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JP2006002633A - 水ジェット推進艇 - Google Patents

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JP2006002633A
JP2006002633A JP2004178645A JP2004178645A JP2006002633A JP 2006002633 A JP2006002633 A JP 2006002633A JP 2004178645 A JP2004178645 A JP 2004178645A JP 2004178645 A JP2004178645 A JP 2004178645A JP 2006002633 A JP2006002633 A JP 2006002633A
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Shigeyuki Ozawa
重幸 小澤
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Yamaha Marine Co Ltd
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Abstract

【課題】 船体内に浸入した水によって、過給機や、過給機とエンジンとの接合部が損傷することを防止できる水ジェット推進艇を提供すること。
【解決手段】 吸気多岐管31と排気多岐管41とに連結され、クランク軸21の端部をクランクケース22の後方に延ばしたエンジン20を備えた水ジェット推進艇10に、エンジン20に供給される空気を圧縮して吸気多岐管31側に送る過給機36を設けた。その過給機36をクランクケース22の前方に設置した。また、過給機36の上方に、排気多岐管31から排出される燃焼ガスを船体11の外部に排出する排気管42を設置した。また、過給機36の前方に吸気ボックス37を設置し、その上面に吸引ダクト37aを設けた。さらに、過給機36の横にインタークーラー35を設置し、過給機36が圧縮した空気を、インタークーラー35を介してエンジン20側に送るようにした。
【選択図】 図4

Description

本発明は、エンジンに圧縮空気を送るための過給機を備えた水ジェット推進艇に関する。
従来から、ジェットポンプの駆動により船底から吸い込んだ海水等の水を船尾後方に噴射して水上を走行する水ジェット推進艇がある。また、このような水ジェット推進艇の中に、過給機を設けて、エンジンの出力、特に加速性能を向上させたものがある(例えば、特許文献1参照)。この水ジェット推進艇では、エンジンを船体の長手方向に沿わせて設置し、エンジンの後部側に過給機を設けている。そして、この過給機と、エンジンのクランク軸に平行に設けられたメインギャラリの後端部とをオイル供給パイプで連結している。したがって、エンジン始動から過給機にオイルが供給されるまでの時間が短くなり、過給機に速やかで、確実な作動をさせることが可能になる。
特開2003−27952号公報
しかしながら、水ジェット推進艇のエンジンルーム内には、水が浸入して溜まる場合があり、このようなときに、水ジェット推進艇を加速させると、エンジンルーム内の水が慣性力によって後方に移動する。このため、エンジンルームの後方に移動した水が、エンジンの出力軸と、ジェットポンプのポンプ駆動軸とを連結するカップリングの回転によって攪拌され周囲に飛散することがある。このようなときに、前述した従来の水ジェット推進艇では、過給機がエンジンの後方に設置されているため、飛散した水が、過給機や、過給機とエンジンとの接合部にかかることがある。この結果、エンジンと過給機との接合部に過熱や冷却が不規則に生じて、シール性が損なわれることがあり、これによって接合部からエンジンや過給機の内部に水が浸入する恐れが生じる。
本発明は、前述した問題を解決するためになされたもので、その目的は、船体内に浸入した水によって、過給機や、過給機とエンジンとの接合部が損傷することを防止できる水ジェット推進艇を提供することである。
前述した目的を達成するため、本発明に係る水ジェット推進艇の構成上の特徴は、空気を取り込むための吸気通路と、燃焼ガスを排出するための排気通路とに連結され、クランク軸の出力側端部をクランクケースの後方に延ばすようにして配置されたエンジンと、エンジンに供給される空気を圧縮して吸気通路に送る過給機とを備えた水ジェット推進艇において、過給機を、水ジェット推進艇の船体内におけるクランクケースの後端部よりも前方に設置したことにある。
