Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP2006312282A - 印刷ブランケットの製造方法 - Google Patents

印刷ブランケットの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006312282A
JP2006312282A JP2005136128A JP2005136128A JP2006312282A JP 2006312282 A JP2006312282 A JP 2006312282A JP 2005136128 A JP2005136128 A JP 2005136128A JP 2005136128 A JP2005136128 A JP 2005136128A JP 2006312282 A JP2006312282 A JP 2006312282A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
printing
layer
porous layer
blanket
printing blanket
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005136128A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4680668B2 (ja
Inventor
Makoto Sugitani
信 杉谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2005136128A priority Critical patent/JP4680668B2/ja
Publication of JP2006312282A publication Critical patent/JP2006312282A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4680668B2 publication Critical patent/JP4680668B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Optical Filters (AREA)

Abstract

【課題】 印刷ブランケットの表面にインキを塗布し、次いで、凹版と接触させて、不要部分のインキを凹版に転写させて除去した後、表面に残留したインキを、被印刷体の表面に転写する印刷方法に用いる、表面印刷層と、基材と、多孔質層とが一体に形成されると共に、各層が精度良く、均一に形成された印刷ブランケットを、簡易、かつ安価に製造することができる印刷ブランケットの製造方法を提供する。
【解決手段】 基材の片面に、液状シリコーンゴムと中空微小球とを含む液状の混合物を塗布すると共に、基材を水平に維持しながら、液状シリコーンゴムを硬化させることで、厚みや内部構造が均一な多孔質層を形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、印刷ブランケットの表面にインキを塗布し、次いで、凹版と接触させて、不要部分のインキを凹版に転写させて除去した後、表面に残留したインキを、被印刷体の表面に転写する印刷方法に使用される印刷ブランケットの製造方法に関するものである。
近年、オフセット印刷法の1種として、印刷ブランケットの表面にインキを塗布し、次いで、凹版と接触させることで、凹版の凹部パターン以外の凸部と接触したインキを凹版側に転写させて除去した後、表面に残留した、凹部パターンに対応したインキを、被印刷体の表面に転写する印刷方法が、細かいパターンの印刷が可能であることから、例えば、液晶表示素子用のカラーフィルタの印刷等において、普及しつつある。
この印刷方法の特徴の一つに、印刷時の圧力(印圧)を著しく小さくできることが挙げられる。しかし、印圧が小さいと、印刷ブランケットの表面印刷層の、厚みや表面粗さのムラやばらつきなどが、印刷結果に及ぼす影響が大きくなる。そのため、上記の印刷方法に使用する印刷ブランケットは、より高精度であることが求められる。つまり、印刷ブランケットの表面印刷層は、厚みが均一であると共に、表面粗さが一定であることが求められる。
また、通常の、精密印刷用途に使用される印刷ブランケットは、その下に、当該印刷ブランケットと別体に形成した多孔質層を、印刷ブランケットの仕立て量や印圧を調整するために、アンダーブランケットとして積層した状態で、印刷に使用されることが多いが、上記の印刷方法では、両者の間に少しでも隙間が生じると、それが、印刷結果に影響を及ぼすため、多孔質層は、印刷ブランケットの基材と一体に形成する必要がある。つまり、基材の片面に、多孔質層を一体に形成すると共に、反対面には、表面印刷層を一体に形成した印刷ブランケットが必要とされる。そして、多孔質層を一体に形成する場合は、その内部構造や厚みが均一であることが求められる。なお、基材の片面に多孔質層を形成し、その上に表面印刷層を形成した場合には、表面印刷層が柔らかくなりすぎて、良好な印刷を行うことができない。上記のように、基材の片面に多孔質層、反対面に表面印刷層を形成した構成に限定される。
また、近時、液晶表示素子等の製造コストを低減するため、多数の被印刷物(液晶表示素子の場合はガラス基板等)の表面に、同時に印刷を行う、いわゆる多面取りを実施することが検討されており、それに対応して、上記印刷ブランケットの大型化が求められる傾向にある。
特許文献1には、片面に多孔質層を一体に形成した基材と、表面印刷層を形成するゴムに対して離型性を有するPET等のフィルムとを金型内に仕込み、当該金型内の、基材とフィルムとの間に、表面印刷層を形成する材料を注入して層状に成形した後、型を開いて取り出した積層体の、表面印刷層の表面からフィルムをはく離することで、表面平滑性に優れた表面印刷層を形成することが記載されている。
しかし、上記の方法では金型を使用することから、印刷ブランケットが大型化するほど、大掛かりな金型を必要とし、その分、印刷ブランケットの製造コストが増加する上、大型化するほど、金型の歪みを生じやすく、表面印刷層の厚みの精度を出すのが難しくなるという問題がある。
特許文献2には、液状のシリコーンゴムを基材上に塗布し、塗布面を水平に保持してセルフレベリングさせた後、硬化させて表面印刷層を形成する方法が記載されている。この方法によれば、大掛かりな金型を使用することなく、大面積の印刷ブランケットの表面印刷層を形成することができる。また、その厚みを均一化することもできる。しかし、特許文献2には、多孔質層を形成することについては記載されていない。
