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JP2006341659A - 鉄道車両の異常検知方法 - Google Patents

鉄道車両の異常検知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軌道からの振動が重畳することなく、精度良く軸受部が異常か否かの判断を行う。
【解決手段】鉄道車両3の台車1の軸受を介して車軸とつながる各軸箱の表面に、それぞれ加速度と温度を測定するセンサ2,6を設置し、走行時の振動及び温度を示すデータを測定する。これらの測定した振動及び温度を示すデータと、前記軸箱のうちの任意の比較エリアにある軸箱のセンサ2で測定した振動及び温度を示すデータに基づいて求めた振動又は温度を示す特定の閾値とを比較する。いずれかの振動又は温度を示すデータが、前記閾値に比べて大きな値の場合に、当該データを示した軸箱を異常と判断する。
【選択図】図2

Description

本発明は、鉄道車両の異常を検知する方法、特に、特定の軸受部の異常を検知できる異常検知方法に関するものである。
鉄道車両では、走行時の異常をいち早く検知し、車両を減速させたり、非常停止させることが重要である。
この異常検知方法として、特許文献1では、鉄道車両の車軸用軸受装置における軸受の外輪と転動体の接触幅の中心に外輪薄肉部を設け、この外輪薄肉部にセンサを取り付けることにより、軸受内部の異常に起因する振動を感度よく検出できることが開示されている。
特開2004−211813号公報
また、特許文献2では、台車の走行装置に発生する異常を確実に検知するべく、複数の台車それぞれに加速度検出手段を設け、これらが検出する加速度信号を比較し、いずれかの信号が他の加速度信号に対して所定値以上の大きな値となった場合に異常が発生したと判断する方法が開示されている。
特開2000−6807号公報
前記特許文献1では、各種異常についての判別方法は示されているものの、各軸受に設けたセンサからの測定値を単独で解析してそれぞれの異常を検知するので、異常振動に重畳して軌道からの振動(軌道外乱)が測定され、軌道からの異常であるのか、軸受の異常であるのかを判別することが困難である。
また、特許文献2では、複数の加速度信号を比較するので、精度良く異常検知ができるが、検出手段が台車に設けられているので、台車の異常を検知するだけで、本発明が対象としている特定の軸受の異常を検知することはできない。さらに、特許文献2では、加速度信号のみの比較により異常検知を行っているが、特に軸受部については振動のみならず温度の検知も行わないと、精度良く異常検知を行うことができない。
本発明が解決しようとする問題点は、従来の鉄道車両の異常検知方法では、特定の軸受の異常を検知することができなかったり、軸受部の異常を検知できても、軌道からの振動が重畳されて、特定の軸受部の異常を精度良く検知することができないという点である。
そこで、本発明の鉄道車両の異常検知方法は、
特定の軸受部の異常を、軸受部の温度を考慮しつつ、かつ、軌道からの振動も排除して精度良く検知するために、
軸受を介して車軸とつながる鉄道車両の各軸箱(又は駆動装置)の表面に、それぞれ加速度と温度を測定するセンサを設置して、走行時の振動及び温度を示すデータを測定し、
これらの測定した振動及び温度を示すデータと、前記軸箱(又は駆動装置)のうちの任意の比較エリアにある軸箱(又は駆動装置)から測定した振動及び温度を示すデータに基づいて求めた振動又は温度を示す特定の閾値を比較し、
いずれかの振動又は温度を示すデータが、前記閾値に比べて大きな値の場合に、当該データを示した軸箱(又は駆動装置)を異常と判断することを最も主要な特徴としている。
前記本発明において、前記比較エリアが、各軸箱の表面にセンサを設置して測定する場合には1台車で、また、各駆動装置の表面にセンサを設置して測定する場合には1車両であり、前記閾値が当該台車(又は当該車両)内の全軸箱(又は駆動装置)のセンサの振動又は温度を示すデータに基づいてそれぞれ求めたものとしたり、
また、前記任意の比較エリアが、比較する前記振動又は温度を示すデータが測定された軸箱(又は駆動装置)と列車編成内の各車両の同じ位置にあるすべての軸箱(又は駆動装置)であり、前記閾値が当該すべての軸箱(又は駆動装置)のセンサの振動又は温度を示すデータに基づいてそれぞれ求められたものとすれば、台車(又は車両)内、或いは列車編成内の各車両の同じ位置にある軸箱(又は駆動装置)同士を比較できるようになって、判断の精度が向上する。
また、前記本発明において、軸箱表面の振動及び温度を測定する場合は台車(又は駆動装置表面の振動及び温度を測定する場合は車両)毎に振動及び温度を示すデータの平均を求めて、これら台車(又は車両)のうちのすべての台車(又は車両)における振動及び温度を示すデータの平均に基づいて求めた振動又は温度を示す特定の閾値と比較しても良い。この場合は、前記閾値に比べて大きな値となった当該データを示した台車(又は車両)の振動又は温度の最大値を示す軸箱(又は駆動装置)を異常と判断する。
鉄道車両の軸受部においては、軸受部に発生する振動と温度は、図4に示すように、走行速度と密接な関係にある。なお、図4中の実線は異常発生の閾値を示す。そして、例えばある速度V1で走行中に●で示した振動が軸受部で発生した場合、振動は閾値を超えているが、そのときの速度に対する軸受部の温度が○で示したように閾値を超えていなければ、異常は発生していないと考えられる。
