JP2005268535A - 半導体薄膜の製造方法および半導体薄膜の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 結晶粒径を大きくすることができ、結晶粒内の欠陥を低減させることができる半導体薄膜の製造方法および半導体薄膜の製造装置を提供する。
【解決手段】 絶縁性基板11上に少なくとも非単結晶半導体薄膜13を形成する薄膜形成工程と、非単結晶半導体薄膜13に、非単結晶半導体薄膜13を結晶化させるエネルギを有する第1のエネルギビームと、第1のエネルギビームよりも非単結晶半導体薄膜13の吸収率が小さく、かつ、非単結晶半導体薄膜13を結晶化させるエネルギよりも小さいエネルギを有する第2のエネルギビームとを照射して、非単結晶半導体薄膜13を結晶化させる結晶化工程とを含む半導体薄膜の製造方法であって、結晶化工程は水分子を含むガスの雰囲気下で行なわれる半導体薄膜の製造方法とである。また、この半導体薄膜の製造方法に用いられる半導体薄膜の製造装置である。
【選択図】 図2
【解決手段】 絶縁性基板11上に少なくとも非単結晶半導体薄膜13を形成する薄膜形成工程と、非単結晶半導体薄膜13に、非単結晶半導体薄膜13を結晶化させるエネルギを有する第1のエネルギビームと、第1のエネルギビームよりも非単結晶半導体薄膜13の吸収率が小さく、かつ、非単結晶半導体薄膜13を結晶化させるエネルギよりも小さいエネルギを有する第2のエネルギビームとを照射して、非単結晶半導体薄膜13を結晶化させる結晶化工程とを含む半導体薄膜の製造方法であって、結晶化工程は水分子を含むガスの雰囲気下で行なわれる半導体薄膜の製造方法とである。また、この半導体薄膜の製造方法に用いられる半導体薄膜の製造装置である。
【選択図】 図2
Description
本発明は半導体薄膜の製造方法および半導体薄膜の製造装置に関し、特に結晶粒径を大きくすることができ、かつ結晶粒内の欠陥を低減させることができる半導体薄膜の製造方法および半導体薄膜の製造装置に関する。
近年、液晶や有機エレクトロルミネッセンス等を応用したディスプレイ等の表示装置においては、安価なガラス基板上に多結晶シリコン薄膜が形成されている薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を用いることに関心が高まっている。
このTFTの製造方法としては、CVD法(化学蒸着法)等を用いてガラス基板上に非晶質シリコン薄膜を形成し、この非晶質シリコン薄膜にエキシマレーザ光を照射することによって約600℃以下の低温で非晶質シリコン薄膜を多結晶化する方法が注目されている。
高性能の表示装置を製造するためには、表示装置に用いられるTFTの多結晶シリコン薄膜の結晶粒径を大きくすることによって、多結晶シリコン薄膜における電子の移動度を向上させる必要がある。また、多結晶シリコン薄膜の結晶粒内においては、多数のシリコンの未結合手からなる欠陥が存在し、この欠陥に電子が捕捉されることによって電子の移動が妨げられるため、結晶粒内の欠陥を低減させる必要もある。
特開平10−172911号公報には、水蒸気雰囲気下で非単結晶半導体薄膜に対してレーザ光を照射して非単結晶半導体薄膜近傍の水蒸気を保温層として非単結晶半導体薄膜を結晶化させる方法が開示されている。しかしながら、この方法においては、保温層としての機能を最大限発揮させるために、水蒸気の温度を−10〜100℃の温度範囲に制御する必要があり、このような雰囲気下では結晶粒内の欠陥を低減させることは到底不可能である。
また、“Japanese Journal of Applied Physics”には、約260℃の高圧水蒸気処理によって結晶粒内の欠陥を低減させる方法が開示されている。しかしながら、この方法は結晶化工程が終了した後に別途行なわれる必要があることから、製造プロセスが増大することによって半導体薄膜の製造コストが増大するという問題があった。
特開平10−172911号公報
"Japanese Journal of Applied Physics",2000年,Vol.39,p.3883
本発明の目的は、結晶粒径を大きくすることができ、かつ結晶粒内の欠陥を低減させることができる半導体薄膜の製造方法および半導体薄膜の製造装置を提供することにある。
本発明は、絶縁性基板上に少なくとも非単結晶半導体薄膜を形成する薄膜形成工程と、非単結晶半導体薄膜に、非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギを有する第1のエネルギビームと、第1のエネルギビームよりも非単結晶半導体薄膜の吸収率が小さく、かつ、非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギよりも小さいエネルギを有する第2のエネルギビームとを照射して、非単結晶半導体薄膜を結晶化させる結晶化工程と、を含む半導体薄膜の製造方法であって、結晶化工程は水分子を含むガスの雰囲気下で行なわれる半導体薄膜の製造方法である。
