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JP2005273048A - ピッチコントロール方法 - Google Patents

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JP2005273048A
JP2005273048A JP2004085660A JP2004085660A JP2005273048A JP 2005273048 A JP2005273048 A JP 2005273048A JP 2004085660 A JP2004085660 A JP 2004085660A JP 2004085660 A JP2004085660 A JP 2004085660A JP 2005273048 A JP2005273048 A JP 2005273048A
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Abstract

【課題】パルプ及び紙の製造工程において、製造装置へのピッチの付着、パルプの汚れ、紙の斑点、断紙、作業性の低下などのピッチ障害を有効に抑制、防止することができるピッチコントロール方法を提供する。
【解決手段】懸濁微粒子を含有する紙料及び/又は白水が存在する製紙工程に、下記のアニオン性水溶性高分子化合物A、B及びCから選ばれるアニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩の1種以上及び/又は重量平均分子量1,000〜2,000,000のポリビニルピロリドンを添加することを特徴とするピッチコントロール方法。
A:重合性不飽和カルボン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体、B:重合性不飽和カルボン酸と2−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸との共重合体、C:ポリスチレンスルホン酸。
【選択図】なし

Description

本発明は、ピッチコントロール方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、パルプ及び紙の製造工程において、製造装置へのピッチの付着、パルプの汚れ、紙の斑点、断紙、作業性の低下などのピッチ障害を有効に抑制、防止することができるピッチコントロール方法に関する。
パルプ及び紙の製造工程でピッチと言われているものは、元来、木材、パルプ又は紙から遊離した天然樹脂やガム物質を指すが、さらに最近では、パルプ及び紙の製造工程で使用される添加薬品などに由来する有機物を主成分とする非水溶性の粘着物質を総称してピッチ成分と呼ばれている。このようなピッチ成分は、通常はパルプ及び紙の製造工程中で懸濁微粒子又は疎水性コロイドとなって存在している。ピッチ成分である懸濁微粒子は通常疎水性であり、疎水性コロイドも何らかの外的作用、例えば、大きなせん断力が作用したり、カルシウムイオンやアルミニウムイオンなどの金属イオンと接触すると、分散状態が容易に破壊されて析出し、凝集、集塊化する。以下、懸濁微粒子と疎水性コロイドを合せて懸濁微粒子と記す。
このように凝集、集塊化したピッチ成分は、その粘着性により、パルプや紙に直接付着して斑点となる。また、凝集、集塊化したピッチは、ファンポンプ、配管内、チェスト、ワイヤー、フェルト、ロールなどの紙製造装置類に一旦付着堆積したのち、剥離して紙へ再付着し、斑点や断紙を引き起こす。いずれにしても、これらのピッチ成分は、斑点発生による品質の低下や、断紙の発生による作業性、生産性の低下などの障害を引き起こす。
最近、紙の多様化による添加薬品種の増加、古紙原料の多様化による汚れ成分の増加、さらに工程で循環再使用される水の割合が高くなるにつれて、ピッチ障害がますます多くなるとともに、複雑化してきている。従来は、ピッチ障害に対して、木材やチップのシーズニング、スリット幅150μm程度のスクリーンで機械的に除去する方法、タルク、クレイその他の多孔性無機物を原料パルプに添加し、多孔性無機物質に懸濁微粒子を吸着させてピッチの粘着性と付着性を低下させる方法などが提案、実施されてきた。また、化学的な方法としては、(1)ピッチ可溶性有機溶剤を添加してピッチを溶解、分散、除去する方法、(2)原料パルプスラリーに特定の界面活性剤や分散剤を添加し、凝集又は集塊化したピッチを可溶化分散させる方法、(3)原料パルプスラリーにアニオン性水溶性高分子化合物を添加し、ピッチ粒子の分散を促進し、付着を防止する方法、(4)原料パルプスラリーに吸着性無機微粉末を添加してピッチの粘着性を消失させて、紙中に抄き込む方法、(5)原料パルプスラリーにカチオン性水溶性高分子化合物を添加し、分散状態のピッチ粒子を均一に原料に定着させ、ピッチの集塊化を防止し、紙中に抄き込む方法、(6)ピッチが付着しやすい箇所に直接水溶性高分子化合物や界面活性剤を噴霧し、紙製造装置表面におけるピッチ付着や堆積を防止する方法などが知られている。
ピッチが実際に付着、堆積する紙製造装置の表面に薬剤を直接噴霧する方法は、処理コストを低減し得る優れた方法であるが、薬剤を直接噴霧している紙製造装置の表面でのピッチの付着は防止し得るものの、ピッチ付着場所が後工程の製造装置表面に移行することが多いという問題がある。ピッチ付着場所が乾燥工程のドライヤーシリンダー表面などに移行した場合には、薬品を噴霧することができないので、ピッチ障害を解決することができない。
このために、抄紙機全体からピッチ成分を排出させる方法が開発されている。例えば、抄紙工程中のピッチ状樹脂の沈積の減少する方法として、ピッチ状樹脂含有紙パルプスラリーに0.5〜20ppmのジメチルジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体を添加する方法が提案されている(特許文献1)。新聞又はチラシ古紙を主体とする製紙原料に由来するピッチトラブルを防止する方法として、原料中にジメチルジアリルアンモニウム塩と第四級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド誘導体との共重合体からなるカチオン性水溶性高分子を添加、処理したのち抄紙する方法が提案されている(特許文献2)。雑誌古紙を主体とする製紙原料に由来するピッチトラブルを防止する方法として、原料中にジメチルジアリルアンモニウム塩と第四級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド誘導体との共重合体からなるカチオン性水溶性高分子を添加、処理したのち抄紙する方法が提案されている(特許文献3)。パルプ及び紙の製造工程において、ピッチ障害を有効に抑制、防止するピッチコントロール剤として、ジアルキルアミンとエピハロヒドリンとの反応生成物にジアルキルアミノアルキルアクリルアミドを反応して得られるポリカチオン架橋剤とカチオン性水溶性共重合体を含有してなるピッチコントロール剤が提案されている(特許文献4)。このように、特定のカチオン性水溶性高分子を原料パルプに添加し、ピッチ成分を懸濁微粒子の状態でパルプに定着させる方法によれば、系内にピッチ成分が濃縮、集塊化することがなく、系外に排出することができるので現在も広く用いられている。しかし、この方法には負電荷を有する懸濁微粒子の電荷中和にカチオン性水溶性高分子が消費され、必要添加量が多いという問題がある。また、カチオン性水溶性高分子を過剰に添加した場合には、懸濁微粒子の集塊化を促進して斑点が発生する、古紙中の残インクまでも定着して白色度を低下させるなどという問題がある。
そこで、ピッチ定着処理の改善提案が行われている。例えば、ピッチ障害による紙の汚点、欠点、断紙、作業性の低下などを改善し、広い範囲で適用できるピッチコントロール方法として、紙パルプの製造工程において、水溶性不飽和カルボン酸と非水溶性ビニル化合物との共重合体の塩をパルプスラリーに添加したのち、水溶性カチオン性重合体を添加するピッチコントロール方法が提案されている(特許文献5)。サーモメカニカルパルプや脱インキパルプを配合した製紙原料を抄紙する場合、低コストでカチオン要求量を低減させ、同時に抄造の安定化を図ることが可能な製紙原料の前処理方法として、製紙原料に無機物とカチオン性ポリマーを併用して添加する方法が提案されている(特許文献6)。製紙原料に機械パルプや古紙が配合された場合、ピッチに起因する紙の汚れを防止するための製紙原料の前処理方法として、第四級アンモニウム基を有するカチオン性単量体とカルボキシル基又はスルホ基を有するアニオン性単量体の共重合体からなる両性水溶性高分子を製紙原料に添加し、処理したのち抄紙する方法が提案されている(特許文献7)。このように、原料パルプスラリー製造工程において、特定のアニオン性水溶性高分子を添加したのちにカチオン性水溶性高分子を添加する併用処理、特定のカチオン性高分子と多孔性無機物との併用処理、両性水溶性高分子による処理などが検討されている。しかしながら、いずれの改善提案も金属イオンなどの電解質による析出や凝集による集塊化を防止するという観点では検討されておらず、ピッチ障害を完全に防止するには至っていない。以上のように、種々のピッチ障害を防止する方法が提案されているが、いずれも完全にピッチをコントロールするに至っておらず、より効果の高い薬品とピッチ付着を防止する技術が望まれている。
