JP2006250273A - 伝動ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】 伝動ベルトのプーリに巻き掛けられた部分におけるエレメントにヨーイングが生じた場合であっても、エレメントとプーリとが面接触するようにエレメントの側面に所定の傾斜面を設けることにより、それらの接触部分における摩耗を低減し、伝動ベルトおよびプーリの耐久性を向上させる。
【解決手段】 環状の帯状体10と、板状に形成されてその幅方向における両端にプーリ5の溝部5aと接する左右側面2,3を有するとともに、前記帯状体10によりその周方向に積層して配列されて環状に結束されるエレメント1とにより構成された伝動ベルトVにおいて、少なくとも一つの前記エレメント1の前記左右側面2,3が、前記エレメント1の板厚方向に対して所定の角度傾斜し、かつ互いに平行な傾斜面2a,2b,3a,3bにより形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 環状の帯状体10と、板状に形成されてその幅方向における両端にプーリ5の溝部5aと接する左右側面2,3を有するとともに、前記帯状体10によりその周方向に積層して配列されて環状に結束されるエレメント1とにより構成された伝動ベルトVにおいて、少なくとも一つの前記エレメント1の前記左右側面2,3が、前記エレメント1の板厚方向に対して所定の角度傾斜し、かつ互いに平行な傾斜面2a,2b,3a,3bにより形成されている。
【選択図】 図1
Description
この発明は、二つの回転部材の間に巻き掛けられてその間で動力を伝達する、環状の帯状体とエレメントとからなる伝動ベルトに関するものである。
一般に、二つの回転部材同士の間で動力の伝達をおこなう場合に用いる変速機として、有段変速機および無段変速機があり、無段変速機としてはベルト式無段変速機およびトロイダル式無段変速機などが知られている。このうち、ベルト式無段変速機は、伝動ベルトと、駆動側プーリおよび従動側プーリの二組のプーリとを使用して変速比を無段階に変化させる変速機である。また、そのようなベルト式無段変速機に用いられる伝動ベルトとしては、例えばエレメントあるいはブロックと称される多数の板片をその板厚方向に互いに重ね合わせて環状に配列するとともに、それらの板片をフープあるいはリングなどと称される環状の帯状体で環状に結束することによって、無端環状に形成されたベルトが知られている。
このような伝動ベルトが、駆動側および従動側の二組のプーリに巻き掛けられ、駆動側プーリが駆動されると、エレメントには、エレメントと駆動側プーリとの接触部分の摩擦力、および、駆動側プーリのトルクに応じて駆動側プーリからエレメントに対して加えられるエレメントの積層方向すなわちエレメントの厚さ方向の圧縮力が作用する。そして、駆動側プーリに接触しているエレメントに伝達された圧縮力は、プーリに巻き掛けられていない直線状態の各エレメントを経由して、従動側プーリに接触しているエレメントに伝達される。この従動側プーリに接触しているエレメントに圧縮力が伝達されると、そのエレメントと従動側プーリとの接触部分の摩擦力、および伝達された圧縮力に応じて従動側プーリを回転させようとするトルクが発生する。このようにして、駆動側プーリと従動側プーリとの間で、伝動ベルトを介して動力伝達がおこなわれる。
上記のような伝動ベルトおよびその伝動ベルトを構成するエレメントの一例が特許文献1および特許文献2に記載されている。これらの特許文献1,2に記載されている伝動ベルト用ブロック(エレメント)は、ブロック本体部の両側に位置し、プーリのV形溝の斜面に接するテーパ面と、キャリアバンド(フープ)が摺動可能に接するバンド掛かり面(いわゆるサドル面)とを有していて、両端のテーパ面が、その板厚方向中央が外側に凸となるような湾曲した形状に形成され、なおかつその湾曲部の曲率半径が、ブロック幅の2分の1となるように形成されている。
