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JP2006262238A - 画像処理方法および画像処理装置並びにプログラム - Google Patents

画像処理方法および画像処理装置並びにプログラム Download PDF

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JP2006262238A JP2005078795A JP2005078795A JP2006262238A JP 2006262238 A JP2006262238 A JP 2006262238A JP 2005078795 A JP2005078795 A JP 2005078795A JP 2005078795 A JP2005078795 A JP 2005078795A JP 2006262238 A JP2006262238 A JP 2006262238A
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Abstract

【課題】細線再現性と色再現性の双方を満足する色信号を生成できるようにする。
【解決手段】黒細線や色細線を評価するための細線評価用チャートを出力デバイスで出力し、黒細線および色細線の各再現性を示す評価値を取得し(S10)、取得した評価値を登録する(S12)。登録した黒細線に関する評価値を参照して、黒細線の最適な再現性を考慮した墨量を決定し(S20)、色細線に関する評価値を参照して、色細線の最適な再現性を考慮したY,M,Cの各色材量を決定する(S22)。
【選択図】図6

Description

本発明は、画像処理方法および画像処理装置並びにプログラムに関する。より詳細には、複写機、プリンタ、FAX、あるいはこれらの機能を複合的に備える複合機などの画像形成装置の画像処理機能に好適に使用される、色信号の生成処理技術に関する。
カラー複写機など、所定の記録媒体上に画像を形成する画像形成装置においては、階調性を有する処理対象画像を表わす入力画像信号に基づいて、出力デバイスで使用される色材に応じた出力色信号を生成する仕組みが採られている。
たとえば、電子写真方式などによってカラー画像をカラー印刷する際には、通常、黄(Y),マゼンタ(M),シアン(C),墨(K)による4色印刷がよく用いられている。一方、一般的な色信号は、デバイスに依存しないLab、Luv色空間や、モニタ信号などで用いられているRGB色空間など、3次元色空間上の色信号である。したがって、カラー画像をカラー印刷する場合には、3次元色空間上の色信号を4次元色空間へ変換する必要がある(たとえば、特許文献1,2を参照)。
特開2002−262113号公報 特開2002−10096号公報
たとえば、特許文献1に記載の仕組みでは、出力色信号の生成に際して、線分の描画方向を判定し、線分の描画方向とは異なる角度のスクリーンを消失を避けるべき色に適用することで、文字や線の描画方向によってスクリーンを切り替えることによって、細線消失を防止するようにしている。
また、特許文献2に記載の仕組みでは、カバレッジ制限を満足してかつ色域が最大限となるように墨量を決定する。こうすることで、4色で再現できかつカバレッジ制限を満足する色域を有効に使用し、不必要な色域圧縮を防止して、対象色信号を再現する墨を含む4色色信号に高精度で変換することができる。加えて、変換された4色色信号を用い、あるいは変換された4色色信号と対象色信号との対応付けから得られる多次元変換テーブルや変換係数を用いることによって、色再現性を向上させることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の仕組みでは、細線消失、換言すれば細線再現性について考慮しているものの、文字・線および描画方向という2種類の画像属性信号が必要でありデータ量が増加する、また、スクリーン種の違いによる段差を生じる、という不具合がある。
また、特許文献2に記載の仕組みでは、カバレッジ制限を満足しかつ色域が最大限となるように墨量を決定しているが、細線再現性については考慮していない。このため、色域を広くしたのにもかかわらず、細線が消失することがある。つまり、特許文献2に記載の仕組みでは、細線再現性と色再現性の双方を満足する色信号を生成できない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、データ量やスクリーン種の違いによる段差の問題を生じることなく、細線消失の問題を防止できる好適な色信号を生成する仕組みを提供することを目的とする。
本発明に係る仕組みにおいては、入力色信号を処理して出力色信号を生成する過程において、入力画像を構成する線分については、この線分の出力画像における再現性に関する評価を加味して出力色信号を生成するようにした。要するに、細線再現性を加味した出力色信号を生成すると言うことである。
また従属項に記載された発明は、本発明に係る画像処理の仕組みのさらなる有利な具体例を規定する。たとえば、色再現性との関係では、特許文献2に記載の仕組みと組み合わせることが好適である。
なお、本発明に係る画像処理の仕組みは、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現することもでき、このためのプログラムやこのプログラムを格納した記録媒体を発明として抽出することも可能である。たとえば、画像形成装置用のプリンタドライバとして提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介した配信により提供されてもよい。
本発明によれば、出力画像を再現するための出力色信号を生成する過程において、線分の出力画像における再現性に関する評価を加味して出力色信号を生成するようにした。これにより、途切れたり、ぎざぎざになったりして、満足できるレベルで再現できなかった細線を、満足できるレベル(的確に)再現することができる。
特許文献2に記載の仕組みと組み合わせることで、細線再現性と色再現性の双方を満足する色信号を生成でき、カバレッジ制限を満たしつつ色域が最大となる墨量や他の色材料を細線が消失しないように決定することができる。たとえば、最大限広く色域を広く再現できるよう墨量を決定するとともに、細線の再現を可能にするとともに、各色の出力濃度を決定する際には、細線再現性を考慮して出力色ごとに出力濃度を決定できる。
また、細線再現性を加味した出力色信号を生成するものであるから、特許文献1に記載の仕組みとは異なり、文字・線および描画方向という2種類の画像属性信号が不要であり、データ量の増加の問題は生じないし、細線再現性のためのスクリーン切替えが不要であるからスクリーン種の違いによる段差を生じることもない。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<全体構成>
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態の全体構成の概要を示すブロック図である。なお、本実施形態の画像処理装置1は、単独の装置として提供される他、たとえばプリンタや印刷装置などの出力装置に組み込んで構成することができる。
本実施形態の画像処理装置1は、出力デバイスで使用する色材に対応した出力色信号を生成する際に、特開2002−10096号公報に記載の仕組みを利用するとともに、細線の再現性を考慮して墨量や残りの色材の量を調整する点に特徴を有する。
こうすることで、細線再現性を維持しつつ、特開2002−10096号公報に記載の仕組みが持つ効果、すなわち、画像データの良好な色再現や階調性を維持する効果を享受することができる。目的に応じた墨量のコントロールが可能なまま、カバレッジ制限を考慮して最適墨量を決定することにより、4色で再現できかつカバレッジ制限を満足する色域を有効に使用し、不必要な色域圧縮を防止して、対象色信号を再現する墨を含む4色色信号に高精度で変換することができる。加えて、細線の再現性を考慮することで、色域を広くした場合でも細線が消失することがないようにすることができる。以下、具体的に説明する。
図示するように、本実施形態の画像処理装置1は、入力画像信号の色空間が後段で用いる色空間と異なる場合に後段で用いる色空間(特に装置に依存しないデバイス非依存の色空間)への色空間変換処理を行なうデバイス非依存空間変換部10と、装置に依存しないデバイス非依存の色空間に変換された入力画像信号に対して色再現域を変換する色域圧縮部20とを備えている。
また、画像処理装置1は、出力カラー画像信号の色空間がこの出力カラー画像信号を受け取る出力デバイス側で用いる色空間と異なる場合に出力デバイス側で用いる色空間(たとえばYMCK色空間)への色空間変換処理を行なう出力色空間変換部の一例であるデバイス依存空間変換部30と、多次元変換テーブルDLUTを生成するための格子点に相当するRGB値を生成するDLUT格子点信号生成部60とを有している。
