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JP2005307198A - 活性エネルギー線硬化型水性インク、それを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型水性インク、それを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置 Download PDF

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JP2005307198A JP2005088936A JP2005088936A JP2005307198A JP 2005307198 A JP2005307198 A JP 2005307198A JP 2005088936 A JP2005088936 A JP 2005088936A JP 2005088936 A JP2005088936 A JP 2005088936A JP 2005307198 A JP2005307198 A JP 2005307198A
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Abstract

【課題】 活性エネルギー線によって速やかに重合され、形成された硬化物の架橋度が高く、接着性にも優れ、低粘度であり、経時保存安定性に優れ、更に吐出安定性に優れたインクジェット記録用活性エネルギー線硬化型インク、かかるインクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】 少なくとも、水と、活性エネルギー線によってラジカル重合する重合性物質とを含有する水性活性エネルギー線硬化型インクにおいて、上記重合性物質が下記一般式(I)で示される水溶性重合性物質であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型水性インク、かかるインクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置。
【化1】
Figure 2005307198

【選択図】 図1

Description

本発明は新規な水溶性の重合性化合物を含有する活性エネルギー線硬化型水性インク、このインクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置に関する。
従来、活性エネルギー線を含む光照射によってインキ中の樹脂組成物を硬化させることで樹脂硬化膜を形成し、画像形成を行う活性エネルギー線硬化法において、水性の塗料やインキを使用する技術が知られている。この際に用いられている水性の塗料やインキの材料構成は、活性エネルギー線硬化型の樹脂組成物としては非水系のものを用い、これを水系溶媒中にエマルジョン状態にして調製したものである。このような活性エネルギー線硬化型樹脂組成物自体は水溶性のものではなく、これまで、かかる技術においては、紫外線硬化型の樹脂自体や触媒自体を水性化することは課題として認識されていても実現化されていないのが現状である。
インクジェット印刷法においても、活性エネルギー線硬化型のインクは公知である。しかし、この場合も使用する樹脂組成物は非水性であり、その代表的なものとして、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶媒中に顔料を分散した、所謂、油性インクが知られている。また、マーキングの用途では、溶媒を用いず、モノマー、オリゴマー、顔料分散体からなるインクが用いられている。これらのインクでは、インクの粘度が十分に低くなりにくいので精密印字には不向きであり、精密さが要求されないマーキング等のドット印字の用途に専ら用いられている。
上記したようなインクジェットシステムに用いられている油性インクは、フルカラーの高画質の印刷に向くようなインク物性を有していない。即ち、油性インクは、環境の観点から注意して使用することが好ましく、また、無溶媒の活性エネルギー線硬化型インクの場合は、大ドットの低解像度のプリンタにのみ採用可能である。特許文献1にはビニルピロリドンを溶媒のように多量に使用することによって紫外線硬化性の接着剤を溶解し、インクジェット記録用インクとする試みが開示されている。この技術では、サーマルインクジェット装置での適用をも意図しているが素材の制約が事実上大きく、多量のモノマーを用いる等、汎用性に乏しく、また、高画質画像の形成に適用することもできない。活性エネルギー線硬化型インクの利用状況が上記したようであるのは、以下のような理由による。
1)水に溶解している樹脂を用いたインクや塗料は、例え硬化させたとしても、形成される画像の耐水性が低いか、或いはグロスが低い等の点で不十分なものとなり易い。
2)水溶性の活性エネルギー線硬化性の樹脂や、かかる樹脂の硬化を助ける触媒的な機能を果たす水溶性重合開始剤(以下、単に触媒とも呼ぶ)が殆ど開発されていない。
更に、水性の活性エネルギー線硬化型インクに関し、材料技術自体が進みにくい原因として、以下のことが指摘されている。
3)溶媒として水を使用した場合、水は、有機溶媒と比べ、乾燥のために大量のエネルギーを消費するので、実用的にはマイナス面を持つ。
しかしながら、活性エネルギー線硬化技術は、省エネルギー、環境汚染、環境負荷が少ない硬化技術として期待されているのも事実である。更に、活性エネルギー線硬化法の利用は、インクジェット印刷において、画像の印刷に留まらず、印刷基材に印刷適性を付与するための前処理、印刷された基材を保護や施工のための材料を塗布する後処理等においても有用であるとされている。
フルカラーの高画質印刷インクジェット記録用インクへの応用においても、上記した水溶性の活性エネルギー線硬化性の樹脂や触媒といった水性材料は極めて少ないのが現状である。また、インクジェット方式に応用するためには、高密度ノズルに対応できる、低粘度で流動特性のよい材料が必要となる。例えば、インク中の重合性化合物の添加量を高くでき、実質の乾燥時間を短縮し、しかも、インクを記録材上に塗布した後に硬化させた場合に、硬化させたインク皮膜の物性に優れ、色材との共溶性のよい樹脂材料(触媒、重合性の重合性物質)が求められる。
このような水溶性の活性エネルギー線硬化性材料としては、第1例として、酸性基と(メタ)アクリロイル基或いはビニル基を共に分子内に有し、且つ、水溶性の重合性化合物であるものとしては、例えば、無水琥珀酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル、オルソ無水フタル酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル、ビニルナフタレンスルホン酸等が実用されている。
第2例としては、水に可溶で、1分子中に2つ以上の重合性官能基を有する工業的に生産されている化合物として、ポリエチレンオキシド鎖によって親水性を付与した重合性化合物が知られている。このようなものとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
また、特許文献2には、多官能の水溶性重合性化合物が開示されている。ここに開示されている化合物は、水溶性を付与するために、分子中の水酸基の数を増やすことで水溶性を得る手法を用いたものである。
また、特許文献3、4では、ポリアルコールから誘導される親水性ポリエポキシドの(メタ)アクリル酸エステル等が実用されている。これらの化合物は活性エネルギー線による重合性や硬化物の物性にも優れ、水溶液の粘度もインクジェット用インクに要求される水準を満たしている。
