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JP2005253059A - 可変共振器及び可変移相器 - Google Patents

可変共振器及び可変移相器 Download PDF

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JP2005253059A JP2005026019A JP2005026019A JP2005253059A JP 2005253059 A JP2005253059 A JP 2005253059A JP 2005026019 A JP2005026019 A JP 2005026019A JP 2005026019 A JP2005026019 A JP 2005026019A JP 2005253059 A JP2005253059 A JP 2005253059A
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Abstract

【課題】簡単な構造であり、制御が容易で再現性が高く、かつ低損失な可変共振器を提供する。
【解決手段】裏面に地導体層11を形成された誘電体基板12と、その表面に形成された信号導体13と、スイッチ14とから可変共振器10を形成し、この信号導体を、複数の第1線路13−1と、これら第1線路の全てに接続されている第2線路13−2から構成し、第1線路は第2線路の線路幅よりも広い線路幅を持ち、これにより信号導体は第2線路の線路長よりも長い信号経路を持ち、これら第1線路の端部間にスイッチ14の両端子を接続し、スイッチの開/閉制御により両端子が接続した線路間を電気的に開放または導通制御して信号経路長を変化させて、これにより共振周波数を変化させる。
【選択図】 図3−1

Description

本発明は、一般に高周波電気回路の分野に関し、任意の周波数に共振周波数を設定できる可変共振器と、信号の位相を任意に変化させることができる可変移相器に関する。
高周波を用いた無線通信の分野においては、数多い信号の中から特定の周波数の信号を取り出すことで、必要な信号と不必要な信号を分別している。この機能を果たす回路はフィルタと呼ばれ、多くの無線通信装置に搭載されている。これらのフィルタは、主にその設計パラメータである中心周波数、帯域幅等は不変のものである。このようなフィルタを用いた無線通信装置で複数の周波数帯、様々な周波数帯域幅を用いる場合は、使用する周波数帯域や帯域幅のフィルタを複数個用意し、スイッチ等で切り替える方法が考えられる。この場合には、回路規模が大きくなるため装置が大型化してしまうという課題がある。この課題に対し、これまでに中心周波数、帯域幅を可変とするフィルタの実現のため、フィルタの構成要素である共振器の共振周波数を可変とする方法が考えられてきた。
例えば、(特許文献1)によれば、平行平板によるコンデンサと、インダクタから共振器を構成し、平行平板の間隔を機械的に変化させることで、共振周波数を変化させている。これは、集中定数回路素子を用いて可変共振器を構成した例である。
また、例えば、(非特許文献1)によれば、分布定数回路であるマイクロストリップ線路を用いた共振器も知られている。すなわち、図1はマイクロストリップ線路を用いた従来技術に係る先端短絡λ/4共振器の構成を示し、図1(a)は平面図、図1(b)はA1−A1’線で切断した切断側面図、図1(c)はA2−A2’線 からみた側面図である。
この共振器210は、図1(a)において示すように、背面に地導体211(図1(b)参照)を有する誘電体基板212上に銀を用いて形成されたマイクロストリップ線路213からなり、このマイクロストリップ線路213は、線路幅Wが一定で、長さLを持ち、一端213aは誘電体基板の縁で地導体211と短絡され(図1(c)参照)、他端部213bは、伝送線路214に接続されている。
図2(a)はこの従来例のマイクロストリップ線路213の電流分布を示す。図からわかるように線路213の縁の部分に最も電流が集中している。
また、図2(b)はこの従来例における反射係数のシミュレーション結果を示す。図において反射係数が最も小さい周波数が共振周波数である。
また、移相器については、複数のアンテナを用い、それぞれのアンテナに位相を変化させた信号を入力することで指向性を高めることができるアンテナ装置において、指向性を任意に変更するためには、各アンテナに入力される信号の位相をコントロールすることが必要であり、位相を任意に変更することができる、可変移相器が必要となる。
例えば、(特許文献2)においては、強誘電体基板上に形成したマイクロストリップ線路を用い、強誘電体基板に電圧を印加して誘電率を変化させることでマイクロストリップ線路を伝達する信号の波長を変化させ、入力信号と出力信号の位相差を可変とする方法が提案されている。
特開平6−61092号公報 特開平6−216602号公報 実用マイクロ波技術講座、第3巻、第24−25頁、第48−49頁、第199−200頁、第219−221頁
しかしながら、可変共振器において、特許文献1に示す構成の場合、平行平板間隔により共振周波数が変化するが、機械的にかつ連続的に変化する構造であるため、平板の間隔を変化させるための構造が複雑となり、また更に温度等の共振器周辺の環境によって、周波数変化量が影響を受けるため再現性に乏しく、制御が困難という課題がある。
また、文献2に示す構成の場合、共振周波数を可変とする有効な方法がなかった。
次に可変移相器においては、特許文献2に示す構成の場合、用いられている強誘電体材料は、通常の誘電体材料に比べ誘電損失(tanδ)が大きいため、損失が大きくなるという課題がある。また強誘電体材料は印加電圧と誘電率の関係にヒステリシス特性を有するため、例えば同じ電圧を2回印加した場合、印加電圧と印加した直前の状態により誘電率が決まるため、場合によっては変化する位相量が異なることがあるため、位相の制御が困難という課題も有する。
