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JP2006165949A - プロジェクタシステムおよびプロジェクタ - Google Patents

プロジェクタシステムおよびプロジェクタ Download PDF

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JP2006165949A
JP2006165949A JP2004353656A JP2004353656A JP2006165949A JP 2006165949 A JP2006165949 A JP 2006165949A JP 2004353656 A JP2004353656 A JP 2004353656A JP 2004353656 A JP2004353656 A JP 2004353656A JP 2006165949 A JP2006165949 A JP 2006165949A
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和喜 中村
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Abstract

【課題】 高輝度のスタック投写映像と、高解像度のワイド映像映像とを、簡便に切替え可能なプロジェクタシステムおよびプロジェクタを提供すること。
【解決手段】 複合映像の基準となるマスター映像を投写するマスタープロジェクタ201と、マスタープロジェクタ201と電気的に接続し、マスター映像と複合することにより複合映像を形成するスレーブ映像を投写するスレーブプロジェクタ202とを備え、複合映像は、マスター映像およびスレーブ映像とを重畳したスタック映像と、マスター映像およびスレーブ映像と並べたワイド映像と、を含み、マスタープロジェクタ201は、複数の複合映像の中から選択された1つの複合映像の基準となるマスター映像を投写するとともに選択された複合映像を示す表示モード情報をスレーブプロジェクタに送り、スレーブプロジェクタは、マスタープロジェクタからの表示モード情報に基づき、スレーブ映像を投写する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ランプなどの光源部が発する光を、映像を規定する映像信号に応じて変調し、映像を投写するプロジェクタシステムおよびプロジェクタに関する。
例えば200〜300インチ位の大型スクリーンを備えたホテルなどの多目的ホールに設置されるプロジェクタは、大画面を一様に照射するために、通常より明るい映像が投写可能な、4000〜5000ルーメン位の輝度を持つものが望ましい。このような高輝度のプロジェクタは、通常の1000〜2500ルーメン位の輝度を持つプロジェクタを複数台購入できるくらい高価である。
大画面で明るい投写映像を安価な構成で達成するために、例えば、通常の輝度のプロジェクタを複数台用いて、同一映像を同一スクリーンに重畳投写する方法が知られている。例えば、特許文献1には、複数のプロジェクタを使用して、同一映像を同一スクリーンにスタック投写するプロジェクタシステムが開示されている。
多目的ホールなどの大きな会場でのプロジェクタの用途は、主に会議にてPC(パーソナルコンピュータ)からのグラフなどを含んだプレゼンテーション映像の投写などを行うビジネス用途か、新作映画の投影会などで映画映像を投写する鑑賞用途に大別される。ビジネス用途の場合、PC画面のアスペクト比4:3に沿った映像を、安価に入手可能な、例えば解像度XGA(1024×768)の複数のプロジェクタでスタック投写することにより明るい投写映像を得ることが可能である。
この構成で、例えば、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤからの鑑賞用途のアスペクト比16:9のワイド映像による映画の映像を投写する場合について図8を用いて説明する。図8は、従来の複数のプロジェクタによるワイド映像投写の概要図である。2台のプロジェクタ61,62は、DVDプレーヤ60から同一の映像信号の供給を受け、スクリーンSC上にアスペクト比4:3の映像V10をスタック投写している。複合映像V10は、アスペクト比4:3の映像V10の横幅Wを基準「16」として、縦方向Hを、縦方向Hの上下部分に黒画面Bを設け、縮小して「9」の比率を確保することにより、4:3の画面構成の中に小さな16:9のWSVGA(1024×600)のワイド映像を作り出している。
特開2000−338941号公報
しかしながら、複数のプロジェクタでスタック投写するためには、人手で時間を掛けてそれぞれのプロジェクタ映像の大きさ、フォーカス、スタック状態などを設定しなければならなかった。また、図8の構成にて16:9の映像を投写することは可能なものの、黒画面Bが必要となるため、黒画面Bの部分に相当する領域分の解像度が落ちてしまい、高解像度のWXGA(1280×768)のワイド映像を得ることは困難であった。さらに、大型スクリーンに拡大投写するため、画素が拡大されることにより解像度の低さが際立ってしまう。また、アスペクト比16:9のワイド映像で高解像度を得られる専用のプロジェクタは、一般のアスペクト比4:3のプロジェクタに比べて高価であり、鑑賞用途のために新たに専用の高価なプロジェクタを購入するのは効率が良くなかった。
このような問題を解決するために、本発明では、高輝度のスタック投写映像と、高解像度のワイド映像とを、簡便に切替え可能なプロジェクタシステムおよびプロジェクタを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係るプロジェクタシステムによれば、複数のプロジェクタが投写する映像を複合することにより複合映像を形成するプロジェクタシステムであって、複合映像の基準となるマスター映像を投写するマスタープロジェクタと、マスタープロジェクタと電気的に接続し、マスター映像と複合することにより複合映像を形成するスレーブ映像を投写するスレーブプロジェクタとを備え、複合映像は、マスター映像およびスレーブ映像とを重畳したスタック映像と、マスター映像およびスレーブ映像とを並べたワイド映像と、を含み、マスタープロジェクタは、複数の複合映像の中から選択された1つの複合映像の基準となるマスター映像を投写するとともに選択された複合映像を示す表示モード情報をスレーブプロジェクタに送り、スレーブプロジェクタは、マスタープロジェクタからの表示モード情報に基づき、スレーブ映像を投写することを特徴とする。
この構成によれば、本発明のプロジェクタシステムが投写する複合映像は、マスター映像およびスレーブ映像とを重畳したスタック映像と、マスター映像およびスレーブ映像と並べたワイド映像と、を含む。よって、スタック映像は、マスターおよびスレーブプロジェクタそれぞれの投写映像が重畳されたものであるため、複合映像の輝度は、マスター映像の輝度にスレーブ映像の輝度を加えたものとなり、高輝度を得ることができる。
また、ワイド映像は、マスターおよびスレーブプロジェクタそれぞれの投写映像を並べたものであるため、複合映像の解像度は、マスター映像の解像度にスレーブ映像の解像度を加えたものとなり、高解像度を得ることができる。
さらに、複数の複合映像の中から選択された1つの複合映像を投写することから、複合映像の切替えが可能である。
よって、本発明のプロジェクタシステムは、高輝度のスタック映像は投写可能なものの、同一のシステムでは、高解像度のワイド映像を得ることが困難であった従来のプロジェクタシステムと異なり、同一のシステムにより高輝度のスタック投写映像と、高解像度のワイド映像とを、切替え投写することが可能である。
また、スレーブプロジェクタは、マスタープロジェクタからの表示モード情報に基づき、スレーブ映像を投写することから、マスタープロジェクターに対して、投写したい複合映像を選択することにより、所望の複合映像を得ることができる。
従って、高輝度のスタック投写映像と、高解像度のワイド映像とを、簡便に切替え可能なプロジェクタシステムを提供することができる。
本発明に係るプロジェクタは、複数のプロジェクタが投写する映像を複合することにより複合映像を形成し、複合映像の基準となるマスター映像を投写するマスタープロジェクタと、マスター映像と重畳することにより複合映像としてのスタック映像を生成し、またはマスター映像と並べることにより複合映像としてのワイド映像を生成するスレーブ映像を投写するスレーブプロジェクタとを含んで構成されるプロジェクタシステムのマスタープロジェクタとして動作可能なプロジェクタであって、複合映像の形成を指示する操作がなされると指示された複合映像に対応した操作信号を出力する操作受付け部と、複数の複合映像ごとのマスター映像の大きさ、投写位置、フォーカスに関する設定情報を記憶する記憶部と、スレーブプロジェクタと指示された複合映像を示す表示モード情報を含む情報を送信および受信するための通信部と、マスター映像を投写するための複数のレンズから構成された投写レンズと、投写レンズのズーム、投写位置、フォーカスを調整する複数のアクチュエータを含む投写レンズ調整部と、操作受付け部からの操作信号に応じて、指示された複合映像のマスター映像に関する設定情報を記憶部から引き当て、引き当てた設定情報に沿って投写レンズ調整部に調整コマンドを出力する制御部と、を備え、制御部は、調整コマンドを出力すると、スレーブプロジェクタに表示モード情報を送ることを特徴とする。
この構成によれば、プロジェクタの制御部は、操作受付け部からの操作信号に応じて、指示された複合映像のマスター映像に関する設定情報を記憶部から引き当て、引き当てた設定情報に沿って投写レンズ調整部に調整コマンドを出力し、さらにスレーブプロジェクタに表示モード情報を送ることから、指示された複合映像の設定情報に沿ってマスター映像投写するとともに、スレーブプロジェクタが指示された複合映像のスレーブ映像を投写するように制御する。