米国特許第4,978,969号明細書 特開平8−165441号公報 特開2000−117960号公報 特開2002−187918号公報
しかしながら、第1例においては、重合性の官能基の数が1分子中に1個であるため、重合速度が遅く、硬化物の架橋度が著しく低いので、水溶性の活性エネルギー線硬化性材料の主要材料とはなり得ないものである。
また、第2例においては、本発明者らの検討によれば、これらの群の化合物は、エチレンオキシド鎖の長さが短いと水溶性がなく、一方、エチレンオキシド鎖の長さが長いと水溶性は得られるものの、重合或いは硬化した時の固体物性が硬度や接着性等の塗料やインキに求められる性能において不足することが多いという課題が生じる。
また、特許文献2においては、本発明者らの検討によれば、これらは、確かに活性エネルギー線による重合性に優れ、硬化物の物性にも優れるが、水溶液の粘度が、インクジェット用インクに要求される水準に対して、やや高いという問題がある。
また、特許文献3及び4においては、(メタ)アクリル酸エステル基を有する水溶性重合性化合物を含有するインク中に、色材として、アニオン性官能基によって水中に溶解する水性染料やアニオン性官能基によって水中に顔料が分散された水性顔料分散体を用いた場合には、(メタ)アクリル酸エステル基の加水分解によるアクリル酸の生成に伴ってインクのpHが酸性領域まで低下することにより、インクのpHがアルカリ〜中性領域で安定に溶解した水性染料の析出や、安定に分散された水性顔料分散体が凝集を生じることがあり、インクの経時保存安定性の観点において問題がある。また、記録方法が記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーによりインク液滴を発生させるインクジェット記録方式では、インク中の水溶性重合性化合物が熱エネルギーにより熱重合を起こし、ノズル内に水に不溶な重合物を生成することでインクの吐出に不具合が生じることがあった。
従って、本発明の第1の目的は、活性エネルギー線によって速やかに重合され、形成された硬化物の架橋度が高く、被記録媒体に対する接着性にも優れる活性エネルギー線硬化型の水性インクを提供することにある。
本発明の第2の目的は、活性エネルギー線によって速やかに重合され、形成された硬化物の架橋度が高く、被記録媒体に対する接着性にも優れる水溶性の活性エネルギー線硬化型インクであり、その粘度がインクジェット用に要求される低粘度の水準を満たし、かつインクの経時保存安定性に優れるインクジェット記録用活性エネルギー線硬化型水性インクを提供することにある。
本発明の第3の目的は、活性エネルギー線によって速やかに重合され、形成された硬化物の架橋度が高く、被記録媒体に対する接着性にも優れる水溶性の活性エネルギー線硬化型インクであり、その粘度がインクジェット用に要求される低粘度の水準を満たし、かつインクの経時保存安定性に優れ、更に記録方法が記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーによりインク液滴を発生させるインクジェット記録方式においても、熱エネルギーにより熱重合を起こし、インクの吐出に影響を与えることがない吐出安定性に優れたインクジェット記録用活性エネルギー線硬化型水性インクを提供することにある。
本発明の第4の目的は、かかる水性インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、少なくとも、水と、活性エネルギー線によってラジカル重合する重合性物質とを含有する活性エネルギー線硬化型水性インクにおいて、上記重合性物質が下記一般式(I)で示される水溶性重合性物質であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型水性インクである。
Figure 2005307198
{式中、Zはポリオールの残基を示す。j1は2〜6の整数を示し、k1は0〜2の整数を示し、j1+k1は2〜6の整数を示す。q1は1〜4の整数を示す。Xは水素原子またはメチル基を示す。(A)は下記一般式(II)及び(III)のいずれか一方を示すが、上記一般式(I)に一般式(II)及び(III)が同時に含まれることはない。
Figure 2005307198
(式中、m1は1〜5の整数を示す。n1は0または1を示す。Rは水素原子またはメチル基を示す。)
Figure 2005307198
(式中、p1は1〜5の整数を示す。Rは水素原子またはメチル基を示す。)}
また、本発明は、かかる水性インクを被記録媒体上に吐出する工程、及び該水性インクが付与された被記録媒体に活性エネルギー線を照射して該水性インクを硬化させる工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法である。
また、本発明は、かかる水性インクを収容しているインク収容部を具備していることを特徴とするインクカートリッジである。
また、本発明は、かかる水性インクを収容しているインク収容部と該水性インクを吐出するための記録ヘッドを具備していることを特徴とする記録ユニットである。
また、本発明は、かかる水性インクを被記録媒体上に付与する手段、及び該被記録媒体上に付与された水性インクに対して活性エネルギー線を照射する手段を具備していることを特徴とするインクジェット記録装置である。
本発明にかかる第1の実施態様によれば、活性エネルギー線によって速やかに重合され、形成された硬化物の架橋度が高く、被記録媒体に対する接着性にも優れる活性エネルギー線硬化型の水性インクを提供することができる。
本発明にかかる第2の実施態様によれば、活性エネルギー線によって速やかに重合され、形成された硬化物の架橋度が高く、被記録媒体に対する接着性にも優れる水溶性の活性エネルギー線硬化型インクであり、その粘度がインクジェット用に要求される低粘度の水準を満たし、かつインクの経時保存安定性に優れるインクジェット記録用活性エネルギー線硬化型水性インクを提供することができる。
本発明にかかる第3の実施態様によれば、活性エネルギー線によって速やかに重合され、形成された硬化物の架橋度が高く、被記録媒体に対する接着性にも優れる水溶性の活性エネルギー線硬化型インクであり、その粘度がインクジェット用に要求される低粘度の水準を満たし、かつインクの経時保存安定性に優れ、更に記録方法が記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーによりインク液滴を発生させるインクジェット記録方式においても、熱エネルギーにより熱重合を起こし、インクの吐出に影響を与えることがない吐出安定性に優れたインクジェット記録用活性エネルギー線硬化型インク及びそれを有するインクカートリッジ、記録ユニットとインクジェット記録装置を提供することができる。
以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明者らは、前記した目的に鑑み、様々な検討を重ねた過程において、少なくとも、水と、一般式(I)で示される活性エネルギー線によってラジカル重合する水溶性重合性物質を含有する活性エネルギー線硬化型水性インクを調製し、この活性エネルギー線硬化型水性インクの評価を行った。その結果、このような構成を有する活性エネルギー線硬化型水性インクは、硬化物の架橋度や接着性といった硬化性能に優れ、更にはインクジェット用に要求される低粘度の水準を満たし、かつ、インクの経時保存安定性、吐出安定性に優れることを見出して、本発明を為すに至った。
