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JP2006281992A - 電動倍力装置 - Google Patents

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JP2006281992A
JP2006281992A JP2005105049A JP2005105049A JP2006281992A JP 2006281992 A JP2006281992 A JP 2006281992A JP 2005105049 A JP2005105049 A JP 2005105049A JP 2005105049 A JP2005105049 A JP 2005105049A JP 2006281992 A JP2006281992 A JP 2006281992A
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Junichi Ikeda
純一 池田
Hirotaka Oikawa
浩隆 及川
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Abstract

【課題】 変位センサを用いて良好に入力推力の推定を行い得る電動倍力装置を提供する。
【解決手段】 入力部材5をリアクションディスク10の変形抵抗力分だけ後退方向に付勢する変形抵抗付与ばね14を設ける。単独で非線形性の変形抵抗特性を有するリアクションディスク10と線形性の特性を有する変形抵抗付与ばね14とを合せることで非線形性の特性が改善される。これに伴い、入力部材5への入力推力Fiが正確に推定することができる。この入力推力Fiに基づいて電動アクチュエータ11を駆動することで、微小踏み込み時のジャンプイン特性付与によるペダルフィーリング改善、大入力踏み込み時のブレーキアシスト動作制御を適切に果たすことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車のブレーキ機構等に用いられる電動倍力装置に関する。
自動車のブレーキ機構には、従来、エンジンの吸気管負圧を利用して入力に対し倍力した出力を発生し得るようにした真空倍力装置(真空ブースタ)が多く用いられている。
この真空倍力装置の一例として、鉄板で構成されたブースタ本体内にダイヤフラムで隔成された真空室(前室)と変圧室(後室)とを設けて構成された装置がある。この真空倍力装置は、さらにブレーキペダルの踏力(入力)を伝える入力ピストン、ダイヤフラムに固定されたバルブボディ、及びマスタシリンダピストンを押す出力ピストンで隔成された密閉室内にリアクションディスク(ゴム板)を設けている。
そして、この真空倍力装置は、バルブボディと入力ピストンの相対変位により、変圧室内に大気を導入し、あるいは変圧室から真空室へ排気して変圧室の圧力を調整して、相対変位が常に0になるように機械的に制御している。相対変位が0になるように制御されるため、倍力比は入力ピストンと出力ピストンの面積比で一定に保たれる。
ところで、近年、エンジンについて燃費改善、排気ガス浄化などの面で開発が進み、これに伴い、吸気管負圧が小さくなり、倍力性能あるいは応答性が不足する傾向にあるいう問題がある。この問題に対して、エジェクタで負圧を増強する、エンジン駆動の真空ポンプを設けて真空倍力装置に負圧を供給する、又は電動ポンプを使った液圧倍力装置にする等して所望の倍力性能あるいは応答性を得るように対策することがある。
また、真空倍力装置はサイズが大きくて車両に搭載する上で難があり、一方、液圧倍力装置は構造が複雑でひいては価格の面で難があり、その改善が望まれている。
そして、上記問題点の改善を図るものとして、例えば電気エネルギを用いて倍力機能を果たす電動倍力装置がある。この電動倍力装置の一例として特許文献1に示す装置がある。
この電動倍力装置は、入力ロッドとマスタシリンダ内のピストンを押圧するピストンロッドとの間にリアクションディスクを介装し、電磁装置のプランジャ(伝達部材)と入力ロッドの軸方向の相対変位量を検出し、相対変位量がOになるように制御するようにしている。
特開昭60−92151号公報
ところで、電動倍力装置においては、電動アクチュエータの制御が可能であるため、入力(踏力)に対する出力を自由にコントロールできることから、ブレーキフィーリングの改善やブレーキアシスト等の付加機能の追加が求められる。しかしながら、上記従来技術では、プランジャと入力ロッドとの相対変位が常にOになるように制御すると、倍力比は常に入力ロッドのストロークに対して一定とならざるを得ず、ブレーキアシスト等の付加機能の実現は難しい。また、電動倍力装置においては、プランジャと入力ロッドとの相対変位及び電動アクチュエータの電流値とから入力部材への入力推力の推定が可能であるが、上記従来技術では、リアクションディスクの変形抵抗(リアクションディスクの変形に対する復元力)を考慮していないため、入力推力の推定を正しく行うことができない。これは、リアクションディスクには一般にゴム材料が用いられていることから変形抵抗特性(例えばプランジャと入力ロッドとの相対変位を横軸にとり、縦軸を変形抵抗としたときに得られる特性)は、線形(図4の実線A1参照)又は略線形(図4の実線A2参照)ではなく、非線形(図4の実線A3参照)になるためである。
