JP2006275337A - 貯湯式給湯システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 貯湯槽20内の温水が使用されていない状態を判定し、貯湯槽20内の温水が使用されていない時間が48時間以上となると、貯湯槽20内の温水に細菌が繁殖している可能性があるとして、貯湯槽20内の温水の加熱殺菌が完了するまで温水経路開閉弁43の開放が禁止される。貯湯槽20内の温水の加熱殺菌は、給湯栓64が開かれたと判断され、使用者が在宅であると判定された時に行われる。貯湯槽20内の温水は発電熱によって60℃以上で1時間加熱されると、温水経路開閉弁43の開放禁止が解除されて貯湯槽20内の温水の使用が許可される。加熱殺菌は、貯湯槽20内の温水を使用する直前の1回だけでよいため、エネルギー効率がよく、衛生的である。
【選択図】 図2
Description
温水を貯湯槽に貯湯しておいて利用する給湯システムでは、給湯システムが長期間利用されなければ、その間は貯湯槽内の温水は入換わらず、貯湯槽内の温水は放熱によって徐々に温度低下する。高温温水が貯湯されていれば殺菌されるが、温度低下した温水が貯湯されていると、貯湯槽内にレジオネラ菌等の有害な細菌が繁殖する可能性が皆無ではない。
特許文献1の貯湯式給湯装置では、貯湯槽内の温水温度が殺菌可能温度より低い状態が所定時間以上継続すれば、使用者が不在であっても殺菌動作が実行される。殺菌動作が実行された後もさらに使用者が不在であれば、再度殺菌動作が実行される。即ち、特許文献1の貯湯式給湯装置では、殺菌動作が過不足なく適切な時期に実行されるとしているが、使用者が長期間不在であると、使用者の不在中に、貯湯槽内の温水が定期的に何回も殺菌動作されることが起こり得る。しかし、貯湯槽内の温水の殺菌処理は、温水を使用する直前に1回行われれば十分である。特許文献1の貯湯式給湯装置のように、貯湯槽内の温水を使用するまでに何回も殺菌処理を実行すれば、利便性は向上するが、省エネルギーという観点からは、むしろ、エネルギーの無駄使いと言わざるを得ない。
本発明は、長期間利用されなかった貯湯槽内の温水を、適切なタイミングで、且つエネルギーや資源を浪費することなく処置し、給湯システムを衛生的に使用することができる技術を提供することを目的とする。
貯湯槽内の温水が長期間に亘って利用されないとき、経過時間や温水温度に応じて貯湯槽内の温水の加熱殺菌を行う構成であれば、使用者の不在中に加熱殺菌が行われることが起こり得る。不在中に加熱殺菌が行われても、加熱殺菌後の高温の温水はすぐに使用されず、やがて放熱して温度低下する。使用者の不在期間が長くなれば、貯湯槽内の温水は何回も加熱殺菌されることとなる。使用予定時刻が未定である温水を加熱して放熱させることを何回も繰返す行為はエネルギーの浪費に他ならない。
本発明の貯湯式給湯システムでは、貯湯槽内の温水が使用されていない状態を判定し、貯湯槽内の温水が使用されていない時間を計時する。計時時間が所定時間(例えば48時間)以上となると、貯湯槽内の温水に細菌が繁殖している可能性があるとして、開閉弁の開放を禁止して貯湯槽内の温水の使用を禁止する。貯湯槽内の温水の加熱殺菌が完了するまでは開閉弁の開放が禁止される。貯湯槽内の温水の加熱殺菌は、使用者が在宅であることが判定された時に行われる。使用者が不在であるときには加熱殺菌を行わない。貯湯槽内の温水の加熱には、給湯システムに既設の上記加熱手段(発電熱や太陽熱等を利用するもの)を利用する。あるいは、既設の加熱器を利用して加熱してもよい。貯湯槽内の温水温度が所定温度(例えば60℃)以上で第2所定時間(例えば1時間)が経過すると、加熱殺菌が完了したとして、開放弁の開放禁止状態が解除されて貯湯槽内の温水の使用が許可される。
本発明の貯湯式給湯システムによれば、貯湯槽内の温水の加熱殺菌処理は、使用者の在宅が検出されるまでは行わず、使用者の帰宅時に1回だけ行なわれる。貯湯槽内の温水は、使用される直前に加熱殺菌されることとなり、加熱殺菌によって昇温した温水を有効に使用することができる。貯湯槽内の温水の加熱殺菌を1回で済ませることができ、エネルギー効率がよく、しかもこの1回の加熱殺菌を、温水を使用する直前に行うことができるため、衛生的である。
本発明の貯湯式給湯システムでは、使用者の在宅を確認してから加熱殺菌を開始する。従って、使用者が帰宅した直後に給湯要求があっても、貯湯槽内の温水を給湯に使用することはできない。このときは、給湯システムに既設の給湯器によって水道水を加熱して給湯を行う。水道水の加熱に熱エネルギーを消費することにはなるが、使用者の不在中に貯湯槽内の温水を加熱し、結果的にその温水を使用しないまま放熱させてしまう可能性のある従来のシステムに比べ、エネルギー効率ははるかに向上する。
貯湯槽内の温水が長期間に亘って利用されないとき、経過時間に応じて貯湯槽内の温水の入換えを行う構成であれば、使用者の不在中に貯湯槽内の温水の入換えが行われることが起こり得る。不在中に入換えが行われても、貯湯槽内に充填された水はすぐに使用されず、再度入換えが必要な状態となり得る。使用者の不在期間が長くなれば、貯湯槽内の温水は何回も入換えられることとなる。使用予定時刻が未定である温水の入換えを何回も繰返す行為は資源の浪費に他ならない。
本発明の貯湯式給湯システムによれば、貯湯槽内の温水の入換えは、使用者の在宅が検出されるまでは行わず、使用者の帰宅時に1回だけ行なわれる。貯湯槽内の温水の入換えを1回で済ませることができ、資源の消費を最小限にし、しかもこの1回の入換えを、使用する直前に行うことができるため、衛生的である。
運転状態の所定変化には、流量センサの検出値の変化、電力センサの検出値の変化、人による機器操作の検出、人体感応センサによる検知等を例示することができる。流量センサの検出値が変化すれば、給湯栓が開かれて水(湯)が使用されたことがわかり、使用者が在宅していることがわかる。電力センサの検出値が所定値以上変化すれば、電気機器が使用されたことがわかり、使用者が在宅していることがわかる。人によって操作される機器が操作されたことが検出されれば、使用者が在宅していることがわかる。人体感応センサによって人体が検知されれば、使用者が在宅していることがわかる。これらの複数の事象を観測し、これらの事象の少なくとも1種に何らかの変化があったとき、所定変化があったとしてもよい。
(形態1)貯湯槽内の温水が使用されている状態であるか否かは、開閉弁の開閉状態によって判定される。
(形態2)使用者が帰宅したことは、給湯栓が開かれたか否かによって判定される。
(形態3)貯湯槽内の温水を排水するための温水排水経路は、貯湯槽とミキシングユニットを接続している温水経路から分岐しており、この温水排水経路には温水排水経路開閉弁が設けられている。
(形態4)貯湯槽内の温水の入換えを行うとき、開閉弁の開放禁止が解除される入換え流量は、貯湯槽容量に等しい流量か、それ以上の流量である。
(形態5)貯湯槽内の温水が長期間使用されなかったとき、使用されていない時間が第3所定時間(たとえば120時間)未満であれば加熱処理を行い、第3所定時間以上であれば入換え処理を行う。
(形態6)ミキシングユニットからの混合水を必要に応じて加熱する混合水加熱手段を備えており、開閉弁制御手段によって開閉弁の開放が禁止されている間に給湯要求があったとき、ミキシングユニットからの水道水を混合水加熱手段によって加熱して給湯する。
本発明の貯湯式給湯システムを具現化した第1実施例を図面を参照しながら説明する。本実施例は、本発明の貯湯式給湯システムを組込んだコージェネレーションシステムである。
本実施例のコージェネレーションシステムは、図1に示すように、発電ユニット110と給湯システム10等を備えている。
発電ユニット110は、改質器112、燃料電池114、熱交換器116、118、熱媒放熱器120、熱媒三方弁122、それらを接続する経路等を備えている。
改質器112には、バーナ131が設けられている。バーナ131が作動して熱を発生すると、改質器112は炭化水素系のガスから水素ガスを生成する。バーナ131で燃焼した高温の燃焼ガスは燃焼ガス経路126に導かれる。燃焼ガス経路126は、改質器112から熱交換器116を通過して外部に開放されている。熱交換器116には、循環経路128も通過している。燃焼ガス経路126は、バーナ131で発生した高温の燃焼ガスを熱交換器116に導き、循環経路128を流れる水を加熱し、熱交換によって温度が低下した燃焼ガスを外部に排出する。
循環経路128は、循環復路128aと、循環往路128bから構成されており、給湯システム10と接続されている。循環経路128が給湯システム10にどのように接続されているのかについては、後で詳細に説明する。循環経路128は温水を流通させる。循環経路128を流れる温水は、熱交換器116を通過することによって燃焼ガス経路126を流れる燃焼ガスによって加熱され、温度が上昇する。
熱媒循環経路124は、燃料電池114、熱交換器118、リザーブタンク125、熱媒ポンプ127、熱媒三方弁122を通って燃料電池114に戻る循環経路を形成している。熱媒循環経路124の燃料電池114の下流側には、熱媒温度センサ117と凍結防止用ヒータ123が装着されている。熱媒温度センサ117は、熱媒循環経路124を流れる熱媒の温度を検出する。熱媒温度センサ117の検出信号は、給湯システム10に装着されているコントローラ21に出力される。凍結防止用ヒータ123は熱媒循環経路124を加熱する電気ヒータである。
熱媒三方弁122は、1つの入口122aと、2つの出口122b,122cを備えている。熱媒三方弁122は、入口122aと出口122bを連通させるか、入口122aと出口122cを連通させるかを切換える。
熱媒三方弁122の出口122bと、熱媒循環経路124の熱媒三方弁122の出口122cの下流側とを接続する冷却経路129が設けられている。熱媒循環経路124と冷却経路129は熱媒としての純水を流通させる。冷却経路129の途中には熱媒放熱器120が装着されている。熱媒放熱器120に隣接して熱媒冷却ファン119が設けられている。熱媒冷却ファン119を運転すると、空気が熱媒放熱器120に吹付けられ、冷却経路129を流れる熱媒が冷却される。
改質器112、燃料電池114、バーナ131、熱媒ポンプ127、凍結防止用ヒータ123、熱媒三方弁122、熱媒冷却ファン119は、コントローラ21によって制御される。
熱媒温度センサ117が検出した熱媒温度が高くなりすぎると、発電熱の回収が不十分となってしまうため、発電熱の放熱を行う。熱媒三方弁122の入口122aと出口122bが連通され、同時に熱媒冷却ファン119が運転される。熱媒三方弁122の入口122aと出口122bが連通されると、熱媒は冷却経路129に流入し、熱媒放熱器120を通過する。熱媒は、熱媒放熱器120を通過することによって冷却される。熱媒放熱器120は、熱媒冷却ファン119から空気が吹付けられることにより、高い効率で熱を放熱する。熱媒の温度が低下すると、熱媒三方弁122の入口122aと出口122cが再び連通される。このような熱媒三方弁122の切換えが繰返されることにより、熱媒の温度は、所定範囲内に維持される。
貯湯槽20の底部には、貯湯槽20に水道水を給水する給水経路26が接続されている。給水経路26の入口26aの近傍には、減圧弁28が装着されている。給水経路26の減圧弁28の下流側とミキシングユニット24の給水入口24aは、ミキシングユニット給水経路30によって接続されている。減圧弁28は、貯湯槽20とミキシングユニット24への給水圧力を調整する。貯湯槽20内の温水が減少したり、ミキシングユニット24の給水入口24aが開いたりすると、減圧弁28の下流側圧力が低下する。減圧弁28は、下流側圧力が低下すると開き、その圧力を所定の調圧値に維持しようとする。このため、貯湯槽20内の温水が減少したり、ミキシングユニット24の給水入口24aが開いたりすると、それらに水道水が給水される。
貯湯槽20には、調圧値に調圧された水が貯められる。貯湯槽20は、調圧値に耐えられる耐圧容器で形成されている。貯湯槽20の上部には出口部20aが設けられており、さらにその上にリリーフ弁31が装着されている。リリーフ弁31の開弁圧力は、減圧弁28の調圧値よりも僅かに大きく設定されている。減圧弁28の調圧が不能になった場合には、リリーフ弁31が開き、貯湯槽20内の圧力が耐圧圧力を超えるのを防止する。リリーフ弁31には、圧力開放経路32の一端32aが接続されている。圧力開放経路32の他端32bは貯湯槽20の外部に開放されている。
貯湯槽20の底部と、圧力開放経路32の他端32b近傍を接続する排水経路33が設けられている。排水経路33の途中には排水弁34が装着されている。排水弁34は手動で開閉することができる。排水弁34を開くと、貯湯槽20内の水が排水経路33と開放経路32を通って外部に排水される。
発電運転中に循環ポンプ40が作動すると、貯湯槽20の底部から温水が吸出される。貯湯槽20から吸出された温水は、循環往路128bを流れてから発電ユニット110の熱交換器118、116を通過することによって加熱されて温度が上昇する。温度が上昇した温水は、循環復路128aを流れて貯湯槽20の上部に戻される。このように、貯湯槽20の底部から吸出された温水が、発電ユニット110の熱交換器118、116によって加熱されてさらに高温になり、貯湯槽20の上部に戻される循環が行われることにより、貯湯槽20に高温の温水が貯えられる。貯湯槽20内の温度が低い状態から、貯湯槽20に発電ユニット110からの高温の温水が戻されると、貯湯槽20の上部に高温の温水が戻されることから、冷水層の上部に高温層が積層した状態(以下、「温度成層」と言う)が形成される。高温層よりも深い部分の水の温度は急激に低下する。発電中に、貯湯槽20の底部から低温の温水が吸出され、上部に高温の温水が戻され続けると、高温層は低温層と交じり合うことなく、低温層の厚さ(深さ)は次第に小さくなり、高温層の厚さ(深さ)は次第に大きくなる。貯湯槽20にフルに蓄熱された状態では、貯湯槽20の全体に高温の温水が貯まった状態になる。温度成層が形成されることにより、貯湯槽20にフルに蓄熱が行われていなくても、貯湯槽20の最上部に設けられている出口部20aからは、高温の温水が送り出される。一方、貯湯槽20の温水が利用されると、貯湯槽20の上部の高温の温水が吸出され、底部から水道水が入水すると、高温層の厚さ(深さ)は次第に小さくなり、低温層の厚さ(深さ)は次第に大きくなる。貯湯槽20内の温水を使い切ると、貯湯槽20内は水道水で満たされた状態となる。
コントローラ21は、ハイカットサーミスタ55によって温水が前記所定値を大きくオーバーしたことが検出された場合(すなわち、混合水サーミスタ54、あるいはミキシングユニット24が故障した可能性が高い場合)に、温水入口24cを閉じる。温水入口24cが閉じると、前記所定値を大きくオーバーした温度の温水が、給湯器22に供給されてしまうのが防止される。
ミキシングユニット24の混合水出口24bと給湯器22のバーナ熱交換器52(後述する)は、混合水経路51によって接続されている。混合水経路51には、第2流量センサ47が装着されている。第2流量センサ47の検出信号は、コントローラ21に出力される。
バーナ熱交換器52の下流側と給湯栓64は給湯栓経路63によって接続されている。給湯栓64は、浴室、洗面所、台所等に配置されている(図1では、これら複数の給湯栓64を1つで代表している)。給湯栓経路63には給湯サーミスタ65が装着されている。給湯サーミスタ65はバーナ熱交換器52から流出する温水の温度を検出する。給湯サーミスタ65の検出信号はコントローラ21に出力される。
シスターン61内には水位電極66が装着されている。水位電極66は、棒状のハイレベルスイッチ66aとローレベルスイッチ66bを有している。ハイレベルスイッチ66aの下端はシスターン61のハイレベル水位に位置している。ローレベルスイッチ66bの下端はシスターン61のローレベル水位に位置している。ハイレベルスイッチ66aとローレベルスイッチ66bは、水に触れていると検出信号をコントローラ21に出力する。コントローラ21は、水位電極66からの検出信号によって、シスターン61の水位がハイレベル水位を超えているか、ハイレベル水位とローレベル水位の間にあるか、ローレベル水位よりも低いかを判別する。シスターン61として適正なのは、水位がハイレベルとローレベルの間に位置している状態である。コントローラ21は、水位電極66からの水位検出信号に基づいて補給水弁59を開閉制御し、シスターン61の水位を適正範囲に維持する。
ガス燃焼式のバーナ57はバーナ熱交換器60を加熱する。バーナ熱交換器60の下流とシスターン61は高温水経路73によって接続されている。高温水経路73には、上流側から順に、暖房高温サーミスタ74、暖房端末熱動弁75、暖房端末機76が装着されている。
暖房高温サーミスタ74は、高温水経路73を流れる温水の温度を検出する。暖房高温サーミスタ74の検出信号はコントローラ21に出力される。
暖房端末熱動弁75は、膨張エレメントと、膨張エレメントと機械的に連結された開閉弁を内蔵している。暖房端末機76の操作スイッチ76aがオンにされると、暖房端末熱動弁75の膨張エレメントに通電が行われる。通電された膨張エレメントは高温になって膨張する。膨張した膨張エレメントは開閉弁を駆動し、これによって暖房端末熱動弁75が開かれる。また、操作スイッチ76aがオンにされると、コントローラ21は、暖房ポンプ69を作動させる。このように、操作スイッチ76aがオンにされたことによって、暖房端末熱動弁75が開かれるとともに、暖房ポンプ69が作動すると、シスターン61から温水が吸出される。コントローラ21は、暖房低温サーミスタ72と暖房高温サーミスタ74が検出した温水温度に基づいて、バーナ57を制御し、バーナ熱交換器60から流出する温水の温度を所定範囲に維持する。暖房端末機76の電動ファンは、操作スイッチ76aがオンにされると回転し、熱交換器76bに空気を吹付ける。熱交換器76bに吹付けられた空気は、熱交換器76bを介して温水と熱交換を行って暖められる。暖められた空気は暖房端末機76から吹出し、部屋を暖房する。熱交換器76bで空気と熱交換を行うことによって、温水の温度は低下する。温度が低下した温水は高温水経路73を流れてシスターン61に戻る。
浴槽79には吸出口79aと供給口79bが設けられている。吸出口79aと供給口79bは風呂循環経路80によって接続されている。風呂循環経路80は追焚き熱交換器58を通過している。上述したように、追焚き経路77も追焚き熱交換器58を通過している。このため、追焚き熱交換器58では、風呂循環経路80と追焚き経路77との間で熱交換が行われる。風呂循環経路80の追焚き熱交換器58の上流側には、風呂水位センサ81、風呂循環ポンプ82、風呂水流スイッチ84が装着されている。風呂循環ポンプ82はコントローラ21によって制御される。風呂水位センサ81、風呂水流スイッチ84は、コントローラ21に検出信号を出力する。風呂水位センサ81は水圧を検出する。コントローラ21は、風呂水位センサ81が検出した水圧から、浴槽79に張られている湯の水位を推定する。風呂水流スイッチ84は風呂循環経路80を水が流れるとオンになる。
風呂循環経路80の風呂水位センサ81の上流側には、浴槽79から吸出された温水の温度を検出する風呂サーミスタ85が装着されている。風呂サーミスタ85の検出信号はコントローラ21に出力される。
浴槽79に湯を張るときには、注湯弁27が開かれる。注湯弁27が開かれると、温水が給湯栓経路63から湯張り経路25を経て風呂循環経路80に流入する。風呂循環経路80に流入した温水は、吸出口79aと供給口79bから浴槽79に供給され、浴槽79に湯張りされる。このときには、風呂循環ポンプ82は駆動されず、湯張り経路25に加わっている水圧によって浴槽79への湯張り運転が行われる。
高温水経路73の暖房端末熱動弁75の上流側と、低温水経路70の床暖房機91の下流側とは、バイパス経路92によって接続されている。暖房端末熱動弁75と床暖房熱動弁90が閉じた状態で、暖房ポンプ69が作動すると、シスターン61内の温水が順に、バーナ上流経路71、バーナ熱交換器60、高温水経路73、バイパス経路92、低温水経路70、高温水経路73と流れ、シスターン61へ戻る経路が形成される。
図2に示すように、ステップS10でシステム電源がオンであり(YESであり)、ステップS12で温水経路開閉弁43が開いたことが検出されると(NOであると)、使用者が在宅であり、貯湯槽20内の温水が適正頻度で使用されており、殺菌処理の必要はないとみなされ、ステップS36に進んで通常動作を行う。
ステップS36の通常動作では、貯湯槽20内の温水温度が給湯設定温度以上であるとき、ミキシングユニット24において、貯湯槽20からの温水と水道水を給湯設定温度に調温して給湯する。貯湯槽20内の温水温度が給湯設定温度を下回っているとき、この温水をバーナ56によって給湯設定温度まで加熱して給湯する。貯湯槽20内の温水温度が給湯設定温度を若干下回ってはいるが、この温水をバーナ56の最小加熱量で加熱すると給湯設定温度を上回ってしまうとき、バーナ56の最小加熱量で加熱したときに給湯設定温度となるように、ミキシングユニット24において予め温度低下させることによって給湯設定温度で給湯できるようにする。
タイマによる計時が行われている間、ステップS16で温水経路開閉弁43が閉じられたまま(YESのまま)、ステップS18でタイマの計測時間が48時間以上となると(YESとなると)、48時間以上貯湯槽20内の温水が入換わっていないこととなる。貯湯槽20内の温水が48時間以上貯湯されたままであると、細菌が繁殖する可能性が皆無ではない。従って、ステップS20に進み、貯湯槽20内の温水を殺菌する必要があると判断する。貯湯槽20内の殺菌処理前の温水が給湯されないようにするため、ステップS22で、温水経路開閉弁43を閉じた状態で維持する。温水経路開閉弁43が閉じられた状態が維持されている間に給湯要求があっても、殺菌処理中の貯湯槽20内の温水が給湯に利用されてしまうことがない。温水経路開閉弁43を閉じられている間に給湯要求があったときは、水道水を給湯器22のバーナ56によって給湯設定温度まで加熱して給湯する。
ステップS38に進み、システム電源がオフとなるまで、ステップS12からステップS38の処理を繰返す。システム電源がオフとなれば(ステップS38でYESとなれば)、処理を終了する。
もし、貯湯槽内の温水が長期間に亘って利用されないとき、経過時間や温水温度に応じて貯湯槽内の温水の加熱殺菌を行う給湯システムであれば、使用者の不在中に加熱殺菌が行われることが起こり得る。不在中に加熱殺菌が行われても、加熱殺菌後の高温の温水はすぐに使用されず、やがて放熱して温度低下する。使用者の不在期間が長くなれば、貯湯槽内の温水は何回も加熱殺菌されることとなる。使用予定時刻が未定である温水を加熱して放熱させることを何回も繰返す行為はエネルギーの浪費に他ならない。
本実施例によれば、貯湯槽20内の温水の加熱殺菌処理は、使用者の在宅が検出されるまでは行われず、使用者の帰宅時に1回だけ行なわれる。貯湯槽20内の温水は、使用される直前に加熱殺菌されることとなり、加熱殺菌によって昇温した温水を有効に使用することができる。貯湯槽20内の温水の加熱殺菌を1回で済ませることができ、エネルギー効率がよく、しかもこの1回の加熱殺菌を、温水を使用する直前に行うことができるため、衛生的である。
本実施例の給湯システム10では、使用者の在宅を確認してから加熱殺菌を開始する。従って、使用者が帰宅した直後に給湯要求があっても、加熱殺菌が完了していなければ貯湯槽20内の温水を給湯に使用することはできない。このとき、温水経路開閉弁43は閉じており、貯湯槽20内の温水がミキシングユニット24に送り出されることはない。ミキシングユニット24の給水入口24aが開かれてミキシングユニット24に水道水が送り出され、この水道水が給湯システム10に既設の給湯器22に送り出され、給湯設定温度まで加熱されて給湯される。水道水の加熱に熱エネルギーを消費することにはなるが、使用者の不在中に貯湯槽20内の温水を加熱し、結果的にその温水を使用しないまま放熱させてしまう可能性のある従来のシステムに比べ、エネルギー効率ははるかに向上する。
本実施例によれば、長期間利用されなかった貯湯槽20内の温水を、適切なタイミングで、且つエネルギーや資源を浪費することなく加熱殺菌処理を行い、給湯システム10を衛生的に使用することができる。
本発明の貯湯式給湯システムを具現化した第2実施例を図面を参照しながら説明する。本実施例も、本発明の貯湯式給湯システムを組込んだコージェネレーションシステムである。本実施例のコージェネレーションシステムの構成は、図1を用いて詳細に説明した第1実施例のコージェネレーションシステムと同様である。第1実施例では、貯湯槽内の温水が長期間に亘って使用されなかったときに加熱による殺菌処理を行うが、本実施例ではこれに換えて、貯湯槽内の温水の入換えを行う。従って、ここでは、貯水の入換え処理についてのみ説明を行い、それ以外についての説明を省略する。本実施例では、第1実施例において用いた符号をそのまま用いることとする。
本実施例のコージェネレーションシステムでは、貯湯槽20内の温水が長時間使用されなかったとき、その間に貯湯槽20内にレジオネラ菌等の人体に悪影響を及ぼす細菌が繁殖しているおそれがあるとして、図3に示す手順によって貯水の入換え処理を行う。
ステップS78に進み、システム電源がオフとなるまで、ステップS52からステップS78の処理を繰返す。システム電源がオフとなれば(ステップS78でYESとなれば)、処理を終了する。
もし、貯湯槽内の温水が長期間に亘って利用されないとき、経過時間に応じて貯湯槽内の温水の入換えを行う構成であれば、使用者の不在中に貯湯槽内の温水の入換えが行われることが起こり得る。不在中に入換えが行われても、貯湯槽内に充填された水はすぐに使用されず、入換え後にさらに時間が経過すれば、再度入換えが必要な状態となり得る。使用者の不在期間が長くなれば、貯湯槽内の温水は何回も入換えられることとなる。使用予定時刻が未定である温水の入換えを何回も繰返す行為は資源の浪費に他ならない。
本実施例によれば、貯湯槽20内の温水の入換えは、使用者の在宅が検出されるまでは行われず、使用者の帰宅時に1回だけ行なわれる。貯湯槽20内の温水の入換えを1回で済ませることができ、資源の消費を最小限にし、しかもこの1回の入換えを、使用する直前に行うことができるため、衛生的である。
本実施例によれば、長期間利用されなかった貯湯槽20内の温水を、適切なタイミングで、且つエネルギーや資源を浪費することなく入換え処理を行い、給湯システム10を衛生的に使用することができる。
本発明の貯湯式給湯システムを具現化した第3実施例を図面を参照しながら説明する。本実施例も、本発明の貯湯式給湯システムを組込んだコージェネレーションシステムである。本実施例のコージェネレーションシステムの構成もは、図1を用いて詳細に説明した第1実施例のコージェネレーションシステムと同様である。第1実施例では、貯湯槽内の温水が長期間に亘って使用されなかったときに加熱による殺菌処理を行う。第2実施例では、貯湯槽内の温水が長期間に亘って使用されなかったときに貯水の入換え処理を行う。本実施例では、貯湯槽内の温水が長期間に亘って使用されなかったときに、貯湯槽内の温水の加熱殺菌処理と貯湯槽内の温水の入換え処理のいずれかを行う。従って、ここでは、主にこれらの処理を選択するための処理についての説明を行い、それ以外についての説明を省略する。本実施例では、第1実施例において用いた符号をそのまま用いることとする。
本実施例のコージェネレーションシステムでは、貯湯槽20内の温水が長時間使用されなかったとき、その間に貯湯槽20内にレジオネラ菌等の人体に悪影響を及ぼす細菌が繁殖しているおそれがあるとして、図4に示す手順の処理を行う。
ステップS100では、さらにタイマの計測時間が120時間以上となったか否かが判別される。ステップS96で温水経路開閉弁43が閉じられたまま(YESのまま)、さらにタイマの計測時間が120時間以上となると(YESとなると)、120時間以上貯湯槽20内の温水が入換わっていないこととなる。貯湯槽20内の温水が120時間以上貯湯されたままであると、細菌が繁殖する可能性が高くなる。従って、ステップS102に進み、貯湯槽20内の温水を入換える必要があると判断し、貯水の入換え処理を行う。貯水の入換え処理は、第2実施例において説明した図3のステップS60からステップS72の処理と同様であるため、説明を省略する。
タイマの計測時間が120時間に満たなければ(NOであれば)、貯湯槽20内の温水に細菌が繁殖しているとしても、加熱殺菌処理によって給湯に使用し得る状態を回復することができると判断し、ステップS104に進み、貯水の加熱殺菌処理を行う。貯水の加熱殺菌処理は、第1実施例において説明した図2のステップS20からステップS32の処理と同様であるため、説明を省略する。