従って、選択された複合映像の基準となるマスター映像を投写するとともにスレーブプロジェクタのスレーブ映像の投写を制御するマスタープロジェクタとして機能するプロジェクタを提供することができる。
本発明に係るプロジェクタは、複数のプロジェクタが投写する映像を複合することにより複合映像を形成し、複合映像の基準となるマスター映像を投写するマスタープロジェクタと、マスター映像と重畳することにより複合映像としてのスタック映像を生成し、またはマスター映像と並べることにより複合映像としてのワイド映像を生成するスレーブ映像を投写するスレーブプロジェクタとを含んで構成されるプロジェクタシステムのスレーブプロジェクタとして動作可能なプロジェクタであって、複数の複合映像ごとのスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスに関する設定情報を記憶する記憶部と、投写する複合映像の種類を示す表示モード情報を含む情報を前記マスタープロジェクタとやり取りするための通信部と、スレーブ映像を投写するための複数のレンズから構成される投写レンズと、投写レンズのズーム、投写位置、フォーカスを調整する複数のアクチュエータを含む投写レンズ調整部と、マスタープロジェクタからの表示モード情報に沿って、指示された複合映像のスレーブ映像に関する設定情報を記憶部から引き当て、引き当てた設定情報に沿って投写レンズ調整部に調整コマンドを出力する制御部とを、含むことを特徴とする。
この構成によれば、プロジェクタの制御部は、マスタープロジェクタからの表示モード情報に沿って、指示された複合映像のスレーブ映像に関する設定情報を記憶部から引き当て、引き当てた設定情報に沿って投写レンズ調整部に調整コマンドを出力することから、マスタープロジェクタからの表示モード情報に従い、指示された複合映像のスレーブ映像を設定情報に沿って投写する。
従って、マスタープロジェクタの制御に従い、選択された複合映像を構築するためのスレーブ映像を投写するスレーブプロジェクタとして機能するプロジェクタを提供することができる。
本発明に係るマスタープロジェクタとして機能するプロジェクタによれば、プロジェクタは、記憶部に、マスター映像の形状に関する設定情報をさらに記憶するとともに、入力された映像信号にて表される映像の形状を補正する処理を映像信号に施す映像信号処理部を、さらに備えることが好ましい。
この構成によれば、プロジェクタは、映像信号にて表される映像の形状を補正する処理を映像信号に施す映像信号処理部をさらに備えることから、映像の大きさ、投写位置、フォーカスに加えて、形状も補正可能となる。よって、映像信号に規定された映像に近い形状のマスター映像を投写することができる。
従って、映像信号に忠実な映像の投写が可能なマスタープロジェクタとして機能するプロジェクタを提供することができる。
本発明に係るスレーブプロジェクタとして機能するプロジェクタによれば、プロジェクタは、記憶部に、スレーブ映像の形状に関する設定情報をさらに記憶するとともに、入力された映像信号にて表される映像の形状を補正する処理を映像信号に施す映像信号処理部を、さらに備えることが好ましい。
この構成によれば、プロジェクタは、映像信号にて表される映像の形状を補正する処理を映像信号に施す映像信号処理部をさらに備えることから、映像の大きさ、投写位置、フォーカスに加えて、形状も補正可能となる。よって、映像信号に規定された映像に近い形状のスレーブ映像を投写することができる。
従って、映像信号に忠実な映像の投写が可能なスレーブプロジェクタとして機能するプロジェクタを提供することができる。
本発明に係るマスタープロジェクタとして機能するプロジェクタは、投写されたマスター映像を撮像するためのエリアセンサと、エリアセンサにより撮像された映像を解析し、マスター映像の大きさ、形状、フォーカスを検出する画像解析部とを、さらに備えることが好ましい。
この構成によれば、プロジェクタは、エリアセンサと、エリアセンサにより撮像された映像を解析し、マスター映像の大きさ、形状、フォーカスを検出する画像解析部とを備えることから、投写されているマスター映像の状態を正確に検出することができる。
よって、投写されているマスター映像が、マスター映像の設定情報通りになるように調整することができる。
従って、より映像信号に忠実な映像の投写が可能なマスタープロジェクタとして機能するプロジェクタを提供することができる。
本発明に係るスレーブプロジェクタとして機能するプロジェクタは、投写されたスレーブ映像を撮像するためのエリアセンサと、エリアセンサにより撮像された映像を解析し、スレーブ映像の大きさ、形状、フォーカスを検出する画像解析部とを、さらに備えることが好ましい。
この構成によれば、プロジェクタは、エリアセンサと、エリアセンサにより撮像された映像を解析し、スレーブ映像の大きさ、形状、フォーカスを検出する画像解析部とを備えることから、投写されているスレーブ映像の状態を正確に検出することができる。
よって、投写されているスレーブ映像が、スレーブ映像の設定情報通りになるように調整することができる。
従って、より映像信号に忠実な映像の投写が可能なスレーブプロジェクタとして機能するプロジェクタを提供することができる。
本発明に係るプロジェクタシステムは、前記マスタープロジェクタとして機能するプロジェクタをマスタープロジェクタとし、前記スレーブプロジェクタとして機能するプロジェクタをスレーブプロジェクタとする2台のプロジェクタにより構成されることが好ましい。
この構成によれば、プロジェクタシステムは、マスタープロジェクタと、スレーブプロジェクタとの、2台のプロジェクタにより構成されることから、シンプルな構成である。
また、それぞれのプロジェクタは、大量生産されている安価なプロジェクタとほぼ同様な構成であることから、安価に製造することができる。
従って、高輝度のスタック投写映像と、高解像度のワイド映像とを、切替え可能で、安価でシンプルな構成のプロジェクタシステムを提供することができる。
本発明に係るマスタープロジェクタとして機能するプロジェクタによれば、記憶部は、複数の複合映像ごとのスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスに関する設定情報をさらに記憶し、操作受付け部は、マスタープロジェクタとしての機能とスレーブプロジェクタとしての機能とを切替える主従切替え操作がなされると、主従切替え操作情報を含む操作信号を出力し、制御部は、操作受付け部からの操作信号に応じて、操作受付け部の機能を停止し、通信部に入力するスレーブ映像の表示モード情報に沿ってスレーブ映像を投写することが好ましい。
この構成によれば、プロジェクタの制御部は、通信部に入力する表示モード情報に沿ってスレーブ映像を投写することから、プロジェクタは、スレーブプロジェクタとして機能する。
従って、マスタープロジェクタとしての機能と、スレーブプロジェクタとしての機能とを、選択可能なプロジェクタを提供することができる。
本発明に係るプロジェクタシステムによれば、マスター映像およびスレーブ映像は、それぞれが4:3のアスペクト比を有し、スタック映像はアスペクト比4:3であり、ワイド映像はアスペクト比16:9であることが好ましい。
この構成によれば、マスタープロジェクタおよびスレーブプロジェクタは、安価なアスペクト比4:3の汎用プロジェクタをベース機種として構成することができる。
また、ビジネス用途で必要なアスペクト比4:3の高輝度のスタック投写映像と、鑑賞用途で必要なアスペクト比16:9の高解像度のワイド映像とを、1つのプロジェクタシステムで切替え投写することができる。
従って、簡便な構成により高輝度のスタック投写映像と、高解像度のワイド映像とを、切替え可能なプロジェクタシステムを提供することができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
《プロジェクタシステムの概要》
図1は、本発明の一実施形態におけるプロジェクタシステムの設置概要図である。
プロジェクタシステム200は、マスタープロジェクタ201と、スレーブプロジェクタ202とから構成されている。以下の説明において、マスタープロジェクタ201が投写する映像をマスター映像、スレーブプロジェクタ202が投写する映像をスレーブ映像、マスター映像とスレーブ映像とにより形成される映像を複合映像という。
スクリーンSCは、アスペクト比4:3の例えば、300インチのスクリーンである。
プロジェクタシステム200は、例えばホテルの大ホールの天井に設置されており、スクリーンSCにマスター映像とスレーブ映像とを重なりをもって並べた複合映像としてのアスペクト比16:9のワイド映像Vwを投写している。
プロジェクタシステム200は、アスペクト比4:3のマスター映像と同一の画面サイズを持つスレーブ映像とを重畳させた複合映像としてのスタック映像、または、ワイド映像Vwの内、選択されたどちらか1つの複合映像を投写する。
マスタープロジェクタ201には、例えばPC(パーソナルコンピュータ)、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤなどの外部電子機器(いずれも図示せず)を外部映像ソース203として、様々な形式の映像信号などが入力する。
マスタープロジェクタ201と、スレーブプロジェクタ202とは、通信ケーブル1,2を介して電気的に接続されている。
《マスタープロジェクタの概要》
図2は、本発明の一実施形態におけるプロジェクタシステムの概略構成図である。
まず、マスタープロジェクタ201の概略構成について説明する。マスタープロジェクタ201は、光源としてのランプ3が放射した光を、赤色光、青色光、緑色光の光の3原色成分に分離し、各色光毎に光変調素子としての各色光用の液晶ライトバルブ4R,4G,4Bにより映像信号に応じて変調し、再度合成してスクリーンSCに投写する、いわゆる「液晶3板式プロジェクタ」である。