上記のように入力推力の推定が正しく行えないため、ブレーキフィーリングの改善やブレーキアシスト等の正確な制御ができず(このことについては、便宜上、実施の形態との比較において、圧力平衡式を用いて後述する。)、倍力装置の電動化のメリットを生かすことができない。また、入力推力を検出するために踏力センサを用いて電動倍力装置を構成することが考えられるが、踏力センサに比べて構成が簡易で低廉化を図ることが可能な変位センサ(変位検出手段)を用いて電動倍力装置を構成することが要望されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、変位センサを用いて良好に入力推力の推定を行い得る電動倍力装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、該入力部材の前進動に伴って、マスタシリンダのピストンを押圧する出力部材と、前記入力部材及び前記出力部材の間に設けられ弾性を有するリアクション部材と、該リアクション部材を介した前記出力部材の押圧を電動アクチュエータの発生力を受けて行う伝達部材と、前記伝達部材と前記入力部材との相対移動を検出し、前記電動アクチュエータを駆動するための駆動信号の算出に用いられる検出信号を出力する変位検出手段とからなる電動倍力装置において、前記入力部材を前記リアクション部材の変形抵抗力分だけ後退方向に付勢するばね手段を設けたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電動倍力装置において、前記ばね手段は、前記入力部材と前記伝達部材の間に設けられることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の電動倍力装置において、前記変位検出手段は、前記出力部材と前記伝達部材との相対移動をも検出することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の電動倍力装置において、前記リアクション部材に作用する電動アクチュエータの発生力によるブースタ推力と、前記リアクション部材の変形抵抗力と、前記ばね手段のばね力とを含む前記リアクション部材の圧力平衡式から前記入力部材にかかる入力推力を推定することを特徴とする。
請求項5記載に係る電動倍力装置の発明は、ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、該入力部材の前進動に伴って、マスタシリンダのピストンを押圧する出力部材と、前記入力部材及び前記出力部材の間に設けられ弾性を有するリアクション部材と、該リアクション部材を介した前記出力部材の押圧を電動アクチュエータの発生力を受けて行う伝達部材と、ブレーキペダル側の第1入力部材とリアクション部材側の第2入力部材とに分割された前記入力部材の第1、第2入力部材間の相対移動を検出し、前記電動アクチュエータを駆動するための駆動信号の算出に用いられる検出信号を出力する変位検出手段と、前記第1、第2入力部材間に、前記第1入力部材を後退方向に付勢する入力部材間ばね手段とを設けたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の電動倍力装置において、前記変位検出手段により検出される第1、第2入力部材間の相対移動量により前記入力部材間ばね手段の反発力を算出し、これを入力推力として前記電動アクチュエータを制御することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の電動倍力装置において、前記変位検出手段は、ポテンショメータからなることを特徴とする。
請求項1から4に記載の発明によれば、入力部材をリアクション部材の変形抵抗力分だけ後退方向に付勢するばね手段を設けたので、単独で非線形性の変形抵抗特性を有するリアクションディスクの非線形性の特性が、ばね手段の線形性の特性によって改善されるので、入力部材への入力推力の推定を正しく行うことができる。これに伴い、微小踏み込み時のジャンプイン特性付与によるペダルフィーリング改善、大入力踏み込み時のブレーキアシスト動作制御を適切に果たすことができる。