このように硬化性能のみならずインクの経時保存安定性や吐出安定性に優れた結果が得られる理由は明らかでないが、以下のように考えられる。
インクの経時保存安定性に関して、本発明の(メタ)アクリルアミド構造を有する水溶性重合性物質は、水溶液中でアクリルエステル構造を有する水溶性重合性物質に比べて加水分解の影響を受けにくく、生成するアクリル酸の量が少ない。そのため、インクの酸性領域までのpH低下が抑制され、アニオン性官能基によって水中に溶解する水性染料やアニオン性官能基によって水中に顔料が分散された水性顔料分散体が安定して溶解または分散することができ、インクの経時保存安定性に優れるものと思われる。
また、吐出安定性に関して、(メタ)アクリルアミド構造を有する水溶性重合性物質がアクリルエステル構造を有する水溶性重合性物質に比べて熱重合に対する耐性を持つためであるか、あるいは加水分解により生じるアクリル酸の生成量が少ないため、アクリル酸自身の熱重合が抑えられるためであるかのいずれかであると考えられる。
以下に、本発明にかかる活性エネルギー線硬化型水性インクの主たる応用例である水性インクジェット印刷における作用・効果について説明する。
なお、本発明に用いられる活性エネルギー線は紫外線や電子線等を用いることができるが、以降、特に好適に用いられる紫外線によってラジカル重合し、硬化する紫外線硬化型インクを代表例に挙げて説明を進める。本発明において硬化に用いる活性エネルギー線は、紫外線に限定されるものではない。
水性インクジェット記録方法を用いる画像記録用の水性インクに、本発明にかかる活性エネルギー線硬化型水性インクを用いる主な目的は、例えば、下記に挙げる点にある。
1)インクの乾燥性を上げて、印刷速度の向上への対応を可能とする。
2)水溶性重合性物質を色材のバインダーとして作用させ、擦過性に優れた画像を多様な被記録媒体に対して形成することを実現できるようにする。
3)顔料粒子からの散乱を低減し、透明なインク層の形成を可能とする。
4)その結果、プロセスカラーの色再現範囲を拡げ、濃度が高く、彩度、明度にも優れた画像形成能をインクに与える。
5)更に、活性な光、空気中のガス成分、水分等から色材を保護することを可能とする。
本発明にかかる活性エネルギー線硬化型水性インクは、とりわけ、普通紙のような、インク吸収性はあるが、顔料の色彩を向上や擦過性をよくすることが難しい被記録媒体において、それらを改善させる顕著な効果を発揮する。更に、本発明にかかる活性エネルギー線硬化型水性インクは、非吸収性の印刷基材に対する水性インクによる印刷をも可能とする。
活性エネルギー線による硬化法は、強制乾燥法の一つであると考えられ、用紙等の記録材上に付与されたインクが、用紙中に完全に浸透しきる前の自由表面を形成している時間内に、その状態を凍結する方法であるといえる。本発明にかかる水性活性エネルギー線硬化型インクにおいて、水等の溶媒成分の浸透、蒸発は、固体化したインク層から徐々にゆっくり進行することになるが、上記したように、見かけの乾燥は素早く起こるので、用紙搬送、積載等が可能という意味での定着時間は短くなったとして扱うことができる。しかしながら、水系溶媒を用いている以上、有機溶媒を用いたインクよりも、真の乾燥が遅くなるのはやむをえない。そこで、本発明のインクを用いる場合に、用途によっては、最終の強制熱乾燥機を備えることも許される。
本発明にかかるインクのように、水分が存在している中で、活性エネルギー線によってラジカル重合する水溶性重合性物質の硬化がいかにして進行するかは、純粋に、ラジカル反応速度の問題として重要である。本発明者らの検討によれば、色材が存在しない無色のインクでは、水の中での重合が、無溶媒系の場合と比べて特別に反応が遅いということは観察されていない。勿論、重合したものが水を含んでいるので、固体物性としては、無溶媒系の場合のものとは異なるものである。
次に、上記したような優れた作用・効果を有する本発明にかかる活性エネルギー線硬化型水性インクの各構成材料について説明する。
(水溶性重合性物質)
本発明の実施態様にかかる水溶性重合性物質は、下記一般式(I)で示される。
Figure 2005307198
{式中、Zはポリオールの残基を示す。j1は2〜6の整数を示し、k1は0〜2の整数を示し、j1+k1は2〜6の整数を示す。q1は1〜4の整数を示す。Xは水素原子またはメチル基を示す。(A)は下記一般式(II)及び(III)のいずれか一方を示すが、上記一般式(I)に一般式(II)及び(III)が同時に含まれることはない。
Figure 2005307198
(式中、m1は1〜5の整数を示す。n1は0または1を示す。Rは水素原子またはメチル基を示す。)
Figure 2005307198
(式中、p1は1〜5の整数を示す。Rは水素原子またはメチル基を示す。)}
本発明においては、水溶性重合性物質の重合官能基の数はインクの硬化性能と低粘度化の観点から、2〜6の範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜6の範囲である。水溶性重合性物質中の重合官能基の数が多いほど硬化性能は向上するが、官能基数の増加にともないインクの粘度上昇がみられ、インクジェット方式の高密度ノズルに対応する流動特性のよい水性活性エネルギー線硬化型インクが得られにくくなる。また、水溶性重合性物質の重合官能基が1であると、重合速度が遅く、硬化物の架橋度が著しく低いので、本発明の活性エネルギー線硬化型水性インクの材料には適さない。
本発明の水溶性重合性物質は一般式(II)、(III)に含まれるエチレンオキシド鎖/プロピレンオキシド鎖や水酸基によって親水性が付与される。一般式(II)、(III)に含まれるエチレンオキシド鎖またはプロピレンオキシド鎖の数は1〜5の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜3の範囲である。水溶性重合性物質中のエチレンオキシド鎖またはプロピレンオキシド鎖が短いと水溶性がなく、一方、エチレンオキシド鎖またはプロピレンオキシド鎖が長いと、水溶性は得られるものの、重合或いは硬化した時の固体物性が、硬度や接着性等の性能において不足することがある。
本発明において、Zで示されるポリオール残基とは、ポリオールから2以上の水酸基を除いたものである。好ましいポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,5−へキサンジオール、1,6−へキサンジオール、2,5−へキサンジオール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−へキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、チオジグリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールやその縮合体などが挙げられる。その他のポリオールとしては、低分子ポリビニルアルコールやトリオース、テトロース(エリトリトール、トレイトール)、ペント−ス(リビトール、アラビニトール、キシリトール)、ヘキソース(アリトール、アルトリトール、グルシトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール、イノシトール)、ヘプトース、オクトース、ノノース、デコースなどの単等類やそのデオキシ糖、アルドン酸、アルダル酸誘導体などが挙げられるが、本発明で使用されるポリオールは、これらに限定されるものではない。これらのポリオールの中で特に好ましいポリオールとしては、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−へキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトールが挙げられる。
