JP2006050945A - 食品用品質改良剤、食品品質改良方法及び該食品用品質改良剤を含有する食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 タンパク質と、アルカリ剤とを含有することを特徴とする食品用品質改良剤とする。
【選択図】なし
Description
本発明の目的は、リン酸塩を配合せずに、リン酸塩を配合した従来の品質向上剤と同等、或いはそれ以上の効果を有する食品用品質改良剤、食品品質改良方法及び該食品用品質改良剤を含有する食品を提供することにある。
さらに、魚介類や畜肉類を調理、加工する場合、原料を単に加熱や成形などの処理を施すと、原料の加工時、或いは保存時に離水、離油が起こり、食感や外観を悪化させてしまう。
そこで、食品の退色・変色を防止したり、離水、離油を防止したりする目的で、食品品質改良剤を食品に添加することが行われている。
特許文献2には、エビを次亜塩素酸ナトリウムと有機酸との混合液で洗浄し、洗浄したエビに、環状オリゴ糖及び/又はシクロデキストリンと、L−アスコルビン酸と、重合リン酸塩と、更にグリシンベタイン、グリシン、アラニンのうちの少なくとも1種以上と、乳酸カルシウムとを添加し、急速凍結し、30日以上冷凍熟成することを特徴とする冷凍エビの処理方法が記載されている。
特許文献4には、魚貝類をカルシウム含有液に浸漬し、次いで重合リン酸塩含有液に浸漬したあと、凝固性タンパク質及びトランスグルタミナーゼを含有する溶液に浸漬し、次いでボイルすることを特徴とする加圧加熱殺菌食品用魚貝類の品質改良方法が記載されている。
特許文献5には、フィチン酸(A)、クエン酸及びクエン酸塩(B)、リン酸及びリン酸塩(C)の(A)〜(C)の二種以上を組み合わせた混合物からなることを特徴とする食品の品質保持剤が記載されている。
しかし、近年、リン酸塩の過剰摂取はカルシウムや亜鉛などのミネラルの吸収を阻害し、骨粗鬆症、成長阻害、味盲症などの原因となることが懸念されており、リン酸塩の配合を取り止める傾向が強くなっている。
請求項2に係る発明は、前記タンパク質と、前記アルカリ剤とを、重量比で1:4〜4:1の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項3に係る発明は、前記タンパク質が、エンドウタンパク質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項4に係る発明は、前記アルカリ剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項5に係る発明は、有機酸及び/又は有機酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項6に係る発明は、前記有機酸が、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、乳酸、酢酸、蓚酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸及びグルコノデルタラクトンからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項5に記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項7に係る発明は、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項8に係る発明は、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項9に係る発明は、アミノ酸及び/又はアミノ酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項10に係る発明は、リン酸塩を実質的に含有していないことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の食品用品質改良剤に関する。
請求項11に係る発明は、タンパク質を含有し、pHが8〜12に調整された改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法に関する。
請求項12に係る発明は、タンパク質と、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上とを含有し、pHが8〜12に調整された改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法に関する。
請求項13に係る発明は、前記請求項1乃至10のいずれかに記載の食品用品質改良剤を水に溶解して調製した改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法に関する。
請求項14に係る発明は、前記請求項1乃至10のいずれかに記載の食品用品質改良剤によって処理されたことを特徴とする食品に関する。
本発明に係る食品用品質改良剤(以下、単に「改良剤」という場合がある。)は、タンパク質と、アルカリ剤とを含有する。
改良剤にタンパク質を配合することによって、タンパク質が食品の周囲に付着することで、或いは食品の組織内に浸透することによって、食品の水分を保持することができる。
エンドウタンパク質とは、エンドウ(Pisum sativum L.)の種子中に20%程度含まれているタンパク質のことである。
エンドウ(Pisum sativum L.)は、マメ科の1〜2年草で、広く食用に供されている植物であり、その種類は問わないが、黄色エンドウ(Yellow Pea)のタンパク質が色調、風味において食品加工用素材として最も適しており、且つ工業的にも入手し易い点で好ましい。
一般的には、原料となる完熟したエンドウの子実を洗浄、乾燥し、外殻を取り除いた後、主に水を使用してタンパク質成分を抽出することにより得られる。本発明に用いるエンドウタンパク質としては、さらに濃縮後、噴霧乾燥し粉末状としたものが好ましい。
アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩を例示することができる。
前述したアルカリ剤のうち一種のみを配合してもよく、また二種以上を配合しても構わない。
改良剤にアルカリ剤を配合することによって、食品の組織自体を膨潤させることができ、これによって、タンパク質が食品に浸透しやすくなる。
有機酸は食品に添加することができる有機酸であれば特に限定されず、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、乳酸、酢酸、蓚酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコノデルタラクトンなどを例示することができる。
有機酸塩としては、前記した有機酸の無毒性塩であり、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などを例示することができる。
有機酸又は有機酸塩を配合することによって、魚貝類や畜肉類の塩可溶性タンパク質を溶解することができる。
有機酸や有機酸塩を配合する場合、有機酸及び有機酸塩の含有量は特に限定されないが、10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%とされる。
塩化ナトリウム、塩化カリウム又は硫酸ナトリウムを含有することによって、食品の保存性を高めることができるとともに、食品中に含まれるタンパク質の変性を防止することができる。また食品の味を調整することもできる。
塩化ナトリウム、塩化カリウム又は硫酸ナトリウムを含有する場合、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は硫酸ナトリウムの含有量は特に限定されないが、5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%とされる。
旨味調味料を配合する場合、前記旨味調味料の一種のみを配合してもよく、二種以上を配合しても構わない。
アミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンなどを例示することができる。
アミノ酸塩としては、前記アミノ酸の無毒性塩であり、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などを例示することができる。
アミノ酸及び/又はアミノ酸塩を配合する場合、前記アミノ酸又はアミノ酸塩のうちの一種のみを配合しても良く、二種以上を配合しても構わない。
具体的には、エビ、タコ、イカ、白身魚、赤身魚などの魚貝類、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉などの畜肉類などを例示することができる。前記食品は予め冷凍処理された食品であっても、冷凍処理されていない食品であっても、また冷凍処理された後に解凍処理された食品であっても構わない。
さらに、本発明に係る改良剤は、魚貝類や畜肉類を原材料として含有する食品、例えば、蒲鉾、ちくわ、はんぺん、ソーセージ、ハムなどの品質改良に用いることもできる。
次いで、改良液に、品質を改良する食品を所要時間、浸漬すればよい。食品を浸漬する時間は、食品の形態や種類によっても異なるが、概ね1時間〜24時間程度とされる。
改良液に食品を浸漬する際の温度も特に限定されないが、高温の状態で長時間浸漬処理すると、食品が変質したり、雑菌が繁殖したりする場合があるので、0〜10℃、好ましくは0〜5℃程度の低温で浸漬処理することが好ましい。
食品を改良液に浸漬している際に、改良液と食品とがよくなじむように、改良液を攪拌したり、改良液に振動を加えたり、食品に外部から圧力を加えたりしても構わない。
所要時間、食品を改良液に浸漬したら、改良液から食品を取り出し、食品に付着している余分な改良液を取り除く。こうして、食品の品質を改良することができる。
以下の組成に従って、実施例1及び比較例1の食品用品質改良剤を調製した。
尚、タンパク質としては、エンドウタンパク質(オルガノ社製、商品名「PP−CS」)を用いた。
DL−リンゴ酸ナトリウム 22
炭酸ナトリウム(無水) 19
グリシン 13
L−グルタミン酸ナトリウム 9
炭酸カリウム 5
タンパク質 32
合計 100重量%
メタリン酸ナトリウム 84
リン酸三カリウム 16
合計 100重量%
実施例1又は比較例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して食品用品質改良液(以下、単に「改良液」という場合がある。)を調製した。
冷凍のブラックタイガーエビを解凍した後、300gのブラックタイガーエビを各改良液に冷蔵で一晩浸漬処理した。
翌日、改良液から取り出して、液切りしたブラックタイガーエビを5分間、100℃でボイルした。
ボイルする前のブラックタイガーエビの重量と、ボイルした後の重量を測定した。また比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも、同様に試験した。
結果を表1に記載する。
また実施例1の改良剤は、リン酸塩を含有する従来の改良剤(比較例1)と同等の効果を有することが分かる。
実施例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
皮及び脂肪を除去した鶏胸肉500gに、改良液125mLを加えて、3分間鶏肉をマッサージした。浸漬した状態で24時間冷蔵した。次いで、鶏肉を取り出して、液切りした後、90℃で30分間ボイルした。
また、比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも、同様に試験した。
また、改良液に24時間浸漬した後の鶏肉の重量、改良液の残量、及びボイル後の鶏肉の重量を測定した。結果を表3に記載する。
実施例1の改良剤4.5gを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