請求項5及び6に記載の発明によれば、ブレーキペダル側の第1入力部材とリアクション部材側の第2入力部材とに分割された前記入力部材の第1、第2入力部材間の相対移動を検出して得る変位検出手段と、前記第1、第2入力部材間に、前記第1入力部材を後退方向に付勢する入力部材間ばね手段とを設けたので、第1、第2入力部材間の相対移動量により前記入力部材間ばね手段の反発力を算出し、これを入力部材への入力推力として推定することができる。これに伴い、微小踏み込み時のジャンプイン特性付与によるペダルフィーリング改善、大入力踏み込み時のブレーキアシスト動作制御を適切に果たすことができる。
請求項7に記載の発明によれば、変位検出手段をポテンショメータとすることで、安価でロバスト性に優れた電動倍力装置を製造することが可能となる。
以下、本発明の第1実施の形態に係る電動倍力装置を図1及び図2に基づき、図3及び図4を参照して説明する。
図1及び図2において、電動倍力装置1は、ブレーキペダル2の操作により車室前壁3に保持されたケース4に摺動案内されて進退移動する入力部材5と、入力部材5の前進動に伴って、タンデムマスタシリンダ6のピストン(プライマリピストン7及びセカンダリピストン8)を押圧する出力ピストン9(出力部材)と、前記入力部材5及び出力ピストン9間に設けられ弾性を有するリアクションディスク10(リアクション部材)と、を備えている。
電動倍力装置1は、さらに、リアクションディスク10を介した出力ピストン9の押圧を電動モータからなる電動アクチュエータ11の発生力を受けて行うブースタピストン12(伝達部材)と、電動アクチュエータ11を駆動するための駆動信号の算出に用いられる検出信号を、ブースタピストン12と入力部材5との相対移動を検出して得るポテンショメータ13(変位検出手段)と、を備えている。
電動倍力装置1は、さらに、入力部材5をリアクションディスク10の変形抵抗力分だけ後退方向に付勢するばね(以下、第1変形抵抗付与ばねという。)14(ばね手段)と、駆動信号を発生するコントローラ15(図2)と、を備えている。そして、コントローラ15は、ポテンショメータ13の検出信号に基づいて入力部材5に加わる入力推力Fiを推定し、入力推力Fiに基づいて駆動信号を求める。また、コントローラ15は、この駆動信号を電動アクチュエータ11に出力して駆動し、図2に示す送りねじ機構16を介してブースタピストン12に駆動信号に応じた大きさのブースタ推力を発生させるように制御するようにしている。
入力部材5は、ブレーキペダル2に連結された入力ロッド20と、この入力ロッド20に基端側が連結される略軸状の入力ピストン21とから大略構成されている。入力ピストン21の先端部はリアクションディスク10の端面の中央部分に当接するようになっている。入力ピストン21は、先端側(以下、入力ピストン先端軸部22という。)が、基端側(以下、入力ピストン基端軸部23という。)に比して小径とされている。入力ピストン先端軸部22には、径方向外方に鍔状に突出するようにしてばね受け24が設けられている、このばね受け24は、ブースタピストン12に形成された中空部25内に配置されている。
ブースタピストン12は、出力ピストン9側の面部(図1左側の面部)に、内周形状がリアクションディスク10の外周形状に略沿う形状の穴26が形成されており、この穴26の底部側にはリアクションディスク10が収納されている。この穴26の開口側には、出力ピストン9の一端部に形成された大径部(以下、出力ピストン大径部27という。)がリアクションディスク10に並んで収納されている。出力ピストン大径部27は、外周形状が前記穴26の内周形状に略沿う形状とされている。ブースタピストン12における中空部25に対して入力部材5側及び出力ピストン9側の各壁部(以下、それぞれ入力部材側壁部31、出力ピストン側壁部32という。)には、それぞれ孔(以下、それぞれ入力部材側孔33、出力ピストン側孔34という。)が形成されている。入力部材側孔33及び出力ピストン側孔34には、中空部25にばね受け24を配置するようにして入力ピストン先端軸部22が軸方向に移動可能に挿通されている。なお、本実施の形態においては、リアクションディスク10をブースタピストン12の穴26内に収納する構成としたが、これに限らず、出力ピストン9の出力ピストン大径部27をカップ状に形成し、この中にリアクションディスク10を収納するようにしてもよい。この場合には、上記穴26は不要であり、ブースタピストン12は、リアクションディスク10の端面に当接させるだけでよい。
リアクションディスク10は、入力ピストン21、ブースタピストン12、及び出力ピストン9で密閉されている。リアクションディスク10の材質としては、低温硬化を低減したNBRでも良いが、温度による変形抵抗の変化が比較的少なく、また永久変形歪の小さいシリコンゴムあるいはフロロシリコンゴムが適する。