このように構成した本発明に係る水ジェット推進艇では、過給機を、エンジンにおけるクランクケースの後端部よりも前方に設置しているため、エンジンの出力軸と、エンジンの出力軸に連結されてジェットポンプを駆動させるポンプ駆動軸とを接続するカップリングが、過給機や、過給機とエンジンとを接合する接合部から離れた位置になる。これによって、カップリングの回転によって水が周囲に飛散しても、過給機や、過給機とエンジンとの接合部には、その水はかからなくなる。
この結果、過給機とエンジンとの接合部に生じるヒートサイクルによって、接合部のシール性が損なわれ、接合部からエンジンや過給機の内部に水が浸入するといったことが防止できる。また、過給機がクランクケースの後端部よりも前方に位置するため、カップリングと過給機との間がクランクケースによって遮断された状態になる。これによって、飛散した水が過給機にかかることも防止される。
また、本発明に係る水ジェット推進艇の他の構成上の特徴は、排気通路から排出される燃焼ガスを船体の外部に放出するために設けられた排気管の下方に、過給機を設置したことにある。これによると、カップリングの回転によって飛散した水が、上方から過給機に向って落下しようとしても、その水は、過給機の上方に位置する排気管によって遮られて過給機にはかからなくなる。この排気管によって、過給機は上方から落下する水から保護される。
また、本発明に係る水ジェット推進艇のさらに他の構成上の特徴は、排気管を、排気通路から一旦前方に延ばしたのちに、クランクケースの前端部を囲むように屈曲させて後方に延ばし、過給機を、クランクケースよりも前方で、かつ排気管の屈曲部の下方の位置に設置したことにある。これによると、クランクケースの後方に位置するカップリングに対して過給機は、クランクケースの前方に位置するとともに、過給機の上方には、排気管が位置するため、過給機にはより一層水がかかり難くなる。この場合のクランクケースの前方は、クランクケースの前端部よりも前方の意味である。
また、本発明に係る水ジェット推進艇のさらに他の構成上の特徴は、エンジンが設置されたエンジンルーム内におけるクランクケースの後端部よりも前方に空気取込口を設け、エンジンルーム内の空気を空気取込口から取り込んで過給機に送るようにしたことにある。これによると、過給機に送るための空気を取り込む空気取込口を、エンジンにおけるクランクケースの後端部よりも前方に設置したため、カップリングと、空気取込口とが離れた位置になる。これによって、カップリングの回転によって周囲に水が飛散しても、空気取込口には水はかかりにくくなり、空気取込口への水の浸入も防止できる。
また、本発明に係る水ジェット推進艇のさらに他の構成上の特徴は、エンジンルーム内におけるクランクケースよりも前方に、吸気ボックスおよび過給機を設置し、空気取込口から取り込んだ空気を、吸気ボックスを介して過給機に送るようにしたことにある。この場合、吸気ボックスと過給機とを接近して配置させ、吸気ボックスと過給機とを接続する空気通路の長さを短くすることができる。これによって、空気通路における管路抵抗が減少して吸気の効率が向上し、エンジン出力のロス、特に、加速時のエンジン出力のロスを低減させることができる。また、空気取込口を吸気ボックスに設けることもできる。
また、本発明に係る水ジェット推進艇のさらに他の構成上の特徴は、過給機の前方に吸気ボックスが位置するように、吸気ボックスと過給機とを前後に並べて設置したことにある。これによると、吸気ボックスと過給機との空気通路による接続が容易になる。
また、本発明に係る水ジェット推進艇のさらに他の構成上の特徴は、エンジンルーム内におけるクランクケースよりも前方に、過給機およびインタークーラーを設置し、過給機に送られた空気を、インタークーラーを介して吸気通路に送るようにしたことにある。
過給機によって空気が圧縮される際には、熱が発生しその熱で圧縮空気の密度が小さくなるが、本発明では、インタークーラーを備えているため、その密度が小さくなった圧縮空気を、インタークーラーを通過させて冷却することにより、密度の大きな圧縮空気にすることができる。また、この場合、過給機とインタークーラーとを接近して配置させることにより、過給機とインタークーラーとを接続する空気通路の長さを短くすることができる。これによって、空気通路の管路抵抗が減少して吸気の効率が向上し、エンジン出力のロス、特に、加速時のエンジン出力のロスを低減させることができる。
