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JP2006221864A - 車両用発電システム - Google Patents

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大島  久純
Akira Kato
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Abstract

【課題】 内燃機関を走行用駆動源とする車両において、燃料電池の燃料を確保する。
【解決手段】 エタノールを含有するガソリンを燃料とする内燃機関7を走行用駆動源とする車両に搭載される車両用発電システムであって、エタノールをガソリンから分離する分離手段11と、エタノールと酸化剤との電気化学反応により電気エネルギを発生させる燃料電池12とを備える。車両には、内燃機関7の始動に必要な電力を供給する2次電池1と、内燃機関7の停止時に電力を消費するとともに、内燃機関7の停止時に2次電池1から電力供給される電気負荷3とが搭載されており、燃料電池12は、電気化学反応により発生した電気エネルギを2次電池1あるいは電気負荷2の少なくとも一方に供給可能に構成されており、所定条件が成立した場合に、分離手段11から燃料電池12に燃料を供給させ、燃料電池12における発電を開始させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関を走行用駆動源とする車両に搭載され、内燃機関用燃料から分離したエタノール等を燃料として発電する燃料電池を備える車両用発電システムに関する。
近年、車両に搭載する補機類の増加やその機能の増大に伴い、車両停止中に補機類での消費電流(暗電流)が増大しており、車両搭載のバッテリが過剰に放電する可能性がある。また、一般に車両搭載のバッテリは休止期間中に自己放電を起こし、自然に充電容量が低下する。このため車両の停止期間が長い場合にはバッテリの容量低下が顕著になる。この傾向は、車両の走行中の電気負荷の増大によりバッテリの充電と放電のバランスがくずれた場合にはさらに容量低下を助長する結果となる。
一般的に、内燃機関を主要な走行用駆動源とする車両では、バッテリからの電源供給を受けて内燃機関の始動を行うようになっており、内燃機関の停止中にバッテリが過剰に放電した場合、内燃機関の再始動ができなくなる不具合が発生する。このような不具合に対し、バッテリの容量を大きくするなどの解決法があるが、バッテリの容量を無制限に大きくすることは重量と車両内のスペースの点から制限がある。このため、何らかの方法により、バッテリに充電したり、放電の制限をする方法が考案されている。
例えばバッテリが過剰に放電する前に事前にそれを検知し、暗電流が発生する機器への通電を停止する構成(特許文献1)や、あるいはバッテリを複数搭載する車両において一方のバッテリから他方のバッテリに充電を行う構成(特許文献2)が提案されている。また、輸送のような長期にわたる停車の場合には補機とバッテリを遮断するスイッチを別途設ける構成も考案されている(特許文献3)。さらに、太陽電池を設け、その発電電力により駐車中に車内の空気を換気したり、余った電力をバッテリに供給する構成も提案されている(特許文献4)。
特開2004−168263号公報 特開2002−209301号公報 特開平10−070843号公報 特開2003−297044号公報
しかし、特許文献1の構成では機器の通電停止により発生する不具合があり、特許文献2の構成では電気自動車あるいは電気と内燃機関のハイブリッド車に限定されるなどの制限がある。また、特許文献3の構成では、スイッチを手動で作動させる手間のほか、通電停止中にメモリの情報が消失したりする問題がある。さらに特許文献4の構成では、車両を日光のあたらない屋内に置く場合には発電が期待できないという問題がある。
また、近年実用化してきた燃料電池を用い、内燃機関の停止中に発電させ、バッテリを充電することも考えられるが、燃料電池の燃料を確保しなければならないという問題がある。
本発明は上記点に鑑み、内燃機関を走行用駆動源とする車両において、燃料電池の燃料を確保することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、アルコールまたはエーテルのいずれか一方からなる燃料電池用燃料を含有する内燃機関用燃料を燃料とする内燃機関(7)を走行用駆動源とする車両に搭載される車両用発電システムであって、燃料電池用燃料を内燃機関用燃料から分離する分離手段(11)と、燃料電池用燃料と酸化剤との電気化学反応により電気エネルギを発生させる燃料電池(12)とを備えることを特徴としている。