先に説明したように、印刷ブランケットの表面にインキを塗布し、次いで、凹版と接触させて、不要部分のインキを凹版に転写させて除去した後、表面に残留したインキを、被印刷体の表面に転写する印刷方法においては、多孔質層が、印刷ブランケットの基材と一体に形成されている必要があるため、特許文献2の製造方法では、目的とする印刷ブランケットを製造することができない。
特開平8−112981号公報(請求項1、第0016欄〜第0017欄、図5) 特開2003−136856号公報(請求項1、第0011欄、第0014欄〜第0017欄、図1、図3〜図10)
本発明の目的は、印刷ブランケットの表面にインキを塗布し、次いで、凹版と接触させて、不要部分のインキを凹版に転写させて除去した後、表面に残留したインキを、被印刷体の表面に転写する印刷方法に用いる、表面印刷層と、基材と、多孔質層とが一体に形成されると共に、各層が精度良く、均一に形成された印刷ブランケットを、簡易、かつ安価に製造することができる印刷ブランケットの製造方法を提供することにある。
請求項1記載の発明は、印刷ブランケットの表面にインキを塗布し、次いで、凹版と接触させて、不要部分のインキを凹版に転写させて除去した後、表面に残留したインキを、被印刷体の表面に転写する印刷方法に使用される、基材の片面に多孔質層、反対面に表面印刷層を備える印刷ブランケットの製造方法であって、液状シリコーンゴム100重量部に対して、中空微小球1〜30重量部を加えた液状の混合物を調製する工程と、混合物を基材の片面に塗布すると共に、基材を水平に保持した状態で、液状シリコーンゴムを硬化させて、基材と一体化された多孔質層を形成する工程と備えることを特徴とする印刷ブランケットの製造方法である。
請求項2記載の発明は、中空微小球の熱変形温度未満の温度で液状シリコーンゴムを硬化させて、多孔質層を形成する請求項1記載の印刷ブランケットの製造方法である。
請求項3記載の発明は、基材の、多孔質層を一体化した側と反対面に、液状シリコーンゴムを塗布すると共に、基材を水平に保持した状態で、液状シリコーンゴムを硬化させて、基材と一体化された表面印刷層を形成する工程を備える請求項1記載の印刷ブランケットの製造方法である。
請求項4記載の発明は、中空微小球の熱変形温度未満の温度で液状シリコーンゴムを硬化させて、表面印刷層を形成する請求項3記載の印刷ブランケットの製造方法である。
請求項5記載の発明は、基材の反対面に表面印刷層を形成するに先立って、多孔質層の表面にフッ素系樹脂の層を形成する工程を備える請求項3記載の印刷ブランケットの製造方法である。
請求項1記載の発明においては、多孔質層のもとになる混合物を、基材の片面に塗布すると共に、基材を水平に保持して、混合物の重みによって、その厚みを均一に均した状態で、液状シリコーンゴムを硬化させることで、基材と一体化した多孔質層を形成している。そのため、多孔質層の厚みを均一化することができる。
また、液状の混合物中に配合された中空微小球は、混合物を基材の片面に塗布して、液状シリコーンゴムを硬化させるまでの間に、自らの浮力によって、混合物中の、厚み方向の所定の領域に均一に分布した状態で、液状シリコーンゴムの硬化によって形成される多孔質層中に固定される。そのため、多孔質層の内部構造を均一化することもできる。しかも、大掛かりな金型を使用することなく、多面取りに対応した大面積の印刷ブランケットの多孔質層を形成することができる。
したがって、請求項1記載の発明によれば、表面印刷層と、基材と、多孔質層とが一体に形成されると共に、各層が精度良く、均一に形成された印刷ブランケットを、簡易、かつ安価に製造することが可能となる。
また、請求項2記載の発明によれば、中空微小球が、液状シリコーンゴムの硬化時の熱によって不規則に膨張したり破泡したりするのを防止して、より一層、厚みや内部構造が均一な多孔質層を形成することができる。
また、請求項3記載の発明によれば、上記多孔質層だけでなく、表面印刷層をも、同様の方法で、基材と一体に形成しているため、その厚みを均一化することができる。しかも、大掛かりな金型を使用することなく、多面取りに対応した大面積の印刷ブランケットの表面印刷層を形成することができる。したがって、請求項3記載の発明によれば、表面印刷層と、基材と、多孔質層とが一体に形成されると共に、各層が精度良く、均一に形成された印刷ブランケットを、より一層、簡易、かつ安価に製造することが可能となる。
また、請求項4記載の発明によれば、先に形成された多孔質層中の中空微小球が、表面印刷層を形成する際の、液状シリコーンゴムの硬化時の熱によって不規則に膨張したり破泡したりするのを防止して、より一層、厚みや内部構造が均一な多孔質層を形成することができる。
さらに、請求項5記載の発明によれば、表面印刷層の厚みを、より一層、均一化することができる。すなわち、形成直後の多孔質層の表面には若干の粘着性が残っていることがあり、また、粘着性が残っていなくても、例えば、表面印刷層を形成すべく、基材と多孔質層との積層体を、多孔質層を下にして載置する、水平台等の表面に対するすべりが悪いことが多い。そのため、多孔質層と水平台等との間に空気が巻き込まれる等して、水平台等の上に保持させた基材の、表面印刷層を形成する反対面がムラやシワになったり、多孔質層の表面に付着した微小なゴミ等の影響で、上記反対面が凹凸になったりして、均一な厚みを有する表面印刷層を形成する妨げとなるおそれがある。
これに対し、請求項5記載の発明によれば、表面印刷層の形成に先立って、多孔質層の表面に、すべり性のよいフッ素系樹脂の層を形成しているため、積層体を、多孔質層を下にして、水平台等に保持させる際のすべり性を向上するとともに、微小なゴミ等の付着を防止して、当該積層体を、できる限り水平に保持させることができ、形成される表面印刷層の厚みを、より一層、均一化することができる。
また、上記フッ素系樹脂の層は、基材の反対面に表面印刷層を形成して製造された印刷ブランケットを、オフセット印刷機のブランケット胴の外周に巻きつける際のすべり性を向上する働きもする。そのため、印刷ブランケットを、作業性よく、しかも、できるだけ均一な厚みで、ブランケット胴の外周に巻きつけて、良好な印刷を行うことも可能となる。
本発明の製造方法においては、まず、印刷ブランケットのもとになる基材を用意する。基材としては、表面印刷層や多孔質層の伸縮を抑制して、印刷の精度を向上するために、伸縮性の小さいフィルムを用いるのが好ましい。また、伸縮性の小さいフィルムとしては、例えば、印刷ブランケットを、テンションをかけてブランケット胴に巻き付ける際に、多孔質層や表面印刷層を補強して、両層が面方向に不規則に伸縮するのを抑制することができる、種々のフィルムが、いずれも使用可能である。