そのため、ベルトの走行中に、ブロックの幅方向における左右の両端が、ブロックの上面方向(プーリの外周方向)から見て前後に傾いても、ブロック両端のテーパ面とプーリのV形溝の斜面との接触点距離が一定になり、もしくはわずかに変化するにとどまり、ブロックのプーリのV形溝の斜面との接触高さが変化することを回避できる。その結果キャリアバンドはプーリ上でほぼ一定の曲率で曲がるようになり、キャリアバンドがブロックごとに曲げを受けたりして、キャリアバンドに過大な応力が負荷されることを防止することができる、とされている。
特公平8−30516号公報
特公平7−92118号公報
上記のようなベルト式無段変速機では、駆動側プーリと従動側プーリとに伝動ベルトが巻き掛けられている状態で、駆動側プーリのV形溝のプーリ軸方向における中心位置、すなわち駆動側プーリに巻き掛けられて駆動側プーリの固定シーブと可動シーブとに挟み込まれた状態におけるエレメントの中心位置と、従動側プーリのV形溝のプーリ軸方向における中心位置、すなわち駆動側プーリに巻き掛けられて駆動側プーリの固定シーブと可動シーブとに挟み込まれた状態におけるエレメントの中心位置とのずれである、いわゆる芯ずれが発生する場合がある。
そして、駆動側プーリと従動側プーリとの間における芯ずれが発生すると、それらのプーリ間に巻き掛けられた伝動ベルトが、プーリ軸線の垂直線に対して斜めになった(所定の角度を持った)状態になる。そして、その状態におけるプーリに巻き掛けられている部分のエレメントは、プーリの径方向を軸として回転した状態(上記の各特許文献1,2の記載によるところの、エレメントの幅方向における左右の両端が、エレメントの上面方向(プーリの外周方向)から見て前後に傾いた状態)、すなわちいわゆるエレメントのヨーイングが発生した状態となる。
このような駆動側プーリと従動側プーリとの間における芯ずれは、例えばベルト式無段変速機における変速比の変化、あるいはプーリ軸方向の寸法精度および寸法の調整誤差、あるいは変速機のケースや軸の熱膨張による寸法変化などの影響が要因となって発生する。そのため通常は、それらの要因を考慮し、それらの影響が極力少なくなるように、プーリ軸方向寸法などの各部の寸法が設定・調整される。
例えば、ベルト式無段変速機では、通常、駆動側プーリのベルト巻き掛け径が最小となり、従動側プーリのベルト巻き掛け径が最大となった状態、すなわち変速比が最大になるいわゆる「Low」の状態、および駆動側プーリのベルト巻き掛け径が最大となり、従動側プーリのベルト巻き掛け径が最小となった状態、すなわち変速比が最小になるいわゆる「High」の状態で、駆動側プーリと従動側プーリとの間における芯ずれ量が最大となるように、そして、従動側プーリのベルト巻き掛け径と駆動側プーリのベルト巻き掛け径とが等しい状態、すなわち変速比が“1”の状態では、上記の「Low」および「High」の状態とはプーリ軸線の垂直線に対して反対方向の芯ずれ量が最大となるように調整されている。
駆動側プーリと従動側プーリとの間における芯ずれ量が最大となる上記の各状態のうち、「Low」の状態は、例えばベルト式無段変速機を搭載した車両の発進時あるいは加速時に設定され、その設定頻度が高く、なおかつ各プーリと伝動ベルトとの間で大きなトルクが伝達される状態である。したがって、「Low」の状態においては、各プーリとエレメントとの接触面における摩擦力が大きくなり、特に「Low」の状態における駆動側プーリでは、伝動ベルトが巻き掛けられてそのV形溝に噛み込まれるエレメントの数量が最少となるため、一個当たりのエレメントに作用する駆動側プーリとの接触面における摩擦力が最大になる。
そのため、ベルト式無段変速機が「Low」の状態でエレメントのヨーイングが発生した場合は、エレメントのプーリとの接触面のコーナエッジ部がプーリのV形溝と接触し、すなわちエレメントとプーリとが線接触し、それらの接触部分における摩耗が増大する場合があった。そこで、上記の特許文献1,2に記載されている構成のエレメントを用いることによって、エレメントのコーナエッジ部がプーリのV形溝と接触することは回避される。