JP2004265897A - 結晶化半導体素子およびその製造方法ならびに結晶化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より簡単に、半導体層の結晶粒径を大きくすることができる結晶化半導体層の製造方法ならびに結晶化装置を提供する。
【解決手段】半導体層2の表面に基板4よりも熱伝導率が高い熱拡散層1を形成した後、該熱拡散層1の上から半導体層2に対してレーザ光を照射する。これにより、従来よりも長く結晶が生成する結晶化半導体素子を製造することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体層2の表面に基板4よりも熱伝導率が高い熱拡散層1を形成した後、該熱拡散層1の上から半導体層2に対してレーザ光を照射する。これにより、従来よりも長く結晶が生成する結晶化半導体素子を製造することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を利用して製造される結晶化半導体素子の製造方法ならびに半導体層の結晶化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶やエレクトロルミネッセンス(EL)等を応用した表示装置に用いられている薄膜トランジスタは、非晶質もしくは多結晶のシリコンを活性層として用いている。このうち、多結晶シリコンを活性層とした薄膜トランジスタ(結晶化半導体素子)は、電子の移動度が非晶質シリコンを活性層とした薄膜トランジスタと比べて高いために、非晶質シリコンの薄膜トランジスタに比較して、多くの長所を有している。
【0003】
具体的には、例えば、多結晶シリコンを活性層とした薄膜トランジスタは、画素部分にスイッチング素子を形成するだけでなく、画素周辺部分に駆動回路や、一部の周辺回路を一枚の基板上に形成することができる。このため、別途ドライバICや駆動回路基板を表示装置に実装する必要がなくなるので、表示装置を低価格で提供することが可能となる。
【0004】
また、その他の長所としては、トランジスタの寸法を微細化できるので、画素部分に形成するスイッチング素子を小さくすることができ、高開口率化を図ることができる。このため、高輝度、高精細な表示装置を提供することが可能となる。
【0005】
上記のような、多結晶シリコンを活性層とした薄膜トランジスタ(結晶化半導体素子)を製造するには、例えば、ガラス基板にCVD法等で非晶質シリコン薄膜を形成した後、別途、非晶質シリコンを多結晶化する工程が必要となる。
【0006】
非晶質シリコンを多結晶化(結晶化)する工程としては、例えば、600℃以上の高温でアニールする高温アニール法等がある。しかし、上記方法によって多結晶シリコンを製造する場合、非晶質シリコンを積層している基板として、上記のような高温に絶えるだけの高価なガラス基板を使用する必要があり、表示装置の低価格化の阻害要因となっていた。ところが、近年では、レーザ光を用いて600℃以下の低温で非晶質シリコンの結晶化を行う技術が一般化されており、安価なガラス基板に多結晶シリコントランジスタを形成した表示装置を低価格で提供できるようになっている。
【0007】
レーザ光を用いた結晶化技術としては、例えば、非晶質(アモルファス)シリコン薄膜を形成したガラス基板を400℃程度に加熱して、上記ガラス基板を一定速度で走査させながら、長さ200〜400mm、幅0.2〜1.0mm程度の線状レーザビームを上記ガラス基板上に連続的に照射する方法が一般的である。この方法を用いると、アモルファスシリコン薄膜の厚さと同程度の平均粒径を有する多結晶シリコン薄膜を形成することができる。このとき、レーザビームが照射された部分の非晶質シリコンは、厚さ方向全域にわたって溶融するのではなく、一部の非晶質領域を残して溶融することとなる。これによって、レーザ照射領域全面にわたって、いたるところに結晶核が発生し、シリコン薄膜最表層に向かって結晶が成長し、ランダムな方位の結晶粒が形成されることとなる。
【0008】
ところが、さらに高性能な表示装置を得るためには、多結晶シリコンの結晶粒径を大きくすること、成長する結晶の方向を制御することが必要であり、単結晶シリコンに近い性能を得ることを目的として数多くの研究開発がなされている。
【0009】
具体的には例えば、特許文献1に結晶をより大きくするための技術が開示されている。
【0010】
その中でも特に、特許文献1にはスーパーラテラル成長と称する技術が開示されている。該特許文献1に記載の方法は、微細幅のパルスレーザをシリコン薄膜に照射し、シリコン薄膜をレーザ照射領域の厚さ方向全域にわたって溶融・凝固させて結晶化を行うものである。具体的には、パルスレーザをシリコン薄膜に照射し、シリコン薄膜をレーザ照射領域の厚さ方向全域にわたって溶融させ、溶融部分と未溶融部分の境界から横方向、すなわち、ガラス基板に水平な方向に結晶粒の成長を制御し、針状の結晶を得ている。
【0011】
このようなスーパーラテラル成長は、パルスレーザを1回照射した後、この照射によって形成された針状結晶の一部に重複させて、順次パルスレーザを照射することにより、既に成長した結晶を引き継いで、さらに長い針状の結晶が成長し、結晶の成長方向に方位の揃った大結晶が得られるといった特徴を有している。
【0012】
また、上記特許文献1に開示の半導体素子は、ガラス基板上に通常、不純物の拡散を防ぐために二酸化シリコンの膜を設け、さらに、その上に非晶質のシリコン膜を設けている。
【0013】
さらに、多結晶シリコンの製造方法の例としては、基板上に熱伝導率の異なる膜を積層し、その上に半導体層(アモルファスシリコン膜)を形成して、得られる膜の特性を向上させる構成が、特許文献2、特許文献3等に記載されている。つまり、特許文献2、3では、基板と半導体層との間に熱伝導率の異なる層を形成するようになっている。
【0014】
【特許文献1】
特表2000−505241号公報(公表日;2000年4月25日)
【0015】
【特許文献2】
特開2000−68520号公報(公開日;2000年3月3日)
【0016】
【特許文献3】
特開平6−296023号公報(公開日;1994年10月21日)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の発明による結晶粒の成長距離は、約1μm〜2μm程度にすぎず、大結晶粒を得るには、何度もパルスレーザの照射を繰り返す必要がある。特に、結晶成長距離が1μm程度である場合には、結晶を引き継いで成長させるためには、再度照射するパルスレーザを、前回の照射によって生成した結晶にオーバーラップさせて照射する必要があり、結果的に0.5μm程度ずらせることになる。ところが、常に0.5μmのずらせ量を得るためには、送り精度が0.1μm程度の分解能、すなわち極めて精度の高い送り機構が必要であり、装置のコストが増大する。また1回にわずかの量しか送り量を与えられないため、処理速度が遅いという問題点がある。
【0018】
また、特許文献2、3に開示のように、基板と半導体層との間に、熱伝導率の異なる層(熱拡散層)を設ける構成では、該熱拡散層は他の層に比べて熱拡散率が高いので、高温になった熱拡散層から、容易に基板方向に(基板に垂直方向に)熱が拡散し易い。このため、半導体層が急速に冷却されることとなり、半導体層の結晶成長が阻害されることとなる。
【0019】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、より簡単に、半導体層の結晶粒径を大きくすることができる結晶化半導体層の製造方法ならびに結晶化装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記の課題を解決するために、基板上に半導体層を形成する半導体層形成工程と、上記半導体層に、レーザ光を照射して該半導体層を結晶化させる結晶化工程とを含む結晶化半導体素子の製造方法であって、基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層を上記半導体層の表面に設ける熱拡散層形成工程を含み、上記結晶化工程では、上記熱拡散層の上から半導体層に対してレーザ光を照射することを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、半導体層の表面に熱拡散層を形成したあと、該熱拡散層の上から半導体層に対してレーザ光を照射するようになっている。この熱拡散層を半導体層の表面に設けることにより、レーザ光により融解した半導体層の冷却速度を従来と比べて遅くすることができる。具体的には、半導体層に対してレーザ光が照射されるとき、熱拡散層にもレーザ光が照射されることとなる。これにより、熱拡散層が蓄積した熱は、隣接する半導体層に流れることとなる。また、上記熱拡散層からの熱が、半導体層に与えられることにより、溶融している半導体層の温度分布を従来と比べて平準にすることができる。従って、溶融している半導体層が結晶化する際に、従来よりも生成する結晶の長さを長くすることができる。また、1回のレーザ光の照射によって生成する結晶の長さを従来と比べてより長くすることができるので、結晶化にかかる時間を短くすることができる。これにより、この製造方法によって製造される結晶化半導体素子に形成するデバイスの特性の向上が図れるとともに、低コストでデバイスを作製することができる。
【0022】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記結晶化工程の後に、熱拡散層を除去する除去工程を行う方法がより好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、半導体層の表面に形成された熱拡散層を除去することにより、従来と同様な半導体素子の構成、かつ、従来と比べて、結晶粒径の大きな結晶化半導体素子とすることができる。従って、例えば、熱拡散層を除去することにより、上記結晶化半導体素子を用いて様々なデバイスを作製する場合でも、従来と同等の工程を利用することができ、設備投資を押さえ、製造コストを低減することができる。
【0024】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記レーザ光に対する熱拡散層の光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さいことがより好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、照射するレーザ光に対する光吸収率が半導体層よりも小さい熱拡散層を用いることで、半導体層に照射されるレーザ光のエネルギーの大部分を与えることができる。つまり、半導体層の溶融をより好適に行うことができる。これにより、結晶化工程の効率を上げることができ、製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0026】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記結晶化工程では、波長が550nm以下のレーザ光を照射する方法がより好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、結晶化工程で、半導体層に対して、550nm以下の波長のレーザ光を照射するようになっている。より好ましくは、350nm以上550nm以下のレーザ光を照射するようになっている。上記波長のレーザ光を照射することにより、熱拡散層でのレーザ光の吸収を低減できるとともに半導体層でのレーザ光の吸収を大きく取ることができる。これにより、半導体層の結晶化の効率を高くできるので、結晶化半導体素子の製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0028】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、さらに、上記基板と半導体層との間に、基板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率層を形成する低熱伝導率層形成工程を含む方法がより好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、基板と半導体層との間に低熱伝導率層を形成するようになっている。これにより、レーザ光が半導体層に照射されることにより与えられた熱が、基板に流れることを防止することができる。つまり、溶解している半導体層の熱を逃げ難くすることができるので、半導体層の冷却速度を従来よりも遅くすることができる。これにより、結晶粒径が従来と比べてより一層大きい半導体層を有する結晶化半導体素子を製造することが出来る。
【0030】
本発明の結晶化半導体素子は、上記の課題を解決するために、上記製造方法によって製造されることを特徴としている。
【0031】
上記の構成によれば、上記製造方法によって半導体層の結晶化を行っているので、従来と比べて、より結晶粒径が大きい半導体層を有する結晶化半導体素子を提供することができる。
【0032】
本発明の結晶化装置は、上記の課題を解決するために、基板上に設けられた半導体層の表面に形成された、該基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層を有する半導体素子に対して、レーザ光を照射することにより該半導体層を結晶化させる結晶化手段を備えた半導体層の結晶化装置であって、上記結晶化手段は、波長が550nm以下のレーザ光を照射するようになっていることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、半導体層の表面に形成された熱拡散層を有する未結晶化半導体素子に対して、熱拡散層の上から半導体層に対して550nm以下の波長のレーザ光を照射するようになっている。
