JP2005514909A - 真核生物細胞の電場による刺激 - Google Patents
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Abstract
電位依存性イオンチャンネルの活性化因子および阻害剤を同定する様々な方法が提供される。これらの方法では、細胞の電場刺激が、電位依存性イオンチャンネルの開/閉状態の移行を操作するために用いられる。これら方法は、これら開/閉状態の移行の、より簡便かつより精密な実験操作を可能にし、そして、チャンネルを通過するイオン流動の結果を検出する効率的な方法と組み合わせられたとき、高処理能スクリーニングのために特に好適である様々な方法を提供する。
Description
本発明は、電場を加えることによって真核生物細胞を刺激するための方法および関連する装置に関する。電場は、細胞の環境において電気的電位差を生じさせ、それにより、細胞の膜電位の変化をもたらすある種の電極配置によってもたらされる。膜電位の変化は、電位依存性イオンチャンネルの開閉を含む、細胞内の様々な生理学的プロセスに影響を及ぼす。本明細書中に記載されるような電場の適用により電位依存性イオンチャンネルの開/閉移行を変化させることができることは、電位依存性イオンチャンネルの活性を調節する能力について化合物をスクリーニングする新規な方法を提供する。
真核生物細胞におけるいくつかの分子事象は、細胞の形質膜(すなわち、外膜)にかかる電気的電位勾配の存在または大きさに依存している。そのような事象のより重要なものの1つが、電位依存性イオンチャンネルを通って形質膜を横断するイオンの動きである。電位依存性イオンチャンネルは、細胞膜電位の変化に応答して開口し、イオンが膜を通過することを可能にする膜貫通孔を形成する。電位依存性イオンチャンネルは多くの生理学的役割を有している。電位依存性イオンチャンネルは、多くのタイプの細胞において、細胞膜電位を維持し、かつ活動電位の再分極を制御することに関与することが示されている(Bennettら、1993、Cardiovascular Drugs & Therapy、7:195〜202;Johnsonら、1992、J.Gen.Physiol.、113:565〜580;Bennett&Shin、「電位依存性ナトリウムチャンネルの生物物理学」、Cardiac Electrophysiology:From Cell to Bedside(第3版、D.Zipes&J.Jalife編、2000年、W.B.Saunders Co.)、67頁〜86頁;Bennett&Johnson、「心臓イオンチャンネルの分子生理学」、第2章、Basic Cardiac Electrophysiology and Pharmacology(第1版、A.Zasa&M.Rosen編、2000年、Harwood Academic Press)、29頁〜57頁)。さらに、不完全なチャンネルタンパク質をもたらす、ナトリウムまたはカルシウムまたはカリウムの電位依存性イオンチャンネル遺伝子における変異が、少数の例を挙げれば、先天性の長QT症候群、運動失調症、片頭痛、筋肉麻痺、難聴、発作および心臓伝導疾患を含む様々な障害に関係している(Bennettら、1995、Nature、376:683〜685;Rodenら、1995、J.Cardiovasc.Electrophysiol.、6:1023〜1031;Korsら、1999、Curr.Opin.Neurol.、12:249〜254;Lehmannら、1999、Physiol.Rev.、79:1317〜1372;Holbauer&Heufelder、1997、Eur.J.Endocrinol.、136:588〜589;Naccarelli&Antzelevitch、2000、Am.J.Med.、110:573〜581)。
数タイプの電位依存性イオンチャンネルが存在する。電位依存性カリウムチャンネルは、ニューロン、筋肉細胞および分泌細胞において、静止膜電位を規定し、活動電位の振動数および持続時間を調節する。膜電位が脱分極した後、電位依存性カリウムチャンネルは開口し、これによりカリウムの流出を可能にし、従って、膜の再分極を可能にする。この挙動により、電位依存性カリウムチャンネルは、様々な疾患に関連して薬物発見に対する重要な標的になっている。正常に機能しない電位依存性カリウムチャンネルが多数の疾患および障害に関係している。Wangら(1998、Science、282:1890〜1893)は、電位依存性カリウムチャンネルのKCNQ2およびKCNQ3が、「Mチャンネル」として知られているヘテロマーのカリウムイオンチャンネルを形成することを示している。MチャンネルにおけるKCNQ2およびKCNQ3での変異は、てんかんを生じさせる原因である(Biervertら、1998、Science、279:403〜406;Singhら、1998、Nature Genet.、18:25〜29;Schroederら、Nature、1998、396:687〜690)。
電位依存性ナトリウムチャンネルは、興奮性細胞における活動電位の生成に不可欠な膜貫通タンパク質である(Catterall、1993、Trends Neurosci.、16:500〜506)。哺乳動物では、電位依存性ナトリウムチャンネルは、αサブユニットおよびβサブユニットの巨大分子アセンブリからなり、αサブユニットが孔形成成分である。様々なαサブユニットが、関連する遺伝子の大きなファミリーによってコードされ、いくつかのαサブユニットが中枢神経系に存在し(Nodaら、1986、Nature、322:826〜828;Auldら、1988、Neuron、1:449〜461;Kayanoら、1988、FEBS Lett.、228:187〜194)、いくつかが筋肉に存在する(Rogartら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:8170〜8174;Trimmerら、1989、Neuron、3:33〜49)。
電位依存性カルシウムチャンネルは、開口した形態では形質膜を横断するCa2+イオンの能動的な流動を可能にし、電気化学的勾配を下げる膜貫通タンパク質である。電位依存性カルシウムチャンネルにより、興奮−収縮の共役、シグナル伝達、および神経伝達物質の放出を含む様々な細胞機能が媒介される。
現在の薬物発見方法では、多くの場合、所望する活性を有する少数のそのような化合物を同定するために、数万または数十万の化合物の生物学的活性を評価(すなわち、スクリーニング)することを伴う。多くの高処理能スクリーニングプログラムでは、1日あたり50,000〜100,000もの多くの化合物を試験することが望ましい。残念なことではあるが、電位依存性イオンチャンネルの活性を評価する現在の方法は、高処理能スクリーニングプログラムの要求には十分に適していない。現在の方法は、多くの場合、電気生理学的技術に頼っている。標準的な電気生理学的技術では、ガラスピペットを用いて細胞膜に対する「パッチ処理」または締め付け処理を行い、その後、ガラスピペットで吸引し、膜パッチの破裂を生じさせることを伴う(Hamillら、1981、Pflugers Arch.、391:85〜100)。これには、様々な制約および欠点がある。細胞内部への操作は細胞の応答特性を変化させることがある。細胞およびピペットを顕微操作するために必要な高精度の光学装置では、一度に多くの細胞からの同時の読み取りが不可能である。これらの難点を考えた場合、電気生理学的技術を用いて達成され得る処理能は、高処理能スクリーニングのために必要な処理能にははるかに及ばない。
様々な技術が、電気生理学の標準的な方法に対する代替法として開発されている。例えば、細胞に放射性トレーサー(例えば、86Rb+、22Na+、[14C]−グアニジニウム)が負荷され、色素の流出がモニターされる放射性流束アッセイが使用されている。トレーサーが負荷された細胞は様々な化合物にさらされ、そして、トレーサーの流出の増強または減少のいずれかをもたらすそのような化合物が、細胞の膜におけるイオンチャンネルの考えられる活性化因子または阻害剤として同定される。
イオンチャンネルの活性の変化による細胞の膜電位の変化を測定するアッセイが開発されている。そのようなアッセイでは、多くの場合、膜電位の変化に基づいて細胞外の環境と細胞の内部との間で再分布し、および、細胞の内側または外側に存在するかに依存して異なる蛍光スペクトルを有する電圧感受性色素が用いられる。関連するアッセイ方法では、膜電位の変化を検知するために蛍光共鳴エネルギー転移が可能な1対の蛍光性色素が使用される。この技術の説明については、Gonzalez&Tsien、1997、Chemistry&Biology、4:269〜277を参照のこと。Gonzalez&Tsien、1995、Biophys.J.、69:1272〜1280;米国特許第5,661,035もまた参照のこと。他の方法では、カルシウムチャンネルの開口時および閉鎖時におけるCa2+流入の変化をモニターするために、カルシウム依存性の蛍光色素などのイオン選択的な指示薬が用いられる。
理想的には、電位依存性イオンチャンネルに対するスクリーニング方法では、アッセイ中の細胞の膜横断電位を制御すること、および/または研究されているイオンチャンネルを開口した状態と閉じた状態との間で循環させることが要求される。これは様々な方法で行われている。標準的な電気生理学的技術では、実験設定により、膜電位の直接的な操作が、電圧固定法(Hodgkin&Huxley、1952、J.Physiol.(Lond.)、153:449〜544)によって、例えば、印加電圧を変化させるか、または様々なイオンを細胞に注入することによって可能になる。他の方法では、細胞外のK+濃度を低い値(例えば、5mM)からより高い値(例えば、70mMから80mM)に変化させることにより、細胞内カリウムおよび細胞外カリウムの相対的な割合が変化するために、K+に対する電気化学的電位の変化が生じる。これは、より脱分極した状態に向かう膜横断電気的電位の変化をもたらす。この脱分極は多くの電位依存性イオンチャンネル(例えば、電位依存性のカルシウムチャンネルまたはナトリウムチャンネルまたはカリウムチャンネル)を活性化することができる。選択的に、Na+チャンネルを、ベラトリジンまたはサソリ毒などのトキシンの使用によって開口した立体配座に誘導することができる(Strichartzら、1987、Ann.Rev.Neurosci.、10:237〜267;Narahashi&Harman、1992、Meth.Enzymol.、207:620〜643)。ときには効果的であるが、そのような実験操作は、チャンネルの薬理学を変化させることがあり、実施するためには熟練を要し得るし、そして研究中のシステムにおいて人為的な乱れを生じさせ得る。
細胞の電場刺激が、ガラス微小電極を細胞膜にシールすることによって1個の細胞に対して行われる。細胞膜のシールされたパッチの破裂は、ガラス微小電極の内部液と細胞内の流体との電気的接続をもたらし、これは、電子パルス発生器によって細胞を刺激するために使用された。細胞の電気生理学的応答が高感度の電子増幅器によって測定された。この技術の欠点は、一度に1個の細胞のみが試験されるだけであり、そして個々の細胞に微小電極をシールすることは冗長かつ時間のかかる操作であるということである。
HEK293細胞が、電界効果トランジスタのアレイから構成されるケイ素チップの表面で増殖させられている。細胞の一部がトランジスタのゲート領域を覆って存在し、従って、その形質膜の一部がソースおよびドレインに重なっていた。そのような細胞におけるパッチピペットにより、細胞内電圧が操作されたとき、細胞の形質膜におけるMaxi−Kカリウムチャンネルが開口した。これは、細胞の膜とトランジスタとの間の領域における電流の流れをもたらした。この電流の流れにより、適切なデバイスによって検出することができるソース−ドレイン電流が調節された。このチップ+細胞は、センサとしての可能性、および神経補綴デバイスに対する原型体としての可能性を有すると言われた。Straubら、2001、Nature Biotechnol.、19:121〜124;Neher、2001、Nature Biotechnol.、19:114を参照のこと。
本発明は、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子および阻害剤を同定するための方法に関する。この場合、本発明の方法では、電位依存性イオンチャンネルの開/閉状態の移行を操作するために、細胞外の電極による細胞の電場刺激が用いられる。これは、これらの移行のより簡便かつより精密な実験操作を可能にし、そして、イオン流動または膜電位を検出する効率的な方法と組み合わせられたとき、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子および阻害剤である物質を同定するための高処理能スクリーニングのために特に好適である様々な方法をもたらす。
本発明はまた、上記に記載される方法において使用される装置を提供する。特に、標準的なマルチウエル組織培養プレートの様々な改変が提供され、この場合、改変されたマルチウエル組織培養プレートは、プレートのウエルにおける細胞の膜横断電気的電位を変化させることができ、従って、細胞における電位依存性イオンチャンネルの開/閉状態の比率を変化させることができる電極を有する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、細胞の生物学的応答をモニターしながら細胞の電場刺激(EFS)を行うための装置および技術を提供する。好ましくは、生物学的応答は蛍光検出によってモニターされる。細胞は、例えば、好ましくは透明な電気伝導性の電極を含有するガラス製スライドガラス、または事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、マルチウエル組織培養プレートのウエルにおける細胞の膜横断電位が変化するように配置された電極を含有するマルチウエル組織培養プレートなどの特別に設計された基体において増殖し、かつ/またはそのような基体に付着する。
本発明は、細胞の生物学的応答をモニターしながら細胞の電場刺激(EFS)を行うための装置および技術を提供する。好ましくは、生物学的応答は蛍光検出によってモニターされる。細胞は、例えば、好ましくは透明な電気伝導性の電極を含有するガラス製スライドガラス、または事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、マルチウエル組織培養プレートのウエルにおける細胞の膜横断電位が変化するように配置された電極を含有するマルチウエル組織培養プレートなどの特別に設計された基体において増殖し、かつ/またはそのような基体に付着する。
全般に、本発明は、電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞(好ましくは、哺乳動物細胞)が存在する基体を提供することに関する。正極および負極が基体上または基体近くのいずれかに配置され、その結果、電圧が電極間に加えられたとき、電位依存性イオンチャンネルは、開口または閉鎖され、それにより、細胞の形質膜を通過する少なくとも1つのタイプのイオンの流れを調節する。イオン流のこの調節、またはイオン流の調節からもたらされる膜電位の変化は、直接的または間接的のいずれかで、好ましくは、細胞内における蛍光指示薬化合物の使用によって検出される。物質の収集物、例えば、有機小分子のコンビナトリアルライブラリー、天然産物、ファージディスプレーペプチドライブラリーなどが、細胞の形質膜内の電位依存性イオンチャンネルと接触させられ、そしてイオン流の調節に影響を及ぼすことができるそのような化合物が同定される。このようにして、本発明は、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子および阻害剤に対するスクリーニングの方法を提供する。そのような活性化因子および阻害剤は、医薬品として、または、医薬品が薬物開発の通常的なプロセス(例えば、医薬化学)によって開発され得るリード化合物として有用であることが期待される。
細胞外の電場が加えられている間、細胞膜の電気キャパシタンスは、極性および電場に対する細胞の配向に依存して充電または放電する。この結果、膜の所与パッチにおける膜横断電位の一時的な変化が生じる。膜横断電位のこれらの一時的な変化は、加えられた電場に対する膜の各パッチの配向、および存在する膜横断電位に依存してそれぞれの細胞の周りで連続的に変化する。それぞれの膜パッチにおいて、膜電位は、加えられた外部電場によって静止値から乱れる。膜電位のこの変化は、次に、膜のそれぞれの局所的パッチにおける開口している電位依存性イオンチャンネルおよび閉じている電位依存性イオンチャンネルの割合に影響を及ぼし、これにより、電位依存性イオンチャンネルのコンダクタンスが影響を受け、従って、膜電位がさらに変化する。このプロセスは、任意の所与細胞において、膜の異なるパッチおよび埋め込まれた電位依存性イオンチャンネルが異なる膜電位を受けるように、それぞれの細胞の周りで異なることが予想される。一般に、膜の所与パッチにおける膜電位は、dV/dt=I/Cm(式中、Iは膜のパッチの両端における総電流の流れ(I=V/R)である)であるようにその抵抗(1/コンダクタンス)およびそのキャパシタンス(Cm)に比例する割合で変化する。
図14は、これらの概念を例示する。簡略化のために、図14に示される細胞の形質膜は、左、上部、右および底部の4つのパッチに分けられている。電位差が加えられると、電流が電極の間に流れる。これにより、細胞の膜電位が変化する。電極1が正であり、電極2が負である場合、細胞の底部における膜パッチが過分極するが、上部パッチは脱分極する。左パッチおよび右パッチは膜電位の変化を「認識」しない。極性が逆になった場合、逆のことが生じる。
実際には、当然のことではあるが、細胞の形質膜は、図14に示される4つのパッチの単純化された系ではなく、個々のパッチの連続体である。加えられた電圧は様々なパッチの膜電位を多くの異なる値に変化させ、その結果、埋もれた電位依存性イオンチャンネルが多くの異なる電位を「サンプルリング」し、それらの様々な立体配置状態によって駆動させられるようになる。これらには、開口した状態、閉じた状態、高親和性薬物が結合した状態、および低親和性薬物が結合した状態が含まれる。
従って、本発明は、電位依存性イオンチャンネルの活性の調節因子を同定するための方法であって、
(a)電位依存性イオンチャンネルを発現する細胞の膜の少なくとも一部分の膜横断電位を、電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターしながら、細胞外の電極を介して細胞に電圧を加えることによって変化させること;
(b)工程(a)における細胞を物質にさらし、電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターすること;
(c)工程(a)および工程(b)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流を比較すること
を含み、
工程(a)および工程(b)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流の違いにより、該物質が電位依存性イオンチャンネルの調節因子であることが示される、方法を提供する。
(a)電位依存性イオンチャンネルを発現する細胞の膜の少なくとも一部分の膜横断電位を、電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターしながら、細胞外の電極を介して細胞に電圧を加えることによって変化させること;
(b)工程(a)における細胞を物質にさらし、電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターすること;
(c)工程(a)および工程(b)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流を比較すること
を含み、
工程(a)および工程(b)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流の違いにより、該物質が電位依存性イオンチャンネルの調節因子であることが示される、方法を提供する。
この方法の変形は、
(a)電位依存性イオンチャンネルを発現する多数の細胞を対照部分と試験部分とに分けること;
(b)電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターしながら、細胞外の電極を介して細胞に電圧を加えることによって、対照部分の細胞の膜横断電位を変化させること;
(c)電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターしながら、物質の存在下、細胞外の電極を介して細胞に電圧を加えることによって、試験部分の細胞の膜横断電位を変化させること;