特に、アルミニウム、ステンレス等の金属の薄板(金属箔)や、あるいは、日本工業規格JIS K7127-1999「プラスチック−引張特性の試験方法 第3部:フィルム及びシートの試験条件(ISO 527−3:1995)」で規定された試験方法によって測定される、室温(23±1℃)での引張弾性率が1000MPa以上、特に2000〜5000MPaである樹脂のフィルム等が、伸縮性の小さいフィルムとして好適に使用される。また、引張弾性率が上記の範囲内にある樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルのフィルムや、ポリカーボネートのフィルム等が挙げられる。
基材の厚みは、これに限定されないが、0.1〜0.5mmであるのが好ましく、0.2〜0.45mmであるのがさらに好ましい。基材の厚みがこの範囲未満では、当該基材による、多孔質層や表面印刷層を補強して、両層が面方向に不規則に伸縮するのを抑制する効果が不十分になるおそれがある。また、印刷ブランケットのコシが弱くなって折れ曲がったりしやすくなって、ブランケット胴に巻き付ける作業が難しくなるおそれもある。また、基材の厚みが上記の範囲を超える場合には、印刷ブランケットのコシが強くなりすぎて、却って、ブランケット胴に巻き付ける作業が難しくなるおそれがある。
次に、本発明の製造方法においては、上記基材の片面に形成する多孔質層のもとになる液状の混合物を調製する。混合物は、液状シリコーンゴムと中空微小球とを配合し、中空微小球が液状シリコーンゴム中に均一に分散されるように混合することで調製される。
液状シリコーンゴムとしては、例えば、その硬化形態と、硬化前の状態とによって分類される、縮合型の1液タイプまたは2液タイプの液状シリコーンゴム、付加型の1液タイプ、2液タイプまたは3液タイプの液状シリコーンゴム、紫外線硬化型の1液タイプの液状シリコーンゴム等の、室温硬化型(RTV)の液状シリコーンが、いずれも使用可能である。ただし、多孔質層の厚みや内部構造を、より一層、均一化することを考慮すると、硬化時にガスが発生しない付加型の液状シリコーンゴムを使用するのが好ましい。
また、中空微小球としては、例えば、米国特許第4,770,928号公報、特開平3−244595号公報、特表平7−505341号公報等に開示された、殻体が熱可塑性樹脂によって形成された、従来公知の種々の中空微小球が、いずれも使用可能である。特に、インキに対する耐脂性等を考慮すると、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル等の、重合性のモノマーの単独重合体、これらモノマーを含む2種のモノマーの共重合体、3種以上のモノマーの多元共重合体等によって殻体が形成された中空微小球が好ましい。
中空微小球の粒径は、特に限定されないが、多孔質層による、印圧を調整する効果を良好に発揮させるためには、その平均粒径が、20〜200μm、特に40〜150μmであるのが好ましい。なお、粒径は、次に述べる未発泡の中空微小球の場合は、加熱して発泡させた後の粒径である。
中空微小球としては、例えば、ノーベル社製のエクスパンセルシリーズの中空微小球や、あるいは松本油脂製薬(株)製の中空微小球などが挙げられる。これらの中空微小球はいずれも、熱可塑性樹脂の殻体中に、空隙のもとになる有機溶剤が封入された未発泡のものと、有機溶剤を加熱により気化させて、殻体の内部に空隙を形成した発泡済みのものとが供給されており、本発明では、このいずれのものも使用可能である。なお、前者の、未発泡の中空微小球を使用する場合は、液状シリコーンゴムに加えて塗布液を形成する前に、加熱により殻体中の有機溶剤を気化させて、中空微小球を所定の粒径まで発泡させておくのが好ましい。
中空微小球は、液状シリコーンゴム100重量部に対して1〜30重量部の割合で配合する必要がある。中空微小球の配合割合がこの範囲未満では、多孔質層による、印圧を調整する効果が得られない。一方、中空微小球の配合割合がこの範囲を超える場合には、多孔質層が柔らかくなりすぎて、印刷精度が低下する。また、液状シリコーンゴムと中空微小球の混合物の粘度が高くなりすぎて、当該混合物を、基材の片面に均一に塗布したり、塗布した混合物の厚みを、自らの重みによって均一に均させたり、中空微小球を、自らの浮力によって、均一に分布させたりすることができなくなる。そのため、厚みや内部構造が均一な多孔質層を得ることができないという問題がある。
なお、厚みや内部構造がより一層、均一で、しかも、印刷精度に優れる上、印圧を調整する効果にも優れた多孔質層を形成することを考慮すると、中空微小球は、液状シリコーンゴム100重量部に対して、2〜25重量部、特に、5〜20重量部の割合で配合するのが好ましい。また、混合物には、その粘度等を調製するために、環状シリコーンオイル等を含有させてもよい。
次に、本発明の製造方法においては、基材の片面に、液状シリコーンゴムと中空微小球とを含む液状の混合物を塗布すると共に、基材を水平に保持した状態で、液状シリコーンゴムを硬化させる。具体的には、例えば、基材の片面に、混合物を所定の厚みに塗布した後、基材を、水平台上に載置する等して水平に保持した状態で、液状シリコーンゴムを硬化させるか、あるいは、基材を、先に、水平台上に載置する等して水平に保持した状態で、その片面に、混合物を所定の厚みに塗布して、液状シリコーンゴムを硬化させる。
そうすると、混合物が、自らの重みによって厚みが均一に均された状態で硬化されると共に、混合物中の中空微小球が、自らの浮力によって、厚み方向の所定の領域に均一に分布した状態で、層中に固定されるため、厚みや内部構造が均一で、しかも基材と一体化された多孔質層を、大掛かりな金型等を使用することなしに、簡便に形成することができる。
基材の片面に混合物を塗布するためには、例えば、ロールコーター、バーコーター、フローコーター、グラビアコーター、スプレー、アプリケータ等を用いた通常の塗布方法を採用することができる。塗布は、一度に行ってもよいし、数回に分けて行ってもよい。また、基材は、水平台上に単に載置するだけでもよいが、基材のたるみや巻き癖、液状シリコーンゴムの硬化時の収縮によるカール等の発生を防止して、基材の水平を維持するためには、水平台上に、基材を、密着させた状態で固定するのが好ましい。水平台上に、基材を、密着させた状態で固定するためには、例えば、基材を、テンションをかけて水平台の表面に密着させる方法、水平台に、吸引のための孔や溝を設け、この孔や溝を通して水平台と基材との間の空気を吸引して、基材を水平台の表面に密着させる方法等が挙げられる。