本発明では、これらの課題に対し、簡単な構造で、それぞれ共振周波数や位相の制御が高再現性で容易であると共に、低損失な可変共振器、可変移相器の実現を目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、高周波電気信号が信号導体の外縁部に集中することを利用し、信号導体の形状を工夫して、高周波信号が集中して通る特定の経路を形成するとともに、この経路長をスイッチの開閉により変更できるように構成し、これにより共振周波数または位相を変化させる。
本発明は、特定の周波数の電気信号に対し共振を起こす信号導体と、誘電体を介してこれと対向して配置した地導体と、1つ以上のスイッチとから可変共振器を構成し、信号導体は一つまたは所定間隔だけ離れた複数の第1線路と第1線路全てに接続されている第2線路から構成し、第1線路は第2線路の線路幅とは異なる線路幅を持ち、これにより第2線路の線路長よりも長い信号経路を形成し、スイッチの一方の端子を第1線路に接続し他方の端子を第2線路に接続するか、またはスイッチの両端子を複数個の第1線路に接続し、スイッチを開または閉させることでスイッチの両端子が接続されている線路間を電気的に開放または導通制御して信号経路長を変化させ、これにより共振する周波数を変化させる。
さらに、本発明は、第1線路の1つと地導体との間を開または閉させる接地用スイッチを具える。
さらにまた本発明は、スイッチの両端子を複数の第1線路の端部間に接続する。
同様に本発明は、信号導体と、誘電体を介してこれと対向して配置した地導体と、1つ以上のスイッチとから可変移相器を構成し、信号導体は一つまたは所定間隔だけ離れた複数の第1線路と前記第1線路全てに接続されている第2線路から構成し、第1線路は第2線路の線路幅とは異なる線路幅を持ち、これにより第2線路の線路長よりも長い信号経路を形成し、スイッチの一方の端子を第1線路に接続し他方の端子を第2線路に接続するか、またはスイッチの両端子を複数の第1線路に接続し、前記スイッチを開または閉させることでスイッチの両端子が接続されている線路間を電気的に開放または導通制御して信号経路長を変化させ、これにより信号の位相を変化させる。
さらに本発明は、スイッチの両端子を複数の第1線路の端部間に接続する。
本発明によれば、スイッチの働きにより共振周波数または位相を変化させるためその変化量はきわめて高い再現性を有する。また、簡単な構造であるため容易に作製でき、挿入損失も小さい可変共振器、可変移相器の実現が可能である。
さらに、本発明による可変共振器および可変移相器において、それぞれを構成するスイッチとして、MEMSスイッチを用いることで、優れた特性を有する可変共振器、可変移相器とすることが可能である。
さて、信号導体を伝わる電気信号は、周波数が高くなればなるほど、信号導体の表面に集中する特徴を有する。これは高周波信号の表皮効果によるもので、電気信号が信号導体の表面からその内部に向かって侵入する深さは表皮深さ(Skin Depth)Sと呼ばれ、(式1)で表される。
Figure 2005253059
ここで、fは周波数、σは導体の導電率、μは導体の透磁率である。
薄膜信号導体中を信号が伝播する場合、図1(a)に示した従来例のマイクロストリップ線路113の電流分布を示した図2(a)から分かるように、線路の外縁部に信号電流が集中して流れる傾向がある。
本発明は、この現象を利用する。
図3−1(a)は、マイクロストリップ線路を用いた場合の本発明の可変共振器の原理構成の平面図、図3−1(b)はA1−A1’線で切断した切断側面図、図3−1(c)はA2−A2’線 からみた断面図、図3−2(d)は図3−1(a)の構成を異なる観点から捉えた場合の平面図である。
この可変共振器10は、図3−1(a)において2点鎖線で囲んで示すように、背面に地導体11を有する誘電体基板12上に形成されたマイクロストリップ線路13と、スイッチ14とから構成されている。マイクロストリップ線路13は、幅がW1、長さがTの矩形形状のn個(nは1以上の整数)の第1線路13−1と、幅がW1よりも小さいW2、長さがTよりも大きいLの矩形形状の第2線路13−2とから構成される。なお、第1線路の幅W1及び長さTの定義については後に詳述する。
第2線路13−2の一端13aは誘電体基板の縁で地導体11と短絡され(図3−1(c)参照)、他端部13bは伝送線路15に接続されている。なお、地導体に接続されることに限定されない。
第2線路13−2は、図1(a)に示された従来例のマイクロストリップ線路213と同じく矩形形状を持ち、この第2線路13−2の一端13aから他端13bまでの長さがLの間に、一つまたは互いに並行に形成された複数個の第1線路13−1の中央部が一体に接続形成されている。
ここで、第1線路の長さ及び幅について定義すると、第1線路と第2線路の外縁が交わる交点p1、p2、p3、p4のうちの、第2線路の同一側縁上の2交点、例えばp1とp2、またはp3とp4、との間の距離Tを以って第1線路の長さと定義し、この2交点を結んだ直線線分tppに対する法線方向で最も遠い第1線路の両端部上の2点q1とq2との間の距離W1を以って、第1線路の幅と定義する(図3−1(a)参照)が、線路が湾曲形状或いはS字形状等の曲線形状を持つもので構成されても良く、設計に応じて長さと幅の定義の仕方が変わっても良い。
なお、図3−1(a)において、伝送線路15と第2線路とが異なる向きの斜線を施して描かれ、さらに第1線路13−1と第2線路13−2とも異なる向きの斜線を施して描かれ、かつ第1と第2線路との接続部ではそれらが恰も重畳して形成されているように描かれ、上記説明でも第2線路に第1線路が重畳接続されていると述べているが、これら13−1、13−2、15は基板上に一体に形成した導体膜からなり、実際には重畳しておらず、境界線は存在していないが、それぞれの線路部分の理解を明確化する便宜上このように示したものである。