【0034】
そして、上記結晶化手段は、熱拡散層の上から半導体層に対してレーザ光を照射するようになっているので、該レーザ光によって溶解した半導体層の温度の低下を従来と比べて遅くすることができる。具体的には、熱拡散層を透過したレーザ光の一部は、熱拡散層に蓄積されることとなり、該蓄積された熱が半導体層に与えられることにより、半導体層の温度低下を抑制することができる。これにより、半導体層で生成する結晶を従来と比べて大きくすることが出来る。
【0035】
また、波長が550nm以下のレーザ光を、熱拡散層の上から半導体層に対して照射することによって、熱拡散層でのレーザ光の吸収を低減できるとともに半導体層でのレーザ光の吸収を大きく取ることができる結晶化装置を提供することができる。これにより、結晶化半導体素子の、結晶化の効率を高くでき、かつ、製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0036】
本発明の結晶化装置は、上記結晶化手段は、照射するレーザ光に対する上記熱拡散層の光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さくなるように、該レーザ光の波長が設定されている構成がより好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、熱拡散層でのレーザ光の吸収を低減できると同時に半導体層でのレーザ光の吸収を大きく取るようにレーザ光を照射することができるので、結晶化の効率を高くでき、結晶化時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0038】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0039】
本実施の形態にかかる結晶化半導体素子の製造方法は、基板上に半導体層を形成する半導体層形成工程と、上記半導体層に、レーザ光を照射して該半導体層を結晶化させる結晶化工程とを含む半導体素子の製造方法であって、基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層を上記半導体層表面に設ける熱拡散層形成工程を含み、上記結晶化工程では、上記熱拡散層の上からレーザ光を照射する方法である。
【0040】
そして、半導体層の結晶化が行われていない未結晶化半導体素子は、基板上に設けられ、かつ、非晶質状態または微結晶状態の半導体層の表面に、該基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層が形成されている構成である。
【0041】
図1は、本実施の形態にかかる結晶化半導体素子の製造方法によって製造される結晶化半導体素子の概略の構成を示す側面図である。上記結晶化半導体素子は、図1に示すように、ガラス基板(基板)4の上に、拡散防止層3、半導体層2、および、熱拡散層1が順に積層されている構成である。つまり、熱拡散層1は、半導体層2の表面に形成されており、半導体層2から見て基板が設けられている側と反対側に設けられている構成である。そして、熱拡散層1の半導体層2と接している反対側の表面は空気と接している。
【0042】
拡散防止層3は、ガラス基板4からの不純物の拡散を防ぐものである。本実施の形態では、拡散防止層3として二酸化シリコン膜を用いているが、特に限定されるものではなく、ガラス基板4からの不純物の拡散を防ぐことが出来れば他の材料からなる膜であっても良い。拡散防止層3として二酸化シリコン膜を用いる場合、該二酸化シリコン膜の形成方法としては、例えば、蒸着、スパッタ成膜、CVD等の方法により形成すればよい。拡散防止層3の厚さとしては、ガラス基板4からの不純物が半導体層2に拡散することを防止できる厚さであればよく、具体的には、0.05〜1μmの範囲内が好適である。
【0043】
そして、本実施の形態では、拡散防止層3の上に、半導体層2を設けている。半導体層2は通常アモルファスシリコンを用いる。また、半導体層2の成膜(層形成)方法としては、CVD法、スパッタ法、蒸着法等が挙げられる。半導体層2の厚さは、求められるトランジスタの特性や、プロセス条件などにより適宜設定すればよく、数十nm〜数百nmの範囲内がより好ましく、30〜100nmの膜厚(層厚)が特に好ましい。
【0044】
成膜直後の半導体層2は、通常はアモルファスであり、結晶化していない。成膜方法によれば、非常に小さい結晶の集合(微結晶)を得ることもできるが、いずれにせよ、それほど大きな結晶粒を得ることは困難である。したがって 、成膜直後の半導体層2に直接トランジスタを形成すると、前記トランジスタの電子移動度は低くなってしまう。従って、最終的に得られる半導体素子は、上記アモルファスの半導体層2を結晶化させている。つまり、本実施の形態にかかる半導体層2は、結晶化されている。なお、結晶化の方法については後述する。
【0045】
本実施の形態では、半導体層2の上に熱拡散層1が設けられている。具体的には半導体層2の表面に熱拡散層1が形成されている。熱拡散層1としては、ガラス基板4と比べて熱伝導率が大きい材料が用いられる。また、熱拡散層1は、さらに、拡散防止層3に比べて熱伝導率が大きい材料を用いることがより好ましい。
【0046】
さらに、熱拡散層1は、後述するレーザアニール処理(結晶化工程)において照射されるレーザ光に対する透過率が高い方が望ましい。具体的には、上記レーザ光に対する透過率が70%以上であることがより好ましい。透過率が70%よりも低い場合には、照射されるレーザ光が半導体層2まで透過し難くなり、該半導体層2の結晶化の効率が悪くなる場合がある。
【0047】
また、上記熱拡散層1の上記レーザ光に対する光吸収率が、半導体層2の光吸収率よりも小さいことがより好ましい。つまり、半導体層2を結晶化させるために照射するレーザ光に対する熱拡散層1の光吸収率は、半導体層2の上記レーザ光に対する光吸収率よりも小さいことがより好ましい。上記レーザ光に対する熱拡散層1の光吸収率が、半導体層2の光吸収率よりも大きい場合には、照射されるレーザ光が効率よく半導体層2に吸収されないこととなり、結晶化の効率が悪くなる場合がある。
【0048】
また、熱拡散層1の材料としては、窒化シリコン、窒化アルミニウム等の窒化物、および、酸化アルミニウム等の酸化物等が適している。熱拡散層1の厚さとしては、半導体層2の厚さを100%としたとき、50%〜400%の範囲内がより好ましい。具体的には、5nm〜200nmの範囲内の厚さが好適である。熱拡散層1の厚さが、半導体層2の厚さの50%よりも薄い場合には、熱拡散の効果が小さくなり、後述する結晶化工程において、半導体層2の結晶成長の促進効果がない場合がある。一方、熱拡散層1の厚さが、半導体層2の厚さの400%よりも厚い場合には、熱拡散層1自体を加熱するためのエネルギーが必要になり、照射するレーザ光のエネルギーが余計に必要になる場合がある。
【0049】
次に、上記半導体素子の製造方法について説明する。
【0050】
本実施の形態にかかる半導体素子の製造方法は、ガラス基板4上に半導体層2を形成する半導体層形成工程と、ガラス基板4よりも熱伝導率が高い熱拡散層2を上記半導体層2の表面に設ける熱拡散層形成工程と、上記熱拡散層1の上からレーザ光を照射して該半導体層2を結晶化させる結晶化工程とを含む方法である。
【0051】
上記半導体層形成工程では、ガラス基板4上に半導体層2を形成する。本実施の形態では、具体的には、ガラス基板4上に、予め拡散防止層3を形成しておき、この拡散防止層3の上に半導体層2を形成することとなる。すなわち、ガラス基板4の上に拡散防止層3、半導体層2が順に積層されることとなる。上記半導体層2を拡散防止層3の上に形成する方法としては公知であり、詳細な説明は省略する。
【0052】
熱拡散層形成工程では、半導体層2の表面に熱拡散層1を形成する。具体的には、スパッタ、真空蒸着、熱CVD、プラズマCVDなどの方法を用いて形成すればよく、また材料に応じて他の薄膜形成方法を用いることが可能である。なお、従来の半導体素子において、半導体層と基板との間に熱拡散層を設ける場合と同様の方法により、本実施の形態にかかる熱拡散層1を半導体層2の表面に形成してもよい。
【0053】
そして、半導体層2の表面に熱拡散層1を形成した後、該熱拡散層1の上からレーザ光を照射することにより半導体層2を結晶化させる(結晶化工程)。具体的には、表面に熱拡散層1が形成されている半導体層2に対して、レーザアニール処理(結晶化工程)を施す。
【0054】
以下に、レーザアニール処理のために用いる結晶化装置の構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施の形態にかかる結晶化装置の概略の構成を示す平面図である。上記結晶化装置は、図2に示すように、レーザ光源5、照射パターンを形成したフォトマスク11、対物レンズ9、および、ステージ10を備えている。また、結晶化装置は、必要に応じて、ホモジナイザ、エキスパンダ等の光学素子群6、およびフィールドレンズ8を備えていても良い。
【0055】
なお、上記結晶化装置は、半導体素子の所定の位置に、所定の放射照度の光を所定のパターンで照射できるものであればよく、前述した構成に限るものではない。
【0056】
ステージ10は、半導体層2が結晶化されていない状態の半導体素子を載置するものである。そして、該ステージ10は、半導体素子を、該半導体素子が載置されている面方向に駆動させることが出来るようになっている。
【0057】
レーザ光源(結晶化手段)5としては、パルス照射を行うことができるものがより好ましく、例えば、エキシマレーザを用いることができる。レーザ光源5としてエキシマレーザを用いる場合、該エキシマレーザーは、出射するレーザ光の波長が紫外線領域にあり、半導体層2に非常に吸収されやすいため好ましい。また、該エキシマレーザーのパルス幅は10〜数十nsであり、ほぼ瞬時に半導体層2を溶融させることができる。なお、該レーザ光源5によって溶解した半導体層2は、その後急速に冷却され、その過程で結晶化することとなる。
【0058】
また、レーザ光源5として、固体レーザを用いることも可能である。固体レーザとしては、Nd−YAG等の非線形光学結晶が、フラッシュランプ、または、半導体素子レーザ等により照射されることにより励起されて、レーザ発振を行うものである。該固体レーザは、エキシマレーザに必要なハロゲンガスが不要で、メンテナンスが楽になると言う利点がある。また、フラッシュランプを用いる代わりに半導体素子レーザを用いて励起する方法もあり、この場合は半導体素子レーザの発振効率が良いことと、半導体素子レーザの発振波長を、固体レーザの非線形光学結晶の吸収帯に一致させることで、高効率でレーザ発振が可能となる。このため消費電力、装置大きさがエキシマレーザやフラッシュランプの固体レーザに比べて、大幅な低減が可能である。
【0059】
また、固体レーザは非線形光学結晶を励起することで1.06μm近辺の波長のレーザ光を得ることができる。しかし、1.06μm近辺の波長のレーザ光を半導体層2に照射した場合、該波長のレーザ光は、半導体層2を構成しているアモルファスシリコンの吸収係数が小さく、アモルファスシリコンに光が吸収されにくく、溶融が起こり難い。このため、この波長のレーザ光を非線形光学結晶によって可視光に変換することが望ましい。非線形光学結晶としては、例えば、Nd−YAG、Nd−VO4等を用いることができる。そして、1.06μmの波長のレーザ光は、例えば、上記例示の非線形光学結晶を通過することにより、第2高調波波長として約532nm近辺の可視光に変換されることとなる。この約532nm近辺以下の波長であれば、アモルファスシリコンは吸収係数が大きくなり、レーザ光照射により、半導体層2の溶融が可能となる。すなわち、非晶質の(結晶化していない)半導体層2を結晶化するためには、結晶化手段は、波長が550nm以下のレーザ光を照射することが好ましい。そして、特に、結晶化手段は、波長が550nm以下の可視光領域のレーザ光を照射することが好ましい。なお、レーザ光源5から出射されるレーザ光の波長の詳細については後述する。
【0060】
レーザ光源5から出射されたビーム(レーザ光)は、エキスパンダにより適当なビームサイズに変換され、ホモジナイザにより、ビーム断面内の放射照度の一様化が図られ、フォトマスク11に照射される。ここでビームエキスパンダとは、望遠系または縮小系を有する光学系であり、フォトマスク11上の照射領域の大きさを決めるものである。ホモジナイザは、レンズアレイまたはシリンドリカルレンズアレイにより構成され、ビームを分割して再合成することで、マスク上の照射領域内での放射照度の一様化を図るものである。
【0061】
フォトマスク11は、マスク基板上に遮光部と開口部とを有し、開口部は、レーザ光源5から出射された光を通過させるものである。マスク基板としては、例えば、石英、ガラス等の材料が用いられ、遮光部としては、例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属薄膜、または、誘電体多層積層膜による反射もしくは吸収膜を用いることができる。
【0062】
フォトマスク11上に形成する開口部は、幅が1〜100μmの範囲内であるスリット状の形状、望ましくは幅が3〜50μmの範囲内であるスリット状の形状とし、これを単数、もしくは複数形成することが好適である。しかし、フォトマスク11の形状としては、特に限定されるものではない。