液状シリコーンゴムの硬化は、中空微小球の熱変形温度未満の温度で行うのが好ましい。これにより、中空微小球が、液状シリコーンゴムの硬化時の熱によって不規則に膨張したり破泡したりするのを防止して、より一層、厚みや内部構造が均一な多孔質層を形成することができる。
中空微小球の熱変形温度は、例えば所定量の中空微小球を、一定温度に保持されたオーブン中などの、加圧しない大気圧条件下で一定時間(30分間程度)、加熱した際に、この一定時間内に、中空微小球を形成する熱可塑性樹脂の殻体が軟化、溶融して、中空微小球が膨張したり破泡したり、融着により多数の中空微小球が凝集、一体化したりする現象が発生する最低温度でもって規定することとする。
室温硬化型の液状シリコーンゴムは、その名のとおり、室温(23±1℃)で硬化可能であるので、通常は、塗布液を塗布した後、加熱せずに、室温環境下でそのまま一定時間、静置して硬化反応させて多孔質層を形成するのが、中空微小球の膨張や破泡等をより確実に防止すると共に、硬化工程に要する熱エネルギーを省略できる点で好ましい。しかし、例えば、付加型の液状シリコーンゴムは、加熱によって硬化反応の反応速度を高めることができるので、上で説明した中空微小球の熱変形温度未満の温度範囲内で加熱して硬化反応を促進させることによって、その硬化時間を短縮して、多孔質層の、ひいては印刷ブランケットの生産性を向上することもできる。
多孔質層のもとになる混合物は、基材の片面に直接に塗布してもよいし、基材の片面に、あらかじめ、中間層を形成した上に塗布してもよい。中間層としては、基材の片面に、多孔質層を、密着性よく、かつ強固に、一体に積層することができる種々の層が挙げられる。詳しくは、基材を形成する金属または樹脂に対する密着性、または基材を形成する樹脂に対する相溶性に優れると共に、多孔質層を形成するシリコーンゴムに対する密着性、または相溶性にも優れた材料からなるプライマ層や、自己接着性、粘着性を有する接着層等が、中間層として好適に採用される。
このうち、プライマ層の例としては、シランカップリング剤の層等が挙げられる。また、接着層の例としては、シリコーンゴムの層等が挙げられる。中間層は、任意の厚みに形成することができる。また、中間層を省略して、基材の片面に直接に、混合物を塗布して多孔質層を形成する場合には、例えば、基材の表面を物理的あるいは化学的に表面処理して、シリコーンゴムに対する親和性を付与して、基材に対する多孔質層の密着性を向上させるのが好ましい。
多孔質層の厚みは、これに限定されないが、0.05〜2mm、特に、0.3〜1mmであるのが好ましい。多孔質層の厚みがこの範囲未満では、当該多孔質層を形成することによる効果、すなわち、印刷ブランケットの仕立て量や印圧を調整する効果が十分に得られないおそれがある。また、印刷ブランケットの厚みを増加させることで、そのコシを強くして、特に大面積化した際に折れ曲がりにくくする効果が十分に得られないことから、ブランケット胴に巻き付ける作業が難しくなるおそれもある。
また、多孔質層の厚みが上記の範囲を超える場合には、相対的に、基材の厚みが小さくなりすぎて、当該基材による、多孔質層や表面印刷層を補強して、両層が面方向に不規則に伸縮するのを抑制する効果が不十分になったり、印刷ブランケットのコシが弱くなって折れ曲がったりしやすくなったりするおそれがある。
次に、本発明では、基材の反対面に表面印刷層を形成するのであるが、それに先立って、多孔質層の表面に、フッ素系樹脂の層を形成するのが好ましい。これにより、先に説明したように、多孔質層の表面に良好なすべり性を付与して、基材と多孔質層との積層体を、多孔質層を下にして、水平台上に、できるだけ水平に保持させて、基材の反対面に、より均一な厚みを有する表面印刷層を形成したり、表面印刷層を形成して製造した印刷ブランケットを、オフセット印刷機のブランケット胴の外周に、作業性よく、かつ、できるだけ均一な厚みで巻きつけて、良好な印刷を行ったりすることが可能となる。
フッ素系樹脂の層は、基材を、水平台上に水平に保持して多孔質層を形成した後、この水平に保持した状態を維持しながら、引き続いて、多孔質層の表面に形成するのが、層の厚みをできるだけ均一にする上で好ましい。また、フッ素系樹脂の層を形成するためには、種々の塗布方法が採用できるが、とくにエアーガンやスプレーを用いてできるだけ薄く塗布するのが、その厚みをできるだけ均一にする上で好ましい。
フッ素樹脂の層の厚みは、0.5〜10μmであるのが好ましい。上記のように、フッ素樹脂の層は、できるだけ薄いのが好ましいが、層の厚みがこの範囲未満では、その強度に問題を生じるおそれがある。そして、印刷ブランケットをオフセット印刷機のブランケット胴の外周に巻きつける際等に、フッ素樹脂の層が破損しやすくなるため、印刷ブランケットを、作業性よく、かつ、できるだけ均一な厚みでブランケット胴の外周に巻きつけて、良好な印刷を行ったりできなくなるおそれがある。
また、フッ素樹脂の層の厚みが上記の範囲を超える場合には、その厚みにばらつきを生じやすくなり、厚みにばらつきを生じると、基材の反対面に表面印刷層を形成する際に、基材に凹凸を生じて、均一な厚みを有する表面印刷層を形成できなくなったり、製造した印刷ブランケットを、オフセット印刷機のブランケット胴の外周に、作業性よく、かつ、できるだけ均一な厚みで巻きつけて、良好な印刷を行ったりできなくなるおそれがある。
フッ素系樹脂としては、例えば、テトラフロロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等の1種または2種以上が挙げられる。
表面印刷層は、非多孔質に形成される。かかる非多孔質の表面印刷層は、種々の形成方法によって形成することができるが、特に、基材の反対面に、液状シリコーンゴムを塗布すると共に、基材を水平に保持した状態で、液状シリコーンゴムを硬化させて、基材と一体化された表面印刷層を形成する方法が好適に採用される。具体的には、例えば、表裏を反転させた基材の反対面に、液状シリコーンゴムを所定の厚みに塗布した後、基材を、水平台上に固定する等して水平に保持した状態で、液状シリコーンゴムを硬化させるか、あるいは、基材を、先に、水平台上に固定する等して水平に保持した状態で、その片面に、液状シリコーンゴムを所定の厚みに塗布して硬化させることで、表面印刷層が形成される。この方法によれば、厚みが均一な表面印刷層を、大掛かりな金型等を使用することなしに、簡便に形成することができる。