また、本発明に係る水ジェット推進艇のさらに他の構成上の特徴は、船体の左右方向に、過給機とインタークーラーとを並べて設置したことにある。これによると、過給機とインタークーラーとをコンパクトに配置することができる。
また、本発明に係る水ジェット推進艇のさらに他の構成上の特徴は、インタークーラーを船体の左右方向における吸気通路側に設置したことにある。これによると、インタークーラーの設置位置が吸気通路の近傍になり、インタークーラーと吸気通路との空気通路による接続が容易になる。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。図1および図2は、本実施形態に係る水ジェット推進艇10を示している。この水ジェット推進艇10では、船体11がデッキ11aとハル11bで構成されており、船体11の上部における中央よりもやや前側部分に操舵ハンドル12が設けられ、船体11の上部における中央部にシート13が設けられている。そして、船体11の内部は、船体11内の前部から中央部にかけて形成されたエンジンルーム14と、船体11内の後部に形成されたポンプルーム15とで構成され、エンジンルーム14には、燃料タンク16、エンジン20、吸気装置30および排気装置40などが設置され、ポンプルーム15には、ジェットポンプ51等からなる推進機50などが設置されている。
エンジンルーム14内における前部側と後部側には、それぞれ外部の空気をエンジンルーム14内に導くための空気ダクト17a,17bが設けられている。これらの空気ダクト17a,17bは、船体11の上部からエンジンルーム14の底部まで上下に延びるように形成され、デッキ11aに設けた防水構造(図示せず)を介して船外の空気を上端部から吸い込み、下端部からエンジンルーム14内に導く構成をとっている。
そして、エンジンルーム14の前部側に燃料を収容するための燃料タンク16が設置され、船体11内の底部中央におけるエンジンルーム14内にエンジン20が設置されている。エンジン20は水冷式の4サイクル4気筒エンジンからなっており、図3に示すように、クランク軸21が収容されたクランクケース22の上部にシリンダーヘッド23を形成してエンジン本体の外郭部が構成されている。このエンジン20は上部のシリンダーヘッド23側を船体11の右舷側に向って傾けた状態で設置されている。
シリンダーヘッド23内には、コンロッド24を介してクランク軸21に連結されたピストン25が斜めに傾いた方向に上下移動可能な状態で収容されており、このピストン25の上下運動がクランク軸21に伝達されてクランク軸21の回転運動になる。また、シリンダーヘッド23の上部に形成された各気筒26は、吸気弁27と排気弁28とで構成されており、この吸気弁27と排気弁28とがタイミングベルト(図示せず)を介してクランク軸21に連結された吸気カム軸27aと排気カム軸28aとの回転によってそれぞれ駆動される。
各気筒26の吸気弁27に連通する吸気口は本発明の吸気通路としての吸気多岐管31等で構成される吸気装置30に接続され、排気弁28に連通する排気口は、本発明の排気通路としての排気多岐管41等で構成される排気装置40に接続されている。吸気弁27は、吸気のときに開いて吸気口を介して吸気装置30から供給される空気と、後述する燃料供給装置から供給される燃料との混合気をシリンダーヘッド23内に送り、排気のときに閉じる。排気弁28は、排気のときに開いて排気口を介してシリンダーヘッド23から吐出される燃焼ガスを排気装置40に送り出し、吸気のときに閉じる。
図4ないし図6は、エンジン20に接続された吸気装置30と排気装置40との構成およびその配置を示している。吸気装置30は、各気筒26の吸気口に接続された吸気多岐管31と、各吸気多岐管31の上流端に接続されたインテークマニホールド(以下、インマニと記す。)32と、インマニ32の上流端に接続されたスロットルボディ33と、スロットルボディ33に空気ダクト34を介して接続されたインタークーラー35と、インタークーラー35に空気通路34aを介して接続された過給機36および過給機36に空気通路34bを介して接続された吸気ボックス37とで構成されている。なお、吸気装置30および排気装置40のように、気体や液体が一方から他方に流れる装置等においては、供給する側を上流側とし供給される側を下流側として説明する。