色域圧縮部20は、明度および彩度を保存したままで入力画像信号の色に応じて色相を移動する処理を行なう色相変換部22と、色相変換部22によって色相を移動させた後の入力画像信号を移動後の色相を保持したままで出力側の色再現域内の色へ変換して出力画像信号を出力する色変換部24とを有している。
色相変換部22および色変換部24の処理は、装置に依存しない色空間、たとえばCIE−L* * * (以下、“* ”を割愛して記す)などの色空間を用いる。たとえば、入力画像信号がCRT(陰極線管)やLCD(液晶装置)に表示させるためのRGB色空間におけるカラー画像信号であるとき、デバイス非依存空間変換部10は、RGB色空間からCIE−Lab色空間への色空間変換を行なう。もちろん、入力画像信号が内部で用いる装置に依存しない色空間の信号である場合には、デバイス非依存空間変換部10における処理は必要ないし、デバイス非依存空間変換部10を設けないで構成してもよい。
色相変換部22において色相を移動することは、色自体を変更することになる。しかし、以降の処理で色相を保持したまま明度および彩度を変更すると大きく変更しなければならないが、色相を多少移動させると明度および彩度の変更量が少なく、より自然に見える色変換を行なえる場合がある。このような場合に、色相変換部22において色相を多少移動する処理を行なう。色相の移動量は、入力画像信号の色によって異なり、たとえば視覚実験などに基づいて予め決定しておくことができる。出力される画像がより自然に見える移動量を設定すればよい。
色変換部24は、出力側の色再現域内の色へ変換して出力画像信号を出力する際に、色相変換部22にて色相を移動させた後の入力画像信号の取り得る色の範囲(入力側色再現域)を、一旦、中間の色再現域に変換する。この変換に従って、色相を移動させた後の入力画像信号を、中間の色再現域内の中間画像信号に変換する。さらに、中間画像信号を出力側の色再現域内の色へ変換し、出力画像信号を出力する。
中間の色再現域としては、入力側色再現域の明度方向の最大値および最小値が、出力側の色再現域の明度の最大値および最小値と一致するように、入力側の色再現域に対して明度方向に調整を施す。さらに、明度方向の調整を施した後の色再現域の最大彩度を有する点の明度と、出力側の色再現域の最大彩度を有する点の明度との差に基づいて所定の関数によって求められる明度のとき最大彩度が得られるように色再現域を調整する。このようにして得られた色再現域を中間色再現域として設定することができる。
また、中間画像信号を出力側の色再現域内の色へ変換する際には、すでに色相変換部22で色相を移動しているので、ここでは彩度のみ、あるいは明度および彩度の移動を行なう。明度および彩度の移動は、従来から行なわれている方法を利用することができる。特に本例では、出力側の色再現域において最大彩度を有する点の明度を持つ無彩色を目標点とし、中間画像信号の明度が目標点の明度より高い場合には、明度を維持して彩度を出力側の色再現域に応じて変換処理する。これによって、明るい色については明度をそれ程低下させずに変換処理することができる。また、中間画像信号の明度が目標点の明度より低い場合には、中間画像信号の色と目標点を結ぶ直線方向に、出力側の色再現域に応じて明度および彩度を変換処理する。これによって、暗い色についてはバランスのとれた色への変換を行なうことができる。
デバイス依存空間変換部30は、出力デバイスで用いる色空間への色空間変換処理を行なう。このデバイス依存空間変換部30は、入力画像を構成する線分について、この線分の出力画像における再現性に関する評価を加味して出力色信号を生成する信号処理部の機能を備えている。
ここで、デバイス依存空間変換部30は、デバイス非依存の色信号をデバイス依存の色信号に変換する際、最も色差が小さくなる出力色信号の組合せを算出する。また、本実施形態の特徴部分として、この処理過程で、細線再現に関する評価を加味して、デバイス依存の色信号(出力色信号)を生成する。
たとえば出力デバイスがプリンタなどの場合には、出力デバイスではYMC色空間あるいはYMCK色空間のカラー画像信号を受け取る場合が多い。このような場合にデバイス依存空間変換部30は、内部で用いている出力デバイスに依存しない色空間、たとえばCIE−Labなどの色空間から、YMC色空間あるいはYMCK色空間への色空間変換処理を行なう。もちろん、出力デバイスに依存しない色空間のまま出力してもよく、この場合にはデバイス依存空間変換部30における色変換処理そのものは必要ない。
ここで、デバイス依存空間変換部30は、本実施形態の特徴部分として、先ず、対象色空間(Lab色空間)における色信号に対する最適墨量を、対象色空間における代表色信号と、その代表色信号に対する最適墨量との複数の組から作成したモデルに基づいて予測する。このとき用いる代表色信号として、少なくとも、3色で表現可能な色域である部分色空間に属する複数の色信号とともに、墨を含んだ4色で表現でき、かつ、カバレッジ(色再現域)制限を満足する曲面上に属する複数の色信号を用いる。
加えて、本実施形態のデバイス依存空間変換部30は、色材の1つである墨で表わされる細線(以下黒細線という)や、残りの色材であるY,M,Cで表わされる細線(以下色細線という)の再現性を補償する仕組みを採る点に大きな特徴を有している。
なお、色細線は、Y,M,Cの何れか1色で表わされる1次色の細線、Y,M,C(場合によってはKが含まれてもよい)の何れか2色の組合せで表わされる2次色の細線、およびY,M,Cの全ての組合せで表わされる3次色の細線(無彩色の細線)を含む。
具体的には、デバイス依存空間変換部30は、細線の最適な再現性を考慮して墨量や残りの色材色の量を算出する機能部として、先ず、任意の方法で対象とする出力色空間(たとえばYMCK)などにおける出力デバイスのモデリングを行なう出力色モデリング部32と、適正な墨量係数を求める墨量係数決定部34と、最適な墨量を特定する最適墨量決定部46とを備えている。
またデバイス依存空間変換部30は、最適墨量決定部46に入力されたLabと最適墨量決定部46で算出した最適墨量を用いて、出力色モデリング部32で構築したモデルにより出力色信号(ここではYMC)を予測し、入力されたLabを再現する出力色信号(ここではYMCK)を算出する出力色信号生成部48と、線分の再現性に関する評価を表わすテーブル情報を記憶する不揮発性(不揮発性の意味については後述する)の細線評価情報格納部50とを有している。
出力色モデリング部32は、デバイス依存信号をデバイス非依存信号からモデリングする。たとえば、任意の方法で対象色空間における出力デバイスのモデリングを行なう際に、そのモデリングの方法として、たとえば、重み付き線形回帰、ニューラルネットや重み付き平均の方法などを用いる。もちろん、Y,M,C,K,Labの何れか4つの値から残りの3つの値を予測することができるモデルを構築できれば、どのような方法を用いてもよい。
本例においては、たとえば、特開平10−262157号公報に記載されている重み付き線形回帰による方法を用いることにする。この出力色モデリング部32では、適当な組合せのY,M,C,Kを実際にプリントしてカラーパッチを作成し、このカラーパッチを実際に測色してLabの値を求めて、Y,M,C,Kの値とLabの値との複数の組を作成するものとする。
墨量係数決定部34は、調整墨量を算出する調整墨量算出部36と、制限墨量を算出する制限墨量算出部38と、Labと最適墨量との間のモデリングを行なう最適墨量モデリング部40とを有している。
調整墨量算出部36は、墨を除く3色で表現できる色域のLabを複数個選択して、このLabからアクロマチック墨量を算出し、このアクロマチック墨量にLabに応じて予め設定された墨制御パラメータを乗じることで調整墨量を算出する。ここで、アクロマチック墨量とは、不要色を0とした場合の墨量のことである。具体的には、Y=0%またはM=0%またはC=0%の条件下で対象色信号を再現する4色色信号の墨量である(詳細は、特開平5−292306号公報や特開2002−10096号公報を参照)。
制限墨量算出部38は、墨を含んだ4色で表現可能でかつカバレッジ制限を満足する色域の外郭上のLabを複数選択して、この選択されたLabとこれに対応する最大墨量との複数の組を算出する。
最適墨量モデリング部40は、調整墨量算出部36で算出したLabと対応する調整墨量との複数の組、および制限墨量算出部38で算出したLabと対応する制限墨量との複数の組から、Labと最適墨量との間のモデリングを行なう。モデリングの方法としては、たとえば、重み付き線形回帰、ニューラルネットや重み付き平均の方法などを用いて求めることができる。もちろん、そのほか、L,a,bから最適な墨量を予測することができるモデルを構築できればどのような方法を用いてもよい。また、予測モデルを構築せずに、線形補間などといった各種の補間手法を用いてもよい。
