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JP2006232669A - 低窒素濃度黒鉛材料、低窒素濃度炭素繊維強化炭素複合材料、低窒素濃度膨張黒鉛シート - Google Patents

低窒素濃度黒鉛材料、低窒素濃度炭素繊維強化炭素複合材料、低窒素濃度膨張黒鉛シート Download PDF

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Abstract

【課題】グロー放電質量分析法による窒素濃度が50ppm以下であり、大気と遮断した状態で保管された低窒素濃度炭素系材料、低窒素濃度炭素繊維強化炭素複合材料、低窒素濃度膨張黒鉛シートを提供する。
【解決手段】ハロゲンガス雰囲気下で高純度処理した炭素系材料を、窒素ガスにさらされていない雰囲気下において、圧力100Pa以下、1800℃以上で熱処理し、炭素系材料中の窒素原子を放出させた後、圧力100Pa以下で所定温度まで冷却し、その後、希ガス雰囲気下において室温まで冷却を行う。そして、大気と遮断した状態で保管する。
【選択図】なし

Description

本発明は、低窒素濃度炭素系材料に関し、特に、シリコン半導体、化合物系半導体の製造用治具、エピタキシャル成長膜製造用治具等、炭化ケイ素(以下、SiCという。)単結晶の製造用治具や、SiCウェハーのエピタキシャル成長用治具等に用いられる低窒素濃度炭素系材料及びその製造方法に関する。
近年、SiC或いはガリウムヒ素、インジウムリン等の軽元素で構成された化合物系半導体の開発が活発に行われている。かかる化合物系半導体は、エネルギーのバンドギャップ、絶縁破壊電界、熱伝導度が大きいことが特徴である。そして、この特徴を活かして、高効率・高耐圧パワーデバイス、高周波パワーデバイス、高温動作デバイス、あるいは青色から紫外発光デバイス用の材料として注目を集めている。しかしながら、結合エネルギーが強いため、これらの化合物は、大気圧では高温にしても融解せず、シリコン(以下、Siという。)半導体で用いられる場合のごとくSi融液を再結晶化してバルク結晶とすることが困難である。
例えば、SiCを半導体材料として使用するためには、ある程度の大きさを有する高品質な単結晶を得る必要がある。このため従来は、アチェソン法と呼ばれる化学反応を利用する方法、レーリー法と呼ばれる昇華再結晶法を利用する方法によりSiC単結晶の小片を得ていた。最近は、これらの方法によって製造されたSiCの単結晶を種結晶として用い、この上に昇華再結晶化させる改良レーリー法によってSiCインゴットを育成し、このSiCインゴットをスライス、鏡面研磨したSiC基板が製造されるようになった。そして、その基板上に気相エピタキシャル成長法または液相エピタキシャル成長法によって目的規模のSiC単結晶を成長させることにより、不純物密度と膜厚を制御した活性層が形成され、これを用いてpn接合ダイオード、ショットキーダイオードや各種のトランジスタなどのSiC半導体デバイスが製造されている。これらの方法には、ハロゲンガス雰囲気下で高純度処理した黒鉛材料や、該黒鉛材料表面にSiCを被覆したSiC被覆黒鉛材料等の炭素系材料が使用されている。
しかしながら、ハロゲンガス雰囲気下で高純度処理を行った炭素系材料中であっても、約1000ppmの窒素が含まれている。この窒素は、炭素系材料の気孔中に存在しているものではなく、例えば、黒鉛の層間にトラップされたり、炭素原子と置換された状態で存在している。また、炭素系材料中に微量に含まれる金属不純物と結合して窒素化合物を形成している。これら炭素系材料中に含まれる窒素は、従来、特に注目されていなかったが、化合物系半導体、特にSiCデバイスの製造用治具として用いた場合、前述のSiC単結晶や、SiCエピタキシャル成長時に、SiC中に侵入し、SiC単結晶や、SiCウェハー中等の窒素濃度を上昇させ、結晶中の欠陥の一因となることが最近になって見出された。例えば、SiCウェハー中には、1017atoms/cm以上、エピタキシャル成長膜中には、1016atoms/cm以上の窒素が含有される。この窒素は、SiC半導体等の化合物系半導体に対してドーパントとなり、製造されるSiCデバイスの特性を著しく劣化させている。また、低窒素化した場合、これを一定期間保持する必要がある。
