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JP2006075536A - 被検体内導入システム - Google Patents

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Abstract

【課題】位置検出用磁場を用いてカプセル型内視鏡等の検出対象の位置検出を行う位置検出装置等に関して、消費電力の増加を抑制しつつ確実な位置検出を行うことを可能とする。
【解決手段】カプセル型内視鏡2は、被検体内情報を取得する被検体内情報取得部14と、取得された被検体内情報に対して所定の処理を行う信号処理部15と、位置検出用磁場を検出し、検出磁場に対応した電気信号を出力する磁場センサ16と、被検体内情報および検出磁場に関する情報を無線送信する無線送信部19と、被検体内情報取得部14、磁場センサ16および無線送信部19の駆動タイミングを制御するタイミング制御部21と、カプセル型内視鏡2の移動速度を導出する速度導出部28とを備える。タイミング制御部21は、速度導出部28によって導出された移動速度に基づき駆動タイミングを制御する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、被検体に導入され、被検体の内部を移動する被検体内導入装置と、強度に関して位置依存性を有する位置検出用磁場を用いて被検体の内部における被検体内導入装置の位置を検出する位置検出装置とを備えた被検体内導入システムに関するものである。
近年、内視鏡の分野においては、飲込み型のカプセル型内視鏡が提案されている。このカプセル型内視鏡には、撮像機能と無線通信機能とが設けられている。カプセル型内視鏡は、観察(検査)のために被検体の口から飲込まれた後、自然排出されるまでの間、体腔内、例えば胃、小腸などの臓器の内部をその蠕動運動に従って移動し、順次撮像する機能を有する。
体腔内を移動する間、カプセル型内視鏡によって体内で撮像された画像データは、順次無線通信により外部に送信され、外部に設けられたメモリに蓄積される。無線通信機能とメモリ機能とを備えた受信機を携帯することにより、被検体は、カプセル型内視鏡を飲み込んだ後、排出されるまでの間に渡って、自由に行動できる。カプセル型内視鏡が排出された後、医者もしくは看護士においては、メモリに蓄積された画像データに基づいて臓器の画像をディスプレイに表示させて診断を行うことができる(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、従来のカプセル型内視鏡システムにおいては、体腔内におけるカプセル型内視鏡の位置を検出する機構を備えたものも提案されている。例えば、カプセル型内視鏡を導入する被検体の内部に強度に関して位置依存性を有する磁場を形成し、カプセル型内視鏡に内蔵した磁場センサによって検出された磁場の強度に基づき被検体内におけるカプセル型内視鏡の位置を検出することが可能である。かかるカプセル型内視鏡システムでは、磁場を形成するために、所定のコイルを被検体外部に配置した構成を採用しており、かかるコイルに所定の電流を流すことによって、被検体内部に磁場を形成することとしている。
特開2003−19111号公報
しかしながら、位置検出機構を備えた従来のカプセル型内視鏡システムは、少なくともカプセル型内視鏡における消費電力が増加するという課題を有する。具体的には、従来のカプセル型内視鏡システムでは、一定の時間間隔で位置検出を行うこととしており、カプセル型内視鏡2に内蔵した磁場センサおよび磁場センサの検出結果を無線送信する送信機構の駆動電力の分だけ消費電力が増加するという課題を有する。
特に、カプセル型内視鏡は被検体への負担を軽減するため、できる限り小型化することが好ましいという前提が存在する。従って、カプセル型内視鏡に内蔵するバッテリー等は小型のものが使用され、保持する電力量にも制限が生じるのが通常である。従って、カプセル型内視鏡における消費電力の増加による影響は通常の電子機器の場合よりも大きく、消費電力増加の抑制は、カプセル型内視鏡システムにおいて非常に重要である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、位置検出用磁場を用いてカプセル型内視鏡等の検出対象の位置検出を行う位置検出装置等に関して、消費電力の増加を抑制しつつ確実な位置検出を行うことを可能とする被検体内導入システムを実現することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる被検体内導入システムは、被検体に導入され、該被検体の内部を移動する被検体内導入装置と、所定の位置検出用磁場を用いて前記被検体の内部における前記被検体内導入装置の位置を検出する位置検出装置とを備えた被検体内導入システムであって、前記被検体内導入装置は、当該被検体内導入装置が位置する領域における前記位置検出用磁場を検出する磁場センサと、前記磁場センサによる検出結果を含む無線信号を送信する無線送信手段と、前記被検体内部における当該被検体内導入装置の移動状態に基づき前記無線送信手段および/または前記磁場センサの駆動タイミングを制御するタイミング制御手段とを備え、前記位置検出装置は、前記位置検出用磁場を形成する磁場形成手段と、前記磁場センサによる検出結果を含む無線信号の受信処理を行う受信手段と、前記受信手段によって受信処理がなされた前記無線信号に基づき、前記被検体の内部における前記被検体内導入装置の位置を導出する位置導出手段とを備えたことを特徴とする。
この請求項1の発明によれば、移動状態にあわせて無線送信手段および/または磁場センサの駆動タイミングを制御するタイミング制御手段を有する被検体内導入装置を備えることとしたため、必要な場合に必要なタイミングで位置検出に使用する情報を出力することとなるため、被検体内導入装置の消費電力を抑制しつつ確実な位置検出を行うことが可能である。
また、請求項2にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記被検体内導入装置は、前記移動状態として当該被検体内導入装置の移動速度を導出する速度導出手段をさらに備え、前記タイミング制御手段は、前記速度導出手段によって導出された移動速度に基づき前記駆動タイミングを制御することを特徴とする。
また、請求項3にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記タイミング制御手段は、前記移動速度が低速の場合に前記無線送信手段および/または前記磁場センサの駆動周期を所定の長周期に設定し、前記移動速度が高速の場合に前記駆動周期を前記長周期よりも短い周期である短周期に設定することを特徴とする。
また、請求項4にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記被検体内導入装置は、前記移動状態として当該被検体内導入装置の振動状態を検出する振動検出手段をさらに備え、前記タイミング制御手段は、前記振動検出手段によって検出された振動状態に基づき前記駆動タイミングを制御することを特徴とする。