したがって、観点を変えると(すなわち第2の観点からみると)、図3−2(d)に示す如く、一定幅W2、長さLを持つ第2線路13−2の両外縁部(図3−2(d)において左右の縁)に、長さT、幅△l の矩形状の第1線路13−1Aと13−1Bが別個にそれぞれ接続されたものと定義すると上記重畳問題は生じない。また、この場合(図3−2(d)の場合)の第1線路13−1Aまたは13−1Bの線路幅は、W1=W2+△l と捉えると最初の観点でのW1>W2と矛盾しない。また、この第2の観点で第1線路を捉えた場合には、第1線路13−1A及び13−1Bは左右の対称位置において第2線路に接続されていなくてもよいので、第2線路の長さ方向で異なる左右縁位置に接続することもでき、ひいてはその形状が左右で異なったものであってもよい。
このように、観点がどのようなものであっても、本願発明の信号導体13は、第2線路のみの場合に外縁部を流れる信号電流経路長に較べてより長い、第1線路と第2線路の外殻の長さを加算した信号電流経路長が形成されるような、一つまたは複数個の第1線路を第2線路に接続したものであれば良い。
なお、第1線路の形状は矩形に限ることはなく種々変形可能である。
その変形例として、例えば、図5や図6のような構造でも構わないし、ここで例示した以外の構造でも、信号が第1線路の外縁部を通ることにより信号導体13の長さ方向の最短経路α(図4(a)参照)を通らないで、より長い迂回経路を通る形状であれば構わない。なお、図5及び図6において、図3と同じ部分は同じ参照数字を付して示す。
図5を見ると第1線路の外端部における、直線線分tppから法線方向で最も遠い点q1とq2がはっきりし、したがって、第1線路の幅W1が容易に理解できる。
また図6を見ると第1線路の外縁が第2線路の外縁と交わる交点p1、p2、p3、p4がはっきりし、したがって第1線路の長さTが容易に理解できる。
この第1線路の個数nは、所望の周波数変化量によって決める。ただし、原理的には少なくとも一つの第1線路が第2線路に接続形成されていれば良い。
図3(a)の基本構成から、本発明の実施例1の具体的構成例を示すと図3−3(e)、図3−4(f)のようになり、各部の寸法は以下の通りである。
誘電体基板はアルミナからなり、縦y=10mm、横x=10mm、厚さz=0.635mmの大きさと、比誘電率e =9.8を持つ。
この誘電体基板の一面(裏面)全面に厚さz1=5μmの銀の被着層を形成し地導体層とする。
誘電体基板の他の面(表面)に厚さz2=5μmの銀の導体被着層を形成し、この一部15が伝送線路を形成し、他部13がマイクロストリップ線路を形成する。このマイクロストリップ線路13は、幅W1=0.6mm、長さT=0.1mmの複数個の第1線路13−1と、長さL=6.1mm、幅W2=0.2mmの第2線路13−2とからなる。第1線路同士の間隔d=0.1mm、第2線路13−2の一端13bから最も近い第1線路までの距離d1=0mm(すなわち、この実施例1では、第1線路が伝送線路15に接して形成されている)、第2線路13−2の接地端13aから最も近い第1線路までの距離d2=0mm(すなわち、この実施例1では第1線路が接地端となっている)、第1線路の数n=6をもつ。
なお、伝送線路15はその長さの中央部でマイクロストリップ線路13の端部13bと直角に接続されている(図3−1(a)参照)。(図3−3(e)、図3−4(f)に示す実施例1では、前述の如く、第1線路13−1が伝送線路15に直角に接続するように形成されている。)ただし、直角に限定されない。
図4(a)は、図3−3(e)に示す如くスイッチを開放した本発明の実施例1のマイクロストリップ線路13の電流分布を示す。
図1(a)に示した従来例のマイクロストリップ線路113の電流分布を示した図2(a)と比較すると、この従来例は、図2(a)からわかるように線路の縁の部分に最も電流が集中しているのに対し、本発明の実施例1の場合、電流は図4(a)に示した如く線路の最短経路(線α)を通らず、線路幅がW2の第2線路13−2の外縁部分に引き続いて、第1線路13−1の外縁部分に集中して流れ、結果的に最短経路より長い経路を信号が伝播している。これは、電気信号が線路の表面から表皮深さ(Skin Depth)Sより中に入り込もうとせず外側を流れようとするためである。
以上より、図1(a)のような線路構造を用いて共振器を形成した従来例の場合、周波数非可変の共振器が得られ、当該共振器における反射係数のシミュレーションを行なうと図2(b)の結果が得られ、これから共振器長がLとなっていることが分かる。
これに較べて、図3−3(e)のような線路構造を用いて共振器を形成した本発明の実施例1の場合には、当該共振器における反射係数のシミュレーションを行なうと図4(b)の結果が得られ、その実効的な共振器長は、図3−3(e)に示されている第2導体線路13−2の長さLに、第1線路13−1の外縁部を電気信号が流れる影響を加味し、(L+△L)と表される。ここで△Lは、第1線路13−1の形状と、電気信号がこの第1線路の外縁部を伝播する特性により、電気信号の伝播経路長がLより大きくなる効果分である。ただし、電気信号の全電力が線路の外縁部を伝わるのではなく、一部はそれよりも短い経路で伝わるため、△Lは0以上で、第1線路の形状変化による幾何学的な外縁の長さ△l (図3−3(e)参照)の
Figure 2005253059
以下の値になると考えられる。
すなわち
Figure 2005253059
なお第1線路13−1の長さT(図3−3(e)参照)がSkin Depth Sより短い場合は、信号が最短経路(線α)を流れるため、線α周辺が最も電流が集中することになる。この場合の実効的な共振器長はLに近いものとなる。またTが信号の波長(λ)の4分の1以上の場合は、線路幅が広い部分によりインピーダンスが大幅に変化するため、信号が共振器内で反射を起こし、共振器全体を有効に利用することができない。このため、Tの大きさはSkin Depth Sより大でλ/4より小であることが望ましい。
