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JP2006271266A - 高発現および効率的遺伝子導入鳥類 - Google Patents

高発現および効率的遺伝子導入鳥類 Download PDF

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JP2006271266A JP2005095758A JP2005095758A JP2006271266A JP 2006271266 A JP2006271266 A JP 2006271266A JP 2005095758 A JP2005095758 A JP 2005095758A JP 2005095758 A JP2005095758 A JP 2005095758A JP 2006271266 A JP2006271266 A JP 2006271266A
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信司 飯島
Masamichi Kamihira
正道 上平
Kenichi Nishijima
謙一 西島
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Abstract

【課題】 目的タンパク質のトランスジェニック鳥類における発現のさらなる効率化を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、目的タンパク質をコードする遺伝子および、mRNAを安定化し得る転写後調節因子を組み込んだレトロウイルスベクターを用いて樹立したパッケージング細胞に自己複製能欠失型レトロウイルスを生産させ、孵卵開始後24時間以降120時間の鳥受精卵の初期胚に感染させ、その胚を孵化および成長させて得られるG0トランスジェニックキメラ鳥類またはその子孫を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明はウッドチャック・肝炎ウイルスの転写後制御因子(WPRE)配列などのmRNAを安定化し得る転写後調節因子を有する自己複製能欠失型レトロウイルスベクターを用いて鳥類受精卵の孵卵開始後24時間以降の初期胚へ外来遺伝子を導入することを特徴としたG0トランスジェニックキメラ鳥類およびその子孫並びにその作製法に関する。
近年、抗体や生理活性タンパク質に代表される高機能性タンパク質製剤が数多く上市され、医薬品、食品業界で注目されている。しかし生理活性の高いタンパク質医薬品類は、例えば糖鎖修飾のように様々な翻訳後修飾が必要とされるため、生産コストの高い発現システムを用いて製造されているのが現状である。例として、リウマチ治療に用いられる抗TNFα抗体は臨床試験の結果より一回の投与で体重1kgあたり3mgもの量が必要となり、この量を投与するのに必要な数十万円もの費用が患者の負担となっている。また、別の例として、成長ホルモン分泌不全症の治療薬として用いられるヒト成長ホルモンの投与には、一週間あたりで数万円の費用が必要となっている。
このような現状の中、既存のタンパク質製剤生産方法の代わりとして期待されているのが、トランスジェニック動物にタンパク質を作らせるといういわゆる動物工場である。しかしウシなどの大型哺乳類では性成熟するのに時間がかかり、また大きな飼育スペースを要し、生産コストが大きくなる。また抗体を産生させる場合、ウシなどが本来持っている抗体と目的の抗体を分離することが困難であるという問題がある。
そこで我々の研究室では鳥類に着目した。ニワトリに代表される家禽鳥類は、食肉用、採卵用家畜としての飼育実績が長い。さらに性成熟までの時間が短く、小さなスペースで飼育可能なこと、また、卵に目的タンパク質を蓄積すればニワトリを殺す必要もなく安価なコストでタンパク質を生産できると考えられる。また、ニワトリで抗体を生産する場合、ニワトリ自身の抗体と目的の抗体とを分離することは比較的容易に行うことができるなどから鳥類でのタンパク質製剤生産は有効な手段として期待されている。
WO2004/016081および特開2002−176880号は、レトロウイルスベクターによる遺伝子導入鳥類における、目的タンパク質の発現を開示する。しかし、mRNAを安定化し得る転写後調節因子の使用を開示も示唆もしない。
