JP2005341841A - 微生物の捕集及び試験方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被験面に存する微生物を効果的に捕集することのできる微生物の新規な捕集方法を提供する。より詳しくは、被験面上の微生物の存在及び/又は微生物の数を、培養することなくリアルタイムで簡単に検出できる微生物の捕集方法及び微生物試験方法を提供する。
【解決手段】 水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シートを用いると、被験物表面上の微生物を捕集することができる。さらに該粘着シートに捕集された微生物は、培養することなく標識物質により容易に検出される。
【解決手段】 水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シートを用いると、被験物表面上の微生物を捕集することができる。さらに該粘着シートに捕集された微生物は、培養することなく標識物質により容易に検出される。
Description
本発明は微生物の捕集方法及び試験方法に関する。より詳細には、湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シートを用いて微生物を捕集すること、該捕集した微生物を標識物質で検出する微生物の試験方法に関する。
従来より、被験面上に存在する肉眼では観察することのできない細菌等の微生物を観察及び計測するには、培養法、すなわち寒天等で賦形した固形の平板培地を被験面に押し当てることにより、被験面上の微生物を寒天平板培地上に転写し、該微生物をそのまま平板培地上で至適環境下に培養することにより出現するコロニーを肉眼または実体顕微鏡等で見定めながら計測する方法が一般的に利用されている。例えば、フードスタンプ(日水製薬(株)製)を使用したアガースタンプ法等が挙げられる。
また、微生物捕集能力のあるメンブレンフィルタ等を用いるメンブレンフィルタ法は、被験面を生理食塩水やリン酸緩衝液等を用いて十分に拭き取りながら捕集することにより微生物を洗い出し、この洗い出した集積液をメンブレンフィルタでろ過することによって、メンブレンフィルタ上に微生物を捕集した後、微生物と液体培地とを十分に接触させて該フィルタ上にコロニーを形成させ、コロニーを測定する方法である。メンブレンフィルタ法はまた、フィルタ上に捕集した微生物を適当な染色液と接触させて、発色した菌体数を顕微鏡等で計測することにより、培養を行わずに微生物を検出する方法としても利用することができる。そのほか、「環境付着菌検出用器材および方法」(特許文献1)のように粘着層を用いて微生物を捕集し、培養して検出する方法も検討されている。
しかしながら、寒天やメンブレンフィルタを用いる方法は、捕集方法が煩雑であり、また捕集効率にばらつきがあるとの問題があった。さらに、寒天やメンブレンフィルタを用いる方法は、培養により菌を検出するために、1〜2日またはそれ以上の培養に時間を要し、リアルタイムでの微生物のモニタリングができないことや、生菌のみ検出されるに過ぎない等の問題があった。
上記のような問題点を解決するために、寒天やメンブレンフィルタを用いずに微生物を捕集する方法が各種検討されている。例えば水溶性高分子を主成分としてなる粘着層と、微生物を透過させない透水性膜とが積層された微生物試験用粘着シートを用いて微生物を集積する方法が開示されている(特許文献2)。さらに非水溶性高分子化合物を主成分としてなる粘着層を有する微生物用粘着シートの該粘着層を被験体の表面に圧着、剥離して微生物を集積する方法も開示されている(特許文献3)。しかし、これらの微生物用粘着シートは、湿潤面に対する接着性は十分ではなかったため、微生物の捕集も十分とはいえないと考えられた。
本発明の課題は、被験面が湿潤していてもその表面に存する微生物を効果的に捕集することのできる微生物の新規な捕集方法を提供することである。より詳しくは、被験面上の微生物の存在及び/又は微生物の数を、培養することなくリアルタイムで簡単に検出できる微生物の捕集方法及びその試験方法を提供することである。
本発明者らは、水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層は被験面が湿潤していてもその表面に密接に接着しうる点に着目し、鋭意研究を重ねた結果、このような粘着層を有する微生物試験用粘着シートを用いると、被験物表面上の微生物を捕集することができ、さらに該粘着シートに捕集された微生物は標識物質により容易に検出されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.水もしくは親水性媒体で濡れた、及び/又は水もしくは親水性媒体で濡らした被験体の表面に、水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シートの粘着層を圧着、剥離して被験体表面の微生物を捕集する微生物の捕集方法。