すなわちこの関係を示すと:
S < T <λ/4 (式3)
となる。
先に示した図4(b)は全スイッチを開放とした場合の反射係数のシミュレーション結果であり、図4(c)は全スイッチ14を導通とした場合の反射係数のシミュレーション結果を示す。シミュレーション結果において反射係数が最も小さい周波数が共振周波数である。
従来例の場合のシミュレーション結果の図2(b)に比べ、本発明において全スイッチを開放とした場合のシミュレーション結果の図4(b)では共振周波数が低くなっており、共振器の実効的な長さが大きくなっていることがわかる。一方図4(c)は、全スイッチを導通状態にすることで図3−4(f)に示す点線(β)に示す箇所に電流が集中し、ほぼLに近い経路長を信号が伝播するため、図4(b)に比べ共振周波数が高く、図2(b)に近い共振周波数が得られる。
なお、本発明では、図4(b)と図4(c)の中間に共振周波数を設定したい場合には、導通するスイッチの数を全数でなく限られた数に制限すると共に、導通するスイッチを適当に選択すれば良い。但し、共振部においてはその長さ方向に電流が集中する領域と集中しない領域が分布するため、少数のスイッチで効率よく共振周波数を変化させたい場合は、電流が集中する領域のスイッチを優先的に状態変化させると良い。
本発明に係る可変共振器は、スイッチの導通状態により共振周波数を変化することが可能であるため、共振周波数はスイッチの導通状態の組み合わせだけ離散的に存在する。周波数の変化量と分解能は、線路の形状とスイッチの設置位置を適当に設計することで、決定することが可能である。また共振周波数は再現性良く変化することができる。さらに、線路とスイッチの組み合わせで実現することができるため、機械的に複雑な構造にする必要が無いことから、低損失で、かつ容易に実現可能である。 本実施例において、スイッチの両端子の設置位置を第1線路の端部間として説明しているが、特に端部にこだわる必要は無く、周波数の変化量を大きくせず、微小に変化させたい場合などは、スイッチの一方の端子を第1線路13−1の端部に接続し、他方の端子を第2線路13−2に接続しても構わない。
本発明におけるスイッチは、トランジスタ(バイポーラ、FETなど)、ダイオード(PN,PINなど)などを用いることができるが、MEMS(Micro Electromechanical System)スイッチを用いることも可能である。MEMSスイッチは、半導体デバイスの製造に用いられるのと同様の製造工程を利用して、微細かつ高精度に機械的構造を作製し、機械的動作によって状態を切り換えることが可能なスイッチである。本発明におけるスイッチは、信号の電力が集中する部位に設置することが効果的であるため、トランジスタやダイオードなどの半導体を用いたスイッチでは、場合によっては駆動能力不足になる可能性があり、その際には、信号波形が歪んでしまう可能性がある。これに対しMEMSスイッチは、機械的構造スイッチであり、低抵抗な電極同士(金属や、低抵抗ポリシリコンなど)の直接接続や、容量を介しての接続が可能であるため、信号の波形歪みがおきにくい。このため場合によってはMEMSスイッチを用いるほうが有利である。ちなみに信号の波形歪はそのまま通信容量を劣化させるような雑音になる、隣接帯域を利用している別のシステムに悪影響を与えるなどの弊害があるため可能な限り小さくすることが望ましい。
図7(a)に本発明の実施例2として、マイクロストリップ線路を用いた場合の他の可変共振器の平面図を示し、図7(b)にその斜視図を示す。なお、図3と同じ部分は同じ参照数字を付して示す。但し、図3では第1線路と第2線路を区別するように斜線の向きを異ならせて描いたが、図7ではそれを省略した。以下同じ。
本構成では、図3の構成とは異なり、複数の第1線路13−1の端部全部に渡って1つのスイッチ14の電極14aを接触させる、あるいは容量電量結合により接続する。なお、図7(a)の構成では、実際は、第1線路13−1の両端部が第2線路13−2の中心から図において上下に張り出して形成されているので、これら上それぞれの端部と下それぞれの端部に接続するように2つのスイッチの電極14aが示されている。また、2つ以上のスイッチの電極を設け、スイッチの電極を別々に駆動するようにしてもよい。電極は静電力や、ローレンツ力、熱応力などや、それらの組み合わせによって変位する。電極はそれ自身が接続することが可能な全ての線路部位と接続する状態や、全て接続しない状態のほかに、部分的に接続する状態をとることが可能である。電極に印加する電流、電圧等の制御パラメータなどの値によって、状態を変化させるが、電極と接続する線路部位の数によって共振周波数の変移量が変わるため、共振周波数は離散的に変化する。本構成では多くのスイッチを使用する場合に比べて、構造が単純となるため、容易に作成可能である。
マイクロストリップ線路はコプレーナ導波路に等価的に置き換えることが出来るので、図8に本発明の実施例3として、コプレーナ導波路を用いた場合の可変共振器の平面図を示す。なお、図3と同じ部分は同じ参照数字を付して示す。
この実施例の可変共振器30は、図8において2点鎖線で囲んで示すように、誘電体基板31の一つの面上に形成された信号導体32とこの基板の同一面上で信号導体の両側に形成された地導体33とからなるコプレーナ導波路と、スイッチ34とから構成されている。