ポテンショメータ13は、ブースタピストン12に固定されて内部に抵抗体を有する本体部35Aと、本体部35A内の一端にブラシを有するレバー35と、入力ピストン21に保持されレバー35の他端が固定された取付部材36とを備えている。そして、ポテンショメータ13は、取付部材36(入力ピストン21)及び本体部35A(ブースタピストン12)の相対変位量を、当該相対変位量に対応する大きさの電圧出力で検出し、検出信号としてコントローラ15に出力するようにしている。
コントローラ15は、ポテンショメータ13からの検出信号及び後述するように検出信号を変数とした圧力平衡式に基づいて推定される入力推力Fiを用いて、電動アクチュエータ11を駆動するための駆動信号を算出し、この駆動信号により電動アクチュエータ11を駆動するようにしている。
この電動倍力装置では、ブレーキペダル2が踏まれて入力ロッド20からの推力(前記入力推力Fi)がリアクションディスク10を介して出力ピストン9に伝えられる。一方、この際にポテンショメータ13からの検出信号及び検出信号により推定される入力推力Fiに基づいて得られる駆動信号に応じてコントローラ15が電動アクチュエータ11を回転させることにより、送りねじ機構16をが駆動してブースタピストン12によりリアクションディスク10を介して出力ピストン9へブースタ推力Fbが伝えられる。これに伴い、出力ピストン9が、入力推力Fiとブースタ推力Fbとの加算により得られる合計された推力(出力推力)をタンデムマスタシリンダ6のプライマリピストン7に加える。
変形抵抗付与ばね14は、出力ピストン側壁部32とばね受け24との間に介在され、入力部材5をリアクションディスク10の変形抵抗力分だけ後退方向に付勢するようにしている。この場合、変形抵抗付与ばね14は、当該変形抵抗付与ばね14の変形に対する変形抵抗(変形抵抗特性)が線形性を示す特性(図4の実線A1で示す。)を有している。
また、入力部材側壁部31とばね受け24との間には、戻りばね37が介在され、入力部材5を初期位置に戻すようにしている。
本実施の形態では、上述したように、変形抵抗が線形性を示す特性を有した変形抵抗付与ばね14を用い、入力部材5をリアクションディスク10の変形抵抗力分だけ後退方向に付勢するようにしているので、リアクションディスク10が有する図4の実線A3に示す非線形性の特性が改善され、変形抵抗付与ばね14及びリアクションディスク10を合せて得られる変形抵抗が、図4の実線A2のように、略線形性の特性を示すようになる。
本実施の形態では、プライマリピストン7に作用する出力推力を、入力部材5に作用する入力推力Fi及び電動アクチュエータ11の発生力によるブースタ推力Fbの加算により得ると共に、ブースタ推力Fbを発生するための駆動信号(ひいてはブースタ推力Fb)を、ポテンショメータ13の検出信号に基づいてリアクションディスク10に作用する圧力平衡関係(圧力平衡式)〔後述する〕で得られる入力推力Fiを用いて得るようにしている。そして、上述したように付勢力を発生する変形抵抗付与ばね14を設けたことにより、単独では非線形を示すリアクションディスク10の変形抵抗特性(図4実線A3)が変形抵抗付与ばね14と合せて全体として略線形性の変形抵抗特性(図4実線A2)とされることになり、前記圧力平衡式ではこのことが反映されて、この圧力平衡式から得られる入力推力Fiを駆動信号に算出に用いることにより、略線形性の変形抵抗特性(図4実線A2)の状態を反映した駆動信号を得ることができる。
この実施の形態における入力推力Fiの推定方法をリアクションディスク10の圧力平衡式を用い、上記従来技術と対比して、図3(図3では、図1の一部を機能的に表現している。)及び図4に基づいて説明する。この圧力平衡式には、式(10)に示されるように、リアクションディスク10に作用する入力部材5に対するブレーキペダル2の踏力(ひいては入力部材5によるリアクションディスク10に作用する力)に相当する入力推力Fi及び電動アクチュエータ11の発生力によるブースタ推力Fbと、リアクションディスク10の変形抵抗Fd(変形抵抗力)と、変形抵抗付与ばね14のばね力〔K×△x、(K:ばね定数、△x:入力部材5及びブースタピストン12の相対変位)〕とを含んでいる。
なお、式(1)〜(8)は、式(9)、式(10)を導き出すために用いるものであるが、式(6)、(7)については、上記「発明が解決しようとする課題」の欄で説明した技術に略対応するものになっている。
本第1実施の形態では、リアクションディスク10の変形抵抗Fdを考慮し変形抵抗付与ばね14を用い、さらに、入力部材5及びブースタピストン12の相対変位を考慮したものになっているが、この説明に先だって、まず、上記内容(リアクションディスク10の変形抵抗Fd、変形抵抗付与ばね14、入力部材5とブースタピストン12との相対変位△x)を含まない状態(上述した従来技術に略対応するものになっている。)におけるリアクションディスク10の圧力平衡式を求める。
図3及び図4において、リアクションディスク10に接する入力ピストン21の面積をAi、ブースタピストン12のリアクションディスク10の端面に接する部分〔以下、ブースタピストンリアクションディスク接触部40という。〕の面積をAb、出力ピストン9の面積をAoとすると、
