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JP2006050945A - 食品用品質改良剤、食品品質改良方法及び該食品用品質改良剤を含有する食品 - Google Patents

食品用品質改良剤、食品品質改良方法及び該食品用品質改良剤を含有する食品 Download PDF

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Abstract

【課題】 リン酸塩を配合せずに、リン酸塩を配合した従来の品質向上剤と同等、或いはそれ以上の効果を有する食品用品質改良剤、食品品質改良方法及び該食品用品質改良剤を含有する食品を提供すること。
【解決手段】 タンパク質と、アルカリ剤とを含有することを特徴とする食品用品質改良剤とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品用品質改良剤、食品品質改良方法及び該食品用品質改良剤を含有する食品に関する。
本発明の目的は、リン酸塩を配合せずに、リン酸塩を配合した従来の品質向上剤と同等、或いはそれ以上の効果を有する食品用品質改良剤、食品品質改良方法及び該食品用品質改良剤を含有する食品を提供することにある。
魚貝類や畜肉類などは、保存期間中に変色や退色、離水などが起こり易く、商品価値の低下を招いてしまう。魚貝類や畜肉類を冷却した場合は、長期間の保存が可能ではあるが、冷凍条件が悪いと、冷凍障害が発生し、食感を悪化させたり、外観を悪化させたりしてしまう。
さらに、魚介類や畜肉類を調理、加工する場合、原料を単に加熱や成形などの処理を施すと、原料の加工時、或いは保存時に離水、離油が起こり、食感や外観を悪化させてしまう。
そこで、食品の退色・変色を防止したり、離水、離油を防止したりする目的で、食品品質改良剤を食品に添加することが行われている。
従来の食品品質改良剤としては、例えば、特許文献1には、魚貝類に、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム及びフィチン酸などの重合リン酸塩を加えて、250乃至2000kg/cmにより加圧処理することを特徴する魚貝類の品質改良処理法が記載されている。
特許文献2には、エビを次亜塩素酸ナトリウムと有機酸との混合液で洗浄し、洗浄したエビに、環状オリゴ糖及び/又はシクロデキストリンと、L−アスコルビン酸と、重合リン酸塩と、更にグリシンベタイン、グリシン、アラニンのうちの少なくとも1種以上と、乳酸カルシウムとを添加し、急速凍結し、30日以上冷凍熟成することを特徴とする冷凍エビの処理方法が記載されている。
特許文献3には、トレハロースと、重合リン酸塩を添加することを特徴とする水産加工品の品質改良方法が記載されている。
特許文献4には、魚貝類をカルシウム含有液に浸漬し、次いで重合リン酸塩含有液に浸漬したあと、凝固性タンパク質及びトランスグルタミナーゼを含有する溶液に浸漬し、次いでボイルすることを特徴とする加圧加熱殺菌食品用魚貝類の品質改良方法が記載されている。
特許文献5には、フィチン酸(A)、クエン酸及びクエン酸塩(B)、リン酸及びリン酸塩(C)の(A)〜(C)の二種以上を組み合わせた混合物からなることを特徴とする食品の品質保持剤が記載されている。
特開平5−292877号公報 特開平6−125694号公報 特開平7−79745号公報 特開平8−182477号公報 特開平11−299469号公報
上記した食品品質改良剤は、いずれも必須成分としてリン酸塩を含有する。リン酸塩は、冷凍耐性の向上、保水力の改善などの目的で配合されている。
しかし、近年、リン酸塩の過剰摂取はカルシウムや亜鉛などのミネラルの吸収を阻害し、骨粗鬆症、成長阻害、味盲症などの原因となることが懸念されており、リン酸塩の配合を取り止める傾向が強くなっている。
本発明の解決しようとする課題は、リン酸塩を配合せずに、リン酸塩を配合した従来の品質向上剤と同等、或いはそれ以上の効果を有する食品用品質改良剤を提供するである。
請求項1に係る発明は、タンパク質と、アルカリ剤とを含有することを特徴とする食品用品質改良剤に関する。
請求項2に係る発明は、前記タンパク質と、前記アルカリ剤とを、重量比で1:4〜4:1の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項3に係る発明は、前記タンパク質が、エンドウタンパク質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項4に係る発明は、前記アルカリ剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項5に係る発明は、有機酸及び/又は有機酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項6に係る発明は、前記有機酸が、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、乳酸、酢酸、蓚酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸及びグルコノデルタラクトンからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