JP2005228808A - 半導体デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 半導体基板上に形成された結晶質半導体膜の結晶性が優れ、結晶質半導体膜の表面が優れた平坦性を有している半導体デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体基板上に結晶質半導体膜を形成した半導体デバイスの製造方法であって、半導体基板上に非晶質半導体膜を形成する非晶質半導体膜形成工程(S101)と、非晶質半導体膜に第1のレーザ光を照射することにより、非晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させる第1のレーザ光照射工程(S102)と、非晶質半導体膜を結晶化して結晶質半導体膜に変換する結晶化工程(S103)と、結晶質半導体膜上にキャップ膜を形成するキャップ膜形成工程(S104)と、結晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させるエネルギ量を有しない第2のレーザ光を、キャップ膜を介して結晶質半導体膜に照射する第2のレーザ光照射工程(S105)とを含む半導体デバイスの製造方法である。
【選択図】 図1
【解決手段】 半導体基板上に結晶質半導体膜を形成した半導体デバイスの製造方法であって、半導体基板上に非晶質半導体膜を形成する非晶質半導体膜形成工程(S101)と、非晶質半導体膜に第1のレーザ光を照射することにより、非晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させる第1のレーザ光照射工程(S102)と、非晶質半導体膜を結晶化して結晶質半導体膜に変換する結晶化工程(S103)と、結晶質半導体膜上にキャップ膜を形成するキャップ膜形成工程(S104)と、結晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させるエネルギ量を有しない第2のレーザ光を、キャップ膜を介して結晶質半導体膜に照射する第2のレーザ光照射工程(S105)とを含む半導体デバイスの製造方法である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、レーザ光を用いて非晶質半導体膜を結晶化した半導体デバイスの製造方法に関するものである。
一般的に、半導体デバイスの製造方法として、単結晶シリコンを用いる方法があるが、この製造方法の他にもガラス基板上にシリコン薄膜を形成したシリコン薄膜を用いる製造方法がある。ガラス基板上に形成したシリコン薄膜を用いることによって製造された半導体デバイスは、イメージセンサやアクティブマトリクス液晶表示装置の一部として用いられる。
アクティブマトリクス液晶表示装置において、半導体デバイスは、透明な基板上に規則的なアレイとして配列されるTFT(Thin Film Transisitor;薄膜トランジスタ)として用いられる。そして、アクティブマトリクス液晶表示装置における各TFTは、それぞれ画素コントローラとして作用する。
従来、アクティブマトリクス液晶表示装置におけるTFTは、ガラス基板上に非晶質シリコン膜を形成することによって製造されていた。ところが、近年、電子の移動度の低い非晶質シリコン膜の代わりに、電子の移動度の高い多結晶シリコン膜を用いて、TFTのスイッチング特性を増強し、表示速度を高速化したTFT液晶表示装置が製造されるようになってきている。ここで、多結晶シリコン膜を製造する方法として、たとえば、ガラス基板上に堆積している非晶質シリコン膜または微結晶シリコン膜にエキシマレーザ光を照射して多結晶シリコン膜を形成する方法(ELC法)がある。
ELC法は、ガラス基板上に堆積されている非晶質または微結晶のシリコン膜に対し、一定速度で走査しながら、長さ200〜400mm、幅0.2〜1.0mm程度の線状のレーザ光を連続的に照射する方法である。このときレーザ光が照射された部分は、膜の厚さ方向全域に亘って溶融するのではなく、一部の領域を残したまま溶融する。このため、シリコン膜の未溶融領域と溶融領域との界面全面の至るところに結晶核が発生し、シリコン膜の最表層に向かって結晶が成長し、ランダムな方位の結晶粒が形成されるため、多結晶シリコン膜の結晶粒径は100〜200nmと非常に小さくなる。
多結晶シリコン膜の結晶粒界には不対電子が多数存在し、ポテンシャル障壁が形成されるため、多結晶シリコン膜の結晶粒界においては電子がよく散乱される。したがって、結晶粒界が少ない、つまり結晶粒径が大きい多結晶シリコン膜で形成されたTFTほど、一般に電界効果による電子の移動度が高くなる。
しかしながら、ELC法においては、未溶融領域と溶融領域との界面のランダムな位置で結晶化が起こる縦方向結晶成長となるので、大きな結晶粒径の多結晶シリコン膜を得ることが難しく、電界効果による電子の移動度の高いTFTを得ることが困難であった。また、ランダムに結晶化することに起因して、各TFT間の多結晶シリコン膜の構造に不均一性が生じるとともに、TFTアレイに、スイッチング特性の不均一性が生じてしまうという不具合が生じていた。また、このような不具合が生じると、TFT液晶表示装置において、1つの表示画面中に表示速度の速い画素と表示速度の遅い画素とが並存するという問題もあった。
さらに高性能なTFT液晶表示装置を得るためには、多結晶シリコン膜の結晶粒径を大きくすることや、結晶の方位を制御することなどが必要である。そこで、単結晶シリコンに近い性能を有する多結晶シリコン膜を得ることを目的として、数多くの提案がなされている。その中でも特に、ラテラル成長法に分類されるレーザ結晶化技術は、結晶の成長方向に方位が揃った長結晶が得られるため、注目を集めている。