Ao=Ai+Ab … (1)
の関係がある。
また、推力のバランスから
Fo=Fi+Fb … (2)
(ただし、Fo:出力ピストン9の出力、Fb:ブースタ推力、Fi:入力推力)
の関係がある。
ブースタピストンリアクションディスク接触部40は、リアクションディスク10の端面のうち入力ピストン21に接する部分を除いて形成される環状領域に対応して形成され、環状をなしている。ブースタピストンリアクションディスク接触部40が環状をなしていることを、模式的に符号40Aで示す。
リアクションディスク10の変形抵抗Fdが無視できるほど小さい場合は、リアクションディスク10の圧力をPdとすると、圧力の平衡関係から次式
Pd=Fo/Ao=Fi/Ai=Fb/Ab … (3)
が得られる。
また、相対変位△xがOになるようにブースタ推力Fbを制御することにより倍力比BHについて、
BH=Ao/Ai … (4)
で得られる。
また、このとき、ブースタ推力Fbはモータ電流と減速比から推定できるので、前記式(3)で算出されるFi=Fb×Ai/Abにより入力推力Fiを求めることができる。
また、同様にして、モータ回転角と減速比からブースタピストン12の変位Xbが判るので、この変位Xbを、入力変位Xiを算出する次式(5)
入力変位Xi=Xb−△x … (5)
に当てはめることにより、入力変位Xiを求めることができ、これにより、入力変位Xi及び入力推力Fiの両方を求めることができる。
以上の計算が成り立つのはリアクションディスク10の変形抵抗Fdを無視できることが前提である。実際には真空失陥時のストローク増大を抑えるため、リアクションディスク10の変形量は最大1、5〜2mmに制限されているため変形抵抗Fdは無視できず、上式は△x=0の付近でしか成り立たない。一方、△x=Oを維持しようとすると倍力比はAo/Aiに固定されてしまい、入力ストロークと出力ストロークとが1対1の関係となって、入力ストロークに対して出力ストロークを大きくするような制御、例えば、ペダルフィーリング改善、あるいはブレーキアシストの余地がなくなる。
△x≠0でも入力推力Fiを推定するには、リアクションディスク10の変形抵抗Fdと△xの関係、すなわち、Fd=f(△x)が判っていれば良い。
そして、変形抵抗Fdと△xの関係を考慮した場合の圧力の平衡式は、
Pd=Fo/Ao=(Fi−f(△x))/Ai=(Fb+f(△x))/Ab … (6)
となる。
この式(6)が成立つ状態において、ブースタ推力Fbが判っているときには、式(6)から、
Fi=(Fb+f(△x))×Ai/Ab+f(△x) … (7)
により、入力推力Fiを算出することができ〔上述した「発明が解決しようとする課題」の欄で説明した変形抵抗を考慮していない状態に相当する〕、この入力推力Fiをブースタ推力Fbの算出に用いて、出力推力の発生の制御を行うことが考えられる。
しかしながら、この方法では、上述した「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したように、リアクションディスクはゴムのため、変形抵抗Fdの非線形性〔図4の実線A3で示す〕が大きく、また温度による変形抵抗Fdの変化も大きい。このため、所定温度でf(Δx)を定めたとしても、入力推力Fiは不正確なものとなる。そして、このようにリアクションディスク10の変形抵抗Fdが非線形性を示す状態で得られる入力推力Fiを、出力推力の発生の制御に用いても、良好なペダルフィーリング及び良好なブレーキアシスト動作を確保することはできない。
これに対して、本実施の形態では、上述したように、変形抵抗Fdが線形性を示す特性を有した変形抵抗付与ばね14を設けており、これにより、変形抵抗特性の線形性の改善を行い、上述したように、正確な入力推力Fiを推定することで、良好なペダルフィーリング及び良好なブレーキアシスト動作を確保するようにしている。
すなわち、本実施の形態では、ばね定数Kの変形抵抗付与ばね14を設けたことにより、変形抵抗Fdは、次式
Fd=f(△x)+K×△x … (8)
となり、リアクションディスク10の圧力平衡式は、
Pd=Fo/Ao=(Fi −f(△x) −K×△x)/Ai=(Fb+f(△x)+K×△x)/Ab … (9)
となる。入力推力Fiは、式(9)の圧力平衡式に基づいて、次式(10)で得られ、上述したように駆動信号の算出に用いられる。
Fi=(Fb+f(△x)+K×△x)×Ai/Ab+f(△x)+K×△x … (10)
そして、式(10)の圧力平衡式に基づいて入力推力Fiを正確に推定し、推定した入力推力Fiを駆動信号の算出に用いることにより、電動倍力装置1のメリットを生かす、すなわち良好なペダルフィーリング及び良好なブレーキアシスト動作を確保することができるようになる。