また、請求項5にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記無線送信手段によって送信される無線信号には、前記駆動タイミングに関する情報がさらに含まれ、前記位置検出装置は、前記無線信号に含まれる前記駆動タイミングに関する情報に基づき前記磁場形成手段による磁場形成タイミングを制御する磁場制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項6にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記位置検出装置は、前記位置導出手段によって導出された複数の時刻における被検体内導入装置の位置に基づき前記被検体内導入装置の移動速度を導出する移動速度導出手段と、前記移動速度導出手段によって導出された移動速度を情報として含む無線信号を送信する送信手段とをさらに備え、前記被検体内導入装置は、前記送信手段によって送信された前記無線信号の受信処理を行う無線受信手段と、前記無線受信手段によって受信処理された前記無線信号に基づき当該被検体内導入装置の移動速度を導出し、導出した移動速度に関する情報を前記タイミング制御手段に出力する移動速度導出部とをさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項7にかかる被検体内導入システムは、上記の発明において、前記位置検出装置は、前記速度導出手段によって導出された移動速度に基づき、前記磁場形成手段による磁場形成タイミングを制御する磁場制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
本発明にかかる被検体内導入システムは、移動状態にあわせて無線送信手段および/または磁場センサの駆動タイミングを制御するタイミング制御手段を有する被検体内導入装置を備えることとしたため、必要な場合に必要なタイミングで位置検出に使用する情報を出力することとなるため、被検体内導入装置の消費電力を抑制しつつ確実な位置検出を行えるという効果を奏する。
以下、この発明を実施するための最良の形態(以下では、単に「実施の形態」と称する)である位置検出装置および被検体内導入システムについて説明する。なお、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる被検体内導入システムについて説明する。図1は、本実施の形態1にかかる被検体内導入システムの全体構成について示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態1にかかる被検体内導入システムは、被検体1の内部に導入されて通過経路に沿って移動するカプセル型内視鏡2と、カプセル型内視鏡2との間で無線通信を行うと共に、カプセル型内視鏡2に固定された対象座標軸と、被検体1に対して固定された基準座標軸との間の位置関係を検出する位置検出装置3と、位置検出装置3によって受信された、カプセル型内視鏡2から送信された無線信号の内容を表示する表示装置4と、位置検出装置3と表示装置4との間の情報の受け渡しを行うための携帯型記録媒体5とを備える。また、図1に示すように、本実施の形態1では、X軸、Y軸およびZ軸によって形成され、カプセル型内視鏡2に対して固定された座標軸である対象座標軸と、x軸、y軸およびz軸によって形成され、カプセル型内視鏡2の運動とは無関係に定められ、具体的には被検体1に対して固定された座標軸である基準座標軸とを設定しており、以下に説明する機構を用いて基準座標軸に対する対象座標軸の位置関係を検出することとしている。
表示装置4は、位置検出装置3によって受信された、カプセル型内視鏡2によって撮像された被検体内画像等を表示するためのものであり、携帯型記録媒体5によって得られるデータに基づいて画像表示を行うワークステーション等のような構成を有する。具体的には、表示装置4は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等によって直接画像等を表示する構成としても良いし、プリンタ等のように、他の媒体に画像等を出力する構成としても良い。
携帯型記録媒体5は、後述する処理装置12および表示装置4に対して着脱可能であって、両者に対する挿着時に情報の出力および記録が可能な構造を有する。具体的には、携帯型記録媒体5は、カプセル型内視鏡2が被検体1の体腔内を移動している間は処理装置12に挿着されて被検体内画像および基準座標軸に対する対象座標軸の位置関係を記憶する。そして、カプセル型内視鏡2が被検体1から排出された後に、処理装置12から取り出されて表示装置4に挿着され、記録したデータが表示装置4によって読み出される構成を有する。処理装置12と表示装置4との間のデータの受け渡しをコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の携帯型記録媒体5によって行うことで、処理装置12と表示装置4との間が有線接続された場合と異なり、カプセル型内視鏡2が被検体1内部を移動中であっても、被検体1が自由に行動することが可能となる。
次に、カプセル型内視鏡2について説明する。カプセル型内視鏡2は、特許請求の範囲における検出対象の一例として機能するものである。具体的には、カプセル型内視鏡2は、被検体1の内部に導入され、被検体1内を移動しつつ被検体内情報を取得し、取得した被検体内情報を含む無線信号を外部に送信する機能を有する。また、カプセル型内視鏡2は、後述する位置関係の検出のための磁場検出機能を有すると共に駆動電力が外部から供給される構成を有し、具体的には外部から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号を駆動電力として再生する機能を有する。
図2は、カプセル型内視鏡2の構成を示すブロック図である。図2に示すように、カプセル型内視鏡2は、被検体内情報を取得する機構として、被検体内情報を取得する被検体内情報取得部14と、取得された被検体内情報に対して所定の処理を行う信号処理部15とを備える。また、カプセル型内視鏡2は、磁場検出機構として磁場を検出し、検出磁場に対応した電気信号を出力する磁場センサ16と、出力された電気信号を増幅するための増幅部17と、増幅部17から出力された電気信号をディジタル信号に変換するA/D変換部18とを備える。
被検体内情報取得部14は、被検体内情報、本実施の形態1においては被検体内の画像データたる被検体内画像を取得するためのものである。具体的には、被検体内情報取得部14は、照明部として機能するLED22と、LED22の駆動を制御するLED駆動回路23と、LED22によって照明された領域の少なくとも一部を撮像する撮像部として機能するCCD24と、CCD24の駆動状態を制御するCCD駆動回路25とを備える。なお、照明部および撮像部の具体的な構成としては、LED、CCDを用いることは必須ではなく、例えば撮像部としてCMOS等を用いることとしても良い。
磁場センサ16は、カプセル型内視鏡2の存在領域に形成されている磁場の方位および強度を検出するためのものである。具体的には、磁場センサ16は、例えば、MI(Magneto Impedance)センサを用いて形成されている。MIセンサは、例えばFeCoSiB系アモルファスワイヤを感磁媒体として用いた構成を有し、感磁媒体に高周波電流を通電した際に、外部磁界に起因して感磁媒体の磁気インピーダンスが大きく変化するMI効果を利用して磁場強度の検出を行っている。なお、磁場センサ16は、MIセンサ以外にも、例えばMRE(磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)磁気センサ等を用いて構成することとしても良い。