ここで、本発明の半導体薄膜の製造方法においては、薄膜形成工程と結晶化工程との間に非単結晶半導体薄膜上の少なくとも一部に反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程を含み、反射防止膜を通して、非単結晶半導体薄膜に第1のエネルギビームと第2のエネルギビームとを照射することもできる。
また、本発明の半導体薄膜の製造方法においては、水分子を含むガスは水蒸気であることが好ましい。
また、本発明の半導体薄膜の製造方法において、結晶化工程は雰囲気制御が可能な照射室内で行なわれることが好ましい。
また、本発明の半導体薄膜の製造方法において、第1のエネルギビームはパルス発振されたレーザ光からなり、第2のエネルギビームは赤外光からなり得る。
また、本発明の半導体薄膜の製造方法において、第1のエネルギビームおよび第2のエネルギビームはパルス発振されたレーザ光からなり得る。
また、本発明の半導体薄膜の製造方法において、第1のエネルギビームはエキシマレーザ光からなることが好ましい。
また、本発明の半導体薄膜の製造方法において、第2のエネルギビームのエネルギの少なくとも一部が水分子を含むガスに吸収されることが好ましい。
ここで、本発明の半導体薄膜の製造方法において、第2のエネルギビームは炭酸ガスレーザ光からなることが好ましい。
本発明は、照射室と、照射室の壁面に設置された窓部と、窓部を通して照射室の内部に設置された非単結晶半導体薄膜に非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギを有する第1のエネルギビームを照射する第1のエネルギビーム供給源と、第1のエネルギビームよりも非単結晶半導体薄膜の吸収率が小さく、かつ、非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギよりも小さいエネルギを有する第2のエネルギビームを窓部を通して照射室の内部に設置された非単結晶半導体薄膜に照射する第2のエネルギビーム供給源と、照射室の内部に水分子を含むガスを供給する手段とを含む半導体薄膜の製造装置である。
ここで、本発明の半導体薄膜の製造装置においては、照射室の内部に第2のエネルギビームの断面を拡大した後に縮小する手段を含むことが好ましい。
また、本発明の半導体薄膜の製造装置においては、窓部が第1のエネルギビームを透過する第1の窓部と第2のエネルギビームを透過する第2の窓部とからなり得る。
また、本発明の半導体薄膜の製造装置においては、第1のエネルギビームはパルス発振されたレーザ光からなり、第2のエネルギビームは赤外光からなり得る。
ここで、本発明の半導体薄膜の製造装置においては、第2のエネルギビームは炭酸ガスレーザ光からなることが好ましい。
また、本発明の半導体薄膜の製造装置においては、第1のエネルギビームおよび第2のエネルギビームはパルス発振されたレーザ光からなり得る。
また、本発明の半導体薄膜の製造装置においては、第1のエネルギビームはエキシマレーザ光からなることが好ましい。
本発明によれば、結晶粒径を大きくすることができ、かつ結晶粒内の欠陥を低減させることができる半導体薄膜の製造方法および半導体薄膜の製造装置を提供することができる。
本発明は、絶縁性基板上に少なくとも非単結晶半導体薄膜を形成する薄膜形成工程と、非単結晶半導体薄膜に、非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギを有する第1のエネルギビームと、第1のエネルギビームよりも非単結晶半導体薄膜の吸収率が小さく、かつ、非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギよりも小さいエネルギを有する第2のエネルギビームとを照射して、非単結晶半導体薄膜を結晶化させる結晶化工程とを含み、結晶化工程は水分子を含むガスの雰囲気下で行なわれる半導体薄膜の製造方法である。
