JP2006281083A - 薄膜蒸発装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 薄膜蒸発装置1の胴体2内において、ワイパ23を備えるロータ4が設けられる駆動軸3のシール部材5を被覆するように、チャンバ7を設けて、薄膜蒸発装置1の運転時には、そのチャンバ7内を窒素ガスで封入する。これによって、シール部材5は、運転時において、常時、窒素ガスが封入されているチャンバ7によって、胴体2の内部空間から画成されているので、シール部材5にタール成分に起因する固着物が固着することを防止することができる。そのため、長期にわたって安定した運転動作を確保することができる。
【選択図】 図1
Description
このようなポリイソシアネートの製造プラントにおいては、イソシアネート化反応の終了後に、得られた未精製ポリイソシアネートから、副生した高分子量ポリイソシアネートを加熱し、蒸留操作によって分離するようにしている。
図1において、この薄膜蒸発装置1は、胴体2と、加熱手段としてのジャケット11と、薄膜形成手段としての駆動軸3、ロータ4およびワイパ23と、シール部材5と、軸受6と、チャンバ7とを備えている。
また、ケーシング8の底壁には、その中央部において、下方に向かって窪む凹部20が形成されている。この凹部20は、胴体2より小径の有底円筒形状に形成されている。凹部20の中央には、被処理液の留出成分を流出させるための筒状の底部流出管16が、下方に突出するように設けられている。また、凹部20の周側壁の他方側には、胴体2内を減圧するための筒状の真空吸引管21が、径方向外方に突出するように設けられている。
駆動軸3は、蓋板9の挿通孔10を挿通して、ケーシング8の中心軸線に沿って配置されており、その下端部が、胴体2内において、コンデンサ22と上下方向において間隔を隔てた状態で配置され、その上端部が、胴体2の外側上方において、モータ17に接続されている。
ワイパ23は、ロータ4の径方向外側端部において、ロータ4の長手方向(上下方向)に沿って設けられている。そのため、ワイパ23は、ケーシング8の周側壁の内周面とわずかな隙間を隔てて対向配置される。
軸受6は、胴体2の外側上方であって、シール部材5の上面に設けられている。この軸受6は、駆動軸3の途中を軸受けして、その駆動軸3を回転自在に支持している。
そして、薄膜蒸発装置1の運転時には、モータ17が駆動して、そのモータ17の駆動により、軸受6に回転自在に支持されている駆動軸3が回転する。すると、その駆動軸3に設けられているローラ4が、駆動軸3を回転中心として回転し、ワイパ23がケーシング8の周側壁の内周面とわずかな隙間を隔てた状態で、周方向に移動する。
チャンバ7は、胴体2内において、挿通孔10に埋設されるシール部材5を胴体2の内部空間から画成して、シール部材5を被覆するように設けられている。
そして、チャンバ7は、下板7bの挿通開口部18に駆動軸3が挿通された状態で、筒部7aの上端部が、挿通孔10の周りを囲むように、蓋板9の下面に溶接により固定されている。
また、チャンバ7の筒部7aは、図示しないが、その一部がテーパ状に形成されていてもよく、チャンバ7の近くに凝縮性ガスが多くなる場合には、例えば、下端から上端に向って開口断面積の広がる略円錐台形状に形成することが好適である。
この薄膜蒸発装置1の運転時においては、まず、上部流入管14から、留出成分(例えば、後述するポリイソシアネート)とタール成分(例えば、後述する高分子量ポリイソシアネート)とが含有されている被処理液(例えば、後述する反応液)が、胴体2内へ流入する。そして、その流入された被処理液は、モータ17により駆動軸3を回転中心として周方向に移動しているワイパ23の遠心力によって、ワイパ23の径方向端部とケーシング8の周側壁の内周面とわずかな隙間において、液膜に形成される。そして、その液膜に含有されている留出成分は、ジャケット11の加熱により蒸発して、コンデンサ22で濃縮されることで留出液となり、底部流出管16から流出する。一方、被処理液に含有されているタール成分は、液膜から蒸発することなくケーシング8の底壁に溜まり、その後、側部流出管15から流出する。
すなわち、図2において、このポリイソシアネートの製造プラント30では、イソシアネート化反応槽31と、溶媒回収槽32と、薄膜蒸発装置1とが、反応液の流れ方向においてこの順番で、輸送管33を介して接続されている。また、溶媒回収槽32からイソシアネート化反応槽31へは溶媒回収ライン34が接続されている。
なお、ポリアミンは、ポリウレタンの製造に用いられるポリイソシアネートに対応するポリアミンであって、特に制限されず、例えば、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(MDI)に対応するポリメチレンポリフェニレンポリアミン(MDA)、トリレンジイソシアネート(TDI)に対応するトリレンジアミン(TDA)などの芳香族ジアミン、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)に対応するキシリレンジアミン(XDA)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)に対応するテトラメチルキシリレンジアミン(TMXDA)などの芳香脂肪族ジアミン、例えば、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)に対応するビス(アミノメチル)ノルボルナン(NBDA)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)に対応する3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(IPDA)、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)に対応する4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(H12MDA)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)に対応するビス(アミノメチル)シクロヘキサン(H6XDA)などの脂環族ジアミン、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に対応するヘキサメチレンジアミン(HDA)などの脂肪族ジアミン、および、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)に対応するポリメチレンポリフェニルポリアミンなどから、適宜選択される。XDIやHDIには、この薄膜蒸発装置1を使用した場合に、大きな効果を得ることができる。また、図2に示すプラント30は、脂肪族ジアミンから、脂肪族ジイソシアネートを製造するのに適している。
そして、イソシアネート化反応槽31では、ポリアミンおよび塩化カルボニルが、溶媒中でイソシアネート化反応して、粗ポリイソシアネート(未精製ポリイソシアネート)を生成する。なお、粗ポリイソシアネートには、製品となるポリイソシアネート以外に、副生した高分子量ポリイソシアネート(高分子量化したポリイソシアネート)が含まれている。
そして、薄膜蒸発装置1では、上記した運転動作によって、上部流入管14から被処理液として反応液(溶媒が除去された粗ポリイソシアネートがリッチな反応液)が流入し、留出成分として、製品となるポリイソシアネートが、底部流出管16から流出する。また、タール成分として、高分子量ポリイソシアネートが、側部流出管15から流出する。
2 胴体
3 駆動軸
4 ロータ
5 シール部材
6 軸受
7 チャンバ
23 ワイパ
30 製造プラント
Claims (2)
- 胴体と、
前記胴体内に設けられ、前記胴体の内壁との間で被処理液の薄膜を形成する薄膜形成手段と、
前記薄膜を蒸発させる加熱手段と、
前記薄膜形成手段を回転自在に支持する軸受と、
前記胴体内の被処理液の前記軸受への漏洩を防止するためのシール部材と、
前記胴体の内部空間から前記シール部材を画成するように前記シール部材を被覆し、不活性ガスが封入されるチャンバと
を備えていることを特徴とする、薄膜蒸発装置。 - ポリイソシアネートの製造工程において、未精製ポリイソシアネートから、高分子量化したポリイソシアネートを分離するために用いられることを特徴とする、請求項1に記載の薄膜蒸発装置。
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