吸気ボックス37は、エンジン20と燃料タンク16との間におけるやや燃料タンク16に近い部分に、エンジン20と所定間隔を保って配置されている。この吸気ボックス37の上面には、本発明における空気取込口としての湾曲した吸引ダクト37aが、開口を前方に向けて設けられ、吸気ボックス37の内部には、図7に示したように、エアーフィルター37bが設けられている。この吸気ボックス37は、空気ダクト17a,17bを介して船内のエンジンルーム14に取り込んだ空気を吸引ダクト37aから吸引し、その空気を、エアーフィルター37bを通過させて異物を除去したのちに、空気通路34bを介して、過給機36に送る。
過給機36は、エンジン20の前端側における船体11の底部中央よりもやや右舷側部分にエンジン20に接近して設置されている。また、過給機36は、図8に示したように、空気通路34bに連結されて吸気ボックス37から送られる空気を取り込む吸気口36aと、空気通路34aに連結されて吸気口36aから取り込んだ空気をインタークーラー35側に送る吐出口36bとを有するケーシング部36cを備えている。そして、ケーシング部36cの内部には、回転軸38aと、回転軸38aの前端部に連結されて回転軸38aとともに回転可能になった羽根部38bとを備えた回転部38が取り付けられている。この回転部38は、羽根部38bを、吸気口36a内に位置させた状態でケーシング部36c内に取り付けられている。
また、回転軸38aの後端部には、歯車38cが取り付けられている。そして、クランク軸21の前端部には、歯車38cに噛み合って、クランク軸21の回転力を回転部38に伝達できるフライホイール29が取り付けられている。このため、エンジン20の作動によって、クランク軸21が回転すると、その回転力は、フライホイール29、歯車38cを介して回転部38に伝達され羽根部38bが回転する。この羽根部38bの回転によって、空気通路34bから吸気口36aに送られる空気は圧縮されて、吐出口36bから空気通路34aに吐出される。
インタークーラー35は、エンジン20の前端側における船体11の底部中央よりもやや左舷側部分に過給機36と並んで設置されている。そして、空気通路34aを介して過給機36から送られてくる圧縮空気を通過させ、その圧縮空気が、内部を通過する間に冷却する。この冷却によって、圧縮空気の密度が大きくなり、密度が大きくなった圧縮空気は、空気ダクト34を通過してスロットルボディ33に送られる。空気ダクト34は、空気通路34a,34bとともに、空気通路を構成するもので、インタークーラー35の上面から略垂直に上方に延びたのちに、屈曲して後方に向って延びスロットルボディ33に接続されている。
スロットルボディ33は、エンジン20の左舷側側面の前部における上部側部分に配置されており、水平回転軸と、水平回転軸に取り付けられて水平回転軸とともに回転可能になった円板状のスロットルバルブ(図示せず)とを備えている。そして、水平回転軸の回転によってスロットルバルブがスロットルボディ33内の空気通路を開閉することにより、各気筒26内に供給される空気の流量が調節される。
また、図示していないが、スロットルボディ33の近傍にはモータが設置されており、モータの回転軸と水平回転軸とが中間歯車を介して連結されている。このため、モータの駆動に応じてスロットルバルブは、水平回転軸とともに回転する。また、モータは、操舵ハンドル12のグリップに設けられたスロットル操作子の操作量に応じて作動し、スロットルバルブの開度は、水平回転軸の近傍に設置されたスロットルセンサ33aによって検出される。
インマニ32は、樹脂またはアルミニウム合金からなる管状体で構成されており、スロットルボディ33の後端部に接続され、エンジン20の左舷側側面の上部側部分に沿って設置されている。また、インマニ32の側部からは、前後方向に一定間隔を保って、4個の吸気多岐管31が延びており、各吸気多岐管31は、インマニ32に接続された上流端から斜め下方に延びてその下流端が気筒26の吸気口にそれぞれ接続されている。この吸気多岐管31は樹脂からなる管状体で構成されている。
また、エンジン20には、燃料供給装置を介して燃料タンク16から燃料が供給される。この燃料供給装置は、燃料ポンプ(図示せず)や燃料噴射装置39等で構成されており、燃料ポンプの作動によって燃料タンク16から取り出される燃料は、燃料噴射装置39によって霧状にされて気筒26内に噴射される。この際、燃料は吸気ボックス37から過給機36等を介して供給される圧縮空気と吸気多岐管31で混合され混合気となって気筒26内に送られる。また、エンジン20は点火装置を備えており、この点火装置の点火によって混合気は爆発する。この爆発によって、ピストン25が上下に移動しその移動によってクランク軸21が回転する。