項5に記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項7に係る発明は、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項8に係る発明は、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項9に係る発明は、アミノ酸及び/又はアミノ酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項10に係る発明は、リン酸塩を実質的に含有していないことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項11に係る発明は、タンパク質を含有し、pHが8〜12に調整された改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法に関する。
請求項12に係る発明は、タンパク質と、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上とを含有し、pHが8〜12に調整された改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法に関する。
請求項13に係る発明は、前記請求項1乃至10のいずれかに記載の食品用品質改良剤を水に溶解して調製した改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法に関する。
請求項14に係る発明は、前記請求項1乃至10のいずれかに記載の食品用品質改良剤によって処理されたことを特徴とする食品に関する。
本発明によれば、食品の変色や退色を防止することができる。また、食品の水分保持能を向上させて、食感や外観の低下を防止したり、歩留まりを向上したりできる。さらに、食品の耐冷凍性を向上させることもできる。
以下、本発明に係る食品用品質改良剤について、詳細に説明する。
本発明に係る食品用品質改良剤(以下、単に「改良剤」という場合がある。)は、タンパク質と、アルカリ剤とを含有する。
タンパク質は、食品に添加することが可能な水溶性タンパク質であれば、特に限定されず、例えば、エンドウタンパク質、ダイズタンパク質、小麦タンパク質等の植物性タンパク質、鶏卵、ホエータンパク質、シルクタンパク質、カゼイン等の動物性タンパク質などの水溶性タンパク質を例示することができる。
改良剤にタンパク質を配合することによって、タンパク質が食品の周囲に付着することで、或いは食品の組織内に浸透することによって、食品の水分を保持することができる。
本発明で好ましく用いられるタンパク質はエンドウタンパク質である。エンドウタンパク質はダイズタンパク質やカゼインなどのように特徴的な臭いを有していない。しかも、食品の品質改良の面においても、他の種類のタンパク質に比べて優れている。
エンドウタンパク質とは、エンドウ(Pisum sativum L.)の種子中に20%程度含まれているタンパク質のことである。
エンドウ(Pisum sativum L.)は、マメ科の1〜2年草で、広く食用に供されている植物であり、その種類は問わないが、黄色エンドウ(Yellow Pea)のタンパク質が色調、風味において食品加工用素材として最も適しており、且つ工業的にも入手し易い点で好ましい。
エンドウタンパク質は、エンドウを原料とした常法により製造したものを用いることができる。
一般的には、原料となる完熟したエンドウの子実を洗浄、乾燥し、外殻を取り除いた後、主に水を使用してタンパク質成分を抽出することにより得られる。本発明に用いるエンドウタンパク質としては、さらに濃縮後、噴霧乾燥し粉末状としたものが好ましい。
アルカリ剤とは、アルカリ剤を水に溶解して水溶液とした場合に、この水溶液のpHがアルカリ性を呈する塩類のことである。
アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩を例示することができる。
前述したアルカリ剤のうち一種のみを配合してもよく、また二種以上を配合しても構わない。
改良剤にアルカリ剤を配合することによって、食品の組織自体を膨潤させることができ、これによって、タンパク質が食品に浸透しやすくなる。
タンパク質及びアルカリ剤は、任意の比率で、改良剤に配合することができるが、好ましい比率は、タンパク質とアルカリ剤とが、重量比で、1:4〜4:1、好ましくは、1:3〜3:1、より好ましくは1:2〜2:1の比率で配合する。
本発明に係る改良剤は、必要に応じて、有機酸及び/又は有機酸塩を含有することができる。
有機酸は食品に添加することができる有機酸であれば特に限定されず、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、乳酸、酢酸、蓚酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコノデルタラクトンなどを例示することができる。
有機酸塩としては、前記した有機酸の無毒性塩であり、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などを例示することができる。
