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JP2005124121A - 無線通信装置 - Google Patents

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JP2005124121A JP2004047574A JP2004047574A JP2005124121A JP 2005124121 A JP2005124121 A JP 2005124121A JP 2004047574 A JP2004047574 A JP 2004047574A JP 2004047574 A JP2004047574 A JP 2004047574A JP 2005124121 A JP2005124121 A JP 2005124121A
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Abstract

【課題】アドホックネットワークと移動体通信ネットワークにおける通信に共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用する場合においても、干渉信号による受信特性の劣化を抑制することができ、ネットワーク全体としての通信容量の低下を回避することができる無線通信装置を提供する。
【解決手段】周囲に存在する他の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して上記他の無線通信装置と無線で通信を行うアドホック通信手段を備える。このアドホック通信手段は、上記他の無線通信装置との通信に際して、移動体通信ネットワークと共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用するとともに、上記他の無線通信装置から送信された希望信号以外の干渉信号を除去する干渉信号除去部12dを有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、TDD−CDMA方式の無線通信装置に関するものである。
周知のように、移動体通信ネットワークにおいては、携帯電話、パソコン、PDAなどの無線通信装置(User Equipment)によって移動局が構成され、それら移動局と基地局間のデータ伝送が無線によって行われるようになっている。また、各移動局間で音声通話やデータ通信を行う際には、図8に示すように、基地局(Base Station)を経由してデータの遣り取りが行われるようになっている。このような移動体通信に用いる通信方式としては、例えば、GSM(Global System for Mobile Communications)やWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)などが知られている。
また、上記移動体通信ネットワークにおいては、移動局と基地局間の通信が双方向になっていて、その通信方式が送受信を同時に行う復信方式となっている。復信方式には、図9に示すように、移動局から基地局への上り回線(Uplink)と基地局から移動局への下り回線(Downlink)とで異なる周波数帯を使用するFDD(Frequency Division Duplex)方式と、上り回線と下り回線の周波数帯は同じであるが上下回線を非常に短い時間で切り換えるTDD(Time Division Duplex)方式がある。TDD方式では、1フレームが複数(例えば、15)のタイムスロットに分割されて、その各々に上り回線と下り回線の何れかが割り当てられるようになっている。図10は、このTDD方式を復信方式として採用したTDD−CDMA(Code Division Multiple Access)のフレーム構成を示しており、このTDD−CDMA方式では、上り回線と下り回線に割り当てるタイムスロットの比率や配列をトラフィック量等に応じて適宜に設定可能となっている。
一方、無線による近距離のデータ通信ネットワークとして、アドホックネットワークが知られている。このアドホックネットワークにおいては、図11に示すように、基地局の介在無しに、電波の届く範囲内にある無線通信装置どうしで直接通信を行うことが可能となっている。このため、アドホックネットワークによれば、基地局やアクセスポイントが不要となり、このような通信設備を持たない場所においても簡易にネットワークを構築することができるという利点が得られる。このようなアドホックネットワークを構築するための通信技術としては、例えば、Bluetoothや無線LAN(IEEE802.11x)などが提案されている。
ところが、従来では、上記アドホックネットワークと移動体通信ネットワークとで異なる通信方式が採用されていたために、それらネットワークの双方に接続できる無線通信装置を実現しようとすると、無線通信装置の構成が自ずと複雑になり、それに対応してコストが増大するという問題点があった。
また、一方のネットワーク(例えば、アドホックネットワーク)から他方のネットワーク(例えば、移動体通信ネットワーク)に接続先を切り換える際には、双方の通信方式が異なることから、ハンドオーバーに時間がかかるという問題点もあった。
そこで、本発明者等は、先に、上記問題点を解消する無線通信装置として、アドホックネットワークにおける通信と移動体通信ネットワークにおける通信とに共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用する無線通信装置を開発するとともに、これに関する技術を特願2003−160576に開示している。この無線通信装置によれば、アドホックネットワークと移動体通信ネットワークにおける通信方式を統一したことにより、装置構成の複雑化やコスト増大を回避することができる上に、接続するネットワークの切換を円滑に行うことができるという利点が得られる。