排気装置40は、各気筒26の排気口にそれぞれ接続された排気多岐管41、各排気多岐管41の下流端に接続された複数の管からなる排気管42、排気管42の下流端に接続されたウォーターロック43等で構成されている。排気多岐管41は、図3および図4に示すように、気筒26の排気口に接続された上流端から斜め下方に向って延び、その下流端が排気管42に接続されている。排気管42は、エンジン20の右舷側側面の下部側部分に沿って前方に延びたのちに、屈曲してエンジン20の前端部および左舷側側面の上下方向における略中央部に沿って後方に延びている。
すなわち、この排気管42は、各排気多岐管41の下流端に接続された第1マフラー42aと、第1マフラー42aの下流端に接続されたリングジョイント42bと、リングジョイント42bの下流端に接続された第2マフラー42cと、第2マフラー42cの下流端に接続された排気ホース42dとからなる集合排気通路で構成されている。第1マフラー42aは、エンジン20の右舷側側面の下部側部分に沿って配置されており、後端部(上流端)は閉塞され、前端部は、エンジン20の前端部に対応する位置に達している。
そして、第1マフラー42aの下流端は、進行方向を略90度変更するように屈曲して形成されたリングジョイント42bの上流端に接続されている。このリングジョイント42bは、エンジン20の角部に沿って曲がりながら斜め上方に延びてその下流端は、図6に示すようにエンジン20の前面略中央部に達している。また、第2マフラー42cは、ジョイント44aを介してリングジョイント42bの下流端に接続されておりエンジン20の前面に沿って斜め上方に延びたのちに、エンジン20の左舷側側面における略中央部に沿って後方に延びている。
すなわち、リングジョイント42bと第2マフラー42cとにおけるエンジン20の前部側に位置する部分は、過給機36およびインタークーラー35の上面を覆うようにして、上流側から下流側に向って斜め上方に延びている。また、第2マフラー42cはインマニ32の下方に位置している。そして、第2マフラー42cの下流端は、ジョイント44bを介して排気ホース42dの上流端に接続され、排気ホース42dの下流端はウォーターロック43に接続されている。
この第1マフラー42a、リングジョイント42bおよび第2マフラー42cは、アルミニウムからなる二重管で構成されており、二重管の両壁部間は冷却水を通すための冷却水路になっている。また、排気管42におけるジョイント44aと第2マフラー42cとの接続部近傍の内部には、図7および図9に示したように、排出される燃焼ガス中の酸素ガスを検出するための酸素検出センサ45と、燃焼ガスを浄化するためのキャタリスト46とが取り付けられている。キャタリスト46は、ハニカム状に形成された基材の表面を白金などでコーティングした触媒を備えており、通過する排気ガスを浄化する。その際に、酸素検出センサ45が検出する酸素の量が所定量以下で、キャタリスト46による燃焼ガスの再燃焼が行えない場合には、後述するECU59により燃料の供給量を減少させて酸素が余るようにする等の制御が行われる。
また、図9に示したように、キャタリスト46の外周面には、冷却水通過孔46aを備えた固定用のフランジ部46bが形成されており、このフランジ部46bの一方の面が第2マフラー42cの端部に接合されている。そして、このフランジ部46bの他方の面が冷却水通過孔48aを備えたリング状の固定部材48に接合され、この固定部材48を介して、リングジョイント42bの端部に固定されることにより、キャタリスト46はリングジョイント42bと第2マフラー42cとの間に取り付けられている。なお、第2マフラー42c、フランジ部46bおよび固定部材48の接合は、ボルト(図示せず)によって行い、各部材間にはパッキンが取り付けられている。
また、ジョイント44aは、ゴム製の管で構成されており、リングジョイント42bと固定部材48との外周面の隙間部分を被覆して、内部をリングジョイント42bと第2マフラー42cとの冷却水路に連通させている。さらに、キャタリスト46の外周面と第2マフラー42cの内周面との間には、隙間が設けられて冷却水路を通る冷却水でキャタリスト46が冷却されないようにしている。また、リングジョイント42bと固定部材48との内部側の接合部、ジョイント44aとリングジョイント42bとの接合部およびジョイント44aと固定部材48との接合部は、それぞれ固定部材49,49aに締付けられて固定されている。