液状シリコーンゴムとしては、多孔質層で使用したのと同じ、室温硬化型の種々の液状シリコーンゴムを使用することができる。液状シリコーンゴムには、その粘度を調製するために、環状シリコーンオイル等を配合してもよい。液状シリコーンゴムの塗布方法や、基材を水平台上に固定する方法は、前記と同様でよい。基材と表面印刷層との間には、前記と同様の中間層を介在させてもよい。
液状シリコーンゴムの硬化は、中空微小球の熱変形温度未満の温度で行うのが好ましい。これにより、先に形成した多孔質層中の中空微小球が、表面印刷層を形成する際の、液状シリコーンゴムの硬化時の熱によって不規則に膨張したり破泡したりするのを防止して、より一層、厚みや内部構造が均一な多孔質層を形成することができる。
先に説明したように、室温硬化型の液状シリコーンゴムは、室温で硬化可能であるので、表面印刷層についても、通常は、塗布液を塗布した後、加熱せずに、室温環境下でそのまま一定時間、静置して硬化反応させて形成するのが、中空微小球の膨張や破泡等をより確実に防止すると共に、硬化工程に要する熱エネルギーを省略できる点で好ましい。ただし、付加型の液状シリコーンゴムを使用すると共に、中空微小球の熱変形温度未満の温度範囲内で加熱して硬化反応を促進させることによって、その硬化時間を短縮して、表面印刷層の、ひいては印刷ブランケットの生産性を向上することもできる。
表面印刷層の厚みは、これに限定されないが、0.01〜1.2mm、特に、0.1〜1mmであるのが好ましい。厚みがこの範囲未満である表面印刷層を形成するためには、液状シリコーンゴムの塗布量をごく少量にしなければならず、レベリング性が低下して、表面印刷層の厚みの均一性が損なわれるおそれがある。また、厚みがこの範囲を超える場合には、多孔質層による、印圧を調整する効果が十分に得られないおそれがある。
上記の各層を備えた印刷ブランケットの全体の厚みは、0.7〜3mmであるのが好ましく、0.9〜2mmであるのがさらに好ましい。印刷ブランケットの厚みがこの範囲未満では、印刷ブランケットの仕立て量や印圧を調整すると共に、印刷ブランケットの厚みを増加させて、そのコシを強くして、特に大面積化した際に折れ曲がりにくくする効果が十分に得られないことから、ブランケット胴に巻き付ける作業が難しくなるおそれがある。また、印刷ブランケットの厚みが上記の範囲を超える場合には、コシが強くなりすぎて、却って、ブランケット胴に巻き付ける作業が難しくなるおそれがある。
上記本発明の製造方法によって製造される印刷ブランケットは、先に説明したように、印刷ブランケットの表面の全面にインキを塗布し、次いで、凹版と接触させて、不要部分のインキを凹版に転写させて除去した後、表面に残留したインキを、被印刷体の表面に転写する印刷方法に使用される。
この際、本発明の製造方法によれば、多孔質層が均一な厚みと内部構造に形成されると共に、表面印刷層が均一な厚みに形成されることから、上記印刷方法における小さい印圧によっても、良好な印刷を行うこととが可能となる。
実施例1:
付加型の液状シリコーンゴム〔信越シリコーン社製のKE1606〕100重量部に、中空微小球〔松本油脂社製のMFL80CA、熱変形温度140〜150℃〕10重量部を加え、混合して均一に分散させた後、さらに上記液状シリコーンゴム用の硬化剤10重量部を加えて、多孔質層用の、液状の混合物を調製した。
次に、この混合物を、吸引のための多数の孔を設けた水平台上に載置し、吸引して、水平台の表面に密着させた、厚み0.30mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの、露出した上側の面の、120cm×150cmの領域に、バーコーターを用いて塗布した後、室温(23±1℃)で24時間、静置して液状シリコーンゴムを硬化させることで、厚み0.7mmの多孔質層を形成した。
次に、PETフィルムを水平台の表面に密着させた状態を維持しながら、形成した多孔質層の表面に、スプレーを用いて、PTFE4重量%と、溶剤96重量%とを含む塗布液を塗布し、室温で1時間、乾燥させて、厚み5μmのPTFEの層を形成した後、基材を、表裏を反転させ、反対面を上にして、再び水平台上に載置し、吸引して、水平台の表面に密着させた。そして、当該反対面に、前記と同じ付加型の液状シリコーンゴム100重量部と、硬化剤10重量部とを配合した表面印刷層用の、液状の混合物を、バーコーターを用いて塗布した後、室温(23±1℃)で24時間、静置して液状シリコーンゴムを硬化させることで、厚み0.7mmの、非多孔質の表面印刷層を形成して、印刷ブランケットを製造した。
製造した印刷ブランケットの厚みを、その面内において、10cm間隔で、計154点で、キーエンス社製の変位測定器を用いて測定して、そのうちの最大値と最小値との差を求めたところ、0.031mmであって、厚みが均一であることが確認された。
次に、この印刷ブランケットを、前記の印刷方法に対応した印刷機の、ブランケット胴に装着した。また、凹版としては、深さ5μm、線幅20μmの凹部パターンを有する平板状のものを用いた。そして、印刷ブランケットの表面の全面にインキを塗布した状態で、凹版の上を転がして、凹版の凹部パターン以外の凸部と接触したインキを凹版側に転写させた後、印刷ブランケットおよび凹版の表面を観察した。そうしたところ、凹版の凹部パターンに対応したインキを、良好に、ほぼ均一な厚みでもって、印刷ブランケットの表面に残留させると共に、凹部パターン以外の凸部と接触したインキを、凹版側に良好に転写させることができた。
実施例2:
液状シリコーンゴム100重量部に対する中空微小球の量を1重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、多孔質層用の、液状の混合物を調製した。そしてこの混合物を用いて多孔質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、印刷ブランケットを製造した。
製造した印刷ブランケットの、面内の154点での厚みを、前記と同様にして測定して、そのうちの最大値と最小値との差を求めたところ、0.029mmであった。
次に、上記印刷ブランケットを、実施例1で使用したのと同じ印刷機の、ブランケット胴に装着した。また、凹版としては、深さ5μm、線幅20μmの凹部パターンを有する平板状のものを用いた。そして、印刷ブランケットの表面の全面にインキを塗布した状態で、凹版の上を転がして、凹版の凹部パターン以外の凸部と接触したインキを凹版側に転写させた後、印刷ブランケットおよび凹版の表面を観察した。そうしたところ、凹版の凹部パターンに対応したインキを、良好に、ほぼ均一な厚みでもって、印刷ブランケットの表面に残留させると共に、凹部パターン以外の凸部と接触したインキを、凹版側に良好に転写させることができた。