ところで、上記構成からなる複数の無線通信装置(例えば、無線通信装置A、B、C、D)によりアドホックネットワークを構築して、当該ネットワーク内の無線通信装置A・B間で相互に通信を行う際には、無線通信装置Aが受信する信号の中に、無線通信装置Bから送信された希望信号のみならず、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置(例えば、無線通信装置C、D)から送信された信号や、移動体通信ネットワークの基地局または移動局から送信された信号なども含まれ、しかも各信号の伝送に同一周波数帯が使用されているために、上記希望信号以外の信号が、無線通信装置Aにとって干渉信号になる虞があった。そのため、上記干渉信号により無線通信装置の受信特性が悪化して、ネットワーク全体の通信容量が低下する懸念があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、アドホックネットワークと移動体通信ネットワークにおける通信に共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用する場合においても、干渉信号による受信特性の劣化を抑制することができ、ネットワーク全体としての通信容量の低下を回避することができる無線通信装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、移動体通信ネットワークの基地局との通信にTDD−CDMA方式を用いる無線通信装置であって、周囲に存在する他の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して上記他の無線通信装置と無線で通信を行うアドホック通信手段を備え、当該アドホック通信手段は、上記他の無線通信装置との通信に際して、上記移動体通信ネットワークと共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用するとともに、上記他の無線通信装置から送信された希望信号以外の干渉信号を除去する干渉信号除去手段を有することを特徴とするものである。
ここで、TDD−CDMAとは、復信方式にTDD方式を使用するCDMAである。CDMAとは、スペクトラム拡散方式を応用した多元接続方式の一つで、符号分割多重接続と呼ばれる通信方式である。TDD−CDMAとしては、例えば、3GPP(3rd Generation Partnership Project)により標準化されたTD−CDMAなどが挙げられる。
「移動体通信ネットワークの基地局との通信にTDD−CDMA方式を用いる無線通信装置」としては、例えば、携帯電話や、移動体通信ネットワークとの接続機能を有するPDA(Personal Digital Assistance)やパーソナルコンピュータ等の情報端末などが挙げられる。
また、「周囲に存在する他の無線通信装置」には、上記のように移動体通信ネットワークとの接続機能を有する無線通信装置の他に、例えば、移動体通信ネットワークとの接続機能を持たない情報端末(コンピュータ、PDAなど)や、情報端末の周辺機器(例えば、ヘッドセット、プリンタ、マウス、ディスプレイ)なども含まれる。これら無線通信装置は、少なくとも電波の到達範囲内にある他の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して、当該アドホックネットワーク内の無線通信装置どうしで相互に通信を行う機能(以下、アドホック通信機能と称す。)を有している。
すなわち、本発明に係る無線通信装置のアドホック通信手段は、上記アドホック通信機能を有する周囲の無線通信装置を検出し、それら無線通信装置に関する情報(例えば、IDやノード種別等のノード情報、拡散符号やタイムスロット等の通信チャネルに関する情報など)を特定の無線通信装置(マスタ)から取得して記憶手段に記憶する処理を実行した後、上記記憶手段に記憶された情報の中から通信相手となる無線通信装置に関する情報を抽出し、当該情報に基づいて、上記通信相手となる無線通信装置とアドホックネットワーク内で相互に通信を行うようになっている。
また、干渉信号除去手段としては、周知の干渉除去技術を適用することが可能であり、例えば、(1)各ユーザのチャネル推定値と、各ユーザに割り当てられた拡散符号とを畳込み乗算してシステム行列を生成し、このシステム行列を受信信号に乗算することにより復調信号を取り出すジョイントディテクション(Joint Detection)や、(2)各ユーザ信号から干渉信号の複製を生成して、これを受信信号から差し引くことにより干渉を抑圧する干渉キャンセラ(Interference Canceller)などを利用することが可能である。なお、ジョイントディテクションおよび干渉キャンセラについては、例えば、Ramjee Prasad著、「CDMA移動体通信システム」、科学技術出版、1997年6月、p.319−369等において開示されている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線通信装置において、上記干渉信号除去手段は、受信信号に含まれる既知信号(例えば、ミッドアンブル)から上記希望信号と上記干渉信号のチャネル推定値を求め、当該チャネル推定値と、各無線通信装置に割り当てられた拡散符号とを用いて、ジョイントディテクションにより上記干渉信号を除去することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の無線通信装置において、上記干渉信号除去手段は、上記干渉信号のレプリカを生成して、これを受信信号から差し引く処理を実行することにより、上記干渉信号を除去することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の無線通信装置において、上記干渉信号には、上記移動体通信ネットワークの基地局または移動局からの信号が含まれることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の無線通信装置において、上記干渉信号には、上記アドホックネットワーク内の通信で遣り取りされる信号の中で上記希望信号との同期が取れていない信号が含まれることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、移動体通信ネットワークの基地局との通信にTDD−CDMA方式を用いる無線通信装置であって、周囲に存在する他の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して上記他の無線通信装置と無線で通信を行うアドホック通信手段を備え、当該アドホック通信手段は、上記他の無線通信装置との通信に際して、上記移動体通信ネットワークと共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用するとともに、上記移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、干渉信号の大きさをそれぞれ測定し、その測定値に基づいて、上記アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを選択することを特徴とするものである。