Schambach et al, Molecular Therapy Vol. 2, No5., 435-445, 2000は、転写後エンハンサーモジュールの正確な選択が、発現されるべきcDNAの型に依存することを記載する。しかし、Schambach et alは、mRNAを安定化し得る転写後調節因子を鳥類に適用して目的タンパク質の生産することを開示も示唆もしない。
Kwon et al, Biochemical and Biophysical Research Communication 320(2004)442-448は、WRPE配列が導入されたトランスジェニックニワトリが、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)を発現することを開示する。しかし、Kwon et alは、mRNAを安定化し得る転写後調節因子を含む自己複製能欠失型レトルウイルスベクターを、孵卵開始後24時間以降に鳥類受精卵に導入することを開示も示唆もしない。
Zufferey et al, Journal of Virology, 1999, 2886-2892は、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節因子が、レトロウイルスベクターによって送達された導入遺伝子の発現を増強することを開示する。しかし、Zufferey et alは、WPRE配列を有するレトロウイルスベクターを鳥類に適用して目的タンパク質の生産することを開示も示唆もしない。
WO99/19472は、トランスジェニック鳥によるエリスロポエチンの生産を開示する。しかし、孵卵開始後24時間以降にレトロウイルスベクターを感染させることは開示も示唆もされない。
WO2004/0016081号 特開2002−176880号 WO99/19472号 Schambach et al, Molecular Therapy Vol. 2, No5., 435-445, 2000 Kwon et al, Biochemical and Biophysical Research Communication 320(2004)442-448 Zufferey et al, Journal of Virology, 1999, 2886-2892
すでに、目的タンパク質を、トランスジェニック鳥類を用いて発現することはなされているが、いまだ発現効率が十分とはいえない。そこで、本願発明は、トランスジェニック鳥類における目的タンパク質の発現のさらなる発現の効率化を課題とする。
驚くべきことに、mRNAを安定化し得る転写後調節因子を組み込んだ自己複製能欠失型レトロウイルスベクターによって、本発明の課題は達成される。よって、本発明が提供するのは以下の通りである:
mRNAを安定化し得る転写後調節因子および目的タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだレトロウイルスベクターをパッケージング細胞に導入し、組換えレトロウイルスを生産させ、該生産された組換えレトロウイルスを孵卵開始後24時間から120時間(放卵後温めてからの時間が24〜120時間)までの鳥受精卵の初期胚へ導入し、そしてその胚を孵化および成長させる手法により得られるトランスジェニック鳥類およびその作製方法。
本発明により、極めて高い効率で導入遺伝子を発現するトランスジェニック鳥類作製が可能である。また本発明により、感染性ウイルスを放出しない安全なトランスジェニック鳥類による有用タンパク質の効率的、安価な提供が可能となる。
1.定義:
本願明細書中においては、レトロウイルスベクターは、プロウイルス由来のDNA ベクターを意味し、レトロウイルスベクターコンストラクトと呼ばれることもあり、プラスミド中に組み入れられたものは、レトロウイルスベクタープラスミドと呼ばれることもある。本願明細書中で、組換えレトロウイルスは、前記レトロウイルスベクターが逆転写されたRNAがパッケージングされたウイルス粒子のことを意味し、単にウイルス又はウイルス粒子と呼ばれることもあり、他の出願又は刊行物中においては、本件明細書中における組換えレトロウイルスのことも、レトロウイルスベクターと呼ばれていることもある。
2.G0トランスジェニックキメラ鳥およびその子孫並びにその生産方法