実施例3:
液状シリコーンゴム100重量部に対する中空微小球の量を30重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、多孔質層用の、液状の混合物を調製した。そしてこの混合物を用いて多孔質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、印刷ブランケットを製造した。
製造した印刷ブランケットの、面内の154点での厚みを、前記と同様にして測定して、そのうちの最大値と最小値との差を求めたところ、0.034mmであった。
次に、上記印刷ブランケットを、実施例1で使用したのと同じ印刷機の、ブランケット胴に装着した。また、凹版としては、深さ5μm、線幅20μmの凹部パターンを有する平板状のものを用いた。そして、印刷ブランケットの表面の全面にインキを塗布した状態で、凹版の上を転がして、凹版の凹部パターン以外の凸部と接触したインキを凹版側に転写させた後、印刷ブランケットおよび凹版の表面を観察した。そうしたところ、凹版の凹部パターンに対応したインキを、良好に、ほぼ均一な厚みでもって、印刷ブランケットの表面に残留させると共に、凹部パターン以外の凸部と接触したインキを、凹版側に良好に転写させることができた。
実施例4:
多孔質層の表面にフッ素系樹脂の層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、印刷ブランケットを製造した。
製造した印刷ブランケットの、面内の154点での厚みを、前記と同様にして測定して、そのうちの最大値と最小値との差を求めたところ、0.040mmであった。
次に、上記印刷ブランケットを、実施例1で使用したのと同じ印刷機の、ブランケット胴に装着した。また、凹版としては、深さ5μm、線幅20μmの凹部パターンを有する平板状のものを用いた。そして、印刷ブランケットの表面の全面にインキを塗布した状態で、凹版の上を転がして、凹版の凹部パターン以外の凸部と接触したインキを凹版側に転写させた後、印刷ブランケットおよび凹版の表面を観察した。そうしたところ、凹版の凹部パターンに対応する、印刷ブランケットの表面に残留させたインキが僅かにムラになっているのが見られた。そして、このことから、多孔質層の表面にフッ素系樹脂の層を形成しない場合は、実用上、差し支えない程度ではあるが、表面印刷層に厚みムラを生じることがわかった。
比較例1:
実施例1で使用したのと同じ多孔質層用の混合物を、吸引のための多数の孔を設けた水平台上に載置し、吸引して、水平台の表面に密着させた、厚み0.30mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの、露出した上側の面の、120cm×150cmの領域に、バーコーターを用いて塗布した後、室温(23±1℃)で24時間、静置して液状シリコーンゴムを硬化させることで、厚み0.7mmの多孔質層を形成して、アンダーブランケットを製造した。
また、実施例1で使用したのと同じ表面印刷層用の混合物を、上記とは別に用意し、吸引のための多数の孔を設けた水平台上に載置し、吸引して、水平台の表面に密着させた、厚み0.30mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの、露出した上側の面の、120cm×150cmの領域に、バーコーターを用いて塗布した後、室温(23±1℃)で24時間、静置して液状シリコーンゴムを硬化させることで、厚み0.7mmの、非多孔質の表面印刷層を形成して、基材と表面印刷層の2層構造を有する印刷ブランケットを製造した。
製造したアンダーブランケット、および印刷ブランケットの、面内の154点での厚みを、前記と同様にして測定して、そのうちの最大値と最小値との差を求めたところ、アンダーブランケットは0.020mm、印刷ブランケットは0.015mmであった。
次に、上記印刷ブランケットの基板側に、アンダーブランケットを重ねた状態で、実施例1で使用したのと同じ印刷機の、ブランケット胴に装着した。また、凹版としては、深さ5μm、線幅20μmの凹部パターンを有する平板状のものを用いた。そして、印刷ブランケットの表面の全面にインキを塗布した状態で、凹版の上を転がして、凹版の凹部パターン以外の凸部と接触したインキを凹版側に転写させた後、印刷ブランケットおよび凹版の表面を観察した。そうしたところ、凹版の凹部パターンに対応する、印刷ブランケットの表面に残留させたインキの一部が薄くなっており、また、凹版の凹部の底にごくわずかインキが付着しているのが見られた。そして、このことから、印刷ブランケットの下にアンダーブランケットを積層した構成では、転写時に、両者の間に隙間を生じて印刷ブランケットが浮き上がってしまって、良好な印刷を行えないことが確認された。
比較例2:
実施例1で使用したのと同じ多孔質層用の混合物を、吸引のための多数の孔を設けた水平台上に載置し、吸引して、水平台の表面に密着させた、厚み0.30mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの、露出した上側の面の、120cm×150cmの領域に、バーコーターを用いて塗布した後、室温(23±1℃)で24時間、静置して液状シリコーンゴムを硬化させることで、厚み0.7mmの多孔質層を形成した。
次に、基材を水平台の表面に密着させた状態を維持しながら、形成した多孔質層の表面に、引き続いて、実施例1で使用したのと同じ表面印刷層用の混合物を、バーコーターを用いて塗布した後、室温(23±1℃)で24時間、静置して液状シリコーンゴムを硬化させることで、厚み0.7mmの、非多孔質の表面印刷層を形成して、印刷ブランケットを製造した。
製造した印刷ブランケットの、面内の154点での厚みを、前記と同様にして測定して、そのうちの最大値と最小値との差を求めたところ、0.032mmであった。
次に、上記印刷ブランケットを、実施例1で使用したのと同じ印刷機の、ブランケット胴に装着した。また、凹版としては、深さ5μm、線幅20μmの凹部パターンを有する平板状のものを用いた。そして、印刷ブランケットの表面の全面にインキを塗布した状態で、凹版の上を転がして、凹版の凹部パターン以外の凸部と接触したインキを凹版側に転写させた後、印刷ブランケットおよび凹版の表面を観察した。そうしたところ、凹版の凹部パターンに対応する、印刷ブランケットの表面に残留させたインキが、多くの部分で薄くなっており、また、凹版の凹部の底にインキが付着しているのが見られた。そして、このことから、基材の片面に多孔質層を形成し、その上に表面印刷層を積層した場合には、表面印刷層が柔らかくなりすぎて、良好な印刷を行えないことが確認された。