特開昭57−149591号公報(第1頁) 特開2001−262486号公報(第2頁) 特開2001−262487号公報(第2頁) 特開2002−201594号公報(第2頁) 特開平9−158076号公報(第2−3頁) 特開2003−55895号公報(第2頁) 特開2003−155688号公報(第2−3頁)
本発明は、パルプ及び紙の製造工程において、製造装置へのピッチの付着、パルプの汚れ、紙の斑点、断紙、作業性の低下などのピッチ障害を有効に抑制、防止することができるピッチコントロール方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者は、ピッチ成分が疎水性の懸濁微粒子として存在すること、紙の製造工程水中に含まれるカルシウムイオンやアルミニウムイオンなどの電解質による析出や凝集作用によって懸濁微粒子が凝集、集塊化することに着目し、析出や凝集を抄紙工程まで抑制し、あるいは析出や凝集しても集塊化しないようにすることで、ピッチ障害を防止することができるのではないか考えて研究し、製紙工程に重合性不飽和カルボン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体、重合性不飽和カルボン酸と2−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸との共重合体及びポリスチレンスルホン酸から選ばれるアニオン性水溶性高分子化合物の1種以上及び/又はポリビニルピロリドンを添加することにより、製紙工程におけるピッチ障害を効果的に防止し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)懸濁微粒子を含有する紙料及び/又は白水が存在する製紙工程に、下記のアニオン性水溶性高分子化合物A、B及びCから選ばれるアニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩の1種以上及び/又は重量平均分子量1,000〜2,000,000のポリビニルピロリドンを添加することを特徴とするピッチコントロール方法、
アニオン性水溶性高分子化合物A:
重合性不飽和カルボン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体(モル比70:30〜97:3、重量平均分子量1,000〜100,000)
アニオン性水溶性高分子化合物B:
重合性不飽和カルボン酸と2−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸との共重合体(モル比70:30〜97:3、重量平均分子量1,000〜100,000)
アニオン性水溶性高分子化合物C:
ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量1,000〜100,000)、
(2)アニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩とポリビニルピロリドンとの割合が、5:95〜95:5(重量比)である(1)記載のピッチコントロール方法、
(3)アニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩及び/又はポリビニルピロリドンを添加して混合された後に、カチオン性水溶性高分子化合物を添加する(1)又は(2)記載のピッチコントロール方法、
(4)カチオン性水溶性高分子化合物が、ジアリルジメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体及び(メタ)アクリロイルイミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体から選ばれる1種以上である(3)記載のピッチコントロール方法、
(5)製紙工程の水系の少なくとも一つが、カルシウムイオンとして5mgCa/L以上及び/又はアルミニウムイオンとして2mgAl/L以上を含有する(1)、(2)、(3)又は(4)記載のピッチコントロール方法、
(6)シャワー水系及び/又はプレスパート真空脱水装置からの回収白水系に、アニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩及び/又はポリビニルピロリドンを添加し、紙料にカチオン性水溶性高分子化合物を添加する(3)、(4)又は(5)記載のピッチコントロール方法、
(7)pH低下を伴う製紙工程段階において、pH低下前の段階にアニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩及び/又はポリビニルピロリドンを添加し、pH低下後の段階にカチオン性水溶性高分子化合物を添加する(3)、(4)又は(5)記載のピッチコントロール方法、及び、
(8)pH低下前の段階におけるpHがpH5以上の場合には、アニオン性水溶性高分子化合物A若しくはその塩及び/又はアニオン性水溶性高分子化合物B若しくはその塩を、pH5未満の場合には、アニオン性水溶性高分子化合物C若しくはその塩を添加する(7)記載のピッチコントロール方法、
を提供するものである。
本発明のピッチコントロール方法によれば、ピッチの原因物質である原料紙料中の懸濁微粒子を凝集することなく安定な分散状態に保ち、パルプ繊維に均一に定着させることにより、系内におけるピッチ障害が軽減し、抄紙装置へのピッチの付着も軽減することができる。その結果、紙の斑点や、断紙の発生を減少させ、製品品質と生産効率を向上することができる。
本発明のピッチコントロール方法においては、懸濁微粒子を含有する紙料及び/又は白水が存在する製紙工程に、下記のアニオン性水溶性高分子化合物A、B及びCから選ばれるアニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩の1種以上及び/又は重量平均分子量1,000〜2,000,000のポリビニルピロリドンを添加する。
アニオン性水溶性高分子化合物A:
重合性不飽和カルボン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体(モル比70:30〜97:3、重量平均分子量1,000〜100,000)
アニオン性水溶性高分子化合物B:
重合性不飽和カルボン酸と2−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸との共重合体(モル比70:30〜97:3、重量平均分子量1,000〜100,000)
アニオン性水溶性高分子化合物C:
ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量1,000〜100,000)
本発明方法に用いる重合性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸などを挙げることができる。これらの重合性不飽和カルボン酸は、遊離酸として共重合させることができ、不飽和カルボン酸塩として共重合させることができ、あるいは、無水マレイン酸などの酸無水物として共重合させることもできる。
本発明方法において、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸及びスチレンスルホン酸は、式[1]、[2]及び[3]により表される化合物であり、これらの酸は、遊離酸として共重合又は重合させることができ、あるいは、塩として共重合又は重合させることもできる。
Figure 2005273048
ただし、式中、Mは、H、Na、K又はNH4である。
本発明方法において、不飽和カルボン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又は2−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸との共重合体の共重合モル比は、70:30〜97:3であり、より好ましくは75:25〜95:5である。共重合モル比が70:30未満であっても、97:3を超えても、懸濁微粒子の凝集、集塊化を防止する効果が不十分となるおそれがある。
本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物A〜Cの重量平均分子量は、1,000〜100,000であり、より好ましくは3,000〜70,000であり、さらに好ましくは10,000〜60,000である。重量平均分子量が1,000未満であると、懸濁微粒子の凝集、集塊化を防止する効果が不十分となるおそれがある。重量平均分子量が100,000を超えると、水溶液の粘度が高くなり、作業性が低下するおそれがある。
本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物Aとしては、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体又はその塩を好適に用いることができ、アニオン性水溶性高分子化合物Bとしては、アクリル酸と3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸との共重合体又はその塩を好適に用いることができる。