有機酸又は有機酸塩を配合することによって、魚貝類や畜肉類の塩可溶性タンパク質を溶解することができる。
有機酸や有機酸塩を配合する場合、前述の有機酸及び有機酸塩のうちの一種のみを配合することもでき、また二種以上を配合することもできる。
有機酸や有機酸塩を配合する場合、有機酸及び有機酸塩の含有量は特に限定されないが、10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%とされる。
本発明に係る改良剤は、必要に応じて、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウムのうちの一種以上を含有することができる。
塩化ナトリウム、塩化カリウム又は硫酸ナトリウムを含有することによって、食品の保存性を高めることができるとともに、食品中に含まれるタンパク質の変性を防止することができる。また食品の味を調整することもできる。
塩化ナトリウム、塩化カリウム又は硫酸ナトリウムを含有する場合、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は硫酸ナトリウムの含有量は特に限定されないが、5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%とされる。
本発明に係る改良剤は、必要に応じて、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムなどの旨味調味料を含有することができる。
旨味調味料を配合する場合、前記旨味調味料の一種のみを配合してもよく、二種以上を配合しても構わない。
本発明に係る改良剤は、必要に応じて、アミノ酸及び/又はアミノ酸塩を含有することができる。
アミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどを例示することができる。
アミノ酸塩としては、前記アミノ酸の無毒性塩であり、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などを例示することができる。
アミノ酸及び/又はアミノ酸塩を配合する場合、前記アミノ酸又はアミノ酸塩のうちの一種のみを配合しても良く、二種以上を配合しても構わない。
旨味調味料やアミノ酸及び/又はアミノ酸塩の含有量は特に限定されない。旨味調味料やアミノ酸及び/又はアミノ酸塩を配合する場合、合計の含有量が5〜20重量%、好ましくは15〜25重量%とされる。
本発明に係る改良剤はリン酸塩を実質的に含有しなくても、食品の品質を改良することができる。リン酸塩は、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸などである。
本発明に係る改良剤には、必要に応じて、ホエイソルト、或いは、ポリリジンやリゾチウムなどの天然の保存料などを適宜任意に配合することができる。
本発明に係る改良剤は水で溶解されて食品の品質改良に供せられる。本発明に係る改良剤の0.5〜5%水溶液を調製した場合の水溶液のpHが8.0〜12.0、好ましくは8.5〜10.0となるように、各原料の配合量を調節することが好ましい。
本発明に係る改良剤は、様々な食品の品質改良に用いることができるが、好ましくはタンパク質を含有する食品の品質改良に好ましく用いられる。
具体的には、エビ、タコ、イカ、白身魚、赤身魚などの魚貝類、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉などの畜肉類などを例示することができる。前記食品は予め冷凍処理された食品であっても、冷凍処理されていない食品であっても、また冷凍処理された後に解凍処理された食品であっても構わない。
さらに、本発明に係る改良剤は、魚貝類や畜肉類を原材料として含有する食品、例えば、蒲鉾、ちくわ、はんぺん、ソーセージ、ハムなどの品質改良に用いることもできる。
本発明に係る改良剤によって食品の品質を改良するには、まず、本発明に係る改良剤を水に溶解して改良液を調製する。改良液のpHは特に限定されないが、8〜12、好ましくは8.5〜10とされる。
次いで、改良液に、品質を改良する食品を所要時間、浸漬すればよい。食品を浸漬する時間は、食品の形態や種類によっても異なるが、概ね1時間〜24時間程度とされる。
改良液に食品を浸漬する際の温度も特に限定されないが、高温の状態で長時間浸漬処理すると、食品が変質したり、雑菌が繁殖したりする場合があるので、0〜10℃、好ましくは0〜5℃程度の低温で浸漬処理することが好ましい。
食品を改良液に浸漬している際に、改良液と食品とがよくなじむように、改良液を攪拌したり、改良液に振動を加えたり、食品に外部から圧力を加えたりしても構わない。
所要時間、食品を改良液に浸漬したら、改良液から食品を取り出し、食品に付着している余分な改良液を取り除く。こうして、食品の品質を改良することができる。
処理した食品は、所要の加工・成形、例えば、冷凍や冷蔵などの保存処理、焼成やボイルなどの加熱処理、或いは加圧処理などを施すことができる。
(試料の調製)
以下の組成に従って、実施例1及び比較例1の食品用品質改良剤を調製した。
尚、タンパク質としては、エンドウタンパク質(オルガノ社製、商品名「PP−CS」)を用いた。
[実施例1]
DL−リンゴ酸ナトリウム 22
炭酸ナトリウム(無水) 19
グリシン 13