図2においてスクリーンSCは、作画の都合上、マスタープロジェクタ201と、スレーブプロジェクタ202のそれぞれに分割して描写されているが、スクリーンSCは、図1に示すように一体である。
マスタープロジェクタ201は、ランプ3、光学部4、操作部5、リモコン6、Amp7、映像コンバータ8、映像信号処理部9、映像メモリ10、映像補正部11、OSDメモリ12、液晶パネル駆動部13、ランプ駆動部14、投写レンズ15、投写レンズ調整部16、通信部17、操作受付け部18、電源部19、制御部20、記憶部21、画像解析部22などから構成されている。
ランプ3は、例えば、高圧水銀ランプや、メタルハライドランプ及びハロゲンランプなどの高輝度が得られる放電式ランプである。
光学部4は、ランプ3が放射する白色光を輝度分布の安定した略平行光に変換するインテグレータ光学系と、輝度分布の安定した白色光を光の3原色である赤色、緑色、青色の各色光成分に分離して各色光用の液晶ライトバルブ4R,4G,4Bに供給する分離光学系(いずれも図示せず)と、液晶ライトバルブ4R,4G,4Bにて各色光毎に映像信号に応じて変調された各色光を、再度合成する合成光学系23とを含んで構成されている。なお、インテグレータ光学系および分離光学系については、本発明の本旨ではないため、詳細な説明を省略する。
液晶ライトバルブ4Rは赤色光用、4Gは緑色光用、4Bは青色光用であり、それぞれが、同一の画面サイズを持ち、アスペクト比は4:3で例えば、解像度XGA(1024×768)である。
合成光学系23は、青色光を反射し緑色光を透過するダイクロイック膜と、赤色光を反射し緑色光を透過するダイクロイック膜などを備えたクロスダイクロイックプリズムである。
ランプ3が放射した白色光は、光学部4に入射し、インテグレータ光学系および分離光学系により輝度分布の安定した略平行な各色光成分に分離され、液晶ライトバルブ4R,4G,4Bにて各色光毎に映像信号に応じて変調された後、合成光学系23により合成されて、映像信号に応じて変調されたフルカラーの変調光として射出される。
操作部5は、マスタープロジェクタ201の外装部の天面に設けられており、複数の操作ボタンを備えている。操作ボタンには、マスタープロジェクタ201を起動および終動させるための「電源ボタン」や、例えば、複合映像によるアスペクト比4:3の高輝度のスタック投写映像と、アスペクト比16:9の高解像度のワイド映像との表示モードを切替えるための「表示モード切替ボタン」、マスタープロジェクタとスレーブプロジェクタの機能を切替えるための「主従切替ボタン」、各種機能を選択する「十字型ボタン」や、十字型ボタンで選定した機能を実行するための「決定ボタン」、などの複数のスイッチ(いずれも図示せず)が設けられている。
以降、表示モードとは、複合映像の表示形式を示すこととして説明する。
リモコン6は、操作部5と同様の複数のボタンを備えており、これらのボタンが操作されると、それぞれのボタンに属する機能の操作情報を赤外線により後述する操作受付け部18に送る。
マスタープロジェクタ201は、操作部5や、リモコン6により操作が可能である。
Amp7は、オペアンプなどから構成されたビデオアンプであり、選択された外部映像ソース203から入力する映像信号を増幅して映像コンバータ8に送るとともに、通信ケーブル1を介して後述するスレーブプロジェクタ202に映像信号を伝送する。
通信ケーブル1は、例えば、ミニD-sub15ピン端子を両端末に備えた通信ケーブルであり、15本の信号線を使い分けることによりアナログRGB信号、コンポーネント信号、S(Separate)信号、コンポジット信号などの複数の映像信号の中から、選択された映像信号を、それぞれ伝送することができる。
なお、図示はしていないが、Amp7の前段には入力セレクタが設けられており、例えば、PCやDVDプレーヤなどの複数の映像ソースの中から、選択された映像ソースの映像信号をAmp7に入力する。外部映像ソース203は、操作部5またはリモコン6の操作により選択される。マスタープロジェクタ201の外部映像ソース203のデフォルト値は、PCからのアナログRGB信号による、アスペクト比4:3の映像に設定されている。
また通信ケーブル1は、S信号用のS端子コネクタ、またはコンポジット信号用のRCAコネクタを両端末に備えた通信ケーブルを想定してもよい。
映像コンバータ8は、入力した映像信号Vinに後述する様々な映像信号処理を施すことができるように、映像信号Vinに、映像信号Vinをアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換処理などを施し、デジタル映像信号Dinとして出力する。
映像コンバータ8は、映像信号VinがPCからのアナログRGB信号または、DVDプレーヤなどからのコンポーネント信号の場合は、そのままA/D変換処理を含む映像信号処理を施す。映像信号Vinが、例えばS(Separate)ビデオプレーヤからのS信号または、ビデオプレーヤなどからのコンポジット信号の場合は、内蔵するデコーダにより、デジタルのコンポーネント信号に変換し、デジタル映像信号Dinとして出力する。
映像信号処理部9は、映像コンバータ8から入力するデジタル映像信号Dinを、液晶ライトバルブ4R,4G,4Bで表示するのに適した信号とするために、映像データを映像メモリ10に書き込み、所定の条件で読み出すなどの映像信号処理を行う。映像信号処理には、映像信号Dinで表される映像を拡大および縮小することにより液晶ライトバルブ4R,4G,4Bの持つ解像度に合わせるスケーリング処理や、1秒間における描画更新回数を液晶ライトバルブ4R,4G,4Bの仕様に合わせるフレームレート変換などが含まれる。映像信号処理部9は、例えば複合映像の表示モードがアスペクト比16:9の高解像度のワイド映像に選択されている場合、後述する映像信号Dinにて表される映像からワイド映像の基準となるマスター映像部分を切り出す処理や、後述する台形補正処理も行う。映像信号Dinは、このような映像信号処理が施され、デジタル映像信号Dscとして出力される。
図3は、図1のワイド映像Vwの画面構成を示す図である。図3を用いて、ワイド映像の画面構成について説明する。アスペクト比16:9のワイド映像Vwは、マスタープロジェクタ201が投写するマスター映像Vmと、スレーブプロジェクタ202が投写するスレーブ映像Vsとから構成されている。
マスター映像Vmは、アスペクト比4:3の映像であるため、縦方向の比(3)をワイド映像Vwの縦方向の比「9」と見なして、ワイド映像Vwの左辺を起点にした映像となっている。スレーブ映像Vsも、アスペクト比4:3の映像であるため、縦方向の比(3)をワイド映像Vwの縦方向の比「9」と見なして、ワイド映像Vwの右辺を起点にした映像となっている。
マスター映像Vmと、スレーブ映像Vsとは、領域Lの重畳を持って、並べて形成されている。マスター映像Vmの領域Lにおける輝度は、スレーブ映像Vsとの重なり部分の開始辺から終了辺までの間で、例えば、徐々に画像データの階調を下げて行くことにより徐々に輝度が下がる設定とする。同様に、スレーブ映像Vsの領域Lにおける輝度も、徐々に輝度が下がる設定となっているため、ワイド映像Vwに表される映像は輝度の一定した映像となっている。
図2に戻る。映像補正部11は、映像信号処理部9からのデジタル映像信号Dscに、映像信号Dscの有する階調値を液晶ライトバルブ4R,4G,4Bで表示するのに適した階調値に変換するγ補正や、液晶ライトバルブ4R,4G,4Bに固有の輝度むらなどに起因する色むら補正処理を施し、映像信号Doutとして出力する。
さらに映像補正部11は、後述する制御部20からの映像信号Doutに定型文字情報を重畳させるためのOSD(On-Screen Display)コマンドにより、例えば、表示モードの選択メニュー表示や、各種操作による動作状況等を、映像信号Doutで表される映像に重畳するOSD機能のための映像処理を施す。
OSDメモリ12には、OSD機能において、投写映像に重畳される「ワイド映像」などのOSD表示情報や、映像信号が入力されていないときの待ち受け画面表示などが格納されている。また、後述するCCD25によるマスター映像の撮像の際に、テストパターンとして投写される複数の映像パターンが記憶されている。
映像補正部11は、制御部20からのOSDコマンドにより、OSDメモリ12から該当するOSD表示情報を引き当て、映像信号Doutに加えて出力する。
液晶パネル駆動部13は、液晶ライトバルブ4R,4G,4Bに映像補正部11から入力した映像信号Doutと、駆動電圧などを供給し、液晶ライトバルブ4R,4G,4Bに映像を写し出す。
ランプ駆動部14は、後述する電源部19からの電力供給を受け、放電式ランプであるランプ3を点灯するために高電圧を発生して放電経路を形成するイグナイタ回路と、点灯後の安定した点灯状態を維持するためのバラスト回路(いずれも図示せず)を備えている。
投写レンズ15は、複数の凹凸レンズなどから構成されており、光学部4からの変調光を拡大して投写光とし、スクリーンSCに映像を投写する。投写レンズ15は、投写光の拡大率を調整するズーム機能や、投写光の焦点を調整するフォーカス機能および投写光の投写位置を調整するレンズシフト機能などに対応している。
投写レンズ調整部16は、複数のアクチュエータとしての圧電モータMF,MX,MY,MZと、それぞれの圧電モータを駆動する駆動回路(図示せず)などを備えており、後述する制御部20からの調整コマンドにより、投写レンズの調整を行う。圧電モータMFはフォーカス調整、圧電モータMZはズーム調整を、それぞれの圧電モータに対応する投写レンズを構成するレンズの移動により行う。圧電モータMX,MYは、スクリーンSCに投写された映像の上下方向をY軸、左右方向をX軸として、それぞれがX軸方向とY軸方向のレンズシフト調整を、例えば投写レンズ15全体を移動させることにより行う。