ラテラル成長法の1つに、微細幅のパルスレーザ光を非晶質シリコン膜に照射し、照射された部分の非晶質シリコン膜をレーザ光の照射領域の厚さ方向全域に亘って溶融させ、その後に凝固させることを繰返して結晶化を行なう方法(SLS法)がある(たとえば、特許文献1参照)。この方法は、微細幅のパルスレーザ光を非晶質シリコン膜に照射し、非晶質シリコン膜をパルスレーザ光の照射領域の厚さ方向全域に亘って溶融させた後、凝固させることにより結晶化を行なうものである。
図12に、パルスレーザ光が照射される従来の被処理体の模式的断面図を示す。被処理体50は、光透過性を有する透明基板52と下地膜54と非晶質シリコン膜53とから構成される。そして、図12に示すように、非晶質シリコン膜53の延設方向(図12のAB方向)に沿って結晶領域を形成するにあたり、非晶質シリコン膜53の領域Cに熱を誘導する。熱の誘導は、非晶質シリコン膜53の領域C以外の領域をマスキングした後、非晶質シリコン膜53にレーザ光58を照射することにより行なわれる。これにより、領域Cに照射されたレーザ光58のエネルギが熱エネルギに変換され、領域Cに熱を誘導することができるとともに非晶質シリコン膜53を膜の厚さに亘って溶融することができる。
次に、領域Cにおいて溶融している非晶質シリコン膜53を冷却することによって凝固させると、図13(A)の模式的上面図に示すように、領域Cとそれ以外の領域との境界から、領域Cの中心に向かうようにして、結晶が成長する。さらに、図13(B)に示すように、領域Cにおける結晶が形成されていない部分が含まれるように、領域Cと隣り合う新たな領域Dを設定し、領域Cと同様にして領域Dを溶融する。そして、領域Dにて溶融されている部分を凝固させると、図13(C)に示すように領域Dに結晶が成長する。このような手順を繰返し、非晶質シリコン膜53の延設方向に沿って段階的に結晶化させると、図13(D)に示すように、非晶質シリコン膜53の結晶成長領域を拡大することができる。これにより結晶粒径の大きい結晶質半導体膜を形成することができる。
しかしながら、従来のラテラル成長法により結晶成長させる場合、十分な長さの結晶成長長さの結晶が得られる照射面積あたりのエネルギ量でレーザ光を照射すると、結晶質半導体膜の表面に、結晶質半導体膜の膜厚の1〜2倍程度の高さのリッジが発生する。このリッジは、結晶成長において、隣接する結晶粒が互いに衝突することにより形成されるものである。したがって、このような結晶質半導体膜を活性層に用いたTFTを作製する際に、結晶質半導体膜上にゲート絶縁膜を形成すると、結晶質半導体膜のリッジの上のゲート絶縁膜が薄くなることが推測される。このような局所的なゲート絶縁膜の薄膜化の結果、リッジの上のゲート絶縁膜に電界が集中するため、結晶質半導体膜のリッジには、リッジが形成されていない部分に比べて、低い電圧でリーク電流が流れることになる。このため、このような結晶質半導体膜を活性層に用いたTFTにおいては、ゲート絶縁膜の膜厚を厚くして、リーク電流を低減することが必要となる。しかしながら、ゲート絶縁膜の膜厚が増加するとともに、TFTのオン電流は減少する。したがって、結晶質半導体膜の表面のリッジには、TFTの性能低下を引き起こすという問題があった。
このような結晶質半導体膜の表面のリッジを低減させる方法として、非晶質半導体膜上にキャップ膜を形成した後にレーザ光を照射して結晶質半導体膜とする方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
しかしながら、本発明者らが実験を行なったところ、この方法では結晶質半導体膜の表面のリッジは低減されるものの、このときに成長した結晶は多数の亜粒界を含み、これが電子散乱の原因となるため、高移動度のTFTを得ることができなかった。これは、キャップ膜が存在することにより、半導体基板の表面上方への結晶成長が抑制されるため、成長した結晶の内部に大きな内部応力が発生し、この内部応力が緩和された結果、結晶内部に多数の亜粒界が形成されたものと推測される。
このように、従来の半導体デバイスの製造方法においては、表面の平坦性および結晶性に優れた結晶質半導体膜を得ることができなかった。
特許第3204986号公報
特開平6−97196号公報
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、半導体基板上に形成された結晶質半導体膜の結晶性が優れ、かつ、結晶質半導体膜の表面が優れた平坦性を有している半導体デバイスの製造方法を提供することにある。
本発明は、半導体基板上に結晶質半導体膜を形成した半導体デバイスの製造方法であって、半導体基板上に非晶質半導体膜を形成する非晶質半導体膜形成工程と、非晶質半導体膜に第1のレーザ光を照射することにより、非晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させる第1のレーザ光照射工程と、非晶質半導体膜を結晶化して結晶質半導体膜に変換する結晶化工程と、結晶質半導体膜上にキャップ膜を形成するキャップ膜形成工程と、結晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させるエネルギ量を有しない第2のレーザ光を、キャップ膜を介して結晶質半導体膜に照射する第2のレーザ光照射工程とを含む半導体デバイスの製造方法である。
ここで、本発明の半導体デバイスの製造方法において、結晶化工程は、第1のレーザ光の照射領域を段階的に移動させて結晶化領域を拡大させることにより行なわれることが好ましい。
また、本発明の半導体デバイスの製造方法において、結晶化工程は、非晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させるエネルギ量を有しない第3のレーザ光を非晶質半導体膜に照射した状態で行なわれることが好ましい。
また、本発明の半導体デバイスの製造方法において、キャップ膜形成工程は、第2のレーザ光の照射領域のうち一部の領域における反射率をその他の領域における反射率よりも低くする工程であることが好ましい。
本発明によれば、半導体基板上に形成された結晶質半導体膜の結晶性が優れ、かつ、結晶質半導体膜の表面が優れた平坦性を有している半導体デバイスの製造方法を提供することができる。
したがって、本発明によれば、結晶性に優れた結晶質半導体膜を活性層に用いることにより、電子の移動度が高いTFTを製造することができる。
また、本発明によれば、表面が優れた平坦性を有している結晶質半導体膜を活性層に用いることにより、活性層上に形成するゲート絶縁膜を厚くする必要がないため、TFTの性能低下を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本願の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
図1に、本発明の半導体デバイスの製造方法の好ましい一例のフローチャートを示す。ここで、本発明の半導体デバイスの製造方法は、半導体基板上に非晶質半導体膜を形成する非晶質半導体膜形成工程S101と、非晶質半導体膜に第1のレーザ光を照射することにより非晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させる第1のレーザ光照射工程S102と、非晶質半導体膜を結晶化して結晶質半導体膜に変換する結晶化工程S103と、結晶質半導体膜上にキャップ膜を形成するキャップ膜形成工程S104と、結晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させるエネルギ量を有しない第2のレーザ光をキャップ膜を介して結晶質半導体膜に照射する第2のレーザ光照射工程S105とを含む。
本発明の半導体デバイスの製造方法においては、非晶質半導体膜上にキャップ膜を形成することなく非晶質半導体膜に第1のレーザ光を照射して結晶化することによって、キャップ膜による半導体基板の表面上方への結晶成長が抑制されず、結晶質半導体膜を構成する結晶粒内に内部応力が発生しにくくなるため、従来よりも結晶粒内に亜粒界が形成されない傾向にある。
また、本発明の半導体デバイスの製造方法においては、結晶質半導体膜を形成した後に結晶質半導体膜上にキャップ膜を形成し、結晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させるエネルギ量を有しない第2のレーザ光をキャップ膜を介して結晶質半導体膜に照射することによって、結晶質半導体膜の表面のリッジをなくし、結晶質半導体膜の表面を平坦化することもできる。
ここで、本発明において、「半導体デバイス」とは、半導体基板上に結晶質半導体膜が形成されている構造を含むデバイスのことであり、半導体基板と結晶質半導体膜以外の構造を有していてもよく、半導体基板と結晶質半導体膜との間に他の半導体膜を有していてもよい。また、「非晶質半導体膜」とは、非晶質である部分が結晶質である部分よりも多い半導体膜のことであり、半導体膜全体がすべて非晶質となっていなくてもよい。また、「結晶質半導体膜」とは、結晶質である部分が非晶質である部分よりも多い半導体膜のことであり、半導体膜全体がすべて結晶質となっていなくてもよい。
図2の模式的断面図に本発明の半導体デバイスの製造方法の製造工程の好ましい一例を示す。図2(A)において、本発明の半導体デバイスの製造方法に用いられる被処理体100は、半導体基板2上に形成されたバッファ膜5と、バッファ膜5上に形成された非晶質半導体膜3とからなる。ここで、半導体基板2は絶縁性であることが好ましく、ガラス基板や石英基板などを用いることができるが、安価である点および大面積基板を容易に製造できる点からガラス基板を用いることが好適である。
バッファ膜5は、主としてレーザ光による非晶質半導体膜3の溶融、結晶化の際に、溶融した非晶質半導体膜3の熱による影響が半導体基板2に及ばないようにするために形成される。さらに、バッファ膜5を形成することにより、半導体基板2から非晶質半導体膜3への不純物の拡散を防止することもできる。バッファ膜5としては、たとえば、膜厚が100〜300nmの、蒸着、イオンプレーティング、またはスパッタリングなどにより形成された、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
非晶質半導体膜3は、たとえば、膜厚が10nm〜100nmとなるように、プラズマエンハンスド化学気相成長(PECVD)、蒸着、またはスパッタリングなどにより形成される。非晶質半導体膜3としては、結晶質半導体膜における結晶成長長さを長くすることにより種々の特性(たとえば、電界効果による電子の移動度、閾値電圧などの値、およびこれらの値のばらつき)が顕著に向上するアモルファスシリコン膜を用いることが好ましい。非晶質半導体膜3の材質は、シリコンからなる材質に限られるものではなく、ゲルマニウムなどの他の元素を含んだシリコンを主成分とする材質を用いることもできる。
次に、図2(B)に示すように、非晶質半導体膜3に第1のレーザ光7を照射して非晶質半導体膜3を溶融させて液体状態とする。
図3は、本発明に用いられるレーザ光照射装置の構成図を示しており、このレーザ光照射装置は、第1のレーザ光発振器11と、可変減衰器12と、フィールドレンズ13と、投影マスク14と、結像レンズ15と、サンプルステージ16と、ミラー10a、10b、10cとを含んでいる。第1のレーザ光発振器11およびサンプルステージ16は、コントローラ17により制御されていて、第1のレーザ光7の照射タイミングおよびサンプルステージ16の位置を調整することができる。これにより、サンプルステージ16を図3中の矢印の方向に移動させることによって、第1のレーザ光7が照射されるエリアを移動させることができる。
このレーザ光照射装置において、第1のレーザ光発振器11から発振された第1のレーザ光7は可変減衰器12を通過した後に、ミラー10a、10bによって反射される。その後、第1のレーザ光7はフィールドレンズ13と投影マスク14とを通過する。そして、投影マスク14を通過した第1のレーザ光7は、結像レンズ15によって、投影マスク14の像として結像させられ、非晶質半導体膜3に照射される。
そして、第1のレーザ光7が照射された非晶質半導体膜3は溶融して液体状態となり、その後、液体状態にある非晶質半導体膜3は冷却されて固化することによって結晶化し、図2(C)に示す結晶質半導体膜4に変換される。
ここで、第1のレーザ光7は、1回の照射および照射面積あたり、固体状態にある非晶質半導体膜3を溶融させるエネルギ量を有している。具体的には、第1のレーザ光7は、非晶質半導体膜3を、全膜厚において融点以上の温度に加熱することのできるエネルギ量を有していることが推奨される。
第1のレーザ光7は、非晶質半導体膜3を溶融することが可能であれば特に限定されるものでないが、たとえば、エキシマレーザ光、YAGレーザに代表される各種固体レーザから発振されるレーザ光の三倍波などの紫外領域の波長を有することが好ましい。第1のレーザ光7が紫外領域の波長を有する場合には、第1のレーザ光7のエネルギ量が大きくなるため、容易に非晶質半導体膜3を結晶質半導体膜4に変換することができる傾向にあるためである。中でも、第1のレーザ光7は、パルス放射可能な波長308nmのエキシマレーザ光であることが特に好ましい。第1のレーザ光7がエキシマレーザ光である場合には、本発明に必要となるエネルギ量を有するレーザ光を安定して発振することができるレーザ光発振器を比較的容易に安価で入手することが可能であるためである。
また、非晶質半導体膜3を結晶質半導体膜4に変換する結晶化工程は、第1のレーザ光の照射領域を段階的に移動させて結晶化領域を拡大させること(SLS法)により行なわれることが好ましい。第1のレーザ光7の照射による溶融後に非晶質半導体膜3を冷却することによって凝固させると、第1のレーザ光7の照射領域とそれ以外の領域との境界から、第1のレーザ光7の照射領域の中心に向かうようにして、結晶が成長する。次いで、第1のレーザ光7の照射領域における結晶が形成されていない部分が含まれるようにして、この領域と隣り合う新たな領域を設定し、この新たな領域に第1のレーザ光7を照射して溶融させた後に凝固させると、この新たな領域に結晶が成長する。このような手順を繰返し、非晶質半導体膜3の延設方向に沿って段階的に結晶化させると、結晶成長領域を拡大することができる。これにより、結晶成長方向が揃った、結晶粒径の大きい結晶質半導体膜を形成することができる。
図4に本発明に用いられるレーザ光照射装置の他の好ましい一例の構成図を示す。このレーザ光照射装置は、第1のレーザ光発振器11とともに第3のレーザ光発振器20を備えていることに特徴がある。
すなわち、図4に示すレーザ光照射装置において、第1のレーザ光発振器11から発振された第1のレーザ光7が非晶質半導体膜3に照射され、非晶質半導体膜3を溶融させて液体状態にするとともに、液体状態にある非晶質半導体膜3の固化による結晶化の際に、第3のレーザ光発振器20から、非晶質半導体膜3を膜の厚みに亘って溶融させるエネルギ量を有しない第3のレーザ光8が発振され、第3のレーザ光8はエキスパンダやホモジナイザ等から構成される光学素子群21を通過してミラー10dによって反射された後に非晶質半導体膜3に照射される。これにより、液体状態にある非晶質半導体膜3の降温速度を低下させることができ、固化するまでの時間を長くすることができるため、液体状態にある非晶質半導体膜3の固化により生成する結晶質半導体膜4を構成する結晶の結晶成長長さを大幅に伸ばすことができる。
ここで、第3のレーザ光8は、第1のレーザ光7よりも、固体状態にある非晶質半導体膜3への吸収率が低い範囲の波長を有することが好ましい。この場合には、第3のレーザ光8は、非晶質半導体膜3を溶融することに寄与せず、非晶質半導体膜3の降温速度を低下させることにのみ寄与する傾向が大きくなるためである。
また、第3のレーザ光8は、第1のレーザ光7よりも、液体状態にある非晶質半導体膜3への吸収率が高い範囲の波長を有することが好ましい。この場合には、液体状態にある非晶質半導体膜3の降温速度をより効率的に低下させることができる傾向が大きくなるためである。
特に、第3のレーザ光8は、可視域から赤外域の波長を有することが好ましい。たとえば、第3のレーザ光8としては、波長532nmのYAGレーザ光、波長1064nmのYAGレーザ光または波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光などがある。
さらに、第3のレーザ光8の1回の照射および照射面積あたりのエネルギ量は、固体状態にある非晶質半導体膜3を溶融させるエネルギ量未満である。特に、第3のレーザ光8は、非晶質半導体膜3を融点以上の温度に加熱することのできないエネルギ量を有していることが推奨される。また、本発明においては、たとえば、図4に示すように、第1のレーザ光7を垂直方向から入射させ、第3のレーザ光8を斜め方向から入射させることもできる。
また、第1のレーザ光7は、たとえば、所定のパターンを形成した投影マスク14の像を、非晶質半導体膜3の表面上に第1のレーザ光7の照射領域として縮小投影するように照射される。この際、第3のレーザ光8の照射領域は、第1のレーザ光7の照射領域を包含する、第1のレーザ光7の照射領域よりも広い面積を有することが好ましい。この場合には、溶融して液体状態にある非晶質半導体膜3のすべての溶融領域の降温速度を低下させることができるため、均一な大きさの結晶が得られやすいためである。
また、第1のレーザ光7および第3のレーザ光8の照射時間と出力との関係は、図5に示す関係と同様の関係にあることが望ましい。ここで、第1のレーザ光7のパルス波形23は、時刻t=0の時点において第1のレーザ光7の照射が開始されることを示し、第3のレーザ光8のパルス波形24は、第3のレーザ光8が、時刻t=t1〜t2を除く時間帯では低出力で照射され、時刻t=t1〜t2の時間帯において高出力で照射されることを示している。
時刻t1の時点においては、第1のレーザ光7が照射されているため、非晶質半導体膜3は溶融し、液体状態にある。この液体状態にある非晶質半導体膜3に対して、第1のレーザ光7に加えて第3のレーザ光8を照射することにより、非晶質半導体膜3の降温速度を低下させることができ、固化するまでの時間を長くすることができることから、結晶質半導体膜4を構成する結晶の結晶成長長さを大幅に伸ばすことができる。
また、第1のレーザ光8の照射領域を移動させた後に、その移動前の照射領域に第3のレーザ光を照射して結晶化することを複数回繰り返すことによって、結晶成長方向の揃った、大きな結晶粒径の結晶を成長させることができる。
以上のようにして、図2(C)に示す結晶質半導体膜4を形成すると、成長した結晶が互いに衝突することによって、第1のレーザ光7の照射領域中央部付近に結晶質半導体膜4の表面から上方に突起するリッジ9が形成される。
そして、図2(D)に示すように、結晶質半導体膜4上にキャップ膜6が形成される。キャップ膜6は、所定の膜厚となるように、プラズマエンハンスド化学気相成長(PECVD)、蒸着、またはスパッタリングなどにより形成される。キャップ膜6は、たとえば二酸化シリコンからなる。
続いて、キャップ膜6を介して、結晶質半導体膜4に第2のレーザ光18の照射を行なう。このとき、照射される第2のレーザ光18のエネルギ量は、1回の照射および照射面積あたり、固体状態にある結晶質半導体膜4のうち、リッジ9が形成されていない領域を膜の厚みに亘って溶融することができるエネルギ量未満である。
ここで、結晶質半導体膜4上にキャップ膜6を形成することにより、リッジ9が発生している第1のレーザ光照射領域中央部付近における第2のレーザ光18に対する反射率が、リッジ9が発生していない第1のレーザ光照射領域中央部付近以外の領域における第2のレーザ光18に対する反射率よりも低くなっていることが好ましい。この場合には、リッジ9が発生している第1のレーザ光照射領域中央部付近に第2のレーザ光18がよく吸収されるため、リッジ9をより効率的に溶融させることができる。
たとえば、図6の模式的上面図に示すように、第1のレーザ光照射領域の幅25がW、結晶成長長さ29がLで表わされる場合に、第1のレーザ光照射領域中央部27から第1のレーザ光照射領域端部28に向かって、少なくとも(W/2−9L/10)だけ離れた地点19a、19bまで第2のレーザ光に対する反射率の低いキャップ膜が形成され、それ以外の領域には、第2のレーザ光に対する反射率の高いキャップ膜が形成されているか、またはキャップ膜が形成されていないことによって第2のレーザ光に対する反射率を高くすることが好ましい。第2のレーザ光に対する反射率の低いキャップ膜を形成する領域がこれよりも狭い場合には、リッジを完全にキャップ膜で覆うことができなくなり、結晶質半導体膜4の表面の平坦化効果が小さくなる傾向にある。また、第2のレーザ光に対する反射率の低いキャップ膜を形成する領域がこれよりも広い場合にも、結晶質半導体膜4が再度、溶融し、結晶化する領域が広くなって、結晶質半導体膜4の表面上に新たなリッジが形成されるため、結晶質半導体膜4の表面の平坦化効果が小さくなる。
また、この場合には、第2のレーザ光に対する反射率の低いキャップ膜が形成されている低反射率領域26を選択的に加熱することができる。このため、リッジが形成されていない領域を溶融することなく、リッジが形成されている領域を溶融するように、第2のレーザ光のエネルギ量を調整することが容易になる。ここで、結晶成長長さ29とは、結晶成長が開始する第1のレーザ光照射端部28から、結晶成長が完了している部分までの長さのことをいう。
このように第2のレーザ光をキャップ膜を介して結晶質半導体膜に照射すると、リッジが再度溶融し、結晶化して、結晶質半導体膜全体としての表面の平坦性が改善される。
その後、キャップ膜が除去されて、図2(E)に示す半導体デバイス1が完成する。
(実施の形態1)
まず、図2(A)に示すように、ガラスからなる半導体基板2上に、二酸化シリコン膜からなるバッファ膜5を形成し、バッファ膜5上に、アモルファスシリコン膜からなる非晶質半導体膜3を形成して被処理体100を形成する。
まず、図2(A)に示すように、ガラスからなる半導体基板2上に、二酸化シリコン膜からなるバッファ膜5を形成し、バッファ膜5上に、アモルファスシリコン膜からなる非晶質半導体膜3を形成して被処理体100を形成する。
バッファ膜5は、蒸着、イオンプレーティング、またはスパッタリングなどにより、半導体基板2上に、300nmの膜厚で積層される。そして、非晶質半導体膜3は、プラズマエンハンスド化学気相堆積(PECVD)、蒸着、またはスパッタリングなどによりバッファ膜5上に、50nmの膜厚で積層される。
次に、図3に示すレーザ光照射装置のサンプルステージ16に図2(A)に示す被処理体100を設置する。そして、図2(B)に示すように、非晶質半導体膜3に対し、第1のレーザ光7を照射し、非晶質半導体膜3を溶融させた後に固化することによって、多結晶シリコン膜からなる図2(C)に示す結晶質半導体膜4に変換する。
ここで、第1のレーザ光7として波長308nmのエキシマレーザ光を用い、1回の照射あたり、照射面積あたりのエネルギ量を200mJ/cm2、照射時間を約50nsとする。また、本実施の形態においては、第1のレーザ光7が照射される領域以外の領域における半導体基板2の温度を、室温(25℃)と同等の温度に維持した状態で第1のレーザ光7の照射を行なう。
すると、図2(C)に示すように、第1のレーザ光7の照射領域中央部付近にリッジ9が発生する。
続いて、HF洗浄によって結晶質半導体膜4の表面の自然酸化膜を除去した後、図2(D)に示すように、二酸化シリコン膜からなるキャップ膜6が形成される。
キャップ膜6は、蒸着、イオンプレーティング、またはスパッタリングなどにより、結晶質半導体膜4上に形成される。また、ここでは、図6に示す第1のレーザ光照射領域の幅25が20μmであり、一回の第1のレーザ光照射による結晶成長長さ29が2μmとなるため、第1のレーザ光照射領域中央部27から第1のレーザ光照射領域端部28に向かって8.2μmだけ離れた地点19a、19bまでを低反射率領域26とし、低反射率領域26には50nmの膜厚で、低反射率領域26以外の領域には100nmの膜厚でキャップ膜6を形成する。
ここで、キャップ膜6を介して結晶質半導体膜4に第2のレーザ光18の照射を行なう場合には、第2のレーザ光18の種類、キャップ膜6の種類および膜厚、結晶質半導体膜4の膜厚などに依存して、反射率が変化する。図7に、二酸化シリコンからなるキャップ膜の膜厚とエキシマレーザ光の反射率との関係を示す。キャップ膜の膜厚が100nmの場合には、エキシマレーザ光に対する反射率は最大となり、キャップ膜の膜厚が50nmの場合には、エキシマレーザ光に対する反射率は最低となる。したがって、この結果、低反射率領域26を選択的に加熱することができる。
そして、図2(D)に示すように、第2のレーザ光18の照射を行なう。ここで、第2のレーザ光18としては、波長308nmのエキシマレーザ光を用い、一回の照射あたり、照射面積あたりのエネルギ量を150mJ/cm2とし、照射時間を約50nsとする。また、本実施の形態においては、第2のレーザ光18が照射される領域以外の領域における半導体基板2の温度を室温(25℃)と同等の温度に維持した状態で第2のレーザ光18の照射を行なう。
第2のレーザ光18の照射後、キャップ膜6をHFにより除去することによって、図2(E)に示す半導体デバイス1が完成する。
ここで、図8に、第2のレーザ光を照射していない平坦化前の多結晶シリコン膜からなる結晶質半導体膜(シリコン膜A)、第2のレーザ光を照射して平坦化した後の結晶質半導体膜(シリコン膜B)、および、従来技術に従って平坦化した後の結晶質半導体膜(シリコン膜C)の膜表面の凹凸について、原子間力顕微鏡により測定した結果を示す。なお、図8に示す結晶質半導体膜表面の凹凸は、リッジ部分と非リッジ部分間の距離で表記してある。また、シリコン膜Cは、ガラス基板上に50nmの膜厚であるアモルファスシリコン膜を形成し、このアモルファスシリコン膜上に50nmの膜厚である二酸化シリコンからなるキャップ膜を形成した後、レーザ光を照射して結晶化された多結晶シリコン膜である。その他の製造方法、製造条件は、本実施の形態と同様である。
図8に示すように、平坦化前のシリコン膜Aでは高かったリッジが、シリコン膜Bでは、シリコン膜C程度まで低減されている。これは、本実施の形態においては、キャップ膜を形成した後に第2のレーザ光を照射したため、リッジが形成されている領域が、再度、溶融、結晶化することにより、微小な凸凹に変化したためである。
次に、シリコン膜A、シリコン膜Bおよびシリコン膜Cの表面をSEM(Scanning Electron Microscope)により結晶観察を行なった。その結果を図9に示す。なお、結晶観察は、各シリコン膜(シリコン膜A、シリコン膜B、シリコン膜C)についてSECCOエッチングを行なった後の表面について行なった。また、図9(A)はシリコン膜Aの膜表面をSEMによって撮影した膜表面像であり、図9(B)はシリコン膜Bの膜表面をSEMによって撮影した膜表面像であり、図9(C)はシリコン膜Cの膜表面をSEMによって撮影した膜表面像である。
図9に示すように、本実施の形態に従うシリコン膜Aおよびシリコン膜Bにおいては、従来技術に従うシリコン膜Cに比べて、結晶粒30内に形成される亜粒界31の数が極めて少なかった。これは、本実施の形態による結晶化によれば、結晶化時に非晶質半導体膜3上にキャップ膜が形成されていないため、半導体基板の表面から上方に向かう方向の結晶成長が抑制されず、成長結晶内に発生する内部応力が非常に小さく、結晶粒30内に亜粒界31が形成されないことによるものと考えられる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、結晶を成長させる方法として、SLS法を用いることに特徴がある。SLS法によれば、1回の第1のレーザ光の照射によって、結晶を延設方向に成長させることができる。したがって、第1のレーザ光の照射が行なわれる毎に、第1のレーザ光の照射領域を段階的に移動(ステップ移動)させることで、結晶領域を段階的に拡大することができる。これにより、本発明によって得られる半導体デバイスにおける各結晶の成長方向を延設方向に揃えることが可能となる。
本実施の形態においては、結晶を成長させる方法として、SLS法を用いることに特徴がある。SLS法によれば、1回の第1のレーザ光の照射によって、結晶を延設方向に成長させることができる。したがって、第1のレーザ光の照射が行なわれる毎に、第1のレーザ光の照射領域を段階的に移動(ステップ移動)させることで、結晶領域を段階的に拡大することができる。これにより、本発明によって得られる半導体デバイスにおける各結晶の成長方向を延設方向に揃えることが可能となる。
本実施の形態においては、図6に示す第1のレーザ光照射領域の幅25を20μmとし、ステップ移動量を1μmとして、10回のステップ移動が行なわれる。
すると、10回目の第1のレーザ光照射領域中央部付近にリッジが形成され、このリッジを実施の形態1と同様にして結晶質半導体膜の表面を平坦化する。その結果、本実施の形態においても、図7に示すように、平坦化前の結晶質半導体膜(シリコン膜A)、平坦化後の結晶質半導体膜(シリコン膜B)および従来のシリコン膜Cの関係は、シリコン膜Bはシリコン膜Aよりも平坦化し、シリコン膜Cと同等程度になった。なお、シリコン膜Cは、ガラス基板上に50nmの膜厚であるアモルファスシリコン膜を形成し、このアモルファスシリコン膜上に50nmの膜厚である二酸化シリコンからなるキャップ膜を形成した後、SLS法によりレーザ光を照射して形成された多結晶シリコン膜である。
次に、シリコン膜A、シリコン膜Bおよびシリコン膜Cの表面をSEM(Scanning Electron Microscope)により結晶観察を行なった。その結果を図10に示す。なお、結晶観察は、各シリコン膜(シリコン膜A、シリコン膜B、シリコン膜C)についてSECCOエッチングを行なった後の表面について行なった。また、図10(A)はシリコン膜Aの膜表面をSEMによって撮影した膜表面像であり、図10(B)はシリコン膜Bの膜表面をSEMによって撮影した膜表面像であり、図10(C)はシリコン膜Cの膜表面をSEMによって撮影した膜表面像である。
図10に示すように、本実施の形態に従うシリコン膜Aおよびシリコン膜Bにおいては、従来技術に従うシリコン膜Cに比べて、結晶粒30内に形成される亜粒界の数が極めて少なかった。これは、本実施の形態による結晶化によれば、結晶化時に非晶質半導体膜上にキャップ膜が形成されていないため、半導体基板の表面から上方に向かう方向の結晶成長が抑制されず、成長結晶内に発生する内部応力が非常に小さく、結晶粒30内に亜粒界31が形成されないことによるものと考えられる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、図4に示すレーザ光照射装置を用いて、アモルファスシリコン膜からなる非晶質半導体膜3に対し、第1のレーザ光7と第3のレーザ光8とを照射し、非晶質半導体膜3を多結晶シリコン膜からなる結晶質半導体膜に変換したことに特徴がある。
本実施の形態においては、図4に示すレーザ光照射装置を用いて、アモルファスシリコン膜からなる非晶質半導体膜3に対し、第1のレーザ光7と第3のレーザ光8とを照射し、非晶質半導体膜3を多結晶シリコン膜からなる結晶質半導体膜に変換したことに特徴がある。
ここで、本実施の形態においては、図5に示す第1のレーザ光7と第3のレーザ光8との照射時間と出力との関係において、第1のレーザ光7としては、波長308nmのエキシマレーザ光を用い、1回の照射あたり、照射面積あたりのエネルギ量を200mJ/cm2とし、照射時間を約50nsとしている。また、第3のレーザ光8としては、波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光を用い、1回の照射あたり、照射面積あたりのエネルギ量を約5mJ/cm2とし、照射時間を約3msとしている。
さらに、本実施の形態においては、第1のレーザ光7と第3のレーザ光8との照射領域以外の領域における半導体基板2の温度を、室温(25℃)と同等の温度に維持した状態で第1のレーザ光7と第3のレーザ光8の照射を行なう。
また、本実施の形態においては、第1のレーザ光7を半導体基板2の表面に対して垂直な方向から照射し、第3のレーザ光8を半導体基板2の表面に対して垂直な方向と30°の角度を為す角度で照射する。
このように、本実施の形態においては、第3のレーザ光8は、非晶質半導体膜3が溶融している間に照射される。そして、液体状態にある非晶質半導体膜3に対して、第1のレーザ光7に加えて第3のレーザ光8の照射を行なうことにより、非晶質半導体膜3の降温速度を低下させることができ、固化するまでの時間を延長することができるため、さらに大粒径の結晶を有する結晶質半導体膜を効率良く得ることができる。たとえば、20μmのスリット幅の第1のレーザ光を照射して結晶成長させた場合には、その結晶成長長さは約2μm程度となるが、本実施の形態によれば結晶成長長さを10μmとすることができる。
上述したように、非晶質半導体膜を結晶質半導体膜に変換した結果、第1のレーザ光の照射領域中央部付近にリッジが形成され、このリッジを実施の形態1と同様にして結晶質半導体膜の表面を平坦化する。その結果、本実施の形態においても、図7に示すように、平坦化前の結晶質半導体膜(シリコン膜A)、平坦化後の結晶質半導体膜(シリコン膜B)および従来のシリコン膜Cの関係は、シリコン膜Bはシリコン膜Aよりも平坦化し、シリコン膜Cと同等程度になった。なお、シリコン膜Cは、ガラス基板上に50nmの膜厚であるアモルファスシリコン膜を形成し、このアモルファスシリコン膜上に50nmの膜厚である二酸化シリコンからなるキャップ膜を形成した後、レーザ光を照射して形成された多結晶シリコン膜である。