2.水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シートの粘着層に、水もしくは親水性媒体を散布した後、被験体の表面に該粘着層を圧着、剥離して微生物を捕集する捕集方法。
3.被験体表面に、微生物試験用粘着シートの粘着層を圧着し、湿潤状態の該粘着層が乾燥するまで該粘着層を圧着させた状態に保ち、その後被験体の表面から該粘着層を剥離して微生物を捕集する前項1又は2に記載の捕集方法。
4.前項1〜3のいずれか一に記載の方法で捕集した微生物を、標識物質により検出する微生物の試験方法。
5.前記標識物質が蛍光材料である前項4に記載の試験方法。
6.被験体表面の微生物の捕集に使用する水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シート。
7.前項6に記載の微生物試験用粘着シートを含む微生物試験キット。
1.水もしくは親水性媒体で濡れた、及び/又は水もしくは親水性媒体で濡らした被験体の表面に、水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シートの粘着層を圧着、剥離して被験体表面の微生物を捕集する微生物の捕集方法。
2.水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シートの粘着層に、水もしくは親水性媒体を散布した後、被験体の表面に該粘着層を圧着、剥離して微生物を捕集する捕集方法。
3.被験体表面に、微生物試験用粘着シートの粘着層を圧着し、湿潤状態の該粘着層が乾燥するまで該粘着層を圧着させた状態に保ち、その後被験体の表面から該粘着層を剥離して微生物を捕集する前項1又は2に記載の捕集方法。
4.前項1〜3のいずれか一に記載の方法で捕集した微生物を、標識物質により検出する微生物の試験方法。
5.前記標識物質が蛍光材料である前項4に記載の試験方法。
6.被験体表面の微生物の捕集に使用する水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シート。
7.前項6に記載の微生物試験用粘着シートを含む微生物試験キット。
本発明の微生物の捕集方法により、被験物表面が湿潤しているか否かにかかわらず被験面の微生物を捕集することができる。また、本発明に使用する粘着シートに捕集された微生物は、その生死にかかわらず培養することなく標識物質により検出される。本発明の微生物の捕集方法及びその試験方法により、微生物を捕集したときのリアルタイムでの微生物数を、迅速かつ簡便にモニタリングすることができる。
本発明の微生物の捕集方法に使用する粘着シートは、水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層が基材上に積層された構造を有する。該湿潤性粘着層は、被験面上の微生物を捕集するのに十分な粘着性を発現するとともに、平滑な表面構造を有する層である。
本発明の微生物の捕集方法に使用される湿潤性粘着層に備えられる粘着剤は、水又は親水性媒体の存在下で粘着性を発揮しうる性質の湿潤性粘着剤であり、被験面の微生物を捕集しうる粘着性が発現されるものであれば特に限定されない。
このような粘着剤として、例えばポリエチレンオキサイド、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体のハーフエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアーガム等を用いることができる。又これらの2種以上の化合物の混合物や共重合体であっても良い。また、必要に応じて、粘着付与剤、架橋剤、充填剤など通常の粘着シートに常用の添加剤を配合することができる。
このような粘着剤として、例えばポリエチレンオキサイド、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体のハーフエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアーガム等を用いることができる。又これらの2種以上の化合物の混合物や共重合体であっても良い。また、必要に応じて、粘着付与剤、架橋剤、充填剤など通常の粘着シートに常用の添加剤を配合することができる。
また、捕捉した微生物を顕微鏡などで計測するに際しては、湿潤性粘着層に集積した微生物に焦点を合わすため、その表面の平滑度(凹凸差)は20μm以下であることが好ましい。平滑度が20μm以下であれば、顕微鏡の焦点の合致範囲が広くなり、計数が容易となる。平滑度は表面粗さ計あるいは電子顕微鏡などで微生物試験用粘着シートの断面を観察し、粘着層表面の凸部の頂点から凹部の最低点までの高度差を測定して求めることができる。