本発明においては、非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギを有する第1のエネルギビームを非単結晶半導体薄膜に照射することによって非単結晶半導体薄膜を結晶化すると共に、第1のエネルギビームよりも非単結晶半導体薄膜の吸収率が小さく、非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギよりも小さいエネルギを有する第2のエネルギビームを照射する。これによって、非単結晶半導体薄膜に吸収されなかった第2のエネルギビームが非単結晶半導体薄膜の下方にある絶縁性基板等に吸収されて絶縁性基板等の温度が上昇し、非単結晶半導体薄膜の温度が高温に保持される。そして、非単結晶半導体薄膜の結晶化時間を長くすることによって、半導体薄膜中の結晶粒径を大きくすることができる。さらに、第1のエネルギビームおよび第2のエネルギビームの照射を水分子を含むガスの雰囲気下で行なうことによって、半導体薄膜中の未結合手を終端して結晶粒内の欠陥を低減させることもできる。
ここで、「絶縁性基板」とは、静電場を印加したときに誘電分極を生じるが直流電流を生じない基板のことをいう。また、「非単結晶半導体薄膜」とは、単結晶でない半導体薄膜のことをいう。また、「非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギ」とは、そのエネルギを非単結晶半導体薄膜に与えることによって非単結晶半導体薄膜の結晶化を進行させることができるエネルギのことをいう。また、「吸収率」とは、非単結晶半導体薄膜に照射されたエネルギ全体に対する非単結晶半導体薄膜が吸収したエネルギの割合のことをいう。
また、本発明においては、非単結晶半導体薄膜上に第1のエネルギビームを透過し、第1のエネルギビームの反射を抑制する反射防止膜を形成することもできる傾向にある。これにより、反射防止膜を通して、反射防止膜の下方にある非単結晶半導体薄膜により多くの第1のエネルギビームが照射されることになることから、反射防止膜の下方にある非単結晶半導体薄膜の結晶化をより促進し得る。
また、本発明において、水分子を含むガスは水蒸気であることが好ましい。この場合には、半導体薄膜中の未結合手をより多く終端することができる傾向にあることから、効率的に結晶粒内の欠陥を低減させることができる。
また、本発明において、雰囲気制御が可能なエネルギビームの照射室内で非単結晶半導体薄膜の結晶化が行なわれることが好ましい。この場合には、半導体薄膜中の未結合手の終端をより好適な雰囲気下で行なうことができることから、効率的に結晶粒内の欠陥を低減させることができる。
また、本発明は、照射室と、照射室の壁面に設置された窓部と、窓部を通して照射室の内部に設置された非単結晶半導体薄膜に非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギを有する第1のエネルギビームを照射する第1のエネルギビーム供給源と、第1のエネルギビームよりも非単結晶半導体薄膜の吸収率が小さく、かつ、非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギよりも小さいエネルギを有する第2のエネルギビームを窓部を通して照射室の内部に設置された非単結晶半導体薄膜に照射する第2のエネルギビーム供給源と、照射室の内部に水分子を含むガスを供給する手段とを含む半導体薄膜の製造装置である。
すなわち、水分子を含むガスを供給する手段を用いて照射室の内部を水分子を含むガス雰囲気とし、第1のエネルギビーム供給源から照射される第1のエネルギビームと第2のエネルギビーム供給源から照射される第2のエネルギビームとを非単結晶半導体薄膜に照射することによって、半導体薄膜中の結晶粒径を大きくし、また、結晶粒内の欠陥を低減させることができる。
また、本発明においては、照射室の内部に第2のエネルギビームの断面を拡大した後に縮小する手段を含むことが好ましい。照射室の内部で第2のエネルギビームの断面を拡大した後に縮小した場合には、第2のエネルギビームが照射室の内部の水蒸気に吸収されやすくなることから、結晶粒内の欠陥をより低減させることができる傾向にある。ここで、「第2のエネルギビームの断面」とは、第2のエネルギビームの進行方向に対して垂直な方向に第2のエネルギビームを切断したときの切断面のことをいう。
また、本発明において、第1のエネルギビームはパルス発振されたレーザ光、例えばエキシマレーザ光からなることが好ましい。エキシマレーザ光は波長1nm以上400nm以下の範囲にピーク波長を有する紫外光であることから非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギを十分に有している点で好ましい。また、第1のエネルギビームはシリコンを溶融することができるエネルギを有するエネルギビームであることがシリコンの結晶化の観点から好ましい。
また、第2のエネルギビームは赤外光、例えば炭酸ガスレーザ光からなることが好ましい。炭酸ガスレーザ光等の赤外光は水蒸気が吸収しやすく結晶粒内の欠陥をより効率的に低減させることができる傾向にある。また、第2のエネルギビームはパルス発振されたレーザ光、例えばホルミウム・ヤグ(Ho:YAG)レーザ光等からなることもできる。