まず、G0トランスジェニックキメラ鳥およびその子孫並びにその生産方法について説明する。本発明のG0トランスジェニックキメラ鳥類は、mRNAを安定化し得る転写後調節因子および、目的タンパク質をコードする遺伝子配列を組み込んだ、好適には自己複製能欠失型である、組換えレトロウイルスを利用することを特徴とする生産方法により生産される。
2−1.組換えレトロウイルス(概要)
本発明で用いられる組換えレトロウイルスとしては、外来遺伝子を鳥類に導入できる限り、特に限定されない。本発明で用いられる組換えレトロウイルスとしては、安全性の観点から、自己複製能欠失型の組換えレトロウイルスが望ましい。本願発明で用いることができる組換えレトロウイルスとしては、特に限定されるものではないが、例えば、複製能があるものとしては、avian sarcoma leukosis viruses (ASLVs)、特にRous sarcoma virus (RSV)に由来するものがあげられ、自己複製能が欠失した組換えレトロウイルスとしては、遺伝子治療にも用いられている安全でかつ哺乳動物細胞に遺伝子導入した際に比較的安定した発現が期待できる観点からモロニー・ミューリン・ロイケミア・ウイルス(MoMLV)、またはレンチウイルスに由来するものが好ましい。
2−2.自己複製能が欠失した組換えレトロウイルスの調製
以下、自己複製能が欠失した組換えレトロウイルスを中心に説明するが、複製能がある組換えレトロウイルスについても、当業者に周知の変更をして同様に用いることができることは言うまでもない。
安全性を考慮し自己複製能を欠失させる方法としては、例えば遺伝子導入ベクターとして用いられるレトロウイルスベクターをプロウイルスから調製する際に、複製に必要なgag、pol、およびenvのうちいずれか又は全てを除去することにより、自己複製能を欠失させる方法があり、自己複製能欠失レトロウイルスベクターと呼ぶ。
自己複製能欠失型レトロウイルスベクターは、目的タンパク質をコードする遺伝子配列、トランスジェニック鳥において該目的タンパク質の発現を駆動し得るプロモーター配列および、mRNAを安定化し得る配列を含む。
2−2−1.パッケージング細胞
組換えレトロウイルスを生産するパッケージング細胞としては、真核細胞である限り特に限定されない。導入されたレトロウイルスベクターの自己複製能を回復させる観点から、gag、pol、およびenv遺伝子のうち一部または全部を導入された真核細胞が好ましい。パッケージング真核細胞にgag、polおよびenv遺伝子の内一部のみが導入されている場合、残りの遺伝子を導入させることによって、レトロウイルスベクターの自己複製能を回復させ、すなわち組換えレトロウイルスを該パッケージング細胞に生産させる。該残りの遺伝子を導入する方法は、該遺伝子を該パッケージング細胞に導入できる限り特に限定されないが、該遺伝子をコードするプラスミドを、該パッケージング細胞に導入する方法が挙げられる。導入する方法としては特に限定されないが例えばリポフェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。好ましい実施態様では、gagおよびpolを構成的に発現するGP293細胞に、env遺伝子を含むプラスミドを導入させる。
2−2−2.VSV−Gシュードタイプ
鳥類の細胞にこの複製能欠失型組換えレトロウイルスを効率的に感染させるためには、外皮タンパク質(env)を、水疱性口内炎ウイルス(Vesicular stomatitis virus:VSV)の外皮タンパク質(VSV−G)とした、VSV−Gシュードタイプを用いることが、細胞表面の受容体に関わらず、広域宿主へウイルスの侵入が可能となる観点から望ましいがこれに限定されるものではない。上記のVSV−Gタンパク質を発現するGP293細胞としては、gag、polを構成的に発現するGP293細胞に、VSV−Gタンパク質の発現ベクターをコードするプラスミドをトランスフェクトしてもよいがこの方法に限られたものではない。
2−2−3.外来遺伝子及びプロモーター
本発明において鳥類に導入される目的タンパク質をコードする遺伝子(外来遺伝子)は特に限定されないが、レトロウイルスに由来しない遺伝子であることが望ましい。レトロウイルスに由来しない遺伝子としては特に限定されず、グリーン・フルオレッセント・プロテイン(GFP)などのマーカーとして用いられるタンパク質をコードする遺伝子又は、ヒト成長ホルモン(HGH)、エリスロポエチン例えばhEPO、抗体等の有用タンパク質をコードする遺伝子などが挙げられる。
