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JP2005521409A - 単一プライマー等温核酸増幅−増強型被分析物検出および定量 - Google Patents

単一プライマー等温核酸増幅−増強型被分析物検出および定量 Download PDF

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Abstract

本発明は、等温、単いるプライマー線形核酸増幅方法を利用した核酸増幅によって、被分析物に対する結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの増幅を介して間接的に被分析物の検出および増幅をおこなう新規方法を提供する。被分析物に対してオリゴヌクレオチドテンプレートに付着している結合パートナーを結合させ、複合プライマー、プライマー伸長、鎖置換、および任意に終止配列を用いてオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部を増幅する方法を提供する。複合プライマー、プライマー伸長、鎖置換、任意にテンプレート/スイッチング、プロモプロモーター・オリゴヌクレオチド、および転写産物を用いて、センスRNAを増幅する方法も提供する。増幅産物を検出し、かつ定量する方法も提供する。本発明は、さらに、上記方法を実施するための組成物およびキットを提供する。

Description

(関連出願の引用)
この出願は、米国仮特許出願第60/368,628号(2002年3月29日出願)の優先権を主張するもので、この米国特許出願の全体を本明細書中で援用する。
(技術分野)
本発明は、結合パートナーに付着したポリヌクレオチドの合成を介して被分析物を検出する分野に関する。より詳しくは、本発明は、被分析物結合パートナーとオリゴヌクレオチド・テンプレートとが付着する、被分析物に対して被分析物結合パートナーを結合させるための、ならびにオリゴヌクレオチド・テンプレートの増幅(すなわち、複数のコピーの生成)をおこなうための方法、組成物、およびキットを提供する。ここで、上記方法は、単一のRNA/DNA複合プライマーを用い、増幅が必要に応じて転写を伴い、増幅産物を検出する。
核酸技術の進歩は、検出技術の様々な側面に多大な影響をもたらした。多くの修飾ヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの両方、ならびにこれらの組み合わせ)を使用した自動化オリゴヌクレオチド合成によって、これら非常に多種多様な分子を、様々な用途で使用することが可能となった。さらに、相補的オリゴヌクレオチドの結合特異性、オリゴヌクレオチドと他の分子および表面との結合に関する大部分の知識は、単一および複数の非核酸被分析物の検出および定量する種々の分析方法において、レポーター基および捕捉剤として使用することを含む多くの用途でオリゴヌクレオチドを幅広く使用することに寄与してきた。オリゴヌクレオチド標的のインビトロ増幅が可能であること、すなわちレポーター・オリゴヌクレオチド標的のコピーを複数生成することが可能であることから、高感度検出への利用がさらに促進される。
DNA増幅と免疫認識とを組み合わせることで、抗原結合抗体が高感度で検出されることは、以前から知られている(Sano、Smith,およびCantor、1992)。免疫PCRは、共有結合またはストレプトアビジン−ビオチン相互作用を介して特異的な抗原と付着したユニークDNA配列タグを用いておこなわれる。抗原に結合した抗体は、付着DNAタグのPCR増幅によって検出される。複数の抗体およびDNAタグを使用することの有用性は、免疫PCRでいくつかの抗原を同時に分析することにより実証された。免疫PCR法は、ELISAよりも著しく高感度であるが、この方法は、温度サイクルを必要とすること、また増幅産物の定量が困難であること等、PCRに欠点が認められることから、制限される。このような制限があるため、免疫PCRをELISA法の代替法として広く採用することには限界がある。
核酸の増幅を使用して低濃度の被験物質から検出可能なシグナルを生成する方法が検出技術に用いられている。これらの方法として、米国特許第6,083,689号、同第5,985,548号、同第5,854,033号、同第5,655,539号、および同第5,849,478号に記載された方法が挙げられる。
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法であって、(a)サンプルと、被分析物が存在する場合に、結合を可能とする条件下で直接的または間接的に被分析物に結合することが可能であり、かつオリゴヌクレオチドテンプレートに付着する結合パートナーとを接触させ、被分析物が存在する場合に分析物−結合パートナー複合体を形成する工程と、(b)未結合の結合パートナーから被分析物−結合パートナーを分離する工程と、(c)オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の増幅を、(i)RNA部位と3’DNA部位とから構成される複合プライマーを、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせる工程と、(ii)DNAポリメラーゼを用いて複合プライマーを伸長させることで、検出可能な同定特性を持つプライマー伸長産物を生成する工程と、(iii)別の複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長を繰り返し、検出可能な同定特性を持つ切断プライマー伸長産物が生成されるように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNAを切断する工程とを有する方法によって実施する工程とを有し、それによって、オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の複数のコピーを生成し、検出可能な同定特性を持つ切断プリマー伸長産物を検出してサンプル中の被分析物の存在を示すことで、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法、を提供する。別の局面では、本発明は、上記工程(a)ないし(c)を実施することで、サンプル中の被分析物を定量する方法を提供するもので、該方法は、さらに、サンプル中で得られたオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分と相補的なポリヌクレオチド配列のコピーの量を、もし存在するならば、工程(a)ないし(c)で処理した塩基被分析物の量が既知である基準サンプルで得られた既知量の被分析物を含む基準サンプルで得られた少なくとも一部分のオリゴヌクレオチドテンプレートに対して相補的なポリヌクレオチド配列のコピーの量と比較することで、サンプル中の被分析物を定量化する工程を含む。
別の局面において、本発明は、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法であって、(a)オリゴヌクレオチドに付着し、かつ結合を可能とする条件下でオリゴヌクレオチドテンプレートに結合することが可能である結合パートナーに、サンプルを接触させ、被分析物が存在する場合に分析物−結合パートナー複合体を形成する工程と、(b)未結合の結合パートナーから被分析物−結合パートナーを分離する工程と、(c)被分析物−結合パートナー複合体中のオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の増幅を、(i)RNA部位と3’DNA部位とから構成される複合プライマーを、被分析物−結合パートナー複合体中の結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせる工程と、(ii)DNAポリメラーゼを用いて複合プライマーを伸長させることで、プライマー伸長産物を生成する工程と、(iii)別の複合プライマーがオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズし、かつ鎖置換によるプライマー伸長が繰り返されるようにして、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNAを切断する工程と、(iv)RNAポリメラーゼによって転写が起こるのを可能とする条件下で、置換プライマー伸長産物にハイブリダイズする領域と、プロモーターとを含むポリペプチドをハイブリダイズさせて、RNA転写産物を生成する工程とを有し、それによって、RNA転写産物の複数のコピーが生成され、RNA転写産物の検出可能な同定特性の検出によって、サンプル中の被分析物の存在が示される方法を、提供する。別の局面において、本発明は、試験サンプル中の被分析物を定量する方法を提供するもので、該方法は、上記工程(a)ないし(c)を実施し、サンプル中で得られたRNA転写産物の量と、工程(a)ないし(c)にさらされる被分析物の既知量を含む基準で得られたRNA転写産物の量と比較し、該比較によって、サンプル中の被分析物の量を定量する。
別の局面において、サンプル中の複数の分析物の各々の有無を決定する方法を提供するもので、該方法は、(a)各々がオリゴヌクレオチドテンプレートに付着し、かつ各々が結合を可能にする条件下で複数の異なる被分析物の1つに結合することが可能である複数の異なる結合パートナーと、サンプルとを接触させることで、被分析物が存在する場合に、該被分析物と結合パートナーとの特定の対で被分析物−結合パートナー複合体が形成され、各結合パートナーに対するオリゴヌクレオチドテンプレートは、結合パートナーの全てに共通するプライマー結合領域と、各結合パートナーにとって特有であるプライマー伸長領域とを含む工程と、(b)未結合の結合パートナーから被分析物−結合パートナー複合体を分離する工程と、(c)各々のオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の増幅を、(i)RNA部位と3’DNA部位とから構成される複合プライマーを、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせる工程と、(ii)DNAポリメラーゼを用いて複合プライマーを伸長させることで、各分析物−結合パートナー複合体について、検出可能な特有の同定特性を持つ特有のプライマー伸長産物を生成する工程と、(iii)別の複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長を繰り返すことで、検出可能な特有の同定特性を有する特有の切断プライマー伸長産物が生成されるように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNAを切断する工程とを有する方法によって、実施する工程とを含み、それによって、工程(b)の後に、存在する各オリゴヌクレオチドテンプレートの各々の少なくとも一部分に対して相補的なポリヌクレオチド配列の複数のコピーが生成され、被分析物に対する結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の検出可能な特有の同定特性を検出することで、サンプル中の被分析物の存在を示す、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法である。別の局面において、本発明は、各被分析物−結合パートナー複合体内の結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に対して相補的なポリヌクレオチドの相対量と比較することで、サンプル中の各被分析物の相対量を定量する方法を提供する。
別の局面において、本発明は、反応混合物をインキュベートすることを含む、サンプル中の被分析物の有無を検出する方法を提供する。この反応混合物は、(a)被分析物とオリゴヌクレオチドテンプレートに付着している結合パートナーとの複合体を含むと思われるサンプルと、(b)RNA部位と3’DNA部位とから構成される、オリゴヌクレオチドテンプレートに対する複合プライマーと、(c)DNAポリメラーゼ、dNTP、およびRNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素と、を含み、インキュベーションが、複合プライマーとオリゴヌクレオチドテンプレートとのハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチド重合、およびRNA切断を可能とする条件下にあることで、オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の複数のコピーが生成され、オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の複数のコピーの検出可能な同定特性を検出することで、被分析物の存在が示される。
別の局面において、本発明は、反応混合物をインキュベートすることを含む、サンプル中の被分析物の有無を検出する方法を提供する。反応混合物は、(a)被分析物とオリゴヌクレオチドテンプレートに付着している結合パートナーとの複合体を含むと思われるサンプルと、(b)RNA部位と3’DNA部位とから構成される、オリゴヌクレオチドテンプレートに対する複合プライマーと、(c)DNAポリメラーゼ、dNTP、およびRNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素と、(d)プロモーターとオリゴヌクレオチドテンプレートの一領域と相補的な領域とを持つポリヌクレオチドと、RNAポリメラーゼと、NTPとを含み、インキュベーションが、複合プライマーとオリゴヌクレオチドテンプレートとのハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチド重合、およびRNA切断と、プロモーターを含むハイブリダイゼーション産物が生成される、プロモーターとオリゴヌクレオチドテンプレートの一領域に相同な領域とを持つポリヌクレオチドと切断プライマー伸長産物とのハイブリダイゼーションと、RNAポリメラーゼによるハイブリダイゼーション産物の転写と、を可能とする条件下にあることで、複数のRNA転写産物が生成され、RNA転写産物の検出によって被分析物の存在が示される。
別の局面において、本発明は、結合パートナーに付着したポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列のコピーを複数生成し、および/または該ポリヌクレオチド配列を定量する方法であって、(a)RNA部位と3’DNA部位とから構成される複合プライマーを、結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドに対して、ハイブリダイズさせ、(b)DNAポリメラーゼによって複合プライマーを伸長させ、(c)別の複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長を繰り返すように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNAを切断することで、結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分に対して相補的なポリヌクレオチド配列のコピーが複数生成される方法を提供する。
別の局面において、本発明は、結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートのRNA転写産物のコピーを複数生成する方法であって、(a)RNA部位と3’DNA部位とから構成される複合プライマーを、結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドに対して、ハイブリダイズさせ、(b)DNAポリメラーゼによって複合プライマーを伸長させ、(c)別の複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長を繰り返すように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNAを切断して、置換プライマー伸長産物を生成し、(d)プロモーターと、RNAポリメラーゼによる転写産物の生成を可能とする条件下で置換プライマー伸長産物にハイブリダイズする領域とを含むポリヌクレオチドをハイブリダイズさせることで、置換プライマー伸長産物に対して相補的な配列を含むRNA転写産物の生成し、それによって、結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列のコピーが複数生成される方法を提供する。
1つの局面において、本発明は、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法であって、(a)サンプルを、結合を可能とする条件下で被分析物と結合する能力のある結合パートナーと接触させ、被分析物が存在する場合に、被分析物と結合パートナーとの複合体が形成され、該結合パートナーがオリゴヌクレオチドテンプレートに付着し、(b)任意に、もし存在する場合、複合体を未結合の結合パートナーから分離し、(c)複合体内の結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の増幅を、(i)RNA部位と3’DNA部位とから構成される複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせる工程と、(ii)任意に、終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを、複合プライマーとオリゴヌクレオチドテンプレートとのハイブリダイゼーションに関して5’であるオリゴヌクレオチドテンプレートの一領域とハイブリダイズさせる工程と、(iii)DNAポリメラーゼにより複合プライマーを伸長せることによって、検出可能な同定特性を持つプライマー伸長産物を生成する工程と、(iv)別の複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長が繰り返されるように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNA部位を切断することで、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分と相補的なポリヌクレオチド配列のコピーを複数生成し、検出可能な同定特性を持つ切断プライマー伸長産物を検出する工程と、を含む方法にしたがって、サンプル中の被分析物の存在を示す、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法を提供する。
別の局面において、本発明は、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法であって、(a)サンプルと、結合を可能にする条件下で被分析物に結合可能で、かつオリゴヌクレオチドテンプレートに付着する結合パートナーとを接触させ、それによって被分析物が存在する場合に被分析物と結合パートナーとの複合体を形成し、(b)任意に、もし存在する場合、複合体を未結合の結合パートナーから分離し、(c)複合体内の結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの一部に相補的なポリヌクレオチドの増幅を、(i)RNA部位と3’DNA部位とから構成される複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせ、(ii)任意に、終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを、複合プライマーとオリゴヌクレオチドテンプレートとのハイブリダイゼーションに関して5’であるオリゴヌクレオチドテンプレートの一領域とハイブリダイズさせ、(iii)DNAポリマーにより複合プライマーを伸長せる工程と、(iv)別の複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長を繰り返し、検出可能な同定特性を持つ切断プライマー伸長産物が生成されるように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNA部位を切断する工程と、(v)RNAポリメラーゼによって転写産物が生ずるのを可能とする条件下で、置換プライマー伸長産物に、ハイブリダイズする領域とプロプロモーターとを含むポリヌクレオチドをハイブリダイズさせ、検出可能な同定特性を持つRNA転写産物を生成し、それによってオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分のコピーを複数生成し、さらに検出可能な同定特性を持つRNA転写産物の検出によって、サンプル中の被分析物の存在を示す、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法を提供する。
別の局面において、試験サンプル中の被分析物を定量する方法であって、(a)サンプルを、結合を可能とする条件下で被分析物と結合する能力のある結合パートナーと接触させ、被分析物が存在する場合に、被分析物と結合パートナーとの複合体が形成され、該結合パートナーがオリゴヌクレオチドテンプレートに付着し、(b)任意に、もし存在する場合、複合体を未結合の結合パートナーから分離し、(c)複合体内の結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の増幅を、(i)RNA部位と3’DNA部位とから構成される複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせる工程と、(ii)任意に、終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを、複合プライマーとオリゴヌクレオチド標的レポーターとのハイブリダイゼーションに関して5’であるオリゴヌクレオチドテンプレートの一領域とハイブリダイズさせる工程と、(iii)DNAポリメラーゼにより複合プライマーを伸長せることによって、検出可能な同定特性を持つプライマー伸長産物を生成する工程と、(iv)別の複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長が繰り返されるように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNA部位を切断することで、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分と相補的なポリヌクレオチド配列のコピーを複数生成し、検出可能な同定特性を持つ切断プライマー伸長産物を検出する工程と、(d)既知量を含む参照サンプル中で得られた増幅されたポリヌクレオチド配列の量に対して、増幅されたポリヌクレオチド配列の量を比較する工程とを含む方法にしたがって、サンプル中の被分析物の存在を示す、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法を提供する。
別の局面において、本発明は、サンプル中の被分析物の定量する方法であって、(a)サンプルと、結合を可能にする条件下で被分析物に結合可能で、かつオリゴヌクレオチドテンプレートに付着する結合パートナーとを接触させ、それによって被分析物が存在する場合に被分析物と結合パートナーとの複合体を形成し、(b)任意に、もし存在する場合、複合体を未結合の結合パートナーから分離し、(c)複合体内の結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの一部に相補的なポリヌクレオチドの増幅を、(i)RNA部位と3’DNA部位とから構成される複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせ、(ii)任意に、終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを、複合プライマーとオリゴヌクレオチドテンプレートとのハイブリダイゼーションに関して5’であるオリゴヌクレオチドテンプレートの一領域とハイブリダイズさせ、(iii)DNAポリマーにより複合プライマーを伸長せる工程と、(iv)別の複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長を繰り返し、検出可能な同定特性を持つ切断プライマー伸長産物が生成されるように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNA部位を切断する工程と、(v)RNAポリメラーゼによって転写産物が生ずるのを可能とする条件下で、置換プライマー伸長産物に、ハイブリダイズする領域とプロプロモーターとを含むポリヌクレオチドをハイブリダイズさせ、検出可能な同定特性を持つRNA転写産物を生成し、それによって、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分のコピーが複数生成される方法によっておこない、(d)増幅ポリペプチド配列の量を、既知量の被分析物を含む基準サンプルで得られた増幅ポリペプチド配列の量と比較し、該比較によって試験サンプル中の分析物の量の定量をおこなう、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法を提供する。
別の局面において、本発明は、反応混合物をインキュベートすることを含む、サンプル中の被分析物の存在を検出する方法を提供するもので、反応混合物は、(a)被分析物とオリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーとの複合体と、(b)RNA部位と3’DNA部位とから構成される、オリゴヌクレオチドテンプレートに対する複合プライマーと、(c)任意に、複合プライマーとオリゴヌクレオチドテンプレートとのハイブリダイゼーションに関して5’であるオリゴヌクレオチドテンプレートの一領域に対する終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドと、(d)DNAポリメラーゼ、dNTP、およびRNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素と、を含み、インキュベーションが、複合プライマーとオリゴヌクレオチドテンプレートとのハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチド重合、およびRNA切断を可能とする条件下にあることで、検出可能な同定特徴を含む切断プライマー伸長産物が生成され、切断プライマー伸長産物が検出され、それによって被分析物の存在が検出される。
別の局面において、本発明は、反応混合物をインキュベートすることを含む、サンプル中の被分析物の存在を検出する方法を提供するもので、反応混合物は、(a)分析物とオリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーとの複合体と、(b)RNA部位と3’DNA部位とから構成される、オリゴヌクレオチドに対する複合ポリマーと、(c)任意に、複合プライマーとオリゴヌクレオチドテンプレートとのハイブリダイゼーションに関して5’であるオリゴヌクレオチドテンプレートの一領域に対する終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドと、(d)DNAポリメラーゼ、dNTP、およびRNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素と、(e)プロモーターとオリゴヌクレオチドテンプレートの一領域に対して相同な一領域とから構成されるポリヌクレオチドと、RNAポリメラーゼと、NTPとを含み、インキュベーションは、複合プライマーとオリゴヌクレオチドテンプレートとのハイブリダイゼーションと、オリゴヌクレオチド重合、およびRNA切断を可能とする条件下にあり、プロプロモーターとオリゴヌクレオチドテンプレートの一領域に相同な領域とから構成されるポリヌクレオチドが切断プライマー伸長産物とハイブリダイズすることにより、プロモーターを含むハイブリダイゼーション産物が生じ、RNAポリメラーゼによるハイブリダイゼーション産物が転写されることで、検出可能な同定特性を含むオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分のコピーが複数生成され、またオリゴヌクレオチドテンプレートが検出されることから、被分析物の存在が検出される。
別の実施形態では、本発明は、結合パートナーに付着したポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオチド配列のコピーを複数生成し、そして/または該ポリヌクレオチド配列を定量する方法を提供するもので、(a)結合パートナーに付着する一本鎖DNA合成テンプレートをRNA部位および3’DNA部位を含む複合ポリマーとハイブリダイズさせ、(b)DNAポリメラーゼにより複合プライマーを伸長させ、(c)別の複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長を繰り返すようにして、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素によって、アニールされた複合体プライマーのRNA部位を切断することで、結合パートナーに付着したポリヌクレオチド配列の相補的配列のコピーが複数生成される。
別の実施形態では、本発明は、結合パートナーに付着したポリヌクレオチド配列の複数のコピーを生成する方法であって、(a)一本鎖DNA合成複合プライマーを、RNA部位および3’DNA部位を含む複合プライマーにハイブリダイズさせ、(b)DNAポリメラーゼにより複合プライマーを伸長させ、(c)別の複合プライマーがテンプレートにハイブリダイズし、さらに鎖置換によりプライマー伸長を繰り返すようにして、RNA/DNA合成ハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、アニールされた複合プライマーからRNA部位を切断することで、置換プライマー伸長産物を生成し、(d)RNAポリメラーゼによる転写を可能とする条件下で、プライマーとハイブリダイズする領域とを含むポリヌクレオチドを、プライマー伸長産物にハイブリダイズさせ、置換プライマー伸長産物に相補的な配列を含むRNA転写産物を生成し、それによって結合パートナーに付着したポリヌクレオチド配列の相補的配列のコピーを複製する方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は複合体中にRNA部位および3’DNA部位を含む複合プライマーを伸長させることでサンプル中の被分析物の有無を決定する方法であって、該複合体は、(a)被分析物に結合した結合パートナーに付着するオリゴヌクレオチドテンプレートと、(b)RNA部位および3’DNA部位から構成される複合プライマーの伸長によって生成されるプライマー伸長産物とを有し、複合プライマーがオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって伸長するようにして、RNA/DNA合成ハイブリッドからRNAを切断する酵素によって伸長産物からRNAが切断され、それによって切断プライマー伸長産物が置換され、さらに置換プライマー伸長産物(検出可能な同定特性を有する)が検出されることでサンプル中の被分析物の存在が示される方法を提供する。
上記方法のいくつかの実施形態では、被分析物が中間結合パートナーに結合すること、すなわち中間結合パートナーに対する被分析物の結合であってもよい。ここで、中間結合パートナーは、オリゴヌクレオチドテンプレートに対して付着する結合パートナーに結合し、それによって、オリゴヌクレオチドテンプレートに付着する結合パートナーが、被分析物に直接結合する代わりに、中間体結合パートナーを介して分析物に間接的に結合し、それによって被分析物結合パートナー複合体が形成される。例えば、中間体結合パートナーは、被分析物に特異的な抗体を含むものであってもよく、例えば被分析物は、いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素(BoNT)群を含む。上記方法のいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドテンプレートが付着した結合パートナーは、中間体結合パートナー抗体に特異的な第2の抗体、例えば上記BoNT群のメンバーに対して特異的な毒素に対する第2の抗体を含むものであってもよい。
上記方法のいくつかの実施形態では、被分析物は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸断片、炭水化物類、細胞、微生物、およびそれらのフラグメントまたは産物、有機分子、ならびに無機分子からなる群から選択される構造を含むものであってもよい。被分析物は、例えば、ボツリヌス毒素(BoNT)群の一毒素等のペプチドを含むものであってもよい。
上記方法のいくつかの実施形態では、複合プライマーのRNA部位は、3’DNA部位に関して5’であり、いくつかの実施形態では、該5’RNA部位は3’DNA部位に隣接している。上記方法のいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドテンプレートは、ssDNA部位を含み、該ssDNA部位の長さは約25ないし約100ヌクレオチドであり、いくつかの実施形態では、ssDNA部位の長さは、約25ないし約200ヌクレオチドである。
