JP2006510353A - ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子の使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ブドウ球菌感染症を予防しおよび治療するための薬物の製造における、ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子の使用を提供する。
Description
(技術分野)
本発明は、ブドウ球菌感染を予防しおよび治療するための薬物の製造に関する。
本発明は、ブドウ球菌感染を予防しおよび治療するための薬物の製造に関する。
(背景技術)
ブドウ球感染症は、世界中の病院において危険の増大を負わせている。黄色ブドウ球菌は、院内感染症の最も一般的な源の1つである。そのものは、多数の異なる感染症(例えば、無症候性鼻保菌(asymptomatic nasal carriage)、軽度から重度の皮膚および創傷の感染症、腹膜炎、骨髄炎、肺炎、尿路感染症)を生じる。この細菌が血液中に住み、そして身体全てにわたって「移動する」場合に、最も重度の病気は、菌血症および肺血症である。出現および疾患を引き起こすブドウ球菌の能力は抗体の広範囲な使用に関連し、このことは、多剤耐性を誘発しまた誘発し続ける。そのために、ブドウ球菌感染症に対する医学的な処置は、それ以上抗体のみによることはできない。これらの疾患の処置における走性(tactic)の変化が必要とされており、このことは、感染症を予防したりまたは疾患を促進する細菌の機構を妨害することを目的とする(Cossleyによる編、1997において総説されている)。
ブドウ球感染症は、世界中の病院において危険の増大を負わせている。黄色ブドウ球菌は、院内感染症の最も一般的な源の1つである。そのものは、多数の異なる感染症(例えば、無症候性鼻保菌(asymptomatic nasal carriage)、軽度から重度の皮膚および創傷の感染症、腹膜炎、骨髄炎、肺炎、尿路感染症)を生じる。この細菌が血液中に住み、そして身体全てにわたって「移動する」場合に、最も重度の病気は、菌血症および肺血症である。出現および疾患を引き起こすブドウ球菌の能力は抗体の広範囲な使用に関連し、このことは、多剤耐性を誘発しまた誘発し続ける。そのために、ブドウ球菌感染症に対する医学的な処置は、それ以上抗体のみによることはできない。これらの疾患の処置における走性(tactic)の変化が必要とされており、このことは、感染症を予防したりまたは疾患を促進する細菌の機構を妨害することを目的とする(Cossleyによる編、1997において総説されている)。
従って、本発明の目的は、ブドウ球菌感染症と闘うために別の処置方法を提供することである。
該目的は、ブドウ球菌感染症を予防しそして処置するための医薬の製造において、ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子の使用を提供する本発明によって、解決される。
関連するいずれの機能(特に、受容体機能)も有しないが、ハプトグロビン受容体(これは、早くからLPXTGp5と呼ばれている)は、異なる黄色ブドウ球菌感染症を患っている患者からのヒト血清を用いる細菌表面ディスプレイおよびプロテオミクスの両方によって、顕著な抗原として同定されている(WO 02/059148 A, Etzらによる、2002;Vytvytskaによる、2002)。そのものは、宿主組織、宿主の細胞および分子との直接的な相互作用に関与する黄色ブドウ球菌内の細胞表面タンパク質のクラスに属する(Pattiらによる、1994;Schneewindらによる、1995)。本発明は、本タンパク質の生物学的な機能に関連する新規な使用を提供し、このことにより、黄色ブドウ球菌の鉄取り込みを媒介しおよび食作用性殺菌に影響を及ぼす、ハプトグロビン受容体として作用することを判明した。
黄色ブドウ球菌および他の病原体についての最大の増殖制限因子の1つは、鉄欠如(iron limitation)である。本発明において、初めて、黄色ブドウ球菌感染症の予防および治療のための薬物の製造における黄色ブドウ球菌の鉄取り込み経路に取り組むことが可能である。非常に多数の酵素の補助因子である鉄は、細菌にとって必須で増殖制限性の栄養素である。鉄過負荷は、非コントロール性レドックスサイクリング、酵素抑制、全種類の生体分子と強く反応するヒドロキシルラジカルの生成を主因として毒性を与え、そのなかで、DNA損傷は最も有害な結果を有する。従って、鉄飢餓および鉄中毒の間の良好なバランスが重要である。鉄は、いくつかの感染症に対する感受性および該感染症の結果において役割を果たしていると知られる。臨界レベルの下および上の鉄濃度は、身体の抗菌防御を弱める。鉄補足(特に、静脈内)が慢性的で不顕性な(unapparent)疾患(最もよく知られる例は、結核である)を増悪し得ることは、医学分野において逸話的に知られる。この現象は、いくつかの動物モデルにおいて再現される(Lounisらによる、2001)。
好気性条件および生理学的なpHの下では、Feイオンは不溶性であって且つ毒性であることに起因して、真核生物においては、遊離鉄は全くかまたは微少量(10−12〜15)しか存在しないという理由で、インビボ(宿主中で増殖する)病原性細菌は、鉄制限(restriction)に直面する。鉄は、小さな無機物質(例えば、クエン酸)によって複合体を形成するか、あるいはタンパク質と結合するかのいずれかである。細胞外病原性細菌は、Fe−結合性血漿(細胞外)タンパク質(例えば、トランスフェリン、ラクトフェリン、遊離な(血漿)ヘモグロビンおよびヘモペキシン)から鉄を抽出しなければいけない。細胞内鉄は、ヘムおよび非ヘムの鉄結合性タンパク質(そのうちで最も多いのは、ヘモグロビン(赤血球内)、ミオグロビン(筋肉内)およびチトクロームC(全細胞内)である)中に構築される。過剰量の鉄は、特殊化された保存タンパク質(フェリチン)によって細胞内に隔絶される。
細菌は鉄の外部供給源に大きく依存しているので、特殊化された鉄獲得システムは、それら宿主中での病原性細菌の生存および増殖にとって必須である。多数の細菌タンパク質が微生物の鉄取り込みおよび輸送に関与しており、そしてかなりの変形が異なる細菌種によって用いられる取り込みシステムにおいて知られる。宿主鉄−結合性タンパク質から鉄を抽出するために、細菌によって使用される2つの主な機構が存在する。宿主の鉄結合性タンパク質と直接的に結合し、それらを細菌表面(ここでは、これらのタンパク質からの鉄またはヘムのストリッピングオフが起こる)の近位に運ぶ、グラム陰性およびグラム陽性細菌の両方において同定されたいくつかの表面受容体が、存在する。本方法は、限定的なまたは一般的な目的の輸送タンパク質による膜を通る特異的輸送を続ける(Braunによる、2001において総説されている)。鉄を獲得するための他の機構は、低分子量分子(いわゆる、Fe3+およびヘムに対して非常に高いアフィニティーを有するシデロフォア(siderophore)と呼ばれる)を産生しそして分泌することである。この極端に高いアフィニティー(10−12M)は、これらの分子がタンパク質結合から鉄をスカベンジすることを可能とする。該鉄およびヘム負荷のシデロフォアは特異的な受容体によって拾い上げられ(taken up)、そして該鉄は細胞内で利用される。異なる細菌は、1もしくはその他を好むか、あるいは両方の方法さえ使用し、そして、宿主鉄結合性タンパク質と結合するためまたは低分子量の鉄キレート化合物(例えば、ヘム、クエン酸またはシデロフォア)を移入するために、いくつかの異なる受容体を発現する。例えば、病原性ナイセリア属(Neisseriae)(髄膜菌炎(N. meningitidis)、淋菌(N. gonorrhoe)、肺炎菌(S. pneumoniae)または化膿菌(S. pyogenes))は、シデロフォア構成成分の産生および取り込みのための酵素および受容体を有せず、そしてこれらは単に、宿主鉄結合性タンパク質を捕獲することによって鉄をスカベンジすることに頼る。相同性トランスフェリン−結合性(TbpA、B)およびラクトフェリン結合性(LbpA、B)タンパク質は、ナイセリア属およびインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)中で同定されている(Cornelissenらによる、1992;Petterssonらによる、1994;Bonnahらによる、1995;BiswasおよびSparlingによる、1995;Gray-Owenらによる、1995;Schryversによる、1988)。加えて、ナイセリア属は、ヘモグロビン(HmbR)およびハプトグロビン−ヘモグロビン複合体(HpuA、B)と結合するための受容体を有する(Lewisらによる、1997;Kahlerらによる、2001;Stojiljkovicらによる、1996)。ヘモグロビン−ハプトグロビン受容体はまた、インフルエンザ菌中でも存在する(Jinらによる、1996;Renらによる、1998)。これらの鉄−結合性タンパク質の発現パターンおよびリガンド特異性は、よく確認されている。それらは、ノックアウト菌株は増殖が制限される理由で、低い鉄含有培地中での増殖を必要とするが、しかし、インフルエンザ菌またはナイセリア属によって発現されるヘム獲得システムの重複性の性質が理由で、完全な欠乏ではない、と測定されている。インフルエンザ菌感染症または髄膜炎菌感染症を有する回復期の患者の血清中の循環性抗体の存在は、インビボ発現の指標である。
本発明において、組み換えLPXTGp5は、ヒト血漿由来の血清ハプトグロビンと結合しそして精製するためのアフィニティー精製において使用することができることが、分かった。商業的に入手可能なハプトグロビンはまた、組み換えタンパク質としてのまたは細菌細胞から直接的に単離するかのいずれかの、LPXTGp5タンパク質と結合する能力を有することも分かった。従って、LPXTGp5は、ハプトグロビンを黄色ブドウ球菌表面と結合させるためのハプトグロビン受容体として機能し、それによって本細菌において鉄取り込みが可能となることが、本発明によって明白に示される。
最も豊富なFe−結合性タンパク質はヘモグロビン(Hb)であり、このものは、主に細胞内にある(赤血球)。しかしながら、赤血球の生理学的な代謝回転(t1/2=180日)のために、それらは常に血清中、低量の(〜10μg/mL)遊離ヘモグロビンが存在する。溶血の間、多量のHbが血漿中に放出される。血漿(遊離)Hbは、ハプトグロビン(Hb)、大量の(0.5〜2mg/mL)血漿糖タンパク質と、極端に高いアフィニティー結合(Ka>10−15M)によって、直ちに複合体を形成する。大量の溶血は、血清ハプトグロビンを枯渇させ得て、従って、低いHp濃度は溶血の診断学的な値である。ヘモグロビンとのハプトグロビン結合の主な役割の1つは、単にろ過限界(>70kDa)を超えてタンパク質複合体の大きさを増大させることによって、腎糸球体による尿中へのHb(60−kDa)のろ過を防止することである。Hp−Hb複合体形成は、発展する2つの危険な病気を予防する。即時の危険は、糸球体中でのHbの高濃度であり、これは、ろ液の流れを塞ぎ、そして尿の排泄を妨げ、これにより、急性腎不全を生じる。慢性的な危険は、身体にとっての鉄の損失(主に、貧血)であり、これは鉄欠乏症(主に、貧血)を生じる。腎臓損傷および鉄損失を防止するために、Hp−Hb複合体は、肝臓のRES(細網内皮系)によって循環から取り出される。RES細胞は、Hbとのハプトグロビン結合に対して特異的である、高アフィニティー受容体を備えている。
鉄代謝に関連する血漿タンパク質(例えば、ハプトグロビン、ヘモペキシンおよびラクトフェリン)は免疫学的な機能を有し、そして正常な感染耐性に寄与することが分かった。
ハプトグロビンは、推定(presumed)抗炎症活性を有する急性期タンパク質である。その肝臓発現は、炎症誘発性サイトカインIL−6およびIL−1によって増大する(Baumannらによる、1990)。加えて、TNF−アルファは、感染または損傷の部位でのHpレベルをすぐに増大すると考えられ、これにより、急性炎症反応の調節を生じる(Berkovaらによる、1999)。最近、ハプトグロビンはまた、肺上皮細胞によって発現し得て、そしてそのものは局所的に微生物耐性に寄与するようである、と示された(Yangらによる、2000)。その上、ハプトグロビンは、食作用的機能の調節に関与する。ヒト食作用細胞(多形核(polymorphonuclear)顆粒球、並びに単球の両方であるが、好酸球ではない)は、それらの特異的な顆粒内にハプトグロビンを含む。これらのハプトグロビン貯蔵物は、細胞外環境からのハプトグロビンの特異的な取り込みに影響を及ぼす。その上、他の顆粒分子と同様に、ハプトグロビンは、食作用の間にエキサイトーシスされる(Wagnerらによる、1996)。インビトロアッセイにおいて、Hpは、食作用、および顆粒球による細菌の細胞内殺菌を抑制することが分かっている(Rossbacherらによる、1999)。仮定される機能は、食作用の酸化的な損傷を予防するための、食作用の間の酸化的バーストの下方調節である。マクロファージ上の新規なHb−Hp受容体(CD163)が、最近記載された(Kristiansenらによる、2001)。CD163/Hbスカベンジャー受容体は、循環からのHb−Hp複合体の肝臓取り込みに関与する。加えて、好酸球顆粒球表面インテグリンCD11b/CD18は、Hpと結合することが分かっている(El Ghmatiらによる、1996)。これらのデータは、ハプトグロビンが感染症および炎症に対する宿主防御において重要な生物学的な機能を有しており、これにより、免疫系の受容体−リガンド活性化についての天然拮抗薬として機能することを示唆する。
興味深いことに、Hpが細菌の増殖(例えば、ブドウ球菌の化膿性(pyogenes))における一層直接な阻害的影響を有することを示す、いくつかの報告が存在する(Delangheらによる、1998b)。ハプトグロビンホモログ、ハプトグロビン関連タンパク質(HRP)は、T.cruciの直接的な殺生に関与するトリパノソーマ溶解性複合体の必須構成成分として同定された(Smithらによる、1995)。
Hpの鎖をコードする複製遺伝子部分から生じる、ヒト個体群におけるハプトグロビン遺伝子多型が存在する。抗酸化性タンパク質ハプトグロビンの3個の表現型、Hp1−1、Hp2−1、およびHp2−2が、知られる。これら異なる表現型は、異なる疾患(例えば、細菌感染症およびウイルス感染症(例えば、AIDS)、糖尿病、心臓病など)に対する感受性と関連する(Delangheらによる、1998a;Hochbergらによる、2002;Van Vlierbergheらによる、2001)。そのことは、異なる分子サイズ(単量体 対 オリゴマーの生成)、結果的に異なる組織浸透、および局所的な抗酸化活性によって主に説明される。Hpは、Hb−誘発性フェントン反応によって生じる酸化的損傷を相殺することができる。