本発明は、グロー放電質量分析法(以下、GDMSという。)による窒素濃度が50ppm以下であり、この状態を保持する低窒素濃度炭素系材料を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び効果
本発明は、炭素系材料中の窒素濃度を低減させ、これら低窒素濃度炭素系材料を化合物系半導体等の製造用治具として使用することで、製造される化合物系半導体等の結晶中の欠陥の発生を抑制できることを見出し本発明を完成した。すなわち、前記課題を解決するための本発明の低窒素濃度炭素系材料、は、GDMSによる窒素濃度が50ppm以下であり、大気と遮断した状態で保管されたものである。低窒素濃度炭素繊維強化炭素複合材料又は低窒素濃度膨張黒鉛シートも同様である。また、これらの低窒素濃度炭素系材料などは、シリコン半導体、化合物系半導体の製造用治具及びエピタキシャル成長膜製造用治具に用いられることが好ましい。
炭素系材料中の窒素濃度を、50ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下とする。これにより、例えば、シリコン半導体、化合物系半導体の製造用治具及びエピタキシャル成長膜製造用治具に用いた場合、製造される半導体製品中への窒素の侵入を抑制することができ、従来よりも1桁以上窒素濃度が少ない半導体を製造することが可能となる。
本発明で使用される炭素系材料は、黒鉛材料、炭素繊維強化炭素複合材料、膨張黒鉛シート、ガラス状炭素及び熱分解炭素等、及びこれらを基材とするもの、例えば、黒鉛材料の表面にSiCが被覆されたSiC被覆黒鉛材料や、熱分解炭素が被覆された熱分解炭素被覆黒鉛材料等を含んだものである。
また、本発明でいうシリコン半導体、化合物系半導体の製造用治具には、例えば、単結晶シリコンや、SiC単結晶等の化合物半導体の引上げ等に使用されるルツボやヒーター等の炉内部品を含む。また、エピタキシャル成長膜製造用治具としては、例えば、シリコンやSiC膜のエピタキシャル成長用サセプター等が例示できる。その他には、断熱材や加熱用ヒーター等も含めた炉内部品をも治具に含めるものとする。
また、本発明の低窒素濃度炭素系材料の製造方法は、ハロゲンガス雰囲気下で高純度処理した炭素系材料を、圧力100Pa以下、1800℃以上で熱処理し、炭素系材料中の窒素原子を放出させた後、圧力100Pa以下で所定温度まで冷却し、その後、希ガス雰囲気下において冷却を行うものである。あるいは、窒素原子を放出させた後、希ガスを導入し、希ガス雰囲気下において冷却を行うものである。
ハロゲンガス雰囲気下で高純度処理した後に、引き続き連続的に圧力100Pa以下、好ましくは1Pa以下、1800℃以上、好ましくは2000℃以上で熱処理する。あるいは、既に高純度処理を行った炭素系材料を再度、圧力100Pa以下、好ましくは1Pa以下、1800℃以上、好ましくは2000℃以上で熱処理する。この、熱処理により、ハロゲンガス雰囲気下での高純度処理時あるいは黒鉛化処理時に黒鉛層間にトラップされた窒素等が炭素系材料から放出される。これによって、低窒素濃度の炭素系材料とすることができる。冷却時は、圧力100Pa以下、好ましくは1Pa以下、で所定温度まで冷却した後、希ガスを導入して室温まで冷却する。あるいは、窒素ガスを放出する熱処理後に希ガスを導入し、希ガス雰囲気下において室温まで冷却を行う。これによって、冷却中に炭素系材料中への窒素の侵入を抑制することができる。ここで、希ガスとしては、アルゴンガスやヘリウムガス等を使用することができる。
また、本発明の低窒素濃度炭素系材料の製造方法は、前記希ガス雰囲気下において室温まで冷却を行った後、大気と遮断した状態で保管するものである。
高純度処理後、又は、炭素系材料中の窒素等を除去する熱処理を行った後に、大気と遮断した状態で保管することによって、より確実に炭素系材料中の窒素濃度を低い状態で維持することができる。ここで、大気と遮断した状態とは、例えば、いわゆる真空パックと呼ばれる樹脂フィルム等の機密性に優れた袋内を大気圧よりも減圧状態にして炭素系材料を密封した状態とする。又は、ガスパックと呼ばれる樹脂フィルム等の機密性に優れた袋内に希ガス雰囲気とともに炭素系材料を密封した状態としたものをいう。ここで、樹脂フィルムとしては、塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム等を使用することができる。