【0063】
対物レンズ9は、ホモジナイザを通過したレーザ光がフォトマスク11の開口部に照射されることによって形成されたの像を半導体素子の表面に結像させるものである。すなわち、半導体素子上には開口部の像が結像されることとなる。具体的には、レーザ光源5から出射されたレーザ光は、熱拡散層1の上から半導体素子上の半導体層2の一部に照明され、その他の部分は照明されない状態となる。このとき、上記レーザ光は、熱拡散層1が設けられている半導体層2の領域のみに照射することが好適である。これは、ガラス基板4全体に熱拡散層1を構成し、それに開口部の像を結像することで達成できるが、ガラス基板4の一部に表面熱拡散層1を設け、その熱拡散層1の領域のさらに一部分に開口像を結像させて、処理を行っても良い。
【0064】
このとき、半導体素子に像を結像させるときの光学倍率としては、等倍から1/10に設定することがより好ましい。すなわち、マスク上の開口部の大きさが、等倍像から1/10の大きさに縮小されて結像されるように構成することがより好ましい。対物レンズ9の解像力は、フォトマスク11上に設けられた開口部の像を半導体素子に結像する場合に、上記開口部の像が半導体素子上に形成される像として分解できる解像力に設定する。つまり、通常は半導体素子上に結像される像、すなわちスリットの幅を分解できる解像力に設定する。具体的には、対物レンズ9の開口数をNA、使用する波長をλとすると、解像力はおおむねλ/NAで表されるので、略この値になるように、開口部の幅を設定するか、解像力を開口部の幅に等しい、または、より小さな値にするように対物レンズの開口数を設定する。
【0065】
対物レンズ9により半導体素子上の半導体層2に開口部の像が結像されると、つまり、レーザ光源5からのレーザ光が照射されると、レーザ光が照射された部分の半導体層2は、上記レーザ光のエネルギーを吸収して溶融することとなる。その後、レーザ光の照射(パルス照射)が終了すると、溶融している半導体層2は、融点以下になり、急速に冷却され結晶化することとなる。このとき、結晶化される半導体層2は、図3に示すように、開口部の幅方向D、すなわち、照射されたレーザ光の幅方向に結晶13が成長して柱状の結晶となる。なお、図3は、半導体層2の結晶化の状態を示す正面図である。また、図3に示すように、半導体層2に形成された、開口部の像以外の部分12、すなわち、レーザ光が照射されない部分は溶融が生じず、アモルファス状態のままである。
【0066】
このような上記構成の結晶化装置を用いて、半導体層2の結晶化(レーザアニール処理)を行う。具体的には、上述したように、レーザ光源5から照射されたレーザ光を半導体層2に向かって、熱拡散層1の上から照射する。これにより、該熱拡散層1を透過したレーザ光は、半導体層2に照射されることとなる。そして、半導体層2のレーザ光が照射された部分は溶解することとなり、レーザ光が照射されなくなると、半導体層2の溶融している領域の温度が下がり、溶融している半導体層2は結晶化することとなる。この半導体層2の結晶化について以下に詳述する。
【0067】
従来の半導体素子の場合、すなわち、基板と半導体層との間に拡散防止層が形成された半導体素子の場合、溶融している半導体層が結晶化する際、結晶の成長距離Lは、1〜1.5μm程度にとどまることとなる。具体的には、基板上に結像される開口部の幅D(半導体素子に照射されるレーザ光の幅)を、例えば、5μmに設定した場合、溶融、結晶化の過程を通じて、レーザ光の端部から結晶が成長することとなるが、中央部の残り2〜3μmは微結晶またはアモルファスとなってしまい、開口部全面を結晶化する事ができない。この理由について以下に説明する。
【0068】
図4は、従来の構成における、ガラス基板16上の拡散防止層15上のアモルファスシリコン膜14にレーザ光を照射して融解させた後に、冷却して結晶化しつつある状態における該アモルファスシリコン膜14の温度分布を示したグラフである。つまり、図4に示す構成では、熱拡散層が設けられていない。
【0069】
レーザ光を照射してアモルファスシリコン膜14を溶解させたとき、レーザ光の照射領域の中央には、アモルファスシリコン膜14が融解した状態の融解領域18があり、その周囲には、すでに冷却し、すでに結晶化した結晶領域19が存在することとなる。このとき、融解領域18と結晶領域19との境界付近、すなわち現在、結晶化しつつある領域17の温度は高くなっている。これは、いったん溶融したアモルファスシリコン膜14が結晶化するときに、潜熱を放出するためである。
【0070】
図5は、従来の構成における、アモルファスシリコン膜14の冷却に伴う温度分布の変化を示しているグラフである。図5において、温度レベル22は、アモルファスシリコン膜(シリコン)14の凝固点を示している。融解したアモルファスシリコン膜14の温度が、上記温度レベル22を下回った場合に、該アモルファスシリコン膜14を構成しているシリコンが結晶化(固化)するようになっている。
【0071】
上記従来の構成では、シリコンが冷却されて、温度が低下するに従い、溶融領域の外縁部21から中央部に向って順に結晶化が進行することになる。そして、この外縁部21からの結晶化が進行すると同時に、溶融領域の中央部においてもシリコンの温度が低下し、結晶化が進行することとなる。このとき、外縁部21と中央部との間には、上記結晶化しつつある領域17が存在することとなり、この領域17は、上記温度レベル22よりも高い温度になっている。従って、外縁部21から中央部に向かって順に結晶化するより先に、中央部では、温度レベル22を下回ることとなり結晶化が進行して、微結晶またはアモルファスである結晶粒23が生成することとなる。そして、外縁部21から中央部に向かって結晶化した結晶24は、中央部で生じた結晶粒23によってその成長を阻害される。このために、従来の構成では、中央部まで結晶24が成長しない場合がある。
【0072】
本実施の形態にかかる半導体素子の構成、すなわち、図1に示すように、ガラス基板4上に拡散防止層3、半導体層2、熱拡散層1が順に積層された構成(半導体層2の表面に熱拡散層1を設けた構成)とする場合には、結晶の成長距離Lを従来と比べて、2倍から3倍に拡大することができる。すなわち、1回のレーザ光を照射することにより半導体層2を溶融させて結晶化する際の、成長する結晶の長さを、2〜4μm以上とすることができる。このため、開口部の像の幅(半導体素子に照射するレーザ光の幅)Dを、例えば、従来の2から3倍以上に設定して場合でも、中央部が微結晶またはアモルファスとなることが無い、または、中央部の微結晶またはアモルファスの幅を従来の構造と比して狭くすることができる。この理由について、以下に説明する。
【0073】
本実施の形態においては、ガラス基板4上に拡散防止層3、半導体層(アモルファスシリコン層)2及び熱拡散層1が順に積層されている構成の未結晶化半導体素子に対してレーザ光を照射する構成である。従って、図6に示すように、結晶領域27と溶融領域30との境界領域の温度は特に高くはならず、中央部から外縁部に向かって緩やかに低下するような温度分布25になっている。これは、半導体層2の表面に設けた熱拡散層1のために、該熱拡散層1を通して横方向(基板面方向)に熱が流れやすくなり、上記境界領域の温度が早く下がるためである。すなわち、半導体層2の表面に熱拡散層1を設けることで、横方向の熱の流れを促進することができ、潜熱の放出に伴う従来のような突起のある温度分布を平準化することができる。なお、図6は、本実施の形態にかかる未結晶化半導体素子にレーザ光を照射した場合における溶融領域付近の温度分布を示したグラフである。
【0074】
このため、図7に示すように、溶融領域の全体の温度が降下して行くときに、外縁部とともに中央部でも結晶化が生じるというような現象が生じることがなく、外縁部から中心部に向かってスムーズに結晶が成長することとなる。これにより、外縁部から中央部にかけて、従来と比べて長い結晶を生成することができる。なお、図7は、本実施の形態の構成における、半導体層2の冷却に伴う温度分布の変化を示しているグラフである。
【0075】
そして、本実施の形態の場合、開口部の像、すなわち、半導体素子にレーザ光を照射した部分が結晶化された後に、該レーザ光の照射部分を移動させて、再度別の結晶化されていない部分、または、すでに結晶化された部分に上記レーザ光を、該レーザ光の一部が重なるように照射することで、ガラス基板4上の半導体層2を、より長く結晶化することができる。そして、これを繰り返すことにより、ガラス基板4上に形成された半導体層2の一部もしくは全面を結晶化することができる。つまり、結晶化した部分を含む状態でさらにレーザ光を照射する、すなわち、既に結晶化している領域の一部とレーザ光を重ね合わせて照射することにより、既に結晶化させた結晶を種結晶として成長させることができる。具体的には、このレーザ光の重ね合わせ量を、幅方向に、例えば、結晶の成長距離Lの1/2程度に設定すると、成長した結晶をつぎつぎと引き継いで結晶化する事ができ、ガラス基板4の面内方向であって、かつ開口部の幅方向に長い結晶を形成することが可能である。
【0076】
従って、本実施の形態のような結晶化半導体の製造方法を行うことにより、1回のパルス照射によって形成される結晶化領域を、従来の2倍以上の面積とすることができるので、半導体層2の結晶化に要する時間を半減させることができ、低価格の半導体素子デバイスとすることができる。
【0077】
また、本実施の形態にかかる未結晶半導体素子を用いて半導体層2を結晶化させることにより、従来よりも短時間で結晶化の処理を行うことができる。そして、一度形成された結晶の一部を含むようにレーザ光を照射することにより、結晶の成長距離をより長くすることができる。
【0078】
また、例えば、結晶の成長方向に(開口部の幅方向に)キャリアを流すような構造のトランジスタを構成すると、キャリアが結晶の粒界に散乱されることが少なく、移動度が極めて高いトランジスタを得ることができる。
【0079】
なお、本実施の形態の場合、熱拡散層1から、垂直方向へ熱が逃げる経路としては、熱拡散層1を通じて上方へ(つまり大気中へ)逃げる経路が考えられる。しかし、大気は気体であり、大気の熱伝導率は、固体であるガラス基板4に比べて、極端に小さいので、大気中に逃げる熱に関して無視することができる。
【0080】
また、半導体層2の表面の熱拡散層1を構成する材料としては、上述のように、窒化アルミニウム、窒化シリコンなどの窒化物が好適に用いられる。これは、これら多くの窒化物は、熱伝導性が大きく、かつ耐熱性があり、また、溶融に用いるレーザ光の波長においておおむね透明であるという特質を有するからである。また、同様の理由において、例えば、酸化アルミニウム等の熱伝導性が大きく、かつ耐熱性があり、また、溶融に用いるレーザ光の波長においておおむね透明であるという特質を有する材料の多くも熱拡散層1の材料として利用可能である。
【0081】
熱拡散層1を構成する材料のうち、例えば、窒化アルミニウム、窒化シリコン、および、酸化アルミニウムの熱伝導率はガラス基板4の熱伝導率の5〜10倍以上であり、かつ窒化アルミニウム、窒化シリコン、酸化アルミニウムを熱拡散層1として用いることにより、結晶の成長距離が長くなることが実験から確認されている。このことから、熱拡散層1を構成する材料を、ガラス基板4よりも高いものを選択することがより好ましく、さらに好ましくは5倍以上の熱伝導率に設定すれば、結晶成長を促進する効果を得ることができる。
【0082】
また、熱拡散層1を構成する材料とレーザ光源5の種類との組み合せによっては、上記熱拡散層1が半導体素子に対して照射されたレーザ光を無視できない程度に吸収する場合がある。例えば、レーザ光源5として紫外線領域の波長を有するエキシマレーザを用いた場合、レーザ光源5から照射されたレーザ光が、熱拡散層1にある程度、吸収される場合がある。この場合、半導体層2の表面にある熱拡散層1により、紫外線領域のレーザ光が吸収されて、その下部にある半導体層2に十分に熱が与えられない場合がある。また、熱拡散層1によって多くの光が吸収され熱となると、熱拡散層1の温度が上昇して、該熱拡散層1が損傷する場合がある
従って、熱拡散層1の光透過率は、少なくとも、その下の半導体層2の吸収率よりも小さいことが好ましい。つまり、レーザ光源5から照射されるレーザ光に対する熱拡散層1の光吸収率が、半導体層2の光吸収率よりも小さいことがより好ましい。上記レーザ光に対する熱拡散層1の光吸収率を半導体層2の光吸収率よりも小さくする方法としては、例えば、▲1▼レーザ光源5から照射するレーザ光の波長を変更する、▲2▼照射するレーザ光に対する光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さい熱拡散層を用いる等の方法が挙げられる。
【0083】
例えば、レーザ光源5から照射されるレーザ光の波長が紫外線領域の場合には、熱拡散層1を構成する材料の種類によっては、該熱拡散層1が、照射されるレーザ光のエネルギーを多くの割合で吸収する場合がある。
【0084】
このため、熱拡散層1を構成する材料の種類によっては、紫外線領域のレーザ光に代えて、可視光領域のレーザ光を用いる等の、照射する光の波長を変更することが好適である。熱拡散層1に対する透過率が高く(吸収率が低く)、かつ、半導体層2に対する吸収率の高い波長の光を発するレーザ光源5を用いれば、レーザ光の多くが熱拡散膜1を透過して半導体層2に吸収されることになるので、半導体層2に十分に熱を与えることが出来る。なお、半導体層2として、例えば、アモルファスシリコン、または、シリコンを用いる場合には、550nmよりもレーザ光の波長が短いことが望ましい。これは、半導体層2を構成する材料がシリコン(アモルファス状態を含む)である場合、該シリコンは、波長が550nmより長いレーザ光を十分に吸収しないからである。従って、半導体層2を構成する材料が、シリコンを含有する場合には、波長が550nm以下のレーザ光を照射することがより好ましい。