これらの遺伝子を発現させるプロモーターは鳥類で働くプロモーターであれば特に限定されない。好ましくは、プロモーターは、トランスジェニック鳥において目的タンパク質をコードする遺伝子と作動可能に連結されている。一般的によく用いられる観点からは、サイト・メガロ・ウイルス(CMV)のプロモーター、ミューリン・フォスフォグリセロキナーゼ(PGK)プロモーターなども用いられる。効率的な目的タンパク質の発現の観点からβ−アクチンプロモーター、オボアルブミンプロモーターが好ましい。
2−2−4.mRNAを安定化し得る転写後調節因子
ここにいうmRNAを安定化し得る転写後調節因子は、レトロウイルスによって導入された外来遺伝子を細胞内でmRNAのポリアデニレーション化を促進またはmRNAの核外輸送の促進または翻訳活性化に寄与するDNA配列のことをいい、mRNAを安定化しうる転写後調節因子として知られる既知配列としては、スプライシングシグナル(SS: splicing signal)、構成的RNA輸送因子(CTE: constitutive RNA transport element)、 B型肝炎などのヘパドナウイルスの転写後制御因子、ウッドチャック・肝炎ウイルス転写後制御因子(WPRE)などがある。このうち、配列の長さが扱いやすく、動物細胞での目的タンパク発現増強効果の高い観点からウッドチャック・肝炎ウイルス転写後制御因子(WPRE)配列が望ましいがこれに限定されるものではない。
2−2−5 レトロウイルスベクターの調製
上記の目的タンパク質をコードする遺伝子及びプロモーターは、プロウイルス由来のベクターコンストラクトの5‘末端(LTR)及び3’末端(LTR)の間に挿入される。
前記mRNAを安定化し得る転写後調節因子であるDNA配列の位置は、パッケージング細胞において高ウイルスタイターが得られる限り特に限定されない。例えば、前記mRNAを安定化し得る転写後調節因子としてWPREを用いる場合には、プロウイルス由来のベクターコンストラクトにおいて目的タンパク質をコードする遺伝子(以下目的遺伝子とも言う)のすぐ下流に挿入されるのが望ましいがこれに限定されるものではない。
2−2−6.組換レトロウイルスの産生
前記調製したレトロウイルスベクターを、周知の方法、例えばリポフェクション法、リン酸カルシウム法、又はエレクトロポレーション法などで前記パッケージング細胞、好適にはVSV-G蛋白質を発現する前記パッケージング細胞に導入する。産生された一過性の組換えレトロウイルスを回収する。好適には、組換えレトロウイルスを産生するパッケージング細胞の産生量を測定し、組換えレトロウイルス産生の高い細胞を選抜し増殖することにより、高力価で均一な組換えレトロウイルスを生産することができる。
ウイルスベクターコンストラクト中にmRNAを安定化し得る転写後調節因子であるDNA配列を導入したことにより顕著にウイルスタイターが上がる。その確認はこのDNA配列を導入したレトロウイルスベクターを導入した細胞と導入していないレトロウイルスベクターを導入した細胞のウイルスタイターを比較することにより確認できる。ウイルスタイターの測定はgag、polを構成的に発現するGP293細胞に、VSV−Gタンパク質の発現ベクターとレトロウイルスベクターをコードするプラスミドを同時にトランスフェクトして組換えレトロウイルスを生産させ、NIH3T3に感染させることで、感染した細胞数の割合により確認することができる。
2−3.組換えレトロウイルスによる鳥類への感染及び、トランスジェニック鳥類の作製
パッケージング細胞等により生産されたレトロウイルスを鳥受精卵の初期胚に導入される方法としては、特に限定されないが、マイクロインジェクション法(Bosselam、R.Aら(1989)Science 243、533)、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。遺伝子導入効率の観点からマイクロインジェクション法が好ましい。