次に、シリコン膜A、シリコン膜Bおよびシリコン膜Cの表面をSEM(Scanning Electron Microscope)により結晶観察を行なった。その結果を図11に示す。なお、結晶観察は、各シリコン膜(シリコン膜A、シリコン膜B、シリコン膜C)についてSECCOエッチングを行なった後の表面について行なった。また、図11(A)はシリコン膜Aの膜表面をSEMによって撮影した膜表面像であり、図11(B)はシリコン膜Bの膜表面をSEMによって撮影した膜表面像であり、図11(C)はシリコン膜Cの膜表面をSEMによって撮影した膜表面像である。
図11に示すように、本実施の形態に従うシリコン膜Aおよびシリコン膜Bにおいては、従来技術に従うシリコン膜Cに比べて、結晶粒30内に形成される亜粒界の数が極めて少なかった。これは、本実施の形態による結晶化によれば、結晶化時に非晶質半導体膜上にキャップ膜が形成されていないため、半導体基板の表面から上方に向かう方向の結晶成長が抑制されず、成長結晶内に発生する内部応力が非常に小さく、結晶粒30内に亜粒界31が形成されないことによるものと考えられる。
上述したように、実施の形態1〜3によれば、結晶粒が格段に大きく、かつ結晶性に優れた結晶で構成されている多結晶シリコン膜を得ることができる。このため、このような多結晶シリコン膜を活性層に用いることにより、電子の移動度が高いTFTを製造することができる。
また、実施の形態1〜3によれば、表面が優れた平坦性を有している多結晶シリコン膜を得ることができる。このため、このような多結晶シリコン膜を活性層に用いたTFTを製造する場合、活性層上に形成するゲート絶縁膜を厚くする必要がない。したがって、TFTの性能低下を防止することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、結晶性および表面の平坦性に優れた結晶質半導体膜を得ることができるので、本発明によって製造された半導体デバイスの一例であるTFTは、液晶表示装置の画素コントローラなどの表示素子として好適に利用される。
1 半導体デバイス、2 半導体基板、3 非晶質半導体膜、4 結晶質半導体膜、5 バッファ膜、6 キャップ膜、7 第1のレーザ光、8 第3のレーザ光、9 リッジ、10a,10b,10c,10d ミラー、11 第1のレーザ光発振器、12 可変減衰器、13 フィールドレンズ、14 投影マスク、15 結像レンズ、16 サンプルステージ、17 コントローラ、18 第2のレーザ光、19a,19b 地点、20 第3のレーザ光発振器、21 光学素子群、23 第1のレーザ光のパルス波形、24 第3のレーザ光のパルス波形、25 第1のレーザ光照射領域の幅、26 低反射率領域、27 第1のレーザ光照射領域中央部、28 第1のレーザ光照射領域端部、29 結晶成長長さ、30 結晶粒、31 亜粒界、50,100 被処理体、52 透明基板、53 非晶質シリコン膜、54 下地膜、58 レーザ光。
Claims (4)
- 半導体基板上に結晶質半導体膜を形成した半導体デバイスの製造方法であって、
前記半導体基板上に非晶質半導体膜を形成する非晶質半導体膜形成工程と、
前記非晶質半導体膜に第1のレーザ光を照射することにより、前記非晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させる第1のレーザ光照射工程と、
前記非晶質半導体膜を結晶化して前記結晶質半導体膜に変換する結晶化工程と、
前記結晶質半導体膜上にキャップ膜を形成するキャップ膜形成工程と、
前記結晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させるエネルギ量を有しない第2のレーザ光を、前記キャップ膜を介して前記結晶質半導体膜に照射する第2のレーザ光照射工程と、
を含むことを特徴とする、半導体デバイスの製造方法。 - 前記結晶化工程は、前記第1のレーザ光の照射領域を段階的に移動させて結晶化領域を拡大させることにより行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の半導体デバイスの製造方法。
- 前記結晶化工程は、前記非晶質半導体膜を膜の厚みに亘って溶融させるエネルギ量を有しない第3のレーザ光を前記非晶質半導体膜に照射した状態で行なわれることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体デバイスの製造方法。
- 前記キャップ膜形成工程は、前記第2のレーザ光の照射領域のうち一部の領域における反射率をその他の領域における反射率よりも低くする工程であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2004033724A JP2005228808A (ja) | 2004-02-10 | 2004-02-10 | 半導体デバイスの製造方法 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2011249607A (ja) * | 2010-05-27 | 2011-12-08 | V Technology Co Ltd | レーザアニール方法及び装置 |
JP2013157549A (ja) * | 2012-01-31 | 2013-08-15 | V Technology Co Ltd | レーザアニール装置及びレーザアニール方法 |
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2004
- 2004-02-10 JP JP2004033724A patent/JP2005228808A/ja not_active Withdrawn
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