以下に、本発明で使用される炭素系材料の実施形態例の一例として黒鉛材料について説明する。
本実施形態例に用いられる黒鉛材料は、一般的な製法で製造されたものを使用することができる。一般的な製法の一例として、先ず炭素成形体を焼成炉内において800乃至1000℃に加熱し、バインダー等に含まれる易揮発成分を、分散、蒸散させて焼成する工程(工程A)、次に焼成体を取り出し、黒鉛化炉、例えばアチェソン式炉、カストナー式炉又は誘導加熱炉(例えば特開昭57−166305号、166306号、166307号、166308号)にて3000℃に加熱して黒鉛化する工程(工程B)、更に、このようにして得られた黒鉛材料を、別の反応器中でハロゲンガス雰囲気中で加熱し、黒鉛材料中の不純物を蒸気圧の高い物質に変化せしめて母材から揮散させ、黒鉛材料の高純度化を行う工程(工程C)から成る工程を経て製造する。
これら黒鉛化、高純度化処理時には、加熱に要するヒーター等の周りに窒素ガスを流し、ヒーター等の酸化を防止することが一般的に行われている。この窒素ガスが、黒鉛化及び高純度化処理の時に、黒鉛の層間にトラップされたり、炭素原子と置換したり、あるいは、黒鉛材料中に僅かに残った金属不純物と反応し、窒素化合物を形成し、黒鉛材料中に残存してしまう。
また、一般に、高純度化処理及び黒鉛化処理後の冷却時には、冷却速度を高めるとともに、黒鉛材料の酸化を防止するために、窒素雰囲気下での冷却が行われている。この冷却時に炉内に導入される窒素ガスも、黒鉛材料の層間にトラップされたり、炭素原子と置換したり、あるいは、黒鉛材料中に僅かに残った金属不純物と反応し、窒素化合物を形成する。
このように、黒鉛材料中に残存した窒素は、シリコン半導体、化合物系半導体の製造用治具及びエピタキシャル成長膜製造用治具として使用した場合、これら半導体中に侵入し、半導体中の窒素濃度を高めることになる。これら半導体中の窒素は、結晶内の欠陥の一因になると考えられている。
本実施形態においては、これら、黒鉛化処理及び高純度化処理時あるいは高純度処理後に黒鉛材料が、極力窒素(大気)に晒されないようにするか若しくは後処理で窒素を放出させることで、黒鉛材料の黒鉛層間にトラップされる窒素、炭素原子と置換する窒素原子及び黒鉛材料中に僅かに残る金属不純物と反応する窒素を低減させるものである。
すなわち、本実施形態例に係る黒鉛材料の製造にあたっては、黒鉛化若しくは高純度化処理の時のヒーター周りに流す窒素ガスに代えて、アルゴンガスやヘリウムガス等の希ガスを用いることもできる。さらには、黒鉛化処理(工程B)の時に、雰囲気ガスとしてアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガスを用いることが好ましい。また、高純度化処理(工程C)時においては、ハロゲンガスによる処理の後、圧力100Pa以下、好ましくは1Pa以下、若しくはアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガス雰囲気下で、1800℃以上、好ましくは2000℃以上で熱処理を行い、黒鉛材料中に何らかの状態で存在する窒素を放出させる。さらに、冷却時においても、できるだけ、窒素ガスを使用せずに、圧力100Pa以下、好ましくは1Pa以下、若しくはアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガス雰囲気下で冷却処理を行う。この一連の工程は、同一炉で連続的に行うことも、また、各工程を夫々別の炉で行うこともできる。また、高純度処理(工程C)時におけるヒーター周りに流すガスは、ハロゲンガスによる高純度化処理時には、窒素ガスを流し、ハロゲンガスによる高純度化処理終了時にアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガスを導入し、熱処理及び冷却処理を行い、窒素ガスを放出させてもよい。
また、従来の方法で、黒鉛化処理、高純度化処理を行った黒鉛材料も、後工程として圧力100Pa以下、好ましくは1Pa以下、あるいはアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガス雰囲気下で、1800℃以上、好ましくは2000℃以上に再加熱することにより、黒鉛材料中の窒素濃度を低減させることができる。
