いのであり、本実施形態のように合成樹脂材等を用いて係止突起110と第一仕切部材32が一体形成されることにより、製造コストの低減化やマウント10の軽量化が有利に図られ得る。
しかも、第二仕切部材34の外周壁部120と軸方向で所定距離を隔てた位置のカバー部122には、周方向長さが該外周壁部120の周方向長さよりも大きな切欠き状部130が設けられている。これにより、第二仕切部材34を図示しない金型を用いて型成形する際に、係止孔112の上方の開口から金型の一部を差し入れて、外周壁部120の上端部および周壁部やカバー部122の立上壁部124の内周部分、カバー部122の蓋壁部126の上端部を形成すると共に、カバー部122の下方から切欠き状部130を通じて金型の一部を差し入れて、外周壁部120の下端部や立上壁部124の外周部分、蓋壁部126の下端部を形成することが可能となる。それ故、外周壁部120やカバー部122を第二仕切部材34と容易に一体形成することが出来、製作容易性や製造コストの低減化がより有利に向上され得るのである。
また、本実施形態では、第二仕切部材34における嵌着リング76の上端部と第一仕切部材32における中央凹所36の周壁部の間に全周に亘って隙間が設けられている。これにより、第二の取付金具14の縮径加工に伴い、仕切部材30が第二の取付金具14に嵌着固定された際に、例えば、係止突起110の欠損等により、第一仕切部材32と第二仕切部材34が軸直角方向に相対変位して、嵌着リング76と中央凹所36の周壁部が相対変位した場合にも、隙間の存在によって、嵌着リング76と中央凹所36の周壁部が互いに当接して大きな歪みや応力集中が生じることが抑えられる。それ故、作用空気室78の流体密性は嵌着リング76の下端部により、中間室100の流体密性は嵌着リング76の上端部のシールリップ80により、それぞれ安定して発揮され得るのであり、それによって、所期の防振効果が一層安定して得られるのである。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、係止突起110と係止孔112が各3つ設けられて3つの係止機構が構成され、これら係止機構が仕切部材30の周方向で略等間隔に配置されていたが、これに限定されるものでなく、係止機構が一、二若しくは三以上設けられたり、複数の係止機構が周方向で不等間隔に設けられても良い。
また、前記実施形態では、第一仕切部材32に係止突起110が設けられていると共に、第二仕切部材34に係止孔112が設けられていたが、係止突起を第二仕切部材に設けると共に、係止孔を第一仕切部材に設けたり、或いは複数の係止突起と係止孔を、それぞれ第一仕切部材と第二仕切部材に適当に振り分けて設けることも可能である。
さらに、前記実施形態では、係止突起110が、係止孔112の縁部に一体形成された外周壁部120に係止されていたが、外周壁部を設けずに、係止孔の周方向端部等に対して直接に係止されるようにしても良い。
更にまた、前記実施形態では、回動式の係止機構が採用されていたが、例えば係止突起を係止孔に挿通させて、第一仕切部材と第二仕切部材を軸方向に乃至は軸直角方向に相対変位させることにより、係止突起を係止孔にスライド式に係止させる係止機構を採用しても良い。
また、カバー部122の形状や大きさ、構造等は例示のものに限定されない。例えば、前記実施形態では、カバー部122が係止孔112が設けられた第二仕切部材34に一体形成されていたが、カバー部を別体形成すると共に、第二仕切部材の係止孔周りに固着しても良い。それに伴い、カバー部と係止孔の外周壁部が別体形成されることから、係止孔の外周壁部とカバー部を型成形により一体形成するために、特別にカバー部に切欠き状部を設ける必要はなく、例えば、カバー部が係止孔の下方の開口を全体に亘って覆蓋せしめるような形状や大きさとされることも可能である。
また、図11にも示されているように、係止突起110の基端部114に対して、周方向に所定の長さで延びる溝部132を形成することによって、基端部114の厚さ寸法を脚部116や頭部の厚さ寸法よりも小さくし、それによって、基端部114を一層低強度化せしめることも可能である。なお、図11中において、前記実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、図中に同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
また、第一のオリフィス通路102や第二のオリフィス通路104における形状や大きさ、構造、位置、数などの形態は、要求される防振特性や製作性などに応じて設定変更されるものであり、例示の如きものに限定されるものでない。
さらに、前記実施形態では、可動板56を拘束配設領域52の中央に位置せしめた状態で、可動板56の全周囲に隙間が形成されるようになっていたが、例えば可動板を、その板厚方向において、予め拘束配設領域の一部と弾性的に当接せしめた状態で、更には圧縮せしめた状態で、組み付けるようにしても良い。即ち、可動板を板厚方向で拘束配設領域に当接状態で或いは圧縮状態で組み付けたとしても、可動板の上下両面に圧力差が及ぼされることにより、可動板の弾性変形に基づいて受圧室の圧力吸収作用が発揮され得るのである。しかも、可動板を予め当接状態或いは圧縮状態で拘束配設領域に収容して組み付けることにより、可動板の第一仕切部材や蓋部材に対する打ち当たりの衝撃が一層有利に抑えられることとなる。
更にまた、前記実施形態では、可動部材として、仕切部材30を構成する第一及び第二仕切部材32,34から物理的に独立配置されて所定距離だけ自由変位可能とされた可動板56が採用されていたが、それに代えて、外周縁部が仕切部材に対して固着されて、中央部分の弾性変形に基づいて変位乃至は変形が許容されることにより、受圧室から中間室への圧力伝達を許容する可動膜を採用することも可能である。このような可動膜については、周知の構造であるから詳細な説明を省略する。