ここで、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを選択する方法としては、移動体通信ネットワークの上り回線に設定されたタイムスロットと下り回線に設定されたタイムスロットについて、両者の比較により何れか一方をアドホック通信用のタイムスロットとして選択する方法と、予め設定された条件(例えば、干渉信号の大きさに関する条件)を満足するタイムスロットを、アドホック通信用のタイムスロットとして選択する方法とが挙げられるが、何れを採用するようにしてもよい。
例えば、前者の方法において、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットとして、上記測定値に基づいて、干渉量の少ない方のタイムスロットを選択した場合には、干渉量をもとにパワーコントロールを行う際に低電力を実現できるという利点が得られる。
一方、干渉量の多い方のタイムスロットを選択した場合には、無線通信装置の消費電力は増加するが、移動体通信ネットワークの下り回線において無線通信装置からの干渉量が減少するので、ネットワーク全体の特性を考えたときにその特性が改善するという利点が得られる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の無線通信装置において、上記アドホック通信手段は、上記干渉信号の測定値に基づいて送信電力の出力制御を行うことを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の無線通信装置において、上記アドホック通信手段は、上記移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、上記干渉信号の大きさをそれぞれ測定し、それら測定値と予め設定された閾値との比較により、上記アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを個別に決定することを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の無線通信装置において、上記アドホック通信手段は、上記移動体通信ネットワークの上り回線に設定されたタイムスロットにおける干渉信号の大きさが閾値以下である場合に、上記移動体通信ネットワークの下り回線に設定されたタイムスロットをアドホックネットワーク内の通信で使用するとともに、下り回線に設定されたタイムスロットにおける干渉信号の大きさが閾値以下である場合に、上り回線に設定されたタイムスロットをアドホックネットワーク内の通信で使用することを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の無線通信装置において、上記移動体通信ネットワークの上り回線に設定されたタイムスロットの干渉信号の大きさが閾値以下で、且つ下り回線に設定されたタイムスロットの干渉信号の大きさが閾値以下である場合に、上記アドホック通信手段は、下り回線と上り回線に設定された両方のタイムスロットをアドホックネットワーク内の通信で使用することを特徴とするものである。
請求項1〜5の何れかに記載の発明によれば、アドホックネットワーク内の通信に際して、受信信号に含まれる希望信号以外の干渉信号を除去するようにしたので、アドホックネットワークと移動体通信ネットワークにおける通信に共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用する場合においても、干渉信号による受信特性の劣化を抑制することができ、ネットワーク全体としての通信容量の低下を回避することができる。
また、請求項6または7に記載の発明によれば、移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、干渉信号の大きさをそれぞれ測定し、その測定値に基づいて、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを選択するとともに、上記測定値に応じて送信電力の出力制御を行うようにしたので、アドホックネットワークと移動体通信ネットワーク間で干渉が生じ難くなり、何れのネットワークを利用する場合においても、良好な通信状態を確保することができる。
さらに、請求項8〜10の何れかに記載の発明によれば、移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、干渉信号の大きさをそれぞれ測定して、それら測定値と予め設定された閾値との比較により、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを個別に決定するようにしたため、最大で上り回線と下り回線の両方のタイムスロットをアドホックネットワーク内の通信に使用することが可能となる。このため、例えば、移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線の何れか一方を選択してアドホックネットワーク内の通信で使用する場合と比較して、アドホックネットワーク内における通信効率を高めることが可能となる。
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る無線通信装置によって構築されたアドホックネットワークの一実施形態を示すもので、図中符号10は第1無線通信装置、符号20は第2無線通信装置である。
第1無線通信装置10は、移動体通信ネットワークとの接続機能を有する無線通信装置(本発明に係る無線通信装置)で、例えば、携帯電話、PDA、パーソナルコンピュータなどにより構成されている。この第1無線通信装置10は、移動体通信ネットワークの基地局30との通信にTDD−CDMA方式を用いるようになっている。
一方、第2無線通信装置20は、移動体通信ネットワークとの接続機能を持たない無線通信装置で、例えば、LAN(Local Area Network)等の固定的な通信ネットワークに有線または無線で接続された情報端末(例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなど)や、情報端末の周辺機器(例えば、ヘッドセット、プリンタ、マウス)などにより構成されている。