本例においては、たとえば特開平10−262157号公報に記載されている重み付き線形回帰による方法を用いることにし、最適墨量モデリング部40では、調整墨量算出部36で算出したLabと対応する調整墨量の複数の組、および、制限墨量算出部38で算出したLabと対応する制限墨量との複数の組を単純に合わせて、Labと対応する最適墨量の複数の組を作成するものとする。
たとえば、図2は、墨量係数決定部34によって上記手順に従って決定される明度L並びに彩度Cと墨量係数との関係の一例を示す図表である。ここで、図2(A)は処理対象オブジェクトがグラフィクの場合の例であり、図2(B)は処理対象オブジェクトがイメージの場合の例である。
墨量係数は、図2(A),(B)のように、Lab信号より、明度Lと彩度CによってUCRレートを決定してもよいし、色相ごとに、明度と彩度の関係によるUCRレートを定義して決定してもよい。
なお、墨量係数決定部34における処理は、特開2002−10096号公報に記載のものと同様のものとし、調整墨量算出部36、制限墨量算出部38、および最適墨量モデリング部40の動作の詳細については説明を割愛する。
最適墨量決定部46は、色域圧縮部20から入力されるLabについて、最適墨量モデリング部40によるLabと最適墨量との間のモデルに基づいて、最適墨量を予測する。
この予測モデルを式で示すと、下記式(1)で表わすことができる。
Figure 2006262238
ここで、最大墨量Max_Kは、対象色空間における任意の色信号から、この色信号を再現する墨を含んだ4色色信号を生成する際に、カバレッジ制限を満足してかつ色域が最大限となるような墨量である。アクロマチック墨量acro_Kは、少なくとも3色で表現可能な色域である部分色空間に属する複数の代表色信号と対応する最適墨量の一例である。
出力色信号生成部48は、再現するYMCKを算出する。
図1に示した例では、多次元変換テーブル(DLUT)を生成する例を示している。生成するDLUTは、本例では、RGB色空間の各軸を分割し、その格子点のRGBにYMCK信号を対応付けた3次元のテーブルである。任意の色信号が入力されたときに、その入力された色信号に対応する格子点あるいは近傍の格子点から、入力された色信号に対応するYMCK信号を、たとえば補間などによって求めて出力する。
このようなDLUTを生成するため、DLUT格子点信号生成部60は、格子点に相当するRGBを生成してデバイス非依存空間変換部10に入力する。たとえば、R,G,Bそれぞれを0〜255として、各軸を16分割してできる17^3(“^”はべき乗を示す)=4913個の格子点に対応するRGBを1つずつ順に生成し、デバイス非依存空間変換部10に入力する。そして、色域圧縮部20から墨量係数決定部34を経て、最適墨量決定部46で決定された墨量と、その墨量を用いて出力色信号生成部48で予測したYMCとを、入力したRGBに対応付けて格子点のデータとすればよい。
このようにしてLabからYMCKを生成するDLUTを作成することができ、このDLUTを使用することで、RGBによる画像データやその部分画像をYMCKによる画像データや部分画像に変換することができる。
以上、出力色モデリング部32から出力色信号生成部48までの構成を一連の処理概要を説明し、また、DLUTを生成する際の構成についても説明した。なお、出力色モデリング部32から最適墨量モデリング部40までの動作は、カラープリンタなどの出力デバイスと予め設定される墨制御パラメータが決定すれば、前もって行なっておくことが可能である。この場合には、最適墨量決定部46および出力色信号生成部48が動作すればよい。
また、カバレッジ制限は、通常、出力デバイスにより決定されるため、出力デバイスが決定できた時点で、出力色モデリング部32、墨制御パラメータが100%と仮定した調整墨量算出部36、制限墨量算出部38、および最適墨量モデリング部40を実施しておき、墨制御パラメータの設定が決定した時点で最適墨量モデリング部40で作成したLabと最適墨量の複数の組のうち調整墨量に相当する最適墨量にのみ墨制御パラメータを適用することができる。このようにすることで、効率的に墨制御パラメータを試行錯誤的に変化させながら、目的に応じた最適墨量を設計することが可能になる。
さらに、上述の説明ではDLUTの格子点のRGBに対応するYMCK信号を取得する例を示したが、これに限定されるものではない。たとえば、代表的なRGBをデバイス非依存空間変換部10、色域圧縮部20、墨量係数決定部34、最適墨量決定部46へ入力し、出力色信号生成部48から取得されるYMCK信号との対応関係から、カラー入力画像を色変換するための係数を生成してもよい。生成された係数を用いて、任意のRGBからYMCK信号への色変換を行なうことができる。
ここで、本実施形態の最適墨量決定部46と出力色信号生成部48とは、細線評価情報格納部50に格納されている評価値を参照して、細線の最適な再現性を考慮して出力色信号を生成する。特に、出力色信号生成部48は、色細線の最適な再現性を考慮して出力色信号を生成するべく、色差評価部49を備えている点に特徴を有している。
また、細線評価情報格納部50としては、本実施形態では、黒細線の細線再現性と色細線の細線再現性を維持しつつ、画像データの良好な色再現や階調性を維持するべく、具体的には、黒細線評価値格納部52と色細線評価値格納部54とを設けている。
黒細線評価値格納部52には、予め評価された黒細線の評価結果を格納する。この際、黒細線評価値格納部52は、中間調を含む黒細線評価オブジェクトの出力結果に基づいて、対象となる黒細線再現の入力信号値に対する出力信号値の対応関係のテーブル情報を格納するようにする。このように、実際の出力結果から得られる黒細線の細線再現特性に基づいて対応テーブルを作成することで、所望となる黒細線の細線再現性を実現することができるようになる。
また、色細線評価値格納部54には、予め評価された色細線の評価結果を格納する。この際、色細線評価値格納部54は、中間調を含む色細線評価オブジェクトの出力結果に基づいて、対象となる色細線再現の1つの入力信号値もしくは複数の入力信号値の組合せに対する色細線評価値のテーブル情報を格納するようにする。このように、実際の出力結果から得られる色細線の細線再現特性に基づいて対応テーブルを作成することで、所望の色細線の細線再現性を実現しつつ、画像データの良好な色再現や階調性を維持することができるようになる。
最適墨量決定部46は、最適墨量モデリング部40によるモデリング結果と、黒細線評価値格納部52に格納されている黒細線に関する評価値とに基づいて、黒細線の最適な再現性を考慮して墨量を決定する、すなわち出力色信号号の1つである墨信号(K)を生成する。この生成モデルを式で示すと、下記式(2)で表わすことができる。
Figure 2006262238
式(1)との対応から分かるように、本実施形態で得られる墨量Kcad は、アクロマチック墨量acro_Kもしくは最大墨量Max_Kに関する関数fとUCRレートとの積で示され、式(1)で示される特開2002−10096号公報記載の墨量決定方法に対して、黒細線再現の評価値を加味するようにしている。具体的には、式(1)で求められる墨量が、その墨量ごとに適正化された適正量で増えるように、出力データK(Kcad )を決定する(後述する図8(A)を参照)。式(1)で求められる全ての墨量に対して、単純に、同量で墨量を増やすものではない。
また、出力色信号生成部48は、最適墨量決定部46と色細線評価値格納部54と出力色モデリング部32からの各情報に基づいて、最も色差が小さくなるデバイス依存信号を評価することで、色細線の最適な再現性を考慮した残りの色材量を決定する、すなわち色細線の再現に最適化された出力色信号号の残りの分であるY,M,Cの各色信号を生成する。
ここで、色差評価部49は、出力色モデリング部32によってデバイス依存信号から得られるデバイス非依存信号と、最適墨量決定部46から得られるデバイス非依存信号との色差に対して、色細線評価値格納部54から得られる細線評価値を減算した色差によって評価を行なう。出力色信号生成部48は、色差評価部49の評価結果を参照して最終的な出力色信号Y,M,C,Kを特定する。
この生成モデルを式で示すと、式(3)および式(4)で表わすことができる。ここで、式(3)の各式は一般的なYMC量決定方法を示し、式(4)は色細線を考慮した本実施形態のYMC量決定方法を示している。
Figure 2006262238
Figure 2006262238
式(3−1)および式(3−2)は、Lab表色系(CIE LAB)の明度、彩度、色相(LCh)をマンセル表色系の目視感に合わせて補正するための色差式で、式(3−1)はCIEの技術委員会が1976年に提案したもの、式(3−2)はCIEの技術委員会が1994年に提案したものである。