圧電モータMF,MX,MY,MZには、各圧電モータの回転数を検出するための回転数検出センサーとして例えばロータリーエンコーダが設けられている。ロータリーエンコーダからの回転数の検出信号は、投写レンズ調整部16を介して、制御部20に送られる。制御部20は、記憶部21に記憶された回転数と各調整量との相関テーブルから、回転検出信号に応じたズーム、フォーカス、レンズシフトの調整量を引き当て、設定情報として記憶部21に記憶させることができる。同様に、記憶された設定情報により、各調整を行った後に、設定情報通りの調整が行われたかどうか回転検出信号により把握することができる。
通信部17は、例えばシリアルポートであり、USB(Universal Serial Bus)、またはRS232C(Recommended Standard 232 version C)に対応した通信ケーブル2によりスレーブプロジェクタ202と接続している。通信部17は、制御部20からの送信コマンドにより、後述する表示モード情報を、通信ケーブル2を介してスレーブプロジェクタ202に送る。
操作受付け部18は、操作部5への操作または、リモコン6への操作がなされると、操作を受付け、後述する制御部20へ各種動作のトリガとなる操作信号を出力する。
電源部19は、外部電源24からの交流電力をプラグから導き、内蔵するAC/DC変換部(いずれも図示せず)にて変圧、整流および平滑するなどの処理を施すことにより安定化させた直流電圧をプロジェクタ201の各部に供給する。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)であり、バスラインBusを介して、各部との信号のやり取りを行い、また、操作受付け部18からの操作信号などに沿って各部の動作を制御する。
例えば、制御部20は、リモコン6の「表示モード切替ボタン」の操作により操作受付け部18から操作信号が入力すると、後述する記憶部21から選択された複合映像としての例えばワイド映像のマスター映像に関する設定情報を読み出し、投写レンズ調整部16に調整コマンドを、映像信号処理部9には、映像調整コマンドを出力する。さらに、調整コマンドと同期して、ワイド映像の識別情報を含んだ表示モード情報を、通信部17を介してスレーブプロジェクタ202に送る。
また、制御部20は、前述したOSD機能を司る。例えば、選択された表示モードに該当するOSD表示情報をOSDメモリ12から引き当てるための情報を含んだOSDコマンドを、前記調整コマンドに同期して、映像補正部11に送る。
記憶部21は、例えば、フラッシュメモリなどデータの書き換えが可能な不揮発性のメモリにより構成されている。記憶部21には、例えば、プロジェクタ201を起動させるときの起動ルーチンや、プロジェクタ201の動作を制御するための様々な動作ルーチンなどのプログラム、および、表示モードが選択されたときの複数の表示モードごとのマスター映像の大きさ、投写位置、フォーカスおよび形状に関する設定情報などを含む各種情報が記憶されている。
また、記憶部21は、マスタープロジェクタとスレーブプロジェクタの機能を切替える主従切替えが選択された場合に対応して、複数の表示モードごとのスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスおよび形状に関する設定情報と、マスタープロジェクタ201の制御に従うスレーブプロジェクタ202に必要な動作制御プログラムなどを記憶している。
画像解析部22は、投写されたマスター映像を撮像するエリアセンサとしてのCCD(Charge Couple Device)25と、CCD25が撮像したマスター映像の輝度に応じたアナログ量の電圧値をデジタル諧調値に変換するためのA/D変換回路(図示せず)などにより構成されている。
《スレーブプロジェクタの概要》
続いて、スレーブプロジェクタ202の構成について説明する。スレーブプロジェクタ202は、マスタープロジェクタ201と同一の構成および機能を備えている。
スレーブプロジェクタ202は、マスタープロジェクタ201にマスタープロジェクタとスレーブプロジェクタの機能を切替える主従切替え操作を行い、スレーブプロジェクタとして機能させている。以降、この状態をスレーブ機能選択状態という。
図2におけるスレーブプロジェクタ202の各構成部位は、マスタープロジェクタ201と同一であるが、説明における区分を明確にするため、各部位の名称に「S」を付して説明する。
スレーブプロジェクタ202は、Sランプ103、S光学部104、S操作部105、Sリモコン106、SAmp107、S映像コンバータ108、S映像信号処理部109、S映像メモリ110、S映像補正部111、SOSDメモリ112、S液晶パネル駆動部113、Sランプ駆動部114、S投写レンズ115、S投写レンズ調整部116、S通信部117、S操作受付け部118、S電源部119、S制御部120、S記憶部121、S画像解析部122などから構成されている。各部位の構成および機能については、マスタープロジェクタ201の対応する各部位での説明と同様であるので説明を省略する。
また、上記構成にはSリモコン106が含まれているが、スレーブ機能選択状態においては、全てのリモコン操作を受付けない設定となっているため、図示していない。S操作受付け部118は、機能を停止している。なお、スレーブ機能選択状態の解除は、S操作部105の操作やマスタープロジェクタからの指示によって行われる。
スレーブ機能選択状態において、スレーブプロジェクタ202の起動や終動、スレーブ映像の大きさや、フォーカス調整などの様々な操作は、リモコン6などの操作により、マスタープロジェクタ201側で行う。例えば、リモコン6の操作により、マスター映像にスレーブ映像の調整メニューをOSD表示させ、ズームまたはフォーカスメニューを選択し、調整度合いを決めてから「決定ボタン」を操作すると、制御部20により、通信部17から、スレーブ映像を調整するための調整コマンドが出力される。
《設置時の初期設定処理》
続いて、図4を主体に、適宜、図1と図2を交えてプロジェクタシステム200を設置するときに行う初期設定について説明する。図4は、図1のプロジェクタシステム200を設置するときに行う表示モードの初期設定フローチャートである。
プロジェクタシステム200は、図1に示すように、例えばホテルの大ホールにマスタープロジェクタ201とスレーブプロジェクタ202とが、2台重なった状態で、ホールの天井から吊り下げられた状態で設置される。この2段重ねの状態が、プロジェクタシステム200の標準の設置状態である。
マスタープロジェクタ201は、工場出荷状態のデフォルト値のままのマスター機能選択状態であり、スレーブプロジェクタ202は、天井に設置する前に、スレーブ機能の選択設定がなされている。
初期設定を行う操作者は、リモコン6により、ホールの床側から、マスタープロジェクタ201を操作している。
ステップS1では、リモコン6の操作により、マスタープロジェクタ201およびスレーブプロジェクタ202の電源が投入されたことにより初期化動作がなされる。初期化動作には、マスタープロジェクタ201およびスレーブプロジェクタ202各部の回路の初期化や、記憶部21およびS記憶部121に記憶されている自己診断プログラムなどの実行が含まれている。
マスタープロジェクタ201は、初期化動作により、スクリーンSCにデフォルトの青色無地のマスター映像を投写する。青色無地のマスター映像の左上には、OSD機能により「表示モード切替ボタンを押してください」と表示される。この表示は、マスタープロジェクタ201の記憶部21に、ユーザーによる過去の設定情報が記憶されていない場合に初期設定を促すために表示される。なお、マスター映像の大きさと、フォーカスについては、操作者により、OSD表示が判読可能な状態に調整されている。
ステップS2では、制御部20は、リモコン6の「表示モード切替ボタン」の操作の有無を、操作受付け部18からの操作信号により判断する。操作がないときには、継続して操作を待ち受ける。操作が有ったときには、ステップS3へ進む。
ステップS3では、制御部20は、「表示モード切替ボタン」の操作による操作受付け部18からの操作信号をトリガとして、OSD機能により「スタック映像?」という文字をマスター映像に重畳し、表示モードの確認を促す。
ステップS4では、制御部20は、リモコン6の「表示モード切替ボタン」の操作の有無を、操作受付け部18からの操作信号により判断する。操作が有ったときには、ステップS15へ進む。ここでは、操作がなかったため、ステップS5へ進む。
ステップS5では、制御部20は、リモコン6の「決定ボタン」の操作の有無を、操作受付け部18からの操作信号により判断する。操作が所定の時間、例えば30秒間なかったときには、ステップS2へ戻る。ここでは、操作が有ったため、ステップS6へ進む。
ステップS6では、ステップS5によりスタック映像の選択が確定したため、制御部20は、映像信号処理部9、投写レンズ調整部16、記憶部21、画像解析部22およびCCD25などによりスタック映像におけるマスター映像の大きさ、投写位置、フォーカス、および形状の調整を行う。
図6は、一実施形態のテストパターンである。図7は、スクリーン位置検出の説明図である。
まず、制御部20は、映像補正部11に、OSDメモリ12に記憶されている図6に示すテストパターンTを映像信号に重畳させるためのOSDコマンドを送る。続いて、フォーカス調整用の圧電モータMFを調整範囲の最小値から最大値まで徐々に変化させながら、白色ベースに黒色の縦ストライプの投写映像を撮像し、撮像した投写映像のコントラスト値が最大となる調整位置を検出する。このフォーカス調整は、CCD25の検出信号の高周波成分が、フォーカスが合ったときに最大になることを利用している。