しかしながら、その場合においても、エレメントとプーリとの接触部分は線接触状態であって、それらの接触部分における摩耗が増大する可能性があり、このような点に関して、未だ改良の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、伝動ベルトのプーリに巻き掛けられた部分におけるエレメントにヨーイングが生じた場合であっても、エレメントとプーリとが面接触するようにエレメントの側面に所定の傾斜面を設けることにより、それらの接触部分における摩耗を低減し、伝動ベルトおよびプーリの耐久性を向上させることを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、環状の帯状体と、板状に形成されてその幅方向における両端にプーリの溝部と接する左右側面を有するとともに、前記帯状体によりその周方向に積層して配列されて環状に結束されるエレメントとにより構成された伝動ベルトにおいて、少なくとも一つの前記エレメントの前記左右側面は、前記エレメントの板厚方向に対して所定の角度傾斜し、かつ互いに平行な傾斜面により形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、複数の前記エレメントの前記左右側面が、前記傾斜面により形成されていることを特徴とするものである。
そして、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、複数の前記エレメントの前記左右側面が、前記エレメントの板厚方向の中央部で互いに接して前記エレメントの外側に凸となる稜線を形成するとともに、その前記エレメントの板厚方向に対する角度の大きさがそれぞれ等しい前記傾斜面により形成されていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、伝動ベルトを構成する少なくとも一つのエレメントの、プーリの溝部と接する左右の側面に、エレメントの板厚方向に対して所定の角度を持った互いに平行な傾斜面が形成される。そのため、例えば伝動ベルトが巻き掛けられた二組のプーリの間で、いわゆるプーリ間の芯ずれが発生し、その状態におけるプーリに巻き掛けられている部分のエレメントにいわゆるヨーイングが発生した状態であっても、少なくとも一つのエレメントにおいて、その左右の側面がエレメントの板厚方向に対して所定の角度傾斜している互いに平行な傾斜面であることによって、プーリの溝部にエレメントの左右側面のコーナエッジ部が当接すること回避し、少なくとも一つのエレメントの左右側面とプーリの溝部とを面接触させ、その接触部分の面圧を低下させることができる。その結果、エレメントの左右側面とプーリの溝部との接触部分における摩耗を低減し、伝動ベルトおよびプーリの耐久性を向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、複数のエレメントの左右の側面に、エレメントの板厚方向に対して所定の角度を持った互いに平行な傾斜面が形成される。そのため、プーリ間の芯ずれなどの影響によってエレメントにヨーイングが発生した状態であっても、複数のエレメントにおいて、その左右の側面がエレメントの板厚方向に対して所定の角度傾斜している互いに平行な傾斜面であることによって、プーリの溝部にエレメントの左右側面のコーナエッジ部が当接すること回避し、複数のエレメントの左右側面とプーリの溝部とを面接触させ、その接触部分の面圧を低下させることができる。その結果、エレメントの左右側面とプーリの溝部との接触部分おける摩耗を一層低減し、伝動ベルトおよびプーリの耐久性を一層向上させることができる。
そして、請求項3の発明によれば、複数のエレメントの左右の側面に、平面同士がエレメントの幅方向の中央部で互いに接することで外側に凸となる稜線が構成されるように、エレメントの板厚方向に対してそれぞれ同じ角度の大きさを持った四面の傾斜面が形成される。そのため、プーリ間の芯ずれなどの影響によってエレメントにヨーイングが発生した状態であっても、複数のエレメントにおいて、その左右の側面が、エレメントの幅方向の中心および板厚方向の中心に対してそれぞれ対称となる角度で傾斜していることによって、エレメントのヨーイング方向の変化にも対応して、プーリの溝部にエレメントの左右側面のコーナエッジ部が当接することをより確実に回避し、複数のエレメントの左右側面とプーリの溝部とをより確実に面接触させ、その接触部分の面圧を低下させることができる。その結果、エレメントの左右側面とプーリの溝部との接触部分おける摩耗をより一層低減し、伝動ベルトおよびプーリの耐久性をより一層向上させることができる。