信号導体32は、複数個の第1線路32−1と、第2線路32−2とから構成される。第2線路32−2の一端32aは開放となっており、他端32bは、伝送線路35に接続されている。第1線路32−1は、長さがTで,幅がW1の矩形形状に形成され、また、第2線路32−2は、その一端32aから他端32bまでの長さがL、幅W1よりも小さいW2の矩形形状に形成される。第1線路32−1は複数n個(nは2以上の整数で、図示の例では6個)形成され、その各中央部に第2線路32−2が一体に接続されている。なお、第1線路の形状は種々変形可能であることは実施例1と同様である。
この実施例3も、実施例1、2と同様に、第1線路32−1の端部間にスイッチ34を設け短絡又は開放制御できるように構成することを特徴とする。なお、各スイッチが必ずしも第1線路の端部同士の間に設けられなくても良いことも、前述の実施例と同様である。
コプレーナ導波路はマイクロストリップ線路と異なり、誘電体基板31の一平面上に形成された信号導体32と同一平面上に地導体33を形成する構造のため、信号導体32からの電気力線は信号導体の外縁部に集中する。このため、マイクロストリップ線路に比べ、線路外縁部に電流が集中するため本発明の効果がより大きく現れる。
図9に本発明の実施例4として、コプレーナ導波路を用いた場合の他の可変共振器を示す。なお、図3と同じ部分は同じ参照数字を付して示す。
この実施例は、図8に示した実施例3の構成において、地導体33が櫛歯状部33aを持ち、これら櫛歯状部33aを各第1線路32−1の間に入り込むように配置する。
コプレーナ導波路の特性インピーダンスは、信号導体幅と、信号導体−地導体間の距離によって決まる。したがって、マイクロストリップ線路を用いて構成した共振器では、複数個の第1線路を設けることにより、部分的にインピーダンスの不連続部が生じるのに対し、図9のように各第1線路の間に入り込むように地導体の櫛歯状部を配置することにより特性インピーダンスを一定に保つことが可能である。この際、地導体と信号導体が入れ子状態になる可能性があり、スイッチを設ける際の障害になる可能性があるが、図9(a)、(b)のように多層構造として、誘電体基板31の一面の上にコプレーナ導波路となる信号導体32と地導体33とを形成し、その上に絶縁体層36を形成し、この絶縁体層36に、それを貫通して第1線路32−1の端部を露出させるViaホール37と、地導体33の櫛歯状部33cの端部を露出させるViaホール38を形成し、これらのViaホール37、38内に導体32d、33bを充填し、これらViaホール37に充填された導体32dが絶縁体層36表面に露出した位置にそれぞれスイッチ接続用端子32eを設け、これらの端子間にスイッチ34を接続する。これにより第1線路の端部間をスイッチにより導通及び開放制御でき、前記した障害を回避することが可能である。さらに、これらViaホール38に充填された導体33bが絶縁体層36表面に露出した位置の間を結ぶように絶縁体層36表面に接続導体路39を設けて、信号導体32により図9Aにおいてその左右に分離形成された地導体33の櫛歯部33cの端部間を互いに接続する。なお、図8においても、説明を省略したが、地導体33の櫛歯部33cの端部33b間を接続導体路39によって接続している。
図10に本発明の実施例5として、コプレーナ導波路を用いた場合の他の可変共振器を示す。
この実施例5は図8に示した実施例3に示す共振器30の構成において、地導体33と1つの第1線路32−1*との間を接続する接地用スイッチ40を更に設けたものである。なお、図8と同じ部分は同じ参照数字を付して示す。
本構成によれば、接地用スイッチ40を導通状態にすることで、大きく共振器長を変化することが可能であり、その上でその他のスイッチ34により実効的な共振器長を精密に変化することが可能であるため、共振周波数を大きく変更することが可能であると共に、精密に変更することも可能となる。なお、図10においてはコプレーナ導波路を用いた場合の構成につき示しているが、マイクロストリップ線路や同軸線路を用いて構成しても構わない。
図11に本発明の実施例6として、同軸線路を用いた場合の可変共振器を示す。
この実施例の可変共振器41は、信号導体42と、これと同軸状に形成された地導体43と、信号導体42と地導体43との間に設けられた誘電体45と複数個のスイッチ44とからなり、信号導体42は直径がD1の複数個の第1線路42−1と、これよりも細い直径D2の第2線路42−2からなり、スイッチ44は、これら第1線路42−1の外周面間に接続される。
同軸線路は、信号導体42を取り囲むように地導体43が構成されるため、電気力線の空気中への漏れが無く、低損失な共振器を実現することが可能である。
これまでに示した本願発明による可変共振器の実施例において、共振部へと信号を導入する手法として、線路による直接的な導入を用いているが、線路と共振部を直接接続しない方法、即ち静電結合、磁気結合、及び前記結合の組み合わせである電磁結合による方法を用いても構わない。
以上は、マイクロストリップ線路、コプレーナ導波路、同軸線路を用いて可変共振器を構成することを説明してきたが、本発明の特徴を備えたこれらマイクロストリップ線路、コプレーナ導波路、同軸線路を用いて可変位相器を構成することも出来るので、以下実施例に基づき説明する。
図12に本発明の実施例7として、マイクロストリップ線路を用いた場合の可変移相器を示す。
本発明による可変移相器50は、可変共振器における信号が信号導体の外縁部に集中することと同様の原理を利用する。したがって、詳細な説明は省略するが、信号導体51の複数個の第1線路51−1の端部間に設けられたスイッチ52の状態の違い(図12(a)はすべてのスイッチが開放状態。図12(b)はすべてのスイッチが導通状態)により、外縁部に集中する高周波信号の伝播経路長Lを変化させ、実効的な線路長を変化させることで、移相器による位相変位量を変化させることが可能である。なお、53は誘電体基板である。