黄色ブドウ球菌のハプトグロビンコーティングは、十分に議論されているHpの抗酸化活性に起因して、ファゴソーム内での細菌の酸化的損傷の低下を生じ得る。あるいは、黄色ブドウ球菌の表面と結合したHpは、専門的な貪食細胞中への侵入経路をモジュレートすることによって(ハプトグロビン受容体による)、殺菌からの逃避を供することができ、それにより、食作用性顆粒に代わって細胞質中に遊離の細菌を与える。
本発明によれば、ハプトグロビン受容体媒介性のリガンドの結合と相互作用し、これにより、細菌(特に、黄色ブドウ球菌)の鉄飢餓を生じるであろう、分子を提供する。本発明において使用する「相互作用」とは、病原体中での本ハプトグロビン受容体によるリガンド結合の妨害を生じる、いずれかの相互作用に関する。該相互作用は、本機構、すなわち、本経路の完全な失活または遮断を破壊することによって行なうことが好ましい。しかしながら、該経路の官能性の有意な低下(例えば、競合的反応による)はまた、ハプトグロビン受容体を含有する病原体によって引き起こされる疾患と闘うために十分であることが多い。
本発明において、LPXTGp5遺伝子についての予想オープンリーディングフレーム(Kurodaらによる2001の注釈に記載する、黄色ブドウ球菌株N315中のSA1552)(配列番号1)は、N−末端での典型的なシグナルペプチド配列、およびC−末端での典型的なグラム陽性アンカーモチーフ配列を有し、LPXTGモチーフ、疎水性膜貫通部および負電荷末端を含有する、895アミノ酸長のタンパク質(配列番号2)をコードすると、示すことができた。
本発明において、「ハプトグロビン受容体」とは、LPXTGp5遺伝子(配列番号1)によってコードされるLPXTGp5タンパク質(配列番号2)であって、そしてこれはまた、「HarA」(ハプログロビン受容体Aを意味する)として示され、そして、ヒト血漿ハプトグロビンおよびハプトグロビン−ヘモグロビン複合体に対する特異的なリガンド結合活性を有する、ことに注意すべきである。
本発明の好ましい実施態様によれば、リガンドのハプトグロビン受容体結合と相互作用する分子は、ハプトグロビン受容体抗体、配列番号2に記載のペプチド(ハプトグロビン受容体)と結合するハプトグロビンミモトープ、またはそれらのフラグメントからなる群から選ばれる。
「ハプトグロビン受容体抗体」について、いずれかの抗体、または抗体フラグメントもしくは誘導体は、本発明に記載のハプトグロビン受容体に対する結合アフィニティーを示すものと理解される。これらは、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、1本鎖抗体、または該抗体分子の可変結合性ドメインを含有する他のフラグメントであり得る。
ハプトグロビン(Hp)との結合を抑制する効果的な方法は、LPXTGp5に対して産生する特異的抗体による。HpRとしてのその機能を中和することに加えて、Hp−結合性領域は曝露された表面でなければいけないという理由で、同一抗体は、オプソニン食作用(opsonophagocytosis)を支持することができる。細菌性鉄取り込み受容体タンパク質からなる、動物モデルにおいて使用される予防ワクチンの例が存在する(WebbおよびCrippsによる、1999)。Webb and Crippsは、ラットモデルにおける防御応答(抗体産生)を刺激することによって、組み換え転移性(transferring)−結合性タンパク質(TbpB)を用いる免疫化が、肺からの無莢膜型(nontypeable)インフルエンザ菌のクリアランスを増大することを実証した。
その上、抗−LPXTGp5抗体は、効果的なインヒビターまたは拮抗薬(例えば、ミモトープ)の開発のために使用することができる。これらの拮抗薬は、ペプチド、または小さな無機もしくは有機の分子であることが好ましい。あるいは、HpRの同定は、小さな薬物インヒビターを誘導することができ、そして抗細菌性化学療法または化学的予防法の一部であり得る。
本発明の好ましい実施態様によれば、ハプトグロビン受容体抗体またはハプトグロビンミモトープは、配列番号4(D1)および配列番号6(D2)またはそれらのフラグメントからなる群から選ばれるポリペプチドと結合する。
本発明の方法中、2つの非常に相同性のドメイン(D1およびD2)を同定し、これらはLPXTGp5タンパク質の細胞外部分中に存在する。両方の単離ドメインは、ヒト血漿から精製されるハプトグロビンと結合することができる。
1態様によれば、本発明は、ハプトグロビン結合性分子(すなわち、ハプトグロビン受容体)をコードする遺伝子をも提供する。従って、本発明はまた、配列番号1に記載する配列を含有する該遺伝子にも関する。配列番号3および配列番号5に記載のD1およびD2ドメインをコードする核酸分子、並びにハプトグロビン結合性ポリペプチドをコードするそれらのフラグメントはまた、本発明に記載の核酸分子である。
本発明に記載の核酸配列は、例えばRNAまたはDNAとして存在し得て;それらはまた、適当なプロモーター、エンハンサー、マーカーなどの配列と一緒に、ベクター(例えば、プラスミドまたはウイルスベクター)中に存在することができ、このことにより、標的細胞、組織または体液中での該ポリペプチドまたはmRNAの発現が可能となる。配列番号7に記載のFur boxは、本発明に従って使用されるべき好ましい調節要素である。本発明の核酸はまた、ハプトグロビン受容体もしくはそのハプトグロビン結合性フラグメント、またはそれぞれ配列番号1、3、5および7とストリンジェントにハイブリダイズする核酸をコードする核酸配列(または、それらの相補配列)をも包含する。ハイブリダイズするのに可能なストリンジェントな条件とは、例えば6×SSCである(例えば、Sambrookらによる、1989, Molecular cloning;A Laboratory Approach中に定義する通り)。
別の態様によれば、本発明は、配列番号4、配列番号6、およびそれらのハプトグロビン結合性フラグメント、並びに相同性ドメインからなる群から選ばれるポリペプチドを含有する単離ポリペプチドを提供する。「相同性ドメイン」について、全てのハプトグロビン結合性ドメインは、少なくとも40%(少なくとも70%であることが好ましく、少なくとも90%であることが特に好ましい)の配列番号4または6に対する配列相同性を含むと理解される。これは、SIM(Expasy)プログラムによって算出し、ここで、該2次構造の決定(例えば、ドメインの定義について;また相同性についても)は、例えばPSIPRED予想アラインメント・プログラム(Prediction Alignment Program)によって行なうことができる。
本発明の更なる別の態様によれば、非天然リンカーによって配列番号6に記載のペプチドと結合する、配列番号4に記載のペプチドを含有する合成接合体を提供する。実際に、Hp結合を妨害しないいずれかの接合体(例えば、GST)(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、His−tag、FLAG−tagなど)が、本発明において使用可能である。
本発明の好ましい態様によれば、非天然リンカーはポリペプチドである。
本発明の別の態様によれば、本発明は、アンチセンス技法の使用を提供する。従って、該病原体中でのハプトグロビン受容体発現は、ハプトグロビン受容体mRNAまたはその調節性要素と結合するアンチセンス核酸分子によってブロックされるか、あるいは大きく阻害される。従って、ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用するために使用する分子は、該ハプトグロビン受容体遺伝子またはハプトグロビン受容体遺伝子の発現のための調節要素と結合するアンチセンス核酸、特に配列番号7に記載するFur boxである。
本発明の更なる態様によれば、配列番号7からなる群から選ばれる核酸配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸を提供する。
ストリンジェントなハイブリダイズ条件は、当該分野においてよく知られる(上記を参照)。最適なハイブリダイズ条件は、核酸の配列が知られる場合には、算出することができる。例えば、ハイブリダイズ条件は、ハイブリダイスを受ける核酸のGC含有量によって測定することができる(Sambrookらによる、1989, Molecular cloning;A Laboratory Approach)。
原核生物において、鉄代謝は主に遺伝子転写レベルで調節される。高度に制御された進化の間に、複合体および過剰な(redundant)取り込みシステムが発生し、そして、多数の遺伝子(例えば、>40)の発現が、調節性タンパク質と複合体形成することによりFe2+の細胞内濃度に勝る(prevailing)ことによって、直接的にコントロールされる。ほとんど全ての細菌内で最も良く確認されており且つ最も保存されているものは、Furレプレッサー(鉄(III)取り込み制御因子)である。Furは、鉄結合性タンパク質である細胞内鉄濃度の変化を直接的に探知する。十分なまたは高い濃度では、鉄はFurと結合する。鉄との結合は、該タンパク質が特定のDNA配列(これはfur boxesと呼ばれ、標的遺伝子の転写を抑止する)と結合することを可能とする。鉄制限条件下では、Fe2+は、Fur−Fe複合体から容易に解離し、これにより、Fur−調節遺伝子は転写することができる(Escolarらによる、1999)。重要なことに、病原性因子の発現は、鉄飢餓と連関し(例えば、志賀毒素(Shigella toxin)、コリシン、溶血素)、このことは、低い鉄濃度が病原性細菌(それらは、体外である「バトルの場(battle field)」上にある)にとっての包括的なシグナルであることを示唆する。細胞毒、溶血素は、細菌増殖のための優れた鉄の供給源である鉄結合性タンパク質(例えば、ヘモグロビンおよびミオグロビン)の放出を与えるという理由で、目的論的に判断され得る。
一般にグラム陽性細菌(特に、ブドウ球菌)中での鉄の輸送および調節については比較的にほとんど知られていない。黄色ブドウ球菌ゲノムは、鉄(III)の取り込み制御因子(Fur)ホモログ:Fur、PerRおよびZurをコードする。PerRは、酸化的ストレス耐性タンパク質カタラーゼ(KatA)、アルキルヒドロペルオキシド・レダクターゼ(AhpCF)、バクテリオフェリチン共遊走性タンパク質(bacterioferritin comigratory protein)(Bcp)およびチオレドキシン・レダクターゼ(TrxB)をコードする遺伝子の転写をコントロールすることが分かった。更に、PerRは、鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンおよびフェリチン様DpsホモログであるMrgAをコードする遺伝子の転写を調節する(Horsburgらによる、2001中で総説されている)。その上、黄色ブドウ球菌は、鉄制限条件下での増殖のために、いくつかのヒドロキサム型(hydroxamate)シデロフォアを利用することができることが分かっている(Sebulskyらによる、2000)。sir(シデロフォア調節)オペロンは、黄色ブドウ球菌内でのシデロフォア輸送システムを構築する、と提案されている。そのものは、鉄(III)−ヒドロキサム型複合体の特定の輸送に関与する、受容体および細胞質膜関連輸送ATPアーゼを有する(Sebulskyらによる、2001)。しかしながら、宿主鉄結合性タンパク質と直結することによって鉄を獲得することについては、ほとんど知られていない。表面GAPDH、42−kDaの黄色ブドウ球菌タンパク質は、トランスフェリン受容体であると暗示されている(ModunおよびWilliamsによる、1999)。極く最近、LPXTGタンパク質が、黄色ブドウ球菌についてのトランスフェリン受容体であると同定された(TaylorおよびHeinrichsによる、2002)。本発明は、LPXTGp5の上流ヌクレオチド配列が、開始ATGコドンから上流に−53〜−35bpsの間の共通fur結合性boxに相当することを見出した。本発明において、一方でLPXTGp5はfur欠失突然変異黄色ブドウ球菌株を常時発現するが、他方で該発現は、fur遺伝子が無傷である野生型黄色ブドウ球菌株中で鉄制御性であることが分かった。
別の態様によれば、本発明は、ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子の単離方法を提供し、該方法は、工程:
ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントを固体表面上に供し;
標識ハプトグロビンを、該固定化ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントと結合して、該固定化ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントと該標識ハプトグロビンとの間で複合体を生成し;
該複合体を、候補分子を含有する貯蔵物と接触し;
該複合体中の該標識ハプトグロビンを置換する、該貯蔵物の分子を測定し;そして、
該複合体中にある該標識ハプトグロビンを置換する該分子を単離する、
ことを特徴とする。
ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントを固体表面上に供し;
標識ハプトグロビンを、該固定化ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントと結合して、該固定化ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントと該標識ハプトグロビンとの間で複合体を生成し;
該複合体を、候補分子を含有する貯蔵物と接触し;
該複合体中の該標識ハプトグロビンを置換する、該貯蔵物の分子を測定し;そして、
該複合体中にある該標識ハプトグロビンを置換する該分子を単離する、
ことを特徴とする。
本方法について、ハプトグロビン受容体のハプトグロビン結合部位について、ハプトグロビンと競合する分子を単離することが可能である。
ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子を単離するための本発明に記載する等価な方法は、工程:
ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子の単離方法であって、工程:
固体表面上に固定化したハプトグロビンを供し;
標識ハプトグロビンポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントを、該固定化ハプトグロビンと結合して、該固定化ハプトグロビンと該標識ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントとの間で複合体を生成し;
該複合体を、候補分子を含有する貯蔵物と接触し;
該複合体中の該標識ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントを置換しそして該固定化ハプトグロビンと結合する、該貯蔵物の分子を測定し;そして、
固定化ハプトグロビンと結合する該貯蔵物の該分子を単離する、
ことを特徴とする。
ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子の単離方法であって、工程:
固体表面上に固定化したハプトグロビンを供し;
標識ハプトグロビンポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントを、該固定化ハプトグロビンと結合して、該固定化ハプトグロビンと該標識ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントとの間で複合体を生成し;
該複合体を、候補分子を含有する貯蔵物と接触し;
該複合体中の該標識ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントを置換しそして該固定化ハプトグロビンと結合する、該貯蔵物の分子を測定し;そして、
固定化ハプトグロビンと結合する該貯蔵物の該分子を単離する、
ことを特徴とする。
本方法について、ハプトグロビン受容体ミモトープを単離することが可能である。
ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子を単離するための本発明に記載する更なる等価な方法は、工程:
候補分子の貯蔵物を供し;
固定化ハプトグロビン受容体またはそのハプトグロビン結合性フラグメントと結合する分子を、該貯蔵物から取り出し且つ単離し;
固定化ハプトグロビンと結合する分子を、該貯蔵物から取り出し且つ単離し;
候補分子の残りの貯蔵物を、ハプトグロビンとハプトグロビン受容体またはそのハプトグロビン結合性フラグメントとの間で生成した固定化複合体と接触し;そして、
該固定化複合体と結合する該分子を単離する、
ことを特徴とする。
候補分子の貯蔵物を供し;
固定化ハプトグロビン受容体またはそのハプトグロビン結合性フラグメントと結合する分子を、該貯蔵物から取り出し且つ単離し;
固定化ハプトグロビンと結合する分子を、該貯蔵物から取り出し且つ単離し;
候補分子の残りの貯蔵物を、ハプトグロビンとハプトグロビン受容体またはそのハプトグロビン結合性フラグメントとの間で生成した固定化複合体と接触し;そして、
該固定化複合体と結合する該分子を単離する、
ことを特徴とする。
本方法について、ハプトグロビン/ハプトグロビン受容体の複合体と特異的に結合し、且つ(非複合体形成の)単一構成成分と結合しない分子を単離することが可能である。複合体は病原体細胞表面上にのみインビボで与えられるので、これらの複合体に特異的な分子を適当な病原体と闘う分子(例えば、特異的な抗体)と組み合わせて、該病原体の部位特異的なコントロールを達成することが可能である。
本発明の好ましい実施態様において、該ハプトグロビン結合性フラグメントは、配列番号4、配列番号6、およびそれらのフラグメントもしくはこれらフラグメントの組み合わせからなる群から選ばれる。
本発明の実施例に示す通り、インビトロエライザベースアッセイおよびインビボFACSベースアッセイを、LPXTGp5またはそのフラグメント(例えば、D1およびD2)とハプトグロビンとの競合的な結合を測定するために確立し得る。このタイプのアッセイシステムは、LPXTGp5とハプトグロビンとの相互作用を相互作用したりまたは破壊する分子をスクリーニングし、単離するのに非常に有用である。
本発明の好ましい実施態様において、該ハプトグロビン受容体は、黄色ブドウ球菌ハプトグロビン受容体である。
本発明の更なる好ましい実施態様において、該ハプトグロビンは、哺乳動物(特に、ヒト)のハプトグロビンである。
本発明を、以下の実施例および図面によってより詳細に記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
(実施例)
(方法および実験操作)
細菌の菌株および培養条件
黄色ブドウ球菌野生型菌株8325−4(Novickによる1967)、臨床単離物COL(ShaferおよびIandoloによる、1979)および制限欠失性菌株RN4220(Kreiswirthらによる、1993)は、我々の実験室用菌株コレクション由来であった。黄色ブドウ球菌fur突然変異体(Horsburghらによる、2001)は、Simon Foster(シェフィールド大学、UK)からの親切な贈り物であった。黄色ブドウ球菌株は、BHI(脳心浸出物)ブロスまたはRPMI 1640組織培地(これは、25mM Hepes緩衝液およびL−グルタミン(Gibco BRL)を有する)中で培養し、このものを低鉄の貧培地として使用した。鉄補足は、最終濃度25μMまで該PRMI培地にFeCl3を加えることによって達成した。組み換えタンパク質発現およびクローニング目的のそれぞれのために使用する、商業的に入手可能な大腸菌株BL21およびElectroMAX DH10B(Invitorogen製)を、ルリア−ベルタニ(Luria-Bertani)ブロス(LB)中で増殖した。含める場合には、抗体は以下の濃度で加えた。大腸菌アンピシリンの場合には、100μgmL−1であり;エリスロマイシンの場合には、300μg mL−1であり;黄色ブドウ球菌エリスロマイシンの場合には、5μg mL−1であり;リンコマイシンの場合には、25μg mL−1であり;およびテトラサイクリンの場合には、5μg mL−1である。特に断らなければ、全ての細菌増殖は、150r.p.m.で振り混ぜながら、37℃で行なった。
(方法および実験操作)
細菌の菌株および培養条件
黄色ブドウ球菌野生型菌株8325−4(Novickによる1967)、臨床単離物COL(ShaferおよびIandoloによる、1979)および制限欠失性菌株RN4220(Kreiswirthらによる、1993)は、我々の実験室用菌株コレクション由来であった。黄色ブドウ球菌fur突然変異体(Horsburghらによる、2001)は、Simon Foster(シェフィールド大学、UK)からの親切な贈り物であった。黄色ブドウ球菌株は、BHI(脳心浸出物)ブロスまたはRPMI 1640組織培地(これは、25mM Hepes緩衝液およびL−グルタミン(Gibco BRL)を有する)中で培養し、このものを低鉄の貧培地として使用した。鉄補足は、最終濃度25μMまで該PRMI培地にFeCl3を加えることによって達成した。組み換えタンパク質発現およびクローニング目的のそれぞれのために使用する、商業的に入手可能な大腸菌株BL21およびElectroMAX DH10B(Invitorogen製)を、ルリア−ベルタニ(Luria-Bertani)ブロス(LB)中で増殖した。含める場合には、抗体は以下の濃度で加えた。大腸菌アンピシリンの場合には、100μgmL−1であり;エリスロマイシンの場合には、300μg mL−1であり;黄色ブドウ球菌エリスロマイシンの場合には、5μg mL−1であり;リンコマイシンの場合には、25μg mL−1であり;およびテトラサイクリンの場合には、5μg mL−1である。特に断らなければ、全ての細菌増殖は、150r.p.m.で振り混ぜながら、37℃で行なった。
細菌ライセート調製物
全細菌ライセートは、プロテアーゼインヒビター(完全Σ、EDTAなし錠剤、Roche社製)の存在下、37℃で30分間、リソスタフィン消化(PBS中、100μgmL−1)を用いて調製した。酵素学的な消化に加えて、細胞を、マイクロ超音波処理器(Bandekin Sonopus社製, HD2200, 独国)を用いて超音波処理することによって破壊した。遠心分離後、該可溶性画分を回収し、そしてタンパク質濃度をブレッドフォード(Bredford)方法(Bio-Rad Protein Assay)によって測定した。
全細菌ライセートは、プロテアーゼインヒビター(完全Σ、EDTAなし錠剤、Roche社製)の存在下、37℃で30分間、リソスタフィン消化(PBS中、100μgmL−1)を用いて調製した。酵素学的な消化に加えて、細胞を、マイクロ超音波処理器(Bandekin Sonopus社製, HD2200, 独国)を用いて超音波処理することによって破壊した。遠心分離後、該可溶性画分を回収し、そしてタンパク質濃度をブレッドフォード(Bredford)方法(Bio-Rad Protein Assay)によって測定した。
(組み換えHarAの発現)
HarAをコードするcDNAは、BsaI部位を取り込んだ遺伝子特異的オリゴヌクレオチドHARA1およびHARA2(表1)によって、黄色ブドウ球菌COLゲノムDNAから増幅した。制限酵素消化性のPCR産物を、Strep−tagII(IBA、Gottingen社製)をコードする配列の下流の、BasaI切断pASK−IBA4ベクター中にクローニングした。得られた遺伝子は、ソルターゼ(sortase)切断部位(LPKT、G)から下流の、シグナルペプチド(QAQA、AENT)およびC−末端部分に相当する配列を欠いた。該組み換えタンパク質を、ストレプタクチン(StrepTactin)アフィニティークロマトグラフィー(商業主の指示に従う)によって、無水テトラサイクリン誘発性BL21大腸菌の細菌エキスから精製した。全長タンパク質に加えて、HarAの2個の切断部分をまた、予想D1およびD2ドメインに対応するDNA配列を増幅することによって得た。ポリメラーゼ連鎖反応産物は、それぞれオリゴヌクレオチドプライマーMOL1031およびMOL1032、またはMOL1033およびMOL1034(表1)を用いて得て、次いでこれらを、挿入のためにBamHI−SalI消化性pGEX−4T−3(Amersham Biosciences社製)中に、BamHI−Sa1Iを用いて消化した。GST−融合タンパク質は、IPTG誘発性BL21大腸菌細胞から超音波処理(緩衝液:50mM トリス−HCl、pH 8.0、100mM NaCl、1mM EDTA中で)によって抽出し、そしてグルタチオン・セファロース4Bアフィニティーカラム(Amersham Biosciences社製)を用いて可溶性の細菌画分から精製した。組み換えタンパク質は、トロンビン消化(50U mL−1、RTで3時間)または10mMグルタチオンのいずれかによって溶出した。
表1.プライマーのリスト
下線部は制限部位である。
HarAをコードするcDNAは、BsaI部位を取り込んだ遺伝子特異的オリゴヌクレオチドHARA1およびHARA2(表1)によって、黄色ブドウ球菌COLゲノムDNAから増幅した。制限酵素消化性のPCR産物を、Strep−tagII(IBA、Gottingen社製)をコードする配列の下流の、BasaI切断pASK−IBA4ベクター中にクローニングした。得られた遺伝子は、ソルターゼ(sortase)切断部位(LPKT、G)から下流の、シグナルペプチド(QAQA、AENT)およびC−末端部分に相当する配列を欠いた。該組み換えタンパク質を、ストレプタクチン(StrepTactin)アフィニティークロマトグラフィー(商業主の指示に従う)によって、無水テトラサイクリン誘発性BL21大腸菌の細菌エキスから精製した。全長タンパク質に加えて、HarAの2個の切断部分をまた、予想D1およびD2ドメインに対応するDNA配列を増幅することによって得た。ポリメラーゼ連鎖反応産物は、それぞれオリゴヌクレオチドプライマーMOL1031およびMOL1032、またはMOL1033およびMOL1034(表1)を用いて得て、次いでこれらを、挿入のためにBamHI−SalI消化性pGEX−4T−3(Amersham Biosciences社製)中に、BamHI−Sa1Iを用いて消化した。GST−融合タンパク質は、IPTG誘発性BL21大腸菌細胞から超音波処理(緩衝液:50mM トリス−HCl、pH 8.0、100mM NaCl、1mM EDTA中で)によって抽出し、そしてグルタチオン・セファロース4Bアフィニティーカラム(Amersham Biosciences社製)を用いて可溶性の細菌画分から精製した。組み換えタンパク質は、トロンビン消化(50U mL−1、RTで3時間)または10mMグルタチオンのいずれかによって溶出した。
表1.プライマーのリスト
(ヒト血漿タンパク質のアフィニティー精製)
第1に、ヒト血漿を、ウルトラリンク(UltraLink)固定化タンパク質Gビーズ(PIERCE社製)と結合することによってIgGを枯渇した。要するに、PBS(pH 7.4)中、1:2で希釈した血漿(1mL)を、タンパク質Gセファロースカラムに2回適用し、そして流出物を集めた、IgG枯渇血漿(全タンパク質の〜60mg)を、StrepTactinアガロース(IBA、Gottingen社製)上に固定化したStrep−標識組み換えタンパク質(20μg)と一緒にインキュベートした。PBS中、該ビーズの大量洗浄後に、タンパク質を等電点電気泳動用試料緩衝液(IEF:10M ウレア、4% CHAPS、0.5% SDS、100mM DTT)(100μL)を用いて溶出した。
第1に、ヒト血漿を、ウルトラリンク(UltraLink)固定化タンパク質Gビーズ(PIERCE社製)と結合することによってIgGを枯渇した。要するに、PBS(pH 7.4)中、1:2で希釈した血漿(1mL)を、タンパク質Gセファロースカラムに2回適用し、そして流出物を集めた、IgG枯渇血漿(全タンパク質の〜60mg)を、StrepTactinアガロース(IBA、Gottingen社製)上に固定化したStrep−標識組み換えタンパク質(20μg)と一緒にインキュベートした。PBS中、該ビーズの大量洗浄後に、タンパク質を等電点電気泳動用試料緩衝液(IEF:10M ウレア、4% CHAPS、0.5% SDS、100mM DTT)(100μL)を用いて溶出した。
(精製ハプトグロビンを用いる、黄色ブドウ球菌タンパク質のアフィニティー精製)
該ハプトグロビンアフィニティーカラムは、ストレプトアジビン・ゲル・ウルトラリンク・プラス(Streptavidin Gel Ultralink Plus)(PIERCE社製)(40μL)にビオチン化ハプトグロビン(Hp:ビオチン=1:10)(200μg)を結合することによって調製した。定常期までPRMI中で増殖した黄色ブドウ球菌8325−4細胞から抽出した全タンパク質(2ミリグラム)を、該Hp−カラムに適用した。大量洗浄後に、結合タンパク質を、IEF緩衝液(100μL)を用いて溶出し、そして該溶出液(40μL)を、SDS−PAGE、続いて免疫ブロット法によって分析した。
該ハプトグロビンアフィニティーカラムは、ストレプトアジビン・ゲル・ウルトラリンク・プラス(Streptavidin Gel Ultralink Plus)(PIERCE社製)(40μL)にビオチン化ハプトグロビン(Hp:ビオチン=1:10)(200μg)を結合することによって調製した。定常期までPRMI中で増殖した黄色ブドウ球菌8325−4細胞から抽出した全タンパク質(2ミリグラム)を、該Hp−カラムに適用した。大量洗浄後に、結合タンパク質を、IEF緩衝液(100μL)を用いて溶出し、そして該溶出液(40μL)を、SDS−PAGE、続いて免疫ブロット法によって分析した。
(2次元ゲル電気泳動)