(d)工程(b)および工程(c)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流を比較すること
を含み、
工程(b)および工程(c)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流の違いにより、該物質が電位依存性イオンチャンネルの調節因子であることが示される、方法である。
(a)電位依存性イオンチャンネルを発現する多数の細胞を対照部分と試験部分とに分けること;
(b)電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターしながら、細胞外の電極を介して細胞に電圧を加えることによって、対照部分の細胞の膜横断電位を変化させること;
(c)電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターしながら、物質の存在下、細胞外の電極を介して細胞に電圧を加えることによって、試験部分の細胞の膜横断電位を変化させること;
(d)工程(b)および工程(c)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流を比較すること
を含み、
工程(b)および工程(c)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流の違いにより、該物質が電位依存性イオンチャンネルの調節因子であることが示される、方法である。
簡略化のために、上記の方法は、「1つ」の電位依存性イオンチャンネルに関して記載されている。だが、当業者は、実際の実施では、細胞が、その調節因子が探し求められる電位依存性イオンチャンネルの多数を発現することを理解する。一般に、それぞれの細胞は、少なくとも102分子、103分子、104分子、105分子、106分子またはそれ以上の電位依存性イオンチャンネルを発現する。また、イオン流は、1個の電位依存性イオンチャンネルではなく、多数の電位依存性イオンチャンネルによってモニターされる。同様に、これらの方法は、方法が「1個」の細胞に関して記載されているとしても、一般には、多数の細胞を用いることによって実施される。
一般に、本発明の方法は、標準的なマルチウエル組織培養プレートまたはマイクロタイタープレートの改変体である基体において実施される。そのような基体は、細胞が試験される場所(一般にはマルチウエル組織培養プレートまたはマイクロタイタープレートのウエル)を有し、そして、細胞内の電位依存性イオンチャンネルの開/閉状態における変化を生じさせる電気的電位が電極により送達され得るような、細胞に関する方位で、(プレート内または近くのいずれかに組み込まれた)正極および負極を有する。電極は細胞外である。すなわち、電極は、いくつかの実施形態では形質膜の外側に接触し得るが、細胞の形質膜の内部に、または細胞の形質膜を越えて突き抜けない。細胞外の電極には、細胞の内部との連続した接続を形成する電極(例えば、パッチ/クランプ電極)は含まれない。
従って、本発明は、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子を同定する方法であって、
(a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電位が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が閉じるように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)事前に選択された電圧を、正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である場合、閉じている電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が開口し、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流を可能にするような十分な期間および条件下で工程(c)の細胞を物質にさらすこと;
(f)工程(e)の細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも小さい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である、方法を提供する。
(a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電位が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が閉じるように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)事前に選択された電圧を、正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である場合、閉じている電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が開口し、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流を可能にするような十分な期間および条件下で工程(c)の細胞を物質にさらすこと;
(f)工程(e)の細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも小さい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である、方法を提供する。
上記に記載された方法は、電位依存性イオンチャンネルの阻害剤を同定するための方法を提供するために容易に改変することができる。電極を介して加えられる電圧は、細胞の周りの電場を変化させ、その結果として、膜横断の電気的電位を変化させるように事前に選択される。これは、その後、電位依存性イオンチャンネルが閉じる代わりに、電位依存性イオンチャンネルが開口し得るように、埋め込まれた電位依存性イオンチャンネルの状態を変化させる。次いで、様々な物質が、チャンネルを閉じさせるか、または阻害する能力についてスクリーニングされる。
従って、本発明は、電位依存性イオンチャンネルの阻害剤を同定する方法であって、
(a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電位が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が開口するように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)事前に選択された電圧を、正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である場合、開口している電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が閉じ、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流を制限するような十分な期間および条件下で工程(c)の細胞を物質にさらすこと;
(f)工程(e)の細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも大きい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である、方法を提供する。
(a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電位が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が開口するように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)事前に選択された電圧を、正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である場合、開口している電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が閉じ、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流を制限するような十分な期間および条件下で工程(c)の細胞を物質にさらすこと;
(f)工程(e)の細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも大きい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である、方法を提供する。
活性化因子を同定するための上記に記載された方法において、用語「電位依存性イオンチャンネルの一部が閉じている」および用語「検出可能な数」は関連しており、絶対値ではなく、相対値を有する。同様に、阻害剤を同定するための上記に記載された方法において、用語「電位依存性イオンチャンネルの一部が開口している」および用語「検出可能な数」もまた関連しており、絶対値ではなく、相対値を有する。意図されることは、物質がチャンネルに対して作用したとき、十分な数のチャンネル(すなわち、「検出可能な数」)の開/閉状態における変化が生じ、その結果、用いられた検出システムによって測定されるためには十分に大きいイオン流の差が生じるように、電位依存性イオンチャンネルの一部が開口したり、または閉じたりするということである。イオン流の差が測定され得る限り、閉じているか、または開口している電位依存性イオンチャンネルの「一部」を構成するイオンチャンネルの実際の数または「検出可能な数」を測定する必要はない。方法が実施されるための、開口しているチャンネルまたは閉じているチャンネルの実際の部分、ならびに「検出可能な数」の実際の値は、研究中のチャンネル、試験される物質の濃度、イオン流に対する検出システムの性質などのような変数に依存する。そのような変数を考慮に入れて、その結果、対照値および試験値を得ることができるように、電極を介して加えられる電圧を調節することは、例えば、研究中の電位依存性イオンチャンネルの開/閉移行の知られている電圧依存性、イオン流をモニターするために用いられた検出システムの性質および感度、細胞におけるイオンチャンネルの発現レベルなどのこの分野における知識によって当業者が導かれる日常的な実験の範囲内である。
電極は、適正な刺激を規定するために様々な方法で配置することができる。多数の配置が本明細書中に記載され、添付された図面に例示される。これらには、細胞が基体におけるウエルに存在し、そして
(a)正極および負極の両方が各ウエルに存在する配置;
(b)一方の電極がウエルに存在し、もう一方の電極が、ウエルの側面または底部と接触することなく、上方からウエル内の流体培地に進入する配置;
(c)電極がウエルの側面または底部の一部を形成する配置;
(d)互いにかみ合う電極のパターンが基体の表面に形成されており、細胞の少なくとも一部が正極および負極の互いにかみ合う支線の間に配置される配置
が含まれる。
(a)正極および負極の両方が各ウエルに存在する配置;
(b)一方の電極がウエルに存在し、もう一方の電極が、ウエルの側面または底部と接触することなく、上方からウエル内の流体培地に進入する配置;
(c)電極がウエルの側面または底部の一部を形成する配置;
(d)互いにかみ合う電極のパターンが基体の表面に形成されており、細胞の少なくとも一部が正極および負極の互いにかみ合う支線の間に配置される配置
が含まれる。
当業者は、本明細書中に記載される様々な方法と一緒に対照を操作することが一般には有益であることを認識する。例えば、当該細胞が目的とする電位依存性イオンチャンネルを発現しないことを除いて、好ましくはこれらの方法において、使用される細胞と本質的には同一である細胞に対して物質がこれらの方法において試験される対照を有することは、通常有用である。このようにして、これらの方法によって同定される物質が、何らかの予想されない非特異的な機構によるのではなく、目的とする電位依存性イオンチャンネルによりその作用を実際に発揮していることを決定することができる。そのような対照細胞に対する1つの可能性は、実際の実験の細胞が、目的とする電位依存性イオンチャンネルを、目的とするそのような電位依存性イオンチャンネルの組換え発現のために発現する非組換えの親細胞を使用することである。
他のタイプの対照には、目的とする電位依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤として本発明の方法によって同定される物質を採用し、そして、これら物質を、先行技術の方法で試験されたとき、活性化因子および阻害剤であることを確認するための、先行技術の方法で試験することが含まれる。
当業者は、本発明が、イオン流に対する対照値をイオン流に対する試験値と比較して、対照値が試験値よりも大きいか、または小さいかどうかを決定することを含むとき、小さくない差が探し求められていることを認識する。例えば、阻害剤を同定する方法において、対照値が試験値よりも1%大きいことが見出された場合、このことは、その物質が阻害剤であることを示していない。むしろ、当業者は、そのような小さい差を正常な実験的変動のためであると考える。探し求められているものは、対照値と試験値との間における有意な差である。本発明のためには、有意な差は、生物学的シグナルの統計学的に有効な測定値に対する通常の条件に従う。例えば、実験構成の細部に依存して、有意な差は、少なくとも10%の差であり、好ましくは少なくとも20%の差であり、より好ましくは少なくとも50%の差であり、最も好ましくは少なくとも100%の差であり得る。
当業者は、対照値をもたらす細胞が、試験値をもたらす細胞と物理的に同じである必要がないこと、だが、そうすることは可能であることを理解する。必要なことは、対照値をもたらす細胞が、試験値をもたらす細胞と実質的に同じタイプの細胞であるということである。特定の電位依存性イオンチャンネルでトランスフェクションされ、それを発現する細胞株を、対照細胞および試験細胞の両方のために使用することができる。多数のそのような細胞を増殖させることができ、そしてそのような細胞の一部を物質にさらすことができ、従って、イオン流に対する試験値をもたらす細胞として使用することができ、その一方で、一部は物質にさらされず、従って、イオン流に対する対照値をもたらす細胞として役立つ。個々の細胞それ自体が、対照細胞および試験細胞の両方ではなくとも、細胞株におけるすべての細胞が事実上同一であるということにより、この方法はそれにもかかわらず信頼できることが保証される。
従って、本発明は、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子を同定する方法であって、
(a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が閉じるように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)細胞の対照サンプルに事前に選択された電位を正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の対照サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である場合、試験サンプルにおいて閉じている電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が開口し、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流が可能であるような十分な期間および条件下で細胞の試験サンプルを物質にさらしながら、事前に選択された電圧を、細胞の試験サンプルに正極および負極を介して加えること;
(f)工程(e)の細胞の試験サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも小さい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である、方法を提供する。
(a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が閉じるように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)細胞の対照サンプルに事前に選択された電位を正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の対照サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である場合、試験サンプルにおいて閉じている電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が開口し、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流が可能であるような十分な期間および条件下で細胞の試験サンプルを物質にさらしながら、事前に選択された電圧を、細胞の試験サンプルに正極および負極を介して加えること;
(f)工程(e)の細胞の試験サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも小さい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である、方法を提供する。
同様に、本発明は、電位依存性イオンチャンネルの阻害剤を同定する方法であって、
(a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が開口するように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)事前に選択された電圧を、細胞の対照サンプルに正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の対照サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である場合、試験サンプルにおいて開口している電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が閉じ、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流を制限するような十分な期間および条件下で細胞の試験サンプルを物質にさらしながら、事前に選択された電圧を、細胞の試験サンプルに正極および負極を介して加えること;
(f)工程(e)の細胞の試験サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも大きい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である、方法を提供する。
(a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が開口するように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)事前に選択された電圧を、細胞の対照サンプルに正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の対照サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である場合、試験サンプルにおいて開口している電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が閉じ、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流を制限するような十分な期間および条件下で細胞の試験サンプルを物質にさらしながら、事前に選択された電圧を、細胞の試験サンプルに正極および負極を介して加えること;
(f)工程(e)の細胞の試験サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも大きい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である、方法を提供する。
「物質」は、薬物開発プロセス時に製薬企業において一般にスクリーニングされる任意の物質であり得る。例えば、物質は、低分子量の有機化合物(例えば、分子量が約1,000ダルトン未満である有機化合物);RNA、DNA、抗体、ペプチドまたはタンパク質であり得る。