これら第1および第2無線通信装置10、20は、周囲に存在する他の無線通信装置10、20とアドホックネットワークを構築して、当該アドホックネットワーク内の無線通信装置どうしで相互に通信を行うアドホック通信機能を有し、その通信方式に、移動体通信ネットワークにおける通信方式と共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用するようになっている。また、その通信に際しては、移動体通信ネットワークにおける通信と同期を取ってアドホックネットワーク内の通信を行うようになっている。
図2は、第1無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。この図2に示すように、第1無線通信装置10は、送信器11、受信器12、アンテナ13、制御部14および記憶部15を有している。
送信器11は、送信信号を生成する送信データ処理部11aと、搬送波を送信信号で一次変調する一次変調部11bと、一次変調によって得られた変調信号を拡散符号(直交拡散符号)で拡散変調(二次変調)する拡散部11cと、拡散変調された信号を増幅する増幅部11dとを備えている。すなわち、送信データ処理部11aで生成された送信信号は、一次変調部11bにて所定の変調方式で一次変調された後、拡散部11cにて拡散符号により拡散変調され、その後、増幅部11dにて増幅されてアンテナ13から電波として放射されるようになっている。
一方、受信器12は、アンテナ13から受信した受信信号に含まれる不要なノイズ成分を除去する帯域フィルタ12aと、この帯域フィルタ12aを通過した受信信号をベースバンド信号に復調する復調部12bと、ベースバンド信号に含まれるミッドアンブル(Midamble)からチャネル推定値を求めるチャネル推定部12cと、各無線通信装置のチャネル推定値と拡散符号とを用いてジョイントディテクション(Joint Detection)により干渉信号を除去する干渉信号除去部(干渉信号除去手段)12dと、干渉信号が除去された復調信号に基づいて各種処理を行う受信データ処理部12eとを備えている。なお、各無線通信装置10、20には、固有のミッドアンブルが予め割り当てられており、受信信号に含まれるミッドアンブルから各無線通信装置のチャネル推定値を導き出すことが可能となっている。干渉信号除去部12dは、各無線通信装置に予め割り当てられた拡散符号と上記チャネル推定値とを畳込み乗算してシステム行列を生成し、このシステム行列をベースバンド信号に乗算することにより復調信号を得るようになっている。
制御部14は、記憶部15に記憶された各種情報に基づいて、送信器11および受信器12を制御するもので、この制御部14によって、送信と受信の切替制御、送信電力の出力制御(パワーコントロール)、アドホックネットワークと移動体通信ネットワークとの切替制御や同期制御等が行われるようになっている。例えば、移動体通信ネットワークの基地局30、或いはアドホックネットワーク内の他の無線通信装置と無線回線を使って通信する際には、予め設定されたタイムスロットの割当に基づいて送信と受信の切替が行われて、TDD方式で通信が行われるようになっている。
また、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置と通信を開始するにあたっては、移動体通信ネットワークの上り回線(Uplink)と下り回線(Downlink)に設定された各タイムスロットについて、干渉信号の大きさをそれぞれ測定し、その測定値に基づいて、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを選択する処理が行われるようになっている。さらに、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置と通信する際には、基地局30から受信した同期用の情報に基づいて、移動体通信ネットワークにおける通信タイミングに合致するように、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置との通信タイミングが設定されるようになっている。また、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置と通信する際には、受信器12に入力された受信信号から干渉レベルが検出され、その干渉レベルに応じて送信電力が調整されるようになっている。
本実施形態では、これら送信器11、受信器12、アンテナ13、制御部14および記憶部15等によって、本発明に係るアドホック通信手段が構成されている。
他方、第2無線通信装置20についても、上記第1無線通信装置10と同様の送信器、受信器、アンテナ、制御部および記憶部を有し、これら通信手段によって、アドホックネットワーク内の他の無線通信装置と、基地局30の介在無しに無線回線を使って通信することが可能となっている。
次に、上記構成からなる第1無線通信装置10によって実行されるアドホックネットワークへの接続処理について説明する。ここでは、上記無線通信装置10をノードXとして説明し、アドホックネットワーク全体を管理する無線通信装置をマスタ、当該マスタの管理下で無線通信を行う無線通信装置をスレーブと称することとする。
この処理は、例えば、移動体通信ネットワークよりもアドホックネットワークのSIR(Signal to Interference Ratio:信号対干渉比)の方が強い場合や、アドホックモードに通信モードの切換が行われた場合などに開始される。
先ず、ノードXが、アドホックネットワーク内にマスタが存在するか否かを探索し、その探索結果に基づいて、当該ノードXのノード種別をマスタまたはスレーブの何れかに設定する処理を行う。すなわち、ノードXが、マスタから発せられるパイロット信号を検出する処理を行い、その結果、パイロット信号を検出できた場合には、ノード種別をスレーブに設定し、パイロット信号を検出できなかった場合には、ノード種別をマスタに設定する。
ここで、ノード種別がスレーブに設定された場合には、ノードXが、予め設定された共有チャネル(Common Channel)を利用して、ノード情報(例えば、ノードXのID、アドレスなど)をマスタに対して送信する処理を行う。マスタは、ノードXのノード情報を受信すると、このノード情報に基づいて、記憶部内のネットワーク情報(各スレーブのノード情報、ネットワーク資源、QoS(Quality of Service)のパラメータなど)を更新した後、当該ネットワーク情報をアドホックネットワーク内の各スレーブ(ノードXを含む。)に対して配信する処理を行う。これにより、ノードXがスレーブとしてアドホックネットワーク内に組み入れられた状態となる。