なお、入力変位は従来と同様にXi=Xb−△xのままで計算できる。
第1実施の形態(図1、図2)は、ブースタ推力Fbがモータ電流及び送りねじ機構16の減速比により、精度良く推定できる場合であるが、減速機(送りねじ機構16)のトルク伝達効率が悪い場合、あるいは送りねじ機構16の摺動抵抗が大きい場合は、推力推定誤差が大きくなる。そのような場合の対策を施したものとして、図5の電動倍力装置1A(第2実施の形態)がある。
図5の電動倍力装置1A(第2実施の形態)は、ポテンショメータ13に加えて出力ピストン9とブースタピストン12の相対変位を検出するポテンショメータ13Aをさらに設けている。この電動倍力装置1Aは、ポテンショメータ13Aの検出データ(出力ピストン9とブースタピストン12の相対変位)を用いてリアクションディスク10の体積変化を測定してリアクションディスク10内の圧力Pdを測定するようにしている。そして、この測定値を駆動信号の発生に用い、ブースタFbの発生制御の精度向上を図るようにしている。
リアクションディスク10はゴム製とされ、体積弾性係数の高い材料が用いられている。このゴムは、有機化合物であり最大推力1トン近いブースタ推力Fbでの圧力下では測定可能な範囲の変形量が得られる。ただし、ゴムは熱膨張係数も大きいので温度補償が必要で、リアクションディスク10と同一材質で同じ厚さの温度補償板45をブースタピストン12との間に設けている。
この第2実施の形態は、第1実施の形態と同様に、入力部材5をリアクションディスク10の変形抵抗Fd分だけ後退方向に付勢する変形抵抗付与ばね14を備えているので、正確に推定された入力推力Fiに基づく駆動信号を用いてブースタ推力Fbの発生を制御することができ、電動アクチュエータを用いて構成される電動倍力装置のメリットを生かす、すなわち、良好なペダルフィーリング及び良好なブレーキアシスト動作を確保することができるのは、第1実施の形態と同様である。
次に、本発明の第3実施の形態を図6に基づいて説明する。
図6において、この電動倍力装置1Bは、入力ピストン21を、ブレーキペダル2側の第1入力ピストン21aと、出力ピストン9側の第2入力ピストン21bに2分割し、これらの間にばね定数Kiのばね(以下、入力検出ばねという。)50〔入力部材間ばね手段〕を設け、第1入力ピストン21aを、リアクションディスク10の所定の付勢力で後退方向(図6右方向)に付勢している。
この電動倍力装置1Bは、さらに、第1・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Cと、ブースタピストン・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Dと、を備えている。第1・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Cは、第1、第2入力ピストン21a,21b間の相対変位Δyを検出してこの検出信号をコントローラ15(図2参照)に出力するようにしている。コントローラ15は、駆動信号を算出するが、その算出には、第1・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Cからの検出信号を用いるようにしている。ブースタピストン・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Dは、ブースタピストン12と第2入力ピストン21b間の相対変位Δxを検出する。この検出信号も駆動信号の算出に用いられるようになっている。
この第3実施の形態では、前記相対変位Δyは、入力推力Fiの算出に用いられている。すなわち、入力検出ばね50の反発力は、ブレーキペダル2の踏力、ひいては、入力部材5に作用する力に略相当するものであることから、相対変位Δy及び入力検出ばね50のばね定数Kiから入力推力Fiを推定するようにしている。そして、このようにして推定された入力推力Fiをコントローラ15(図2参照)が電動アチュクエータへ出力する駆動信号の算出に用いている。なお、この第3実施の形態においては、入力検出ばね50とリアクションディスク10とが直列となるため、入力推力Fiの推定に際してリアクションディスク10の変形抵抗Fdの影響を受けることはない。また、入力検出ばね50のばね定数Kiは、例えば、ブレーキアシストを行う際に、所定の荷重が入力検出ばね50にかかったときにどのくらいのストローク量が必要かを勘案して決定されるものである。
第3実施の形態では、第1、第2入力ピストン21a,21b間の相対変位Δyを検出する第1・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Cと第1入力ピストン21aを所定の付勢力で後退方向に付勢する入力検出ばね50とを備えているので、この相対変位Δyと入力検出ばね50のばね定数Kiとにより入力推力Fiを正しく推定することができ、この推定された入力推力Fiに基づく駆動信号を用いてブースタ推力Fbの発生を制御することが可能である。したがって、前記第1実施の形態と同様に、電動アクチュエータを用いて構成される電動倍力装置のメリットを生かす(良好なペダルフィーリング及び良好なブレーキアシスト動作を確保する)ことができる。