これにより、燃料電池(12)の燃料は内燃機関用燃料から分離することで確保できるので、車両ユーザは内燃機関(7)に対する燃料補給のみを行うだけでよく、燃料電池(12)のための燃料補給をする必要がない。
また、請求項2に記載の発明では、車両には、内燃機関(7)の始動に必要な電力を供給する2次電池(1)と、内燃機関(7)の停止時に電力を消費するとともに、内燃機関(7)の停止時に2次電池(1)から電力供給される電気負荷(3)とが搭載されており、燃料電池(12)は、電気化学反応により発生した電気エネルギを2次電池(1)あるいは電気負荷(2)の少なくとも一方に供給可能に構成されており、分離手段(11)から燃料電池(12)への燃料の供給を制御する燃料供給制御手段(14、15、19、31)とを備え、燃料供給制御手段(14、15、19、31)は、所定条件が成立した場合に、分離手段(11)から燃料電池(12)に燃料を供給させ、燃料電池(12)における発電を開始させることを特徴としている。
これにより、内燃機関(7)の停止中に2次電池(1)の充電容量低下を防止することができる。このため、2次電池(1)は、内燃機関(7)を次回始動する際に内燃機関(7)の始動に必要な電力を保持することが可能となる。
また、請求項3に記載の発明のように、内燃機関(7)が停止してから所定期間が経過した場合に、燃料電池(12)における発電を開始させることができ、さらに、請求項4に記載の発明のように、内燃機関(7)が停止している場合に、燃料電池(12)における発電を開始させることができる。
また、請求項5に記載の発明のように、分離手段(11)は内燃機関用燃料から燃料電池用燃料を選択的に透過させる透過膜(11g)を備えるようにすることで、内燃機関用燃料から燃料電池用燃料を分離することができる。
また、請求項6に記載の発明のように、燃料電池用燃料がアルコールの場合は、分離手段(11)は内燃機関用燃料に水を供給し、相分離により水とともにアルコールを内燃機関用燃料から分離するように構成できる。
また、請求項7に記載の発明では、内燃機関用燃料から分離された燃料電池用燃料は内燃機関用燃料より下方に位置するようになっており、分離手段(11)は、底部に漏斗状部位(11b)を有し、漏斗状部位(11b)の最下部から燃料電池用燃料を排出できるように構成されていることを特徴としている。これにより、内燃機関用燃料から分離された燃料電池用燃料が少量であっても、効率よく分離手段(11)から排出することができる。
また、請求項8に記載の発明のように、分離手段(11)と漏斗状部位(11b)との体積比を、内燃機関用燃料とこれに含まれる燃料電池用燃料との体積比以下とすることで、漏斗状部位(11b)を必要以上に大きくすることがない。
また、請求項9に記載の発明のように、燃料電池(12)を複数の燃料電池セルを電気的に直列接続して構成することで、燃料電池(12)の出力電圧を上げることができる。
また、請求項10に記載の発明のように、燃料電池(12)での発電電圧を昇圧する電圧変換手段(32)を設けることで、燃料電池(12)の発電電圧を2次電池(1)に充電可能な電圧に昇圧することができる。
また、請求項11に記載の発明のように、電圧変換手段(32)が昇圧回路を複数備えるように構成することで、燃料電池(12)の発電電圧を効率的に昇圧することができる。
また、請求項12に記載の発明のように、電圧変換手段(32)が2次電池(1)からの電源供給により作動するように構成することができる。
また、請求項13に記載の発明のように、内燃機関用燃料としてガソリンに所定量のエタノールが混合された燃料を用いることができる。
また、請求項14に記載の発明では、分離手段(11)とは独立して構成され、燃料電池(12)に燃料電池用燃料を供給可能な燃料供給手段を備えることを特徴としている。これにより、例えば長期的に車両が停止状態にあるときには、内燃機関用燃料容器11内にガソリンが存在しない場合にも、燃料電池(12)による発電を行うことができ、2次電池(1)を充電することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1は本第1実施形態の2次電池充電システムの全体構成を示しており、図2は燃料電池ユニットの構成を示している。本実施形態の車両は、内燃機関1を走行用駆動源とするものであり、2次電池1、電気負荷2、発電装置3、燃料電池ユニット10、制御部30等が搭載されている。