一方、ノード種別がマスタに設定された場合には、ノードXが、所定周期毎にパイロット信号を繰り返し発信(ブロードキャスト)するとともに、スレーブから出力される制御信号を監視しながら、定期的に、上記ネットワーク情報を更新する処理、並びにスレーブの通信状態を検出する処理を行う。これにより、ノードXをマスタとするアドホックネットワークが構築され、当該アドホックネットワークの維持管理がノードXによって行われる。
次に、上記のようにして構築されたアドホックネットワーク内において、各ノード間で通信を行う際の処理について説明する。例えば、ノードXがスレーブに設定されている場合に、当該ノードXが、スレーブに設定されている他の無線通信装置(以下、ノードYと称する)との通信を開始する際には、先ず、ノードXが、通信相手となるノードYのIDを指定して通信要求メッセージをマスタに対して送信する処理を行う。これを受けて、マスタは、記憶部内のネットワーク情報を参照して、ノードYの通信状態を確認するとともに、通信に利用可能なネットワーク資源(例えば、周波数帯、拡散符号、タイムスロットなど)を確認し、当該ネットワーク資源に基づいて、ノードX・Y間の通信チャネルを割り当てる処理を行う。
その際に、マスタは、移動体通信ネットワークの上り回線(Uplink)と下り回線(Downlink)に設定された各タイムスロットについて、干渉信号(移動体通信ネットワークの移動局からの信号、基地局30からの信号)の大きさをそれぞれ測定し、その測定値に基づいて、干渉量(Public Interference Power)の少ない方のタイムスロットを、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットとして優先的に選択することにより、ノードX・Y間の通信チャネルとして、最も効率の良い通信チャネルを割り当てる処理を行う。例えば、図3の例では、上り回線よりも下り回線に設定されたタイムスロットの方が干渉量が少ないので、移動体通信ネットワークの下り回線に設定されたタイムスロットを、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットとして使用するようにしている。
なお、上記タイムスロットの選択方法としては、例えば、下り回線に設定されたタイムスロットについてのみ干渉信号の大きさを測定し、その測定値が予め設定された閾値よりも大きければ、上り回線に設定されたタイムスロットを、小さければ下り回線に設定されたタイムスロットを、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットとして選択する方法を採用することも可能である。また、この実施形態では、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットとして、干渉量の少ない方のタイムスロットを優先的に選択するようにしたが、例えば、アドホックネットワークの各ノードの通信特性を改善すること以上に、ネットワーク全体の通信特性を改善することが要求される場合には、上記とは反対に、干渉量の多い方のタイムスロットを優先的に選択することが好ましい。そうすることで、移動体通信ネットワークの下り回線における各ノードからの干渉量を減少させることができ、これによってネットワーク全体の通信特性を改善することができる。
このように通信チャネルの割当を行った後、マスタは、通信チャネルの割当が指定された設定情報を、通信要求のあったノードXに対して返信する処理を行う。この際に、マスタは、上記設定情報に基づきネットワーク情報を更新して記憶部に記憶する処理や、更新したネットワーク情報をアドホックネットワーク内の各スレーブに対して配信する処理を併せて行う。
ノードXは、ノードYとの通信に必要な設定情報をマスタから受信すると、当該設定情報を記憶部15に記憶した後、当該設定情報に従って、ノードYとの間で直接データ信号の送受信を開始する。その際に、ノードXは、アドホックネットワークに加わってない近傍の無線通信装置の干渉とならないように、パワーコントロールを行う。すなわち、受信器12に入力された受信信号に基づいてすべてのタイムスロットの干渉レベルを測定し、その測定値と予め設定されたオフセット値との和を送信電力の最大値(許容値)として、この最大値を上回らないように、送信電力の出力制御を行う。また、ノードXは、基地局30からの信号を受信して、受信した信号の所定タイムスロットに含まれる同期用の情報を抽出し、当該同期用の情報に基づいて、移動体通信ネットワークにおける通信タイミングに合致するように、ノードYとの通信タイミングを設定する処理を行う。
さらに、ノードXは、ノードYとの通信に際して、ノードYから送信された希望信号以外の干渉信号を除去する処理を行う。除去の対象となる干渉信号は、移動体通信ネットワークにおける下り回線と上り回線とでは異なったものになる。すなわち、下り回線においては、図4(a)に示すように、アドホックネットワーク内の各ノード(無線通信装置10、20)からの送信信号と、基地局30からの送信信号とで、干渉信号が構成される。ここで、アドホックネットワーク内の各ノードからの送信信号に対するチャネルインパルス応答(Channel Impulse Response)は、通信距離が比較的短く、マルチパスが生じ難いため、フラットフェージングになり易い。これに対し、基地局30からの送信信号は、アドホックネットワーク内の各ノード間の距離と比べて通信距離が長くなるため、そのチャネルインパルス応答はマルチパスフェージングを示すようになる。その結果、下り回線におけるノードXの受信信号は、例えば、図4(b)に示すようになる。
このような下り回線における干渉信号を除去する際には、先ず、受信信号に含まれるミッドアンブルに基づいて、通信相手となるノードYからの信号(希望信号)、アドホックネットワーク内の他のノード(例えば、ノードA、B)からの信号、基地局30からの信号のチャネル推定値を求める。
次いで、干渉信号として、除去の対象となる信号を選択する。ここで、基地局30からの信号は、上述したように、マルチパスフェージング特性を有する信号となるため、干渉信号として除去の対象になる。一方、アドホックネットワーク内の他のノードからの信号は、拡散符号間の直交性が保たれている場合には、除去の対象外となる。但し、同期が崩れていて直交性が悪い場合には、干渉信号となるため除去の対象になる。また、アドホックネットワークの規模が大きい場合においては、遠いところに存在するノードからの信号は遅延スプレッドが比較的大きくなり、直接波と共に拡散符号長を超える遅延波が到達する可能性がある。このときは、基地局30からの信号と同様、マルチパスフェージングとなりパス間干渉を起こすこととなるため、干渉信号として除去の対象になる。