【0085】
一方、半導体層2に照射するレーザ光の波長の下限値としては、350nm以上であることがより好ましい。熱拡散層1を構成する材料のうち、多くの材料(可視域で透明である材料を含む)では350nmよりも小さい波長領域では、照射するレーザ光に吸収が急激に増加するため、例えば、2酸化シリコン、フッ化カルシウム等の限られた材料しか選択することができない。ところが、350nm以上の可視域においては、窒化シリコン、窒化アルミ、酸化アルミニウム等、透過率の高い物質を選択することができる。従って、上記半導体層2に照射するレーザ光の波長領域としては、350nm以上550nm以下の範囲内がより好ましい。
【0086】
従って、熱拡散層1を設けたシリコンを溶融するときに、上記範囲内の可視光を用いると、シリコンを効率的に溶融しながら、熱拡散層1での吸収を抑えることが容易となるため、特に好ましい。
【0087】
上記範囲内の波長領域を有するレーザ光の光源(レーザ光源5)としては、例えば、上記固体レーザ等が挙げられる、該固体レーザを用いて可視光領域のレーザ光を照射することは容易であるため好適である。なかでも特に、Nd−YAG等の固体レーザの第2高調波を用いると532nmの発振波長が得られるため好適である。
【0088】
特に、固体レーザを用いる場合には、処理装置が小型、軽量にでき、かつ装置のメンテナンス(維持)にガスが必要なく、メンテナンスコストを引き下げて製造装置の維持コストを引き下げる装置を得ることが可能である。また、その装置を用いると、装置コスト、メンテナンスコストが低いために、従来よりも格段にコストを下げる製造方法とすることが可能である。
【0089】
さらに、本実施の形態にかかる結晶化半導体素子の製造方法において、半導体層2の表面に熱拡散層1を設け、レーザ光を照射することにより結晶化を行った場合、結晶化後に熱拡散層1を除去してから(除去工程)、後の工程を行っても良い。熱拡散層1を除去することにより、後の工程であるゲート部分の作製、電極配線、ドーピングなどの半導体装置の形成が容易となる。この場合、半導体層2の表面二形成された熱拡散層1を除去した後は、半導体層2、拡散防止層3、ガラス基板4という構成となるため、従来の半導体素子の構造と同じとなるので、従来の処理工程をそのまま用いることができる。また、拡散防止層3については、従来の二酸化シリコンを用いることが可能であるので、これについても従来通りの工程で行うことが可能なので好都合である。特に、拡散防止層3はガラス基板4からの不純物の拡散を防ぐという重要な機能を有する層であり、これは従来から用いられている材料そのまま用いられれば、工程の再検討が必要なく、極めて好都合となる。すなわち、本実施の形態にかかる半導体素子の製造方法の一形態は、従来の半導体素子の製造方法における半導体層2を設ける工程とレーザアニール処理工程との間に熱拡散膜を設ける工程を挿入し、かつレーザアニール処理工程と後の工程の間に熱拡散膜を除去する工程を挿入すれば良く、従来の方法に対して変更すべき箇所が少なく、従来方法からの移行が容易であるといえる。なお、上記熱拡散層1を除去する方法としては、例えば、酸素、不活性ガス(He,Ne,Ar,Kr等)をプラズマ化してこれらのイオンをガラス基板4上の熱拡散層1に衝突させて、そのエネルギーにより該熱拡散層1を除去する、いわゆるドライエッチング法を用いればよい。
【0090】
また、本実施の形態の場合、半導体層2の表面に熱伝導率の高い熱拡散層1を設けているため、それによる結晶成長距離の伸展を図ることができる。ところが、表面の熱拡散層1の熱伝導率が高いために、熱のガラス基板4への逃げが大きくなるため、レーザアニールに必要な照射面積あたりのレーザ光のエネルギー量を若干増加させる必要がある場合がある。つまり、1回のレーザ光のパルス照射によって発せられるレーザ光のエネルギー量が、従来と同一の場合には、照射面積あたりのレーザ光のエネルギー量を増加させるために、エキスパンダ等により変換するビームサイズを小さくする、すなわち、半導体素子に照射するレーザ光の面積(照射面積)を小さくする等の方法を用いることがより好ましい。
【0091】
また、本実施の形態にかかる結晶化半導体の製造方法は、上記方法に加えて、ガラス基板4と半導体層2との間に基板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率層を形成する低熱伝導率層形成工程を含むことがより好ましい。具体的には、結晶化半導体素子を製造するために、図8に示すような、ガラス基板4と半導体層2との間に低熱伝導率層20を形成した未結晶化半導体素子を用いることがより好ましい。より具体的には、図8に示すように、半導体層2の下部に設けられている拡散防止層3の下に、ガラス基板4よりも熱伝導率の低い材料を用いて低熱伝導率層20を構成することにより、熱の損失を防止することが可能である。低熱伝導率層20としては、多孔質二酸化シリコン、有機材料膜などを用いることが可能である。低熱伝導率層20を設けると、ガラス基板4への熱の拡散を防止できるために熱の損失を防ぐことが可能となるとともに、表面の熱拡散層1の効果により不均一な熱分布を防いで、良好な成長を促進することが可能である。特に低熱伝導率層20を設けることにより、溶融している半導体層2の急激な温度変化を防止することができる、かつ、生成する結晶をより一層大きくすることができる。これにより、不均一な熱の分布を横方向(基板方向)に拡散させることができるので、溶融している半導体層2の温度分布を、より一層平準化することができる。
【0092】
また、本実施の形態にかかる未結晶化半導体素子は、ガラス基板4上に設けられ、かつ、非晶質状態または微結晶状態の半導体層2の表面に、該ガラス基板4よりも熱伝導率が高い熱拡散層1が形成されている構成であってもよい。上記の構成によれば、半導体層1の表面に熱拡散層1が形成されている。そして、該熱拡散層1は、ガラス基板4よりも熱伝導率が高くなっている。これにより、半導体層2を結晶化する際に、溶融した半導体層2を急激に冷却することがない。つまり、熱拡散層1が半導体層2の表面に形成されていることにより、半導体層2の結晶化において、生成する結晶の大きさ(長さ)を従来と比べて大きくすることができる。また、本実施の形態にかかる未結晶化半導体素子は、さらに、上記構成に加えて、半導体層1とガラス基板4との間に、別の熱拡散層が形成されていてもよい。このような構成とすることにより、半導体層2の表面に熱拡散層1を設けることで、横方向の熱の流れを促進することができ、潜熱の放出に伴う従来のような突起のある温度分布を平準化することができるという効果をより一層向上させることができる。
【0093】
また、本実施の形態にかかる結晶化半導体素子の製造方法は、ガラス基板4上に半導体層2を設ける半導体層成工程と、レーザ光を照射して前記半導体層2を結晶化させる結晶化工程とを実施する結晶化半導体素子の製造方法であって、ガラス基板4より熱伝導度の高い熱拡散層1を前記半導体層2上に設け、結晶化工程において前記熱拡散層1の上からレーザ光を照射する方法であってもよい。
【0094】
また、本実施の形態にかかる結晶化装置は、ガラス基板4上の半導体層2とその上に形成された熱伝導度の高い熱拡散層1を有するガラス基板4にレーザ光を照射して、前記半導体層2を結晶化させる結晶化手段を備える結晶化装置であって、前記結晶化手段は前記熱拡散層1の上からレーザ照射処理を行う構成であってもよい。
【0095】
なお、上記の説明では、半導体層2の表面に熱拡散層1を形成している構成について説明しているが、例えば、熱拡散層1と半導体層2との間に他の層が設けられていても良い。
【0096】
【発明の効果】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、以上のように、基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層を上記半導体層の表面に設ける熱拡散層形成工程を含み、上記結晶化工程では、上記熱拡散層の上から半導体層に対してレーザ光を照射する構成である。
【0097】
それゆえ、溶融している半導体層が結晶化する際に、従来よりも生成する結晶の長さを長くすることができる。また、1回のレーザ光の照射によって生成する結晶の長さを従来と比べてより長くすることができるので、結晶化にかかる時間を短くすることができるという効果を奏する。
【0098】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記結晶化工程の後に、熱拡散層を除去する除去工程を行う方法とすることにより、従来と同様な半導体素子の構成、かつ、従来と比べて結晶の大きな結晶化半導体素子とすることができる。
【0099】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記レーザ光に対する熱拡散層の光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さいことにより、結晶化工程の効率を上げることができ、製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0100】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記結晶化工程では、波長が550nm以下のレーザ光を照射する方法とすることにより、半導体層の結晶化の効率を高くできるので、結晶化半導体素子の製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0101】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、さらに、上記基板と半導体層との間に、基板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率層を形成する低熱伝導率層形成工程を含む方法とすることにより、結晶粒径が従来と比べてより一層大きい半導体層を有する結晶化半導体素子を製造することが出来る。
【0102】
本発明の結晶化半導体素子は、以上のように、上記製造方法によって製造される構成である。
【0103】
それゆえ、従来と比べて、より結晶粒径が大きい半導体層を有する結晶化半導体素子を提供することができるという効果を奏する。
【0104】
本発明の結晶化装置は、以上のように、上記結晶化手段は、波長が550nm以下のレーザ光を照射するようになっている構成である。
【0105】
これにより、半導体層で生成する結晶を従来と比べて大きくすることが出来るという効果を奏する。また、結晶化半導体素子の、結晶化の効率を高くでき、かつ、製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となるという効果を併せて奏する。
【0106】
本発明の結晶化装置は、上記結晶化手段は、照射するレーザ光に対する上記熱拡散層の光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さくなるように、該レーザ光の波長が設定されている構成とすることにより、結晶化の効率を高くでき、結晶化時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる結晶化半導体素子の製造方法によって製造される結晶化半導体素子の概略の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかる結晶化装置の概略の構成を示す平面図である。
【図3】上記結晶化半導体素子における半導体層の結晶化の状態を示す正面図である。
【図4】従来の半導体素子における、アモルファスシリコン膜にレーザ光を照射して、融解させた後に冷却して結晶化しつつある状態における、該アモルファスシリコン膜の温度分布を示したグラフである。
【図5】従来の半導体素子における、アモルファスシリコン膜14の冷却に伴う温度分布の変化を示しているグラフである。
【図6】本実施の形態にかかる未結晶化半導体素子にレーザ光を照射した場合における溶融領域付近の温度分布を示したグラフである。
【図7】本実施の形態の構成における、半導体層2の冷却に伴う温度分布の変化を示しているグラフである。
【図8】結晶化半導体素子の他の概略の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 熱拡散層
2 半導体層
3 拡散防止層
4 ガラス基板(基板)
5 レーザ光源
20 低熱伝導率層
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を利用して製造される結晶化半導体素子の製造方法ならびに半導体層の結晶化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶やエレクトロルミネッセンス(EL)等を応用した表示装置に用いられている薄膜トランジスタは、非晶質もしくは多結晶のシリコンを活性層として用いている。このうち、多結晶シリコンを活性層とした薄膜トランジスタ(結晶化半導体素子)は、電子の移動度が非晶質シリコンを活性層とした薄膜トランジスタと比べて高いために、非晶質シリコンの薄膜トランジスタに比較して、多くの長所を有している。