つぎに、この発明を図面を参照して具体的に説明する。図1ないし図3にこの発明に係る伝動ベルトを構成するエレメントの構成例を示してある。ここでの伝動ベルトVは、ベルト式無段変速機の駆動側(入力軸)プーリと従動側(出力軸)プーリとに巻き掛けられて、それらのプーリの間で動力を伝達するベルトの例を示している。図1において、エレメント1は、例えば金属製の板片状の部材からなり、その幅方向(図1のx方向)における左右の両側面2,3が、テーパ状の傾斜した面として形成された基体部分である板部4を有し、そのテーパ状に傾斜した左右側面2,3が、ベルト式無段変速機の駆動側プーリあるいは従動側プーリであるプーリ5のベルト巻き掛け溝(V形溝)5aに摩擦接触してトルクを伝達する摩擦面2,3とされている。
その板部4の幅方向(図1のx方向)における中央部に、図1での上方に延びた首部6が形成されている。その首部6の上端部には、板部4の幅方向での両側に傘状に延びた頂部7が首部6と一体に形成されている。したがって板部4の図1,2での上側のエッジ部分と頂部7の図1,2での下側のエッジ部分との間に、図1での左右方向に開いたスリット部(溝部)8,9が形成されている。このスリット部8,9は、互いに密着して環状に配列されたエレメント1を環状に結束するための、例えば金属製の環状の帯状体であるフープ10を挿入して巻き掛けるための部分であり、したがって板部4の図1,2での上側のエッジ部分が、フープ10の内周面を接触させて載せるサドル面11,12となっている。
このエレメント1は、環状に配列された状態でフープ10によって結束され、その状態で駆動側および従動側のそれぞれのプーリ5に巻き掛けられる。したがってプーリ5に巻き掛けられた状態では、各エレメント1が、プーリ5の中心に対して扇状に拡がり、かつ互いに密着する必要があるため、各エレメント1の図1,2での下側の部分(環状に配列した状態での中心側の部分)が薄肉に形成されている。すなわち、板部4の一方の面(例えば図2における左側の面)における前記サドル面11,12より所定寸法下がった(オフセットされた)部分から下側の部分が削り落とされた状態で次第に薄肉化されている。したがって各エレメント1が扇形に拡がって接触する場合、その板厚の変化する境界部分で接触する。この境界部分のエッジが、ロッキングエッジ13となっている。
また、各エレメント1には、相対的な位置を決めるための凸部14と凹部15とが形成されている。すなわち、前述した首部6の延長位置(あるいは頂部7の中心部)には、一方の面側(図2の例では、前記ロッキングエッジ13のある面側)に凸となる断面円形のディンプル14が形成されている。このディンプル14とは反対側の面に、隣接するエレメント1におけるディンプル14を緩く嵌合(挿入)させる有底円筒状のホール15が形成されている。したがってこれらのディンプル14とホール15とが嵌合することにより、エレメント1同士の図1での左右方向および上下方向の相対位置を決めるようになっている。
このような構成のエレメント1では、ディンプル14とホール15とによって図1,2での上下方向の位置が規制され、これに対してフープ10の張力によってサドル面11,12に図1,2での下向きの荷重が作用する。そのため、ディンプル14あるいはホール15とサドル面11,12との間の寸法にばらつきがあった場合には、首部6を引っ張る方向、もしくは圧縮する方向の荷重が作用する。その場合、サドル面11,12が首部6の基端部から直角方向(図1でのx方向)に延びているから、首部6とサドル面11,12との間に曲げモーメントが作用する。その曲げモーメントは、首部6とサドル面11,12との境界部となっているコーナー部で最大となるから、この部分での応力集中を防止するために、図1に示すように、そのコーナー部を円弧状に窪ませたいわゆるR部16が形成されている。