図1にも示したように、本実施の形態1では、検出対象たるカプセル型内視鏡2の座標軸として、X軸、Y軸およびZ軸によって規定された対象座標軸を想定している。かかる対象座標軸に対応して、磁場センサ16は、カプセル型内視鏡2が位置する領域に形成された磁場について、X方向成分、Y方向成分およびZ方向成分の磁場強度を検出し、それぞれの方向における磁場強度に対応した電気信号を出力する機能を有する。磁場センサ16によって検出された、対象座標軸における磁場強度成分は、後述の無線送信部19を介して位置検出装置3に送信され、位置検出装置3は、磁場センサ16によって検出された磁場成分の値に基づいて対象座標軸と基準座標軸の位置関係を導出することとなる。
さらに、カプセル型内視鏡2は、送信回路26および送信アンテナ27を備えると共に外部に対して無線送信を行うための無線送信部19と、無線送信部19に対して出力する信号に関して、複数種類の信号の間で適宜切り替える切替部20とを備える。具体的には、切替部20は、A/D変換部18を介して出力される磁場信号と、信号処理部15を介して出力される画像信号と、タイミング制御部21(後述)から出力される駆動タイミング信号とを適宜切り替えて無線送信部19に対して出力する機能を有する。従って、無線送信部19を介して送信される無線信号にはこれらの信号が含まれることとなり、後述するように、位置検出装置3に備わる処理装置12(後述)においては、カプセル型内視鏡2から送信される無線信号は、それぞれ磁場信号S1〜S3、画像信号S4および駆動タイミング信号S5として再構成される。
また、カプセル型内視鏡2は、被検体1内部におけるカプセル型内視鏡2の移動速度を導出する速度導出部28と、速度導出部28の導出結果に基づき被検体内情報取得部14、磁場センサ16、無線送信部19等の駆動タイミングを制御するタイミング制御部21とを備える。
速度導出部28は、カプセル型内視鏡2の移動状態の一例として移動速度を導出するためのものである。カプセル型内視鏡2の具体的な構成としては、例えば、小型ジャイロ等の加速度センサと、加速度センサによって検出された加速度を時間積分演算する機構を備えると共に、導出した移動速度をタイミング制御部21に対して出力する機能を有する。
タイミング制御部21は、カプセル型内視鏡2の構成要素のうち少なくとも磁場センサ16および無線送信部19の駆動タイミングに関して制御する機能を有する。具体的には、タイミング制御部21は、カプセル型内視鏡2の移動状態、本実施の形態1においてはカプセル型内視鏡2の移動速度に基づき、磁場センサ16等の駆動周期を設定し、設定した駆動周期にあわせたタイミングで磁場センサ16等を駆動させる機能を有する。すなわち、カプセル型内視鏡2の移動に伴い、被検体内情報取得部14および磁場センサ16は、それぞれ被検体内情報の取得動作および磁場検出動作を繰り返し行う機能を有しており、かかる繰り返し動作に対応して無線送信部19も所定の無線送信動作を繰り返す構成を有する。本実施の形態1において、タイミング制御部21は、かかる繰り返し動作の周期を規定するためのものであり、駆動周期の設定等について後に詳細に説明する。
また、タイミング制御部21は、設定した駆動周期等の駆動タイミングに関する情報として駆動タイミング信号を生成する機能を有し、生成された駆動タイミング信号は無線送信部19を介して位置検出装置3に対して他の信号と共に送信される。さらに、タイミング制御部21は、切替部20の動作内容を制御する機能を有し、具体的には、切替部20に対して入力される磁場信号、画像信号および駆動タイミング信号を切り替えるタイミングを制御する。
次に、位置検出装置3について説明する。位置検出装置3は、図1に示すように、カプセル型内視鏡2から送信される無線信号を受信するための受信アンテナ7a〜7dと、第1直線磁場を形成する第1直線磁場形成部9と、第2直線磁場を形成する第2直線磁場形成部10と、拡散磁場を形成する拡散磁場形成部11と、受信アンテナ7a〜7dを介して受信された無線信号等に対して所定の処理を行う処理装置12とを備える。
受信アンテナ7a〜7dは、カプセル型内視鏡2に備わる無線送信部19から送信された無線信号を受信するためのものである。具体的には、受信アンテナ7a〜7dは、ループアンテナ等によって形成され、処理装置12に対して受信した無線信号を伝達する機能を有する。
なお、受信アンテナ7a〜7dおよび以下に述べる第1直線磁場形成部9等の具体的な構成としては、図1に示したものに限定されないことに注意が必要である。すなわち、図1はこれらの構成要素についてあくまで模式的に示すものであって、受信アンテナ7a〜7d等の個数は図1に示した個数に限定されることはなく、配置される位置、具体的な形状等についても、図1に示したものに限定されること無く任意の構成を採用することが可能である。
次に、位置検出用磁場として機能する第1直線磁場、第2直線磁場および拡散磁場をそれぞれ形成する第1直線磁場形成部9、第2直線磁場形成部10および拡散磁場形成部11について説明する。第1直線磁場形成部9は、被検体1内において所定方向の直線磁場を形成するためのものである。ここで、「直線磁場」とは、少なくとも所定の空間領域、本実施の形態1では被検体1内部のカプセル型内視鏡2が位置しうる空間領域において、実質上1方向のみの磁場成分からなる磁場のことをいう。第1直線磁場形成部9は、具体的には、図1にも示すように、被検体1の胴体部分を覆うように形成されたコイルを備え、かかるコイルに対して所定の電力を供給する電力供給部(図示省略)によって所定の電力を流すことによって、被検体1内部の空間領域内に直線磁場を形成する機能を有する。ここで、第1直線磁場の進行方向としては任意の方向を選択することとして良いが、本実施の形態1においては、第1直線磁場は、被検体1に対して固定された基準座標軸におけるz軸方向に進行する直線磁場であることとする。
図3は、第1直線磁場形成部9によって形成される第1直線磁場を示す模式図である。図3に示すように、第1直線磁場形成部9を形成するコイルは、被検体1の胴部を内部に含むよう形成されると共に基準座標軸におけるz軸方向に延伸した構成を有する。従って、第1直線磁場形成部9によって被検体1内部に形成される第1直線磁場は、図3に示すように、基準座標軸におけるz軸方向に進行する磁力線が形成されることとなる。
第2直線磁場形成部10は、第1直線磁場とは異なる方向に進行する直線磁場である第2直線磁場を形成するためのものである。また、拡散磁場形成部11は、第1直線磁場形成部9、第2直線磁場形成部10とは異なり、磁場方向が位置依存性を有する拡散磁場、本実施の形態1では拡散磁場形成部11から離隔するにつれて拡散する磁場を形成するためのものである。
図4は、第2直線磁場形成部10および拡散磁場形成部11の構成を示すと共に、第2直線磁場形成部10によって形成される第2直線磁場の態様を示す模式図である。図4に示すように、第2直線磁場形成部10は、基準座標軸におけるy軸方向に延伸し、コイル断面がxz平面と平行となるよう形成されたコイル33を備える。このため、コイル33によって形成される第2直線磁場は、図4に示すように、少なくとも被検体1内部においては直線磁場となると共に、コイル33から離れるにつれて徐々に強度が減衰する特性、すなわち強度に関して位置依存性を有することとなる。