続いて、制御部20は、映像補正部11により白色無地の映像を投写させる。制御部20は、ズーム調整用の圧電モータMZを調整範囲の最大値から最小値まで徐々に変化させながら、白色無地の投写映像を撮像し、撮像した投写映像の水平走査線方向で輝度が大きく変化する点を検出する。図7に示すように輝度が大きく変化する点が、スクリーンSCの端点となる。同様に、垂直走査線方向で輝度が大きく変化する点を検出する。これにより、スクリーンSCの大きさと位置が把握されたため、記憶部21のスタック映像の設定情報からスクリーンSCに応じたマスター映像の大きさと投写位置を規定した構成データを読込み、レンズシフト用の圧電モータMX,MYおよび、ズーム調整用の圧電モータMZにより、白色無地のマスター映像を投写する。
さらに制御部20は、投写された白色無地のマスター映像を撮像および解析し、記憶部21の設定情報としての構成データと比較する。解析結果と構成データにあらかじめ定められた許容値よりも大きな相違があるときには、再度圧電モータMX,MYおよび、MZを駆動して再調整し、再度撮像および解析を行う。制御部20は、解析結果と構成データとの差が、許容値以内になるまで、撮像、解析および複数の圧電モータによる調整を行う。
また、このタイミングで、前述したフォーカス調整を再度行うこととしても良い。これにより、さらに鮮明なマスター映像を得ることができる。
続いて、制御部20は、フォーカスおよび大きさの調整がなされた白色無地の投写映像を撮像し、撮像した台形映像の対向辺の長さを比較して、台形歪の度合いを検出する。さらに、検出した台形歪の度合いに応じて、映像信号処理部9にて、映像信号のスケーリングの際に、投写する映像が検出した台形歪と垂直信号方向で逆の台形歪を持つ映像となるように映像信号処理を施す。
また、制御部20は、映像信号処理部9に、スタック映像が選択されたことにより、入力映像信号Vinで表される映像をそのままの画面構成で投写するための映像調整コマンドを出力する。
ステップS7では、制御部20は、ステップS6にて調整されたマスター映像の大きさ、投写位置、フォーカスを規定する各圧電モータに設置されたロータリーエンコーダからの検出信号によるパラメータや、映像信号処理部9でマスター映像の形状を補正するために使用するパラメータをスタック映像におけるマスター映像の設定情報として記憶部21に記憶する。ここまでで、マスター映像の設定は終了したため、テストパターンによるマスター映像の投写を止め、ステップS8へ進む。
ステップS8では、制御部20は、通信部17を介してスレーブプロジェクタ202に、スタック映像の識別情報およびステップS6で調整したマスター映像の設定情報を含む表示モード情報を送る。
ステップS9では、スレーブプロジェクタ202のS制御部120は、マスタープロジェクタ201からの表示モード情報に従い、S映像信号処理部109、S投写レンズ調整部116、S記憶部121、S画像解析部122およびCCD125などによりスレーブ映像のフォーカスと、大きさおよび形状の調整を行う。
スレーブプロジェクタ202のS記憶部121には、プロジェクタシステム200が、標準の設置状態となっているときに、マスタープロジェクタ201のマスター映像の設定情報と、予想されるスレーブ映像の設定情報との表示モードごとの映像相関テーブルが記憶されている。
S制御部120は、S記憶部121のスタック映像の映像相関テーブルより、マスター映像の設定情報から算出されるスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスおよび形状を規定した予想構成データを読出し、S映像信号処理部109やS投写レンズ調整部116などに調整コマンドを送る。
S制御部120は、前記調整がなされた投写レンズ15から、白色無地のスレーブ映像を投写させる。
さらにS制御部120は、投写された白色無地のスレーブ映像を撮像および解析し、設定情報としての予想構成データと比較する。解析結果と予想構成データにあらかじめ定められた許容値よりも大きな相違があるときには、再度圧電モータMF,MX,MYおよび、MZを駆動して再調整し、再度撮像および解析を行う。S制御部120は、解析結果と予想構想データとの差が、許容値以内になるまで、撮像、解析および複数の圧電モータによる調整を行う。
また、このタイミングで、前述したフォーカス調整を再度行うこととしても良い。これにより、さらに鮮明なスレーブ映像を得ることができる。
S制御部120は、表示モード情報により、S映像信号処理部109にマスター映像が投写している映像と同一の映像を投写するための映像調整コマンドを送る。
S映像信号処理部109は、S制御部120からの調整コマンドにより、マスター映像と同一の映像を表す映像信号Dscを出力する。
ステップS10では、S制御部120は、ステップS9にて調整されたスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスおよび形状を規定する各圧電モータに設置されたロータリーエンコーダからの検出信号によるパラメータやS映像信号処理部109のパラメータをスタック映像におけるスレーブ映像の設定情報として記憶部21に記憶する。
ステップS11では、マスタープロジェクタ201の制御部20は、ここまでのステップによりマスター映像およびスレーブ映像の設定が完了したため、入力している映像ソース203からの映像信号Vinにより、マスター映像およびスレーブ映像を投写させ、スタック映像を投写する。なお、スタック映像の場合、マスターおよびスレーブ映像ともに、同一の映像を投写するため、マスタープロジェクタ201およびスレーブプロジェクタ202ともに、入力映像信号Vinにて表される映像をそのまま投写する。
ステップS12では、制御部20は、設定されたスタック映像で良いかどうかを確認するため、OSD機能により「映像決定?」という文字をスタック映像に重畳させ、「決定ボタン」の操作による映像の確認を促す。
「決定ボタン」が押されるまでの間は、操作者がリモコン6により、映像の修正を行うことが可能である。リモコン6の「映像調整ボタン」の操作により、「マスター映像ズーム」、「マスター映像投写位置」、「マスター映像フォーカス」、「マスター映像形状」などのメニューがOSD表示され、それらを選択および決定することにより、マスター映像を修正することができる。スレーブ映像についても、同様に修正することが可能である。ここでは、操作者による修正がなされた後、「決定ボタン」が操作されたため、ステップS13へ進む。
ステップS13では、制御部20は、スタック映像の確認がなされたため、記憶部21の設定情報を、操作者による修正がなされた投写中のスタック映像におけるマスター映像の設定情報に更新して、記憶する。
ステップS14では、S制御部120は、スタック映像の確認がなされたため、S記憶部121の設定情報を、操作者による修正がなされた投写中のスタック映像におけるスレーブ映像の設定情報に更新して、記憶する。
続いて、ステップS4にて、「表示モード切替ボタン」の操作が有った場合について説明する。
ステップS15では、制御部20は、「表示モード切替ボタン」の操作が有ったことから、OSD機能により、マスター映像に「ワイド映像?」という文字を重畳させ、表示モードの確認を促す。
ステップS16では、制御部20は、リモコン6の「表示モード切替ボタン」の操作の有無を、操作受付け部18からの操作信号により判断する。操作が有ったときには、ステップS3に戻る。ここでは、操作がなかったため、ステップS17へ進む。
ステップS17では、制御部20は、リモコン6の「決定ボタン」の操作の有無を、操作受付け部18からの操作信号により判断する。操作が所定の時間、例えば30秒間なかったときには、ステップS2へ戻る。ここでは、操作が有ったため、ステップS18へ進む。
ステップS18では、ステップS17によりワイド映像の選択が確定したため、制御部20は、映像信号処理部9、投写レンズ調整部16、記憶部21、画像解析部22およびCCD25などによりワイド映像におけるマスター映像のフォーカスと、大きさおよび形状の調整を行う。
まず、制御部20は、映像補正部11に、OSDメモリ12に記憶されている図6に示すテストパターンを映像信号に重畳させるためのOSDコマンドを送る。続いて、フォーカス調整用の圧電モータMFを調整範囲の最小値から最大値まで徐々に変化させながら、白色ベースに黒色の縦ストライプの投写映像を撮像し、撮像した投写映像のコントラスト値が最大となる調整位置を検出する。
続いて、制御部20は、映像補正部11により白色無地の映像を投写させる。制御部20は、ズーム調整用の圧電モータMZを調整範囲の最大値から最小値まで徐々に変化させながら、白色無地の投写映像を撮像し、撮像した投写映像の水平走査線方向で輝度が大きく変化する点を検出する。同様に、垂直走査線方向で輝度が大きく変化する点を検出する。これにより、スクリーンSCの大きさと位置が把握されたため、記憶部21のワイド映像の設定情報からスクリーンSCに対応したマスター映像の大きさと投写位置を規定する構成データを読込み、レンズシフト用の圧電モータMX,MYおよび、ズーム調整用の圧電モータMZにより、白色無地のマスター映像を投写する。
さらに制御部20は、投写された白色無地のマスター映像を撮像および解析し、構成データと比較する。解析結果と構成データにあらかじめ定められた許容値よりも大きな相違があるときには、再度圧電モータMX,MYおよび、MZを駆動して再調整し、再度撮像および解析を行う。制御部20は、解析結果と構成データとの差が、許容値以内になるまで、撮像、解析および複数の圧電モータによる調整を行う。
また、このタイミングで、前述したフォーカス調整を再度行うこととしても良い。これにより、さらに鮮明なマスター映像を得ることができる。
続いて、制御部20は、フォーカスおよび大きさの調整がなされた白色無地の投写映像を撮像し、撮像した台形映像の対向辺の長さを比較して、台形歪の度合いを検出する。検出した台形歪の度合いに応じて、映像信号処理部9において台形歪補正を行う。