細胞が、本明細書中に記載される方法において物質にさらされる条件は、タンパク質−リガンド相互作用の研究のためにこの分野で典型的に使用されている条件である:例えば、生理学的pH;PBSのような一般的に使用されている緩衝液によって、または組織培養培地において表される塩条件;約4℃から約55℃の温度;数秒から数時間のインキュベーション時間。一般に、細胞は基体におけるウエルに存在し、物質は、場合によりウエル内の培地を先ず洗い流した後、ウエルに直接加えられる。
本発明の方法でイオン流の値を測定することは、蛍光指示薬化合物の使用によって達成され得る。蛍光指示薬化合物の1つのタイプは、本発明において使用される細胞における細胞内カルシウムイオンのレベルに対して感受性があるものである。このタイプの蛍光指示薬化合物は、方法がその活性が細胞内カルシウムレベルの変化を生じさせるような電位依存性イオンチャンネルに対するものであるときに、使用することができる。そのような電位依存性イオンチャンネルには、電位依存性カルシウムチャンネルだけでなく、それらのチャンネルの活性が、細胞内カルシウムレベルの変化に生来的に共役するか、または細胞内カルシウムレベルの変化に共役し得る他のタイプの電位依存性イオンチャンネルも含まれる。多くのタイプの電位依存性カリウムチャンネルが上のように共役させることができる。電位依存性カルシウムチャンネルでない目的とする電位依存性イオンチャンネルを研究するためにこの方法を使用するとき、目的とする電位依存性イオンチャンネルに共役する電位依存性カルシウムチャンネルを組換え発現させるように、用いられる細胞を操作することが望ましいであろう。
細胞内カルシウムレベルを測定するために好適な蛍光指示薬化合物には、様々なカルシウム指示薬色素(例えば、fura−2、fluo−3、indo−1、カルシウムグリーン;Velicelebiら、1999、Meth.Enzymol.、294:20〜47を参照のこと)が含まれる。
カルシウム指示薬色素は、カルシウムと結合したとき、蛍光特性の変化、例えば、非常に増大した蛍光強度および/または蛍光スペクトルの変化(すなわち、放射極大または励起極大の変化)を示す物質である。fluo−3、fura−2およびindo−1が、非常に選択的なカルシウムキレーターであるエチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)および1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)の構造的アナログとして設計された一般に使用されているカルシウム指示薬色素である。fluo−3から得られる蛍光強度は、カルシウムが結合したとき、100倍以上増大する。非結合の色素はほとんど蛍光を示さないが、カルシウムと結合したfluo−3は526nmにおける強い蛍光放射を示す。fura−2は、カルシウムが結合したとき、その蛍光スペクトルの変化を示す色素の例である。非結合の状態では、fura−2は362nmの励起極大を有する。この励起極大は、カルシウムが結合したとき、335nmに変化する。だが、放射極大は全く変化しない。カルシウムのfura−2に対する結合を、この2つの励起極大における励起、そして335nmにおける励起後の蛍光放射量と比較して、362nmにおける励起後の蛍光放射量の比率を求めることによってモニターすることができる。低下した比率(すなわち、362nmにおける励起後の放射が小さくなること)により、より多くのfura−2がカルシウムに結合していることが示され、従って、細胞におけるより大きい内部カルシウム濃度が示される。
カルシウム指示薬色素の使用には、細胞に色素を負荷すること、すなわち、細胞を色素の膜透過性アセトキシメチルエステルにさらすことによって達成することができるプロセスを伴い得る。細胞の形質膜の内部に入ると、細胞内エステラーゼにより、上のエステルが切断され、遊離色素中の負荷電が露出する。これにより、遊離色素が形質膜を横断することが妨げられ、従って、遊離色素が細胞内に留められる。次いで、色素からの蛍光の測定が行われる。すなわち、(例えば、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤に細胞をさらすことによって)内部カルシウム濃度が変化するような方法で細胞が処理され、蛍光測定が再び行われる。
指示薬色素からの蛍光は、ルミノメーターまたは蛍光画像化装置を用いて測定することができる。1つの好ましい検出装置が蛍光測定画像化プレート読み取り装置(FLIPR)(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)である。FLIPRは、マイクロタイタープレートの96ウエルまたは384ウエルにおいて同時にピペット操作することが可能な一体化された液体取扱いと、電荷結合デバイスによる画像化カメラに結合されたアルゴンレーザーを使用する迅速な速度論的検出とを含むので、本発明の方法を使用する高処理能スクリーニングには十分に適する。
カルシウム指示薬色素を使用するための典型的なプロトコルでは、目的とする電位依存性イオンチャンネルを発現する細胞を適切な基体(例えば、正極および負極の好適な配置を有する透明なかつ平底の黒色壁96ウエルプレート)に入れて、細胞を標準的な組織培養条件(例えば、5%CO2、37℃)で一晩増殖させることを伴う。細胞は、一般には、適切な増殖培地において約10,000細胞/ウエルから100,000細胞/ウエルの密度で置床される。アッセイ当日に、増殖培地が除かれ、色素負荷培地がウエルに加えられる。
例えば、カルシウム指示薬色素がfluo−3である場合、色素負荷培地は、50μgのfluo−3−AMエステル(Molecular Probes F−1242)を22μlのDMSOに可溶化して、2mMの色素ストック液を得ることによって調製することができる。細胞への負荷の直前に、22μlの20%プルロニック酸(Molecular Probes P−3000)が色素に加えられる。色素を含有するチューブがボルテックスミキサーで混合され、42mlの色素/プルロニック酸溶液が、20mMのHEPES(Gibco/BRLカタログ番号1560−080)、2.5mMのプロベネシド(Sigmaカタログ番号P−8761)および1%ウシ胎児血清(Gibco/BRLカタログ番号26140−087;BSAではない)を含む10.5mlのハンクス平衡塩溶液(Gibco/BRLカタログ番号14025−076)に加えられる。色素および負荷培地は、繰り返し反転することによって混合される(最終的な色素濃度は約4μMである)。
増殖培地は、洗浄(洗浄培地は、20mMのHEPES(Gibco/BRLカタログ番号1560−080)、2.5mMのプロベネシド(Sigmaカタログ番号P−8761)および0.1%ウシ血清アルブミン(Sigmaカタログ番号A−9647;FBSではない)を含むハンクス平衡塩溶液(Gibco/BRLカタログ番号14025−076)である)を3回行い、4回目の洗浄の後、ウエルに100μlの残留培地を残すことによって細胞から除くことができる。その後、負荷培地における100μlの色素が各ウエルに加えられる。その後、細胞は、色素の負荷を行わせるために60分間インキュベーションされる。
色素を負荷した後、細胞の蛍光測定が、試験される物質に細胞がさらされる前に測定される。その後、細胞は物質にさらされ、色素の蛍光特性の変化を生じさせるような物質が同定される。測定装置は、FLIPR(Molecular Devices)などの蛍光プレート読み取り装置であり得る。対照細胞ではなく、試験細胞において蛍光特性の変化を生じさせる物質が、電位依存性イオンチャンネルの考えられる活性化因子または阻害剤である。
上記に概略された手順の正確な詳細は例示であることが意図される。当業者は、特定の関連する実験変数(例えば、使用される細胞タイプ、使用された色素の本質)に依存して日常的な実験によって様々な実験パラメーター(細胞数、色素濃度、色素負荷時間、インキュベーション温度、細胞洗浄条件、浴溶液のイオン組成、および装置設定など)を最適化することができる。使用され得る実験プロトコルのいくつかの例が、Velicelebiら、1999、Meth.Enzymol.、294:20〜47に記載される。光学的方法により膜横断電位の変化を測定するための他の好適な装置計測および方法には、顕微鏡、マルチウエルプレート読み取り装置、および迅速かつ高感度な蛍光検出が可能である他の装置計測が含まれる。例えば、VIPR(Aurora Biosciences、San Diego、CA)は、96ウエルおよびより大規模なマルチウエルプレートに対する一体化された液体操作装置および速度論的蛍光読み取り装置である。VIPR読み取り装置には、8チャンネルの液体操作装置、マルチウエル配置ステージ、ならびに光ファイバー照明および検出システムが一体化されている。このシステムは、別のマイクロタイタープレートまたはトラフから得られる液体サンプルの導入前、導入時および導入後、8ウエルの縦列からの蛍光を同時に測定するように設計されている。VIPR読み取り装置は励起させ、そして、8個の三叉光学束(各ウエルに対して1つの束)を用いることによってマルチウエルの底部から放射シグナルを検出する。三叉ファイバーの1つの脚部が励起源として使用され、三叉ファイバーのそれ以外の2つの脚部が、蛍光放射を検出するために使用される。ファイバーの端部に位置する球レンズは、光の励起効率および収集効率を増大させる。二叉放射ファイバーは、読み取り装置が2つの放射シグナルを同時に検出することを可能にし、FRET型電圧色素によって生じる迅速なシグナルとの適合性がある。
その場合、光電子増倍管により、放射蛍光が検出され、サブ秒の放射比検出が可能になる。
いくつかの実施形態において、カルシウム指示薬色素は、fluo−3、fura−2、fluo−4、fluo−5、カルシウムグリーン−1、オレゴングリーン、488BAPTA、SNARF−1およびindo−1からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、蛍光特性の変化は蛍光放出極大の強度の増大である。他の実施形態において、蛍光特性の変化は吸収極大の波長の変化である。
いくつかの実施形態において、細胞は、目的とする電位依存性イオンチャンネルおよび/またはカルシウムチャンネルを生来的に発現する。他の実施形態において、細胞は、目的とする電位依存性イオンチャンネルおよび/またはカルシウムチャンネルを生来的に発現しないが、代わりに、目的とする電位依存性イオンチャンネルおよび/またはカルシウムチャンネルをコードする発現ベクターでトランスフェクションされており、その結果、細胞は、目的とする電位依存性イオンチャンネルおよび/またはカルシウムチャンネルを組換え発現する。トランスフェクションは、発現ベクターを細胞に導入するためにこの分野で知られている任意の方法を含むことが意図される。例えば、トランスフェクションには、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウムにより媒介されるトランスフェクション、リポフェクション、レトロウイルス構築物を用いた感染、およびエレクトロポレーションが含まれる。
カルシウム指示薬色素の使用に対する代替法には、エクオリンシステムの使用がある。エクオリンシステムでは、タンパク質アポエクオリンが使用され、この場合、アポエクオリンが、アポエクオリンと、エクオリンとして知られているセレンテラジンとの組合せ体を形成する親油性の発色団セレンテラジンに結合する。エクオリンは3つのカルシウム結合部位を有しており、カルシウムが結合したとき、エクオリンのアポエクオリン部分はその立体配置を変化させる。立体配置のこの変化により、セレンテラジンは、セレンテラミド、CO2および青色光(466nm)の光子に酸化される。この光子を、好適な装置計測を用いて検出することができる。
アポエクオリンをコードする遺伝子はクローン化されている(米国特許第5,541,309号;米国特許第5,422,266号;米国特許第5,744,579号;Inouyeら、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:3154〜3158;Prasherら、1985、Biochem.Biophys.Res.Comm.、126:1259〜1268)ので、アポエクオリンを、細胞内カルシウム濃度を測定することが所望される細胞において組換え発現することができる。あるいは、組換えアポエクオリンを安定に発現する既存の細胞を使用することができる。HEK293細胞およびCHO−K1細胞に由来するそのような細胞が、Button&Brownstein、1993、Cell Calcium、14:663〜671に記載されている。例えば、HEK293/aeq17細胞株を下記のように使用することができる。
HEK293/aeq17細胞が、10%ウシ胎児血清(熱不活性化)、1mMピルビン酸ナトリウム、500μg/mlのジェネティシン、100μg/mlのストレプトマイシン、100ユニット/mlのペニシリンを含むダルベッコ改変培地(DMEM、GIBCO−BRL、Gaithersburg、MD、米国)において増殖させられる。目的とする電位依存性イオンチャンネル、ならびに必要な場合には、所望する電位依存性カルシウムチャンネルサブユニット(α1A、α1B、α1C、α1D、α1E、α1G、α1H、α1I、α2δ、β1、β2、β3、β4など)をコードする発現ベクターを、所望する電位依存性イオンチャンネルサブユニットおよび電位依存性カルシウムチャンネルサブユニットをHEK293/aeq17細胞において発現させるために、標準的な方法によってHEK293/aeq17細胞にトランスフェクションすることができる。細胞はDMEM+0.1%ウシ胎児血清で1回洗浄され、その後、8μMのセレンテラジンcp(Molecular Probes、Eugene、OR、米国)および30μMのグルタチオンを含有するDMEMに37℃/5%CO2において1時間入れられる。その後、細胞はVersene(GIBCO−BRL、Gaithersburg、MD、米国)で1回洗浄され、ECB(0.3mMのCaCl2、25mMのHEPES(pH7.3)、0.1%のウシ胎児血清を含むハムF12栄養混合物(GIBCO−BRL))に希釈された酵素非含有細胞解離緩衝液(GIBCO−BRL、Gaithersburg、MD、米国)を使用して剥離される。細胞懸濁物は500xgで5分間遠心分離される。上清が除かれ、ペレットが10mlのECBで再懸濁される。細胞密度が、血球計を用いて計数することによって測定され、ECBにおいて500,000細胞/mlに調節される。試験される物質は、所望する濃度にECBで希釈され、好ましくは三連で、0.1ml/ウエルでアッセイプレートに分注される。細胞懸濁物が0.1ml/ウエルで注入され、読み取りが行われ、積算が、ルミノメーター(Luminoskan Ascent、Labsystems Oy、Helsinki、フィンランド)を使用して合計で400個の読み取り値について行われる。選択的に、細胞を最初にアッセイプレートに入れることができ、その後、物質を加えることができる。データが、ソフトウエアGraphPad Prismバージョン3.0(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA、米国)を使用して分析される。
上記に概略された手順は、行なわれることが望まれる特定のアッセイの具体的な細部を考慮に入れて様々な工程および変数を少し改変することができる一般的な指針であることが、当業者によって理解される。例えば、半合成されたセレンテラジンを使用することができる(Shimomura、1989、Biochem.J.、261:913〜920;Shimomuraら、1993、Cell Calcium、14:373〜378);セレンテラジンとの細胞のインキュベーション時間を少し変化させることができる;ウエルあたり少し大きい細胞数または少し少ない細胞数を使用することができる;その他。
エクオリンの使用に関する総説については、Cretonら、1999、Microscopy Research and Technique、46:390〜397;Briniら、1995、J.Biol.Chem.、270:9896〜9903;Knight&Knight、1995、Meth.Cell.Biol.、49:201〜216を参照のこと。米国特許第5,714,666号もまた注目することができ、これには、アポエクオリンを発現する哺乳動物細胞にセレンテラジン補因子を加えることによって哺乳動物細胞における細胞内カルシウムを測定する方法が記載されている。
イオン流を測定するための別の方法は、電位依存性イオンチャンネルの活性から生じる転写の変化を転写型アッセイによってモニターすることである。転写型アッセイでは、電位依存性イオンチャンネルの活性によって引き起こされる特定の細胞内事象(例えば、細胞内カルシウムレベルの変化)によってその活性が調節される誘導性プロモーターによりその転写が駆動されるレポーター遺伝子の使用を含む。様々な転写型アッセイが、Rutterら、1998、Chemistry&Biology、5:R285〜R290に総説されている。本発明の転写型アッセイは、活性化因子または阻害剤が電位依存性イオンチャンネルと相互作用することによって引き起こされる細胞内事象の結果としてその転写が活性化または抑制されるレポーター遺伝子の発現に依存する。
極めて高感度な転写型アッセイが、Zlokarnikら、1998、Science、279:84〜88(Zlokarnik)に、そしてまた米国特許第5,741,657号に開示されている。Zlokarnikおよび米国特許第5,741,657号に開示されているアッセイでは、誘導性プロモーターの制御下にβ−ラクタマーゼをコードするプラスミドが用いられる。このプラスミドは、そのアゴニストを同定することが望まれる受容体をコードするプラスミドと一緒に細胞内にトランスフェクションされる。β−ラクタマーゼにおける誘導性プロモーターは、アゴニストが受容体に結合したときに生じる少なくとも1つの細胞内シグナルにプロモーターが応答するように選ばれる。従って、受容体に対するアゴニストの結合の後、トランスフェクションされた細胞におけるβ−ラクタマーゼのレベルが増大する。β−ラクタマーゼのこの増大が、β−ラクタマーゼによる切断に対する基質である細胞透過性色素で細胞を処理することによって測定される。この色素は2つの蛍光性成分を含有している。無傷の色素では、2つの蛍光性成分が物理的に連結されており、従って、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)がそれらの間で生じ得るように互いに十分に接近している。β−ラクタマーゼによって色素が2つの部分に切断された後、2つの蛍光性成分は異なる部分に存在し、従って、離れるように拡散し得る。これは、これらの蛍光性成分の間の距離を増大させ、従って、それらの間で生じ得るFRETの量を減少させる。アッセイで測定されるのは、FRETにおけるこの減少である。
Zlokarnikおよび米国特許第5,741,657号に記載されているアッセイは、β−ラクタマーゼを駆動させる、電位依存性イオンチャンネルの開閉により生じる細胞内シグナルによってプロモーターが活性化される誘導性プロモーターを使用することによって、本発明の方法における使用のために改変することができる。電位依存性イオンチャンネルと、誘導性プロモーターにより駆動されるβ−ラクタマーゼとを発現する細胞が、電位依存性イオンチャンネルの開口した状態または閉じた状態を制御することができる本発明の装置に入れられる。細胞は細胞透過性色素にさらされ、その後、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤であることが疑われる物質にさらされる。電位依存性イオンチャンネルの開口した状態または閉じた状態の変化を生じさせるこれら物質は、誘導性プロモーターにより駆動されるβ−ラクタマーゼに対する影響によって、従ってFRETに対する影響によって同定される。誘導性プロモーターにより駆動されるβ−ラクタマーゼは、アッセイの性質に依存して物質が活性化因子または阻害剤のいずれかであるときにβ−ラクタマーゼが誘導されるように、好適なプロモーターを用いて作成される。
電位依存性イオンチャンネル通過イオン流はまた、蛍光性の電圧感受性色素を使用して膜電位の変化を測定することによって測定することができる。膜電位の変化は、細胞膜におけるイオンチャンネルに依存する。生じる膜電位は、チャンネルすべての正味の性質、および目的とする電位依存性イオンチャンネルを(阻害剤もしくはアンタゴニストである物質により)阻害することによって、または目的とする電位依存性イオンチャンネルを(活性化因子もしくはアゴニストである物質により)活性化することによって生じる変化に依存する。細胞および膜の生物物理学および電気生理学における1つの知見により、膜電位の変化の方向が理解される。そのような変化は、存在するイオンチャンネルに、および試験物質によるこれらチャンネルの阻害または活性化に依存するからである。蛍光性の電圧感受性色素が使用される多くの場合において、実験システムは、目的するイオンチャンネルの知られている活性化因子または阻害剤を使用することによって較正することができる。