また、拡散磁場形成部11は、コイル34を備える。ここで、コイル33は、あらかじめ定めた方向に進行方向を有する磁場を形成するよう配置されており、本実施の形態1の場合には、コイル33によって形成される直線磁場の進行方向が基準座標軸におけるy軸方向となるよう配置されている。また、コイル34は、後述する磁力線方位データベース42に記憶された磁場方向と同一の拡散磁場を形成する位置に固定されている。
図5は、拡散磁場形成部11によって形成される拡散磁場の態様を示す模式図である。図5に示すように、拡散磁場形成部11に備わるコイル34は、被検体1の表面上に渦巻き状に形成されており、拡散磁場形成部11によって形成される拡散磁場は、図5に示すようにコイル34(図5にて図示省略)によって形成された磁場において、磁力線が放射状に一旦拡散し、再びコイル34に入射するよう形成されている。また、拡散磁場形成部11に関しても被検体1外部に配置されており、放射状に磁場を形成することから、形成される拡散磁場は、コイル34から離れるにつれて強度が減衰する特性を有する。
次に、処理装置12について説明する。図6は、処理装置12の具体的な構成を模式的に示すブロック図である。まず、処理装置12は、カプセル型内視鏡2によって送信された無線信号の受信処理を行う機能を有する。かかる機能に対応して、処理装置12は、受信アンテナ7a〜7dのいずれかを選択する受信アンテナ選択部37と、選択した受信アンテナを介して受信された無線信号に対して復調処理等を行うことによって、無線信号に含まれる原信号を抽出する受信回路38と、抽出された原信号を処理することによって画像信号等を再構成する信号処理部39とを有する。具体的には、信号処理部39は、抽出された原信号に基づき磁場信号S1〜S3、画像信号S4および駆動タイミング信号S5を再構成し、それぞれ適切な構成要素に対して出力する機能を有する。ここで、磁場信号S1〜S3は、それぞれ磁場センサ16によって検出された第1直線磁場、第2直線磁場および拡散磁場に対応する磁場信号である。また、画像信号S4は、被検体内情報取得部14によって取得された被検体内画像に対応し、駆動タイミング信号S5は、タイミング制御部21によって生成された駆動タイミング信号に対応するものである。このうち、信号処理部39によって再構成された画像信号S4は、記録部43に対して出力される。記録部43は、入力されたデータを携帯型記録媒体5に対して出力するためのものであり、画像信号S4以外にも、後述する位置検出の結果等についても携帯型記録媒体5に記録する機能を有する。
また、処理装置12は、カプセル型内視鏡2によって検出された磁場強度等に基づき、被検体1内部におけるカプセル型内視鏡2の位置を検出する機能と、被検体1に対して固定された基準座標軸に対してカプセル型内視鏡2に対して固定された対象座標軸のなす方位とを検出する機能を有する。具体的には、カプセル型内視鏡2によって送信され、信号処理部39によって出力される信号のうち、第1直線磁場および第2直線磁場の検出強度に対応した磁場信号S1、S2に基づき基準座標軸に対する対象座標軸のなす方位を導出する方位導出部40と、拡散磁場の検出強度に対応した磁場信号S3および磁場信号S2と、方位導出部40の導出結果とを用いてカプセル型内視鏡2の位置を導出する位置導出部41と、位置導出部41による位置導出の際に、拡散磁場を構成する磁力線の進行方向と位置との対応関係を記録した磁力線方位データベース42とを備える。これらの構成要素による方位導出および位置導出に関しては、後に詳細に説明する。
さらに、処理装置12は、受信アンテナ選択部37によるアンテナ選択態様を制御する選択制御部48を備える。選択制御部48は、方位導出部40および位置導出部41によってそれぞれ導出されたカプセル型内視鏡2の方位および位置に基づき、カプセル型内視鏡2から送信される無線信号の受信に最も適した受信アンテナ7を選択する機能を有する。なお、選択制御部48、受信回路38および受信アンテナ7a〜7dによって受信部44が構成され、特許請求の範囲における受信手段の一例として機能する。
また、処理装置12は、信号処理部39によって抽出される駆動タイミング信号に基づき、第1直線磁場形成部9等の駆動タイミングを制御する機能を有する。具体的には、処理装置12は、信号処理部39から出力される駆動タイミング信号S5に基づき第1直線磁場形成部9、第2直線磁場形成部10および拡散磁場形成部11の駆動タイミングを制御する磁場制御部49を備える。そして、処理装置12は、以上の構成要素に対して駆動電力を供給する機能を有する電力供給部51をさらに備える。
次に、本実施の形態1にかかる被検体内導入システムの動作について説明する。本実施の形態1では、カプセル型内視鏡2は被検体1内部を移動しつつ被検体内情報の取得、磁場検出およびこれらの無線送信を間欠的に繰り返し行うことに対応して、処理装置12は、間欠的に送信される無線信号に対して所定の処理を行う。以下では、これらの動作の中で、カプセル型内視鏡2から繰り返し送信される無線信号のそれぞれに含まれる磁場信号等を用いた位置検出動作について説明した後、カプセル型内視鏡2側において行われる無線信号の送信を行う無線送信部19等の駆動タイミングの制御処理について説明を行う。
まず、位置検出動作について説明する。本実施の形態1にかかる被検体内導入システムでは、被検体1に対して固定された基準座標軸と、カプセル型内視鏡2に対して固定された対象座標軸との間で位置関係を導出する構成を有し、具体的には、基準座標軸に対する対象座標軸の方位を導出した上で、導出した方位を利用しつつ基準座標軸上における対象座標軸の原点の位置、すなわち被検体1内部におけるカプセル型内視鏡2の位置を導出することとしている。従って、以下ではまず方位導出メカニズムについて説明した後、導出した方位を用いた位置導出メカニズムについて説明することとなるが、本発明の適用対象がかかる位置検出メカニズムを有するシステムに限定されないことはもちろんである。
方位導出部40によって行われる方位導出メカニズムについて説明する。図7は、被検体1中をカプセル型内視鏡2が移動している際における基準座標軸と対象座標軸との関係を示す模式図である。既に説明したように、カプセル型内視鏡2は、被検体1内部を通過経路に沿って進行しつつ、進行方向を軸として所定角度だけ回転している。従って、カプセル型内視鏡2に対して固定された対象座標軸は、被検体1に固定された基準座標軸に対して、図7に示すような方位のずれを生じることとなる。
一方で、第1直線磁場形成部9および第2直線磁場形成部10は、それぞれ被検体1に対して固定される。従って、第1直線磁場形成部9および第2直線磁場形成部10によって形成される第1、第2直線磁場は、基準座標軸に対して一定の方向、具体的には第1直線磁場は基準座標軸におけるz軸方向、第2直線磁場形成部10を用いた場合の第2直線磁場はy軸方向に進行する。
本実施の形態1における方位導出は、かかる第1直線磁場および第2直線磁場を利用して行われる。具体的には、まず、カプセル型内視鏡2に備わる磁場センサ16によって、時分割に供給される第1直線磁場および第2直線磁場の進行方向が検出される。磁場センサ16は、対象座標軸におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の磁場成分を検出するよう構成されており、検出された第1、第2直線磁場の対象座標軸における進行方向に関する情報は、無線送信部19を介して位置検出装置3に対して送信される。