図13は位相変位量をシミュレーションした結果である。線(1)は図12(a)に示すようにスイッチを全て開放とした場合の特性で、線(2)は図12(b)に示すようにスイッチを全て導通とした場合の特性である。スイッチの状態で位相変位量が変化しており、スイッチを全て導通した場合は全て開放とした場合に比べ実効的な線路長が短くなるため、位相変位量が小さくなっている。線(1)と線(2)の中間の位相変位量にしたい場合は、導通状態のスイッチ数を限定し、適当なスイッチを選択して導通状態にすればよい。
図14に本発明の実施例8として、マイクロストリップ線路を用いた場合の他の可変移相器を示す。なお、図12と同じ部分は同じ参照数字を付して示す。54は背面地導体である。
本実施例8では、図12の構成と異なり、複数の第1線路51−1の外縁部に渡って1つのスイッチの電極を接触させる、あるいは容量結合により接続する。この場合において、2つ以上のスイッチの電極52aを設け(図14では、2つのスイッチの電極が示されている)、別々に駆動するようにしてもよい。このため、本構成では多くのスイッチを使用する場合に比べて、構造が単純となるため容易に作成可能である。
図15に本発明の実施例9として、コプレーナ導波路を用いた場合の可変移相器60を示す。
コプレーナ導波路はマイクロストリップ線路と異なり、信号導体61と同一平面上に地導体62を形成する構造のため、信号導体から電気力線は信号導体の外縁部に集中する。このため、マイクロストリップ線路に比べ、線路外縁部に電流が集中するため本発明の効果が大きく現れる。またコプレーナ導波路の特性インピーダンスは、信号導体幅と、信号導体−地導体間の距離によって決まる。したがって、マイクロストリップ線路では幅が異なる部位を設けることにより、部分的にインピーダンスの不連続部が生じるのに対し、コプレーナ導波路を用いて信号導体幅及び信号導体−地導体間距離を特性インピーダンスが変化しないように設定することで、入力信号の反射が少なく、低損失な可変移相器が実現可能である。図において、信号導体61の複数個の第1線路61−1の端部間を導通または開放するスイッチ63を設けることにより移相量を変化させることが出来ることは容易に理解できるであろう。なお64は誘電体基板である。
図16に本発明の実施例10として、同軸線路を用いた場合の可変移相器70を示す。
同軸線路は、信号導体71と、これを取り囲む地導体72と、両者の間に配置された誘電体74からなり、電気力線の空気中への漏れが無く、低損失な移相器を実現することが可能である。
この実施例においては、信号導体71は直径がD1の複数個の第1線路71−1と、これよりも細い直径D2の第2線路71−2からなり、これらの第1線路間を導通または開放するスイッチ73を設けたものである。
これまでに示した実施例の可変共振器、もしくは可変移相器を組み合わせて用いることで、共振周波数の変化量、もしくは位相変位量が大きく、また微細に変化することができる可変共振器、または移相器を実現できる。
図17は実施例11を示し、マイクロストリップ線路による可変共振器80と可変移相器81を、スイッチ82を介し縦続接続した可変共振器である。可変共振器80は信号導体83の複数個の第1線路83−1の端部間を導通または開放するスイッチ群84を持ち、可変移相器81は信号導体85の複数個の第1線路85−1の端部間を導通または開放するスイッチ群86を持つ。可変共振器80のスイッチ群84の状態変化による共振周波数以上の変化が必要な際には、スイッチ82を導通状態に変化させ縦続接続を構成する。その上で微小に共振周波数を変化させたい場合は、スイッチ群84、86のいずれか適当なスイッチの状態を変化させれば良い。
図18は実施例12を示し、スイッチ群94を具えたマイクロストリップ線路91による第1可変移相器90−1と、スイッチ群95を具えたマイクロストリップ線路92による第2可変移相器90−2をスイッチ93を介して縦続接続した可変移相器90である。なお、91−1と91−2は第1可変移相器90−1の第1線路及び第2線路、92−1と92−2は第2可変移相器90−2の第1線路及び第2線路、96は入力端子、97は出力端子、98は中間出力端子である。
なお図17、図18においてはマイクロストリップ線路による構成につき示しているが、コプレーナ導波路や同軸線路であっても構わない。
本発明の更なる変形例について説明する。図19は実施例13を示し、スイッチの変形例であり、図3と同じ部分は同じ参照数字を付して示す。この変形例は、誘電体基板12上に形成された複数の第1線路13−1が相当の厚みを持ち、かつ端部が基板に対して垂直な端面13−1aを持つように形成される。一方、基板上に金属のアンカー100を設け、これに金属ビーム101の一端が基板面に沿って可動となるように他端を保持させる。金属ビーム101の自由端である前記一端に、絶縁体の連結棒102を取り付け、その先に相隣り合う2つの第1線路13−1の端面13−1a間に差し渡される長さを持った金属板103を取り付ける。金属ビーム101と対向する位置に金属電極104を基板上に取り付け、この電極104と、アンカー100との間にスイッチ制御電圧を印加または切断することにより、電極104と金属ビーム101との間に静電力が発生または消滅して、金属板103が対応する2つの第1線路13−1の端面13−1a間を短絡または開放する。なお、11は地導体である。
図20は実施例14を示し、図19の構成の変形例であり、図3、図19と同じ部分は同じ参照数字を付して示す。この変形例は、第1線路13−1が基板の高さ方向に第2線路13−2の高さよりも高く形成され、かつ端部が基板に平行な端面13−1aを持つように形成される。金属ビーム101は基板に平行となってその一端が第1線路上で上下可動となるように、その他端がアンカー100の上に取り付けられる。金属板103は絶縁体102を介して金属ビーム101の自由端に取り付けられ、金属電極104と金属ビーム101との間に静電力が発生または消滅することにより、金属板103が対応する2つの第1線路13−1の端面13−1a間を短絡または開放する。