本発明方法に使用する重合性不飽和カルボン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体、及び、重合性不飽和カルボン酸と3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸との共重合体の製造方法に特に制限はなく、ラジカル重合法により重合性不飽和カルボン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又は3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸とを共重合することができる。例えば、重合性不飽和カルボン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸又はそれらの塩とを水に溶解し、雰囲気を不活性ガスで置換し、アゾ系、過酸化物系などの水溶性ラジカル重合開始剤を用い、重合温度50〜100℃で、水溶液重合を行うことができる。本発明方法に使用するポリスチレンスルホン酸を製造する方法に特に制限はなく、ラジカル重合法によりスチレンスルホン酸又はその塩を重合することができる。
本発明方法に使用するノニオン性水溶性高分子化合物であるポリビニルピロリドンは、式[4]で示されるN−ビニルピロリドンの単独重合体である。
Figure 2005273048
本発明方法において、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、1,000〜2,000,000であり、より好ましくは3,000〜1,800,000であり、さらに好ましくは5,000〜1,600,000である。重量平均分子量が1,000未満であると、懸濁微粒子の凝集、集塊化を防止する効果が不十分となるおそれがある。重量平均分子量が2,000,000を超えると、水溶液の粘度が高くなり、作業性が低下するおそれがある。
本発明方法に使用するポリビニルピロリドンを製造する方法に特に制限はなく、ラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤を用いて重合することができる。これらの重合方法の中で、ビニルピロリドンの水溶液に少量のアンモニアを加え、不活性ガスで雰囲気を置換したのち、過酸化水素を重合開始剤として加熱下に重合する方法が、副反応が少なく、容易に高分子量のポリマーを得ることができるので好ましい。
本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物及びポリビニルピロリドンを添加するとき、アニオン性水溶性高分子化合物とポリビニルピロリドンとの重量比が5:95〜95:5であることが好ましく、25:75〜75:25であることがより好ましい。アニオン性水溶性高分子化合物とポリビニルピロリドンとの重量比が5:95未満であっても、95:5を超えても、懸濁微粒子の凝集、集塊化を防止する効果において、アニオン性水溶性高分子化合物とポリビニルピロリドンとの相乗効果が顕著に発現しないおそれがある。
本発明方法においては、アニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩及び/又はポリビニルピロリドンを添加して混合された後に、紙料にカチオン性水溶性高分子化合物を添加することができる。紙料にカチオン性水溶性高分子化合物を添加することにより、疎水性の懸濁微粒子を分散した状態を保ったままパルプ繊維に定着させ、紙の中に抄き込んで系外に排出することができる。本発明方法に用いるカチオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどの塩、ポリオルニチン、ポリリジンなどのポリアミノ酸の塩、ポリ(ジアリルジアルキルアンモニウム塩)、N−ビニルアミドとアクリロニトリルとの共重合体を酸との反応により加水分解し、アミジン構造を有する五員環を形成した高分子化合物、ジアルキルアミンとエピハロヒドリンとの縮合物、N,N,N',N'−テトラアルキルアミンとジハロゲン化物との付加反応により生成する高分子化合物などを挙げることができる。本発明方法においては、両性水溶性高分子化合物も、カチオン性水溶性化合物として用いることができる。
これらのカチオン性水溶性高分子化合物の中で、ジアリルジメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体及び(メタ)アクリロイルイミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩とアクリルアミドの共重合体を好適に用いることができる。ジアリルジメチルアンモニウム塩は、閉環重合して、式[5]で表される五員環構造又は式[6]で表される六員環構造を有する単位を形成する。
Figure 2005273048
ただし、式中、M-は陰イオンである。(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩又は(メタ)アクリロイルイミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩は重合して、式[7]で表される構造を有する単位を形成する。
Figure 2005273048
ただし、式中、Aは、O又はNHであり、Bは、炭素数2又は3のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基であり、R1は、水素又はメチル基であり、R2、R3及びR4はメチル基、エチル基又はベンジル基であり、X-は陰イオンである。
本発明方法に用いるカチオン性水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、2,000〜20,000,000であることが好ましく、5,000〜10,000,000であることがより好ましい。
本発明方法に用いるジメチルジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合モル比は、10:90〜90:10であることが好ましく、20:80〜70:30であることがより好ましい。本発明方法に用いる(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩とアクリルアミド又は(メタ)アクリロイルイミノエチルトリメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合モル比は、10:90〜90:10であることが好ましく、20:80〜70:30であることがより好ましい。ジメチルジアリルアンモニウム塩とアクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩とアクリルアミド又は(メタ)アクリロイルイミノエチルトリメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとのモル比が10:90未満であると、カチオン性水溶性高分子化合物の懸濁微粒子ヘの吸着及びパルプ繊維への定着効果が低下するおそれがある。ジメチルジアリルアンモニウム塩とアクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩とアクリルアミド又は(メタ)アクリロイルイミノエチルトリメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとのモル比が90:10を超えると、カチオン性水溶性高分子化合物のカチオン性が強くなりすぎて、懸濁微粒子を凝集しピッチの集塊化を促進させるおそれがある。
本発明方法に用いるジアリルジメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体の製造方法に特に制限はなく、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムハライドは重合速度が非常に遅く、アクリルアミドの重合速度は速いので、ジアリルジメチルアンモニウムハライドを水に溶解し、先に重合系にpH2〜7に調整して仕込んでおき、窒素気流中で溶液の脱酸素を行ったのち、ラジカル重合開始剤を加えて重合を開始させ、アクリルアミドを連続的又は分割して供給し、高分子鎖中に均一に分布するような重合操作を行うことができる。重合開始剤としては、例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせのようなレドックス系、過酸化水素、ラウリルペルオキサイドなどの過酸化物、溶剤に可溶なアゾビスイソブチロニトリル、水溶性の2,2'−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩や、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダジリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩などのアゾ化合物などを、重合方法、重合条件に応じて適宜選択することができる。