【0003】
具体的には、例えば、多結晶シリコンを活性層とした薄膜トランジスタは、画素部分にスイッチング素子を形成するだけでなく、画素周辺部分に駆動回路や、一部の周辺回路を一枚の基板上に形成することができる。このため、別途ドライバICや駆動回路基板を表示装置に実装する必要がなくなるので、表示装置を低価格で提供することが可能となる。
【0004】
また、その他の長所としては、トランジスタの寸法を微細化できるので、画素部分に形成するスイッチング素子を小さくすることができ、高開口率化を図ることができる。このため、高輝度、高精細な表示装置を提供することが可能となる。
【0005】
上記のような、多結晶シリコンを活性層とした薄膜トランジスタ(結晶化半導体素子)を製造するには、例えば、ガラス基板にCVD法等で非晶質シリコン薄膜を形成した後、別途、非晶質シリコンを多結晶化する工程が必要となる。
【0006】
非晶質シリコンを多結晶化(結晶化)する工程としては、例えば、600℃以上の高温でアニールする高温アニール法等がある。しかし、上記方法によって多結晶シリコンを製造する場合、非晶質シリコンを積層している基板として、上記のような高温に絶えるだけの高価なガラス基板を使用する必要があり、表示装置の低価格化の阻害要因となっていた。ところが、近年では、レーザ光を用いて600℃以下の低温で非晶質シリコンの結晶化を行う技術が一般化されており、安価なガラス基板に多結晶シリコントランジスタを形成した表示装置を低価格で提供できるようになっている。
【0007】
レーザ光を用いた結晶化技術としては、例えば、非晶質(アモルファス)シリコン薄膜を形成したガラス基板を400℃程度に加熱して、上記ガラス基板を一定速度で走査させながら、長さ200〜400mm、幅0.2〜1.0mm程度の線状レーザビームを上記ガラス基板上に連続的に照射する方法が一般的である。この方法を用いると、アモルファスシリコン薄膜の厚さと同程度の平均粒径を有する多結晶シリコン薄膜を形成することができる。このとき、レーザビームが照射された部分の非晶質シリコンは、厚さ方向全域にわたって溶融するのではなく、一部の非晶質領域を残して溶融することとなる。これによって、レーザ照射領域全面にわたって、いたるところに結晶核が発生し、シリコン薄膜最表層に向かって結晶が成長し、ランダムな方位の結晶粒が形成されることとなる。
【0008】
ところが、さらに高性能な表示装置を得るためには、多結晶シリコンの結晶粒径を大きくすること、成長する結晶の方向を制御することが必要であり、単結晶シリコンに近い性能を得ることを目的として数多くの研究開発がなされている。
【0009】
具体的には例えば、特許文献1に結晶をより大きくするための技術が開示されている。
【0010】
その中でも特に、特許文献1にはスーパーラテラル成長と称する技術が開示されている。該特許文献1に記載の方法は、微細幅のパルスレーザをシリコン薄膜に照射し、シリコン薄膜をレーザ照射領域の厚さ方向全域にわたって溶融・凝固させて結晶化を行うものである。具体的には、パルスレーザをシリコン薄膜に照射し、シリコン薄膜をレーザ照射領域の厚さ方向全域にわたって溶融させ、溶融部分と未溶融部分の境界から横方向、すなわち、ガラス基板に水平な方向に結晶粒の成長を制御し、針状の結晶を得ている。
【0011】
このようなスーパーラテラル成長は、パルスレーザを1回照射した後、この照射によって形成された針状結晶の一部に重複させて、順次パルスレーザを照射することにより、既に成長した結晶を引き継いで、さらに長い針状の結晶が成長し、結晶の成長方向に方位の揃った大結晶が得られるといった特徴を有している。
【0012】
また、上記特許文献1に開示の半導体素子は、ガラス基板上に通常、不純物の拡散を防ぐために二酸化シリコンの膜を設け、さらに、その上に非晶質のシリコン膜を設けている。
【0013】
さらに、多結晶シリコンの製造方法の例としては、基板上に熱伝導率の異なる膜を積層し、その上に半導体層(アモルファスシリコン膜)を形成して、得られる膜の特性を向上させる構成が、特許文献2、特許文献3等に記載されている。つまり、特許文献2、3では、基板と半導体層との間に熱伝導率の異なる層を形成するようになっている。
【0014】
【特許文献1】
特表2000−505241号公報(公表日;2000年4月25日)
【0015】
【特許文献2】
特開2000−68520号公報(公開日;2000年3月3日)
【0016】
【特許文献3】
特開平6−296023号公報(公開日;1994年10月21日)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の発明による結晶粒の成長距離は、約1μm〜2μm程度にすぎず、大結晶粒を得るには、何度もパルスレーザの照射を繰り返す必要がある。特に、結晶成長距離が1μm程度である場合には、結晶を引き継いで成長させるためには、再度照射するパルスレーザを、前回の照射によって生成した結晶にオーバーラップさせて照射する必要があり、結果的に0.5μm程度ずらせることになる。ところが、常に0.5μmのずらせ量を得るためには、送り精度が0.1μm程度の分解能、すなわち極めて精度の高い送り機構が必要であり、装置のコストが増大する。また1回にわずかの量しか送り量を与えられないため、処理速度が遅いという問題点がある。
【0018】
また、特許文献2、3に開示のように、基板と半導体層との間に、熱伝導率の異なる層(熱拡散層)を設ける構成では、該熱拡散層は他の層に比べて熱拡散率が高いので、高温になった熱拡散層から、容易に基板方向に(基板に垂直方向に)熱が拡散し易い。このため、半導体層が急速に冷却されることとなり、半導体層の結晶成長が阻害されることとなる。
【0019】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、より簡単に、半導体層の結晶粒径を大きくすることができる結晶化半導体層の製造方法ならびに結晶化装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記の課題を解決するために、基板上に半導体層を形成する半導体層形成工程と、上記半導体層に、レーザ光を照射して該半導体層を結晶化させる結晶化工程とを含む結晶化半導体素子の製造方法であって、基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層を上記半導体層の表面に設ける熱拡散層形成工程を含み、上記結晶化工程では、上記熱拡散層の上から半導体層に対してレーザ光を照射することを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、半導体層の表面に熱拡散層を形成したあと、該熱拡散層の上から半導体層に対してレーザ光を照射するようになっている。この熱拡散層を半導体層の表面に設けることにより、レーザ光により融解した半導体層の冷却速度を従来と比べて遅くすることができる。具体的には、半導体層に対してレーザ光が照射されるとき、熱拡散層にもレーザ光が照射されることとなる。これにより、熱拡散層が蓄積した熱は、隣接する半導体層に流れることとなる。また、上記熱拡散層からの熱が、半導体層に与えられることにより、溶融している半導体層の温度分布を従来と比べて平準にすることができる。従って、溶融している半導体層が結晶化する際に、従来よりも生成する結晶の長さを長くすることができる。また、1回のレーザ光の照射によって生成する結晶の長さを従来と比べてより長くすることができるので、結晶化にかかる時間を短くすることができる。これにより、この製造方法によって製造される結晶化半導体素子に形成するデバイスの特性の向上が図れるとともに、低コストでデバイスを作製することができる。
【0022】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記結晶化工程の後に、熱拡散層を除去する除去工程を行う方法がより好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、半導体層の表面に形成された熱拡散層を除去することにより、従来と同様な半導体素子の構成、かつ、従来と比べて、結晶粒径の大きな結晶化半導体素子とすることができる。従って、例えば、熱拡散層を除去することにより、上記結晶化半導体素子を用いて様々なデバイスを作製する場合でも、従来と同等の工程を利用することができ、設備投資を押さえ、製造コストを低減することができる。
【0024】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記レーザ光に対する熱拡散層の光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さいことがより好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、照射するレーザ光に対する光吸収率が半導体層よりも小さい熱拡散層を用いることで、半導体層に照射されるレーザ光のエネルギーの大部分を与えることができる。つまり、半導体層の溶融をより好適に行うことができる。これにより、結晶化工程の効率を上げることができ、製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0026】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記結晶化工程では、波長が550nm以下のレーザ光を照射する方法がより好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、結晶化工程で、半導体層に対して、550nm以下の波長のレーザ光を照射するようになっている。より好ましくは、350nm以上550nm以下のレーザ光を照射するようになっている。上記波長のレーザ光を照射することにより、熱拡散層でのレーザ光の吸収を低減できるとともに半導体層でのレーザ光の吸収を大きく取ることができる。これにより、半導体層の結晶化の効率を高くできるので、結晶化半導体素子の製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0028】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、さらに、上記基板と半導体層との間に、基板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率層を形成する低熱伝導率層形成工程を含む方法がより好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、基板と半導体層との間に低熱伝導率層を形成するようになっている。これにより、レーザ光が半導体層に照射されることにより与えられた熱が、基板に流れることを防止することができる。つまり、溶解している半導体層の熱を逃げ難くすることができるので、半導体層の冷却速度を従来よりも遅くすることができる。これにより、結晶粒径が従来と比べてより一層大きい半導体層を有する結晶化半導体素子を製造することが出来る。
【0030】
本発明の結晶化半導体素子は、上記の課題を解決するために、上記製造方法によって製造されることを特徴としている。
【0031】
上記の構成によれば、上記製造方法によって半導体層の結晶化を行っているので、従来と比べて、より結晶粒径が大きい半導体層を有する結晶化半導体素子を提供することができる。
【0032】
本発明の結晶化装置は、上記の課題を解決するために、基板上に設けられた半導体層の表面に形成された、該基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層を有する半導体素子に対して、レーザ光を照射することにより該半導体層を結晶化させる結晶化手段を備えた半導体層の結晶化装置であって、上記結晶化手段は、波長が550nm以下のレーザ光を照射するようになっていることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、半導体層の表面に形成された熱拡散層を有する未結晶化半導体素子に対して、熱拡散層の上から半導体層に対して550nm以下の波長のレーザ光を照射するようになっている。
【0034】
そして、上記結晶化手段は、熱拡散層の上から半導体層に対してレーザ光を照射するようになっているので、該レーザ光によって溶解した半導体層の温度の低下を従来と比べて遅くすることができる。具体的には、熱拡散層を透過したレーザ光の一部は、熱拡散層に蓄積されることとなり、該蓄積された熱が半導体層に与えられることにより、半導体層の温度低下を抑制することができる。これにより、半導体層で生成する結晶を従来と比べて大きくすることが出来る。
【0035】
また、波長が550nm以下のレーザ光を、熱拡散層の上から半導体層に対して照射することによって、熱拡散層でのレーザ光の吸収を低減できるとともに半導体層でのレーザ光の吸収を大きく取ることができる結晶化装置を提供することができる。これにより、結晶化半導体素子の、結晶化の効率を高くでき、かつ、製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0036】