次いで、選択した干渉信号と希望信号のチャネル推定値と拡散符号とを用いて、ジョイントディテクションを行うことにより、上記干渉信号を除去する。その結果、SIRが増加し受信特性が良くなる。
一方、上り回線においては、図5(a)に示すように、アドホックネットワーク内の各ノードからの送信信号と、移動体通信ネットワークの移動局からの送信信号とで、干渉信号が構成される。ここで、アドホックネットワーク内の各ノードからの送信信号に対するチャネルインパルス応答は、通信距離が比較的短く、マルチパスが生じ難いため、フラットフェージングになり易い。これに対し、移動局からの送信信号は通信距離に応じて、チャネルインパルス応答がフラットフェージング或いはマルチパスフェージングを示すようになる。但し、移動局の送信電力は基地局30の送信電力よりは比較的小さいため、送信信号の伝播距離は基地局30よりも短くなる。なお、上り回線におけるノードXの受信信号は、図5(b)に示すようになる。
このような上り回線における干渉信号を除去する際には、先ず、受信信号に含まれるミッドアンブルに基づいて、通信相手となるノードYからの信号(希望信号)、アドホックネットワーク内の他のノード(例えば、ノードA、B)からの信号、移動体通信ネットワークの移動局からの信号のチャネル推定値を求める。
次いで、下り回線の場合と同様に、干渉信号として、除去の対象となる信号を選択する。ここで、アドホックネットワーク内の他のノードからの信号は、拡散符号間の直交性が保たれている場合には、除去の対象外となる。但し、同期が崩れていて直交性が悪い場合や、アドホックネットワークの規模が大きくて遅延量が所定量(1chip)を超えるような場合には、干渉信号となるため除去の対象になる。一方、移動体通信ネットワークの移動局からの信号は、アドホックネットワーク内の他のノードからの信号とは異なるフェージング特性を持つ。つまり、通信距離や通信環境によって、フラットフェージング特性を持つ場合もあり、マルチパスフェージング特性を持つ場合もある。しかし、これらの信号は伝播時間が異なり同期が崩れているため、全て干渉信号になり、よって除去の対象になる。
こうして干渉信号を選択した後、当該干渉信号と希望信号のチャネル推定値と拡散符号とを用いて、ジョイントディテクションを行うことにより、上記干渉信号を除去する。その結果、SIRが増加し受信特性の劣化を防止することができる。
以上のように、本実施形態によれば、アドホックネットワークと移動体通信ネットワークにおける通信に共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用するようにしたので、アドホックネットワークと移動体通信ネットワークの双方に接続可能な無線通信装置10を簡素な構成で安価に提供することが可能になる。
しかも、アドホックネットワーク内の通信に際して、受信信号に含まれる希望信号以外の干渉信号を除去するようにしたので、アドホックネットワークと移動体通信ネットワークにおける通信に共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用する場合においても、干渉信号による受信特性の劣化を抑制することができ、ネットワーク全体としての通信容量の低下を回避することができる。
さらに、移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、干渉信号の大きさをそれぞれ測定し、その測定値に基づいて、干渉量の少ない方のタイムスロットを、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットとして選択するとともに、上記測定値に応じて送信電力の出力制御を行うようにしたので、アドホックネットワークと移動体通信ネットワーク間でより一層に干渉が生じ難くなり、何れのネットワークを利用する場合においても、良好な通信状態を確保することができる。
また、アドホックネットワーク内の無線通信装置10、20どうしが相互に通信を行うことにより、移動体通信ネットワークにかかる負荷を軽減することができ、これによって、ネットワーク全体としての通信効率を高めることができる上に、ネットワークの通信容量を増大させることもできる。また、アドホックネットワークと移動体通信ネットワークにおける通信に共通のTDD−CDMA方式を用いるようにしたことにより、双方のネットワーク間のハンドオーバーを円滑に実行することができる。
なお、移動体通信ネットワークからの干渉の強いエリアにおいてアドホックネットワークを構築する場合には、干渉信号除去手段として、例えば、図6に示すような構成を採用することも可能である。この干渉信号除去手段は、図6に示すように、移動体通信ネットワークの基地局または移動局からの信号(以下、セルラーユーザ信号と称する)のデータとチャネルインパルス応答とを求めるセルラー信号検出部41と、セルラーユーザ信号のデータとチャネルインパルス応答とを用いてセルラーユーザ信号のレプリカ(複製)を生成するセルラー信号再生成部42と、受信信号を一時的に記憶するメモリー43と、受信信号からセルラーユーザ信号のレプリカを差し引く演算処理を行う演算部44と、セルラーユーザ信号が除去された受信信号から希望信号を検出するアドホック信号検出部45とを備えている。
この干渉信号除去手段においては、先ず、セルラー信号検出部41とメモリー43とにそれぞれ受信信号が入力される。セルラー信号検出部41では、ジョイントディテクションを用いて受信信号からセルラーユーザ信号のみを検出し、当該セルラーユーザ信号のデータとチャネルインパルス応答とを求める処理が行われる。次いで、セルラー信号再生成部42では、セルラー信号検出部41から受け取ったセルラーユーザ信号のデータとチャネルインパルス応答とを用いてセルラーユーザ信号のレプリカを生成する処理が行われる。