式(3)との対応から分かるように、本実施形態で得られる色材量に対応したYMC値ΔEcad は、Y,M,Cに関する関数fとΔE76もしくはΔE94との差で示され、式(3)で示される一般的なYMC量決定方法に対して、色細線再現の評価値を加味するようにしている。
具体的には、式(4)から分かるように、入力画像データのLabと出力画像データのLabとの色差ΔE76またはΔE94が小さくなるように、出力データLab(ΔEcad )を決定する。右辺の2項目の関数f((Y,M,C)がΔE76もしくはΔE94に対しての補正量として機能している。
通常、良好な色再現を得るために、デバイス非依存空間上(Lab)のデータと、YMCKの組合せから出力色モデリング部32で算出されるLab値との色差が最も小さくなるYMCKの組合せを、その画像データのYMCK値に変更する。このときに、細線再現が良好となる組合せのYMCKに対しては、少し優位にするために、出力色モデリング部32から算出されるLab値より小さい値に置き換えることで、色細線の再現性が良好となるYMCKの組合せのデータが選ばれ易くする。これによって、色細線の細線再現性を実現しつつ、画像データの良好な色再現や階調性を維持することができる。
つまり、本実施形態のように、最大限広く色域を広く再現できるよう墨量を決定するとともに、各色の出力濃度を決定する際には、細線再現性を考慮して色ごとの出力濃度を決定する、すなわち、細線の再現性を考慮して出力色信号を生成すれば、従来途切れてしまったり、ぎざぎざになってしまい再現できなかったりした細線を、的確に再現することができるようになる。
また、特開2002−262113号公報に記載の仕組みとは異なり、同一プレーンで成長方向の異なる2種類のスクリーンを用意して画像属性信号(文字や線、描画方向)によってスクリーンの方向を切り替えることはしないので、2種類の画像属性信号が不要となるため、データ量増加の問題は起きない。加えて、グラフィック上に文字や細線などのデータが描画される場合であっても、スクリーンの違いによる段差が生じることはない。グラデーションなどに段差を生じさせることなく、良好な色再現と細線再現を両立することができる。
<色域圧縮部の処理概要>
図3〜図5は、色域圧縮部20の処理を説明する図である。ここで、図3は、入力色空間(本例ではLab色空間)と、出力色空間(本例ではYMCK色空間)との関係を示す図である。また、図4は、色相変換部22による色再現域における色相を変換する手法を説明する概念図である。また、図5は、色変換部24による色変換過程を説明する図であって、色再現域における明度レンジや彩度レンジを変換(特に圧縮)する手法を説明する概念図である。
色域圧縮部20では、色相変換部22にて、明度および彩度を保存したままで入力画像信号の色に応じて色相を移動する。この際には、予め入力側の色再現域および出力側の色再現域を求めておく。このとき、装置に依存しない色空間、たとえばCIE−Lab色空間において求めておくとよい。なお、以下の説明では内部の処理はCIE−Lab色空間において行なうものとする。
ここで、一般に色再現域は一様ではなく、たとえばCIE−Lab色空間においては図3に示すように、複雑な3次元形状を有している。図3に示す立体の内側が色再現が可能な領域であり、その外側は色を再現できない領域である。ここでは、色再現が可能な領域と色を再現できない領域との境界を示す面(外郭面)の情報を求めておく。
次に、色相変換部22は、入力画像信号の色相を移動する移動量を決定しておく。色相の移動量は予め視覚実験などによって決定されている場合には、その決定されている値を用いる。
たとえば、図4には、色相変換部22において設定する色相の移動手法の一例が示されている。色相の移動(たとえば図4(A)中のアからイへの移動)の量は、色ごとに決定しておくことができるが、ここでは一例として、代表的な色(特定信号値)についてのみ決定しておき、その間の色については補間などによって求めるようにすることができる。特定信号値としては、赤、黄、緑、シアン、青、マゼンタの純色を用いることができる。これらの純色は、たとえば入力画像信号がRGB色空間の場合、R,G,Bの各色における飽和色信号として与えられる。
色相変換部22は、これらの特定信号値に対して、たとえば視覚実験などによって最適な色相の移動量を決定する。移動前と移動後の色相の一例を図4(B)に示している。たとえば、黄および赤については入力側色再現域と出力側色再現域がそれ程変わらないため、色相の移動量は小さい。また、緑では多少青に近い色に移動させる。また、シアンについては青に近づけ、青についてはシアンに近づけ、マゼンタについては赤に近づけるように、色相を移動させる。なお、色相の移動量についてはこの例に限られるものではなく、任意に決定可能である。また、特定信号値も上述の6色に限られるものではなく、また色数も6色に限らない。
次に、装置には、入力画像信号が入力される。入力画像信号が内部で用いる装置に依存しない色空間以外の色空間の信号である場合には、デバイス非依存空間変換部10により装置に依存しない色空間の信号に色空間変換する。たとえば入力画像信号がRGB色空間における信号であるとき、デバイス非依存空間変換部10は、RGB色空間からCIE−Lab色空間への色空間変換を行なう。
次に、色相変換部22は、CIE−Lab色空間に変換された入力画像信号の色相を、その入力画像信号の色に応じて先に決定しておいた移動量だけ移動する。図4に示したように、予め特定信号値については色相の移動量を決定している。そのため、これらの特定信号値の色相については決定した移動量だけ色相を移動させればよい。また、特定信号値以外の色相の入力画像信号については、特定信号値の色相の移動量から、たとえば線形補間によって色相の移動量を求めることができる。もちろん、特定信号値以外の色については、線形補間以外の方法で求めてもよい。
一般的には、入力側と出力側の色再現域は大きく異なっており、高彩度の色については出力側では再現できないことがある。また、色相を変更せずに入力画像信号を出力側色再現域内の色に変換しようとすると、彩度が非常に落ちるあるいは明度が低下するなど、大きな色の変化を生じてしまうことがある。しかし、色相を移動すると、移動先の色相における出力側色再現域を入力側色再現域の形状に近づけることができる。そのため、次の色変換部24における変換量が小さくなり、大きな彩度および明度の変化を避けることができる。
なお、場合によっては、たとえばマゼンタが多少赤みを帯びることになるが、見た目においては色相を変更せずに彩度および明度を変更した場合に比べてマゼンタに近い色を表現することができ、見た目の色の変化を抑えることができる。
次に、色変換部24は、色相変換部22にて色相を移動した後の入力画像信号を、移動後の色相を保持したまま出力側の色再現域内の色へ変換して出力画像信号を出力する。ここでは一旦中間色再現域に変換し、その後、出力側の色再現域内の色へと変換する。また、中間色再現域から出力側色再現域への変換の際には、入力画像信号の明度に応じて変換方法を変える。これによって、出力側色再現域内の最良の色へ変換することができる。
図5(A)〜(C)は、色変換部24における中間色再現域の設定過程の具体例の説明図であり、色域圧縮の概要(明度レンジ変換)が示されている。図中、破線は入力側の色再現域を示し、実線は色相移動後の出力側の色再現域を示している。ここでは色相移動後の色相における断面を示しており、この断面における座標系は、縦軸が明度を示すL軸、横軸が彩度を示すC軸となる。
図5(A)に示すような入力側および出力側の色再現域が得られているものとする。色変換部24は、先ず、図5(B)に示すように、入力側色再現域の明度レンジ、すなわち明度の最大値から明度の最小値までを、出力側色再現域の明度レンジに合わせる。さらに、明度レンジの調整を施した後の入力側色再現域における最大彩度を有する点(カスプCUSPi)の明度と、出力側色再現域の最大彩度を有する点(CUSPo)の明度との差の範囲内で、所定の関数によって点(CUSPi)を調整して中間色再現域を設定する。これによって、図5(C)に破線で示すような中間色再現域が得られる。色相を移動した後の入力画像信号は、入力側色再現域から中間色再現域への変換過程と同様の手順で色変換が行なわれ、中間画像信号となる。
図5(D)は、中間色再現域から出力側色再現域への色変換の一例の説明図であり、色域圧縮の概要(明度・彩度圧縮)が示されている。色変換部24は、先ず、中間画像信号の明度が、出力側色再現域の最大彩度を有する点(CUSPo)の明度よりも高いか低いかを判定する。中間画像信号の明度の方が、点(CUSPo)の明度よりも高い場合には、図5(D)に示すように、明度を保存したまま、彩度のみについて変換処理し、中間画像信号を出力側色再現域内の出力画像信号に変換する。明度を保存することによって、高明度の色についてなるべく明るい色で再現できるように色変換を行なうことができる。