本発明の結晶化装置は、上記結晶化手段は、照射するレーザ光に対する上記熱拡散層の光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さくなるように、該レーザ光の波長が設定されている構成がより好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、熱拡散層でのレーザ光の吸収を低減できると同時に半導体層でのレーザ光の吸収を大きく取るようにレーザ光を照射することができるので、結晶化の効率を高くでき、結晶化時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0038】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0039】
本実施の形態にかかる結晶化半導体素子の製造方法は、基板上に半導体層を形成する半導体層形成工程と、上記半導体層に、レーザ光を照射して該半導体層を結晶化させる結晶化工程とを含む半導体素子の製造方法であって、基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層を上記半導体層表面に設ける熱拡散層形成工程を含み、上記結晶化工程では、上記熱拡散層の上からレーザ光を照射する方法である。
【0040】
そして、半導体層の結晶化が行われていない未結晶化半導体素子は、基板上に設けられ、かつ、非晶質状態または微結晶状態の半導体層の表面に、該基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層が形成されている構成である。
【0041】
図1は、本実施の形態にかかる結晶化半導体素子の製造方法によって製造される結晶化半導体素子の概略の構成を示す側面図である。上記結晶化半導体素子は、図1に示すように、ガラス基板(基板)4の上に、拡散防止層3、半導体層2、および、熱拡散層1が順に積層されている構成である。つまり、熱拡散層1は、半導体層2の表面に形成されており、半導体層2から見て基板が設けられている側と反対側に設けられている構成である。そして、熱拡散層1の半導体層2と接している反対側の表面は空気と接している。
【0042】
拡散防止層3は、ガラス基板4からの不純物の拡散を防ぐものである。本実施の形態では、拡散防止層3として二酸化シリコン膜を用いているが、特に限定されるものではなく、ガラス基板4からの不純物の拡散を防ぐことが出来れば他の材料からなる膜であっても良い。拡散防止層3として二酸化シリコン膜を用いる場合、該二酸化シリコン膜の形成方法としては、例えば、蒸着、スパッタ成膜、CVD等の方法により形成すればよい。拡散防止層3の厚さとしては、ガラス基板4からの不純物が半導体層2に拡散することを防止できる厚さであればよく、具体的には、0.05〜1μmの範囲内が好適である。
【0043】
そして、本実施の形態では、拡散防止層3の上に、半導体層2を設けている。半導体層2は通常アモルファスシリコンを用いる。また、半導体層2の成膜(層形成)方法としては、CVD法、スパッタ法、蒸着法等が挙げられる。半導体層2の厚さは、求められるトランジスタの特性や、プロセス条件などにより適宜設定すればよく、数十nm〜数百nmの範囲内がより好ましく、30〜100nmの膜厚(層厚)が特に好ましい。
【0044】
成膜直後の半導体層2は、通常はアモルファスであり、結晶化していない。成膜方法によれば、非常に小さい結晶の集合(微結晶)を得ることもできるが、いずれにせよ、それほど大きな結晶粒を得ることは困難である。したがって 、成膜直後の半導体層2に直接トランジスタを形成すると、前記トランジスタの電子移動度は低くなってしまう。従って、最終的に得られる半導体素子は、上記アモルファスの半導体層2を結晶化させている。つまり、本実施の形態にかかる半導体層2は、結晶化されている。なお、結晶化の方法については後述する。
【0045】
本実施の形態では、半導体層2の上に熱拡散層1が設けられている。具体的には半導体層2の表面に熱拡散層1が形成されている。熱拡散層1としては、ガラス基板4と比べて熱伝導率が大きい材料が用いられる。また、熱拡散層1は、さらに、拡散防止層3に比べて熱伝導率が大きい材料を用いることがより好ましい。
【0046】
さらに、熱拡散層1は、後述するレーザアニール処理(結晶化工程)において照射されるレーザ光に対する透過率が高い方が望ましい。具体的には、上記レーザ光に対する透過率が70%以上であることがより好ましい。透過率が70%よりも低い場合には、照射されるレーザ光が半導体層2まで透過し難くなり、該半導体層2の結晶化の効率が悪くなる場合がある。
【0047】
また、上記熱拡散層1の上記レーザ光に対する光吸収率が、半導体層2の光吸収率よりも小さいことがより好ましい。つまり、半導体層2を結晶化させるために照射するレーザ光に対する熱拡散層1の光吸収率は、半導体層2の上記レーザ光に対する光吸収率よりも小さいことがより好ましい。上記レーザ光に対する熱拡散層1の光吸収率が、半導体層2の光吸収率よりも大きい場合には、照射されるレーザ光が効率よく半導体層2に吸収されないこととなり、結晶化の効率が悪くなる場合がある。
【0048】
また、熱拡散層1の材料としては、窒化シリコン、窒化アルミニウム等の窒化物、および、酸化アルミニウム等の酸化物等が適している。熱拡散層1の厚さとしては、半導体層2の厚さを100%としたとき、50%〜400%の範囲内がより好ましい。具体的には、5nm〜200nmの範囲内の厚さが好適である。熱拡散層1の厚さが、半導体層2の厚さの50%よりも薄い場合には、熱拡散の効果が小さくなり、後述する結晶化工程において、半導体層2の結晶成長の促進効果がない場合がある。一方、熱拡散層1の厚さが、半導体層2の厚さの400%よりも厚い場合には、熱拡散層1自体を加熱するためのエネルギーが必要になり、照射するレーザ光のエネルギーが余計に必要になる場合がある。
【0049】
次に、上記半導体素子の製造方法について説明する。
【0050】
本実施の形態にかかる半導体素子の製造方法は、ガラス基板4上に半導体層2を形成する半導体層形成工程と、ガラス基板4よりも熱伝導率が高い熱拡散層2を上記半導体層2の表面に設ける熱拡散層形成工程と、上記熱拡散層1の上からレーザ光を照射して該半導体層2を結晶化させる結晶化工程とを含む方法である。
【0051】
上記半導体層形成工程では、ガラス基板4上に半導体層2を形成する。本実施の形態では、具体的には、ガラス基板4上に、予め拡散防止層3を形成しておき、この拡散防止層3の上に半導体層2を形成することとなる。すなわち、ガラス基板4の上に拡散防止層3、半導体層2が順に積層されることとなる。上記半導体層2を拡散防止層3の上に形成する方法としては公知であり、詳細な説明は省略する。
【0052】
熱拡散層形成工程では、半導体層2の表面に熱拡散層1を形成する。具体的には、スパッタ、真空蒸着、熱CVD、プラズマCVDなどの方法を用いて形成すればよく、また材料に応じて他の薄膜形成方法を用いることが可能である。なお、従来の半導体素子において、半導体層と基板との間に熱拡散層を設ける場合と同様の方法により、本実施の形態にかかる熱拡散層1を半導体層2の表面に形成してもよい。
【0053】
そして、半導体層2の表面に熱拡散層1を形成した後、該熱拡散層1の上からレーザ光を照射することにより半導体層2を結晶化させる(結晶化工程)。具体的には、表面に熱拡散層1が形成されている半導体層2に対して、レーザアニール処理(結晶化工程)を施す。
【0054】
以下に、レーザアニール処理のために用いる結晶化装置の構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施の形態にかかる結晶化装置の概略の構成を示す平面図である。上記結晶化装置は、図2に示すように、レーザ光源5、照射パターンを形成したフォトマスク11、対物レンズ9、および、ステージ10を備えている。また、結晶化装置は、必要に応じて、ホモジナイザ、エキスパンダ等の光学素子群6、およびフィールドレンズ8を備えていても良い。
【0055】
なお、上記結晶化装置は、半導体素子の所定の位置に、所定の放射照度の光を所定のパターンで照射できるものであればよく、前述した構成に限るものではない。
【0056】
ステージ10は、半導体層2が結晶化されていない状態の半導体素子を載置するものである。そして、該ステージ10は、半導体素子を、該半導体素子が載置されている面方向に駆動させることが出来るようになっている。
【0057】
レーザ光源(結晶化手段)5としては、パルス照射を行うことができるものがより好ましく、例えば、エキシマレーザを用いることができる。レーザ光源5としてエキシマレーザを用いる場合、該エキシマレーザーは、出射するレーザ光の波長が紫外線領域にあり、半導体層2に非常に吸収されやすいため好ましい。また、該エキシマレーザーのパルス幅は10〜数十nsであり、ほぼ瞬時に半導体層2を溶融させることができる。なお、該レーザ光源5によって溶解した半導体層2は、その後急速に冷却され、その過程で結晶化することとなる。
【0058】
また、レーザ光源5として、固体レーザを用いることも可能である。固体レーザとしては、Nd−YAG等の非線形光学結晶が、フラッシュランプ、または、半導体素子レーザ等により照射されることにより励起されて、レーザ発振を行うものである。該固体レーザは、エキシマレーザに必要なハロゲンガスが不要で、メンテナンスが楽になると言う利点がある。また、フラッシュランプを用いる代わりに半導体素子レーザを用いて励起する方法もあり、この場合は半導体素子レーザの発振効率が良いことと、半導体素子レーザの発振波長を、固体レーザの非線形光学結晶の吸収帯に一致させることで、高効率でレーザ発振が可能となる。このため消費電力、装置大きさがエキシマレーザやフラッシュランプの固体レーザに比べて、大幅な低減が可能である。
【0059】
また、固体レーザは非線形光学結晶を励起することで1.06μm近辺の波長のレーザ光を得ることができる。しかし、1.06μm近辺の波長のレーザ光を半導体層2に照射した場合、該波長のレーザ光は、半導体層2を構成しているアモルファスシリコンの吸収係数が小さく、アモルファスシリコンに光が吸収されにくく、溶融が起こり難い。このため、この波長のレーザ光を非線形光学結晶によって可視光に変換することが望ましい。非線形光学結晶としては、例えば、Nd−YAG、Nd−VO4等を用いることができる。そして、1.06μmの波長のレーザ光は、例えば、上記例示の非線形光学結晶を通過することにより、第2高調波波長として約532nm近辺の可視光に変換されることとなる。この約532nm近辺以下の波長であれば、アモルファスシリコンは吸収係数が大きくなり、レーザ光照射により、半導体層2の溶融が可能となる。すなわち、非晶質の(結晶化していない)半導体層2を結晶化するためには、結晶化手段は、波長が550nm以下のレーザ光を照射することが好ましい。そして、特に、結晶化手段は、波長が550nm以下の可視光領域のレーザ光を照射することが好ましい。なお、レーザ光源5から出射されるレーザ光の波長の詳細については後述する。
【0060】
レーザ光源5から出射されたビーム(レーザ光)は、エキスパンダにより適当なビームサイズに変換され、ホモジナイザにより、ビーム断面内の放射照度の一様化が図られ、フォトマスク11に照射される。ここでビームエキスパンダとは、望遠系または縮小系を有する光学系であり、フォトマスク11上の照射領域の大きさを決めるものである。ホモジナイザは、レンズアレイまたはシリンドリカルレンズアレイにより構成され、ビームを分割して再合成することで、マスク上の照射領域内での放射照度の一様化を図るものである。
【0061】
フォトマスク11は、マスク基板上に遮光部と開口部とを有し、開口部は、レーザ光源5から出射された光を通過させるものである。マスク基板としては、例えば、石英、ガラス等の材料が用いられ、遮光部としては、例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属薄膜、または、誘電体多層積層膜による反射もしくは吸収膜を用いることができる。
【0062】
フォトマスク11上に形成する開口部は、幅が1〜100μmの範囲内であるスリット状の形状、望ましくは幅が3〜50μmの範囲内であるスリット状の形状とし、これを単数、もしくは複数形成することが好適である。しかし、フォトマスク11の形状としては、特に限定されるものではない。
【0063】
対物レンズ9は、ホモジナイザを通過したレーザ光がフォトマスク11の開口部に照射されることによって形成されたの像を半導体素子の表面に結像させるものである。すなわち、半導体素子上には開口部の像が結像されることとなる。具体的には、レーザ光源5から出射されたレーザ光は、熱拡散層1の上から半導体素子上の半導体層2の一部に照明され、その他の部分は照明されない状態となる。このとき、上記レーザ光は、熱拡散層1が設けられている半導体層2の領域のみに照射することが好適である。これは、ガラス基板4全体に熱拡散層1を構成し、それに開口部の像を結像することで達成できるが、ガラス基板4の一部に表面熱拡散層1を設け、その熱拡散層1の領域のさらに一部分に開口像を結像させて、処理を行っても良い。
【0064】
このとき、半導体素子に像を結像させるときの光学倍率としては、等倍から1/10に設定することがより好ましい。すなわち、マスク上の開口部の大きさが、等倍像から1/10の大きさに縮小されて結像されるように構成することがより好ましい。対物レンズ9の解像力は、フォトマスク11上に設けられた開口部の像を半導体素子に結像する場合に、上記開口部の像が半導体素子上に形成される像として分解できる解像力に設定する。つまり、通常は半導体素子上に結像される像、すなわちスリットの幅を分解できる解像力に設定する。具体的には、対物レンズ9の開口数をNA、使用する波長をλとすると、解像力はおおむねλ/NAで表されるので、略この値になるように、開口部の幅を設定するか、解像力を開口部の幅に等しい、または、より小さな値にするように対物レンズの開口数を設定する。