これらの水溶性重合性物質の特に好ましい具体例としては、例えば以下に示す構造の水溶性重合性物質が挙げられるが、本発明で使用する水溶性重合性物質は、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、親水性が高く、水溶性であり、重合性を有し、且つ重合速度が速く、しかも、それ自身低粘度であると共に、水溶液とした場合の粘度は、従来から知られている化合物と比較して格段に低粘度となる。本発明においては、2種類以上の水溶性重合性物質を組み合わせて使用することができる。
例示化合物1
Figure 2005307198
Zはエチレングリコール残基:−CH−CH
例示化合物2
Figure 2005307198
Zはプロピレングリコール残基:
Figure 2005307198
例示化合物3
Figure 2005307198
Zはグリセリン残基:
Figure 2005307198
例示化合物4
Figure 2005307198
Zはトリメチロールプロパン残基:
Figure 2005307198
例示化合物5
Figure 2005307198
Zはペンタエリスリトール残基:
Figure 2005307198
例示化合物6
Figure 2005307198
Zはジペンタエリスリトール残基:
Figure 2005307198
例示化合物7
Figure 2005307198
Zはグリセリン残基:
Figure 2005307198
例示化合物8
Figure 2005307198
Zはペンタエリスリトール残基:
Figure 2005307198
例示化合物9
Figure 2005307198
Zはトリメチロールプロパン残基:
Figure 2005307198
これらの中では、特に例示化合物3、4、5、7及び9が好ましく、更には、例示化合物3、4、5が好ましい。
本発明の一般式(I)で示される水溶性重合性物質は、以下に示すような方法により製造される。
一般式(I)中の(A)が化学式(II)で示され、かつnが0である水溶性重合性物質は上記ポリオールにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの付加反応を行い任意の当量数のエチレンオキシド鎖やプロピレンオキシド鎖を付加させた後、炭素数1〜4のアルカノール(メタ)アクリルアミドと脱水縮合反応を行うことにより得られる。また、一般式(I)中の(A)が化学式(II)で示され、かつnが1である水溶性重合性物質は上記ポリオールにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの付加反応を行い任意の当量数のエチレンオキシド鎖やプロピレンオキシド鎖を付加させた化合物にエピクロロヒドリンを反応させてグリシジル基を導入し、ついで炭素数1〜4のアルカノール(メタ)アクリルアミドを反応させることにより得られる。
一般式(I)中の(A)が化学式(III)で示される水溶性重合性物質は上記ポリオールにエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物にエチレンオキシド鎖やプロピレンオキシド鎖を付加させた炭素数1〜4のアルカノール(メタ)アクリルアミド化合物を反応させることにより得られる。
(水溶性重合開始剤)
本発明の実施態様にかかる水溶性重合開始剤は、活性エネルギー線によってラジカルを生成する水溶性化合物であればいずれのものでもよいが、下記一般式(IV)、(VI)〜(IX)からなる群より選択される少なくともひとつの化合物であることが好ましい。
Figure 2005307198
{式中、Rはアルキル基またはフェニル基を示す。Rはアルキルオキシ基またはフェニル基を示す。Rは下記一般式(V)を示す。
Figure 2005307198
(式中、Rは、−[CH]x−(xは0または1)またはフェニレン基を表す。m2は0〜10の整数を示す。n2は0または1を示す。Rは水素原子、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びこれらの塩を示す。)}
Figure 2005307198
(式中、mは1以上の整数を示し、nは0以上の整数を示し、m+nは1〜8の整数を示す。)
Figure 2005307198
(式中、R10及びR11は各々独立に、水素原子またはアルキル基を示す。mは5〜10の整数を示す。)
Figure 2005307198
(式中、R10及びR11は各々独立に、水素原子またはアルキル基を示す。R12は、−(CH)x−(xは0または1)、−O−(CH)y−(yは1または2)またはフェニレン基を示す。Mは水素原子またはアルカリ金属を示す。)
Figure 2005307198
(式中、R10及びR11は各々独立に、水素原子またはアルキル基を示す。Mは水素原子もしくはアルカリ金属を示す)。
これらの中では、一般式(IV)、(VI)及び(VII)で示される化合物であることが好ましく、特には一般式(IV)及び(VI)で示される化合物であることが好ましい。
また、Rのアルキル基及びフェニル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、ハロゲン、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルキルオキシ基、上記一般式(V)で示される基、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びスルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基の塩(−SOM、−COM、−OM)が挙げられる。かかるMは、各々独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはHNRで表されるアンモニウム(R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5のモノヒドロキシル置換低級アルキル基またはフェニル基を示す。)を示す。
特に好ましいRは、炭素数1〜5の低級アルキル基を置換基として有するフェニル基である。
また、Rのフェニレン基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、ハロゲン、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルキルオキシ基、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びスルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基の塩(−SOM、−COM、−OM)が挙げられる。かかるMは、各々独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはHNRで表されるアンモニウム(R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5のモノヒドロキシル置換低級アルキル基またはフェニル基を示す。)を示す。