L−グルタミン酸ナトリウム 9
炭酸カリウム 5
タンパク質 32
合計 100重量%
[比較例1]
メタリン酸ナトリウム 84
リン酸三カリウム 16
合計 100重量%
(試験例1;エビ歩留まり向上試験)
実施例1又は比較例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して食品用品質改良液(以下、単に「改良液」という場合がある。)を調製した。
冷凍のブラックタイガーエビを解凍した後、300gのブラックタイガーエビを各改良液に冷蔵で一晩浸漬処理した。
翌日、改良液から取り出して、液切りしたブラックタイガーエビを5分間、100℃でボイルした。
ボイルする前のブラックタイガーエビの重量と、ボイルした後の重量を測定した。また比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも、同様に試験した。
結果を表1に記載する。
Figure 2006050945
実施例1の改良剤で処理したエビは、食塩のみで処理したエビに比べて、ボイル後の重量の損失が少なく、エビの歩留まりを向上することができる。
また実施例1の改良剤は、リン酸塩を含有する従来の改良剤(比較例1)と同等の効果を有することが分かる。
(試験例2;鶏肉歩留まり向上試験)
実施例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
皮及び脂肪を除去した鶏胸肉500gに、改良液125mLを加えて、3分間鶏肉をマッサージした。浸漬した状態で24時間冷蔵した。次いで、鶏肉を取り出して、液切りした後、90℃で30分間ボイルした。
また、比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも、同様に試験した。
鶏肉を浸漬する前の改良液のpHと、鶏肉を24時間浸漬した後の改良液のpHを、それぞれ測定した。結果を表2に記載する。
また、改良液に24時間浸漬した後の鶏肉の重量、改良液の残量、及びボイル後の鶏肉の重量を測定した。結果を表3に記載する。
Figure 2006050945
Figure 2006050945
(試験例3;ホタテ歩留まり向上試験)
実施例1の改良剤4.5gを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
冷凍ホタテに、冷凍ホタテの2倍量の改良液を加えて、5℃で24時間浸漬した。翌日、ホタテを取り出して、液切りした後、90℃で3分間ボイルした。
また、比較対照として、ホタテを水に浸漬した場合についても、同様に試験した。
ホタテを浸漬する前の改良液のpHと、ホタテを24時間浸漬した後の改良液のpHを、それぞれ測定した。結果を表4に記載する。
また、改良液に24時間浸漬した後のホタテの重量及びボイル後のホタテの重量を測定した。結果を表5に記載する。
Figure 2006050945
Figure 2006050945
(試験例4;イカ歩留まり向上試験)
実施例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
冷凍イカを解凍し、解凍イカの2倍量の改良液を加えて、5℃で17時間浸漬した。次いで、イカを取り出して、液切りした後、100℃で3分間ボイルした。
また、比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも、同様に試験した。
イカを浸漬する前の改良液のpHと、イカを24時間浸漬した後の改良液のpHを、それぞれ測定した。結果を表6に記載する。
また、改良液に17時間浸漬した後のイカの重量、及びボイル後のイカの重量を測定した。結果を表7に記載する。
Figure 2006050945
Figure 2006050945
(試験例5;青魚歩留まり向上試験)
実施例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
生アジを、生アジと等重量の改良液を加えて、5℃で24時間浸漬した。次いで、アジを取り出して、液切りした後、100℃で4分間ボイルした。
また、比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも、同様に試験した。
アジを浸漬する前の改良液のpHと、アジを24時間浸漬した後の改良液のpHを、それぞれ測定した。結果を表8に記載する。
また、改良液に17時間浸漬した後のアジの重量、改良液の残量、及びボイル後のアジの重量を測定した。結果を表9に記載する。
Figure 2006050945
Figure 2006050945
(試験例6;白身魚歩留まり向上試験)
実施例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
生鯛を、生鯛と等重量の改良液に加えて、5℃で24時間浸漬した。次いで、生鯛を取り出して、液切りした後、100℃で4分30秒間ボイルした。
また、比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも同様に試験した。
生鯛を浸漬する前の改良液のpHと、生鯛を24時間浸漬した後の改良液のpHを、それぞれ測定した。結果を表10に記載する。