なお、ブースタピストン・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Dにより得られる相対変位Δxについては、入力ストロークに対して出力ストロークを変化させるようなブレーキアシスト機能のための駆動信号の算出に用いることができる。これにより、ブースタ推力Fbの発生精度をより、向上させることができる。
なお、第3実施の形態では、入力検出ばね50を備えており、第1、第2実施の形態で設けられた変形抵抗付与ばね14は不要となっている。このことは、後述する第4、第5実施の形態にも同様に言えることである。
次に、本発明の第4実施の形態を図7に基づいて説明する。
図7において、この電動倍力装置1Cは、第3実施の形態と同様に第1、第2入力ピストン21a,21b間の相対変位Δyを検出する第1・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Cを設ける一方、第3実施の形態のブースタピストン・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Dに代えて、ケース4に対する第1入力ピストン21aの移動量(変位)を検出するポテンショメータ(以下、第1入力ピストン移動量検出用ポテンショメータ13Eという。)を設けたことが、主に異なっている。
この第4実施の形態では、第1・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Cは、その本体部35A及び取付部材36がそれぞれ第1入力ピストン21a及び第2入力ピストン21bに個別に設けられている。また、第1入力ピストン移動量検出用ポテンショメータ13Eは、その本体部35Cが第1・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Cの本体部35Aとともに第1入力ピストン21aに固定されており、レバー35Dの他端がケース4に固定されている。
この第4実施の形態も、第1、第2入力ピストン21a,21b間の相対変位Δyを検出する第1・第2入力ピストン間ポテンショメータ13Cと第1入力ピストン21aを所定の付勢力で後退方向に付勢する入力検出ばね50とを備えているので、この相対変位Δyと入力検出ばね50のばね定数Kiとにより入力推力Fiを正しく推定することができ、この推定された入力推力Fiに基づく駆動信号を用いてブースタ推力Fbの発生を制御することが可能である。したがって、前記第1実施の形態と同様に、電動アクチュエータを用いて構成される電動倍力装置のメリットを生かす、すなわち、良好なペダルフィーリング及び良好なブレーキアシスト動作を確保することができる。
次に、本発明の第5実施の形態を図8及び図9に基づいて説明する。
図8及び図9において、この電動倍力装置1Dは、前記第4実施の形態が2つのポテンショメータ(13C,13E)を備えているのに比して、1個のポテンショメータ13Gで2つのポテンショメータ(13C,13E)の機能を果たすように構成した点が主に異なっている。
このポテンショメータ13Gは、ケース4に固定された抵抗体60と、抵抗体60に摺動変位する第1、第2ブラシ61,62と、から大略構成されている。第1ブラシ61は第1入力ピストン21aに保持され、第2ブラシ62は第2入力ピストン21bに保持されている。このポテンショメータ13Gでは、第1、第2ブラシ61,62でそれぞれ得られる電圧の差電圧を利用して第1、第2入力ピストン21a,21b間の相対変位を求め、この相対変位を示す検出信号を、コントローラ15(図2参照)が求める電動アクチュエータ11(図2参照)を駆動するための駆動信号の算出に用いるようにしている。
さらに、この第5実施の形態では、検出信号を用いて、第3実施の形態と同様にして、入力推力Fiを推定し、この入力推力Fiを駆動信号の算出に用いるようにしている。
この第5実施の形態も、第3、第4実施の形態と同様に、第1、第2入力ピストン21a,21b間の相対変位Δyを検出するポテンショメータ13Gと第1入力ピストン21aを所定の付勢力で後退方向に付勢する入力検出ばね50とを備えているので、この相対変位Δyと入力検出ばね50のばね定数Kiとにより入力推力Fiを正しく推定することができ、この推定された入力推力Fiに基づく駆動信号を用いてブースタ推力Fbの発生を制御することが可能である。したがって、第1実施の形態と同様に、電動アクチュエータを用いて構成される電動倍力装置のメリットを生かす、すなわち、良好なペダルフィーリング及び良好なブレーキアシスト動作を確保することができる。