の塩としては、−SOM、−COM及び−OMが挙げられる。かかるMは、各々独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはHNRで表されるアンモニウム(R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5のモノヒドロキシル置換低級アルキル基またはフェニル基を示す。)を示す。
のアルキルオキシ基及びフェニル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、ハロゲン、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルキルオキシ基が挙げられる。
特に好ましいRは、アルキルオキシ基であり、中でも−OC及び−OC(CHである。
10及びR11のアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、ハロゲン、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びスルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基の塩(−SOM、−COM、−OM)が挙げられる。かかるMは、各々独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはHNRで表されるアンモニウム(R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5のモノヒドロキシル置換低級アルキル基またはフェニル基を示す。)を示す。
これらの水溶性重合開始剤の特に好ましい具体例としては、例えば以下に示す構造の水溶性重合性物質が挙げられるが、本発明で使用する水溶性重合開始剤は、これらに限定されるものではない。
例示化合物10
Figure 2005307198
例示化合物11
Figure 2005307198
例示化合物12
Figure 2005307198
例示化合物13
Figure 2005307198
例示化合物14
Figure 2005307198
本発明において水溶性重合開始剤としてチオキサントン系水溶性重合開始剤等を用いる場合は水素供与剤を添加することが好ましい。本発明で用いることのできる水素供与剤としては、例えば、トリエタノールアミン等が挙げられる。
本発明においては、2種類以上の水溶性重合開始剤を組み合わせて使用することができる。2種類以上の水溶性重合開始剤を添加することで、1種類の水溶性重合開始剤では有効に利用できない波長の光を利用して、更なるラジカルの発生を期待できる。また、上記した様な水溶性重合開始剤は、活性エネルギー線として電子線を用いてインクを硬化する電子線硬化法を採用する場合には必ずしも必要ではない。
(水性顔料分散体)
本発明にかかる水性活性エネルギー線硬化型インクは、色材である顔料を含有させることで、活性エネルギー線等の照射によって硬化する着色された活性エネルギー線硬化型インク、或いは活性エネルギー線硬化型塗料として利用することができる。この際、色材として顔料を水性媒体中に均一に分散させた水性顔料分散体を使用することが好ましい。水性顔料分散体としては、特にアニオン性官能基によって水中に顔料が安定に分散されている水性顔料分散体を使用することが好ましい。例えば、ノニオン系或いはアニオン系において安定な、水性グラビアインキ、水性の筆記具用の顔料分散液や、従来公知のインクジェットインク用の顔料分散体等を、そのまま応用することが可能である。
アニオン性解離基を持ち、アルカリ可溶性の水溶性高分子を用いて分散された顔料分散体としては、例えば、特開平5−247392号公報、特開平8−143802号公報に開示されている。また、アニオン性解離基を持つ界面活性剤によって分散された顔料分散体としては、特開平8−209048号公報に開示されている。また、高分子によってカプセル化されその表面にアニオン性解離基を付与することによって分散された顔料分散体としては、特開平10−140065号公報、特開平9−316353号公報、特開平9−151342号公報、特開平9−104834号公報、特開平9−031360号公報に開示されている。更に、顔料表面に化学反応によってアニオン性解離基を結合することで顔料を分散させた顔料分散体としては、USP5,837,045号及びUSP5,851,280明細書に開示されるような分散体がある。本発明のインクにおいては、上記した種々の顔料分散体をいずれもインクの色材として使用することが可能である。
本発明にかかる水性活性エネルギー線硬化型インクは、上記したような顔料に限らず、色材として染料を用い、水溶性染料を溶解状態で含有する態様のインクとすることも、活性エネルギー線照射による退色が実用上問題にならない範囲であれば可能である。また、分散染料、油溶性染料等を分散状態で含有させた色材分散体も、上記した顔料分散体と同様に適用可能である。これらは、用途に従って適宜に選択される。
本発明にかかるインクの色材として顔料を使用する場合には、顔料が、その媒体中に微粒子状態で分散されている顔料分散体を用いることが必要である。特に、インクジェット記録用インクに好適に使用することのできる顔料分散体の基本的な要素としては、顔料が水性媒体に分散され、分散体としての粒度分布が平均粒子径で25nm〜350nmの範囲にあり、最終インクの粘度が吐出に影響を与えない範囲に調節可能であること、更には、インクを活性エネルギー線硬化性とするために必須な、前述した本発明の水性活性エネルギー線硬化重合物質との相溶性が満足されることが必要となる。以下に、本発明において好適な顔料分散体に使用し得る各構成材料について説明する。
<顔料>
カラーインクに使用されるプロセスカラーとしての色相を有する有機顔料としては、下記に挙げるものを適宜に使用することができる。カラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、55、74、83、86、93、97、98、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
<インク中の顔料の粒子径>
顔料粒子の平均粒子径は、25nm〜350nm程度の範囲、好ましくは70nm〜200nmの範囲である。この範囲は印刷物の用途にも依存するが、可視光線の波長よりも十分に小さいので、散乱が少なければ十分に透明と言える印刷物が与えられる。
<染料>
例えば、本発明にかかる水性活性エネルギー線硬化型インクの場合、当該インクを被記録媒体(記録紙等)に付着させた後、活性エネルギー線によって当該インク中の活性エネルギー線硬化型重合物質を重合させて硬化させることが好ましい。前記したように、色材として染料を用いた場合は、上記の顔料を用いた場合と異なり、活性エネルギー線照射による退色がまったく無い状態で使用することは困難であり、多少は退色を伴う。この理由から、インクの色材として染料を適用する場合には、金属イオンで錯体を形成している、所謂、アゾ含金染料を用いることが光による退色が少ないので好ましい。しかし、退色の水準を問題にしなければ、一般の水溶性染料であっても、少なくともインクとしては成り立つ。これを前提に、プロセスカラーの色彩を有するという意味で適用可能な染料種は、以下のような化合物である。カラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、49、61、71、C.Iダイレクトイエロー12、24、26、44、86、87、98、100、130、132、142、C.Iアシッドレッド1、6、8、32、35、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、254、256、289、315、317、C.Iダイレクトレッド1、4、13、17、23、28、31、62、79、81、83、89、227、240、242、243、C.Iアシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、113、117、120、167、229、234、254、C.Iダイレクトブルー6、22、25、71、78、86、90、106、199等が挙げられる。染料のインク中の好ましい濃度は、0.1〜10質量%の範囲である。濃度が低い場合には、例えば、所謂、濃度変調インクの淡色インクに好適に適用される。