図1に本発明に用いられる非単結晶半導体薄膜を含む被処理体の好ましい一例の模式的な断面図を示す。この被処理体29は、ガラス基板11と、ガラス基板11上に形成された下地膜12と、下地膜12上に形成された非単結晶半導体薄膜としての非晶質シリコン薄膜13とから構成されている。なお、本願の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
ここで、下地膜12は二酸化シリコン(SiO2)からなっており、下地膜12は蒸着法、スパッタリング法またはCVD法等を用いて形成される。この下地膜12はガラス基板11からの不純物の拡散を防止するために形成されるものである。また、下地膜12にはSiO2に代えて、他の材料を用いることもできる。
また、非晶質シリコン薄膜13は、蒸着法、スパッタリング法またはCVD法等を用いて、30nm〜100nmの厚みで形成されることが高性能のTFT等の半導体装置を製造する観点から好ましい。この被処理体29を本発明の半導体薄膜の製造装置に設置して、非晶質シリコン薄膜13の多結晶化が行なわれる。
図2に本発明の半導体薄膜の製造装置の好ましい一例の模式的な断面図を示す。本発明の半導体薄膜の製造装置は、照射室21と、照射室21の壁面に設置された窓部としての第1の透過窓28および第2の透過窓31と、被処理体29が設置される照射室21の内部のステージ32と、ステージ32の移動を可能とする移動機構33と、照射室21の内部に水分子を含むガスを供給する手段としてのガス供給口35と、照射室21の外部にガスを排出する手段としてのガス排出口34と、第1のエネルギビーム供給源としての第1のレーザ光発振器22と、第1の光学素子群23と、第1のミラー24と、第1のフィールドレンズ25と、第1のフォトマスク26と、第1の結像レンズ27と、第2のエネルギビーム供給源としての赤外線ランプ30とを含む。
本発明の半導体薄膜の製造装置において、ガス供給口35から照射室21の内部に水蒸気が導入されることによって、照射室21の内部が水蒸気雰囲気とされる。ここで、本発明においては、水蒸気に代えて、水分子を含む空気または水分子を含む窒素等を導入することもできる。
そして、第1のレーザ光発振器22から第1のエネルギビームとしてのXeClを用いたエキシマレーザ光が発振され、このエキシマレーザ光は第1の光学素子群23中のエキスパンダによって適当な大きさに整形されると共に第1の光学素子群23中のホモジナイザによってエキシマレーザ光の照射領域内における放射照度の一様化が図られる。
次いで、第1の光学素子群23を通過したエキシマレーザ光は、第1のミラー24によって反射され、第1のフィールドレンズ25と第1のフォトマスク26とを通過する。そして、第1のフォトマスク26を通過したエキシマレーザ光は、第1の結像レンズ27で第1のフォトマスク26の像として結像させられ、溶融石英からなる第1の透過窓28を通して非晶質シリコン薄膜13に照射されて、非晶質シリコン薄膜13が溶融する。
これに加えて、赤外線ランプ30から第2のエネルギビームとして波長2.5μm〜8.0μmの範囲にピーク波長を有する赤外光が発振され、セレン化亜鉛等からなる第2の透過窓31を通して非晶質シリコン薄膜13に照射される。ここで、赤外線ランプ30から発振される赤外光は、非晶質シリコン薄膜13の下方にある下地膜12およびガラス基板11に吸収されて、非晶質シリコン薄膜13の温度を高温に保つことができる。それゆえ、非晶質シリコン薄膜13が溶融している時間を長くすることができ、溶融した非晶質シリコン薄膜13の結晶化速度が遅くなるため、結晶粒径の大きい多結晶シリコン薄膜を形成することができる。
さらに、赤外線ランプ30から発振された赤外光の一部は照射室21の内部の水蒸気にも吸収される。したがって、体積が一定に保たれた照射室21の内部では、赤外光を吸収して温度が上昇した水蒸気によって照射室21の内部の圧力が上昇する。これにより、非晶質シリコン薄膜13の多結晶化と同時に水蒸気中の水素がシリコンの未結合手を終端し、結晶粒内の欠陥を低減させることができる。
そして、移動機構33によってステージ32上の被処理体29を水平方向に移動させることで、エキシマレーザ光を非晶質シリコン薄膜13に対して走査しながら照射し、非晶質シリコン薄膜13の全体にわたって多結晶化を行なうことができる。
ここで、本発明においては、赤外線ランプ30として、波長2.5μm〜8.0μmの範囲にピーク波長を有する赤外光を発振する発振器(例えば、カーボンランプヒータ)を用いた場合には、第1の透過窓28および第2の透過窓31の材質に波長10μmまでの光が透過可能であるフッ化カルシウムを用いることが好ましい。この場合には、第1の透過窓と第2の透過窓とを兼ねたより広い透過窓を設置することによって、本発明の半導体薄膜の製造装置の製造コストを低減させることができる。