高分解能2次元ゲル電気泳動は、ミニ−プロテアン(mini-Protean)電気泳動システム(Bio-Rad社製)を用いて、他で記載する通り(Hochstrasserらによる、1988)行なった。IgG枯渇血漿の分析のために、試料(1μL)をIEF試料緩衝液を用いて10μLにまで希釈した。試料緩衝液中の溶出画分を、ゲル上に直接にロードした。1次元等電点電気泳動は、4%アルキルアミド(Gerbu社製、Gaiberg、独国)/0.1%PDA、0.035%Nonidet P−40および2%両性電解質(pH3.5〜10:pH4〜8:pH5〜7 = 1:1:2;Merck製、Darmstadt、独国)を用いて、陰極液として脱気した20mM NaOHをおよび陽極液として6mM H3PO4と一緒に、1mm×10cmのチューブゲル中、2625V−hで、逐次様式で(500Vで10分間、750Vで3.5時間)行なった。該チューブゲルを、1.0mmの12%SDS−PAGE slabゲルの頂上に置いた。3%SDS、70mMトリス塩基、0.001%ブロモフェノールブルーを用いて3分間平衡とした後に、第2のディメンションを、電極緩衝液として0.1%SDS、25mMトリス塩基および200mMグリシンを用いて、15℃で行なった。ゲルを、クマシーブルー染色した。本システムで検出可能なタンパク質は、10〜220−kDa、pI 3.5〜7.5の範囲である。
高分解能2次元ゲル電気泳動は、ミニ−プロテアン(mini-Protean)電気泳動システム(Bio-Rad社製)を用いて、他で記載する通り(Hochstrasserらによる、1988)行なった。IgG枯渇血漿の分析のために、試料(1μL)をIEF試料緩衝液を用いて10μLにまで希釈した。試料緩衝液中の溶出画分を、ゲル上に直接にロードした。1次元等電点電気泳動は、4%アルキルアミド(Gerbu社製、Gaiberg、独国)/0.1%PDA、0.035%Nonidet P−40および2%両性電解質(pH3.5〜10:pH4〜8:pH5〜7 = 1:1:2;Merck製、Darmstadt、独国)を用いて、陰極液として脱気した20mM NaOHをおよび陽極液として6mM H3PO4と一緒に、1mm×10cmのチューブゲル中、2625V−hで、逐次様式で(500Vで10分間、750Vで3.5時間)行なった。該チューブゲルを、1.0mmの12%SDS−PAGE slabゲルの頂上に置いた。3%SDS、70mMトリス塩基、0.001%ブロモフェノールブルーを用いて3分間平衡とした後に、第2のディメンションを、電極緩衝液として0.1%SDS、25mMトリス塩基および200mMグリシンを用いて、15℃で行なった。ゲルを、クマシーブルー染色した。本システムで検出可能なタンパク質は、10〜220−kDa、pI 3.5〜7.5の範囲である。
(抗−HarA抗体の生成)
ヒト抗−HarA IgGsは、エライザにおいてrHarAに対して高い抗体レベルを有すると測定された健康なドナーの血漿から単離した。50ミリリットルの血漿を、イムノピュア(ImmunoPure)IgG結合性緩衝液(PIERCE社製)中、1:2で希釈し、そしてこのものをウルトラリンク固定化タンパク質Gビーズ(PIERCE社製)に適用した。該カラムと結合したIgGsを、イムノピュアIgG溶出緩衝液(PIERCE社製)を用いて溶出し、そして1Mトリス−HCl(pH 8.0)を用いて中和した。溶出画分を貯蔵し、そしてPBSに対して4℃で終夜透析した。IgGs(150mg)を、ウルトラリンク・プラス固定化ストレプトアビジンゲル(PIERCE社製)(50μL)上に固定化したビオチン−標識HarA(40mg)と一緒にインキュベートした。大量の洗浄後に、該画分を、イムノピュアIgG溶出緩衝液を用いて溶出した。この精製により、IgG(〜20μg)を得て、このものをエライザ法、並びにrHarA、および負コントロールとしていくつかの非関連性黄色ブドウ球菌組み換えタンパク質を用いる免疫ブロット法において、特異性について試験した。過免疫のポリクローナル免疫血清は、全長HarAまたは単一ドメインであるD1およびD2からなる切断バージョン(versions)のいずれかである組み換えタンパク質を用いてウサギを免疫化することによって得た。ニュージーランド・ホワイト・ラビットは、失血前に1ウサギにつき、1回の注射当たり250μgのタンパク質を用いて、3週間毎に3回免疫化した。効果的な免疫化および特定の抗体の存在は、エライザ法および個々の組み換えタンパク質を用いる免疫ブロット法によって確認した。
ヒト抗−HarA IgGsは、エライザにおいてrHarAに対して高い抗体レベルを有すると測定された健康なドナーの血漿から単離した。50ミリリットルの血漿を、イムノピュア(ImmunoPure)IgG結合性緩衝液(PIERCE社製)中、1:2で希釈し、そしてこのものをウルトラリンク固定化タンパク質Gビーズ(PIERCE社製)に適用した。該カラムと結合したIgGsを、イムノピュアIgG溶出緩衝液(PIERCE社製)を用いて溶出し、そして1Mトリス−HCl(pH 8.0)を用いて中和した。溶出画分を貯蔵し、そしてPBSに対して4℃で終夜透析した。IgGs(150mg)を、ウルトラリンク・プラス固定化ストレプトアビジンゲル(PIERCE社製)(50μL)上に固定化したビオチン−標識HarA(40mg)と一緒にインキュベートした。大量の洗浄後に、該画分を、イムノピュアIgG溶出緩衝液を用いて溶出した。この精製により、IgG(〜20μg)を得て、このものをエライザ法、並びにrHarA、および負コントロールとしていくつかの非関連性黄色ブドウ球菌組み換えタンパク質を用いる免疫ブロット法において、特異性について試験した。過免疫のポリクローナル免疫血清は、全長HarAまたは単一ドメインであるD1およびD2からなる切断バージョン(versions)のいずれかである組み換えタンパク質を用いてウサギを免疫化することによって得た。ニュージーランド・ホワイト・ラビットは、失血前に1ウサギにつき、1回の注射当たり250μgのタンパク質を用いて、3週間毎に3回免疫化した。効果的な免疫化および特定の抗体の存在は、エライザ法および個々の組み換えタンパク質を用いる免疫ブロット法によって確認した。
(免疫ブロット法)
タンパク質を、ミニ−プロテアン電気泳動システム(Bio-Rad社製)を用いて1−または2−次元SDSPAGEによって分離し、このものを半乾燥輸送システム(Bio-Rad社製)を用いてニトロセルロース膜(ECL、Amersham Biosciences社製)に移し、そしてポンソーS染色によって視覚化した。5%ミルク中で終夜ブロックした後に、精製ヒト抗−HarA IgGs(100ngmL−1濃度)、またはウサギの免疫前もしくは免疫の血清(1:10,000希釈物)を加え、HRB−標識ヤギ抗−ヒトIgG(Southern Biotech社製)またはHRP−標識ヤギ抗−ウサギIgG(Amersham Biosciences社製)を、HarAタンパク質の特定の検出のために使用した。該シグナルは、ECL検出システム(Amersham Biosciences社製)を用いて発生した。
タンパク質を、ミニ−プロテアン電気泳動システム(Bio-Rad社製)を用いて1−または2−次元SDSPAGEによって分離し、このものを半乾燥輸送システム(Bio-Rad社製)を用いてニトロセルロース膜(ECL、Amersham Biosciences社製)に移し、そしてポンソーS染色によって視覚化した。5%ミルク中で終夜ブロックした後に、精製ヒト抗−HarA IgGs(100ngmL−1濃度)、またはウサギの免疫前もしくは免疫の血清(1:10,000希釈物)を加え、HRB−標識ヤギ抗−ヒトIgG(Southern Biotech社製)またはHRP−標識ヤギ抗−ウサギIgG(Amersham Biosciences社製)を、HarAタンパク質の特定の検出のために使用した。該シグナルは、ECL検出システム(Amersham Biosciences社製)を用いて発生した。
(抗−HarA抗体を用いる、細胞表面染色)
後期対数期(OD600−0.8−1.0:RPMI中での最大のOD600は〜1.6である)まで、鉄供給源として25μMのFeCl3の非存在または存在下、PRMI培地中で増殖した5×106の黄色ブドウ球菌細胞を、ポリクローナルウサギ抗−HarA抗血清を用いる染色のために使用した。抗体の非特異的な結合は、ウサギ過免疫血清を1:500希釈で加える前に、10μg試料−1でヒトIgG Fcフラグメント(Jackson Immunoreserch社製)と一緒にインキュベートすることによって防止した。PBSを用いて洗浄後に、第2試薬であるFITC−標識抗−ウサギIgG/Fab特異的フラグメント(Jackson Immunoreserch社製)を加えた。全ての工程を、氷上で各30分間行なった。最後に、細胞をPBSを用いて洗浄し、2%PFAを用いて固定化し、そして蛍光をFACScan(Becton Dickinson社製)によって定量した。
後期対数期(OD600−0.8−1.0:RPMI中での最大のOD600は〜1.6である)まで、鉄供給源として25μMのFeCl3の非存在または存在下、PRMI培地中で増殖した5×106の黄色ブドウ球菌細胞を、ポリクローナルウサギ抗−HarA抗血清を用いる染色のために使用した。抗体の非特異的な結合は、ウサギ過免疫血清を1:500希釈で加える前に、10μg試料−1でヒトIgG Fcフラグメント(Jackson Immunoreserch社製)と一緒にインキュベートすることによって防止した。PBSを用いて洗浄後に、第2試薬であるFITC−標識抗−ウサギIgG/Fab特異的フラグメント(Jackson Immunoreserch社製)を加えた。全ての工程を、氷上で各30分間行なった。最後に、細胞をPBSを用いて洗浄し、2%PFAを用いて固定化し、そして蛍光をFACScan(Becton Dickinson社製)によって定量した。
(ハプトグロビン結合性アッセイ)
インビトロエライザベースアッセイは、2個の異なるセットアップにおいて行なった。第1に、我々は、コーティング試薬としてコーティング緩衝液(0.1M 炭酸Na、pH 9.3)中、10μgmL−1濃度で貯蔵ヒト血清(SIGMA社およびFLUKA社製)から精製したハプトグロビン、および2.5〜12pモル(2〜10μgmL−1)の間の量で結合パートナーとしてGST−D1およびGST−D2、を用いた。HpおよびD1、またはHpおよびD2の間の相互作用は、ビオチン−標識ヤギ抗−GST mAbs(Abcam社製、UK)(1:5,000の希釈)およびストレプトアビジン−HRP(Roche社製)(1:10,000の希釈)を用いて検出した。第2に、rHarA、D1およびD2ドメインタンパク質を、10μgmL−1濃度のコーティング緩衝液中でコーティングし、そして、該リガンドハプトグロビン、ハプトグロビン−ヘモグロビン複合体またはヘモグロビンを、0.08〜4.0pモルの間の量で加えた。ハプトグロビン−ヘモグロビン複合体は、ハプトグロビンをヘモグロビン(Sigma社製)と1:1モル比で、RTで45分間静かに撹拌することによって調製した。複合体の生成は、未変性PAGEゲルをCBB染色することによって視覚化した。リガンドタンパク質の結合は、抗−ヒトハプトグロビン(SIGMA社製)および抗−ヒトヘモグロビン(Abcam社製、UK)モノクローナル抗体(1:2,000の希釈)、および第2試薬としてHRP標識抗−マウスIgGによって検出した。抗原−抗体複合体は、基質(ABTS)の着色生成物への変換を、自動化エライザリーダー(Wallace Victor 1420)のOD405nm読み取り値に基づいて測定することによって、定量化した。該FACSベースアッセイは、ハプトグロビンに対するビオチン比が10:1で、ビオチン(EZ−Link Sulfo−NHS−LCBiotin、PIERCE社製)を用いて標識化した精製ハプトグロビンを用いて、RTで30分間行なった。Nanosep 10K遠心分離装置(Pall、Life Sciences社製、USA)を用いて遊離ビオチンを除去後に、ハプトグロビンの標識を、検出試薬としてストレプトアビジン−HRPを用いる免疫ブロット法によって確認した。黄色ブドウ球菌細胞を、後期対数期(OD600=0.8−1.0)まで、鉄供給源として25μMのFeCl3の非存在または存在下、RPMI培地中で増殖した。ビオチン化ハプトグロビン(5〜30μg)を5×106細胞に加え、そしてRTで30分間インキュベートした。PBSで洗浄後に、ストレプトアビジン−FITC(DAKO社製)(1:100の希釈)を加え、次いで細胞を2%PFAを用いて固定化した。ハプトグロビンの表面結合は、FACScan(Becton Dickinson社製)による蛍光強度を測定することによって定量化した。
インビトロエライザベースアッセイは、2個の異なるセットアップにおいて行なった。第1に、我々は、コーティング試薬としてコーティング緩衝液(0.1M 炭酸Na、pH 9.3)中、10μgmL−1濃度で貯蔵ヒト血清(SIGMA社およびFLUKA社製)から精製したハプトグロビン、および2.5〜12pモル(2〜10μgmL−1)の間の量で結合パートナーとしてGST−D1およびGST−D2、を用いた。HpおよびD1、またはHpおよびD2の間の相互作用は、ビオチン−標識ヤギ抗−GST mAbs(Abcam社製、UK)(1:5,000の希釈)およびストレプトアビジン−HRP(Roche社製)(1:10,000の希釈)を用いて検出した。第2に、rHarA、D1およびD2ドメインタンパク質を、10μgmL−1濃度のコーティング緩衝液中でコーティングし、そして、該リガンドハプトグロビン、ハプトグロビン−ヘモグロビン複合体またはヘモグロビンを、0.08〜4.0pモルの間の量で加えた。ハプトグロビン−ヘモグロビン複合体は、ハプトグロビンをヘモグロビン(Sigma社製)と1:1モル比で、RTで45分間静かに撹拌することによって調製した。複合体の生成は、未変性PAGEゲルをCBB染色することによって視覚化した。リガンドタンパク質の結合は、抗−ヒトハプトグロビン(SIGMA社製)および抗−ヒトヘモグロビン(Abcam社製、UK)モノクローナル抗体(1:2,000の希釈)、および第2試薬としてHRP標識抗−マウスIgGによって検出した。抗原−抗体複合体は、基質(ABTS)の着色生成物への変換を、自動化エライザリーダー(Wallace Victor 1420)のOD405nm読み取り値に基づいて測定することによって、定量化した。該FACSベースアッセイは、ハプトグロビンに対するビオチン比が10:1で、ビオチン(EZ−Link Sulfo−NHS−LCBiotin、PIERCE社製)を用いて標識化した精製ハプトグロビンを用いて、RTで30分間行なった。Nanosep 10K遠心分離装置(Pall、Life Sciences社製、USA)を用いて遊離ビオチンを除去後に、ハプトグロビンの標識を、検出試薬としてストレプトアビジン−HRPを用いる免疫ブロット法によって確認した。黄色ブドウ球菌細胞を、後期対数期(OD600=0.8−1.0)まで、鉄供給源として25μMのFeCl3の非存在または存在下、RPMI培地中で増殖した。ビオチン化ハプトグロビン(5〜30μg)を5×106細胞に加え、そしてRTで30分間インキュベートした。PBSで洗浄後に、ストレプトアビジン−FITC(DAKO社製)(1:100の希釈)を加え、次いで細胞を2%PFAを用いて固定化した。ハプトグロビンの表面結合は、FACScan(Becton Dickinson社製)による蛍光強度を測定することによって定量化した。