また、制御部20は、映像信号処理部9に、ワイド映像が選択されたことにより、映像信号Dinに規定された映像から、マスター映像となる部分を切り出すための映像調整コマンドを出力する。
ステップS19では、ステップS18にて調整されたマスター映像の大きさ、投写位置、フォーカス、および形状を規定する各圧電モータに設置されたロータリーエンコーダからの検出信号によるパラメータや映像信号処理部9のパラメータをワイド映像におけるマスター映像の設定情報として記憶部21に記憶する。
ここまでで、マスター映像の設定は終了したため、テストパターンによるマスター映像の投写を止め、ステップS20へ進む。
ステップS20では、制御部20は、通信部17を介してスレーブプロジェクタ202に、ワイド映像の識別情報およびステップS18で調整したマスター映像の設定情報を含む表示モード情報を送る。
ステップS21では、スレーブプロジェクタ202のS制御部120は、マスタープロジェクタ201からの表示モード情報に従い、S映像信号処理部109、S投写レンズ調整部116、S記憶部121、S画像解析部122およびCCD125などによりスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスおよび形状の調整を行う。
S制御部120は、S記憶部121のワイド映像の映像相関テーブルより、マスター映像の設定情報から算出されるスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスおよび形状を規定した予想構成データを読出し、S映像信号処理部109やS投写レンズ調整部116などに調整コマンドを送る。
S制御部120は、調整がなされたS投写レンズ115から、白色無地のスレーブ映像を投写させる。
さらにS制御部120は、投写された白色無地のマスター映像を撮像および解析し、設定情報としての予想構成データと比較する。解析結果と予想構成データにあらかじめ定められた許容値よりも大きな相違があるときには、再度圧電モータMF,MX,MYおよび、MZを駆動して調整し、再度撮像および解析を行う。S制御部120は、解析結果と予想構成データとの差が、許容値以内になるまで、撮像、解析および複数の圧電モータによる調整を行う。
また、このタイミングで、前述したフォーカス調整を再度行うこととしても良い。これにより、さらに鮮明なマスター映像を得ることができる。
ステップS22では、S制御部120は、ステップS21にて調整されたスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスおよび形状を規定する各圧電モータに設置されたロータリーエンコーダからの検出信号によるパラメータやS映像信号処理部109のパラメータをワイド映像におけるスレーブ映像の設定情報としてS記憶部121に記憶する。
ステップS23では、マスタープロジェクタ201の制御部20は、ここまでのステップによりマスター映像およびスレーブ映像の設定が完了したため、入力している映像ソース203からの映像信号Vinにより、マスター映像およびスレーブ映像を投写させ、ワイド映像を投写する。
ステップS24では、制御部20は、設定されたワイド映像で良いかどうかを確認するため、OSD機能により「映像決定?」という文字をスタック映像に重畳させ、「決定ボタン」の操作による映像の確認を促す。
「決定ボタン」が押されるまでの間は、操作者がリモコン6により、映像の修正を行うことが可能である。リモコン6の「映像調整ボタン」の操作により、「マスター映像ズーム」、「マスター映像投写位置」、「マスター映像フォーカス」、「マスター映像形状」などのメニューがOSD表示され、それらを選択することにより、マスター映像を修正することができる。スレーブ映像についても、同様に修正することが可能である。ここでは、操作者による修正がなされた後、「決定ボタン」が操作されたため、ステップS25へ進む。
ステップS25では、制御部20は、ワイド映像の確認がなされたため、S記憶部121の設定情報を、操作者による修正がなされた投写中のワイド映像におけるマスター映像の設定情報に更新して、記憶する。
ステップS26では、S制御部120は、ワイド映像の確認がなされたため、S記憶部121の設定情報を、操作者による修正がなされた投写中のワイド映像におけるスレーブ映像の設定情報に更新して、記憶する。
《表示モード切替え処理》
続いて、図5を主体に、適宜、図2を交えてプロジェクタシステム200の表示モード切替動作について説明する。図5は、プロジェクタシステム200の、表示モード切替え動作フローチャートである。
ステップS31では、リモコン6の操作により、マスタープロジェクタ201およびスレーブプロジェクタ202の電源が投入される。
ステップS32では、まず、電源が投入されたことにより、初期化および映像設定としてマスタープロジェクタ201およびスレーブプロジェクタ202各部の回路の初期化などの初期化動作が行われる。
プロジェクタシステム200は、前回プロジェクタシステム200を使用し、終動したときの表示モード設定を記憶部21に記憶し、次の使用時には、前回終動時の表示モード設定を起動時に再現するように設定されている。
なお、ここでは、前回終動時の表示モードがスタック映像であったとする。従って、初期化動作ではスタック映像の設定がなされる。
ステップS32において、
(A)では、制御部20は、記憶部21からスタック映像の表示モードにおけるマスター映像の設定情報を読込む。
(B)では、制御部20は、(A)にて読込んだ設定情報に沿って投写レンズ調整部16にマスター映像の大きさ、投写位置、フォーカスを規定する調整コマンドを送り、投写レンズ15を調整する。また、同期して、映像信号処理部9には、マスター映像の形状を補正するための調整コマンドと、入力映像信号Vinで表される映像をそのままの画面構成で投写するための映像調整コマンドを送る。
(C)では、制御部20は、スレーブプロジェクタ202に、スタック映像の表示モード情報を送る。
(D)では、S制御部120は、S記憶部121からスタック映像の表示モードにおけるスレーブ映像の設定情報を読込む。
(E)では、S制御部120は、(D)にて読込んだ設定情報に沿ってS投写レンズ調整部116にスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスを規定する調整コマンドを送り、S投写レンズ115を調整する。また、同期して、S映像信号処理部109には、スレーブ映像の形状を補正するための調整コマンドと、入力映像信号Vinで表される映像をそのままの画面構成で投写するための映像調整コマンドを送る。
スタック映像の設定がなされたプロジェクタシステム200は、外部映像ソース203からの映像信号Vinにより、スタック映像を投写する。
ステップS33では、制御部20は、リモコン6の「表示モード切替ボタン」の操作の有無を、操作受付け部18からの操作信号により判断する。操作がないときには、継続して操作を待ち受ける。操作が有ったときには、ステップS34へ進む。
ステップS34では、制御部20は、「表示モード切替ボタン」の操作により操作受付け部18から操作信号が入力すると、映像補正部11に選択した表示モードを確認させるための「ワイド映像?」とOSD表示させるためのOSDコマンドを送る。
ステップS35では、制御部20は、リモコン6の「表示モード切替ボタン」の操作の有無を、操作受付け部18からの操作信号により判断する。操作が有ったときには、ステップS43へ進む。ここでは、操作がなかったため、ステップS36へ進む。
ステップS36では、制御部20は、リモコン6の「決定ボタン」の操作の有無を、操作受付け部18からの操作信号により判断する。操作が所定の時間、例えば30秒間なかったときには、ステップS33へ戻る。ここでは、操作が有ったため、ステップS37へ進む。
ステップS37では、制御部20は、記憶部21からワイド映像の表示モードにおけるマスター映像の設定情報を読込む。
ステップS38では、制御部20は、ステップS37にて読込んだ設定情報に沿って投写レンズ調整部16にマスター映像の大きさ、投写位置、フォーカスを規定する調整コマンドを送り、投写レンズ15を調整する。また、同期して、映像信号処理部9には、マスター映像の形状を補正するための調整コマンドと、映像信号Dinに規定された映像から、マスター映像となる部分を切り出すための映像調整コマンドを送る。
ステップS39では、制御部20は、スレーブプロジェクタ202に、ワイド映像の表示モード情報を送る。
ステップS40では、S制御部120は、S記憶部121からワイド映像の表示モードにおけるスレーブ映像の設定情報を読込む。
ステップS41では、S制御部120は、ステップS40にて読込んだ設定情報に沿ってS投写レンズ調整部116にスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスを規定する調整コマンドを送り、S投写レンズ115を調整する。
また、同期して、S映像信号処理部109には、スレーブ映像の形状を補正するための調整コマンドと、映像信号Dinに規定された映像から、スレーブ映像となる部分を切り出すための映像調整コマンドを送る。
ステップS42では、ワイド映像の設定がなされたプロジェクタシステム200は、外部映像ソース203からの映像信号Vinにより、ワイド映像を投写する。
続いて、ステップS35にてリモコン6の「表示モード切替ボタン」の操作が有った場合について説明する。
ステップS43では、制御部20は、OSD機能により「スタック映像?」という表示を投写映像に重畳させる。
ステップS44では、制御部20は、リモコン6の「表示モード切替ボタン」の操作の有無を、操作受付け部18からの操作信号により判断する。操作が有ったときには、ステップS34へ戻る。ここでは、操作がなかったため、ステップS45へ進む。