一方、中間画像信号の明度の方が、点(CUSPo)の明度よりも低い場合には、色変換部24は、図示を割愛するが、たとえば点(CUSPo)の明度と同じ明度の無彩色(すなわちL軸上の)の目標点とし、中間画像信号の色と目標点を結ぶ直線方向に明度および彩度を変換処理する。このような変換処理によって、低明度の色については見かけ上、類似した色に変換することができる。
なお、中間画像信号を出力側色再現域内の出力画像信号に変換する際の変換方法としては、たとえば線形圧縮法などを用いることができる。たとえば彩度軸に平行な直線、あるいは、中間画像信号の色と目標点を結ぶ直線を考え、この直線と中間色再現域の外郭との交点からL軸あるいは目標点までの距離をLin、直線と出力側色再現域の外郭との交点からL軸あるいは目標点までの距離をLout とする。また、中間画像信号を示す点からL軸あるいは目標点までの距離をL’in、変換後の出力画像信号を示す点(白丸○で図示)からL軸あるいは目標点までの距離をL’out とするとき、L’out は、L’out =(Lout /Lin)×L’inによって求めることができる。求められたL’out は、色変換後の出力カラー画像信号における彩度を表している。もちろん、線形圧縮法以外の手法を用いて明度方向の変換を行なってもよい。
色変換部24においては、上述のような手法に限らず、任意の手法によって色相を移動した後の入力画像信号を出力側色再現域内の出力画像信号に変換することができる。たとえば中間色再現域を設定せずに、直接、出力側色再現域内の出力画像信号に変換してもよい。このとき、彩度のみ、あるいは明度および彩度を変換する手法などを用いることができる。また、色相の移動のみで入力画像信号を出力側色再現域内の色に変換できている場合には、この色変換部24における処理は不要である。
次に、デバイス依存空間変換部30は、出力画像信号を出力側の装置が要求する色空間へ変換する。たとえば出力側の装置がYMCK色空間のカラー画像信号を要求していれば、CIE−Lab色空間からYMCK色空間への色空間変換処理を行なえばよい。もちろん、内部の処理で用いたCIE−Lab色空間のまま出力してよければ、この色空間変換処理そのものは必要ない。以上により処理は終了する。
なお、上述の説明では、入力画像信号に対して、図1に示した各部において順次処理を進めて行くものとして説明したが、たとえば色変換部24およびデバイス依存空間変換部30の処理はたとえば多次元のルックアップテーブルおよび補間を用いて一括して変換処理を行なうこともでき、本実施形態でも、その多次元ルックアップテーブルおよび補間を用いた手法を適用してもよい。また、その多次元ルックアップテーブルに色相変換部22における色相の移動処理を含めて構成し、多次元ルックアップテーブルと補間によって、色相変換部22やデバイス依存空間変換部30の処理を行なってもよい。もちろん、デバイス非依存空間変換部10の処理を含めることも可能である。
また、色相変換部22は、出力画像信号や出力された画像の使用目的に応じて移動量をいくつか設定しておくように構成することができる。色相の移動量は、図4でも説明したようにいくつかの特定信号値について、その使用目的における視覚実験などに基づいて、それぞれの使用目的ごとに設定しておけばよい。
入力画像信号が入力される前に、ユーザは設定されている色相の移動量の組のうち何れを用いるかを指示する。指示の方法は任意であり、使用目的に応じて選択すればよい。色相変換部22は、ユーザの指示に従って設定されている色相の移動量の組から1つを選択し、入力画像信号に対して選択した色相の移動量に従って色相の移動処理を行なう。このようにして、出力画像信号や、出力された画像の使用目的に応じて、最適な色相変換を行ない、最終的に最適な色変換が行なわれた出力画像信号を得ることができる。
なお、使用目的に応じていくつかの色相の移動量の組を予め設定しておくことに限らず、たとえばユーザが色相の移動量を直接変更可能に構成してもよい。この場合、設定しておく色相の移動量は、1組あるいは複数組を設定しておいてよい。複数組を設定している場合には、そのうちの1つを選択後、ユーザからの指示によって微調整を行なうことができる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の色域圧縮部20による色再現域の圧縮処理によれば、入力画像信号を出力側の色再現域内の出力画像信号に変換する過程において、入力画像信号の色に応じて色相の移動を行なってから、彩度のみあるいは明度および彩度の変換を行ない、出力側の色再現域内の出力画像信号に変換する。
これによって、彩度のみあるいは明度および彩度の変換では大きく色が異なってしまう場合でも、色相の移動によって明度、彩度の変更量を少なくし、見た目の色として類似した色に変換することができる。このように入力画像信号を見かけ上望ましい色に変換することができるので、出力側の装置においてユーザの満足が得られるような出力画像を得ることができる。加えて、使用目的ごとに色相の移動量を設定可能に構成することによって、様々なユーザの使用目的に応じて、ユーザが満足できる最適化された色変換を行なうことができる。
<細線再現性を重視した出力色信号生成処理の手順の概要>
図6は、黒細線や色細線の再現性を重視した出力色信号を生成する処理手順の概要を示したフローチャートである。
事前準備として、ユーザは先ず、黒細線や色細線を評価するためのテストチャート(以下、細線評価用チャートという)を出力デバイスで出力し、細線の再現性を示す評価値を取得する(S10)。ユーザは、取得した評価値を細線評価情報格納部50に登録する(S12)。登録の形態は、たとえば、取得した評価値をフレキシブルディスク(FD)やCD−ROMなどの可搬型の記録媒体に記録して、それを画像処理装置1の読取装置で読み込ませる形態や、ネットワークを介して画像処理装置1に送信する形態などを採ることができる。
次に、実際の画像処理の場においては先ず、画像処理装置1の最適墨量決定部46は、黒細線評価値格納部52に格納されている黒細線に関する評価値を参照して、式(2)に従って、黒細線の最適な再現性を考慮した墨量(色材料の1つ)を決定する(S20)。
次に、色差評価部49は、色細線評価値格納部54に格納されている色細線に関する評価値を参照して、式(4)に従って、色細線の最適な再現性を考慮したY,M,Cの各色材量を決定する(S22)。
出力色信号生成部48は、最適墨量決定部46にて決定された墨量を示すK信号と、色差評価部49にて決定されたY,M,Cの各色材量を示す各色信号Y,M,Cを出力画像信号として所定の出力デバイス(たとえばプリンタエンジン)に渡す(S24)。
出力デバイスは、出力色信号生成部48から渡された出力色信号Y,M,C,Kに基づき、所定の記録媒体(典型例としては印刷用紙)に画像を形成する(S26)。いわゆるプリントアウトを行なう。
<細線再現性を重視した出力色信号生成処理の具体例>
図7および図8は、黒細線や色細線の再現性を重視した出力色信号を生成する具体例を説明する図である。ここで、図7は、黒細線や色細線を評価するための細線評価用チャートの一例を示す図である。また、図8(A)は、黒細線評価の一例を示す図、図8(B)は、色細線評価の一例を示す図である。
本実施形態では、最適墨量決定部46において、黒細線の再現性を考慮した墨量を決定するとともに、出力色信号生成部48において、色細線の再現性を考慮したYMC用の色材量を決定するため、予め、図7に示す細線評価用チャートを用いて、細線の再現性を評価しておく。
図7に示す例では、出力デバイスが使用する全ての色材色Y,M,C,Kのうち、M,C,Kについて、スター形状のパターンを、10%刻みで示している。なお、細線評価用チャートの中身は、スター形状に限らず、その他の所望のパターンや定型フォーマットなど用いて実施してもよい。
ここで、各色の評価は、0〜100%の濃度に対して所望のステップ幅で細線再現で実施する。ステップ幅が小さい程、精度の高い評価値が得られる。
また、評価は、M,C,Kそれぞれで行なっても、CM,MK,KCなどの2色以上の組合せで行なってもよい。また、出力デバイスが使用する全ての色材色に対応するべく、Yに関するパターンを含んでもよい。
具体的な評価の方法としては、図7に示す細線評価用チャートのK単色放射状細線から、先ず、水平・垂直な細線が途切れず再現できる濃度を決定する。たとえば、濃度70%であれば水平・垂直方向の細線が途切れていなくて、それより低濃度だと水平・垂直細線が途切れている場合には、水平・垂直細線の再現可能濃度は70%となる。