(鉄依存性増殖)
増殖研究のために、鉄枯渇RPMI培地を使用した。該RPMI培地の鉄枯渇は、Chelex100(Sigma社製)と一緒にバッチインキュベートすることによって達成した。要するに、Chelex100(10g)を培地(1L)に加え、そしてRTで4時間撹拌した。次いで、該培地を、二価イオン(10μMのCaCl2、および100μMのMgSO4)を用いて補足した。黄色ブドウ球菌8325−4およびharA突然変異細胞をBHIプレートから播種し、そして該RPMI完全培地中で終夜インキュベートした。細胞を集め、洗浄し、そして鉄枯渇RPMI培地中で再懸濁して、OD600は0.5に達した。鉄飢餓の3時間後に、細胞を集め、そして様々な鉄供給源を用いて補足した鉄枯渇RPMI中、OD600が0.02にまで希釈した。以下の鉄供給源を使用した:塩化第二鉄(濃度は25mM)、Hb(0.5mM)およびHp−Hb(2:1)複合体(1μMおよび0.5μM)。細菌の増殖は、日立U−2001分光学計を用いて600nmでの光学密度を測定することによって追跡した。
増殖研究のために、鉄枯渇RPMI培地を使用した。該RPMI培地の鉄枯渇は、Chelex100(Sigma社製)と一緒にバッチインキュベートすることによって達成した。要するに、Chelex100(10g)を培地(1L)に加え、そしてRTで4時間撹拌した。次いで、該培地を、二価イオン(10μMのCaCl2、および100μMのMgSO4)を用いて補足した。黄色ブドウ球菌8325−4およびharA突然変異細胞をBHIプレートから播種し、そして該RPMI完全培地中で終夜インキュベートした。細胞を集め、洗浄し、そして鉄枯渇RPMI培地中で再懸濁して、OD600は0.5に達した。鉄飢餓の3時間後に、細胞を集め、そして様々な鉄供給源を用いて補足した鉄枯渇RPMI中、OD600が0.02にまで希釈した。以下の鉄供給源を使用した:塩化第二鉄(濃度は25mM)、Hb(0.5mM)およびHp−Hb(2:1)複合体(1μMおよび0.5μM)。細菌の増殖は、日立U−2001分光学計を用いて600nmでの光学密度を測定することによって追跡した。
(harAの挿入的に不活性化した突然変異体の構築)
harAの挿入的な不活性化のためのプラスミドは、上記の通り(Chakrabortyらによる、1992)、pAUL−Aベクター(Simon Fosterによる親切な贈り物)を用いて構築した。harAオープンリーディングフレームの5’および3’フランキング領域は、それぞれSalI/KpnIおよびKpnI/EcoRI制限部位を加えた、遺伝子特異的プライマーであるMOL1313、MOL1314およびMOL1315、MOL1316を用いるPCRによって得た。該1kbフラグメントを、SalI−EcoRI消化性pAUL−Aベクター中にクローニングして、プラスミドpAUL−ADを得た。該テトラサイクリン耐性カセットを、KpnI制限部位を取り込んだプライマーMOL317およびMOL318(表1)を用いて、pDG1513(Guerout-Fleuryらによる、1995;Simon Fosterによる親切な贈り物)から増幅した。次いで、1.5kbテトラサイクリン耐性カセット(Tc)を含有するKpnI消化性PCRフラグメントを、pAUL−AD中にクローニングした。得られたpAD02プラスミドの50マイクログラムを、エレクトロポレーションによって黄色ブドウ球菌RN4220制限−欠失形質転換レシピエント中に形質転換した。エリスロマイシン耐性形質転換は、プラスミド複製のための許容温度(30℃)で同定した。シングルクロスオーバー(crossover)キャンベル(Campbell)タイプの染色体挿入物は、テトラサイクリンを選択しながら、温度を42℃までシフトすることによって選択した。染色体DNA中へのpAD02プラスミドの組み込みは、PCR分析によって確認した。該黄色ブドウ球菌8325−4染色体中へのテトラサイクリン耐性マーカーの組み込みは、ファージ11を用いて形質導入することによって達成した。形質導入したコロニーは更に、エリスロマイシンおよびリンコマイシン耐性の低下について選択し、そして遺伝子特異的プライマーを用いるPCRによって、並びにサザンブロット法を用いて、harA遺伝子の欠乏について試験した。
harAの挿入的な不活性化のためのプラスミドは、上記の通り(Chakrabortyらによる、1992)、pAUL−Aベクター(Simon Fosterによる親切な贈り物)を用いて構築した。harAオープンリーディングフレームの5’および3’フランキング領域は、それぞれSalI/KpnIおよびKpnI/EcoRI制限部位を加えた、遺伝子特異的プライマーであるMOL1313、MOL1314およびMOL1315、MOL1316を用いるPCRによって得た。該1kbフラグメントを、SalI−EcoRI消化性pAUL−Aベクター中にクローニングして、プラスミドpAUL−ADを得た。該テトラサイクリン耐性カセットを、KpnI制限部位を取り込んだプライマーMOL317およびMOL318(表1)を用いて、pDG1513(Guerout-Fleuryらによる、1995;Simon Fosterによる親切な贈り物)から増幅した。次いで、1.5kbテトラサイクリン耐性カセット(Tc)を含有するKpnI消化性PCRフラグメントを、pAUL−AD中にクローニングした。得られたpAD02プラスミドの50マイクログラムを、エレクトロポレーションによって黄色ブドウ球菌RN4220制限−欠失形質転換レシピエント中に形質転換した。エリスロマイシン耐性形質転換は、プラスミド複製のための許容温度(30℃)で同定した。シングルクロスオーバー(crossover)キャンベル(Campbell)タイプの染色体挿入物は、テトラサイクリンを選択しながら、温度を42℃までシフトすることによって選択した。染色体DNA中へのpAD02プラスミドの組み込みは、PCR分析によって確認した。該黄色ブドウ球菌8325−4染色体中へのテトラサイクリン耐性マーカーの組み込みは、ファージ11を用いて形質導入することによって達成した。形質導入したコロニーは更に、エリスロマイシンおよびリンコマイシン耐性の低下について選択し、そして遺伝子特異的プライマーを用いるPCRによって、並びにサザンブロット法を用いて、harA遺伝子の欠乏について試験した。
(結果)
実施例1.LPXTGp5は、異なる黄色ブドウ球菌感染症の間にインビボで発現する、高い免疫原性の新規な細胞壁タンパク質である。
1/A.抗原としてのLPXTGp5の同定
具体的な抗−細菌性抗体は、対応する抗原のインビボ発現の分子プルーフである。抗原特異的な血清抗体の同定は、ある病原体(特に、非−培養可能性の病原体)の血清診断において広く使用される。
実施例1.LPXTGp5は、異なる黄色ブドウ球菌感染症の間にインビボで発現する、高い免疫原性の新規な細胞壁タンパク質である。
1/A.抗原としてのLPXTGp5の同定
具体的な抗−細菌性抗体は、対応する抗原のインビボ発現の分子プルーフである。抗原特異的な血清抗体の同定は、ある病原体(特に、非−培養可能性の病原体)の血清診断において広く使用される。
LPXTGp5は、細菌表面ディスプレイ、および異なる黄色ブドウ球菌感染症を患っている患者由来のヒト血清を用いるプロテオミクスの両方によって、顕著な抗原として同定された(WO 02/059148,A, Etz らによる、2002;Vytvytskaらによる、2002を参照)。該タンパク質の5個の異なるB−細胞エピトープ領域は全てN−末端にまで局在化していると、表面ディスプレイによって同定された。これらのデータに基づいて、LPXTGp5はヒト黄色ブドウ球菌感染症の間に発現し、そしてこのものは、多数の患者において無数のエピトープにより広く免疫原性である。バイオインフォマティクス分析は、公知の機能を有しない新規なタンパク質を同定した。
1/B.LPXTGp5遺伝子およびタンパク質
LPXTGp5遺伝子についての予想オープンリーディングフレームは、TIGRアノテーション(annotation)に記載の黄色ブドウ球菌COL菌株の1824064および1821380bpsの間に位置する(SA1781, InterCell ORF01361;Kurodaらによる、2001)(配列番号1)。該予想ORFは、NPXTGモチーフ、疎水性膜貫通領域および正電荷末端を含む、N−末端での典型的なシグナルペプチド配列およびC−末端での典型的なグラム陽性アンカーモチーフ配列を有する、895アミノ酸長タンパク質をコードする(配列番号2)。1次アミノ酸配列および予想2次構造の両方の分析は、ドメインについての全てのベータシート構造を有する2つの相同性ドメイン(D1およびD2)の存在を示唆し、このものは、ヘリックスまたはコイル領域によって分離される(図1)。該2個のドメインは〜145アミノ酸残基を有し、そして53%同一度および71%類似度を示す。
LPXTGp5遺伝子についての予想オープンリーディングフレームは、TIGRアノテーション(annotation)に記載の黄色ブドウ球菌COL菌株の1824064および1821380bpsの間に位置する(SA1781, InterCell ORF01361;Kurodaらによる、2001)(配列番号1)。該予想ORFは、NPXTGモチーフ、疎水性膜貫通領域および正電荷末端を含む、N−末端での典型的なシグナルペプチド配列およびC−末端での典型的なグラム陽性アンカーモチーフ配列を有する、895アミノ酸長タンパク質をコードする(配列番号2)。1次アミノ酸配列および予想2次構造の両方の分析は、ドメインについての全てのベータシート構造を有する2つの相同性ドメイン(D1およびD2)の存在を示唆し、このものは、ヘリックスまたはコイル領域によって分離される(図1)。該2個のドメインは〜145アミノ酸残基を有し、そして53%同一度および71%類似度を示す。
興味深いことに、配列相同性の研究は、3個の他の黄色ブドウ球菌タンパク質(我々は、LPXTGp6、LPXTGp7、およびp7と呼ぶ)における類似の1ドメインを同定した。著しいことに、これら3つのタンパク質は、黄色ブドウ球菌上での直ぐ隣りの遺伝子である。LPXTGp7およびp7は、1個のmRNAとして転写されると考えられる。その上、該p7遺伝子は、3個の予想膜タンパク質(このものは、第二鉄ABC輸送ファミリーのタンパク質との相同性を示す)をも有する。全ての4個のタンパク質(p5を含む)は、5個の黄色ブドウ球菌株(これらについて、ゲノム情報は入手可能である)において非常に保存的である。興味深いことに、全ての4個のタンパク質は、ヒト血清に対して免疫原性であることが分かった(例えば、WO02/059148 Aを参照)。LPXTGp5に類似して、p6およびp7/p7様はfur box配列を含み、そして極く最近の刊行物においては、これらのタンパク質が鉄を調節していることが分かった(Mazmanianらによる、2002)。相同性ドメインの予想構造は、〜40%の中位のアミノ酸同一度であるにも係わらず、非常に類似している(PhD)。加えて、他のグラム陽性細菌中には相同性ドメインを有するタンパク質が存在し、全てクロストリジウム属に属する。リステリア・モノサイトゲネスはp64と呼ばれるタンパク質を有し、このものは本ドメインの3個を有する。プロテオミクス分析は、p64の発現が鉄調節性であることを示唆した(Borezeeらによる、2000)。バシラス・ハロヂュランス(Bacillus halodurans)ゲノムは、本ドメインを有する予想オープンリーディングフレームを有する。
1/C.組み換えタンパク質の生成
LPXTGp5をコードするcDNAは、それぞれ遺伝子特異的なオリゴヌクレオチド5’-CGTAGCTGGAGCCACCGCAGTTC-3’および5’-AAAATGCTACCAAAAACTTGA-3’によって、黄色ブドウ球菌COL菌株ゲノムDNAから増幅した。制限酵素消化性PCR産物を、Strep−標識(tag)II(IBA、Gottingen製)をコードする配列の下流の、pASK−IBA4ベクターBamHI−SalI部位中にクローニングした。得られた遺伝子は、シグナルペプチドに対応する配列、およびソルターゼ切断部位からのC−末端下流(LPXTG)を欠いた。該組み換えタンパク質は、ストレプタクチン・アフィニティークロマトグラフィー(商業主の指示に従う)によって、アンピシリン誘発性BL21大腸菌の細菌エキスから精製した。895aaタンパク質の予想分子量は101−kDaであるが、組み換え全長LPXTGp5は、〜130−kDaタンパク質として移動した。それらの実際のサイズよりもより遅く移動することは、細菌細胞壁タンパク質にとって一般的である。
LPXTGp5をコードするcDNAは、それぞれ遺伝子特異的なオリゴヌクレオチド5’-CGTAGCTGGAGCCACCGCAGTTC-3’および5’-AAAATGCTACCAAAAACTTGA-3’によって、黄色ブドウ球菌COL菌株ゲノムDNAから増幅した。制限酵素消化性PCR産物を、Strep−標識(tag)II(IBA、Gottingen製)をコードする配列の下流の、pASK−IBA4ベクターBamHI−SalI部位中にクローニングした。得られた遺伝子は、シグナルペプチドに対応する配列、およびソルターゼ切断部位からのC−末端下流(LPXTG)を欠いた。該組み換えタンパク質は、ストレプタクチン・アフィニティークロマトグラフィー(商業主の指示に従う)によって、アンピシリン誘発性BL21大腸菌の細菌エキスから精製した。895aaタンパク質の予想分子量は101−kDaであるが、組み換え全長LPXTGp5は、〜130−kDaタンパク質として移動した。それらの実際のサイズよりもより遅く移動することは、細菌細胞壁タンパク質にとって一般的である。
全長タンパク質に加えて、LPXTGp5の2個の異なる切断バージョン(version)はまた、該予想D1およびD2ドメインに対応するDNA配列を増幅することによって得て、そしてこのものをBamHI−SalI消化性pGEX4T−3中に挿入した。該GST−融合タンパク質を、リゾチーム消化によって、IPTG誘発性DH10B大腸菌細胞から抽出し(緩衝液:50mM トリス pH 8.0、100mM NaCl、1mM EDTA中)、そしてグルタチオン・アフィニティーカラムを用いて可溶性細菌画分から精製した。組み換えタンパク質は、トロンビン消化によるかまたは10mM グルタチオンを用いるかのいずれかによって溶出した。従って、得られる145aa長のD1およびD2組み換え切断バージョンは、GSTタグのあるなしで入手可能であった。
1/D.LPXTGp5は、ヒトにおいて広く免疫原性である。
一連の免疫ブロット法およびエライザ実験において、異なる黄色ブドウ球菌を患っている患者並びに健康な個体の両方からのヒト血清は、LPXTGp5に対する抗体を含んだ(図2)。異なる血清の間で抗−LPXTGp5 IgG(図3)およびIgA(データは示さない)のレベルの差違が存在し、黄色ブドウ球菌創傷感染症を有する患者が最も高レベルを示した。D1およびD2タンパク質を用いるエライザは、これらのドメインもまた非常に免疫原性であることを示した(図4)。