また、第1の光学素子群23中のエキスパンダは望遠系若しくは縮小系を有する光学系であって、第1のフォトマスク26上におけるエキシマレーザ光の照射領域を決定するものである。また、ホモジナイザは、レンズアレーまたはシリンドリカルレンズアレーによって構成されており、エキシマレーザ光を分割した後に再度合成することで、第1のフォトマスク26上の照射領域内における放射照度の一様化を図るものである。また、第1のフィールドレンズ25は、第1のフォトマスク26を透過したエキシマレーザ光を結像面に垂直に照射させる機能を有するものである。
また、第1のフォトマスク26は、例えば、複数のスリット状の開口部を有している。第1のフォトマスク26のスリット状の開口部の幅を20μmに設定し、光学倍率を1/4倍とした第1の結像レンズ27を設置することによって、非晶質シリコン薄膜13において幅5μmのスリット状の結晶化領域が複数形成される。このとき、スリット状の開口部の幅方向に結晶が成長することによって柱状の結晶が得られるが、移動機構33によってステージ32を移動させることによってエキシマレーザ光の照射領域を一部重ね合わせて逐次エキシマレーザ光の照射を行なうことで、スリット状の開口部の幅方向に揃った結晶を形成することができる。
また、第2のエネルギビームとしての赤外光の照射領域を、第1のエネルギビームとしてのエキシマレーザ光の照射領域よりも広い領域とすることが好ましい。この場合には、安定して結晶粒径を大きくすることができる傾向にある。また、第2のエネルギビームとしての赤外光の照射時間を、第1のエネルギビームとしてのエキシマレーザ光の照射時間よりも長くすることによって、結晶粒径をより大きくすることができる。さらに、結晶粒径をより大きくする観点からは、第1のエネルギビームとしてのエキシマレーザ光の照射は、第2のエネルギビームとしての赤外光の照射中、照射直前または照射直後のいずれかの時期に行なわれることが好ましい。
図3に、本発明の半導体薄膜の製造装置の好ましい他の一例の模式的な断面図を示す。この半導体薄膜の製造装置においては、第2のエネルギビームとして波長10.6μmの炭酸ガスレーザを用いることに特徴がある。
第2のレーザ光発振器41から発振された炭酸ガスレーザ光は、エキスパンダやホモジナイザ等から構成される第2の光学素子群42を通過し、第2のミラー43で反射された後、第2のフィールドレンズ44および第2の結像レンズ45を通過して第2の透過窓31を通して被処理体29に照射される。そして、炭酸ガスレーザ光は、被処理体29の下地膜12およびガラス基板11に吸収され、下地膜12およびガラス基板11の温度を上昇させることによって、非晶質シリコン薄膜13の温度を高温に保つことができる。それゆえ、この場合においても、非晶質シリコン薄膜13の溶融時間を長くすることができ、溶融した非晶質シリコン薄膜13の結晶化速度が遅くなるため、結晶粒径の大きい多結晶シリコン薄膜を形成することができる。
ここで、図示はしないが、第2の光学素子群42、第2のフィールドレンズ44または第2の結像レンズ45等の光学系を照射室21の内部に設置して、第2のレーザ光発振器41から発振された炭酸ガスレーザ光の断面を照射室21の内部で一旦拡大させた後、再度縮小して結像させる。すると、照射室21の内部の水蒸気による炭酸ガスレーザ光の吸収の効果がさらに増大するため、シリコンの未結合手の終端を効果的に行なうことができ、結晶粒内の欠陥の低減を図ることができる。
図4に、本発明に用いられる被処理体の他の好ましい一例の模式的な断面図を示す。被処理体29は、ガラス基板11上に順次形成された下地膜12と非晶質シリコン薄膜13と、非晶質シリコン薄膜13上の少なくとも一部にパターンニングされた反射防止膜14とから構成される。
この反射防止膜14は、第1のエネルギビームとしてのエキシマレーザ光を透過する材質からなっており、被処理体29の表面にエキシマレーザ光を照射したときにエキシマレーザ光の反射を抑制するパターンを有している。
この反射防止膜14を有する被処理体29の上方から、非晶質シリコン薄膜13を結晶化させ得るエネルギを有する第1のエネルギビームとしてのエキシマレーザ光と、エキシマレーザ光よりも非晶質シリコン薄膜13に吸収されにくく、かつエネルギの小さい第2のエネルギビームとを水蒸気雰囲気の照射室12の内部で照射する。