<クリアインクとする場合の処方>
本発明にかかる水性活性エネルギー線硬化型インクは、上記したような色材を含有させることなく、透明な水性インクの形態とすることで、クリアインクとすることができる。特に、インクジェット記録特性を有するように調製すれば、水性活性エネルギー線硬化型のインクジェット記録用のクリアインクが得られる。かかるインクを用いれば、色材を含有していないので、クリアな皮膜を得ることができる。色材を含有しないクリアインクの用途としては、画像印刷への適性を被記録材に付与するためのアンダーコート用としたり、或いは、通常のインクで形成した画像の表面保護、更なる装飾や光沢付与等を目的としたオーバーコート用としての用途等が挙げられる。クリアインクには、酸化防止や退色防止などの用途に応じて、着色を目的としない無色の顔料や微粒子等を分散して含有させることもできる。これらを添加することによって、アンダーコート、オーバーコートいずれにおいても、印刷物の画質、堅牢性、施工性(ハンドリング性)等の諸特性を向上させることができる。
そのようなクリアなインクに適用する場合、水溶性重合性物質の含有量がインク全量に対して質量基準で10〜70%であることが好ましい。また、水溶性重合開始剤(例えば、活性エネルギー線重合触媒)を、上記重合性化合物100質量部に対して1〜10質量部含有され、同時に、インク100質量部に対して水溶性重合開始剤が最低0.5質量部含有されているように調製することが好ましい。
<反応性の希釈剤成分>
上記に示したように、本発明にかかる水性活性エネルギー線硬化型インクをクリアインクに利用する場合には、水性で重合反応性の低粘度モノマーを溶媒として含有させることができる。通常の溶媒ではなく、こうした物質を用いる利点は、これらの物質は、活性エネルギー線で硬化させた反応後の固体中に可塑剤として残留することがないので、固体物性への影響が低減されることにある。このような目的で選択される反応性の希釈剤成分としては、例えば、上記に列挙した例で使用したアクリロイルモルホリンや、その他、N−ビニルビロリドン、アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、単糖類のモノアクリレート、オリゴエチレンオキシドのモノアクリル酸エステル、及び2塩基酸のモノアクリル酸エステル等の化合物が挙げられる。
<溶媒成分>
更に、本発明にかかる水性活性エネルギー線硬化型インクをクリアインクに利用する場合には、特に、従来から水性インクジェット用インクに使用されているような、保湿性を与える溶剤を使用しないことが好ましい。それは、クリアインクの場合には、顔料等の固体の成分が含有されていないので、増粘は少なく、且つ、仮に若干の増粘があっても容易に回復することができるからである。勿論、後述するような、より保湿性の高い溶媒類を必要最低限度に添加することは許容される。これらは、従来水性インクジェットに汎用されている多数の化合物から選ぶことができる。
本発明にかかる水性活性エネルギー線硬化型インクを色材を含むインクとして利用する場合には、インク中に溶媒成分を添加することもできる。溶媒成分は、インクに不揮発性を与え、粘度を低下させ、且つ、印刷基材への濡れ性を与えるため等の目的で添加される。非吸収性基材への印刷の場合には、溶媒成分をインクに含ませずに、水だけを含有させて、重合性物質成分の全てが硬化して固体化するように構成することが好ましい。
溶媒成分をインク中に10%以上添加させたような場合には、最終的に得られるインク皮膜の強度という意味において、画像を形成する被印刷体(記録材)に一定の吸収性があることが必要となる。即ち、水性グラビアインキによる印刷の場合には、一定の濡れと浸透性を付与した記録材を用い、且つ、強制乾燥が行われている。これと同様に、本発明にかかるインクにおいても、溶媒成分をインク中に10%以上添加させたような場合には、被印刷体に水性インクの受理性を付与するための前処理を施し、且つ、インクを活性エネルギー線硬化させた後に、自然或いは強制の乾燥処置を施すことが好ましい。本発明で開示する各種の水溶性重合性物質は、それ自身で一定の保湿性(水の蒸発抑制、水の吸湿)を有するため、溶媒をまったく排除したインクの構成も可能である。この場合には、実用レベルでの、プリントの信頼性確保のために、キャッピング、印字開始時のフレッシュインクの吸引、空吐出等の対策を用いてもよい。
以下に、本発明の水性インクに用いることのできる比較的容易に蒸発乾燥する水溶性有機溶媒を列挙する。本発明のインクにおいては、これらの有機溶媒の中から、任意に選択した溶媒を添加させることができる。例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、そして1価アルコール類等が挙げられる。
<色材含有インクにおける材料構成>
本発明にかかる水性活性エネルギー線硬化型インクを色材を含有するインクに利用する場合には、含有させた色材の吸収特性に合わせて、インク中における触媒と水溶性重合性物質の濃度を調節することが好ましい。配合量としては、水或いは溶剤の量を、質量基準で、インク全量に対して40%〜90%の範囲とすることが好ましく、特には60%〜75%の範囲とすることが好ましい。更に、インク中における活性エネルギー線重合性化合物の含有量は、インク全量に対して、質量基準で1%〜35%の範囲であることが好ましく、特には、10%〜25%の範囲であることが好ましい。重合触媒は、活性エネルギー線重合性化合物の含有量にも依存するが、概ね、インク全量に対して、質量基準で0.1〜7%であることが好ましく、特には、0.3〜5%の範囲であることが好ましい。
インクの色材として顔料が使用される場合には、インク中における純顔料分の濃度は、概ね、インク全量に対して0.3質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。顔料の着色力は顔料粒子の分散状態も依存するが、約0.3〜1%の範囲であると、淡色のインクとして利用される範囲となる。また、それ以上であると、一般のカラー着色用に用いられる濃度を与える。顔料分散体の濃度は、印刷装置が要求する粘度、流動特性にも依存する。
インクの粘度については、オンデマンドインクジェット装置の場合には、粘度が広い範囲で非線形性がなく、15mPa・sが上限である。インクドットが、微細な高密度高駆動周波数ノズルの場合には、その上限は、10mPa・sとなる。
また、表面張力については、本発明にかかるインクを普通紙に印字することを鑑み、35mN/m(dyne/cm)以上であることが好ましい。普通紙への印字においてカラー間のブリード現象を十分に抑制するためには、通常のインクジェットインクにおいては、表面張力を30mN/m程度の低い値に調整して、インク滴を短時間の内に被記録媒体中に浸透させる必要がある。しかしながら、この場合には画像濃度の低下を伴う。