ステップS45では、制御部20は、リモコン6の「決定ボタン」の操作の有無を、操作受付け部18からの操作信号により判断する。操作が所定の時間、例えば30秒間なかったときには、ステップS33へ戻る。ここでは、操作は有ったが、既にスタック映像を投写しているため、ステップS33へ戻る。
なお、前回終動時の表示モードがワイド映像であった場合は、初期化動作ではワイド映像の設定がなされ、その後の表示切替が行われたときには上述したのと同じルーチンにしたがってスタック映像に切り替わる。
上述した通り、本実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)プロジェクタシステム200が投写する複合映像は、マスター映像およびスレーブ映像とを重畳したスタック映像と、マスター映像およびスレーブ映像と並べたワイド映像である。よって、スタック映像は、マスタープロジェクタ201およびスレーブプロジェクタ202それぞれの投写映像が重畳されたものであるため、スタック映像の輝度は、マスター映像の輝度にスレーブ映像の輝度を加えたものとなり、高輝度を得ることができる。
例えば、マスタープロジェクタ201と、スレーブプロジェクタ202とが、ともに2000ルーメンの投写輝度であるとすると、スタック映像を、4000ルーメンの高輝度とすることができる。ちなみに、図1で示した300インチのスクリーンにおいて、周囲の照明を落としたときの、実用域の輝度は3500ルーメン以上といわれている。
また、図3に示したワイド映像Vwは、マスタープロジェクタ201およびスレーブプロジェクタ202それぞれの投写映像を並べたものであるため、複合映像の解像度は、重なり部分の領域Lを除いたマスター映像Vmの解像度とスレーブ映像Vsの解像度とを加えたものとなり、高解像度を得ることができる。
例えば、マスター映像Vmの解像度と、スレーブ映像Vsの解像度とが、ともに解像度XGA(1024×768)であるとすると、ワイド映像Vwを、WXGA(1280×768)の高解像度とすることができる。
さらに、リモコン6などの操作部の「表示モード切替ボタン」の操作により、スタック映像、または、ワイド映像を簡便に切替えることが可能である。
よって、本発明のプロジェクタシステム200は、一つのシステムにより高輝度のスタック投写映像と、高解像度のワイド映像映像とを、切替え投写することが可能である。
また、スレーブプロジェクタ202は、マスタープロジェクタ201からの表示モード情報に基づき、スレーブ映像を投写することから、マスタープロジェクタに対して、投写したい複合映像を選択することにより、所望の複合映像を得ることができる。
従って、高輝度のスタック投写映像と、高解像度のワイド映像とを、簡便に切替え可能なプロジェクタシステム200を提供することができる。
(2)マスタープロジェクタ201の制御部20は、操作受付け部18からの操作信号に応じて、選択された複合映像のマスター映像に関する設定情報を記憶部21から引き当て、引き当てた設定情報に沿って映像信号処理部9および投写レンズ調整部16に調整コマンドを出力し、さらにスレーブプロジェクタ202に表示モード情報を送ることから、選択された複合映像の設定情報に沿ってマスター映像を投写するとともに、スレーブプロジェクタ202が選択された複合映像のスレーブ映像を投写するように制御する。
従って、選択された複合映像の基準となるマスター映像を投写するとともにスレーブプロジェクタ202のスレーブ映像の投写を制御するマスタープロジェクタ201を提供することができる。
(3)スレーブプロジェクタ202のS制御部120は、マスタープロジェクタ201からの表示モード情報に沿って、選択された複合映像のスレーブ映像に関する設定情報をS記憶部120から引き当て、引き当てた設定情報に沿ってS映像信号処理部109およびS投写レンズ調整部116に調整コマンドを出力することから、マスタープロジェクタ201からの表示モード情報に従い、選択された複合映像のスレーブ映像を設定情報に沿って投写する。
従って、マスタープロジェクタ201の制御に従い、選択された複合映像を構築するためのスレーブ映像を投写するスレーブプロジェクタ202を提供することができる。
(4)マスタープロジェクタ201は、投写レンズ調整部16の複数の圧電モータMF,MX,MY,MZによりマスター映像の大きさ、投写位置、フォーカスの調整が可能である。さらに、映像信号処理部9における映像信号処理によってマスター映像の形状の補正ができる。
従って、映像信号に忠実な映像の投写が可能なマスタープロジェクタ201を提供することができる。
(5)スレーブプロジェクタ202は、S投写レンズ調整部116の複数の圧電モータMF,MX,MY,MZによりスレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスの調整が可能である。さらに、S映像信号処理部109における映像信号処理によってスレーブ映像の形状の補正ができる。
従って、映像信号に忠実な映像の投写が可能なスレーブプロジェクタ202を提供することができる。
(6)マスタープロジェクタ201は、投写されたマスター映像を撮像するためのエリアセンサとしてのCCD25と、CCD25により撮像された映像を解析し、マスター映像の大きさ、投写位置、フォーカスおよび形状を検出する画像解析部22とを備えることから、投写されているマスター映像の状態を正確に検出することができる。
よって、投写されているマスター映像が、マスター映像の設定情報通りになるように調整することができる。
従って、より映像信号に忠実な映像の投写が可能なマスタープロジェクタを提供することができる。
(7)スレーブプロジェクタ202は、投写されたスレーブ映像を撮像するためのエリアセンサとしてのCCD125と、CCD125により撮像された映像を解析し、スレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスおよび形状を検出する画像解析部22とを備えることから、投写されているスレーブ映像の状態を正確に検出することができる。
よって、投写されているスレーブ映像が、スレーブ映像の設定情報通りになるように調整することができる。
従って、より映像信号に忠実な映像の投写が可能なスレーブプロジェクタを提供することができる。
(8)プロジェクタシステム200は、マスタープロジェクタ201と、スレーブプロジェクタ202との、2台のプロジェクタによるシンプルな構成である。
また、それぞれのプロジェクタの構成は、大量生産されている汎用の安価なプロジェクタとほぼ同様であることから、安価に製造することができる。
従って、高輝度のスタック投写映像と、高解像度のワイド映像とを、切替え可能で、安価でシンプルな構成のプロジェクタシステム200を提供することができる。
(9)スレーブプロジェクタ202は、マスタープロジェクタ201にマスタープロジェクタとスレーブプロジェクタの機能を切替える主従切替え操作を行い、スレーブプロジェクタとして機能させている。
従って、マスタープロジェクタとしての機能と、スレーブプロジェクタとしての機能とを、選択可能なマスタープロジェクタ201を提供することができる。
これにより、マスタープロジェクタ201が2台あればプロジェクタシステム200が構成できるため、マスタープロジェクタと、スレーブプロジェクタをそれぞれ専用機として製造しなくても良い。よって、大量生産による量産効果により、安価なプロジェクタシステム200を提供することができる。
(10)マスタープロジェクタ201は、スタック映像を構成するマスター映像の大きさ、投写位置、フォーカスおよび形状を調整して投写する。スタック映像は、同一の映像を表すマスター映像とスレーブ映像とを重畳させた高輝度の映像であるので、例えば、小さな会議室での投写など、さほど輝度を必要としない場合は、マスター映像のみによる投写で十分である。
よって、マスタープロジェクタ201は、1台であっても通常のプロジェクタとしての機能を果たすことができる。
従って、所望する投写映像の輝度に応じて、1台、または、複数台により、映像を投写することができるプロジェクタシステム200のマスタープロジェクタ201を提供することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
図2を用いて説明する。前記実施形態において、表示モードの選択は、マスタープロジェクタ201のリモコン6などによる「表示モード切替ボタン」の操作により行われれるが、例えば、入力映像信号Vinに規定される映像のアスペクト比と合致するように選択されることとしても良い。
この場合、Amp7の前段の入力セレクタ(図示せず)は、選択された映像信号Vinの同期信号を制御部20に送り、制御部20は、映像信号Vinの同期信号の周波数を測定する。記憶部21は、同期周波数とアスペクト比の相関テーブルをさらに記憶している。
制御部20は、記憶部21の相関テーブルから、測定した同期信号の周波数に対応するアスペクト比を引き当て、同じアスペクト比の表示モードの設定情報に沿ってマスター映像を調整する。また、スレーブプロジェクタ202に表示モード情報を送る。
この構成によれば、入力した映像信号Vinに規定される映像のアスペクト比に応じて、投写表示モードを切替えることが可能なプロジェクタシステム200を提供することができる。
(変形例2)
前記実施形態において、スレーブプロジェクタ202は、マスタープロジェクタ201にマスタープロジェクタとスレーブプロジェクタの機能を切替える主従切替え操作を行い、スレーブプロジェクタとして機能させているが、マスタープロジェクタ201と、スレーブプロジェクタ202とを、それぞれ専用機として構成しても良い。