2次電池1は、内燃機関7(図2)の作動中に発電装置3にて発電した電力を蓄えるとともに、各種の補機類に電力を供給するものである。また、2次電池1は、内燃機関7を始動する際に用いられるスタータ(図示せず)に電源供給を行うように構成されている。
電気負荷2は、内燃機関7の停止時も含めて常時通電が必要となるものであり、例えば時計やリモコン式ドアロックスイッチ等である。電気負荷2には、内燃機関7が作動している際には発電装置3にて発電した電力が供給され、内燃機関7が停止している際には、2次電池1から電力が供給される。
発電装置3は、オルタネータ4、整流器5、レギュレータ6を備えている。オルタネータ4は、内燃機関7により駆動されて発電し交流電圧を出力する。整流器5は、オルタネータ4の交流電圧を整流して整流電圧を発生し2次電池1及びレギュレータ6に供給する。レギュレータ6は、オルタネータ6の出力を制御して、出力電圧が上限電圧以上にならないようにしている。
燃料電池ユニット10は、燃料貯蔵容器11、燃料電池12を備えている。本実施形態の燃料電池12は、燃料としてエタノールを用いるダイレクトアルコール燃料電池(DAFC)を採用している。このため、燃料貯蔵容器11は、燃料としてのエタノールを液体状態で貯蔵している。燃料電池12は、固体高分子電解質膜型燃料電池を好適に用いることができる。この固体高分子電解質膜型燃料電池は、常温で作動するため、停止時の車両でも使用しやすい。
燃料電池12は、内燃機関7(図2)の停止時に2次電池1の充電のために発電を行うものである。燃料電池12の発電電力は、2次電池1の起電力を12Vとし、電気負荷2の消費電流を50mA程度とすると、50mA×12V=0.6W程度あればよい。本実施形態では、より多くの電力(例えば10W)を燃料電池12で発電させて2次電池1を充電し、2次電池1の状態を急速に回復させるようにしている。
図2に示すように、内燃機関7には内燃機関用燃料容器8に貯蔵された内燃機関用燃料が供給される。内燃機関用燃料容器8の内部に燃料を圧送する燃料ポンプ8aが設けられている。本実施形態では、内燃機関7として、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンを用いており、内燃機関用燃料容器2にはガソリンが貯蔵されている。本実施形態では、内燃機関7の燃料としてガソリンに10%程度のエタノールが混合されたエタノール混合ガソリンを用いている。
燃料貯蔵容器11は、内燃機関用燃料容器2から内燃機関7にガソリンを供給するガソリン供給経路9の途中に設けられている。燃料貯蔵容器11には、エタノール混合ガソリンからエタノールを分離されたエタノールが貯蔵される。燃料貯蔵容器11におけるエタノール混合ガソリンからのエタノール分離については後述する。なお、燃料貯蔵容器11が本発明の分離手段に相当している。
図3は、燃料電池12の主要構成を示す概念図である。燃料電池12は、電解質膜の両側面に電極が配置されたMEA(Membrane Electrode Assembly:電解質・電極接合体)120と、このMEA120を挟持する一対のセパレータ121、122から構成される燃料電池セルとして構成されている。MEA120の電解質膜は、ナフィオン(デュポン社)等のプロトン伝導性の高分子電解質膜を用いることができる。本実施形態の燃料電池12は、1層の燃料電池セルを備えている。なお、MEA120の電解質膜の周囲は、封止剤12dによりシールされている。
セパレータ121、122は、カーボン材または導電性金属よりなる板状部材からなる。アノード側セパレータ121には破線で示す溝が形成されており、燃料貯蔵容器11からエタノールが供給される。カソード側セパレータ122には、空気が供給される溝が形成されている。本実施形態の燃料電池12は、発電電力が10W程度と小さいので、必ずしも空気を強制的に供給する必要はなく、自然対流を利用してカソード側セパレータ122に空気が供給される。
図2に戻り、燃料貯蔵容器11と燃料電池12との間には燃料供給経路13が設けられており、燃料貯蔵容器11のエタノールは燃料供給経路13を介して燃料電池12に導かれる。燃料供給経路13には、経路を開閉する開閉弁14と、エタノールを圧送するためのエタノール供給ポンプ15が設けられている。通常時は燃料供給経路13は開閉弁14によって遮断されている。燃料電池12の起動時に開閉弁14が開放する。開閉弁14が開放され、エタノール供給ポンプ15が作動開始することで、燃料貯蔵容器11のエタノールが燃料供給経路13を介して燃料電池12に供給される。これにより燃料電池12では、エタノールから生成した水素を燃料とし空気中に含まれる酸素を酸化剤として電気化学反応が起こり、発電を開始する。