このようにして、黒鉛化処理時や高純度化処理時に、窒素ガスに代えてアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガスを用いる。あるいは、窒素を使うのであれば、黒鉛材料をできるだけ窒素が黒鉛材料中に残存しないようにする。若しくは、黒鉛化処理、高純度化処理を経て製造された黒鉛材料を、別途圧力100Pa以下、好ましくは1Pa以下、若しくはアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガス雰囲気下で1800℃以上、好ましくは2000℃以上で加熱処理を行うことにより、黒鉛材料中の窒素濃度を低減でき、GDMSによる窒素濃度が100ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下の黒鉛材料とすることができる。
ここで、GDMSによる窒素濃度の測定は、グロー放電質量分析装置(VG9000、VG Elemental社製)を用い、到達圧力が10−4Pa以下に保たれた容器内で、黒鉛材料の表面や気孔中に含まれる窒素ガスを十分に排気した後に行った。
なお、本実施形態例に係る黒鉛材料は、このままであっても、シリコン半導体、化合物系半導体の製造用治具及びエピタキシャル成長膜製造用治具として使用することができる。また、SiC被覆黒鉛材の基材としても使用可能である。このように、SiC被覆黒鉛材の基材として使用すると、例えば、SiCのエピタキシャル成長膜製造用治具として使用した場合であっても、SiCウェハー中への窒素の侵入を抑制することができる。
また、本実施形態例に係る黒鉛材料は、シリコン半導体、化合物系半導体の製造用治具及びエピタキシャル成長膜製造用治具、あるいはこれらに用いられるSiC被覆黒鉛材の基材として用いられる以外に、原子炉や核融合炉の中性子等との接触する部位に用いることもできる。この際、黒鉛材料中の窒素濃度が低いと、中性子との接触断面積を小さく抑えることができる。このため、中性子の利用効率が下がることを抑制することができる。これによって、核設計の精度が上昇するとともに、効率の上昇が計れる。
また、本発明は、黒鉛材料のみならず、炭素繊維強化炭素複合材料、膨張黒鉛シート、ガラス状炭素等や、例えば、黒鉛材料の表面にSiCが被覆されたSiC被覆黒鉛材料や、熱分解炭素が被覆された熱分解炭素被覆黒鉛材料等の炭素系材料全般に適用可能であり、黒鉛材料以外のものについては前記の黒鉛材料と同様の方法が適用できる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
以下に順を追って本発明を説明する。先ず、炉内に炭素材を設置する。次に、炉内に窒素ガスを導入し、容器内部の空気を窒素ガスで置換したのち、炉内を減圧する。そして、ヒーターに徐々に電圧を印加して炉内を加熱し、その輻射熱により被加熱炭素材を800〜1000℃に約5時間保ったのち(焼成工程)、徐々に昇温を続け、2450〜2500℃に調節しながら15時間保持した(黒鉛化工程)。容器内は加熱を始めた時点から0.1Pa程度に保たれているので、この段階で僅かに揮散してくる脱ガスの排出には好都合である。そして、黒鉛化の際、最初から或いは、黒鉛化が若干進んだ段階で、減圧状態(約0.1Pa程度)のままハロゲン又はその化合物のガス、例えばジクロルジフルオルメタンを(流量は容器内に充填する被加熱炭素材の量により増減されるが、例えば1〜7lNTP/kg程度で)8時間程度供給する。なお、前記工程中は、ヒーターを保護することを目的としてヒーター周りに常時アルゴンガスを流しておく。上記方法によって黒鉛化、高純度化工程を完了する。そして、引き続き、連続的に黒鉛化した材料を、2200℃で保持するとともに、容器内圧力を0.1Paに強減圧したまま5時間熱処理を行う(脱窒素ガス工程)。このとき、ヒーター周りのガスもアルゴンガスを使用し、窒素ガスが黒鉛材料へ侵入するのを防止する。これにより、低窒素濃度黒鉛材料を得ることができる。そして、所定時間熱処理を行うと、容器内圧力を0.1Paに保持したまま200℃まで冷却する。200℃に到達した時点で、容器内に希ガスとしてアルゴンガスを導入し、室温まで冷却する。室温まで冷却した後、大気に晒されないように、樹脂フィルムからなる袋内にアルゴンガスと共に封入して保管した。