一連の免疫ブロット法およびエライザ実験において、異なる黄色ブドウ球菌を患っている患者並びに健康な個体の両方からのヒト血清は、LPXTGp5に対する抗体を含んだ(図2)。異なる血清の間で抗−LPXTGp5 IgG(図3)およびIgA(データは示さない)のレベルの差違が存在し、黄色ブドウ球菌創傷感染症を有する患者が最も高レベルを示した。D1およびD2タンパク質を用いるエライザは、これらのドメインもまた非常に免疫原性であることを示した(図4)。
実施例2.LPXTGp5に対する結合性リガンドとしての血清ハプトグロビンの同定
2/A.組み換えLPXTGp5を有するヒト血清タンパク質のアフィニティー精製
LPXTGp5についての結合パートナーおよび機能を同定するために、該StrepII−標識組み換えタンパク質を、ストレプタクチン・アガロース(IBA)上に固定化し、そしてIgG−枯渇ヒト血清を適用した。該血漿試料の選択は、所望しない免疫相互作用を避けるために、エライザによるrLPXTGp5に対する低いIgGおよびIgA力価に基づいた。LPXTGp5カラムと結合したヒト血漿タンパク質の溶出画分、並びにストレプタクチンのみのコントロールカラムの溶出画分について、2D−PAGE分析を行なった。該2Dゲルのクマシーブルー染色は、40〜45−kDaおよびpI 4.5〜5.5の範囲内に特徴的な出現を有するタンパク質のスポット群を示した(図5A)。これらのスポットは、コントロールカラムの溶出物(図5B)、およびまたrLPXGp5単独のゲルからは存在しない(図5C)。非官能性の血漿試料の分離は、同じ群のスポット示し(図5D)、そしてこれは、対応するタンパク質の同定を助けた。該2Dゲルにおける該タンパク質スポットの性質に基づき、スイス(Swiss)−2DPAGEデータベース(http://us.expasy.org/ch2d/)から入手可能なプトテオミクス情報の助けを借りて、40〜45−kDaの精製タンパク質を、ヒト血漿/血清糖タンパク質であるハプトグロビンのサブユニットとして同定した。該特徴的なビーズ−オン−ア−ストリンジ出現(beads-on-a-string appearance)は、上記のAsn残基での4つの潜在的なグリコシル化部位におけるN−結合グリコシル化に起因する。この発見を確認するために、LPXTGp5アフィニティーカラムからの溶出画分について、抗−ヒトハプトグロビン抗体を用いる2D免疫ブロット分析を行なって、そして精製ヒト血清ハプトグロビンを正コントロールとして使用した。該2Dゲルの同一領域内での特徴的な5スポットのシグナル出現が、再び保証された。
2/A.組み換えLPXTGp5を有するヒト血清タンパク質のアフィニティー精製
LPXTGp5についての結合パートナーおよび機能を同定するために、該StrepII−標識組み換えタンパク質を、ストレプタクチン・アガロース(IBA)上に固定化し、そしてIgG−枯渇ヒト血清を適用した。該血漿試料の選択は、所望しない免疫相互作用を避けるために、エライザによるrLPXTGp5に対する低いIgGおよびIgA力価に基づいた。LPXTGp5カラムと結合したヒト血漿タンパク質の溶出画分、並びにストレプタクチンのみのコントロールカラムの溶出画分について、2D−PAGE分析を行なった。該2Dゲルのクマシーブルー染色は、40〜45−kDaおよびpI 4.5〜5.5の範囲内に特徴的な出現を有するタンパク質のスポット群を示した(図5A)。これらのスポットは、コントロールカラムの溶出物(図5B)、およびまたrLPXGp5単独のゲルからは存在しない(図5C)。非官能性の血漿試料の分離は、同じ群のスポット示し(図5D)、そしてこれは、対応するタンパク質の同定を助けた。該2Dゲルにおける該タンパク質スポットの性質に基づき、スイス(Swiss)−2DPAGEデータベース(http://us.expasy.org/ch2d/)から入手可能なプトテオミクス情報の助けを借りて、40〜45−kDaの精製タンパク質を、ヒト血漿/血清糖タンパク質であるハプトグロビンのサブユニットとして同定した。該特徴的なビーズ−オン−ア−ストリンジ出現(beads-on-a-string appearance)は、上記のAsn残基での4つの潜在的なグリコシル化部位におけるN−結合グリコシル化に起因する。この発見を確認するために、LPXTGp5アフィニティーカラムからの溶出画分について、抗−ヒトハプトグロビン抗体を用いる2D免疫ブロット分析を行なって、そして精製ヒト血清ハプトグロビンを正コントロールとして使用した。該2Dゲルの同一領域内での特徴的な5スポットのシグナル出現が、再び保証された。
明白な証拠を得るために、貯蔵したヒト血漿(カタログ番号51325、フルカ(Fluka)製)から精製した商業的に入手可能なハプトグロビンを購入し、そしてこのものをLPXTGp5アフィニティーカラムと結合するその能力について試験した。コントロールのストレプタクチンアガロースからの溶出物はハプトグロビンを含まないので、血漿を用いる実験と同様に、精製Hpを、LPXTGp5との相互作用によって該カラム上に保持した。ビオチン標識化によってストレプトアビジンアガロースビーズ上に固定化した精製ハプトグロビン、および鉄枯渇(Chelex100を使用する)のRPMI培地中で対数期まで増殖させた黄色ブドウ球菌8325−4spa−菌株から調製した全ライセートを用いて、逆実験(reverse experiment)をも行なった。ハプトグロビンをカップリングしたビーズからの溶出物の免疫ブロット分析は更に、細菌細胞から直接的に単離した未変性LPXTGp5が実際に、この細胞外宿主糖タンパク質についての結合パートナーであるという証拠を提供した(図6)。
2/B.LPXTGp5のD1およびD2ドメインとのリガンド結合の局在化
大腸菌中での組み換えLPXTGp5の産生は常に、分解性産物中で起こり(図2)、このことは該タンパク質の大きなサイズ、およびグラム陰性大腸菌中での本グラム陽性細胞壁タンパク質の発現の部分的な不適合性に起因すると思われる。ハプトグロビンの再構築にとって必要であり且つ十分である該タンパク質の一部を同定するために、GST−タグ欠失突然変異体LPXTGp5タンパク質を上記の通り得た。該相同性ドメインは、リガンド結合のための魅力的な候補物であった。D1およびD2タンパク質を用いる免疫化によって生成する過免疫ウサギ血清を用いることにより、これらのドメインの両方の細胞表面局剤化を示し、このことは、それらが細胞外リガンド結合に利用可能であることを示す。アフィニティークロマトグラフィーを、組み換えドメインタンパク質および精製ハプトグロビンまたはIgG枯渇血漿について繰り返した。GST−D1およびGST−D2タンパク質をグルタチオンセファロースカラム上に固定化し、そしてヒト血漿または精製ハプトグロビンを、全長LPXTGp5について使用する方法と同様に、リガンド供給源として使用した。該溶出物の2D分析により、該ドメインについての結合パートナーとしてハプトグロビンを同定した。本実験セットアップはアフィニティー測定に適当でないが、GST−D1は、GST−D2よりもよく結合すると思われる。
大腸菌中での組み換えLPXTGp5の産生は常に、分解性産物中で起こり(図2)、このことは該タンパク質の大きなサイズ、およびグラム陰性大腸菌中での本グラム陽性細胞壁タンパク質の発現の部分的な不適合性に起因すると思われる。ハプトグロビンの再構築にとって必要であり且つ十分である該タンパク質の一部を同定するために、GST−タグ欠失突然変異体LPXTGp5タンパク質を上記の通り得た。該相同性ドメインは、リガンド結合のための魅力的な候補物であった。D1およびD2タンパク質を用いる免疫化によって生成する過免疫ウサギ血清を用いることにより、これらのドメインの両方の細胞表面局剤化を示し、このことは、それらが細胞外リガンド結合に利用可能であることを示す。アフィニティークロマトグラフィーを、組み換えドメインタンパク質および精製ハプトグロビンまたはIgG枯渇血漿について繰り返した。GST−D1およびGST−D2タンパク質をグルタチオンセファロースカラム上に固定化し、そしてヒト血漿または精製ハプトグロビンを、全長LPXTGp5について使用する方法と同様に、リガンド供給源として使用した。該溶出物の2D分析により、該ドメインについての結合パートナーとしてハプトグロビンを同定した。本実験セットアップはアフィニティー測定に適当でないが、GST−D1は、GST−D2よりもよく結合すると思われる。
(実験3.LPXTGp5/SAHpRの発現の調節)
3/A.ストレス培地(stress medium)中での優先的な発現
抗−LPXTGp5抗体を用いる黄色ブドウ球菌8325−4 spa−(タンパク質A欠乏菌株)から調製した細菌エキスの免疫ブロット分析は、約130−kDa分子量を有するタンパク質バンドを示した(図7)。重要なことに、精製ヒトIgGおよびウサギ免疫血清の両方が、同じバンドを示した。895aaタンパク質の予想分子量は101−kDaであるが、それらの実際のサイズよりもより遅く移動することは、細菌細胞壁タンパク質にとって一般的である。この記載の立証として、組み換え全長LPXTGp5は実際に天然形態と同様に、〜130−kDaタンパク質として移動した(図2)。
3/A.ストレス培地(stress medium)中での優先的な発現
抗−LPXTGp5抗体を用いる黄色ブドウ球菌8325−4 spa−(タンパク質A欠乏菌株)から調製した細菌エキスの免疫ブロット分析は、約130−kDa分子量を有するタンパク質バンドを示した(図7)。重要なことに、精製ヒトIgGおよびウサギ免疫血清の両方が、同じバンドを示した。895aaタンパク質の予想分子量は101−kDaであるが、それらの実際のサイズよりもより遅く移動することは、細菌細胞壁タンパク質にとって一般的である。この記載の立証として、組み換え全長LPXTGp5は実際に天然形態と同様に、〜130−kDaタンパク質として移動した(図2)。
興味深いことに、豊富な培地(例えば、脳−心−浸出物(BHI))中で増殖した細菌からではなく、限定された乏しく且つ低い鉄の培地(RPMI 1640)中で増殖した細菌から調製するエキスが、LPXTGp5を含んだ(図7)。その上、該タンパク質の発現は、細菌増殖の始期の対数期中ではなく、後期の対数の定常期中でのみ観察された。ヒト血漿と同様な鉄濃度を有する限定された乏しい培地は、細菌の実験室培養のために通常使用する豊富な培地にインビボ関連して、該病原体がより多くのタンパク質を発現すること、を強いることが分かった。
3/B.鉄およびFurによる発現の調節
LPXTGp5 ORFの上流ヌクレオチド配列は、開始ATGコドンから上流に−53〜−35bpsの間の共通fur結合boxに相当する(図8A)。本DNA配列モチーフの存在は発現の鉄依存性抑圧を高く予想し、このことはグラム陰性およびグラム陽性細菌中でのいくつかの遺伝子について示されている(Escolarらによる、1999)。
LPXTGp5 ORFの上流ヌクレオチド配列は、開始ATGコドンから上流に−53〜−35bpsの間の共通fur結合boxに相当する(図8A)。本DNA配列モチーフの存在は発現の鉄依存性抑圧を高く予想し、このことはグラム陰性およびグラム陽性細菌中でのいくつかの遺伝子について示されている(Escolarらによる、1999)。
該遺伝子中のfur box配列の存在は、低いおよび高い鉄濃度の培地中で増殖する細菌内でのLPXTGp5タンパク質の発現を比較する際の関心を誘起する。鉄補足したRPMI培地中で増殖した8325−4wt黄色ブドウ球菌株から調製した細菌ライセートの免疫ブロット分析は、鉄が検出不可能なレベルにまで発現を抑制することを示した(図8Bの左パネル)。この調節は、fur遺伝子が挿入による突然変異誘発(insertion mutagenesis)によって失活した黄色ブドウ球菌株中で失われた。Furは、鉄濃度依存性の転写リプレッサータンパク質であり、従ってその非存在下では、標的遺伝子は、抑制から解放され、且つ上方制御されると予想される。実際に、LPXTGp5は、全ての増殖期において、fur欠失突然変異体黄色ブドウ球菌株(8325−4バックグラウンド)中で常時発現した(図8Bの右パネル)。これらの結果に基づくと、LPXTGp5の発現はFurによって媒介される鉄調節下にあると、確立される。
それに対して、多数のブドウ球菌病原性タンパク質の調節に関与するagrおよびsar、key loci(ArvidsonおよびTegmarkによる、2001)は、単一ノックアウト菌株(agr−、sar−)からのエキスを用いる結果(これは、野生型菌株の場合に得られる値に相対的な130−kDaバンドの同様な染色強度を示す(データは示さない))に基づくと、LPXTGp5の発現を調節すると考えられない。
(実験4.LPXTGp5−ハプトグロビン相互作用のインヒビターのスクリーニングおよび発生についてのアッセイ)
4/A.組み換えLPXTGp5タンパク質を用いるインビトロエライザベースアッセイ
エライザベースアッセイは、コーティング試薬としてハプトグロビン(コーティング緩衝液中、10μg/mL)および結合パートナーとしてGST−D1およびGST−D2を用いて展開した。Hp−D1およびHp−D2相互作用は、ビオチン標識抗−GST mAbs(カタログ番号ab6648、Abcam社製)およびストレプトアビジン−HRPO(カタログ番号1089153、Roche社製)を用いて検出した。D1およびD2の量が増大するにつれて、約250pモルでの飽和レベルに達するまで、より高いOD読み取り値を得た。同じモル量(これは、実際の分子量について補正する)のGSTは、バックグラウンドに対して検出可能なシグナルを生じなかった(図9)。これらの結果は更に、LPXTGp5内でのHp結合の局在化を示唆した。そのことはまた、LPXTGp5およびHp相互作用のインヒビターをスクリーニングするための容易で潜在的なハイスループットアッセイをも提供する。
4/A.組み換えLPXTGp5タンパク質を用いるインビトロエライザベースアッセイ
エライザベースアッセイは、コーティング試薬としてハプトグロビン(コーティング緩衝液中、10μg/mL)および結合パートナーとしてGST−D1およびGST−D2を用いて展開した。Hp−D1およびHp−D2相互作用は、ビオチン標識抗−GST mAbs(カタログ番号ab6648、Abcam社製)およびストレプトアビジン−HRPO(カタログ番号1089153、Roche社製)を用いて検出した。D1およびD2の量が増大するにつれて、約250pモルでの飽和レベルに達するまで、より高いOD読み取り値を得た。同じモル量(これは、実際の分子量について補正する)のGSTは、バックグラウンドに対して検出可能なシグナルを生じなかった(図9)。これらの結果は更に、LPXTGp5内でのHp結合の局在化を示唆した。そのことはまた、LPXTGp5およびHp相互作用のインヒビターをスクリーニングするための容易で潜在的なハイスループットアッセイをも提供する。
4/B.生存黄色ブドウ球菌細胞を用いるインビトロFACSベースアッセイ