また、前記実施形態では、第二のオリフィス通路104や中間室100、可動板56、調圧用ゴム板74、作用空気室78、切換バルブ108などが設けられていたが、これらは必須の構成要件でない。即ち、本発明は、複数の部材が軸方向に重ね合わされてなる仕切部材が第二の取付金具に対してシールゴム層を介して嵌着固定される構造の流体封入式マウントであれば、その他のマウントの構成要件により適用範囲が限定されるものでない。
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用エンジンマウント10に適用したものの具体例について説明したが、本発明は、自動車用ボデーマウントやデフマウント等の他、自動車以外の各種振動体の防振マウントに対して、何れも、適用可能であることは言うまでもない。
10 自動車用エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
24 小径筒部
28 シールゴム層
30 仕切部材
32 第一仕切部材
34 第二仕切部材
88 ダイヤフラム
94 流体室
96 受圧室
98 平衡室
102 第一のオリフィス通路
110 係止突起
112 係止孔
122 カバー部
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
24 小径筒部
28 シールゴム層
30 仕切部材
32 第一仕切部材
34 第二仕切部材
88 ダイヤフラム
94 流体室
96 受圧室
98 平衡室
102 第一のオリフィス通路
110 係止突起
112 係止孔
122 カバー部
Claims (8)
- 第一の取付部材を筒状の第二の取付部材の一方の開口部側に配すると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結して該第二の取付部材の該一方の開口部を流体密に閉塞する一方、該第二の取付部材の他方の開口部を可撓性膜で閉塞して、それら本体ゴム弾性体と可撓性膜の対向面に非圧縮性流体が封入された流体室を形成し、更に、該第二の取付部材によって仕切部材を支持せしめて該仕切部材で該流体室を仕切ることにより、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成された受圧室と、壁部の一部が該可撓性膜で構成された平衡室を形成すると共に、それら受圧室と平衡室を連通するオリフィス通路を形成した流体封入式防振装置において、
前記第二の取付部材の軸方向で互いに重ね合わせられた第一の部材と第二の部材を含んで前記仕切部材を構成し、それら第一の部材と第二の部材の一方に係止突起を形成すると共に他方に係止孔を形成して該係止孔に該係止突起を挿通して係止することで該第一の部材と該第二の部材を重ね合わせ状態に保持せしめる係止機構を構成すると共に、該係止機構で重ね合わせ状態に保持された該第一の部材および該第二の部材の各外周面を、該第二の取付部材の筒壁部を縮径して該筒壁部の内周面に被着したシールゴム層を介して該第二の取付部材に嵌着固定する一方、該係止孔が形成された該第一の部材又は該第二の部材には、該係止孔の開口を該係止突起が突出せしめられる側から覆うカバー部を形成したことを特徴とする流体封入式防振装置。 - 前記第一の部材と前記第二の部材によって協働して前記オリフィス通路が形成されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
- 前記係止突起および前記係止孔が、それぞれ、前記第一の部材および前記第二の部材の外周部分において周上で複数箇所に形成されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
- 前記第一の部材又は前記第二の部材に形成された前記カバー部は、前記係止孔の開口縁部から前記係止突起の突出側に立ち上がる立上壁部と、該立上壁部の先端から屈曲して該係止孔を離隔して覆う蓋壁部とから形成されていると共に、該立上壁部が該係止孔の周上で部分的に形成されて該カバー部が側方に開口せしめられていると共に、該蓋壁部が該係止孔の開口部以下の大きさで形成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
- 前記係止孔が形成された前記第一の部材又は前記第二の部材において、外周縁部には前記係止突起の突出方向に向かって突出する外周壁部が形成されていると共に、前記カバー部が該外周壁部に向かって外周側に開口する袋状構造とされている一方、該係止突起が該係止孔に挿通される脚部と該脚部の突出先端部からカギ状に屈曲した頭部から構成されており、該頭部が該挿通孔から該外周壁部に向かって延び出した状態で係止されるようになっている請求項1乃至4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
- 前記第一の部材と前記第二の部材は、それらの中央部分において弾性材を挟み込んで重ね合わせられていると共に、それらの外周部分において、複数箇所に前記係止機構が設けられている請求項1乃至5の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
- 前記第一の部材は、その中央部分において可動部材が組み付けられている一方、前記第二の部材は、その中央部分に形成された凹所がカバーゴムで覆蓋されて作用空気室が形成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
- 前記係止突起は、その基端部が最も強度的に弱い構造とされている請求項1乃至7の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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