従って、前記本発明において、振動及び温度を示すデータが、図4の黒丸で示されるような、共にそれぞれの閾値よりも大きいとき、初めて異常と判断するようにすれば、より正確(精度が高い)な判断が行えるようになる。
前記本発明において、前記閾値は、比較エリアの全ての振動データの平均値をαm、振動を示す前記データの標準偏差をσa、比較エリアの全ての温度データの平均値をTm、温度を示す前記データの標準偏差をσtとした場合、例えばαm+3σa又はTm+3σtとする。
本発明は、台車にセンサを設置するのではなく、直接軸受を介して車軸とつながる軸箱や駆動装置にセンサを設置するので、軸受部の異常の検知が可能になる。そして、軸受部が異常か否かの判断を、各軸受単独で解析するのではなく、複数の軸受部から測定したデータを比較して行うので、軌道からの振動が重畳することがなく、精度良く異常か否かの判断が行えるという利点がある。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図3を用いて説明する。
図1は台車に設けられた軸箱や駆動装置に設置するセンサの位置を説明する概略図であり、本発明の異常検知方法は、図1に示したように、例えば軸受を介して車軸とつながる、台車1に配置された各軸箱の表面に、それぞれ加速度と温度を測定するセンサ2を設置して行う。
本発明の異常検知方法では、先ず、前記の各センサ2によって、走行時における振動(例えばRMS値)と温度を示すデータαn,Tn(n=1,2…)を軸箱毎に測定する。
そして、軸箱毎に測定した前記データαn,Tnは、図2に示すように、例えば各車両3に設置した演算装置4に送られ、各演算装置4で、台車1毎に振動及び温度を示すデータαn,Tnの平均αm,Tmと標準偏差αa,αtが求められる。この平均αm,Tm・標準偏差αa,αtと測定した個々のデータαn,Tnを特定の閾値で比較する。
この閾値の決定は適宜行えば良いが、例えば振動の閾値はαm+3σa、温度の閾値はTm+3σtとする。台車1毎の閾値と当該台車における個々の軸箱の測定データから検知装置5で台車1毎に検知し異常の有無を判断する。例えば、1台車目のαm+3σaとα1を比較したときα1が大きければ異常とすればよい。
別の方法では、図3に示すように、例えば列車編成内の各車両3の同じ位置にあるすべての軸箱に設置したセンサ2が測定した振動及び温度を示すデータの平均αm1〜αm8,Tm1〜Tm8に基づいて求めた振動又は温度を示す特定の閾値とそれぞれ比較される。
この閾値の決定は、適宜行えば良いが、例えば前記振動データの平均値をそれぞれαm1〜αm8、振動を示す前記データの標準偏差をσa1〜σa8、前記温度データの平均値をそれぞれTm1〜Tm8、温度を示す前記データの標準偏差をσt1〜σt8とした場合、例えば振動の閾値はαm1(〜αm8)+3σa1(〜σa8)、温度の閾値はTm1(〜Tm8)+3σt1(〜σt8)とする。
そして、例えば前台車の左前の前記閾値αm1+3σa1,Tm1+3σt1に比べて、比較する車両の前台車1の左前の振動と温度を示すデータα1,T1が共に大きな値となっていれば、このデータを示した車両の前台車1の左前に設置された軸箱を異常と判断する。なお、図3では、検知装置5の中に演算機能も備えたものを示している。
以上、本発明の最良の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において適宜変更可能なことは言うまでもない。
例えば前述のように列車編成内の各車両の同じ位置にあるすべての軸箱に設置したセンサが測定した振動と温度を示すデータの平均αm1(〜αm8),Tm1〜Tm8を求めず、全ての軸箱から測定した振動と温度を示すデータを、比較エリアの軸箱から測定した振動と温度を示すデータに基づいて求めた振動や温度を示す特定の閾値と比較するようにしても良い。
また、振動又は温度のいずれかが閾値より大きくなった場合に異常と判断しても良い。その際の閾値も、上記のように比較エリアのデータの平均値+3σa(又は3σt)の1種類に限らず、例えば前記閾値に加えて、平均値+1σa(又は1σt)のときは注意情報、平均値+2σa(又は2σt)のときは警告情報の3種類とし、注意情報のときは、そのまま走行して車庫に戻ってから点検し、警告情報であれば減速してもよりの駅で点検する等の対応をとるようにしても良い。
その際、振動と温度の両方の信号を考慮する場合、それぞれが中間的な値を示した際は、例えば振動と温度が共に平均値+1σa、平均値+1σtを超える場合は警告情報と同様の扱いとし、振動と温度が共に平均値+2σa、平均値+2σtを超える場合は異常と判断するようにしても良い。
また、振動と温度を示すデータを、図1に想像線で示した駆動装置に設置したセンサ6から測定するようにしても良い。この場合、駆動装置は軸箱と異なり1つの台車に2つしか設置されていないので、振動と温度を示すデータの平均値で比較する場合は、台車毎ではなく車両毎に行う。
以上の本発明は、鉄道車両に限らず、他の車両の異常検知にも適用できる。
台車に設けられた軸箱や駆動装置に設置するセンサの位置を説明する概略図である。 本発明の最良の実施形態1を説明する図である。 本発明の最良の実施形態2を説明する図である。 (a)は速度と軸受部の振動の関係を示した図、(b)は速度と軸受部の温度の関係を示した図である。
符号の説明
1 台車
2,6 センサ
3 車両
4 演算装置
5 検知装置