生産された組換えレトロウイルスを、孵卵開始後約24時間以降約120時間以前に鳥初期胚に導入する。効率的に目的遺伝子を発現させる観点より、特に限定されない。例えばニワトリの場合では、好ましくは孵卵開始後約40時間以降60時間以前、より好ましくは孵卵開始後50時間以降60時間以前、およびもっとも好ましくは孵卵開始後約55時間前後に導入する。ウズラの場合は、好ましくは孵卵開始後45時間から50時間、より好ましくは孵卵開始後48時間前後に導入する。複製欠失型レトロウイルスベクターに上記のプロモーター、目的タンパク質をコードする遺伝子、mRNAを安定化し得る転写後調節因子を組み込み、パッケージング細胞に導入して生産させた組換えレトロウイルスを鳥類の初期胚に導入させる場合、その導入位置は特に限定されず、例えば胚盤葉又は分化後の血管、心臓に導入することができる。遺伝子導入効率の観点から心臓に導入することが好ましい。また導入組換えレトロウイルス含有溶液量としては好適には2μl以上、10μl以下が望ましい。また、外来遺伝子を持った子孫を得るためには、目的遺伝子が、生殖細胞の前駆細胞、又は始原生殖細胞にも導入されることが望ましい。孵化の方法として、該初期胚が発生しおよび成長し得る限り任意の公知の方法が挙げられる。例えば、本発明者らが開発した人工卵殻による方法(Kamihira,Mら(1998) Develop, Growth Differ.,40,449)が挙げられるがこれに限定されない。
孵化した鳥は、公知の獣医学的または畜産学的方法によって成長させる。
本発明の作製法で遺伝子を導入された鳥類は、その体細胞にモザイクキメラ状に遺伝子が導入されたものでありこの一世代目をG0トランスジェニックキメラ鳥類と呼ぶ。またその子孫である導入遺伝子をもった鳥類をG1,G2,G3〜トランスジェニック鳥類と称する。
なお、作製したパッケージング細胞及びG0トランスジェニックキメラ鳥類の目的タンパク質の含有量を測定する方法としては特に限定されないがELISA等を用いることができる。例えば、目的タンパク質がHGHの場合パッケージング細胞を培養した上清、作製したG0トランスジェニックキメラ鳥類の血清、また、その鳥類の産卵した卵白又は卵黄をHGHを認識する抗体を用いたELISA法及びウエスタンブロット法により測定することができる。また、hEPOにおいても同様の方法を用いることにより測定できる。
本発明で使用する鳥類としては、特に限定されるものではなく、例えばニワトリ、ウズラ、七面鳥、カモなどが挙げられる。なかでもニワトリやウズラは入手が容易で産卵種としても多産であり、長年の飼育経験により安全性が認められている点が好ましい。
3.トランスジェニック鳥類の子孫の育種方法
G0トランスジェニックキメラ鳥類を成鳥まで成長させ、非トランスジェニック鳥類(野生型鳥類)又はG0トランスジェニックキメラ鳥類と交配を行うことによりG0トランスジェニックキメラ鳥類に導入した遺伝子を子孫G1トランスジェニック鳥類へ伝播することができる。遺伝子の伝播の成否は、得られたG1トランスジェニック鳥類の血液又は細胞などからDNAを抽出し、PCR法又はハイブリダイゼーション法などにより遺伝子導入を検定することができる。
作製したG0トランスジェニックキメラ鳥類及びG1トランスジェニック鳥類での目的タンパク質をコードする遺伝子のコピー数は転写後調節に機能するDNA配列を導入した鳥類としていない鳥類とで組織又は血液から染色体を調製し、ハイブリダイゼーションなどの比較により確認できる。
作製したG0トランスジェニックキメラ鳥類及びG1トランスジェニック鳥類での目的タンパク質の発現量はmRNAを安定化し得る転写後調節因子を導入した鳥類としていない鳥類とで組織又は血液からmRNAをとり、RT−PCR法又はノーザンブロット法などでの比較により調べることができる。
上記したように、得られたG1トランスジェニック鳥類の血液又は細胞などからDNAを抽出し、PCR法又はハイブリダイゼーション法などにより遺伝子導入を検定し、遺伝子が導入されている個体を完全体G1トランスジェニック鳥と呼ぶ。
なお、上記交配には、G0トランスジェニックキメラ鳥類として、例えば、オスの精子に導入遺伝子が存在することをPCR法等により確認することにより一次選抜したものを用いることもできる。