ウォーターロック43は、大径の円筒状タンクで構成されており、その後部上面からは、排気ガス管47が後方に向って延びている。この排気ガス管47の上流端部は、ウォーターロック43の上面に連通しており、下流側が図1および図2に示すように、一旦上方に延びたのちに下方後部に延びている。そして、排気ガス管47の下流端部は、推進機50を船体11の本体側と隔離するためのケーシング52に開口して、船体11の後端部から外部に通じている。
また、エンジン20の後部からはクランク軸21にカップリング53を介して連結されたポンプ駆動軸54が後方のポンプルーム15内に延びている。このポンプ駆動軸54は、船体11の船尾に設けられたジェットポンプ51の内部に設けられたインペラー(図示せず)に連結され、エンジン20の駆動によるクランク軸21の回転力をインペラーに伝達してインペラーを回転させる。
ジェットポンプ51を備えた推進機50は、船体11の後端部における船体11の幅方向の中央部に設置されている。また、この推進機50は、船体11の底部に開口する水導入口55と船尾に開口する水噴射口56とを備えており、水導入口55から導入される海水をジェットポンプ51の駆動により水噴射口56から噴射させることにより船体11に推進力を生じさせる。この推進機50は、ケーシング52によって、船体11の本体側と隔離された状態で船体11の船尾における底部に取り付けられており、ポンプ駆動軸54は、ケーシング52を貫通することによって、エンジン20から推進機50のジェットポンプ51に延びている。
そして、ジェットポンプ51の後端部には、操舵ハンドル12の操作に応じて、後部側を左右に移動させることにより、水ジェット推進艇10の進行方向を左右に変更させるステアリングノズル57が取り付けられている。また、エンジン20の後部側には、エンジン20に潤滑油を供給するためのオイルタンク58が設けられている。このオイルタンク58から供給される潤滑油によってエンジン20は焼付けなどが防止されて円滑な駆動を行える。
また、本実施形態に係る水ジェット推進艇10は、前述した各装置の外に、CPU、ROM、RAMおよびタイマ等を含むECU(電気制御装置)59や各種の電気機器を収容した電装ボックス、スタートスイッチおよび各種のセンサなど水ジェット推進艇10を安全走行させるために必要な各種の装置も備えている。また、フライホイール29の近傍には、フライホイール29の回転速度を検出するためのパルサー29aが設けられており、パルサー29aの検出値は、信号としてECU59に送信される。また、スロットルセンサ33aの検出値も信号としてECU59に送信され、ECU59は、これらの検出値に基づいて、モータの作動等を制御する。また、この水ジェット推進艇10は、前述した各装置を冷却するための冷却水路も備えている。
以上のように構成された水ジェット推進艇10を走行させるときには、まず、運転者がシート13を跨いで座り、スタートスイッチをオンに操作することにより、水ジェット推進艇10は走行可能な状態になる。そして、操舵ハンドル12を操舵するとともに、操舵ハンドル12のグリップに設けられたスロットル操作子を操作することにより水ジェット推進艇10は各操作に応じた所定の方向に所定の速度で走行する。
その際、空気ダクト17a,17bおよび吸引ダクト37aを介して船外の空気が吸気ボックス37に吸引され、その空気は吸気ボックス37から過給機36に送られる。その空気は、過給機36およびインタークーラー35を通過する間に圧縮され、圧縮空気として空気ダクト34からスロットルボディ33に送られる。そして、圧縮空気は、スロットルボディ33で流量を調節されて、インマニ32および各吸気多岐管31を通過して、各吸気多岐管31からそれぞれ対応する気筒26に供給される。
その間に、圧縮空気は、各吸気多岐管31で燃料タンク16から送られる燃料と混合される。そして、空気と燃料との混合気は、気筒26内で点火装置の点火により爆発し、エンジン20を駆動させる。そのエンジン20の駆動によるクランク軸21の回転力がポンプ駆動軸54に伝達され推進機50を駆動させる。このときに、船体11内に海水が浸入して船底に溜まっていると、その海水は、カップリング53の回転によって攪拌されて周囲に飛散する。