たとえば、図8(A)に黒細線評価値の例を示している。図中の横軸に示す入力Cinは、式(2)で示したアクロマチック墨量acro_Kもしくは最大墨量Max_Kであり、縦軸に示す出力Cout は、式(2)で示したアクロマチック墨量acro_Kもしくは最大墨量Max_Kに関する関数fである。
黒細線評価値は、図7に示す細線評価チャートから黒(K)の細線再現の出力結果に基づいて、入出力の関係を決定することで得られる。一例として、図中のP1に示すように、縦線、横線がはっきりと印字されているオブジェクトが70%で、入力信号の50%の灰色の縦線、横線の線再現を保証したい場合に、Cin50%のデータをCout 70%として変換する。
また、図中のP2に示すように、ある30°や60°程度の斜線がはっきりと印字できているオブジェクトが95%で、入力信号の80%の濃い灰色の線再現を保証したい場合、Cin80%のデータをCout 95%として変換する。
また、図8(B)に色細線評価値の例を示している。図中の横軸に示す入力Cinは、式(2)で示したY,M,Cであり、縦軸に示す出力ΔEln(lnはlineを略したもの)は、式(4)で示したY,M,Cに関する関数fである。ΔElnが高い程、色細線の再現性に優位になる。
ここで、色細線評価値1は、縦線、横線の途切れを生じさせることなく再現されるP3と、100%濃度の細線と同等の再現を行なうことができるP4によって、評価値を切り替える場合の例を示している。また、細線評価値2は、縦線、横線の途切れを生じさせることなく再現されるP3と、100%濃度の細線の評価値を決定した場合の例を示している。
なお、この図8(B)に示す色細線評価値の決定方法は、あくまで一例を示したものに過ぎず、ある特定の組合せ(C,M,K)のときの評価値を予め決定する方法や、濃度値の1次関数もしくは2次関数として評価値を決定してもよい。
ユーザは、K単色放射状細線やK色を含む2色以上の組合せから得られる黒細線評価値を黒細線評価値格納部52に、またM,C,(Y)の各単色放射状細線や各色M,C,(Y)色を含む2色以上の組合せから得られる色細線評価値を色細線評価値格納部54に格納しておく。
次に、最適墨量決定部46は、K単色の中間調で表現されるグレーの水平・垂直成分の細線再現を保証したい場合に、黒細線の再現性を保証したい最低入力濃度値を水平・垂直細線の再現可能濃度に設定して入出力濃度変換特性を補正する。
ここで、最低入力濃度値とは、一定以上の濃度のグレーによる水平・垂直細線を途切れず再現させたいという濃度値であり、図8(A)では、Cin50%に相当する。また、水平・垂直細線の再現可能濃度は、図8(A)では、Cout 70%に相当する。これらについて入出力濃度変換特性を補正することで、図8(A)に示すように、破線で示す変換特性を、実線で示す変換特性のP1部分に持ち上げることができる。
このようにすることで、水平・垂直方向の細線再現を保証したい範囲において、確実に黒細線を途切れず再現することができる。また、ある角度の斜め線(たとえば30度や60度)でも同様に、黒細線が途切れず再現可能な最低濃度を決定することができる。
一般的にスクリーン角度および線数の影響により、水平・垂直成分と比較し、角度を持った斜め線では細線が途切れやすいことが分かっている。そのため、斜めの黒細線を再現できる最低濃度は、一般的に水平・垂直の黒細線を再現可能な濃度より高濃度になる。
たとえば、水平・垂直の黒細線の再現可能濃度が70%のとき、斜めの黒細線では95%以上の濃度でなければ、その黒細線を再現できない、つまり95%以下では斜めの黒細線が途切れてしまうという問題の発生が考えられる。
水平・垂直細線の場合と同様に、斜め線についても、黒細線の再現性を保証する必要がある場合には、斜めの黒細線再現保証最低入力濃度値(図8(A)では80%)を斜め細線再現可能濃度(図8(A)では95%)に変換する。
以上のように、最適墨量決定部46において、黒細線評価値格納部52に格納されている黒細線の再現性に関する評価結果を参照して墨量を決定すれば、水平・垂直の黒細線および斜めの黒細線の両方に関して、最低限の黒細線再現性を保証するように濃度変換特性を決定することで、黒細線の途切れがなく、安定して再現することができるようになる。
また、黒細線以外の他の色(Y,M,C)の細線に関しては、式(4)で示したように、入力画像データのLabと出力画像データのLabとの色差ΔE76またはΔE94が小さくなるような出力データを決定する。ここで、本実施形態では、入力画像データと出力画像データの色差を小さくするという一般的なYMCの決定方法に、色細線再現性の評価結果を加味することによって、色細線再現性と色再現性を両立するという手法を採る。
このため、ここでは、図8(B)に示すように、YMC各色の入力濃度Cinに対して、黒細線の場合と同様に、水平・垂直細線が再現できる濃度点P3および斜めを含めて再現できる濃度点P4を求め、P3以下の入力濃度では色差の補正値ΔEln(式(4)のf(Y,M,C)に相当)を“0;ゼロ”にするとともに、P3以上では補正量ΔElnが増加するように設定する。
本実施形態の色差評価手法では、一般的に用いられる色差計算方法から求めたΔE76またはΔE94から、この色差補正値ΔElnを減算した評価値ΔEcad が最小になるようなLabを求める。換言すれば、本実施形態における最終的なYMC値の決定手法においては、対象となるLab値とYMCKの組合せから算出されるLab値との色差(ΔE76やΔE94)が最も小さくなるように、YMC値を決定する。この色差からYMC値を選択するに当たって、色細線の再現性が優位なYMC値の組合せを決定し易くするために、通常の色差(ΔE76やΔE94)から、色細線再現優位分の色差(f(Y,M,C))を補正分として差し引くことで、選ばれ易くする。
入力濃度Cinが高い場合には、Cinが低い場合と比較して、色細線再現性が高く、途切れを生じ難いため、一般的な方法と同様の算出方法で求めた色差(ΔE76もしくはΔE94)から補正値(図8(B)のΔEln)を減算する。こうすることで、補正値ΔElnが大きい程、評価値ΔEcad が小さくなることになる。Y,M,Cの何れか1色で表わされる1次色(YMC単色ともいう)でのCin−ΔEln特性を定義しておくことで、YMC単色の細線が再現されるようなLabデータが選択され易くなる。
また必要に応じて、Y,M,C(Kが含まれてもよい)の何れか2色の組合せで表わされる2次色、あるいはY,M,C(Kが含まれてもよい)の全ての組合せで表わされる3次色の細線(無彩色の細線)に関しても、同様にCin−ΔEln特性を定義しておくことで、2次色や3次色の細線も再現性を向上させることができる。淡い色であっても、あるいは、スクリーン角度に近い角度の線であっても、細線の消失を防止することができ、確実に、色細線の再現性を向上させることができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
<電子計算機を利用した構成に関して>
たとえば、本実施形態において、細線再現性を考慮して出力色信号を生成する仕組み(以下、細線再現性重視の出力色信号生成処理ともいう)は、ハードウェア処理回路により構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づき電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現することも可能である。
よって、本発明に係る画像処理方法や画像処理方法を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を発明として抽出することもできる。ソフトウェアにより実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。
電子計算機に細線再現性重視の出力色信号生成処理機能をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ(組込マイコンなど)、あるいは、CPU(Central Processing Unit )、論理回路、記憶装置などの機能を1つのチップ上に搭載して所望のシステムを実現するSOC(System On a Chip:システムオンチップ)、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
記録媒体は、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気などのエネルギの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。