これに対し本発明にかかる水性活性エネルギー線硬化型インクでは、活性エネルギー照射時にできるだけインク滴が被記録媒体表面に滞留しているように、表面張力が高い方が好ましい。被記録媒体表層においてインク滴は効果的に硬化され、ブリードを十分に抑制可能であり、また同時に高い画像濃度が得られる。この画像濃度の確保のためには、一方で、活性エネルギー照射時にある程度インク滴が被記録媒体に対して濡れている必要もあるので、表面張力の上限としては50mN/m程度であることがより好ましい。
<プリンタシステム>
本発明のインクは、インクジェット吐出方式のヘッドにもちいられ、また、そのインクが収納されているインク収納容器としても、あるいは、その充填用のインキとしても有効である。特に、本発明は、インクジェット記録方式の中でもバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッド、記録装置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し、インク内の気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介してインクを吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成或いは、特許登録第2962880号、特許登録第3246949号、更には特開平11−188870号公報に記載されている大気連通方式の吐出方式にも本発明は有効である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通すると吐出孔を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59−123670号公報等)に対しても、本発明は有効である。更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいずれでも良いが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。又、本発明は、適用される記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードである。
また、本発明の記録装置を具体的に示すと、図1のプリンタ正面の概略図に示したように、本発明の活性エネルギー線硬化型水性インクを収容するインクタンク部1、記録を実際に行うヘッド部2(ここではヘッドを多数並べたマルチヘッドを用いている)、硬化のための紫外線照射を行うランプ部3、ヘッド部及びランプ部を駆動させる駆動部4、記録される被記録媒体を搬送する排紙部5が備わっている記録装置である。尚、これら以外に不図示のワイピング部、キャッピング部、給紙部、駆動モーター部を備えている。
図1において、ヘッド部2は活性エネルギー線硬化型水性インクの吐出のためのノズル部が各色につき左右対称に配置されており、ヘッド部2とランプ部3は一体となって左右に走査され、活性エネルギー線硬化型水性インクを被記録媒体に付与後、即座に活性エネルギー照射が為される(活性エネルギーとして好ましく用いられる紫外線ランプの詳細については後述する)。そのため、この記録装置を用いると、普通紙記録におけるインク滴の滲みやカラー間のブリードの抑制等が可能で、高品位、高精彩な画像形成を実現することの出来るインクジェット記録方法が得られる。
また、インクタンク部1はここではブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色が配置されているがより高精細な画像を記録するためにライトシアン(LC)やライトマゼンタ(LM)の6色を配置してもよい。また、ブラックの反応性が他の色に比べて劣るのでシアン、マゼンタ、イエローを組み合わせたプロセスブラックを形成する3色の配置でもよい。本発明においてタンクは光を遮光できるものを用いる。
なお、本発明においては、上記した記録システムの他にもランプが排紙部前面に配されたものや、給紙・排紙が回転ドラムに巻きつけられて行われるもの、乾燥部を別途設けたものなど適宜選ぶことができる。
<紫外線照射ランプ>
以下、本発明で特に好適な活性エネルギー線硬化型水性インクの硬化に使用する紫外線照射ランプについて説明する。紫外線照射ランプは、水銀の蒸気圧が点灯中で1〜10Paであるような、所謂、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、蛍光体が塗布された水銀灯等が好ましい。これらの水銀ランプの紫外線領域発光スペクトルは、450nm以下、特には184nm〜450nmの範囲であり、黒色或いは、着色されたインク中の重合性の物質を効率的に反応させるのに適している。また、電源をプリンタに搭載する上でも、小型の電源を使用できるので、その意味でも適している。水銀ランプには、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンフラッシュランプ、デイープUVランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、UVレーザー等が実用されており、発光波長領域としては上記範囲を含むので、電源サイズ、入力強度、ランプ形状等が許されれば、基本的には適用可能である。光源は、用いる触媒の感度にも合わせて選択する。
必要な紫外線強度は、500〜5,000mW/cmの程度が重合速度の意味から好ましい。照射強度が不足していると本発明の硬化が十分に得られない。また、照射強度が強すぎると、印刷基材がダメージを受けたり、色材の退色を生じたりすることがある。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。
<実施例1〜8>
下記の表1記載した各成分を混合し、十分攪拌して溶解後、0.50μmフィルターにて加圧濾過を行い、実施例1〜8のインクを夫々調製した。尚、特に指定のない限り、インク成分は「質量部」を意味する。なお、インクのpHは最終的に8.5となるように水酸化ナトリウムを用いて調整した。
<比較例1〜2>
下記の表1に記載した各成分を混合し、十分攪拌して溶解後、0.50μmフィルターにて加圧濾過を行い、各々比較例1〜2のインクとした。尚、特に指定のない限り、インク成分は「質量部」を意味する。なお、インクのpHは最終的に8.5となるように水酸化ナトリウムを用いて調整した。また、比較例に用いる水溶性重合性物質としては下記に示す、例示化合物15、16を用いた。
例示化合物15
Figure 2005307198
例示化合物16
Figure 2005307198
Figure 2005307198
<インクの評価>
上記で得られた本発明の実施例1〜8及び比較例1〜2の各インクを前記した記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置であるインクジェットプリンタPixus550i:キヤノン(株)製)を図1に示したものと同様に記録ヘッド部に隣接する形で、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するUVランプを搭載した改造機を用いて、以下の(1)、(2)、(3)について下記の方法及び基準に従って評価した。また、UVランプはDバルブを用いた。照射位置での300〜400nm領域における強度は1500mW/cmである。表2に、実施例1〜8と比較例1〜2のインクを用いて得られた評価結果及び粘度の測定値をまとめて示した。