Claims (10)

  1. 軸受を介して車軸とつながる鉄道車両の各軸箱の表面に、それぞれ加速度と温度を測定するセンサを設置して、走行時の振動及び温度を示すデータを測定し、
    これらの測定した振動及び温度を示すデータと、前記軸箱のうちの任意の比較エリアにある軸箱から測定した振動及び温度を示すデータに基づいて求めた振動又は温度を示す特定の閾値を比較し、
    いずれかの振動又は温度を示すデータが、前記閾値に比べて大きな値の場合に、当該データを示した軸箱を異常と判断することを特徴とする鉄道車両の異常検知方法。
  2. 前記任意の比較エリアが1台車であり、
    前記閾値が当該台車内の全軸箱のセンサの振動又は温度を示すデータに基づいてそれぞれ求められたものであることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の異常検知方法。
  3. 前記任意の比較エリアが、比較する前記振動又は温度を示すデータが測定された軸箱と列車編成内の各車両の同じ位置にあるすべての軸箱であり、
    前記閾値が当該すべての軸箱のセンサの振動又は温度を示すデータに基づいてそれぞれ求められたものであることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の異常検知方法。
  4. 台車毎に振動及び温度を示すデータの平均を求めて、これら台車のうちのすべての台車における振動及び温度を示すデータの平均に基づいて求めた振動又は温度を示す特定の閾値と比較し、
    いずれかの台車の振動又は温度を示すデータの平均が、前記閾値に比べて大きな値の場合に、当該データを示した台車における振動又は温度の最大値を示す軸箱を異常と判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両の異常検知方法。
  5. 軸受を介して車軸とつながる鉄道車両の各駆動装置の表面に、それぞれ加速度と温度を測定するセンサを設置して、走行時の振動及び温度を示すデータを測定し、
    これらの測定した振動及び温度を示すデータと、前記駆動装置のうちの任意の比較エリアにある駆動装置から測定した振動及び温度を示すデータに基づいて求めた振動又は温度を示す特定の閾値を比較し、
    いずれかの振動又は温度を示すデータが、前記閾値に比べて大きな値の場合に、当該データを示した駆動装置を異常と判断することを特徴とする鉄道車両の異常検知方法。
  6. 前記任意の比較エリアが1車両であり、
    前記閾値が当該車両内の全駆動装置のセンサの振動又は温度を示すデータに基づいてそれぞれ求められたものであることを特徴とする請求項5に記載の鉄道車両の異常検知方法。
  7. 前記任意の比較エリアが、比較する前記振動又は温度を示すデータが測定された駆動装置と列車編成内の各車両の同じ位置にあるすべての駆動装置であり、
    前記閾値が当該すべての駆動装置のセンサの振動又は温度を示すデータに基づいてそれぞれ求められたものであることを特徴とする請求項5に記載の鉄道車両の異常検知方法。
  8. 車両毎に振動及び温度を示すデータの平均を求めて、これら車両のうちのすべての車両における振動及び温度を示すデータの平均に基づいて求めた振動又は温度を示す特定の閾値と比較し、
    いずれかの車両の振動又は温度を示すデータの平均が、前記閾値に比べて大きな値の場合に、当該データを示した車両における振動又は温度の最大値を示す駆動装置を異常と判断することを特徴とする請求項5又は6に記載の鉄道車両の異常検知方法。
  9. 振動及び温度を示すデータが、共にそれぞれの前記閾値よりも大きいときに異常と判断することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の鉄道車両の異常検知方法。
  10. 前記閾値が、αm+3σa又はTm+3σtであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の鉄道車両の異常検知方法。
    但し、αmは比較エリアの全ての振動データの平均値、σaは振動を示す前記データの標準偏差、Tmは比較エリアの全ての温度データの平均値、σtは温度を示す前記データの標準偏差である。
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