その後、メモリー43から演算部44に受信信号が入力されるとともに、セルラー信号再生成部42から演算部44にセルラーユーザ信号のレプリカが入力され、演算部44において、受信信号からセルラーユーザ信号のレプリカを差し引くことにより、移動体通信ネットワークからの干渉信号を除去する処理が行われる。次いで、アドホック信号検出部45では、セルラーユーザ信号が除去された受信信号から希望信号(アドホックネットワーク内の通信相手となるノードからの信号)を検出する処理が行われる。ここで、アドホックネットワーク内の各ノードからの信号(アドホックユーザ信号)は、主にフラットフェージングの影響を受けることとなるため、一般的な復調方法でデータの検出が可能であるが、同期が取れていない場合とマルチパスで受信されるユーザの信号に対してはジョイントディテクションを用いてデータの検出を行う。その結果、移動通信ネットワークからの干渉のない希望アドホックユーザの信号が得られる。
この干渉信号除去手段によれば、移動通信ネットワークからの干渉が強いエリアにおいても、干渉の影響を大幅に抑制することができる。このため、例えば、スクランブルコード(scrambling code)とチャネライゼーションコード(channelization code)とを用いて拡散を行う無線通信システムにおいて、移動体通信ネットワークとアドホックネットワークとで互いに異なるスクランブルコードを割り当てる場合に、移動体通信ネットワークで使用するチャネライゼーションコードと同じチャネライゼーションコードをアドホックネットワーク内の通信チャネルに割り当てることが可能となり、すべてのチャネライゼーションコードをアドホックネットワーク内の通信に利用できるようになる。したがって、アドホックネットワーク全体としての通信容量を大幅に増大させることが可能となる。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態においては、移動体通信ネットワークの上り回線(Uplink)に設定されたタイムスロットと下り回線(Downlink)に設定されたタイムスロットの中から、両者の比較により何れか一方をアドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロット(以下、アドホック通信用のタイムスロットと称する。)として選択するようにしたが、この第2の実施形態においては、予め設定された条件を満足するタイムスロットを、アドホック通信用のタイムスロットとして選択するようにしている。
具体的には、アドホックネットワークを構成するノード間で通信を行う際に、当該アドホックネットワーク全体を管理する無線通信装置(マスタ)が、通信チャネルの割り当てにあたって、移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、干渉信号(移動体通信ネットワークの移動局からの信号、基地局30からの信号)の大きさ(干渉電力)をそれぞれ測定するとともに、それら測定値と予め設定された閾値との比較により、各タイムスロットにおける干渉電力が閾値以下であるか否かを判定し、その判定の結果、上り回線に設定されたタイムスロットの干渉電力が閾値以下である場合に、アドホック通信用のタイムスロットとして、下り回線に設定されたタイムスロットを割り当てる一方、上り回線に設定されたタイムスロットの干渉電力が閾値を超過する場合に、下り回線に設定されたタイムスロットをアドホック通信用のタイムスロットから除外する処理を行う。また、上記判定の結果、下り回線に設定されたタイムスロットの干渉電力が閾値以下である場合に、アドホック通信用のタイムスロットとして、上り回線に設定されたタイムスロットを割り当てる一方、下り回線に設定されたタイムスロットの干渉電力が閾値を超過する場合に、上り回線に設定されたタイムスロットをアドホック通信用のタイムスロットから除外する処理を行う。
その結果、例えば、図7に示すように、移動体通信ネットワークの上り回線に設定されたタイムスロットにおける干渉電力(Interference Power)が閾値(threshold)以下で、且つ下り回線に設定されたタイムスロットにおける干渉電力が閾値以下である場合には、アドホック通信用のタイムスロットとして、下り回線と上り回線の両方のタイムスロットが割り当てられる。
ここで、上記干渉電力は距離に依存する(すなわち、距離が近い程大きくなる)ため、アドホックネットワークを構成する無線通信装置においては、上り回線における干渉電力から移動局までの距離を推定することが可能であり、下り回線における干渉電力から基地局までの距離を推定することが可能である。
他方、アドホックネットワークと移動局の距離が近い場合には、移動局において、下り回線でアドホックネットワークから受ける干渉が大きくなり、アドホックネットワークと基地局の距離が近い場合には、基地局において、上り回線でアドホックネットワークから受ける干渉が大きくなる。
したがって、上り回線に設定されたタイムスロットにおける干渉電力が閾値以下であって、アドホックネットワークと移動局とが一定距離以上離れていると推定される場合に、下り回線に設定されたタイムスロットをアドホックネットワーク内の通信で使用することによって、アドホックネットワーク内の通信が移動局に及ぼす影響を低減することができる。同様に、下り回線に設定されたタイムスロットにおける干渉電力が閾値以下であって、アドホックネットワークと基地局とが一定距離以上離れていると推定される場合に、上り回線に設定されたタイムスロットをアドホックネットワーク内の通信で使用することによって、アドホックネットワーク内の通信が基地局に及ぼす影響を低減することができる。
なお、上記閾値は、アドホックネットワーク内で通信を行ってもアドホックネットワーク外の他の無線通信装置に影響を与えないような値に予め設定されている。この閾値は、例えば、システムに要求される信頼性やビットレート、使用するユーザの数等に基づいて決定することが可能であり、マスタとなり得る無線通信装置に予め記憶しておくようにしても、マスタに設定された無線通信装置が閾値決定に必要な情報を基地局から取得して適宜更新するようにしてもよい。また、この閾値は、上り回線と下り回線とで同一の値を用いるようにしても、各回線に求められる要求性能等の違いに応じて、互いに異なる値を用いるようにしてもよい。