上記方法のいくつかの実施形態では、RNAを切断する酵素はRNアーゼHである。
上記方法のいくつかの実施形態で、オリゴヌクレオチドテンプレートは結合パートナーに共有結合によって付着する。上記方法の他の実施形態では、オリゴヌクレオチドテンプレートは、結合パートナーに対して非共有結合により付着する。
上記方法のいくつかの実施形態で、検出可能な同定特性は、切断プライマー伸長産物またはRNA転写産物の長さ、該切断プライマー伸長産物またはRNA転写産物の配列、および切断プライマー伸長産物またはRNA転写産物に付着した検出可能なシグナルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、検出可能な同定特性は、切断プライマー伸長産物またはRNA転写産物の配列を含むものであってもよい。それによって、上記配列の検出を、切断プライマー伸長産物またはRNA転写産物と、該切断プライマー伸長産物またはRNA転写産物にハイブリダイズ可能な核酸プローブ(例えば、該核酸プローブはDNAを含むものであってもよい)とをハイブリダイズすることによって、おこなうことができる。いくつかの実施形態では、核酸プローブをアレイ、例えば紙、ガラス、プラスチック、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリルアミド、ニトロセルロース、シリコン、金属、ポリスチレン、および光ファイバーからなる群から選択される材料から作られた基体上に固定化されたプローブを含む。
いくつかの実施形態では、検出可能なシグナルは、プライマー伸長または転写の際に取り込まれるデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはリボヌクレオシド三リン酸もしくはそのアナログ上の標識に関連している。
上記方法のいくつかの実施形態では、検出可能なシグナルは、2つの標識の相互作用に関連しており、該標識はデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはリボヌクレオシド三リン酸もしくはそれらのアナログ上にあり、該標識の1つまたは両方がプライマー伸長またはRNA転写の際に取り込まれる。これらの実施形態のいくつかでは、1つの標識が、プライマー伸長またはRNA転写の際に取り込まれるデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはそのアナログ上にあり、別の標識がプライマー伸長産物のプライマー部位に位置するデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはそのアナログ上にある。
上記方法のいくつかの実施形態では、被分析物−結合パートナー複合体は、もし存在するならば、該被分析物に特異的な捕捉パートナーを含む固体表面上に被分析物を捕捉することで、未結合の結合パートナーから分離される。
上記方法のいくつかの実施形態では、被分析物または被分析物−結合パートナー複合体が固体表面に付着する。上記方法の別の実施形態では、被分析物または被分析物結合パートナー複合体が溶液状である。
この開示によって明らかなように、サンプルに接触することは、被分析物に接触することが含まれる。また、本発明はキットと同様に組成物(複合体を含む)も提供する。
本発明の概要および利点
本発明は、特異的複合体を形成するための2つ以上の分子による相互作用を超高感度検出および定量するための方法、組成物、およびキットを提供する。特に、本発明は、被分析物の超感度検出および/または定量のための新規の方法、組成物、およびキットを開示する。本発明は、さらに、複合サブユニット被分析物と、複数の結合パートナーと単一または複数の被分析物との相互作用とを検出および定量するための方法、組成物、ならびにキットを提供する。
本方法は、一般に、被分析物に対する結合パートナーを用いるもので、該結合パートナーがオリゴヌクレオチドテンプレートに結合する。さらに、本発明は、一般に、RNA/DNA複合プライマー、任意に終止配列、また転写産物が使用される実施形態では、プロプロモーターオリゴヌクレオチド配列を用いて、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部を増幅し、検出可能な同定特性を含む増幅産物を生成することが含まれる。この開示が明らかにするように、上記テンプレートの「一部」を増幅することへの言及は、テンプレートの少なくとも一部を増幅することを意味し、さらにテンプレートの少なくとも一部(しかし、必然的に一部だけ)が増幅される。上記オリゴヌクレオチドテンプレートの「一部」に対して相補的は配列を増幅することへの言及は、オリゴヌクレオチドテンプレートに対して相補的な配列を増幅することを、概ね意味する。上記オリゴヌクレオチドテンプレートの「一部」に相補的は配列を増幅することは、概ね、オリゴヌクレオチドテンプレートに相補的な配列を増幅することを意味するもので、該相補的配列がオリゴヌクレオチドテンプレート全体に一致することを暗示するものではない。
増幅産物は、サンプル中の被分析物の存在および/または量を決定することを特徴とする。逆に、増幅産物の欠如または該増幅産物が取るに足らない量である場合、サンプル中に非分析産物が存在しないことを示す。本明細書で用いられるように、産物が「存在しない(absent)」または「非存在(absence)」であること(有無)、および「産物が検出されないこと(lack of detection of product)」は、一般に、取るに足りないレベルまたは最小のレベルを含むもので、産物の著しい集積がないことによる。
一般的な概要として、上記方法は以下のように機能する。すなわち、結合パートナーが提供され、もし存在するならば被分析物と結合する。いくつかの実施形態では、単一結合パートナーを用いて単一被分析物が検出される。別の実施形態では、単一被分析物上の複数の部位が複数の結合パートナーを用いて検出される。さらに別の実施形態では、複合サブユニット被分析物は、単一または複数の結合パートナーを用いて検出される。さらに別の実施形態では、複数の(異なる)結合パートナーを用いて複数の被分析物が検出される。
他の実施形態では、被分析物は、1つ以上の中間結合パートナーに結合し、そのうちの1つ以上が、オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーに結合する。
いくつかの実施形態で、結合パートナーが被分析物に結合した後、結合した結合パートナーから未結合の結合パートナーが除去または分離される。この発明の目的のために、除去が完全で絶対的な除去である必要はなく、除去または分離が被分析物の有無の評価にとって十分なものであればよいことが分かる(すなわち、未結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドの増幅から生ずる著しい障害または「ノイズ」)。あるいは、別の実施形態では、それら2つは分離されてはいないが、結合した結合パートナーのみがそのオリゴヌクレオチドテンプレートの増幅にとって利用可能である。結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分が次に増幅される。
概ね要約すれば、増幅方法は以下のように作用する。すなわち、複合RNA/DNAプライマーがオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分を複製する土台を形成する。いくつかの実施形態では、任意ではあるが、終止配列によって、オリゴヌクレオチドテンプレートに沿うさらなる複製をそらすか、もしくはブロックすることによって、複製の終点としての土台が設けられる。以下に説明するように、いくつかの実施形態では、終止配列を含むポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドテンプレートに対して十分な相補性を持たずにハイブリダイズする配列(ハイブリダイゼーションに対して十分に相補的である配列に加えて)を持つテンプレートスイッチ・オリゴヌクレオチド(TSO)を含むもので、一方別の実施形態では、終止配列は、オリゴヌクレオチドテンプレートに対して十分な相補性を持ってハイブリダイズする。DNAポリメラーゼによって、プライマーからオリゴヌクレオチドテンプレートの一部がコピーされる。RNA/DNaハイブリッドからRNAを切り出す酵素(例えば、RNアーゼH)によって、ハイブリッドからRNA配列を切断(除去)することで、他の複合プライマーによる結合に利用可能なオリゴヌクレオチド配列が残る。別の鎖は、DNA合成ポリメラーゼによって生成され、該DNAポリメラーゼによって既に複製された鎖が置換され、結果として、オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部に相補的なssDNAである置換伸長産物が得られる。いくつかの実施形態では、第2の複合プライマーが置換伸長産物に結合してそれと置き換わることも可能であり、それによってオリゴヌクレオチドテンプレートのもともとの部分と同一のssDNAが生ずる。当業者は、この文脈での「同一の(identical)」には、重合プロセスでの正常なエラーを介して導入された複数の異なる塩基を含むssDNAが含まれることを、理解するだろう。任意に、置換された伸長産物の3’末端に十分な相補性を持ってハイブリダイズする配列を含む置換プライマー伸長産物(例えば、テンプレート・スイッチ・オリゴヌクレオチドまたはプロモーター・テンプレート・オリゴヌクレオチドであり得る)にハイブリダイズする領域とプライマーとを有するポリヌクレオチドは、置換プライマー伸長産物に結合する。このプロモーターは、転写(DNA依存型RNAポリメラーゼを介して)を促す。
したがって、本発明の増幅方法は、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分の少なくとも一つのコピーを生成する方法(概ね、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分を増幅する方法)であって、該オリゴヌクレオチドテンプレートは、(a)増幅すべき一部分を含む結合パートナーに付着した一本鎖オリゴヌクレオチドテンプレートと、(b)RNA部位および3’DNA部位を含む複合プライマーと、(c)DNA合成ポリメラーゼと、(d)デオキシリボヌクレオシド三リン酸または適当なアナログと、(e)RNA/DNA二重鎖からRNAを切断するRNアーゼH等の酵素と、(f)任意に、RNA部位および3’DNA部位を含む第2のプライマーと、(g)任意に、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズする一部分(または領域)を含む終止配列を有するポリヌクレオチド(例えば、本明細書に記載されたいずれかのポリヌクレオチド)と、から構成される。しかし、オリゴヌクレオチドテンプレートが合成されたものであり、テンプレートのssDNAの一部として、終止部位または重合を終わらせる他の部位を含むものであってもよいことから、終止配列は必要に応じたものである。組み合わせを、適当な条件にさらして、(a)複合プライマー(および、必要に応じて、終止配列を含むポリヌクレオチド)がオリゴヌクレオチドテンプレートとハイブリダイズし、(b)複合プライマーからプライマー伸長が生じて二重鎖を形成し、(c)RNアーゼHがRNA/DNA二重鎖から複合プライマーのRNA転写産物を切断し、(d)別の複合プライマーをオリゴヌクレオチドテンプレートとハイブリダイズさせ、またプライマー伸長(DNAポリメラーゼを介して)をさらに繰り返し、テンプレートから、既にコピーされた鎖を置換し、(e)任意に、第2の複合プライマーを置換プライマー伸長産物にハイブリダイズさせ、さらに工程(a)ないし(d)が置換プライマー伸長産物上で繰り返す。
必要に応じて、増幅反応では以下のものも含まれる(上記した構成要素と同時に、または別々に添加)。すなわち、置換鎖の転写がしうる条件下で、(f)プロモーター配列(本明細書に記載されるように、いくつかの形態のいずれかである)と、弛緩プライマー伸長産物にハイブリダイズする領域とを含むポリヌクレオチドと、(g)リボヌクレオシド三リン酸または適当なアナログと、(h)RNAポリメラーゼとを含む。本発明の方法の種々の成分については、以下に詳細に記載する。
本発明の増幅工程は、何倍(例えば、1012倍)にも増加したオリゴヌクレオチドテンプレートの一部に対応する増幅産物を提供する。
被分析物(もし存在する場合)の検出は、プライマー伸長のプロセスから発生するいくつかの方法で提示および検出可能な産物の形成を検出することをともなう。いくつかの実施形態では、被分析物の検出は、上記増幅産物の検出可能な同定特性を検出することをともなう。これらの実施形態では、増幅産物は、検出可能な同定特性を有する。
検出可能な同定特性は、サイズ、配列、および標識である。これらを、増幅産物の検出および/または定量で、単独または組み合わせて用いることが可能である。サイズが利用される場合、公知の種々の方法を用いて、増幅産物のサイズを特徴付けるために使用することが可能であり、例えば電気泳動および本明細書に記載される他の技術が挙げられる。配列を用いた場合、オリゴヌクレオチドを検出する任意の周知手段によって、増幅産物を検出することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、検出および/または定量する方法は、固体支持体上に固定された相補的オリゴヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションである。あるいは、いくつかの実施形態の場合、検出は、オリゴヌクレオチドテンプレートの増幅中に放出されるピロリン酸塩を検出することによって達成される。したがって、産物の検出には、ピロリン酸または他の伸長を示す目印の検出等の間接的検出が含まれる。検出可能な同定特性として標識の使用が使用される場合、標識の光学的特性が、プライマーへの付着後に変わる可能性がある。例えば、遊離ヌクレオチド三リン酸に付着した蛍光色素の蛍光偏光が、ポリメラーゼによるプライマーの付着により変化することが示されている。上記増幅産物を標識し、検出方法が固体支持体上に固定することである場合、固体支持体上への増幅産物の固定化および標識の検出によって、反応混合物中に上記産物の存在が示される。さらに、エネルギー伝達を用いて、標識のスペクトル特性が変化したことを検出ことが可能である。プライマーがドナーまたはアクセプター染料によって標識され、さらに/またはヌクレオチド三リン酸あるいはそのアナログがアクセプターまたはドナー染料によって標識されている場合、増幅産物に染料が取り込まれることで、ドナーとアクセプター染料との間でエネルギー伝達が可能となり、それによって付着染料が特異的なスペクトル特性を示す。この検出実施形態に有効な蛍光色素は、周知であり、かつ本明細書に記載されている。
本発明の方法は、さらに、被分析物−結合パートナー複合体の多重分析に有用である。すなわち、異なる被分析物に結合した異なる結合パートナーに付着した種々のオリゴヌクレオチドテンプレートを単一の反応混合物中で同時に増幅することが可能である。そのような実施形態では、テンプレートであるオリゴヌクレオチドの複合プライマー結合領域が同一であっても異なるものであってもよい。もし、同一の複合結合領域を使用する場合、単一の複合プライマーの提供のみが求められ、被分析物−結合パートナー複合体中の種々の被分析物の相対量がより正確に決定される。
本発明の方法は、さらに、種々の時点で反応を停止させるために提供され、各時点で、さらに複合体および混合物が生成される。
また、本発明は、本発明の方法に有用な組成物、キット、およびシステムを提供する。本明細書に記載されるように、本発明はさらに、例えば被分析物とオリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーとを含む複合体を提供する。
本明細書に記載した方法および増幅産物を用いる他の方法を以下に示す。
本発明の利点
本発明の方法は、核酸増幅を用いる被分析物検出および/または定量に関する他の方法を超える顕著な利点を提供する。プライムされたオリゴヌクレオチドテンプレートの形成、既に生成された伸長産物のプライマー伸長および置換は、リボヌクレアーゼ活性によるハイブリダイズされたプライマーのRNA切断に依存する。したがって、プライマー伸長産物は、プライマーの5’最末端が欠如している。したがって、もし複製の第2ラウンドが用いられる場合、またはもし転写にもとづく方法が用いられる場合、第2のDNA複製産物またはRNA転写産物は、プライマーのこの部分に対して相補的な3’末端を含まない。したがって、増殖産物は、プロダクティブな増幅に対するプライマー(第1のプライマー)にハイブリダイズすることができないので、本発明の増幅方法は、先行する増幅反応により生成された産物による汚染が原因の非特異的増幅に妨害されない。この特徴によって、PCR、NASBA等の非線形核酸増幅に頼って被分析物を検出および/定量する既知の他の方法から区別され、また臨床検査室、ハイスループット試験サイト等で一般に使われる開管プラットホームに適した本発明の方法が提供される。
本発明の方法は、増幅が等温でおこなわれるという点で、被分析物の検出および/または定量をおこなうためにサーモサイクル法を必要としない。この特徴は、数々の利点を提供するもので、該利点として、ハイスループットの被分析物検出および/または定量の自動化および適合化を促すことが挙げられる。報告されている他の方法は、元の配列から増幅産物を分離するために温度サイクルを必要とする。等温反応は、温度サイクルによって与えられるものよりも速く、小型化した装置に適している。
本発明の被分析物検出/定量法の他の利点は、単一のプライマーのみが求められることである。単一のプライマーを用いることで、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部を増幅させる単一方向プライマー伸長がおこなわれる。これは、プライマー対を使用しなければならないことに関連した多数の欠点(例えば、2セットのプライマーを設計および製造するコストならびに非特異的プライミングによって増幅産物が生ずる可能性の増大)を取り除く。
本発明の方法にもとづく増幅の産物は、一本鎖であり、既知の種々の核酸検出方法により容易に検出可能である。一般に、産物(例えば、検出可能な同定特性を持つ切断増幅産物)の「検出」は、サイクリング(すなわち、反応が繰り返されるサイクル)によって生ずる産物の著しい量を検出することを意味する。サイクリングによって、増幅産物が集積する。サイクリングがおこなわれない(例えば、被分析物が存在しないことにより、被分析物−結合パートナー複合体が存在しないことによる)場合、本発明の方法の目的からみて、産物は無視できる程度または僅かであり、「検出」されない。
上記方法は、定量的な測定にも適している。集積した増幅産物を定量することで、サンプル中に含まれる被分析物または複数の被分析物を定量することが可能となる。
一般的技術
本発明は、特に指示しない限り、当該技術分野の技術範囲内で従来の分子生物学的技術(組み換え技術を含む)、微生物学的技術、細胞生物学的技術、生化学的技術、および免疫学的技術を用いる。そのような技術全体については、文献に記載れている(例えば、”Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,second edition(Sambrook et al.,1989);”Oligonucleotide Synthesis”(M.J.Gait,ed.,1984),”Animal Cell Culture”(R.I.Freshney,ed.,1987);”Methods in Enzymology”(Academic Press,Inc.);”Current Protocols in Molecular Biology”(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987,and periodic updates);”PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis et al.,eds.,1994))。
本発明で用いたプライマー、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドは、既知の標準的技術を用いて生成することができる。
定義
本明細書で使用される「増幅」とは、概して、所望の配列のコピーを複数生産するプロセスのことをいう。本明細書で使用される「複数のコピー」とは、少なくとも2つのコピーを意味する。「コピー」とは、テンプレート配列に対して完全な配列相補性または同一性を意味する必要はない。「コピー」の意味として、目的とする配列(例えば増幅すべきオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分)に対してハイブリダイズ可能(好ましくは相補的)な核酸配列が含まれる。コピーの例として、デオキシイノシン等のヌクレオチドアナログ、意図的な配列の変更(例えば、テンプレートとハイブリダイズ可能ではあるが相補的ではない配列を含むプライマーを介して引き起こされる配列の変化)、および/またはDNA重合中に起こる配列エラーが挙げられる。
本明細書で相互に言い換え可能なかたちで用いられるように、「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、任意の長さのヌクレオチド・ポリマーをいい、DNAおよびRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドあるいは塩基、ならびに/またはそれらのアナログ、もしくはDNAまたはRNAポリメラーゼによってポリマーに取り込まれる任意の基質である。ポリペプチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびそれらのアナログを含むものであってもよい。もし存在する場合、ヌクレオチド構造に対して、ポリマーのアセンブリー前後に修飾を施すことができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって妨げられる。重合後に、標識成分との結合により、ポリヌクレオチドをさらに修飾することができる。修飾の別の種類として、例えば、「キャップ」、天然の1種類以上のヌクレオチドのアナログ、非荷電結合(uncharged linkage)等のヌクレオチド間修飾(例えば、メチルホスホン酸塩類、ホスホトリエステル類、ホスホアミド酸塩類、およびカバメート類(cabamates))および帯電結合(例えば、ホスホロチオエート類およびホスホロジチオエート類)、タンパク質等(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナル・ペプチド、およびply−L−リジン)のペンダント部位を持つもの、インターカレーター(例えば、アクリジンおよびソラレン)を持つもの、キレート化剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、および酸化金属)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾結合(例えば、アルファ・アノマー核酸)を持つもの、さらにポリヌクレオチドの未修飾形態が挙げられる。さらに、糖類に通常存在する水酸基のいずれも、例えばホスホネート基、リン酸基によって置換し、標準的保護基で保護し、または活性化することで、追加されたヌクレオチドに対して結合が追加され、あるいは固体支持体に結合することが可能である。5’および3’末端OHをリン酸化もしくはアミンまたは1ないし20炭素原子の有機キャップ部位により置換することができる。他のヒドロキシル類も標準的保護基に対して誘導化可能である。ポリヌクレオチドもまた、当該技術分野で一般に知られているリボース糖またはデオキシリボース糖の類似の形態を含むことができ、例えば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環式糖アナログ、α−アノマー糖、異性化糖(例えばアラビノース、キシロース、あるいはリキソース)、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース糖、非環式アナログおよび塩基喪失(abasic)ヌクレオシドアナログ(例えば、メチル・リボシド)が挙げられる。一種類以上のリン酸ジエステル結合が別の結合基に置換されてもよい。これらの結合基として、限定されるものではないが、リン酸塩がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジエチオアート」)、(O)NR(「アミデート」)、P(O)R’、COまたはCH(「ホルムアセタール」)によって置換される実施形態が挙げられる。ここで、RまたはR’は、それぞれ別個にH、もしくは任意にエーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、スクロアルケニル、あるいはアラウジルを含む置換または未置換アルキル(1−20C)が挙げられる。ポリヌクレオチド内のすべての結合が同一である必要はない。上記の記載は、RNAおよびDNAオリゴヌクレオチドを含む本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適応される。
本明細書で使用されるように、「オリゴヌクレオチド」とは、一般に、短く、概ね一本鎖で、概ね合成されたポリヌクレオチドをいい、該ポリヌクレオチドは、限定されるものではないが、長さが約200ヌクレオチド未満である。本発明のオリゴヌクレオチドには、複合プライマー、TSO、PTO、およびブロッカー配列が含まれる。用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」とは、相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、等しく、かつ完全にオリゴヌクレオチドに適用できる。
本明細書で使用されるように、「オリゴヌクレオチドテンプレート」とは、オリゴヌクレオチドであって、その一部分がDNAポリメラーゼのテンプレートとしての役割を果たしてテンプレート鎖の一部に相補的な鎖が作られるオリゴヌクレオチドのことをいう。一般に、オリゴヌクレオチドテンプレートは、結合パートナーに付着する。
「プライマー」とは、概ね短い一本鎖のポリヌクレオチド(しばしばオリゴヌクレオチドと呼ばれる)であり、一般に遊離の3’−OH基を持ち、特定のポリヌクレオチドに結合する。それによって、元のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドの重合を促進するために使うことができる。
本明細書で相互に言い換え可能なかたちで用いられるように、「終止ポリヌクレオチド配列」または「終止配列」とは、オリゴヌクレオチドテンプレートに関して、DNAポリメラーゼによるDNA複製を停止させるポリヌクレオチド配列である。終止配列は、終止点(部位)対して5’の位置でテンプレートにハイブリダイズする部位(または領域)を有する。ハイブリダイズ可能な部位(例えば、ハイブリダイズする部位)は、終止配列全体を包含するものであっても、包含しないものであってもよい。本明細書では、適当な終止ポリヌクレオチド配列の例(例えば、ブロッカー配列およびTSO)を提供する。終止配列は、本発明の方法では任意である。
本明細書で相互に言い換え可能なかたちで用いられるように、「ブロッカー配列」または「ブロッキング配列」とは、終止配列の一例であり、概ね高い親和性で、終止部位に対して5’の位置でオリゴヌクレオチドテンプレートに結合し、標的配列を含むテンプレートに関してDNAポリメラーゼによるDNA複製を停止させるオリゴヌクレオチドのことをいう。DNAポリメラーゼによる伸長に対して、その3’末端をブロックしても良いし、ブロックしなくてもよい。ブロッカー配列は、本発明の方法では任意である。
本明細書で相互に言い換え可能なかたちで用いられるように、「終止部位」または「終止点」とは、重合の停止またはテンプレートスイッチに先だって、DNAポリメラーゼによって最後に複製されるオリゴヌクレオチド(一般に、プライマー伸長)の部位、点、または領域のことをいう。任意に、それは、例えば、TSOに関して、テンプレート・ポリヌクレオチドからハイブリッドしていないTSO部位へテンプレートがスイッチングする前に、プライマー伸長産物の3’末端に対して相補的であるオリゴヌクレオチドテンプレート内の位置または領域である。
本発明で用いられるように、「プロトプロモーター配列」および「プロプロモーター配列」とは、RNA転写を介して二重鎖の形態になることが可能な一本鎖DNA配列領域のことをいう。ある文脈では、「プロトプロモーター配列」、「プロトプロモーター」、「プロプロモーター配列」、「プロプロモーター」、「プロモーター配列」、および「プロモーター」が相互に言い換え可能なかたちで用いられる。
本明細書で用いられるように、「テンプレート・スイッチ・オリゴヌクレオチド(TSO)」とは、プライマー伸長の終止部位に対して5’位置でテンプレートにハイブリダイズ可能(例えば、ハイブリダイズする)であり、かつDNAポリメラーゼによるプライマー伸長のプロセスでテンプレートスイッチをもたらすことが可能である部位(または領域)を含むオリゴヌクレオチドのことをいう。TSOは、一般に当該技術分野で周知である。「テンプレートスイッチ」とは、プライマー伸長の一回のラウンド過程で、概ね標的核酸からTSOのハイブリッドされていない部位へのテンプレート核酸での変化のことをいう。TSOの使用は、本発明の方法では任意である。
本明細書で用いられるように、「プロプロモーターテンプレートオリゴヌクレオチド(PTO)」とは、プロモーター配列と、プライマー伸長産物の3’領域にハイブリダイズ可能(例えば、ハイブリダイズする)部位、概ね3’部位とを含むオリゴヌクレオチドのことをいう。プロモーター配列およびハイブリダイズ可能な部分は、オリゴヌクレオチドの同一ヌクレオチド、異なるヌクレオチド、もしくは重なったヌクレオチドであってもよい。
「複合体」は、複数の成分の集合(アセンブリー)である。複合体は、安定であっても安定でないものであってもよく、また直接または間接的に検出可能である。例えば、本明細書に記載するように、所定の反応成分、および反応産物の種類、複合体の存在を推測することができる。この発明の目的に対して、複合体は最終反応産物に関して、概ね中間体である。
本明細書で用いられるように、「システム」は、本発明の方法を実施するための装置、機器、または機械類(例えば、自動化したもの)を含む。
本明細書で相互に言い換え可能なかたちで用いられるように、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの「部位」または「領域」は、2つ以上の塩基からなる連続的な配列である。別の実施形態では、領域または部位は、少なくとも、おおよそ3、5、10、15、20、および25連続ヌクレオチドのいずれかである。
「反応混合物」は、複数の成分の集合であり、適当な条件下で反応して、複合体(中間体であってもよい)および/または産物を形成する。
「単数形の表現(a、an、the等)」には、特に指示しない限り、複数形の意味も含まれる。
特許法で定着した原則にもとづくと、「から構成される(comprising)」は、含む(including)を意味する。
実施するイベント(例えば、ハイブリダイゼーション、プライマー伸長、またはオリゴヌクレオチド付着反応)を「可能(allowまたはpermit)」にする条件またはイベントを実施するのに「適当」である条件、もしくは「適当な」条件は、そのようなイベントが生ずるのを妨げない条件である。したがって、これらの条件は、イベントを可能とし、エンハンスし、促進し、および/または寄与する。本発明で記載され、かつ周知のそのような条件で、例えば、ヌクレオチド配列の性質、温度、および緩衝条件に依存する。これらの条件もまた、ハイブリダイゼーション、切断、プライマー伸長等、どのようなイベントが求められているかに依存する。
本明細書で相互に言い換え可能なかたちで用いられるように、「マイクロアレイ」および「アレイ」とは、ヌクレオチド配列の集まりを中心位置に配置することをいう。アレイは、スライド・ガラス等の固形担体、またはニトロセルロース等の半固形担体である。ヌクレオチド配列は、DNA、RNA、またはそれらの任意の組み合わせである。
「3’」という用語は、一般に、同一ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド内の別の領域または位置から3’(下流)であるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド内の一領域または位置のことをいう。
「5’」とう用語は、一般に、同一ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド内の別の領域または位置から5’(上流)であるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド内の一領域または位置のことをいう。