上記のような構成のエレメント1とフープ10とにより構成された伝動ベルトVを用いたベルト式無段変速機では、駆動側と従動側との二組のプーリ5に伝動ベルトVが巻き掛けられ、その伝動ベルトVを介してそれらのプーリ間における動力の伝達がおこなわれる。前述したように、ベルト式無段変速機においては、変速比の変化やプーリ軸方向の寸法精度・調整誤差などに起因して、駆動側プーリ5と従動側プーリ5との間で、いわゆる芯ずれが発生する場合がある。駆動側プーリ5と従動側プーリ5との間で芯ずれが発生すると、その状態におけるプーリ5に巻き掛けられている部分のエレメント1は、プーリ5の径方向(図1に示す状態においては、図1のy方向)を軸として回転した状態、すなわちいわゆるエレメント1のヨーイングが発生した状態となる。
そこでこの発明に係る伝動ベルトVは、エレメント1にヨーイングが生じた場合であっても、エレメント1とプーリ5とが摩擦接触してトルクを伝達する摩擦面(左右側面)2,3において、エレメント1の左右側面2,3に、互いに平行もしくはほぼ平行な所定の傾斜面を形成することによって、エレメント1とプーリ5とを面接触させて、伝動ベルトVおよびプーリ5の耐久性を向上させることができるように構成されている。
すなわち、エレメント1の側面2には傾斜面2a,2bが、エレメント1の側面3には傾斜面3a,3bがそれぞれ形成されている。具体的には、前述の図1に示す状態のエレメント1の断面A−Aを示す図3において、側面2に、エレメント1の板厚方向(図3のy方向)に対して所定角度θ1傾斜した傾斜面2aと、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ2傾斜した傾斜面2bとがそれぞれ形成されている。また、側面3に、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ3傾斜した傾斜面3aと、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ4傾斜した傾斜面3bとがそれぞれ形成されている。
傾斜面2aと傾斜面2bとは、側面2のエレメント1の板厚方向の中央もしくはほぼ中央部Tcの位置で互いに接するように配置され、その位置においてエレメント1の外側に凸となる稜線2cが形成されている。また同様に、傾斜面3aと傾斜面3bとは、側面3のエレメント1の板厚方向の中央もしくはほぼ中央部Tcの位置で互いに接するように配置され、その位置においてエレメント1の外側に凸となる稜線3cが形成されている。
ここで、所定角度θ1と所定角度θ2とは、エレメント1の板厚方向に対して互いにその方向が反対で、大きさが等しいもしくはほぼ等しい所定の角度に設定されている。また同様に、所定角度θ3と所定角度θ4とは、エレメント1の板厚方向に対して互いにその方向が反対で、大きさが等しいもしくはほぼ等しい所定の角度に設定されている。すなわち、これらの所定角度θ1,θ2,θ3,θ4は、それぞれその角度の大きさが等しいか、もしくはほぼ等しくなるように設定されている。
したがって、傾斜面2aと傾斜面3bとは、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ1(θ4)で傾斜し、かつ互いに平行もしくはほぼ平行な傾斜面の対であり、同様に、傾斜面2bと傾斜面3aとは、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ2(θ3)で傾斜し、かつ互いに平行もしくはほぼ平行な傾斜面の対である。そしてこれら二対の、エレメント1の板厚方向に対して所定の角度傾斜し、かつ互いに平行もしくはほぼ平行な傾斜面2a,3b、および傾斜面2b,3aにより、エレメント1の左右側面2,3が形成されている。
また、別の言い方をすると、エレメント1の左右側面2,3は、エレメント1の板厚方向の中央もしくはほぼ中央部Tcで互いに接し、エレメント1の外側に凸となる稜線2c,3cを形成するとともに、そのエレメント1の板厚方向に対する角度(θ1,θ2,θ3,θ4)の大きさがそれぞれ等しいもしくはほぼ等しい二対の傾斜面2a,2b、および傾斜面3a,3bにより形成されていると言うことができる。
さらに別の言い方をすると、エレメント1の左右側面2,3は、エレメント1の幅方向の中心線Wcに対して互いに対称な傾斜面2aと傾斜面3aとの対と、同様にエレメント1の幅方向の中心線Wcに対して互いに対称な傾斜面2bと傾斜面3bとの対との、二対の傾斜面により形成されていると言うことができる。