こうして選抜した完全体G1トランスジェニック鳥を、他の鳥と交配する。他の鳥は、前記完全体G1トランスジェニック鳥と交配可能である限り、任意の鳥(同一種であっても異なる種であってもよい)を使用し得る。ホモ接合性完全体トランスジェニック鳥が得られる確率が高い観点から、他の完全体G1トランスジェニック鳥が好ましい。入手容易である観点から、他のG0トランスジェニックキメラ鳥が好ましく、野生型鳥がより好ましい。得られた完全体トランスジェニック鳥を他の鳥と交配し、その子孫を生産できる。
ここにいう交配は公知の畜産学的方法に従って実施できる。自然交配の他、人工交配等も用いることができる。
得られた、その生殖細胞および全体細胞に目的タンパク質をコードする遺伝子が導入された鳥を、完全体トランスジェニック鳥という。この完全体トランスジェニック鳥は、体全体、例えば卵および血中に目的タンパク質を生産することが可能である。濃縮された目的タンパク質を回収できるという観点から、卵白中に目的タンパク質が生産されるのが好ましい。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1.ヒト成長ホルモンを発現させるレトロウイルスベクターコンストラクトpMSCVGΔAGH(−)の作製
ヒト成長ホルモンcDNAは我々が以前作製したレトロウイルスベクターpLGOG(特許公開2004−236626)から用いた。まずこのpLGOGをXhoI、MluIで切断し、切り出した0.7kbをpETBlue−2(ノバジェン社製)のSalI、MluIサイトに挿入しpEThGH(cDNA)を作製した。次にpEThGHをXhoI、BamHIで切り出した断片を、pZeoSV2(+)(インビトロジェン社製)のXhoI、BamHIサイトに挿入しpZeohGH(cDNA)を作製した。つづいてこのpZeohGHをNheI、XhoIで切り出した断片をpCEP4のNheI、XhoIサイトに挿入しpCEPhGH(cDNA)を作製した。次にこのpCEPhGH(cDNA)をHindIIIで切断しヒト成長ホルモンcDNAを含む0.7kbをpMSCV/GΔAscFv−Fc(WO2004/016081号、特願2002−236089)をHindIIIで切断し、scFv−Fc領域を取り除いたものに挿入し、pMSCVGΔAGH(−)を作製した。
実施例2.WPREを挿入したヒト成長ホルモンを発現させるレトロウイルスベクターコンストラクトpMSCVGΔAGH(−)Wの作製
WPRE領域を増幅するためにテンプレートとして、pWHV8(ATCC45097)を用いて、化学合成オリゴヌクレオチドWPRE(direct ClaI)5‘−ccatcgataatcaacctctggattacaaaatttgtga−3’ (配列番号1;下線部はClaIサイト)とWPRE(revers ClaI)5‘−ccatcgatcaggcggggaggcg−3’ (配列番号2;下線部はClaIサイト)をプライマーとして用いてKOD+にてPCR(94℃2分の後94℃15秒、55℃30秒、68℃30秒を30サイクル)を行った。増幅した断片をpBluescriptKS−のEcoRVサイトに挿入しdam−の大腸菌JM110(STRATAGENE社製)に形質転換を行い、これからプラスミドを調製し、pBlueWPRE(EcoRV)を作製した。最後にpBlueWPRE(EcoRV)をClaIで切断しWPREを含む断片を切り出し、pMSCVGΔAGH(−)のClaIサイトに挿入して、pMSCVGΔAGH(−)Wを作製した。
実施例3.
実施例1.で作製したベクターコンストラクトpMSCVGΔAGH(−)及びpMSCVGΔAGH(−)Wより組換えレトロウイルスを調製するため、トランスフェクションする前日にGP293細胞(クロンテック社製)を24wellプレートに2×10細胞をまきDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)(シグマ社製)10%FCSで培養した。培地を新鮮なDMEM 10%FCSに交換し、pVSV−Gベクター(クロンテック社製)0.4μgとpMSCVGΔAGH(−)及びpMSCVGΔAGH(−)W0.4μgをリポフェクション法によりGP293細胞に導入した。48時間後ウイルス粒子を含む培養上清を回収し、遠心分離(3000rpm、5分)により細胞は夾雑物を除去した。得られた培養上清にポリブレン(シグマ社製)を8μg/mlになるように加え組換えウイルス溶液とした。
実施例4.