従って、本発明には、第1の蛍光色素と第2の蛍光色素との間におけるFRETに基づく、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤により引き起こされるイオン流の変化をモニターするアッセイが含まれる。この場合、第1の色素が、目的とする電位依存性イオンチャンネルを発現する細胞の形質膜の一方の側に結合し、第2の色素が、膜電位の変化に応答して、膜の一方の面から反対側の面に自由に移動する。いくつかの実施形態において、第1の色素は細胞の形質膜を突き抜けることができず、形質膜の細胞外表面に主に結合している。第2の色素は形質膜内に捕捉されるが、膜内を自由に拡散する。膜の正常(すなわち、負)の静止電位のとき、第2の色素は形質膜の細胞外面の内側表面に主に結合しており、従って、第2の色素は第1の色素の非常に近いところに位置する。このように非常に近いことは、2つの色素の間における大きいFRET量の生成を可能にする。膜が脱分極した後、第2の色素は膜の細胞外面から細胞内面に移動し、従って、色素間の距離が増大する。この増大した距離はFRETの減少をもたらし、このため、第1の色素に由来する蛍光放射がそれに従って増大し、第2の色素に由来する蛍光放射がそれに従って減少する。Gonzalez&Tsien、1997、Chemistry&Biology、4:269〜277の図1を参照のこと。また、Gonzalez&Tsien、1995、Biophys.J.、69:1272〜1280;および米国特許第5,661,035号も参照のこと。
いくつかの実施形態において、第1の色素は、蛍光ドナーとして作用する蛍光性のレクチンまたは蛍光性のリン脂質である。そのような第1の色素の例には、クマリンで標識されたホスファチジルエタノールアミン(例えば、N−(6−クロロ−7−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボキサミドアセチル)−ジミリストイルホスファチジルエタノールアミンまたはN−(7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾル−4−イル)−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン);蛍光標識されたレクチン(例えば、フルオレセインで標識されたコムギ胚芽アグルチニン)がある。いくつかの実施形態において、第2の色素は、蛍光アクセプターとして作用するオキソノールである。そのような第2の色素の例には、ビス(1,3−ジアルキル−2−チオバルビツラート)トリメチンオキソノール(例えば、ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)トリメチンオキソノール)またはペンタメチンオキソノールアナログ(例えば、ビス(1,3−ジヘキシル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール;もしくはビス(1,3−ジブチル−2−チオバルビツラート)ペンタメチンオキソノール)がある。本発明における使用のために好適な様々な色素を合成する方法については、Gonzalez&Tsien、1997、Chemistry&Biology、4:269〜277を参照のこと。いくつかの実施形態において、アッセイは、一重状態酸素による光力学的損傷を減少させるために、天然カロテノイド(例えば、アスタキサンチン)を含むことができる。
形質膜の一方の面から反対側の面に移動することができるそのような蛍光色素の使用は、本発明の方法が、内向き整流カリウムチャンネルに対するものであるときには特に適している。内向き整流カリウムチャンネルの活性化は、形質膜を横断する増大したカリウム電流の流れをもたらす。この増大した電流の流れは細胞膜の過分極をもたらすが、そのような過分極は、より大きいFRETをもたらすので、上記に記載される技術の使用によって検出することができる。
様々なタイプの基体および電極の、非常に多くの可能な組合せ;電極の物理的配置;細胞を保持するためのウエルの数および形状および配置が、本発明における使用のために好適である。
図1には、電極が、金などの導電性材料の一般に平行したワイヤまたは細片である本発明の実施形態が例示される。電極はガラス基体の表面に存在し、スペーサーと一緒になって、ウエルの壁を形成する。分かりやすくするために、ウエルの一列のみが図1には示される。一般に、ガラス基体の実質的に表面全体が、示された様式で形成されたウエルによって覆われる。細胞がウエルに入れられ、そして適切な数の細胞がウエルに存在するまで、好適な培地において増殖させられる。あるいは、適切な数の細胞をウエルに入れて、さらに増殖させることなく使用することができる。
図2Bには、ウエルが、典型的なマルチウエル組織培養プレートの場合のような基体の表面におけるへこみまたはくぼみである本発明の実施形態が例示される。各ウエルは、ウエルの底部における1つの電極と、ウエルの側面に沿って配置されたもう1つの電極とを有する。細胞が、図2Bではウエルの底部に付着しているとして示されているが、いくつかの実施形態では、細胞は、ウエル内の流体に分散された懸濁細胞であってもよい。
図2Cには、図2Cでは、両方の電極がウエルの底部に存在することを除いて、図2Bに示される実施形態と類似する本発明の実施形態が例示される。
図3には、交互にかみ合う透明な電極のアレイがガラス基体の表面に化学的にエッチングされている本発明の実施形態が例示される。正極および負極の櫛状体を構成する電極アレイが、インジウムスズ酸化物(ITO)被覆のガラスプレートに化学的にエッチングされている。ITOの薄い層(約200Åから2,000Åまたは500Åから1,500Å、好ましくは1,200Åの厚さ)により、グラスプレートの表面における透明な導電性被覆が形成される。必須ではないが、ITO層は、透明であるために十分に薄いことが好ましい。化学的エッチングプロセスにより、選択された領域からITOが除かれ、ガラスプレートに結合した透明なITO電極のアレイが得られる。多数の反応ウエルを、異なる電極アレイ部位に流体保持ウエルを形成することによって1枚のガラスプレートに含有させることができる。ウエルは、ウエルフレームをガラスプレートに取り付けること(例えば、接着すること)によって、または疎水性インクによりプレート上を覆うことなどの方法によりガラスプレートに実質上のウエルを形成することによって形成させることができる。
図4Aおよび図4Bには、ウエルが、ウエルフレームを基体に取り付けることによって形成される実施形態が例示される。
図6には、電位依存性イオンチャンネルを発現する細胞を含有する液体液滴が2つのプレートの間に挟まれる実施形態が例示される。ガラスプレートであり得るプレートはそれぞれが、インジウムスズ酸化物(ITO)などの導電性材料の薄い層でコーティングされる。導電性材料の層は、一方の層が正極として機能し、もう一方の層が負極して機能するようにパルス発生器に接続される。
図7および図8には、電極の一方が上方からウエルに進入する実施形態が例示される。図9および図10では、両方の電極が上方から進入する。
本発明において使用される基体は実質上のウエルを含有することができる。実質上のウエルは、表面が、比較的疎水性の場の内部に比較的親水性のドメインを有するようにパターン化されたときに形成され、その結果、水性サンプルが、より疎水性の場の端により、より親水性のドメインに対する表面張力によって物理的に拘束される。親水性のドメインは、従来のマイクロタイタープレートのウエルに類似するパターンを形成する小さい円形であり得る。実質上のウエルは、従来のマイクロタイタープレートに見出される深いくぼみを伴うことなくサンプルを閉じ込めることができる位置を提供する。図5には、実質上のウエルが形成され、かつ交互にかみ合う電極のパターンもまた形成されている修飾されたガラス表面である、本発明において使用される表面が例示される。図3には、この表面からの個々のウエルが示されている。国際特許出願公開WO99/39829には、実質上のウエルおよびそれらの作製方法が記載されている。
「交互にかみ合う」は、正極および負極が、1つの直線が正極の1つの支線からその正極の隣の支線にまで引かれた場合、この直線が負極の支線と交差するように配置されている支線を含有するような、正極および負極の配置を示す。同様に、1つの直線が負極の1つの支線からその負極の隣の支線にまで引かれた場合、直線は正極の支線と交差する。一般に、交互にかみ合うそれぞれの正極または負極は、少なくとも2つ、または少なくとも4つ、または少なくとも10、または少なくとも20の交互にかみ合う支線を有する。交互にかみ合う電極の一例が図3に示される。
ガラス基体上の導電性材料から形成される電極の様々なさらなる配置が可能である。1つの配置は、2つの平行したガラス基体の表面に形成された正極および負極を有する。例えば、1枚のガラス基体に正極および負極を有する代わりに、2つのITO被覆ガラス基体を、ガラス基体を互いに平行して置き、細胞を含有する生物学的流体をガラス基体間の隙間に置くことによって利用することができる。この配置では、一方の導電性ガラス基体が正極として役立ち、その一方で、第2のガラス基体が負極として役立つ。電極場が、プレートの表面に対して直角に形成される。この配置により、細胞を含有する流体をプレート間に分配させるか、または毛管作用によって隙間に引き込むことのいずれかが可能になる。検出器の光ビームがガラス基体に対して直角に進入し、ガラス基体間の隙間に入り、流体および細胞を照らす。細胞からの蛍光送出が、類似する様式で検出器よって集められる。図6には、この配置の1つの形式が例示される。別の形式が、多数の実質上のウエルをそれぞれが含有する2つのITO被覆プレートを含む実施形態が示されている図13に示される。ITOは、電極だけでなく、ウエルの底部を形成する。
別の配置は、1枚のガラス基体によって形成される正極および負極と、参照電極とを有する。この配置では、一方の電極としてITOなどの導電性材料でコーティングされた1枚のガラス基体が利用される。生物学的流体および細胞を保持するウエルが、ガラス基体をコーティングする導電性材料の表面に形成される。ウエル内に設置されたワイヤまたは類似する導電性部材が第2の電極として役立つ。図7には、この配置の形式の1個のウエルが例示される。図12には、マルチウエル形式で通常実施されるようなこのタイプの配置が示される。図15には、一方の電極が、ITO層と接触している高導電性の金属グリッドであるこの配置の改変が示される。
別の配置は、隣接ウエルに設置された正極と負極との対によってもたらされた電流に対する導電体として作用する1枚の導電性ガラス基体を有する。図16Aから図16Dを参照のこと。この配置では、接地グリッドが使用されない。電流は、第1のウエルにおける第1の電極から、第1のウエルのITO底部を通って、隣接する第2のウエルのITO底部に、および第2のウエルにおける第2の電極を通って、流れる。隣接する電極は交互に正極および負極である。図16Aおよび図16Cを参照のこと。
交互にかみ合う電極を使用するいくつかの実施形態において、電極の支線の間隔および幅は、個々の細胞のサイズと同じ程度の大きさである。細胞は、細胞が1対の正極支線と負極支線との間に付着する場合、より低い加えられた刺激パルスが利用できるような様式で、増殖させ、基体に付着させることができる。この近い電極間隔の利点は、流体培地を通る刺激電流パルスのより少ない分流および流体のより少ない発熱が、細胞を刺激している間において生じるということである。透明な交互にかみ合う電極の使用は、蛍光放射光源からの光を、好ましくはガラス基体および透明な電極を通って、細胞に伝えるという利点、そして光検出器に戻る蛍光シグナルの光通過を提供する。電極をインジウムスズ酸化物(ITO)などの透明な材料から作製することは、いくつかの実施形態では様々な利点を有しているが、電極はまた、白金、銀または金などの、透明でない導電性材料から作製することができる。電極材料が透明でない場合、光が電極間のガラスを通過することができるので、蛍光測定は依然として可能である。
電極の配置とは関係なく、刺激パルスがパルス発生器によって作製され、単ウエル電極アレイまたは多ウエル電極アレイのいずれかに加えられる。波形発生および振幅調節を可能にする様々な市販のパルス発生器を利用することができる。定電圧または定電流の波形を電極に加えることができる。本発明において使用され得る市販の電源装置には、STG1004もしくはSTG1008の刺激発生器、またはNational InstrumentsのPCI6713の8チャンネルpcbが含まれる。
細胞を刺激するためにパルス発生器を使用する際には、使用される振幅およびパルス幅および極性には特に注意を払わなければならない。いくつかの極端な電場強度の場合、生物学的膜のエレクトロポレーションが生じることがあり、これは避けなければならない。外部電場を変化させるとき、所望する目標は、膜横断電場(Vm)の変化をおよそ±100mV未満にすることである。そのため、細胞膜のキャパシタンスに加えられるか、または細胞膜のキャパシタンスから除かれる電荷の量が重要である。パルスの振幅および持続時間を調節することが、細胞のエレクトロポレーションを伴わないVmの変化を保証にするために必要である。典型的には、電極間の電圧変化は±10ボルト程度であり得るが、好ましくは±5ボルト未満であり、可能な場合には±1ボルト未満である。これらの値は、細胞膜のエレクトロポレーションを伴わない細胞の膜電位変化を最適化するために、日常的な実験によって経験的に調節することができる。一般に、細胞膜における電荷変化の量は、電気的電流に依存する局所的な電場変化に依存する。外部電場の変化によって決定されるような印加電流の面積(電流−時間の積分)を調節することは、経験的に容易に最適化することができる。一般に、目標が、細胞の活動電位を刺激することである場合、パルスの持続時間は短時間に保たれ、振幅が、活動電位生成のための閾値を超える点にまで増大される。これは、細胞で発現するイオンチャンネルの相対的なレベルによって影響を受け、それに従って変化し、そのため、経験的な調節を必要とする。典型的な値は1ミリ秒のパルス持続時間および5ボルトのパルス振幅であり得る。しかしながら、これは、例えば、持続時間を2ミリ秒に増大させ、振幅を2.5ボルトに低下させるために、または持続時間を減少させ、振幅を増大させるために変化させることができる。一般に、加えられたパルスの持続時間と振幅との間には、印加電流−時間積分の面積が一定のままである逆放物線的関係が存在する。イオンチャンネルの速度論および活動電位は迅速かつ短時間であり得るので、パルスの持続時間を最小限にすることが有用である。これらのパラメーターはまた、製造された電極、そのキャパシタンスおよび抵抗、細胞に対する幾何学的関係、使用される溶液のイオン強度および組成、ならびに細胞に対する電気的結合に依存する。これらの多くの変数のために、上記の指針に基づく経験的な取扱いが最良である。
電極配置は、12ウエル、24ウエル、96ウエル、384ウエル、1,536ウエル、3,456ウエルおよび他のプレート形式に適合化させることができ、これにより、本発明を高処理能スクリーニング適用において使用することが可能になる。
多数のウエルが基体に存在し、各ウエルが、それと結合した電極を有する図12に例示される実施形態などの本発明の実施形態において、電極を介してそれぞれのウエルに送達される刺激は、パルス発生器を調節する好適なソフトウエアを適用することによって個々に制御することができる。そのようなソフトウエアは、この分野では広く知られているか、または当業者によって容易に設計することができる。
本発明のいくつかの実施形態では、基体が、高処理能スクリーニングのために使用される典型的なマルチウエル組織培養プレート(例えば、96ウエルプレート)と同じ形態因子を有するように、基体における電極およびウエルの配置が用いられる。基体におけるウエルの間隔は、基体におけるウエルの中心間距離が、高処理能スクリーニングのために使用される典型的な96ウエルプレートにおけるウエル間の典型的な中心間距離と同じであるようにすることができる。これにより、プレート取扱い装置、検出器、自動分注器などの、高処理能スクリーニングにおいて使用される現在の装置と一緒に本発明の使用が容易になる。基体は、本明細書中に開示される電極の様々な形状の少なくとも1つに従ってプレートに電極を加えることにより、マルチウエル組織培養プレートを作製するために一般に使用されている広く知られている製造プロセスを改変することによって製造することができる。
本発明のいくつかの実施形態において、基体はケイ素または電界効果トランジスタではない。
本発明のいくつかの実施形態において、電位依存性イオンチャンネルをコードするDNAを含む発現ベクターでトランスフェクションされている細胞が利用される。好ましくは、細胞は、対応する電位依存性イオンチャンネルを生来的に発現しない。例えば、発現ベクターにより、電位依存性カルシウムチャンネルの発現が行われる場合、細胞は電位依存性カルシウムチャンネルを生来的に発現しない。あるいは、細胞が、対応する電位依存性イオンチャンネルを生体的に発現する場合、それらの対応する電位依存性イオンチャンネルは、トランスフェクションされている電位依存性イオンチャンネルから、何らかの様式で、例えば、適切な阻害剤の使用によって、膜電位の操作によって区別することができる。本発明において使用される好ましい細胞株には、HEK293細胞株(ATCC1573)がある。これは、この細胞が、膜電位の脱分極を生じさせるチャンネル(例えば、ナトリウムチャンネルまたはカルシウムチャンネル)を用いた電場刺激実験のために有益であり得る内因性のカリウムチャンネルを生来的に発現するからである。
細胞は、一般には真核生物細胞であり、好ましくは哺乳動物細胞である。細胞は、基体上で適切な数に増殖させることができ、または基体に置き、さらに増殖させることなく使用することができる。細胞を基体に付着させることができ、または、細胞がウエルに入れられるか、もしくはウエル内で増殖されるそのような実施形態では、細胞は、ウエル内の流体に懸濁されている懸濁細胞であり得る。一次細胞または樹立された細胞株を使用することができる。
電位依存性イオンチャンネルの発現を行わせる発現ベクターを用いたトランスフェクションのための好適な細胞には、ヒト起源、ウシ起源、ブタ起源、サル起源および齧歯類起源の細胞株が含まれるが、これらに限定されない。細胞は接着性または非接着性であり得る。好適であり、かつ広範囲に入手可能である細胞および細胞株には、L細胞L−M(TK−)(ATCC CCL1.3)、L細胞L−M(ATCC CCL1.2)、HEK293(ATCC CRL1573)、Raji(ATCC CCL86)、CV−1(ATCC CCL70)、COS−1(ATCC CRL1650)、COS−7(ATCC CRL1651)、CHO−K1(ATCC CCL61)、3T3(ATCC CCL92)、NIH/3T3(ATCC CRL1658)、HeLa(ATCC CCL2)、C127I(ATCC CRL1616)、BS−C−1(ATCC CCL26)、MRC−5(ATCC CCL171)、CPAE(ATCC CCL209)、Saos−2(ATCC HTB−85)、ARPE−19ヒト網膜色素上皮(ATCC CRL−2302)、GH3細胞および初代心筋細胞が含まれるが、これらに限定されない。
様々な電位依存性イオンチャンネルを本発明において使用することができる。例えば、電位依存性ナトリウムチャンネル、電位依存性カリウムチャンネルおよび電位依存性カルシウムチャンネルが好適である。
本発明のいくつかの実施形態において、使用される細胞は、目的とする電位依存性イオンチャンネルを生来的に発現しない。代わりに、電位依存性イオンチャンネルをコードするDNAが、電位依存性イオンチャンネルを細胞の形質膜に発現させるために、細胞にトランスフェクションされる。電位依存性イオンチャンネルをコードするDNAは、この分野で広く知られている方法によって得ることができる。例えば、電位依存性イオンチャンネルをコードするcDNAフラグメントを、好適なプライマー対を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用することによって好適なcDNAライブラリーから単離することができる。電位依存性イオンチャンネルをコードするcDNAフラグメントは、その後、好適な発現ベクターにクローン化することができる。プライマー対は、得ることが所望される電位依存性イオンチャンネルの知られているDNA配列に基づいて選択することができる。好適なcDNAライブラリーを、電位依存性イオンチャンネルをコードするmRNAを含有することが知られている細胞源または組織源から作製することができる。