図21は実施例15を示し、図20の構成の変形例であり、図3、図19、図20と同じ部分は同じ参照数字を付して示す。この変形例は、図20の構成における地導体11を、絶縁体支柱105を介して基板12上に配置したものである。
これまで、信号導体は図3−1(a)に示す如く、基板上に形成した導体膜の複数個の第1線路とこれらに一体に接続形成された第2線路からなるものと説明してきた。図22は実施例16を示し、この信号導体の変形例であり、図22(a)は平面図、(b)はその要部拡大図である。図3と同一部分は同一参照数字及び参照文字を付して示す。図において第1線路13−1は線路の長さT、幅W1の矩形形状であるが、その内部に導体膜非形成領域Vを持つ。この領域Vは長さTT、幅WWを持ち、したがって、第1線路13−1は枠型形状をなす。この枠型部は第1線路13−1の幅方向に延伸された部分13−1bと、長さ方向に延伸された部分13−1cとを持ち、この延伸部13−1bは長さT’、幅W1を持ち、延伸部13−1cは長さT、幅W1’を持ち、互いに一部が重畳している。この第1線路の端部間にスイッチ14(図示せず)の開閉に応じてスイッチ電極14aが開放または接続される。このスイッチ電極の幅wpを、枠型をした第1線路の端部である延伸部13−1cの幅W1’と等しく選定する。(勿論等しくすることに限定されない。)かつこのwp、W1’及びT’の長さを高周波信号が線路の表面から入り込んで流れる表皮深さSよりも大きい値に選定する。また第2線路13−2の線路幅W2を2・Sよりも大きい値で、かつWW以下に選定する。
すなわち、この関係を示すと
2・S < W2 ≦ WW ≦ W1 − 2・S (式4)
とする。
これにより、スイッチ14が開状態にあるときには、第1線路の端部を通る高周波信号の電流密度は大きくなり、電流の経路長が図3の構成よりも実質的に長くなり、スイッチが閉状態になると第1線路の端部間を電極14aによって短絡した経路をほとんどの信号電流が流れるので、スイッチの開閉に伴う周波数の変化の範囲を図3の構成よりも10%ほど大きくできる。
図22に示した信号導体においては、全ての第1線路13−1が導体膜非形成領域Vを持つものとして説明したが、複数の第1線路のうち一部のみが斯かる領域Vを持つように構成しても良い。
図23(a)に示す実施例17の如く、導体膜非形成領域Vと接合しないように第2線路13−2もそのそれぞれの部分に導体膜非形成領域V’を持つように構成しても良い。このとき、第2線路の長さ方向の枠部の幅W2’を表皮深さSよりも大きい値に選定する。これにより、高周波信号はほとんど信号導体の枠部の形状に沿って流れる。
また、図23(b)に示す如く構成を変更することもできる。この変更された構成においては、一つまたは幾つかの第1線路と一つまたは幾つかの第2線路の部分が、斯かる導体膜非形成領域Vまたは導体膜非形成領域V’をそれぞれ持ち、残りの第1線路13−1*と第2線路の残りの部分13−2*は、斯かる領域を持たないように構成することもできる。
あるいはまた、図24(a)に示した実施例18の如く構成を変更することもできる。この変更された構成においては、全ての第1線路及び第2線路の部分が導体膜非形成領域Vまたは導体膜非形成領域V’を持ち、かつ隣り合う導体膜非形成領域V及び導体膜非形成領域V’を接合して信号導体13が一つの接合領域V'’を持つように構成する。または図24(b)に示す如く構成を変更することもできる。この変更された構成においては,一つまたは幾つかの第1線路と第2線路の一つまたは幾つかの部分のみが導体膜非形成領域Vと導体膜非形成領域V’とを持ち、それらが接合され一つの接合された導体膜非形成領域V''を形成し、残りの第1線路13−1*と第2線路の残りの部分13−2*は、斯かる領域を持たないように構成するように構成しても良い。
これら図22、23に示した第1線路及び第2線路に導体膜非形成領域V及びV’を形成することは、図3の信号導体に適用が限られるものではなく、図5以下に示した信号導体あるいはその他の信号導体の変形にも適用できる。よって共振器及び可変位相器に適応できることは言うまでもない。
マイクロストリップ線路を用いた場合の従来の共振器を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)におけるA1−A1’線での断面図、(c)は(a)におけるA2−A2’線での断面図。 (a)は図1に示す従来の共振器のマイクロストリップ線路における電流分布を示す図、(b)は図1に示す従来の共振器の共振動作シミュレーションの結果を示す図。 マイクロストリップ線路を用いて構成した場合の本発明の可変共振器を示し、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA1−A1’線での断面図、(c)は(a)におけるA2−A2’線での断面図。 (d)は(a)に示すマイクロストリップ線路を異なる観点から捉えた場合の平面図。 (e)は実施例1の可変共振器であってすべてのスイッチを開放にした状態を示す平面図。 (f)は実施例1の可変共振器であって、すべてのスイッチを導通にした状態を示す平面図。 (a)は図3に示す本発明の基本構成の可変共振器のマイクロストリップ線路における電流分布を示す図、(b)は図3−3(e)の如くすべてのスイッチを開放にした状態の実施例1の可変共振器において、共振動作シミュレーションの結果を示す図、(c)は図3−4(f)の如くすべてのスイッチを導通にした状態の実施例1の可変共振器において、共振動作シミュレーションの結果を示す図。 本発明による、可変共振器の信号導体の形状であって特に第1線路の形状の変形例を示す平面図。 本発明による、可変共振器の信号導体の形状であって特に第1線路の形状の他の変形例を示す平面図。 マイクロストリップ線路を用いた場合の本発明の実施例2である他の可変共振器を示し、(a)はその平面図、(b)はその斜視図。 