本発明方法に用いる(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩又は(メタ)アクリロイルイミノエチルトリメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体の製造方法に特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩又は(メタ)アクリロイルイミノエチルトリメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとを、イソプロピルアルコールなどの水混和性溶媒を含む水性媒体中に溶解し、ラジカル重合開始剤を添加して、不活性雰囲気中で加熱することにより、共重合体を得ることができる。使用するラジカル重合開始剤に特に制限はなく、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、t−ブチルヒドロペルオキシド、アゾビス(シアノペンタン酸)、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などを挙げることができる。重合温度は、使用するラジカル重合開始剤に応じて、通常は10〜100℃の範囲で適宜選択することができる。このような重合反応により、ポリマー濃度10〜60重量%の水溶液を得ることができる。
本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物及びポリビニルピロリドンの添加場所は、ピッチの原因となる懸濁微粒子を含有する原料又は白水が、カルシウムイオン及び/又はアルミニウムイオンなどの電解質を含有する原料又は白水と混合される工程か、非解離状態であった電解質がpH低下によって解離する工程の前に、あらかじめ添加しておくことが好ましい。
本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物は、処理水のpHによって使い分けることができる。すなわち、pH5未満で、通常、硫酸バンドに由来するアルミニウムイオンが存在する系においては、ポリスチレンスルホン酸又はその塩を使用することが好ましい。pH5以上では、アルミニウムイオンは実質的に解離が抑えられて、水酸化アルミニウムになり、電解質の主体はカルシウムイオンである場合が多い。このような対象系においては、重合性不飽和カルボン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体及び/又は重合性不飽和カルボン酸と3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸との共重合体を使用することが好ましい。
本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンの添加量は、含有する懸濁微粒子の濃度のみならず、pH条件、pH低下の幅、パルプの種類、抄造紙質などによって適宜選択することができるが、一般的には懸濁微粒子を含む処理水に対し、0.5〜100mg/Lであることが好ましく、2〜40mg/Lであることがより好ましい。
本発明方法において、カチオン性水溶性高分子化合物の添加場所は、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンが添加され、十分混合された後の紙料であることが好ましく、マシンチェストからヘッドボックスまでの間で、ヘッドボックスに近い場所であることがより好ましい。
本発明方法において、カチオン性水溶性高分子の添加量は、対象水系中の懸濁微粒子の含有量などに応じて適宜選択することができるが、一般的には定着しようとする乾燥パルプに対する重量比で、0.002〜0.5重量%であることが好ましく、0.005〜0.1重量%であることがより好ましい。
本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンは、他の添加剤、例えば、溶解性、浸透性、親水性などを付与するための界面活性剤、消泡剤、スケールコントロール剤、キレート剤、スライムコントロール剤、防腐剤、pH調整剤などと併用することができ、あるいは、これらの薬剤を配合して使用することもできる。また、タルクなどの多孔性無機物のピッチコントロール剤、界面活性剤、ホスホン酸などの分子量1,000以下の分散剤を併用することができる。
製紙工程におけるピッチの生成機構は、必ずしも明らかではないが、次のように考えることができる。すなわち、抄紙工程の原料スラリー及び工程水中に含まれる負電荷を有し、疎水性の懸濁微粒子又は疎水性コロイドとなっているピッチ粒子が、水中のカルシウムイオン、アルミニウムイオンなどのカチオン性電解質により容易に脱水和されて析出、凝集することを第一段階とし、その後に凝集物が電気的反発力を失い、たがいに集塊化しする第二段階、さらにその集塊化物が疎水界面に蓄積して粘着性のあるピッチとなる第三段階により成り立っていると考えられる。
本発明方法に用いるポリビニルピロリドンは、前記第一段階に作用し、その後の段階へ進むことを阻止する保護コロイド効果に優れていると考えられる。また、本発明方法に用いるアニオン性水溶性高分子化合物も、懸濁微粒子のカルシウム塩又はアルミニウム塩による析出、凝集を抑制するが、特に前記第二段階に作用し、凝集物に電気的反発力を付与する分散効果に優れていると考えられる。水溶性高分子の中には、ピッチ粒子に作用する以前に、水中のカルシウムイオン、アルミニウムイオンなどのカチオン性電解質と反応し、ゲル化してその効果を失うものがあるが、本発明方法に用いるアニオン性水溶性高分子化合物及びポリビニルピロリドンはゲル化を生ずることがなく、凝集を防止する効果を有するのでこのような問題は発生しない。
アニオン性水溶性高分子化合物とポリビニルピロリドンを併用すると相乗効果が発現する理由は、必ずしも明らかではないが、一つのピッチ粒子に対し、ポリビニルピロリドンとアニオン性水溶性高分子の両方が作用することで、優れた保護コロイド効果と電気的反発効果の両方が付与され、上記ピッチ生成機構の第一段と第二段の両方を強くブロックすることにより得られる相乗効果であると推定される。
アニオン性水溶性高分子化合物とポリビニルピロリドンを添加して懸濁微粒子の凝集や集塊化を防止しただけでは、クローズド化の進んだ現在の抄紙工程では、これらの懸濁粒子の系内における濃縮を意味し、ピッチ障害を防止し得ない場合がある。そこで、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンに捕捉され、安定して分散した懸濁微粒子と高分子の複合体を、カチオン性水溶性高分子化合物の添加により、パルプ繊維に定着させ、均一に紙へ抄き込むことにより、製紙工程外にピッチの原因となる懸濁微粒子を排出することができる。カチオン性水溶性高分子化合物が過剰に添加された場合であっても、ピッチ成分である懸濁微粒子は、あらかじめアニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンで集塊化を阻止された状態で捕捉されており、分散したままの状態でパルプ繊維に定着するので、ピッチ障害を起こすことはない。
本発明方法は、下記の如き事例に好適に適用することができる。
(事例1)最近は、節水、原料歩留まりの向上及びエネルギー有効活用などのために、配合前の製紙原料の希釈、濃度調整及びpH調整に、抄紙工程の余剰白水が用いられることが多い。パルプ種によって事情は異なるが、各製紙原料は、ピッチの原因となる粒径150μm以下の懸濁微粒子を含有しており、原料希釈にアルミニウムイオン2mg/L以上又はカルシウムイオン5mg/L以上を含有する余剰白水を用いた場合、余剰白水中の電解質により懸濁微粒子が凝集してピッチ障害を生ずる場合がある。このような場合、原料希釈前の紙料又は希釈白水にあらかじめ本発明方法を適用し、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加することにより、ピッチ障害を防止することができる。このような場合は、電解質による水溶性高分子の消耗を防止する意味で、希釈白水に水溶性高分子を添加するよりも、電解質含有量が低い紙料スラリーに添加することが好ましい。本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加した紙料が、電解質を含有する余剰白水で希釈されたのち、本発明方法にしたがってカチオン性水溶性高分子化合物を添加すると、懸濁微粒子はパルプ繊維に付着し、紙製品とともに系外に排出されるのでさらに好ましい。
(事例2)炭酸カルシウムを填料として製造された、例えば、ちらし古紙、雑誌古紙、塗工紙古紙などを製造パルプ原料にしている製造工程の場合、古紙原料はもともとピッチ成分の他に多量の炭酸カルシウムを含有している。これを離解してパルプスラリーにすると、通常pH6.0以上で全カルシウム100mg/L以上を含有する原料スラリーとなる。これを、抄紙のために、pH5.5以下の酸性抄紙工程の余剰白水を混合して希釈、濃度調整とpH調整を行うと、pH低下によって炭酸カルシウムからカルシウムイオンがさらに溶出し、カルシウムイオンによって懸濁微粒子が凝集してピッチ障害を生ずることが多い。このような製紙工程においては、原料パルプ希釈前の紙料又は希釈白水に、あらかじめ本発明方法を適用して、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加することによって、ピッチ障害の発生を防止することができる。本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加した紙料が、電解質を含有する余剰白水で希釈されたのち、本発明方法にしたがってカチオン性水溶性高分子化合物を添加すると、懸濁微粒子はパルプ繊維に付着し、紙製品とともに系外に排出されるのでさらに好ましい。