たとえば、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクFDを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、または半導体メモリなどよりなるパッケージメディア(可搬型の記憶媒体)により構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMやハードディスクなどで構成されてもよい。
また、ソフトウェアを構成するプログラムは、記録媒体を用いずに、記録媒体を介して提供されることに限らず、有線あるいは無線などの通信網を介して提供されてもよい。
たとえば、細線再現性重視の出力色信号生成処理機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、ハードウェア処理回路にて構成する場合と同様の効果は達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が細線再現性重視の出力色信号生成処理の機能を実現する。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することで、細線再現性重視の出力色信号生成処理を行なう機能が実現されるだけでなく、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(Operating Systems ;基本ソフト)などが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理により細線再現性重視の出力色信号生成処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって細線再現性重視の出力色信号生成処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
なお、細線再現性重視の出力色信号生成処理を行なう機能を実現するプログラムコードを記述したファイルとしてプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。
たとえば図9は、CPUやメモリを利用してソフトウェア的に細線再現性重視の出力色信号生成処理を行なう機能を持つ画像処理装置1を構成する、すなわちパーソナルコンピュータなどのコンピュータ(電子計算機)の機能を利用して細線再現性重視の出力色信号生成処理をソフトウェア的に実現する場合のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
もちろん、このようなコンピュータを用いた構成に限らず、図1を用いて示した各機能部の処理をなす専用のハードウェアの組合せにより細線再現性重視の出力色信号生成処理を行なう画像処理装置を構成することもできる。ソフトウェアにより処理を実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。
なお、細線再現性重視の出力色信号生成処理機能を複合機に組み込む形態の場合、図9に示す電子計算機には、たとえば、複写アプリケーションやプリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムなど、従来の画像形成装置(複合機)におけるものと同様のソフトウェアが組み込まれる。また、ネットワークを介して外部とのデータを送受信したりするための制御プログラムも組み込まれる。
このとき、細線再現性重視の出力色信号生成処理機能を実現するプログラムコードを記述したファイルとしてプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。たとえば、既存の複写装置制御ソフトやプリンタ制御ソフト(プリンタドライバ)に組み込まれるアドインソフトとして提供されてもよい。
たとえば、コンピュータシステム900は、コントローラ部901と、ハードディスク装置、フレキシブルディスク(FD)ドライブ、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ、半導体メモリコントローラなどの、所定の記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取制御部902とを有する。
コントローラ部901は、CPU(Central Processing Unit )912、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)913、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)915、および不揮発性の記憶部の一例であるRAM(NVRAMと記述する)916を有している。
NVRAM916には、たとえば、黒細線や色細線の評価結果を格納することで、このNVRAM916を細線評価情報格納部50として機能させることができる。
なお、上記において“揮発性の記憶部”とは、装置の電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、装置のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続けることができるものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。たとえば、ハードディスク装置を不揮発性の記憶部として利用できる。また、CD−ROMなどの記録媒体から情報を読み出す構成を採ることでも不揮発性の記憶部として利用できる。
また、コンピュータシステム900は、カスタマーインタフェースをなす機能部としての指示入力部903と、操作時のガイダンス画面や処理結果などの所定の情報をカスタマーに提示する表示出力部904と、各機能部との間のインタフェース機能をなすインタフェース部(IF部)909とを有する。
なお、複合機の構成とするべく、処理対象の画像を読み取る画像読取部(スキャナユニット)905と、処理済みの画像を所定の出力媒体(たとえば印刷用紙)に出力する画像形成部906も設けられる。
指示入力部903としては、たとえば、ユーザインタフェース部985の操作キー部985bを利用することができる。あるいは、キーボードやマウスなどを利用することもできる。
表示出力部904は、表示制御部942と表示装置とを備える。表示装置としては、たとえば、ユーザインタフェース部985の操作パネル部985aを利用することができる。あるいは、CRT(Cathode Ray Tube;陰極線管)やLCD(Liquid Crystal Display;液晶)などでなるその他のディスプレイ部を利用することもできる。
たとえば、表示制御部942が、操作パネル部985aやディスプレイ部上に、ガイダンス情報や画像読取部905が取り込んだ全体画像などを表示させる。また、各種の情報をユーザに通知する際の表示デバイスとしても利用される。なお、表示面上にタッチパネルを有するディスプレイ部とすることで、指先やペンなどで所定の情報を入力する指示入力部903を構成することもできる。
インタフェース部909としては、処理データ(画像データを含む)や制御データの転送経路であるシステムバス991の他、たとえば、画像読取部905とのインタフェース機能をなすスキャナIF部995、画像形成部906や他のプリンタとのインタフェース機能をなすプリンタIF部996、およびインターネットなどのネットワークとの間の通信データの受け渡しを仲介する通信IF部999を有している。
このような構成において、CPU912は、システムバス991を介してシステム全体の制御を行なう。ROM913は、CPU912の制御プログラムなどを格納する。RAM915は、SRAM(Static Random Access Memory )などで構成され、プログラム制御変数や各種処理のためのデータなどを格納する。また、RAM915は、所定のアプリケーションプログラムによって取得した電子ドキュメント(文字データのみに限らず画像データを含んでよい)や自装置に備えられている画像読取部905で取得した画像データ、さらには外部から取得した電子データなどを一時的に格納する領域を含んでいる。
たとえば、細線再現性重視の出力色信号生成処理機能をコンピュータに実行させるプログラムは、CD−ROMなどの記録媒体を通じて配布される。あるいは、このプログラムは、CD−ROMではなくFDに格納されてもよい。また、MOドライブを設け、MOに前記プログラムを格納してもよく、またフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリカードなど、その他の記録媒体にプログラムを格納してもよい。さらに、他のサーバなどからインターネットなどのネットワークを経由してプログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新したりしてもよい。