比較例3:
液状シリコーンゴム100重量部に対する中空微小球の量を0.5重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、多孔質層用の、液状の混合物を調製した。そしてこの混合物を用いて多孔質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、印刷ブランケットを製造した。
製造した印刷ブランケットの、面内の154点での厚みを、前記と同様にして測定して、そのうちの最大値と最小値との差を求めたところ、0.029mmであった。
次に、上記印刷ブランケットを、実施例1で使用したのと同じ印刷機の、ブランケット胴に装着した。また、凹版としては、深さ5μm、線幅20μmの凹部パターンを有する平板状のものを用いた。そして、印刷ブランケットの表面の全面にインキを塗布した状態で、凹版の上を転がして、凹版の凹部パターン以外の凸部と接触したインキを凹版側に転写させた後、印刷ブランケットおよび凹版の表面を観察した。そうしたところ、凹版の凹部パターンに対応する、印刷ブランケットの表面に残留させたインキがムラになっており、また、凹版の凹部の底にインキが付着しているのが見られた。そして、このことから、中空微小球の量が少なすぎると、多孔質層の柔軟性が不足して、印刷ブランケットが硬くなりすぎるため、ブランケットの微妙な凹凸が印刷に影響を及ぼして、良好な印刷を行えないことが確認された。
比較例4:
液状シリコーンゴム100重量部に対する中空微小球の量を35重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、多孔質層用の、液状の混合物を調製した。そしてこの混合物を用いて多孔質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、印刷ブランケットを製造した。
製造した印刷ブランケットの、面内の154点での厚みを、前記と同様にして測定して、そのうちの最大値と最小値との差を求めたところ、0.035mmであった。
次に、上記印刷ブランケットを、実施例1で使用したのと同じ印刷機の、ブランケット胴に装着した。また、凹版としては、深さ5μm、線幅20μmの凹部パターンを有する平板状のものを用いた。そして、印刷ブランケットの表面の全面にインキを塗布した状態で、凹版の上を転がして、凹版の凹部パターン以外の凸部と接触したインキを凹版側に転写させた後、印刷ブランケットおよび凹版の表面を観察した。そうしたところ、凹版の凹部パターンに対応する、印刷ブランケットの表面に残留させたインキのエッヂが不鮮明にぼやけているのが見られた。そして、このことから、中空微小球の量が多すぎると、多孔質層が柔軟になりすぎて、印刷ブランケットが柔らかくなりすぎるため、良好な印刷を行えないことが確認された。
比較例5:
多孔質層を形成する際に、水平台を30°傾斜させたこと以外は実施例1と同様にして、印刷ブランケットを製造した。
製造した印刷ブランケットの、面内の154点での厚みを、前記と同様にして測定して、そのうちの最大値と最小値との差を求めたところ、0.101mmであった。
次に、上記印刷ブランケットを、実施例1で使用したのと同じ印刷機の、ブランケット胴に装着した。また、凹版としては、深さ5μm、線幅20μmの凹部パターンを有する平板状のものを用いた。そして、印刷ブランケットの表面の全面にインキを塗布した状態で、凹版の上を転がして、凹版の凹部パターン以外の凸部と接触したインキを凹版側に転写させた後、印刷ブランケットおよび凹版の表面を観察した。そうしたところ、凹版の凹部パターンに対応する、印刷ブランケットの表面に残留させたインキがムラになっており、また、凹版の凹部の底にインキが付着しているのが見られた。そして、このことから、水平台を水平でなく傾斜させた場合には、混合物の流動によって、その厚みが不均になる上、混合物中の中空微小球の分布も不均一になることから、多孔質層、ひいてはブランケットの厚みおよび内部構造にムラを生じて、良好な印刷を行えないことが確認された。

Claims (5)

  1. 印刷ブランケットの表面にインキを塗布し、次いで、凹版と接触させて、不要部分のインキを凹版に転写させて除去した後、表面に残留したインキを、被印刷体の表面に転写する印刷方法に使用される、基材の片面に多孔質層、反対面に表面印刷層を備える印刷ブランケットの製造方法であって、液状シリコーンゴム100重量部に対して、中空微小球1〜30重量部を加えた液状の混合物を調製する工程と、混合物を基材の片面に塗布すると共に、基材を水平に保持した状態で、液状シリコーンゴムを硬化させて、基材と一体化された多孔質層を形成する工程と備えることを特徴とする印刷ブランケットの製造方法。
  2. 中空微小球の熱変形温度未満の温度で液状シリコーンゴムを硬化させて、多孔質層を形成する請求項1記載の印刷ブランケットの製造方法。
  3. 基材の、多孔質層を一体化した側と反対面に、液状シリコーンゴムを塗布すると共に、基材を水平に保持した状態で、液状シリコーンゴムを硬化させて、基材と一体化された表面印刷層を形成する工程を備える請求項1記載の印刷ブランケットの製造方法。
  4. 中空微小球の熱変形温度未満の温度で液状シリコーンゴムを硬化させて、表面印刷層を形成する請求項3記載の印刷ブランケットの製造方法。
  5. 基材の反対面に表面印刷層を形成するに先立って、多孔質層の表面にフッ素系樹脂の層を形成する工程を備える請求項3記載の印刷ブランケットの製造方法。

JP2005136128A 2005-05-09 2005-05-09 印刷ブランケットの製造方法 Expired - Fee Related JP4680668B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005136128A JP4680668B2 (ja) 2005-05-09 2005-05-09 印刷ブランケットの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005136128A JP4680668B2 (ja) 2005-05-09 2005-05-09 印刷ブランケットの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006312282A true JP2006312282A (ja) 2006-11-16