このように反射防止膜14を通して非晶質シリコン薄膜13に第1のエネルギビームとしてのエキシマレーザ光を照射することによって、反射防止膜14の下方にある非晶質シリコン薄膜13が溶融しやすくなって、反射防止膜14の端部から中央部に向かって非晶質シリコン薄膜13の厚み方向に対して垂直方向に結晶化するため、結晶化領域を任意の位置に均一に形成することが可能となる。また、被処理体29には第2のエネルギビームも照射されることから、結晶粒径を大きくすることもできるだけでなく、反射防止膜14の幅を大きくすることも可能となり、TFT等の半導体装置の高性能化に加えて、半導体装置設計の自由度も向上させることができる。
ここで、反射防止膜14の厚みdは、第1のエネルギビームとしてのエキシマレーザ光の波長をλとし、反射防止膜14の屈折率をnとした場合に、λ/(4n)−λ/(8n)≦d≦λ/(4n)+λ/(8n)の関係が成立するように設定されることが好ましい。この場合には、反射防止膜14に吸収される第1のエネルギビームとしてのエキシマレーザ光の量が増加する傾向にあるためである。また、反射防止膜14の材質としては、SiO2等を用いることができる。すなわち、エキシマレーザ光として、XeClを用いたエキシマレーザ光(λ=308nm)をSiO2(n=1.54)からなる反射防止膜14に照射する場合には反射防止膜14の厚さd(nm)は25≦d≦75の関係を満たすことが好適である。
非晶質シリコン薄膜13の結晶化の後、ゲート絶縁膜の形成、電極配線および不純物のドーピング等が行なわれて、TFT等の半導体装置が製造される。ここで、反射防止膜14をゲート絶縁膜として使用すると、被処理体29は反射防止膜14を含んだ状態で水蒸気雰囲気の照射室21の内部で結晶化処理がされているため、結晶中の欠陥の低減に加えて、シリコン結晶とゲート絶縁膜との界面の欠陥も低減されるため、さらに高品質の結晶を得ることができる。
上記においては、第1のレーザ光発振器22として、非晶質シリコン薄膜13に吸収されやすいXeClエキシマレーザ光(波長308nm)を発振するレーザ光発振器を用いたが、本発明においてはKrFエキシマレーザ光(波長248nm)またはYAGレーザ光の三倍波等の発振が可能なレーザ光発振器を用いることもできる。
また、上記において、結晶化工程における照射室21内の温度は、200℃以上400℃以下であることが好ましい。この場合には、シリコンの未結合手の終端をより効果的に行なうことができる傾向にある。また、図示しないが、照射室21内の温度を制御するため、ヒータ等の加熱源を設置することもできる。
また、上記において、第1のエネルギビームとしてのエキシマレーザ光の照射は、パルス幅が1〜90nsecであって、長さが200〜400mmで、幅が0.2〜1.0mmの線状のエキシマレーザ光を一方向に走査して行なうこともできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、結晶粒径を大きくすることができ、かつ結晶粒内の欠陥を低減させることができる半導体薄膜の製造方法および半導体薄膜の製造装置を提供することができるので、本発明は、TFT等の半導体装置の製造に好適に用いられる。
11 ガラス基板、12 下地膜、13 非晶質シリコン薄膜、14 反射防止膜、21 照射室、22 第1のレーザ光発振器、23 第1の光学素子群、24 第1のミラー、25 第1のフィールドレンズ、26 第1のフォトマスク、27 第1の結像レンズ、28 第1の透過窓、29 被処理体、30 赤外線ランプ、31 第2の透過窓、32 ステージ、33 移動機構、34 ガス排出口、35 ガス供給口、41 第2のレーザ光発振器、42 第2の光学素子群、43 第2のミラー、44 第2のフィールドレンズ、45 第2の結像レンズ。
Claims (16)
- 絶縁性基板上に少なくとも非単結晶半導体薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記非単結晶半導体薄膜に、前記非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギを有する第1のエネルギビームと、前記第1のエネルギビームよりも前記非単結晶半導体薄膜の吸収率が小さく、かつ、前記非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギよりも小さいエネルギを有する第2のエネルギビームとを照射して、前記非単結晶半導体薄膜を結晶化させる結晶化工程と、を含む半導体薄膜の製造方法であって、前記結晶化工程は水分子を含むガスの雰囲気下で行なわれることを特徴とする、半導体薄膜の製造方法。