この構成によれば、それぞれのプロジェクタが、マスター映像またはスレーブ映像のいずれかを投写可能な必要最低限の構成および機能を備えていれば良いことから、少数の生産の場合、安価に製造できる可能性がある。
(変形例3)
前記実施形態において、プロジェクタシステム200は、マスタープロジェクタ201と、スレーブプロジェクタ202との2台により構成されているが、2台による構成に限定するものではない。例えば、マスタープロジェクタ201と、スレーブプロジェクタ202とを、各2台づつとして、計4台により構成しても良い。
この場合、スタック映像を投写するときには、4台に同一の映像を投写させ、4台からの投写映像をスタックさせる。これにより、例えば、各プロジェクタの投写映像の輝度が2000ルーメンであれば、輝度8000ルーメンという高輝度のスタック映像を得ることが可能なプロジェクタシステムを提供することができる。
また、ワイド映像を投写するときには、4台による投写映像を「田の字」になるように、重なりを持って並べることによりワイド映像を構成する。これにより、重なり部分の重複する解像度を除いて、4台分の解像度を合計した高解像度のワイド映像を得ることが可能なプロジェクタシステムを提供することができる。
(変形例4)
前記実施形態および各変形例において、プロジェクタシステム200を構成するマスタープロジェクタ201およびスレーブプロジェクタ202は、光変調素子として赤色光、青色光、緑色光の各色光用の3つの液晶ライトバルブを備えるものとして説明したが、これに限定するものではない。マスタープロジェクタ201およびスレーブプロジェクタ202の光変調素子は、例えば、1つの画素が、赤、青、緑色のカラーフィルタと、色調ごとのカラーフィルタに対応するセルとで構成され、表示解像度分の前記画素を備えた単板の液晶ライトバルブを用いる構成であっても良い。また、反射型液晶表示装置や、ティルトミラーデバイスを用いる構成としても良い。これらの構成であっても、前記実施形態および各変形例と同様の効果を得ることができる。
一実施形態のプロジェクタシステムの設置概要図。 プロジェクタシステムの概略構成図。 ワイド映像Vwの画面構成図。 表示モードの初期設定フローチャート。 表示モード切替え動作フローチャート。 一実施形態のテストパターン。 スクリーン位置検出の説明図。 従来の複数のプロジェクタによるワイド映像投写の概要図。
符号の説明
通信ケーブル…1、2、操作部としてのリモコン…6、映像信号処理部…9、投写レンズ…15、投写レンズ調整部…16、通信部…17、操作受付け部…18、制御部…20、記憶部…21、画像解析部…22、エリアセンサとしてのCCD…25、125、映像信号処理部としてのS映像信号処理部…109、投写レンズとしてのS投写レンズ…115、投写レンズ調整部としてのS投写レンズ調整部…116、通信部としてのS通信部…117、操作受付け部としてのS操作受付け部…118、制御部としてのS制御部…120、記憶部としてのS記憶部…121、画像解析部としてのS画像解析部…122、プロジェクタシステム…200、マスタープロジェクタ…201、スレーブプロジェクタ…202、外部映像ソース…203、スクリーン…SC、複合映像としてのワイド映像…Vw。

Claims (10)

  1. 複数のプロジェクタが投写する映像を複合することにより複合映像を形成するプロジェクタシステムであって、
    前記複合映像の基準となるマスター映像を投写するマスタープロジェクタと、
    前記マスタープロジェクタと電気的に接続し、前記マスター映像と複合することにより前記複合映像を形成するスレーブ映像を投写するスレーブプロジェクタとを備え、
    前記複合映像は、前記マスター映像および前記スレーブ映像とを重畳したスタック映像と、前記マスター映像および前記スレーブ映像とを並べたワイド映像と、を含み、
    前記マスタープロジェクタは、複数の前記複合映像の中から選択された1つの複合映像の基準となる前記マスター映像を投写するとともに前記選択された複合映像を示す表示モード情報を前記スレーブプロジェクタに送り、前記スレーブプロジェクタは、前記マスタープロジェクタからの表示モード情報に基づき、前記スレーブ映像を投写することを特徴とするプロジェクタシステム。
  2. 複数のプロジェクタが投写する映像を複合することにより複合映像を形成し、前記複合映像の基準となるマスター映像を投写するマスタープロジェクタと、前記マスター映像と重畳することにより前記複合映像としてのスタック映像を生成し、または前記マスター映像と並べることにより前記複合映像としてのワイド映像を生成するスレーブ映像を投写するスレーブプロジェクタとを含んで構成されるプロジェクタシステムのマスタープロジェクタとして動作可能なプロジェクタであって、
    前記複合映像の形成を指示する操作がなされると指示された前記複合映像に対応した操作信号を出力する操作受付け部と、
    複数の前記複合映像ごとの前記マスター映像の大きさ、投写位置、フォーカスに関する設定情報を記憶する記憶部と、
    前記スレーブプロジェクタと前記指示された複合映像を示す表示モード情報を含む情報を送信および受信するための通信部と、
    前記マスター映像を投写するための複数のレンズから構成された投写レンズと、
    前記投写レンズのズーム、投写位置、フォーカスを調整する複数のアクチュエータを含む投写レンズ調整部と、
    前記操作受付け部からの操作信号に応じて、指示された前記複合映像のマスター映像に関する設定情報を前記記憶部から引き当て、引き当てた前記設定情報に沿って前記投写レンズ調整部に調整コマンドを出力する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記調整コマンドを出力すると、前記スレーブプロジェクタに前記表示モード情報を送ることを特徴とするプロジェクタ。
  3. 複数のプロジェクタが投写する映像を複合することにより複合映像を形成し、前記複合映像の基準となるマスター映像を投写するマスタープロジェクタと、前記マスター映像と重畳することにより前記複合映像としてのスタック映像を生成し、または前記マスター映像と並べることにより前記複合映像としてのワイド映像を生成するスレーブ映像を投写するスレーブプロジェクタとを含んで構成されるプロジェクタシステムのスレーブプロジェクタとして動作可能なプロジェクタであって、
    複数の前記複合映像ごとの前記スレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスに関する設定情報を記憶する記憶部と、
    投写する複合映像の種類を示す表示モード情報を含む情報を前記マスタープロジェクタとやり取りするための通信部と、
    前記スレーブ映像を投写するための複数のレンズから構成される投写レンズと、
    前記投写レンズのズーム、投写位置、フォーカスを調整する複数のアクチュエータを含む投写レンズ調整部と、
    前記マスタープロジェクタからの前記表示モード情報に沿って、指示された前記複合映像の前記スレーブ映像に関する前記設定情報を前記記憶部から引き当て、引き当てた前記設定情報に沿って前記投写レンズ調整部に調整コマンドを出力する制御部とを、含むことを特徴とするプロジェクタ。
  4. 請求項2に記載のプロジェクタであって、
    前記記憶部に、前記マスター映像の形状に関する設定情報をさらに記憶するとともに、
    入力された映像信号にて表される映像の形状を補正する処理を前記映像信号に施す映像信号処理部を、さらに備えることを特徴とするプロジェクタ。
  5. 請求項3に記載のプロジェクタであって、
    前記記憶部に、前記スレーブ映像の形状に関する設定情報をさらに記憶するとともに、入力された映像信号にて表される映像の形状を補正する処理を前記映像信号に施す映像信号処理部を、さらに備えることを特徴とするプロジェクタ。
  6. 請求項2または4に記載のプロジェクタであって、
    前記投写されたマスター映像を撮像するためのエリアセンサと、エリアセンサにより撮像された映像を解析し、マスター映像の大きさ、形状、フォーカスを検出する画像解析部とを、さらに備えることを特徴とするプロジェクタ。
  7. 請求項3または5に記載のプロジェクタであって、
    前記投写されたスレーブ映像を撮像するためのエリアセンサと、エリアセンサにより撮像された映像を解析し、スレーブ映像の大きさ、形状、フォーカスを検出する画像解析部とを、さらに備えることを特徴とするプロジェクタ。
  8. 請求項2,4,6のいずれか一項に記載のプロジェクタをマスタープロジェクタとし、請求項3,5,7のいずれか一項に記載のプロジェクタをスレーブプロジェクタとする2台のプロジェクタにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタシステム。
  9. 請求項2,4,6のいずれか一項に記載のプロジェクタであって、
    前記記憶部は、複数の前記複合映像ごとの前記スレーブ映像の大きさ、投写位置、フォーカスに関する設定情報をさらに記憶し、
    前記操作受付け部は、前記マスタープロジェクタとしての機能と前記スレーブプロジェクタとしての機能とを切替える主従切替え操作がなされると、主従切替え操作情報を含む操作信号を出力し、
    前記制御部は、前記操作受付け部からの操作信号に応じて、前記操作受付け部の機能を停止し、前記通信部に入力する前記スレーブ映像の表示モード情報に沿って前記スレーブ映像を投写することを特徴とするプロジェクタ。
  10. 前記マスター映像および前記スレーブ映像は、それぞれが4:3のアスペクト比を有し、
    前記複合映像は、アスペクト比4:3のスタック映像、およびアスペクト比16:9のワイド映像であることを特徴とする請求項1または請求項8に記載のプロジェクタシステム。
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