そして、上記のように構成されたエレメント1が、前述のフープ10によって、フープ10の周方向に積層するように配列された状態で環状に結束されて、伝動ベルトVが構成されている。なお、この場合に積層して配列されるエレメント1は、それらの全数に対して上記の構成の同一のエレメント1が用いられて伝動ベルトVが構成されるが、それ以外に、少なくとも一つのもしくは適宜の所定数量の上記の構成のエレメント1と、例えば従来構成のものとを混在させて伝動ベルトVを構成することも可能である。
図4は、上記のように構成されたエレメント1が、ヨーイングしてプーリ5に噛み込んだ状態を示している。エレメント1はヨーイングが生じていることにより、プーリ5のプーリ軸方向(図4のx方向)に対して所定の角度傾いた状態でプーリ5に噛み込んでいるが、側面2の傾斜面2aおよび側面3の傾斜面3bは、プーリ5のベルト巻き掛け溝5aと面接触している。
このように左右側面2,3に、エレメント1の板厚方向に対して所定の角度傾斜し、互いに平行もしくはほぼ平行な傾斜面2aおよび傾斜面3bが形成されていることによって、エレメント1にヨーイングが生じた場合であっても、左右側面2,3のコーナエッジ部とプーリ5のベルト巻き掛け溝5aとが線接触することが回避され、傾斜面2aおよび傾斜面3bとベルト巻き掛け溝5aとは面接触することになる。そのため、それらの接触部分の面圧が低減されて、その部分における摩耗を低減することができる。
なお、エレメント1のヨーイングは、エレメント1の幅方向における左右端部の板厚寸法精度もしくは寸法誤差の影響により発生する場合もある。例えば、図3のエレメント1において、側面2側の板厚寸法に対して側面3側の板厚寸法がわずかに(寸法許容差範囲内で)大きい複数のエレメント1によって伝動ベルトVが構成された場合、図4に示すヨーイングの状態とは反対方向(例えば図4でプーリ5の中心Pcに対して左右対称となる方向)のヨーイングが生じる場合がある。しかしながらその場合においても、左右側面2,3に、エレメント1の板厚方向に対して所定の角度傾斜した傾斜面2bおよび傾斜面3aが形成されていることによって、左右側面2,3のコーナエッジ部とプーリ5のベルト巻き掛け溝5aとが線接触することを回避し、左右側面2,3とベルト巻き掛け溝5aとの接触部分における摩耗を低減することができる。
図5ないし図7は、この発明に係る伝動ベルトVを構成するエレメント1の他の構成例を示すものであって、前述の図3と同様に、図1に示す状態のエレメント1の断面A−Aを示している。図5において、エレメント1の側面2には傾斜面2dが、エレメント1の側面3には傾斜面3dがそれぞれ形成されている。具体的には、図5に示すように、側面2に、エレメント1の板厚方向(図5のy方向)に対して所定角度θ5傾斜した傾斜面2dが形成されている。また、側面3に、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ6傾斜した傾斜面3dが形成されている。
ここで、所定角度θ5と所定角度θ6とは、エレメント1の板厚方向に対して互いにその大きさが等しいもしくはほぼ等しい所定の角度に設定されている。したがって、傾斜面2dと傾斜面3dとは、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ5(θ6)で傾斜し、かつ互いに平行もしくはほぼ平行な傾斜面の対である。そしてこれら一対の、エレメント1の板厚方向に対して所定の角度傾斜し、かつ互いに平行もしくはほぼ平行な傾斜面2d,3dにより、エレメント1の左右側面2,3が形成されている。
すなわち、エレメント1の左右側面2,3は、エレメント1の幅方向と板厚方向との中心点Cに対して互いに対称な傾斜面2dと傾斜面3dとの一対の傾斜面により形成されている。そして、上記のように構成されたエレメント1が、前述のフープ10によって、フープ10の周方向に積層するように配列された状態で環状に結束されて、伝動ベルトVが構成されている。