当業者は、いくつかの電位依存性イオンチャンネルについて、機能的な電位依存性イオンチャンネルを得るために、2つ以上のサブユニットをトランスフェクションし、それにより、2つ以上のサブユニットを発現させることが望ましいことを知っている。例えば、N型カルシウムチャンネルは、α1Bサブユニット、α2δサブユニットおよびβ1サブユニットを少なくとも含有する多サブユニット複合体から構成される。他方で、T型カルシウムチャンネルは、1個のサブユニット(例えば、α1G、α1Hまたはα1I)だけで機能的である。目的とする電位依存性イオンチャンネルのサブユニット組成のこの分野での共通する知識により、当業者は、トランスフェクションされた細胞において正しいサブユニットを発現させることができる。
当業者は、電位依存性イオンチャンネルをコードするDNAを得るために、発表された電位依存性イオンチャンネルの配列を使用して、PCRプライマーを設計することができ、そして電位依存性イオンチャンネルの発現の発表された研究を使用して、cDNAライブラリーを作製するための適切な供給源を選択することができる。下記の刊行物は、これに関して有用であり得る:
米国特許第5,380,836号には、ラット心臓の電位依存性ナトリウムチャンネルをコードする核酸配列が記載されている。
米国特許第5,380,836号には、ラット心臓の電位依存性ナトリウムチャンネルをコードする核酸配列が記載されている。
米国特許第6,030,810号には、多数の電位依存性かつテトロドトキシン感受性のナトリウムチャンネルが記載されている。
米国特許第6,184,349号B1には、PN3として知られている、ヒトのテトロドトキシン抵抗性の末梢神経電位依存性ナトリウムチャンネルが開示されている。GenBankアクセション番号AF117907もまた参照のこと。
Isomら、1994、Neuron、12:1183〜1194には、ラットの電位依存性ナトリウムチャンネルβサブユニットが開示されている。
MaClatcheyら、1993、Hum.Molec.Gen.、2:745〜749には、ヒトの電位依存性ナトリウムチャンネルβ1サブユニット(hSCNβ1)が開示されている。
Isomら、Science、1992、256:839〜842には、ラット脳の電位依存性ナトリウムチャンネルβ1サブユニット(rSCNβ1)が開示されている。
Misgeldら、1995、Prog.Neurobiol.、46:423〜462;North、1989、Br.J.Pharmacol.、98:13〜23;Gahwilerら、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:1558〜1562;Andradeら、1986、Science、234:1261〜1265には、本発明の方法における使用のために好適である内向き整流性の電位依存性カリウムチャンネルが開示されている。
米国特許第5,874,236号および米国特許第5,429,921号には、ヒト電位依存性カルシウムチャンネルの様々なα1サブユニットおよびβサブユニットが記載されている。
米国特許第5,407,820号および米国特許第5,710,250号には、ヒト電位依存性カルシウムチャンネルのα2サブユニットが開示されている。
国際特許出願公開WO98/13490には、家族性片麻痺性片頭痛に関与する脳特異的なP/Q型ヒト電位依存性カルシウムチャンネルが記載されている。
表1には、本発明における使用のために好適であるイオンチャンネル遺伝子の一覧が示される。
PCR反応は、AmpliTaq、AmpliTaq GoldまたはVentポリメラーゼ(これらに限定されない)を含む様々な熱安定性酵素を用いて行うことができる。AmpliTaqの場合、反応を、10mMのTris−Cl(pH8.3)、2.0mMのMgCl2、200μMの各dNTP、50mMのKCl、0.2μMの各プライマー、10ngのDNAテンプレート、0.05ユニット/μlのAmpliTaqにおいて行うことができる。反応液は95℃で3分間加熱され、その後、95℃で20秒間、62℃で20秒間、72℃で3分間(これらに限定されない)を含む好適なサイクル処理パラメーターを使用して35回サイクル処理される。これらの条件に加えて、様々な好適なPCRプロトコルを、PCR Primer,A Laboratory Manual(編集:C.W.DieffenbachおよびG.S.Dveksler、1995年、Cold Spring Harbor Laboratory Press)またはPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Michaelら編、1990年、Academic Press)に見出すことができる。
所望する電位依存性イオンチャンネルが実際に得られていることを確認し、予想外の変化がPCR反応によって配列に導入されていないことを確認するために、本明細書中に記載される方法によって得られる、電位依存性イオンチャンネルをコードするDNAを配列決定することが望ましい。DNAは、好適なクローニングベクターまたは発現ベクターにクローン化することができ、例えば、哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen、San Diego、CA)、またはこの分野で知られているか、もしくは本明細書中に記載される他の発現ベクターにクローン化することができる。
様々な発現ベクターを、本発明において使用される電位依存性イオンチャンネルをコードするDNAを組換え発現させるために使用することができる。好適である市販の発現ベクターには、pMC1neo(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、pcDNAIおよびpcDNAIamp、pcDNA3、pcDNA3.1、pCR3.1(Invitrogen、San Diego、CA)、EBO−pSV2−neo(ATCC37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC37224)、pRSVgpt(ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pCI.neo(Promega)、pTRE(Clontech、Palo Alto、CA)、pV1Jneo、pIRESneo(Clontech、Palo Alto、CA)、pCEP4(Invitrogen、San Diego、CA)、pSC11、ならびにpSV2−dhfr(ATCC37146)が含まれるが、これらに限定されない。ベクターの選択は、電位依存性イオンチャンネルを発現させることが所望される細胞タイプ、ならびに所望される発現レベルなどに依存する。
発現ベクターは、電位依存性イオンチャンネルの一過性発現または安定発現を行わせるために使用することができる。トランスフェクションされているDNAの一過性発現または安定発現はこの分野では広く知られている。例えば、Ausubelら、1995年、「哺乳動物細胞へのDNAの導入」、Current Protocols in Molecular Biology、9.5.1節から9.5.6節(John Wiley&Sons,Inc.)を参照のこと。
上記に記載されたPCR法に対する代替法として、イオンチャンネルをコードするcDNAクローンを、所望する電位依存性イオンチャンネルに対して特異的なオリゴヌクレオチドをプローブとして使用し、そしてオリゴヌクレオチドプローブを用いてcDNAライブラリーをスクリーニングすることに関してこの分野で広く知られている方法を使用してcDNAライブラリーから単離することができる。そのような方法は、例えば、Sambrookら、1989年、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York);Glover,D.M.(編)、1985年、DNA Cloning:A Practical Approach(MRL Press,Ltd.、Oxford、U.K.、第I巻、第II巻)に記載されている。特定の電位依存性イオンチャンネルに対して特異的であり、かつcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用することができるオリゴヌクレオチドは、電位依存性イオンチャンネルの知られているDNA配列に基づいて容易に設計することができ、そしてこの分野で広く知られている方法によって合成することができる。
本発明はまた、本明細書中に開示される方法とともに使用される装置を提供する。例えば、本発明は、事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、ウエル内の細胞の膜横断電位が変化するように配置された1対の電極がプレートの多数のウエルに含有されるマルチウエル組織培養プレートを提供する。
いくつかの実施形態において、マルチウエル組織培養プレートは、1対の電極の一方をウエルの底部に、そして1対の電極のもう一方をウエルの側面に含有する。この実施形態が図2Bに示される。
他の実施形態において、マルチウエル組織培養プレートは1対の電極の両方をウエルの底部に含有する。この実施形態が図2Cに示される。
マルチウエル組織培養プレートの他の実施形態において、1対の電極の一方が、ウエルの底部を形成する導電性材料の層であり、1対の電極のもう一方が上方からウエルに進入する。この実施形態が、図7、図12および図16に示される。
マルチウエル組織培養プレートの他の実施形態において、1対の電極の両方が絶縁体に埋め込まれ、上方からウエルに進入する。この実施形態が図9および図10に示される。
マルチウエル組織培養プレートの他の実施形態において、上方からウエルに進入する電極は、絶縁体により囲まれた中心の導電性材料部分を有する。この実施形態が図8に示される。
マルチウエル組織培養プレートの他の実施形態において、1対の電極の一方がウエルの底部を形成し、1対の電極のもう一方が上方からウエルに進入する。この実施形態が図7および図10に示される。
マルチウエル組織培養プレートの他の実施形態において、電極の対により、正極および負極の交互パターンがウエルにおいて形成される。この実施形態が図16に示される。
マルチウエル組織培養プレートの他の実施形態において、ウエルの底部を形成する導電性材料の層が、ガラス基体を覆うインジウムスズ酸化物の層である。好ましくは、導電性材料の層およびガラス基体は透明である。
マルチウエル組織培養プレートの他の実施形態において、プレートの多数のウエルが、交互にかみ合う電極を含有する。この実施形態が図3および図5に示される。
本発明は、事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、ウエル内の細胞の膜横断電位が変化するように、第1の電極および第2の電極が配置されているマルチウエル組織培養プレートであって、
ウエルの底部が、細胞を増殖させることができるフィルターメンブランであり、
ウエルが、流体を含有することができるトラフに位置し、
トラフには、第1の電極が含有され、
第2の電極が上方からウエルに進入する、
マルチウエル組織培養プレートを提供する。この実施形態が図8に示される。
ウエルの底部が、細胞を増殖させることができるフィルターメンブランであり、
ウエルが、流体を含有することができるトラフに位置し、
トラフには、第1の電極が含有され、
第2の電極が上方からウエルに進入する、
マルチウエル組織培養プレートを提供する。この実施形態が図8に示される。
本発明はまた、本明細書中に開示されたマルチウエル組織培養プレートと、蛍光画像化装置との組合せで、蛍光画像化装置により、マルチウエル組織培養プレートのウエルからの蛍光読み取りを得ることができるように、マルチウエル組織培養プレートおよび蛍光画像化装置が互いに配置されている組合せを提供する。
本発明はまた、上部基体および底部基体のそれぞれが、
多数の実質上のウエル、および
実質上のウエルの底部を形成する導電性材料の層
を含有する上部基体および底部基体の組合せで、
導電性材料の層が電極として機能し、その結果、事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、実質上のウエルにおける細胞の膜横断電位が変化するように、上部基体および底部基体における導電性材料の層がパルス発生器に接続されている、上部基体および底部基体の組合せを提供する。そのような組合せが図6および図13に示される。
多数の実質上のウエル、および
実質上のウエルの底部を形成する導電性材料の層
を含有する上部基体および底部基体の組合せで、
導電性材料の層が電極として機能し、その結果、事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、実質上のウエルにおける細胞の膜横断電位が変化するように、上部基体および底部基体における導電性材料の層がパルス発生器に接続されている、上部基体および底部基体の組合せを提供する。そのような組合せが図6および図13に示される。
本発明はまた、多数の一般には平行する正極および負極と、電極に対して一般には直角に配置された多数のスペーサーとによって形成される正方形または矩形のウエルを有する基体であって、
ウエルの1つの壁が正極により形成され、ウエルの反対側の壁が負極により形成され、
スペーサーが、電極により形成される壁に対して直角であるウエルの壁を形成し、
事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、ウエル内の細胞の膜横断電位が変化するように電極が配置されている、基体を提供する。そのような基体が図1に示される。
ウエルの1つの壁が正極により形成され、ウエルの反対側の壁が負極により形成され、
スペーサーが、電極により形成される壁に対して直角であるウエルの壁を形成し、
事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、ウエル内の細胞の膜横断電位が変化するように電極が配置されている、基体を提供する。そのような基体が図1に示される。
本発明の別の実施形態の一例は、
目的とする電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に有する少なくとも103個の生存している真核生物細胞が存在する上部表面を有する基体:
電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電位が変化するように基体上または基体近くのいずれかに配置された多数の正極および多数の負極;
電位依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤であることが疑われる少なくとも1つの物質
を含み、
この場合、細胞が蛍光指示薬化合物を含有する。
目的とする電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に有する少なくとも103個の生存している真核生物細胞が存在する上部表面を有する基体:
電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電位が変化するように基体上または基体近くのいずれかに配置された多数の正極および多数の負極;
電位依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤であることが疑われる少なくとも1つの物質
を含み、
この場合、細胞が蛍光指示薬化合物を含有する。
本発明の別の実施形態の一例は、
目的とする電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に有する、ウエルあたり少なくとも103個の生存している真核生物細胞が存在する多数のウエルを有するマルチウエル組織培養プレート;
事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電位が変化するように基体上または基体近くのいずれかに配置された多数の正極および多数の負極;
多数のウエルの少なくとも1つにおける、電圧依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤であることが疑われる少なくとも1つの物質
を含み、
細胞が蛍光指示薬化合物または電位感受性膜色素を含有する。
目的とする電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に有する、ウエルあたり少なくとも103個の生存している真核生物細胞が存在する多数のウエルを有するマルチウエル組織培養プレート;
事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電位が変化するように基体上または基体近くのいずれかに配置された多数の正極および多数の負極;
多数のウエルの少なくとも1つにおける、電圧依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤であることが疑われる少なくとも1つの物質
を含み、
細胞が蛍光指示薬化合物または電位感受性膜色素を含有する。
下記の非限定的な実施例は、本発明をより良く例示するために示される。
図24に、EFS刺激を使用して高処理能スクリーニングを行うための好ましいシステムを示す。このシステムは、コンピューター2402と電気的に結合する任意波形発生器カード2404を含むコンピューター2402から構成される。この目的のために作られたソフトウエアが、任意波形発生器カード2404に適切な電気的刺激のパルス電圧波形(2406)を発生させるコンピューター2402に書き込まれていた。電圧波形(2406)が8個の定電流増幅器2408への入力に使用される。それぞれの定電流増幅器2408は96ウエルサンプルフィルタープレート2410上の横列に出力する。増幅器2412からの出力は、電流パルスを電極2416に加えることがことができる電気的中継器2414の接点を通過する。
波形発生器カード2404はまた、刺激によって刺激されることになるウエルのアドレスを表す7ビットの二進トランジスタ−トランジスタ論理TTL値(2418)を生じさせる。さらに、トリガーパルス2420が発生させられる。マイクロプロセッサーコントローラー2422はトリガーパルス2420を待ち、この二進値(2418)を解釈して、サンプルウエルにおける電極接続ワイヤ2417を介して定電流パルス(2424)を特定の電極2416(1つまたは複数)に向かわせる適切な中継器2414に切り換える。電流は、増幅器の出力(2424)から、中継器接点2414を通って、ウエル2428内の電極2416および液体を通り、そしてウエルのメンブラン2430を通って、メンブラン2430下側の流体2432および帰還ワイヤ2434を介して戻る。1つの大きい共通する電流帰還トラフ2436が96個の電極すべてにつながる。各サンプルウエルがそれ自身の隔離された電流帰還トラフおよび電流帰還ワイヤを有する他の配置が可能である。下記の実施例2を参照のこと。
メンブラン2430下側の電流帰還トラフ2436は、光源2442からの励起光(2440)が透明なメンブラン2430を通ってガラス底部2438を通過し、メンブラン2430に接着した細胞2444を照らすことを可能にする透明なガラス底部2438を有する。細胞2444からの蛍光光(2446)がメンブラン2430およびガラス底部2438を通って戻り、検出器2448に進入する。好適な検出器には、上記で記載された検出器が含まれる。好ましい検出器には、FLIPR(Molecular Devices)蛍光画像化装置またはVIPR(Aurora Biosciences)がある。
パルス列が完了したとき、マイクロプロセッサーコントローラー2422は中継器2414を切り、定電流増幅器のパルス(2424)を電極2416から切離す。
図25および図26を参照すると、図25には、上部電極2516および第1の電極接続ワイヤ2517を含む電極ヘッド2500の実施形態の写真が示されている。電極ヘッドは接地接点ロッド2510を含む。図26には、図25に示される電極ヘッド2500の実施形態と一緒に使用されるトラフ実施形態2600の写真が示されている。トラフ2600は、電極ヘッド2500における開口部2520を通る、電極ヘッドの整列および取り付けを助けるための支持ポスト2610を含む(図28を参照のこと)。底部電極ワイヤ(隠されている)が、EFSシステムが組み立てられたとき(図28を参照のこと)、塩/緩衝液の溶液に浸されると、ウエルのそれぞれに対する底部電極として作用するトラフに配置されている。底部電極ワイヤは位置2630において帰還接続ワイヤ2620と電気的に連絡している。帰還接続ワイヤは、EFSシステムが組み立てられたとき、接地接点パッド2510に固定される。トラフ2600はまた、好ましくはガラスから作製された透明な底部部分2640を含む。