【0065】
対物レンズ9により半導体素子上の半導体層2に開口部の像が結像されると、つまり、レーザ光源5からのレーザ光が照射されると、レーザ光が照射された部分の半導体層2は、上記レーザ光のエネルギーを吸収して溶融することとなる。その後、レーザ光の照射(パルス照射)が終了すると、溶融している半導体層2は、融点以下になり、急速に冷却され結晶化することとなる。このとき、結晶化される半導体層2は、図3に示すように、開口部の幅方向D、すなわち、照射されたレーザ光の幅方向に結晶13が成長して柱状の結晶となる。なお、図3は、半導体層2の結晶化の状態を示す正面図である。また、図3に示すように、半導体層2に形成された、開口部の像以外の部分12、すなわち、レーザ光が照射されない部分は溶融が生じず、アモルファス状態のままである。
【0066】
このような上記構成の結晶化装置を用いて、半導体層2の結晶化(レーザアニール処理)を行う。具体的には、上述したように、レーザ光源5から照射されたレーザ光を半導体層2に向かって、熱拡散層1の上から照射する。これにより、該熱拡散層1を透過したレーザ光は、半導体層2に照射されることとなる。そして、半導体層2のレーザ光が照射された部分は溶解することとなり、レーザ光が照射されなくなると、半導体層2の溶融している領域の温度が下がり、溶融している半導体層2は結晶化することとなる。この半導体層2の結晶化について以下に詳述する。
【0067】
従来の半導体素子の場合、すなわち、基板と半導体層との間に拡散防止層が形成された半導体素子の場合、溶融している半導体層が結晶化する際、結晶の成長距離Lは、1〜1.5μm程度にとどまることとなる。具体的には、基板上に結像される開口部の幅D(半導体素子に照射されるレーザ光の幅)を、例えば、5μmに設定した場合、溶融、結晶化の過程を通じて、レーザ光の端部から結晶が成長することとなるが、中央部の残り2〜3μmは微結晶またはアモルファスとなってしまい、開口部全面を結晶化する事ができない。この理由について以下に説明する。
【0068】
図4は、従来の構成における、ガラス基板16上の拡散防止層15上のアモルファスシリコン膜14にレーザ光を照射して融解させた後に、冷却して結晶化しつつある状態における該アモルファスシリコン膜14の温度分布を示したグラフである。つまり、図4に示す構成では、熱拡散層が設けられていない。
【0069】
レーザ光を照射してアモルファスシリコン膜14を溶解させたとき、レーザ光の照射領域の中央には、アモルファスシリコン膜14が融解した状態の融解領域18があり、その周囲には、すでに冷却し、すでに結晶化した結晶領域19が存在することとなる。このとき、融解領域18と結晶領域19との境界付近、すなわち現在、結晶化しつつある領域17の温度は高くなっている。これは、いったん溶融したアモルファスシリコン膜14が結晶化するときに、潜熱を放出するためである。
【0070】
図5は、従来の構成における、アモルファスシリコン膜14の冷却に伴う温度分布の変化を示しているグラフである。図5において、温度レベル22は、アモルファスシリコン膜(シリコン)14の凝固点を示している。融解したアモルファスシリコン膜14の温度が、上記温度レベル22を下回った場合に、該アモルファスシリコン膜14を構成しているシリコンが結晶化(固化)するようになっている。
【0071】
上記従来の構成では、シリコンが冷却されて、温度が低下するに従い、溶融領域の外縁部21から中央部に向って順に結晶化が進行することになる。そして、この外縁部21からの結晶化が進行すると同時に、溶融領域の中央部においてもシリコンの温度が低下し、結晶化が進行することとなる。このとき、外縁部21と中央部との間には、上記結晶化しつつある領域17が存在することとなり、この領域17は、上記温度レベル22よりも高い温度になっている。従って、外縁部21から中央部に向かって順に結晶化するより先に、中央部では、温度レベル22を下回ることとなり結晶化が進行して、微結晶またはアモルファスである結晶粒23が生成することとなる。そして、外縁部21から中央部に向かって結晶化した結晶24は、中央部で生じた結晶粒23によってその成長を阻害される。このために、従来の構成では、中央部まで結晶24が成長しない場合がある。
【0072】
本実施の形態にかかる半導体素子の構成、すなわち、図1に示すように、ガラス基板4上に拡散防止層3、半導体層2、熱拡散層1が順に積層された構成(半導体層2の表面に熱拡散層1を設けた構成)とする場合には、結晶の成長距離Lを従来と比べて、2倍から3倍に拡大することができる。すなわち、1回のレーザ光を照射することにより半導体層2を溶融させて結晶化する際の、成長する結晶の長さを、2〜4μm以上とすることができる。このため、開口部の像の幅(半導体素子に照射するレーザ光の幅)Dを、例えば、従来の2から3倍以上に設定して場合でも、中央部が微結晶またはアモルファスとなることが無い、または、中央部の微結晶またはアモルファスの幅を従来の構造と比して狭くすることができる。この理由について、以下に説明する。
【0073】
本実施の形態においては、ガラス基板4上に拡散防止層3、半導体層(アモルファスシリコン層)2及び熱拡散層1が順に積層されている構成の未結晶化半導体素子に対してレーザ光を照射する構成である。従って、図6に示すように、結晶領域27と溶融領域30との境界領域の温度は特に高くはならず、中央部から外縁部に向かって緩やかに低下するような温度分布25になっている。これは、半導体層2の表面に設けた熱拡散層1のために、該熱拡散層1を通して横方向(基板面方向)に熱が流れやすくなり、上記境界領域の温度が早く下がるためである。すなわち、半導体層2の表面に熱拡散層1を設けることで、横方向の熱の流れを促進することができ、潜熱の放出に伴う従来のような突起のある温度分布を平準化することができる。なお、図6は、本実施の形態にかかる未結晶化半導体素子にレーザ光を照射した場合における溶融領域付近の温度分布を示したグラフである。
【0074】
このため、図7に示すように、溶融領域の全体の温度が降下して行くときに、外縁部とともに中央部でも結晶化が生じるというような現象が生じることがなく、外縁部から中心部に向かってスムーズに結晶が成長することとなる。これにより、外縁部から中央部にかけて、従来と比べて長い結晶を生成することができる。なお、図7は、本実施の形態の構成における、半導体層2の冷却に伴う温度分布の変化を示しているグラフである。
【0075】
そして、本実施の形態の場合、開口部の像、すなわち、半導体素子にレーザ光を照射した部分が結晶化された後に、該レーザ光の照射部分を移動させて、再度別の結晶化されていない部分、または、すでに結晶化された部分に上記レーザ光を、該レーザ光の一部が重なるように照射することで、ガラス基板4上の半導体層2を、より長く結晶化することができる。そして、これを繰り返すことにより、ガラス基板4上に形成された半導体層2の一部もしくは全面を結晶化することができる。つまり、結晶化した部分を含む状態でさらにレーザ光を照射する、すなわち、既に結晶化している領域の一部とレーザ光を重ね合わせて照射することにより、既に結晶化させた結晶を種結晶として成長させることができる。具体的には、このレーザ光の重ね合わせ量を、幅方向に、例えば、結晶の成長距離Lの1/2程度に設定すると、成長した結晶をつぎつぎと引き継いで結晶化する事ができ、ガラス基板4の面内方向であって、かつ開口部の幅方向に長い結晶を形成することが可能である。
【0076】
従って、本実施の形態のような結晶化半導体の製造方法を行うことにより、1回のパルス照射によって形成される結晶化領域を、従来の2倍以上の面積とすることができるので、半導体層2の結晶化に要する時間を半減させることができ、低価格の半導体素子デバイスとすることができる。
【0077】
また、本実施の形態にかかる未結晶半導体素子を用いて半導体層2を結晶化させることにより、従来よりも短時間で結晶化の処理を行うことができる。そして、一度形成された結晶の一部を含むようにレーザ光を照射することにより、結晶の成長距離をより長くすることができる。
【0078】
また、例えば、結晶の成長方向に(開口部の幅方向に)キャリアを流すような構造のトランジスタを構成すると、キャリアが結晶の粒界に散乱されることが少なく、移動度が極めて高いトランジスタを得ることができる。
【0079】
なお、本実施の形態の場合、熱拡散層1から、垂直方向へ熱が逃げる経路としては、熱拡散層1を通じて上方へ(つまり大気中へ)逃げる経路が考えられる。しかし、大気は気体であり、大気の熱伝導率は、固体であるガラス基板4に比べて、極端に小さいので、大気中に逃げる熱に関して無視することができる。
【0080】
また、半導体層2の表面の熱拡散層1を構成する材料としては、上述のように、窒化アルミニウム、窒化シリコンなどの窒化物が好適に用いられる。これは、これら多くの窒化物は、熱伝導性が大きく、かつ耐熱性があり、また、溶融に用いるレーザ光の波長においておおむね透明であるという特質を有するからである。また、同様の理由において、例えば、酸化アルミニウム等の熱伝導性が大きく、かつ耐熱性があり、また、溶融に用いるレーザ光の波長においておおむね透明であるという特質を有する材料の多くも熱拡散層1の材料として利用可能である。
【0081】
熱拡散層1を構成する材料のうち、例えば、窒化アルミニウム、窒化シリコン、および、酸化アルミニウムの熱伝導率はガラス基板4の熱伝導率の5〜10倍以上であり、かつ窒化アルミニウム、窒化シリコン、酸化アルミニウムを熱拡散層1として用いることにより、結晶の成長距離が長くなることが実験から確認されている。このことから、熱拡散層1を構成する材料を、ガラス基板4よりも高いものを選択することがより好ましく、さらに好ましくは5倍以上の熱伝導率に設定すれば、結晶成長を促進する効果を得ることができる。
【0082】
また、熱拡散層1を構成する材料とレーザ光源5の種類との組み合せによっては、上記熱拡散層1が半導体素子に対して照射されたレーザ光を無視できない程度に吸収する場合がある。例えば、レーザ光源5として紫外線領域の波長を有するエキシマレーザを用いた場合、レーザ光源5から照射されたレーザ光が、熱拡散層1にある程度、吸収される場合がある。この場合、半導体層2の表面にある熱拡散層1により、紫外線領域のレーザ光が吸収されて、その下部にある半導体層2に十分に熱が与えられない場合がある。また、熱拡散層1によって多くの光が吸収され熱となると、熱拡散層1の温度が上昇して、該熱拡散層1が損傷する場合がある
従って、熱拡散層1の光透過率は、少なくとも、その下の半導体層2の吸収率よりも小さいことが好ましい。つまり、レーザ光源5から照射されるレーザ光に対する熱拡散層1の光吸収率が、半導体層2の光吸収率よりも小さいことがより好ましい。上記レーザ光に対する熱拡散層1の光吸収率を半導体層2の光吸収率よりも小さくする方法としては、例えば、▲1▼レーザ光源5から照射するレーザ光の波長を変更する、▲2▼照射するレーザ光に対する光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さい熱拡散層を用いる等の方法が挙げられる。
【0083】
例えば、レーザ光源5から照射されるレーザ光の波長が紫外線領域の場合には、熱拡散層1を構成する材料の種類によっては、該熱拡散層1が、照射されるレーザ光のエネルギーを多くの割合で吸収する場合がある。
【0084】
このため、熱拡散層1を構成する材料の種類によっては、紫外線領域のレーザ光に代えて、可視光領域のレーザ光を用いる等の、照射する光の波長を変更することが好適である。熱拡散層1に対する透過率が高く(吸収率が低く)、かつ、半導体層2に対する吸収率の高い波長の光を発するレーザ光源5を用いれば、レーザ光の多くが熱拡散膜1を透過して半導体層2に吸収されることになるので、半導体層2に十分に熱を与えることが出来る。なお、半導体層2として、例えば、アモルファスシリコン、または、シリコンを用いる場合には、550nmよりもレーザ光の波長が短いことが望ましい。これは、半導体層2を構成する材料がシリコン(アモルファス状態を含む)である場合、該シリコンは、波長が550nmより長いレーザ光を十分に吸収しないからである。従って、半導体層2を構成する材料が、シリコンを含有する場合には、波長が550nm以下のレーザ光を照射することがより好ましい。
【0085】
一方、半導体層2に照射するレーザ光の波長の下限値としては、350nm以上であることがより好ましい。熱拡散層1を構成する材料のうち、多くの材料(可視域で透明である材料を含む)では350nmよりも小さい波長領域では、照射するレーザ光に吸収が急激に増加するため、例えば、2酸化シリコン、フッ化カルシウム等の限られた材料しか選択することができない。ところが、350nm以上の可視域においては、窒化シリコン、窒化アルミ、酸化アルミニウム等、透過率の高い物質を選択することができる。従って、上記半導体層2に照射するレーザ光の波長領域としては、350nm以上550nm以下の範囲内がより好ましい。
【0086】
従って、熱拡散層1を設けたシリコンを溶融するときに、上記範囲内の可視光を用いると、シリコンを効率的に溶融しながら、熱拡散層1での吸収を抑えることが容易となるため、特に好ましい。
【0087】