また、図6は、上記の図5に示すエレメント1とエレメント1の幅方向の中心線Wcに対して左右対称の形状、すなわち図5に示すエレメント1の傾斜面2d,3dのエレメント1の板厚方向に対する所定角度θ5,θ6と大きさが同じで方向が反対の所定角度θ7,θ8で、エレメント1の板厚方向(図6のy方向)対してそれぞれ傾斜した傾斜面2e,3eにより、左右側面2,3がそれぞれ形成された形状のエレメント1の構成例を示している。したがって、傾斜面2eと傾斜面3eとは、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ7(θ8)で傾斜し、かつ互いに平行もしくはほぼ平行な傾斜面の対である。
そして、図7は、この発明に係る伝動ベルトVを構成するエレメント1のさらに他の構成例を示すものであって、エレメント1の側面2には傾斜面2fと傾斜面2gとが、エレメント1の側面3には傾斜面3fと傾斜面3gとがそれぞれ形成されている。具体的には、図7に示すように、側面2に、エレメント1の板厚方向(図7のy方向)に対して所定角度θ9傾斜した傾斜面2fと、所定角度θ10傾斜した傾斜面2gとがそれぞれ形成されている。また、側面3に、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ11傾斜した傾斜面3fと、所定角度θ12傾斜した傾斜面3gとがそれぞれ形成されている。
ここで、所定角度θ9と所定角度θ12とは、エレメント1の板厚方向に対して互いにその大きさが等しいもしくはほぼ等しい所定の角度に設定されている。また同様に、所定角度θ10と所定角度θ11とは、エレメント1の板厚方向に対して互いにその大きさが等しいもしくはほぼ等しい所定の角度に設定されている。また、傾斜面2fと傾斜面3g、および傾斜面2gと傾斜面3fとは、互いにほぼ同一形状の平面である。ここで、ほぼ同一形状の平面とは、互いに全く同一な形状の平面の場合の他に、大部分(例えば全面積の半分以上の部分)の形状が同一で、その他の一部分の形状が異なる平面の場合も含んでいる。
したがって、傾斜面2fと傾斜面3gとは、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ9(θ12)で傾斜し、かつ互いに平行もしくはほぼ平行な傾斜面の対であり、同様に、傾斜面2gと傾斜面3fとは、エレメント1の板厚方向に対して所定角度θ10(θ11)で傾斜し、かつ互いに平行もしくはほぼ平行な傾斜面の対である。そしてこれら二対の、エレメント1の板厚方向に対して所定の角度傾斜し、かつ互いに平行もしくはほぼ平行な傾斜面2f,3g、および傾斜面2g,3fにより、エレメント1の左右側面2,3が形成されている。
また、別の言い方をすると、エレメント1の左右側面2,3は、エレメント1の幅方向と板厚方向との中心点Cに対して互いに対称な傾斜面2fと傾斜面3gとの傾斜面の対と、同様に中心点Cに対して互いに対称な傾斜面2gと傾斜面3fとの傾斜面の対との二対の傾斜面により形成されているということができる。
以上のように構成されたエレメント1によってこの発明に係る伝動ベルトVによれば、伝動ベルトVを構成する少なくとも一つのエレメント1の、プーリ5のベルト巻き掛け溝5aと接する左右の両側面2,3に、エレメント1の板厚方向に対して所定の角度を持った傾斜面(例えば傾斜面2d,3d)が形成される。そのため、例えば伝動ベルトVが巻き掛けられた二組のプーリ5の間で、いわゆるプーリ間の芯ずれが発生したことにより、その状態におけるプーリ5に巻き掛けられている部分のエレメント1にいわゆるヨーイングが発生した状態であっても、少なくとも一つのエレメント1において、その左右の両側面2,3がエレメントの板厚方向に対して所定の角度(たとえば所定角度θ5,θ6)傾斜していることによって、プーリ5のベルト巻き掛け溝5aにエレメント1の左右側面2,3のコーナエッジ部が当接すること回避し、少なくとも一つのエレメント1の左右側面とプーリ5のベルト巻き掛け溝5aとを面接触させ、その接触部分の面圧を低下させることができる。その結果、エレメント1の左右側面2,3とプーリ5のベルト巻き掛け溝5aとの接触部分における摩耗を低減し、伝動ベルトVおよびプーリ5の耐久性を向上させることができる。