「3’−DNA部位」、「3’−DNA領域」、「3’−RNA部位」、および「3’−RNA領域」とは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの3’末端に向けて位置したポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの部位のことをいい、同一のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの3’最末端ヌクレオチド(most nucleotide)または3’最末端ヌクレオチドに付着した部分を含むものであっても、もしくは含まないものであってもよい。「3’最末端ヌクレオチド」(単数形)とは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの3’側の最後のヌクレオチドのことをいう。3’最末端ヌクレオチド(複数形)は、3’最末端ヌクレオチドを含み、好ましくは約1ないし約20、より好ましくは約3ないし約18、さらに好ましくは約5ないし約15個のヌクレオチドである。
「5’−DNA部位」、「5’−DNA領域」、「5’−RNA部位」、および「5’−RNA領域」とは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの5’末端に向けて位置したポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの部位のことをいい、同一のポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの5’最末端ヌクレオチドまたは5’最末端ヌクレオチドに付着した部分を含むものであっても、もしくは含まないものであってもよい。「3’最末端ヌクレオチド」(単数形)とは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの5’側の最後のヌクレオチドのことをいう。5’最末端ヌクレオチド(複数形)は、5’最末端ヌクレオチドを含み、好ましくは約1ないし約20、より好ましくは約3ないし約18、さらに好ましくは約5ないし約15個のヌクレオチドである。
本発明で用いられるように、「ハイブリダイズ可能」または「ハイブリダイズすることが可能」とは、2本のポリヌクレオチド配列が、本発明の方法を実施する際に用いられる本明細書で記載した方法のいずれかで用いられる条件(例えば、温度、pH、およびイオン濃度)下で、ある程度の相補的塩基対形成を介してハイブリダイズする可能性および/または能力のことをいう。そのようなものとして、別の配列(例えば、オリゴヌクレオチドテンプレート)にハイブリダイズ可能である配列(例えば、プライマー)は、適当な条件下でその配列にハイブリダイズする。
本明細書で用いられるように、「検出可能な同定特性」とは、反応産物の存在を示す該反応産物の特性をいうもので、該特性は当業者に周知の方法で検出可能である。
「検出」は、任意の検出手段を含み、直接的および間接的な検出が含まれる。例えば、「検出可能な程度により少しの(detectably fewer)」産物を、直接または間接的に観察することが可能であり、その用語は任意の低減(産物を含まないこと)を示す。同様に、「検出可能な程度により多くの(detectably more)」産物は、直接的または間接的に観察される任意の増加を意味する。
本発明で用いられるように、用語「被分析物」とは、本発明の方法によって検出またはアッセイされる物質を示すもので、例えば、特徴付けられることが求められる化合物の特性、位置、量、有無、および/または独自性(アイデンテティ)のことをいう。典型的な被分析物として、限定されるものではないが、ポリペプチド、ペプチド、核酸断片、炭水化物類、細胞、微生物、およびそれらのフラグメントおよび産物、有機分子、無機分子、もしくは結合パートナーの付着部位が成長できる任意の物質を挙げることができる。関連出願では、「被分析物」とは、目的とする構造に結合(直接的または間接的のいずれかで)することで、目的構造の間接的検出に役立つ部分のこともいう(しより適切には、この文脈での「被分析物」は「中間結合パートナー」に言及したものであり、明確化するために、また本発明で伝達されるものに基づいて、「目的とする構造」に対する前言及が「被分析物」に置き換えられており、中間結合パートナーが用いられるところでは、「被分析物」に対する前言及が「中間結合パートナー」に対する言及に置き換えられている)。
本明細書に記載した全ての実施形態に関して、一般に実施形態または成分を「含む(comprising)」ことから、本発明ではこれらの実施形態または成分「〜から本質的になる(consist essentially of)」も含まれることが理解される。また、本発明ではこれらの実施形態または成分「からなる(consist of)」も含まれる。このことは、本明細書で記載される全ての実施形態にあてはまる。
本発明の方法
I.被分析物と結合パートナーとの結合
A.構成要素
1.被分析物
一般に、本発明の方法における最初の反応は、被分析物または複数の被分析物と結合パートナーまたは複数の結合パートナーとが結合して被分析物−結合パートナー複合体を形成することである。この被分析物−結合パートナー複合体内の結合パートナーの1つ以上がオリゴヌクレオチドテンプレートに付着し、その一部分が増幅することで該被分析物の存在を示すシグナルが生ずる。
結合パートナーまたは複数の結合パートナーと複合体を形成する被分析物は、任意の物質または複数の物質からなる任意の組み合わせであり、その特徴の検出が求められる。そのような特徴として、限定されるものではないが、存在、欠如、量、集合状態、立体構造の状態、または結合状態が挙げられる。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、被分析物は結合パートナーのための結合部位を1つ有する(図1参照)。いくつかの実施形態では、被分析物は複数の結合パートナーに対する複数の結合部位を有する。これらの実施形態では、結合部位は、同一または異なる結合パートナーであってもよい(図6参照)。もし被分析物が複数の結合部位を有する場合、各々の結合パートナーに対する結合部位の接近可能性が結合パートナーに対する被分析物の結合により形成される複合体の性質を決定することがわかり、また複合体の組成を検出し、被分析物の状態として情報を提供することが可能である。例えば、リガンドである被分析物が結合部位を2つ以上有する場合、リガンドがその受容体に結合することでそのうちの1つ以上がブロックされる。すなわち、リガンドと1つ以上の結合パートナーとの複合体の存在が検出され、リガンドの海、受容体へのリガンドの結合の有無、ならびに未結合リガンドに対する結合リガンドの相対的および/または絶対的な量を決定することが可能となる。
いくつかの実施形態では、被分析物は単一の実体であり、他の実施形態では複数の単位が結合してマルチサブユニット被分析物(multisubunit analyte)または複合サブユニット被分析物(multiple subunit analyte)を形成する(図5参照)。マルチサブユニット被分析物の例として、限定されるものではないが、マルチ・サブユニット・タンパク質(マルチ・サブユニット酵素を含む)、複数のタンパク質がポリメラーゼまたは修復酵素と相互作用する複製および修復複合体、大小のリボゾーム・サブユニットからなる集合体、他のマルチサブユニット集合体、または構造およびサイズを変えることが可能な分子あるいは超分子組成物が挙げられる。マルチサブユニット被分析物の組成物および/または構成は、それが配置される環境の条件の変化に合わせて変えることが可能である。上記環境は、非生物系または生物系であってもよく、生物系環境の例として、超分子集合体、オルガネラ、細胞質、核質、膜、細胞、組織、器官、および/または微生物が挙げられる。本発明の方法によって、マルチサブユニット被分析物の構成状態、例えば超分子複合体の集合状態を決定することが可能となる。いくつかの実施形態では、構成の状態は、複数の結合パートナーを提供することで決定することが可能であり、各々の結合パートナーはマルチサブユニット被分析物の異なるユニットに対して特異的である。いくつかの実施形態では、構成の状態は、マルチサブユニット被分析物の異なる構成状態に対応する構造に結合する結合パートナーを提供することによって、検出される。後者の例は、マルチサブユニット被分析物がマルチ・サブユニット・タンパク質である限り、結合パートナーが結合する部位を形成するためにサブユニットが付着されなければならない。したがって、結合パートナーの結合は複数のサブユニットが会合してマルチ・サブユニット・タンパク質になることを示す。
いくつかの実施形態では、中間結合パートナーが被分析物に結合し、オリゴヌクレオチドテンプレートが付着する第2の結合パートナーは、中間結合パートナーに結合する(図3および図4参照)。オリゴヌクレオチドテンプレートに付着する結合パートナーと被分析物との間に任意の数の中間結合パートナーが存在することも可能であることが理解される。単一の中間結合パートナーよりもむしろ複数の中間結合体からなるクラスに対して特異的である。これらの「サンドイッチ」実施形態でオリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーが単一の中間結合パートナーよりもむしろ複数の中間結合体からなるクラスに対して特異的であってもよいこともわかる。したがって、例えば、サンドイッチ・アッセイでの中間結合パートナーは、特定のハプテンに対して特異的なモノクローナル抗体であってもよく、一方オリゴヌクレオチドテンプレートに付着する結合パートナーが、中間結合パートナー抗体がメンバー、例えば抗IgG抗体である抗体のクラスに対して特異的である第2の抗体であってもよい。オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーが特異的である他の中間結合パートナーは、他のハプテンに対して特異的であってもよい。そのようなサンドイッチ方法は、各々が個々の被分析物に対して特異的である中間結合パートナーのクラスと、中間結合パートナーのクラス全体に対して特異的な、オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した単一結合パートナーとを用いた任意の数の被分析物の検出を可能となり、特異的被分析物に対して特異的な複数の結合パートナーに対してオリゴヌクレオチドテンプレートが付着する必要性が取り除かれる。
他の組み合わせおよび並び換えは当業者にとって明らかであろう。
被分析物(または被分析物−結合パートナー複合体)は、溶液中で遊離したものであってもよく、または他の実施形態では、例えば、本明細書に記載するようにアレイの一部として、表面に固定してもよい(図2、4、および8参照)。被分析物(または被分析物−結合パートナー複合体)を、紙、ガラス、プラスチック、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリルアミド、ニトロセルロース、ポリスチレン、シリコン、金属、および光ファイバー等の材料から作られた表面(担体)上に固定してもよい。あるいは、被分析物(または被分析物−結合パートナー複合体)を、二次元構造、あるいはピン、ロッド、線維、テープ、糸、ビーズ、粒子、マイクロタイター・ウェル、キャピラリー、および/または円筒から構成される三次元構造にある表面(担体)に固定してもよい。被分析物は、固体表面に付着してもよい。この付着は、共有結合または非共有結合であってよい。被分析物を固体表面に付着させる手段は、当業者に周知である。例えば、米国特許第6,309,843号、同第6,306,365号、同第6,280,935号、同第6,087,103号(および本明細書に記載されている方法)を見よ。
典型的な被分析物として、限定されるものではないが、タンパク質、ポリペプチドおよびペプチド、核酸分子またはその断片、脂質類、炭水化物類、超分子集合体、細胞器官、細胞、微生物、およびそれらの断片および産物、有機分子、無機分子、もしくは天然に存在する結合パートナーに対する1つ以上の付着部位が成長する任意の担体を挙げることができる。
本発明のいくつかの実施形態では、被分析物はタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドである。これらの実施形態のいくつかで、被分析物は毒素である。いくつかの実施形態では、被分析物はボツリヌス毒素(BoNT)群の一毒素である。これらの実施形態で被分析物として働くBoNT毒素は、任意の量で存在することが可能であり、単一の分子が含まれる。C.botulinumの株は、ヒトに影響する主な毒素であるA、B、E、およびFの毒素型を持つ7種類の異なるBoNTを産生する。毒素は、3つの主ドメインで、二硫化物が結合した重鎖および軽鎖からなる。受容体結合部位は、重鎖(HCまたはCフラグメント)のカルボキシ末端にある。シナプスの接合部前部上の特異的受容体に対する付着を結合ドメインが媒介する(Haberman and Dryer(1986)Curr.Topics Microbiol.Immunol.129:93−179)。重鎖のN末端(HN)は、チャンネル形成ドメインであり、エンドサイト小胞の膜を軽鎖が横断することを可能にする。軽鎖は、亜鉛プロテアーゼであり、シナプトゾーム複合体上のいくつかあるタンパク質の1つを切断する。
2.結合パートナー
本発明の結合パートナーとして、被分析物に結合する結合パートナーと他の結合パートナーに結合する中間結合パートナーとが挙げられる。いくつかの中間結合パートナーは、他の結合パートナーと被分析物との両方に結合する。
被分析物に対する結合パートナーは、所望の度合いの特異性で被分析物に結合する結合することが可能な任意の部分であってもよい。上記したように、結合パートナーは単一の被分析物に対して特異的であり、結合した状態にある複数の被分析物(例えば、マルチ・サブユニット被分析物)に対して、または複数の被分析物からなるクラスに対して、さらに/または被分析物が1つ以上の結合パートナーと結合するための部位を有するものであってもよい。
被分析物と結合パートナーとの対の例、同様に中間結合パートナーと結合パートナーとの対の例として、限定されるものではないが、受容体リガンド、抗体−抗原、1つ以上の抗原に結合した2つ以上の抗体、酵素−基質、酵素−阻害剤、酵素−コファクター、核酸−プローブ、およびマルチサブユニット部分のサブユニットが挙げられる。これらの実施例の全てにおいて、当業者に周知の他のものと同様に、対を構成するメンバーのいずれか1つが結合パートナーまたは非分析物であってもよい。
いくつかの実施形態で、結合パートナーは、被分析物に対して特異的な抗体、抗体断片、または抗体誘導体であってもよい。抗体結合パートナーは、ポリクローナルまたはモノクローナルであり、またヒト、非ヒト、キメラ、および/またはヒト化が挙げられる。
抗体断片は、該抗体の結合領域を含む断片である。そのような断片は、Fab型フラグメントであり、Fc部位、例えばFab、Fab’、およびF(ab’)フラグメントが欠けており、もしくは無傷の抗体の重鎖成分と結合するジスルフィド結合の還元開裂によって得られた「半分子」であってもよい。
抗体誘導体は、1つの抗体または複数の抗体から得たアミノ酸配列に由来する人工的構造物であり、元の抗体または複数の抗体の抗原特異性を保持する。2つ以上の抗体誘導体が単一抗体誘導体結合パートナーであってもよい。抗体誘導体の例として、限定されるものではないが、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖フラグメント可変フラグメント(ScFv)および環外ペプチド系の相補性決定領域(CDR)サブユニットが挙げられる。大きいScFvおよび環状CDRライブラリーの有用性は、実質的に任意の分子に対する抗体誘導体結合パートナーの生成を可能とする。Zhang et al.(2001)PNAS,98:5497−5502;Scott et al.(1999)PNAS 96:13638−13643;Barth et al.(2000)J.Mol.Biol.301:751−757を参照せよ。当業者に周知の抗体誘導体の他の例として、接合体が挙げられる。
上記したように、結合パートナーは、多様な異なる被分析物に結合する「普遍的」結合パートナー、例えば抗−IgG抗体であってもよい。
3.オリゴヌクレオチドテンプレート
被分析物に対して直接または間接的(中間結合パートナーを介して)に結合する少なくとも1つの結合パートナーは、オリゴヌクレオチドテンプレートに付着する。オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分は、以下に説明するように、複合体プライマーをベースとした単一のプライマー等温増幅(SPIATM)プライマー伸長を介して増幅される。本明細書で用いられるように、オリゴヌクレオチドテンプレートの「部位」は、少なくとも1つの部位を示す。
オリゴヌクレオチドテンプレートとして、DNA配列等の一本鎖(ss)ポリヌクレオチドが挙げられる。簡単にするために、DNAを本明細書で例証する。しかし、この開示およびオリゴヌクレオチドの定義が明らかにするように、他の核酸実施形態が本発明で検討および包含される。DNA配列は、標準的なヌクレオチドと同様に、非鎖分子を含むものであってもよい。DNA配列は、複合プライマー(後述)に相補的である少なくとも1つのプライマー結合領域を含み、また少なくとも1つのプライマー伸長領域を含むもので、その上でプライマーがDNAポリメラーゼによって伸びる。DNA配列を、他の、RNAまたはPNA等の非DNA成分によって、またはペプチド配列等の非核酸成分によって、3’および/または5’末端上でフランキングしてもよい。オリゴヌクレオチドテンプレートのssDNA部位の長さは、少なくとも25、少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、または少なくとも70、または少なくとも100、または少なくとも200、または少なくとも400ヌクレオチドである。ssDNA部位の最大長は、複合プライマー結合配列、プライマー伸長配列、終止配列、および/または他の配列(テンプレートの増幅および検出の性能および/または効率を改善するために、必要に応じて付加される)によって決定され、限定されるものではないが、プローブ・オリゴヌクレオチドに対して結合するように設計された配列、または捕捉(固定化または非固定化)オリゴヌクレオチドに結合するように設計された配列が挙げられる。
5’末端または3’末端にオリゴヌクレオチドテンプレートをその5’末端または3’末端のいずれかによって、結合パートナーに付着するが、5’または3’末端の近傍に結合するものであってもよい。オリゴヌクレオチドテンプレートを結合パートナーに付着する方法が当該技術分野で知られている。例えば、米国特許第6,309,843号、同第6,306,365号、同第6,280,935号、同第6,087,103号(および本明細書に記載した方法)を参照のこと。結合は、共有結合または非共有結合であってもよい。非共有結合の例は、アビジン−ビオチン相互作用であり、したがって、結合パートナーはストレプトアビジンと結合し、オリゴヌクレオチドテンプレートはビオチンと結合し、またはbis−ビオチンを用いることが可能である。別の例として、キレート金属に結合するhisタグである(例えば、Janknecht,et al.,1991,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,88:8972−8976を参照せよ)。これらの方法は、当業者に知られている。例えば、米国特許第6,153,442号を参照せよ。いくつかの実施形態では、テザー(tether)またはリンカー部分は、オリゴヌクレオチドテンプレートと被分析物結合パートナーとの間で用いられる。そのようなテザーおよびリンカーは当業者に周知である。
上記したように、オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分は、プライマー伸長テンプレートとして機能とする。この部分は、同様に、プライマーの一部分、TSOの一部分、または他のブロッカーが増幅産物の形成の土台として、概ね機能する。したがって、以下に詳細に説明される増幅産物は、それらの結合した部分に相補的である。これらの部分の配列を、増幅産物が所望の種々の特性を持つように、選択することができる。したがって、プライマー伸長テンプレートとして機能するオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分は、単独で、またはそれらの他の部分の配列との組み合わせによる配列を含むことが可能であり、捕捉するための固体支持体に付着したオリゴヌクレオチドにハイブリダイズ、および/または検出のために標識されたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする増幅産物を生成する。
オリゴヌクレオチドテンプレートを当業者に周知の方法(例えば、組み換え方法)によって、合成または生産することができる。
B.結合
結合を可能とする条件下で、被分析物と合相手とを接触させる。そのような条件は、被分析物および結合パートナーの性質に依存し、当業者に周知されている。例えば、米国特許第6,083,689号、同第5,985,548号、同第5,854,033号、同第5,665,539号、同第5,849,478号、同第6,255,060号、同第6,183,960号、同第5,328,985号、同第6,210,884号、およびSano et al.Science(1992)258:120−122;Huang et al.Lett Appl.Microbiol.(2001)32:321−325;and Zhang et al.PNAS USA(2002)98:5497−5502を参照せよ。いくつかの実施形態では、被分析物または他の結合パートナーに対する結合パートナーの結合は、非共有結合であり、例えば、概ねリガンド−受容体結合であってもよい。いくつかの実施形態では、結合は共有結合であり、例えば、結合部位が活性部位で共有結合を形成することで作用する阻害剤である場合、被分析物が酵素である。
検出または定量される相互作用は、被分析物が固定または溶液状態にある場合、固体表面を用いて実行される。被分析物と結合パートナーとを相互作用させることで、直接的または非直接的(例えば、サンドイッチ・アッセイ)に、オリゴヌクレオチドテンプレートを含む複合体が生ずる。1つ以上の複合体を同時に形成することも可能であり、各々が1つ以上のオリゴヌクレオチドテンプレートを含む。複合体中の特異的標的/レポーター・オリゴヌクレオチドの結合の検出は、非反応標識結合パートナーから複合体を分離し、分離した複合体を標的/レポーターに対して相補的なオリゴヌクレオチド分子の複数のコピーの生成をもたらす条件に分離した成分をさらし、任意に複数のコピーの定量をおこなうことによって、実行可能である。複数のコピーの生成は、分離した成分を本発明の複合プライマーおよび増幅試薬と組み合わせることによっておこなうことができる。
II.未結合の結合パートナーから結合したものを分離
結合パートナー−被分析物複合体を未結合の結合パートナーから任意の適当な手段を用いて分離(除去)することが可能である。この発明の目的のために、除去は完全かつ絶対的な除去である必要がなく、除去または分離が被分析物の有無の評価を可能とするのに十分なものであればよいことがわかる(すなわち、未結合の被分析物結合パートナーに対して付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの増幅からの著しい干渉または「ノイズ」を生ずることなしに)。そのような手段は、当業者に周知である。例えば、米国特許第6,083,689号、同第5,985,548号、同第5,854,033号、同第5,665,539号、同第5,849,478号、同第6,255,060号、同第6,183,960号、同第5,328,985号、同第6,210,884号、およびSano et al.(1992)Science 258:120−122;Huang et al.(2001)Lett Appl.Microbiol.32:321−325;および Zhang et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5497−5502を参照せよ。図7および図8は、被分析物−結合パートナー複合体を未結合の結合パートナーから分離する典型的な可能性を示す。被分析物は、増幅用のオリゴヌクレオチドテンプレートに付着している結合パートナーに結合する(図7は、そのような結合パートナー2つと結合した被分析物を表すが、そのような1つの結合パートナーまたはそのような3つ以上の結合パートナーが被分析物と付着可能でることがわかる)。また、捕捉部分に付着する結合パートナーが被分析物に結合する。捕捉部分は、別の構造、例えば相補的オリゴヌクレオチドに結合するオリゴヌクレオチド、またはストレプトアビジン/ビオチン対の1つのメンバーに結合するオリゴヌクレオチドに、結合する任意の構造であってもよい。したがって、この実施例では、被分析物−結合パートナー複合体は、捕捉部分に付着した結合パートナーと、増幅用のオリゴヌクレオチドテンプレートに付着した別の結合パートナーとを含む。分析−結合パートナー複合体は、固体担体上の捕捉部分と複合体内の結合パートナーに付着した捕捉部分との相互作用を介して、固体担体に結合する(図8)。例えば、固体担体上の捕捉部分は、被分析物−結合パートナー複合体の結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドに対する相補的オリゴヌクレオチドであってもよい。未結合のパートナーは、例えば洗浄によって取り除くことができる。
あるいは、結合または未結合の結合パートナーを分離する必要はない。これらの実施形態では、増幅方法は、結合した結合パートナーのみが、あるいは実質的にそれのみが増幅および/または検出にさらされる。上記したように、一実施形態では、本発明の方法は、未結合の結合パートナーから被分析物−結合パートナー−オリゴヌクレオチド結合複合体を分離することが必要である。さもなければ、複合体からのシグナルと過剰な遊離結合パートナー結合体からのシグナルとを区別することが困難となる。ほとんどのアッセイが、分離工程で通常は二相非均一系を用いることから、非均一なものとして記載されている。なんら分離をおこなうことなく単一の相でおこなわれる均一なアッセイは、可能である限り、好ましいものとして幅広く認められている。なぜなら、それらが反応混合物を操作する必要が少なく、非均一方法に共通する転送および洗浄工程よりはむしろ、通常、一連の試薬添加のみが必要である。したがって、このように、それらはより速く、実行に要する労力が少なく、さらに自動化が容易である。しかし、均一アッセイは、多くの場合、限界がある。なぜなら、結合および未結合標識からのシグナル間の識別をめったに完了させることはできない。したがって、所定のシグナル・レベルによる均一アッセイは、概ね高いバックグラウンド・シグナルが得られ、また同様の非均一アッセイよりも感度が低い。別の実施形態では、周知の「近接効果(proximity effect)」を駆使することで、シグナルが好ましくは被分析物−結合複合体から生成可能である。すなわち、2つ以上の官能基、分子、またはタンパク質さえも、それらが他の構造によって互いに近接して保持される場合、互いにより速く反応する。この効果の原因はかなりよく理解されており、結合の際の並進および回転エントロピーの減少から生じ、種々の分野で例が知られている。関連した現象である「チャンネリング」効果は、高感度均一アッセイの設計で利用されている。
本発明は、反応物をまとめることによって近接効果を利用するいくつかの可能な方法を提供する。特に、ポリメラーゼまたはRNアーゼのいずれかが被分析物用の第2の結合パートナーに付着される。サンドイッチ複合体の形成は、高局所濃度の酵素とオリゴヌクレオチド−結合パートナープライマー複合体とを集めることで、同一酵素が溶液中に自由に核酸したものと比べて、プライマーの伸長または消化の際に酵素がより急速に作用する。したがって、サンドイッチ複合体によって、溶液中で複合体化していない産物による生成よりも、単位時間あたりにより多くの伸長産物が生成され、速度増進(rate enhancement)は、多くの因子に依存し、とりわけ複合体の「局所濃度」と比較した溶液中の試薬の濃度に依存するが、それらは数桁の大きさである。
この近接効果を、SPIATM増強型非均一アッセイと同時に利用する可能性もある(すなわち、分離工程を用いるアッセイ)。 多くの高感度アッセイにおいて、検出を実際に制限するものは、表面に非特異的に結合した標識によって生ずるバックグラウンド・シグナルである。このことは、特に、任意の非特異的結合材料が指数関数的に増幅可能な免疫PCR等のアッセイによるケースでありそうである。しかし、もし上記したようなサンドイッチ複合体が表面に形成されると、その複合体からシグナルが生成されるが、その表面に対して非特異的に結合した他の結合パートナー結合体からはない。このように、SPIATMからの非常に高いシグナルと洗浄(分離)および近接効果の組み合わせからの非常に低いバックグラウンドとの両方を得ることが可能である。
III.オリゴヌクレオチドテンプレートの増幅
A.成分、反応条件、および手順
1.複合プライマー
オリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー結合領域は、好適な条件下で複合プライマーにハイブリッドし、オリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー伸長テンプレート領域に沿って、かつ任意でテンプレート・スイッチ・オリゴヌクレオチド等の他の成分に沿って(下記参照)、DNAポリメラーゼによって複合プライマーが伸長され、プライマー伸長産物を生成する。複合プライマーは、RNAおよびDNA部位から構成される。プライマーの複合設計は、新しい(付加的な)複合プライマーの結合によるプライマー伸長産物のその後の置換およびポリメラーゼによる新しいプライマーの伸長のために重要である。さらに、プライマー伸長産物のRNAの切断によって、下記に記載するように、複合プライマーによる増幅に対する基質でない増幅産物の生成を生じる。複合プライマーについては、増幅するための方法(SPIATM)とともに、例えば米国特許番号第6,251,639に記載されている。
該方法および本発明の組成物で使用するための複合プライマーは、(a)オリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー結合領域上の配列へのDNA部位のハイブリダイゼーションから独立したオリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー結合領域の配列に結合(ハイブリッド)することと、(b)オリゴヌクレオチドテンプレートDNAにハイブリッドさせるとき、リボヌクレアーゼを用いて切断されることとができる少なくとも1つのRNA部位を有する。複合プライマーは、オリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー結合領域に結合して、部分的ヘテロ二重鎖を形成し、この際プライマーのRNAのみがRNaseH等のリボヌクレアーゼに接触して切断される一方で、オリゴヌクレオチドテンプレート鎖はインタクトなままであるので、別の複合プライマーのアニーリングを可能にする。
複合プライマーは、オリゴヌクレオチドテンプレートへのハイブリダイゼーションがDNAポリメラーゼによってオリゴヌクレオチドテンプレートから置換される核酸鎖のものより有利であるように、オリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー結合領域の配列にハイブリダイゼーションできる3’DNA部位も含む。ハイブリダイゼーション条件とともに、配列の長さおよび/またはアイデンティティ等の核酸結合親和性に影響する周知の要素に基づいて、このようなプライマーを合理的に設計することができる。好適な実施形態では、オリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー結合領域中の相補的配列への複合プライマーの3’DNA部位のハイブリダイゼーションは、オリゴヌクレオチドテンプレートへの置換鎖の5’末端中の相同配列のハイブリダイゼーションよりも有利である。
重合による伸長に適したプライマーの生成は、PCT公開番号WO99/42618(およびその明細書で引用される参考文献)に記載されているように、当業者に周知である。複合プライマーは、3’末端ヌクレオチドを核酸伸長に適したヌクレオチドにするRNAおよびDNAの組み合わせを有する(下記の定義を参照せよ)。3’末端ヌクレオチドは、任意のヌクレオチドまたはアナログが可能であり、それがプライマー中に存在するとき、DNAポリメラーゼによって伸長可能である。一般に、3’末端ヌクレオチドは、3’OHを有する。好適なプライマーとしては、RNAの少なくとも1つの部位と、DNAの少なくとも1つの部位とを有するものが挙げられる。
複合プライマーは、5’RNA部位および3’DNA部位(この際RNA部位が3’DNA部位に隣接する)を有することができ、または5’DNA部位および3’DNA部位を干渉RNA部位とともに有することもできる。従って、一実施形態では、複合プライマーは、5’RNA部位および3’DNA部位を有し、好ましくはこの際RNA部位は、3’DNA部位に隣接する。別の実施形態では、複合プライマーは、5’DNA部位および3’DNA部位を少なくとも1つの干渉RNA部位(すなわち、2つのDNA部位間のRNA部位)とともに有する。さらに別の実施形態では、本発明の複合プライマーは、3’DNA部位および少なくとも1つの干渉RNA部位(すなわち、DNA部位間のRNA部位)を有する。