図27は、96ウエル2710を有するMultiscreen(商標)−BlackCM96ウエルプレート2700がトラフ2600に配置されるトラフ実施形態2600の写真を表す。Milliporeのマルチスクリーンプレートおよびバイオポアメンブランに関する情報が、例えば、http://www.millipore.com/catalogue.nsf/docs/C7781およびhttp://www.millipore.com/publications.nsf/docs/tn062において見出される。
図28は、ウエルプレート2700を所定位置に有するトラフ2600を含む組み立てられたEFSシステム2800の写真である。電極ヘッド2500が、電極2416がウエルあたり1つの電極でウエル2710の中に挿入されるようにトラフ2600の上部に固定される。電極ヘッド2500は、留め具2810によって支持ポスト2610(隠されている)に固定される。留め具は、好ましくはねじ込みナットである。好ましくは、組立てに先立って、各ウエル2710(隠されている)には、ウエル2710(隠されている)の底部を覆うまでに培養された細胞が負荷されている。細胞が標準的かつ知られている条件のもとで培養された後、そしてEFSユニット2800が組み立てられる前に、それぞれの細胞は、好ましくは、細胞培地を除くために洗浄され、その後、細胞には、上記で議論されたように所定の緩衝液溶液が負荷される。
図29には、図28に示される実施形態に類似する本発明の実施形態から得られたデータのグラフ表示が示されている。データは、ヒトPN1電位依存性ナトリウムチャンネルを発現させるためにトランスフェクションされているHEK293細胞における膜電位の変化を表している。各プロットは96ウエルプレートの横列(12ウエル)AからHを表している。96ウエルプレートの各縦列データはVIPR(商標)で15秒間取得された。刺激パルスプロトコルが下記のようにデータ取得時に加えられた:2sのベースラインの後、2msの方形パルス、振幅=20mA、振動数=10Hz、持続時間=5s。当業者は、当該システムが1μsから1sの間のパルスを発生させ得ることを、本明細書中の教示を考慮して、容易に理解する。好ましくは、発生させられるパルスは約0.1msから約100msの間である。
図30は、図29に示されているデータの最大比率変化の棒グラフ表示である。1μMのTTX(テトロドトキシン(TTX)感受性の電位依存性ナトリウムチャンネルの特異的かつ強力な阻害剤)が、E1、F1、G1、H1、A12、B12、C12およびD12のウエルに存在する。さらに、ウエルA11には、TTX感受性の電位依存性ナトリウムチャンネルを阻止するための内部標準物が含有される。Zスコアは、非阻害シグナルおよび阻害シグナルの標準偏差の和により除された非阻害シグナルおよび阻害シグナルの差の尺度である。
図31には、HEK293/PN1細胞におけるEFS刺激による脱分極シグナルに対するTTX(上パネル)および化合物A(下パネル)の濃度を増大したときの影響が示されている。これらの実験で得られたIC50は、他の技術により得られたIC50と匹敵する。大きいヒル係数(nH)が、刺激プロトコルの閾値性質およびイオンチャンネル活性と膜電位との間における非線形的関係から得られる。
図32は、別のEFSシステム配置に関するEFS実施形態3200の写真を表す。電極ヘッド2500は、図25において上記に記載された電極ヘッドと類似する。しかし、電極、ウエルおよびトラフの配置は、電場をさらに離すために異なって設計されている。これにより、ウエル間の混線および干渉が減少する。この実施形態のために、本発明者らは、EFSシステムとしての使用のためにMilliporeのMultiscreen(商標)Caco−2アッセイシステムを改造した。Multiscreen(商標)Caco−2アッセイシステムに関する情報をhttp://www.millipore.com/publications.nsf/docs/PF1780EN00において見出すことができる。標準的な市販のCaco−2プレートシステムは、2つのプレート、すなわち、メンブラン底部の細胞増殖プレートと、96ウエルの受容トレーとを含む。Coca−2システムの他にない特徴の1つは、各ウエルが、各ウエルに底部側面からつながる個々の対応するトラフを有するということである。従って、そのことは、ウエルのすべてが置かれる共通トラフが必要であることに取って代わる。この実施形態により、上部電極2516が、メンブラン底部の細胞増殖プレート(隠されている)におけるウエルのそれぞれに配置される。各ウエルに対する底部電極を確立するために、導電性電極プレート3220が提供される。導電性電極プレート3220は一連のウエル開口部3230を含み、これにより、個々のウエルの中への上部電極2410のアクセスが組立て時にもたらされる。導電性電極プレート3220はまた、それに固定され、かつ位置3240において下方向に延びる一連の導電性のピン(隠されている)を含む。これらの導電性ピンは、メンブラン底部の細胞増殖プレート(示されず)の底部側面のアクセスポートを介して挿入される。
図33は、導電性電極プレート3220の底部を示すものであり、頁から読者の方に向かって延びている導電性ピン3310を示している。図34は、メンブラン底部の細胞増殖プレート3410および96ウエル受器トレー3420の上に正しく配置された導電性電極プレート3220の側面図を示す。導電性電極プレート3220がメンブラン底部の細胞増殖プレート3410の上に正しく配置されたとき、導電性ピン3310が、底部側面のアクセスポート(示されず)を介して96ウエル受容トレーの個々のトラフ領域(示されず)に挿入される。個々のトラフ領域が適切な溶液で満たされたとき、個々のトラフ領域は各ウエルの底部および個々のピンと接触する。従って、ウエルおよびトラフ領域が溶液で満たされたとき、電流が、操作時に上部電極から下部電極に流れることができる。図35は、組み立てられたEFSシステムの側面図である。組み立てられたシステムは、96ウエルトレー3420に配置されたメンブラン底部の細胞増殖プレート3410を含む。電極プレート3220がメンブラン底部のウエルプレート3410の上に載せられる。電極ヘッド2500が、電極プレート3220の上に載せられて示される。
上記の実施例1および実施例2ならびに本明細書のどこかに記載されるEFSシステムに対する1つの明らかな利点は、細胞に対して接線方向とは対照的に、細胞を横断する均一な電場を生じさせることができることである。細胞を横断する電場を発生させることは、マルチウエル形式での電極の新規な「上部から底部への」設置によって可能になる。
図36には、新規な電極実施形態3600が示されている。図36Aは電極3600の拡大図を示す。電極3600は、プレート間に低誘電性のプレートまたはディスク3620を有する2つの平行するプレート3610およびプレート3630を含む。任意に、電極は絶縁性材料でコーティングされ得る。この設計の潜在的な利点は、特別なマルチウエルプレートを必要としないということである。すなわち、細胞が付着し、かつ刺激光および放射光が通過する任意のプレートを使用することができる。長いインキュベーションのとき、化合物を吸収し得るか、または化合物を通過させ得るフィルターがウエルには存在しない。コーティングされた電極の場合、dc電流の場合でさえ、そして長期間の刺激の場合でさえ、ほとんど電流が使用されず、そして抵抗発熱が減少する。キャパシタンス電流は十分に低いので、この利点はac電流にも適用される。シールされた電極は、より均一な刺激のために、細胞層の非常に近いところへの設置を可能にする。
何らかの理論によってとらわれるものではないが、細胞に与えられる電場が均一であるほど、細胞に対する電位調節のより正確な指示が達成されることが考えられる。すなわち、電場が均一であるほど、本明細書中に示される方法のいずれかによって、例えば、蛍光によって観測されるような電位調節は、細胞膜におけるイオンチャンネルの実際の調節とより直接的に相関し、そして、交差干渉、交差照明、色素効果、色素溶出、またはシステムにおける任意の他の妨害によって引き起こされるシステムにおけるバックグラウンドノイズとの相関がより小さくなる。細胞に加えられる電場の均一性を増大させるための1つの方法は、電極の1つ以上を、細胞の非常に近いところに置くか、または細胞と接触させて置くことである。しかし、これは、システムにおける機能停止をもたらす有害な方法で細胞に影響を及ぼし得る。電極を細胞に非常に接近させること、または電極を細胞と接触させることに関連する問題のいくつかは、例えば、電極における抵抗発熱および酸化および気泡形成が原因である。図8、図11、図24から図28および図32から図35に教示されるような本発明の実施形態は、電極を細胞と接触させることなく、または電極を細胞の非常に近いところに置くことなく、細胞を横断する均一な電場を達成するので、特に好ましい。さらに、図36に示される新規な電極設計は、細胞の抵抗発熱、酸化または気泡形成の問題を生じさせることなく、電極を細胞の非常に近いところに置くことを可能にすることによって、均一な電場を達成する。
本発明のEFSシステム実施形態は、1つ以上の電場が、観測領域について、任意の時間における平均電場から約30%以下変化する実質的に均一な電場をもたらすと考えられる。割合は二次元での測定によって求められ、または好ましくは、変動が三次元で計算される。より好ましい実施形態において、1つ以上の電場は、観測領域について、任意の時間における平均電場から約15%以下変化する。さらにより好ましい実施形態において、1つ以上の電場は、観測領域について、任意の時間における平均電場から約10%以下変化する。最適な実施形態において、変動は平均から5%以下である。
コンデンサとの類似性が明らかであるが、プレート3610とプレート3630との間における低誘電体3620は、これらのプレートの間に電荷を維持するために必要とされるだけの小さい電流でこれらのプレートを先ず充電させるために必要とされる電流の量を減少させる。細胞を脱分極させるために使用することができる外部電場が作製される。外部電場密度は、本物のコンデンサに関して使用されるようなプレート間の高誘電体によって低下し、そしてテフロンもしくはマイラーなどの低誘電体で、または誘電体の非存在下で最大になる。外部電場密度は、これらのプレートを非常に接近させて緊密に設置することによってさらに高まるが、最適な分離は経験的に決定することができる。
図36Bには、並行リード線のデザインを含む実施形態が示される。並行リード線は内側ワイヤ3655および外側ワイヤ3650を含む。内側ワイヤは上部プレート3610および誘電性プレート3620を通り抜け、底部プレート3630に取り付けられるか、または底部プレート3630と一体化される。外側ワイヤは上部プレート3610に取り付けられるか、または上部プレート3610と一体化される。当業者は、リード線の前記配置が逆にできることを理解する。図36Cには、端部リード線3660および3665を含む実施形態が示される。端部リード線3660は上部プレート3610に取り付けられるか、または上部プレート3610と一体化され、端部リード線3665は底部プレート3630に取り付けられるか、または底部プレート3630と一体化される。
本発明の実施形態のいくつかには、下記が含まれる:
候補化合物の生物学的活性を特徴づける方法であって、
1個以上の細胞を前記化合物にさらすこと;前記1個以上の細胞を1つ以上の電場に繰り返しさらして、前記1個以上の細胞の膜横断電位の制御された変化を生じさせるようにすること;およびパッチクランプを使用することなく、前記1個以上の細胞の膜横断電位の変化をモニターすること、を含む方法。
候補化合物の生物学的活性を特徴づける方法であって、
1個以上の細胞を前記化合物にさらすこと;前記1個以上の細胞を1つ以上の電場に繰り返しさらして、前記1個以上の細胞の膜横断電位の制御された変化を生じさせるようにすること;およびパッチクランプを使用することなく、前記1個以上の細胞の膜横断電位の変化をモニターすること、を含む方法。
モニターすることが、前記1個以上の細胞を含有する観測領域からの蛍光放射を検出することを含む、上記方法。
電場が二相性である、上記方法。
不可逆的な細胞のエレクトロポレーションを最小限に抑えるように電場強度の空間的変動を制限することをさらに含む、上記方法。
1つ以上の電場が、目的とするイオンチャンネルを異なる電位依存性状態の間で循環させることができる、上記方法。
1つ以上の電場が目的とするイオンチャンネルを開口させる、上記方法。
1つ以上の電場が目的とするイオンチャンネルを不活性化から解放させる、上記方法。
1つ以上の細胞が、FRETに基づく電圧センサ、エレクトロクロミック性膜横断電位色素、膜横断電位再分配色素、イオン感受性の蛍光分子または発光分子、および放射性イオンからなる群から選択される電圧センサを含む、上記方法。
1つ以上の細胞が電位調節型イオンチャンネルを含む、上記方法。
電位調節型イオンチャンネルが、カリウムチャンネル、カルシウムチャンネル、塩素イオンチャンネルおよびナトリウムチャンネルからなる群から選択される、上記方法。
電場が、観測領域において、その領域における平均強度から約25%未満の、強度の制限された空間変動を示す、上記方法。
1つ以上の電場が、観測領域について、任意の時間における平均電場から大きくても約15%変化する、上記方法。
1つ以上の電場が、観測領域について、任意の時間における平均電場から大きくても約5%変化する、上記方法。
1つ以上の電場が、方形波形、正弦波形または鋸波形のいずれかによる刺激を含む、上記方法。
1つ以上の電場が約10V/cmから約100V/cmの範囲内の振幅を有する、上記方法。
1つ以上の電場が約20V/cmから約80V/cmの範囲内の振幅を有する、上記方法。
1つ以上の電場が、前記1個以上の細胞の膜横断時定数の逆数よりも大きいか、またはそのような逆数と等しい刺激振動数で繰り返される、上記方法。
1つ以上の電場が0kHzから1kHzの範囲内の刺激振動数で繰り返される、上記方法。
1つ以上の電場が約100マイクロ秒から約20ミリ秒の範囲内のパルス持続時間を有する、上記方法。
膜横断電位が前記1個以上の細胞の形質膜全体に現れる、上記方法。
標的イオンチャンネルに対する化合物の生化学的活性をアッセイする方法であって、
前記標的イオンチャンネルの選択された電位依存性状態に対応する正常な静止膜横断電位を有する細胞株を選択すること;前記選択された細胞株の細胞集団において前記標的イオンチャンネルを発現させること;前記細胞集団を前記化合物にさらすこと;前記細胞集団を1つ以上の電場にさらして、前記1個以上の細胞の膜横断電位の制御された変化を生じさせるようにすること;および、前記1個以上の細胞の膜横断電位の変化をモニターすること、を含む方法。
前記標的イオンチャンネルの選択された電位依存性状態に対応する正常な静止膜横断電位を有する細胞株を選択すること;前記選択された細胞株の細胞集団において前記標的イオンチャンネルを発現させること;前記細胞集団を前記化合物にさらすこと;前記細胞集団を1つ以上の電場にさらして、前記1個以上の細胞の膜横断電位の制御された変化を生じさせるようにすること;および、前記1個以上の細胞の膜横断電位の変化をモニターすること、を含む方法。
標的イオンチャンネルが前記細胞株において外因的に発現させられる、上記方法。
細胞株が、前記標的イオンチャンネルをコードする核酸でトランスフェクションされる、上記方法。
細胞株が意味のないレベルの他のイオンチャンネルを発現する、上記方法。
細胞株が、CUL、LTK(−)およびCHO−Mからなる群から選択される、上記方法。
標的イオンチャンネルがナトリウムチャンネルであり、前記細胞集団が、CHL細胞、LTK(−)細胞およびCHO−K1細胞からなる群から選択される、上記方法。
標的イオンチャンネルがナトリウムチャンネルであり、前記細胞集団が、HEK−293細胞、RBL細胞、F11細胞およびHL5細胞からなる群から選択される、上記方法。
標的イオンチャンネルがカリウムチャンネルであり、前記細胞集団が、CHL細胞、LTK(−)細胞およびCHO−K1細胞からなる群から選択される、上記方法。
標的イオンチャンネルがカルシウムチャンネルであり、前記細胞集団が、CHL細胞、LTK(−)細胞およびCHO−K1細胞からなる群から選択される、上記方法。
イオンチャンネルの活性をアッセイする方法であって、
少なくとも1個の細胞を多数の電場パルスにさらして、膜横断電位の制御された変化を生じさせるようにし、かつ目的とするイオンチャンネルを活性化させるようにすること;およびパッチクランプを使用することなく、膜横断電位における1つ以上の変化を検出することによってイオンチャンネルの活性を検出すること、を含む方法。
少なくとも1個の細胞を多数の電場パルスにさらして、膜横断電位の制御された変化を生じさせるようにし、かつ目的とするイオンチャンネルを活性化させるようにすること;およびパッチクランプを使用することなく、膜横断電位における1つ以上の変化を検出することによってイオンチャンネルの活性を検出すること、を含む方法。
少なくとも1個の細胞が、FRETに基づく電圧センサ、エレクトロクロミック性膜横断電位色素、膜横断電位再分配色素、イオン感受性の蛍光分子または発光分子、および放射性イオンからなる群から選択される電圧センサを含む、上記方法。
電圧センサが、FRETに基づく電圧センサを含む、上記方法。
目的とするイオンチャンネルが電位調節型イオンチャンネルである、上記方法。
多数の電場パルスにより、目的とする前記イオンチャンネルが異なる電位依存性状態の間で循環させられる、上記方法。
少なくとも1個の細胞が真核生物細胞である、上記方法。
少なくとも1個の細胞が非興奮性細胞である、上記方法。
少なくとも1個の細胞が原核性物細胞である、上記方法。
少なくとも1個の細胞が組織培養細胞である、上記方法。
少なくとも1個の細胞が初代細胞株である、上記方法。
少なくとも1個の細胞が無傷の生存生物の一部である、上記方法。
イオンチャンネルの活性をアッセイする方法であって、
選択された標的イオンチャンネルを少なくとも1個の細胞において発現させること;選択された対向イオンチャンネルを前記少なくとも1個の細胞において発現させること;前記少なくとも1個の細胞を多数の電場パルスにさらして、膜横断電位の制御された変化を生じさせるようにし、かつ前記対向イオンチャンネルを活性化させるようにすること;および前記少なくとも1個の細胞の膜横断電位をモニターすること、を含む方法。
選択された標的イオンチャンネルを少なくとも1個の細胞において発現させること;選択された対向イオンチャンネルを前記少なくとも1個の細胞において発現させること;前記少なくとも1個の細胞を多数の電場パルスにさらして、膜横断電位の制御された変化を生じさせるようにし、かつ前記対向イオンチャンネルを活性化させるようにすること;および前記少なくとも1個の細胞の膜横断電位をモニターすること、を含む方法。
膜横断電位の変化が、目的とする前記イオンチャンネルが阻止されたときに検出される、上記方法。
目的とするイオンチャンネルがリガンド依存性イオンチャンネルを含む、上記方法。
対向チャンネルがナトリウムチャンネルを含む、上記方法。
細胞の膜横断電位を変化させる方法であって、
二相性の電場パルスを前記細胞に繰り返し加えることを含み、前記パルスが約90V/cm未満の最大振幅を有し、前記パルスが少なくとも約1個/秒の割合で加えられ、各パルスの総持続時間が少なくとも約1ミリ秒である、方法。
二相性の電場パルスを前記細胞に繰り返し加えることを含み、前記パルスが約90V/cm未満の最大振幅を有し、前記パルスが少なくとも約1個/秒の割合で加えられ、各パルスの総持続時間が少なくとも約1ミリ秒である、方法。
最大振幅が約20V/cmから40V/cmである、上記方法。
パルス持続時間が相あたり約2ミリ秒から10ミリ秒である、上記方法。
パルスが約20パルス/秒から100パルス/秒の割合で加えられる、上記方法。
候補化合物の生物学的活性を特徴づける方法であって、
1個以上の細胞をサンプルウエル内の観測領域に入れること;前記1個以上の細胞を前記化合物にさらすこと;前記1個以上の細胞を一連の二相性電場に約20パルス/秒から100パルス/秒の割合で繰り返しさらすこと、ここにおいて、前記電場は、観測領域において、その領域における平均強度から約25%未満の、強度の制限された空間的変動を示し、および前記電場により、前記1個以上の細胞の膜横断電位の制御された変化がもたらされる;および、前記1個以上の細胞を含有する観測領域からの、FRETに基づく電圧センサの蛍光放射を検出することによって、前記1個以上の細胞の膜横断電位の変化をモニターすること、を含む方法。
1個以上の細胞をサンプルウエル内の観測領域に入れること;前記1個以上の細胞を前記化合物にさらすこと;前記1個以上の細胞を一連の二相性電場に約20パルス/秒から100パルス/秒の割合で繰り返しさらすこと、ここにおいて、前記電場は、観測領域において、その領域における平均強度から約25%未満の、強度の制限された空間的変動を示し、および前記電場により、前記1個以上の細胞の膜横断電位の制御された変化がもたらされる;および、前記1個以上の細胞を含有する観測領域からの、FRETに基づく電圧センサの蛍光放射を検出することによって、前記1個以上の細胞の膜横断電位の変化をモニターすること、を含む方法。