このような場合でも、本実施形態に係る水ジェット推進艇10では、過給機36をエンジン20の前方に設置しているため、飛散した海水が、過給機36や、過給機36のケーシング部36cとエンジン20のクランクケース22との接合部にかかることがない。すなわち、エンジン20を挟んでカップリング53と過給機36とが反対側に位置するとともに、過給機36の上方には、排気管42のリングジョイント42bと第2マフラー42cが設置されている。このため、エンジン20が遮蔽壁になるとともに、排気管42が傘になって、過給機36およびその近傍に、海水がかかることが防止される。また、同様に、インタークーラー35に海水がかかることも防止される。
また、混合気の爆発によって各気筒26内に生じた燃焼ガスは、各気筒26の排気口に連結された排気多岐管41から、下方に設置された第1マフラー42aに排出される。そして、燃焼ガスは、第1マフラー42aからリングジョイント42b、第2マフラー42cおよび排気ホース42dを介してウォーターロック43に送られ、さらにウォーターロック43から排気ガス管47を介して船外に排出される。
このように、本実施形態による水ジェット推進艇10では、過給機36をエンジン20のクランクケース22よりも前方に設置し、その上方に排気管42のリングジョイント42bと第2マフラー42cを設置しているため、カップリング53の回転によって海水が周囲に飛散しても、過給機36や、過給機36とエンジン20との接合部には、その海水はかからなくなる。この結果、ヒートサイクルによる割れ等によって、過給機36とエンジン20との接合部のシール性が損なわれ、過給機36やエンジン20の内部に海水が浸入するといったことを防止できる。
また、吸気ボックス37をエンジン20の前方に設置し、さらに、吸気ボックス37に設けた吸引ダクト37aの開口を前方に向けているため、カップリング53の回転によって飛散した水が、吸引ダクト37aから吸気ボックス37内に浸入することも防止できる。さらに、過給機36の前方に吸気ボックス37を接近させて設置し、長さの短い空気通路34bで吸気ボックス37と過給機36とを接続しているため、空気通路34bの管路抵抗を減少させることができる。この結果、吸気の効率が向上し、エンジン出力のロス、特に、加速時のエンジン出力のロスを低減させることができる。
また、本実施形態では、エンジン20の前方に、過給機36とインタークーラー35と左右に並べて設置し、過給機36で圧縮された圧縮空気を、インタークーラー35で冷却することにより密度を大きくしてエンジン20に送るようにしている。このため、エンジン20出力を増加させることができる。また、過給機36とインタークーラー35とは接近して配置され、長さの短い空気通路34aで接続されているため、空気通路34aの管路抵抗が減少して吸気の効率が向上する。これによっても、エンジン出力のロスを低減させることができる。さらに、インタークーラー35をスロットルボディ33に接続された空気ダクト34の下方に設置したため、インタークーラー35と空気ダクト34との接続が容易になる。
(第2実施形態)
図10ないし図12は、本発明の第2実施形態に係る水ジェット推進艇が備える過給機66とインタークーラー65との配置を示している。この水ジェット推進艇では、過給機66の回転軸68aとエンジン60のクランク軸61とを直交させるようにして、過給機66がエンジン60のクランクケース62の前方に設置されている。このため、歯車68cとフライホイール69とは直交した状態で噛み合っている。そして、過給機66の上方にインタークーラー65が設置されている。このため、過給機66とインタークーラー65とを接続する空気通路64aは上下方向に延びている。また、インタークーラー65が高い位置に設置されているため、インタークーラー65とスロットルボディ63とを接続する空気ダクト64は短い管で構成されている。
この第2実施形態に係る水ジェット推進艇のそれ以外の部分の構成については、前述した水ジェット推進艇10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記している。この実施形態に係る水ジェット推進艇によれば、空気通路64aや空気ダクト64を短くして、過給機66とインタークーラー65とをコンパクトに設置することができる。この第2実施形態に係る水ジェット推進艇のそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る水ジェット推進艇10と同様である。
また、本発明に係る水ジェット推進艇は、前述した実施形態に限らず適宜変更して実施することができる。例えば、前述した各実施形態では、過給機36,66をエンジン20,60の前方に設置しているが、これらの過給機36,66の設置位置は、エンジン20のクランクケース22の後端部よりも前方であればよく、例えばエンジン20,60の側部でもよい。これによっても、クランクケース22が遮蔽壁となって、過給機36,66に海水がかかることを防止できる。