精製ハプトグロビンを、ビオチン(ハプトグロビンに対するビオチン比は10:1である)を用いて標識し、そしてこのものを、鉄供給源としての25μM FeCl3の非存在または存在下、RPMI培地中で増殖する、生存wtおよびfur突然変異体黄色ブドウ球菌細胞に、濃度を増大しながら加えた。ハプトグロビン結合は、2次試薬としてストレプトアビジン−FITC(カタログ番号F0422、DAKO社製)を用いることによって検出し、そして分析はFACSによって定量化した。LPXTGp5の発現が可能である条件下で増殖した黄色ブドウ球菌の表面染色は、ハプトグロビンの有意な結合を示した(図10A)。ハプトグロビン結合は、鉄−供給十分な培地中で増殖した黄色ブドウ球菌を用いて検出不可能であり(図10B)、このことは、抗−LPXTGp5抗体を用いる免疫ブロットにおけるシグナルの欠如と一致した。重要なことに、該環境下での鉄濃度に無関係なfur突然変異体過剰発現LPXTGp5が、最も明白なハプトグロビン結合を示した(図10C、D)。LPXTGp5に対するリガンド結合の特異性を試験するために、ハプトグロビンをまた、組み換えGST−D1ドメインの存在下で加えた。GST−D1のモル過剰量を増大するにつれて、ハプトグロビンを用いて達成される表面染色が濃度依存様式で減少した。9倍過剰量のGST−D1は、ハプトグロビン結合をほとんどバックグラウンドレベルにまで減少し、一方で同じモル過剰量のGSTは、結合に有意な影響を及ぼさなかった(図11)。この競合実験は、1個のブドウ球菌ハプトグロビン受容体が存在し、そしてハプトグロビン結合機能は重複性ではないことを強く示唆する。結果として、分裂試薬(抗体、ミモトープ、またはハプトグロビン−LPXTGp5相互作用を妨害する小薬物に関係なく)は、Hp−黄色ブドウ球菌の相互作用にとって有害であると思われる。
精製ハプトグロビンを、ビオチン(ハプトグロビンに対するビオチン比は10:1である)を用いて標識し、そしてこのものを、鉄供給源としての25μM FeCl3の非存在または存在下、RPMI培地中で増殖する、生存wtおよびfur突然変異体黄色ブドウ球菌細胞に、濃度を増大しながら加えた。ハプトグロビン結合は、2次試薬としてストレプトアビジン−FITC(カタログ番号F0422、DAKO社製)を用いることによって検出し、そして分析はFACSによって定量化した。LPXTGp5の発現が可能である条件下で増殖した黄色ブドウ球菌の表面染色は、ハプトグロビンの有意な結合を示した(図10A)。ハプトグロビン結合は、鉄−供給十分な培地中で増殖した黄色ブドウ球菌を用いて検出不可能であり(図10B)、このことは、抗−LPXTGp5抗体を用いる免疫ブロットにおけるシグナルの欠如と一致した。重要なことに、該環境下での鉄濃度に無関係なfur突然変異体過剰発現LPXTGp5が、最も明白なハプトグロビン結合を示した(図10C、D)。LPXTGp5に対するリガンド結合の特異性を試験するために、ハプトグロビンをまた、組み換えGST−D1ドメインの存在下で加えた。GST−D1のモル過剰量を増大するにつれて、ハプトグロビンを用いて達成される表面染色が濃度依存様式で減少した。9倍過剰量のGST−D1は、ハプトグロビン結合をほとんどバックグラウンドレベルにまで減少し、一方で同じモル過剰量のGSTは、結合に有意な影響を及ぼさなかった(図11)。この競合実験は、1個のブドウ球菌ハプトグロビン受容体が存在し、そしてハプトグロビン結合機能は重複性ではないことを強く示唆する。結果として、分裂試薬(抗体、ミモトープ、またはハプトグロビン−LPXTGp5相互作用を妨害する小薬物に関係なく)は、Hp−黄色ブドウ球菌の相互作用にとって有害であると思われる。
(実施例5.黄色ブドウ球菌による、Hp−Hb複合体由来の鉄の利用)
ヒトの身体の内部で増殖する黄色ブドウ球菌は、身体からの、すなわち宿主鉄結合性タンパク質からの鉄を「スチール(steel)」しなければいけない。最も豊富な鉄含有タンパク質は、ヘモグロビン(Hb)である。細胞外ヘモグロビンはハプトグロビンと直ちに複合体形成するので、実際には、そのものはHp−Hb複合体であり、このものは血漿中での鉄の供給源の1つとして機能する。鉄枯渇RPMI培地中で増殖する黄色ブドウ球菌8325−4菌株を、インビトロでのHp−Hb複合体由来の鉄を使用するその能力について試験した。負コントロールとして、ハプトグロビンのみおよびヘモグロビンのみを加え、そして増殖増強のための正コントロールとしてFeCl3を加えた。黄色ブドウ球菌は、複合体の存在下で刺激され、このことは、Hp−Hb複合体による鉄の獲得を示唆する。
(図12)。
ヒトの身体の内部で増殖する黄色ブドウ球菌は、身体からの、すなわち宿主鉄結合性タンパク質からの鉄を「スチール(steel)」しなければいけない。最も豊富な鉄含有タンパク質は、ヘモグロビン(Hb)である。細胞外ヘモグロビンはハプトグロビンと直ちに複合体形成するので、実際には、そのものはHp−Hb複合体であり、このものは血漿中での鉄の供給源の1つとして機能する。鉄枯渇RPMI培地中で増殖する黄色ブドウ球菌8325−4菌株を、インビトロでのHp−Hb複合体由来の鉄を使用するその能力について試験した。負コントロールとして、ハプトグロビンのみおよびヘモグロビンのみを加え、そして増殖増強のための正コントロールとしてFeCl3を加えた。黄色ブドウ球菌は、複合体の存在下で刺激され、このことは、Hp−Hb複合体による鉄の獲得を示唆する。
(図12)。
(実施例6:LPXTGp5を挿入的に失活した突然変異体の構築)
LPXTGp5の役割を研究するために、挿入的に失活したLPXTGp5突然変異体を製造した。LPXTGp5を破壊するためのプラスミドは、該プライマーについてそれぞれSa1I、KpnI、KpnIとEcoRI制限部位を加えた遺伝子特異的プライマーを用いて、LPXTGp5オープンリーディングフレームの1kbの5’および3’フランキング領域をPCR増幅することによって構築した。PCR産物を、Sa1I−KpnIおよびKpnI−EcoRIを用いて切断し、このものをSa1I−EcoRIを用いて切断したpAUL−Aベクター中にクローニングして、大腸菌DH10B中のプラスミドpAUL−ADを得た。1.5kbのテトラサイクリン耐性カセットを、KpnI制限部位を取り込んだ、MOL317およびMOL1318プライマーを用いて、pDG153から増幅した。テトラサイクリン耐性カセットを含有するKpnIフラグメントを脱リン酸化し、pAUL−AD中の脱リン酸化KpnI部位中にクローニングして、大腸菌DH10B中のpAD02を得た。pA02のプラスミドDNA(50μg)を、エレクトロポレーションによって黄色ブドウ球菌RN4220中に形質転換し、そしてエリスロマイシン−耐性形質転換物を、プラスミド複製のための許容温度(30℃)で同定した。単一のクロスオーバー・キャンベルタイプの染色体挿入物を、テトラサイクリン上で選択しながら、温度を42℃までシフトさせることによって選択した。クローン02中でのLPTXGp5の失活および無傷のコピーの存在は、LPXTGp5内部プライマーを用いるPCRによって確認した。02のファージライセートは、Φ11ストックから製造し、このものを黄色ブドウ球菌8325−4中に形質導入し、そしてテトラサイクリンプレート上で選択した。該回収した導入体の全てを、エリスロマイシンおよびリンコマイシン感受性について試験した。これらの導入体47のうちの1つの黄色ブドウ球菌染色体中へのLPXTGp5::Tcマーカーの組込みの成功は、LPXTGp5内部プライマーを用いるPCR、並びにテトラサイクリンおよびプライマーとしてのLPXTGp5のN−末端フラグメントを用いるサザンブロット分析によって確認した。サザンブロット法は標準的な方法に従って行ない、そしてシグナルを、商業主の指示に従って、PCR DIGプローブ合成キット(Roche社製)によって製造したDNAプローブを用いて発生させた。要するに、移動後に、該膜を高いストリンジェントな条件で(42℃のDIG Easy Hyb溶液)、プレハイブリダイズおよびハイブリダイズした。洗浄を、低ストリンジェント用緩衝液(2×SSC+0.1%SDS)を用いて2回、および高ストリンジェント用緩衝液(0.5×SSC+0.1%SDS)を用いて2回、行なった。これらのハイブリダイズ条件により、該キットを提供する商業主のマニュアルに記載するプローブを用いて、>80%の相同性を有する遺伝子を検出することができる。サザンブロット分析により、野生型菌株中でのLPXTGp5遺伝子の存在、およびノックアウト菌株中でのその非存在を確認した。これらの条件下で、該プローブはまた、LPXTGp6に相当するバンドを検出し、このものは両方の菌株中に存在した。
LPXTGp5の役割を研究するために、挿入的に失活したLPXTGp5突然変異体を製造した。LPXTGp5を破壊するためのプラスミドは、該プライマーについてそれぞれSa1I、KpnI、KpnIとEcoRI制限部位を加えた遺伝子特異的プライマーを用いて、LPXTGp5オープンリーディングフレームの1kbの5’および3’フランキング領域をPCR増幅することによって構築した。PCR産物を、Sa1I−KpnIおよびKpnI−EcoRIを用いて切断し、このものをSa1I−EcoRIを用いて切断したpAUL−Aベクター中にクローニングして、大腸菌DH10B中のプラスミドpAUL−ADを得た。1.5kbのテトラサイクリン耐性カセットを、KpnI制限部位を取り込んだ、MOL317およびMOL1318プライマーを用いて、pDG153から増幅した。テトラサイクリン耐性カセットを含有するKpnIフラグメントを脱リン酸化し、pAUL−AD中の脱リン酸化KpnI部位中にクローニングして、大腸菌DH10B中のpAD02を得た。pA02のプラスミドDNA(50μg)を、エレクトロポレーションによって黄色ブドウ球菌RN4220中に形質転換し、そしてエリスロマイシン−耐性形質転換物を、プラスミド複製のための許容温度(30℃)で同定した。単一のクロスオーバー・キャンベルタイプの染色体挿入物を、テトラサイクリン上で選択しながら、温度を42℃までシフトさせることによって選択した。クローン02中でのLPTXGp5の失活および無傷のコピーの存在は、LPXTGp5内部プライマーを用いるPCRによって確認した。02のファージライセートは、Φ11ストックから製造し、このものを黄色ブドウ球菌8325−4中に形質導入し、そしてテトラサイクリンプレート上で選択した。該回収した導入体の全てを、エリスロマイシンおよびリンコマイシン感受性について試験した。これらの導入体47のうちの1つの黄色ブドウ球菌染色体中へのLPXTGp5::Tcマーカーの組込みの成功は、LPXTGp5内部プライマーを用いるPCR、並びにテトラサイクリンおよびプライマーとしてのLPXTGp5のN−末端フラグメントを用いるサザンブロット分析によって確認した。サザンブロット法は標準的な方法に従って行ない、そしてシグナルを、商業主の指示に従って、PCR DIGプローブ合成キット(Roche社製)によって製造したDNAプローブを用いて発生させた。要するに、移動後に、該膜を高いストリンジェントな条件で(42℃のDIG Easy Hyb溶液)、プレハイブリダイズおよびハイブリダイズした。洗浄を、低ストリンジェント用緩衝液(2×SSC+0.1%SDS)を用いて2回、および高ストリンジェント用緩衝液(0.5×SSC+0.1%SDS)を用いて2回、行なった。これらのハイブリダイズ条件により、該キットを提供する商業主のマニュアルに記載するプローブを用いて、>80%の相同性を有する遺伝子を検出することができる。サザンブロット分析により、野生型菌株中でのLPXTGp5遺伝子の存在、およびノックアウト菌株中でのその非存在を確認した。これらの条件下で、該プローブはまた、LPXTGp6に相当するバンドを検出し、このものは両方の菌株中に存在した。
(実験7:HarAは、ハプトグロビン−ヘモグロビン複合体と優先的に結合する)
ハプトグロビンの主な生理学的な役割は、血漿中で細胞外ヘモグロビンと複合体形成することである。本相互作用の極端に高いアフィニティーが示される場合には、ハプトグロビンによる放出ヘモグロビンの捕捉は、ほとんど即時である。ヘモグロビンと結合する場合に、HarAがリガンドとしてハプトグロビンを認識することができるかどうかという問題に取り組むために、我々は、rHarA、並びにHarA−D1およびHarA−D2ドメインタンパク質を用いるインビトロ結合研究を行なった。これらのアッセイにおいて、タンパク質をコーティングしたエライザプレートによって固定化し、次いでハプトグロビン、ハプトグロビン−ヘモグロビン複合体、およびまたヘモグロビンを、量を増加させながら加え、そしてシグナルを、抗−ハプトグロビンまたは抗−ヘモグロビンモノクローナル抗体によって検出した。ハプトグロビンおよびヘモグロビン間の有効な複合体形成は、未変性ゲル分析によって確認した(図14A)。同じモル量の異なるリガンドを用いて得られたシグナル強度を比較することによって、我々は、ハプトグロビンと比べてハプトグロビン−ヘモグロビン複合体の有意に高い結合を検出した。低いリガンド濃度でのより高レベルの結合は高いアフィニティー相互作用を示唆し、そしてこれは、全長HarA、並びにドメインタンパク質の場合に明らかであった(図14BおよびCの上方パネル)。重要なことに、我々は同様にHbの直接的な結合を示すことができるが、該複合体の結合の増大は、HarAドメインとヘモグロビンとの高いアフィニティー相互作用の結果ではなかった(図14Cの下方パネル)。我々がコーティングのためのリガンドタンパク質、および検出のためのGST標識ドメインタンパク質を使用する場合に、非常に同一の結果を、結合アッセイにおいて得た(データは示さない)。これらのデータは、ハプトグロビンおよびヘモグロビンの両方がHp−Hb複合体と比較して低いアフィニティーを有する結合パートナーとしてHarAドメインによって認識され得る、ことを示唆する。しかしながら、血漿中で遊離ヘマグロビンの非常に低い濃度が示される場合には、該生理学的に関連する相互作用は、豊富なハプトグロビンと同様に、HarAおよびハプトグロビン−ヘモグロビン複合体の間であると考えられる。
ハプトグロビンの主な生理学的な役割は、血漿中で細胞外ヘモグロビンと複合体形成することである。本相互作用の極端に高いアフィニティーが示される場合には、ハプトグロビンによる放出ヘモグロビンの捕捉は、ほとんど即時である。ヘモグロビンと結合する場合に、HarAがリガンドとしてハプトグロビンを認識することができるかどうかという問題に取り組むために、我々は、rHarA、並びにHarA−D1およびHarA−D2ドメインタンパク質を用いるインビトロ結合研究を行なった。これらのアッセイにおいて、タンパク質をコーティングしたエライザプレートによって固定化し、次いでハプトグロビン、ハプトグロビン−ヘモグロビン複合体、およびまたヘモグロビンを、量を増加させながら加え、そしてシグナルを、抗−ハプトグロビンまたは抗−ヘモグロビンモノクローナル抗体によって検出した。ハプトグロビンおよびヘモグロビン間の有効な複合体形成は、未変性ゲル分析によって確認した(図14A)。同じモル量の異なるリガンドを用いて得られたシグナル強度を比較することによって、我々は、ハプトグロビンと比べてハプトグロビン−ヘモグロビン複合体の有意に高い結合を検出した。低いリガンド濃度でのより高レベルの結合は高いアフィニティー相互作用を示唆し、そしてこれは、全長HarA、並びにドメインタンパク質の場合に明らかであった(図14BおよびCの上方パネル)。重要なことに、我々は同様にHbの直接的な結合を示すことができるが、該複合体の結合の増大は、HarAドメインとヘモグロビンとの高いアフィニティー相互作用の結果ではなかった(図14Cの下方パネル)。我々がコーティングのためのリガンドタンパク質、および検出のためのGST標識ドメインタンパク質を使用する場合に、非常に同一の結果を、結合アッセイにおいて得た(データは示さない)。これらのデータは、ハプトグロビンおよびヘモグロビンの両方がHp−Hb複合体と比較して低いアフィニティーを有する結合パートナーとしてHarAドメインによって認識され得る、ことを示唆する。しかしながら、血漿中で遊離ヘマグロビンの非常に低い濃度が示される場合には、該生理学的に関連する相互作用は、豊富なハプトグロビンと同様に、HarAおよびハプトグロビン−ヘモグロビン複合体の間であると考えられる。