JP4680668B2 JP4680668B2 (ja) 2011-05-11

Family

ID=37533974

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005136128A Expired - Fee Related JP4680668B2 (ja) 2005-05-09 2005-05-09 印刷ブランケットの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4680668B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108314808A (zh) * 2017-01-16 2018-07-24 中国海洋大学 一种深海柔性浮力材料及其制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07276775A (ja) * 1994-04-14 1995-10-24 Kin Yosha Kk オフセット印刷方法
JP2000071415A (ja) * 1998-08-28 2000-03-07 Kin Yosha Kk 印刷装置
JP2003136856A (ja) * 2001-11-06 2003-05-14 Sumitomo Rubber Ind Ltd オフセット印刷用ブランケットの製造方法
JP2003305967A (ja) * 2002-04-17 2003-10-28 Sumitomo Rubber Ind Ltd 組合せ型印刷用ブランケット
JP2006103153A (ja) * 2004-10-05 2006-04-20 Sumitomo Rubber Ind Ltd シリコーンブランケットとその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07276775A (ja) * 1994-04-14 1995-10-24 Kin Yosha Kk オフセット印刷方法
JP2000071415A (ja) * 1998-08-28 2000-03-07 Kin Yosha Kk 印刷装置
JP2003136856A (ja) * 2001-11-06 2003-05-14 Sumitomo Rubber Ind Ltd オフセット印刷用ブランケットの製造方法
JP2003305967A (ja) * 2002-04-17 2003-10-28 Sumitomo Rubber Ind Ltd 組合せ型印刷用ブランケット
JP2006103153A (ja) * 2004-10-05 2006-04-20 Sumitomo Rubber Ind Ltd シリコーンブランケットとその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108314808A (zh) * 2017-01-16 2018-07-24 中国海洋大学 一种深海柔性浮力材料及其制备方法
CN108314808B (zh) * 2017-01-16 2019-12-27 中国海洋大学 一种深海柔性浮力材料及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4680668B2 (ja) 2011-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9340058B2 (en) Blanket for offset printing and manufacturing method therefor
US8182913B2 (en) Bi-layer structured sheet having excellent printability when printed by hard roll and method for producing the same
JP4680668B2 (ja) 印刷ブランケットの製造方法
JP2009184268A (ja) 多孔質シリコーンゴムシートとそれを用いたシリコーンブランケット
KR101652590B1 (ko) 인쇄용 블랭킷 및 이의 제조방법
KR101251786B1 (ko) 분리 가능한 구조를 갖는 인쇄용 블랭킷 및 이를 제조하는 방법
JP4018951B2 (ja) 印刷用ブランケットの製造方法
JP2006103153A (ja) シリコーンブランケットとその製造方法
JP4893289B2 (ja) カード用転写保護フィルム
JP5534738B2 (ja) 印刷用ブランケットの製造方法
KR101810731B1 (ko) 실리콘계 점착제를 포함하는 조성물, 이를 이용하는 인쇄용 블랭킷의 제조방법 및 이를 이용하여 제조된 블랭킷
KR101365432B1 (ko) 슬립층이 구비된 인쇄 블랭킷, 및 이의 제조방법
JP2006142611A (ja) 加熱圧着用複合シート及びその製造方法
JP5419629B2 (ja) シリコーンブランケット
JP2011126248A (ja) シリコーンブランケット
JP5523032B2 (ja) シリコーンブランケット
JP2004025565A (ja) 転写シート及びそれを用いた金属製化粧材の製造方法
KR101658940B1 (ko) 인쇄 방법과 그것에 이용하는 용제 흡수체
JP2008290429A (ja) 印刷ブランケット
JP2008044280A (ja) 印刷ブランケットの製造方法
JP2002264469A (ja) インクジェット記録用シート
JP2011042114A (ja) 印刷方法とそれに用いる溶剤吸収体
JP2022082239A (ja) プラテンローラ及びその製造方法
JP4913196B2 (ja) 溶剤吸収体
JP2003260882A (ja) 転写用シート版

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080407

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110113

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees