JP2006275217A - 軸体一体型粘性流体封入ダンパ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸体一体型の粘性流体封入ダンパ14において、軸体38の先端側の取付部44の軸直角方向寸法Yを大寸法となし、また基部46については取付部44に対して軸直角方向寸法Xを小寸法となし且つ成形時及び防振作用時の何れにおいても可撓膜20の内周側の部分であって撹拌部22周りの膜内周部30の外面に対して非接触の形状となしておく。そしてこれを成形する際、成形金型における膜内周部30の上面と軸体38の基部46及び取付部44とを成形する部分を軸直角方向のスライド型としておく。
【選択図】 図2
Description
この粘性流体封入ダンパ206は、周壁部214を支持フレーム(支持部材)204に形成した貫通孔222内に嵌入させる状態で、底部216において固定ねじ224により支持フレーム204に固定されるようになっている。
この粘性流体封入ダンパ206の場合、支持フレーム204に振動が加わったとき、撹拌部218及び軸体212が高粘性の粘性流体210内部で相対変位し、これにより粘性流体210が粘性流動してエネルギー吸収(振動吸収)し、支持フレーム204から本体機構部ユニット202への振動伝達を遮断ないし抑制する。
図7はその一例を示している(下記特許文献1)。
同図に示す粘性流体封入ダンパ230において、232は硬質樹脂から成る軸体で、その大部分(埋込部234)が底付きの筒状をなす撹拌部218の内側の埋込孔236内に埋り込む状態に、撹拌部218に2色成形にて一体に成形されている。
この取付部238には環状の取付溝239が形成されており、この取付溝239を相手側、即ち本体機構部ユニットの取付孔に嵌め合せることで、相手側の本体機構部ユニットに取付固定されるようになっている。
ここで大径の取付部238は、図中下面を可撓膜220の内周側の部分であって撹拌部218周りの膜内周部240の図中上面(外面)に接合させた状態に、撹拌部218に一体成形されている。
ここでは撹拌部218に一体に成形した硬質樹脂製の軸体232を撹拌部218から外部に突出させ、そして先端側に取付部241を、また図中下側にこれよりも軸直角方向寸法の大きい基部242を構成し、その取付部241において軸体232を相手側の本体機構部ユニットに取付固定するようにしている。
ここで基部242は、膜内周部244の上面(外面)に接合状態に撹拌部218に一体に成形されている。
膜内周部244の外周端からは円筒形状をなす膜円筒部246が立下り形状で形成されている。
これら膜内周部244と膜円筒部246との交叉部は内面,外面ともに湾曲形状(R形状)をなしている。
同図において248は成形金型で本体部250と、図中左右方向にスライドするスライド型252,252とを有している。
この成形方法では、図9(I)に示しているように軸体232を周壁部214,可撓膜220,撹拌部218と一体に成形した後、(II)に示しているように取付部241を成形するためのスライド型252,252を図中左右方向にスライドさせて開き、その後成形後の軸体232,周壁部214,可撓膜220,撹拌部218を成形金型248から図中下向きに脱型する。
その後に別体をなす底部216を、図8(A)に示すように周壁部214の軸方向且つ開放側の一端に固着して開放部を閉鎖する。
尚、粘性流体210の封入は底部216を固着する前に行う。
この応力集中による可撓膜220の破れに対する対策として、可撓膜220の厚みを厚くするといったことも考えられるが、この場合には可撓膜220の肉厚が厚くなることによって可撓膜220の可撓性が低下し、従ってこの場合にも粘性流体封入ダンパとしての減衰特性が悪化する問題を生ずる。
また軸体と可撓膜の外面とが接合していないため、可撓膜に対し部分的に応力集中が生じて可撓膜が破れるといった現象を防止でき、粘性流体封入ダンパの耐久性を高めることができる。
即ち、本発明によれば相手側への良好な取付作業性と良好な減衰特性,耐久性能の何れをも確保することが可能となる。
またその取付部には固定ねじを挿通するねじ孔を設けておくことができる(請求項3)。
一方上記基部は一様な横断面形状で軸方向に延出し、その外面を軸方向のストレート形状面となしておくことができる(請求項4)。
このようにすれば、成形金型における膜内周部の外面を成形する部分を、軸直角方向にスライドして開閉するスライド型となすことができ(図9の成形方法では樹脂製の軸体の取付部を成形する部分が同方向のスライド型とされている)、これによって取付部の軸直角方向寸法が基部に対して大寸法をなす軸体を容易に成形し、脱型できるようになる。
このようにすれば、膜内周部の外面を成形するスライド型と、その外周端から立下る形状の膜円筒部の外面を成形する成形金型の本体部とによるパーティングラインが膜内周部の外周端に生じ、同部に成形時のバリが発生したとしても、膜内周部の肉厚が厚くされているため、バリの部分に応力集中してそこから可撓膜に破れが生じるのを良好に防止することができ、可撓膜の耐久性、ひいては粘性流体封入ダンパの耐久性を良好となすことができる。
ここでTはtの2倍以上となしておくことができる。
図1において、10はディスクプレーヤにおける本体機構部ユニット(被支持部材)で、12は支持フレーム(支持部材)である。
本体機構部ユニット10は支持フレーム12により図示を省略するスプリングを介して弾性支持されている。
これら本体機構部ユニット10と支持フレーム12との間には、本実施形態の軸体一体型の粘性流体封入ダンパ14が介装されており、本体機構部ユニット10と支持フレーム12とが粘性流体封入ダンパ14を介して結合されている。
ここで粘性流体封入ダンパ14は横向きに配置されている。
同図に示しているように粘性流体封入ダンパ14は、円筒形状の周壁部16と、その軸方向の一端を閉鎖する底部18と、周壁部16の底部18とは反対側の一端に周壁部16に連続して設けられた薄肉の可撓膜20と、可撓膜20の中心部に設けられ可撓膜20とともに周壁部16の底部18とは反対側の一端を閉鎖する撹拌部22とを有しており、全体として密閉容器状をなしていてその内部にシリコーンオイル等の粘性流体24が封入されている。
この粘性流体封入ダンパ14は、撹拌部22が後述する軸体38とともに粘性流体24内部で相対移動して、その際の粘性流体24に対する撹拌作用に基づいて支持フレーム12と本体機構部ユニット10との間で振動吸収作用する。
また可撓膜20及び撹拌部22は内周壁部28と同じ弾性体にて一体に成形されている。
一方底部18は外周壁部26と同じく硬質樹脂(ここではポリプロピレン)にて構成されている。
ここで底部18は周壁部16とは別体に成形されており、粘性流体24の注入後において周壁部16の一端に固着され、周壁部16と一体化されている。
この底部18には上記支持フレーム12への固定用の取付部29が一体に成形されている。
更に34はその第1の膜円筒部32の下端から再び径方向(軸直角方向)に延びて最外周の第2の膜円筒部(外円筒部)35に繋がる膜外周部を表している。
更に膜内周部30と第1の膜円筒部32との交叉部の外面は断面角形状とされている。即ちコーナ部Cの断面における外面形状が角形状とされている。
但しコーナ部Cの外面形状は半径0.3mm以下の小さな曲りをもたせておいても良い。
38は撹拌部22に一体に成形された硬質樹脂(ここではポリプロピレン)から成る軸体で、その一部が埋込孔36に埋込状態に撹拌部22に2色成形により一体成形されている。図中40は埋込孔36への埋込部を表している。
埋込部40は断面円形状をなしており、その上端部に径方向外方に環状に突出する鍔状部42を有している。
取付部44は、図3にも示しているように扁平な板状をなしており、その幅寸法即ち軸直角方向寸法Yが、取付部44と可撓膜20との間の基部46の幅寸法即ち軸直角方向寸法Xに対して大寸法とされている。ここで基部46は断面四角形状をなしている。
取付部44には、固定ねじ52(図1(B)参照)を挿通させる円形のねじ孔48が、またその下側に同じく円形の位置決孔50が、それぞれ取付部44を板厚方向に貫通する状態で形成されている。
同図に示しているようにここでは取付部44のねじ孔48に固定ねじ52が挿通された上、本体機構部ユニット10の固定部54のねじ孔56にねじ込まれ、かかる固定ねじ52によって取付部44と固定部54とがねじ締結、即ち粘性流体封入ダンパ14が本体機構部ユニット10に取付固定されている。
また取付部44の位置決孔50には固定部54から突出した位置決ピン58が嵌り込んでおり、これによって取付部44が固定部54に対し位置決めされている。
同図において60は成形金型で、本体部62と、軸直角方向(図中左右方向)にスライドして進退するスライド型64-1,64-2とを有している。
ここでスライド型64-1には取付部44のねじ孔48,位置決孔50を成形する成形ピン66,68が突設されている。
これらスライド型64-1,64-2は取付部44の板厚方向にスライド可能とされている。
従ってこの成形方法によれば、図5にも示しているように成形後においてスライド型64-1,64-2を後退方向にスライドさせ、開くことによって成形品を支障無く図中下向きに脱型することができる。
この場合、膜内周部30の外周端に沿ってスライド型64-1,64-2と本体部62とのパーティングラインが生ずるが、本実施形態では膜内周部30の肉厚Tが他の部分の肉厚tに対して厚肉とされているため、更にそのパーティングラインがコーナ部Cの角部に生じ、成形時のバリがそのコーナ部Cに生ずるため、そのようなバリが生じたとしても可撓膜20の耐久性を良好に保つことができる。
また軸体38(詳しくは取付部44)と可撓膜20とが接合していないため、可撓膜20に対し部分的に大きな応力集中が生じて、その応力集中により可撓膜20が破れるといった現象を防止でき、粘性流体封入ダンパ14の耐久性を高めることができる。
即ちこの実施形態によれば相手側への良好な取付作業性と良好な減衰特性,耐久性能の何れをも確保することができる。
12 支持フレーム(支持部材)
14 粘性流体封入ダンパ
16 周壁部
18 底部
20 可撓膜
22 撹拌部
24 粘性流体
30 膜内周部
32 第1の膜円筒部
36 埋込孔
38 軸体
44 取付部
46 基部
48 ねじ孔
52 固定ねじ
C コーナ部(交叉部)
X 基部の軸直角方向寸法
Y 取付部の軸直角方向寸法
T 膜内周部の肉厚
t 他の部分の肉厚
Claims (7)
- (a)筒状の周壁部と、(b)該周壁部の軸方向の一端を閉鎖する状態に設けられた底部と、(c)該周壁部の該底部とは反対側の一端に該周壁部に連続して設けられた薄肉の可撓膜と、(d)底付きの筒状を成して内側に軸体の埋込孔を有し、該可撓膜の中心部に設けられて該可撓膜とともに前記周壁部の前記底部と反対側の一端を閉鎖する撹拌部と、(e)前記埋込孔に埋り込む状態に該撹拌部に一体に成形され、外部に突出した部分に設けた取付部において支持部材及び被支持部材の一方に取付固定される軸体と、を有し、全体として密閉容器状をなして内部にシリコーンオイル等の粘性流体が封入され、前記撹拌部の該粘性流体に対する撹拌作用に基づいて前記支持部材と被支持部材との間で振動吸収する軸体一体型の粘性流体封入ダンパにおいて
前記軸体における前記外部への突出部のうち、前記可撓膜から離隔した先端側の部分を前記取付部として構成して該取付部の軸直角方向寸法を大寸法となし、また該取付部と前記可撓膜との間の基部については軸直角方向寸法を小寸法となし且つ成形時及び防振作用時の何れにおいても前記可撓膜の内周側の部分であって前記撹拌部周りの膜内周部の外面に対して非接触の形状となしてあることを特徴とする軸体一体型粘性流体封入ダンパ。 - 請求項1において、前記取付部が扁平な板状をなしていることを特徴とする軸体一体型粘性流体封入ダンパ。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記取付部には固定ねじを挿通するねじ孔が設けてあることを特徴とする軸体一体型粘性流体封入ダンパ。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記基部は一様な横断面形状で軸方向に延びており、外面が軸方向のストレート形状面となしてあることを特徴とする軸体一体型粘性流体封入ダンパ。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記可撓膜の膜内周部の外面は軸直角方向の平坦面となしてあることを特徴とする軸体一体型粘性流体封入ダンパ。
- 請求項1〜5の何れかにおいて、前記可撓膜は前記膜内周部の肉厚Tが他の部分の肉厚tよりも厚肉となしてあることを特徴とする軸体一体型粘性流体封入ダンパ。
- 請求項5,6の何れかにおいて、前記膜内周部の外周端から膜円筒部が立下り形状で形成されており、それら膜内周部と膜円筒部との交叉部の外面が断面角形状となしてあることを特徴とする軸体一体型粘性流体封入ダンパ。
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