また、改良液に17時間浸漬した後の生鯛の重量、改良液の残量、及びボイル後の生鯛の重量を測定した。結果を表11に記載する。
Figure 2006050945
Figure 2006050945
(試験例7;エビ歩留まり向上試験2)
実施例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
エビを、エビの1.5重量倍の改良液に加えて、5℃で24時間浸漬した。次いで、エビを取り出して、液切りした後、100℃で5分間ボイルした。
また、比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも、同様に試験した。
エビを浸漬する前の改良液のpHと、エビを24時間浸漬した後の改良液のpHを、それぞれ測定した。結果を表12に記載する。
また、改良液に17時間浸漬した後のエビの重量、及びボイル後のエビの重量を測定した。結果を表13に記載する。
Figure 2006050945
Figure 2006050945
試験例2〜7の試験結果に示されるように、食塩のみを含有する処理液で処理した食品に比べて、実施例の処理液で処理した食品は処理液の吸収の面においても、またボイル後の歩留まりの面においても優れた結果を示した。
また、濃度の濃い処理液(2%液)が、濃度の薄い処理液(1%液)に比べて、食品に良く吸収された。また、ボイル後の歩留まりも良好であった。
改良液に浸漬した後、ボイルする直前のエビと、ボイル後のエビを写真撮影した。ボイル前のエビの写真を図1に、ボイル後の写真を図2に、それぞれ示す。
尚、図1中、(1)の列のエビは、食塩のみを含有する改良液で処理したエビであり、(2)の列のエビは、1%改良液で処理したエビであり、(3)の列のエビは、2%改良液で処理したエビである。
図1及び図2に示されるように、本発明に係る改良剤によって処理した食品は、本発明に係る改良剤によって処理しなかった食品に比べて、食品の外観の面でも優れていることが分かる。即ち、本発明に係る改良剤によって処理した食品をボイルした場合であっても、歩留まりが低下せず、みずみずしさを保っていた。一方、本発明に係る改良剤によって処理しなかった食品をボイルすると、歩留まりが低下するとともに、小さくなり、明らかに外観が低下した。
試験例7における、ボイル前のエビの状態を示す写真である。 試験例7における、ボイル後のエビの状態を示す写真である。

Claims (14)

  1. タンパク質と、アルカリ剤とを含有することを特徴とする食品用品質改良剤。
  2. 前記タンパク質と、前記アルカリ剤とを、重量比で1:4〜4:1の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の食品用品質改良剤。
  3. 前記タンパク質が、エンドウタンパク質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用品質改良剤。
  4. 前記アルカリ剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
  5. 有機酸及び/又は有機酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
  6. 前記有機酸が、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、乳酸、酢酸、蓚酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸及びグルコノデルタラクトンからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項5に記載の食品用品質改良剤。
  7. 塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
  8. グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
  9. アミノ酸及び/又はアミノ酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
  10. リン酸塩を実質的に含有していないことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
  11. タンパク質を含有し、pHが8〜12に調整された改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法。
  12. タンパク質と、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上とを含有し、pHが8〜12に調整された改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法。
  13. 前記請求項1乃至10のいずれかに記載の食品用品質改良剤を水に溶解して調製した改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法。
  14. 前記請求項1乃至10のいずれかに記載の食品用品質改良剤によって処理されたことを特徴とする食品。
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