また、インタークーラー35,65の設置位置も過給機36,66の設置位置に応じて適宜変更することができる。ただし、インタークーラー35,65は、過給機36,66と空気ダクト34,64との双方に近い位置に設置することが好ましい。また、前述した実施形態では、過給機36,66をエンジン20,60の駆動力を利用したスーパーチャージャーで構成しているが、これに代えて、燃焼ガスを利用するターボチャージャーを用いることもできる。さらに、本発明に係る水ジェット推進艇を構成するその他の各部分の配置や構造、材質等も本発明の技術的範囲内で適宜変更することができる。
本発明の第1実施形態に係る水ジェット推進艇を示す側面図である。 図1に示した水ジェット推進艇を示す平面図である。 図1の3−3断面図である。 エンジンに接続された吸気装置と排気装置とを示す平面図である。 図4の船体内部分を示す側面図である。 図5の正面図である。 エンジンに接続された吸気装置と排気装置とを示す概略構成図である。 エンジンと過給機の接続状態を示す断面図である。 キャタリストの取り付け状態を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る水ジェット推進艇が備える過給機とインタークーラーとの配置を示す概略平面図である。 図9の正面図である。 図9の側面図である。
符号の説明
10…水ジェット推進艇、11…船体、14…エンジンルーム、20,60…エンジン、21,61…クランク軸、22,62…クランクケース、27…吸気弁、28…排気弁、31…吸気多岐管、34,64…空気ダクト、34a,34b,64a…空気通路、35,65…インタークーラー、36,66…過給機、37…吸気ボックス、37a…吸引ダクト、41…排気多岐管、42…排気管、42a…第1マフラー、42b…リングジョイント、42c…第2マフラー。

Claims (9)

  1. 空気を取り込むための吸気通路と、燃焼ガスを排出するための排気通路とに連結され、クランク軸の出力側端部をクランクケースの後方に延ばすようにして配置されたエンジンと、前記エンジンに供給される空気を圧縮して前記吸気通路に送る過給機とを備えた水ジェット推進艇において、
    前記過給機を、前記水ジェット推進艇の船体内における前記クランクケースの後端部よりも前方に設置したことを特徴とする水ジェット推進艇。
  2. 前記排気通路から排出される燃焼ガスを前記船体の外部に放出するために設けられた排気管の下方に、前記過給機を設置した請求項1に記載の水ジェット推進艇。
  3. 前記排気管を、前記排気通路から一旦前方に延ばしたのちに、前記クランクケースの前端部を囲むように屈曲させて後方に延ばし、前記過給機を、前記クランクケースよりも前方で、かつ前記排気管の屈曲部の下方の位置に設置した請求項2に記載の水ジェット推進艇。
  4. 前記エンジンが設置されたエンジンルーム内における前記クランクケースの後端部よりも前方に空気取込口を設け、前記エンジンルーム内の空気を前記空気取込口から取り込んで前記過給機に送るようにした請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の水ジェット推進艇。
  5. 前記エンジンルーム内における前記クランクケースよりも前方に、吸気ボックスおよび前記過給機を設置し、前記空気取込口から取り込んだ空気を、前記吸気ボックスを介して前記過給機に送るようにした請求項4に記載の水ジェット推進機。
  6. 前記過給機の前方に前記吸気ボックスが位置するように、前記吸気ボックスと前記過給機とを前後に並べて設置した請求項5に記載の水ジェット推進艇。
  7. 前記エンジンルーム内における前記クランクケースよりも前方に、前記過給機およびインタークーラーを設置し、前記過給機に送られた空気を、前記インタークーラーを介して前記吸気通路に送るようにした請求項1ないし6のうちのいずれか一つに記載の水ジェット推進機。
  8. 前記船体の左右方向に、前記過給機と前記インタークーラーとを並べて設置した請求項7に記載の水ジェット推進艇。
  9. 前記インタークーラーを前記船体の左右方向における前記吸気通路側に設置した請求項8に記載の水ジェット推進艇。
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