(事例3)炭酸カルシウムを顔料として塗工紙を製造する工場において、塗工工程で発生する高濃度の炭酸カルシウムを含有する余剰塗工カラー液及び洗浄液は、従来は廃カラー液として総合排水処理系に送っていたが、最近はペーパースラッジ削減対策のために、抄紙原料と混合して再利用することが多くなっている。一般に塗工カラー液は、pH9以上であり、高濃度の炭酸カルシウムの他に、スチレンブタジエン高分子などのラテックスエマルションを含有する。そのような塗工カラー液をpH8以下の製紙原料と混合すると、pH低下により炭酸カルシウムが溶解してカルシウムイオンが増加し、懸濁微粒子であるラテックスが、このカルシウムイオンと反応して凝集し、いわゆるホワイトピッチ障害を生ずる場合がある。同様に、塗工された紙を損紙原料として抄紙工程で再利用する場合にも、他のパルプ原料と混合されてpH8以下となる抄紙工程で、塗工層中のラテックスが、カルシウムイオンと反応して凝集する。このようなピッチ障害を防止するために、抄紙工程に混入させる前の廃カラー液又は塗工損紙原料スラリーに、あらかじめ本発明方法を適用してアニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加することにより、ピッチ障害を防止することができる。塗工損紙スラリーをpH8以下の余剰白水でパルパー仕込みをする場合、pH8以下の余剰白水で希釈する場合にも、同様に本発明方法を適用することができる。特に、塗工損紙の離解を促進するために苛性ソーダが使用されている場合は、後工程でpH調整のために酸性物質が配合されるので、pH変化の幅が大きく、ピッチ障害を生じやすいが、本発明方法はこのような条件下でも効果を発揮する。本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加した紙料に、後工程でさらに本発明方法にしたがってカチオン性水溶性高分子化合物を添加すると、懸濁微粒子がパルプ繊維に付着し、紙製品とともに系外に排出されるのでさらに好ましい。
(事例4)有価物回収の立場から、発生する余剰塗工カラー液を限外ろ過膜などの膜処理により濃縮回収し、再利用する場合がある。この場合にも、廃カラー液が希釈されることによりpHが低下し、その結果、炭酸カルシウムが溶解し、懸濁微粒子であるラテックスが、カルシウムイオンと反応して凝集する。この凝集物は、粘着性のあるピッチとして膜に付着し、膜の洗浄頻度を増加させ、回収能力の低下をもたらす。このような障害を防止するために、廃カラー液に、あらかじめ本発明方法を適用して、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加することができる。この場合、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを本発明方法の割合で混合添加すると、相乗効果により少ない添加量で有効に効果を発揮させることができる。
(事例5)サーモメカニカルパルプ(TMP)や砕木パルプ(GP)をパルプ原料とし、填料に炭酸カルシウムを用いて中性紙を抄造している製紙工程においては、激しいピッチ障害に悩まされる場合がある。サーモメカニカルパルプや砕木パルプは、樹脂酸や高級脂肪酸からなる懸濁微粒子を含有しており、特に洗浄が不十分な原料ではこれらの含有量が多い。また、これらの濃厚スラリーは高いpHであることが多い。これらの原料パルプの希釈、濃度調整に炭酸カルシウムを含む余剰白水を使用すると、パルプに由来する樹脂酸や高級脂肪酸と、白水中に含まれるカルシウムイオンとが反応して典型的なピッチ障害が生じやすい。このような製紙工程においては、原料パルプスラリー又は希釈用の余剰白水に本発明方法を適用して、アニオン性水溶性高分子化合物及びポリビニルピロリドンを添加することにより、ピッチ障害を防止することができる。本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加した紙料に、後工程でさらに本発明方法にしたがってカチオン性水溶性高分子化合物を添加すると、懸濁微粒子がパルプ繊維に付着し、紙製品とともに系外に排出されるのでさらに好ましい。
(事例6)脱インキパルプ(DIP)原料には、通常、脱墨処理前から含まれていた背糊、粘着テープなどに由来する粘着物質の他に、洗浄によって除去されなかった脂肪酸エステル、高級脂肪酸やケイ酸塩などの脱墨剤を含有し、脱インキパルプスラリーは、アルカリ性を呈することが多い。このような脱インキパルプを原料として酸性抄造する場合には、アルカリ性では安定に分散し、脱インキパルプスラリー中に存在していた脂肪酸エステルや高級脂肪酸が、酸性の白水中に含まれるアルミニウムイオンやカルシウムイオンと接触し、ピッチ障害を発生する場合がある。このような製紙工程においては、濃厚脱インキパルプスラリー又は希釈用白水に本発明方法を適用して、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加することにより、ピッチ障害を防止することができる。このとき、抄造pHが5以上の場合はアニオン性水溶性高分子化合物A又はアニオン性水溶性高分子化合物Bを単独で、あるいは、ポリビニルピロリドンと組み合わせて使用することが好ましい。抄造pHが5未満の場合は、アニオン性水溶性高分子Cを単独で使用するか、あるいは、ポリビニルピロリドンと組み合わせて使用することが好ましい。なお、本発明方法において、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加した紙料に、後工程でさらに本発明方法にしたがってカチオン性水溶性高分子化合物を添加すると、懸濁微粒子がパルプ繊維に付着し、紙製品とともに系外に排出されるのでさらに好ましい。
(事例7)内添サイズ剤が使用されている製紙工程、特にアルケニル無水コハク酸(ASA)が使用されている製紙工程では、未定着のサイズ剤に由来する汚れが製紙用具に付着する障害が発生しやすい。サイズ剤には、硫酸バンドなどの定着剤と併用するロジン系サイズ剤と、自己定着性を有するアルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)などがあるが、添加されたサイズ剤のすべてがパルプ繊維に定着されることはなく、未定着のサイズ剤及び微細繊維や填料に吸着された状態で、白水とともに長時間製紙工程に滞留する部分が存在する。このような未定着のサイズ剤は、循環している間に加水分解を受けると、白水中に存在するカルシウムイオンやアルミニウムイオンと反応して水不溶性の加水分解物金属塩を形成し、製紙用具に汚れとなって付着したり、ピッチ障害の原因になったりする。このような製紙工程に本発明方法を適用し、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加して効果を発揮する場合もあるが、正常に分散しているサイズ剤までも強分散してサイズ剤のパルプ繊維への定着を妨害するおそれもある。このような場合には、本発明方法にしたがって、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンをフェルトシャワー水、プレスロールやサクションロールの内部シャワー水、ワイヤーパートのサクションボックス搾水系などに添加する一方、本発明方法にしたがってカチオン性水溶性高分子化合物を紙料に添加することにより、正常なサイズ定着を妨害することなく、製紙用具の汚れを防止することができる。
ルーツポンプなどの真空ポンプで搾水された水には、白水に由来する未定着のサイズ剤や微細繊維、填料に吸着されたサイズ剤、加水分解したサイズ剤などが含まれている。搾水された水は、通常抄紙系の白水と混合され再使用されるので、搾水にあらかじめ本発明方法を適用して、アニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加して未定着のサイズ剤を捕捉し、サイズ剤加水分解物が金属塩を形成することを阻止し、さらにサイズ剤の加水分解物の金属塩が形成されたとしても、集塊化することを防止し、抄紙系に戻すことができる。ここで紙料と混合されたのち、本発明方法にしたがってカチオン性水溶性高分子化合物を紙料に添加することにより、正常なサイズ定着を妨害することなく、製紙用具の汚れを防止することができる。また、フェルトやフェルトサクションボックス、ワイヤーパートのサクションボックス、サクションロールなどにも、サイズ剤に由来する汚れが付着して目詰まりを生ずる場合があるが、これらのシャワー水に本発明方法にしたがってアニオン性水溶性高分子化合物及び/又はポリビニルピロリドンを添加することにより、目詰まり障害をも防止することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例においては、下記の薬品を使用した。
薬品A:ポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量6,000。
薬品B:ポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量10,000。
薬品C:ポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量50,000。
薬品D:アクリル酸ナトリウム/マレイン酸ナトリウム共重合体、モル比50/50、重量平均分子量8,000。