カプセル型内視鏡2によって送信された無線信号は、信号処理部39等による処理を経て、磁場信号S1、S2として出力される。例えば、図7の例においては、磁場信号S1には、第1直線磁場の進行方向として座標(X1、Y1、Z1)に関する情報が含まれ、磁場信号S2には、第2直線磁場の進行方向として座標(X2、Y2、Z2)に関する情報が含まれる。これに対して、方位導出部40は、磁場信号S1、S2の入力を受けて基準座標軸に対する対象座標軸の方位の導出を行う。具体的には、方位導出部40は、対象座標軸において、(X1、Y1、Z1)および(X2、Y2、Z2)の双方に対する内積の値が0となる座標(X3、Y3、Z3)を基準座標軸におけるz軸の方向に対応するものとして把握する。そして、方位導出部40は、上記の対応関係に基づいて所定の座標変換処理を行い、対象座標軸におけるX軸、Y軸およびZ軸の、基準座標軸における座標を導出し、かかる座標を方位情報として出力する。以上が方位導出部40による方位導出メカニズムである。
次に、導出した方位情報を用いた、位置導出部41によるカプセル型内視鏡2の位置導出メカニズムを説明する。位置導出部41は、信号処理部39から磁場信号S2、S3が入力され、方位導出部40から方位情報が入力されると共に、磁力線方位データベース42に記憶された情報を入力する構成を有する。位置導出部41は、入力されるこれらの情報に基づき、以下の通りにカプセル型内視鏡2の位置導出を行う。
まず、位置導出部41は、磁場信号S2を用いて、第2直線磁場形成部10とカプセル型内視鏡2との間の距離の導出を行う。磁場信号S2は、カプセル型内視鏡2の存在領域における第2直線磁場の検出結果に対応するものであり、第2直線磁場は、第2直線磁場形成部10が被検体1外部に配置されたことに対応して、第2直線磁場形成部10から離隔するにつれてその強度が減衰する特性を有する。かかる特性を利用して、位置導出部41は、第2直線磁場形成部10近傍における第2直線磁場の強度(第2直線磁場形成部10に流す電流値より求まる)と、磁場信号S2から求まるカプセル型内視鏡2の存在領域における第2直線磁場の強度とを比較し、第2直線磁場形成部10とカプセル型内視鏡2との間の距離rを導出する。かかる距離rを導出した結果、図8に示すように、カプセル型内視鏡2は、第2直線磁場形成部10から距離rだけ離れた点の集合である曲面52上に位置することが明らかとなる。
そして、位置導出部41は、磁場信号S3、方位導出部40によって導出された方位情報および磁力線方位データベース42に記憶された情報に基づきカプセル型内視鏡2の曲面52上における位置を導出する。具体的には、磁場信号S3および方位情報に基づき、カプセル型内視鏡2の存在位置における拡散磁場の進行方向を導出する。磁場信号S3は、拡散磁場を対象座標軸に基づき検出した結果に対応する信号であるから、かかる磁場信号S3に基づく拡散磁場の進行方向に関して、方位情報を用いて対象座標軸から基準座標軸へ座標変換処理を施すことによって、カプセル型内視鏡2の存在位置における、基準座標軸における拡散磁場の進行方向が導出される。そして、磁力線方位データベース42は、基準座標軸における拡散磁場の進行方向と位置との対応関係を記録していることから、位置導出部41は、図9に示すように、磁力線方位データベース42に記憶された情報を参照することによって導出した拡散磁場の進行方向に対応した位置を導出し、導出した位置をカプセル型内視鏡2の位置として特定する。以上の処理を行うことによって、被検体1内におけるカプセル型内視鏡2の方位および位置が導出され、位置検出が完了する。
以上の位置検出動作は、カプセル型内視鏡2側から繰り返し送信される無線信号の受信に伴い繰り返し行われる。検出したカプセル型内視鏡2の方位および位置は記録部43を介して携帯型記録媒体5に記録され、同じく記録される画像データと共に、医師等の診断の際に用いられることとなる。
次に、カプセル型内視鏡2側において行われる無線信号の送信を行う無線送信部19等の駆動タイミングの制御処理について説明する。図10は、カプセル型内視鏡2に備わるタイミング制御部21によって行われる駆動タイミングの制御処理を説明するためのフローチャートである。
図10に示すように、タイミング制御部21は、速度導出部28によって導出されたカプセル型内視鏡2の移動速度を取得し(ステップS101)、取得した移動速度が所定の閾値よりも大きいか否かの判定を行う(ステップS102)。閾値よりも大きい場合には(ステップS102,No)、駆動周期を所定の長周期に設定する(ステップS103)。一方で、閾値よりも小さい場合には(ステップS102,Yes)、駆動周期を、長周期よりも短い所定の短周期に設定する(ステップS104)。その後、少なくとも設定した駆動周期に関する情報を含む駆動タイミング信号を生成する(ステップS105)と共に、設定した駆動周期に従った駆動タイミングで被検体内情報取得部14、磁場センサ16および無線送信部19を駆動させる(ステップS106)。
なお、本実施の形態1では、第1直線磁場形成部9、第2直線磁場形成部10および拡散磁場形成部11による磁場形成のタイミングについて、タイミング制御部21によって設定された駆動タイミングと同期するよう磁場制御部49が制御することとしている。すなわち、磁場制御部49は、タイミング制御部21によって生成され、信号処理部39によって再構成された駆動タイミング信号に基づき駆動周期を導出し、導出した駆動周期に対応したタイミングで第1直線磁場形成部9、第2直線磁場形成部10および拡散磁場形成部11が駆動するよう制御する。具体的には、磁場制御部49は、電力供給部51に保持された駆動電力の供給タイミングを制御することによって、第1直線磁場形成部9等の駆動タイミングを制御する。
次に、本実施の形態1にかかる被検体内導入システムの利点について説明する。まず、本実施の形態1にかかる被検体内導入システムは、上述したように、カプセル型内視鏡2の移動状態に基づき無線送信部19、磁場センサ16および被検体内情報取得部14の駆動タイミングを制御する構成を有する。従って、本実施の形態1では、無線送信部19等の駆動タイミングをカプセル型内視鏡2の移動状態に対して最適化できるという利点を有する。
例えば、本実施の形態1では移動状態としてカプセル型内視鏡2の移動速度を用いた制御を行うこととしている。具体的には、タイミング制御部21は、カプセル型内視鏡2が高速で移動する場合には駆動周期を短周期に設定し、低速で移動する場合には駆動周期を長周期に設定し、設定した駆動周期に応じた駆動タイミングで無線送信部19等が動作するよう制御する。従って、カプセル型内視鏡2の移動速度が低い場合には、無線信号の送信等の頻度が低下することとなり、カプセル型内視鏡2において無駄な動作を低減できるという利点が生じる。
一般的に、カプセル型内視鏡2が低速で移動する場合には単位時間あたりのカプセル型内視鏡2の移動距離も小さなものとなることから、磁場センサ16によって検出される第1直線磁場等は、短周期においてはほぼ同様の方向・強度となり、磁場センサ16等を短周期で駆動させる必要性に乏しい。従って、本実施の形態1では、カプセル型内視鏡2の移動速度が低い場合に駆動周期を長周期とすることによって、複数回に渡って同様の磁場の検出および同様の磁場に関する情報を含む無線信号の送信を繰り返すことを回避し、カプセル型内視鏡2が無駄に動作することを抑制することとしている。