コプレーナ導波路を用いた場合の本発明の実施例3である可変共振器の平面図。 コプレーナ導波路を用いた場合の本発明の実施例4である他の可変共振器を示し、(a)は第1金属膜層が形成する電極パターンを示す平面図、(b)は第2金属膜層の平面図、(c)は(a)におけるA1−A1’線での断面図、(d)は(a)におけるA2−A2’線での断面図。 コプレーナ導波路を用いた場合の本発明の実施例5である可変共振器の平面図。 同軸線路を用いた場合の本発明の実施例6である可変共振器の斜視図。 マイクロストリップ線路を用いた場合の本発明の実施例7である可変移相器を示し、(a)はすべてのスイッチを開放にした状態を示す平面図、(b)はすべてのスイッチを導通にした状態を示す平面図。 図12に示す可変移相器の特性をシミュレーションにて求めた結果を示す図。 マイクロストリップ線路を用いた場合の本発明の実施例8である可変移相器を示し、(a)はその平面図、(b)はその斜視図。 コプレーナ導波路を用いた場合の本発明の実施例9である可変移相器を示し、(a)はその平面図、(b)は(a)におけるA−A’線での断面図。 同軸線路を用いた場合の本発明の実施例10である可変移相器の斜視図。 マイクロストリップ線路を用いた場合の本発明の実施例11である可変共振器にスイッチを介してマイクロストリップ線路を用いた場合の可変移相器を縦続接続して構成した可変共振器の平面図。 マイクロストリップ線路を用いた場合の本発明の実施例12として可変移相器2個をスイッチを介して縦続に接続/開放できるように構成した可変移相器の平面図。 第1線路間を開閉制御するスイッチの変形例を示した実施例13の斜視図。 第1線路の変形例とそれの間を開閉制御するスイッチの変形例を示した実施例14の斜視図。 図20に示す構成における基板の変形例を示した実施例15の斜視図。 図3に示す信号導体の変形例を示した実施例16を示し、(a)はその平面図、(b)はその要部拡大図。 図22に示す信号導体の変形例を示した実施例17を示し、(a)はその平面図、(b)はその変形例である。 図3に示す信号導体の他の変形例を示した実施例18を示し、(a)はその平面図、(b)はその変形例である。

Claims (11)

  1. 地導体と、誘電体と、特定の周波数の電気信号に対し共振を起こす信号導体と、少なくとも一つのスイッチから構成される可変共振器において、
    前記信号導体は一つまたは所定間隔だけ離れた複数の第1線路と前記第1線路全てに接続されている第2線路から構成され、第1線路は、第2線路の線路幅とは異なる線路幅を持ち、これにより第2線路の線路長よりも長い信号経路が形成され、
    前記スイッチの一方の端子が第1線路に接続され、他方の端子が第2線路に接続されるか、またはスイッチの両端子が複数個の第1線路に接続され、
    前記スイッチを開または閉させることでスイッチの両端子が接続されている線路間を電気的に開放または導通制御して前記信号経路長を変化させ、
    これにより共振する周波数を変化させることを特徴とする可変共振器。
  2. 請求項1に記載の可変共振器において、
    さらに前記第1線路の1つと地導体との間を開または閉させる接地用スイッチを具えることを特徴とする可変共振器。
  3. 請求項1又は2に記載の可変共振器において、
    前記各第1線路の長さが共振周波数の波長の4分の1より小でかつ共振周波数及びその近傍の周波数の信号の表皮深さより大であることを特徴とする可変共振器。
  4. 請求項1に記載の可変共振器において、
    前記第1線路又は前記第2線路のうち、少なくとも1つが内部に導体膜非形成領域を有し、前記信号導体の外縁部における電流密度を高めることを特徴とする可変共振器。
  5. 請求項4に記載の可変共振器において、
    隣り合う少なくとも1つの第1線路及び第2線路の導体膜非形成領域同士が接合されていることを特徴とする共振器。
  6. 地導体と、誘電体と、信号導体と、少なくとも一つのスイッチから構成される可変移相器であって、
    前記信号導体は一つまたは所定間隔だけ離れた複数の第1線路と前記第1線路全てに接続されている第2線路から構成され、第1線路は、第2線路の線路幅とは異なる線路幅を持ち、これにより第2線路の線路長よりも長い信号経路が形成され、
    前記スイッチの一方の端子が第1線路に接続され、他方の端子が第2線路に接続されるか、またはスイッチの両端子が複数個の第1線路に接続され、
    前記スイッチを開または閉させることでスイッチの両端子が接続されている線路間を電気的に開放または導通制御して前記信号経路長を変化させ、
    これにより入力した電気信号の位相を変化させ、出力信号と入力信号の位相差を変化させることを特徴とする可変移相器。
  7. 請求項6に記載の可変移相器において、
    前記第1線路の長さが入力信号の波長の4分の1より小でかつ入力信号の周波数及びその近傍の周波数の信号の表皮深さより大であることを特徴とする可変移相器。
  8. 請求項6に記載の可変移相器において、
    前記第1線路又は前記第2線路のうち、少なくとも1つが内部に導体膜非形成領域を有し、前記信号導体の外縁部における電流密度を高めることを特徴とする可変移相器。
  9. 請求項8に記載の可変移相器において、
    隣り合う少なくとも1つの第1線路及び少なくとも1つの第2線路の導体膜非形成領域同士が接合されていることを特徴とする可変移相器。
  10. 請求項1に記載の可変共振器において、
    前記スイッチの両端子は複数の第1線路の端部間に接続されていることを特徴とする可変共振器。
  11. 請求項6に記載の可変移相器において、
    前記スイッチの両端子は複数の第1線路の端部間に接続されていることを特徴とする可変移相器。
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