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、黒鉛化、高純度化工程を経た黒鉛材料を、一旦、処理炉から取り出した。このとき、できるだけ、大気に晒されないように樹脂フィルムからなる袋内にアルゴンガスと共に封入して保管した。そして、この黒鉛材料を樹脂フィルムからなる袋から取り出し、再度、炉内に設置し、2200℃に再加熱するとともに、容器内圧力を0.1Paに強減圧し、5時間熱処理を行う(脱窒素ガス工程)。そして、所定時間熱処理を行うと、容器内圧力を0.1Paに保持したまま200℃まで冷却する。200℃に到達した時点で、容器内に希ガスとしてアルゴンガスを導入し、室温まで冷却する。室温まで冷却した後、大気に晒されないように、樹脂フィルムからなる袋内にアルゴンガスと共に封入して保管した。
(実施例3)
実施例1と同様の方法により、黒鉛化、高純度化工程を経た黒鉛材料を、2200℃に再加熱するとともに、容器内圧力を0.1Paに強減圧し、5時間熱処理を行う(脱窒素ガス工程)。そして、所定時間熱処理を行うと、容器内に希ガスとしてアルゴンガスを導入し、室温まで冷却する。室温まで冷却した後、大気に晒されないように、樹脂フィルムからなる袋内にアルゴンガスと共に封入して保管した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法によって、黒鉛化、高純度化処理を完了した黒鉛材料を脱窒素ガス工程を行うことなく、窒素ガスで冷却し、大気中で保管しておいた材料を比較例1の試料とした。
(比較例2)
脱窒素ガス工程として、容器内圧力を0.1Paに強減圧することなく、常圧、2000℃でアルゴンガス雰囲気としたことを除き、実施例1と同様な操作を行った。
(比較例3)
脱窒素ガス工程として、容器内圧力を0.1Paに強減圧することなく、常圧、1800℃でアルゴンガス雰囲気としたことを除き、実施例1と同様な操作を行った。
以下(1)乃至(3)の状態の試料について、夫々GDMSにより、含有する窒素濃度を測定した。
(1)実施例1乃至3及び比較例1乃至3の黒鉛材中の窒素濃度、
(2)実施例1乃至3及び比較例1乃至3の黒鉛材を基材として用い、これら黒鉛材の表面にCVD−SiCを形成したときのCVD−SiC中の窒素濃度、
(3)上記(2)に係るCVD−SiC被覆黒鉛材をサセプターとして用い、SiCウェハー上にエピタキシャル成長膜を形成する際の治具として用いた場合のエピタキシャル成長膜中の窒素濃度。
各試料の窒素濃度について表1にまとめて示す。
Figure 2006232669
表1より、脱窒素ガス工程を経た黒鉛材料は、各段階での含有窒素濃度が低いことがわかる。また、これに伴って、実施例1乃至3に係る低窒素濃度黒鉛材料をSiC半導体の製造用治具として用いることによって、SiC半導体デバイスの結晶欠陥の発生を抑制できる。
以上より、黒鉛化処理あるいは高純度化処理時に、希ガスを用いるか、若しくは、高純度処理後に脱窒素ガス工程を経ることによって低窒素濃度炭素系材料、低窒素濃度炭素繊維強化炭素複合材料、低窒素濃度膨張黒鉛シートなどとすることができる。これらの低窒素濃度炭素系材料などを、樹脂を用いていわゆる真空パックなどし、大気と遮断した状態で保管する。これにより、現場で樹脂を除去して、上記低窒素濃度炭素系材料などをクリーンな状態で化合物系半導体等の製造用治具として用いた場合、半導体デバイスへの窒素の侵入を抑制でき、半導体デバイスの結晶欠陥を抑制できる効果を奏する。

Claims (3)

  1. グロー放電質量分析法による窒素濃度が50ppm以下であり、大気と遮断した状態で保管されたSiCエピタキシャル成長膜製造用治具又はSiC単結晶製造用治具に用いられる低窒素濃度黒鉛材料。
  2. グロー放電質量分析法による窒素濃度が50ppm以下であり、大気と遮断した状態で保管されたSiCエピタキシャル成長膜製造用治具又はSiC単結晶製造用治具に用いられる低窒素濃度炭素繊維強化炭素複合材料。
  3. グロー放電質量分析法による窒素濃度が50ppm以下であり、大気と遮断した状態で保管されたSiCエピタキシャル成長膜製造用治具又はSiC単結晶製造用治具に用いられる低窒素濃度膨張黒鉛シート。
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