燃料電池12のカソード側には、電気化学反応に用いられなかった酸素を含む空気排ガスが排出される排ガス排出経路16が設けられている。空気排ガスには電気化学反応で生じた生成水が含まれており、排ガス排出経路16には空気排ガスから水分を分離するための気液分離器17が設けられている。
気液分離器17に溜まった水分は、水供給経路18を介して燃料貯蔵容器11に供給される。水供給経路18には、水を圧送する水供給ポンプ19と、燃料貯蔵容器11からガソリンが水供給経路18に逆流することを防止する逆止弁20が設けられている。また、気液分離器17には、内部に溜まった水分を外部に排出するための排出弁21が設けられている。
次に、燃料貯蔵容器11におけるエタノール混合ガソリンからのエタノールの分離について説明する。図4は、燃料貯蔵容器11の構成を示している。燃料貯蔵容器11は、上方の第1本体部11aと下方の第2本体部11bを有している。第1本体部11aは円筒状に形成されており、第2本体部11bは下方に向かって直径が徐々に小さくなっていく漏斗状に形成されている。なお、第2本体部11bが本発明の漏斗状部位に相当している。
燃料貯蔵容器11と第2本体部11bとの体積比は、エタノール混合ガソリンとこれに含まれるエタノール成分の体積比以下であることが望ましい。すなわち、エタノール混合ガソリンから分離されたエタノール成分の上面が、第1本体部11aと第2本体部11bとの境界線付近あるいは境界線より若干上方に位置することが望ましい。これにより、漏斗状の第2本体部11bを必要以上に大きくしなくてすむ。
上述のように、燃料貯蔵容器11は、内燃機関用燃料容器2から内燃機関7にガソリンを供給するガソリン供給経路9の途中に設けられている。第1本体部11aには、ガソリン供給経路9における内燃機関用燃料容器2側(上流側)に接続されるガソリン導入口11cと、ガソリン供給経路9における内燃機関7側(下流側)に接続されるガソリン排出口11dが設けられている。第2本体部11bにおける最下部には、燃料供給経路13に接続されるエタノール排出口11eが設けられている。
また、燃料貯蔵容器11は、水分により相分離を用いてエタノール混合ガソリンからエタノールを分離するように構成されている。第1本体部11aの最上部には、水供給経路18に接続され、気液分離器17から水が供給される水導入口11fが設けられている。燃料貯蔵容器11内にエタノール混合ガソリンが存在する状態で、燃料貯蔵容器11内に水が注入されると、ガソリン中に含有されていたエタノールは水に溶け、エタノール水溶液としてガソリンと分離される。エタノール水溶液はガソリンより密度が高いため、燃料貯蔵容器11の第2本体部11bに沈降する。燃料貯蔵容器11の下方に蓄積されたエタノール水溶液は、燃料供給経路13の開閉弁14を開にしてエタノール供給ポンプ15を作動することで、燃料電池12のアノード側に供給される。
図1に戻り、本実施形態の2次電池充電システムは、制御部30を備えている。制御部30は、制御回路31、電圧変換回路32を備えている。制御部30の各回路31、32は、2次電池1からの電源供給を受けて作動するように構成されている。制御回路31は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って各種演算などの処理を実行する。本実施形態の制御回路31は、内燃機関の作動状態を検出できるとともに、開閉弁14の開閉制御、ポンプ15、19の作動制御を行うように構成されている。なお、制御回路31と開閉弁14、ポンプ15、19が本発明の燃料供給制御手段に相当し、電圧変換回路32が本発明の電圧変換手段に相当している。
電圧変換回路32は、燃料電池12で発生した電気エネルギを2次電池1に充電可能な電圧まで昇圧する。本実施形態の単セルから構成された燃料電池12の発電電圧は0.5〜0.8V程度であるので、これを電圧変換回路32で2次電池1の起電力(例えば12V)まで昇圧する。
図4は、電圧変換回路32の構成を示す回路図である。図4に示すように、電圧変換回路32は周知の昇圧回路であり、制御回路31からの起動信号により開閉するスイッチ17a、昇圧制御回路17b、DC/DCコンバータ部17cを備えている。DC/DCコンバータ部17cは、コイル17d、スイッチ素子17e、17f、コンデンサ17g、17hを備えており、コイル17dに蓄えた電気エネルギをスイッチ素子17e、17fにてスイッチングし、コンデンサ17g、17hで平滑化することで昇圧する。