薬品E:アクリル酸ナトリウム/マレイン酸ナトリウム共重合体、モル比50/50、重量平均分子量21,000。
薬品F:マレイン酸ナトリウム/2−メチル−1−ブテン/1−ペンテン共重合体、モル比65/21/14、重量平均分子量12,000。
薬品G:マレイン酸ナトリウム/2−メチル−1−ブテン/1−ペンテン共重合体、モル比85/9/6、重量平均分子量12,000。
薬品H:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、重量平均分子量12,000。
薬品I:アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体、モル比95/5、重量平均分子量10,000。
薬品J:アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体、モル比90/10、重量平均分子量10,000。
薬品K:アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体、モル比85/15、重量平均分子量10,000。
薬品L:アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体、モル比80/20、重量平均分子量10,000。
薬品M:アクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体、モル比85/15、重量平均分子量6,000。
薬品N:アクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体、モル比85/15、重量平均分子量18,000。
薬品O:アクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体、モル比85/15、重量平均分子量28,000。
薬品P:アクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体、モル比85/15、重量平均分子量60,000。
薬品Q:ポリビニルピロリドン、重量平均分子量9,000。
薬品R:ポリビニルピロリドン、重量平均分子量40,000。
薬品S:ポリビニルピロリドン、重量平均分子量1,000,000。
薬品T:ポリビニルピロリドン、重量平均分子量1,500,000。
薬品U:ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル四級化物/アクリルアミド共重合体、モル比30/70、重量平均分子量10,000,000。
薬品V:ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体、モル比30/70、重量平均分子量1,000,000。
実施例1
製紙工場のカラー塗工液を用いて、ラテックス中のカルシウム塩に対する薬品H〜Tの凝集防止効果を調べた。用いたカラー塗工液は、重質炭酸カルシウム25重量%、カオリンクレー25重量%、スチレンブタジエン系ラテックス7.5重量%を含有し、pHl0.5である。
紫外可視分光光度計[(株)島津製作所、UV−1600]に、6連式セルポジショナー[(株)島津製作所、CPS−240A]と光路長10mmのガラスセルを取り付けた。
ガラスセルに、水、2重量%希釈カラー塗工液、0.1重量%薬品水溶液を添加混合後、最後に2重量%塩化カルシウム二水和物水溶液を加えて試験を開始した。試験液のpH8.0、SS112mg/L、灰分82mg/L、カルシウムイオン濃度84mg/Lの試験条件1と、試験液のpH7.9、SS112mg/L、灰分82mg/L、カルシウムイオン濃度152mg/Lの試験条件2で試験を行った。試験液を50℃に保ち、試験開始直後と、60分後の660nmの吸光度を測定し、薬品を添加した試験液の吸光度の低下量Aと、薬品を添加しない空試験の試験液の吸光度の低下量Bから、次式により吸光度低下抑制率を算出した。
吸光度低下抑制率(%)=(1−A/B)× 100
ラテックス中のカルシウム塩の凝集、集塊化による沈殿が生じた場合には、試験液が透明化し、660nmの吸光度が低下する。
比較例1
実施例1と同様にして、ラテックス中のカルシウム塩に対する薬品A〜Gの凝集防止効果を調べた。
試験液の配合を第1〜2表に、実施例1の吸光度低下抑制率を第3表に、比較例1の吸光度低下抑制率を第4表に示す。
Figure 2005273048
Figure 2005273048
Figure 2005273048
Figure 2005273048
第3表に見られるように、塩化カルシウムを添加したカラー塗工液に、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(薬品H)、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品I〜L)、アクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品M〜P)又はポリビニルピロリドン(薬品Q〜T)を添加すると、ラテックスの凝集、集塊化が抑制される。これに対して、第4表に見られるように、塩化カルシウムを添加したカラー塗工液に、ポリアクリル酸ナトリウム(薬品A〜C)、アクリル酸ナトリウム/マレイン酸ナトリウム共重合体(薬品D〜E)又はマレイン酸ナトリウム/1−ヘキセン共重合体(薬品F〜G)を添加すると、ラテックスの凝集、集塊化が促進され、吸光度低下抑制率の値が負になる場合も生ずる。
実施例2
製紙工場で中性抄紙用のサイズ剤として用いられているアルケニル無水コハク酸の加水分解物を用いて、加水分解物中のカルシウム塩に対する薬品H〜Tの凝集防止効果を調べた。
純水93mLに水酸化ナトリウム2gを溶解したpH13の液に、アルケニル無水コハク酸[荒川化学工業(株)、サイズパインSA−862]4gを添加し、60℃で一夜放置して加水分解を行った。次いで、濃塩酸でpH7に調整したのち、純水を加えて全量を200mLとし、2重量%アルケニル無水コハク酸の加水分解物のナトリウム塩の水溶液を得た。この水溶液を、さらに純水で50倍に希釈し、0.04重量%アルケニル無水コハク酸加水分解物ナトリウム塩水溶液を試験に用いた。
実施例1と同様にして、紫外可視分光光度計にセルポジショナーとガラスセルを取り付け、ガラスセルに、水、0.04重量%アルケニル無水コハク酸加水分解物ナトリウム塩水溶液、0.1重量%薬品水溶液を添加混合後、最後に2重量%塩化カルシウム二水和物水溶液を加えて試験を開始した。このとき、試験液の最終水質は、pH7.1、カルシウムイオン濃度136mg/Lであった。試験液を40℃に保ち、試験開始直後と、60分後の660nmの吸光度を測定し、実施例1と同様にして、吸光度低下抑制率を算出した。
比較例2
実施例2と同様にして、アルケニル無水コハク酸加水分解物ナトリウム塩水溶液中のカルシウム塩に対する薬品A〜Gの凝集防止効果を調べた。
試験液の配合を第5表に、実施例2の吸光度低下抑制率を第6表に、比較例2の吸光度低下抑制率を第7表に示す。
Figure 2005273048
Figure 2005273048
Figure 2005273048
第6表に見られるように、塩化カルシウムを添加したアルケニル無水コハク酸加水分解物ナトリウム塩水溶液に、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品I〜L)、アクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品M〜P)又はポリビニルピロリドン(薬品Q〜T)を添加すると、アルケニル無水コハク酸加水分解物ナトリウム塩の凝集、集塊化が抑制される。これに対して、第7表に見られるように、塩化カルシウムを添加したアルケニル無水コハク酸加水分解物ナトリウム塩水溶液に、ポリアクリル酸ナトリウム(薬品A〜C)、アクリル酸ナトリウム/マレイン酸ナトリウム共重合体(薬品D〜E)又はマレイン酸ナトリウム/1−ヘキセン共重合体(薬品F〜G)を添加すると、アルケニル無水コハク酸加水分解物ナトリウム塩の凝集、集塊化が促進され、吸光度低下抑制率の値が負になる場合も生ずる。
実施例3
脱インキパルプに由来する脂肪酸エステルのピッチが斑点の原因となっている新聞巻取紙製造工場の脱インキパルプスラリーを用いて、薬品H〜Tの凝集防止効果を調べた。
この工場では、脱インキパルプ製造工程で得られる10重量%原料スラリー(pH9.6)を、酸性抄紙のマシン余剰白水(pH4.3)により3.5重量%原料スラリーに濃度調整して、完成脱インキパルプ原料(pH7.1)としている。また、この濃度調整の過程で、10重量%原料スラリー中に存在する懸濁微粒子が、余剰白水中のカルシウムイオンやアルミニウムイオンとの混合により析出し、その析出物が斑点原因物質である脂肪酸エステルであることが同定されている。
10重量%脱インキパルプスラリーを、No.3ろ紙[ADVANTEC社、保留粒径5μm]で吸引ろ過したpH9.7、Caイオン0mg/L、全Ca800mg/L、Alイオン0mg/L、全Al300mg/Lのろ液と、脱インキパルプの希釈に使用されている余剰白水をNo.3ろ紙[ADVANTEC社、保留粒径5μm]で吸引ろ過したpH4.3、Caイオン750mg/L、全Ca800mg/L、Alイオン30mg/L、全Al32mg/Lのろ液を用いた。