冷凍ホタテに、冷凍ホタテの2倍量の改良液を加えて、5℃で24時間浸漬した。翌日、ホタテを取り出して、液切りした後、90℃で3分間ボイルした。
また、比較対照として、ホタテを水に浸漬した場合についても、同様に試験した。
また、改良液に24時間浸漬した後のホタテの重量及びボイル後のホタテの重量を測定した。結果を表5に記載する。
実施例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
冷凍イカを解凍し、解凍イカの2倍量の改良液を加えて、5℃で17時間浸漬した。次いで、イカを取り出して、液切りした後、100℃で3分間ボイルした。
また、比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも、同様に試験した。
また、改良液に17時間浸漬した後のイカの重量、及びボイル後のイカの重量を測定した。結果を表7に記載する。
実施例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
生アジを、生アジと等重量の改良液を加えて、5℃で24時間浸漬した。次いで、アジを取り出して、液切りした後、100℃で4分間ボイルした。
また、比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも、同様に試験した。
また、改良液に17時間浸漬した後のアジの重量、改良液の残量、及びボイル後のアジの重量を測定した。結果を表9に記載する。
実施例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
生鯛を、生鯛と等重量の改良液に加えて、5℃で24時間浸漬した。次いで、生鯛を取り出して、液切りした後、100℃で4分30秒間ボイルした。
また、比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも同様に試験した。
また、改良液に17時間浸漬した後の生鯛の重量、改良液の残量、及びボイル後の生鯛の重量を測定した。結果を表11に記載する。
実施例1の改良剤4.5gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(1%液)を調製した。また実施例1の改良剤9gと、食塩4.5gとを、水450mLに溶解して改良液(2%液)を調製した。
エビを、エビの1.5重量倍の改良液に加えて、5℃で24時間浸漬した。次いで、エビを取り出して、液切りした後、100℃で5分間ボイルした。
また、比較対照として、食塩4.5gを水450mLに溶解して調製した改良液でも、同様に試験した。
また、改良液に17時間浸漬した後のエビの重量、及びボイル後のエビの重量を測定した。結果を表13に記載する。
また、濃度の濃い処理液(2%液)が、濃度の薄い処理液(1%液)に比べて、食品に良く吸収された。また、ボイル後の歩留まりも良好であった。
尚、図1中、(1)の列のエビは、食塩のみを含有する改良液で処理したエビであり、(2)の列のエビは、1%改良液で処理したエビであり、(3)の列のエビは、2%改良液で処理したエビである。
Claims (14)
- タンパク質と、アルカリ剤とを含有することを特徴とする食品用品質改良剤。
- 前記タンパク質と、前記アルカリ剤とを、重量比で1:4〜4:1の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の食品用品質改良剤。
- 前記タンパク質が、エンドウタンパク質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用品質改良剤。
- 前記アルカリ剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
- 有機酸及び/又は有機酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
- 前記有機酸が、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、アスコルビン酸、乳酸、酢酸、蓚酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸及びグルコノデルタラクトンからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項5に記載の食品用品質改良剤。
- 塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
- グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
- アミノ酸及び/又はアミノ酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
- リン酸塩を実質的に含有していないことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
- タンパク質を含有し、pHが8〜12に調整された改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法。
- タンパク質と、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上とを含有し、pHが8〜12に調整された改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法。
- 前記請求項1乃至10のいずれかに記載の食品用品質改良剤を水に溶解して調製した改良液に、食品を浸漬することを特徴とする食品品質改良方法。
- 前記請求項1乃至10のいずれかに記載の食品用品質改良剤によって処理されたことを特徴とする食品。
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