本発明に使用する粘着シートは、上記の湿潤粘着性組成物を含有する粘着層を少なくとも有する。この粘着シートは、粘着層のみからなるシート状物として使用しても良いが、
一般的な取扱が容易となり、さらに粘着シートの機械的強度が向上して剥離性能を一層向上させるために、その片面に保持層を有することが好ましい。
一般的な取扱が容易となり、さらに粘着シートの機械的強度が向上して剥離性能を一層向上させるために、その片面に保持層を有することが好ましい。
保持層は、被験物表面への貼付後における貼付層の乾燥速度や貼付前後における柔軟性を阻害することなく機械的強度の向上に寄与する限り、種々の材料からなる種々の構造のものを使用することができる。構造に関しては、織物、不織物、編み物、紙などの繊維の集合体類、および多孔性フィルム、透気性フィルムなどのフィルム類等のシート状物が例示される。就中、被験物表面の被貼付部位の曲面になじみ易い適度の伸縮性を有するものが特に好ましい。その材料は、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、セルロース、などの合成あるいは天然の有機高分子類が例示される。
本発明に使用される微生物試験用粘着シートは、自体公知の方法により製造することができる。例えば、粘着層に用いられる高分子化合物を含有する溶液を基材上に塗布し、室温から200℃で乾燥させることによって製造される。他にカレンダー法、キャスティング法や押出し成型法などの方法を用いることもできる。かくして得られたシートは任意の形状に裁断して使用することができる。
本発明に使用される微生物試験用粘着シートは、粘着層を無菌的に保存するために、粘着層上にさらに剥離層が積層されていることが好ましい。剥離層としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、表面をポリマー処理した紙、あるいはその他のフィルムやシートが例示される。
本発明に使用される微生物試験用粘着シートは、エチレンオキサイドなどのガス、電子線あるいはγ線などの放射線を照射することで滅菌を施すこともでき、滅菌した状態で微生物遮断性包材に封入することなどにより無菌状態を保持した形態をとることができる。
本発明の微生物の捕集方法は、上記微生物試験用粘着シートを用いて行われる。本発明において被験対象物は、該粘着シートを圧着し、剥離可能であれば特に限定されない。例えば、医療の現場では、医療設備、医療機器、医療器具等に適用することができ、例えば食品衛生の現場では、設備、食品衛生に関連する機器、器具、容器、道具等、該粘着シートを圧着し、剥離可能なものであれば食品そのものにも適用することができる。これらに限定されず、微生物試験を必要とするあらゆる箇所において、上記性質を有するものであれば被験対象物とすることができる。例えば、微生物をシングルセルのままで観察できるので、被験体の清浄度を迅速に測定する環境調査用などに利用することができる。
本発明の微生物の捕集方法は、具体的には次のとおりである。
上記微生物試験用粘着シートの湿潤性粘着層の粘着面を、水又は親水性媒体を介して、被験面に圧着させ、該粘着面の粘着力により被験面上の微生物を粘着させる。その後、該粘着シートを剥離して被験面に存在する微生物を該粘着面に効率的に捕集する。
粘着面の粘着力を発揮させるためには、該湿潤性粘着層と水又は親水性媒体が共存状態であることが必要である。そのため、該粘着シートを被験面に圧着させる際に被験面が水又は親水性媒体等で濡れていない場合は、圧着前に被験面である固体表面若しくは該粘着シートの湿潤性粘着層に、無菌の水又は親水性媒体を散布する。散布する水又は親水性媒体は、湿潤性粘着層に粘着性を発現するものであれば特に限定されないが、親水性媒体として、例えばエチルアルコールやメチルアルコール等が挙げられる。
上記微生物試験用粘着シートの湿潤性粘着層の粘着面を、水又は親水性媒体を介して、被験面に圧着させ、該粘着面の粘着力により被験面上の微生物を粘着させる。その後、該粘着シートを剥離して被験面に存在する微生物を該粘着面に効率的に捕集する。
粘着面の粘着力を発揮させるためには、該湿潤性粘着層と水又は親水性媒体が共存状態であることが必要である。そのため、該粘着シートを被験面に圧着させる際に被験面が水又は親水性媒体等で濡れていない場合は、圧着前に被験面である固体表面若しくは該粘着シートの湿潤性粘着層に、無菌の水又は親水性媒体を散布する。散布する水又は親水性媒体は、湿潤性粘着層に粘着性を発現するものであれば特に限定されないが、親水性媒体として、例えばエチルアルコールやメチルアルコール等が挙げられる。