また、特に、複数のエレメント1の左右の両側面2,3に、平面同士がエレメントの幅方向の中央もしくはほぼ中央部Tcで互いに接することで外側に凸となる稜線2c,3cが構成されるように、エレメント1の板厚方向に対してそれぞれ同じ角度の大きさを持った四面の傾斜面2a,2b,3a,3bが形成された場合は、プーリ間の芯ずれなどの影響によってエレメント1にヨーイングが発生した状態であっても、複数のエレメント1において、その左右の両側面2,3が、エレメント1の幅方向の中心線Wcおよび板厚方向の中心線Tcに対してそれぞれ対称となる角度で傾斜していることによって、エレメント1のヨーイング方向の変化にも対応して、プーリ5のベルト巻き掛け溝5aにエレメント1の左右側面2,3のコーナエッジ部が当接することをより確実に回避し、複数のエレメント1の左右側面2,3とプーリ5のベルト巻き掛け溝5aとをより確実に面接触させ、その接触部分の面圧を低下させることができる。その結果、エレメント1の左右側面2,3とプーリ5のベルト巻き掛け溝5aとの接触部分おける摩耗をより一層低減し、伝動ベルトVおよびプーリ5の耐久性をより一層向上させることができる。
なお、上記の各所定角度θ1ないしθ12の値としては、例えば、0.5°〜4°、好ましくは0.5°〜2°の範囲で、それぞれ設定することができる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されない。すなわち。具体例では、この発明の伝動ベルトがベルト式無段変速機に使用されている例を示しているが、この発明の伝動ベルトは、ベルト式無段変速機に限らず、ベルトとプーリとによって構成される他の巻き掛け伝動装置の伝動ベルトにも適用することができる。
1…エレメント、 2,3…左右側面、 2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g…傾斜面、 5…プーリ、 5a…ベルト巻き掛け溝(V形溝)、 10…フープ、 V…伝動ベルト。
Claims (3)
- 環状の帯状体と、板状に形成されてその幅方向における両端にプーリの溝部と接する左右側面を有するとともに、前記帯状体によりその周方向に積層して配列されて環状に結束されるエレメントとにより構成された伝動ベルトにおいて、
少なくとも一つの前記エレメントの前記左右側面は、前記エレメントの板厚方向に対して所定の角度傾斜し、かつ互いに平行な傾斜面により形成されていることを特徴とする伝動ベルト。 - 複数の前記エレメントの前記左右側面は、前記傾斜面により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の伝動ベルト。
- 複数の前記エレメントの前記左右側面は、前記エレメントの板厚方向の中央部で互いに接して前記エレメントの外側に凸となる稜線を形成するとともに、その前記エレメントの板厚方向に対する角度の大きさがそれぞれ等しい前記傾斜面により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の伝動ベルト。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009079725A (ja) * | 2007-09-27 | 2009-04-16 | Jtekt Corp | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 |
JP2009228702A (ja) * | 2008-03-19 | 2009-10-08 | Jtekt Corp | 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 |
CN110094456A (zh) * | 2018-01-31 | 2019-08-06 | 丰田自动车株式会社 | 传动带 |
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2005
- 2005-03-11 JP JP2005069238A patent/JP2006250273A/ja active Pending
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