なおプログラムを提供するための記録媒体としては、FDやCD−ROMなどの他にも、DVDなどの光学記録媒体、MDなどの磁気記録媒体、PDなどの光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、ICカードやミニチュアカードなどの半導体メモリを用いることができる。記録媒体の一例としてのFDやCD−ROMなどには、細線再現性重視の出力色信号生成処理機能を実現する際の、一部または全ての機能を格納することができる。
また、ハードディスク装置は、制御プログラムによる各種処理のためのデータを格納したり、画像読取部905で取得した画像データや外部から取得した印刷データなどを大量に一時的に格納したりする領域を含んでいる。また、ハードディスク装置、FDドライブ、あるいはCD−ROMドライブは、たとえば、CPU912にコンテンツ取得やアドレス取得あるいはアドレス設定などの処理をソフトウェアにて実行させるためのプログラムデータを登録するなどのために利用される。
なお、細線再現性重視の出力色信号生成処理のための各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部を専用のハードウェアにて行なう処理回路908を設けてもよい。ソフトウェアで行なう仕組みは、並列処理や連続処理に柔軟に対処し得るものの、その処理が複雑になるに連れ、処理時間が長くなるため、処理速度の低下が問題となる。これに対して、ハードウェア処理回路で行なうことで、高速化を図ったアクセラレータシステムを構築することができるようになる。アクセラレータシステムは、処理が複雑であっても、処理速度の低下を防ぐことができ、高いスループットを得ることができる。
たとえば、細線再現性重視の出力色信号生成処理機能を複合機に適用した図示する形態の場合であれば、処理回路908としては、図1に示したデバイス非依存空間変換部10に相当するデバイス非依存空間変換部908aや、色域圧縮部20に相当する色域圧縮部908bや、デバイス依存空間変換部30に相当するデバイス依存空間変換部908cや、DLUT格子点信号生成部60に相当するDLUT格子点信号生成部908dなどをハードウェアで構成するとよい。
本発明に係る画像処理装置の一実施形態の全体構成の概要を示すブロック図である。 墨量係数決定部によって決定される明度並びに彩度と墨量係数との関係の一例を示す図表である。 入力色空間と出力色空間との関係を示す図である。 色相を変換する手法を説明する概念図である。 色変換過程を説明する図である。 黒細線や色細線の再現性を重視した出力色信号を生成する処理手順の概要を示したフローチャートである。 細線評価用チャートの一例を示す図である。 細線評価の一例を示す図である。 コンピュータの機能を利用して画像処理をソフトウェア的に実現する場合のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
符号の説明
1…画像処理装置、10,908a…デバイス非依存空間変換部、20,908b…色域圧縮部、22…色相変換部、24…色変換部、30,908c…デバイス依存空間変換部、32…出力色モデリング部、34…墨量係数決定部、36…調整墨量算出部、38…制限墨量算出部、40…最適墨量モデリング部、46…最適墨量決定部、48…出力色信号生成部、49…色差評価部、50…細線評価情報格納部、52…黒細線評価値格納部、54…色細線評価値格納部、60,908d…DLUT格子点信号生成部

Claims (13)

  1. 入力画像に対応する出力画像を再現するための出力色信号を生成する画像処理方法であって、
    前記入力画像を構成する線分については、該線分の前記出力画像における再現性に関する評価を加味して前記出力色信号を生成する
    ことを特徴とする画像処理方法。
  2. 入力画像を表わす入力色信号を処理することにより前記入力画像に対応する出力画像を再現するための出力色信号を生成する画像処理装置であって、
    前記入力画像を構成する線分については、該線分の前記出力画像における再現性に関する評価を加味して前記出力色信号を生成する信号処理部
    を備えたことを特徴とする画像処理装置。
  3. 前記信号処理部は、前記入力画像を表わす入力色信号と前記出力画像を再現するための前記出力色信号との色差がより小さくなる当該出力色信号の組合せを算出する過程において、前記線分の前記再現性に関する評価を加味する
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記信号処理部は、対象色空間における任意の色信号から色信号を再現する墨を含んだ4色色信号を生成する際に、カバレッジ制限を満足してかつ色域が最大限となるように墨量を決定する過程において、前記墨を色材として用いて表わされる前記線分の前記再現性に関する評価を加味する
    ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記信号処理部は、少なくとも3色で表現可能な色域である部分色空間に属する複数の代表色信号と対応する最適墨量の組と、前記墨を含んだ4色で表現できかつカバレッジ制限を満足する曲面上に属する複数の色信号を代表色信号として用いて対応する最適墨量の組を作成し、前記対象色空間における色信号に対する最適墨量を前記対象色空間における前記代表色信号と前記代表色信号に対する最適墨量との複数の組から作成したモデルに基づいて予測し、予測した最適墨量と前記対象色信号とから前記墨を除く残りの3色を予測して前記墨を含む4色色信号を算出する過程において、前記墨を色材として用いて表わされる前記線分の前記再現性に関する評価を加味する
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 前記信号処理部は、墨を含む4色の出力色信号を算出する過程において、前記墨を除く3色の内の少なくとも1つの色材を用いて表わされる前記線分の前記再現性に関する評価を加味する
    ことを特徴とする請求項3〜5の内の何れか1項に記載の画像処理装置。
  7. 前記線分の前記再現性に関する評価を表わす情報を記憶する細線評価情報格納部をさらに備え、
    前記信号処理部は、前記細線評価情報格納部に記憶されている前記線分の前記再現性に関する評価を表わす情報を参照して、前記出力色信号を生成する
    ことを特徴とする請求項2〜6の内の何れか1項に記載の画像処理装置。
  8. 前記細線評価情報格納部は、中間調を含む黒細線評価オブジェクトの出力結果に基づいて、対象となる黒細線再現の前記入力色信号に対する前記出力色信号の対応関係の情報を格納する
    ことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
  9. 前記細線評価情報格納部は、中間調を含む色細線評価オブジェクトの出力結果に基づいて、対象となる色細線再現の前記入力色信号に対する前記出力色信号の対応関係の情報を格納する
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の画像処理装置。
  10. 前記細線評価情報格納部は、対象となる色細線再現の1つの前記入力信号もしくは複数の前記入力信号の組合せに対する細線評価値の情報を格納する
    ことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
  11. 前記入力画像を表わす入力色信号と前記出力画像を再現するための前記出力色信号との色差がより小さくなるデバイス依存信号を評価する色差評価部をさらに備え、
    前記信号処理部は、前記色差評価部の評価結果を参照して、墨を除く3色の内の少なくとも1つの色材を用いて表わされる前記線分を表わす前記出力色信号を生成する
    ことを特徴とする請求項2〜10の内の何れか1項に記載の画像処理装置。
  12. 前記色差評価部は、前記色差に対して、前記線分の前記出力画像における再現性に関する評価を表わす評価値を減算した色差によって評価を行なう
    ことを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
  13. 入力画像を表わす入力色信号を処理することにより前記入力画像に対応する出力画像を再現するための出力色信号を生成する画像処理を、コンピュータを用いて行なうためのプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    前記入力画像を構成する線分については、該線分の前記出力画像における再現性に関する評価を加味して前記出力色信号を生成する信号処理部
    として機能させることを特徴とするプログラム。
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