3’DNA部位およびRNA部位を有する複合プライマー中のRNA部位の長さは、好ましくは約1から約25、より好ましくは約3から約20、さらにより好ましくは約4から約15、最も好ましくは約5から約10ヌクレオチドであり得る。3’DNA部位およびRNA部位を有する複合プライマーのいくつかの実施形態では、RNA部位は、少なくとも約1、2、3、4、5ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約10、15、20、25、30ヌクレオチドのいずれかであり得る。
5’RNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマー中の5’RNA部位の長さは、好ましくは約3から約25ヌクレオチド、より好ましくは約5から約20ヌクレオチド、さらにより好ましくは約7から約18ヌクレオチド、より好ましくは約8から約17ヌクレオチド、最も好ましくは約10から約15ヌクレオチドであり得る。5’RNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマーの他の実施形態では、5’RNA部位は、少なくとも約3、5、7、8、10ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約15、17、18、20ヌクレオチドのいずれかであり得る。
5’RNA部位および3’DNA部位を有し、かつ非5’RNA部位をさらに有する複合プライマーの実施形態では、非5’RNA部位は、好ましくは約1から約7ヌクレオチド、より好ましくは約2から約6ヌクレオチド、最も好ましくは約3から約5ヌクレオチドであり得る。5’RNA部位および3’DNA部位を有し、かつ非5’RNA部位をさらに有する複合プライマーの特定の実施形態では、非5’RNA部位は、少なくとも約1、2、3、5のいずれかであり、上限が約5、6、7、10ヌクレオチドのいずれかであり得る。
5’RNA部位が3’DNA部位に隣接する、5’RNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマーの実施形態では、5’RNA部位の長さは、好ましくは約3から約25ヌクレオチド、より好ましくは約5から約20ヌクレオチド、さらに好ましくは約7から約18ヌクレオチド、さらにより好ましくは約8から約17ヌクレオチド、最も好ましくは約10から約15ヌクレオチドであり得る。5’RNA部位が3’DNA部位に隣接する、5’RNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマーの特定の実施形態では、5’RNA部位は、少なくとも約3、5、7、8、10ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約15、17、18、20ヌクレオチドのいずれかであり得る。
少なくとも1つの干渉RNA部位とともに5’DNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマー中の干渉RNA部位の長さは、好ましくは約1から約7ヌクレオチド、より好ましくは約2から約6ヌクレオチド、最も好ましくは約3から約5ヌクレオチドであり得る。少なくとも1つの干渉RNA部位とともに5’DNA部位および3’DNA部位を含む複合プライマーのいくつかの実施形態では、干渉RNA部位は、少なくとも約1、2、3、5ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約5、6、7、10ヌクレオチドのいずれかであり得る。3’DNA部位および少なくとも1つの干渉RNA部位を有する複合プライマー中の干渉RNA部位の長さは、好ましくは約1から約7ヌクレオチド、より好ましくは約2から約6ヌクレオチド、最も好ましくは約3から約5ヌクレオチドであり得る。3’DNA部位および少なくとも1つの干渉RNA部位を有する複合プライマーのいくつかの実施形態では、干渉RNA部位は、少なくとも約1、2、3、5ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約5、6、7、10ヌクレオチドのいずれかであり得る。3’DNA部位および少なくとも1つの干渉RNA部位を有し、かつ5’RNA部位をさらに有する複合プライマーでは、5’RNA部位は、好ましくは約3から約25ヌクレオチド、より好ましくは約5から約20ヌクレオチド、さらにより好ましくは約7から約18ヌクレオチド、さらに好ましくは約8から約17ヌクレオチド、最も好ましくは約10から約15ヌクレオチドであり得る。3’DNA部位および少なくとも1つの干渉RNA部位を有し、かつ5’RNA部位をさらに有する複合プライマーのいくつかの実施形態では、5’RNA部位は、少なくとも約3、5、7、8、10ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約15、17,18、20ヌクレオチドのいずれかであり得る。
3’DNA部位およびRNA部位を有する複合プライマー中の3’DNA部位の長さは、好ましくは約1から約20、より好ましくは約3から約18、さらにより好ましくは約5から約15、最も好ましくは約7から約12ヌクレオチドであり得る。3’DNA部位およびRNA部位を有する複合プライマーのいくつかの実施形態では、3’DNA部位は、少なくとも約1、3、5、7、10ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約10、12、15、18、20、22ヌクレオチドのいずれかであり得る。
5’RNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマー中の3’DNA部位の長さは、好ましくは約1から約20ヌクレオチド、より好ましくは約3から約18ヌクレオチド、さらにより好ましくは約5から約15ヌクレオチド、最も好ましくは約7から約12ヌクレオチドであり得る。5’RNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマーのいくつかの実施形態では、3’DNA部位は、少なくとも約1、3、5、7、10ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約10、12、15、18、20、22ヌクレオチドのいずれかであり得る。
5’RNA部位および3’DNA部位を有し、かつ非3’DNA部位をさらに有する複合プライマーの実施形態では、非3’DNA部位は、好ましくは約1から約10ヌクレオチド、より好ましくは約2から約8ヌクレオチド、最も好ましくは約3から約6ヌクレオチドであり得る。5’RNA部位および3’DNA部位を有し、かつ非3’DNA部位をさらに有する複合プライマーのいくつかの実施形態では、非3’DNA部位は、少なくとも約1、2、3、5ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約6、8、10、12ヌクレオチドのいずれかであり得る。
5’RNA部位が3’DNA部位に隣接する、5’RNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマーの実施形態では、3’DNA部位の長さは、好ましくは約1から約20ヌクレオチド、より好ましくは約3から約18ヌクレオチド、さらにより好ましくは約5から約15ヌクレオチド、最も好ましくは約7から約12ヌクレオチドであり得る。5’RNA部位が3’DNA部位に隣接する、5’RNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマーの特定の実施形態では、3’DNA部位は、少なくとも約1、3、5、7、10ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約10、12、15、18、20、22ヌクレオチドのいずれかであり得る。
少なくとも1つの干渉RNA部位とともに5’DNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマー中の非3’DNA部位の長さは、好ましくは約1から約10ヌクレオチド、より好ましくは約2から約8ヌクレオチド、最も好ましくは約3から約6ヌクレオチドであり得る。少なくとも1つの干渉RNA部位とともに5’DNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマーのいくつかの実施形態では、非3’DNA部位は、少なくとも約1、2、3、5ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約6、8、10、12ヌクレオチドのいずれかであり得る。
少なくとも1つの干渉RNA部位とともに5’DNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマー中の3’DNA部位の長さは、好ましくは約1から約20ヌクレオチド、より好ましくは約3から約18ヌクレオチド、さらにより好ましくは約5から約15ヌクレオチド、最も好ましくは約7から約12ヌクレオチドであり得る。少なくとも1つの干渉RNA部位とともに5’DNA部位および3’DNA部位を有する複合プライマーのいくつかの実施形態では、3’DNA部位は、少なくとも約1、3、5、7、10ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約10、12、15、18、20、22ヌクレオチドのいずれかであり得る。
3’DNA部位および少なくとも1つの干渉RNA部位を有する複合プライマー中の非3’DNA部位(すなわち、3’DNA部位以外の任意のDNA部位)の長さは、好ましくは約1から約10ヌクレオチド、より好ましくは約2から約8ヌクレオチド、最も好ましくは約3から約6ヌクレオチドであり得る。3’DNA部位および少なくとも1つの干渉RNA部位を有する複合プライマーのいくつかの実施形態では、非3’DNA部位は、少なくとも約1、3、5、7、10ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約6、8、10、12ヌクレオチドのいずれかであり得る。3’DNA部位および少なくとも1つの干渉RNA部位を有する複合プライマー中の3’DNA部位の長さは、好ましくは約1から約20ヌクレオチド、より好ましくは約3から約18ヌクレオチド、さらにより好ましくは約5から約15ヌクレオチド、最も好ましくは約7から約12ヌクレオチドであり得る。3’DNA部位および少なくとも1つの干渉RNA部位を有する複合プライマーのいくつかの実施形態では、3’DNA部位は、少なくとも約1、3、5、7、10ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約10、12、15、18、20、22ヌクレオチドのいずれかであり得る。本発明の方法の反応条件下で適当であるように、様々な部位の長さをより多くまたは少なくすることが可能であることが理解される。
いくつかの実施形態では、複合プライマーの5’DNA部位は、プライマーの5’のほとんどのヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、複合プライマーの5’RNA部位は、プライマーの5’のほとんどのヌクレオチドを含む。他の実施形態では、複合プライマーの3’DNA部位は、プライマーの3’のほとんどのヌクレオチドを含む。他の実施形態では、3’DNA部位は、5’RNA部位に隣接し、プライマーの3’のほとんどのヌクレオチドを含む(かつ5’RNA部位は、プライマーの5’のほとんどのヌクレオチドを含む)。
複合プライマーの全長は、好ましくは約10から約40ヌクレオチド、より好ましくは約15から約30ヌクレオチド、最も好ましくは約20から約25ヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態では、長さは少なくとも約10、15、20、25ヌクレオチドのいずれかであり、上限が約25、30,40、50ヌクレオチドのいずれかであり得る。本発明の方法の反応条件下で適当であるように、長さをより多くまたは少なくすることが可能であることが理解される。いくつかの実施形態では、複合プライマーのRNA部位は、例えば約7から約20ヌクレオチドからなり、複合プライマーのDNA部位は、例えば約5から約20ヌクレオチドからなる。他の実施形態では、複合プライマーのRNA部位は、例えば約10から約20ヌクレオチドからなり、複合プライマーのDNA部位は、例えば約7から約20ヌクレオチドからなる。
ハイブリダイゼーションを達成する(当業者に周知かつ理解されているように、例えばイオン強度および温度等の他の要素に依存する)ために、該方法および本発明の組成物で用いられる複合プライマーは、オリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー結合領域に、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約75%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%相補的である。複合プライマーの個々のDNAおよびRNA部位は、オリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー結合領域に、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約75%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%相補的である。
選択されるハイブリダイゼーション条件は、当技術で既知の様々な要素に依存し、例えばプライマーおよびオリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー結合領域の長さおよびタイプ(例えばRNA、DNA、PNA)に依存する。核酸に対する特異的(すなわちストリンジェント)ハイブリダイゼーション条件用の一般的パラメーターは、Sambrook(1989)上掲、およびAusubel(1987)上掲に記載されている。有用なハイブリダイゼーション条件も、例えばTijessen,1993,Hybridization With Nucleic Acid Probes,Elsevier Science Publishers B.V.and Kricka,1992,Nonisotopic DNA Probe Techniques,Academic Press San Diego,Calif.に提供されている。反応条件の所定のセットに対して、互いにハイブリッドする2つのヌクレオチド配列の能力は、2つのヌクレオチド配列の相補性の程度に基づき、この2つのヌクレオチド配列の相補性の程度は、適合させた相補的ヌクレオチド対の断片に依存する。別の配列に相補的である所定の配列中のヌクレオチドが多いほど、ハイブリダイゼーションのための条件がよりストリンジェントになり、かつ2つの配列の結合がより特異的になる。以下のものの任意の1つ以上によって、ストリンジェンシーの増加を達成する。すなわち、温度を上昇させること、共溶媒の比率を増加させること、塩濃度を低下させること等である。
プライマーを設計および構築する上での1つの要素は、ハイブリダイゼーション条件の所定セット下での所定配列のハイブリダイゼーションの自由エネルギー・パラメーターである。所定の混成物を形成するための自由エネルギー・パラメーターを当技術で既知の方法によって算出することが可能であり(例えばTinoco et al.Nature(1973)246:40−41.およびFreier et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1986)83:9373−9377;コンピューター・プログラム、例えばOligo Primer Analysis Software from Molecular Biology Insight、およびそれら明細書中の参考文献を参照せよ)、所定のオリゴヌクレオチドテンプレートに対して、プライマー配列を予測することが可能であり、そのため様々な複合体を形成するために必要な自由エネルギー変化が満たされる。
他の要素が核酸ハイブリダイゼーション親和性に影響することが当業者には理解される。例えば、プライマー・標的およびプライマー・プライマー二重鎖のグアノシン−シトシン含有量、微量溝結合パートナー、O−メチル化またはヌクレオチドの他の修飾、温度、ならびに塩の任意および全ては、結合エネルギーでの必要な相違でプライマーを構築する際に潜在的に重要な要素である。
本明細書に記載されるように、1つ以上の複合プライマーを反応で用いることができる。
2.終止ポリヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
本発明の必須の構成要素ではないが、本発明の方法のいくつかの実施形態では、特に転写に基づく増幅を用いる場合、終止配列を有するポリヌクレオチドが任意で含まれ、その例を提供する。「プロプロモーター」または「プロプロモーター配列」とは、RNAポリメラーゼの二重鎖プロモーターを形成するために設計される配列である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、TSOのポリヌクレオチドについて記載するセクションで論じられているように、プロプロモーター配列を含有するTSOである。このようなポリヌクレオチドに関しては、例えば米国特許番号第6,251,639号に記載されている。
a.テンプレート・スイッチ・オリゴヌクレオチド(Template Switch Oligonucleotide)
必ずしも必要ではないが、任意で本発明の増幅方法で用いられることができる第2のオリゴヌクレオチドは、テンプレートスイッチ・オリゴヌクレオチド(TSO)である。一実施形態では、TSOは、終止配列として機能する。別の実施形態では、TSOは、終止配列として機能し、プロプロモーター配列を提供する。
従来記載されているテンプレート・スイッチ・オリゴヌクレオチドに基づく増幅方法は、該方法が単一プライマー種を使用するように設計されるとき、第2のプライマーのハイブリダイゼーションまたは同プライマーの第2のハイブリダイゼーション・工程の阻害のために、このオリゴヌクレオチドの濃度で制限される。本発明の方法は、この制限がない。TSOを用いる従来記載される方法と比べて、本発明の方法に係る増幅のために高濃度でテンプレート・スイッチ・オリゴヌクレオチドを用いることができる。この特徴は、オリゴヌクレオチドテンプレートへのTSOの効率的なハイブリダイゼーションを確実にし、3分子複合体、すなわちプライマー伸長およびテンプレートスイッチに対する基質の収率を最大にする。この特徴の更なる特質は、記載されるように、RNAポリメラーゼに対する基質を形成するためのテンプレート・スイッチ・オリゴヌクレオチドへの置換プライマー伸長産物の効率的なハイブリダイゼーションである。
TSOは、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドすることができる3’部位と、重合中の鎖スイッチ用に設計されている5’部位とを有している(図9A〜Cを参照せよ)。鎖スイッチに作用するTSOの設計については、Patel et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 1996,93:2969−2974に先行して記載されているように、当技術で既知である。オリゴヌクレオチドテンプレートからTSOの未ハイブリッド化部位(「終止部位」)へテンプレートを転換する前に、プライマー伸長産物の3’末端に相補的であるオリゴヌクレオチドテンプレート中の部分または領域への位置5’で、該3’部位は、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドする。
一実施形態では、TSOのハイブリッド化部位および未ハイブリッド化部位間の分岐部(junction)への5’および3’に近接するTSOセグメント中の相互に相補的な短配列の存在によって、鎖スイッチを促進する。理論によって制限されることを意図するものではないが、一説明としては、プライマー伸長産物が、TSOにハイブリッドするオリゴヌクレオチドテンプレート部位へ伸長する(TSOのハイブリッド化部位の置換を介して)事象では、プライマー伸長産物の3’末端は、TSOのハイブリッド化部位および未ハイブリッド化部位間の分岐部のすぐ近くに隣接するTSOのセグメント中のその相補的短配列に結合することができる短配列を有するということである。このことが、プライマー伸長産物がテンプレートとしてTSO末尾部位へ転換する確率を増加させることによって、テンプレート転換の効率を増加させる。短相補的配列の長さは、好ましくは約3から約20ヌクレオチドであり、より好ましくは約5から約15ヌクレオチド、最も好ましくは約7から約10ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、長さは、少なくとも約1、3、5、7、10ヌクレオチドいずれかであり、上限は約10、15、20、25ヌクレオチドのいずれかである。本発明の方法の反応条件下に適当であるように、長さをより多くまたは少なくすることができることが理解される。
いくつかの実施形態では、TSOの5’部位は、配列(以後、「プロプロモーター配列」)を有し、このTSOの実施形態は、終止配列として、およびプロモーターテンプレートを提供するものとして機能する。この実施形態では、TSOのプロプロモーター配列は、プライマー伸長産物へのプロプロモーター配列(一般に、テンプレートTSOのプロプロモーター配列に相補的)の組み込み用のテンプレートとして働く。プライマー伸長産物のプロプロモーター配列へ混成可能な(例えばハイブリットする)プロプロモーター配列を有するTOSの次のハイブリダイゼーションによって、好適なRNAポリメラーゼによる転写を実行することができる二重鎖プロモーターが形成される。テンプレートDNAの転写を可能にするプロモーター配列は、それらを入手および/または作製する方法と同様に、当技術で既知である。好ましくは、プロモーター配列を選択して、用いられる特定のRNAポリメラーゼの最適転写活性を提供する。このような選択の基準、すなわち特定のRNAポリメラーゼで得に好都合な特定のプロモーター配列も当技術で既知である。例えば、T7DNA依存RNAポリメラーゼおよびSP6による転写用のプロモーター配列が当技術で既知である。プロモーター配列は、原核細胞または真核細胞ソースから得ることができる。一実施形態では、プロモーター配列は、用いられるRNAポリメラーゼによる増強したかまたはより最適な転写を提供するように設計した配列に隣接する。いくつかの実施形態では、配列は、オリゴヌクレオチドテンプレートに関連しない(すなわち実質的にハイブリッドしない)。該配列に作用的に結合するプロモーターからのポリメラーゼの転写活性が、そのように結合しないプロモーターからのものより大きいとき、より最適な転写が生じる。最適転写に対する配列の必要条件は、米国特許番号第5,766,849号および第5,654,142号等で、様々なDNA依存RNAポリメラーゼに関して従来記載されているように当技術で公知である。
好適な実施形態では、プライマー伸長を実行するポリメラーゼによるTSOの置換が実質的に、または少なくとも十分に阻害されるように、オリゴヌクレオチドテンプレートDNAにハイブリッドするTSOの3’部位(オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドする全3’部位を含む)のセグメントをオリゴヌクレオチドテンプレートDNAに付着する。このような付着を達成するための好適な方法としては、当技術で既知の技術が挙げられ、Gクランプ複素環修飾(Flanagan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1999,96(7):3513−8に記載)を含有するシトシンアナログを用いること、およびロック(locked)核酸(例えばKumar et al.,Bioorg.Med.Chem Lett.1998,8(16):2219−22;およびWahlestedt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2000,97(10):5633−8に記載)を用いること等がある。他の好適な方法は、適当であれば、高GC含有量を有する配列および/または架橋を用いることを含む。増強型付着を得るためのこれらの方法の任意のものを、単独でまたは組み合わせて用いることが可能である。ポリメラーゼが、少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%プライマーの伸長事象で、オリゴヌクレオチドテンプレートからTSOの未ハイブリッド化部位へテンプレートを転換する場合、TSOの置換は実質的にまたは十分に阻害される。増幅方法によって、所望の産物の量の点で満足できる結果が生じる場合、実質的にまたは十分に阻害されるTSO置換を実験的に示すこともできる。一般に、条件の所定のセット下で、「修飾」TSOは、そのように修飾されていないTSOと比べて、より緊密にテンプレートに結合する。
オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドするTSO部位の長さは、好ましくは約15から50ヌクレオチド、より好ましくは約20から45ヌクレオチド、最も好ましくは約25から40ヌクレオチドである。他の実施形態では、長さは、少なくとも約10、15、20、25、30のいずれかであり、約35、40、45、50、55未満のいずれかである。本発明の方法の反応条件下で適当であるように、長さをより多くまたは少なくすることができることが理解される。オリゴヌクレオチドテンプレート上のその目的結合配列に対する、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドするTSO部位の相補性は、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%である。
b.ブロッカー配列
いくつかの実施形態では、任意のブロッカー配列によって、プライマー伸長終止配列を提供する。ブロッカー配列は、一本鎖でありかつプライマー伸長産物の3’末端(終止部位)に相補的なオリゴヌクレオチドテンプレート中の部位のオリゴヌクレオチドテンプレート配列5’のセグメントに好ましくは相補的に混成可能な(例えばハイブリッドする)配列を有するポリヌクレオチド、通常は合成ポリヌクレオチドである。ブロッカーは、好ましくは約30%より多い、より好ましくは約50%より多い、さらにより好ましくは約75%より多い、最も好ましくは約90%より多いプライマー伸長事象で、プライマー伸長過程でブロッカー配列がDNAポリメラーゼによる置換を阻止するような親和性で、好ましくは高親和性で標的核酸に結合するヌクレオチドを有する。ブロッカー・ポリヌクレオチドの長さおよび組成物は、本発明の方法の条件下で、過度のランダム非特異的ハイブリダイゼーションを避けるようなものであるべきである。ブロッカー・ポリヌクレオチドの長さは、好ましくは約3から約30ヌクレオチド、より好ましくは約5から約25ヌクレオチド、さらにより好ましくは約8から約20ヌクレオチド、最も好ましくは約10から約15ヌクレオチドである。他の実施形態では、ブロッカー・ポリヌクレオチドは、少なくとも約3、5、8、10、15のいずれかであり、約20、25、30、35未満のいずれかである。本発明の方法の反応条件下で適当であるように、長さをより多くまたは少なくすることができることが理解される。オリゴヌクレオチドテンプレート上のその目的結合配列へのブロッカー・ポリヌクレオチドの相補性は、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%である。
一実施形態では、ブロッカー配列は、プライマー伸長を実行するポリメラーゼによるブロッカー配列の置換が実質的にまたは少なくとも十分に阻害されるようにオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドするセグメントを有する。このような付着を達成するための、および置換の実質的なまたは十分な阻害を決定するための好適な手段は、本発明の方法で用いられるTSOに関して上記で記載されるとおりである。
一実施形態では、ブロッカー・ポリヌクレオチドは、核酸伸長に対するプライマーとして効率的に機能できない(すなわち、ブロッカー配列からの伸長は低減または阻害される)。ブロッカー・ポリヌクレオチドのプライマー機能を遮断するための技術としては、DNAポリメラーゼによるブロッカーの3’末端へのヌクレオチドの付加を阻止する任意のものが挙げられる。このような技術は、当技術で既知であり、例えば3’ヒドロキシル基の置換または修飾、あるいはDNAポリメラーゼによるヌクレオチド付加をアンカー(anchor)することができないブロッカー・ポリヌクレオチドの3’のほとんどの部位でのジデオキシヌクレオチド等の修飾ヌクレオチドの組み込みを含む。
3.終止配列を有し、かつプロプロモーター配列をさらに有するポリヌクレオチド
本発明の方法のいくつかの実施形態では、任意の終止配列およびプロプロモーター配列を単一のポリヌクレオチド中で提供する。ポリヌクレオチドは、終止配列がオリゴヌクレオチドテンプレートに混成可能な(例えばハイブリッドする)条件下でテンプレートスイッチを実行しない終止配列を有する一部位(一般に3’部位)と、プロプロモーター配列を有する部位がオリゴヌクレオチドテンプレートに概ねハイブリッドしない(終止配列を有する部位がオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドする条件下で)プロプロモーター配列を有する一部位(一般に5’部位)とを有する。当技術で既知の技術を用いて、例えばテンプレートスイッチを促進することが知られている設計特性(Patel et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 1996,93:2969−2974に記載されているような)がポリヌクレオチドに存在しないことを確実にすることによって、テンプレートスイッチを実行しないように終止配列を設計することができる。ポリヌクレオチドは、プライマーに混成可能(例えばハイブリッドする)なテンプレート配列に対して5’方向であるオリゴヌクレオチドテンプレートの配列に混成可能(例えばハイブリッドする)である。ポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドテンプレートの相補的配列に混成可能(例えばハイブリッドする)な配列をさらに有する。オリゴヌクレオチドテンプレートの相補的配列に混成可能(例えばハイブリッドする)な配列は、付着ポリヌクレオチドの終止配列および/またはプロプロモーター配列とオーバーランプしないか、オーバーラップするか、または共伸長性であり得る。一般的かつ好適には、オリゴヌクレオチドテンプレートの相補的配列に混成可能(例えばハイブリッドする)な配列は、オリゴヌクレオチドテンプレートの相補的な配列の3’部位に混成可能(ハイブリッドする)である。従って、本発明の方法のいくつかの実施形態では、終止配列を有する一部位と、プロプロモーター配列を有する一部位とを含むポリヌクレオチドが機能して、プライマー伸長の終止を実行し、かつ同増幅反応でプロプロモーター配列を提供する。このようなポリヌクレオチドは、例えば米国特許番号第6,251,639号に記載されている。
4.プロプロモーターと、置換プライマー伸長産物にハイブリッドする領域とを有するポリヌクレオチド
いくつかの実施形態は、プロプロモーターと、置換プライマー伸長産物にハイブリッドする領域とを有するポリヌクレオチドを使用する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、上記で論じたように、プロプロモーター配列を含有するTSOである。他の実施形態では、プロプロモーター配列は、下記に記載するように、PTO中に含有される。このようなポリヌクレオチドについては、例えば米国特許番号第6,251,639号に記載されている。いくつかの実施形態では、PTOなしでプロプロモーターを用いる。
a.プロプロモーター・テンプレート・オリゴヌクレオチド
いくつかの実施形態では、該方法は、プロプロモーターテンプレート・オリゴヌクレオチド(PTO)に提供される転写に対するプロモーター配列を使用する。該方法および本発明の組成物で使用されるPTOは、RNAポリメラーゼのdsプロモーターを形成するために設計されるプロプロモーター配列と、プライマー伸長産物の3’末端にハイブリッドすることができる部位を有する一本鎖ポリヌクレオチド、一般にDNAである。好適な実施形態では、プロプロモーター配列をオリゴヌクレオチドの5’部位に位置させ、ハイブリッド配列をオリゴヌクレオチドの3’部位に位置させる。一実施形態でありかつ最も典型的には、プロモーターおよびハイブリッド配列は異なる配列である。別の実施形態では、プロモーターおよびハイブリッド配列は、配列アイデンティティでオーバーラップする。さらに別の実施形態では、プロモーターおよびハイブリッド配列は同一配列であるため、PTO上の同一位置に存在する。プライマー伸長産物へのPTOのハイブリダイザーションによって、オーバーハング(置換プライマー伸長産物にハイブリッドしないPTOの5’末端、通常プロプロモーター配列の全てまたは部分を有する)を有する二重鎖が生じる実施形態では、DNAポリメラーゼは、オーバーハングを埋めて、好適なRNAポリメラーゼによる転写を実行することができる二重鎖プロモーターを生成する。