1つ以上の電場パルスが目的とするイオンチャンネルを開口させる、上記方法。
1つ以上の電場パルスが目的とするイオンチャンネルを不活性化から解放させる、上記方法。
1個以上の細胞が電位調節型イオンチャンネルを含む、上記方法。
電位調節型イオンチャンネルが、カリウムチャンネル、カルシウムチャンネル、塩素イオンチャンネルおよびナトリウムチャンネルからなる群から選択される、上記方法。
1つ以上の電場が、観測領域について、任意の時間における平均電場から多くても約15%変化し得る、上記方法。
1つ以上の電場が、観測領域について、任意の時間における平均電場から多くても約5%変化する、上記方法。
1つ以上の電場が、方形波形、正弦波形または鋸波形から選択される、上記方法。
ウエルに存在する細胞が観測領域において光学的に測定可能である高透過率部分を有する多数のウエル;前記多数のウエルのそれぞれにおける2つの電極;前記高透過率部分を介して前記ウエルから発する光を検出するように設計された光学検出器;前記電極に接続された電源装置、ただし、前記電源装置および前記電極は、一連の電場を前記観測領域内の細胞に加えるために設計され、この場合、前記電場は、前記観測領域内の平均電場強度の約25%未満の空間的変動を有し、前記電場は、前記細胞の一部の膜横断電位を制御可能に変化させるために効果的であり;前記高透過率部分を介して前記ウエルから発する前記光を、前記膜横断電位変化から生じるイオンチャンネル活性として解釈するために設計されたデータ処理ユニット、を含む、高処理能スクリーニングシステム。
多数のウエルがマルチウエルプレートに設置される、上記高処理能スクリーニングシステム。
前記高透過率部分が、ガラス、石英、シクロオレフィン、アクラー(Aclar)、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリスチレンからなる群から選択される材料から作製される、上記高処理能スクリーニングシステム。
前記高透過率部分が、250nmから400nmの範囲のUV光で励起されたとき、ポリスチレンよりも少ない蛍光を示す、上記高処理能スクリーニングシステム。
電極が前記多数のウエルのウエルに設置される、上記高処理能スクリーニングシステム。
電極が前記多数のウエルの底部層に設置される、上記高処理能スクリーニングシステム。
マルチウエルプレートが96個までのウエルを含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
マルチウエルプレートが96個よりも多くのウエルを含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
マルチウエルプレートが384個よりも多くのウエルを含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
電極が、金、白金、パラジウム、クロム、モリブデン、イリジウム、タングステン、タンタルおよびチタンからなる群から選択される材料から作製される、上記高処理能スクリーニングシステム。
マルチウエルプレートが、光の透過を低下させるための光学的に不透明な材料または色素を含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
電極が約1mmから4mmの範囲内の隙間によって隔てられる、上記高処理能スクリーニングシステム。
電極が約0.1mmから1mmの範囲内の隙間によって隔てられている、上記高処理能スクリーニングシステム。
電極が約0.01mmから0.1mmの範囲内の隙間によって隔てられている、上記高処理能スクリーニングシステム。
電極が、5V/cmから100V/cmの間の電場強度を前記隙間を横切って生じさせるために充電され、ウエルの内部と流体的に接続されている電気導電性材料の表面領域を横断して移された総電荷が100μC/mm2以下である、上記高処理能スクリーニングシステム。
多数のウエルが、前記ウエル内に観測領域を生じさせるように配置および設計された絶縁体をさらに含み、ただし、電気導電性材料の前記少なくとも2つの細片が、5V/cmから100V/cmの間の電場強度を前記隙間を横切って生じさせるために充電されたとき、電場強度が平均電場強度から多くても10%未満変化し、そしてウエルの内部と流体的に接続されている電気導電性材料の表面領域を横断して移された総電荷が100μC/mm2以下である、上記高処理能スクリーニングシステム。
多数のウエルが少なくとも2つのサテライト電気導電体をさらに含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
高処理能スクリーニングシステムであって、
サンプルウエル;試薬および/または細胞を前記サンプルウエルに加えるための液体取扱い装置;およびイオンチャンネルの活性を選択的に生じさせるように前記サンプルウエル内の細胞の膜横断電位を制御するための手段;前記膜横断電位の変化を光学的にモニターするための手段、を含むシステム。
サンプルウエル;試薬および/または細胞を前記サンプルウエルに加えるための液体取扱い装置;およびイオンチャンネルの活性を選択的に生じさせるように前記サンプルウエル内の細胞の膜横断電位を制御するための手段;前記膜横断電位の変化を光学的にモニターするための手段、を含むシステム。
前記手段が、観測領域内の平均電場強度の約25%未満の空間的変動を有する電場を生じさせるように設計された電極を含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
膜横断電位を制御するための手段が電極アレイアセンブリを含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
電極アセンブリアレイが8個の電極アセンブリを含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
電極アセンブリアレイが96個の電極アセンブリを含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
電極アセンブリアレイが96個よりも多くの電極アセンブリを含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
前記電極アセンブリをマルチウエルプレートのウエルの中に入れたり、またはマルチウエルプレートのウエルから出したりするための手段をさらに含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
膜横断電位を制御するための手段が、2つの実質的に平行する平面状表面を有する電気導電体を含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
電気導電体が1mmから4mmの範囲内の隙間によって隔てられている、上記高処理能スクリーニングシステム。
電気導電体が0.1mmから1mmの範囲内の隙間によって隔てられている、上記高処理能スクリーニングシステム。
電気導電体が第1の絶縁体をさらに含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
第1の絶縁体が、前記電気導電体の前記実質的に平行する平面状表面に対して直角に配置され、かつ互いに関して実質的に平行する2つの平面状表面を含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
電気導電体が、前記少なくとも2つの電気伝導体に取り付けられた第2の絶縁体をさらに含み、前記第2の絶縁体が前記少なくとも2つの電気伝導体の間における前記隙間に置かれて、前記少なくとも2つの電気伝導体の間における前記水溶液の深さを規定する、上記高処理能スクリーニングシステム。
第1の絶縁体が低蛍光性材料から構成され、前記低蛍光性材料が、250nmから400nmの範囲のUV光で励起されたとき、匹敵するサイズのポリスチレンよりも少ない蛍光を示す、上記高処理能スクリーニングシステム。
第2の絶縁体が低蛍光性材料から構成され、前記低蛍光性材料が、250nmから400nmの範囲のUV光で励起されたとき、匹敵するサイズのポリスチレンよりも少ない蛍光を示す、上記高処理能スクリーニングシステム。
第1の絶縁体が、プラスチック、ガラスおよびセラミックからなる群から選択される絶縁体を含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
プラスチックが、ナイロン、ポリスチレン、テフロン(テトラフルオロエチレン)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびシクロオレフィンからなる群から選択される、上記高処理能スクリーニングシステム。
電気導電体が、金、白金、チタン、タングステン、モリブデン、イリジウム、バナジウム、Nb、Ta、ステンレススチール、およびグラファイトからなる群から選択される導電体を含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
電気導電体が、電気分解を減少させるための表面処理物を含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
電気分解を減少させるための表面処理物が、白金ブラック、金ブラック、イリジウム/酸化イリジウム、チタン/窒化チタンまたはポリピロール薄膜を含む、上記高処理能スクリーニングシステム。
前記少なくとも2つの電気導電体が、5V/cmから100V/cmの間の電場強度を前記隙間を横切って生じさせるために充電されたとき、電場強度が平均電場強度から多くても10%変化し、そして前記水溶液と接触している電気導電体の表面領域を横断して移された総電荷が100μC/mm2以下である、上記高処理能スクリーニングシステム。
前記少なくとも2つの電気導電体が、5V/cmから100V/cmの間の電場強度を前記隙間を横切って生じさせるために充電されたとき、電場強度が平均電場強度から多くても5%変化し、そして前記水溶液と接触している電気導電体の表面領域を横断して移された総電荷が100μC/mm2以下である、上記高処理能スクリーニングシステム。
標的イオンチャンネルに対して多数の薬物候補化合物をスクリーニングする方法であって、
前記標的イオンチャンネルを宿主細胞集団において発現させること;多数の前記宿主細胞を多数のサンプルウエルのそれぞれに入れること;候補薬物化合物を前記多数のサンプルウエルの少なくとも1つに加えること;および前記標的イオンチャンネルの事前に選択された電位依存性状態に対応するレベルに前記膜横断電位を設定するように電場を繰り返し加えることによって前記多数のサンプルウエルにおける宿主細胞の膜横断電位を調節するすること、を含む方法。
前記標的イオンチャンネルを宿主細胞集団において発現させること;多数の前記宿主細胞を多数のサンプルウエルのそれぞれに入れること;候補薬物化合物を前記多数のサンプルウエルの少なくとも1つに加えること;および前記標的イオンチャンネルの事前に選択された電位依存性状態に対応するレベルに前記膜横断電位を設定するように電場を繰り返し加えることによって前記多数のサンプルウエルにおける宿主細胞の膜横断電位を調節するすること、を含む方法。
前記標的イオンチャンネルの第2の事前に選択された電位依存性状態に対応する正常な静止膜横断電位を有する宿主細胞株を選択することをさらに含む、上記方法。
電場が二相性である、上記方法。
電場が、目的とするイオンチャンネルを異なる電位依存性状態の間で循環させる、上記方法。
電場が、目的とするイオンチャンネルを開口させる、上記方法。
電場が、目的とするイオンチャンネルを不活性化から解放させる、上記方法。
1個以上の細胞が、FRETに基づく電圧センサ、エレクトロクロミック性膜横断電位色素、膜横断電位再分配色素、イオン感受性の蛍光分子または発光分子、および放射性イオンからなる群から選択される電圧センサを含む、上記方法。
標的イオンチャンネルが、カリウムチャンネル、カルシウムチャンネル、塩素イオンチャンネルおよびナトリウムチャンネルからなる群から選択される、上記方法。
1つ以上の電場が、方形波形、正弦波形または鋸波形のいずれかによる刺激を含む、上記方法。
1つ以上の電場が約10V/cmから約100V/cmの範囲内の振幅を有する、上記方法。
1つ以上の電場が約20V/cmから約80V/cmの範囲内の振幅を有する、上記方法。
電極がその中に置かれている少なくとも1つのウエルを含むアッセイプレートと電極とのアセンブリであって、前記電極がウエルの底部表面に対して配置されて、前記底部表面の表面積の少なくとも約20%にわたって、平均電場強度から約10%未満変化する電場が前記底部表面に隣接して提供される、アセンブリ。
電極が、前記電極の底部端が前記底部表面に隣接するが、前記底部表面と接触しないように、前記ウエル中に下方に延びるプレート電極を含む、上記アセンブリ。
サンプルウエルあたり2つの電極を含む上記アセンブリ。サンプルウエルあたり3つ以上の電極を含む上記アセンブリ。
電極が前記ウエルの前記底部表面に置かれる上記アセンブリ。底部表面が大きい光学的透過率部分を含む上記アセンブリ。
高透過率部分が、ガラス、石英、シクロオレフィン、アクラー(Aclar)、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリスチレンからなる群から選択される材料から作製される、上記アセンブリ。
高透過率部分が、250nmから400nmの範囲のUV光で励起されたとき、ポリスチレンよりも少ない蛍光を示す、上記アセンブリ。
電極が前記多数のウエルの壁に配置される、上記アセンブリ。
プレートが96個までのウエルを含む、上記アセンブリ。
プレートが96個よりも多くのウエルを含む、上記アセンブリ。
プレートが384個よりも多くのウエルを含む、上記アセンブリ。
電極が、金、白金、パラジウム、クロム、モリブデン、イリジウム、タングステン、タンタルおよびチタンからなる群から選択される材料から作製される、上記アセンブリ。
電極が約1mmから4mmの範囲内の隙間によって隔てられる、上記アセンブリ。
電極が約0.1mmから1mmの範囲内の隙間によって隔てられている、上記アセンブリ。
電極が約0.01mmから0.1mmの範囲内の隙間によって隔てられている、上記アセンブリ。
マルチウエルプレート用の底部パネルであって、
ウエル存在位置に対応する位置にある少なくとも1つの横列の高透過率領域;前記横列に沿って広がり、前記ウエル存在位置の第1の部分と重なる導電性材料の第1の細片;および前記横列に沿って広がり、前記ウエル存在位置の第2の部分と重なる導電性材料の第2の細片、を含む底部パネル。
ウエル存在位置に対応する位置にある少なくとも1つの横列の高透過率領域;前記横列に沿って広がり、前記ウエル存在位置の第1の部分と重なる導電性材料の第1の細片;および前記横列に沿って広がり、前記ウエル存在位置の第2の部分と重なる導電性材料の第2の細片、を含む底部パネル。
前記第1の細片の一方の端部に近い第1の電気的接点と、前記第2の細片の一方の端部に近い第2の電気的接点とをさらに含む、上記底部パネル。
サンプルウエル;前記サンプルウエル内に配置された第1の1対の電極;前記サンプルウエル内に配置された少なくとも1つのさらなるサテライト電極、を含むアッセイ装置。
少なくとも1つのさらなるサテライト電極が第2および第3の1対の電極を含む、上記アッセイ装置。
サテライト電極が、第1の1対の電極の電位よりも低い電位に充電される、上記アッセイ装置。
電極がウエルの底部表面に対して配置されて、前記底部表面の表面積の少なくとも約20%について、平均電場強度から約10%未満変化する電場が前記底部表面に隣接して提供される、上記アッセイ装置。
本発明は、本明細書中に記載される具体的な実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書中に記載される改変に加えて、本発明の様々な改変が、前記の記載から当業者には明らかになる。そのような改変は、添付された請求項の範囲に含まれるものとする。
様々な刊行物が本明細書中に引用されているが、それらの開示はその全体が参照して組み込まれる。さらに、一般的な情報のために、PCT公開番号PCT/US01/21652は、正確であり、かつ本明細書中の教示と矛盾しない限りにおいてその全体が本明細書中に組み込まれる。本明細書中で議論されているか、または本明細書中に引用されている特許、特許出願、刊行物、書籍および参考文献はすべて、個々の刊行物または特許出願のそれぞれが具体的かつ個々にその全体が示されているかのようにそれと同じ程度に参照して組み込まれることが理解される。さらに、発明の開示宣言、引用参考文献の審査官による要約において引用されているか、またはそれ以外の場合には、本出願のファイル履歴に入れられる参考文献、特許、特許出願および他の文書はすべて、本出願に対する優先権を主張する後願の利益のために、本出願に参照して組み込まれるために採用される。最後に、具体的に定義されていない用語はすべて、この開示における使用により示される意味を有することが最初に理解され、そしてそのような意味が推測できない場合には、それらの通常の意味を有することが理解される。
Claims (74)
- (a)電位依存性イオンチャンネルを発現する細胞の膜の少なくとも一部分の膜横断電位を、電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターしながら、細胞外の電極を介して細胞に電圧を加えることによって変化させること;
(b)工程(a)における細胞を物質にさらし、電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターすること;
(c)工程(a)および工程(b)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流を比較すること
を含み、
工程(a)および工程(b)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流の違いにより、該物質が電位依存性イオンチャンネルの調節因子であることが示される、電位依存性イオンチャンネルの活性の調節因子を同定するための方法。 - (a)電位依存性イオンチャンネルを発現する多数の細胞を対照部分と試験部分とに分けること;
(b)電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターしながら、細胞外の電極を介して細胞に電圧を加えることによって、対照部分の細胞の膜横断電位を変化させること;
(c)電位依存性イオンチャンネル通過イオン流をモニターしながら、物質の存在下、細胞外の電極を介して細胞に電圧を加えることによって、試験部分の細胞の膜横断電位を変化させること;
(d)工程(b)および工程(c)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流を比較すること
を含み、
工程(b)および工程(c)における電位依存性イオンチャンネル通過イオン流の違いにより、該物質が電位依存性イオンチャンネルの調節因子であることが示される、電位依存性イオンチャンネルの活性の調節因子を同定するための方法。 - (a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が上に置かれた基体を提供すること;
(b)事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が閉じるように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)事前に選択された電圧を、正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である場合、閉じている電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が開口し、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流を可能にするような十分な期間および条件下で工程(c)の細胞を物質にさらすこと;
(f)工程(e)の細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも小さい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子を同定する方法。 - 基体がガラスまたはマルチウエル組織培養プレートであり、ケイ素または電界効果トランジスタではない、請求項3に記載の方法。
- 基体が、細胞が存在するウエルを含有する、請求項4に記載の方法。
- ウエルの数が、12、24、96、384、1,536または3,456である、請求項5に記載の方法。