実施例1と同様にして、紫外可視分光光度計にセルポジショナーとガラスセルを取り付け、ガラスセルに、水、白水ろ液、0.1重量%薬品水溶液を添加混合し、10分間放置後、脱インキパルプスラリーろ液を加えて試験を開始した。試験液の最終水質は、pH7.1、カルシウムイオン濃度180mg/L、アルミニウムイオン濃度0mg/Lであった。試験液を40℃に保ち、試験開始直後と、60分後の660nmの吸光度を測定し、実施例1と同様にして、吸光度低下抑制率を算出した。
比較例3
実施例2と同様にして、脱インキパルプスラリー中のカルシウム塩に対する薬品A〜Eの凝集防止効果を調べた。
試験液の配合を第8表に、実施例3の吸光度低下抑制率を第9表に、比較例3の吸光度低下抑制率を第10表に示す。
Figure 2005273048
Figure 2005273048
Figure 2005273048
第9表に見られるように、脱インキパルプスラリーろ液に、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(薬品H)、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品I〜L)、アクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品M〜P)又はポリビニルピロリドン(薬品Q〜T)を添加すると、脱インキパルプスラリーろ液中の脂肪酸エステルの凝集、集塊化が抑制される。特に、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(薬品H)の効果が優れている。これに対して、第10表に見られるように、脱インキパルプスラリーろ液に、ポリアクリル酸ナトリウム(薬品A〜C)又はアクリル酸ナトリウム/マレイン酸ナトリウム共重合体(薬品D〜E)を添加すると、脱インキパルプスラリーろ液中の脂肪酸エステルの凝集、集塊化が促進され、吸光度低下抑制率の値はすべて負になる。
実施例4
実施例1と同じ製紙工場のカラー塗工液を用いて、ラテックス中のカルシウム塩に対する薬品Kと薬品Rを併用した場合の凝集防止効果を調べた。
実施例1と同様にして、紫外可視分光光度計にセルポジショナーとガラスセルを取り付け、ガラスセルに、水、2重量%希釈カラー塗工液、0.1重量%薬品K水溶液、0.1重量%薬品R水溶液を添加混合し、10分間放置後、2重量%塩化カルシウム二水和物水溶液を加えて試験を開始した。試験液の最終水質は、pH7.9、SS112mg/L、灰分82mg/L、カルシウムイオン濃度152mg/Lであった。試験液を50℃に保ち、試験開始直後、60分後及び120分後の660nmの吸光度を測定し、実施例1と同様にして、吸光度低下抑制率を算出した。
試験液の配合を第11表に、吸光度低下抑制率を第12表に示す。
Figure 2005273048
Figure 2005273048
第12表に見られるように、薬品の添加量の合計が10mg/Lであっても、pH7.9の試験液に対して、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品K)とポリビニルピロリドン(薬品R)を併用することにより、吸光度低下抑制率が上昇し、ラテックスの凝集、集塊化の抑制に対して、両者の間に相乗的な効果が発現することが分かる。
実施例5
実施例1と同じ製紙工場のカラー塗工液を用いて、ラテックス中のカルシウム塩に対する薬品Nと薬品Sを併用した場合の凝集防止効果を調べた。
実施例1と同様にして、紫外可視分光光度計にセルポジショナーとガラスセルを取り付け、ガラスセルに、水、2重量%希釈カラー塗工液、0.1重量%薬品N水溶液、0.1重量%薬品S水溶液を添加混合後、2重量%塩化カルシウム二水和物水溶液を加えて試験を開始した。試験液の最終水質は、pH7.9、SS112mg/L、灰分82mg/L、カルシウムイオン濃度152mg/Lであった。試験液を50℃に保ち、試験開始直後、60分後及び120分後の660nmの吸光度を測定し、実施例1と同様にして、吸光度低下抑制率を算出した。
試験液の配合を第13表に、吸光度低下抑制率を第14表に示す。
Figure 2005273048
Figure 2005273048
第14表に見られるように、薬品の添加量の合計が5mg/Lであっても、pH7.9の試験液に対して、アクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品N)とポリビニルピロリドン(薬品S)を併用することにより、吸光度低下抑制率が上昇し、ラテックスの凝集、集塊化の抑制に対して、両者の間に相乗的な効果が発現することが分かる。
実施例6
実施例3と同じ新聞巻取紙製造工場の脱インキパルプスラーろ液と白水ろ液を用いて、脂肪酸エステルに対する薬品Hと薬品Sを併用した場合の凝集防止効果を調べた。
実施例1と同様にして、紫外可視分光光度計にセルポジショナーとガラスセルを取り付け、ガラスセルに、水、実施例3と同じ白水ろ液、0.1重量%薬品H水溶液、0.1重量%薬品S水溶液を添加混合し、10分間放置後、実施例3と同じ脱インキパルプスラリーろ液を加えて試験を開始した。試験液の最終水質は、pH7.1、カルシウムイオン濃度180mg/L、アルミニウムイオン濃度0mg/Lであった。試験液を40℃に保ち、試験開始直後と、60分後の660nmの吸光度を測定し、実施例1と同様にして、吸光度低下抑制率を算出した。
試験液の配合を第15表に、吸光度低下抑制率を第16表に示す。
Figure 2005273048
Figure 2005273048
第16表に見られるように、薬品の添加量の合計が5mg/Lであっても、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(薬品H)とポリビニルピロリドン(薬品S)を併用することにより、吸光度低下抑制率が上昇し、脂肪酸エステルの凝集、集塊化の抑制に対して、両者の間に相乗的な効果が発現することが分かる。
実施例7
脱インキパルプに由来する樹脂酸エステル、脂肪酸エステルのピッチが、抄紙系内及び抄紙用具に付着し、その付着物が斑点として発生している中質紙工場の原料スラリーを用いて試験を行った。
SS8.8重量%、灰分0.39重量%、pH8.8の脱インキパルプスラリー100mLに、純水200mLを添加してSSが約3重量%のスラリーとなるように希釈した。このスラリーに、アクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品N)とポリビニルピロリドン(薬品S)の重量比1:1で混合した0.1重量%水溶液1.5mLを添加して薬品濃度を5mg/Lとし、ハンドミキサーを用いて900rpmで60秒撹拌した。次いで、2重量%塩化カルシウム二水和物水溶液を加えて、カルシウムイオン濃度を200mg/Lとし、さらにハンドミキサーを用いて900rpmで60秒撹拌したのち、25℃で60分放置した。
試験スラリーより50mLを採取し、3,000rpmで3分遠心分離したのちの上澄液の濁度を測定したところ101NTUであった。
また、試験スラリーより50mLを採取し、純水125mLを加えてスラリー濃度約0.8重量%に希釈し、No.5Cろ紙を用いて全量吸引ろ過し、ろ紙を60℃で一夜乾燥した。ろ紙上のマットを、クロロホルム/ベンゼン(体積比50/50)を抽出溶媒としてソックスレー抽出器を用いて抽出し、抽出液を蒸発乾固して抽出物の重量を測定し、SSに対する抽出物量を算出した。抽出物量は、SSに対して0.09重量%であった。
薬品Nと薬品Sの混合物の濃度を、10mg/L、20mg/Lとして、同じ試験を繰り返した。薬品濃度10mg/Lのとき、上澄液の濁度は148NTU、SSに対する抽出物量は0.05重量%であり、薬品濃度20mg/Lのとき、上澄液の濁度は181NTU、SSに対する抽出物量は0.04重量%であった。
実施例8
実施例7と同様にして、脱インキパルプスラリーに純水を添加してSSが約3重量%のスラリーとなるように希釈しアクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品N)とポリビニルピロリドン(薬品S)の重量比1:1の混合物の水溶液を添加して薬品濃度を5mg/Lとし、ハンドミキサーを用いて900rpmで60秒撹拌した。次いで、塩化カルシウム二水和物水溶液を加えてカルシウムイオン濃度を200mg/Lとし、さらにハンドミキサーを用いて900rpmで60秒撹拌したのち、25℃で60分放置した。
その後、0.1重量%ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル四級化物/アクリルアミド共重合体(薬品U)水溶液を、該共重合体の添加量がSS1kgに対して100mgとなるように添加し、ハンドミキサーを用いて900rpmで60秒撹拌した。
試験スラリーより50mLを採取し、3,000rpmで3分遠心分離したのちの上澄液の濁度を測定したところ132NTUであった。
また、試験スラリーより50mLを採取し、純水125mLを加えてスラリー濃度約0.8重量%に希釈し、No.5Cろ紙を用いて全量吸引ろ過し、ろ紙を60℃で一夜乾燥した。ろ紙上のマットを、クロロホルム/ベンゼン(体積比50/50)を抽出溶媒としてソックスレー抽出器を用いて抽出し、抽出液を蒸発乾固して抽出物の重量を測定し、SSに対する抽出物量を算出した。抽出物量は、SSに対して0.08重量%であった。