次に、本実施形態の2次電池充電システムの作動について説明する。本実施形態の構成では、燃料貯蔵容器11でのエタノール分離に燃料電池12の生成水を用いるので、初期条件として、気液分離器17に純水を予め補充しておくか、あるいは燃料貯蔵容器11に所定濃度のエタノール水溶液を補充しておく。
内燃機関7の運転中には、エタノール混合ガソリンは内燃機関用燃料容器8から燃料貯蔵容器11を通過して内燃機関7に送られる。内燃機関7で使われなかったガソリンは内燃機関用容器8に戻される。このとき、ガソリンは燃料ポンプ8aにより圧送されるため大気圧以上に昇圧されているが、燃料貯蔵容器11と燃料電池12とをつなぐ配管13、18には、開閉弁14や逆止弁20が設置してあるため、燃料電池12にガソリンが流れ込むことを防止している。
本実施形態の制御回路31は、内燃機関7の停止から所定期間経過した時点で、制御回路31から燃料電池起動信号が出力される。燃料電池起動信号は、開閉弁14、エタノール供給ポンプ15、水供給ポンプ19に出力される。これにより、開閉弁14は開放状態となり、エタノール供給ポンプ15、水供給ポンプ19が作動開始する。なお、「所定期間」は、2次電池1の充電容量が放電により内燃機関の始動に必要な所定値(例えば満充電状態の40%)を下回ると推定される期間であり、本実施形態では内燃機関の停止から40日経過後としている。内燃機関の停止は、オルタネータ4での発電が行われなくなったことに基づいて検出することができる。
内燃機関7が停止している状態では、ガソリンが燃料貯蔵容器11内に滞留している。このため、水供給ポンプ19が作動し、気液分離器17内の水分が燃料貯蔵容器11内に水を注入されることで、燃料貯蔵容器11内でエタノール混合ガソリンからエタノールが水分とともに分離される。そして、開閉弁14が開放状態となりエタノール供給ポンプ15が作動することで、燃料貯蔵容器11内のエタノールが燃料電池12に供給される。これにより、燃料電池12は発電を開始することができる。また、エタノール供給ポンプ15を停止し、開閉弁14を閉じれば、燃料電池12はエタノールの消費とともに発電を停止する。
燃料電池12で発生した電気エネルギは、電圧変換回路32で2次電池1に充電可能な電圧まで昇圧され、2次電池1に供給される。これにより、内燃機関7の停止中に2次電池1を充電して充電容量の低下を防止することができ、内燃機関7を次回始動する際に、内燃機関7の始動に必要な電力を保持することが可能となる。
内燃機関用燃料容器8内のガソリンが減少した場合は、ガソリンスタンド等にてエタノール含有ガソリンを補給すればよい。燃料電池12の燃料となるエタノールはガソリンから分離することで確保できるので、車両ユーザは内燃機関7に対する燃料補給のみを行なえばよく、燃料電池12のための特別な操作・保守を必要としない。また、燃料電池12の発電開始後は燃料電池12で発生した生成水を燃料貯蔵容器11におけるエタノール分離に用いることで、新たな水の補給を行う必要がない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態に比較して、燃料電池12の起動条件が異なるものである。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本第2実施形態の制御回路31は、2次電池1の開放電圧を検出することで、2次電池1のSOC(充電状態)を推定するように構成されている。制御回路31は、内燃機関が停止しており、かつ、2次電池1の開放電圧から推定された2次電池1のSOCが所定値を下回った場合に、開閉弁14に対して起動信号を出力する。この「所定値」は、内燃機関の始動に必要な充電容量であり、例えば2次電池2の満充電状態の40%程度に設定することができる。
このような構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図6に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第1実施形態と比較して、燃料貯蔵容器11の構成が異なるものである。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図6は、本第3実施形態の燃料貯蔵容器11の構成を示している。図6に示すように、燃料貯蔵容器11には、エタノール混合ガソリンからエタノールを分離するためのエタノール選択透過膜11gが設けられている。エタノール選択透過膜11gは、第1本体部11aと第2本体部11bの境界部分に配置されている。このエタノール選択透過膜とは、エタノール混合ガソリンに含まれるガソリンを透過せず、エタノールのみもしくはエタノールと水のみを透過する膜である。なお、エタノール選択膜11gとしては、例えば、多孔質系ゼオライト膜、多孔質系シリカ膜もしくは多孔質系の有機膜を用いることができる。