水又は親水性媒体の共存下で被験面に圧着した微生物試験用粘着シートを剥離し、被験面の微生物を粘着面に捕集する。水又は親水性媒体が多すぎる場合は、該粘着シートの剥離時に湿潤性粘着層の一部が被験面に残ることを防止するため、必要に応じて、剥離前に該粘着シートを自然乾燥或いは送風乾燥させることができる。
試験対象となる微生物は、細菌や放線菌などの原核生物、酵母やカビなどの真核生物、下等藻類、ウイルス、動植物の培養細胞等が挙げられる。
上記により得られた被験面の微生物を捕集した微生物試験用粘着シートについて、粘着面に捕集した微生物を標識物質により標識し、該標識を直接計測することで、微生物試験を行うことができる。
上記により得られた被験面の微生物を捕集した微生物試験用粘着シートについて、粘着面に捕集した微生物を標識物質により標識し、該標識を直接計測することで、微生物試験を行うことができる。
微生物の計測は、例えば次のようにして行うことができる。
微生物を捕集した該粘着シートの面を、標識物質等を含有する水溶液に浸す。本発明の試験方法に使用される標識物質は、色素、発光物質、蛍光物等が挙げられる。例えば微生物を染色しうる溶液、又は微生物と反応して発色しうる物質等を含む溶液等と、微生物を接触させることにより標識することができる。または、微生物に含まれる細胞成分や、細胞から放出される物質を標識しうるものであってもよい。
微生物を捕集した該粘着シートの面を、標識物質等を含有する水溶液に浸す。本発明の試験方法に使用される標識物質は、色素、発光物質、蛍光物等が挙げられる。例えば微生物を染色しうる溶液、又は微生物と反応して発色しうる物質等を含む溶液等と、微生物を接触させることにより標識することができる。または、微生物に含まれる細胞成分や、細胞から放出される物質を標識しうるものであってもよい。
その代表的なものとして、核酸やタンパク質を染色する蛍光染色液が挙げられる。さらに具体的な発色性染料としては、微生物一般を対象とする場合は、蛍光性核酸塩基類似体、核酸を染色する蛍光染色剤、タンパク質を染色する染色液、タンパク質などの構造解析に用いられる環境性蛍光プローブ、細胞膜や膜電位の解析に用いられる染色液、蛍光抗体の標識に用いられる染色液などが挙げられる。さらに、好気性菌を対象とする場合は細胞の呼吸よって染色する染色液などが、真核微生物を対象とする場合はミトコンドリアを染色する染色液、ゴルジ体を染色する染色液、小胞体を染色する染色液、細胞内エステラーゼと反応する染色液及びその修飾化合物などが、高等動物細胞を対象とする場合は骨組織の観察に用いられる染色液、神経細胞トレーサーである染色液などが挙げられる。
これらの発色性物質の種類を選択することによって、すべての微生物を検出する全菌数測定、呼吸活性をもつ微生物のみを染色し計測する検定、あるいは複数の発色性物質を組み合わせた二重染色法を用いることによる特定の属や種の微生物を染色し計測する検定など、幅広い分野への適用が可能である。余剰な発色性物質を除去する必要があれば、無菌水などで微生物を捕集した面を濯いで洗浄することもできる。また、微生物を染色した後に微生物を捕集した面を乾燥する必要がある場合は、風乾、自然乾燥、減圧乾燥などにより乾燥させることができる。
微生物の検出又は計数は、肉眼による目視判定により、あるいは光学顕微鏡、蛍光顕微鏡などの顕微鏡観察により行うことができる。染色した微生物を顕微鏡観察することにより、特に発色性物質が蛍光染料の場合は、励起光下で顕微鏡観察することにより、検出機能が付与され、微生物を直接カウントすることができる。培養操作を必要としないので、コロニーのコンタミネーションの心配がなく、培養時における菌の変化を懸念することもない。
また、他の適当な光学機器を用いて光学的画像を形成させ、この像を画像解析することにより微生物を検出することができる。他の光学機器としては、微生物をレーザー光で高速スキャニングし、個々の微生物から得られたシグナルをグラフィカル表示するレーザースキャニングサイトメーターが例示される。本発明の微生物の試験は培養操作を要しないので、実質的に該粘着シートの粘着面上の微生物は、数分〜数十分以内に検出することができる。
また、他の適当な光学機器を用いて光学的画像を形成させ、この像を画像解析することにより微生物を検出することができる。他の光学機器としては、微生物をレーザー光で高速スキャニングし、個々の微生物から得られたシグナルをグラフィカル表示するレーザースキャニングサイトメーターが例示される。本発明の微生物の試験は培養操作を要しないので、実質的に該粘着シートの粘着面上の微生物は、数分〜数十分以内に検出することができる。
本発明は、微生物試験用粘着シートを用いた微生物の捕集方法の他、微生物の試験方法、微生物試験用粘着シート及び微生物試験用粘着シートを含む微生物試験キットも含む。微生物試験キットとしては、例えば微生物試験用粘着シートの他、染色液や顕微鏡観察に必要な器具等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(実施例1)