本実施例によれば、長期間利用されなかった貯湯槽20内の温水を、適切なタイミングで、且つエネルギーや資源を浪費することなく、入換え処理か加熱殺菌のうちの適切な方の処理を行い、給湯システム10を衛生的に使用することができる。
例えば、第1から第3の実施例では、第2流量センサ47の検出流量の変化によって使用者が在宅か否かを判定するが、これに換えて、例えば、電力センサの検出値の変化、人による機器操作の検出、人体感応センサによる検知等を利用することもできる。また、これらの複数の事象を観測し、これらの事象の少なくとも1種に何らかの変化があったとき、所定変化があったとしてもよい。
第1実施例と第3実施例では、貯湯槽20の下部の温水温度を検出するとき、下部サーミスタ36に換えて、循環往路128bに設けられている往路サーミスタ44を利用してもよい。
第1実施例と第3実施例では、貯湯槽20内の温水を加熱殺菌するとき、発電熱で加熱するが、貯湯槽20内の温水をより早く昇温させるために、発電熱での加熱と、凍結防止用ヒータ123による加熱を併用する構成であってもよい。
第3実施例では、貯湯槽20内の温水が貯湯されていた時間によって、入換え処理か加熱殺菌のうちの適切な方の処理が選択される。この選択は、使用者によって手動で設定されるものであってもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
20:貯湯槽
22:給湯器
24:ミキシングユニット
36:下部サーミスタ
41:温水排水経路
42:温水経路
43:温水経路開閉弁
44:往路サーミスタ44
46:温水流量センサ
47:第2流量センサ
49:温水排水経路開閉弁
64:給湯栓
65:給湯サーミスタ
110:発電ユニット
123:凍結防止ヒータ
124:熱媒循環経路
Claims (3)
- 温水を貯える貯湯槽と、
貯湯槽に貯えられている温水を加熱する加熱手段と、
貯湯槽からの温水と水道水を混合するとともにその混合比が調整可能なミキシングユニットと、
貯湯槽とミキシングユニットを接続する温水経路と、
温水経路を開閉する開閉弁と、
貯湯槽内の温水温度を検出する温度検出手段と、
貯湯槽内の温水が使用されている状態であるか否かを判定する使用状態判定手段と、
使用状態判定手段が貯湯槽内の温水が使用されていない状態であると判定した時からの経過時間を計時する第1計時手段と、
使用者が在宅であるか否かを判定する在宅判定手段と、
温度検出手段が検出する温水温度が所定温度以上である時間を計時する第2計時手段と、
第1計時手段によって計時された時間が第1所定時間以上となると開閉弁の開放を禁止し、開閉弁の開放を禁止している間に在宅判定手段によって使用者が在宅であることを判定すると、第2計時手段によって計時される時間が第2所定時間となった時に開閉弁の開放禁止状態を解除する開閉弁制御手段と
を備えている貯湯式給湯システム。 - 温水を貯える貯湯槽と、
貯湯槽からの温水と水道水を混合するとともにその混合比が調整可能なミキシングユニットと、
貯湯槽とミキシングユニットを接続する温水経路と、
温水経路を開閉する開閉弁と、
貯湯槽内の温水が使用されている状態であるか否かを判定する使用状態判定手段と、
使用状態判定手段が貯湯槽内の温水が使用されていない状態であると判定した時からの経過時間を計時する第1計時手段と、
使用者が在宅であるか否かを判定する在宅判定手段と、
貯湯槽内の温水を入換える入換え手段と、
入換え手段によって入換えられた水の流量を検出する流量検出手段と、
第1計時手段によって計時された時間が第1所定時間以上となると開閉弁の開放を禁止し、開閉弁の開放を禁止している間に在宅判定手段によって使用者が在宅であることを判定すると、流量検出手段によって検出される入換え流量が所定流量となった時に開閉弁の開放禁止状態を解除する開閉弁制御手段と
を備えている貯湯式給湯システム。 - 在宅判定手段は、運転状態の所定変化を検出する手段を備えており、前記所定変化が検出された時に、使用者が在宅であると判定することを特徴とする請求項1又は2の貯湯式給湯システム。
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