上記範囲内の波長領域を有するレーザ光の光源(レーザ光源5)としては、例えば、上記固体レーザ等が挙げられる、該固体レーザを用いて可視光領域のレーザ光を照射することは容易であるため好適である。なかでも特に、Nd−YAG等の固体レーザの第2高調波を用いると532nmの発振波長が得られるため好適である。
【0088】
特に、固体レーザを用いる場合には、処理装置が小型、軽量にでき、かつ装置のメンテナンス(維持)にガスが必要なく、メンテナンスコストを引き下げて製造装置の維持コストを引き下げる装置を得ることが可能である。また、その装置を用いると、装置コスト、メンテナンスコストが低いために、従来よりも格段にコストを下げる製造方法とすることが可能である。
【0089】
さらに、本実施の形態にかかる結晶化半導体素子の製造方法において、半導体層2の表面に熱拡散層1を設け、レーザ光を照射することにより結晶化を行った場合、結晶化後に熱拡散層1を除去してから(除去工程)、後の工程を行っても良い。熱拡散層1を除去することにより、後の工程であるゲート部分の作製、電極配線、ドーピングなどの半導体装置の形成が容易となる。この場合、半導体層2の表面二形成された熱拡散層1を除去した後は、半導体層2、拡散防止層3、ガラス基板4という構成となるため、従来の半導体素子の構造と同じとなるので、従来の処理工程をそのまま用いることができる。また、拡散防止層3については、従来の二酸化シリコンを用いることが可能であるので、これについても従来通りの工程で行うことが可能なので好都合である。特に、拡散防止層3はガラス基板4からの不純物の拡散を防ぐという重要な機能を有する層であり、これは従来から用いられている材料そのまま用いられれば、工程の再検討が必要なく、極めて好都合となる。すなわち、本実施の形態にかかる半導体素子の製造方法の一形態は、従来の半導体素子の製造方法における半導体層2を設ける工程とレーザアニール処理工程との間に熱拡散膜を設ける工程を挿入し、かつレーザアニール処理工程と後の工程の間に熱拡散膜を除去する工程を挿入すれば良く、従来の方法に対して変更すべき箇所が少なく、従来方法からの移行が容易であるといえる。なお、上記熱拡散層1を除去する方法としては、例えば、酸素、不活性ガス(He,Ne,Ar,Kr等)をプラズマ化してこれらのイオンをガラス基板4上の熱拡散層1に衝突させて、そのエネルギーにより該熱拡散層1を除去する、いわゆるドライエッチング法を用いればよい。
【0090】
また、本実施の形態の場合、半導体層2の表面に熱伝導率の高い熱拡散層1を設けているため、それによる結晶成長距離の伸展を図ることができる。ところが、表面の熱拡散層1の熱伝導率が高いために、熱のガラス基板4への逃げが大きくなるため、レーザアニールに必要な照射面積あたりのレーザ光のエネルギー量を若干増加させる必要がある場合がある。つまり、1回のレーザ光のパルス照射によって発せられるレーザ光のエネルギー量が、従来と同一の場合には、照射面積あたりのレーザ光のエネルギー量を増加させるために、エキスパンダ等により変換するビームサイズを小さくする、すなわち、半導体素子に照射するレーザ光の面積(照射面積)を小さくする等の方法を用いることがより好ましい。
【0091】
また、本実施の形態にかかる結晶化半導体の製造方法は、上記方法に加えて、ガラス基板4と半導体層2との間に基板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率層を形成する低熱伝導率層形成工程を含むことがより好ましい。具体的には、結晶化半導体素子を製造するために、図8に示すような、ガラス基板4と半導体層2との間に低熱伝導率層20を形成した未結晶化半導体素子を用いることがより好ましい。より具体的には、図8に示すように、半導体層2の下部に設けられている拡散防止層3の下に、ガラス基板4よりも熱伝導率の低い材料を用いて低熱伝導率層20を構成することにより、熱の損失を防止することが可能である。低熱伝導率層20としては、多孔質二酸化シリコン、有機材料膜などを用いることが可能である。低熱伝導率層20を設けると、ガラス基板4への熱の拡散を防止できるために熱の損失を防ぐことが可能となるとともに、表面の熱拡散層1の効果により不均一な熱分布を防いで、良好な成長を促進することが可能である。特に低熱伝導率層20を設けることにより、溶融している半導体層2の急激な温度変化を防止することができる、かつ、生成する結晶をより一層大きくすることができる。これにより、不均一な熱の分布を横方向(基板方向)に拡散させることができるので、溶融している半導体層2の温度分布を、より一層平準化することができる。
【0092】
また、本実施の形態にかかる未結晶化半導体素子は、ガラス基板4上に設けられ、かつ、非晶質状態または微結晶状態の半導体層2の表面に、該ガラス基板4よりも熱伝導率が高い熱拡散層1が形成されている構成であってもよい。上記の構成によれば、半導体層1の表面に熱拡散層1が形成されている。そして、該熱拡散層1は、ガラス基板4よりも熱伝導率が高くなっている。これにより、半導体層2を結晶化する際に、溶融した半導体層2を急激に冷却することがない。つまり、熱拡散層1が半導体層2の表面に形成されていることにより、半導体層2の結晶化において、生成する結晶の大きさ(長さ)を従来と比べて大きくすることができる。また、本実施の形態にかかる未結晶化半導体素子は、さらに、上記構成に加えて、半導体層1とガラス基板4との間に、別の熱拡散層が形成されていてもよい。このような構成とすることにより、半導体層2の表面に熱拡散層1を設けることで、横方向の熱の流れを促進することができ、潜熱の放出に伴う従来のような突起のある温度分布を平準化することができるという効果をより一層向上させることができる。
【0093】
また、本実施の形態にかかる結晶化半導体素子の製造方法は、ガラス基板4上に半導体層2を設ける半導体層成工程と、レーザ光を照射して前記半導体層2を結晶化させる結晶化工程とを実施する結晶化半導体素子の製造方法であって、ガラス基板4より熱伝導度の高い熱拡散層1を前記半導体層2上に設け、結晶化工程において前記熱拡散層1の上からレーザ光を照射する方法であってもよい。
【0094】
また、本実施の形態にかかる結晶化装置は、ガラス基板4上の半導体層2とその上に形成された熱伝導度の高い熱拡散層1を有するガラス基板4にレーザ光を照射して、前記半導体層2を結晶化させる結晶化手段を備える結晶化装置であって、前記結晶化手段は前記熱拡散層1の上からレーザ照射処理を行う構成であってもよい。
【0095】
なお、上記の説明では、半導体層2の表面に熱拡散層1を形成している構成について説明しているが、例えば、熱拡散層1と半導体層2との間に他の層が設けられていても良い。
【0096】
【発明の効果】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、以上のように、基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層を上記半導体層の表面に設ける熱拡散層形成工程を含み、上記結晶化工程では、上記熱拡散層の上から半導体層に対してレーザ光を照射する構成である。
【0097】
それゆえ、溶融している半導体層が結晶化する際に、従来よりも生成する結晶の長さを長くすることができる。また、1回のレーザ光の照射によって生成する結晶の長さを従来と比べてより長くすることができるので、結晶化にかかる時間を短くすることができるという効果を奏する。
【0098】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記結晶化工程の後に、熱拡散層を除去する除去工程を行う方法とすることにより、従来と同様な半導体素子の構成、かつ、従来と比べて結晶の大きな結晶化半導体素子とすることができる。
【0099】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記レーザ光に対する熱拡散層の光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さいことにより、結晶化工程の効率を上げることができ、製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0100】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、上記結晶化工程では、波長が550nm以下のレーザ光を照射する方法とすることにより、半導体層の結晶化の効率を高くできるので、結晶化半導体素子の製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【0101】
本発明の結晶化半導体素子の製造方法は、さらに、上記基板と半導体層との間に、基板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率層を形成する低熱伝導率層形成工程を含む方法とすることにより、結晶粒径が従来と比べてより一層大きい半導体層を有する結晶化半導体素子を製造することが出来る。
【0102】
本発明の結晶化半導体素子は、以上のように、上記製造方法によって製造される構成である。
【0103】
それゆえ、従来と比べて、より結晶粒径が大きい半導体層を有する結晶化半導体素子を提供することができるという効果を奏する。
【0104】
本発明の結晶化装置は、以上のように、上記結晶化手段は、波長が550nm以下のレーザ光を照射するようになっている構成である。
【0105】
これにより、半導体層で生成する結晶を従来と比べて大きくすることが出来るという効果を奏する。また、結晶化半導体素子の、結晶化の効率を高くでき、かつ、製造時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となるという効果を併せて奏する。
【0106】
本発明の結晶化装置は、上記結晶化手段は、照射するレーザ光に対する上記熱拡散層の光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さくなるように、該レーザ光の波長が設定されている構成とすることにより、結晶化の効率を高くでき、結晶化時間の短縮を図って製造コストの低減を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる結晶化半導体素子の製造方法によって製造される結晶化半導体素子の概略の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかる結晶化装置の概略の構成を示す平面図である。
【図3】上記結晶化半導体素子における半導体層の結晶化の状態を示す正面図である。
【図4】従来の半導体素子における、アモルファスシリコン膜にレーザ光を照射して、融解させた後に冷却して結晶化しつつある状態における、該アモルファスシリコン膜の温度分布を示したグラフである。
【図5】従来の半導体素子における、アモルファスシリコン膜14の冷却に伴う温度分布の変化を示しているグラフである。
【図6】本実施の形態にかかる未結晶化半導体素子にレーザ光を照射した場合における溶融領域付近の温度分布を示したグラフである。
【図7】本実施の形態の構成における、半導体層2の冷却に伴う温度分布の変化を示しているグラフである。
【図8】結晶化半導体素子の他の概略の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 熱拡散層
2 半導体層
3 拡散防止層
4 ガラス基板(基板)
5 レーザ光源
20 低熱伝導率層
Claims (8)
- 基板上に半導体層を形成する半導体層形成工程と、
上記半導体層に、レーザ光を照射して該半導体層を結晶化させる結晶化工程とを含む結晶化半導体素子の製造方法であって、
基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層を上記半導体層の表面に設ける熱拡散層形成工程を含み、
上記結晶化工程では、上記熱拡散層の上から半導体層に対してレーザ光を照射することを特徴とする結晶化半導体素子の製造方法。 - 上記結晶化工程の後に、熱拡散層を除去する除去工程を行うことを特徴とする請求項1記載の結晶化半導体素子の製造方法。
- 上記レーザ光に対する熱拡散層の光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さいことを特徴とする請求項2記載の結晶化半導体素子の製造方法。
- 上記結晶化工程では、波長が550nm以下のレーザ光を照射することを特徴とする請求項1記載の結晶化半導体素子の製造方法。
- さらに、上記基板と半導体層との間に、基板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率層を形成する低熱伝導率層形成工程を含むことを特徴とする請求項1記載の結晶化半導体素子の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されることを特徴とする結晶化半導体素子。
- 基板上に設けられた半導体層の表面に形成された、該基板よりも熱伝導率が高い熱拡散層を有する半導体素子に対して、レーザ光を照射することにより該半導体層を結晶化させる結晶化手段を備えた半導体層の結晶化装置であって、
上記結晶化手段は、波長が550nm以下のレーザ光を照射するようになっていることを特徴とする結晶化装置。 - 上記結晶化手段は、照射するレーザ光に対する上記熱拡散層の光吸収率が、半導体層の光吸収率よりも小さくなるように、該レーザ光の波長が設定されていることを特徴とする請求項7記載の半導体層の結晶化装置。
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