(1)インク硬化性能
前記したプリンタに所定のインクを充填してPPC用紙(キヤノン製)に、12ポイントの文字パターンを印字した。得られた印字物について以下の評価を行った。なお、実施例1のクリアインクの評価はクリアインクを印字する直前(0.1秒以内)に活性エネルギー硬化系ではない通常の溶媒系のみからなる色材を含むインクで12ポイントの文字パターンを印字し、ついでオーバーコートする形でクリアインクの12ポイントの文字パターンを印字した。色材を含むインクの処方は、高分子分散剤を含むピグメントブルー15:3の水性顔料分散体40質量%(顔料濃度4質量%)、グリセリン質量5%、ジエチレングリコール10質量%、水45%質量からなる。
(1−1)定着性
印字10秒後に上記サンプルについて、印字した紙上にシルボン紙を載せ記録面に40g/cmの過重の錘を載せた状態でシルボン紙を引っ張った時に、被記録媒体の非印字部(白地部)及びシルボン紙に印字部の擦れによって汚れが生じるか否かを目視にて観察し、下記の基準で評価した。
A:擦れによる汚れ部分が見られない
B:殆ど擦れによる汚れ部分がない
C:かすれによる汚れ部分が目立つ
(1−2)耐マーカー性
印字1分間後に上記サンプルについて、パイロット社製イエロー蛍光ペンスポットライターイエローを用い、文字部を通常の筆圧で1度マークし、文字の乱れの有無を目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:マーカーによる文字の乱れが生じない
B:マーカーによる文字の乱れが僅かに生じる
C:マーカーによる文字の乱れが著しく生じる
(2)インク経時保存安定性
テフロン(登録商標)容器に所定のインクを入れ、密封したものを準備した。これを、暗所常温及び60℃のオーブン中で1ヶ月保存した。保存前後のインクの顔料平均粒径及び粘度について、下記の基準で評価した。
A:インク保存後の測定値が初期の値に対して変動率10%未満
B:インク保存後の測定値が初期の値に対して変動率10以上30%未満
C:インク保存後の測定値が初期の値に対して変動率30%以上
(3)吐出安定性
前記したプリンタに所定のインクを充填して、PPC用紙(キヤノン製)に横罫線を連続して100枚印字し、その線太さ、ヨレに関して目視で評価した。
A:線の太さに変化がなく、ヨレも全くない。
B:多少線の細りがあるが、問題ないレベルである。
C:線の細りがあり、ヨレも多少見られる。
Figure 2005307198
本発明に用いられる好適なプリンタ正面の概略を示した図である。
符号の説明
1 本発明の水性活性エネルギー線硬化型インクを収容するインクタンク部
2 インクタンクが付属し記録を実際に行うヘッド部
3 硬化のための紫外線照射を行うランプ部
4 ヘッド部及びランプ部を駆動させる駆動部
5 記録される被記録媒体を搬送する排紙部

Claims (11)

  1. 少なくとも、水と、活性エネルギー線によってラジカル重合する重合性物質とを含有する活性エネルギー線硬化型水性インクにおいて、上記重合性物質が下記一般式(I)で示される水溶性重合性物質であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型水性インク。
    Figure 2005307198
    {式中、Zはポリオールの残基を示す。j1は2〜6の整数を示し、k1は0〜2の整数を示し、j1+k1は2〜6の整数を示す。q1は1〜4の整数を示す。Xは水素原子またはメチル基を示す。(A)は下記一般式(II)及び(III)のいずれか一方を示すが、上記一般式(I)に一般式(II)及び(III)が同時に含まれることはない。
    Figure 2005307198
    (式中、m1は1〜5の整数を示す。n1は0または1を示す。Rは水素原子またはメチル基を示す。)
    Figure 2005307198
    (式中、p1は1〜5の整数を示す。Rは水素原子またはメチル基を示す。)}
  2. 前記水性インクが、更に活性エネルギー線によってラジカルを生成する水溶性重合開始剤を含有する請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  3. 前記水溶性重合開始剤が、下記一般式(IV)、(VI)〜(IX)からなる群より選択される少なくともひとつの化合物である請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
    Figure 2005307198
    {式中、Rはアルキル基またはフェニル基を示す。Rはアルキルオキシ基またはフェニル基を示す。Rは下記一般式(V)を示す。
    Figure 2005307198
    (式中、Rは、−[CH]x−(xは0または1)またはフェニレン基を表す。m2は0〜10の整数を示す。n2は0または1を示す。Rは水素原子、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びこれらの塩を示す。)}
    Figure 2005307198
    (式中、mは1以上の整数を示し、nは0以上の整数を示し、m+nは1〜8の整数を示す。)
    Figure 2005307198
    (式中、R10及びR11は各々独立に、水素原子またはアルキル基を示す。mは5〜10の整数を示す。)
    Figure 2005307198
    (式中、R10及びR11は各々独立に、水素原子またはアルキル基を示す。R12は、−(CH)x−(xは0または1)、−O−(CH)y−(yは1または2)またはフェニレン基を示す。Mは水素原子またはアルカリ金属を示す。)
    Figure 2005307198
    (式中、R10及びR11は各々独立に、水素原子またはアルキル基を示す。Mは水素原子もしくはアルカリ金属を示す。)
  4. 前記水性インクが、更に色材を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  5. 前記水性インクが、インクジェット記録用である請求項1〜4いずれかに記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  6. 請求項5に記載の水性インクを被記録媒体上に吐出する工程、及び該水性インクが付与された被記録媒体に活性エネルギー線を照射して該水性インクを硬化させる工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  7. 前記水性インクに熱エネルギーを作用させることにより、該水性インクを被記録媒体上に付与する請求項6記載のインクジェット記録方法。
  8. 請求項5に記載の水性インクを収容しているインク収容部を具備していることを特徴とするインクカートリッジ。
  9. 請求項5に記載の水性インクを収容しているインク収容部と該水性インクを吐出するための記録ヘッドを具備していることを特徴とする記録ユニット。
  10. 請求項5に記載の水性インクを被記録媒体上に付与する手段、及び該被記録媒体上に付与された水性インクに対して活性エネルギー線を照射する手段を具備していることを特徴とするインクジェット記録装置。
  11. 前記活性エネルギー線を照射する手段が、波長450nm以下の光源を有する紫外線照射ランプであり、その紫外部の照射強度が、500〜5,000mW/cmの範囲である請求項10記載のインクジェット記録装置。
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