- 前記薄膜形成工程と前記結晶化工程との間に前記非単結晶半導体薄膜上の少なくとも一部に反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程を含み、前記反射防止膜を通して、前記非単結晶半導体薄膜に前記第1のエネルギビームと前記第2のエネルギビームとを照射することを特徴とする、請求項1に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記水分子を含むガスは水蒸気であることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記結晶化工程は雰囲気制御が可能な照射室内で行なわれることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記第1のエネルギビームはパルス発振されたレーザ光からなり、前記第2のエネルギビームは赤外光からなることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記第1のエネルギビームおよび前記第2のエネルギビームはパルス発振されたレーザ光からなることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記第1のエネルギビームはエキシマレーザ光からなることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記第2のエネルギビームのエネルギの少なくとも一部が前記水分子を含むガスに吸収されることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記第2のエネルギビームは炭酸ガスレーザ光からなることを特徴とする、請求項8に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 照射室と、前記照射室の壁面に設置された窓部と、前記窓部を通して前記照射室の内部に設置された非単結晶半導体薄膜に前記非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギを有する第1のエネルギビームを照射する第1のエネルギビーム供給源と、前記第1のエネルギビームよりも前記非単結晶半導体薄膜の吸収率が小さく、かつ、前記非単結晶半導体薄膜を結晶化させるエネルギよりも小さいエネルギを有する第2のエネルギビームを前記窓部を通して前記照射室の内部に設置された前記非単結晶半導体薄膜に照射する第2のエネルギビーム供給源と、前記照射室の内部に水分子を含むガスを供給する手段と、を含むことを特徴とする、半導体薄膜の製造装置。
- 前記照射室の内部に前記第2のエネルギビームの断面を拡大した後に縮小する手段を含むことを特徴とする、請求項10に記載の半導体薄膜の製造装置。
- 前記窓部が、前記第1のエネルギビームを透過する第1の窓部と前記第2のエネルギビームを透過する第2の窓部とからなることを特徴とする、請求項10または11に記載の半導体薄膜の製造装置。
- 前記第1のエネルギビームはパルス発振されたレーザ光からなり、前記第2のエネルギビームは赤外光からなることを特徴とする、請求項10から12のいずれかに記載の半導体薄膜の製造装置。
- 前記第2のエネルギビームは炭酸ガスレーザ光からなることを特徴とする、請求項13に記載の半導体薄膜の製造装置。
- 前記第1のエネルギビームおよび前記第2のエネルギビームはパルス発振されたレーザ光からなることを特徴とする、請求項10から12のいずれかに記載の半導体薄膜の製造装置。
- 前記第1のエネルギビームはエキシマレーザ光からなることを特徴とする、請求項10から15のいずれかに記載の半導体薄膜の製造装置。
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JP2004078796A JP2005268535A (ja) | 2004-03-18 | 2004-03-18 | 半導体薄膜の製造方法および半導体薄膜の製造装置 |
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---|---|---|---|---|
CN114068307A (zh) * | 2021-11-16 | 2022-02-18 | 信利(惠州)智能显示有限公司 | 低温多晶硅薄膜及其制备方法、阵列基板、显示装置 |
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2004
- 2004-03-18 JP JP2004078796A patent/JP2005268535A/ja not_active Withdrawn
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