テンプレートDNAの転写を可能にするプロモーター配列は、当技術で既知であり、上記に論じた。好ましくは、プロモーター配列を選択して、用いられる特定のRNAプリメラーゼの最適転写活性を提供する。このような選択の基準、すなわち特定のRNAポリメラーゼで得に好都合な特定のプロモーター配列も当技術で既知である。例えば、T7DNA依存RNAプリメラーゼおよびSP6による転写用のプロモーター配列が当技術で既知である。プロモーター配列は、原核細胞または真核細胞ソースから得ることができる。
いくつかの実施形態では、PTOは、プロプロモーター配列とプライマー伸長産物の3’末端にハイブリッドすることができる部位との間の干渉配列を有する。干渉配列の好適な長さは、実験的に決定されることができ、少なくとも約1、2、4、6、8、10、12、15ヌクレオチドであり得る。干渉配列の好適な配列アイデンティティも実験的に決定することができ、配列を設計して、好ましくは、必ずしも必要ではないが、配列を省略したときと比べて増幅程度をエンハンスする。一実施形態では、干渉配列は、用いられるRNAポリメラーゼによる増強したかまたはより最適な転写を提供するために設計される配列である。一般に、配列は、オリゴヌクレオチドテンプレートに関連しない(すなわち実質的にハイブリッドしない)。該配列に作用的に結合するプロモーターからのポリメラーゼの転写活性が、そのように結合しないプロモーターからのものより大きいとき、より最適な転写が生じる。最適転写に対する配列の必要条件は、米国特許番号第5,766,849号および第5,654,142号等で、様々なDNA依存RNAポリメラーゼに関して従来記載されているように当技術で公知であり、かつ実験的に決定することもできる。
別の実施形態では、PTOは、プロプロモーター配列への5’である配列を有する。すなわち、PTOは、プロプロモーター配列への5’に位置する付加的なヌクレオチド(転写調節配列であっても、転写調節配列でなくてもよい)を有する。一般に、必ずしも必要ではないが、配列は、プライマー伸長産物に混成可能である。
一実施形態では、PTOは、核酸伸長に対するプライマーとして効率的に機能できない。PTOのプライマー機能を遮断するための技術としては、DNAポリメラーゼによるPTOの3’末端へのヌクレオチドの付加を阻止する任意のものが挙げられる。このような技術は、当技術で既知であり、例えば3’ヒドロキシル基の置換または修飾、あるいはDNAポリメラーゼによるヌクレオチド付加をアンカー(anchor)することができないPTOの3’のほとんどの部位でのジデオキシヌクレオチド等の修飾ヌクレオチドの組み込みを含む。標識、またはビオチン等の特異的結合対のメンバーである小分子を用いて、3’末端を遮断することも可能である。
置換プライマー伸長産物にハイブリッドするPTO部位の長さは、好ましくは約5から約50ヌクレオチド、より好ましくは約10から約40ヌクレオチド、さらにより好ましくは約15から約35ヌクレオチド、最も好ましくは約20から30ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ハイブリッド部位は、少なくとも約3、5、10、15、20のいずれかであり、約30、40、50、60未満のいずれかである。置換プライマー伸長産物上のその目的結合配列へのハイブリッド部位の相補性は、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%である。
5.DNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼ、およびRNAポリメラーゼ
本発明の増幅方法は、以下の酵素を使用する。すなわち、DNAポリメラーゼ、RNaseH等のリボヌクレアーゼ、および任意でDNA依存RNAポリメラーゼである。これらの成分は、例えば米国特許番号第6,251,639号に記載されている。
該方法および本発明の組成物で使用するためのDNAポリメラーゼは、本発明の方法に係る複合プライマーの伸長を実行することができる。従って、好適なポリメラーゼは、デオキシヌクレオチドで少なくとも大部分を構成される核酸テンプレートに沿って、核酸プライマーを伸長することができるものである。ポリメラーゼは、置換鎖になるべきものが結合するポリヌクレオチドから核酸鎖を置換できるべきである。好ましくは、DNAポリメラーゼは、核酸鎖にハイブリッドされるオリゴヌクレオチドの3’末端で結合するための高親和性を有する。好ましくは、DNAポリメラーゼは、実質的なニック形成活性を持たない。好ましくは、プライマーまたはプライマー伸長ポリヌクレオチドの分解を最小にするように、ポリメラーゼは、5’から3’方向エキソヌクレアーゼ活性をほとんど持たないか、または全く持たない。一般に、このエキソヌクレアーゼ活性は、pH、塩濃度、テンプレートが二重鎖または一本鎖であるか等の要素に依存し、これら全てが当業者には熟知されている。5’から3’方向エキソヌクレアーゼ活性が欠失されている突然変異DNAポリメラーゼは、当技術で既知であり、本明細書に記載される増幅方法に適している。5’から3’方向ヌクレアーゼおよび3’から5’方向ヌクレアーゼ活性の両方を持たない突然変異DNAポリメラーゼについても記載されており、例えばexo−/−クレノウ(Klenow)DNAポリメラーゼである。該方法および本発明の組成物で使用するための好適なDNAポリメラーゼは、米国特許番号第5,648,211号および第5,744,312号に記載されているものを含み、その中でexoVent(New England Biolabs)、exoDeep Vent(New England Biolabs)、Bst(BioRad)、exoPfu(Stratagene)、Bca(Panvera)、シーケンシング・グレードTaq(Promega)、およびサーモアナロバクター・サーモヒドロスルフリカス(thermoanaerobacter thermohydrosulfuricus)由来の熱安定DNAポリメラーゼが挙げられている。少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%のポリメラーゼおよびプライマー伸長産物の5’末端間の接触発生率で、DNAポリメラーゼは、オリゴヌクレオチドテンプレートからプライマー伸長産物を置換する。いくつかの実施形態では、鎖置換活性を有する熱安定DNAポリメラーゼを使用することが好ましい。このようなポリメラーゼは、米国特許番号第5,744,312号(およびその明細書で引用される参考文献)に記載されているように、当技術で既知である。好ましくは、DNAポリメラーゼは、プルーフリーディング(校正)(proofreading)活性をほとんど持たないか、全く持たない。
RNA/DNA混成物からRNAを切断するための因子は、酵素、例えばリボヌクレアーゼであり得る。好ましくは、リボヌクレアーゼは、切断すべきリボヌクレオチドに隣接するヌクレオチドのアイデンティティおよびタイプに関わらずリボヌクレオチドを切断する。リボヌクレアーゼが配列アイデンティティから独立して切断することが好ましい。該方法および本発明の組成物に適したリボヌクレアーゼの例は、当業者に周知であり、リボヌクレアーゼH(RNaseH)が挙げられる。
該方法および本発明の組成物で使用するためのDNA依存RNAポリメラーゼは、当技術で既知である。真核生物または原核生物ポリメラーゼのいずれも用いることが可能である。例としては、T7、T3、SP6RNAポリメラーゼが挙げられる。一般に、選択されるRNAポリメラーゼは、本明細書に記載されるように、TSOまたはPTOによって提供されるプロモーター配列から転写することができる。一般に、RNAポリメラーゼは、DNA依存ポリメラーゼであり、プロモーター領域が二重鎖である限り、一本鎖DNAテンプレートから好適に転写することができる。
一般に、該方法および本発明の組成物で用いられる酵素は、該方法および組成物の核酸成分の実質的な分解を生成するべきではない。
一本鎖核酸またはDNA結合タンパク質(「SSB」)を用いて、ハイブリダイゼーションの効率と、プライマーおよびオリゴヌクレオチドテンプレートの変性とをエンハンスすることができる。本発明で使用するために好適なSSBの例としては、大腸菌(E.coli)SSB(「EcoSSB」)、T4遺伝子32タンパク質、T7SSB、大腸菌ファージ(Coliphage)N4 SSB、仔牛胸腺巻き戻しタンパク質、およびアデノウイルスDNA結合タンパク質が挙げられる。SSBは、ssDNA中の2次構造を減少または除去する。EcoSSBは、100℃まで安定であり、塩濃度に対する感受性がSSB32より少ないと考えられる。EcoSSBは、SSB32より凝集する傾向も少ない。一般に、EcoSSB、SSB32、およびT7SSBは、相補的核酸配列に対するポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを向上させることが可能である。ハイブリダイゼーションの特異性を向上するためにSSB32は、有用であり、複数の被分析物の有無および/または量が決定される実施形態で用いられ得る。
6.反応条件
本発明の方法を実行するために適当な反応培地および条件は、被分析物および結合パートナーの結合と、本発明の方法に係る核酸増幅とを許容するものである。このような培地および条件は、当業者には既知であり、米国特許第5,679,512号および第6,251,639号、ならびにPCT公開番号WO99/42618等の様々な刊行物に記載されている。
例えば、緩衝液は、Tris緩衝液が可能であるが、緩衝液成分が本発明の方法の酵素成分に非阻害性である限り他の緩衝液も用いることができる。pHは、好ましくは約5から約11、より好ましくは約6から約10、さらに好ましくは約7から約9、さらにより好ましくは約7.5から約8.5、最も好ましくは約8.5である。反応培地は、遊離イオンの最終濃度が約0.01から約10mM、最も好ましくは約1から5mMの範囲内で、Mg2+またはMn2+等の二価金属イオンを含むこともできる。反応培地は、培地の全イオン強度に寄与するKCl等の他の塩を含むこともできる。例えば、KCl等の塩の範囲は、好ましくは約0から約100mM、より好ましくは約0から約75mM、最も好ましくは約0から約50mMである。反応混合物は、ssDNA結合タンパク質も含有することが可能であり、例えば3ugのT4gp32(USB)を含むことが可能である。反応培地は、増幅反応の成果に影響するが該方法の酵素成分の活性に不可欠ではない添加物をさらに含むことができる。このような添加物としては、BSA等のタンパク質、およびNP40またはTriton等の非イオン洗剤が挙げられる。酵素活性を維持することができるDTT等の試薬を含むこともでき、例えばDTTは、約1から約5mMの濃度で含まれることが可能である。このような試薬は、当技術で既知である。適当であるならば、該方法で使用されるRNaseの活性を阻害しないRNase阻害剤(Rnasin等)も含むことができる。
本発明の方法の任意の実施形態は、同じ温度または変動温度で生じることができる。好ましくは、反応を等温で実行し、これにより煩雑な熱サイクル過程が避けられる。オリゴヌクレオチドテンプレートへの本発明のオリゴヌクレオチド(プライマー、任意でPTO、または任意でTSO)のハイブリダイゼーションを許容し、かつ使用される酵素の活性を実質的に阻害しない温度で、増幅反応を実行する。温度は、好ましくは約25℃から約85℃、より好ましくは約30℃から約75℃、より好ましくは約37℃から約70℃の範囲で、最も好ましくは約55℃であり得る。RNA転写を含むいくつかの実施形態では、転写工程の温度は、先行する工程の温度よりも低い。これらの実施形態では、転写工程の温度は、好ましくは約25℃から約85℃、より好ましくは約30℃から約75℃、最も好ましくは37℃から約70℃の範囲であり得る。
本発明の方法でプライマー伸長産物の合成のために用いることができるデオキシリボヌクレオシド三リン酸等のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログは、好ましくは約50から約2500μM、より好ましくは約100から約2000μM、さらにより好ましくは約500から約1700μM、最も好ましくは約800から約1500μM量で提供される。デオキシリボース・ヌクレオシド三リン酸(dNTP)は、例えば約250から約500uMの濃度で用いることができる。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログが含まれ、プライマー伸長鎖中のその存在は、鎖置換をエンハンスする(例えば、従来のAT、CG塩基ペアリングよりも弱い塩基ペアリングを引き起こすことによって)。このようなヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログとしては、デオキシイノシンおよび他の修飾塩基が挙げられ、それら全てが当技術で既知である。本発明の方法でRNA転写物の合成のために用いることができるリボヌクレオシド三リン酸等のヌクレオチドおよび/またはアナログは、好ましくは約0.25から約6mM、より好ましくは約0.5から約5mM、さらにより好ましくは約0.75から約4mM、最も好ましくは約1から約3mM量で提供される。
本発明の増幅反応のオリゴヌクレオチド成分は、一般に、増幅すべきオリゴヌクレオチドテンプレート配列数よりはるかに多い。それらは、オリゴヌクレオチドテンプレート量の約または少なくとも約10、10、10、10、10、1010、1012倍のいずれかで提供され得る。複合プライマー、TSO、PTO、およびブロッカー配列はそれぞれ、約または少なくとも約50nM、100nM、500nM、1000nM、2500nM、5000nMのいずれかの濃度で提供され得る。
一実施形態では、先述の成分および結合パートナーに結合する被分析物を促進するために必要とされる他のものは、当業者に自明であるように、増幅過程の開始時に同時に添加される。別の実施形態では、結合および/または増幅反応によって必要および/または許容されるように、増幅過程中かつ被分析物が結合パートナーに結合する間の適当な時間点前または後で、成分を任意の順番で添加する。このような時間点は、そのいくつかは下記に記載しているが、当業者により容易に特定され得る。当業者に既知の考察によって決定されるように、被分析物−結合パートナー結合工程の前に、被分析物−結合パートナー結合工程と同時に、被分析物−結合パートナー結合工程後に、あるいは標的DNAへのプライマーおよび/またはブロッカー配列のハイブリダイゼーション後に、本発明の方法による核酸増幅のために用いられる酵素を反応混合物中に添加することができる。
7.増幅産物の検出可能な同定特性
増幅工程の産物(すなわち、「増幅産物」)は、(増幅が、RNA転写工程なしで実施された場合)プライマー伸長領域および複合プライマーのDNA部分の全ておよび一部に相補的または同一のポリヌクレオチド(代表的には、DNA)、または、複合プライマーのDNA部分の一部分または全部ならびにそのオリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー伸長領域に対応するセンスRNAのいずれかを含むプローブ置換されたプライマー伸長産物あり得る。いくつかの実施形態において、その増幅産物(DNAまたはRNAのいずれか)は、少なくとも1つの検出可能な同一特性を保持する。増幅産物に取り込まれ得る適切な検出可能同定特性は、これらの構成要素(例えば、提供されるdNTPの型および/または形態、および/または提供されるdNTPに関連する標識およびプライマー)に関して、およびそれらに依存して当業者によって決定され得る。1以上の検出可能同定特性は、増幅産物を特徴付けるために使用され得ること、そして、その特徴付けが反復して実施され得ることが理解される。1を超えるオリゴヌクレオチドからの、1以上の増幅産物が、反応混合物中に存在し得ること、そして、増幅産物の各々それ自体の検出可能同定特性を有し得ることもまた、理解される。いくつかの実施形態において、増幅産物(例えば、ピロリン酸)の検出を介して、検出が達成され、そして、増幅によって生成されたDNAまたはRNAの同定可能な特性の検出に必要としない。
増幅産物に対する検出同定特性の例としては、その産物のサイズ(増幅産物に寄与する種々の構成要素のサイズは既知であり、したがって、増幅産物のサイズも既知である)、増幅産物の配列(増幅産物の配列が既知であるのため)、および増幅産物に関連する検出可能なシグナルが挙げられる。検出可能シグナルは、プライマー伸長またはRNA転写の間に取込まれる、デオキシリボヌクレオシド三リン酸またはリボヌクレオチド三リン酸あるいはこれらのアナログ上の標識に関連する。検出シグナルはまた、2つの標識の相互作用に関連し得る。例えば、1つの標識が、プライマー伸長の間に取り込まれ得るデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはそれらのアナログ上に存在し得、そして、別の標識が、プライマー伸長産物のプライマー部分に位置づけられるデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはそれらのアナログ上に存在し得るか、または両方の標識が、プライマー伸長の間に取り込まれ得るデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはそれらのアナログであり得る。上述の議論は、検出同定特性を含む増幅産物の検出について言及したが、検出同定特性を含む蓄積した増幅産物の非存在はまた、参考になるものであり、これは、サンプル中の被分析物の非存在を示す。
1つの実施例において、サイズに基づいた増幅の特徴付けが、複数の被分析物および/または単一の被分析物上の複数の結合パートナー結合部位がサンプル中に存在するかまたは存在しないかを決定するときに、使用され得る。プライマー伸長領域の長さの種々の組合せ、プライマーのDNA部分の長さ、およびTSOの5’領域またはPTOの5’領域の長さは、それらが使用される場合、様々な結合パートナーに結合する様々なオリゴヌクレオチドの各々についての様々なサイズの増幅産物を生成するために使用され得る。したがって、各被分析物、および/または被分析物結合領域の各々、および/またはマルチサブユニット被分析物のサブユニットの各々についての様々なサイズにされた増幅産物の生成が存在し得る。
別の実施例において、増幅産物の検出および/または特徴づけは、増幅産物の配列に基づき得、これは、増幅産物の各々または増幅産物の群の全部または一部分について特有であるように設計され得る。配列に基づく検出方法は、当該分野において周知である。配列に基づく検出方法は、(例えば、アレイ上に固定された)特異的なオリゴヌクレオチドに対する増幅産物のハイブリダイゼーションを含む。この方法は、複数の増幅産物が生成された場合に、特に有用である。
別の実施例において、増幅産物の特徴付けは、増幅産物からの、シグナル、またはシグナルの欠失に基づき得る。このようなシグナルは、標識されたdNTP、またはそれらのアナログのその産物への取り込みに関連し得る。例えば、上述したようなシナリオにおいて、被分析物に対応する標識されたdNTPは、増幅産物に取り込まれる。その標識によって生成されたシグナルを用いた産物の検出は、被分析物の存在を示す。
増幅産物は、複製の間の標識ヌクレオチドの取り込みによって標識され得るか、標識されたヌクレオチド(ターミナルトランスフェラーゼを使用した)標識されたヌクレオチドの取り込みによって標識され得、標識されたプライマーを使用する標識の取り込みによって標識され得るか、または、配列特異的標識プローブの結合によって間接的に標識され得る。
本発明の方法における用途にとって適切な標識は、当該分野で公知であり、そして、これらとしては、例えば、蛍光色素標識および同位体標識が挙げられる。増幅産物の一様な検出(homogeneous detection)もまた、利用され得る。例えば、dNTPに関連する標識の光学的特性は、標識されたdNTPの増幅産物に対する取り込みの後に変更され得る。このような標識は、遊離したdNTPに結合することと、ポリヌクレオチド中に取り込まれることとの間での蛍光の分極性を受ける蛍光色素を含む。米国特許第6,326,142号およびその中で引用された参考文献を参照のこと。
一様な検出の別の実施例は、エネルギー移動の手段によって標識のスペクトル特性の変化に基づく。プライマーが、ドナー色素またはアクセプター色素によって標識されるとき、プライマーは、ドナー色素またはアクセプター色素によって標識され、例えば、そして/または、そのdNTPまたはアナログは、それぞれ、アクセプター色素またはドナー色素によって標識され、その標識dNTPのその産物への取り込みは、ドナー色素−アクセプター色素の間のエネルギー移動を可能にし、よって、その結合した色素の特異的な検出可能なスペクトル特性を生じる。これらの色素は、例えば、米国特許第4,996,143号(例えば、フルオロセインおよびTexas Redドナー・アクセプター色素ペア)、ならびに米国特許第5,688,648号に記載されるように、当該分野で公知である。他の標識の組合せもまた、可能である。例えば、各々が増幅産物の様々な部分(一般的に、プライマー、および非プライマー部分、またはRNA転写に関して、転写物中の様々なヌクレオチド)に結合する2つのリガンド(例えば、ジゴキシゲニンおよびビオチン)は、増幅産物の前後の極めて近位に持ち込まれ得る。様々な標識されるそれらの対応する抗体と2つのリガンドの結合は、その標識の相互作用に起因して検出され得る。例えば、2つの異なる標識は、光増感剤および化学発光剤受容剤(chemiluminescent acceptor dye)であるとき、これらの標識の相互作用は、米国特許第5,340,716号に記載されるような化学発光酸素チャネリングアッセイによって検出され得る。本発明において有用な他の相互作用標識対は、当該分野で公知である。例えば、5,340,716;3,999,345;4,174,384;および4,261,968(Ullmanら);ならびに5,565,322(Hellerら);5,709,994(Peaseら);ならびに5,925,517(Tyagiら)を参照のこと。1つのメンバーが別のシグナルを調節するリガンドの例としては、蛍光標識、化学発光標識、および生物発光標識が挙げられる。いくつかの実施形態において、このリガンドは、極めて近い場合に殆どシグナルがないか、または全くシグナルがなく、分離している場合に大きいシグナルが生じる。他の実施形態において、リガンドは、極めて近位にある場合にシグナルを生じ得、そして、分離された場合にシグナルが殆どないかまたはシグナルが全くない。
核酸に関して、核酸の分析においてライトアッププローブの使用は、二本鎖の結合が蛍光シグナルにおける大きな増大を生じるような様式で相補対の一方が標識されることを可能にする。このようなプローブの使用は、当該分野で公知であり、そして、例えば、米国特許第6,329,144号;Svanvik et al.,AnaBiochem.(2000)281:26〜35において記載される。
当業者にとって明らかなように、シグナルの調節を生じる相互作用標識の概念は、より
一般的に適用され得る。例えば、検出可能な産物を生じる反応を触媒する酵素は、そのコファクターまたはそのインヒビターと対形成され得るか、または酵素の複数のサブユニットが、対形成され得る。コファクターまたは複数のサブユニットにおける場合に、極めて近位にある実体の対形成は、シグナル(例えば、その産生が酵素によって触媒される検出可能な産物)を増大し、他方、インヒビターの場合において、その近位における実体との対形成によって、シグナルを低減することが明らかである。
さらに、その増幅産物は、標識されたオリゴヌクレオチドにそれをハイブリダイズすることによって検出され得る。1つの実施形態において、増幅産物は、相互作用標識対のうちの一方のメンバーを含み、そして、その増幅産物がハイブリダイズする標識されたオリゴヌクレオチドは、他方のメンバーを含む。別の実施形態において、その相互作用標識対の一方のメンバーは、増幅産物が結合する結合オリゴヌクレオチドにおいて使用され、そして、他方のメンバーは、第3の(捕捉)オリゴヌクレオチドにおいて使用される。この第3のオリゴヌクレオチドは、固体支持体上に固定され得、そして、第3の(捕捉)オリゴヌクレオチドに対する標識された増幅産物結合オリゴヌクレオチドハイブリッドは、増幅産物および第3のオリゴヌクレオチド上の標識の相互作用に起因した検出可能なシグナルの変更を生じる。固定されたオリゴヌクレオチドは、複数のオリゴヌクレオチドのアレイの一部分であり得、各々のオリゴヌクレオチドは、別個の配列を含む増幅産物に特異的である。
その検出可能同定特性の検出は、当業者にとって明らかな種々の方法によって達成され得る。サイズを決定し、そして、ポリヌクレオチド(例えば、結合したオリゴヌクレオチド組合せ産物)の配列決定の方法は、当該分野で公知である。検出可能なシグナルの検出方法は、当該分野で公知であり、そして、上述されている。
1つの実施形態において、反応混合物における得られた増幅産物は、適切なマトリクス上の分析のために分離される。多くの方法のうち任意のものが、例えば、McIntoshら(前出)において記載されるように、分離をもたらすために使用され得る。このような方法としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:オリゴヌクレオチドアレイハイブリダイゼーション、質量分析法、フローサイトメトリー、HPLC、FPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィ、およびゲル電気泳動。
上述した議論は、検出可能同定特性を含む増幅産物の検出を記載し、検出可能同定特性を含む増幅産物の蓄積が存在しないことも、情報を与え得るものであり、これは、サンプル中に被分析物が存在しないことを示すことが理解される。
反応条件、構成要素、および他の実験パラメーター、ならびに、この節における例示的な実施形態が、概ね、本明細書中に記載にされる。
(B.オリゴヌクレオチドテンプレートの増幅方法)
本発明の方法の増幅工程の1つの局面において、そのオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分に相補的なヌクレオチド配列が、提供される。この方法において、等温線形増幅が、達成される。別の局面において、そのオリゴヌクレオチドテンプレートの増幅部分は、それ自体、増幅されている。別の局面において、その増幅した産物がセンスRNAであるオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分を増幅する方法が、提供される。後者の2つの局面は、本明細書中で、「増強型」線形増幅法として、時折、言及される。
プライマー伸長テンプレート領域を増幅する方法は、一般的に、RNA/DNA複合プライマー、必要に応じて、終止配列、および、転写が使用される実施形態(すなわち、増強型線形増幅)においては、プロプロモーターオリゴヌクレオチド配列を使用することが包含する。
この方法は、以下のように機能する(例えば、米国特許第6,251,639号):複合RNA/DNAプライマーは、オリゴヌクレオチドのプライマー伸長テンプレート領域の複製の基礎を形成する。いくつかの必要に応じた実施形態において、終止配列が、テンプレートオリゴヌクレオチド鎖に沿ったさらなる複製を送達するかまたはブロックするかのいずれかによって複製のための端点に対する基礎を提供する。上述のように、いくつかの必要に応じた実施形態において、終止配列を含むポリヌクレオチドは、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチド(TSO)(これは、(ハイブリダイズするに十分な相補性の配列に加え)そのテンプレートオリゴヌクレオチド鎖にハイブリダイズするのに十分な相補的でない配列を含む)であり;他の必要に応じた実施形態において、終止配列は、主に、テンプレートオリゴヌクレオチド鎖にハイブリダイズするのに十分であるほどに相補的である配列を含む。DNAポリメラーゼは、そのプライマーからのプライマー伸長領域のコピー形成を与える。RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素(例えば、RNaseH)は、そのハイブリッド、別の複合プライマーによって結合するために利用可能なテンプレートオリゴヌクレオチド鎖状の残りの配列からRNA配列を切断(切り出し)を行う。別の鎖は、DNAポリメラーゼによって生成され、それまでに置換された鎖を置換し、置換された伸長産物を生じる。
従って、本発明の方法の線形増幅工程は、一般的に、以下を組み合わせてそして反応させる工程を包含する:(a)プライマー伸長テンプレート領域を含む、(結合パートナーに付着した)一本鎖オリゴヌクレオチドテンプレート;(b)RNA部分および3’DNA部分を含む複合プライマー;(c)DNAポリメラーゼ;(d)デオキシリボヌクレオチド三リン酸または適切なアナログ;(e)RNA/DNA二重鎖からRNAを切断する、RNaseHのような酵素;ならびに(f)必要に応じて、終止配列を含むポリヌクレオチド(例えば、本明細書中に記載のポリヌクレオチドのいずれか)であって、そのオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズした部分(または領域)を含む、ポリヌクレオチド。終止配列はまた、転写に基づく増幅(すなわち、増強型線形増幅。以下を参照のこと)が使用される場合に、使用される。この組合せは、適切な状態に供され、その結果、(a)複合プライマー(および、必要に応じて、終止配列を含むポリヌクレオチド)がオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし;(b)プライマー伸長は、複合プローブリアマーから生じて、二重鎖を伸長し;(c)RNaseHは、RNA/DNA二重鎖からその複合プライマーのRNAを切断し;(d)別の複合プライマーは、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズし、そして、(DNAポリメラーゼによって媒介された)プライマー伸長の別のラウンドを生じ、そのオリゴヌクレオチドテンプレートからすでにコピーされた鎖を置換する。
増幅線形増幅の方法は、さらに、複合プライマーに基づく増幅の第2ラウンドまたは転写に基づく増幅のラウンドためのいずれかの工程を含む。複合プライマーに基づく増強型増幅は、以下の工程をさらに含む:第2の複合プライマーは、置換されたプライマー伸長産物に結合する。このプライマーは、置換されたプライマー伸長産物にそったDNAポリメラーゼ触媒重合のための開始点としての役割を果たす。第2の複合プライマーは、RNA切断試薬によって切断される。この重合産物は、第2の複合プライマーの結合によって開始される重合の別のラウンドによって置換される。
転写に基づく増強型線形増幅において、以下の工程が、その線形増幅に加えて含まれる:
プロプロモーター、および置換されたプライマー伸長産物にハイブリダイズする領域(これは、例えば、プロプロモーターテンプレートオリゴヌクレオチドまたはテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドであり得る)を含むポリヌクレオチドは、置換されたプライマー伸長産物の3’末端にハイブリダイズするのに十分であるほど相補的な配列を含み、このポリヌクレオチドは、その置換されたプライマー伸長産物に結合する。このプロモーターは、(DNA依存型RNAポリメラーゼを介して)転写を駆動して、センスRNA産物を産生する。
従って、転写に基づく増強型線形増幅が使用される場合に、その置換された鎖の転写が生じるような条件下で、以下がまた、(上で列挙された構成要素と同時であるか、または別個に追加される)増幅反応に含まれる:(e)プロプロモーター(本明細書中で記載されるような、多くの形態のいずれかであり得る)および置換されたプライマー伸長産物にハイブリダイズする領域を含むポリヌクレオチド;(f)リボヌクレオシド三リン酸または適切なアナログ;ならびに(g)RNAポリメラーゼ。本発明の方法の種々の構成要素に関する詳細が、以下に提供される。
以下は、本発明の増幅方法の例である。種々の他の実施形態が実施され得、上記で提供された記載が与えられる。例えば、複合プライマーを使用することに対する参照は、本明細書中で記載された複合プライマーのいずれかが、使用され得る。1つの実施形態において、TSOに基づいた、増強型等温線形核酸配列増幅の方法が、提供される(これ以降で、「方法1」とする)。別の実施形態において、ブロッカー配列およびPTOに基づく増強型等温線形核酸配列増幅の方法が、提供される(これ以降、「方法2」とする)。
(1.DNA増幅産物を生じる線形核酸配列増幅)
転写に関連しないとき、本発明の増幅方法は、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分の等温線形増幅を提供する。この方法は、単一の複合プライマーを利用する。1実施形態において、この方法はまた、終止配列(例えば、方法2に記載されるようなブロッカー配列またはTSO(方法1に記載されるようなもの))を利用する。方法1および方法2が以下に記載される。線形増幅が転写に連結しない程度において、DAN依存型ポリメラーゼのためのプロモーター配列を含む複合体の形成に結びつく成分および工程は、包含されない。
終止配列(使用される場合、TSOまたはブロッカー配列の成分のいずれか)が、規定される3’末端の産物を生成するために付加される。いくつかの実施形態において、そのプライマー結合部位の5’側のオリゴヌクレオチドテンプレート中の配列は、核酸重合を阻害し、その結果、プライマー伸長の停止が達成される。このような配列が当該分野で既知であり、例えば、GCリッチ配列であり、または経験的に決定される。