- ウエルが実質上のウエルである、請求項5に記載の方法。
- 少なくとも50,000個の物質が24時間の期間で試験される、請求項3に記載の方法。
- 電位依存性イオンチャンネルが、電位依存性ナトリウムチャンネル、電位依存性カリウムチャンネルまたは電位依存性カルシウムチャンネルである、請求項3に記載の方法。
- 電位依存性イオンチャンネルが電位依存性ナトリウムチャンネルである、請求項9に記載の方法。
- 電位依存性イオンチャンネルが電位依存性カリウムチャンネルである、請求項9に記載の方法。
- 電位依存性イオンチャンネルが電位依存性カルシウムチャンネルである、請求項9に記載の方法。
- 細胞が、L細胞L−M(TK−)(ATCC CCL1.3)、L細胞L−M(ATCC CCL1.2)、HEK293(ATCC CRL1573)、Raji(ATCC CCL86)、CV−1(ATCC CCL70)、COS−1(ATCC CRL1650)、COS−7(ATCC CRL1651)、CHO−K1(ATCC CCL61)、3T3(ATCC CCL92)、NIH/3T3(ATCC CRL1658)、HeLa(ATCC CCL2)、C127I(ATCC CRL1616)、BS−C−1(ATCC CCL26)、MRC−5(ATCC CCL171)、CPAE(ATCC CCL209)、Saos−2(ATCC HTB−85)、ARPE−19ヒト網膜色素上皮(ATCC CRL−2302)、GH3細胞および初代心筋細胞からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
- 細胞がHEK293(ATCC CRL1573)またはGH3細胞または初代心筋細胞である、請求項13に記載の方法。
- 細胞が蛍光指示薬化合物を含有する、請求項3に記載の方法。
- 蛍光指示薬化合物が、fluo−3、fura−2、fluo−4、fluo−5、カルシウムグリーン−1、オレゴングリーン、488BAPTA、SNARF−1およびindo−1からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
- 正極および負極が交互にかみ合っている、請求項3に記載の方法。
- 基体が、1つの正極および1つの負極を含有する多数のウエルを有するマルチウエル組織培養プレートである、請求項3に記載の方法。
- 基体が、正極または負極の一方がウエルの底部を形成し、かつ正極または負極のもう一方が上方からウエルに進入する多数のウエルを有するマルチウエル組織培養プレートである、請求項3に記載の方法。
- 基体が、多数の実質上のウエルを有するマルチウエル組織培養プレートである、請求項3に記載の方法。
- 各ウエルが103個から107個の細胞を含有し、細胞が蛍光指示薬化合物または蛍光性の電圧感知色素を含有する、請求項5に記載の方法。
- 細胞は、電位依存性イオンチャンネルを生来的には発現せず、しかし、電位依存性イオンチャンネルをコードする発現ベクターでトランスフェクションされている、請求項3に記載の方法。
- (a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が開口するように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)事前に選択された電圧を、正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である場合、開口している電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が閉じ、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流を制限するような十分な期間および条件下で工程(c)の細胞を物質にさらすこと;
(f)工程(e)の細胞の電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも大きい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である、電位依存性イオンチャンネルの阻害剤を同定する方法。 - 基体がガラスまたはマルチウエル組織培養プレートであり、ケイ素または電界効果トランジスタではない、請求項23に記載の方法。
- 基体が、細胞が存在するウエルを含有する、請求項24に記載の方法。
- ウエルの数が、12、24、96、384、1,536または3,456である、請求項25に記載の方法。
- ウエルが実質上のウエルである、請求項26に記載の方法。
- 少なくとも50,000個の物質が24時間の期間で試験される、請求項23に記載の方法。
- 電位依存性イオンチャンネルが、電位依存性ナトリウムチャンネル、電位依存性カリウムチャンネルまたは電位依存性カルシウムチャンネルである、請求項23に記載の方法。
- 電位依存性イオンチャンネルが電位依存性ナトリウムチャンネルである、請求項29に記載の方法。
- 電位依存性イオンチャンネルが電位依存性カリウムチャンネルである、請求項29に記載の方法。
- 電位依存性イオンチャンネルが電位依存性カルシウムチャンネルである、請求項29に記載の方法。
- 細胞が、L細胞L−M(TK−)(ATCC CCL1.3)、L細胞L−M(ATCC CCL1.2)、HEK293(ATCC CRL1573)、Raji(ATCC CCL86)、CV−1(ATCC CCL70)、COS−1(ATCC CRL1650)、COS−7(ATCC CRL1651)、CHO−K1(ATCC CCL61)、3T3(ATCC CCL92)、NIH/3T3(ATCC CRL1658)、HeLa(ATCC CCL2)、C127I(ATCC CRL1616)、BS−C−1(ATCC CCL26)、MRC−5(ATCC CCL171)、CPAE(ATCC CCL209)、Saos−2(ATCC HTB−85)、ARPE−19ヒト網膜色素上皮(ATCC CRL−2302)、GH3細胞および初代心筋細胞からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
- 細胞がHEK293(ATCC CRL1573)またはGH3細胞または初代心筋細胞である、請求項33に記載の方法。
- 細胞が蛍光指示薬化合物を含有する、請求項23に記載の方法。
- 蛍光指示薬化合物が、fluo−3、fura−2、fluo−4、fluo−5、カルシウムグリーン−1、オレゴングリーン、488BAPTA、SNARF−1およびindo−1からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
- 正極および負極が交互にかみ合っている、請求項23に記載の方法。
- 基体が、1つの正極および1つの負極を含有する多数のウエルを有するマルチウエル組織培養プレートである、請求項23に記載の方法。
- 基体が、正極または負極の一方がウエルの底部を形成し、かつ正極または負極のもう一方が上方からウエルに進入する多数のウエルを有するマルチウエル組織培養プレートである、請求項23に記載の方法。
- 基体が、多数の実質上のウエルを有するマルチウエル組織培養プレートである、請求項23に記載の方法。
- 各ウエルが103個から107個の細胞を含有し、細胞が蛍光指示薬化合物または蛍光性の電圧感知色素を含有する、請求項25に記載の方法。
- 細胞は、電位依存性イオンチャンネルを生来的には発現せず、しかし、電位依存性イオンチャンネルをコードする発現ベクターでトランスフェクションされている、請求項23に記載の方法。
- (a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が閉じるように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)事前に選択された電圧を、細胞の対照サンプルに正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の対照サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である場合、試験サンプルにおいて閉じている電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が開口し、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流を可能にするような十分な期間および条件下で細胞の試験サンプルを物質にさらしながら、事前に選択された電圧を、細胞の試験サンプルに正極および負極を介して加えること;
(f)工程(e)の細胞の試験サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも小さい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの活性化因子である、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子を同定する方法。 - (a)多数の電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に発現する生存している真核生物細胞が存在する基体を提供すること;
(b)事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電気的電位が変化して、その結果、電位依存性イオンチャンネルの少なくとも一部が開口するように基体上または基体近くのいずれかに配置された正極および負極を提供すること;
(c)事前に選択された電圧を、細胞の対照サンプルに正極および負極を介して加えること;
(d)工程(c)における細胞の対照サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する対照値を測定すること;
(e)該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である場合、試験サンプルにおいて開口している電位依存性イオンチャンネルの一部の検出可能な数が閉じ、検出可能な数の電位依存性イオンチャンネルを通過するイオン流を制限するような十分な期間および条件下で細胞の試験サンプルを物質にさらしながら、事前に選択された電圧を、細胞の試験サンプルに正極および負極を介して加えること;
(f)工程(e)の細胞の試験サンプルの電位依存性イオンチャンネル通過イオン流に対する試験値を測定すること;
(g)対照値を試験値と比較すること
を含み、
対照値が試験値よりも大きい場合、該物質が電位依存性イオンチャンネルの阻害剤である、電位依存性イオンチャンネルの阻害剤を同定する方法。 - 目的とする電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に有する少なくとも103個の生存している真核生物細胞が存在する上部表面を有する基体;
事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電位が制御されるように基体上または基体近くのいずれかに配置された多数の正極および多数の負極;
電位依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤であることが疑われる少なくとも1つの物質
を含み、
細胞が蛍光指示薬化合物を含有する、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤を同定する際に使用される装置。 - 目的とする電位依存性イオンチャンネルをその形質膜に有する、ウエルあたり少なくとも103個の生存している真核生物細胞が存在する多数のウエル;
事前に選択された電圧が正極および負極を介して加えられたとき、細胞の膜横断電位が変化するように配置された多数の正極および多数の負極;
多数のウエルの少なくとも1つにおける、電位依存性イオンチャンネルの活性化因子または阻害剤であることが疑われる少なくとも1つの物質
を有し、
細胞が蛍光指示薬化合物または電圧感受性膜色素を含有する、マルチウエル組織培養プレート。 - プレートの多数のウエルが、事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、ウエル内の細胞の膜横断電位が変化するように配置された1対の電極を含有する、マルチウエル組織培養プレート。
- 1対の電極の一方がウエルの底部に含有され、1対の電極のもう一方がウエルの側面に含有される、請求項47に記載のマルチウエル組織培養プレート。
- 1対の電極の両方がウエルの底部に含有される、請求項47に記載のマルチウエル組織培養プレート。
- 1対の電極の一方が、ウエルの底部を形成する導電性材料の層であり、1対の電極のもう一方が上方からウエルに進入する、請求項47に記載のマルチウエル組織培養プレート。
- 1対の電極の両方が絶縁体に埋め込まれ、かつ上方からウエルに進入する、請求項47に記載のマルチウエル組織培養プレート。
- 上方からウエルに進入する電極が、絶縁体によって囲まれている中心の導電性材料部分を有する、請求項50に記載のマルチウエル組織培養プレート。
- 電極対により、正極および負極の交互パターンがウエルにおいて形成される、請求項47に記載のマルチウエル組織培養プレート。
- ウエルの底部を形成する導電性材料の層が、ガラス基体を覆うインジウムスズ酸化物の層である、請求項50に記載のマルチウエル組織培養プレート。
- 導電性材料の層およびガラス基体が透明である、請求項54に記載のマルチウエル組織培養プレート。
- プレートの多数のウエルが、交互にかみ合う電極を含有する、請求項47に記載のマルチウエル組織培養プレート。
- 事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、ウエル内の細胞の膜横断電位が変化するように、第1の電極および第2の電極が配置されているマルチウエル組織培養プレートであって、
ウエルの底部が、細胞を増殖させることができるフィルターメンブランであり、
ウエルが、流体を含有するために好適なトラフに配置され、
トラフには、第1の電極が含有され、
第2の電極が上方からウエルに進入する、
マルチウエル組織培養プレート。 - 蛍光画像化装置によりマルチウエル組織培養プレートのウエルからの蛍光読み取りを得ることができるように、マルチウエル組織培養プレートおよび蛍光画像化装置が互いに配置されている、請求項46から57に記載されるマルチウエル組織培養プレートと、蛍光画像化装置との組合せ。
- 上部基体および底部基体のそれぞれが、
多数の実質上のウエル、および
実質上のウエルの底部を形成する導電性材料の層
を含有し、
導電性材料の層が電極として機能し、その結果、事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、実質上のウエルにおける細胞の膜横断電位が変化するように、上部基体および底部基体における導電性材料の層がパルス発生器に接続されている、上部基体および底部基体の組合せ。 - 多数の全体に平行する正極および負極と、電極に対して全体に直角に配置された多数のスペーサーとによって形成された正方形または矩形のウエルを有し、
ウエルの1つの壁が正極により形成され、ウエルの反対側の壁が負極により形成され、
スペーサーは、電極により形成される壁に対して直角であるウエルの壁を形成し、
事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、ウエル内の細胞の膜横断電位が変化するように電極が配置されている、基体。 - ウエルの底部が細胞を増殖させることができる光学的に透明なフィルターメンブランから構成されている、マルチウエル組織培養プレート;
流体を含有するために好適であり、かつ前記マルチウエル組織培養プレートをその中に入れることができるように設計されたトラフ;
前記トラフに配置された少なくとも1つの電極;および
前記マルチウエル組織培養プレートにおけるウエルの数に対応する量で多数の第2の電極を含む電極ヘッド(ただし、前記電極ヘッドおよび前記多数の前記第2の電極は、前記電極ヘッドを前記マルチウエル組織培養プレートに配置したとき、前記多数の第2の電極がマルチウエル組織培養プレートのウエルに配置されるように設計されている)
を含み、
事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、ウエル内の細胞の膜横断電位が変化するように、前記少なくとも1つの第1の電極および前記多数の前記第2の電極が配置されている、細胞に電場刺激を加えるためのシステム。 - 前記少なくとも1つの電極または前記多数の第2の電極またはそれらの両方と電気的に連絡している波形発生器をさらに含み、それにより、電気パルスシグナルが前記波形発生器によって発生させられる、請求項61に記載のシステム。
- 前記波形発生器と電気的に接続されたコンピューターをさらに含み、前記コンピューターは、前記波形発生器によって作製された前記パルスシグナルを調整するためのソフトウエアを含む、請求項62に記載のシステム。
- 前記波形発生器は、前記パルスシグナルによって刺激されるウエルのアドレスを表す二進値を作製する、請求項62に記載のシステム。
- 前記多数の第2の電極の上流に電気的中継器をさらに含む、請求項62に記載のシステム。
- 前記波形発生器および前記電気的中継器と電気的に連絡しているマイクロコントローラーをさらに含み、マイクロコントローラーは、前記波形発生器からのトリガーパルスおよび特定の二進値を受け取ったとき、適切な中継器のスイッチを入れ、それにより、前記特定の二進値に対応する特定の電極にパルスを導くように配置されている、請求項65に記載のシステム。
- 前記トラフが1つの第1の電極を含む、請求項61に記載のシステム。
- ウエルの底部が、細胞を増殖させることができる光学的に透明なフィルターメンブランから構成されているマルチウエル組織培養プレート;
流体を含有するために好適な多数の個々のトラフを含み、前記多数のトラフの数は、前記マルチウエル組織培養プレートに含まれるウエルの量に対応し、前記多数のトラフは、前記マルチウエル組織培養プレートの各ウエルを個々に含有するように配置され、ならびに前記多数のトラフは、前記マルチウエル組織培養プレートに規定され、および各ウエルに対して側方に配置されたポートによってアクセスすることができる、トレー;
前記マルチウエル組織培養プレートの上方に載せられるように設計され、前記マルチウエル組織培養プレートのウエルが前記導電性電極プレートを通り抜けることを可能にするように設計された多数の開口部を含み、前記導電性電極プレートと一体化されているかまたは前記導電性電極プレートに取り付けられた多数の導電性ピンを含み、前記多数の導電性ピンの個々のピンは、前記マルチウエル組織培養プレートの上部に前記電極プレートを載せたとき、前記ポートを通り抜け、個々のトラフに配置される導電性電極プレート;および
前記マルチウエル組織培養プレートにおけるウエルの数に対応する量で多数の第2の電極を含む電極ヘッド(ただし、前記電極ヘッドおよび前記多数の前記第2の電極は、前記電極ヘッドを前記マルチウエル組織培養プレートに配置したとき、前記多数の電極がマルチウエル組織培養プレートのウエルに配置されるように設計されている)
を含み、
事前に選択された電圧が電極間に加えられたとき、ウエル内の細胞の膜横断電位が変化するように、前記少なくとも1つの第1の電極および前記多数の前記第2の電極が配置されている、細胞に電場刺激を加えるためのシステム。 - 誘電性材料から構成される誘電性ディスクと、前記誘電性ディスクの1つの面に配置された第1の導電性ディスクと、前記誘電性ディスクの反対側の面に配置された第2の導電性ディスクとを含む新規な電極。
- 少なくとも1つの内側リード線および少なくとも1つの外側リード線を含む同軸リード線をさらに含み、それにより、前記内側リード線が前記第1のディスクおよび前記誘電性ディスクを通り抜け、前記第2のディスクに電気的に接続される、請求項69に記載の電極。
- 前記第1のディスクに電気的に接続された第1のリード線と、前記第2のディスクに電気的に接続された第2のリード線とをさらに含む、請求項69に記載の電極。
- 事前に選択された電圧が、電場を確立するために、前記第1の導電性ディスクと前記第2の導電性ディスクとの間に加えられる、請求項69に記載の電極。
- 前記電極が、処理される細胞の非常に近いところに前記電極を近づけることができるようなレベルに抵抗発熱を減らしながら、実質的に均一な電場な提供することができる、請求項72に記載の電極。
- 前記電極と前記細胞との間が10mmの距離から、前記電極を前記細胞と接触させることなく前記細胞に対してより近い距離まで、前記電極を前記細胞に近づけることができる、請求項73に記載の電極。
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