ウイルス溶液のタイターは以下のように測定した。ウイルス溶液をかける前日にNIH3T3(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手)を24wellプレートに1.5×10細胞になるように植え培養した。2−200倍希釈したウイルス溶液に培地交換した後48時間後に蛍光顕微鏡によりGFPを発現している細胞の割合を測定し、以下の計算式によりタイターを決定した。
ウイルスタイター(cfu/ml)=細胞数×希釈率×発現割合
このようにしてタイターを測定した結果、pMSCVGΔAGH(−)とpMSCVGΔAGH(−)WとではWPRE配列を挿入したものの方が6倍高かった(図1)。
実施例5.ヒト成長ホルモンを発現させるレトロウイルスベクターコンストラクトの動物細胞での発現
ヒト成長ホルモンを発現させるレトロウイルスベクターコンストラクトの動物細胞の発現をみるためにCHO−K1細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手)を用いた。まず、CHO−K1細胞をトランスフェクションする前日に24wellプレートに1.5×10細胞をまきF12 10%FCS培地(ギブコ社製)にて培養した。次の日培地をCHO−S−SMFII low protein serum−free Medium(ギブコ社製)に交換し、pMSCVGΔAGH(−)及びpMSCVGΔAGH(−)W0.8μgをリポフェクション法によりCHO−K1細胞に導入した。6及び24時間後同培地で培地交換を行い48時間後に培養上清を回収した。
実施例6.ヒト成長ホルモン発現量の検定
回収した培養上清を100倍及び1000倍に希釈して測定に用いた。測定はhGH ELISAキット(ロッシュ社製)を用いてマニュアルに従いELISA法にて測定した。その結果pMSCVGΔAGH(−)とpMSCVGΔAGH(−)WとではWPRE配列を挿入したものの発現量が3.5倍高かった(図2)。
pMSCVベクターにWPRE配列を導入したコンストラクトおよび導入しないコンストラクトでのウイルスタイターの比較。 pMSCVベクターにWPRE配列を導入したコンストラクトおよび導入しないコンストラクトを用いた発現量の比較。

Claims (12)

  1. mRNAを安定化し得る転写後調節因子および目的タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだ組換えレトロウイルスを、孵卵開始後24時間から120時間までの鳥受精卵の初期胚へ導入し、その胚を孵化および成長させて得られ得るG0トランスジェニックキメラ鳥類またはその子孫。
  2. 前記組換えレトロウイルスが更にVSVのGプロテインを含むシュードタイプである請求項1記載のG0トランスジェニックキメラ鳥類またはその子孫。
  3. 該転写後調節因子がウッドチャック・肝炎ウイルスの転写後制御因子(WPRE)である請求項1のG0トランスジェニックキメラ鳥類またはその子孫。
  4. 該レトロウィルスベクターがモロニー・ミューリン・ロイケミア・ウイルス由来のベクターであることを特徴とする請求項1のトランスジェニック鳥類またはその子孫。
  5. 該目的タンパク質がヒト成長ホルモンである請求項1のG0トランスジェニックキメラ鳥類またはその子孫。
  6. 該鳥類がニワトリである請求項1のG0トランスジェニックキメラ鳥類またはその子孫。
  7. 前記組換えレトロウイルスを孵卵開始後50〜60時間までのニワトリ受精卵の初期胚に導入する請求項6記載のG0トランスジェニックキメラ鳥類またはその子孫。
  8. 請求項1のG0トランスジェニックキメラ鳥類を得;該G0トランスジェニックキメラ鳥類を他の鳥類と交配し、目的遺伝子が導入されている子孫を選抜することにより得られ得る、完全体トランスジェニック鳥類またはその子孫。
  9. (1)mRNAを安定化し得る転写後調節因子および目的タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだレトロウイルスベクターをパッケージング細胞に導入して生産させた組換えレトロウイルスを、孵卵開始後24時間以降120時間の鳥受精卵の初期胚へ導入し、その胚を孵化および成長させることを特徴とする、G0トランスジェニックキメラ鳥類の生産方法。
  10. (1)mRNAを安定化し得る転写後調節因子および目的タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだレトロウイルスベクターをパッケージング細胞に導入して生産させた組換えレトロウイルスを、孵卵開始後24時間以降120時間の鳥受精卵の初期胚へ導入し、その胚を孵化および成長させG0トランスジェニックキメラ鳥を得;該G0トランスジェニックキメラ鳥を他の鳥類と交配し、目的遺伝子が導入されている完全体トランスジェニック鳥を選抜することを特徴とする完全体トランスジェニック鳥の生産方法。
  11. 他の鳥が、野生型鳥またはG0トランスジェニックキメラ鳥である、請求項10の生産方法。
  12. 請求項10の方法によって完全体トランスジェニック鳥を得;該完全体トランスジェニック鳥を成長させ;および血中または卵中から目的タンパク質を回収することを特徴とする;タンパク質の製造方法。
JP2005095758A 2005-03-29 2005-03-29 高発現および効率的遺伝子導入鳥類 Pending JP2006271266A (ja)

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WO2004016081A1 (ja) * 2002-08-13 2004-02-26 Kaneka Corporation レトロウイルスベクターによる遺伝子導入鳥類での遺伝子発現法およびそれによって得られる遺伝子導入鳥類
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