燃料貯蔵容器11の第1本体部11aにエタノール混合ガソリンが供給されると、エタノールのみがエタノール選択膜11gを透過して第2本体部11bに移動する。エタノール選択膜11gによるエタノールの分離は、膜両面の圧力差が大きいほど効率よく行うことができ、さらに温度差が大きいほどより効率よく行うことができる。
本実施形態では、エタノール混合ガソリンは燃料ポンプ8aにより圧送されて大気圧以上に昇圧されているので、エタノール選択膜11gによるエタノール分離を効率よく行うことができる。また、エタノール混合ガソリンは燃料ポンプ8aにより圧送されることで高温となるので、エタノール分離をより効率よく行うことができる。
る。
以上のようなエタノール選択膜11gを用いる構成では、燃料貯蔵容器11にエタノール分離のための水を供給する必要がなく、気液分離器17、水供給経路18、水供給ポンプ19等を設ける必要がなく、構成を簡素化することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図7に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第1実施形態に比較して、燃料電池12の起動条件が異なる。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図7は本第4実施形態の2次電池充電システムの概念図である。図7に示すように、本第4実施形態では2次電池1における電流の授受を監視する電流センサ33が設けられている。電流センサ33では、電流の流れ方向および電流の大きさを検出することができる。
本実施形態の制御回路31は、内燃機関が停止状態になったことを検出すると、直ちに開閉弁14、エタノール供給ポンプ15、水供給ポンプ19に燃料電池起動信号を出力する。これにより、燃料電池12は発電を開始し、2次電池1の充電が行われる。このとき、電流センサ33にて2次電池1における電流の授受を監視し、それがゼロか、あるいはわずかに2次電池1に充電されるようにすれば2次電池1が過放電になることはない。
本実施形態のように内燃機関の停止後直ちに2次電池1の充電を行う構成では、2次電池1が消費する電流分の補充ができればよいので、燃料電池12の発電電力は大きくする必要はないが、内燃機関の停止期間中はいつでも発電を行う必要があるため、燃料電池12の耐久時間は長いことが要求される。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図8に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第1実施形態に比較して、電圧変換回路32の構成が異なる。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図8は、本第5実施形態の電圧変換回路32の回路図である。図8に示すように、本第4実施形態の電圧変換回路32では、同様の構成を有する複数(本例では2つ)のDC/DCコンバータ部32c、32iが設けられている。DC/DCコンバータ部32c、32iが本発明の昇圧回路に相当している。
燃料電池12の発電電圧が例えば0.6Vである場合に、第1DC/DCコンバータ部32cで0.6Vを3V程度に昇圧し、第2DC/DCコンバータ部32iで3Vを12V程度に昇圧する。このように、電圧変換回路32に複数の昇圧回路を設けることで、エネルギ変換効率を向上させることができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図9に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第1実施形態に比較して、燃料電池12の構成が異なる。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図9は、本第6実施形態の燃料電池12の構成を示す概念図である。図9に示すように、本第6実施形態の燃料電池12は、MEA120と一対のセパレータ121、122からなる燃料電池セル120、121、122を複数設け、これらの燃料電池セル120、121、122を電気的に直列接続して構成されている。本実施形態では、3個の燃料電池セル120、121、122を積層している。このように複数の燃料電池セル120、121、122を積層することで、燃料電池12の発電電圧を上げることができる。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図10に基づいて説明する。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図10は、本第7実施形態の2次電池充電システムの概念図である。図10に示すように、本第7実施形態では、車両外部にリモート装置40が設けられている。制御回路31には第1の通信手段としての通信回路31aが設けられ、リモート装置40との間で通信可能となっている。本実施形態では、無線による通信が行われる。