この特徴が所望されない場合に、本発明の方法に従った等温線形増幅は、終止配列なしで実行され得る。この等温線形増幅はさらに、2つの酵素、つまり、DNAポリメラーゼおよびリボヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼH)を利用する。本発明の等温線形核酸増幅の図解は、図10A〜Cならびに12Aおよび12Bに示される。図10A〜Cは、ブロッカー配列が存在する増幅を示すが、他方、図12Aおよび12Bは、ブロッカー配列のなしの増幅を示す。
以下に記載される方法1および2と同様に、線形増幅方法を、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドテンプレートを増幅するように設計する。
図10A〜Cならびに12Aおよび12Bに示されるように、本発明の線形等温増幅方法は、以下ならびに図9A〜Cおよび図11A〜Dに記載される、増強型線形増幅方法(方法1および2)の開始工程と類似の工程を包含する。オリゴヌクレオチドテンプレートを、上記のような、複合プライマー、DNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼH)(図12A)、および必要に応じて、ブロッカー配列成分またはTSO(図10)と組み合わせる。1つの実施形態では、各増幅反応混合物は、1つの同一配列の複合プライマーを含み、ここで、これらのプライマーは、低い相同性であるかまたは相同性が全くない2以上の同一でない配列を表し、ここで、これらのプライマーは、様々なオリゴヌクレオチドテンプレート配列、または同一のオリゴヌクレオチド鎖に沿った様々な部位にハイブリダイズし得る。この実施形態の利点は、単一の増幅反応における複数のオリゴヌクレオチドテンプレート種の増幅を介した、オリゴヌクレオチドテンプレートの多重検出および/または多重分析を含む。
図10A〜Cは、終止配列を含む実施形態を例示し、図12Aおよび図12Bは、ブロッカーなしの実施形態を例示する。明瞭性のために、終止配列(TSOまたはブロッカー配列)実施形態のみが、記載される(図10A−C)。終止配列のない実施形態は、終止配列がないことを除けば、同じものであり、重合が、立体配置的な理由によってか、または、そのオリゴヌクレオチドテンプレートの末端に達することによって終止される場合には、終止配列を必要としない。複合プライマーおよび終止配列(TSOまたはブロッカー配列成分)は、同じオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズして、3分子(tri molecular)複合体であるXX(図10A)を形成する。複合プライマーの3’末端は、ポリメラーゼによって、TSOまたはブロッカー配列成分のハイブリダイズする部位まで、そのオリゴヌクレオチドテンプレートに沿って伸長し、複合体XXI(図10A〜C)を生成する。リボヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼH)は、複合体XXI(図10A〜C)の伸長されたプライマーのRNA(一般的に、5’RNA)部分を切断して、複合体XXII(図10A〜C)を生成する。第2の複合プライマーは、RNA(一般的に、5’RNA)部分のハイブリダイゼーションによって複合体XXII(図10A〜C)に結合して、複合体XXIII(図10A〜C)を生成する。次いで、結合した複合プライマーの遊離3’部分は、プライマー伸長産物の5’末端を置換し、そしてオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズして、複合体XXIV(図10A〜C)を形成する。オリゴヌクレオチドテンプレートへの複合プライマーの3’末端のハイブリダイゼーションは、一般的に、プライマー伸長産物の5’末端のハイブリダイゼーションよりも有利である。なぜなら、プライマーのハイブリダイズした3’末端は、DNAポリメラーゼの結合部位であり、次いで、これは、オリゴヌクレオチドテンプレートに沿ってプライマーの3’末端を伸長させるからである。プライマー伸長は、第1のプライマー伸長産物の置換を生じさせて、複合体XXV(図10A〜C)を生成する。このプロセスを繰り返して、複数の一本鎖DNA置換産物を生成する。この産物は、一般的に、オリゴヌクレオチドテンプレートに対して相補的である。
増幅方法の記載から明らかなように、置換されたプライマー伸長産物は、さらなる増幅のためのテンプレートとしての役割を果たし得る。複合プライマーは、置換されたプライマー伸長産物(これは、DNAテンプレートとしての役割を果たし得る)に対してハイブリダイズし得、そして、本明細書中に記載されるように伸長され、そして、置換され得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分を増幅するための方法を提供し、それによって、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分の複数のコピーを生成する:(a)オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分の相補的配列を含む1本鎖DNAテンプレートに第1の複合プライマーをハイブリダイズする工程であって、ここで、上記複合プライマーは、RNA部分および3’DNA部分を含み、ここで、上記1本鎖DNAテンプレートは、以下の(i)〜(iv)を含む方法によって、生成される、工程:(i)第2の複合プライマーを用いてオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分をハイブリダイズする工程であって、この第2の複合プライマーは、RNA部分および3’DNA部分を含んでいる、工程;(ii)上記のオリゴヌクレオチドテンプレートに対する第2の複合プライマーのハイブリダイゼーションに関して5’側であるオリゴヌクレオチドテンプレートの領域に対する終止ポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを必要に応じてハイブリダイゼーションさせる工程;(iii)DNAポリメラーゼを用いて第2の複合プライマーを伸長する工程;および(iv)RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、そのアニーリングした第2の複合プライマーからRNAを切断して、その結果、別の複合プライマーが、そのオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズして、そして鎖置換によって、プライマー伸長を反復さ、それによって、そのオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分の相補的な配列を含む1本鎖テンプレートの複数のコピーが生成される、工程;(b)テンプレート対して第1の複合プライマーをハイブリダイゼーションさせることに関して、5’末端側にあるテンプレートの領域に対して、終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを必要に応じてハイブリダイズする工程;(c)DNAポリメラーゼを利用して第1の複合プライマーを伸長させる工程;(d)RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を使用してアニーリングした第1の複合プライマーのDNAを切断し、その結果、別の複合プライマーがそのテンプレートにハイブリダイズして、鎖置換によってプライマー置換を反復する工程。
等温線形増幅方法の1本鎖DNA(すなわち、置換されたプライマー伸長産物)は、当該分野で公知の多くの検出方法のうちのいずれかによって容易に検出可能である。一本鎖核酸分子について適切な種々の一様または一様でない検出方法が、本明細書中に記載され、これらの方法としては、ゲル電気泳動によるサイズ特性および/または移動度特性による同定、または配列特異的プローブに対するハイブリダイゼーションによる同定が挙げられるが、これらに限定されない。
増幅産物の検出は、被分析物の存在を示す。定量分析もまた、可能である。例えば、既知量の被分析物またはその被分析物に対する結合パートナーを有する参照サンプルの増幅産物に対して、未知量の被分析物を含む試験サンプルから増幅した産物の量を比較することによって、試験サンプル中の被分析物の量が決定され得る。
テンプレートポリヌクレオチドの各コピーの少なくとも1個、少なくとも10個、少なくとも約100個、少なくとも約1000個、少なくとも約10個、少なくとも約10個、少なくとも約10個、少なくとも約1012個の相補的コピーの生成が期待され得、従って、テンプレートポリヌクレオチドの各コピーに関して、少なくとも1倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、少なくとも約10倍、少なくとも約10倍、少なくとも約10倍、少なくとも約1012倍の増強へと導かれる。
(2.置換されたプライマー伸長産物からのさらなるDNA複製に基づく増強型線形増幅)
増幅方法の記載から明らかなように、置換されたプライマー伸長産物は、さらなる増幅のためのテンプレートとしての役割を果たし得る。別の複合プライマーは、置換されたプライマー伸長産物(これは、DNAテンプレートとしての役割を果たし得る)に対してハイブリダイズし得、そして、本明細書中に記載されるように伸長され、そして、置換され得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分を増幅するための方法を提供し、それによって、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分の複数のコピーを生成する:(a)オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分の相補的配列を含む1本鎖DNAテンプレートに第1の複合プライマーをハイブリダイズする工程であって、ここで、上記複合プライマーは、RNA部分および3’DNA部分を含み、ここで、上記1本鎖DNAテンプレートは、以下の(i)〜(iv)を含む方法によって、生成される、工程:(i)第2の複合プライマーを用いてオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分をハイブリダイズする工程であって、この第2の複合プライマーは、RNA部分および3’DNA部分を含んでいる、工程;(ii)DNAポリメラーゼを用いて上記の第2の複合プライマーを伸長する工程;ならびに;(iv)RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、そのアニーリングした第2の複合プライマーからRNAを切断して、その結果、別の複合プライマーが、そのオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズして、そして鎖置換によって、プライマー伸長を反復され、それによって、そのオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分の相補的な配列を含む1本鎖テンプレートの複数のコピーが生成される、工程;(b)テンプレート対して第1の複合プライマーをハイブリダイゼーションさせることに関して、5’末端側にあるテンプレートの領域に対して、終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを必要に応じてハイブリダイズする工程;(c)DNAポリメラーゼを利用して第1の複合プライマーを伸長させる工程;(d)RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を使用してアニーリングした第1の複合プライマーのDNAを切断し、その結果、別の複合プライマーがそのテンプレートにハイブリダイズして、鎖置換によってプライマー置換を反復する工程。
等温線形増幅方法の1本鎖DNA(すなわち、置換されたプライマー伸長産物)は、当該分野で公知の多くの検出方法のうちのいずれかによって容易に検出可能である。一本鎖核酸分子について適切な種々の一様または一様でない検出方法が、本明細書中に記載され、これらの方法としては、ゲル電気泳動によるサイズ特性および/または移動度特性による同定、または配列特異的プローブに対するハイブリダイゼーションによる同定が挙げられるが、これらに限定されない。
増幅産物の検出は、被分析物の存在を示す。定量分析もまた、可能である。例えば、既知量の被分析物またはその被分析物に対する結合パートナーを有する参照サンプルの増幅産物に対して、未知量の被分析物を含む試験サンプルから増幅した産物の量を比較することによって、試験サンプル中の被分析物の量が決定され得る。
テンプレートポリヌクレオチドの各コピーの少なくとも1個、少なくとも10個、少なくとも約100個、少なくとも約1000個、少なくとも約10個、少なくとも約10個、少なくとも約10個、少なくとも約1012個の相補的コピーの生成が期待され得、従って、テンプレートポリヌクレオチドの各コピーに関して、少なくとも1倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、少なくとも約10倍、少なくとも約10倍、少なくとも約10倍、少なくとも約1012倍の増強へと導かれる。
(3.転写に基づき、そして、センスRNA産物を生じる、増強型線形増幅)
本発明はまた、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分を増幅する方法を提供し、ここで、増幅される産物は、センス配列(すなわち、そのオリゴヌクレオチドテンプレートと同じ配列)を含むRNAである。方法1に従うオリゴヌクレオチドテンプレートの増幅(これは、オリゴヌクレオチドテンプレートおよびテンプレートスイッチオリゴヌクレオチド(TSO)関連部分を含む固有の中間増幅産物の生成を生じる)によって、転写への線形増幅のカップリングを提供する。テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドおよび置換されたプライマー伸長産物のハイブリダイゼーションによって形成される複合体は、RNAポリメラーゼによる転写の基質であり、これは、オリゴヌクレオチドテンプレートの開始部分と同じセンスのRNA産物を生成する。同様に、方法2に従うオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分の増幅は、置換されたプライマー伸長産物の形成を生じ、これは、プロモーターテンプレートオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした場合に複合体を形成し、この複合体は、RNAポリメラーゼの基質である。方法1におけるように、このプロセスは、転写への線形増幅のカップリングを生じる。各プライマー伸長産物由来の、好ましくは、少なくとも約1個、より好ましくは、少なくとも約50個、さらにより好ましくは、少なくとも約75個、なおより好ましくは、少なくとも約100個、そして最も好ましくは、少なくとも約1000個のRNA転写産物の生成が期待され、従って、非転写関連増幅方法に関して、好ましくは、少なくとも約1倍、より好ましくは、少なくとも約50倍、さらにより好ましくは、少なくとも約75倍、なおより好ましくは、少なくとも約100倍、そして最も好ましくは、少なくとも約1000倍の増強へと導かれる。
以下は、2つの例示的方法である。
(a.方法1−TSOに基づく増強型線形核酸増幅)
1つの実施形態では、本発明のTSOに基づく線形増幅方法は、プライマー伸長産物からの転写と関連して、増強型核酸増幅を提供する。この新規な増幅方法(方法1)の図式的説明を、図9A〜Cに示す。
本発明のTSOに基づく核酸増幅方法は、上記のような単一の複合プライマーを使用する。本発明の増幅方法において必要に応じて使用される第2のオリゴヌクレオチドは、また上記に記載されたような、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチド(TSO)である。いくつかの実施形態において、TSOは、必要とされず、かつその代わりに、そのプロモーター配列は、置換されたテンプレート増幅産物に結合するオリゴヌクレオチドによって提供され得る。本発明の増幅方法は、以下の酵素を使用する:DNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼH)、およびDNA依存性RNAポリメラーゼ。
本発明のこの新規のTSOに基づく増強型線形増幅法は、そのオリゴヌクレオチドテンプレート配列の一部分に対してセンスであるRNA産物の複数のコピーを生成し得る。
そのオリゴヌクレオチドテンプレートは、当該分野において公知のような、核酸のハイブリダイゼーションおよび増幅に適切な反応媒体中で、複合プライマー、TSOオリゴヌクレオチド、DNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼH)、DNA依存型RNAポリメラーゼ、およびヌクレオチド(例えば、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)およびリボヌクレオシド三リン酸(rNTP))と組み合わされ得る。適切な反応媒体および条件は、上記の通りである。1つの実施形態では、転写は、先行工程の温度とは異なる温度(一般的には、より低い)で実施される。別の実施形態では、この方法のすべての工程は、等温で実施される。
1つの実施形態では、その各増幅反応混合物は、同一配列の複合プライマーを含む。別の実施形態では、各増幅反応混合物は、複合プライマーの混合物を含み、ここで、これらのプライマーは、相同性が低いかまたは全く相同性がない2つ以上の同一でない配列を表し、かつ、ここで、これらのプライマーは、様々なオリゴヌクレオチドテンプレートまたは同一のオリゴヌクレオチドに沿った様々な部位に選択的にハイブリダイズし得る。この実施形態の利点は、単一の増幅反応における複数のオリゴヌクレオチドテンプレート種の増幅を介して複数の被分析物の多重検出および多重分析を含むことである。
1つの実施形態において、TSOは、終止配列として機能し、そしてプロプロモーター配列を提供する。別の実施形態において、TSOは、プロプロモーター配列を含まない。この実施形態において、プロプロモーター配列は、プロプロモーターを含みかつプライマー伸長産物の3’部分にハイブリダイズし得、そのプライマー伸長産物の転写が生じ得るようにする、別のオリゴヌクレオチド(例えば、PTO)により、別々に提供される。
次いで、単一の複合プライマーおよびTSOが、増幅される核酸の同じ鎖にハイブリダイズする。そのオリゴヌクレオチドテンプレートへのこの2つのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、3分子(tri molecular)複合体I(図9A〜C)の形成を生じる。
DNAポリメラーゼが、プライマー伸長を実行する。そのプライマーは、複合体I(図9A〜C)のオリゴヌクレオチドテンプレートに沿って、TSOハイブリダイゼーションの部位まで伸長される。その標的鎖からTSOの5’非ハイブリダイズ部分へのテンプレートスイッチ、そしてTSOテンプレートに沿ったさらなるプライマー伸長が、3分子複合体IIの形成を生じる。最後は、オリゴヌクレオチドテンプレート、TSOおよび最初のプライマー伸長産物を含む。その最初のプライマー伸長産物は、オリゴヌクレオチドテンプレート依存性部分(すなわち、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部分と相補的な配列)およびTSO依存性部分(すなわち、TSOの非ハイブリダイズ部分と相補的な配列)の両方を含む、独特のDNAである。
複合体II(図9A〜C)は、RNAポリメラーゼおよびリボヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼH)の両方についての基質である。DNA依存性RNAポリメラーゼは、複合体IIの機能的dsプロモーターに結合し、そして第1のプライマー伸長産物を転写して、センスRNA産物III(図9A〜C)を生成する。RNA/DNAヘテロ二重鎖のRNA鎖の分解に特異的なリボヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼH)は、複合体IIにおけるプライマー伸長産物の5’部分を分解して、3分子複合体IVを形成する。
遊離の複合プライマーが、複合体IV(図9A〜C)中のオリゴヌクレオチドテンプレートのプライマー相補的部位にハイブリダイズする。このハイブリダイゼーションは、複合体V(図9A〜C)の形成を生じ、この複合体Vにおいて、プライマーのRNA部分(一般には5’RNA部分)のみが、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズしている。部分的にハイブリダイズするプライマーの3’DNA部分によるプライマー伸長産物の最も5’側部分の置換は、複合体VI(図9A〜C)の形成を生じ、この複合体VIは、DNAポリメラーゼの基質である。オリゴヌクレオチドテンプレート(VII;図9A〜C)に沿ったプライマーの伸長は、その複合体からの第1のプライマー伸長産物の置換を生じる。反復されるプライマー伸長および鎖置換は、オリゴヌクレオチドテンプレートと少なくとも実質的に相補的なポリヌクレオチドの複数のコピーの生成を生じる。
上記のように生成されたプライマー伸長産物は、プロプロモーター配列を含むTSOが提供される実施形態において、転写のためのテンプレートとして使用される。置換されたプライマー伸長産物(VIII;図9A〜C)は、遊離のTSOオリゴヌクレオチドにハイブリダイズして、部分的二重鎖IX(図9A〜C)を形成する。複合体(二重鎖)IXは、一端に二本鎖部分を含み、そしてそれぞれプライマー伸長産物およびTSOに由来する、2つの非相補的一本鎖を含む。この部分的二重鎖の二本鎖部分は、DNA依存性RNAポリメラーゼのための完全に機能的な二本鎖プロモーターを含む。最後は、この部分的二重鎖IXのプロモーターに結合し、そしてプライマー伸長産物を転写して、センスRNA産物X(図9A〜C)の複数のコピーを形成する。
上記の増幅の産物は、均質(homogenous)検出方法または不均質(heterogeneous)検出方法(ゲル電気泳動におけるサイズ特性および/もしくは移動度特性による同定、または配列特異的プローブに対するハイブリダイゼーションによる同定を含む)のいずれかにより、検出され得る。その増幅産物の検出は、オリゴヌクレオチドテンプレートの存在を示す。定量的分析もまた、可能である。例えば、未知の量の被分析物を含む試験サンプルから増幅された産物の量を、既知の量の被分析物またはその結合パートナーを有する参照サンプルの増幅の産物の量と比較することによって、その試験サンプル中の被分析物の量が決定され得る。
(b.方法2−ブロッカー配列に基づく、増強型核酸増幅)
別の実施形態において、本発明のブロッカー配列に基づく線形増幅方法は、プライマー伸長産物からの転写に関連して、増強型核酸増幅を提供する。テンプレートスイッチ工程を含まないこの代替的な増強型線形増幅(方法2)が、図11A〜Dに示される。
方法2は、上記のような、方法1のように、単一の複合プライマーを利用し、上記のような、その単一プライマーと同じオリゴヌクレオチドテンプレート上の配列にさらにハイブリダイズすることができる、オリゴヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドアナログのいずれかである必要に応じたブロッカー配列成分(これらはさらに、上述のように、その単一のプライマーと同じオリゴヌクレオチドテンプレート上の配列、および第3のオリゴヌクレオチド配列である、プロモーターテンプレート(PTO)にハイブリダイズし得、このPTOは、上述されたように、置換された伸長産物の3’末端にハイブリダイズし得る(そして、好ましくは、相補的である)3’端部分、およびDNA依存型RNAポリメラーゼのためのプロモーターの配列を5’端側に含む5’部分を含む)を利用する。上記のTSOにおけるように、プロモーター配列に直近に隣接する配列は、本発明の方法に従う増幅において使用されるRNAポリメラーゼにより、好ましくは最適の転写活性を提供するように設計される。その必要に応じたブロッカー配列成分は、単一プライマーのハイブリダイゼーションの部位に対して、標的の5’末端に向かって上流に位置する部位で、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズするように設計される。代替的に記述しそして上記したように、ブロッカー配列は、プライマー伸長産物の3’末端と相補的なオリゴヌクレオチドテンプレートにおける位置の5’側にあるオリゴヌクレオチドテンプレート配列のセグメントにハイブリダイズする。そのブロッカー配列は、そのオリゴヌクレオチドテンプレートに対するブロッカーハイブリダイゼーションの部位で、プライマー伸長をブロックするに十分な高い親和性で結合する。この選択的な特徴は、そのポリメラーゼによるプライマー伸長について強力な停止を提供し、そしてそのプライマー伸長産物の3’末端を規定し;あるいは、かつ、通常、プライマー伸長は、オリゴヌクレオチドテンプレートの立体位置な要因によって停止されるか、またはオリゴヌクレオチドテンプレートの末端からの機能停止(これらの場合、ブロッカー配列は、必要とされない)によって停止される。
そのオリゴヌクレオチドテンプレートは、方法1について記載されたように、単一の複合プライマー、ブロッカー成分、プロプロモーターテンプレート(PTO)、DNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼH)、DNA依存性RNAポリメラーゼ、およびヌクレオチド(例えば、NTP(例えば、dNTPおよびrNTP))と組み合わされる。適切な反応媒体および反応条件は、上記の通りである。1つの実施形態において、その転写は、前の工程の温度と異なる温度(前の工程の温度よりも一般に低い)で実施される。別の実施形態において、この方法の工程すべては、等温で実施される。
1つの実施形態において、各増幅反応は、1つの同一の配列の複合プライマーを含む。別の実施形態において、各増幅反応は、複合プライマー改変体の混合物を含み、ここで、そのプライマーは、低い相同性であるかまたは相同性のない2つ以上の同一でない配列を示し、かつ、そのプライマーは、様々なテンプレートまたは同じオリゴヌクレオチドテンプレートに沿った部位に選択的にハイブリダイズする。この実施形態の利点は、単一の増幅反応における複数の被分析物の分析を含む。
その単一の複合プライマーおよびブロッカー配列成分は、同じオリゴヌクレオチドテンプレートとハイブリダイズして、3分子複合体を形成する。そのプライマーは、オリゴヌクレオチドテンプレートに沿って、ブロッカー配列のハイブリダイゼーションの部位まで伸長され、複合体XII(図11A〜D)を形成する。
方法1におけるように、リボヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼH)が、複合体XIIの単一複合プライマーのRNA部分(一般に5’RNA部分)を切断して、複合体XIII(図11A〜D)を形成する。上記のように、この酵素は、RNA/DNAハイブリッドのRNA鎖を切断することに特異的であり、かつ一本鎖RNAを消化しない。従って、このリボヌクレアーゼは、遊離の複合プライマーを分解しない。図11A〜Dに示されるような以下の工程、プライマーハイブリダイゼーション(XIV)、複合プライマーの3’DNA部分によるプライマー伸長産物の5’末端の置換(XV)、プライマー伸長および最初のプライマー伸長産物の置換(XVI)は、方法1におけるように進行して、置換された伸長産物(XVII)の複数のコピーを生じる。方法1の置換産物と異なり、XVIIは、そのオリゴヌクレオチドテンプレートと完全に相補的であり、かつオリゴヌクレオチドテンプレートの一部分と相補的でない3’末端部分を含まない。反復されるプライマー伸長および鎖置換は、標的核酸と相補的なポリヌクレオチドの複数のコピーの生成を生じる。
プロモーターテンプレートオリゴヌクレオチド(PTO)は、置換された伸長産物に結合して、置換されたプライマー伸長産物の3’末端に対するプロプロモーターテンプレートの3’末端部分(A)のハイブリダイゼーションによって、複合体XVIII(図11A〜D)を形成する。上記のように、PTOの3’末端は、ブロックされてもよいし、またはブロックされていなくてもよい。プロプロモーターテンプレートの3’末端がブロックされていない場合、そのテンプレートは、置換されたプライマー伸長産物に沿って伸長される。その置換された産物の3’末端は、ハイブリダイズしたプロプロモーターテンプレートのB部分(図11A〜Dを参照のこと)に沿って、ヌクレオチド(DNA)ポリメラーゼにより伸長されて、複合体XIXを形成し、この複合体XIXは、DNA依存型RNAポリメラーゼにより利用され得るdsプロモーター配列をその一端に含む。複合体XIXは、3’末端がポリメラーゼによる伸長についてブロックされている、プロモーターテンプレートのハイブリダイゼーション産物として、図11A〜Dに示される。あるいは、プロモーターテンプレートの3’末端がブロックされていない場合、置換されたプライマー伸長産物に沿った3’末端の伸長が、完全な二重鎖複合体の形成を生じる。DNA依存型RNAポリメラーゼは、複合体XIXの伸長された置換されたプライマー伸長産物を、両方の形態(RNAポリメラーゼの選択は、dsDNAテンプレートおよび/またはssDNAテンプレートから転写するその能力を考慮しなければならない)、すなわち、部分的二重鎖形態または完全に二本鎖の二重鎖形態のいずれかの複合体において、転写する。一本鎖RNA産物の複数のコピーが、この転写工程により生成される。
上記の増幅の産物は、均質(homogenous)検出方法または不均質(heterogeneous)検出方法(ゲル電気泳動におけるサイズ特性および/もしくは移動度特性による同定、または配列特異的プローブに対するハイブリダイゼーションによる同定を含む)のいずれかにより、検出され得る。その増幅産物の検出は、被分析物の存在を示す。定量的分析もまた、可能である。例えば、未知量の被分析物を含む試験サンプルから増幅された産物の量を、既知の量の非分析物またはその結合パートナーを有する参照サンプルの増幅産物と比較することにより、その試験サンプル中の被分析物の量が決定され得る。
本発明の増幅方法はまた、使用される技術によって必要とされるか、そして/または許容されるように、例えば、フラグメントへの切断を介してか、または検出可能標識の結合によって、さらに改変され得る。
IV.被増幅産物の検出および/または定量
上記の増幅方法は、増幅産物を生成する。増幅産物形成(もしあるならば)を測定するための様々な方法がある。いくつかの方法は、産物に関して直接的であり、他の方法は間接的である。増幅の最も普遍的な産物はピロリン酸である。増幅産物の存在は、増幅が起こったかどうかに関して、したがって結合パートナーに結合した被分析物が存在するかどうかに関して、単純なイエス・ノー解答を提供する。ピロリン酸はDNA重合中に放出され、当技術分野で公知の手段によって、その濃度を測定することができる。他の増幅産物は、使用した増幅方法により特異的である。線形増幅は、オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部に相補的な、一本鎖増幅産物(通常ssDNA)を生成する。また、さらなるDNA複製を用いる強化線形増幅も、オリゴヌクレオチドテンプレートに相補的なssDNAに加えて、オリゴヌクレオチドテンプレートの一部に同一なssDNAを生成する。RNA転写を用いる強化線形増幅は、オリゴヌクレオチドテンプレートに相補的なssDNAに加えて、オリゴヌクレオチドテンプレートの元の部分に対しセンス(sense)となるRNA生成する。 これらの産物のすべてが、「増幅産物(amplification product(s))」または「被増幅産物(amplified product(s))」と呼ばれる。増幅産物は少なくとも1つの検出可能な同定特性を含む。被増幅産物の検出可能な同定特性であって、検出の基礎として役立ちうる特性の例には、サイズ、配列、および標識が含まれる。そのような増幅産物は、当業者に利用可能ななんらかの手段によって検出される。そのような手段の例を以下に示す。
Α.検出方法
ピロリン酸の形成の判定は、当技術分野で標準的な方法で実行してもよい。例えば、Ronaghi,M.et al.,1998 Science 281:363−365;Nyren,P.,et al.,1987 Anal.Bioch.167:235−238.を参照。
当技術分野で公知の方法によって、上記DNAおよびRNAの増幅産物の検出可能な同定特性を検出することができる。
ポリヌクレオチド(増幅産物)のサイズは、例えば、ゲル電気泳動サイズ決定および質量分析によって決定することができる。(例えばMonforte et al.,米国特許第5,830,655号、および第5,700,642号を参照)ポリヌクレオチド(増幅産物)を配列決定する方法は周知である。
適当な配列決定法は当技術分野で公知であり、例えば、増幅産物へ取み込まれたときに、ヌクレオチド重合を終了させるヌクレオチド三リン酸の使用が含まれる。 また、適切な配列決定法には、合成により配列決定するものが含まれる。そのような配列決定法は、当技術分野で公知の方法であり、既知のdNTPタイプが合成(ポリメリゼーション)反応で供与されるとき、被増幅産物にハイブリッドしたプライマーがポリメラーゼによって伸長(ポリメリゼーション)されたかどうかに基づいて、ヌクレオチド配列を決定するものである。また、そのような配列決定法では、ポリメリゼーションがピロリン酸の形成によって示される。