1)微生物試験用粘着シートの作製
重量平均分子量16万のポリビニルピロリドン50部、グリセリン6部、酸化チタン0.31部、二酸化ケイ素30部及び適量の無菌水を混合撹拌し、厚さ50μmのポリエチレンフィルムの上に均一に塗布した。その上に坪量25g/m2のポリエステル不織布の基材を積層し、乾燥した後、有効粘着面積が10cm2になるように裁断した。
1)微生物試験用粘着シートの作製
重量平均分子量16万のポリビニルピロリドン50部、グリセリン6部、酸化チタン0.31部、二酸化ケイ素30部及び適量の無菌水を混合撹拌し、厚さ50μmのポリエチレンフィルムの上に均一に塗布した。その上に坪量25g/m2のポリエステル不織布の基材を積層し、乾燥した後、有効粘着面積が10cm2になるように裁断した。
2)計測
ブドウ球菌培養液を無菌のリン酸緩衝液で希釈した液4μL(ブドウ球菌8.0×105個)をスライドガラスなどの表面に滴下し自然乾燥した面を被験物とした。被験物に無菌水10μLを滴下して、すぐに、ポリエチレンフィルムを剥がした微生物試験用粘着シートの湿潤性粘着層を被験物に圧着した。5分後に該粘着シートを剥離してブドウ球菌を捕集した。次に、核酸を染色する蛍光染色剤でブドウ球菌を染色した。菌を捕集した粘着面を、ジメチルスルホキシドに溶解した3mM SYTO9(Molecular Probes Inc.社製)を無菌脱イオン水で670倍に希釈した染色液を滴下した後、自然乾燥し、490nmの励起波長の蛍光顕微鏡(倍率1,000倍)を用いて黄緑色に染色された菌数を測定した。
測定結果は、比較例1の結果とともに表1に示す。
拭き取りメンブレンフィルタ法に比べて、同等以上の菌を検出した。
ブドウ球菌培養液を無菌のリン酸緩衝液で希釈した液4μL(ブドウ球菌8.0×105個)をスライドガラスなどの表面に滴下し自然乾燥した面を被験物とした。被験物に無菌水10μLを滴下して、すぐに、ポリエチレンフィルムを剥がした微生物試験用粘着シートの湿潤性粘着層を被験物に圧着した。5分後に該粘着シートを剥離してブドウ球菌を捕集した。次に、核酸を染色する蛍光染色剤でブドウ球菌を染色した。菌を捕集した粘着面を、ジメチルスルホキシドに溶解した3mM SYTO9(Molecular Probes Inc.社製)を無菌脱イオン水で670倍に希釈した染色液を滴下した後、自然乾燥し、490nmの励起波長の蛍光顕微鏡(倍率1,000倍)を用いて黄緑色に染色された菌数を測定した。
測定結果は、比較例1の結果とともに表1に示す。
拭き取りメンブレンフィルタ法に比べて、同等以上の菌を検出した。
以上説明したように、本発明の微生物の捕集方法、微生物の試験方法、微生物試験用粘着シート及び微生物試験用粘着シートを含む微生物試験キットにより、簡便かつ迅速にリアルタイムでの微生物数をモニタリングすることができる。これにより、例えば、医療の現場では、医療設備、医療機器、医療器具等に適用することができ、例えば食品衛生の現場では、設備、食品衛生に関連する機器、器具、容器、道具や、上記性質を有するものであれば食品そのものにも適用することができる。これらに限定されず、微生物試験を必要とするあらゆる箇所において、上記性質を有するものであれば被験対象物とすることができる。例えば、微生物をシングルセルのままで観察できるので、被験体の清浄度を迅速に測定する環境調査用などに利用することができる。
Claims (7)
- 水もしくは親水性媒体で濡れた、及び/又は水もしくは親水性媒体で濡らした被験体の表面に、水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シートの粘着層を圧着、剥離して被験体表面の微生物を捕集する微生物の捕集方法。
- 水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シートの粘着層に、水もしくは親水性媒体を散布した後、被験体の表面に該粘着層を圧着、剥離して微生物を捕集する捕集方法。
- 被験体表面に、微生物試験用粘着シートの粘着層を圧着し、湿潤状態の該粘着層が乾燥するまで該粘着層を圧着させた状態に保ち、その後被験体の表面から該粘着層を剥離して微生物を捕集する請求項1又は2に記載の捕集方法。
- 請求項1〜3のいずれか一に記載の方法で捕集した微生物を、標識物質により検出する微生物の試験方法。
- 前記標識物質が蛍光材料である請求項4に記載の試験方法。
- 被験体表面の微生物の捕集に使用する水又は親水性媒体の存在で粘着性を発揮する湿潤性粘着層を有する微生物試験用粘着シート。
- 請求項6に記載の微生物試験用粘着シートを含む微生物試験キット。
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