かかる構成を採用することによって、被検体内導入システム全体における処理の煩雑化が回避できる他、カプセル型内視鏡2における消費電力を低減することが可能となるという利点を有する。カプセル型内視鏡2は、例えば、カプセル内に格納するために小型の一次電池等によって供給される有限の電力によって駆動する構成を有するのが通常である。従って、カプセル型内視鏡2が利用しうる電力には限界があり、本実施の形態1の構成を採用することによって無駄な動作に起因した電力消費を回避することによる利点は顕著なものとなる。
なお、図10に示すフローチャートでは、ステップS102において所定の閾値との大小関係を導出し、大小関係に応じて2通りの周期を設定することとしたが、移動速度に応じて駆動周期を定める限りにおいて、任意の周期設定アルゴリズムを用いることとして良い。具体的には、閾値を複数設けて対応する駆動周期の値を増やすこととしても良いし、移動速度と駆動周期の積が一定の値となるよう駆動周期を設定することとしても良い。特に、移動速度と駆動周期の積をほぼ一定の値とした構成の場合には、移動速度と無関係にほぼ等しい距離だけ移動する度に無線信号の送信等が行われることとなり、カプセル型内視鏡2の位置の変化等の検出を効果的に行うことを可能としつつ、カプセル型内視鏡2の電力消費を低減することが可能である。
また、本実施の形態1では、位置検出装置3における消費電力も低減できるという利点を有する。すなわち、位置検出装置3を構成する処理装置12に備わる磁場制御部49は、駆動タイミング信号に基づき第1直線磁場形成部9等の駆動状態を制御する機能を有する。具体的には、磁場制御部49は、カプセル型内視鏡2に備わるタイミング制御部21によって生成された駆動タイミング信号に基づく制御を行うことによって、磁場センサ16が磁場検出を行うタイミングにおいてのみ第1直線磁場形成部9、第2直線磁場形成部10および拡散磁場形成部11を駆動させることが可能となる。上述したように、第1直線磁場形成部9等は、処理装置12に備わる電力供給部51から供給される電力に基づき磁場を形成する機能を有する。従って、従来のようにすべての期間に渡って磁場を形成した場合と比較して、磁場センサ16の駆動周期にあわせて駆動タイミングを最適化することによって、電力供給部51の消費電力を低減することが可能である。
(変形例)
次に、実施の形態1にかかる被検体内導入システムの変形例について説明する。本変形例にかかる被検体内導入システムでは、カプセル型内視鏡の移動状態として、カプセル型内視鏡の振動状態を検出することとし、振動状態に基づく駆動タイミング制御を行う構成を有する。
図11は、本変形例を構成するカプセル型内視鏡54の構成を示す模式的なブロック図である。図11に示すように、本変形例においては速度導出部の代わりに振動検出部55が新たに設けられ、タイミング制御部56は、振動検出部55の検出結果に基づき駆動タイミングを制御する構成を有する。
振動検出部55は、実施の形態1における速度導出部28と同様にカプセル型内視鏡54の移動状態を検出するためのものであり、移動状態としてカプセル型内視鏡54の振動状態を検出するためのものである。具体的には、振動検出部55は、加速度センサ、カンチレバー等によって構成され、カプセル型内視鏡54の振動状態を検出する機能を有する。ここで、「振動状態」とは、ある閾値以上の加速度で運動する状態を示す広い概念であり、単振動運動等に限定されるものではない。
本変形例の利点について説明する。本変形例では、カプセル型内視鏡54の移動状態として、振動状態を用いることとしており、例えば、カプセル型内視鏡54が被検体1内部で停止している際には、タイミング制御部56は、駆動周期を無限大とする(すなわち、磁場センサ16等の機能を一時的に停止する)ことが可能である。従って、停止時(すなわち位置が変化しない時期)に磁場センサ16等を無駄に駆動させることを防止することが可能となり、この結果、消費電力を低減することが可能である。
また、本変形例では、位置検出の際に、実施の形態1と同様に方位導出部40によるカプセル型内視鏡54の方位についても導出する構成を有し、カプセル型内視鏡54は、所定の領域に留まりつつ(すなわち、移動速度の値が0の状態において)方位を変化させる場合がある。本変形例では振動を検出して駆動タイミングの制御を行う機能を有することから、カプセル型内視鏡54が、移動速度について0の状態を維持しつつ方位を変化させた場合にも所定の駆動タイミングで動作することが可能であり、かかる場合についても位置検出(特に方位の導出)を確実に行えるという利点を有する。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる被検体内導入システムについて説明する。本実施の形態2にかかる被検体内導入システムでは、位置検出装置側でカプセル型内視鏡の移動状態を導出し、導出した移動状態に関する情報をカプセル型内視鏡に対して無線送信する構成を採用する。なお、以下の説明において、実施の形態1と同様の符号・名称を付したものは、以下で特に言及のない限り実施の形態1と同様の構造・機能を有することとする。
図12は、本実施の形態2にかかる被検体内導入システムの全体構成を示す模式図である。図12に示すように、本実施の形態2にかかる被検体内導入システムは、基本的には実施の形態1にかかる被検体内導入システムと同様の構成を有する一方で、位置検出装置58は、あらたに送信アンテナ59a〜59dを備えた構成を有する。
次に、本実施の形態2にかかる被検体内導入システムを構成するカプセル型内視鏡57について説明する。図13は、カプセル型内視鏡57の構成を模式的に示すブロック図である。図13に示すように、カプセル型内視鏡57は、基本的な構成としては実施の形態1におけるカプセル型内視鏡2と同様である一方で、新たに位置検出装置58から送信される無線信号の受信処理を行う無線受信部61と、無線受信部61によって処理された信号の中からカプセル型内視鏡57の移動速度を抽出するための信号処理部64とを備えた構成を有する。
無線受信部61は、位置検出装置58から送信される無線信号を受信し、復調等を行うことによって所定の原信号を抽出する受信処理を行うためのものである。具体的には、無線受信部61は、無線信号を受信するための受信アンテナ62と、受信アンテナ62を介して受信された無線信号に対して復調等の受信処理を行う受信回路63とによって構成される。
信号処理部64は、無線受信部61によって無線信号から抽出された原信号に基づき、無線信号に含まれる情報を再構成するためのものである。本実施の形態2においては、後述するように位置検出装置58から送信される無線信号にはカプセル型内視鏡57の移動速度に関する情報が含まれており、信号処理部64は、カプセル型内視鏡57の移動速度に関する情報を抽出して、タイミング制御部21に対して出力する機能を有する。