増幅産物中の配列の検出は、限定的プライマー伸長法などの方法によって行うこともできる。そのような方法は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第5,888,819号、同第6,004,744号、同第5,882,867号、同第5,710,028号、同第6,027,889号、同第6,004,745号、同第5,763,178号、同第5,011,769号、同第5,185,243号、同第4,876,187号、同第5,882,867号、PCT公報WO US88/02746、WO 99/55912、WO92/15712、WO 00/09745、WO 97/32040、WO 00/56925、および、2000年12月13日出願の同時係属中米国出願第60/255,638号に記載されている。
DNAまたはRNAの被増幅ポリヌクレオチド産物(すなわち、ここに記述された増幅方法のどれかの産物)は、例えば、サザン・ブロッティングまたはノーザン・ブロッティングなどの、当技術分野で公知のプロ−ブ・ハイブリダイゼーション技法を用いて分析可能である。加えて、そのような一本鎖DNA産物、およびRNA産物は、リアルタイムPCR、定量的TaqMan、分子標識(molecular beacon)を用いた定量的PCR、Kumによる米国特許第6,251,639号に記載されている方法、および同様の方法などの、当技術分野で公知の他の分析方法、および/または、定量方法のための、他の出発物質用の出発物質として利用可能である。即ち、本発明には、ここで示された方法のいずれかの産物に適用される、これらのさらなる分析方法、および/または定量方法が含まれている。
標識された被増幅産物は、それらを、cDNAおよび/またはオリゴヌクレオチド・プローブなどの適当なプローブを含有するもの、例えば、マイクロアレイ(ガラス、チップ、プラスチックを含む、あらゆる適当な表面のもの)、ビーズ、またはパーティクルに接触させることによる分析(例えば、検出および/または定量)に、特に適している。即ち、本発明は、本発明の増幅方法を用いて被標識ポリヌクレオチド(概ねDNAまたはRNA)産物を生成し、そのような被標識産物を分析することによって、被分析物を特徴付ける(例えば、検出および/または定量する)方法を提供する。例えば、固体基質、または準固体基質の特定位置に固定されたプローブ、特定のパーティクルに固定されたプローブ、または、ブロット(膜などの)、例えば、アレイに固定されたプローブに対する、例えば、被標識増幅産物のハイブリダイゼーションによって、被標識産物の分析を行うことが可能である。被標識産物を分析する他の方法は、当技術分野で公知であり、例えば、それらを、プローブを含む溶液に接触させ、続いて溶液から被標識増幅産物およびプローブを含有する複合体を抽出することによる方法などがある。プローブの同定によって、被増幅産物の配列同一性が特徴づけられ、したがって、外挿により、サンプル中の被分析物が同定される。被標識産物のハイブリダイゼーションは検出可能であり、検出される特異的な標識の量は、特異的な被分析物の被標識増幅産物の量に比例している。この測定は例えば、一サンプル中にある様々な被分析物の相対量を測定するのに有用である。アレイ上の特定位置にハイブリッドした被標識産物(例えば、その標識の結合している検出可能なシグナルによって示される)の量は、サンプル中の対応する被分析物の検出および/または定量の指標となりうる。
生成された増幅産物の分析は、例えば、アレイなどの固体表面、または半固形表面に固定されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドによるハイブリダイゼーションに、特に適合性がある。適当な核酸プローブは、当業者に明白であり、例えば、DNA、RNA、DNAおよびRNA、ペプチド核酸(PNA)、あるいは、DNA、RNA、および/またはPNAの任意の組合せを含むプローブ含まれるだろう。これらのプローブは、例えば、マイクロアレイを含む、適当ないかなる形状ででも提供できる。アレイ上に固定されたポリヌクレオチドへの、ポリヌクレオチド(増幅産物)の特異的なハイブリダイゼーションの方法は、当技術分野で周知である。当技術分野で公知であるように、マイクロアレイとは、基質(表面)上の特定の位置に固定された、個々が明確であるポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドの集合(assembly)のことをいう。アレイは、紙、ガラス、プラスチック(例えば、ポリプロピレン、ナイロン)、ポリアクリルアミド、ニトロセルロース、金属、シリコン、光ファイバ、ポリスチレン、または、あらゆる他の適当な固体支持体、または準固体支持体などの物質で作られた基質で形成され、平面状(例えば、ガラス板、シリコンチップ)、または立体的配置(例えば、ピン、繊維、ビーズ、パーティクル、マイクロタイター・ウェル、キャピラリー)に構成にされる。
アレイを形成するポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、多数ある方法のいかなる方法によって、基質に付着させてもよく、そのような方法には、(i)フォトリソグラフィー技法を用いたインサイチュ合成(例えば、高密度オリゴヌクレオチド・アレイ)(Fodor et al.,Science(1991),251:767−773;Pease et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1994),91:5022−5026;Lockhart et al.,Nature Biotechnology(1996),14:1675;U.S.Pat.Nos.5,578,832;5,556,752;and 5,510,270を参照)、(ii)ガラス、ナイロン、またはニトロセルロースへの中密度から低密度(例えば、cDNAプローブ)のスポッティング(spotting)/プリンティング(printing)(Schena et al,Science(1995),270:467−470,DeRisi et at,Nature Genetics(1996),14:457−460;Shalon et al.,Genome Res.(1996),6:639−645;and Schena et al.,Proc.Natl.Acad Sci.U.S.A.(1995),93:10539−11286)、(iii)マスキング(masking)によるもの(Maskos and Southern,Nuc.Acids.Res.(1992),20:1679−1684)、および(iv)ナイロンまたはニトロセルロースのハイブリダイゼーション膜上へのドットブロッティング(dot−blotting)によるもの(例えば、Sambrook et at.,Eds.,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory(Cold Spring Harbor,N.Y.を参照)が含まれる。また、ポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドは、アンカーへのハイブリダイゼーションによって非共有結合的に基質に固定してもよく、または磁性ビーズを用いてマイクロタイター・ウェルまたはキャピラリー中などの流動相に固定してもよい。ポリヌクレオチドのアレイまたはマイクロアレイは、概ねDNA、RNA、PNA、およびcDNAなどの核酸であるが、また、タンパク質、ポリペプチド、オリゴ糖、細胞、組織、および、増幅産物に特異的に結合可能なそれらの置換物のいかなるものを含んでもよい。
検出可能なシグナルを検出する方法は当技術分野で公知である。シグナル検出は、視覚的でもよく、または、スペクトロメーター、フルオリメーター、もしくは顕微鏡など、用いられた特定の標識に適した適当な機器を利用してもよい。例えば、標識が放射性同位元素である場合、検出は、例えばシンチレーションカウンタを用いて、またはオートラジオグラフィーのように写真フィルムを用いて行うことができる。蛍光標識が使用される場合には、適切な波長の光で蛍光色素を励起し、その結果生じる蛍光を、顕微鏡法、目視検査または写真フィルムなどによって検出してもよい。酵素標識が使用される場合には、適切な基質を酵素に供与し、その結果生じる反応生成物を検出することによって検出してもよい。単純な比色分析標識は、通常、標識に伴う色を、視覚観測することによって検出することができる。例えば、結合コロイド状ゴールドは、しばしばピンクからやや赤であり、ビーズはビーズの色に現れる。
一実施形態では、反応混合物中の増幅産物は適当なマトリクス上で分析される。いくつかの実施形態では、反応混合物からの増幅産物の分離を、それらがアレイ上で接触する前に行う。分離を実行するための多数の方法のどれを用いてもよく、例えば、マキントシュら(PCT公開公報 WO98/59066)に記述されている。そのような方法には、質量分析、流動細胞計測法、HPLC、FPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィ、そして、ゲル電気泳働が含まれるが、それらに限定されない。本発明の方法の検出の限界は、検出方法の感度に依存して、最少1部位(moiety)の被分析物(非常に感度の高い検出方法、例えば、ルミネッセンス酸素チャネリング(luminescent oxygen channeling)、およびいくつかのアレイ・ベースの方法を併用したとき)、またはより感度の劣る方法では最少10、100、10、10、10、10、10、10、10、または1010部位の被分析物である。
B.定量
また、ここに記述されたプライマー伸長、および転写に基づく方法を、サンプル中の被分析物の定量に使用してもよいことは、明らかである。生成されたサンプル中の被分析物の量は、直線的に増幅産物の量に関係する。即ちいくつかの実施形態では、試験サンプルで得られた増幅産物の量を既知量の被分析物を含む基準サンプルで得られた増幅産物の量と比較することによって、試験サンプル中の被分析物の定量が提供される。そのような比較をする方法は当技術分野で公知である。当業者は、また、被分析物を含まず既知量の結合パートナーを含む基準を用いることによって、被分析物を定量することも可能であることを理解するだろう。明白であるように、「定量」とは、ここに用いられるように、被分析物の絶対レベル(例えば、コピー数、または重量として測定される、サンプル中の被分析物、および/または、結合パートナーの量)、およびサンプルの被分析物の相対的レベルを決定することをいう。一実施形態では、被分析物の量は別の被分析物の量と比較される。即ち、被分析物の定量には、2つ以上の被分析物の、例えば、結合リガンドおよび非結合リガンドの相対的レベルの決定が含まれる。試験サンプルで得られた、第1の検出可能な同定特性を含有する増幅産物の量と、同一の試験サンプルで得られた2番目の検出可能な同定特性を含有する増幅産物の量とを比較することによって、それぞれの被分析物の相対量の定量が可能となる。例えば、組み込まれた被標識dNTPs(または、ddNTP)のシグナル強度を正規化するために、さらに実験条件および/または検出条件の変動を制御するために、基準標識を使用することが好ましいとさらに理解される。基準色素の非限定的な例としては、LIZ(ABI)が含まれる。
反応条件、コンポーネント、および他の実験パラメータは、この節の例示的実施形態と同様、概ねここに記載されている。
VII.時点および複合体
一実施形態では、被分析物−結合パートナーの結合開始時に、以上のコンポーネントが同時に添加される。他の実施形態では、結合、増幅、または検出プロセス中の適切な時点の前または後で任意の順序に、必要に応じて、および/または、それぞれの反応の許容範囲内に、コンポーネントが添加される。当業者は容易に、そのような時点を同定することができ、それらの或るものは以下に述べられる。本発明は、そのような各時点で存在している複合体によって例示される複合体をも包含する。
例えば、プロセスは、少なくとも以下の時点で、休止または停止されてもよい。すなわち、結合パートナーと被分析物(存在しているなら)とを接触させた後(被分析物−結合パートナー複合体と、概して、非結合の結合パートナーとが形成する);非結合(自由な)の結合パートナー(存在しているなら)を、被分析物−結合パートナー複合体からの分離した後(被分析物−結合パートナー複合体を残す);被分析物−結合パートナー複合体のオリゴヌクレオチドテンプレートへの複合プライマーの結合後(被分析物−結合パートナー−複合プライマー複合体の形成);増幅プロセスにおける様々な時点(以下にさらに詳細に記述される);オリゴヌクレオチドテンプレートの一部を増幅した後(被分析物−結合パートナー−複合プライマー複合体と、増幅産物との混合物を生ずる);および、増幅産物の分離(行われるなら)の後(分離され、検出に適した増幅産物を残す)。
本発明の方法の様々な工程に関与する反応を停止するための方法は当技術分野で公知であり、例えば、酵素活性度を阻害する温度に反応混合物を冷却するか、または反応混合物を、酵素を破壊する温度に加熱することを含む。また、反応を再開するための方法は当技術分野で公知であり、例えば、酵素活性を許容する温度に反応混合物の温度を上げるか、または破壊された(使い果たした)酵素を補給することを含む。
いくつかの実施形態では、反応の再開反応の前または後に、1つ以上のコンポーネントを補給する。あるいは、反応を中断なしに進行させる(すなわち、始めから終わりまで)こともできる。
中間複合体の精製、例えば、非結合の結合パートナーの除去、または増幅工程におけるプライマーの除去をせずに、反応を進行させることもできる。様々な時点で産物を精製することができ、当業者は容易にそのような時点を同定することができる。
従って、当業者に明白であるように、本発明には多様な実施形態が含まれ、それらには、本発明の検出方法および/または定量方法で形成された複合体が、本発明による検出および/または定量のための出発物質として利用される実施形態も含まれる。本発明に含まれる複合体には、複合体の少なくとも1つの結合パートナーがオリゴヌクレオチドテンプレートに付着している、被分析物−結合パートナー複合体が含まれている。いくつかの実施形態では、そのような複合体はさらに、被分析物−結合パートナー複合体のオリゴヌクレオチドテンプレートに結合した複合プライマーを含む。他の実施形態では、複合体はさらに、被分析物−結合パートナー複合体のオリゴヌクレオチドテンプレートに結合したプライマー伸長産物を含む。他の実施形態では、複合体はさらに、被分析物−結合パートナー複合体のオリゴヌクレオチドテンプレートに結合した複合プライマーとプライマー伸長産物とを含む。
本発明はまた、オリゴヌクレオチドテンプレートに相補的なポリヌクレオチド配列を増幅することによって、サンプル中の被分析物を検出および/または定量するための方法であって、以下の工程(a)〜(c)を含む方法を提供する。(a)終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを、オリゴヌクレオチドテンプレート−複合プライマー複合体にハイブリッドする工程。ここで、前記オリゴヌクレオチドテンプレートは結合パートナー(いくつかの実施形態、被分析物結合パートナー複合体における)に結合しており、かつ、前記複合体はプライマー伸長領域を含む一本鎖のオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドされた複合プライマーを含み、前記複合プライマーはRNA部位と3’DNA部位を含み、それによって、終止ポリヌクレオチド配列を含む前記ポリヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドテンプレートへの複合プライマーのハイブリダイゼーションに対して5’側であるオリゴヌクレオチドテンプレートの領域にハイブリッドする。(b)工程(a)のオリゴヌクレオチドテンプレート−複合プライマー複合体中の複合プライマーをDNAポリメラーゼで伸長する工程。(c)別の複合プライマーがオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドして鎖置換でプライマー伸長を反復し、それによってオリゴヌクレオチドテンプレートの相補的配列の多重コピーは生成されるように、RNA/DNAハイブリッドからアニールしている複合プライマーのRNAを、RNA切断酵素で切断する工程。
別の実施形態において、本発明は、(いくつかの実施形態では、被分析物−結合パートナー複合体中にある)結合パートナーに結合したオリゴヌクレオチドテンプレートに相補的なポリヌクレオチド配列を増幅するための方法で、以下の工程(a)〜(b)を含む方法を提供する。(a)以下の(i)および(ii)を含む複合体中で、複合プライマーを伸長する工程。(i)プライマー伸長領域を含む一本鎖のオリゴヌクレオチドテンプレート(ここで、前記オリゴヌクレオチドテンプレートは、結合パートナー(いくつかの実施形態、被分析物結合パートナー複合体中にある)に結合している)(ii)RNA部位と3’DNA部位とを含み、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドした複合プライマー。(b)別の複合プライマーがオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドして鎖置換でプライマー伸長を反復し、それによってオリゴヌクレオチドテンプレートの相補的配列の多重コピーは生成されるように、RNA/DNAハイブリッドからアニールしている複合プライマーのRNAをRNA切断酵素で切断する工程。
さらに別の実施形態では、本発明は結合パートナー(いくつかの実施形態では、被分析物−結合パートナー複合体中にある)に付着したオリゴヌクレオチドテンプレートに相補的なポリヌクレオチド配列を増幅するための方法で、以下の工程(a)〜(b)を含む方法を提供する。(a)以下の(i)〜(iii)を含む複合体中で複合プライマーを伸長する工程。(i)プライマー伸長領域を含む一本鎖のオリゴヌクレオチドテンプレート。ここで、前記オリゴヌクレオチドテンプレートは、結合パートナー(いくつかの実施形態、被分析物結合パートナー複合体中にある)に結合している。(ii)RNA部位と3’DNA部位を含み、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドした複合プライマー。(iii)オリゴヌクレオチドテンプレートへの複合プライマーのハイブリダイゼーションに対して5’側であるオリゴヌクレオチドテンプレートの領域にハイブリッドする終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド。(b)別の複合プライマーがオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドして鎖置換でプライマー伸長を反復し、それによってオリゴヌクレオチドテンプレートの相補的配列の多重コピーは生成されるように、RNA/DNAハイブリッドからアニールしている複合プライマーのRNAをRNA切断酵素で切断する工程。
置換されたプライマー伸長産物が生成される本発明の実施形態において、置換プライマー伸長産物に相補的な配列を含むRNA転写物が生成され、それによってオリゴヌクレオチドテンプレートの多重コピーが生成されるように、RNAポリメラーゼによって起こる転写が可能な条件下で、プロプロモーターと、置換プライマー伸長産物にハイブリダイズする領域とを含むポリヌクレオチドをハイブリッドさせることを含めることができる。
例えば、さらに別の実施形態では、本発明はオリゴヌクレオチドのテンプレートに付着した結合パートナー(これらの実施形態のいくつかでは被分析物−結合パートナー複合体中にある)を増幅するための方法であって、置換プライマー伸長産物に相補的な配列を含むRNA転写物が生成されるように、RNAポリメラーゼによって起こる転写が可能な条件下で、プロプロモーターと置換プライマー伸長産物にハイブリダイズする領域とを含むポリヌクレオチドに、プライマー伸長産物をハイブリッドさせることを含む方法を提供する。ここで、プライマー伸長産物は、以下の工程(a)〜(d)によって生成された置換プライマー伸長産物である。(a)結合パートナー(いくつかの実施形態では被分析物−結合パートナー複合体中にある)に付着したオリゴヌクレオチドテンプレートを、RNA部位と3’DNA部位とを含む複合プライマーにハイブリッドする工程。(b)場合によって、テンプレートへの複合プライマーのハイブリダイゼーションに対して5’側であるオリゴヌクレオチドテンプレートの領域に終止ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドをハイブリッドする工程。(c)複合プライマーをDNAポリメラーゼによって伸長する工程。(d)別の複合プライマーがオリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリッドして鎖置換でプライマー伸長を反復して置換プライマー伸長産物を生成し、それによってオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部の多重コピーが生成されるように、RNA/DNAハイブリッドからアニールしている複合プライマーのRNAをRNA切断酵素で切断する工程。
VIII.本発明の組成物、キット、およびシステム
また、本発明はここに記述された方法で用いられた組成物とキットを提供する。
そのような組成物は、ここに記述されたいかなるコンポーネント、複合体、反応混合物、そして/または、中間代謝物であってもよく、それらのあらゆる組合せも同様である。
例えば、本発明は、(a)結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートと、(b)RNA部位および3’DNA部位を含む複合プライマーとの複合体を含む組成物を提供する。別の例では、本発明は、(a)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーと、(b)5’−RNA部位および3’−DNA部とを含む複合プライマーとの複合体を含む組成物を提供する。一実施形態には、DNA部位に隣接してRNA部位がある。別の例では、本発明は、(a)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーと、(b)少なくとも1つの介在したRNA部位をもつ5’DNA部位および3’DNA部位を含む複合プライマーとの複合体を含み、組成物を提供する。他の例では、本発明は、(a)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーと、(b)核酸マイクロアレイを調製する際に用いられる固体基板に、複合プライマーを含むポリヌクレオチドが付着するのに対し作用可能な部位(moiety)を付着することでさらに誘導体化された複合プライマーとの複合体を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、複合プライマーはアミンなどの陽電荷部位の付着でさらに誘導体化される。他の実施形態では、本発明は、(a)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーと、(b)TSO(すなわち、テンプレートへの結合を促進する1つ以上の改変を含有するTSOを含む、ここに記載したTSOの実施形態のいかなるものでも)との複合体を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は複合プライマーおよび終止配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、(a)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーと、(b)TSOまたはPTO(すなわち、ここに記述されたそれらの実施形態いかなるのものでも)などのプロプロモーター配列を含むポリヌクレオチドとの複合体を含み、さらに、複合プライマーおよび/またはブロッカー配列を含みうる組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、(a)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーと、(b)ブロッカー配列(すなわち、改変されたブロッカー配列を含む、ここに記述された実施形態いかなるものでも)との複合体を含む組成物を提供する。これらの複合体(および、この節に記載されたあらゆる複合体)のいずれも、さらに被分析物を含むことができる。
いくつかの実施形態、例えば、「サンドイッチ」方法を採用する実施形態では、本発明は、(a)被分析物に特異的な中間結合パートナーと、(b)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した中間結合パートナーに特異的な結合パートナーと、(c)RNA部位および3’DNA部位を含む複合プライマーとの複合体を含む組成物を提供する。別の実施例においては、本発明は、(a)被分析物に特異的な中間結合パートナーと、(b)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着し、中間結合パートナーに特異的な結合パートナーと、(c)5’−RNA部位と、3’−DNA部位とを含む複合プライマーとの複合体を含む組成物を提供する。一実施形態には、DNA部位に隣接してRNA部位がある。別の実施例においては、本発明は、(a)被分析物に特異的な中間結合パートナーと、(b)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着し、中間結合パートナーに特異的な結合パートナーと、(c)少なくとも1つの介在したRNA部位をもつ5’DNA部位および3’DNA部位を含む複合プライマーとの複合体を含む組成物を提供する。他の例では、本発明は、(a)被分析物に特異的な中間結合パートナーと、(b)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した中間結合パートナーに特異的な結合パートナーと、(c)核酸マイクロアレイを調製する際に用いられる固体基板に、複合プライマーを含むポリヌクレオチドが付着するのに対し作用可能な部位を付着することでさらに誘導体化された複合プライマーとの複合体を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、複合プライマーはアミンなどの陽電荷の部位の付着でさらに誘導体化される。他の実施形態では、本発明は、(a)被分析物に特異的な中間結合パートナーと、(b)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した中間結合パートナーに特異的な結合パートナーと、(c)TSO(すなわち、テンプレートへの結合を促進する1つ以上の改変を含有するTSOを含む、ここに記載したTSOの実施形態の任意のもの)との複合体を含む組成物を提供する。そして、いくつかの実施形態では、そのような組成物は複合プライマーおよび終止配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、(a)被分析物に特異的な中間結合パートナーと、(b)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した中間結合パートナーに特異的な結合パートナーと、(c)TSOまたはPTO(すなわち、ここに記述されたそれらの実施形態いかなるのものでも)などのプロプロモーター配列を含むポリヌクレオチドとの複合体を含み、さらに、複合プライマーおよび/またはブロッカー配列を含みうる組成物を提供する。いくつかのの実施形態では、本発明は、(a)被分析物に特異的な中間結合パートナーと、(b)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した中間結合パートナーに特異的な結合パートナーと、(c)ブロッカー配列(すなわち、改変されたブロッカー配列を含む、ここに記述された実施形態いかなるものでも)との複合体を含む組成物を提供する。
他の実施形態では、本発明は、(a)結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートと、(b)RNA部位および3’DNA部位(いくつかの実施形態では、RNA部位がDNA部位に隣接している)を含む複合プライマーと、(c)終止配列との複合体を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、終止配列はTSOである。他の実施形態では、終止配列はブロッキング配列である。いくつかの実施形態では、複合プライマーは5’RNA部位および3’DNA部位を含む(ある特定の実施形態では、RNA部位がDNA部位に隣接している)。他の実施形態では、複合プライマーは、少なくとも1つの介在したRNA部位をもつ5’DNA部位および3’DNA部位を含む。いくつかのの実施形態では、そのような組成物は(a)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーと、(b)複合プライマーと、(c)終止配列を含むポリヌクレオチドと、(d)プロプロモーター配列を含むポリヌクレオチドとの複合体を含む。いくつかの実施形態では、プロプロモーター配列はPTOによって提供される。他の実施形態では、プロプロモーター配列はTSOによって提供される。上の組成物のいずれのものも、さらに、ここに記述された酵素(DNA ポリメラーゼ、RNaseHおよび/またはRNA ポリメラーゼなど)のいずれを含んでもよい。組成物は、概ね水性形状であり、好ましくは適当な緩衝液である。
また、本発明は、ここに記載された増幅産物を含む組成物を提供する。従って、本発明は、ここに記載された方法のいずれかで生成される結合パートナーに付着した、オリゴヌクレオチドテンプレートのコピーであるDNA(センスかアンチセンス)またはRNA(センス)の分子集団を提供する。
この組成物は、凍結乾燥した形状にもなりうるが、概ね、適当な媒体中にある。適当な媒体は、水性媒体(純水または緩衝液など)を含むが、これに限定されない。
本発明は、本発明の方法を実行するためのキットを提供する。従って、さまざまなキットを適当なパッケージにして提供する。キットは、ここに記載された1つ以上の用途のいずれに用いてもよく、従って、以下の用途のいずれか1つ以上のためのインストラクションを含有してもよい。すなわち、被分析物−結合パートナー複合体の形成に適した条件で、被分析物を結合パートナーに接触させること、ヌクレオチド配列を増幅すること、増幅産物の検出すること、および、増幅産物を定量することである。
本発明のキットは、ここに記述されたコンポーネントの任意の組合せのものを含む1個以上の容器を含み、以下はそのようなキットの例である。
このキットは、ここに記載された結合パートナーおよび複合プライマーのいずれを含んでもよい。あるキットは、オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーを含むか、または、これらのコンポーネントを別々に提供する(通常、どのように付着に作用するかに関するインストラクション付きで)例えば、キットはボツリヌス毒素(BoNT)群のメンバーに特異的な抗体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、キットは2つ以上の結合パートナー、および/または、2つ以上の複合プライマーを含む。(プライマーは別々にパッケージされてもよい)。他の実施形態では、キットは結合パートナー、複合プライマー、および終止配列(ここに記述されたものいかなるの)を含む。キットは結合パートナー、複合プライマー、終止配列を含むポリヌクレオチド、およびプロプロモーターを含むポリヌクレオチド配列(PTO、またはTSOであってもよい)を含んでもよい。複合プライマーは、標識されていても、または標識されていなくてもよい。また、キットは場合によって、被分析物に特異的な中間結合パートナー、および/またはここに記載されている酵素の任意の1つ以上を含んでもよく、デオキシヌクレオシド三リン酸、および/または、リボヌクレオシド三リン酸も同様である。また、キットは1つ以上の適当な緩衝液(ここに記載されている)を含んでもよい。被標識増幅産物を生成するのに有用なキットは、場合によって、標識されているか、または、標識されていないヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含んでもよい。キットはさらに捕捉部位(caputure moiety)、および/または固体表面を提供してもよい。キットの1個以上の試薬は、添加剤を含む、乾燥粉末として、通常、凍結乾燥物として提供されうる。そのような試薬は、溶解によって、ここに記載したいかなる方法を行うにも適切な濃度の試薬溶液を提供するだろう。各コンポーネントを別々の容器の中にパッケージすることも、または、交差反応および貯蔵寿命が許容する場合には、1個の容器の中にいくつかのコンポーネントを併せることもできる。
本発明のキットは、場合によって、意図された被分析物の検出および/または定量、核酸増幅のための本発明の方法、および/または、必要に応じて、検出や定量などの目的に増幅産物を用いるための本発明の方法のコンポーネントの使用に関する、1セットのインストラクション、概ね書かれたインストラクションを含んでもよい。またインストラクションを含む電子記憶媒体(例えば、磁気ディスケットまたは光ディスク)も許容される。キットで含まれるインストラクションには、通常、本発明の方法を実施するのに必要な試薬(キットに含まれているか否かに関係なく)に関する情報、どうキットを用いるかに関するインストラクション、および/または、適切な反応条件が含まれる。