制御回路31は、内燃機関が停止してから所定期間が経過した場合、あるいは2次電池1の残存容量が低下し、内燃機関の始動に必要な所定値を下回った場合に、リモート装置40に2次電池1の残存容量に関する残存容量情報を送信する。また、制御回路31は、リモート装置40から燃料電池12の起動指令に関する起動指令情報を受信する。
リモート装置40は、制御回路31との間で通信可能な通信回路41とユーザが視認可能な表示部42とユーザが操作可能な操作部43とを備えている。なお、リモート装置40、通信回路41、表示部42、操作部43が、それぞれ本発明の外部装置、第2の通信手段、表示手段、操作手段に相当している。
リモート装置40は、制御回路31から残存容量情報を受信した場合に、表示部42によって2次電池1の残存容量が少なくなり充電が必要な状態であることを、ユーザに報知することができるように構成されている。また、操作部43は、例えばボタンから構成されており、ユーザの操作により燃料電池12の起動指令、すなわち2次電池1の充電開始指令を行うことができるように構成されている。リモート装置40は、ユーザが操作部23cで燃料電池12の起動指令を行うことで、制御回路31に対して、起動指令情報を送信する。
制御回路31は、リモート装置40からの起動指令情報を受信すると、開閉弁14、エタノール供給ポンプ15、水供給ポンプ19に燃料電池起動信号を出力して燃料電池12を起動し、2次電池1の充電を開始する。
以上の構成により、車両外のユーザに2次電池1の充電が必要であることを報知し、ユーザからの指示にしたがって2次電池1の充電を行うようにすることができる。
なお、本実施形態では、リモート装置40を車両外部に設けたが、これに限らず車室内に設けてもよい。この場合には、制御回路31とリモート装置40との間の通信を有線で行うように構成してもよい。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、燃料電池12にて発生した電気エネルギを2次電池1の充電に用いたが、これに限らず、燃料電池12にて発生した電気エネルギを電気負荷2に直接供給するように構成してもよい。この場合には、燃料電池12の発電電圧を昇圧する電圧変換回路32を燃料電池12と電気負荷2との間に設ければよい。
また、上記実施形態では、液体有機化合物としてエタノールを用いたが、これに限らず、ガソリンに含まれることがあり得る液体有機化合物であればよく、例えばメタノールを含むアルコールや、ジメチルエーテル等のエーテルを用いることができる。
また、上記実施形態では、燃料電池12の燃料をガソリン中のエタノールを分離して得る構成について説明したが、例えば長期的に車両が停止状態にあるときには、内燃機関用燃料容器11内にガソリンが存在しないことも考えられる。この場合には、燃料電池12による発電を行うことができず、2次電池1を充電することができない。このため、補助用のエタノールを貯蔵するエタノール専用タンクを別途設け、外部からエタノールを補給するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、水を用いた相分離あるいはエタノール選択膜を用いてガソリンからエタノールを分離するように構成したが、例えば燃料貯蔵容器11を加熱するヒータを設け、ガソリンとエタノールとの蒸留温度の差を利用してエタノールを抽出するように構成してもよい。
第1実施形態の2次電池充電システムの全体構成を示す概念図である。 燃料電池ユニットの構成を示す概念図である。 燃料電池の主要構成を示す概念図である。 燃料貯蔵容器の構成を示す断面図である。 電圧変換回路の回路図である。 第3実施形態の燃料貯蔵容器の構成を示す断面図である。 第4実施形態の2次電池充電システムの概念図である。 第5実施形態の電圧変換回路の回路図である。 第6実施形態の燃料電池の構成を示す概念図である。 第7実施形態の2次電池充電システムの概念図である。
符号の説明