次に、位置検出装置58に備わる処理装置60の構成について説明する。図14は、処理装置60の構成を示す模式的なブロック図である。図14に示すように、処理装置60は、基本的には実施の形態1における処理装置12と同様の構成を有する一方で、記録部43に記録された情報に基づきカプセル型内視鏡57の移動速度を導出する移動速度導出部67と、移動速度に関する情報を含む無線信号を生成する送信回路68と、送信回路68によって生成された無線信号を送信するアンテナを選択する送信アンテナ選択部69とを備える。
移動速度導出部67は、カプセル型内視鏡57に関する過去の位置検出結果に基づき、カプセル型内視鏡57の移動速度を導出するためのものである。具体的には、記録部43は、実施の形態1でも説明したように位置導出部41によって導出されるカプセル型内視鏡57の位置を複数の時刻に関して記録する機能を有する。移動速度導出部67は、記録部43に記録されたカプセル型内視鏡57の過去の複数の時刻における位置および位置が導出された時刻に関する情報を取得することによって、カプセル型内視鏡57の移動速度の導出を行っている。具体的には、例えばカプセル型内視鏡57が時刻t1において(x1、y1、z1)に位置し、時刻t1からΔtだけ経過した時刻t2において(x2、y2、z2)に位置したものとする。移動速度vは、これらの情報を用いて、

v={(x2−x12+(y2−y12+(z2−z121/2/Δt ・・・(1)

によって定義することが可能である。
送信回路68は、移動速度導出部67によって導出された移動速度に関する情報を含む無線信号を生成するためのものである。具体的には、送信回路68は、変調処理等の必要な処理を行うことによって無線信号を生成する。
送信アンテナ選択部69は、複数配置された送信アンテナ59a〜59dのうち、無線信号の送信に最も適した送信アンテナを選択するためのものである。具体的には、受信アンテナ選択部37と同様に、送信アンテナ選択部69は選択制御部48の制御に基づき送信アンテナ59a〜59dの中から送信アンテナを選択する機能を有する。なお、送信回路68、送信アンテナ選択部69および送信アンテナ59a〜59dによって、送信部70を構成する。
次に、本実施の形態2にかかる被検体内導入システムの利点について説明する。本実施の形態2にかかる被検体内導入システムは、実施の形態1と同様にカプセル型内視鏡57の移動速度に応じてカプセル型内視鏡57に備わる磁場センサ16等の駆動タイミングを制御すると共に、位置検出装置58に備わる第1直線磁場形成部9の磁場形成タイミングを制御する構成を有する。従って、実施の形態1と同様にカプセル型内視鏡57等において無駄な動作を行うことを抑制し、消費電力の低減等の利点を有する。
また、本実施の形態2では、カプセル型内視鏡57の移動速度を処理装置60に備わる移動速度導出部67によって行う構成を有し、かかる構成を採用することによって新たな利点を有する。まず、本実施の形態2では、カプセル型内視鏡57の内部に速度導出部を配置する必要が無く、カプセル型内視鏡57が大型化することを防止できるという利点を有する。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる被検体内導入システムについて説明する。実施の形態3にかかる被検体内導入システムは、第1直線磁場の代わりに、地磁気を用いることによって位置検出を行う機能を有する。
図15は、実施の形態3にかかる被検体内導入システムの全体構成を示す模式図である。図15に示すように、本実施の形態3にかかる被検体内導入システムは、実施の形態1と同様にカプセル型内視鏡2、表示装置4および携帯型記録媒体5を備える一方、位置検出装置72の構成が異なるものとなる。具体的には、実施の形態1等で位置検出装置に備わっていた第1直線磁場形成部9が省略され、新たに地磁気センサ73を備えた構成を有する。また、処理装置74についても、実施の形態1等とは異なる構成を有する。
地磁気センサ73は、基本的にはカプセル型内視鏡2に備わる磁場センサ16と同様の構成を有する。すなわち、地磁気センサ73は、配置された領域において、所定の3軸方向の磁場成分の強度を検出し、検出した磁場強度に対応した電気信号を出力する機能を有する。一方で、地磁気センサ73は、磁場センサ16とは異なり、被検体1の体表面上に配置され、被検体1に対して固定された基準座標軸におけるx軸、y軸およびz軸の方向にそれぞれ対応した磁場成分の強度を検出する機能を有する。すなわち、地磁気センサ73は、地磁気の進行方向を検出する機能を有し、x軸方向、y軸方向およびz軸方向に関して検出した磁場強度に対応した電気信号を処理装置74に対して出力する構成を有する。
次に、本実施の形態3における処理装置74について説明する。図16は、処理装置74の構成を示すブロック図である。図16に示すように、処理装置74は、基本的には実施の形態1における処理装置12と同様の構成を有する一方で、地磁気センサ73から入力される電気信号に基づいて基準座標軸上における地磁気の進行方向を導出し、導出結果を方位導出部40に対して出力する地磁気方位導出部75を備えた構成を有する。
第1直線磁場として地磁気を利用した場合に問題となるのは、被検体1に対して固定された基準座標軸上における地磁気の進行方向の導出である。すなわち、被検体1はカプセル型内視鏡2が体内を移動する間も自由に行動することが可能であることから、被検体1に対して固定された基準座標軸と地磁気との間の位置関係は、被検体1の移動に伴い変動することが予想される。一方、基準座標軸に対する対象座標軸の位置関係を導出する観点からは、基準座標軸における第1直線磁場の進行方向が不明となった場合には、第1直線磁場の進行方向に関して基準座標軸と対象座標軸の対応関係を明らかにすることができないという問題を生じることとなる。
従って、本実施の形態3では、被検体1の移動等によって基準座標軸上において変動することとなる地磁気の進行方向をモニタするために地磁気センサ73および地磁気方位導出部75を備えることとしている。すなわち、地磁気センサ73の検出結果に基づいて、地磁気方位導出部75は、基準座標軸上における地磁気の進行方向を導出し、導出結果を方位導出部40に出力する。これに対して、方位導出部40は、入力された地磁気の進行方向を用いることによって、地磁気の進行方向に関して基準座標軸と対象座標軸との対応関係を導出し、第2直線磁場における対応関係とあわせて方位情報を導出することを可能としている。
なお、被検体1の方向によっては地磁気の進行方向と第2直線磁場形成部10によって形成される第2直線磁場とが互いに平行となる場合がある。かかる場合には、直前の時刻における対象座標軸の方位および原点の位置に関するデータも用いることによって、位置関係の検出を行うことが可能である。また、地磁気と第2直線磁場とが互いに平行となることを回避するために、第2直線磁場形成部10を構成するコイル34の延伸方向を図3に示したように基準座標軸におけるy軸方向とするのではなく、例えばz軸方向に延伸する構成とすることも有効である。
次に、本実施の形態3にかかる被検体内導入システムの利点について説明する。本実施の形態3にかかる被検体内導入システムは、実施の形態1における利点に加え、地磁気を利用したことによるさらなる利点を有している。すなわち、第1直線磁場として地磁気を利用する構成を採用することによって、第1直線磁場を形成する機構を省略した構成とすることが可能であり、カプセル型内視鏡2の導入時における被検体1の負担を軽減しつつ基準座標軸に対する対象座標軸の位置関係を導出することが可能である。なお、地磁気センサ73は、MIセンサ等を用いて構成することが可能であることから小型化が十分可能であり、地磁気センサ73を新たに設けることによって被検体1の負担が増加することはない。