キットのコンポーネントは、好都合で適切なパッケージのどのようなものにパッケージしてもよい。コンポーネントは別々にパッケージしても、1つまたは複数の組合せでパッケージされてもよい。キットが、本発明の転写に基づく強化線形増幅方法を用いた被分析物検出を実施するのに提供される場合、RNAポリメラーゼ(含まれているなら)は、転写工程の前の工程で用いられるコンポーネントから別々に提供されるのが好ましい。
キット中の様々なコンポーネントの相対量は、ここに開示された方法を実施するのに実質的に生じる必要のある反応を最適化し、さらにいずれかのアッセイの感度を最適化する試薬濃度を提供するために広く変えることができる。
また、本発明は、ここに記載された方法に作用するシステムを提供する。これらのシステムは、上で論じたコンポーネントの様々な組合せを含む。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、(a)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着しており、被分析物に特異的な結合パートナー、(b)複合プライマー(ここに記述されたもののいかなるものでも)(c)DNAポリメラーゼ、および(d)リボヌクレアーゼを含む被分析物を検出および/または定量するのに適当なシステムを提供する。いくつかの実施形態では、システムはさらに終止配列(ここに記述されたもののいかなるものでも)を含むポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、システムはさらにプロプロモーターを含むポリヌクレオチド配列(PTOでも、またはTSOであってもよい)およびDNA依存RNAポリメラーゼを含む。また、どのシステム実施形態も、ここに記載されている1つ以上の中間結合パートナーを含んでもよい。
また、本発明はここに記述されたコンポーネントの様々な組合せを含有する反応混合物(または、反応混合物を含む組成物)を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、(a)オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した、抗体および抗体アナログなどの結合パートナーと、(b)3’DNA部位およびRNA部位を含む複合プライマーと、(c)DNAポリメラーゼとを含む反応混合物を提供する。ここに記載されているように、反応混合物中に、複合プライマーのいずれ(または、複数の複合プライマー)があってもよく、それには、3’DNA部位に隣接した5’RNA部位を含む複合プライマーも含まれる。また、反応混合物は、さらにRNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する、RNアーゼHなどの酵素を含んでもよい。また、本発明の反応混合物は、ここに記載された終止配列を含むポリヌクレオチドのいずれを含むこともできる。反応混合物の別の例は、(a)置換プライマー伸長産物(それ自体は、その5’末端に複合プライマーの3’DNAの一部に相補的な配列を含むが、複合プライマーのRNA部位に相補的な配列を含まないもの)、(b)プロプロモーターを含むポリヌクレオチド配列(例えば、PTO)、および(c)RNAポリメラーゼである。他の反応混合物は、ここに記述されており、それらも本発明に包含される。例えば、いかなる反応混合物も、さらに1つ以上の被分析物を含んでもよい。また、反応混合物は1つ以上の中間結合パートナーを含んでもよい。
IX.本発明の検出および定量方法を用いる方法
さまざまな目的に本発明の方法および組成物を用いることができる。被分析物の存在もしくは欠失を決定する方法、ならびにマイクロアレイへの増幅産物のハイブリダイゼーションを介した複数の被分析物の分析および/または比較に関しては、上に記載されている。伝染病、遺伝的欠損、および癌の診断の方法、および他のタイプ診断(例えば、血漿、血液、尿、または他のサンプル中の抗体または抗原の超高感度検出);科学捜査;薬物試験;生物戦争薬剤の検出;単一細胞、複数細胞、組織、器官、または生物の新陳代謝状態、または病理学的状態を、そのような状態、および同様のものに対応している被分析物の存在または欠失の検出によって検出することも可能である。上記から明らかであるように、「サンプル」というのは、本発明の方法が使用されているアプリケーションに依存するものであり、その中の被分析物の存在、欠失、そして/または、量が検出されるものである。例えば、診断用、または科学捜査用のサンプルには、血液、血漿、血清、皮膚、筋肉、または他の組織もしくは器官サンプル、唾液、尿、糞、精液、膣分泌液、および、当業者には容易に明らかであるであろうが、診断または法医学分析に有用な他のあらゆるサンプルが含まれるが、これらに限定されない。生物戦争薬剤検出用のサンプルには、空気、土、衣服、建築材料、輸送物質、ミサイル・コンポーネント、および同様のものが含まれるが、これらに限定されない。サンプルは、当技術分野で周知の方法を用いる分析用に調製されてもよい。いくつかの実施形態では、被分析物濃度の濃縮、および/または、アッセイを妨げる可能性のある夾雑物、または他のコンポーネントを減少させるために、1つ以上の単離工程が行われる。被分析物は、結合性、または本発明の方法で有利となる他の特性を促進するために、化学的手段、または他の手段で修飾されてもよい。他のアプリケーションは容易に当業者に明らかになるだろう。
特に、本発明の方法は、炭疽菌およびボツリヌスなどの生物戦争薬剤の検出および同定用の小型化されたマイクロフルイディクス装置に統合するのに適している。現在のDNAに基づくアッセイおよび装置は、PCR法に基づく配列増を実行するための小型化された温度サイクリング・コンポーネントの編入を必要とする。これらの装置に高能率的な等温増幅を統合する可能性は、装置の複雑さを大いに減少させるだろう。そのうえ、一本鎖の増幅産物は同種検出(homogenous detection)、および異種検出(heterogenous detection)の両方に適している。多重抗原の検出で採用された様々な抗体類は、各々、特異的なヌクレオチド配列、および共通のSPIATMプライマーに相補的な共通配列を含む、特定のオリゴヌクレオチドに結合されてもよい。BoNTなどの特異的な脅威薬剤の検出は、捕捉と検出に特異的抗体対を用いることで実行されてもよい。補足された抗原(毒素)の検出、はSPIATM増幅で実行される。共通のSPIATMプライマーは、単一の、または複数のオリゴヌクレオチドテンプレートの増幅用に適用されてもよい。そのようなオリゴヌクレオチドテンプレートは、様々な手段で検出可能である。複数の抗原が同時に検出されるとき、オリゴヌクレオチド配列の特異的なプライマー伸長部分に、それぞれ対応する(例えば、相補的な)固定されたオリゴヌクレオチドのアレイを用いて様々な増幅産物を検出してもよい。様々なアレイ組成物に関しては、近年に記載がなされており、それらを迅速検出システムに統合してもよい。携帯用のマイクロ装置は、非常職員による実地試験および緊急治療施設での使用に適している。
特許出願および刊行物を含む、本明細書に引用されたすべての参考文献は、引用によってその全体が組み込まれるものとする。
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されおり、本発明を限定するものではない。
実施例1.単一プライマー等温増幅
この実施例は、シングル・プライマー等温増幅の精度および増幅力を示す。
種々の標的ヒトおよび細菌(E.coli.M13)ゲノムDNA配列ならびに合成一本鎖対照配列の増幅を、単一プライマー等温増幅(SPIATM)法(米国特許第6,251,639号参照)を用いておこなった。以下のようにして、SPIATMを実施した。すなわち、3’DNA部位および5’RNA部位を有する単一複合プライマーを、所定の配列の増幅に用いた。対照および試験用の核酸配列として、特定の複合プライマーを用いた。この配列特異的複合プライマーの設計を、PCRプライマーで使用されるような市販のソフトウェア・プログラムを用いておこなった。また、このプライマーの調製は、Dharmaconによりおこなわれた。この反応を、Tris緩衝液(0〜5mM KCl、2〜5mM MgCl、0.25〜0.5mM dNTP、高い鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ(例えば、BcaまたはBst)、RNaseH、1〜5mM DTT、T4gp32(USB)3μg、BSA、およびRnasine、pH8.5)中でおこなった。プライマー、サンプル、および/または対照を含む反応混合物を35℃で2〜5分間インキュベートすることにより変性させ、さらに55℃で5分間インキュベートすることでプライマーを個々の標的にアニールさせた。つぎに、酵素混合物を反応試験管に加え、さらにこの温度で30分間インキュベートすることで増幅とシグナルの生成および検出とをおこなった。
種々の特異的ゲノム標的および合成標的の増幅効率を、リアルタイム定量PCR法による増幅産物の定量化によって求めた。特定の増幅産物を増幅するように設計されたプライマー対と、市販の定量リアルタイムPCRキットと、蛍光検出器を備えたBioradのiCyclerとを用いて、定量化反応をおこなった。サイクル・シークエンス法を用いた塩基配列決定によって、特異的標的配列のSPIATM増幅産物の特性をさらに調べ、また産物配列の決定をキャピラリー電気泳動(ABI Prism(登録商標)370 Genetic Analyser)を用いておこなった。対照合成標的(配列番号221)のSPIATM増幅産物検出配列のアライメントの一例を、以下に示す。サイクル・シークエンス反応に用いた増幅産物の生成は、10分子の標的配列をSPIATM増幅することによっておこなった。点線は、プライマー結合部位を示す。完全なシークエンス結果が増幅産物で得られ、SPIATMによる配列増幅反応の高い信頼性および効率が示された。
Figure 2005521409
増幅効率の評価は、一般に、予想されるSPIATM産物の配列とアニールするように設計されたプライマー対を用いた商業的に有効な方法(例えば、リアルタイムPCR)による特異的産物の定量化によって、おこなった。また、種々の特異的産物の配列も、サイクル・シークエンス法(ABIキットおよび機器類)を用いて決定した。合成DNA対照標的の増幅効率を表1に示す。ゲノム配列の増幅についても同様なSPIATM増幅効率が得られた。
SPIATM増幅産物のリアルタイムPCRによって測定した合成対照配列221のSPIATM増幅効率
Figure 2005521409
この実施例は、特異的核酸配列タグを迅速に増幅および検出するSPIATMの信頼性および増幅力を示す。
実施例2.TMFαのSPIATM増強・イムノアッセイ
この実施例は、市販のモノクローナル抗体と合成テンプレートDNAとをタグとして用いたヒトTNFαの検出および定量化を説明する。
テンプレートオリゴヌクレオチドを合成し、既に記述されているようにして、チオール化学反応により特異的抗体に結合させる(Wiltshire et al,2000,Detection of Multiple Allergen−specific IgEs on Microarrays by Immunoassay with Rolling Circle Amplification,Clin Chem 46:1990−1993)。抗ヒトTNαモノクローナル抗体および抗原を、BD Biosciences(Pharmingen,http://www.bdbiosciences.com/ptProductList.jsp?page=14)から入手する。チオール修飾合成オリゴデオキシヌクレオチドを、Operonから入手し、公開された手順(Operon)を用いて特異的抗体に結合させる。合成標的DNAを、高効率の増幅をもたらすことが知られている十分に特徴付けられたSPIATMプライマーに対応する3’配列を考慮して設計する。免疫複合体を、反応混合物中で形成し、固定化第2抗体(すなわち、抗TNFモノクローナル抗体)が含まれた固体表面にその溶液を接触させることで、一方が上記標的核酸によって標識された2つの抗体に結合した被分析物の3分子複合体を形成する。非標識複合体を洗い流し、固体表面に増幅反応混合物を接触させる。この増幅反応混合物は、上記したように、複合プライマー、ポリメラーゼ、RNアーゼH、dNTP、および緩衝液成分から構成される。
増幅産物の測定および定量化について種々の方法が用いられる。例えば、分子ビーコン(Molecular Beacon)等の蛍光プローブ・ハイブリダイゼーション法を用いてSPIATM増幅産物の検出をおこなう。配列特異的分子ビーコン・プローブを増幅産物のリアルタイム検出に使用することで高感度な増幅産物検出が可能となる。このことは、既に公開されている(Tyagi S and Kramer F,1996,Molecular beacons:probes that fluoresce upon hybridization.Nat.Biotechnol.14:303−308)。これらの方法は、SPIATM増強・イムノアッセイの産物を検出する際に用いられる。
実施例3.BONTのSPIATM増強・イムノアッセイ
この実施例は、一群の特異的毒素のいずれも検出可能である、複数の被分析物の検出を目的としたアッセイ系を説明する。
BONTは、既知の毒素のなかで最も強力であり、LD50が1ないし5ng・kg−1である。特異的BONTに対して特異的な抗体の対を得て、エンハンスされていないELISAアッセイの特異性および感受性について調べることで、適当な捕捉抗体および検出抗体の対を選択する。捕捉抗体は、マイクロタイター・プレートのウェルまたはビーズ等の固体表面に固定化された抗体である。検出抗体は、標的核酸レポーターに結合した抗体である。両方の抗体は検体を認識するが、同じ認識部位で競合しているわけではない。特異的毒素のアフィニティー精製抗体およびそれに対応する毒素は、MetaBiologics(http)://www.metabiologics.com/products.htm)から市販されている。特異的ボツリヌス菌毒素の検出に適したBoNT特異的モノクローナル抗体も使用されている。これらは、サンフランシスコのカリフォルニア大学でJames Marks博士が提供している。アフィニティー精製ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体との組合せに対して、最大分析性能(maximal assay performance)についての評価をおこなう。TNFα系に対して定められたとおりに、抗体−標的(タグ)DNA結合体を調製する。つぎに、上記方法を、フィールド条件を再現するサンプル(例えば、土壌、水、および体液)の検出および定量化について評価する。
明瞭性および理解を目的にして説明図および実施例により、前述の発明の説明をある程度おこなったが、なんらかの変更および修飾をおこなうことが可能であることは当業者にとって明らかである。したがって、説明および実施例は、添付された「特許請求の範囲」によって示された本発明の範囲を制限するものとして解釈されてはならない。
図1は、被分析物結合パートナーとの検出可能な複合体を示すもので、結合パートナーがオリゴヌクレオチドテンプレートに付着する。 図2は、固体表面上での被分析物−結合パートナー複合体の捕捉を示す。 図3は、中間結合パートナーに結合する被分析物によって形成された複合体を示すもので、該中間結合パートナーがオリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーに結合する。 図4は、固体表面上での図3の被分析物−結合パートナー複合体の捕捉を示す。 図5は、2つの異なるサブユニットから構成され、2つの異なる結合パートナーに結合し、各々がオリゴヌクレオチドテンプレートに付着している「マルチプレックス(multiplex)」被分析物(本明細書では「マルチサブユニット被分析物(multisubunit analyte)」または「複合サブユニット被分析物(multiple−subunit analyte)]を示す。 図6は、2つの結合パートナーに結合した単一の被分析物を示すもので、これらの結合パートナーは各々がオリゴヌクレオチドテンプレートに付着している。 被分析物と3つの結合パートナーとの被分析物−結合パートナーを示すもので、該結合パートナーのうちの2つがオリゴヌクレオチドテンプレートに付着し、そのうちの3番目が捕捉部分(例えば、捕捉オリゴヌクレオチド)に付着する。 図8は、固体表面上に捕捉された図7の複合体を示すもので、該捕捉は被分析物−結合パートナー複合体の捕捉部分が支持体上の対応捕捉部分に結合することで、おこなわれる。 図9Aないし図9Cは、センスRNAを生成するためのRNA転写による増強型増幅を示すもので、単一プライマー等温増幅(SPIATM)と、プロプロモーターを含むテンプレート・スイッチ・オリゴヌクレオチドとを利用することで、転写のためのdsDNAを生成する。 図9Aないし図9Cは、センスRNAを生成するためのRNA転写による増強型増幅を示すもので、単一プライマー等温増幅(SPIATM)と、プロプロモーターを含むテンプレート・スイッチ・オリゴヌクレオチドとを利用することで、転写のためのdsDNAを生成する。 図9Aないし図9Cは、センスRNAを生成するためのRNA転写による増強型増幅を示すもので、単一プライマー等温増幅(SPIATM)と、プロプロモーターを含むテンプレート・スイッチ・オリゴヌクレオチドとを利用することで、転写のためのdsDNAを生成する。 図10Aないし図10Cは、核酸の単一プライマー等温増幅(SPIATM)を示すもので、ブロッカー配列を用いて、増幅した鎖に対して相補的なssDNAを生成する。 図10Aないし図10Cは、核酸の単一プライマー等温増幅(SPIATM)を示すもので、ブロッカー配列を用いて、増幅した鎖に対して相補的なssDNAを生成する。 図10Aないし図10Cは、核酸の単一プライマー等温増幅(SPIATM)を示すもので、ブロッカー配列を用いて、増幅した鎖に対して相補的なssDNAを生成する。 図11Aないし図11Dは、プロプロモーター・テンプレート・オリゴヌクレオチドおよびRNAポリメラーゼを用いてセンスRNAを生成する核酸の単一プライマー等温線形増幅を示す。 図11Aないし図11Dは、プロプロモーター・テンプレート・オリゴヌクレオチドおよびRNAポリメラーゼを用いてセンスRNAを生成する核酸の単一プライマー等温線形増幅を示す。 図11Aないし図11Dは、プロプロモーター・テンプレート・オリゴヌクレオチドおよびRNAポリメラーゼを用いてセンスRNAを生成する核酸の単一プライマー等温線形増幅を示す。 図11Aないし図11Dは、プロプロモーター・テンプレート・オリゴヌクレオチドおよびRNAポリメラーゼを用いてセンスRNAを生成する核酸の単一プライマー等温線形増幅を示す。 図12Aおよび図12Bは、オリゴヌクレオチドテンプレートの単一プライマー等温増幅(SPIATM)を示す。 図12Aおよび図12Bは、オリゴヌクレオチドテンプレートの単一プライマー等温増幅(SPIATM)を示す。

Claims (29)

  1. サンプル中の被分析物の有無を決定する方法であって、該方法は、以下の(a)〜(c):
    (a)該サンプルと、オリゴヌクレオチドテンプレートに付着する結合パートナーとを、結合を可能とする条件下で、接触させる工程であって、該結合パートナーは、被分析物が存在する場合に、直接的または間接的に該被分析物に結合し得、それによって、該被分析物が存在する場合に被分析物−結合パートナー複合体を形成する工程、
    (b)未結合の結合パートナーから被分析物−結合パートナーを分離する工程、
    (c)該オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の増幅を、
    (i)RNA部位と3’DNA部位とを含む複合プライマーを、オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせる工程と、
    (ii)DNAポリメラーゼを用いて該複合プライマーを伸長させることで、検出可能な同定特性を含むプライマー伸長産物を生成する工程と、
    (iii)別の複合プライマーを該オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長を繰り返し、検出可能な同定特性を持つ切断プライマー伸長産物が生成されるように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、該ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNAを切断する工程と
    を包含する方法によって、実施する工程、
    を包含し、
    それらによって、該オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的な該ポリヌクレオチド配列の複数のコピーを生成し、そして、
    該検出可能な同定特性を含む該切断プライマー伸長産物を検出することで、該サンプル中の該被分析物の存在を示すことを特徴とする、サンプル中の被分析物の有無を決定する方法。
  2. 反応混合物をインキュベートすることを含む、サンプル中の被分析物の存在を検出する方法であって、該反応混合物は、
    (a)該被分析物とオリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーとの複合体を含むと思われるサンプルと、
    (b)RNA部位と3’DNA部位とを含む、該オリゴヌクレオチドテンプレートに対する複合プライマーと、
    (c)DNAポリメラーゼ、dNTP、およびRNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素と
    を含み、該インキュベーションが、該複合プライマーと該オリゴヌクレオチドテンプレートとのハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチド重合、およびRNA切断を可能とする条件下にあり、その結果、該オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的な該ポリヌクレオチド配列の複数のコピーを生成し、そして、ここで、該オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的な該ポリヌクレオチド配列のコピーの検出可能な同定配列の検出が、該被分析産物の存在を示す、
    サンプル中の被分析物の存在を検出する方法。
  3. 結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の複数のコピーを生成する方法であって、
    (a)該結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートに対して、RNA部位と3’DNA部位を含む複合プライマーをハイブリダイズさせる工程と、
    (b)DNAポリメラーゼによって該複合プライマーを伸長させる工程と、
    (c)別の複合プライマーを該オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせ、鎖置換によってプライマー伸長が繰り返されるように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした複合プライマーのRNAを切断する工程
    とを包含し、
    それによって、結合パートナーに付着したオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に対して相補的な該ポリヌクレオチド配列の複数のコピーが生成される、ポリヌクレオチド配列の複数のコピーを生成する方法。
  4. サンプル中に含まれる複数の異なる分析物の各々の有無を決定する方法であって、該方法は、以下の(a)〜(c):
    (a)該サンプルと、複数の異なる結合パートナーとを接触させる工程であって、ここで、該結合パートナーの各々がオリゴヌクレオチドテンプレートに付着し、かつ結合パートナーの各々が、結合を可能にする条件下で、複数の異なる被分析物の1つに結合することが可能であり、これによって、、該被分析物が存在する場合に、該被分析物と該結合パートナーとの特定の対で被分析物−結合パートナー複合体が形成され、ここで、各結合パートナーに対する該オリゴヌクレオチドテンプレートが、該結合パートナーの全てに共通するプライマー結合領域と、各結合パートナーにとって特有であるプライマー伸長領域とを含む、工程、
    (b)未結合の結合パートナーから該被分析物−結合パートナー複合体を分離する工程と、
    (c)各々の該オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列の増幅を、該方法の工程(b)の後に、
    (i)RNA部位と3’DNA部位とを含む複合プライマーを、該オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせる工程と、
    (ii)DNAポリメラーゼを用いて該複合プライマーを伸長させることで、各被分析物−結合パートナー複合体について、検出可能な特有の同定特性を持つ特有のプライマー伸長産物を生成する工程と、
    (iii)別の複合プライマーを該オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズさせて、鎖置換によるプライマー伸長を繰り返すことで、検出可能な特有の同定特性を有する特有の切断プライマー伸長産物が生成されるように、RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素を用いて、ハイブリダイズした伸長複合プライマーのRNAを切断する工程と、
    を包含する方法によって、実施する工程
    を包含し、それによって、該工程(b)の後に、存在する各オリゴヌクレオチドテンプレートの各々の少なくとも一部分に対して相補的なポリヌクレオチド配列の複数のコピーが生成され、
    該被分析物に対する該結合パートナーに付着した該オリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的な該ポリヌクレオチド配列の検出可能な特有の同定特性を検出することで、該サンプル中の該被分析物の存在を示す、
    サンプル中の被分析物の有無を決定する方法。
  5. さらに、各被分析物−結合パートナー複合体中の前記結合パートナーに付着した前記オリゴヌクレオチドの少なくとも一部分に対して相補的なポリヌクレオチドの相対量を比較することで、前記サンプル中の各被分析物の相対量を定量する工程を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記検出可能な同定特性が、切断プライマー伸長産物のサイズ、該切断プライマー伸長産物の配例、および該切断プライマー伸長産物に関連した検出可能なシグナルからなる群から選択される、請求項1、2、または4に記載の方法。
  7. 前記検出可能な同定特性は、前記切断プライマー伸長産物の配列を含み、前記配列は、前記切断プライマー伸長産物を、前記切断プライマー伸長産物にハイブリダイズ可能な核酸プローブとハイブリダイズさせることで、検出される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記核酸プローブがDNAを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記核酸プローブがアレイとして提供される、請求項7に記載の方法。
  10. 前記アレイは、紙、ガラス、プラスチック、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリルアミド、ニトロセルロース、シリコン、金属、ポリエチレン、および光ファイバーからなる群から選択される材料から作られた基質上に固定化された前記プローブを含む請求項9に記載の方法。
  11. 前記検出可能なシグナルが、プライマー伸長中に組み込まれるデオキシリボヌクレオシド三リン酸、またはそのアナログ上の標識に関連することを特徴とする請求項1、2、または4に記載の方法。
  12. 前記検出可能なシグナルが2個の標識の相互作用に関連し、前記標識がデオキシヌクレオシド三リン酸またはそのアナログ上にあり、かつ標識の一方、または両方がプライマー伸長中に組み込まれる、請求項1、2、または4に記載の方法。
  13. 一方の標識が、プライマー伸長中に組み込まれるデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはそのアナログ上にあり、かつ、もう一方の標識が、プライマー伸長産物のプライマー部分に位置するデオキシリボヌクレオシド三リン酸またはそのアナログ上にある、請求項12に記載の方法。
  14. 請求項1または2に記載の方法であって、該方法は、さらに、(d)工程(a)〜(c)に供される既知量の被分析物を含む基準中で得られる既知量の被分析物を含む基準中に得られるオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド配列のコピー量に対して、存在する場合に、前記サンプル中に得られたオリゴヌクレオチドテンプレートの少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチド配列のコピー量を比較することによって、前記サンプルの前記被分析物を定量すること
    をさらに含み、それによって、前記比較がサンプル中の被分析物の量を定量する、方法。
  15. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法であって、前記被分析物が中間結合パートナーに結合することをさらに含み、ここで、該中間結合パートナーが、前記オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーに結合し、それによって、オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した結合パートナーが、該被分析物に直接的に結合する代わりに、該中間結合パートナーを介して、間接的に被分析物に結合し、そして、それによって、被分析物−結合パートナー複合体が形成される、方法。
  16. 前記中間結合パートナーが前記被分析物に特異的な抗体を含む、請求項15に記載の方法。
  17. オリゴヌクレオチドテンプレートに付着した前記結合パートナーが、前記中間結合パートナーの抗体に特異的な第2の抗体を含む、請求16に記載の方法。
  18. 前記オリゴヌクレオチドテンプレートにハイブリダイズする前記複合プライマーの前記RNA部位が、3’DNA部位に対して5’側である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  19. 前記5’RNA部位が前記3’DNA部位に隣接していることを特徴とする請求18に記載の方法。
  20. 前記オリゴヌクレオチドテンプレートがssDNA部位を含み、前記ssDNA部位が、約25〜約100のヌクレオチドの長さを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  21. 前記オリゴヌクレオチドテンプレートがssDNA部位を含み、前記ssDNA部位が、約25〜約200ヌクレオチドの長さを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  22. 前記RNA/DNAハイブリッドからRNAを切断する酵素が、RNアーゼHである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  23. 前記被分析物がボツリヌス毒素(BoNT)群のメンバーを含むことを特徴とする請求17に記載の方法。
  24. 前記被分析物が、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸断片、炭水化物、細胞、微生物およびその断片および産物、有機分子、ならびに無機分子からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  25. 前記被分析物がペプチドを含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記被分析物がボツリヌス毒素(BoNT)群のメンバーを含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記オリゴヌクレオチドテンプレートが前記結合パートナーに共有結合によって付着する、請求項1〜4のいずれかの方法。
  28. 前記オリゴヌクレオチドテンプレートが前記結合パートナーに非共有結合によって付着する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  29. 前記被分析物−結合パートナー複合体が固体表面に固定される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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