1…2次電池、2…電気負荷、3…発電装置、4…オルタネータ、10…燃料電池ユニット、11…燃料貯蔵容器、12…燃料電池、14…開閉弁、31…制御回路、32…電圧変換回路、40…リモート装置。

Claims (14)

  1. アルコールまたはエーテルのいずれか一方からなる燃料電池用燃料を含有する内燃機関用燃料を燃料とする内燃機関(7)を走行用駆動源とする車両に搭載される車両用発電システムであって、
    前記燃料電池用燃料を前記内燃機関用燃料から分離する分離手段(11)と、
    前記燃料電池用燃料と酸化剤との電気化学反応により電気エネルギを発生させる燃料電池(12)とを備えることを特徴とする車両用発電システム。
  2. 前記車両には、前記内燃機関(7)の始動に必要な電力を供給する2次電池(1)と、前記内燃機関(7)の停止時に電力を消費するとともに、前記内燃機関(7)の停止時に前記2次電池(1)から電力供給される電気負荷(3)とが搭載されており、
    燃料電池(12)は、電気化学反応により発生した電気エネルギを前記2次電池(1)あるいは前記電気負荷(2)の少なくとも一方に供給可能に構成されており、
    前記分離手段(11)から前記燃料電池(12)への燃料の供給を制御する燃料供給制御手段(14、15、19、31)とを備え、
    前記燃料供給制御手段(14、15、19、31)は、所定条件が成立した場合に、前記分離手段(11)から前記燃料電池(12)に燃料を供給させ、前記燃料電池(12)における発電を開始させることを特徴とする請求項1に記載の車両用発電システム。
  3. 前記所定条件は、前記内燃機関(7)が停止してから所定期間が経過したことであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用発電システム。
  4. 前記所定条件は、前記内燃機関(7)が停止していることであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用発電システム。
  5. 前記分離手段(11)は、前記内燃機関用燃料から前記燃料電池用燃料を選択的に透過させる透過膜(11g)を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用発電システム。
  6. 前記燃料電池用燃料はアルコールであり、前記分離手段(11)は前記内燃機関用燃料に水を供給し、相分離により水とともにアルコールを前記内燃機関用燃料から分離することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用発電システム。
  7. 前記内燃機関用燃料から分離された前記燃料電池用燃料は前記内燃機関用燃料より下方に位置するようになっており、
    前記分離手段(11)は、底部に漏斗状部位(11b)を有し、前記漏斗状部位(11b)の最下部から前記燃料電池用燃料を排出できるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用発電システム。
  8. 前記分離手段(11)と漏斗状部位(11b)との体積比は、前記内燃機関用燃料とこれに含まれる前記燃料電池用燃料との体積比以下であることを特徴とする請求項7に記載の車両用発電システム。
  9. 前記燃料電池(12)は、複数の燃料電池セルが電気的に直列接続されて構成されていることを特徴とする請求項2ないし8のいずれか1つに記載の車両用発電システム。
  10. 前記燃料電池(12)での発電電圧を昇圧する電圧変換手段(32)を備えることを特徴とする請求項2ないし9のいずれか1つに記載の車両用発電システム。
  11. 前記電圧変換手段(32)は、昇圧回路を複数備えていることを特徴とする請求項10に記載の車両用発電システム。
  12. 前記電圧変換手段(17)は、前記2次電池(1)からの電源供給により作動することを特徴とする請求項2ないし11のいずれか1つに記載の2次電池充電システム。
  13. 前記内燃機関用燃料は、ガソリンに所定量のエタノールが混合された燃料であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の車両用発電システム。
  14. 前記分離手段(11)とは独立して構成され、前記燃料電池(12)に前記燃料電池用燃料を供給可能な燃料供給手段を備えることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載の車両用発電システム。
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