また、地磁気を第1直線磁場として利用する構成を採用することにより、消費電力低減の観点からも利点を有することとなる。すなわち、コイル等を用いて第1直線磁場を形成した場合には、コイルに流す電流等に起因して電力消費量が増加することとなるが、地磁気を利用することによって、かかる電力消費の必要が無くなることから、低消費電力のシステムを実現することが可能である。
実施の形態1にかかる被検体内導入システムの全体構成を示す模式図である。 被検体内導入システムに備わるカプセル型内視鏡の構成を示す模式的なブロック図である。 位置検出装置に備わる第1直線磁場形成部によって形成される第1直線磁場を示す模式図である。 位置検出装置に備わる第2直線磁場形成部および拡散磁場形成部の構成を示すと共に、第2直線磁場形成部によって形成される第2直線磁場の態様を示す模式図である。 拡散磁場形成部によって形成される拡散磁場の態様を示す模式図である。 位置検出装置に備わる処理装置の構成を示す模式的なブロック図である。 基準座標軸と対象座標軸との関係を示す模式図である。 位置導出の際における第2直線磁場の利用態様を示す模式図である。 位置導出の際における拡散磁場の利用態様を示す模式図である。 カプセル型内視鏡に備わるタイミング制御部における処理を説明するためのフローチャートである。 実施の形態1の変形例におけるカプセル型内視鏡の構成を示す模式的なブロック図である。 実施の形態2にかかる被検体内導入システムの全体構成を示す模式図である。 被検体内導入システムに備わるカプセル型内視鏡の構成を示す模式的なブロック図である。 被検体内導入システムに備わる処理装置の構成を示す模式的なブロック図である。 実施の形態3にかかる被検体内導入システムの全体構成を示す模式図である。 被検体内導入システムに備わる処理装置の構成を示す模式的なブロック図である。
符号の説明
1 被検体
2 カプセル型内視鏡
3 位置検出装置
4 表示装置
5 携帯型記録媒体
7a〜7d 受信アンテナ
9 第1直線磁場形成部
10 第2直線磁場形成部
11 拡散磁場形成部
12 処理装置
14 被検体内情報取得部
15 信号処理部
16 磁場センサ
17 増幅部
18 A/D変換部
19 無線送信部
20 切替部
21 タイミング制御部
22 LED
23 LED駆動回路
24 CCD
25 CCD駆動回路
26 送信回路
27 送信アンテナ
28 速度導出部
33 コイル
34 コイル
37 受信アンテナ選択部
38 受信回路
39 信号処理部
40 方位導出部
41 位置導出部
42 磁力線方位データベース
43 記録部
48 選択制御部
49 磁場制御部
51 電力供給部
52 曲面
54 カプセル型内視鏡
55 振動検出部
56 タイミング制御部
57 カプセル型内視鏡
58 位置検出装置
59a〜59d 送信アンテナ
60 処理装置
61 無線受信部
62 受信アンテナ
63 受信回路
64 信号処理部
67 移動速度導出部
68 送信回路
69 送信アンテナ選択部
70 無線送信部
72 位置検出装置
73 地磁気センサ
74 処理装置
75 地磁気方位導出部

Claims (7)

  1. 被検体に導入され、該被検体の内部を移動する被検体内導入装置と、所定の位置検出用磁場を用いて前記被検体の内部における前記被検体内導入装置の位置を検出する位置検出装置とを備えた被検体内導入システムであって、
    前記被検体内導入装置は、
    当該被検体内導入装置が位置する領域における前記位置検出用磁場を検出する磁場センサと、
    前記磁場センサによる検出結果を含む無線信号を送信する無線送信手段と、
    前記被検体内部における当該被検体内導入装置の移動状態に基づき前記無線送信手段および/または前記磁場センサの駆動タイミングを制御するタイミング制御手段と、
    を備え、
    前記位置検出装置は、
    前記位置検出用磁場を形成する磁場形成手段と、
    前記磁場センサによる検出結果を含む無線信号の受信処理を行う受信手段と、
    前記受信手段によって受信処理がなされた前記無線信号に基づき、前記被検体の内部における前記被検体内導入装置の位置を導出する位置導出手段と、
    を備えたことを特徴とする被検体内導入システム。
  2. 前記被検体内導入装置は、前記移動状態として当該被検体内導入装置の移動速度を導出する速度導出手段をさらに備え、
    前記タイミング制御手段は、前記速度導出手段によって導出された移動速度に基づき前記駆動タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の被検体内導入システム。
  3. 前記タイミング制御手段は、前記移動速度が低速の場合に前記無線送信手段および/または前記磁場センサの駆動周期を所定の長周期に設定し、前記移動速度が高速の場合に前記駆動周期を前記長周期よりも短い周期である短周期に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の被検体内導入システム。
  4. 前記被検体内導入装置は、前記移動状態として当該被検体内導入装置の振動状態を検出する振動検出手段をさらに備え、
    前記タイミング制御手段は、前記振動検出手段によって検出された振動状態に基づき前記駆動タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の被検体内導入システム。
  5. 前記無線送信手段によって送信される無線信号には、前記駆動タイミングに関する情報がさらに含まれ、
    前記位置検出装置は、前記無線信号に含まれる前記駆動タイミングに関する情報に基づき前記磁場形成手段による磁場形成タイミングを制御する磁場制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の被検体内導入システム。
  6. 前記位置検出装置は、
    前記位置導出手段によって導出された複数の時刻における被検体内導入装置の位置に基づき前記被検体内導入装置の移動速度を導出する移動速度導出手段と、
    前記移動速度導出手段によって導出された移動速度を情報として含む無線信号を送信する送信手段と、
    をさらに備え、
    前記被検体内導入装置は、
    前記送信手段によって送信された前記無線信号の受信処理を行う無線受信手段と、
    前記無線受信手段によって受信処理された前記無線信号に基づき当該被検体内導入装置の移動速度を導出し、導出した移動速度に関する情報を前記タイミング制御手段に出力する移動速度導出部と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の被検体内導入システム。
  7. 前記位置検出装置は、前記速度導出手段によって導出された移動速度に基づき、前記磁場形成手段による磁場形成タイミングを制御する磁場制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の被検体内導入システム。
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