この第2の実施形態によれば、移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、干渉信号の大きさをそれぞれ測定して、その測定値と予め設定された閾値との比較により、アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを個別に決定するようにしたため、最大で上り回線と下り回線の両方のタイムスロットをアドホックネットワーク内の通信に使用することが可能となり、第1の実施形態のように、アドホック通信用のタイムスロットとして、移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線の何れか一方のみを選択する場合と比較して、アドホックネットワーク内における通信効率を大幅に高めることが可能となる。一般に、移動体通信ネットワークにおけるTDD−CDMAの1フレームあたりの上り回線と下り回線の比率を見ると、下り回線の方が大きい場合がほとんどであるため、例えば、アドホックネットワーク内における通信に上り回線のみを使用した場合には、通信の伝送速度が著しく低下するという問題があるが、本実施形態によれば、上り回線と下り回線の両方を使用することが可能であるので、上記のような問題が生じ難く、効率的に通信を行うことができる。
本発明に係る無線通信装置によって構築されたアドホックネットワークの一実施形態を示す概略構成図である。 図1の第1無線通信装置の要部構成を示すブロック図である。 アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットの選択方法を説明する模式図である。 移動体通信ネットワークの下り回線で発生する干渉信号を説明する模式図である。 移動体通信ネットワークの上り回線で発生する干渉信号を説明する模式図である。 図2の受信器の変形例を示す図である。 アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットの選択方法の第2実施形態を説明する模式図である。 移動体通信ネットワークの一例を示す概略構成図である。 TDD方式とFDD方式を説明するための模式図である。 TDD−CDMAのフレーム構成の一例を示す図である。 アドホックネットワークの一例を示す概略構成図である。
符号の説明
10 第1無線通信装置
20 第2無線通信装置
30 基地局

Claims (10)

  1. 移動体通信ネットワークの基地局との通信にTDD−CDMA方式を用いる無線通信装置であって、
    周囲に存在する他の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して上記他の無線通信装置と無線で通信を行うアドホック通信手段を備え、当該アドホック通信手段は、上記他の無線通信装置との通信に際して、上記移動体通信ネットワークと共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用するとともに、上記他の無線通信装置から送信された希望信号以外の干渉信号を除去する干渉信号除去手段を有することを特徴とする無線通信装置。
  2. 上記干渉信号除去手段は、受信信号に含まれる既知信号から上記希望信号と上記干渉信号のチャネル推定値を求め、当該チャネル推定値と、各無線通信装置に割り当てられた拡散符号とを用いて、ジョイントディテクションにより上記干渉信号を除去することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
  3. 上記干渉信号除去手段は、上記干渉信号のレプリカを生成して、これを受信信号から差し引く処理を実行することにより、上記干渉信号を除去することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
  4. 上記干渉信号には、上記移動体通信ネットワークの基地局または移動局からの信号が含まれることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の無線通信装置。
  5. 上記干渉信号には、上記アドホックネットワーク内の通信で遣り取りされる信号の中で上記希望信号との同期が取れていない信号が含まれることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の無線通信装置。
  6. 移動体通信ネットワークの基地局との通信にTDD−CDMA方式を用いる無線通信装置であって、
    周囲に存在する他の無線通信装置とアドホックネットワークを構築して上記他の無線通信装置と無線で通信を行うアドホック通信手段を備え、当該アドホック通信手段は、上記他の無線通信装置との通信に際して、上記移動体通信ネットワークと共通のTDD−CDMA方式を採用して同一周波数帯を使用するとともに、上記移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、干渉信号の大きさをそれぞれ測定し、その測定値に基づいて、上記アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを選択することを特徴とする無線通信装置。
  7. 上記アドホック通信手段は、上記干渉信号の測定値に基づいて送信電力の出力制御を行うようになっていることを特徴とする請求項6に記載の無線通信装置。
  8. 上記アドホック通信手段は、上記移動体通信ネットワークの上り回線と下り回線に設定された各タイムスロットについて、上記干渉信号の大きさをそれぞれ測定し、それら測定値と予め設定された閾値との比較により、上記アドホックネットワーク内の通信で使用するタイムスロットを決定することを特徴とする請求項6に記載の無線通信装置。
  9. 上記アドホック通信手段は、上記移動体通信ネットワークの上り回線に設定されたタイムスロットにおける干渉信号の大きさが閾値以下である場合に、上記移動体通信ネットワークの下り回線に設定されたタイムスロットをアドホックネットワーク内の通信で使用するとともに、下り回線に設定されたタイムスロットにおける干渉信号の大きさが閾値以下である場合に、上り回線に設定されたタイムスロットをアドホックネットワーク内の通信で使用することを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
  10. 上記移動体通信ネットワークの上り回線に設定されたタイムスロットの干渉信号の大きさが閾値以下で、且つ下り回線に設定されたタイムスロットの干渉信号の大きさが閾値以下である場合に、上記アドホック通信手段は、下り回線と上り回線に設定された両方のタイムスロットをアドホックネットワーク内の通信で使用することを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。
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