(図面の説明)
図1(A):LPXTGp5は、N−末端上のシグナルペプチド(SP)、細胞外ドメイン、およびC−末端上のLPXTG細胞局在化シグナル、続いて疎水性膜貫通ドメイン(TM)および正電荷末端(++)から成る、典型的なグラム陽性細胞壁タンパク質であることを示す。該タンパク質の細胞外部分中、2つの高い相同性ドメイン(D1、D2)が同定されている。図1(B)は、LPXTGp5/SA1552/ドメイン、および他の黄色ブドウ球菌タンパク質:LPXTGp6/SA0976/、およびLPXTGp7/SA0977/の間の2次構造の類似度を示す。
図1(A):LPXTGp5は、N−末端上のシグナルペプチド(SP)、細胞外ドメイン、およびC−末端上のLPXTG細胞局在化シグナル、続いて疎水性膜貫通ドメイン(TM)および正電荷末端(++)から成る、典型的なグラム陽性細胞壁タンパク質であることを示す。該タンパク質の細胞外部分中、2つの高い相同性ドメイン(D1、D2)が同定されている。図1(B)は、LPXTGp5/SA1552/ドメイン、および他の黄色ブドウ球菌タンパク質:LPXTGp6/SA0976/、およびLPXTGp7/SA0977/の間の2次構造の類似度を示す。
図2(A):クマシーブルー染色した組み換えLPXTGp5の10%SDS−PAGEゲルを示す。レーン1は、分子量マーカーであり;レーン2は、BSA(2mg/mL)であり;レーン3は、BSA(1mg/mL)であり;そして、レーン4は、LPXTGp5である。図2(B):単離した抗−LPXTGp5抗体を用いる、組み換えLPXTGp5の免疫ブロットを示す。図2(C):エライザにおいて測定されるヒト血清抗−LPXTGp5抗体の力価(上のパネル)を、rLPXTGp5を用いる免疫ブロットシグナル(下方のパネル)と比較した。
図3:健康なドナー(クローズド灰色円形)、および黄色ブドウ球菌で感染した患者(血液感染症−オーブン菱形、創傷感染症−クローズド正方形、他の感染症−クローズド三角形)において標準的なエライザで測定される、抗−LPXTGp5 IgG力価を示す。
図4:健康な非キャリヤー(クローズド灰色円形)、鼻キャリヤー(クローズド黒色円形)および黄色ブドウ球菌で感染した患者(血液感染症−オープン菱形、創傷感染症−クローズド正方形、他の感染症−クローズド三角形)において標準的なエライザで測定される、D1(図A)およびD2(図B)に対するIgG抗体力価を示す。
図5:クマシーブルー染色した2D電気泳動ゲルを示す。IgG枯渇ヒト血漿は、組み換えLPXTGp5タンパク質(20μg)と結合した。特異的な結合パートナーを、試料緩衝液(100μL)−9M ウレア、4% CHAPS、100mM DTT、0.5% SDSを用いて溶出した。ストレプトパクチン(Stretpactin)・アガロースにカップリングしたLPXTGp5と結合する血漿タンパク質(A)、およびストレプトパクチン・アガロース単独(B)、精製したStrepII−標識rLPXTGp5(C)、IgG枯渇ヒト血漿(D)。
図6:対数期までRPMI中で増殖させた8325−4 spa−細胞由来の黄色ブドウ球菌ライセートは、ビオチン標識ハプトグロビンをストレプトアビジン・マトリックス上に固定化することによって調製したアフィニティーカラム上に適用した。ライセートタンパク質とストレプトアビジン・ビーズとの非特異的な結合は、バックグラウンドと見なした(レーン4)。ヒト抗−LPXTGp5抗体を用いる免疫ブロットは、Hp−ストレプトアビジンカラムから溶出される未変性LPXTGp5(レーン3)がハプトグロビンの結合パートナーであることを示した。免疫ブロット法における正コントロールとして、組み換えLPXTGp5(レーン1)および黄色ブドウ球菌8325−4 spa−ライセート(レーン2)を使用した。
図7:黄色ブドウ球菌野生型(8325−4)菌株を、RPMI 1640または脳心浸出物(BHI)培地中のいずれかで増殖し、そして示したOD600nmまで増殖した。全ての細菌ライセートは、リソスタフィン消化および超音波処理を用いて調製した。全タンパク質(20μg)を、7.5%ポリアクリルアミドゲル上にロードした。電気泳動で分離したタンパク質を、半乾燥システムを用いてHybond ECL膜に移した。膜を、アフィニティー精製ヒト抗−LPXTGp5 IgGを用いてプローブし、そして該シグナルを、ECL検出システムを用いて展開した。
図8(A):公知のFur boxヌクレオチド配列と、LPXTGp5遺伝子の上流に位置する推定Fur boxとの比較を示す。図(B):異なる培地(RPMI、RPMI+FeCl3)中での増殖後の、野生型8325−4(wt)およびfur 突然変異体(fur−)菌株由来の黄色ブドウ菌全ライセートの免疫ブロット分析を示す。全タンパク質(10μg)を、7.5%ポリアクリルアミドゲル上にロードした。電気泳動で分離したタンパク質を、半乾燥システムを用いてECL膜に移した。膜を、アフィニティー精製抗−LPXTGp5 IgGを用いてプローブし、そして該シグナルを、ECL検出システムを用いて展開した。
図9:ハプトグロビンと、GST−D1およびGST−D2との結合を、エライザベースアッセイにおいて行なった。ポリソルブ(Polysor)エライザプレートを、ハプトグロビン o/nを用いてコーティングし、次いでGST−1、GST−D2およびGST単独を負コントロールとして、濃度を増大しながら加えた。特定のシグナルを、ビオチン標識GST mAbsおよびストレプトアビジン−HRPOを用いることによって展開した。
図10:黄色ブドウ球菌細胞とのハプトグロビン結合を、FACSベースアッセイにおいて検出した。ビオチン−標識Hp(30μg、12.5μg、5μg)を、RPMI(A、C)または25μM FeCl3で補足したRPMI(B、D)中で増殖した、5×106の黄色ブドウ球菌wt8325−4菌株(A、B)またはfur−(C、D)と一緒に、RTで30分間インキュベートした。洗浄後に、ストレプトアビジン−FITCをRTで30分間加え、次いで細胞を2%Pfaと一緒に固定し、そして試料をFACScanを用いて分析した。コントロール細胞(灰色)の蛍光強度を、30μgのHp(1)、12.5μgのHp(2)および5μgのHp(3)と結合する細胞の蛍光と比較した。
図11:黄色ブドウ球菌細胞とのハプトグロビン結合を、FACSベースアッセイにおいて検出した。単独(1)または9×モル過剰量のD1−GST(2)もしくはGST(2)と複合体形成した、ビオチン標識Hp(12.5μg)を、RPMI中で増殖した5×106黄色ブドウ球菌細胞(wt 8325−4菌株)と一緒に、RTで30分間インキュベートした。洗浄後に、ストレプトアビジン−FITCをRTで30分間かけて加え、次いで細胞を2%Pfaと一緒に固定化し、そして試料をFACScanを用いて分析した。
図12:黄色ブドウ球菌8325−4野生型菌株(wt)、LPXTGp5ノックアウト菌株(LPXTGp5 KO)と結合するハプトグロビンを、FACSベースアッセイにおいて比較した。ビオチン標識HP(20μg、5μg)を、RPMI(A、C、D)または25μM FeCl3(B)で補足したRPMI中で増殖した、5×106黄色ブドウ球菌wt8325−4菌株(A、B)、LPXTGp5 KO(C)またはfur−(D)と一緒に、RTで30分間インキュベートした。洗浄後に、ストレプトアビジン−FITCをRTで30分間かけて加え、次いで細胞を2%Pfaと一緒に固定化し、そして試料をFACScanを用いて分析した。コントロール細胞(灰色)の蛍光強度を、20μgのHp(1)および5μgのHp(2)と結合する細胞の蛍光と比較した。
図13:異なる鉄供給源を含有する培地中での増殖速度を示す。黄色ブドウ球菌wt8325−4細胞を、鉄枯渇RPMI培地(オープン円形)、または25mM FeCl3(クローズド円形)、1mM Hp(オープン三角形、破線)、0.5mM Hb(クローズド三角形、破線)およびHp:Hb複合体(オープン三角形、連続線)を用いて再補足した培地中で増殖した。示した時点で、細菌培養物のOD600nmを測定した。
図14:HarAは、ハプトグロビン−ヘモグロビン複合体と結合する。図A.ハプトグロビン−ヘモグロビン(Hb)複合体(Hp−Hb)は、ハプトグロビン(Hp)およびヘモグロビン(Hb)を1:1のモル比でインキュベートすることによって得て、そしてCBB染色した未変性PAGEゲルによって視覚化した。図B.精製ハプトグロビン(●)およびヘモグロビン(■)の結合は、コーティング試薬としての組み換えHarAおよび検出用試薬としての抗−ヘモグロビンmAbを用いるエライザベースアッセイにおいて、ハプトグロビン−ヘモグロビン複合体(▲)の結合と比較した。図C.GST−D1(充填記号)およびGST−D2(オープン記号)タンパク質をエライザプレート上にコーティングし、そしてHp、HbおよびHp−Hb複合体(Bに示す通り)を、量を増大しながら加えた。シグナルを、モノクローナルの抗ハプトグロビン(上方パネル)または抗ヘモグロビン(下方パネル)抗体を用いて展開した。
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Claims (17)
- ブドウ球菌感染症を予防しまたは治療するための薬物の製造における、ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子の使用。
- 該分子は、ハプトグロビン受容体リガンド結合を破壊することを特徴とする、請求項1記載の使用。
- 該分子は、ハプトグロビン受容体抗体、配列番号2記載のペプチドと結合するハプトグロビンミモトープ、代わりのハプトグロビン受容体、またはそれらのフラグメントからなる群から選ばれる、請求項1または2のいずれかに記載の使用。
- ハプトグロビン受容体抗体またはハプトグロビンミモトープは、配列番号4もしくは配列番号6、またはそれらのフラグメントからなる群から選ばれるペプチドと結合することを特徴とする、請求項3記載の使用。
- 該分子は、ハプトグロビン受容体遺伝子または該ハプトグロビン受容体遺伝子の発現における調節要素(特に、配列番号7記載のFur box)と結合するアンチセンス核酸である、請求項1または2のいずれかに記載の使用。
- 該分子は、配列番号7記載のFur boxと結合する阻害性化合物である、請求項5記載の使用。
- ストリンジェントな条件下で配列番号7記載の配列を有する核酸分子とハイブリダイズする、核酸分子。
- 配列番号3および配列番号5からなる群から選ばれる核酸配列を含有する、単離ポリヌクレオチド。
- 配列番号4および配列番号6からなる群から選ばれるポリペプチド配列を含有する、単離ポリペプチド。
- 非天然リンカーによって配列番号6記載のペプチドと結合する、配列番号4記載のペプチドを含有する、合成接合体。
- 該非天然リンカーはポリペプチドであることを特徴とする、請求項10記載の合成接合体。
- ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子の単離方法であって、工程:
ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントを固体表面上に供し;
標識ハプトグロビンを、該固定化ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントと結合して、該固定化ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントと該標識ハプトグロビンとの間で複合体を生成し;
該複合体を、候補分子を含有する貯蔵物と接触し;
該複合体中の該標識ハプトグロビンを置換する、該貯蔵物の分子を測定し;そして、
該複合体中にある該標識ハプトグロビンを置換する該分子を単離する、
ことを含む、該方法。 - ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子の単離方法であって、工程:
固体表面上に固定化したハプトグロビンを供し;
標識ハプトグロビンポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントを、該固定化ハプトグロビンと結合して、該固定化ハプトグロビンと該標識ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントとの間で複合体を生成し;
該複合体を、候補分子を含有する貯蔵物と接触し;
該複合体中の該標識ハプトグロビン受容体ポリペプチドまたはそのハプトグロビン結合性フラグメントを置換しそして該固定化ハプトグロビンと結合する、該貯蔵物の分子を測定し;そして、
固定化ハプトグロビンと結合する該貯蔵物の該分子を単離する、
ことを含む、該方法。 - ハプトグロビン受容体リガンド結合と相互作用する分子の単離方法であって、工程:
候補分子の貯蔵物を供し;
固定化ハプトグロビン受容体またはそのハプトグロビン結合性フラグメントと結合する分子を、該貯蔵物から取り出し且つ単離し;
固定化ハプトグロビンと結合する分子を、該貯蔵物から取り出し且つ単離し;
候補分子の残りの貯蔵物を、ハプトグロビンとハプトグロビン受容体またはそのハプトグロビン結合性フラグメントとの間で生成した固定化複合体と接触し;そして、
該固定化複合体と結合する該分子を単離する、
ことを含む、該方法。 - 該ハプトグロビン結合性フラグメントは、配列番号4、配列番号6、およびそれらのフラグメントまたはこれらフラグメントの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1つに記載の方法。
- 該ハプトグロビン受容体は黄色ビドウ球菌ハプトグロビン受容体であることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか1つに記載の方法。
- 該ハプトグロビンはヒトハプトグロビンであることを特徴とする、請求項12〜16のいずれか1つに記載の方法。
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