上記第1及び第2実施の形態では、変形抵抗Fdが線形性を示す特性を有したばね手段(変形抵抗付与ばね14)を用いる場合を例にしたが、これに代えて、リアクションディスク10と合せて、変形抵抗Fdが線形性を示す特性が得られるような非線形性の特性を有するばね手段を用いるようにしてもよい。
本発明の第1実施形態に係る電動倍力装置を模式的に示す断面図である。 図1の電動倍力装置の要部を示す断面図である。 図1の電動倍力装置の圧力平衡式を説明するため図である。 図1のリアクションディスクの変形抵抗特性を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る電動倍力装置を図2に対応させて模式的に示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る電動倍力装置を図2に対応させて模式的に示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る電動倍力装置を図2に対応させて模式的に示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る電動倍力装置を図2に対応させて模式的に示す断面図である。 図8のポテンショメータのブラシと抵抗体を模式的に示す図である。
符号の説明
1,1A,1B,1C,1D…電動倍力装置、5…入力部材、10…リアクションディスク(リアクション部材)、11…電動アクチュエータ、12…ブースタピストン(伝達部材)、13、13G…ポテンショメータ(変位検出手段)、13C…第1、第2入力ピストン間ポテンショメータ(変位検出手段)、14…変形抵抗付与ばね、20…入力ロッド(入力部材)、21…入力ピストン(入力部材)、21a,21b…第1、第2入力ピストン(入力部材)、50…入力検出ばね。

Claims (7)

  1. ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、
    該入力部材の前進動に伴って、マスタシリンダのピストンを押圧する出力部材と、
    前記入力部材及び前記出力部材の間に設けられ弾性を有するリアクション部材と、
    該リアクション部材を介した前記出力部材の押圧を電動アクチュエータの発生力を受けて行う伝達部材と、
    前記伝達部材と前記入力部材との相対移動を検出し、前記電動アクチュエータを駆動するための駆動信号の算出に用いられる検出信号を出力する変位検出手段とからなる電動倍力装置において、
    前記入力部材を前記リアクション部材の変形抵抗力分だけ後退方向に付勢するばね手段を設けたことを特徴とする電動倍力装置。
  2. 前記ばね手段は、前記入力部材と前記伝達部材の間に設けられることを特徴とする請求項1記載の電動倍力装置。
  3. 前記変位検出手段は、前記出力部材と前記伝達部材との相対移動をも検出することを特徴とする請求項1又は2記載の電動倍力装置。
  4. 前記リアクション部材に作用する電動アクチュエータの発生力によるブースタ推力と、前記リアクション部材の変形抵抗力と、前記ばね手段のばね力とを含む前記リアクション部材の圧力平衡式から前記入力部材にかかる入力推力を推定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電動倍力装置。
  5. ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、
    該入力部材の前進動に伴って、マスタシリンダのピストンを押圧する出力部材と、
    前記入力部材及び前記出力部材の間に設けられ弾性を有するリアクション部材と、
    該リアクション部材を介した前記出力部材の押圧を電動アクチュエータの発生力を受けて行う伝達部材と、
    ブレーキペダル側の第1入力部材とリアクション部材側の第2入力部材とに分割された前記入力部材の第1、第2入力部材間の相対移動を検出し、前記電動アクチュエータを駆動するための駆動信号の算出に用いられる検出信号を出力する変位検出手段と、
    前記第1、第2入力部材間に、前記第1入力部材を後退方向に付勢する入力部材間ばね手段とを設けたことを特徴とする電動倍力装置。
  6. 前記変位検出手段により検出される第1、第2入力部材間の相対移動により前記入力部材間ばね手段の反発力を算出し、これを入力推力として前記電動アクチュエータを制御することを特徴とする請求項5記載の電動倍力装置。
  7. 前記変位検出手段は、ポテンショメータからなることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電動倍力装置。

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