薬品Uの添加量を、SS1kgに対して200mg、400mgとして、同じ試験を繰り返した。薬品Uの添加量200mg/kgSSのとき、上澄液の濁度は82NTU、SSに対する抽出物量は0.18重量%であり、薬品Uの添加量400mg/kgSSのとき、上澄液の濁度は11NTU、SSに対する抽出物量は0.43重量%であった。
実施例9
薬品Uの代わりに、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体(薬品V)を用いた以外は、実施例8と同じ操作を行った。
薬品Vの添加量100mg/kgSSのとき、上澄液の濁度は112NTU、SSに対する抽出物量は0.12重量%であり、薬品Vの添加量200mg/kgSSのとき、上澄液の濁度は51NTU、SSに対する抽出物量は0.24重量%であり、薬品Vの添加量400mg/kgSSのとき、上澄液の濁度は4NTU、SSに対する抽出物量は0.48重量%であった。
比較例4
実施例7と同じ脱インキパルプスラリー100mLに、純水200mLを添加してSSが約3重量%のスラリーとなるように希釈した。
このスラリーより50mLを採取し、3,000rpmで3分遠心分離したのちの上澄液の濁度を測定したところ84NTUであった。
また、スラリーより50mLを採取し、純水125mLを加えてスラリー濃度約0.8重量%に希釈し、No.5Cろ紙を用いて全量吸引ろ過し、ろ紙を60℃で一夜乾燥した。ろ紙上のマットを、クロロホルム/ベンゼン(体積比50/50)を抽出溶媒としてソックスレー抽出器を用いて抽出し、抽出液を蒸発乾固して抽出物の重量を測定し、SSに対する抽出物量を算出した。抽出物量は、SSに対して0.11重量%であった。
比較例5
実施例7と同じ脱インキパルプスラリー100mLに、純水200mLを添加してSSが約3重量%のスラリーとなるように希釈した。このスラリーに、2重量%塩化カルシウム二水和物水溶液を加えて、カルシウムイオン濃度を100mg/Lとし、ハンドミキサーを用いて900rpmで60秒撹拌したのち、25℃で60分放置した。
試験スラリーより50mLを採取し、3,000rpmで3分遠心分離したのちの上澄液の濁度を測定したところ78NTUであった。
また、試験スラリーより50mLを採取し、純水125mLを加えてスラリー濃度約0.8重量%に希釈し、No.5Cろ紙を用いて全量吸引ろ過し、ろ紙を60℃で一夜乾燥した。ろ紙上のマットを、クロロホルム/ベンゼン(体積比50/50)を抽出溶媒としてソックスレー抽出器を用いて抽出し、抽出液を蒸発乾固して抽出物の重量を測定し、SSに対する抽出物量を算出した。抽出物量は、SSに対して0.13重量%であった。
塩化カルシウム二水和物水溶液の添加量を増やし、カルシウムイオン濃度を200mg/L、400mg/Lとして、同じ試験を繰り返した。カルシウムイオン濃度200mg/Lのとき、上澄液の濁度は64NTU、SSに対する抽出物量は0.19重量%であり、カルシウムイオン濃度400mg/Lのとき、上澄液の濁度は49NTU、SSに対する抽出物量は0.28重量%であった。
実施例7〜9及び比較例4〜5の結果を、第17表に示す。
Figure 2005273048
第17表に見られるように、脱インキパルプスラリーにアクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品N)とポリビニルピロリドン(薬品S)を添加し、カルシウムイオンを含有する水を加えた実施例7では、上澄液の濁度が高いことから、懸濁微粒子の析出、集塊化が防止されていることが分かる。しかし、有機溶媒による抽出物の量は少なく、懸濁微粒子は、紙に抄き込む形で排出することはできず、水系内に留まっている。
脱インキパルプスラリーにアクリル酸ナトリウム/3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム共重合体(薬品N)とポリビニルピロリドン(薬品S)を添加し、カルシウムイオンを含有する水を加え、さらにカチオン性水溶性高分子であるジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル四級化物/アクリルアミド共重合体(薬品U)を添加した実施例8と、脱インキパルプスラリーに薬品Nと薬品Sを添加し、カルシウムイオンを含有する水を加え、さらにカチオン性水溶性高分子であるジアリルジメチルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体(薬品V)を添加した実施例9では、有機溶媒による抽出物の量が多くなり、分散していた懸濁微粒子が、有機溶媒で抽出される疎水性物質となり、紙に抄き込んで系外に排出し得ることが分かる。懸濁微粒子は、分散した状態でパルプ繊維に均一に定着するので、紙に斑点を生ずることはない。
薬品を添加することなく実施例と同様に処理した比較例5では、カルシウムイオンの添加により、懸濁微粒子の凝集が起こり、上澄液の濁度が低下している。懸濁微粒子の凝集物は、集塊化し、有機溶媒で抽出される疎水性物質として紙中に混入する。
本発明のピッチコントロール方法によれば、ピッチの原因物質である原料紙料中の懸濁微粒子を凝集することなく安定な分散状態に保ち、パルプ繊維に均一に定着させることができる。その結果、ピッチの原因となる懸濁微粒子を湿紙に抄き込んで系外に排出し、系内のピッチ障害を軽減し、抄紙用具へのピッチの付着も軽減させることができる。その結果、紙の斑点、断紙の発生を減少させ、製品品質と生産効率を向上することができる。本発明方法においては、使用する薬品の相乗効果により、薬品の添加量を減少し、処理コストを低減することができる。

Claims (8)

  1. 懸濁微粒子を含有する紙料及び/又は白水が存在する製紙工程に、下記のアニオン性水溶性高分子化合物A、B及びCから選ばれるアニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩の1種以上及び/又は重量平均分子量1,000〜2,000,000のポリビニルピロリドンを添加することを特徴とするピッチコントロール方法。
    アニオン性水溶性高分子化合物A:
    重合性不飽和カルボン酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体(モル比70:30〜97:3、重量平均分子量1,000〜100,000)
    アニオン性水溶性高分子化合物B:
    重合性不飽和カルボン酸と2−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸との共重合体(モル比70:30〜97:3、重量平均分子量1,000〜100,000)
    アニオン性水溶性高分子化合物C:
    ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量1,000〜100,000)
  2. アニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩とポリビニルピロリドンとの割合が、5:95〜95:5(重量比)である請求項1記載のピッチコントロール方法。
  3. アニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩及び/又はポリビニルピロリドンを添加して混合された後に、カチオン性水溶性高分子化合物を添加する請求項1又は請求項2記載のピッチコントロール方法。
  4. カチオン性水溶性高分子化合物が、ジアリルジメチルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体及び(メタ)アクリロイルイミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体から選ばれる1種以上である請求項3記載のピッチコントロール方法。
  5. 製紙工程の水系の少なくとも一つが、カルシウムイオンとして5mgCa/L以上及び/又はアルミニウムイオンとして2mgAl/L以上を含有する請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のピッチコントロール方法。
  6. シャワー水系及び/又はプレスパート真空脱水装置からの回収白水系に、アニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩及び/又はポリビニルピロリドンを添加し、紙料にカチオン性水溶性高分子化合物を添加する請求項3、請求項4又は請求項5記載のピッチコントロール方法。
  7. pH低下を伴う製紙工程段階において、pH低下前の段階にアニオン性水溶性高分子化合物若しくはその塩及び/又はポリビニルピロリドンを添加し、pH低下後の段階にカチオン性水溶性高分子化合物を添加する請求項3、請求項4又は請求項5記載のピッチコントロール方法。
  8. pH低下前の段階におけるpHがpH5以上の場合には、アニオン性水溶性高分子化合物A若しくはその塩及び/又はアニオン性水溶性高分子化合物B若しくはその塩を、pH5未満の場合には、アニオン性水溶性高分子化合物C若しくはその塩を添加する請求項7記載のピッチコントロール方法。
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